JP2015166162A - 空気入りタイヤの製造装置および空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴムストリップに内包されるシュリンク力を低減させて、ローカバーの表面や内部に発生するゴムストリップ切れを減少させると共に、歪の発生を充分に抑制してタイヤの転がり抵抗を低減させることができる空気入りタイヤの製造装置および空気入りタイヤの製造方法を提供する。【解決手段】押出機、カレンダー、搬送コンベアおよび成形貼り付けドラムがゴムストリップの搬送上流側から順に配置されて構成され、押出機から成形貼り付けドラムまでゴムストリップを連続して供給して空気入りタイヤの構成部材を形成し、形成された前記空気入りタイヤの構成部材を用いて空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造装置であって、カレンダーの速度を、搬送コンベアの速度に比べて120〜140%となるように制御する制御手段が設けられている空気入りタイヤの製造装置。【選択図】なし
Description
本発明は、空気入りタイヤの製造装置および空気入りタイヤの製造方法に関する。
空気入りタイヤの製造に際しては、押出機にて押出加工された後、カレンダーにて圧延されて形成された未加硫ゴムストリップを、成形貼り付けドラムまで搬送して、アプリケーターにより成形貼り付けドラム上に貼り付けて、各種のタイヤ構成部材を形成させて、ローカバー(未加硫タイヤ)を成形している(例えば、特許文献1)。
このとき、一般に、押出機、カレンダー、搬送コンベア、アプリケーター、および成形貼り付けドラムが、順に連続して配置されて構成された空気入りタイヤの製造装置(以下、単に「製造装置」ともいう)が用いられている。
しかしながら、未加硫ゴムには冷却過程において縮む力が発生してゴムストリップのシュリンク(縮み)を招くという性質があるため、押出機から成形貼り付けドラムまで連続してゴムストリップを搬送してローカバーの成形を行った場合、ゴムストリップが充分に冷却されず、この縮む力(以下、「シュリンク力」ともいう)が内包されたままローカバーが成形される恐れがある。
このようにシュリンク力が内包されたままローカバーが成形されると、成形されたローカバーの表面や内部に、内包されたシュリンク力によるストリップ切れが発生する恐れがある。
一方、近年、空気入りタイヤの転がり抵抗の低減に対する要求が高まっており、空気入りタイヤ各部の歪の低減が、この転がり抵抗の低減を図る上で有効な手段であることが分かっている。そして、上記したシュリンクはこの歪と関係しており、シュリンクの発生が転がり抵抗の悪化を招く要因となっていることが分かっている。
そこで、タイヤの製造工程において生じるシュリンクを調整する技術が提案されている。
具体的な一例として、上記した製造装置において、例えば、搬送コンベアの速度を100として、押出しの速度を100、カレンダーの速度を105、アプリケーターの速度を100、成形貼り付けドラムの速度を102というように、各ポジション間に速度差を設定することにより、シュリンク力を吸収させることが提案されている。
しかしながら、ゴムストリップのシュリンクを調整する技術は存在するものの、シュリンクを制御する技術については未だ提案されておらず、さらなる技術の改善が求められていた。
そこで、本発明は、ゴムストリップに内包されるシュリンク力を低減させて、ローカバーの表面や内部に発生するゴムストリップ切れを減少させると共に、歪の発生を充分に抑制してタイヤの転がり抵抗を低減させることができる空気入りタイヤの製造装置および空気入りタイヤの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、以下に記載する発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
請求項1に記載の発明は、
押出機、カレンダー、搬送コンベアおよび成形貼り付けドラムがゴムストリップの搬送上流側から順に配置されて構成され、前記押出機から前記成形貼り付けドラムまでゴムストリップを連続して供給して空気入りタイヤの構成部材を形成し、形成された前記空気入りタイヤの構成部材を用いてローカバーを成形して空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造装置であって、
前記カレンダーの速度を、前記搬送コンベアの速度に比べて120〜140%となるように制御する制御手段を備えていることを特徴とする空気入りタイヤの製造装置である。
