本発明に係るスロットマシンを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
[スロットマシンの構成]
まず、本実施形態に用いたスロットマシン1について以下に説明すると、本実施形態のスロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bと、から構成されている。
本実施形態のスロットマシン1の筐体1aの内部には、図2に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
リール2L、2C、2Rの外周部には、図3に示すように、それぞれ「ベル」、「リプレイ」、「スイカA」、「白7」、「黒BAR」、「チェリー」、「スイカB」、「ブランク」、「白BAR」、および「黒7」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ20個ずつ描かれている。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、前面扉1bのリールパネルの略中央に設けられた透視窓3において各々上中下三段に表示される。
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられたリールモータ32L、32C、32R(図4参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rと、リール2L、2C、2Rを背面から照射するリールLED55と、が設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する12のLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
前面扉1bにおける各リール2L、2C、2Rに対応する位置には、リール2L、2C、2Rを前面側から透視可能とする横長長方形状の透視窓3が設けられており、該透視窓3を介して遊技者側から各リール2L、2C、2Rが視認できるようになっている。
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(本実施形態ではいずれの遊技状態においても3)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、演出に用いるための演出用スイッチ56が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
本実施形態では、回転を開始した3つのリール2L、2C、2Rのうち、最初に停止するリールを第1停止リールと称し、また、その停止を第1停止と称する。同様に、2番目に停止するリールを第2停止リールと称し、また、その停止を第2停止と称し、3番目に停止するリールを第3停止リールと称し、また、その停止を第3停止あるいは最終停止と称する。また、3つのリール2L、2C、2Rのうち、左リール2Lを第1停止することを左第1停止、中リール2Cを第1停止することを中第1停止、右リール2Rを第1停止することを右第1停止と称する。
また、本実施形態では、遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを操作する手順(押し順ともいう)には、順押し、順挟み押し、中左押し、中右押し、逆挟み押し、および逆押しが含まれる。順押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる押し順をいう。また、順挟み押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる押し順をいう。中左押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる押し順をいう。中右押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる押し順をいう。逆挟み押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる押し順をいう。逆押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる押し順をいう。また、左第1停止以外の押し順(つまり、中左押し、中右押し、右左押し(逆挟み押し)、左右押し(挟み押し))を変則押しという。
前面扉1bには、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、役の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコードなどが表示される遊技補助表示器12、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、リプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられたペイアウト表示器13が設けられている。
MAXBETスイッチ6の内部には、MAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図4参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図4参照)がそれぞれ設けられている。また、前面扉1bにおけるストップスイッチ8L、8C、8Rの下方には、スロットマシン1のタイトルや配当表などが印刷された下部パネルが設けられている。
前面扉1bの内側には、所定のキー操作により後述するエラー状態、後述する打止状態、および遊技状態(たとえば、AT(アシストタイム))などを解除(初期化)するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられた後述のホッパータンク34a(図2参照)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31を有するメダルセレクタ(図示略)、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25(図4参照)が設けられている。
なお、リセットスイッチ23の操作は、店員などが前面扉1bを開放しないとできないようになっている。したがって、前面扉1bを開放できない遊技者などは、リセットスイッチ23を操作できないようになっている。
スロットマシンが設置された遊技場における店員などによりリセットスイッチ23が操作されると、遊技制御基板40のRAM41cに格納されている各種フラグ、および、演出制御基板90のRAM91cに格納されている各種フラグ(たとえば、AT当選フラグ)などが全て消去(RAMクリア)される(初期化ともいう)。また、本実施形態のスロットマシン1において店員がリセットスイッチ23を操作して、スロットマシン1の設定を初期化することにより、スロットマシン1のエラー状態、打止状態、および遊技状態(たとえば、AT状態)などを解除することができる。
筐体1aの内部には、図2に示すように、前述したリール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33R(図4参照)からなるリールユニット2、外部出力信号を出力するための外部出力基板、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cからなるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
電源ボックス100の前面には、設定変更状態または設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をon/offする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
本実施形態のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すればよい。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施形態では、規定数の賭数として3枚が定められており、規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1が有効となる。なお、後述するCBにおいては、規定数の賭数として2枚が定められている。遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが後述する小役や再遊技役などの図柄組合せであるかを判定するために設定されるラインである。なお、本実施形態においては、これらの役を「入賞役」や「入賞」ともいい、いずれかの役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止することを、入賞する、入賞が発生するなどともいう。
本実施形態では、図1に示すように、リール2Lの中段、リール2Cの中段、リール2Rの中段、すなわち中段に水平方向に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL1のみが入賞ラインとして定められている。なお、本実施形態では、1本の入賞ラインのみを適用しているが、複数の入賞ラインを適用してもよい。
たとえば、入賞ラインは、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、右リール2Rの上段、すなわち上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL2と、左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、右リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL3と、左リール2Lの下段、中リール2Cの中段、右リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL4と、左リール2Lの下段、中リール2Cの下段、右リール2Rの下段、すなわち下段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL5とを含んでいてもよい。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、入賞ラインL1上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役ともいう)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施形態では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。
なお、本実施形態では、3つのリールを用いた構成を例示しているが、リールを1つのみ用いた構成、2つのリールを用いた構成、4つ以上のリールを用いた構成としてもよく、2以上のリールを用いた構成においては、2以上の全てのリールに導出された表示結果の組合せに基づいて入賞を判定する構成とすればよい。また、本実施形態では、物理的なリールにて可変表示装置が構成されているが、液晶表示器51などの画像表示装置にて可変表示装置が構成されていてもよい。
また、本実施形態におけるスロットマシン1にあっては、ゲームが開始されて各リール2L、2C、2Rが回転して図柄の変動が開始した後、いずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに、当該ストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリールの回転が停止して図柄が停止表示される。ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ms(ミリ秒)である。
リール2L、2C、2Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190msの間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。このため、たとえば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を基準とした場合、当該図柄から4コマ先までの図柄を下段に表示させることができるため、リール2L、2C、2R各々において、ストップスイッチ8L、8Rのうちいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの中段に表示されている図柄を含めて5コマ以内に配置されている図柄を入賞ライン上に表示させることができる。
図4は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図4に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
また、電源基板101には、ホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
遊技制御基板40には、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L、33C、33Rが接続されているとともに、電源基板101を介して払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
また、遊技制御基板40には、クレジット表示器11、遊技補助表示器12、1〜3BETLED14〜16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板101を介してホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行うメイン制御部41、所定範囲(本実施形態では0〜65535)の乱数を発生させる乱数回路42、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行うモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行うLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、その他各種デバイス、回路が搭載されている。
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うとともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブルなどの固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域などとして使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
また、RAM41cには、CBフラグが格納される。CBフラグとは、CBに当選したことを特定できるフラグである。本実施形態においては、CB当選すると、CBに入賞するまでRAM41cにCBフラグが格納され、CBに入賞したときに、当該CBフラグはクリアされる。これにより、CB当選したが遊技者がCB入賞させることができなかったときには、CB当選を次ゲーム以降に持ち越すことができる。
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
メインCPU41aは、基本処理として遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する処理を実行する。また、メインCPU41aは、前述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっており、電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断処理(メイン)を実行し、一定時間間隔ごとにタイマ割込処理(メイン)を実行する。なお、タイマ割込処理(メイン)の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理(メイン)との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡することとなる。
電断処理においては、当該処理の開始にともなってその他の割込処理の実行を禁止する。そして、使用している可能性がある全てのレジスタをRAM41cに退避させる処理が行われる。これにより、電断復旧時に、元の処理に復帰できるようにする。次に、全出力ポートを初期化した後、RAM41cに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算して所定のパリティ格納領域にセットし、RAMアクセスを禁止する。そして何らの処理も行わないループ処理に入る。すなわち、そのまま電圧が低下すると内部的に動作停止状態になる。よって、電断時に確実にメイン制御部41は動作停止する。このように電断処理においては、その時点のRAMパリティを計算してパリティ格納領域に格納されるようになっており、次回起動時において計算したRAMパリティと比較することで、RAM41cに格納されているデータが正常か否かを確認できるようになっている。
次に、リセット回路49は、電源投入時においてメイン制御部41が起動可能なレベルまで電圧が上昇したときにメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を起動させるとともに、メイン制御部41から定期的に出力される信号に基づいてリセットカウンタの値がクリアされずにカウントアップした場合、すなわちメイン制御部41が一定時間動作を行わなかった場合にメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を再起動させる回路である。
メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、各種のコマンドを送信する。ここで、遊技制御基板40から演出制御基板90へは、たとえば、ダイオードやトランジスタなどの単方向性回路などを用いて、一方向(遊技制御基板40から演出制御基板90への方向)のみにしか信号が通過できないように構成されている。そのため、遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へのコマンド送信は、シリアル通信にて行われる。なお、遊技制御基板40と演出制御基板90とは、直接接続される構成に限らず、たとえば、中継基板を介して接続されるように構成してもよい。
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、およびリールLED55などの電気部品が接続されており、これら電気部品は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。また、演出制御基板90には、演出用スイッチ56が接続されており、この演出用スイッチ56の検出信号が入力されるようになっている。
なお、本実施形態では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、およびリールLED55などの演出装置の出力制御が行われる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行う構成としてもよく、このような構成では、サブ制御部91および出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行われることとなる。
また、本実施形態では、演出装置として液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、およびリールLED55を例示しているが、演出装置は、これらに限られず、たとえば、機械的に駆動する表示装置や機械的に駆動する役モノなどを演出装置として適用してもよい。
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行う表示制御回路92、演出効果LED52、およびリールLED55の駆動制御を行うLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続された演出用スイッチ56から入力された検出信号を検出するスイッチ回路96、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路など、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
サブCPU91aは、メインCPU41aと同様に、割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。サブ制御部91の割込端子の1つは、コマンド伝送ラインのうち、メイン制御部41がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU91aは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させて、メイン制御部41からのコマンドを取得し、バッファに格納する。また、サブCPU91aは、クロック入力数が一定数に到達するごと、すなわち一定間隔ごとに割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、サブ制御部91の割込端子の1つは、電断検出回路98と接続されており、サブCPU91aは、電断検出回路98から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断処理(サブ)を実行する。また、サブCPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させるようになっている。
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
また、RAM91cには、AT当選フラグが格納されることが可能となる。AT当選フラグは、AT当選したこと、および、ATに制御され得ることを特定できるフラグである。サブ制御部91は、AT当選フラグがRAM91cに格納されているときに、ATに制御することができる。
ATとは、ナビストックを獲得することにより、所定ゲーム数の間、遊技者にとって有利となるナビ演出が実行される期間のことである。ナビストックとは、所定ゲーム数(本実施形態では1セット50ゲーム)にわたりATに制御される特典のことである。ナビストックを1消費(減算)することにより、所定ゲーム数の間、ATに制御され、その間ナビ演出が実行される。このため、所有するナビストック数が多い程、遊技者にとって有利度合いが高いといえる。ナビ演出とは、AT中に所定の役に当選したときに、遊技者にとって有利となるストップスイッチの押し順を想起させるメッセージが液晶表示器51に表示されたり、スピーカ53、54によって音声出力されたりする演出のことである。遊技者は、このナビ演出に従ってストップスイッチを操作することにより、純増枚数を増やせるなど有利に遊技を進めることができるようになっている。
[設定値]
本実施形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。払出率は、たとえば、所定ゲームの間において、「メダルが払い出された枚数」/「メダルの消費枚数」で算出される。詳しくは、後述する内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1〜6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
[電断処理]
