JP2015168723A - 光硬化型インクジェット印刷用インク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents

光硬化型インクジェット印刷用インク組成物及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】紫外線、特に発光ダイオード(LED)を光源とした紫外線による薄膜での硬化性、ポリ塩化ビニル系シート等に対する密着性、耐溶剤性、耐擦性、吐出安定性が良好である光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を提供すること。
【解決手段】
(1)ビニルアミド化合物を光重合性成分の総質量に対して5〜20質量%含有し、
(2)エーテル基含有モノマーを光重合性成分の総質量に対して1〜89質量%含有し、
(3)環状構造を有する単官能モノマーを光重合性成分の総質量に対して10〜99.9質量%含有し、
かつ(4)2官能性以上の光重合性化合物を光重合性成分の総質量に対して0.1〜40質量%含有する
光重合性成分と、
光重合開始剤を含有し、
25℃における粘度が100mPa・s以下である光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物及びインクジェット記録方法に関する。更に詳しくは、発光ダイオード(LED)を光源とした紫外線による硬化性(薄膜での硬化性)、ポリ塩化ビニル系シート等に対する密着性、耐溶剤性、耐擦性、吐出安定性が良好である光硬化型インクジェット印刷用インク組成物に関する。
最近、広い画像面積を必要とする屋外の大型宣伝広告等の製作分野で、インクジェット記録方式が利用される機会が多くなっている。これらに使用される基材としては、塩化ビニル樹脂そのものからなるシートや複合材料のターポリンシート等というように、野外の使用に耐える強靭なポリ塩化ビニル系シートが使用されている。そして、このポリ塩化ビニル系シートに印字するインクジェット印刷用インクとしては、揮発成分を用いない光硬化型のインクジェット印刷用インク組成物が提案されている。
ところで、上記の野外広告等が風雨に耐えるために、基材と共にインク組成物も強靭な皮膜を形成できるものでなければならない。しかしながら、光硬化型の材料で強靭な皮膜を形成できるものは、一般に皮膜硬度が高く、基材に対する密着性が低下する傾向にある。そこで、そのようなインク組成物では、基材に対する密着性を向上させるために、一部、基材を溶解させる成分をインク中に含有させる方法が採用されている。例えば、ポリ塩化ビニルを溶解しないエチレン性二重結合含有化合物と、ポリ塩化ビニルを溶解するエチレン性二重結合含有化合物(N−ビニルカプロラクタム)を特定の比率で含有させたポリ塩化ビニル系シート用の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このようなインクジェットインクを使用して印刷物を製造した場合、ポリ塩化ビニル系シートへの密着性は良好となるが、コックリング(基材がたわむ現象)が起こりやすくなるという問題を有している。
また、メタルハライドランプ等、従来から一般的に使用されている高いエネルギーの光源を使用して画像を硬化させる場合は、オゾンの発生や照射装置の大型化、ランプ寿命が短い等の問題を有する。このため、近年、光源として低いエネルギーの発光ダイオードランプ(LEDランプ)が使用される。そこで、それに対する硬化性や印刷性能(密着性、コックリングの改善等)及び安全性(引火点、刺激性等)も要求され、これらに対応できる光硬化型インクジェット印刷用インク組成物が提案されている。
このような、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物としては、例えば、顔料、ベンジルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、分子内に2個の光重合性官能基及び分子内に2個のアミノ基を有すアクリル化アミン化合物、及び増感剤を含有する光硬化型インクジェット印刷用インク組成物(例えば、特許文献2参照)、顔料、特定量の分子内に(メタ)アクリレート基とビニルエーテル基を有する化合物、及び特定量のビニルカプロラクタムを含有する光硬化型インクジェット印刷用インク組成物(例えば、特許文献3参照)等が用いられている。
しかし、このような光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を使用して薄膜の印刷物を製造した場合にも、まだ硬化性が十分でないという問題を有していた。
特開2012−158638号公報 国際公開2010/143738号公報 特開2012−116934号公報
そこで本発明の課題は、紫外線、特に発光ダイオード(LED)を光源とした紫外線による薄膜での硬化性、ポリ塩化ビニル系シート等に対する密着性、耐溶剤性、耐擦性、吐出安定性が良好である光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を提供することである。
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の光重合性成分として、ビニルアミド化合物とエーテル基含有モノマーと環状構造を有する単官能モノマーとを光重合性成分の総質量に対して特定量含有させ、且つ光重合性成分に2官能性以上のモノマーを特定量含有させることにより、上記の課題を全て解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