押出機、カレンダー、搬送コンベアおよび成形貼り付けドラムがゴムストリップの搬送上流側から順に配置されて構成され、前記押出機から前記成形貼り付けドラムまでゴムストリップを連続して供給して空気入りタイヤの構成部材を形成し、形成された前記空気入りタイヤの構成部材を用いてローカバーを成形して空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造装置であって、
前記カレンダーの速度を、前記搬送コンベアの速度に比べて120〜140%となるように制御する制御手段を備えていることを特徴とする空気入りタイヤの製造装置である。
請求項2に記載の発明は、
前記制御手段が、前記押出機、前記カレンダー、前記搬送コンベアおよび前記成形貼り付けドラムにおける速度をそれぞれ独立して設定する速度設定手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤの製造装置である。
前記制御手段が、前記押出機、前記カレンダー、前記搬送コンベアおよび前記成形貼り付けドラムにおける速度をそれぞれ独立して設定する速度設定手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤの製造装置である。
請求項3に記載の発明は、
前記空気入りタイヤの構成部材が、キャップ、ベース、アンダー、アウターサイドウォール、インナーサイドウォール、チェーファー、インナーライナー、インスレーション、クラウンストリップ、ブレーカークッションであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤの製造装置である。
前記空気入りタイヤの構成部材が、キャップ、ベース、アンダー、アウターサイドウォール、インナーサイドウォール、チェーファー、インナーライナー、インスレーション、クラウンストリップ、ブレーカークッションであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤの製造装置である。
請求項4に記載の発明は、
押出機によりゴムストリップを押出す押出し工程と、カレンダーにより前記ゴムストリップをシート状に加工するカレンダー工程と、成形貼り付けドラムに向けて搬送コンベアにより前記ゴムストリップを搬送する搬送工程と、前記ゴムストリップを前記成形貼り付けドラムに貼り付ける貼り付け工程とを備えており、前記押出機から前記成形貼り付けドラムまでゴムストリップを連続して供給して空気入りタイヤの構成部材を形成し、形成された前記空気入りタイヤの構成部材を用いてローカバーを成形して空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、
前記カレンダーの速度を、前記搬送コンベアの速度に比べて120〜140%となるように制御することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
押出機によりゴムストリップを押出す押出し工程と、カレンダーにより前記ゴムストリップをシート状に加工するカレンダー工程と、成形貼り付けドラムに向けて搬送コンベアにより前記ゴムストリップを搬送する搬送工程と、前記ゴムストリップを前記成形貼り付けドラムに貼り付ける貼り付け工程とを備えており、前記押出機から前記成形貼り付けドラムまでゴムストリップを連続して供給して空気入りタイヤの構成部材を形成し、形成された前記空気入りタイヤの構成部材を用いてローカバーを成形して空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、
前記カレンダーの速度を、前記搬送コンベアの速度に比べて120〜140%となるように制御することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
本発明によれば、ゴムストリップに内包されるシュリンク力を低減させて、ローカバーの表面や内部に発生するゴムストリップ切れを減少させると共に、歪の発生を充分に抑制してタイヤの転がり抵抗を低減させることができる空気入りタイヤの製造装置および空気入りタイヤの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施の形態に基づき、具体的に説明する。