本実施形態におけるスロットマシン1においては、メインCPU41aが電断検出回路48からの電圧低下信号を検出した際に、電断処理(メイン)を実行する。電断処理(メイン)では、レジスタを後述するRAM41cのスタックに退避し、RAM41cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データ、すなわち0以外の特定のデータを格納するとともに、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM41cに格納する処理を行うようになっている。
そして、メインCPU41aは、その起動時においてRAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM41cに記憶されているデータに基づいてメインCPU41aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。なお、RAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、設定変更状態において新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。
また、サブCPU91aも電断検出回路98からの電圧低下信号を検出した際に、電断処理(サブ)を実行する。電断処理(サブ)では、レジスタを後述するRAM91cのスタックに退避し、RAM91cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データを格納するとともに、RAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM91cに格納する処理を行うようになっている。
そして、サブCPU91aは、その起動時においてRAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算し、RAMパリティが0であることを条件に、RAM91cに記憶されているデータに基づいてサブCPU91aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)には、RAM異常と判定し、RAM91cを初期化するようになっている。この場合、サブCPU91aと異なり、RAM91cが初期化されるのみで演出の実行が不能化されることはない。
[初期化]
次に、店員によりリセットスイッチ23が操作されたときなどにより実行されるメイン制御部41のRAM41cの初期化について説明する。メイン制御部41のRAM41cの格納領域は、重要ワーク、非保存ワーク、一般ワーク、特別ワーク、未使用領域、スタック領域に区分されている。
重要ワークは、各種表示器やLEDの表示用データ、I/Oの入出力データなど、初期化すると不都合があるデータが格納されるワークである。非保存ワークは、各種スイッチ類の状態を保持するワークであり、起動時にRAM41cのデータが破壊されているか否かにかかわらず必ず値が設定されることとなる。一般ワークは、停止制御テーブル、停止図柄、メダルの払出枚数など、初期化可能なデータが格納されるワークである。特別ワークは、各種ソフトウェア乱数など、設定開始前にのみ初期化されるデータが格納されるワークである。未使用領域は、RAM41cの格納領域のうち使用していない領域であり、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなる。スタック領域は、メイン制御部41のレジスタから退避したデータが格納される領域であり、このうちの未使用スタック領域は、未使用領域と同様に、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなるが、使用中スタック領域は、プログラムの続行のため、初期化されることはない。
また、店員によりリセットスイッチ23が操作されることにより、サブ制御部91のRAM91cも初期化される(RAM91cに格納されている全てのフラグがクリアされる)。
本実施形態においてメイン制御部41は、設定キースイッチ37がonの状態での起動時、RAM異常エラー発生時、設定キースイッチ37がoffの状態での起動時でRAM41cのデータが破壊されていないとき、1ゲーム終了時の5つからなる初期化条件が成立した際に、各初期化条件に応じて初期化される領域の異なる4種類の初期化を行う。
[入賞ライン]
本実施形態のスロットマシン1は、遊技状態に応じて設定可能な賭数の規定数が定められており、遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されたことを条件にゲームを開始させることが可能となる。なお、本実施形態では、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定された時点で、入賞ラインL1が有効化される。
本実施形態のスロットマシン1は、全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、有効化された入賞ラインL1上に役と呼ばれる図柄の組合せが揃うと入賞となる。役は、同一図柄の組合せであってもよいし、異なる図柄を含む組合せであってもよい。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、メダルの払い出しを伴う小役と、メダルを用いることなく賭数が自動設定されて次のゲームを行うことが可能な再遊技役とがある。なお、本実施形態では、小役と再遊技役のみを備える構成であるが、遊技者にとって有利な遊技状態への移行を伴う特別役を備えていてもよい。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、後述する内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。なお、小役および再遊技役の当選フラグは、当該フラグが設定されたゲームにおいてのみ有効とされ、次のゲームでは無効となる。
[内部抽選]
以下、本実施形態の内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の検出時)決定するものである。内部抽選では、まず、スタートスイッチ7の検出時に内部抽選用の乱数値(0〜65535の整数)を取得する。詳しくは、RAM41cに割り当てられた乱数値格納ワークの値を同じくRAM41cに割り当てられた抽選用ワークに設定する。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、抽選用ワークに格納された数値データと、遊技状態を特定するための遊技状態フラグの値、賭数および設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。
乱数値格納ワークは、スタートスイッチ7の操作と同時にラッチされた数値データが格納される記憶領域であり、新たな数値データがラッチされるごとに、ラッチされた数値データがその後のタイマ割込処理(メイン)において読み出され、乱数値格納ワークに格納された数値データが新たにラッチされた最新の数値データに更新されるようになっている。
内部抽選では、内部抽選の対象となる役、現在の遊技状態フラグ値および設定値に対応して定められた判定値数を、内部抽選用の乱数値(抽選用ワークに格納された数値データ)に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役に当選したものと判定される。このため、判定値数の大小に応じた確率(判定値数/65536)で役が当選することとなる。そして、いずれかの役の当選が判定された場合には、当選が判定された役に対応する当選フラグをRAM41cに割り当てられた内部当選フラグ格納ワークに設定する。なお、内部当選フラグ格納ワークに設定された当選フラグは、1ゲームごとにクリアされる。
[リールの停止制御]
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。メイン制御部41は、リールの回転が開始したとき、およびリールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、セキュリティチェックプログラムに格納されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの滑りコマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行う。
テーブルインデックスには、内部抽選による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態と呼ぶ)別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されている。これにより内部当選状態に応じた差分を取得し、基準アドレスに対してその差分を加算することで該当するインデックスデータを取得することが可能となる。なお、役の当選状況が異なる場合でも、同一の制御が適用される場合においては、インデックスデータとして同一のアドレスが格納されており、このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた滑りコマ数を示す停止制御テーブルと、リールの停止状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスとからなる。
リールの停止状況に応じて参照される停止制御テーブルは、全てのリールが回転しているか、左リールのみ停止しているか、中リールのみ停止しているか、右リールのみ停止しているか、左、中リールが停止しているか、左、右リールが停止しているか、中、右リールが停止しているか、によって異なる場合があり、さらに、いずれかのリールが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合があるので、それぞれの状況について、参照すべき停止制御テーブルのアドレスが回転中のリール別に登録されており、テーブル作成用データの先頭アドレスに基づいて、それぞれの状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスが特定可能とされ、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定できるようになっている。なお、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の停止制御テーブルが適用される場合においては、停止制御テーブルのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の停止制御テーブルが参照されることとなる。
停止制御テーブルは、停止操作が行われたタイミング別の滑りコマ数を特定可能なデータである。本実施形態では、リールモータ32L、32C、32Rに、336ステップ(0〜335)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ32L、32C、32Rを336ステップ駆動させることでリール2L、2C、2Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して16ステップ(1図柄が移動するステップ数)ごとに分割した20の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から1〜20の領域番号が割り当てられている。一方、1リールに配列された図柄数も20であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から1〜20の図柄番号が割り当てられているので、1番図柄から20番図柄に対して、それぞれ1〜20の領域番号が順に割り当てられていることとなる。そして、停止制御テーブルには、領域番号別の滑りコマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、停止制御テーブルを展開することによって領域番号別の滑りコマ数を取得できるようになっている。
前述のようにテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して作成される停止制御テーブルは、領域番号に対応して、各領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に位置するタイミング(リール基準位置からのステップ数が各領域番号のステップ数の範囲に含まれるタイミング)でストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の滑りコマ数がそれぞれ設定されたテーブルである。
次に、停止制御テーブルの作成手順について説明すると、まず、リール回転開始時においては、そのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスを取得する。具体的には、まずテーブルインデックスを参照し、内部当選状態に対応するインデックスデータを取得し、そして取得したインデックスデータに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから全てのリールが回転中の状態に対応する各リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して全てのリールについて停止制御テーブルを作成する。
また、いずれか1つのリールが停止したとき、またはいずれか2つのリールが停止したときには、リール回転開始時に取得したインデックスデータ、すなわちそのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから停止済みのリールおよび当該リールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して未停止のリールについて停止制御テーブルを作成する。
次に、メイン制御部41がストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明すると、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する滑りコマ数を取得する。そして、取得した滑りコマ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。
具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から、取得した滑りコマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から滑りコマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に停止することとなる。
本実施形態のテーブルインデックスには、一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するインデックスデータとして1つのアドレスのみが格納されており、さらに、一のテーブル作成用データには、一のリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとして1つのアドレスのみが格納されている。
すなわち一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するテーブル作成用データ、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルが一意的に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも、一の遊技状態における一の内部当選状態、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対して一意となる。このため、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行われることとなる。
また、本実施形態では、滑りコマ数として0〜4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
本実施形態では、いずれかの役に当選している場合には、当選役を入賞ライン上に4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役が入賞ライン上に揃わないように引き込む滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う一方、いずれの役にも当選していない場合には、いずれの役も揃わない滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う。これにより、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。
本実施形態においてメイン制御部41は、リール2L、2C、2Rの回転が開始した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。なお、リール回転エラーの発生により、一時的にリールの回転が停止した場合でも、その後リール回転が再開した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。
[送信コマンド]
次に、メイン制御部41がサブ制御部91に対して送信するコマンドについて説明する。本実施形態では、メイン制御部41がサブ制御部91に対して、投入枚数コマンド、クレジットコマンド、内部当選コマンド、フリーズコマンド、フリーズ解除コマンド、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、入賞判定コマンド、払出開始コマンド、払出終了コマンド、復帰コマンド、状態コマンド、待機コマンド、打止コマンド、エラーコマンド、設定コマンド、設定確認コマンド、ドアコマンド、および操作検出コマンドを含む複数種類のコマンドを送信する。これらコマンドは、コマンドの種類を示す1バイトの種類データとコマンドの内容を示す1バイトの拡張データとからなり、サブ制御部91は、種類データからコマンドの種類を特定できるようになっている。
投入枚数コマンドは、メダルの投入枚数、すなわち賭数の設定に使用されたメダル枚数を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、電断復帰時、または規定数の賭数が設定されていない状態においてメダルが投入されるか、MAXBETスイッチ6が操作されて賭数が設定されたときに送信される。また、投入枚数コマンドは、賭数の設定操作がなされたときに送信されるので、投入枚数コマンドを受信することで賭数の設定操作がなされたことを特定可能である。
クレジットコマンドは、クレジットとして記憶されているメダル枚数を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、規定数の賭数が設定されている状態において、メダルが投入されてクレジットが加算されたときに送信される。
内部当選コマンドは、内部抽選結果を特定可能なコマンドであり、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始したときに送信される。また、内部当選コマンドは、スタートスイッチ7が操作されたときに送信されるので、内部当選コマンドを受信することでスタートスイッチ7が操作されたことを特定可能である。
フリーズコマンドは、フリーズ(ゲームの進行を所定時間遅延させる制御状態)の開始を特定可能なコマンドであり、フリーズの開始時に送信される。
フリーズ解除コマンドは、実行中のフリーズを解除したことを特定可能なコマンドであり、フリーズの解除時に送信される。
リール回転開始コマンドは、リールの回転の開始を通知するコマンドであり、リール2L、2C、2Rの回転が開始されたときに送信される。
リール停止コマンドは、停止するリールが左リール、中リール、右リールのいずれかであるか、該当するリールの停止操作位置の領域番号、該当するリールの停止位置の領域番号、を特定可能なコマンドであり、各リールの停止操作に伴う停止制御が行われるごとに送信される。また、リール停止コマンドは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに送信されるので、リール停止コマンドを受信することでストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたことを特定可能である。
入賞判定コマンドは、入賞ラインL1に揃った図柄の組合せ、入賞の有無、ならびに入賞の種類、入賞時のメダルの払出枚数を特定可能なコマンドであり、全リールが停止して入賞判定が行われた後に送信される。
払出開始コマンドは、メダルの払出開始を通知するコマンドであり、入賞やクレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払い出しが開始されたときに送信される。また、払出終了コマンドは、メダルの払出終了を通知するコマンドであり、入賞およびクレジットの精算によるメダルの払い出しが終了したときに送信される。
復帰コマンドは、メイン制御部41が電断前の制御状態に復帰した旨を示すコマンドであり、メイン制御部41の起動時において電断前の制御状態に復帰した際に送信される。
状態コマンドは、次ゲームの状態が後述するRT0であるかまたはRT1であるかを特定可能なコマンドであり、ゲームの終了時に送信される。また、サブ制御部91により、状態コマンドから特定される遊技状態を示す状態フラグがRAM91cに格納される。
待機コマンドは、待機状態へ移行する旨を示すコマンドであり、1ゲーム終了後、賭数が設定されずに一定時間経過して待機状態に移行するとき、クレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払い出しが終了し、払出終了コマンドが送信された後に送信される。
打止コマンドは、打止状態の発生または解除を示すコマンドであり、打止状態が開始した時点で打止状態の発生を示す打止コマンドが送信され、リセット操作がなされて打止状態が解除された時点で、打止状態の解除を示す打止コマンドが送信される。
エラーコマンドは、エラー状態の発生または解除、エラー状態の種類を示すコマンドであり、エラーが判定され、エラー状態に制御された時点でエラー状態の発生およびその種類を示すエラーコマンドが送信され、リセット操作がなされてエラー状態が解除された時点で、エラー状態の解除を示すエラーコマンドが送信される。
設定コマンドは、設定変更状態の開始または終了、設定変更後設定値を示すコマンドであり、設定変更状態に移行する時点で設定変更状態の開始を示す設定コマンドが送信され、設定変更状態の終了時に設定変更状態の終了および設定変更後の設定値を示す設定コマンドが送信される。また、設定変更状態への移行に伴ってメイン制御部41の制御状態が初期化されるため、設定開始を示す設定コマンドによりメイン制御部41の制御状態が初期化されたことを特定可能である。
設定確認コマンドは、設定確認状態の開始または終了を示すコマンドであり、設定確認状態に移行する際に設定確認開始を示す設定確認コマンドが送信され、設定確認状態の終了時に設定確認終了を示す設定確認コマンドが送信される。
ドアコマンドは、ドア開放検出スイッチ25の検出状態、すなわちon(開放状態)/off(閉状態)を示すコマンドであり、電源投入時、1ゲーム終了時(ゲーム終了後、次のゲームの賭数の設定が開始可能となる前までの時点)、ドア開放検出スイッチ25の検出状態が変化(onからoff、offからon)した時に送信される。
