JP2015168064A - 流路部材、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents

流路部材、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】蛇路を封止するシール部材の潰し量のバラツキを抑制し、潰し過ぎを防止した流路部材、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。【解決手段】ベース部とカバー部とで分割可能なカバーと、前記カバー部及び前記ベース部の相対向する対向面の一方に設けられ、前記対向面内の第1方向に延設され、且つ、前記第1方向と交差する第2方向に並設される流路溝と、前記対向面の間に配置されて前記流路溝を覆って流路壁面の一部を構成する弾性を有するシール部材と、前記ベース部と前記カバー部の対向面の一方に設けられ、他方に向けて突出するとともに、前記他方と面で当接する当接部と、を備え、前記当接部は、前記流路溝の前記第1方向及び前記第2方向の何れか一方の方向の両側に設けられ、他方の方向に沿って延設されており、前記ベース部と前記カバー部は締結部材によって固定されている。【選択図】 図3

Description

本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッドのヘッド本体に液体を供給するための流路部材、この流路部材を有する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関する。
液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドは、ノズル開口と連通する圧力発生室に圧力変化を生じさせてノズル開口からインク滴を吐出することで、紙等の媒体上にインク滴による印字等を行なうものである。この種のインクジェット式記録ヘッドには、ノズル開口を有するヘッド本体にインクを供給するための流路部材を、バルブユニット(背圧制御ユニット)に設けたものが提案されている(例えば、特許文献1)。
このようなバルブユニットは、カバーの内部に流路部材本体が保持されて構成されている。そして、流路部材本体には、流路が設けられており、流路の途中には、圧力調整室と、圧力調整室の圧力変化によって開閉する弁体とが設けられている。また、圧力調整室を画成するフィルム部材を保持するフィルム保持部は、大気開放路を介して大気開放されている。そして、大気開放路は、蛇路をシール部材で覆い、このシール部材を二つのカバー部材を締結する際に挟持することで、蛇路をシール部材で封止するようになっている(特許文献1参照)。また、特許文献1では、二つのカバー部材を締結して、内部の流路部材本体を適正に押圧する構造のため、第1当接部を設け、第2当接部同士が当接するまで締結できるようにしている。
特開2012−206424号公報
しかしながら、特許文献1の構造では、蛇路をシールするシール部材の潰し量にバラツキが生じ、潰し過ぎにより、ゴム製のシール部材からの油分の滲み(ブリード)が発生し、また、その油分によって蛇路が塞がれてしまうなどの問題がある。
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
本発明は、上記従来技術に鑑み、蛇路を封止するシール部材の潰し量のバラツキを抑制し、潰し過ぎを防止した流路部材、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、ベース部とカバー部とで分割可能なカバーと、前記カバー部及び前記ベース部の相対向する対向面の一方に設けられ、前記対向面内の第1方向に延設され、且つ、前記第1方向と交差する第2方向に並設される流路溝と、前記対向面の間に配置されて前記流路溝を覆って流路壁面の一部を構成する弾性を有するシール部材と、前記ベース部と前記カバー部の対向面の一方に設けられ、他方に向けて突出するとともに、前記他方と面で当接する当接部と、を備え、前記当接部は、前記流路溝の前記第1方向及び前記第2方向の何れか一方の方向の両側に設けられ、他方の方向に沿って延設されており、前記ベース部と前記カバー部は締結部材によって固定されていることを特徴とする流路部材にある。
かかる態様では、流路溝の両側の対向面に当接部が設けられているので、締結部材による締結の度合いが均一化され、シール部材の潰し量のバラツキを低減できる。
ここで、前記流路溝は、前記第1の方向の第1の辺と、前記第2の方向の前記第1の辺の長さよりも長い第2の辺と、で囲まれた領域に設けられ、前記当接部は、前記第2の辺が延びる方向の両側に設けられていることが好ましい。これによれば、流路溝全体に対するシール部材の潰し量がより均一化される。
また、前記当接部は、少なくとも前記流路溝の延設又は並設する寸法と同等の寸法を有して延設されていることが好ましい。これによれば、流路溝全体に対するシール部材の潰し量がより均一化される。
また、前記カバーの内方に、液体の流路が形成された積層構造を有する流路部材本体を具備し、該流路部材本体が、少なくとも1つ背圧制御部を備えることが好ましい。これによれば、これによれば、背圧制御部の大気圧側の大気開放が前記流路溝を介して行うことができる。
また、前記締結部材が設けられた部位に対応した前記カバー部及び前記ベース部の相対向する対向面の一方に、他方に向けて突出して前記他方と面で当接する第2当接部が設けられていることが好ましい。これによれば、締結部材の締結量を第2当接部で制御でき、流路溝全体に対するシール部材の潰し量がより均一化される。
本発明の他の態様は、前記流路部材を備えることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。かかる態様では、流路溝の両側の対向面に当接部が設けられ、締結部材による締結の度合いが均一化され、シール部材の潰し量のバラツキが低減した流路部材を備えた液体噴射ヘッドが実現できる。
また、本発明の他の態様は、前記液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置にある。かかる態様では、流路溝の両側の対向面に当接部が設けられ、締結部材による締結の度合いが均一化され、シール部材の潰し量のバラツキが低減した流路部材を備えた液体噴射装置が実現できる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 実施形態1に係る流路部材の第1本体の分解斜視図である。 実施形態1に係る流路部材の第2本体の分解斜視図である。 実施形態1に係る流路部材の模式的断面図である。 実施形態1に係る流路部材のベース部の平面図及び背面図である。 実施形態1に係る流路部材のカバー部の平面図及び背面図である。 実施形態1に係る流路部材の分解斜視図である。 実施形態1の下流フィルター室の平面図及び断面図である。 本発明の効果を説明する図である。 本発明の変形例を説明する図である。 実施形態1及び変形例の当接部の位置関係を模式的に示す図である。 図6(b)の拡大図である。 シール部の潰し量を説明する図である。 第2当接部近傍の断面図である。 実施形態1に係るヘッド本体の一例を示す分解斜視図である。 実施形態1に係るヘッド本体の液体噴射面側からの平面図である。 図16のA−A’線断面図である。 本発明の一実施形態に係る液体噴射装置を示す概略図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、流路部材本体の第1本体の分解斜視図であり、図3は、流路部材本体の第2本体の分解斜視図及び要部斜視図であり、図4は、流路部材の断面を模式的に示した断面図であり、図5は、ベース部の平面図及び背面図であり、図6は、カバー部の平面図及び背面図であり、図7は、流路部材の分解斜視図である。