1.(1)ビニルアミド化合物を光重合性成分の総質量に対して5〜20質量%含有し、
(2)エーテル基含有モノマーを光重合性成分の総質量に対して1〜89質量%含有し、
(3)環状構造を有する単官能モノマーを光重合性成分の総質量に対して10〜99.9質量%含有し、
かつ(4)2官能性以上の光重合性化合物を光重合性成分の総質量に対して0.1〜40質量%含有する
光重合性成分と、
光重合開始剤を含有し、
25℃における粘度が100mPa・s以下である光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
2.前記(2)エーテル基含有モノマーが、ビニロキシエトキシエチルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種であり、
前記(3)環状構造を有する単官能モノマーが、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレートから選ばれる少なくとも1種である、
1に記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
3.前記光重合開始剤が、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤であり、光重合性成分の100質量部に対して3〜25質量部含有する1又は2に記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
4.前記(1)ビニルアミド化合物が、ビニルホルムアミドを含有するビニルアミド化合物である1〜3のいずれかに記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
5.更に、着色剤を含有する1〜4のいずれかに記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
6.1〜5のいずれかに記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を用いたインクジェット記録方法であって、前記光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を被記録媒体に付着させ、付着させた光硬化型インクジェット印刷用インク組成物に、発光ダイオードを光源とし、発光ピーク波長が350〜420nmの範囲にある紫外線を照射する、インクジェット印刷方法。
紫外線、特に発光ダイオード(LED)を光源とした紫外線による薄膜での硬化性、ポリ塩化ビニル系シート等に対する密着性、耐溶剤性、耐擦性、吐出安定性が良好である光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を得ることができた。
以下、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物(以下、本発明のインク組成物ともいう)について詳細に説明する。
尚、本発明においては、後述する発光ダイオード(LED)を光源とした紫外線とは「発光ピーク波長を350〜420nmの範囲とする紫外線を発生する発光ダイオードから照射される光」と定義する。
本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物(以下、本発明のインク組成物ともいう)は、少なくとも光重合性成分及び光重合開始剤を含有する。
<光重合性成分>
本発明のインク組成物は、光重合性成分として、ビニルアミド化合物、エーテル基含有モノマー、環状構造を有する単官能モノマー、及び2官能性以上の光重合性化合物の4成分を含有する。
ここで、ある1種の化合物が、これらの4成分の内の複数に包含されても良く、いずれか1成分のみに包含されても良い。
上記光重合性成分中にビニルアミド化合物と、エーテル基含有モノマーと、環状構造を有する単官能モノマー、2官能性以上の光重合性化合物とを特定量含有させることにより、25℃における粘度が100mPa・s以下であり、光硬化性特に発光ダイオード(LED)を光源とした紫外線による硬化性(薄膜での硬化性)に優れ、ポリ塩化ビニル系シート等に対する密着性、耐溶剤性、耐擦性、吐出安定性が良好となる。
上記ビニルアミド化合物としては、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム等を挙げることができる。そのなかでも、薄膜の硬化性の点からビニルホルムアミドを含有するビニルアミド化合物が好ましい。ビニルアミド化合物の含有量は、光重合性成分の総質量に対して5〜20質量%、好ましくは、5〜15質量%である。上記ビニルアミド化合物の含有量が5質量%未満であると、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を用いて形成した印刷物の薄膜での硬化性が低下する。一方、上記ビニルアミド化合物の含有量が20質量%より多くなると印刷物の耐水性が低下する傾向となる。
上記エーテル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノールアクリレート、ビニロキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート及びこれらがエチレンオキサイド(EO)又はプロピレンオキサイド(PO)で変性されたもの等が挙げられる。これらのエーテル基含有モノマーは、一種又は必要に応じて二種以上用いてもよい。