操作検出コマンドは、操作スイッチ類(MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、)の検出状態(on/off)を示すコマンドであり、一定時間ごとに送信される。また、操作検出コマンドは、遊技の進行に関連する操作スイッチの検出状態のみならず、リセットスイッチ23の検出状態も示すコマンドである。
これらコマンドのうちドアコマンドおよび操作検出コマンド以外のコマンドは、基本処理において生成され、非初期化領域に割り当てられたコマンドバッファ内のコマンドデータを新たに生成したコマンドデータに更新するとともに、シリアル通信回路の送信データレジスタに転送することで、サブ制御部91に送信される。
一方、ドアコマンドは、タイマ割込処理(メイン)のドア監視処理において生成され、ドアコマンド格納領域に格納される。ドアコマンド格納領域には、電源投入時または1ゲーム終了時にその時点のドア開放検出スイッチ25の検出状態を示すドアコマンドが格納され、ドア開放検出スイッチ25の検出状態が変化した時にその変化後の検出状態を示すドアコマンドが格納される。また、ドアコマンド格納領域に格納されたドアコマンドは、当該ドアコマンドが送信された後もクリアされることがなく、その後、新たに格納されるドアコマンドによって上書きされるようになっている。なお、電源投入時または1ゲーム終了時には、ドアコマンド格納領域に格納されているドアコマンドの送信を要求するドアコマンド送信要求1が設定され、ドアコマンド送信要求1が設定されているか、ドア開放検出スイッチ25の検出状態が変化したときに、ドアコマンド送信要求2が設定されるようになっており、このドアコマンド送信要求2が設定されることによりドアコマンド格納領域に格納されているドアコマンドの送信が命令され、その後実行されるタイマ割込処理(メイン)のコマンド送信処理において、コマンドバッファに格納され、シリアル通信回路に転送することで、サブ制御部91に送信される。
また、操作検出コマンドは、タイマ割込処理(メイン)のコマンド送信処理が10回実行されるごとに、スイッチの検出状態に基づいて生成されるとともに、シリアル通信回路に転送することで、サブ制御部91に送信される。
[コマンド受信時のサブ制御部91による制御]
次に、メイン制御部41が演出制御基板90に対して送信するコマンドに基づいてサブ制御部91が実行する演出の制御について説明する。サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドを受信した際に、コマンド受信割込処理を実行する。コマンド受信割込処理では、RAM91cに設けられた受信用バッファに、コマンド伝送ラインから取得したコマンドを格納する。受信用バッファには、最大で16個のコマンドを格納可能な領域が設けられており、複数のコマンドを蓄積できるようになっている。
サブ制御部91は、タイマ割込処理(サブ)において、受信用バッファに未処理のコマンドが格納されているか否かを判定し、未処理のコマンドが格納されている場合には、そのうち最も早い段階で受信したコマンドに基づいてROM91bに格納された制御パターンテーブルを参照し、制御パターンテーブルに登録された制御内容に基づいて液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55などの各種演出装置の出力制御を行う。
制御パターンテーブルには、複数種類の演出パターンごとに、コマンドの種類に対応する液晶表示器51の表示パターン、演出効果LED52の点灯態様、スピーカ53、54の出力態様、リールLEDの点灯態様など、これら演出装置の制御パターンが登録されており、サブ制御部91は、コマンドを受信した際に、制御パターンテーブルの当該ゲームにおいてRAM91cに設定されている演出パターンに対応して登録された制御パターンのうち、受信したコマンドの種類に対応する制御パターンを参照し、当該制御パターンに基づいて演出装置の出力制御を行う。これにより演出パターンおよび遊技の進行状況に応じた演出が実行されることとなる。
なお、サブ制御部91は、あるコマンドの受信を契機とする演出の実行中に、新たにコマンドを受信した場合には、実行中の制御パターンに基づく演出を中止し、新たに受信したコマンドに対応する制御パターンに基づく演出を実行するようになっている。すなわち演出が最後まで終了していない状態でも、新たにコマンドを受信すると、受信した新たなコマンドが新たな演出の契機となるコマンドではない場合を除いて実行していた演出はキャンセルされて新たなコマンドに基づく演出が実行されることとなる。
演出パターンは、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果に応じた選択率にて選択され、RAM91cに設定される。演出パターンの選択率は、ROM91bに格納された演出テーブルに登録されており、サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果に応じて演出テーブルに登録されている選択率を参照し、その選択率に応じて複数種類の演出パターンからいずれかの演出パターンを選択し、選択した演出パターンを当該ゲームの演出パターンとしてRAM91cに設定するようになっており、同じコマンドを受信しても内部当選コマンドの受信時に選択された演出パターンによって異なる制御パターンが選択されるため、結果として演出パターンによって異なる演出が行われることがある。
また、サブ制御部91は、メイン制御部41から特定のコマンドを受信した場合に、該特定のコマンドに対応する制御パターンによる演出を行う。たとえば、エラーコマンドを受信した場合に、エラー状態に対応する制御パターンにてエラー報知演出を行い、待機コマンドを受信した場合に、待機状態を示すデモ演出を行う。
また、サブ制御部91は、操作検出コマンドから特定されるMAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態(on/off)を時系列にて複数個バッファしておくとともに、これらバッファされているMAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態(on/off)に基づいて、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態が変化したか否かを特定可能とされており、これらの検出状態の変化を特定することで、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作状況を特定できるようになっている。
[入賞役]
本実施形態のスロットマシン1においては、入賞ラインL1上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞となる役の種類は、大きく分けて、遊技者にとって有利な状態に移行させる特別役であるCB(チャンスボーナス)と、メダルの払い出しを伴う小役と、再遊技役とがある。
遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、内部抽選に当選して、当該役の入賞を許容する旨の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。
図5は、CBおよび小役の種類、CBおよび小役の図柄組合せ、払出枚数、およびCBと小役に関連する技術事項について説明するための図である。図6は、再遊技役の種類、再遊技役の図柄組合せ、作動、および再遊技役に関連する技術事項について説明するための図である。
図5を参照して、入賞役のうちCBについて説明する。CBは、「ブランク−ブランク−ブランク」の組合せが揃ったときに入賞となる。なお、ブランクの図柄とは、たとえば、左リール2Lの図柄番号「8」の星柄図柄である。次に、図5を参照して、入賞役のうち小役について説明する。入賞役のうち小役には、通常ベル、左スイカ1枚1〜8、左リプ1枚1〜16、チェリー1〜3、スイカ1〜8、チャンス1、2、1枚1〜3が含まれる。小役は、入賞ラインL1において、図5に示す各々の役に対応する図柄の組合せが揃ったときに入賞となる。
たとえば、通常ベルは、入賞ラインL1上に「ベル−ベル−ベル」の組合せが揃ったときに入賞となり、賭数を設定するためのメダル枚数(3枚)よりも多い8枚のメダルが払い出される。ここで、図3を参照すると、通常ベルの構成図柄のうちベルは、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。そのため、後述する内部抽選において通常ベルに単独当選しているときには、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役に入賞するようになっている。つまり、通常ベルは取りこぼしのない役である。
次に、左スイカ1枚1〜8について説明する。左スイカ1枚1〜8のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。ここで、図3を参照すると、左スイカ1枚1〜8の構成図柄のうちスイカAおよびスイカBは、左リール2Lにおいてそれぞれ5コマ以内に配置されていない。そのため、左スイカ1枚1〜8のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。なお、本実施形態においては、左スイカ1枚1〜8のうち複数の役が同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。なお、スイカAは、たとえば、左リール2Lの図柄番号「6」の星印が付加されていないスイカ図柄であり、スイカBは、たとえば、左リール2Lの図柄番号「1」の星印が付加されたスイカ図柄である。
次に、左リプ1枚1〜16について説明する。左リプ1枚1〜16のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。ここで、図3を参照すると、左リプ1枚1〜16の構成図柄のうち白7、黒7、黒BAR、および白BARは、左リール2Lにおいてそれぞれ5コマ以内に配置されていない。そのため、左リプ1枚1〜16のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。なお、本実施形態においては、左リプ1枚1〜16のうち複数の役と通常ベルとが同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
次に、チェリー1〜3について説明する。チェリー1〜3のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。チェリー1またはチェリー2に入賞したときには、左リール2Lにおいてチェリーの図柄が下段に停止する。そのため、チェリー1およびチェリー2は、下段チェリーまたは弱チェリーともいう。チェリー3に入賞したときには、左リール2Lにおいてチェリーの図柄が上段に停止し、中リール2Cにおいてチェリーの図柄が中段に停止する。そのため、チェリー3に入賞すると、見た目上、チェリー3に入賞したことを遊技者に認識させるようになっている。なお、チェリー3は、上段チェリーまたは中チェリーともいう。ここで、図3を参照すると、チェリー1〜3の構成図柄のうち黒7、黒BAR、およびスイカBは、左リール2Lにおいてそれぞれ5コマ以内に配置されていない。そのため、チェリー1〜3のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
次に、スイカ1〜8について説明する。スイカ1〜8のいずれかに入賞したときには、5枚のメダルが払い出される。また、スイカ1〜8のいずれかに入賞したときには、スイカ図柄が一直線上に揃うように表示結果が導出される。さらに、スイカ7またはスイカ8に入賞したときには、左リール2Lにおいてチェリーの図柄が中段に停止する。そのため、スイカ7およびスイカ8は、中段チェリーまたは強チェリーともいう。ここで、図3を参照すると、スイカ1〜8の構成図柄のうちスイカAは、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていない。そのため、スイカ1〜8のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
次に、チャンス1およびチャンス2について説明する。チャンス1およびチャンス2のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。ここで、図3を参照すると、チャンス1およびチャンス2の構成図柄のうち白BARは、左リール2Lにおいて5コマ以内に配置されていない。そのため、チャンス1またはチャンス2に単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
次に、1枚1〜3について説明する。1枚1〜3のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。ここで、図3を参照すると、1枚1〜3の構成図柄のうち白BAR、黒7、およびチェリーは、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていない。そのため、1枚1〜3のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
次に、図6を参照して、入賞役のうち再遊技役について説明する。入賞役のうち再遊技役には、通常リプ、ベルリプ1〜5、7揃いリプ、および7フェイクリプ1〜5が含まれる。再遊技役は、入賞ラインL1において、図6に示す各々の役に対応する図柄の組合せが揃ったときに入賞となる。
たとえば、通常リプは、入賞ラインL1上に「リプレイ−リプレイ−リプレイ」の組合せが揃ったときに入賞となる。ここで、図3を参照すると、通常リプの構成図柄である再遊技役は、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。そのため、通常リプに単独当選しているときには、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役に入賞するようになっている。つまり、通常リプは取りこぼしのない役である。
次に、ベルリプ1〜4について説明する。ベルリプ1〜4は、入賞ラインL1上にベルリプ1〜4のいずれかに対応する図柄の組合せが揃ったときに入賞となる。図6に示すように、ベルリプ1〜4のそれぞれは、異なる図柄の組合せから構成されている。そのため、入賞ラインL1上にベルリプ1〜4のいずれかに対応する図柄の組合せが揃っても、見た目上、入賞ラインL1上にハズレ表示結果が導出されたと遊技者に認識させるようになっている。
さらに、ベルリプ1〜4に入賞したときには、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、および右リール2Rの上段のそれぞれにベル図柄が停止する。このように、ベルリプ1〜4のいずれかに入賞したときには、入賞ラインL1上にベルリプ1〜4のいずれかに対応する図柄の組合せが表示されるとともに、入賞ラインL1上とは異なるリールの上段に跨った位置にメダルの付与を伴う通常ベルに対応する図柄の組合せが表示される。
なお、図3を参照すると、ベルリプ1〜4の構成図柄のうち白7、黒7、黒BAR、および白BARは、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていない。そのため、ベルリプ1〜4に単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。なお、本実施形態においては、ベルリプ1〜4すべてと通常リプとが同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
次に、ベルリプ5について説明する。ベルリプ5は、入賞ラインL1上にベルリプ5に対応する図柄の組合せが揃ったときに入賞となる。図6に示すように、ベルリプ5は、異なる図柄の組合せから構成されている。そのため、入賞ラインL1上にベルリプ5に対応する図柄の組合せが揃っても、見た目上、入賞ラインL1上にハズレ表示結果が導出されたと遊技者に認識させるようになっている。
さらに、ベルリプ5に入賞したときには、左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、および右リール2Rの下段のそれぞれにベル図柄が停止する。このように、ベルリプ5に入賞したときには、入賞ラインL1上にベルリプ5に対応する図柄の組合せが表示されるとともに、入賞ラインL1上とは異なる左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、および右リール2Rの下段に跨った位置にメダルの付与を伴う通常ベルに対応する図柄の組合せが表示される。
なお、図3を参照すると、ベルリプ5の構成図柄のうちリプレイおよびベルは、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。そのため、ベルリプ5に単独当選しているときには、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役に入賞するようになっている。つまり、ベルリプ5は取りこぼしのない役である。なお、本実施形態においては、ベルリプ5と通常リプとが同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
また、本実施形態においては、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞したときには、メイン制御部41により、ベルリプフリーズ実行処理によって、ゲームの進行を遅延するベルリプフリーズが実行される。フリーズとは、ゲームの進行を遅延させるためにメイン制御部41が実行する制御のことである。特に、ベルリプフリーズとは、ベルリプ1〜5のいずれかが入賞したときのみ行われるフリーズである。ベルリプフリーズが発生すると、これを解除する特定条件が成立するまでの間、次のゲームのスタート操作の有効化が遅延する。特定条件は、ベルリプフリーズの開始から所定時間(本実施形態においては、30秒)経過したこと、MAXBETスイッチ6を用いたMAXBET操作があったこと、および精算スイッチ10を用いたクレジット精算操作があったこと、のいずれかである。ただし、ベルリプフリーズを解除するときのMAXBET操作においては、メダルの消費がされることがない。また、ベルリプフリーズを解除するときのクレジット精算操作においては、クレジットが精算されることがない。
前述したように、ベルリプ1〜5の入賞図柄の組合せは、見た目上、遊技者にハズレ表示結果が導出されたと認識させるようになっている。そのため、仮に、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞したときに、同時に通常ベルに対応する図柄の組合せが表示されないとすると、ハズレ表示結果が導出されたように見えるにもかかわらず、メダルを消費することなく次のゲームのための賭数が自動設定されるため、遊技者に違和感を与えてしまう。しかしながら、本実施形態においては、ベルリプ1〜5のいずれかの入賞が発生したときに、遊技者に対して、一見、通常ベルの入賞が発生したかのように認識させることができる。しかも、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞したときに行われるベルリプフリーズを解除するためにはMAXBET操作をする必要があるため、制御的にはベルリプ1〜5のいずれかの入賞によって賭数が自動設定されていても、遊技者に対して通常ベルが入賞した後にMAXBET操作を伴い次のゲームを開始できるようになったかのように思わせることができ、違和感を感じさせない。あるいは、ベルリプフリーズを解除するためにはクレジット精算操作をする必要があるため、通常ベルが入賞した後にクレジット精算操作をして遊技を終えようとした遊技者に対しては、一向に精算されない上に次のゲームのための賭数が自動設定されるため、導出された結果がベルリプ1〜5のいずれかであると理解させることができ、違和感を感じさせることがない。
さらに、本実施形態において、通常ベルに入賞したときには、ゲームを開始可能とするために賭数を設定するときに用いられるメダル枚数(3枚)よりも多い8枚のメダルが払い出される。これにより、ベルリプ1〜5のいずれかの入賞が発生したときに、通常ベルの入賞が発生したときにメダルが付与されたときと同じように、遊技者に対してMAXBETスイッチ6や精算スイッチ10の操作を自然に促すことができる。
ここで、本実施形態のように、通常ベルに入賞したときには、ゲームを開始可能とするために賭数を設定するときに用いられるメダル枚数(3枚)よりも多い8枚のメダルが払い出されるものではなく、仮に、賭数を設定するときに用いられるメダル枚数(3枚)よりも少ない1枚や2枚のメダルが払い出される場合、遊技者は次のゲームを開始するためにメダルを投入する可能性がある。この場合、ベルリプフリーズを解除するために、メダルが投入されたことを検知するための装置をメダルセレクタとは別に設ける必要があり、その分、製作コストが掛かったり、処理時間が増えてしまうといった問題がある。しかしながら、本実施形態におけるスロットマシン1は、通常ベルに入賞したときには、ゲームを開始可能とするために賭数を設定するときに用いられるメダル枚数(3枚)よりも多い8枚のメダルが払い出されるため、遊技者は自然とMAXBETスイッチ6や精算スイッチ10の操作を行うため、上記のような問題は生じない。
次に、7揃いリプについて説明する。7揃いリプに入賞したときには、メダルを用いることなく次のゲームを行うことが可能となる。ここで、図3を参照すると、7揃いリプの構成図柄のうち白7は、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されていない。そのため、7揃いリプに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
次に、7フェイクリプ1〜5について説明する。7フェイクリプ1〜5のいずれかに入賞したときには、メダルを用いることなく次のゲームを行うことが可能となる。ここで、図3を参照すると、7フェイクリプ1〜5の構成図柄のうち白7、黒7、黒BAR、白BARは、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されていない。そのため、7フェイクリプ1〜5のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
[遊技状態について]
次に、図7を用いて、本実施形態における遊技状態の遷移について説明する。図7は、遊技状態の遷移を説明するための図である。図7に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、RT0、RT1、およびCBの3つの遊技状態を備える。
RT1は、遊技が進行可能な状態であってかつ予め定められた設計値に基づくメダルの払出率が担保される状態である。たとえば、RT1においては、設定値1〜6それぞれについて、メダルの払出率は、98%、100%、102%、104%、106%、108%となるように定められている。なお、本実施形態のスロットマシン1では、殆どのゲームをRT1に制御されている状態で遊技者に遊技させることから、「適正状態」ともいう。
RT0は、RT1と同様に、遊技が進行可能な状態であってかつ予め定められた設計値に基づくメダルの払出率が担保される状態であるが、RT1のときのメダルの払出率までは担保されていない。たとえば、RT0においては、設定値1〜6それぞれについて、メダルの払出率は、88%、90%、92%、94%、96%、98%となるように定められている。このように、本実施形態においては、RT1の方がRT0よりも、いずれの設定値においてもメダルの払出率が高くなるように設定されている。なお、RT0は、RT1とは異なる状態であり、RT1(適正状態)のように殆どのゲームで制御される状態ではないため、「非適正状態」ともいう。
