JP2015164909A - 炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法、プロピレンの製造方法及びオレフィンの製造方法 - Google Patents

炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法、プロピレンの製造方法及びオレフィンの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015164909A
JP2015164909A JP2014189377A JP2014189377A JP2015164909A JP 2015164909 A JP2015164909 A JP 2015164909A JP 2014189377 A JP2014189377 A JP 2014189377A JP 2014189377 A JP2014189377 A JP 2014189377A JP 2015164909 A JP2015164909 A JP 2015164909A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
mol
iron
olefin
catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014189377A
Other languages
English (en)
Inventor
範立 椿
Noritatsu Tsubaki
範立 椿
村田 誠
Makoto Murata
誠 村田
武 石山
Takeshi Ishiyama
武 石山
田中 啓介
Keisuke Tanaka
啓介 田中
東村 秀之
Hideyuki Higashimura
秀之 東村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyama University
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Toyama University
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyama University, Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Toyama University
Priority to JP2014189377A priority Critical patent/JP2015164909A/ja
Publication of JP2015164909A publication Critical patent/JP2015164909A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

【課題】副生物である二酸化炭素の選択率を抑制しつつ、炭素原子数2〜4の軽質オレフィンの選択率が高い製造方法、特にプロピレンの選択率が高い製造方法の提供、及び、副生物である二酸化炭素の選択率を抑制しつつ、オレフィンの選択率が高い製造方法の提供。【解決手段】フィッシャー・トロプシュ反応において、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、鉄元素を含む触媒と分散媒との共存下において反応させ、炭化水素化合物を含む混合物を得る第1工程と、前記混合物をアルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むゼオライトからなる分解触媒に接触させ、接触分解する第2工程と、を有し、第1工程における合成ガスの二酸化炭素の含有量が0.3モル%以上50モル%未満であり、第1工程において式(1)から算出されるZが7?10−1以下である、炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。[数1]【選択図】なし

Description

一酸化炭素及び水素の混合物(以下、「合成ガス」と称することがある)から炭化水素を合成する反応として、フィッシャー・トロプシュ反応(以下、「FT反応」と称することがある。)が知られている。FT反応は、金属触媒を用いた反応であり、反応式は、以下の式(100)の通りに表される。
nCO + 2nH → (CH + nHO ・・・(100)
従来、FT反応による炭化水素の合成は、飽和炭化水素を目的物とするものがほとんどであった。このようにして得られた飽和炭化水素は、さらに水素化分解・異性化等、様々な工程を経て、燃料や潤滑油として使用されている。
従来のFT反応においては、飽和炭化水素が生成すると同時に、不飽和炭化水素やアルコール等の含酸素化合物も生成し得る。しかし、従来のFT反応におけるこれらの化合物の選択率は、非常に低いものであった。
一方、エチレン、プロピレン、ブテン等の低級(炭素数が少ない)オレフィンは、様々な化合物を製造するための原料化合物として幅広く用いられている。例えばプロピレンは、ポリプロピレン製造のための出発物質として用いられている。そこで近年では、FT反応を利用したオレフィンの製造方法が検討されている。
例えば、特許文献1及び2では、マンガン系化合物を担体とする鉄系触媒を用いた、高収率でのオレフィン製造を目的とするFT反応について開示されている。
特公昭56−48491号公報 米国特許第4177203号明細書
しかしながら、特許文献1及び2で開示されている触媒及び方法は、反応生成物中の不飽和炭化水素、特に炭素原子数2〜4の軽質オレフィン(以下、「C2〜C4オレフィン」と称することもある。)の含有率が必ずしも十分ではなく、改善が求められていた。