エーテル基含有モノマーの含有量は、光重合性成分の総質量に対して1〜89質量%、好ましくは、10〜60質量%である。上記エーテル基含有モノマーの含有量が1質量%未満であると、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を用いて形成した印刷物の薄膜での硬化性が低下し、一方、89質量%を超えると、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を用いて形成した印刷物の耐水性が低下する。
上記環状構造を有する単官能モノマーとしては、ビニルアミド化合物の具体例として記載した、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、エーテル基含有モノマーの具体例として記載した、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノールアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、ビニルアミド化合物及びエーテル基含有モノマー以外の具体例としてベンジル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が例示できる。これら環状構造を有する単官能モノマーは、一種又は必要に応じて二種以上用いてもよい。
本発明において、環状構造を有する単官能モノマーの含有量は、光重合性成分の総質量に対して10〜99.9質量%、好ましくは20〜80.0質量%である。光重合性成分の総質量に対して10質量%未満であると、密着性が低下する傾向となり、一方、99.9質量%を超えると本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を用いて形成した印刷物のイソプロピルアルコール等の溶剤に対する耐溶剤性が低下する傾向となる。
上記2官能性以上の光重合性化合物としては、上記エーテル基含有モノマーの具体例で記載したビニロキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エーテル基含有モノマー以外の具体例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、分子内に2個の光重合性官能基及び2個のアミノ基を有するアクリル化アミン化合物等が例示できる。これら2官能性以上の光重合性化合物は、一種又は必要に応じて二種以上用いてもよい。
本発明における、上記2官能性以上の光重合性化合物の含有量は、光重合性成分の総質量に対して0.1〜40質量%、好ましくは、0.1〜30質量%である。上記2官能性以上の光重合性化合物の含有量が0.1質量%未満であると、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を用いて形成した印刷物のイソプロピルアルコール等の溶剤に対する耐溶剤性が低下する。一方、40質量%を超えると、ポリ塩化ビニルシートに対する密着性が低下する。
さらに、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を構成する光重合性化合物として、本発明の性能を低下させないような含有量で、上述した特定のモノマー、光重合性化合物以外の他の光重合性化合物を併用することも可能である。この様な他の光重合性化合物としては、エチレン性二重結合含有化合物であれば、モノマー、プレポリマー、オリゴマー等、特に制限なく使用できる。
上記他の光重合性化合物としては、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート等の低粘度の光重合性化合物、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、t一ブチル(メタ)アクリレート等が例示できる。これら他の光重合性化合物は、一種又は必要に応じて二種以上用いてもよい。
<光重合開始剤>
本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤としては、450〜300nmの波長の光により開始剤機能が発現する光重合開始剤(化合物)を使用する。なお、上記「450〜300nmの波長の光により開始剤機能が発現する」とは、450〜300nmの波長全域にわたって光吸収特性を有することをいう。このような光重合開始剤を用いることで、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物に、さらにLEDに対する硬化性を付与することができる。
上記光重合開始剤としては、トリアジン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等で、好ましくは、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤である。これらは単独又は2種以上を併用して用いることができる。