CBは、CBゲームが行われる状態である。CBゲームとは、所定の終了条件が成立するまで行われるゲームである。所定の終了条件とは、たとえば、CBゲーム中において所定枚数のメダルが払い出されることにより成立する条件や、CBゲームが所定ゲーム消化されることにより成立する条件である。CBゲームにおいては、設定値1〜6のいずれの場合であっても、メダルの払出率は100%になっている。つまり、本実施形態におけるCBにおいては、賭けに用いたメダル枚数と、払い出されたメダル枚数とは同じになっており、遊技者にとっては損得がないようになっている。なお、CBは、「特別遊技状態」ともいう。
RT0においてCBに当選したときには、遊技状態がRT0からRT1へ移行する。その後、RT1においては、次ゲーム以降でCB当選が持ち越される。RT1において当選しているCBに入賞したときには、遊技状態がRT1からCBへ移行する。CBにおいて所定の終了条件が成立してCBゲームの実行が終了したときには、遊技状態がCBからRT0へ移行する。
また、RT1やCBにおいて店員によりリセットスイッチ23が操作されてRAMクリアされると、遊技状態がRT0へ移行する。なお、RT0においてRAMクリアされた場合には、遊技状態はRT0に維持される。
また、本実施形態のスロットマシン1は、殆どのゲームをRT1で遊技者に遊技させるものである。一方、RT0やCBにおいては、滅多に遊技者に遊技させないようになっている。具体的には、遊技店の開店前では前日の遊技情報などを消去するため、店員がRAMクリアを行う場合がある。そのため、開店前のスロットマシン1では、RAMクリア直後なので遊技状態がRT0に制御される。よって、店員は、RT0からRT1に移行させるため、CBに当選するまで複数回ゲームを行うようになっている。その後、CBに当選してRT1に制御されると、その状態で遊技店を開店し、遊技者に遊技させるようになっている。これにより、遊技者は、殆どのゲームをRT1で遊技するようになっている。なお、後述するように、RT1においてCBに入賞してしまう確率は、1/65536である。
このように、本実施形態におけるスロットマシン1は、殆どのゲームをCBの当選が持ち越されている状態(つまりRT1)で遊技者に遊技させるものであり、遊技状態に応じて再遊技役の当選確率を向上させることで有利に遊技を進めるような遊技性を有するものではない。
ここで、スロットマシン1は、殆どのゲームがRT1という一つの遊技状態の中でゲームが進行するものであるため、遊技状態の移行を頻繁に行って再遊技役の当選確率の高低差を出すことで、遊技者間での有利度合いを変化させるものではないが、その分、ATに制御されることは遊技者にとって非常に重要となる。つまり、再遊技役の当選確率が遊技状態に応じて変化しないスロットマシン1では、後述する図8で示すようにAT中に通常ベルを入賞させてメダルの純増枚数を増やすことで有利に遊技を進めることが、勝敗を分ける重要な要素となる。
なお、本実施形態において、サブ制御部91は、「次ゲームの状態がRT0であることが特定される状態コマンド」または「リセットスイッチ23の操作が検出されたことが特定される操作検出コマンド」をメイン制御部41から受信したときには、次ゲームの状態がRT0であることを特定する。
また、本実施形態においては、RT0においてCBに当選してRT1に遊技状態が移行するときに、遊技状態の移行(CBが当選したこと)を示唆する示唆演出(後述する図12のS19参照)が実行されるようになっている。本実施形態においては、スピーカ53、54からCB当選を示唆するような音声(たとえば、通常、RT1においてゲームを進行させているときには出力されない特殊な音声)が出力されるとともに、リールLED55が点滅する示唆演出が行われる。これにより、店員などがRT0からRT1への遊技状態の移行を容易に判別可能となる。
[抽選対象役]
次に、図8、図9を参照して、抽選対象役として読み出される抽選対象役の組合せについて説明する。本実施形態では、抽選対象役として複数の入賞役が同時に読出されて、重複して当選し得る。図8、図9においては、抽選対象役ごとに入賞役の組合せ、所定の設定値(たとえば設定値1)における判定値数、およびリール制御についての内容を示す。入賞役の組合せにおいては、入賞役の間に“+”を表記することにより、内部抽選において同時に抽選対象役として読み出されることを示す。判定値数においては、その分母は、内部抽選用の乱数(0〜65535の整数)に対応させて、「65536」に設定されている。このため、たとえば、判定値数として「9309」が設定されている抽選対象役である押し順ベル1の当選確率は、9309/65536となる。なお、本実施形態においては、通常、遊技者が遊技を進行するに際に遊技状態は変化しない。そのため、図8、図9に示すように、それぞれの抽選対象役に対して判定値数は1つだけ設定されている。
図8に示すように、本実施形態における特別役および小役の抽選対象役としては、CB、押し順ベル1〜4、左スイカ1〜4、チェリー1、2、特殊チェリー、スイカ1〜8、チャンス1、2、および1枚1〜3が設定されている。また、各々の抽選対象役については、対応する入賞役が読み出される。
CBは、CB+スイカ1が読み出される抽選対象役である。CBは、RT0であるときの判定値数として「6553」が設定されている。このため、RT0であるときには、CBは、おおよそ10ゲームに1回ほどの頻度で当選するようになっている。一方、RT1においてはCBが内部当選している状態であるため、CBの判定値数には「0」が設定されている。なお、図8に示す押し順ベル1〜1枚3、および図9に示す通常リプの判定値数は、RT0およびRT1で同一の値が設定されている。また、CBとスイカ1が同時に当選することによって、CBに当選したゲーム内においてはCBに入賞してしまうことを防ぐことができる。具体的には、左リール2Lにおいて、CBを構成するブランク図柄よりもスイカ1を構成するスイカA図柄の方が多く配列されている。また、ストップスイッチ8Lを押す推奨ポイントとなるBAR図柄の位置付近では、ブランク図柄よりもスイカA図柄の方がリール回転方向の手前に配置されている。さらに、右リール2Rにおいては、CBを構成するブランク図柄は1つしか配置されていないが、スイカ1を構成するスイカA図柄は4コマの引込範囲内に配置されている。したがって、CBを構成するブランク図柄よりもスイカ1を構成するスイカA図柄の方が高い確率で引き込まれてリールが停止されるようになっており、Bに当選したゲーム内においては、CBに入賞してしまうことを防ぐことができる。これにより、店員がRT0からRT1への移行作業を行う際にCB当選させたとしても、そのゲーム内でCB入賞してしまうことを極力防ぐことができる。
押し順ベル1は、通常ベル+左リプ1枚1+左リプ1枚6+左リプ1枚11+左リプ1枚16+左スイカ1枚1〜8が読み出される抽選対象役である。押し順ベル2は、通常ベル+左リプ1枚2+左リプ1枚5+左リプ1枚12+左リプ1枚15+左スイカ1枚1〜8が読み出される抽選対象役である。押し順ベル3は、通常ベル+左リプ1枚3+左リプ1枚8+左リプ1枚9+左リプ1枚14+左スイカ1枚1〜8が読み出される抽選対象役である。押し順ベル4は、通常ベル+左リプ1枚4+左リプ1枚7+左リプ1枚10+左リプ1枚13+左スイカ1枚1〜8が読み出される抽選対象役である。なお、押し順ベル1〜4は、それぞれ判定値数として「9309」が設定されている。そのため、押し順ベル1〜4のいずれかには、おおよそ2ゲームに1回ほどの頻度で当選するようになっている。
左スイカ1は、左スイカ1枚1+左スイカ1枚4が読み出される抽選対象役である。左スイカ2は、左スイカ1枚2+左スイカ1枚3が読み出される抽選対象役である。左スイカ3は、左スイカ1枚5+左スイカ1枚8が読み出される抽選対象役である。左スイカ4は、左スイカ1枚6+左スイカ1枚7が読み出される抽選対象役である。ここで、左スイカ1枚1〜8は、それぞれ単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはないが、図8に示すように、左スイカ1枚1〜8のうち複数の役が同時当選することにより、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
チェリー1、2は、チェリー1、2がそれぞれ読み出される抽選対象役である。特殊チェリーは、チェリー3+左リプ1枚1〜16が読み出される抽選対象役である。スイカ1〜8は、スイカ1〜8がそれぞれ読み出される抽選対象役である。チャンス1、2は、チャンス1、2がそれぞれ読み出される抽選対象役である。1枚1〜3は、1枚1〜3がそれぞれ読み出される抽選対象役である。
図9に示すように、本実施形態における再遊技役の抽選対象役としては、通常リプ、押し順リプ1、押し順リプ2、7揃いリプ、フェイクリプ1、およびフェイクリプ2が設定されている。通常リプは、通常リプが読み出される抽選対象役である。なお、RT0およびRT1において、通常リプは、判定値数として「8978」が設定されている。そのため、通常リプには、おおよそ7ゲームに1回ほどの頻度で当選するようになっている。また、通常リプ以外の再遊技役については、RT1では、図9に示す判定値が設定されているが、RT0では、全て「0」に設定されている。
押し順リプ1は、通常リプ+ベルリプ1+ベルリプ2+ベルリプ3+ベルリプ4が読み出される抽選対象役である。ここで、ベルリプ1〜4は、それぞれ単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはないが、図9に示すように、ベルリプ1〜4すべてと通常リプとが同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。押し順リプ2は、通常リプ+ベルリプ5が読み出される抽選対象役である。通常リプおよびベルリプ5は取りこぼしがない役であるため、押し順リプ2に当選したときには、当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。なお、押し順リプ1および押し順リプ2は、それぞれ判定値数として「8714」が設定されている。そのため、押し順リプ1および押し順リプ2のいずれかには、おおよそ3ゲームに1回ほどの頻度で当選するようになっている。
7揃いリプは、7揃いリプが読み出される抽選対象役である。フェイクリプ1は、7フェイクリプ1+7フェイクリプ2+7フェイクリプ3+7フェイクリプ4が読み出される抽選対象役である。フェイクリプ2は、7フェイクリプ5が読み出される抽選対象役である。
また、RT0においては、再遊技役として通常リプしか当選せずに、当該通常リプの判定値が8978であることから、おおよそ7ゲームに1回の頻度で再遊技役(通常リプ)が当選する。一方、RT1においては、全ての再遊技役のうちいずれかに当選し、これらの再遊技役の判定値の合計値は26540になることから、おおよそ3ゲームに1回の頻度で再遊技役のいずれかに当選することになる。
また、本実施形態においては、RT0、RT1ともに、当選した(または当選が持ち越されている)CBと共に、小役または再遊技役が当選した場合には、CBを入賞させずに当選した小役または再遊技役を優先して入賞させるようになっている。さらに、当選した小役または再遊技役を入賞させることができる適正タイミング以外のタイミングで遊技者によりストップスイッチが操作されたとき(つまり、当選した小役を取りこぼしたとき)には、当該当選した小役または再遊技役を入賞させないとともにCBも入賞させないようになっている。具体的には、CBの構成図柄よりも、小役または小役の取りこぼし出目の構成図柄を優先的に導出させるリール制御が行われる結果、CBは入賞しないようになっている。これにより、RT0においてCBに当選したときでも、そのゲーム内ではCBに入賞することはなく、次ゲーム以降にCBの当選が持ち越されて遊技状態がRT1に移行するようになっている。
よって、RT1においてCBが入賞するときというのは、CB当選の持ち越し時においてその他の小役や再遊技役に当選しなかったとき(つまり、内部抽選で外れたとき)に限られる。このときに、遊技者が上手くCBの図柄組合せ(「ブランク−ブランク−ブランク」)を揃えることで、初めてCB入賞するようになっている。
ここで、図8および図9に示すように、RT1であるときの、全ての小役および全ての再遊技役の判定値数を合算すると、「65535」となる。つまり、RT1においては、殆どの場合において(65535/65536の確率で)、全ての小役および全ての再遊技役のうちいずれかに当選することになる。一方、1/65536の確率で、全ての小役および全ての再遊技役のうちいずれにも当選しないことになり、CBが単独当選することになる。つまり、RT1においては、1/65536という極低確率でCBに入賞可能な状態となる。このように、本実施形態においては、RT1においてRT0に制御される可能性は限りなく低く、殆どのゲームをRT1において遊技者に遊技させることができる。
なお、RT1においてCBに入賞する可能性がある状態となる確率は、1/65536であったが、これに限らず、他の小役または再遊技役のいずれかに当選する確率よりも低ければ、如何なる値であってもよい。
[押し順ベル当選時のリール制御]
次に、図8を用いて、押し順ベル1〜4のいずれかに当選した時のリール制御について説明する。押し順ベル1が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうち引き込み範囲内で左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。中左押しされたときには、当選した役のうち通常ベルに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。中右押しされたときには、当選した役のうち左スイカ1〜4のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。右第1停止されたときには、当選した役のうち左スイカ5〜8のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。
押し順ベル2が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうち引き込み範囲内で左リプ1枚2、左リプ1枚5、左リプ1枚12、および左リプ1枚15のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。中左押しされたときには、当選した役のうち左スイカ1〜4のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。中右押しされたときには、当選した役のうち通常ベルに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。右第1停止されたときには、当選した役のうち左スイカ5〜8のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。
押し順ベル3が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうち引き込み範囲内で左リプ1枚3、左リプ1枚8、左リプ1枚9、および左リプ1枚14のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。中第1停止されたときには、当選した役のうち左スイカ1〜4のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。逆挟み押しされたときには、当選した役のうち通常ベルに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。逆押しされたときには、当選した役のうち左スイカ5〜8のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。
押し順ベル4が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうち引き込み範囲内で左リプ1枚4、左リプ1枚7、左リプ1枚10、および左リプ1枚13のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。中第1停止されたときには、当選した役のうち左スイカ1〜4のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。逆挟み押しされたときには、当選した役のうち左スイカ5〜8のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。逆押しされたときには、当選した役のうち通常ベルに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。
ここで、上記のようなリール制御が行われる理由は、遊技者がストップスイッチを操作したときに、払出枚数が多い入賞役を入賞させるための図柄を優先的に入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるか、あるいは、入賞の可能性が高い入賞役を入賞させるための図柄を優先的に入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるかが、一義的に決められているからである。
たとえば、押し順ベル1に当選したときに遊技者が左第1停止をした場合には、当選した役のうち入賞の可能性が高い左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16のいずれかを入賞させるための図柄である「リプレイ」を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるようになっている。
入賞の可能性が高い左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16のいずれかを入賞させるための図柄を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させる具体例を以下に説明する。たとえば、押し順ベル1に当選したときに遊技者が左第1停止をした場合には、図5に示すように、押し順ベル1に含まれるいずれかの役を入賞させるためには、「ベル」、「リプレイ」、「スイカA」、「スイカB」のいずれかを入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させる必要がある。ここで、「ベル」を入賞ラインL1に引き込むよりも、「スイカA」や「スイカB」、もしくは「リプレイ」を入賞ラインL1に引き込んだ方が入賞役の選択肢が多い(たとえば、「ベル」を停止させると入賞役の選択肢は通常ベルの1種類のみだが、「リプレイ」を停止させると入賞役の選択肢は左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16の4種類ある)。そのため、本実施形態においては、押し順ベル1に当選したときに遊技者が左第1停止をした場合には、入賞の可能性が高い左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16のいずれかを入賞させるための図柄である「リプレイ」を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるようになっている。
また、押し順ベル1に当選したときに遊技者が中第1停止をした場合には、当選した役のうち入賞の可能性が高い通常ベルおよび左スイカ1枚1〜4のいずれかを入賞させるための図柄である「ベル」を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるようになっている。その後、遊技者が第2停止として左リール2Lを停止させた場合には、入賞の可能性が残った通常ベルおよび左スイカ1枚1〜4のうち払出枚数が多い通常ベルを入賞させるための図柄である「ベル」を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるようになっている。
このように、本実施形態においては、遊技者がストップスイッチを操作したときに、払出枚数が多い入賞役を入賞させるための図柄を優先的に入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるか、あるいは、入賞の可能性が高い入賞役を入賞させるための図柄を優先的に入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させることで、当選した役のうち押し順に応じて入賞する役を異ならせている。
なお、本実施形態においては、遊技状態がRT1に制御されているときに限り、後述するAT中ではない、非AT中のゲームにおいて左第1停止させなかった場合(つまり、変則押しした場合)には、左第1停止させたときには科されることのない遊技者にとって不利な所定のペナルティを生じさせる制御が行われる。これは、演出状態が非AT中のゲームにおいて遊技者に中第1停止または右第1停止することを促すためである。つまり、本実施形態のスロットマシン1は、非AT中のゲームにおいて遊技者に左第1停止させるように設計されている。
所定のペナルティとしては、後述するナビストックを付与するか否かのAT抽選において当選(AT当選ともいう)する確率が低下したりする。これにより、ペナルティが科されてしまうと、遊技者にとって有利となるATに制御されにくくなるため、ペナルティが科されないように、遊技者はRT1での非AT中に左第1停止でストップスイッチを操作するようになる。
図8で示したように、非AT中に押し順ベル1〜4のいずれかに当選したときには、遊技者が左第1停止をする限り、左リプ1枚1〜16のいずれかに入賞する。また、仮に遊技者がペナルティを犯しながら中第1停止または右第1停止をしても、払い出しの多い通常ベルを入賞させるための押し順は分からない。そのため、非AT中においては、おおよそ2ゲームに1回ほどの頻度でメダル1枚の払い出しとなる。その結果、非AT中においては、メダルの純増枚数を増やすことが困難となる。
一方、AT中に押し順ベル1〜4のいずれかに当選したときには、中第1停止または右第1停止をしてもペナルティが科されないため、後述するナビ演出に従ってストップスイッチを操作することにより、通常ベルに入賞する。そのため、AT中においては、おおよそ2ゲームに1回ほどの頻度でメダル8枚の払い出しとなる。その結果、AT中においては、非AT中に比べてメダルの純増枚数を増やすことが可能となる。
[払い出されるメダルの期待値について]
次に、RT0またはRT1に制御されており、変則押しされたときと、当該変則押し以外で操作されたときとの払い出されるメダルの期待値(以下、「メダル期待値」という。)について説明する。ここで、変則押しとは、押し順ベル1〜4のいずれかが当選したときにおいて、当該変則押し以外で操作されたときよりも、メダル払出枚数が多くなる押し順である。変則押しは、押し順ベル1〜4それぞれに対応して定められており、具体的には、押し順ベル1〜4のそれぞれに対応する変則押しは、中左押し、中右押し、逆挟み押し、逆押しとなる(図8の関連情報の欄参照)。
押し順ベル1〜4以外の小役(以下、「特定小役」という。)が当選したときは、押し順に関わらず、払い出されるメダルの期待値は同一である。何故ならば、図8からも明らかなように、特定小役が当選したときにおいて、入賞するか否かは、操作タイミングに依存し、押し順には依存しないからである。「特定小役が当選したときにおいて、入賞するか否かは、操作タイミングに依存し、押し順には依存しない」理由は、「特定小役のいずれかが当選したときにおいては、特定図柄(たとえば、BAR)が入賞ラインLN上に位置したタイミングに停止操作されることで押し順によらず、当選した特定小役は入賞される(いわゆるDDT)」というものである。このように、特定小役が当選したときは、押し順に関わらず、メダル期待値は同一となる。当該同一である期待値をαとする。