図1に示すように、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド1000は、流路部材である背圧制御ユニット1020と、背圧制御ユニット1020の底面に設けられた回路基板1070と、回路基板1070の背圧制御ユニット1020とは反対側に設けられたヘッドケース1080と、ヘッドケース1080に固定されたヘッド本体210と、を具備する。
背圧制御ユニット1020は、外部のインクが貯留されたインクタンクなどの液体貯留手段からのインクをヘッド本体210に供給する流路部材である。
ここで、背圧制御ユニット1020について詳細に説明する。背圧制御ユニット1020は、中空状の箱状部材からなるカバー1030と、カバー1030の内部に設けられた流路部材本体1040と、を具備する。
カバー1030は、上下に分割されたベース部1031とカバー部1032とを具備する。ベース部1031は、カバー部1032側に開口する凹形状を有する第1保持部1311を具備する。
また、ベース部1031の第1保持部1311の底面には、厚さ方向に貫通してヘッド本体210にインクを供給する複数の供給口1312が設けられている。本実施形態では、ベース部1031の底面に8個の供給口1312を設けた(図5参照)。
カバー部1032は、図1、図2及び図4に示すように、ベース部1031の第1保持部1311を覆う大きさを有し、ベース部1031の第1保持部1311に相対向してベース部1031側に開口する凹形状を有する第2保持部1321を有する。
そして、ベース部1031とカバー部1032とが、第1保持部1311と第2保持部1321とを相対向させて固定されることで、カバー部1032の内部には第1保持部1311と第2保持部1321とによって画成された空間である保持部1033が形成される。
ここで、ベース部1031には、図4〜図6に示すように、第1保持部1311の側面を画成する第1壁部1315が設けられている。また、カバー部1032には、第2保持部1321の側面を画成する第2壁部1322が設けられている。そして、これらベース部1031とカバー部1032とは、第1壁部1315の先端面と第2壁部1322の先端面とを互いに第1シール部1034を介して当接させて固定されている。すなわち、第1壁部1315と第2壁部1322との間には、ゴムやエラストマー等からなる第1シール部1034が挟持される。もちろん、この第1シール部1034は熱溶着や接着剤を用いた接着であってもよい。なお、ベース部1031とカバー部1032とは、図1に示す、ねじ等の締結部材1037をカバー部1032側から挿入し、締結部材1037をベース部1031に螺合させることで固定される。
このようなカバー1030の保持部1033に保持される流路部材本体1040は、図1〜図7に示すように、本実施形態では、カバー1030側に設けられた第1流路部材1041と、第1流路部材1041のベース部1031側に設けられた第2流路部材1042と、第2流路部材1042のベース部1031側に設けられた第3流路部材1043と、第2流路部材1042のベース部1031側に設けられた第3流路部材1043と、が積層されて構成されている第1本体1040Aを具備する。さらに、ベース部1031に取り付けられた第5流路部材1045と、第5流路部材1045とベース部1031との間に設けられた第6流路部材1046とから構成される第2本体1040Bを具備する(図3参照)。
これら第1流路部材1041、第2流路部材1042、第3流路部材1043、第4流路部材1044、第5流路部材1045及び第6流路部材1046のそれぞれは、樹脂材料や金属材料等からなる板状部材で形成されている。そして、これらの第5流路部材1045及び第6流路部材1046は、ベース部1031に取り付けられ、また、第1流路部材1041、第2流路部材1042、第3流路部材1043及び第4流路部材1044から構成される第1本体1040Aは、積層された状態で、カバー1030の保持部1033内に保持される。なお、本実施形態では、第1流路部材1041、第2流路部材1042、第3流路部材1043及び第4流路部材1044は、互いに接着剤によって接着されている。
このような第1流路部材1041、第2流路部材1042、第3流路部材1043及び第4流路部材1044で構成される第1本体1040Aと、第5流路部材1045及び第6流路部材1046で構成される第2本体1040Bとからなる流路部材本体1040には、外部のインクが貯留された液体貯留手段からのインクをヘッド本体210に供給する液体流路が設けられている。
具体的には、第1本体1040Aは、図2に示すように、液体貯留手段に一端側が接続されたチューブ等の管状部材である供給管(図示なし)の他端部が接続される接続口1051を有する導入路1052と、導入路1052からの液体に含まれるゴミや気泡等の異物を除去する導入用フィルター室1053と、導入用フィルター室1053と通過した液体が供給される液体室である圧力調整室1054と、圧力調整室1054内の液体をヘッド側に流出する流出路1055と、流出路1055の液体を流出する流出口1056とを具備する。
一方、第2本体1040Bは、流出路1055に連通する第2導入路1057と、第2導入路1057から導入される液体をフィルタリングするフィルター室1058と、フィルター室1058からの液体をヘッド本体210に供給する供給路1059と、を具備する。
ここで、接続口1051は、第3流路部材1043の上面にカバー部1032の開口部1323内に開口して設けられたものである。このような接続口1051は、複数のインクに対応して複数個設けられている。本実施形態では、接続口1051を4個設けるようにした(図1及び図2参照)。
このような接続口1051を有する導入路1052は、第3流路部材1043や第4流路部材1044を貫通する流路や、第2流路部材1042と第1流路部材41との間の流路や、第3流路部材1043と第4流路部材1044との間の流路などで構成されている。
ここで、接続口1051を有する導入路1052に設けられた導入用フィルター室1053は、第3流路部材1043と第4流路部材1044とで挟持されたフィルター部材1531と、上流側フィルター室1532と、下流側フィルター室1533とを備え、下流側フィルター室1533は、圧力調整室1054に連通している。