そして、具体的には、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4′−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤(例えば、商品名:TAZ−204、みどり化学社製)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(商品名:TPO、Lamberti社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:IRGACURE819、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)等のアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤類が挙げられる。
これら光重合開始剤の含有量は、光重合性成分の総質量に対して3〜25質量部の範囲であり、より好ましくは3〜20質量部の範囲である。光重合開始剤の含有量が3質量部未満では、硬化性が十分でないことがある。一方、25質量部を超えても、効果の向上が見られず、過剰添加となり好ましくない。
<増感剤>
本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物には、さらに、発光ダイオード(LED)を光源とした紫外線に対する硬化性を促進するために、400nm以上の主に紫外線の波長域で光吸収特性を有し、その範囲の波長の光により硬化反応の増感機能が発現する光増感剤(化合物)を併用使用することができる。
なお、上記「400nm以上の波長の光により増感機能が発現する」とは、400nm以上の波長域で光吸収特性を有することをいう。このような増感剤を用いることで、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物のLED硬化性を促進させることができる。
上記光増感剤としては、アントラセン系増感剤、チオキサントン系増感剤等で、好ましくは、チオキサントン系増感剤である。これらは単独又は2種以上を併用して用いることができる。
具体的には、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラセン等のアントラセン系増感剤、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系増感剤を挙げることができる。市販品の代表例としては、アントラセン系増感剤としては、DBA、DEA(川崎化成工業社製)、チオキサントン系増感剤としては、DETX、ITX(LAMBSON社製)等が例示できる。
増感剤の含有量は、光重合性成分の総質量に対して0〜3質量%の範囲である。3質量%を超えると、効果の向上が見られず、過剰添加となり好ましくない
尚、増感剤として、チオキサントン系増感剤を使用した場合は、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を黄色に変色させる傾向があるため、顔料に基づく色(本来の色相)より黄味がかった色相になるので、色毎に、チオキサントン系増感剤の含有量を適宜決めることが好ましい。
具体的には、色味の変化の影響を受けやすいホワイトインク組成物及びクリアーインク組成物では、増感剤とてして、チオキサントン系増感剤は含まないようにすることが好ましい。また、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物では、光重合性化合物としてビニルアミド化合物を併用使用しているので、黄色に変色した硬化塗膜が退色し、色相の変化が問題となるので、色相に問題が生じない範囲で使用することが好ましい。また、ブラックインク組成物、及びイエローインク組成物は、変色があっても色相に影響しないのと、光重合性が他の色相より乏しいことから、増感剤として、チオキサントン系増感剤を併用使用することが好ましい。
<着色剤>
本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物には、各色相の着色剤を含有させて、各色の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を得ることもできる。
このような着色剤としては、通常の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物で従来から使用されている顔料、染料を特に制限なく使用できるが、耐光性の点より、有機顔料又は無機顔料等の顔料が好ましい。
そして有機顔料としては、例えば、染料レーキ顔料、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジコ系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、ニトロ系、ニトロソ系、アンスラキノン系、フラバンスロン系、キノフタロン系、ピランスロン系、インダンスロン系の顔料等が挙げられる。無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、ベンガラ、黒鉛、鉄黒、酸化クロムグリーン、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
また、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の代表的な色相ごとの顔料の具体例としては以下のものが挙げられる。
まず、光硬化型インクジェット印刷用イエローインク組成物として使用するためのイエロー顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、42、73、74、75、81、83、87、93、95、97、98、108、109、114、120、128、129、138、139、150、151、155、166、180、184、185、213等が挙げられ、好ましくは、C.I.Pigment Yellow150、155、180、213等が挙げられる。