一方、押し順ベル1〜4のいずれかが当選したときにおいて、変則押しされたときと、当該変則押し以外で操作されたときとで、メダル期待値は異なる。押し順ベル1〜4いずれかが当選したときにおいて、当該当選した押し順ベルに対応する変則押しで操作されたときのメダル払出枚数は「8枚」である一方、変則押しと異なる押し順で操作されたときのメダル払出枚数は「1枚」であるか、1枚払出役が入賞しないとき(つまり外れ表示結果が導出されたとき)は、「0枚」である。以下では、押し順によるメダル期待値の具体的な値ではなく、押し順によるメダル期待値の大小関係を説明することから、押し順ベル1〜4いずれかが当選したときに変則押しと異なる押し順で操作されたときには、1枚役が入賞すると仮定して説明する。
図8の記載からも明らかなように、中左押しに対応している押し順ベル1の当選確率は、それぞれ9309/65536であり、中左押しされたときに払いだされるメダル枚数は「8枚」である。また、押し順ベル2〜4の当選確率は、27927/65536であり、中左押しされたときに払いだされるメダル枚数は「1枚」である。したがって、押し順ベル1〜4のうちいずれが当選したときのゲームにおいて、中左押しが操作されたときのメダル期待値は、以下の式(1)のようになる。
{8×(9308/65536)}+{1×(27927/65536)}≒1.6 (1)
なお、この式(1)で求められた期待値(1.6)は、押し順ベル1〜4のうちいずれが当選したときのゲームにおいて、他の変則押し(中右押し、逆挟み押し、逆押し)のうちいずれかで操作されたときのメダル期待値と同一の値である。
一方、押し順ベル1〜4が当選する合計確率は、37236/65536であり、押し順ベル1〜4のいずれかが当選したゲームにおいて変則押し以外の押し順で操作されたときのメダル払出枚数は、「1枚」である。したがって、押し順ベル1〜4のいずれかが当選したゲームにおいて、変則押し以外の押し順で操作されたときのメダル期待値は、以下のようになる。
1×(37236/65536)≒0.56 (2)
前述の期待値α、および式(1)、(2)からも明らかなように、RT0またはRT1のいずれかに制御されているときにおいて、変則押しで操作されたときと、変則押し以外の押し順で操作されたときそれぞれのメダル期待値はおよそ、「1.6+α」、「0.56+α」となり、変則押しで操作(中左押し、中右押し、逆挟み押し、逆押しのいずれか)されたときの方が、変則押し以外の押し順で操作されたときよりも、メダル期待値は多い。
[特殊チェリー当選時のリール制御]
次に、特殊チェリーに当選した時のリール制御について説明する。特殊チェリー当選時においては、当選した遊技状態に応じて意図的に異なるリール制御が行われる。具体的には、RT0またはCBにおいて特殊チェリーに当選したとき(つまり、特殊チェリー単独当選時)には、左リプ1枚1〜16のいずれかを必ず導出させるリール制御が行われる。一方、RT1において特殊チェリーに当選したとき(つまり、特殊チェリーとCB同時当選時)には、ストップスイッチの操作タイミングに応じて、可能な限りチェリー3を優先的に入賞させるリール制御が行われる。チェリー3を優先的に入賞させることができなければ、左リプ1枚1〜16のいずれかを導出させるリール制御が行われる。
ここで、上記のようなリール制御は以下の手順によって制御されている。先ず、RT0のときの手順について説明する。特殊チェリーに含まれるチェリー3と、左リプ1枚1〜16とは、いずれもメダルの払出枚数が1枚で同じである。RT0において特殊チェリーに当選したときは、左リール2Lに「リプレイ」を引き込んで停止させる。次に、中リール2Lにおいて、強制的に「白7」、「黒7」、「黒BAR」、「白BAR」のいずれかを引き込んで停止させる。その後、右リール2Cにおいて、強制的に「白7」、「黒7」、「黒BAR」、「白BAR」のいずれかを引き込んで停止させる。これにより、RT0においては、左リプ1枚1〜16のいずれかが必ず入賞するようになっている。
次に、RT1のときの手順について説明する。RT1において特殊チェリーとCBとが同時当選したときに、左リール2Lにおいて「スイカB」を引き込んで停止できれば、チェリー3を入賞させることができるため、左リール2Lに「スイカB」を引き込んで停止させる。一方、左リール2Lにおいて「スイカB」を引き込んで停止できなければ、左リプ1枚1〜16のいずれかを入賞させることができるため、左リール2Lに「リプレイ」を引き込んで停止させる。次に、中リール2Lにおいて「チェリー」を引き込んで停止できる状況であれば、強制的に「チェリー」を引き込んで停止させる。その後、右リール2Cにおいては、強制的に「リプレイ」を引き込んで停止させる。これにより、RT0においては、可能な限りチェリー3が優先的に入賞するようになっている。
なお、上記のように、RT0およびRT1における特殊チェリー当選時のリール制御は、CBと同時当選しているか否かに応じて切り替わるようになっている。
このように、本実施形態においては、RT0またはCBにおいて特殊チェリーに当選したときには、チェリー3が入賞せずに左リプ1枚1〜16のいずれかが必ず入賞し、RT1において特殊チェリーに当選したときには、チェリー3が優先的に入賞するようになっている。
[押し順リプ当選時のリール制御]
次に、図9を用いて、押し順リプ1および押し順リプ2のいずれかに当選した時のリール制御について説明する。押し順リプ1が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうちベルリプ1〜4のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。一方、押し順リプ1が当選したゲームにおいて中第1停止または右第1停止されたときには、当選した役のうち通常リプに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。
押し順リプ2が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうちベルリプ5に対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。一方、押し順リプ2が当選したゲームにおいて中第1停止または右第1停止されたときには、当選した役のうち通常リプに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。
このように、本実施形態においては、遊技者によるストップスイッチの操作態様に応じて、ベルリプ1〜5および通常リプのうち発生する入賞が異なるため、いずれにおいてもメダルを用いることなく次のゲームを行うことができる点では同じでも、入賞の種類を異ならせることにより異なる遊技性をもたせることができる。
また、図9で示したように、非AT中に押し順リプ1または押し順リプ2に当選したときには、遊技者が左第1停止をする限り、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞する。そのため、非AT中においては、おおよそ3ゲームに1回ほどの頻度でベルリプ1〜5が入賞して、メダルを用いることなく次のゲームを行うことが可能となる。ここで、前述したように、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞したときには、遊技者に対して、見た目上、通常ベルに入賞したかのように思わせることができる。そのため、非AT中においては、実際は、おおよそ3ゲームに1回ほどの頻度で次のゲームが再遊技となっているが、遊技者の中には、おおよそ3ゲームに1回ほどの頻度で通常ベルの入賞によって、賭数に用いられるメダル枚数以上のメダル払い出しを受けているかのように思わせることができる。
一方、AT中に押し順リプ1または押し順リプ2に当選したときには、遊技者は中第1停止または右第1停止をしてもペナルティが科されないため、中第1停止または右第1停止を促す後述のナビ演出に従ってストップスイッチを操作することにより、通常リプに入賞する。そのため、AT中においては、通常リプに単独当選したときにおおよそ7ゲームに1回ほどの頻度で通常リプが入賞するのに加えて、押し順リプ1または押し順リプ2に当選したときにもおおよそ3ゲームに1回ほどの頻度で通常リプが入賞して、メダルを用いることなく次のゲームを行うことが可能となる。これにより、実際は、遊技状態の移行はないため再遊技役の当選確率は向上しないが、遊技者に対して、ATに制御されたと同時に遊技状態が移行してあたかも再遊技役の当選確率が向上したかのように思わせることができる。
このように、本実施形態においては、ATに制御されたか否かに応じて、ベルリプ1〜5および通常リプのうち発生する入賞が異なるため、ATに制御されたか否か、さらには、いずれの再遊技役を入賞させるためのナビ演出を実行するかに応じて、入賞の種類を異ならせることができ、遊技の進行に応じた制御を実行することができる。
[フリーズ]
本実施形態では、所定のフリーズ抽選条件が成立すると、フリーズ抽選が実行される。本実施形態の所定のフリーズ抽選条件とは、AT抽選対象役に当選することである。フリーズ抽選は、AT抽選対象役が当選したゲームでの第3停止時に実行される。AT抽選対象役とは、後述する図11で説明するように、当選することによりAT抽選が実行される当選役であり、本実施形態では、弱チェリー、強チェリー、特殊チェリー、および7揃いリプである。つまり、フリーズが実行されることにより、AT当選したか否かの期待感を遊技者に抱かせることができる。
フリーズは、ゲーム進行操作を有効に受付ける状態となるタイミングを遅延させる制御である。ここで、ゲーム進行操作とは、ゲームを適切に進行させる操作である。具体的には、第3停止終了したときのゲーム進行操作は、再遊技役入賞以外のときはMAXBETスイッチ6への操作であり、再遊技役入賞のときはスタートスイッチ7への操作である。また、賭数設定されたときのゲーム進行操作は、スタートスイッチ7への操作である。また、リールが回転したときのゲーム進行操作は、第1停止操作である。また、第1停止操作されたときのゲーム進行操作は、第2停止操作である。また、第2停止操作されたときのゲーム進行操作は、第3停止操作である。以下では、フリーズに制御されている状態を「フリーズ状態」といい、フリーズに制御されていない状態を「非フリーズ状態」であるという。フリーズ状態は、ゲーム進行操作を有効に受付けない状態(たとえば、リール回転中にストップスイッチ8が操作されてもリールは停止されず)であり、非フリーズ状態に切り替わったときに、ゲーム進行操作が有効に受付けられる。つまり、フリーズ状態に制御されている期間は、ゲーム進行操作が無効とされる期間である。また、遅延対象のゲーム進行操作は、複数の操作(賭数設定操作、リール回転開始操作、リール停止操作など)のうち少なくとも1つとしてもよい。
フリーズ状態のゲームでは、非フリーズ状態とは異なる態様で、メイン制御部41によりリールが制御される。「非フリーズ状態とは異なる態様」とは、たとえば、リールが回転しなかったり、非フリーズ状態に制御されているときとは異なる速度でリールが回転したり、非フリーズ状態に制御されているときとは逆方向にリールが回転することなどである。また、フリーズには、前述したベルリプフリーズも含むようにしてもよい。
なお、フリーズ状態中は、擬似遊技に制御するようにしてもよい。擬似遊技とは、「所定の役が当選して、かつ当該所定の役が入賞する」という本遊技とは異なる遊技である。たとえば、擬似遊技中は、リールを回転させる操作(スタートスイッチ7への操作)、リールを停止させる操作(ステップスイッチ8への操作)などにより、当選状況に関わらず、特定の表示結果が導出されることで、所定の特典が付与される遊技である。フリーズ状態中に擬似遊技に制御される構成である場合には、当該擬似遊技の制御中に、当該擬似遊技を進行させる操作を有効に受け付けるようにしてもよい。擬似遊技を進行させる操作とは、リールを回転させる操作(スタートスイッチ7への操作)、リールを停止させる操作(ステップスイッチ8への操作)などである。
本実施形態では、内部抽選によりAT抽選対象役が当選したゲームにおいて第3停止されたタイミングで、フリーズ抽選は実行される。また、当該フリーズ抽選によりフリーズを実行することが決定されると、AT抽選対象役が当選したゲーム(フリーズ抽選が実行されたゲーム)の次のゲームのリールを回転させる操作(つまり、スタートスイッチ7への操作)がされたときに、フリーズ状態に移行される。つまり、本実施形態のフリーズは、リール停止操作(つまり、ストップスイッチ8への操作)の有効化を強制的に遅延させるものである。
[フリーズ抽選用テーブル]
次に、フリーズ抽選に用いられるフリーズ抽選用テーブルについて説明する。フリーズは、フリーズ抽選用テーブルで規定された、実行確率および非実行確率に基づいて実行される。図10は、フリーズ抽選用テーブルの一例を示したものである。RT1に制御されているときは、変則押しで操作されたか否かに関わらず、フリーズ実行確率、およびフリーズ非実行確率は、それぞれ90%、10%に設定されている。
一方、RT0に制御されているときは、変則押しで操作されたときのフリーズ実行確率およびフリーズ非実行確率は、それぞれ0%、100%に設定されている。つまり、RT0に制御されているときにおいて、変則押しで操作されたときには、フリーズは実行されないように設定されている。
また、RT0に制御されているときは、変則押し以外の押し順で操作されたときのフリーズ実行確率およびフリーズ非実行確率は、それぞれ5%、95%に設定されている。つまり、RT0に制御されているときにおいて、変則押し以外の押し順で操作されたときには、フリーズが実行される確率は、極小値(5%)に設定されている。このように、RT0に制御されているときには、フリーズ実行確率は、極小値または0%に設定されており、この理由については後述する。なお、前述したように、当該フリーズにはベルリプフリーズも含まれる。
[遊技状態ごとの比較]
次に、図11を用いてRT0、RT1、およびCBの各々について比較した結果を説明する。図11には、RT0、RT1、およびCBの各々に対して項目A〜Kの内容について比較した結果が示されている。
項目Aは、各遊技状態への制御契機についての比較である。RT0への制御契機は、CBが終了することである。RT1への制御契機は、RT0においてCBに当選することである。CBへの制御契機は、RT1においてCBに入賞することである。このように、RT0においてCBに当選するとCB当選状態であるRT1に移行し、RT1においてCBに入賞するとCBに移行し、CBが終了すると再びRT0に戻るように遊技状態が制御される。
項目Bは、ATへの制御についての比較である。RT0およびCBにおいては、ATに制御されず、RT1においてはATに制御される。つまり、本実施形態におけるスロットマシン1は、殆どの遊技をRT1において消化して、RT0およびCBにおいては滅多に遊技されないようになっているため、遊技者にとって有利な有利期間となるATについてはRT1でのみ制御されるようになっている。
項目C〜Fは、ATへの制御に必要なナビストックを付与するか否かのAT抽選に関して、抽選条件ごとのAT抽選の有無についての比較である。なお、本実施形態におけるAT抽選の抽選条件は、AT抽選対象役となる弱チェリー、強チェリー、特殊チェリー、および7揃いリプのいずれかに当選することを少なくとも条件とする。
項目Cは、弱チェリー当選時のAT抽選についての比較である。RT0およびCBにおいては、弱チェリーに当選してもAT抽選は行われず、RT1においては、弱チェリーに当選したことを条件にAT抽選が行われる。つまり、RT1においては弱チェリー当選時のAT抽選の結果によってはナビストックが付与される可能性があるが、RT0およびCBにおいてはナビストックは付与されないようになっている。
項目Dは、強チェリー当選時のAT抽選についての比較である。CBにおいては、強チェリーに当選してもAT抽選は行われず、RT0およびRT1においては、強チェリーに当選したことを条件にAT抽選が行われる。しかし、RT0においては、AT抽選をするが、当選はしないようになっている。つまり、RT1においては強チェリー当選時のAT抽選の結果によってはナビストックが付与される可能性があるが、RT0およびCBにおいてはナビストックは付与されないようになっている。
項目Eは、特殊チェリー当選時のAT抽選についての比較である。CBにおいては、特殊チェリーに当選してもAT抽選は行われず、RT0およびRT1においては、特殊チェリーに当選したことを条件にAT抽選が行われる。しかし、RT0においては、AT抽選において当選してもナビストックは付与されないようになっている。つまり、RT1においては特殊チェリー当選時のAT抽選の結果によってはナビストックが付与される可能性があるが、RT0およびCBにおいてはナビストックは付与されないようになっている。
項目Fは、7揃いリプ当選時のAT抽選についての比較である。RT0においては、7揃いリプに当選しないため、AT抽選は行われない。CBにおいては、7揃いリプに当選してもAT抽選は行われない。RT1においては、7揃いリプに当選したことを条件にAT抽選が行われる。つまり、RT1においては7揃いリプ当選時のAT抽選の結果によってはナビストックが付与される可能性があるが、RT0およびCBにおいてはナビストックは付与されないようになっている。
項目Gは、ナビストックの付与有無についての比較である。項目C〜Fにおいて説明したように、RT1においてはナビストックが付与される可能性があるが、RT0およびCBにおいてはナビストックは付与されないようになっている。
項目Hは、変則押し時のペナルティの有無についての比較である。RT0およびCBにおいては、変則押しによってリールが停止されたとしてもペナルティは科されず、RT1においては、変則押しによってリールが停止されるとペナルティが科される。
項目Iは、再遊技役の当選確率についての比較である。RT1における再遊技役の当選確率は、1/3であるのに対して、RT0およびCBにおける再遊技役の当選確率は、1/7である。つまり、RT1は、RT0よりも再遊技役の当選確率が高まる状態であり、メダルの払出枚数が増加するようになっている。
項目Jは、遊技全体のゲーム数(たとえば、遊技店の開店から閉店するまでに遊技者が行うことが可能なゲーム数)に対する遊技状態の占有率についての比較である。RT0およびCBについての遊技全体のゲーム数に対する占有率は極少ないのに対して、RT1についての遊技全体のゲーム数に対する占有率は多い。これは、一旦CBに当選してRT1に制御されてしまうと、内部抽選において1/65536の確率でハズレにならない限り、CB入賞して遊技状態が移行する可能性がないからである。
項目Kは、フリーズ抽選によるフリーズ実行確率についての比較である。図10で説明したように、RT0に制御されているときのフリーズ実行確率は、順押しされたときには極小値(5%)に設定されており、変則押しされたときには0%に設定されている。また、RT1に制御されているときのフリーズ実行確率は、順押しおよび変則押しのいずれがされたかに関わらず、大きく設定されている(95%)。CB中は、AT抽選対象役に当選しても、フリーズ抽選は実行されないように設定されている。なお、CB中では、AT抽選対象役に当選したときには、フリーズ抽選を実行するようにしてもよい。
[ゲーム処理]
次に、本実施形態におけるメイン制御部41が実行するゲーム処理の制御内容について説明する。ゲーム処理では、BET処理、内部抽選処理、リール回転処理、入賞判定処理、ベルリプフリーズ実行処理、ベルリプフリーズ解除処理、払出処理、ゲーム終了時処理を順に実行し、ゲーム終了時処理が終了すると、再びBET処理に戻る。
BET処理では、メイン制御部41は、賭数を設定可能な状態で待機し、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作された時点でゲームを開始させる処理を実行する。また、BET処理では、メイン制御部41は、ゲームを開始させる処理として、スタートスイッチ7が操作された時点で、設定された賭数に用いられたメダル数分のメダルIN信号の出力を命令する出力命令をRAM41cに設定する。
内部抽選処理では、メイン制御部41は、スタートスイッチ7の検出によるゲーム開始と同時にラッチされた内部抽選用の乱数値に基づいて上記した各役への入賞を許容するかどうかを決定する処理を行う。この内部抽選処理では、それぞれの抽選結果に基づいて、RAM41cに当選フラグが設定される。
リール回転処理では、メイン制御部41は、各リール2L、2C、2Rを回転させる処理、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことに応じて対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる処理を実行する。
入賞判定処理では、メイン制御部41は、全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止したと判定した時点で、各リール2L、2C、2Rに導出された表示結果に応じて入賞が発生したか否かを判定する処理を実行する。
ベルリプフリーズ実行処理では、メイン制御部41は、ベルリプ1〜5のいずれかが入賞したときに、ベルリプフリーズを実行する。
ベルリプフリーズ解除処理では、メイン制御部41は、ベルリプフリーズの制御中において、特定条件が成立したときに、ベルリプフリーズを解除する。
具体的には、メイン制御部41は、ベルリプフリーズの実行中において、ベルリプフリーズの開始から所定時間(本実施形態においては、30秒)経過したときには、ベルリプフリーズを解除し、ベルリプフリーズ解除処理を終了する。
また、メイン制御部41は、ベルリプフリーズの開始から所定時間経過していないときにおいて、遊技者によるMAXBETスイッチ6を用いたMAXBET操作があったときには、ベルリプフリーズを解除する。
また、メイン制御部41は、ベルリプフリーズの開始から所定時間経過していないときにおいて、遊技者によるクレジット精算操作があったときには、ベルリプフリーズを解除する。
このように、本実施形態においては、ベルリプ1〜5のいずれかの入賞が発生したときに、遊技者に対して、一見、通常ベルの入賞が発生したかのように認識させることができる。しかも、MAXBET操作があると開始前状態となるため、制御的にはベルリプ1〜5のいずれかの入賞によって賭数が自動設定されていても、遊技者に対して通常ベルが入賞した後にMAXBET操作を伴い次のゲームを開始できるようになったかのように思わせることができ、違和感を感じさせない。あるいは、クレジット精算操作があると開始前状態となるため、通常ベルが入賞した後にクレジット精算操作をして遊技を終えようとした遊技者に対しては、一向に精算されない上に次のゲームのための賭数が自動設定されるため、導出された結果がベルリプ1〜5のいずれかであると理解させることができ、違和感を感じさせることがない。
払出処理では、メイン制御部41は、入賞の発生が判定された場合に、その入賞に応じた払出枚数に基づきクレジットの加算ならびにメダルの払い出しなどの処理を行う。また、払出処理では、メイン制御部41は、クレジットの加算ならびにメダルの払い出しにより遊技者に対して付与されたメダル数分のメダルOUT信号の出力を命令する出力命令をRAMに設定する。
ゲーム終了時処理では、メイン制御部41は、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理を実行する。
次に、本実施形態におけるサブ制御部91が実行する各種制御内容を以下に説明する。
[タイマ割込処理]