ちなみに、本実施形態では、図2及び図3に示すように、接続口1051を4個設け、この4個の接続口1051に対応して4個の導入路1052を設け、導入用フィルター室1053及び圧力調整室1054もそれぞれ4個ずつ設けるようにした。
圧力調整室1054は、板状部材である第2流路部材1042の第1流路部材1041側に開口する凹形状を有する。また、圧力調整室1054は、並設方向と直交する方向の一端部側の底面で導入路1052に連通し、他端部側の底面に設けられた流出口1056を介してフィルター室1058と連通している。
ここで、流出路1055は、第3流路部材1043の底面の凹部内に突設された接続部1431内に形成され、接続部1561はゴムなどの弾性部材からなるブッシュ1562に嵌合している。ブッシュ1562は、第4流路部材1044の開口部1563に保持されており、開口部1563の底面部には第3流路部材1043を貫通する貫通孔1564が連通している。貫通孔1564には、第2導入路1057が形成された接続部1565が挿通されており、接続部1565の先端部はブッシュ1562に嵌合し、ブッシュ1562を介して接続部1561と接続されている。
このような圧力調整室1054は、第2流路部材1042の開口面に設けられたフィルム部材1047によって封止されている。ここで、フィルム部材1047は、可撓性を有する薄膜状のフィルムであり、第2流路部材1042の表面に熱溶着等によって固定されている。また、フィルム部材47は、圧力調整室1054内にドーム状に撓んだ状態となるように加圧成形されている。
さらに、第2流路部材1042の圧力調整室1054内には、フィルム部材1047側に配置された弾性板1048が設けられている。弾性板1048は、一端部側が第2流路部材1042の表面側に固定された状態で圧力調整室1054内に突出して設けられており、その先端は圧力調整室1054内で自由端となっている。本実施形態では、図2に示すように、弾性板1048を固定端側で複数の弾性板1048が共通する共通部1048aと、圧力調整室1054内に突出するスリット1048bによって分割された弾性部1048cと、で構成された、いわゆる櫛歯形状を有するものとした。
このような弾性板1048は、共通部1048aが圧力調整室1054の開口面側に保持されることで固定されている。なお、弾性板1048としては、弾性を有し、且つ耐インク性を有する板状部材であればよく、本実施形態では、ステンレス板を用いた。
また、図2及び図4に示すように、導入路1052と圧力調整室1054との間には、両者の連通状態を開閉する弁体1100が設けられている。かかる弁体1100は圧力調整室1054と共に背圧制御部を構成する。
具体的には、弁体1100は、第3流路部材1043の表面に突設された筒状のケース部1101内に設けられ、ケース部1101の上面は、第2流路部材1042の底面に当接している。また、ケース部1101の内部は、下流側フィルター室1533と、圧力調整室1054とに連通している。
また、ケース部1101内に設けられた弁体1100は、ケース部1101の内部と圧力調整室1054とを連通する挿通孔1103に挿通された円柱状の軸部1104と、ケース部1101内において軸部1104の下端部に設けられた軸部1104の外径よりも大きい外径を有する円盤状の鍔部1105と、を有する。軸部1104の下端は鍔部1105の上面における中心に連結されていると共に、軸部1104の上端は弾性板1048の下面(圧力調整室1054側の面)に当接している。
鍔部1105の外径は、挿通孔1103の内径よりも大きく、且つケース部1101の内径よりも僅かに小さくなっている。また、鍔部1105の下面(第3流路部材1043側の面)と第3流路部材1043の上面との間には付勢部材の一例であるコイルばね1106が介装されている。
このコイルばね1106は、弁体1100を常に閉弁状態となる方向である上方(フィルム部材1047側)に向かって付勢するようになっている。そして、この弁体1100の閉弁状態では、鍔部1105が第2流路部材1042の底面に密着して挿通孔1103が閉鎖された状態、すなわち非連通状態になっている。
そして、圧力調整室1054内がヘッド本体210へのインクの供給によって負圧になると、フィルム保持部1060内部の大気圧との差圧によってフィルム部材1047が圧力調整室1054側(第3流路部材1043側)に撓むように変位する。このフィルム部材1047の変位に伴って、弾性板1048の弾性部1048c(図2参照)が第3流路部材1043側に向かって屈曲するように弾性変形する。
この弾性板1048の弾性変形により、軸部1104がコイルばね1106の付勢力に抗して弁体1100を第3流路部材1043側に押し下げることで、鍔部1105が挿通孔1103の開口する壁面から離反し、圧力調整室1054と導入路1052とが連通する。
このように、圧力調整室1054と導入路1052とが連通すると、導入路52のインクが圧力調整室1054内に流れ込む。そして、圧力調整室1054及び供給路1059内に液体が十分に充填されると、圧力調整室1054の負圧が解消されて、弾性板1048が元の状態に戻ると共に、各コイルばね1106の付勢力によって各弁体1100がそれぞれ閉弁されることにより各圧力調整室1054内は常に一定の圧力に保たれる。
なお、第2流路部材1042に設けられた圧力調整室1054を封止する第1流路部材1041は、第2流路部材1042側の面に各圧力調整室1054に相対向してフィルム部材1047の変形を許容する空間である凹形状を有するフィルム保持部1060を具備する。また、第1流路部材1041は、フィルム保持部1060内に開口する厚さ方向に貫通した貫通孔1611を有し、フィルム保持部1060内をカバー1030内の雰囲気に開放している。
一方、第5流路部材1045及び第6流路部材1046で構成される第2本体1040Bに設けられるフィルター室1058は、図3に示すように、4個設けられており、それぞれ第5流路部材1045と第6流路部材1046とで挟持されたフィルター部材1581と、第5流路部材1045に設けられた上流フィルター室1582と、第6流路部材1046に設けられた下流フィルター室1583とを備えている。ここで、上流フィルター室1582を画成する第5流路部材1045及び下流フィルター室1583を画成する第6流路部材1046がフィルター支持部材となっている。
ここで、図8(a)、(b)には下流フィルター室1583の平面及び断面形状を示す。図示のように、下流フィルター室1583の下流側は、少なくとも2つに分岐されるようになっている。本実施形態では、1つの下流フィルター室1583は、フィルター部材1581の下方に位置して互いに連通する2つの液溜まり部1583a、1583bが設けられており、各液溜まり部1583a、1583bの傾斜する底面の最も低い底には、それぞれ連通孔1601が設けられている。よって、各下流フィルター室1583には2つずつの連通孔1601が設けられ、4つの下流フィルター室1583で合計8個の連通孔1601が設けられている。そして、8個の連通孔1601は、それぞれ8個の供給路1059に連通しており、供給路1059を介して、ベース部1031の底面に設けられた8個の供給口1312のそれぞれに連通する8個の平面流路1313にそれぞれ連通するようになっている(図3〜図5参照)。もちろん、8個の供給口1312のそれぞれに対応して複数の連通孔1601及び供給路1059を設けてもよい。