光硬化型インクジェット印刷用マゼンタインク組成物として使用するためのマゼンタ顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、7、12、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57、57:1、63:1、101、102、112、122、123、144、146、149、168、177、178、179、180、184、185、190、202、209、224、242、254、255、270、C.I.Pigment Violet 19等が挙げられ、好ましくは、C.I.Pigment Red 122、202、Pigment Violet 19等が挙げられる。
光硬化型インクジェット印刷用シアンインク組成物として使用するためのシアン顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15;1、15;2、15:3、15:4、15:6、16、18、22、27、29、60等で、好ましくは、C.I.Pigment Blue15:4等が挙げられる。
光硬化型インクジェット印刷用ブラックインク組成物として使用するためのブラック顔料としては、例えば、カーボンブラック(C.I.Pigment Black 7)等が挙げられる。
光硬化型インクジェット印刷用ホワイトインク組成物として使用するためのホワイト顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられ、好ましくは、アルミナ、シリカ等の種々の材料で表面処理された酸化チタンが挙げられる。
本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物における顔料の含有量は、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の全量に対して1〜20質量%であることが好ましい。顔料の含有量が1質量%未満では、得られる印刷物の画像品質が低下する傾向がある。一方、20質量%を超えると、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の粘度特性に悪影響を与える傾向がある。
<分散剤>
また、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、必要に応じて顔料分散剤を含有していてもよい。
顔料分散剤は、顔料の分散性、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の保存安定性を向上させるために使用するもので、従来から使用されているものを特に制限なく使用できるが、その中でも高分子分散剤を使用することが好ましい。このような顔料分散剤としては、カルボジイミド系分散剤、ポリエステルアミン系分散剤、脂肪酸アミン系分散剤、変性ポリアクリレート系分散剤、変性ポリウレタン系分散剤、多鎖型高分子非イオン系分散剤、高分子イオン活性剤等が挙げられる。これら顔料分散剤は単独で又は2種以上を混合して使用できる。
上記顔料分散剤は、使用する全顔料の量を100質量部としたときに、1〜200質量部含有することが好ましい。顔料分散剤の含有量が1質量部未満では、顔料分散性、本発明のインク組成物の保存安定性が低下する場合がある。一方、200質量部を超えて含有させることもできるが効果に差がでない場合もある。顔料分散剤の含有量のより好ましい下限は5質量部、より好ましい上限は60質量部である。
<界面活性剤>
本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、使用するインクジェットヘッドに応じ、界面活性剤として、好ましくは従来から光硬化型インクジェット印刷用インク組成物に使用されているシリコン系界面活性剤等の界面活性剤を、吐出安定性を改良するために含有することが好ましい。
シリコン系界面活性剤の具体例としては、ポリエーテル変性シリコーンオイル、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性メチルアルキルポリシロキサン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物における、界面活性剤の含有量は0.005〜1.0質量%である。0.005質量%未満であると、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の表面張力が高くなり、インクジェットヘッドからの吐出安定性が低下する。一方、1.0質量%を超えると、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物中に泡が増加し吐出安定性が低下する。
<添加剤>
本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物には、必要に応じて種々の機能性を発現させるため、各種の添加剤を添加することができる。具体的には、光安定化剤、表面処理剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、重合禁止剤、可塑剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、保湿剤等が挙げられる。