タイマ割込処理(サブ)においては、サブ制御部91は、まず、使用中のレジスタをスタック領域に退避する。次に、サブ制御部91は、停電判定処理を行う。停電判定処理では、サブ制御部91は、電断検出回路48から電圧低下信号が入力されているか否かを判定し、電圧低下信号が入力されていれば、前回の停電判定処理でも電圧低下信号が入力されていたか否かを判定し、前回の停電判定処理でも電圧低下信号が入力されていた場合には停電と判定し、その旨を示す電断フラグを設定する。
停電判定処理の後、サブ制御部91は、電断フラグが設定されているか否かを判定し、電断フラグが設定されていた場合には、電断処理(サブ)に移行する。電断処理(サブ)では、サブ制御部91は、起動処理(サブ)においてバックアップが正常に行われたか否かを判定する際に用いるバックアップフラグをバックアップデータの作成後にセットしたり、起動処理(サブ)においてバックアップが正常に行われたか否かを判定する際に用いるチェックサムをバックアップデータの排他的論理和を算出して計算するなどの処理を実行する。
サブ制御部91は、電断フラグが設定されていない場合には、コマンド解析処理を実行する。コマンド解析処理では、サブ制御部91は、コマンドバッファにコマンドが格納されているか否かを判定し、コマンドバッファにコマンドが格納されていればコマンドバッファからコマンドを取得する。そして、取得したコマンドに応じた処理を実行する。
次に、サブ制御部91は、ナビストックを付与するか否かを決定する演出関連処理を実行する。
次に、サブ制御部91は、演出関連処理におけるAT抽選に当選した場合に、通常状態(非AT)からナビ演出が実行されるAT(アシストタイム)に制御し、ATでのゲームを実行するAT制御処理を実行する。ATの終了条件が成立したときのナビストックが残っている場合には、ナビストックを1つ消化するとともに新たな1セットのATを継続して実行する。
[演出関連処理]
次に、本実施形態におけるサブ制御部91が実行する演出関連処理の制御内容について説明する。サブ制御部91は、毎ゲームごとに演出関連処理を実行することによって、示唆演出およびAT抽選を実行することが可能である。図12は、サブ制御部が実行する演出関連処理のフローチャートを説明するための図である。
まず、サブ制御部91は、メイン制御部41から内部当選コマンドを受信したか否かを判定する(S11)。サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信していないと判定したときには(S11においてNO)、演出関連処理を終了する。
一方、サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信したと判定したときには(S11においてYES)、現在の遊技状態がCB中であるか、もしくは当選役がCBであるか否かを判定する(S12)。サブ制御部91は、現在の遊技状態がCB中であるか、もしくは当選役がCBであると判定したときには(S12においてYES)、後述するS17に移行する。
一方、サブ制御部91は、現在の遊技状態がCB中でもなく、当選役がCBでもないと判定したときには(S12においてNO)、AT抽選対象役に当選したか否かを判定する(S13)。サブ制御部91は、AT抽選対象役に当選していないと判定したときには(S13においてNO)、演出関連処理を終了する。
一方、サブ制御部91は、AT抽選対象役に当選したと判定したときには(S13においてYES)、当選役が弱チェリー当選であったか否かを判定する(S14)。サブ制御部91は、当選役が弱チェリー当選であったと判定したときには(S14においてYES)、現在の遊技状態がRT1であるか否かを判定する(S15)。
サブ制御部91は、現在の遊技状態がRT1ではないと判定したときには(S15においてNO)、現在の遊技状態がRT0またはCBであるため、図11の項目Cで示したように、AT抽選を行わずに演出関連処理を終了する。
一方、サブ制御部91は、現在の遊技状態がRT1であると判定したときには(S15においてYES)、AT抽選を行って(S16)、演出関連処理を終了する。
サブ制御部91は、S14の処理において、当選役が弱チェリー当選ではないと判定したときには(S14においてNO)、AT抽選を行って(S16)、演出関連処理を終了する。なお、この場合に当選しているAT抽選対象役は、RT0の場合は強チェリーおよび特殊チェリーのいずれかであり、RT1の場合は強チェリー、特殊チェリー、および7揃いリプのいずれかである。
また、S17において、サブ制御部91は、CB当選したか否かを判定する。サブ制御部91が、CB当選したと判定すると(S17のYES)、S18に移行する。S18において、サブ制御部91は、S17でCB当選したと判定されたゲームがRT0であるか否かを判定する。なお、サブ制御部91により、メイン制御部41から送信された状態コマンドを解析することにより、RT0であるか否かを判定する。サブ制御部91が、当該ゲームがRT0であると判定すると(S18においてYES)、S19に移行する。S19において、サブ制御部91は、CB当選したことを示唆する示唆演出の実行を開始する。示唆演出とは、前述したように、スピーカ53、54からCB当選を示唆するような音声(たとえば、通常、RT1においてゲームを進行させているときには出力されない特殊な音声)を出力するとともに、リールLED55を点滅させる演出である。このように、示唆演出は、CB当選時(つまり、スタートスイッチ7の操作時)に実行開始されるものである。また、S17またはS18において、サブ制御部91が、NOと判定すると、演出関連処理は終了する。
[AT抽選テーブル]
次に、サブ制御部91がAT抽選において用いるAT抽選テーブルについて説明する。図13は、AT抽選テーブルを説明するための図である。
図13に示すように、RT0で弱チェリーに当選したときには、図11の項目Cで示したようにAT抽選は実行されない。RT1で弱チェリーに当選したときには、AT当選の確率が20%に設定されたAT抽選が実行される。CBで弱チェリーに当選したときには、AT抽選は実行されない。
RT0で強チェリーに当選したときには、図11の項目Dで示したように、AT抽選は実行されるが、AT当選しないようにAT当選の確率が0%に設定されている。RT1で強チェリーに当選したときには、AT当選の確率が100%に設定されたAT抽選が実行される。CBで強チェリーに当選したときには、AT抽選は実行されない。
RT0で特殊チェリーに当選したときには、図11の項目Eで示したように、AT当選の確率が10%に設定されたAT抽選が実行される。しかし、AT当選したとしても、ナビストックの付与はされない。RT1で特殊チェリーに当選したときには、AT当選の確率が30%に設定されたAT抽選が実行される。CBで特殊チェリーに当選したときには、AT抽選は実行されない。
RT0では、7揃いリプに当選しないため、図11の項目Fで示したようにAT抽選は実行されない。RT1で7揃いリプに当選したときには、AT当選の確率が70%に設定されたAT抽選が実行される。CBで7揃いリプに当選したときには、AT抽選は実行されない。
[ナビストック付与処理]
次に、サブ制御部91が実行するナビストック付与処理の制御内容について説明する。サブ制御部91は、AT抽選が行われたゲームの終了時にナビストック付与処理を実行することによって、当該ゲーム終了時に遊技者にナビストックを付与することが可能である。なお、本実施形態においては、1回のナビストック付与処理につき、1個のナビストックが付与されるようになっている。図14は、サブ制御部が実行するナビストック付与処理のフローチャートを説明するための図である。
まず、サブ制御部91は、AT抽選でAT当選したか否かを判定する(S21)。サブ制御部91は、AT当選していないと判定したときには(S21においてNO)、ナビストック付与処理を終了する。
一方、サブ制御部91は、AT当選したと判定したときには(S21においてYES)、特殊チェリー当選時のAT抽選でAT当選したか否かを判定する(S22)。サブ制御部91は、特殊チェリー当選時のAT抽選でAT当選していないと判定したときには(S22においてNO)、S24の処理に移行する。
サブ制御部91は、特殊チェリー当選時のAT抽選でAT当選したと判定したときには(ステップS22においてYES)、チェリー3に入賞したか否かを判定する(S23)。サブ制御部91は、チェリー3に入賞していないと判定したときには(S23においてNO)、ナビストック付与処理を終了する。
なお、本実施形態においては、RT0で特殊チェリーに当選したときには、左リプ1枚1〜16のいずれかを必ず導出させるリール制御が行われるため、チェリー3には入賞しないようになっている。そのため、RT0で特殊チェリーに当選したときにAT当選したとしても、チェリー3は入賞しないため、ナビストックは付与されないようになっている。
一方、サブ制御部91は、チェリー3に入賞したと判定したときには(S23においてYES)、ナビストックを付与し(S24)、ナビストック付与処理を終了する。
[ナビ演出]
次に、サブ制御部91が実行するナビ演出の具体的な内容について説明する。本実施形態のナビ演出は、液晶表示器51からのナビ画像の表示と、スピーカ53、54からのナビ音声の出力とによって行われる。
たとえば、押し順ベル1〜4や押し順リプ1、2に当選したときに、「中だ!」(中第1停止を報知)や「右だ!」(右第1停止を報知)といったストップスイッチ8L、8C、8Rの押下順序を示す押下順序画像と、スロットマシン1のモチーフに合わせたキャラクタ画像とが液晶表示器51に表示される。また、スピーカ53、54からもストップスイッチの押下順序を示す音声が出力される。
[CBゲーム]
次に、本実施形態のCBゲーム(CB中のゲーム)について説明する。本実施形態のCB時における1ゲームの賭数は、メダル2枚である。本実施形態のCBゲームでは、内部抽選を行わず、各ゲームにおいて全ての小役の当選フラグが設定されるようになっており、必ず全ての小役が当選する。なお、CB中のゲームであっても内部抽選を行うものであってもよい。この場合、内部抽選の結果にかかわらず、全ての小役の当選フラグを設定し、必ず全ての小役が当選するようにしてもよい。
具体的には、図8に示す小役の全てが当選する。ここで、CB中以外のゲームにおいては、入賞することにより払い出される可能性のあるメダルの枚数は、図5に示すように、1枚、5枚、および8枚のいずれかである。一方、CB中においては、いずれの小役が入賞したとしても一律に2枚のメダルが払い出される。このように、CB中においてはいずれかの小役に入賞することから、遊技の興趣を向上させることができる一方、メダルの払出枚数を抑えることができる。これにより、遊技者の射幸性が高まりすぎないようにすることができる。なお、CB中におけるメダルの払出枚数は、最も多い払出枚数(本実施形態では、8枚)と最も少ない払出枚数(本実施形態では、1枚)の間の値であれば如何なる値(たとえば、3枚や4枚)であってもよい。
また、以下では、CBにおける払出枚数(2枚)よりも少ない払い出しが可能な小役を「少払出小役」といい、多い払い出しが可能な小役を「多払出小役」という。また、払出枚数が1枚、5枚、および8枚となる各小役をそれぞれ「1枚払出小役」「5枚払出小役」「8枚払出小役」という。本実施形態のCBゲームにおいては、少払出小役を多払出小役よりも優先して入賞させる。具体的には、払出枚数が1枚の小役(図5の左スイカ1枚1〜8、左リプ1枚1〜16、チェリー1〜3、チャンス1、2、1枚1〜3)が最も優先的に入賞され、それに続いて、払出枚数が5枚の小役(図5のスイカ1〜8)、払出枚数が8枚の小役(図5の通常ベル)の順番で、優先的に入賞される。
もし、CBゲームにおいて、多払出小役(たとえば、5枚払出小役や8枚払出小役)を少払出小役(たとえば、1枚払出小役)よりも優先して入賞させるCBゲームである場合には、8枚払出小役が入賞したとしても、実際は、2枚しか払い出されないことから、遊技者に損失感を与えてしまうことになる。本実施形態のCBゲームのように、少払出小役を多払出小役よりも優先して入賞させる構成であれば、このような損失感を与える頻度を低下させることができる。
また、本実施形態では、8枚払出小役よりも5枚払出小役を優先して入賞させる。8枚払出小役が入賞しても5枚払出小役が入賞しても、メダルの払出枚数は2枚であることから、いずれの場合でも遊技者に損失感を与えることになる。しかし、8枚払出小役が入賞されたときの方が5枚払出小役が入賞されたときよりも、遊技者に与える損失感は当然に大きくなる。したがって、8枚払出小役よりも5枚払出小役を優先して入賞させることにより遊技者に対して与える損失感を抑制することができる。
[本実施形態による主な効果]
以上、本実施形態におけるスロットマシン1について説明した。本実施形態により奏される主な効果を説明する。
(1) 本実施形態では、遊技店の閉店後から開店前の期間において、店員はスロットマシンを初期化する(リセットスイッチ23を操作する)場合があり、この場合には、当該初期化により、遊技状態はRT0に制御される。店員は、RT0からRT1に移行させる作業、つまり、CB当選するまで、ゲームを消化する(ゲームを回す)作業を行う必要がある。以下では、この作業を移行作業という。この移行作業の過程において、フリーズが頻繁に実行されると、ゲーム進行操作を有効化させるタイミングが強制的に遅延されることになり、RT0からRT1に移行させる作業(以下、「移行作業」という。)に要する時間が多大となる。そこで、本実施形態では、図10や、図11の項目Kに示すように、RT0に制御されているときには、フリーズ実行確率を極小値または0%とする。したがって、RT0に制御されているときには、フリーズは実行され難くまたは実行されなくなり、移行作業に要する時間を低減できる。
(2) 本実施形態では、殆どのゲームがRT1に制御されている状態で遊技者に遊技させるものであり、RT0に制御されているゲームについては、滅多に遊技者に遊技させないようになっている。これにより、殆どのゲームをCBの当選が持ち越されている状態(つまりRT1)で遊技者に遊技させることができ、斬新なゲーム性を実現できる。
(3) 本実施形態では、RT0からRT1に移行される契機となるCB当選は、遊技を進行させることでのみ成立する事象である。したがって、殆どのゲームをCBの当選が持ち越されている状態(つまりRT1)で遊技者に遊技させることができ、斬新なゲーム性を実現できるとともに、店員は、ゲームを消化する(ゲームを回す)ことでのみRT0からRT1に移行させることができるので、店員の移行作業の負担を軽減させることができる。
(4) 本実施形態では、式(1)(2)で説明したように、RT0に制御されているときにおいて変則押しで操作されたときには、当該変則押し以外で操作されたときよりもメダル期待値は多い。したがって、RT0に制御されているときにおいて変則押しで操作されたときには、当該変則押し以外で操作されたときよりも、メダルがクレジットとして記憶される状態を継続させる割合を高めることができる。これにより、移行作業では、店員は変則押しでゲームを消化することにより、メダルをメダル投入部4に投入する店員の手間を省略することができ、移行作業の効率を向上させることができる。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、クレジット機能を有するが、クレジット機能を有さないスロットマシンであっても、付与されたメダルは、メダル受け皿に貯留されることになるから、店員によるメダルを補充する手間を省略させることができる。
また、本実施形態では、図10に示すように、RT0に制御されているゲームで、変則押しで操作されたときには、フリーズの非実行確率は、100%となっている。したがって、メダルをメダル投入部4に投入する店員の手間を省略させるのみならず、フリーズも必ず実行されないことから、移行作業の効率を向上させることができる。
(5) 本実施形態では、図12で説明したように、CB当選したときにおいて(S17のYES)、当該CB当選時のゲームがRT0であるときには(S18のYES)、当該CB当選したタイミングで示唆演出が開始される。したがって、店員は、移行作業中において、CB当選したタイミングでCB当選したことを認識することができ、当該認識した時点で移行作業を終了させることができ、その後の作業を省略させることができる。さらに、示唆演出が開始された後、CB入賞してしまい、再びRT0に制御されてしまうという事態を回避できる。なお、移行作業において、CB入賞してしまうと、CBゲームを終了させる手間と、当該CBゲームが終了することにより制御されるRT0からRT1へ移行させる手間を店員に対して強いることになり、移行作業の効率が低減することになる。
(6) 本実施形態では、図8に示すように、CBはスイカ1と共に同時当選する。これにより移行作業中にCB当選したとしても、当該CB当選したゲームでCB入賞してしまうことを極力防ぐことができ、移行作業の効率を向上させることができる。
(7) 本実施形態では、RT0でCBに当選する確率は、図8に示すように、1/10である。また、店員が当該ゲームを消化している間に、AT当選する場合がある。もし、店員が当該AT当選に気付かずに、AT当選しておりかつRT1に制御された状態で、ホールを開店させると、遊技者はAT当選した状態(有利な状態)から遊技を開始することになり、いわゆるモーニングサービス(店員がホール開店前に有利な状態になるように仕込むサービス)の状態で、遊技者に遊技させることになり、設計通りの出玉とならない場合がある。
そこで、本実施形態においては、図11の項目Gに示すように、RT0において、RT1でATに制御するためのナビストックは付与されないようになっている。より具体的には、図11の項目Cに示すように、RT0において弱チェリーに当選してもAT抽選が行われない結果、ナビストックは付与されない。また、図11の項目Dに示すように、RT0において強チェリーに当選したときにはAT抽選が行われるが、AT当選はしない結果、ナビストックは付与されない。また、図11の項目Eに示すように、RT0において特殊チェリーに当選したときにはAT抽選が行われ、かつAT当選する場合はあるが、この場合でもナビストックは付与されない。また、図11の項目Fに示すように、RT0においては7揃いリプに当選しない結果、ナビストックは付与されない。
これにより、たとえば、制御作業を行うときでも、RT0においてナビストックが付与されてしまうことがない。その結果、スロットマシン1において遊技者が遊技を開始する当初からナビストックが付与された状態となることがなく、本来意図していた条件とは異なる有利な条件で遊技者に遊技をさせてしまうといった不都合が生じない。さらに、店員が集客を狙ってわざと有利な条件で遊技者に遊技をさせるために、当初からナビストックが付与された状態とすることを防ぐことができる。
(8) 本実施形態においては、図7に示すように、RAMクリア後に、遊技状態がRT0に制御される。これにより、店員などがRAMクリアすることで遊技状態をRT0に制御させることができる。
(9) 本実施形態においては、図11の項目Eに示すように、特殊チェリーに当選することを条件にAT抽選が行われるが、図8に示すように、RT1において特殊チェリーに当選したときにはチェリー3を入賞させることが可能である一方で、RT0において特殊チェリーに当選したときにはチェリー3を入賞させることは不可能である。これにより、RT0においてチェリー3が入賞してしまうことによって、たとえば、店員によりAT抽選の結果ナビストックが付与されてしまったと誤認されてしまうことがない。
(10) 本実施形態においては、図11の項目Hに示すように、RT0においては、変則押しをしてもペナルティが科されない。これにより、店員などがRT0からRT1へと遊技状態を移行させる作業を行った際に、RT0において誤って変則押しをしたときでも、ペナルティが発生することがない。これにより、スロットマシン1において遊技者が遊技を開始する当初からペナルティが発生した状態となることがなく、本来意図していた条件とは異なる不利な条件で遊技者に遊技をさせてしまうといった不都合が生じない。さらに、店員が儲けを狙ってわざと不利な条件で遊技者に遊技をさせるために、当初からペナルティが科された状態にさせたと誤認されるような事態を防ぐことができる。
(11) 本実施形態においては、RT1で行われた内部抽選の結果により、1/65536という極低確率でCBに入賞可能な状態となり、遊技者の操作如何によってはCBに入賞するといった滅多に行らない状況が発生し得る。しかし、このような状況が発生しても、CB中においては、少払出小役および多払出小役を含む全ての種類の小役が当選するにもかかわらず、小役が発生したときにはその種類にかかわらず払い出されるメダルが2枚に制限される。これにより、CB中における射幸性が高まり過ぎることがない。さらに、RT1において発生することで2枚よりも多いメダルが払い出される多払出小役の入賞よりも、RT1において発生することで2枚以下のメダルが払い出される少払出小役が優先的に入賞する。これにより、CB中において1ゲームで払い出され得るメダルがRT1において1ゲームで払い出され得るメダルよりも少なく設定されていても遊技者に損失感を与えてしまうことを防止できる。
(12) 本実施形態においては、CB当選が持ち越されているRT1においてナビストックが付与され得る一方で、図12のS12に示すように、RT0中にCB当選したときには、AT抽選が実行されないことからナビストックが付与されることがない。すなわちCB当選と同時にナビストックが付与されることがない。これにより、店員がRT0からRT1に制御させる作業を行う際に、CB当選と同時にナビストックが付与されてしまうことがないため、当初からナビストックが付与された状態となることを防止することができる。また、図12のS12に示すように、CB中においても、AT抽選が実行されないことからナビストックが付与されることがない。これにより、店員がRT0からRT1に制御させる作業を行う際に、CB当選に加えて誤ってCB入賞までさせてしまっても、CB中においてナビストックが付与されることがないため、当初からナビストックが付与された状態となることを2重に防止することができる。また、CBにおいて付与されたナビストックに基づいて、次回CB当選したときに、同時にナビストックが付与されるようなこともない。これにより、一度の契機で多くのメダルを得られる状況が発生してしまうことがなく、適度な射幸性を確保することができる。
(13) 本実施形態においては、図11の項目Fに示すように、RT0においては7揃いリプに当選しないために、ナビストックが付与されることがなく、さらに、当然に7揃いリプの図柄組合せも導出されない。これにより、RT0においてナビストックが付与されてしまうことがなく、さらに、RT0において7揃いリプの図柄組合せが導出されてしまうことで店員によりナビストックが付与されたと誤認されてしまうこともない。
(14) 本実施形態においては、RT1およびRT0のいずれにおいても、チェリー3を含む特殊チェリーに当選し得るが、CBと同時当選するか否かに応じてチェリー3を入賞させるか否かを切り替えることができる。具体的には、図8に示すように、特殊チェリーが単独当選するRT0においては、チェリー3は入賞しないが、特殊チェリーとCBとが同時当選するRT1においては、チェリー3が優先的に入賞し得る。さらに、図14のS23に示すように、特殊チェリーに当選し、かつチェリー3が入賞したときに、ナビストックが付与される。これにより、RT0においては、チェリー3が入賞しないためにナビストックが付与されてしまうことがなく、また、RT0においてはチェリー3の図柄組合せも導出されないために店員によりナビストックが付与されたと誤認されてしまうことがない。
[変形例]