また、鉄系触媒を用いたFT反応においては、反応生成物中の二酸化炭素の含有率が上昇することがあるという問題点があった。
なお、本明細書においては、反応生成物中の不飽和炭化水素の含有率を「不飽和炭化水素の選択率」と称することがある。また、反応生成物中のC2〜C4オレフィンの含有率を「C2〜C4オレフィンの選択率」と称することがある。そして、反応生成物中のその他の化合物(例えば、プロピレン、二酸化炭素等)の含有率も、同様に「化合物の選択率」と称することがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、副生物である二酸化炭素の選択率を抑制しつつ、炭素原子数2〜4の軽質オレフィンの選択率が高い製造方法、特にプロピレンの選択率が高い製造方法を提供すること、さらに、副生物である二酸化炭素の選択率を抑制しつつ、オレフィンの選択率が高い製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、フィッシャー・トロプシュ反応において、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、鉄元素を含む触媒と分散媒との共存下において反応させ、炭化水素化合物を含む混合物を得る第1工程と、前記第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物を、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むゼオライトからなる分解触媒に接触させ、接触分解する第2工程と、を有し、前記第1工程における前記合成ガスの二酸化炭素の含有量が、0.3モル%以上50モル%未満であり、前記第1工程において、下記式(1)から算出されるZが7×10−1以下である、炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法を提供する。
Figure 2015164909
(式(1)中、P(CO2)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素のモル数を示し;P(H2)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水素のモル数を示し;P(CO)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の一酸化炭素のモル数を示し;P(H2O)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水のモル数を示し;K(WGS)は第1工程の反応温度における水性ガスシフト反応の平衡定数を示す。)
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記ゼオライトが、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びd−ブロック元素からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むゼオライトであることが好ましい。
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記ゼオライトが、ZSM−5であり、前記ゼオライトにおけるAlに対するSiOのモル比(SiOのモル数/Alのモル数)が、50以上4000以下であることが好ましい。
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記分解触媒中の、前記アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種以上の元素の含有量が、0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記分解触媒中の、前記アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種類以上の元素が、アルカリ土類金属元素であることが好ましい。
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記第2工程において、接触分解時の反応圧力が0.01MPa以上0.5MPa以下であることが好ましい。
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記鉄元素を含む触媒が、マンガン、銅、亜鉛、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる1〜3種の元素をさらに含むことが好ましい。
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記鉄元素を含む触媒が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれる1〜3種の元素をさらに含むことが好ましい。
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記鉄元素を含む触媒が、下記元素(1)及び(2)を含み、且つ下記条件(3)を満たすことが好ましい。
元素(1):鉄元素及びマンガン元素
元素(2):アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれる1〜3種の金属元素
条件(3):前記元素(1)及び(2)の合計量に対する鉄元素の割合をaモル%とし、前記元素(1)及び(2)の合計量に対するマンガン元素の割合をbモル%とし、前記元素(1)及び(2)の合計量に対する前記元素(2)の合計割合をcモル%としたとき、50≦a≦90、9.5≦b≦48、0.5≦c≦10であり、ただし、a+b+c=100である。