以上の材料から得られる本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、JIS K2265に準拠した方法でセタ密閉式引火点測定装置を使用して測定した引火点が、70℃以上であることが好ましい。このような引火点を有することで、本発明のインク組成物は、GHSにいう引火性液体区分4に相当するレベルとすることができ、低引火性といった安全性に優れたものとなる。
また、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、25℃における粘度が、100Pa・s以下である。さらに光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の具体的な粘度を、各インクジェット装置に適応できるように設計することもできる。
なお、本明細書において粘度とは、E型粘度計(商品名:RE100L型粘度計、東機産業社製)を用いて、25℃、50rpmの条件で測定した粘度である。
本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、上記した特定の光重合性化合物と光重合開始剤を特定量含有させることで、紫外線、特に発光ダイオード(LED)を光源とした紫外線に対する硬化性に優れ、床材、塩化ビニル、ポリカーボネート等の基材に対する密着性及び対擦性が良好で、高い引火点、低皮膚刺激性及び低臭気といった安全性の全てにおいて優れたものとすることができる。
本発明のインク組成物を調製する方法としては特に限定されず、上記した材料を全て添加してビーズミルや3本ロールミル等で混合して調製することができる。
なお、顔料、顔料分散剤及び光重合性化合物を混合することにより、予めコンクベースインクを得ておき、そのコンクベースインクに所望の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の組成となるように、光重合性成分、光重合開始剤、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を添加して調製することもできる。
本発明のインク組成物を印字する基材としては、床材、塩化ビニル、ポリカーボネート等が好ましいが、従来から光硬化型インクジェット印刷用インク組成物が印字される基材(紙、プラスチックフィルム、カプセル、ジェル、金属箔、ガラス、布等)であれば問題なく印字できる。
本発明のインク組成物を印字、硬化する方法としては、具体的には、本発明のインク組成物をインクジェットヘッドにより基材に吐出した後、基材に着弾した本発明のインク組成物の塗膜を光で露光し硬化させる方法が挙げられる。
例えば、基材への吐出(画像の印字)は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用プリンターの低粘度対応のプリンターヘッドに供給し、プリンターヘッドから基材に塗膜の膜厚が、例えば、1〜60μmとなるように該インク組成物を基材に吐出することにより行うことができる。また、光での露光、硬化(画像の硬化)は、画像として基材に塗布された本発明のインク組成物の塗膜に光を照射することにより行うことができる。
本発明のインク組成物を印字するインクジェット記録方式用プリンター装置としては、従来から使用されているインクジェット記録方式用プリンター装置が利用できる。なお、コンティニュアスタイプのインクジェット記録方式用プリンター装置を用いる場合は、本発明のインク組成物に更に導電性付与剤を加え電導度の調節をする。
上記塗膜の硬化における光源としては、紫外線(UV)、紫外線(発光ダイオード(LED))、電子線、可視光線等を挙げることができ、好ましくは、環境面から発光ピーク波長が350〜420nmの範囲にある紫外線を発生する発光ダイオード(LED)である。
(実施例)
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
以下の実施例、比較例で使用した材料は次の通りである。
<顔料分散剤>
アジスパー(登録商標)PB821(味の素株式会社製)
ソルスパース56000(日本ルーブリゾール社製)
<光重合性成分>
IBXA:イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業社製)
V#160:ベンジルアクリレート(大阪有機化学工業社製)
BS770:ビニルホルムアミド(荒川化学工業社製)
VEEA:ビニロキシエトキシエチルアクリレート(日本触媒社製)
3EGA:トリエチレングリコールジアクリレート(共栄社化学社製)
SR454:エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(サートマー社製)
SR285:テトラヒドロフルフリルアクリレート(サートマー社製)
HDDA:ヘキサンジオールジアクリレート
CN371:分子内に2個の光重合性官能基及び2個のアミノ基を有するアクリル化アミン化合物
<光重合開始剤>
TPO:2,4,6−trimethylbenzoyl diphenyl phosphine oxide(LAMBERTI社製)
DETX:2,4−ジエチルチオキサントン(Lambson社製)
<添加剤>
BYK−315(シリコーン添加剤、BYK Chemie社製)