本実施の形態に係る空気入りタイヤの製造装置は、従来の製造装置と同様に、押出機、カレンダー、搬送コンベア、成形貼り付けドラムが、ゴムストリップの搬送上流側から順に配置されて構成されている。そして、押出機から成形貼り付けドラムまでゴムストリップを連続して供給することにより、空気入りタイヤの構成部材が形成されるようになっている。そして、本実施の形態に係る製造装置は、さらに、搬送されてきたゴムストリップを成形貼り付けドラムに貼り付けるためのアプリケーターも備えている。
本発明者は、上記の構成の製造装置において、各ポジションにおける速度、特に、カレンダーの速度と搬送コンベアの速度を適切に制御することにより、具体的には、カレンダーの速度を搬送コンベアの速度に比べて120〜140%となるように制御することにより、ゴムストリップに内包されるシュリンク力を低減させて、ローカバーの表面や内部に発生するゴムストリップ切れを減少させることができ、さらに、歪の発生を充分に抑制してタイヤの転がり抵抗を低減させることができることを見出した。
このように、カレンダーの速度を搬送コンベアの速度に比べて120〜140%となるように制御することにより、カレンダーと搬送コンベアとの間の隙間においてゴムストリップにたるみが生じ、ゴムストリップに内包されていたシュリンク力を解放することができるため、シュリンク力を低減させることができる。
なお、上記したカレンダーと搬送コンベア以外、即ち、押出機、アプリケーター、成形貼り付けドラムの速度は、ゴムストリップの種類やサイズに応じて適宜設定されるが、通常、搬送コンベアの速度に対して、押出機とアプリケーターの速度は100%に、成形貼り付けドラムの速度は98〜102%程度に設定されることが好ましい。
上記したような各ポジションにおける速度差の設定は制御手段により行われるが、このとき、この制御手段が、これらの速度をそれぞれ独立して設定する速度設定手段を備えていることが好ましい。これにより、各ポジションにおける速度差の設定を容易に行うことができる。
そして、本実施の形態に係る製造装置は、ゴムストリップを用いて、特に、キャップ、ベース、アンダー、アウターサイドウォール、インナーサイドウォール、チェーファー、インナーライナー、インスレーション、クラウンストリップ、ブレーカークッションを形成する際に顕著な効果を発揮させることができる。
そして、本実施の形態に係る製造装置を使用して形成されたこれらの空気入りタイヤの構成部材は、ゴムストリップに内包されるシュリンク力が低減されているため、これらを用いてローカバーを成形し、さらに空気入りタイヤを製造した場合、優れた性能の空気入りタイヤを提供することができる。
1.試験体の作製
押出機、カレンダー、搬送コンベア、成形貼り付けドラムにおける各速度を変化させて種々の構成部材を形成して、ローカバーの成形を行った。
押出機、カレンダー、搬送コンベア、成形貼り付けドラムにおける各速度を変化させて種々の構成部材を形成して、ローカバーの成形を行った。
具体的には、各ポジションにおける設定速度を表1に示すように変化させて、押出機により幅30mm、厚み2.5mmのゴムストリップを作成し、カレンダーにて形状を安定させた上で搬送コンベアで成形貼り付けドラムまで搬送した。なお、表1における各設定速度は、搬送コンベア速度を100とする指数で示した。なお、表1には記載していないが、アプリケーターの速度は搬送コンベア速度と同じとした。
その後、各構成部材の形状を作成するために、ゴムストリップの重なり具合を調整して成形貼り付けドラム上に貼り付け、タイヤサイズが275/80R22.5のローカバーを成形し、実施例1〜4、比較例1〜3の試験体とした(各3本)。なお、比較例2は、前記した従来の速度設定、即ち、搬送コンベアの速度を100として、押出しの速度を100、カレンダーの速度を105、成形貼り付けドラムの速度を102に合わせて速度設定した。
2.評価
(1)評価項目
各試験体に対して、以下の項目について評価した。
(1)評価項目
各試験体に対して、以下の項目について評価した。
(イ)シュリンクの評価
シュリンクの評価は、ストリップシュリンク率(%)により評価した。
シュリンクの評価は、ストリップシュリンク率(%)により評価した。
具体的には、各試験体の作製時、ゴムストリップをドラム貼り付け前に取り上げ、1mの長さにカットして室温に放置し、5分後、10分後での長さを測定し、測定前の長さ(1m)に対する縮み(シュリンク)の程度を求め、ストリップシュリンク率(%)として評価した。
(ロ)ストリップ切れの評価
ストリップ切れの評価は、ストリップ切れに起因するタイヤ不良の発生率により評価した。
ストリップ切れの評価は、ストリップ切れに起因するタイヤ不良の発生率により評価した。