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記合成ガスにおいて、一酸化炭素に対する水素のモル比(水素のモル数/一酸化炭素のモル数)が0.3以上3以下であることが好ましい。
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記第1工程における反応温度が、100℃以上600℃以下であることが好ましい。
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記第1工程における反応圧力が、0.1MPa以上50MPa以下であることが好ましい。
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記分散媒が、常圧下、100℃以上600℃以下の温度範囲で液状の有機化合物であることが好ましい。
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記Zが5×10−1以下であることが好ましい。
本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法においては、前記第1工程において、得られた炭化水素生成物を構成する全炭素原子数に対する、炭素原子数2〜4のオレフィンを構成する全炭素原子数の割合が、18モル%以上であることが好ましい。
また、本発明は、上記本発明の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法を用いる、プロピレンの製造方法を提供する。
また、本発明は、フィッシャー・トロプシュ反応において、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、鉄元素及び鉄元素以外の遷移金属元素を含む触媒の共存下において反応させ、炭化水素化合物を含む混合物を得る工程を有し、前記工程における前記合成ガスの二酸化炭素の含有量が、0.3モル%以上50モル%未満であり、前記触媒中の、鉄元素及び鉄元素以外の遷移金属元素の合計含有量が、前記触媒が含む全ての金属元素に対して、77モル%より大きく100モル%以下であり、前記工程において、下記式(01)から算出されるZ01が7×10−1以下である、オレフィンの製造方法を提供する。
Figure 2015164909
(式(01)中、P01(CO2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素のモル数を示し;P01(H2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水素のモル数を示し;P01(CO)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の一酸化炭素のモル数を示し;P01(H2O)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水のモル数を示し;K01(WGS)は前記工程の反応温度における水性ガスシフト反応の平衡定数を示す。)
また、本発明は、フィッシャー・トロプシュ反応において、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、鉄元素及びマンガン元素を含む触媒と分散媒との共存下において反応させ、炭化水素化合物を含む混合物を得る工程を有し、前記工程における前記合成ガスの二酸化炭素の含有量が、0.3モル%以上50モル%未満であり、前記工程において、下記式(01)から算出されるZ01が7×10−1以下である、オレフィンの製造方法を提供する。
Figure 2015164909
(式(01)中、P01(CO2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素のモル数を示し;P01(H2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水素のモル数を示し;P01(CO)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の一酸化炭素のモル数を示し;P01(H2O)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水のモル数を示し;K01(WGS)は前記工程の反応温度における水性ガスシフト反応の平衡定数を示す。)
本発明のオレフィンの製造方法においては、前記Z01が5×10−1以下であることが好ましい。
本発明によれば、副生物である二酸化炭素の選択率を抑制しつつ、炭素原子数2〜4の軽質オレフィンの選択率が高い製造方法、特にプロピレンの選択率が高い製造方法が提供され、さらに、副生物である二酸化炭素の選択率を抑制しつつ、オレフィンの選択率が高い製造方法が提供される。
第1実施形態に係る炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法において、第1工程及び第2工程を行うのに用いる製造装置の一例を示す模式図である。 第2実施形態に係るオレフィンの製造方法において反応工程(I)を、第3実施形態に係るオレフィンの製造方法において反応工程(II)を、それぞれ行うのに用いる製造装置の一例を示す模式図である。