[実施例1〜15及び比較例1〜4]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の調製
(ブラックインク組成物)
顔料(ピグメントブラック7)と顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素株式会社製)と光重合性化合物(IBXA)とを、配合比率(質量比率)が20/8/72となるように配合した混合物を、アイガーミル(メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用)を用いて分散させてコンクベースを得た。
得られたコンクベースに、表1の配合組成(質量%)となるように各成分を配合し、撹拌混合して、実施例1〜10、比較例1〜4の光硬化型インクジェット印刷用ブラックインク組成物を得た。
(イエローインク組成物)
顔料(ピグメントイエロー150)と顔料分散剤(ソルスパース56000、日本ルーブリゾール社製)と光重合性化合物(IBXA)とを、配合比率(質量比率)が16/6.4/77.6となるように配合した混合物を、アイガーミル(メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用)を用いて分散させてコンクベースを得た。
得られたコンクベースに、表1の配合組成(質量%)となるように各成分を配合し、撹拌混合して、実施例11の光硬化型インクジェット印刷用イエローインク組成物を得た。
(シアンインク組成物)
顔料(ピグメントブルー15:4)と顔料分散剤(ソルスパース56000、日本ルーブリゾール社製)と光重合性化合物(IBXA)とを、配合比率(質量比率)が20/8/72となるように配合した混合物を、アイガーミル(メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用)を用いて分散させてコンクベースを得た。
得られたコンクベースに、表1の配合組成(質量%)となるように各成分を配合し、撹拌混合して、実施例12の光硬化型インクジェット印刷用シアンクインク組成物を得た。
(マゼンタインク組成物)
顔料(ピグメントレッド122)と顔料分散剤(ソルスパース56000、日本ルーブリゾール社製)と光重合性化合物(IBXA)とを、配合比率(質量比率)が16/9.4/74.4となるように配合した混合物を、アイガーミル(メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用)を用いて分散させてコンクベースを得た。
得られたコンクベースに、表1の配合組成(質量%)となるように各成分を配合し、撹拌混合して、実施例13の光硬化型インクジェット印刷用マゼンタインク組成物を得た。
(ホワイトインク組成物)
酸化チタンと顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素株式会社製)と光重合性化合物(IBXA)とを配合比率(質量比率)が40/4/56となるように配合した混合物を、アイガーミル(メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用)を用いて分散させてコンクベースを得た。得られたコンクベースに、表1の配合組成(質量%)となるように各成分を配合し、撹拌混合して、実施例14の光硬化型インクジェット印刷用ホワイトインク組成物を得た。
(クリアーインク組成物)
表1の配合組成(質量%)となるように各成分を配合し、実施例15のクリアーインク組成物を得た。
〔インク組成物の粘度の測定〕
実施例1〜15及び比較例1〜4で得られた各光硬化型インクジェット印刷用インク組成物について、E型粘度計(商品名:RE100L型粘度計、東機産業社製)を使用して、温度25℃、ローター回転速度50rpmの条件で、粘度を測定した。結果を表1に示す。
〔インク組成物の性能評価〕
<通常膜厚>
実施例1〜15及び比較例1〜4で得られた光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を、PVC80(リンテック社製)に#4のバーコーターで塗布した。次いで、フォセオン・テクノロジー社製UV−LED光ランプを用いて硬化させた。
下記の方法で、UV−LED光ランプを利用した時の硬化性、密着性、耐溶剤性、耐擦性、吐出安定性を評価した。結果を表1に示す。
<LED硬化性>
フォセオン・テクノロジー社製UV−LED光ランプにて、ランプとインクの塗布面との距離2cm、1回当たりの照射時間1秒の照射条件(1秒間当たりのUV積算光量60mJ/cm)下で、表面のタックがなくなるまでの照射エネルギーの積算量にて評価した。
<密着性>
表面のタックがなくなるまで硬化させた各インク組成物の硬化塗膜をカッターナイフでクロスカットし、カットした部分にセロハンテープを貼り、これを引き剥がすことにより硬化塗膜の剥離具合を以下の基準で評価した。
○:硬化塗膜の剥離なし
△:硬化塗膜の剥離があったが剥離面積が20%未満
×:硬化塗膜の剥離面積が20%以上
<耐溶剤性>
学振型堅牢度試験機(大栄科学精器製作所製)を用いて、イソプロピルアルコールをしみ込ませた晒し布で500gの荷重をかけて、10回インク組成物の硬化塗膜を擦ったときの、硬化塗膜の溶解の具合を判断するために、晒し布の汚染と擦られた硬化塗膜面の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:晒し布の汚染、硬化塗膜の損耗が共に認められない