具体的には、各試験体におけるストリップ切れに起因するタイヤ不良の発生を観察し、各実施例および各比較例におけるタイヤ不良の発生率を求め、比較例2におけるタイヤ不良の発生率に対する指数で評価した。
(ハ)転がり抵抗
各試験体について、ISO 28580に準拠した方法を用いて転がり抵抗を測定し、比較例2における転がり抵抗に対する指数で評価した。
各試験体について、ISO 28580に準拠した方法を用いて転がり抵抗を測定し、比較例2における転がり抵抗に対する指数で評価した。
(2)評価結果
評価結果を表1に示す。
評価結果を表1に示す。
上記した試験体の作製において、比較例1の場合には、押出機とカレンダーとの間で、ゴムストリップが弛み、蛇行が発生したため、空気入りタイヤの構成部材を形成することができず、ローカバーの成形ができなかった。
そして、表1より、カレンダー速度が105の場合(比較例2および比較例3)には、成形貼り付けドラムの速度を調整したとしても、ストリップシュリンク率、ストリップ切れに起因するタイヤ不良、転がり抵抗のいずれも改善できないことが分かる。
一方、カレンダー速度が120以上の場合(実施例1〜4)、機械の上限である140になっても(実施例4)、ストリップシュリンク率、ストリップ切れに起因するタイヤ不良のいずれも低下していることが分かる。また、転がり抵抗は、実施例1が従来と同等である以外は、実施例2〜4において従来より減少していることが分かる。
以上の結果から、カレンダーの速度を搬送コンベアの速度に対して120〜140%に設定することにより、ゴムストリップに内包されるシュリンク力を低減させて、ローカバーの表面や内部に発生するゴムストリップ切れを大幅に減少させると共に、歪の発生を充分に抑制してタイヤの転がり抵抗を低減させることができることが確認された。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
Claims (4)
- 押出機、カレンダー、搬送コンベアおよび成形貼り付けドラムがゴムストリップの搬送上流側から順に配置されて構成され、前記押出機から前記成形貼り付けドラムまでゴムストリップを連続して供給して空気入りタイヤの構成部材を形成し、形成された前記空気入りタイヤの構成部材を用いてローカバーを成形して空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造装置であって、
前記カレンダーの速度を、前記搬送コンベアの速度に比べて120〜140%となるように制御する制御手段を備えていることを特徴とする空気入りタイヤの製造装置。 - 前記制御手段が、前記押出機、前記カレンダー、前記搬送コンベアおよび前記成形貼り付けドラムにおける速度をそれぞれ独立して設定する速度設定手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤの製造装置。
- 前記空気入りタイヤの構成部材が、キャップ、ベース、アンダー、アウターサイドウォール、インナーサイドウォール、チェーファー、インナーライナー、インスレーション、クラウンストリップ、ブレーカークッションであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤの製造装置。
- 押出機によりゴムストリップを押出す押出し工程と、カレンダーにより前記ゴムストリップをシート状に加工するカレンダー工程と、成形貼り付けドラムに向けて搬送コンベアにより前記ゴムストリップを搬送する搬送工程と、前記ゴムストリップを前記成形貼り付けドラムに貼り付ける貼り付け工程とを備えており、前記押出機から前記成形貼り付けドラムまでゴムストリップを連続して供給して空気入りタイヤの構成部材を形成し、形成された前記空気入りタイヤの構成部材を用いてローカバーを成形して空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、
前記カレンダーの速度を、前記搬送コンベアの速度に比べて120〜140%となるように制御することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
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JP2014041364A JP2015166162A (ja) | 2014-03-04 | 2014-03-04 | 空気入りタイヤの製造装置および空気入りタイヤの製造方法 |
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