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。本発明は、上記の実施例に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な変形例などについて説明する。また、前述した本実施の形態で説明した技術事項、および、以下の変形例で説明する技術事項のうち少なくとも2つを組み合わせて実施するようにしてもよく、前述した本実施の形態で説明した技術事項を以下の変形例で説明する技術事項に置換して実施するようにしてもよく、当該置換したものに対して、以下の変形例で説明する技術事項をさらに組み合わせて実施するようにしてもよい。
[遊技状態について]
(1) 本実施形態においては、予め定められた設計値に基づいたメダルの払出率が担保された状態である適正状態をRT1とし、RT1の設計値に基づいたメダルの払出率が担保されておらず、RT1とは異なる払出率が担保されている状態である非適正状態をRT0として説明した。さらに、RT1は、RT0においてCB当選されたことにより制御される状態であるとして説明した。しかしながら、これに限らない。
CBは、適正状態であるRT1とは異なるメダルの払出率が担保されている状態であるため、非適正状態であるとも言える。また、本実施形態におけるCBは、特別遊技状態としてRT0およびRT1とは異なる遊技状態として設けられていたが、CBは、複数の遊技状態(たとえば、RT0、RT1など)のいずれかに制御されたときに、制御中の遊技状態を変化させずに重複して制御される、いわゆる貫通型のCBであってもよい。
また、適正状態は1つに限らず、複数の適正状態が設定されていてもよい。たとえば、RT1の遊技状態に加えて、RT1と同じメダルの払出率が担保されている他の適正状態としてRT2やRT3の遊技状態が設定されていてもよい。
(2) また、本実施形態のような遊技状態の遷移に限らず、役の当選や入賞などに応じて複数の遊技状態の間を遷移するようなスロットマシンであってもよい。たとえば、複数の遊技状態の間を遷移し、特定の入賞役(たとえば特定の再遊技役)に入賞したときや、特定のはずれ出目が入賞ライン上に停止したときなどに、適正状態から非適正状態に移行制御されるスロットマシン200であってもよい。スロットマシン200の機能構成例は図4と同様であり、当該スロットマシン200の入賞役は、図5、図6に示したCBがボーナス(BB)に代替されたものであり、当該スロットマシン200の抽選対象役は、図8、図9に示した「CB」が「ボーナス」に代替され、入賞役の組合せが「CB+スイカ1」から「ボーナス」に代替されたものである。
また、スロットマシン200は、以下の遊技状態を有する。当該遊技状態は、通常RT、有利RT、ボーナス内部中状態、ボーナス状態、初期RTを含む。スロットマシン200のメイン制御部41のRAMには、制御されている遊技状態の種類を特定するための情報として遊技状態特定フラグが格納される。メイン制御部41は、当該格納されている遊技状態特定フラグを参照することにより、制御されている遊技状態を特定できる。
通常RTは、予め定められた設定値に基づくメダルの払出率が担保されている遊技状態である。有利RTは、通常RTよりも所定役(たとえば再遊技役)の当選確率が向上する状態である。ボーナス内部中状態とは、通常RTまたは有利RTにおいて、ボーナス当選したが、ボーナス入賞されなかったために、ボーナス当選が持ち越された状態である。ボーナスに当選したゲーム、またはボーナス内部中状態に制御されているゲームで、ボーナス入賞すると、ボーナス状態に制御される。ボーナス状態は、所定役(たとえば、小役)の当選確率が、通常RTや有利RTよりも向上する状態である。したがって、ボーナス状態は、通常RTおよび有利RTよりも払い出されるメダルの期待値が多くなることから、遊技者にとって、有利な状態となる。
通常RTに制御されているときに所定の昇格入賞役(たとえば、ベルリプ1〜5のいずれか)が入賞したときには、有利RTに移行(昇格)するものであってもよい。また、有利RTに制御されているときにおいて、所定の転落入賞役(たとえば、1枚1〜3のいずれか)が入賞したときには、通常RTに移行(転落)するものであってもよい。また、所定の昇格入賞役および所定の転落入賞役を双方とも同一のベルリプ1〜5のいずれかとしてもよい。これによれば、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞したことを遊技者に分かりにくくすることで、いずれの遊技状態で遊技をしているかを把握しにくくすることができ、遊技者の遊技状態に対する興味を惹きつけ、遊技の興趣を向上させることができる。さらに、本変形例においては、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞したときに通常ベルが入賞したかのように遊技者に思わせることができるため、いずれの遊技状態で遊技をしているかをより把握しにくくすることができる。
また、ボーナス状態は、所定のボーナス終了条件が成立したときに終了し、初期RTに移行される。所定のボーナス終了条件とは、たとえば、所定枚数のメダルが払い出されることにより成立する条件や、所定ゲーム数消化されたことにより成立する条件である。
また、一般的に、公平性の観点から、遊技店の開店時において、遊技店に設置されている全てのスロットマシンの有利度は同一であることが好ましい。具体的には、遊技店の開店時において、当該全てのスロットマシンは、ボーナス内部中状態およびボーナス状態のいずれでもでないことが好ましい。何故なら、遊技開店時にボーナス内部中状態に制御されたスロットマシンが存在すると、遊技者は当該スロットマシンで遊技する場合にはボーナス当選した状態(有利な状態)から遊技を開始することになり、また、遊技開店時にボーナス状態に制御されたスロットマシンが存在すると、遊技者は当該スロットマシンで遊技する場合には遊技者はボーナス状態(有利な状態)から遊技を開始することになり、いずれにしても、いわゆるモーニングサービス(店員がホール開店前に有利な状態になるように仕込むサービス)の状態で、遊技者に遊技させることになり公平性に欠けることになり、さらに設計通りの出玉とならない場合がある。
そこで、本変形例では、ボーナス内部中状態およびボーナス状態を、遊技店の開店期間中(たとえば、午前8時〜午後23時)では適正状態とし、遊技店の閉店期間中(たとえば、午後23時〜午前8時)では非適正状態とする。なお、ボーナス内部中状態およびボーナス状態のいずれでもない状態(つまり、通常RT、有利RT、初期RT)については、開店期間および閉店期間に関わらず、適正状態である。
また、遊技店の店員などは、遊技店の開店までに、非適正状態から適正状態に移行させる移行作業を実行する必要がある。具体的には、遊技店の開店時刻前に、ボーナス内部中状態に制御されているスロットマシンについては、ゲームを消化する(ゲームを回す)ことにより、ボーナス入賞させて、かつボーナス状態を終了させる必要がある。また、遊技店の開店時刻前に、ボーナス状態に制御されているスロットマシンについては、ゲームを消化して(ゲームを回して)ボーナス終了条件を成立させることにより、ボーナス状態を終了させる必要がある。
次に、スロットマシン200において、このような適正状態または非適正状態のいずれであるかを特定する手法について説明する。スロットマシン200は、時刻を計時できる計時手段(たとえば、RTC:real time clock)を遊技制御基板40に備える。これによりメイン制御部41は、現在の時刻を認識することができる。また、メイン制御部41は、RAMに格納されている遊技状態フラグを参照することにより現在制御されている遊技状態の種類を特定することができる。メイン制御部41は、現在の時刻が、閉店期間に属しており、かつボーナス内部中状態またはボーナス状態に制御されていると判断した場合には、当該ボーナス内部中状態またはボーナス状態を非適正状態であると判断する。一方、メイン制御部41は、現在の時刻が閉店期間に属しており、かつボーナス内部中状態またはボーナス状態のいずれでもない特定状態に制御されていると判断したときには、当該特定状態を適正状態と判断する。また、メイン制御部41は、現在の時刻が開店期間に属していると判断したときは、現在制御されている状態を適正状態と判断する。
また、メイン制御部41が、非適正状態に制御されていると判定した場合には、当該非適正状態に制御されていることを店員が特定できる所定情報を報知する報知手段を設けるようにしてもよい。スロットマシン200の所定の個所に報知手段として発光手段を設け、非適正状態に制御されているときには当該発光手段を発光させ、適正状態に制御されているときには、当該発光手段を発光させないようにしてもよい。
以下に、スロットマシン200のさらなる構成、および奏される主な効果を説明する。
(2−1) 本変形例によれば、スロットマシン200のメイン制御部41は、現在の時刻が属する期間によって変化する適正状態または非適正状態であるかを適切に特定することができる。また、非適正状態に制御されているときには、当該非適正状態に制御されていることを特定できる所定情報を報知手段により報知する。したがって、店員に対して、非適正状態に制御されていることを認識させることができる。
(2−2) また、スロットマシン200のフリーズ抽選用テーブルは、図10に示されたフリーズ抽選用テーブルの「RT1」「RT0」がそれぞれ「適正状態」「非適正状態」に代替されたものである。スロットマシン200のフリーズ抽選用テーブルに示したように、非適正状態に制御されているときには、フリーズ実行確率を極小値または0%とする。したがって、非適正状態に制御されているときには、フリーズは実行され難くなり、移行作業に要する時間を低減できる。
(2−3) また、スロットマシン200では、非適正状態から適正状態に移行される契機となるボーナス内部中状態の終了およびボーナス状態の終了は、遊技を進行させることでのみ成立する事象である。したがって、店員は、ゲームを消化する(ゲームを回す)ことでのみ非適正状態から適正状態に移行させることができるので、店員の移行作業の負担を軽減させることができる。
(2−4) また、スロットマシン200では、非適正状態に制御されているときにおいて変則押しで操作されたときには、当該変則押し以外で操作されたときよりもメダル期待値は多くなるように設定されている。したがって、RT0に制御されているときにおいて変則押しで操作されたときには、当該変則押し以外で操作されたときよりも、メダルがクレジットとして記憶される状態を継続させる割合を高めることができる。これにより、移行作業では、店員は変則押しでゲームを消化することにより、メダルをメダル投入部4に投入する店員の手間を省略することができ、移行作業の効率を向上させることができる。
(2−5) また、スロットマシン200では、移行作業により適正状態から非適正状態に移行させたタイミングで、当該移行されたことを示唆する示唆演出が開始される。具体的には、非適正状態がボーナス内部中状態である場合には、ボーナス入賞してかつ、当該ボーナス入賞したことにより制御されたボーナス状態が終了したタイミング(適正状態に移行されたタイミング)で当該示唆演出が実行される。また、非適正状態がボーナス状態である場合には、ボーナス状態が終了したタイミング(適正状態に移行されたタイミング)で当該示唆演出が実行される。したがって、店員は、移行作業中において、非適正状態から適正状態に移行されたタイミングで、当該適正状態に移行されたことを認識することができ、当該認識した時点で、移行作業を終了させることによりボーナス当選してボーナス内部中状態に制御されるという事態を回避できる。
次に、スロットマシン200の第1の変形例について説明する。本変形例のスロットマシン200においては、計時手段が現在の時刻を計時し、当該現在の時刻が遊技店の開始期間および閉店期間のうちどちらに属するのかを判断するとして説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、計時手段は現在の時刻を計時する構成でなく他の手法を用いて、現在の時刻が開店期間および閉店期間のいずれに属するかを判断するようにしてもよい。たとえば、計時手段が、スロットマシン200の電断処理が実行されたタイミングから、所定時間(たとえば、3時間)経過したと判断したときには、当該判断したときを遊技店の閉店期間であると判断するようにしてもよい。何故なら、一般的に、電断処理が実行されたタイミングから、所定時間(たとえば、3時間)経過したということは、遊技店が閉店したと考えられるからである。
具体的な手法としては、メイン制御部41が、電断検出回路48から電圧低下信号を受信したタイミングから、計時手段は計時処理を開始する。計時手段が、当該タイミングから所定時間経過したと判断したときに、メイン制御部41は、現在の時刻は閉店期間に属すると判断する。メイン制御部41が、現在の時刻が閉店期間に属すると判断して、かつボーナス内部中状態またはボーナス状態に制御されていると判断したときには、非適正状態に制御されていると判断し、報知手段により非適正状態に制御されていることを報知する。
次にスロットマシン200の第2の変形例について説明する。現在の時刻が開店期間に属すると判定されたときにおいて、有利な状態としてボーナス内部中状態またはボーナス状態に制御されているときに、メイン制御部41は非適正状態に制御されていると判断するとして説明した。しかしながら、当該有利な状態とは、他の状態であってもよい。有利な状態とは、たとえば、ナビストックが付与された状態、AT中の状態、および有利なRTとしてもよい。
なお、サブ制御部91は、ナビストックが付与された状態であるか否か、およびAT中の状態であるか否かを認識することができる。しかし、サブ制御部91からメイン制御部41へは、何らコマンドを送信することができないことから、メイン制御部41は、ナビストックが付与された状態であるか否か、およびAT中の状態であるか否かを認識することができない。そこで、有利な状態をナビストックが付与された状態や、AT中の状態とした場合には、以下のような構成にすればよい。遊技制御基板40に設けられた計時手段は、所定時間ごとに、計時結果をサブ制御部91に対して送信する。サブ制御部91は、当該受信した計時結果に基づいて、現在の時刻が開店期間または閉店期間のうちいずれに属するかを判断するようにしてもよい。なお、当該計時結果は、現在の時刻を特定できる情報であってもよいし、電断検出回路48から電圧低下信号を受信したタイミングからの経過時間(スロットマシン200のさらなる第1の変形例の説明参照)としてもよい。このような構成であっても、現在の時刻が属する期間によって変化する適正状態または非適正状態であるかを適切に特定することができる。
(3) また、本実施形態においては、RT1への制御契機は、RT0においてCB当選することであるとし、RT0への制御契機は、CB終了後であるとして説明した。しかしながらRT1への制御契機およびRT0への制御契機は、これに限らない。
たとえば、RT0やRT1へは、その他の役への当選や入賞によって制御されるものであってもよい。また、RT0やRT1へは、BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)などの特別役によって移行される遊技者にとって有利な特別遊技状態の終了後に制御されるものであってもよい。
(4) また、スロットマシン1において、適正状態はRT1であるとし、非適正状態はRT0であるとして説明した。また、スロットマシン200において、適正状態は、通常RT、有利RT、初期RT、開店期間中のボーナス内部中状態、ボーナス状態であるとし、非適正状態は、閉店期間中のボーナス内部中状態、ボーナス状態であるとした。つまり、適正状態は、適正な遊技を遊技者に提供できる状態であり、非適正状態は、適正状態とは異なる状態であって適正ではない遊技を遊技者に提供できる状態であるといえる。換言すると、適正状態は、遊技者にとっての公平性が担保されている状態であり、非適正状態は、適正状態とは異なる状態であって遊技者にとっての公平性が担保されていない状態であるといえる。
(5) 本実施例では、図7に示すように、RT0への移行契機は、店員などによりRAMクリアされたとき、およびCBが終了したであるとして説明した。その他にも工場で製造されて、遊技店などに出荷される時点で、RT0に制御されているスロットマシンであってもよい。
[フリーズについて]
(1) スロットマシン1、200のフリーズ抽選用テーブルのフリーズ実行確率は、図10示された値に限られない。図10では、RT0に制御されているときのフリーズ実行確率を、変則押し、および変則押し以外の押し順のいずれで操作されたかに関わらず0%としてもよい。このような構成によれば、移行作業中において、変則押しで操作されたか否かに関わらずフリーズが絶対に実行されないことになり、移行作業に要する時間をさらに低減することができる。
また、図10では、RT0に制御されているときでありかつ変則押しで操作されたときのフリーズ実行確率を0%としたが、この値に限られず、たとえば、フリーズ実行確率を極小値にしてもよい。この場合において、変則押しされたときのフリーズ実行確率を、変則押し以外の押し順で操作されたときのフリーズ実行確率と同一としてもよく、変則押し以外の押し順で操作されたときのフリーズ実行確率よりも小さい値としてもよく、変則押し以外の押し順で操作されたときのフリーズ実行確率よりも大きい値としてもよい。
(2) 本実施例では、フリーズの実行契機を、AT抽選対象役に当選することであるとして説明したが、これに限られるものではない。フリーズは、後述する特典が付与されるときに実行されるようにしてもよい。また、フリーズは、当該特典を付与するか否かを決定する抽選を実行するときに、所定の確率で実行されるようにしてもよい。また、フリーズは、当該特典を付与するか否かを決定する抽選を実行するときに必ず実行されるようにしてもよい。このようなフリーズを実行することにより、特典が付与されることに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。
(3) 本実施例では、RT0に制御されているときに、規制(または禁止)される対象はフリーズであるとして説明した。しかしながら、移行作業の時間をさらに要する事象であればフリーズに限られない。たとえば、当該事象を小役入賞としてもよい。小役入賞したときにはメダルが払い出されることから、当該メダルが払い出されている期間分、移行作業に要する時間が増大してしまう。そこで、RT0に制御されているときには、小役入賞を規制(または禁止)するようにしてもよい。具体的には、RT0に制御されているときには、小役に当選する確率を0%にするか、極小の値にすればよい。このような構成によれば、RT0に制御されているときには、メダル払出し期間を要する小役入賞が発生し難く、または発生しなくなるので、さらに、移行作業に要する時間をさらに低減することができる。移行作業の時間をさらに要する事象は、小役入賞に限られず、他の事象であってもよい。
[押し順について]
(1) 本実施例では、非適正遊技状態中において、メダル期待値が多くなる押し順を変則押しとし、移行作業中は、当該変則押しで操作することにより、極力、メダルを払い出させるようにして、メダルをメダル投入部4に投入する店員の手間を省略させるとして説明した。しかしながら、メダル期待値が多くなる押し順は、当該押し順以外の押し順で操作されたときに、メダル期待値が少なくなる押し順が存在すれば、変則押しに限らず、他の押し順であってもよい。メダル期待値が多くなる押し順は、たとえば順押しとしてもよい。この場合には、順押し以外の押し順で操作されたときには、順押しの押し順で操作されたときよりもメダル期待値は少なくなる。
(2) 本実施例では、操作態様を押し順として説明し、押し順および操作タイミングの2つの概念を含ませて説明した。しかしながら、操作態様(操作手順)を、押し順および操作タイミングのうちいずれか一方の概念を含ませるようにしてもよい。
[示唆演出について]
(1) 本実施形態では、図12で説明したように、CB当選時のゲームがRT0であると判断した(当該ゲームでスタートスイッチ7が操作された)タイミングで、示唆演出を開始するとして説明した。しかしながら、当該CB当選したゲームにおいて、CBが入賞することを防止できるタイミングであれば、示唆演出を開始するタイミングは如何なるタイミングであってもよい。たとえば、CB当選時のゲームがRT0であると判断した(当該ゲームでスタートスイッチ7が操作された)タイミングから、第3停止されるまでのタイミングまでであれば、如何なるタイミングで示唆演出を開始してもよい。また、スロットマシン200においても、非適正状態が終了した(ボーナス状態が終了した)タイミングから、当該ボーナス状態が終了したゲームで第3停止されるまでのタイミングまでであれば、如何なるタイミングで示唆演出を開始してもよい。
(2) 本実施形態では、示唆演出として、スピーカ53、54からCB当選を示唆するような音声が出力されるとともに、リールLED55が点滅させるとして説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、CB当選したことを遊技者に判別されなくとも、店員に判別させるようにすれば、如何なる態様で示唆演出を実行するようにしてもよい。たとえば、示唆演出は、スピーカ53、54から「適正状態に移行するよ」といった音声が出力されるように、非適正状態から適正状態への移行を直接的に教える演出であってもよい。これによれば、移行作業中に、適正状態へ移行したことを、店員などは示唆演出によって明確に認識できる。
また、示唆演出は、非適正状態における所定の演出から適正状態における所定の演出へと、演出を切り替えることで、非適正状態から適正状態への移行を示唆するものであってもよい。たとえば、非適正状態においては、液晶表示器51の画面上に静止画像が表示される演出がされるのに対し、適正状態においては、液晶表示器51の画面上に動画像が表示される演出がされ、さらに示唆演出は、非適正状態から適正状態に遊技状態が移行したときに静止画像から動画像へと液晶表示器51の画面を切り替える演出であってもよい。これによれば、店員は液晶表示器51の画面を確認することで、現在の状態が非適正状態であるか適正状態であるかを容易に認識することができ、非適正状態であれば、適正状態に遊技状態を移行させる作業を即座にすることができる。
[RT0およびRT1について]
(1) 本実施の形態においては、予め定められた設計値に基づいたメダルの払出率が担保された状態である適正状態をRT1とし、RT1の設計値設計値に基づいたメダルの払出率が担保されておらず、異なる払出率が担保されている状態である非適正状態をRT0とし、さらに、RT1は、RT0においてCB当選されたことにより制御される状態であり、RT0は、RT1においてCB入賞されたことにより制御される状態であるとして説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、たとえば、非適正状態はペナルティが生じたことにより、所定のペナルティ期間制御される状態としてもよく、適正状態はペナルティが生じていない状態としてもよい。また、非適正状態において、所定のペナルティ期間が経過すると適正状態に制御される。また、ペナルティの発生条件は、非AT中において、順押し以外の押し順(以下、「変則押し」という。)でストップスイッチを操作するなどにより成立する条件である。
また、当該所定のペナルティ期間とは、AT当選確率や付与されるナビストック数の期待値がRT1よりも低下される期間である。つまり、ペナルティが生じることでRT0に制御されることにより、メダル払出率は、RT1のときよりも低下する。したがって、ペナルティ期間であるRT0は、RT1とは異なる払出率が担保されている状態となる。
(2) また、以下のようなスロットマシンであってもよい。たとえば、RT1において、いずれの入賞役にも当選しなかったとき、つまり、CB入賞可能状態となったときには、所定の演出を実行することによりCB入賞可能状態である旨を報知するようにしてもよい。このような所定の演出を実行することにより、CB入賞可能状態である旨を遊技者に認識させることができ、遊技者にCB入賞しないような操作をさせることができる。