△:晒し布が汚染されるが、硬化塗膜の損耗が観察されない
×:晒し布が汚染され、硬化塗膜の損耗もある
<耐擦性>
学振型堅牢度試験機(大栄科学精器製作所製)を用いて、晒し布で500g×100回塗膜を擦ったときの、塗膜の取られ具合を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:塗膜の取られなし
△:塗膜の表面に傷がある
×:塗膜が取られ基材がみえる
<吐出安定性>
25℃の雰囲気温度下に、低粘度インク用のインクジェットノズルを備えたインクジェット記録装置と、実施例1〜15及び比較例1〜4で得られた各インク組成物とを24時間置き、インクジェット記録装置及び各インク組成物の温度を25℃とした。その後25℃の雰囲気温度下で、各インク組成物を用いてPVC80(リンテック社製)上に、連続的に印字して、吐出安定性の評価を行い、以下の基準で評価した。
○:印刷の乱れがなく、安定して吐出できる
×:印刷の乱れがある、又は安定して吐出できない
<薄膜でのLED硬化性>
実施例1〜15及び比較例1〜4で得られた光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を、PVC80(リンテック社製)に#3のバーコーターで塗布した。次いで、フォセオン・テクノロジー社製UV−LED光ランプを用いて硬化させた。
下記の方法で、UV−LED光ランプを利用した時の硬化性を評価した。結果を表1に示す。
(UV−LED光ランプを利用した時の硬化性)
フォセオン・テクノロジー社製UV−LED光ランプにて、ランプとインクの塗布面との距離2cm、1回当たりの照射時間1秒の照射条件(1秒間当たりのUV積算光量60mJ/cm)下で、表面のタックがなくなるまでの照射エネルギーの積算量にて評価した。
上記表1に示す結果によれば、本発明の通りの光硬化型インクジェット印刷用インク組成物である実施例1〜15によれば、色に関係なく、LED硬化性、密着性、耐溶剤性、耐擦性、吐出安定性及び薄膜でのLED硬化性に優れる。
しかしながら、ビニルアミド化合物の含有量が少ない比較例1によれば、LED硬化性と薄膜でのLED硬化性に劣る結果になった。またエーテル基含有モノマーと2官能性以上のモノマーを含有しない比較例2によると、密着性と吐出安定性は良好であったが、その他の性質は何れも劣っていた。この比較例2に対して2官能性以上のモノマーを含有させた比較例3によれば、耐溶剤性と耐擦性は改善したものの、依然として、LED硬化性と薄膜でのLED硬化性に劣る結果になった。また2官能性以上のモノマーを過剰に含有させた比較例4によると、密着性に劣る結果となった。
このような結果によれば、本発明は特定の組成の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物とすることにより、LED硬化性、密着性、耐溶剤性、耐擦性、吐出安定性及び薄膜でのLED硬化性に優れるという効果を奏することがわかる。

Claims (6)

  1. (1)ビニルアミド化合物を光重合性成分の総質量に対して5〜20質量%含有し、
    (2)エーテル基含有モノマーを光重合性成分の総質量に対して1〜89質量%含有し、
    (3)環状構造を有する単官能モノマーを光重合性成分の総質量に対して10〜99.9質量%含有し、
    かつ(4)2官能性以上の光重合性化合物を光重合性成分の総質量に対して0.1〜40質量%含有する
    光重合性成分と、
    光重合開始剤を含有し、
    25℃における粘度が100mPa・s以下である光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
  2. 前記(2)エーテル基含有モノマーが、ビニロキシエトキシエチルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種であり、
    前記(3)環状構造を有する単官能モノマーが、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレートから選ばれる少なくとも1種である、
    請求項1に記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
  3. 前記光重合開始剤が、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤であり、光重合性成分の100質量部に対して3〜25質量部含有する請求項1又は2に記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
  4. 前記(1)ビニルアミド化合物が、ビニルホルムアミドを含有するビニルアミド化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
  5. 更に、着色剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を用いたインクジェット記録方法であって、前記光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を被記録媒体に付着させ、付着させた光硬化型インクジェット印刷用インク組成物に、発光ダイオードを光源とし、発光ピーク波長が350〜420nmの範囲にある紫外線を照射する、インクジェット印刷方法。
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