さらに詳言すると、下流フィルター室1583の液溜まり部1583a、1583bは、上流フィルター室1582に向かって開口し、液溜まり部1583a、1583bの周囲の第6流路部材1046に設けられた段差部にフィルター部材1581の周縁部が固定されている。このフィルター部材1581の段差部への固定方法は特に限定されず、例えば、熱溶着、超音波溶着などの溶着や、接着剤を用いた接着などが挙げられる。本実施形態では、フィルター取付面に突出したダイレクター1583eを設け、ダイレクター1583eにフィルター部材1581を押しつけた状態でダイレクター1583eを熱又は超音波等で溶融させた後、ダイレクター1583eを固化させることでフィルター部材1581をフィルター取付面に固定するようにした。なお、ダイレクター1583eは、溶融後にはフィルター部材1581の微細孔内及び第6流路部材1046側の面に広がるため、図8では、溶融前のダイレクター1583eを点線で示している。
フィルター部材1581は、液体であるインク中に含まれるゴミや気泡などの異物を除去するためのものであり、例えば、金属や樹脂等の繊維を細かく編むことで複数の微細孔が形成されたシート状のものや、金属や樹脂等の板状部材に複数の微細孔を貫通させたものなどを用いることができる。さらに、フィルター部材1581は、不織布等を用いてもよく、その材料は特に限定されるものではない。
ここで、フィルター部材1581は、図8(a)、(b)に示すように、長手方向L及び短手方向Sを有し、液溜まり部1583a、1583bに対向する領域の形状を有する。一方、液溜まり部1583a、1583bの両者の開口部はフィルター部材1581の長手方向L及び短手方向Sより若干小さい寸法を有し、それぞれの底面は周縁部が高く、連通孔1601に向かって低くなるように傾斜する傾斜面で形成されている。そして、液溜まり部1583aと液溜まり部1583bとの間には、尾根1583cが形成されている。尾根1583cは、液溜まり部1583a、1583bの周縁部より低く、フィルター部材1581には接触しないが、2つの連通孔1601の間でフィルター部材1581に向かって隆起したものである。
液溜まり部1583a、1583bの底面には、基端部が底面に固定されて、先端がフィルター216側に向かって、すなわち、第3の方向Zに直線状に突出して設けられた円柱形状を有するリブ1583dが設けられている。本実施形態では、左側の連通孔1601の左側の傾斜面に2つ、尾根1583c上に2つ、尾根1583cと右側の連通孔1601との間に2つ、それぞれリブ1583dが設けられており、フィルター部材1581を支持している。
以上説明したように、1つの圧力調整室1054から導入される液体は、第2導入路1057を介して1つの上流フィルター室1582に入り、1枚のフィルター部材1581でフィルタリングされて1つの下流フィルター室1583に入り、底面に設けられた2つの連通孔1601を介して2つの供給路1059に分岐される。
また、4つの圧力調整室1054からの液体は、本実施形態では、ブラックBk、マゼンタM、シアンC及びイエローYの何れかに対応し、4つの連通孔1601は下流フィルター室1058を介して各色それそれ2つの供給路1059に分岐されることになる。
一方、図5に示すように、ベース部1031には、8個の平面流路1313が配置され、各平面流路1313は、裏面まで貫通する供給口1312に連通する。ここで、8個の平面流路1313は、ブラックBkに対応する2つの平面流路1313Bkと、マゼンタMに対応する2つの平面流路1313Mと、シアンCに対応する2つの平面流路1313Cと、イエローYに対応する2つの平面流路1313Yとからなり、2つの平面流路1313Bkはそれぞれ供給路1312Bkに連通し、2つの平面流路1313Mはぞれぞれ供給路1312Mに連通し、2つの平面流路1313Cはそれぞれ供給路1312Cに連通し、2つの平面流路1313Yはそれぞれ供給路1312Yに連通している。
このように、本実施形態では、4つの接続口1051から導入された4種の液体、すなわち、ブラックBk、マゼンタM、シアンC及びイエローYは、それぞれ4個の圧力調整室1054を経て4個のフィルター室1058に導入され、それぞれの下流フィルター室1583で2つに分岐され、8つの供給口1312からヘッド本体210に供給される。なお、本実施形態では、4個のヘッド本体210を備え、各ヘッド本体210は、それぞれ2列のノズル列を有しており、8つの供給口1312から1つのノズル列に液体が供給されるようになっている。
このように、本実施形態では、下流フィルター室1583に2つの分岐流路1593、1596を連通して2つに分岐している。これにより、1種類の液体を供給する1個の圧力調整室1054を2つのノズル列で共有することができ、ユニットの小型化、低コスト化を図ることができる。
また、1つのフィルター部材1581を2つのノズル列で共用することになり、これによってもユニットの小型化、低コスト化を図ることができる。
図8に示すように、2つの流路に対して1つのフィルター部材1581を設けた場合を、図9に示すように、流路毎にフィルター部材1581a、1581bを設けた場合と比較すると、フィルター部材1581a、1581bを設けた場合には、両者の間に隔壁1581cが存在し、隔壁1581cの両側には、溶着部1581d、1581eが存在することになる。よって、1つのフィルター部材1581を用いた場合には、隔壁1581cの寸法L1と、溶着部1581d、1581eの寸法L2及びL3との合計の寸法だけ、省スペース化を図ることができる。
本実施形態では、図10(a)に示すように、1つのフィルター室1001の下流に2つの分岐流路1002を連通するようにし、上流側の流路1003を1つとし、これに背圧制御部1004を介装するようにしたが、フィルター室1001の下流側に2つ以上の分岐流路1002を設けたものであれば、これに限定されない。たとえば、図10(b)に示すように、上流側の流路1003を2つとし、それぞれに背圧制御部1004を介装するようにしてもよいし、図10(c)に示すように、フィルター室1001の下流側に3つの分岐流路1002を連通するようにしてもよい。
また、背圧制御ユニット1020には、カバー1030内の雰囲気を大気開放する、大気開放路1062が設けられている。
ここで、大気開放路1062について図3、図6及び図7、さらに図11〜図14を参照して詳細に説明する。なお、図11は、実施形態1及び変形例の当接部の位置関係を模式的に示す図であり、図12は、図6(b)の拡大図であり、図13は、シール部の潰し量を説明する図であり、図14は、第2当接部近傍の断面図である。
大気開放路1062は、ベース部1031のカバー部1032との対向面に設けられた蛇行した溝からなる蛇路1621から構成される。