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態に係る、炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法は、フィッシャー・トロプシュ反応(FT反応)において、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、鉄元素を含む触媒(以下、「鉄系触媒」と称することがある。)と分散媒との共存下において反応させ、炭化水素化合物を含む混合物を得る第1工程と、前記第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物を、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むゼオライトからなる分解触媒に接触させ、接触分解する第2工程と、を有し、前記第1工程における前記合成ガスの二酸化炭素の含有量が、0.3モル%以上50モル%未満であり、前記第1工程において、下記式(1)から算出されるZが7×10−1以下のものである。
Figure 2015164909
(式(1)中、P(CO2)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素のモル数を示し;P(H2)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水素のモル数を示し;P(CO)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の一酸化炭素のモル数を示し;P(H2O)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水のモル数を示し;K(WGS)は第1工程の反応温度における水性ガスシフト反応の平衡定数を示す。)
本明細書において、炭素原子数2〜4のオレフィンの例としては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン及び1,3−ブタジエンが挙げられる。
以下、各工程について、詳細に説明する。
<第1工程>
まず、第1工程について説明する。第1工程では、FT反応において、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、鉄系触媒と分散媒との共存下において反応させ、炭化水素化合物を含む混合物を得る。ここで、合成ガスの二酸化炭素の含有量は、0.3モル%以上50モル%未満である(合成ガス中の全成分に対する二酸化炭素の割合は、0.3モル%以上50モル%未満である)。また、得られる炭化水素化合物には、オレフィンが含まれる。
第1工程では、鉄元素が含まれる前記鉄系触媒を用いることにより、FT反応の反応性が良好となる。
前記鉄系触媒は、鉄元素以外に、さらに助触媒として他の遷移金属元素を1〜3種含んでいてもよい。
好ましい前記遷移金属の例としては、マンガン、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルが挙げられ、これらの中でもより好ましくはマンガン、銅、亜鉛、ニッケルであり、さらに好ましくはマンガン、銅、亜鉛であり、特に好ましくはマンガン、亜鉛であり、殊更に好ましくはマンガンである。
好ましい前記遷移金属元素は、マンガン、銅、亜鉛、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる1〜3種の元素である。
前記鉄系触媒は、鉄元素以外に、さらに助触媒としてアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれる1〜3種の元素を含んでいてもよい。
好ましい前記アルカリ金属及びアルカリ土類金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられ、これらの中でもより好ましくはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムであり、さらに好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムであり、特に好ましくはカリウム、マグネシウムである。
前記鉄系触媒は、下記元素(1)及び(2)を含み、且つ下記条件(3)を満たすものが好ましい。
元素(1):鉄元素及びマンガン元素
元素(2):アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれる1〜3種の金属元素
条件(3):前記元素(1)及び(2)の合計量に対する鉄元素の割合をaモル%とし、前記元素(1)及び(2)の合計量に対するマンガン元素の割合をbモル%とし、前記元素(1)及び(2)の合計量に対する前記元素(2)の合計割合をcモル%としたとき、50≦a≦90、9.5≦b≦48、0.5≦c≦10であり、ただし、a+b+c=100である。
前記元素(2)におけるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素は、上述の鉄元素以外に含まれるものとして挙げた、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素と同じである。
前記鉄系触媒は、C2〜C4オレフィンの選択率が高まることから、前記条件(3)が、50≦a≦90、9.5≦b≦45、0.5≦c≦10であるものがより好ましく、55≦a≦85、9.5≦b≦45、1≦c≦7であるものがさらに好ましく、60≦a≦80、15≦b≦40、1≦c≦6であるものが特に好ましい。
なお、本実施形態において、前記a、b及びcは、エネルギー分散形蛍光X線分析(以下、「EDS分析」と称することがある。)、又は誘導結合プラズマ発光分析(以下、「ICP発光分析」と称することがある。)により求められる。
[鉄系触媒の製造方法]
前記鉄系触媒の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記工程(i)〜(v)を有する製造方法が好ましい。