当該所定の演出とは、たとえば、液晶表示器51に「CBが入賞するかも!!」といったメッセージを報知するような演出であってもよい。また、当該所定の演出とは、フリーズ演出など遊技者に直感的にCB入賞可能状態である旨を認識させるような演出であってもよい。また、CBを入賞させないために、CB構成図柄(ブランク−ブランク−ブランク)とは異なる図柄を導出させるナビ演出を実行するようにしてもよい。当該異なる図柄とは、たとえば、入賞を発生させない役の図柄であって、特徴的な図柄(たとえば、白7−黒7−白7)とすることが好ましい。また、当該異なる図柄については、入賞を発生させる役の構成図柄でもよく、入賞を発生させない役の構成図柄でもよい。
また、CB入賞可能状態になったときには、所定の特典(たとえばATゲーム数)を付与するようにしてもよい。また、当該特典の付与については、当該所定の演出が実行された後に行うようにしてもよく、所定の演出を実行せずに、行うようにしてもよい。
[メダル払出について]
以下では、所定の当選役が当選したときにおいて、当該当選役に対応する操作手順(以下、「対応操作手順」という。)で操作されたときに入賞する役を「主役」といい、対応操作手順とは異なる操作手順(以下、「非対応操作手順」という。)で操作されたときに入賞する役を「副役」という。本実施例では、図8に示すように、所定の当選役は押し順ベルであり、押し順ベルが当選したときにおいて、対応操作手順で操作されたときには、8枚のメダルが払い出され、かつ取りこぼしがない通常ベルが主役として入賞し、非対応操作手順で操作されたときには、取りこぼされる可能性がある1枚払出役が副役として入賞するとして説明した。つまり、本実施例では、主役よりも副役の方が、入賞したときに払い出されるメダルの枚数は少なく、かつ、主役は取りこぼされない一方、副役は取りこぼされる可能性があるとして説明した。その他にも以下のような構成であってもよい。
たとえば、主役と副役とは、入賞したときに払い出されるメダルの枚数を同数とし、かつ主役は取りこぼされない一方副役は取りこぼされる可能性がある、としてもよい。また、主役よりも副役の方が、入賞したときに払い出されるメダルの枚数は少なく、かつ主役および副役ともに取りこぼされないとしてもよい。
また、副役の方が主役よりも入賞したときに払い出されるメダルの枚数は多いというような構成にしてもよい。このような構成において、主役および副役のうち少なくとも一方は取りこぼされない役としてもよく、他方は取りこぼされる可能性がある役としてもよい。
[特典について]
本実施形態において、AT当選することにより付与される特典はナビストックであるとして説明した。しかしながら、これに限らず、その他の特典であってもよい。たとえば、特典をATゲーム数としてもよい。ATゲーム数とは、ATに制御されるゲーム数をいう。つまり、ATゲーム数を保有している状態において、1のATゲームを消化することにより、ATゲーム数を1減算する。
また、本実施形態においては、ナビストック付与処理によって付与されるナビストック数は1個に限られていた。しかしながら、これに限らず、1度に複数のナビストックが付与されるものであってもよい。さらに、AT抽選において、付与するナビストック数を決定するものであってもよい。
また、直接的にメダルの獲得に繋がる特典に限らず、キャラクタ画像の画像データや音楽データなど、遊技者にとって有益となるものであればいずれの特典であってもよい。このような構成の場合には所定の条件が成立すると、当該成立した条件に応じた数のキャラクタ画像や音楽データが遊技者に対して付与されるものであってもよい。
[有利期間について]
本実施形態において、有利期間として、ナビ演出が実行されるATであるとして説明したが、遊技者にとって有利な期間であれば、他のものであってもよい。たとえば、小役や再遊技役など、所定の当選役についての当選確率が向上するような期間であってもよい。つまり、適正状態において付与された特典に基づき、適正状態において所定の当選役についての当選確率が向上する有利期間に移行するものであってもよい。
また、本実施形態においては、適正状態であるRT1では有利期間としてのATに制御され、非適正状態であるRT0では有利期間としてのATに制御されないものであった。しかしながら、RT0においても、RT1より低い確率でATに制御されるものであってもよい。
[非適正状態におけるAT抽選について]
本実施形態においては、非適正状態であるRT0ではナビストックが付与されないようになっているが、強チェリーや特殊チェリーに当選したときには一応AT抽選を実行するものであった。しかしながら、これに限らず、RT0においてはAT抽選対象役に当選しても一切AT抽選しないものであってもよい。
また、本実施形態においては、適正状態においては7揃いリプが当選するのに対して、非適正状態においては7揃いリプが当選しない結果、ナビストックが付与されないものであった。しかしながら、これに限らず、その他の小役などのAT抽選対象役についても、適正状態においては当選するのに対して、非適正状態においては当選しない結果、ナビストックが付与されないものであってもよい。
[特殊チェリー当選時のナビストック付与について]
本実施形態においては、図14のS23に示したように、特殊チェリー当選したゲームにおいてチェリー3が入賞することを条件に、ナビストックが付与されるものであった。しかしながら、これに限らず、特殊チェリー当選したゲームにおいて、入賞結果にかかわらず、予め定められた押し順で遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rの操作をしたことを条件にナビストックが付与されるものであってもよい。
また、本実施形態においては、特殊チェリーにはチェリー3の他にも左リプ1枚1〜16が含まれていたが、チェリー3のみが含まれていてもよい。この場合において、適正状態であるRT1において特殊チェリーに当選したときにはCBと同時当選するため、チェリー3が入賞可能でありナビストックが付与されるのに対して、非適正状態であるRT0において特殊チェリーに当選したときにはチェリー3の単独当選となるため、チェリー3が入賞不可能でありナビストックが付与されないものであってもよい。
[初期化について]
本実施形態においては、リセットスイッチ23が操作されることにより、RAM41cおよびRAM91cが初期化されるとして説明した。しかしながら、これに限らず、他の操作により当該初期化がされ、さらに、RT1から特定RT0に制御されるようにしてもよい。他の操作としては、たとえば、リセット/設定スイッチ38の操作などがある。リセット/設定スイッチ38とは、設定値を変更させるためなどに操作される操作部である。また他の操作は、「メイン制御基板40に接続されたコネクタ(たとえば、電源基板101からのコネクタ)を外す操作」としてもよい。なお、「メイン制御基板40に接続されたコネクタを外す操作」は、たとえば、メイン制御基板40の周辺機器などを交換するために作業員などにより行われる。
[エラーについて]
本実施形態では、RAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっていることを説明した。しかしながら、これに限らず、RAM異常エラー状態はリセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作することにより、解除されるようにしてもよい。また、複数のエラーの中には、ラムクリア(リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38)のみで解除できるものがあってもよい。また、エラーは設計値変更で解消される構成であってもよい。
[CBゲームについて]
前述したCBゲームにおいては、入賞した小役にかかわらず、2枚のメダルが払い出されるとして説明したが、払出枚数をたとえば賭数である3枚以上としてもよい。これにより、CBゲームにおいては、メダルの純増数が増え、遊技の興趣を向上させることができる。
本実施形態では、抽選対象役としてのCBは、CB+スイカ1であるとして説明したがCBとともに当選する当選役は、スイカ1に限らず、他の当選役であってもよい。当該他の当選役とは、たとえば、取りこぼしのない役(たとえば、通常リプ)としてもよい。このように、他の当選役を取りこぼしのない役とすることにより、CB当選したゲームにおいては、必ず取りこぼしのない役が入賞することになり、CB入賞を避けることができる。
また、抽選対象役としてのCBについては、CB単独当選(他の役が同時当選しない)としてもよい。このように、CB単独当選することにより、CBに入賞させることができる機会が増加し、遊技の興趣を向上させることができる。また、この場合には、「CB入賞可能状態」とは、CB単独当選したときである。したがって、CB単独当選する確率については、極めて小さい値(本実施形態の例では1/65536)とすることが好ましい。なお、RT0において、CBが当選したゲームでCB入賞するという状況が起こり得る。
また、CBについての抽選対象役として、「CBが単独当選する第1当選役」および「CBが他の当選役とともに当選する第2当選役」の2つの当選役を備えるようにしてもよい。このように、第1当選役および第2当選役を備えることにより、CB入賞する状況とCB入賞しない状況とが起こり得ることから、遊技の興趣を向上させることができる。
[CB入賞可能状態の確率について]
本実施形態において、CB入賞可能状態になる確率(以下、「CB入賞可能状態確率」という。)は、1/65536として説明したがこれに限られるものではない。CB入賞可能状態確率は、所定期間および当該所定期間でCB入賞可能状態を発生させる頻度(回数)から定めるようにしてもよい。具体的には、1台のスロットマシンに対して当該所定期間に遊技される推定回数を用いるようにすればよい。以下の説明では、当該所定期間を1日とし、CB入賞可能状態を発生させる頻度を1回とする。
本実施形態においては、スタートスイッチ7を操作した時から、第1停止させるストップスイッチの操作が有効になる時までの時間(ウェイトタイム)が定められている。本実施形態のスロットマシンのウェイトタイムは4、1秒(つまり、約5秒)に設定されている。したがって、遊技店の営業時間が12時間であり、かつ当該12時間の間において休止することなく継続して遊技されたと仮定すると、1日の遊技回数は、約8640回であると推定することができる。そして、1日に1回、CB入賞可能状態を発生させるためには、CB入賞可能状態確率を1/8640または1/8640未満とすればよい。
[再遊技役の当選について]
本実施形態においては、再遊技役の当選役として、図9に示した各種役を説明したが、これに限られるものではなく、再遊技役の当選役として、たとえば、再遊技役の全てが当選する「オールリプ」を備えるものであってもよい。このオールリプを備えることにより、オールリプに当選したときには遊技者による操作手順により、導出させる再遊技役の種類を異ならせるようにすることができる。したがって、オールリプに当選したときにおいて、遊技の進行上入賞させたい再遊技役があるときには、サブ制御部91は、入賞させたい再遊技役の図柄組合せを導出させるようにナビ演出などをすることも可能となる。
[通常ベルとベルリプ1〜5との関係について]
本実施形態においては、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞したときには、入賞ラインL1上に入賞したベルリプ1〜5のいずれかに対応する図柄組合せが表示されるとともに、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、右リール2Rの上段に跨った位置、もしくは左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、右リール2Rの下段に跨った位置に通常ベルの図柄組合せである「ベル−ベル−ベル」が表示されるものであった。しかしながら、その他の役や図柄組合せ、表示位置であってもよい。
たとえば、通常ベルに限らず、チェリーやスイカなどその他の小役であってもよい。また、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に表示される図柄組合せは、通常ベルのように「ベル」図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果に限らず、スイカ1〜8のように「スイカ」図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、チェリー1〜3のように「チェリー」図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、あるいは「チェリー」図柄とその他の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、あるいは複数のリールのうちいずれかのリールの一部に「チェリー」図柄が導出される表示結果であってもよい。つまり、他の一般的なスロットマシンで小役として用いられていることで遊技者が経験則から小役であると認識しがちな、「ベル」図柄揃い、「スイカ」図柄揃い、「チェリー」図柄揃い、あるいは「チェリー」図柄とその他の図柄からなるものであってもよい。
また、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に表示される図柄組合せは、通常ベルのように「ベル」図柄を想定させるような黄色の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果に限らず、スイカ1〜8のように「スイカ」図柄を想定させるような緑色の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、チェリー1〜3のように「チェリー」図柄を想定させるような赤色の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、あるいは「チェリー」図柄を想定させるような赤色の図柄とその他の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果」、あるいは複数のリールのうちいずれかのリールの一部に「チェリー」図柄を想定させるような赤色の図柄が導出される表示結果であってもよい。つまり、他の一般的なスロットマシンで小役として用いられていることで遊技者が経験則から小役であると認識しがちな、黄色の図柄揃い、緑色の図柄揃い、赤色の図柄揃い、あるいは赤色の図柄とその他の図柄からなるものであってもよい。
さらに、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に表示される図柄組合せは、通常ベルのような小役の図柄組合せに限らず、遊技者に小役と認識させる図柄組合せであればよい。言い換えると、遊技者に再遊技役やハズレの図柄組合せが導出されたと認識させる図柄組合せ以外の図柄組合せであればよい。遊技者に再遊技役が導出されたと認識させる図柄組合せとしては、「再」、「再遊技」、「再遊戯」、「リプレイ」、「リプ」、「りぷ」、「りぷれい」、「R」、「RE」、「REP」、「RP」、および「REPLAY」のうちいずれかの文字が付された図柄から構成される図柄組合せがある。また、所定の果物(たとえば、ベル、スイカ、チェリー)の図柄から構成される図柄組合せが小役であるものとすれば、遊技者に再遊技役が導出されたと認識させる図柄組合せとしては、所定の果物(たとえば、ベル、スイカ、チェリー)以外の果物の図柄から構成される図柄組合せがある。また、小役が導出されたときに払い出し音が鳴るものであれば、導出されたときに、その払い出し音が鳴る図柄組合せは、遊技者に小役と認識させる図柄組合せとなる。
また、本実施形態においては、「通常ベル」が入賞することでメダルの払い出しがあるが、「通常ベル」が入賞してもメダルが払い出されないものであってもよい。たとえば、「通常ベル」が入賞することで、次のゲームがメダルを消費することなく行えるものであってもよい。この場合でも、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に通常ベルの図柄組合せが導出されることで、遊技者は他の一般的なスロットマシンで小役として認識しているために、メダルが払い出されるものだと認識させることができる。
さらに、たとえば、「通常ベル」は入賞しないハズレ図柄の組合せであってもよい。この場合でも、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に通常ベルの図柄組合せが導出されることで、遊技者は他の一般的なスロットマシンで小役として認識しているために、メダルが払い出されるものだと認識させることができる。
なお、「通常ベル」の図柄組合せにおいて、スロットマシン固有の図柄、たとえば、ロゴや小役によく用いられる色(黄色、緑色、赤色)以外の色の図柄を用いる場合には、他の一般的なスロットマシンで小役として認識されていないため、入賞によってメダルの払い出しが行われるものである必要がある。
また、左リール2Lの中段、中リール2Cの中段、右リール2Rの中段に跨った入賞ラインL1に限らず、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、右リール2Rの上段に跨って設定された入賞ラインL2、左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、右リール2Rの下段に跨って設定された入賞ラインL3、左リール2Lの下段、中リール2Cの中段、右リール2Rの上段に跨って設定された入賞ラインL4、左リール2Lの下段、中リール2Cの下段、右リール2Rの下段に跨って設定された入賞ラインL5などを用いてもよい。さらに、1本の入賞ラインに限らず、複数本の入賞ラインが設定されているものであってもよい。上記のような入賞ラインを設定するものであっても、ベルリプ1〜5のいずれかに入賞したときには、入賞ライン上に入賞したベルリプ1〜5のいずれかに対応する図柄組合せが表示されるとともに、入賞ライン以外のラインに通常ベルの図柄組合せが表示されるものであればよい。
また、本実施形態においては、入賞が発生する位置にベルリプ1〜5のいずれかの図柄組合せが導出したときに、入賞が発生しない位置に通常ベルの図柄組合せが導出するパターンを用いていたが、これに限らない。たとえば、入賞が発生する位置にベルリプ1〜5のいずれかの図柄組合せが導出したときに、入賞が発生する位置に通常ベルの図柄組合せが導出するパターンであってもよい。また、たとえば、入賞が発生しない位置にベルリプ1〜5のいずれかの図柄組合せが導出したときに、入賞が発生する位置に通常ベルの図柄組合せが導出するパターンであってもよい。また、たとえば、入賞が発生しない位置にベルリプ1〜5のいずれかの図柄組合せが導出したときに、入賞が発生しない位置に通常ベルの図柄組合せが導出するパターンであってもよい。
また、本実施形態においては、ベルリプ1〜5のいずれかの図柄組合せが導出したことによってベルリプ1〜5のいずれかが入賞し、かつその他の位置に導出された通常ベルの図柄組合せによっては入賞しないパターンを用いていたが、これに限らない。たとえば、ベルリプ1〜5のいずれかの図柄組合せが導出したことによってはベルリプ1〜5が入賞せず、かつその他の位置に導出された通常ベルの図柄組合せによっては入賞するパターンであってもよい。また、たとえば、ベルリプ1〜5のいずれかの図柄組合せが導出したことによってはベルリプ1〜5が入賞せず、かつその他の位置に導出された通常ベルの図柄組合せによっても入賞しないパターンであってもよい。
[本実施形態におけるその他の変形例や実施の形態の特徴点について]
(1) ナビストック数が残存している状態で遊技者にとって有利なボーナスに当選したときにおける当該ナビストック数について、クリア(たとえば「0」)する処理を行うものであってもよく、当該ボーナス終了後まで持ち越す処理を行うものであってもよく、所定数減算する処理を行うものであってもよく、所定数上乗せ加算する処理を行うものであってもよく、また当該ボーナス当選ごとにいずれの処理を行うかを決定し、該決定された処理を行うものであってもよい。これにより、ナビストック数が残存している状態においてボーナス当選したときのバリエーションが増加し、遊技の興趣を向上させることができる。
(2) 前述した実施例では、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能なリールを複数備え、リールを変動表示した後、リールの変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数のリールの表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンについて説明した。すなわち、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンについて説明した。しかし、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンであれば、3つのリールを備えるものに限らず、1のリールしか備えないものや、3以外の複数のリールを備えるスロットマシンであってもよい。
換言すれば、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な複数の可変表示領域のそれぞれに表示結果を導出させることが可能な可変表示装置を備え、遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、前記複数の可変表示領域のすべてに前記表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、1ゲームの結果として前記複数の可変表示領域のそれぞれに導出された前記表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンについて説明した。しかし、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであれば、3つのリールを有する可変表示装置を備えるものに限らず、3以外の複数のリールを有する可変表示装置を備えるスロットマシンであってもよい。
また、上記の実施例では、賭数の設定や入賞に伴う遊技用価値の付与に用いる遊技媒体としてメダルを適用したスロットマシンを例として説明した。しかしながら、本発明を具現化するスロットマシンは、パチンコ遊技機で用いられている遊技球を遊技媒体として適用したスロットマシンであってもよい。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、例えば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、上記の実施例で賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
また、上記の実施例では、メダル並びにクレジットを用いて賭数を設定するスロットマシンを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、クレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであってもよい。
本実施例として、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すスロットマシンを説明したが、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式のスロットマシンを採用してもよい。
なお、今回開示された実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。