蛇路1621は、一端部1621aがカバー1030内の雰囲気に連通し、他端部1621bが外部に連通しており、第1方向Xを往復しながら第2方向Yに向かって蛇行した凹形状を有する溝からなる。この蛇路1621をシール部材により封止することにより、外部への狭わいな連通路が形成される。
このように、フィルム部材1047の圧力調整室1054とは反対側のフィルム保持部1060を大気開放路1062によって大気開放することで、圧力調整室1054内部の圧力と大気圧との差圧でフィルム部材1047を変形させることができる。
また、大気開放路1062を、蛇路1621で構成することで、大気開放路1062を狭い断面積で経路を長く形成することができる。これにより、大気開放路1062に拡散抵抗を付与して、フィルム部材47からの水分蒸発を抑制することができる。ちなみに、圧力調整室1054内に充填されたインクの水分はフィルム部材1047を透過するため、拡散抵抗を付与していない大気開放路を設けると、フィルム部材1047を透過したインクの水分は蒸発し易くなり、インクの粘度が高くなるなどの不具合が生じてしまう。本実施形態では、フィルム部材1047を透過するインクの水分の蒸発を抑制することができるため、インクの粘度が高くなるなどの不具合が発生するのを抑制することができる。
ここで、このようなカバー部1032には、図12に示すように、ゴム、エラストマー等からなる第1シール部1034、第2シール部1035、第3シール部1036が互いに分離した状態で設けられている。
第1シール部1034は、上述したように、カバー部1032の第2壁部1322の先端面に亘って設けられて、ベース部1031とカバー部1032との外周の継ぎ目を第1シール部1034によって封止して、カバー1030の保持部1033内のインクが外部に流出するのを抑制するためのものである。
第2シール部1035は、カバー部1032の蛇路1621(図3参照)に相対向する位置に設けられたものであり、蛇路1621のカバー部1032側の開口を封止する。
第3シール部1036は、上述した開口部1323が設けられた突起部1324の第1流路部材1041側の面に、開口部1323の周囲に亘って設けられたものである。この第3シール部1036は、流路部材本体1040の接続口1051の周囲でカバー部1032との隙間を封止するためのものである。この第3シール部1036が開口部1323に固定されることで、接続口1051に接続された供給管の着脱時などに漏れたインクが保持部1033内に流入するのを抑制することができると共に、保持部1033内のインクが接続口1051の周囲のカバー部1032との隙間から漏れ出るのを抑制することができる。
このような第1シール部1034、第2シール部1035、第3シール部1036は、カバー部1032にそれぞれ高さの異なる位置に設けられている。詳しくは、第1シール部1034は、上述のようにカバー部1032の第2壁部1322の先端面に設けられている。また、第2シール部1035は、カバー部1032のベース部1031と対向する面に設けられている。さらに、第3シール部1036は、カバー部1032の第2壁部1322よりも低く突出した突起部1324の先端面に設けられている。
また、第1シール部1034、第2シール部1035及び第3シール部1036は、カバー部1032と共に2色成形によって一体的に形成されている。本実施形態では、カバー部1032を樹脂材料を成形することで形成した後、カバー部1032の所定の位置にゴム材料を成形することで、両者を一体的に形成した。
このように、カバー部1032と、第1シール部1034、第2シール部1035及び第3シール部1036とを2色成形によって一体的に形成することで、第1シール部1034、第2シール部1035及び第3シール部1036の位置決めが不要となり、背圧制御ユニット1020の組み立て作業を簡略化して、コストを低減することができる。特に本実施形態のように、第1シール部1034、第2シール部1035及び第3シール部1036をカバー部1032の高さが異なる位置に設けた際に、位置決め作業が不要となって、組み立て作業を簡略化することができると共に、第1シール部1034、第2シール部1035及び第3シール部1036の位置ずれによるインクの漏れの発生を抑制することができる。
また、カバー部1032と第1シール部1034、第2シール部1035及び第3シール部1036とを2色成形によって一体的に形成することで、別体となる板状のシール部材を用いた場合に比べて、部品点数を低減することができ、製造コスト及び組み立てコストを低減することができる。
そして、図1及び図7に示すように、ベース部1031とカバー部1032とは、カバー部1032の締結用貫通孔1325に挿通したネジ等の締結部材1037(図1参照)の先端を固定孔1316に螺合させることで一体化した状態で固定される。
ここで、本発明では、締結部材1037の締結量をコントロールして、第1シール部1034、第2シール部1035及び第3シール部1036の潰し量にバラツキが出ないように制御するため、ベース部1031及びカバー部1032の相対向する対向面の何れか一方側に当接部を設け、当接部の高さを精密に制御することにより、第1シール部1034、第2シール部1035及び第3シール部1036の潰し量の均一化を図っている。
まず、大気開放路1062を構成する蛇路1621を覆う第2シール部1035の潰し量のバラツキを低減するため、図11(a)に模式的に示すように、第1方向Xを往復しながら第2方向Yに向かって蛇行した凹形状を有する溝(本発明の流路溝に対応する)からなる蛇路1621の第2方向Yの両側に、第1当接部1326を設けてある。第1当接部1326は、実際には、図12に示すように、カバー部1032の第2シール部1035の第2方向Yの両側に、第1方向Xに沿って延設されている。第1当接部1326の延設方向の長さは、蛇路1621の第1方向Xの寸法L1と同等にしてある。但し、図11において左側の第1当接部1326の長さは、第2シール部1035の耳部1035aが邪魔になって蛇路1621の第1方向Xの延設された寸法L1より小さくなっているが、これも蛇路1621の第1方向Xの寸法L1と同等に含まれるものとする。なお、この場合、図11(b)に示すように、第2シール部1035の耳部1035aの外側に第1当接部1326aを設けてもよい。また、耳部1035aの外側の第1当接部1326aの位置に第1方向X方向に寸法L1だけ延設してもよいが、蛇路1621にできるだけ近い位置に設けた方がより効果的である。
このように第1当接部1326は、蛇路1621が設けられる領域の四方に設けてもよいが、延設方向又は並設方向の何れか一方の両側に設ければよい。当接部は、長尺に設けた方が効果的ということではなく、逆に、高さを精密に管理することが困難となり、逆にバラツキが大きくなる可能性もある。また、同じ理由で、延設方向又は並設方向の何れか一方の両側に設ける場合には、寸法が小さい方に設けるのが好ましい。高さを管理する上で好ましく、且つ効果の面では違いはないからである。なお、本実施形態では延設方向である第1方向Xの寸法L1が、並設方向である第2方向Yの寸法L2より小さいので、第2方向Yの両側に第1当接部1326を設けている。