(i)遷移金属塩(鉄塩、又は鉄塩及び鉄塩以外の遷移金属塩)の溶液又は分散液を調製する工程
(ii)工程(i)で調製した溶液又は分散液と、沈殿剤とを混合して沈殿物を生成させ、懸濁液を得る工程
(iii)工程(ii)で得られた懸濁液から沈殿物を分離した後、得られた沈殿物を洗浄し、乾燥させて、乾燥物を得る工程
(iv)工程(iii)で得られた乾燥物に、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上(例えば、1〜3種)を含浸させ、含浸物を得る工程
(v)工程(iv)で得られた含浸物を加熱処理して、鉄系触媒を得る工程
ただし、前記製造方法では、不要な場合、工程(iv)は省略でき、この場合の製造方法は、下記工程(i)〜(iii)及び(v)を有する製造方法である。
(i)遷移金属塩(鉄塩、又は鉄塩及び鉄塩以外の遷移金属塩)の溶液又は分散液を調製する工程
(ii)工程(i)で調製した溶液又は分散液と、沈殿剤とを混合して沈殿物を生成させ、懸濁液を得る工程
(iii)工程(ii)で得られた懸濁液から沈殿物を分離した後、得られた沈殿物を洗浄し、乾燥させて、乾燥物を得る工程
(v)工程(iii)で得られた乾燥物を加熱処理して、鉄系触媒を得る工程
以下、各工程について、詳細に説明する。
(工程(i))
工程(i)においては、遷移金属塩(鉄塩、又は鉄塩及び鉄塩以外の遷移金属塩)の溶液又は分散液を調製する。
前記遷移金属塩としては、得られる触媒の精製工程における除去が容易であることから、水に対する溶解性に優れるものが好ましい。このような塩の例としては、酢酸塩、フッ化物塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、及びこれら塩(前記酢酸塩〜硝酸塩)の水和物、並びに金属錯体が挙げられる。これらの中でも、遷移金属塩は、加熱による陰イオン分の除去が容易であることから、炭酸塩、硝酸塩であることが好ましく、硝酸塩であることがより好ましい。
前記遷移金属塩中の鉄以外の遷移金属の例としては、コバルト、ニッケル、マンガン、銅、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ランタン、セリウムが挙げられる。
好ましい前記遷移金属塩の例としては、硝酸鉄、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸マンガン、硝酸銅、硝酸亜鉛が挙げられ、これらの中でも、硝酸鉄及び硝酸マンガンの組合せが好ましく、[硝酸鉄のモル数/硝酸マンガンのモル数]のモル比が、1.22〜8.95であることが好ましい。
前記溶液又は分散液は、上述の遷移金属塩を溶媒に添加して、遷移金属塩を溶解又は分散させることで調製でき、必要に応じて、上述の複数種の遷移金属塩を適宜添加することで、混合溶液又は混合分散液を調製してもよい。
前記溶液又は分散液中の金属イオンの含有量は、(溶液又は分散液の総質量に対して)3×10−7質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3×10−5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、3×10−3質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。前記金属イオンの含有量がこのような範囲であれば、鉄系触媒の製造にあたって金属成分が少な過ぎることもなく、また金属成分が多過ぎるために凝集することもなく、好適に触媒を製造できる。
遷移金属塩を添加する前記溶媒は、無機塩の溶解性が高いことから、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒であることが好ましく、より好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールであり、特に好ましくは水である。
前記溶媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記分散液の調製時には、分散性を向上させるために分散剤を併用してもよい。
前記分散剤としては、水溶性ポリマーが挙げられ、より具体的には、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール等のアルキレンエーテル構造を有するポリマー;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリアクリレート;ポリビニルピロリドン(PVP);ポリ(メルカプトメチレンスチレン−N−ビニル−2−ピロリドン);ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
(工程(ii))
工程(ii)においては、工程(i)で調製した溶液又は分散液と、沈殿剤とを混合して沈殿物を生成させ、懸濁液を得る。
前記沈殿剤は、溶媒に溶解して水酸化物イオンを生じさせるものである。沈殿剤は、このような性質を有していれば特に限定されないが、アルカリ性化合物であることが好ましく、その例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、尿素、炭酸アンモニウム等が挙げられ、なかでも金属イオンを含まず、触媒中の金属組成を制御し易い点から、アンモニア、尿素、炭酸アンモニウムであることがより好ましく、アンモニアであることがさらに好ましい。
前記沈殿剤の使用量は、工程(i)で調製した溶液又は分散液中の遷移金属塩のモル量に対して、1倍量以上50倍量以下(モル量)であることが好ましく、2倍量以上30倍量以下(モル量)であることがより好ましく、5倍量以上20倍量以下(モル量)であることがさらに好ましい。