一方、第1当接部1326は、円筒形の当接部と比較して、所定の長さだけ延設されているので、第2シール部1035の潰し量を精密に管理する上で効果的であり、且つ蛇路1621が設けられる領域に近接して設けられているので、効果はさらに向上することがわかっている。
なお、本実施形態では、延設方向である第1方向Xの寸法L1が、並設方向である第2方向Yの寸法L2より小さいので、第2方向Yの両側に第1当接部1326を設けているが、図11(c)のように、並設方向である第1方向Xの寸法L1が、並設方向である第2方向Yの寸法L2より小さい場合には、延設方向の両側、すなわち、第2方向Yの両側に第1当接部1326を設けることになる。
このような第1当接部1326を設けると、図13に示すように、第2シール部1035の潰し量を精密に管理することができ、全体に亘って均一な潰しを行うことができる。すなわち、図13(a)に示すように、第2シール部1035の表面が蛇路1621の溝の両側の壁面に当接した状態から、第1当接部1326の端面と対向面とはD1だけ離れているが、図13(b)に示すように、第1当接部1326の端面が対向面に当接するまで、第2シール部1035の潰し量となるので、この場合の潰し量はD1となる。よって、第1当接部1326の高さを制御することにより、潰し量D1を精密に制御することができる。これにより、潰しすぎによる第2シール部1035からの油分の浸出やこれによる蛇路1621のチョークなどを防止することができる。
また、本実施形態では、第2シール部1035の潰し量をより精密に制御してバラツキを低減するために、締結部材の近傍に第2当接部1327を設けるようにした。すなわち、図12に示すように、カバー部1032の締結部材が貫通する締結用貫通孔1325の近傍に、円筒状の突設部である第2当接部1327を設けた。また、第1方向Xの中央部両側の締結用貫通孔1325の近傍には2つの第2当接部1327を設けた。
かかる第2当接部1327は、第1当接部1326を補助するものであるので、円柱状突起部であっても効果的である。また、締結部の近傍に近接して設けることにより、締結量をより精密に管理することができる。
締結状態の締結部材近傍の断面を図14に示す。図示のように、第2当接部1327の端面が対向面に当接することにより、締結部材1037の締結量が規制され、第2シール部1035の潰し量がより精密に管理される。これにより、潰しすぎによる第2シール部1035からの油分の浸出やこれによる蛇路1621のチョークなどを防止することができる。
ここで、第2当接部1327は、円筒状の突設部としたが、締結部材1037に近接して設けることにより、効果を発揮する。また、第2当接部1327は、締結部材1037を囲むようなリング状の当接部としてもよいが、高さを精密に管理する上で、円筒状の突起部とするのがより好ましい。
また、以上の説明では、第2シール部1035の潰し量を制御する点について説明したが、同様に、第1シール部1034及び第3シール部1036の潰し量も精密に管理されることは言うまでもない。また、本実施形態では、第1当接部1326及び第2当接部1327をカバー部1032に設けたが、ベース部1031に設けてもよく、同様な効果を奏することは言うまでもない。
このような背圧制御ユニット1020のベース部1031の底面には、図1に示すように、ベース部1031との間で回路基板を保持するヘッドケース1080と、ヘッドケース1080の底面に設けられたヘッド本体210と、を具備する。
ヘッドケース1080は、ベース部1031の底面に固定されて、ベース部1031との間で図示は省略する回路基板を保持する。
ヘッド本体210は、一例を後述するが、ノズル開口が並設された列が2列以上設けられており、各背圧制御ユニット1020から供給された各種インクを各ノズル列から吐出可能に設けられている。本実施形態では、特に図示していないが、4つのヘッド本体210を設け、3つのヘッド本体210からは2色のインクが吐出されるようにすると共に1つのヘッド本体210からは1色のインクが2列のノズル列から吐出されるようにした。これにより、4色のインクを吐出可能とした。なお、ヘッド本体210の数や配置は特にこれに限定されず、例えば、供給路1059と同等の数のヘッド本体210を設けるようにしてもよい。
また、ヘッド本体210内には、ノズル開口に連通する圧力発生室と圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧力発生手段とが設けられている。かかる圧力発生手段としては、例えば、電気機械変換機能を呈する圧電材料を有する圧電アクチュエーターの変形によって圧力発生室の容積を変化させて圧力変化を生じさせて、ノズル開口からインク滴を吐出させるものや、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口からインク滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口からインク滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
ここで、ヘッド本体210の一例を、図15〜図17を参照して説明する。なお、図15は、ヘッド本体の分解斜視図であり、図16は、ヘッド本体の液体噴射面側からの平面図であり、図17は図16のA−A′線断面図である。
図示するように、ヘッド本体210は、流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、保護基板30、保持部材であるケース部材40、コンプライアンス基板91等の複数の部材を備え、これら複数の部材が接着剤等によって接合されて構成されている。
ヘッド本体210を構成する流路形成基板10には、複数の圧力発生室12が複数のノズル開口21が並設される方向に沿って並設されている。この方向を圧力発生室12の並設方向とも称し、第1の方向Xと一致する。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。この圧力発生室12が第1の方向Xに沿って形成された圧力発生室12の列が複数列設された列設方向は、第2の方向Yと一致する。なお、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された2列は、一方の圧力発生室12の列に対して、他方の圧力発生室12の列が第1の方向Xで隣り合う圧力発生室12の間隔の半分だけ第1の方向Xにずれた位置に配置されている。これにより、詳しくは後述するノズル開口21も同様に、ノズル開口21の2列が半分の間隔だけ第1の方向Xにずれて配置されて、第1の方向Xの解像度を2倍にしている。もちろん、2列の圧力発生室12の第1の方向Xの位置を同じ位置として、圧力発生室12の列毎に異なるインクが供給されるようにしてもよい。また、本実施形態では、上述のように、第1の方向X及び第2の方向Yに直交する方向を第3の方向Zと称し、第3の方向Zを含む面内において液体噴射方向(後述する被噴射媒体である記録シートS側)はZ1側、反対側はZ2側となる。
流路形成基板10の第3の方向Zの一方面、すなわち、Z1側の面には連通板15が接合されている。また、連通板15のさらに第3の方向ZのZ1側には、ノズル開口21が設けられたノズルプレート20が接合されている。本実施形態では、ノズルプレート20のノズル開口21が開口する第3の方向ZのZ1側が液体噴射面20aとなっている。
連通板15には、圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このようにノズルプレート20の面積を比較的小さくすることでコストの削減を図ることができる。なお、ここで言う面積とは、第1の方向X及び第2の方向Yを有する面内方向における面積のことである。
また、連通板15には、マニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、第2マニホールド部18とが設けられている。
第1マニホールド部17は、連通板15を第3の方向Zに貫通して設けられている。また、第2マニホールド部18は、連通板15を第3の方向Zに貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側、すなわちZ1側に開口して第3の方向Zの途中まで設けられている。
さらに、連通板15には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部に連通する供給連通路19が、各圧力発生室12毎に独立して設けられている。この供給連通路19は、連通板15を第3の方向Zに貫通して第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側、すなわち、Z2側には、振動板が形成されている。また、振動板上には、第1電極と圧電体層と第2電極とが順次積層されることで、本実施形態の圧力発生手段である圧電アクチュエーター300が構成されている。一般的には圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。
また、流路形成基板10の圧電アクチュエーター300側、すなわちZ2側の面には、流路形成基板10と略同じ大きさを有する保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター300を保護するための空間である保持部31を有する。保持部31は、第1の方向Xに並設された圧電アクチュエーター300の列毎に第2の方向Yに2つ並んで形成されている。また、保護基板30には、第2の方向Yで並設された2つの保持部31の間に第3の方向Zに貫通する第1接続孔32が設けられている。圧電アクチュエーター300の電極から引き出されたリード電極90の端部は、この第1接続孔32内に露出するように延設され、リード電極90と駆動IC等の駆動回路120を実装した配線基板121とが、第1接続孔32内で電気的に接続されている。本実施形態では、流路形成基板10、連通板15及び保護基板30が流路部材に相当する。もちろん、流路部材は特にこれに限定されず、流路部材として連通板15を設けずに流路形成基板10を連通板15に相当する大きさで形成してもよく、流路部材としてさらに他の部材を設けるようにしてもよい。
また、図15に示すように、保護基板30及び連通板15には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド100を流路形成基板10及び保護基板30と共に画成するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、保護基板30に接合されると共に連通板15に接合されている。
また、ケース部材40のZ1側の面には、Z1側の面に開口する凹形状を有する第3マニホールド部42が形成されている。そして、ケース部材40に形成された第3マニホールド部42と、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18とによって本実施形態のマニホールド100が構成されている。なお、本実施形態では、流路形成基板10の第2の方向Yを挟んだ両側にマニホールド100を形成するようにした。もちろん、マニホールド100は、特にこれに限定されず、例えば、第3マニホールド部42のみで構成されていてもよく、第2マニホールド部18及び第3マニホールド部42で構成されていてもよい。ただし、本実施形態のようにマニホールド100を第1マニホールド部17、第2マニホールド部18及び第3マニホールド部42で構成することで、インクジェット式記録ヘッドを大型化することなく、マニホールド100をできるだけ大きな容積で形成することができる。
また、ケース部材40には、保護基板30の第1接続孔32に連通してケース部材40を第3の方向Zに貫通する第2接続孔43が設けられている。この第2接続孔43を挿通した配線基板121が第1接続孔32に挿通されて、圧電アクチュエーター300から引き出された引き出し配線であるリード電極90と接続されている。
また、連通板15の第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18が開口する面には、コンプライアンス基板91が設けられている。このコンプライアンス基板91が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18の開口を封止している。すなわち、本実施形態の流路形成基板10、連通板15及び保護基板30で構成された流路部材の流路とは、第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18であり、コンプライアンス基板91は、第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18の液体噴射面20a側であるZ1側を封止する。
このようなコンプライアンス基板91は、本実施形態では、封止膜92と、固定基板93と、を具備する。封止膜92は、可撓性を有する薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やステンレス鋼(SUS)等により形成されている。また、固定基板93は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板93のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部94となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜92のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部95となっている。
なお、コンプライアンス基板91は、ノズルプレート20の周囲に亘って連続して設けられている。すなわち、コンプライアンス基板91には、ノズルプレート20が配置される領域に当該ノズルプレート20よりも若干大きな内径を有する第1露出開口部96が設けられている。
このようなヘッド本体210のノズル開口21が開口する液体噴射面20a側には、ノズル開口21を露出した状態で保護するカバーヘッド270が固定されている。また、カバーヘッド270は、コンプライアンス基板91の固定基板93と、ケース部材40とに接合される。
このようなカバーヘッド270の第2露出開口部271は、コンプライアンス基板91の第1露出開口部96と略同じ大きさの開口面積で形成されて、ノズルプレート20の液体噴射面20aを露出する。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
流路部材本体が、第1本体と第2本体とからなり、第1本体を予め積層してカバー1030内に収納するものとしたが、流路部材本体全体を予め積層するものとし、これをカバー内に収納して、ベース部とカバー部とで挟持する構造としてもよい。
また、上述したインクジェット式記録ヘッド1000は、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備するインクジェット式記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図18は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図18に示すインクジェット式記録装置Iにおいて、複数のインクジェット式記録ヘッド1000を有するインクジェット式記録ヘッドユニットII(以下、ヘッドユニットIIとも言う)は、液体貯留手段であるインクカートリッジ1Aが着脱可能に設けられ、このヘッドユニットIIを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニットIIは、例えば、ブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、ヘッドユニットIIを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
また、上述したインクジェット式記録装置Iでは、インクジェット式記録ヘッド1(ヘッドユニットII)がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッド1が固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
また、上述の実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて本発明を説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものである。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッドの他、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
また、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載される圧電素子に限られず、超音波発信機等の超音波デバイス、超音波モーター、圧力センサー、焦電センサー等他の装置に搭載される圧電素子にも適用することができる。また、本発明は強誘電体メモリー等の強誘電体素子にも同様に適用することができる。
I インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 210 ヘッド本体、 1000 インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 1020 背圧制御ユニット(流路部材)、 1030 カバー、 1031 ベース部、 1032 カバー部、 1035 第2シール部(シール部材)、 1037 締結部材、 1040 流路部材本体、 1041 第1流路部材、 1042 第2流路部材、 1043 第3流路部材、 1043 第4流路部材、 1045 第5流路部材、 1046 第6流路部材、 1047 フィルム部材、 1048 弾性板、 1051 接続口、 1052 導入路、 1053 導入用フィルター室、 1054 圧力調整室、 1058 フィルター室、 1059 供給路、 1581 フィルター部材、 1062 大気開放路、 1080 ヘッドケース、 1100 弁体、1326 第1当接部、 1327 第2当接部、 1621 蛇路(流路溝)

Claims (7)

  1. ベース部とカバー部とで分割可能なカバーと、
    前記カバー部及び前記ベース部の相対向する対向面の一方に設けられ、前記対向面内の第1方向に延設され、且つ、前記第1方向と交差する第2方向に並設される流路溝と、
    前記対向面の間に配置されて前記流路溝を覆って流路壁面の一部を構成する弾性を有するシール部材と、
    前記ベース部と前記カバー部の対向面の一方に設けられ、他方に向けて突出するとともに、前記他方と面で当接する当接部と、
    を備え、
    前記当接部は、前記流路溝の前記第1方向及び前記第2方向の何れか一方の方向の両側に設けられ、他方の方向に沿って延設されており、
    前記ベース部と前記カバー部は締結部材によって固定されていることを特徴とする流路部材。
  2. 前記流路溝は、前記第1の方向の第1の辺と、前記第2の方向の前記第1の辺の長さよりも長い第2の辺と、で囲まれた領域に設けられ、前記当接部は、前記第2の辺が延びる方向の両側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の流路部材。
  3. 前記当接部は、少なくとも前記流路溝の延設又は並設する寸法と同等の寸法を有して延設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の流路部材。
  4. 前記カバーの内方に、液体の流路が形成された積層構造を有する流路部材本体を具備し、該流路部材本体が、少なくとも1つ背圧制御部を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の流路部材。
  5. 前記締結部材が設けられた部位に対応した前記カバー部及び前記ベース部の相対向する対向面の一方に、他方に向けて突出して前記他方と面で当接する第2当接部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の流路部材。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の流路部材を備えることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  7. 請求項7記載の液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置。
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