工程(ii)においては、前記沈殿剤を用い、工程(i)で調製した溶液又は分散液から懸濁液を調製するが、沈殿剤を溶媒に溶解させてなる沈殿剤溶液を用いて、前記懸濁液を調製することが好ましく、前記沈殿剤溶液と、工程(i)で調製した溶液又は分散液とを並流させて、容器内に滴下して、懸濁液を調製することがより好ましい。
前記沈殿剤溶液は、沈殿剤の濃度が(沈殿剤溶液の質量に対して)0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
前記懸濁液の調製時には、例えば、沈殿剤溶液と工程(i)で調製した溶液又は分散液とを並流させて、好ましくは0.1時間以上10時間以下、より好ましくは0.5時間以上5時間以下、さらに好ましくは1時間以上3時間以下の時間で容器内に滴下し、滴下終了後、好ましくは0.5時間以上8時間以下、より好ましくは0.5時間以上6時間以下、さらに好ましくは0.5時間以上4時間以下の時間だけ連続的に滴下物を撹拌する。
本工程においては、さらにその後、8時間以上48時間以下、撹拌物を静置することが好ましい。
以上により、工程(i)で調製した溶液又は分散液に含まれる鉄イオン等の金属イオンが水酸化物として沈殿し、生じた水酸化物が懸濁した懸濁液が得られる。
得られた前記懸濁液のpHは、7〜14であることが好ましく、8〜14であることがより好ましい。
(工程(iii))
工程(iii)においては、工程(ii)で得られた懸濁液から沈殿物(水酸化物)を分離した後、得られた沈殿物を洗浄し、乾燥させて、乾燥物を得る。
工程(iii)においては、例えば、ろ過等により前記懸濁液から前記沈殿物を分離した後、沈殿物を水洗し、乾燥させることで、前記乾燥物を得ることが好ましい。
この場合、乾燥物を得る際の乾燥温度は、水分を概ね除去できる程度の温度であればよく、20℃以上150℃以下であることが好ましく、60℃以上130℃以下であることがより好ましい。また、乾燥時間は、1時間以上48時間以下であることが好ましく、12時間以上36時間以下であることがより好ましい。
以上により、工程(ii)で生じた水酸化物を主成分とする乾燥物が得られる。
(工程(iv))
工程(iv)においては、工程(iii)で得られた乾燥物に、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上を含浸させ、含浸物を得る。
工程(iv)における手法としては、含浸法、イオン交換法等の通常用いられる方法を適宜選択できる。なかでも特に好ましい方法としては、含浸法が挙げられ、含浸法の中でも特に好ましい方法としては、Incipient Wetness法が挙げられる。Incipient Wetness法とは、多孔質物質の細孔容積と同容量の溶液を多孔質物質に含浸させる方法である。即ち、A(cm/g)の細孔容積を有する多孔質物質をB(g)用いた場合、細孔容積はA×B(cm)となり、このA×B(cm)と同容量の溶液を多孔質物質に含浸させる方法である。なお、特定の細孔径における細孔容積率、即ち細孔径分布は、一般的なガス吸着法で測定できる。工程(iv)においては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上を含む溶液を、工程(iii)で得られた乾燥物の細孔容積と同容量調製し、これを工程(iii)で得られた乾燥物に含浸させる。複数種の金属を含浸させる場合には、同時含浸及び逐次含浸のいずれも選択できるが、同時含浸が好ましい。
前記アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、水に対する溶解性が高い塩が好ましく、炭酸塩、硝酸塩がより好ましい。
前記塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩が好ましく、より好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩であり、さらに好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩であり、特に好ましくはカリウム塩、マグネシウム塩である。
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上を含む溶液における、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の合計濃度は、(溶液の総質量に対して)1質量%以上70質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上を含む溶液に用いる溶媒としては、無機塩の溶解性が高いことから、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒が好ましく、より好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールであり、特に好ましくは水である。
前記溶媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上を、前記乾燥物に含浸させるときの温度(含浸温度)は、10℃以上100℃未満であることが好ましく、20℃以上80℃以下であることがより好ましく、20℃以上60℃以下であることがさらに好ましい。
また、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上を、前記乾燥物に含浸させるときの時間(含浸時間)は、0.1時間以上3時間以下であることが好ましく、0.5時間以上2時間以下であることがより好ましく、0.5時間以上1時間以下であることがさらに好ましい。
(工程(v))
工程(v)においては、工程(iv)で得られた含浸物を加熱処理して、鉄系触媒を得る。ここで得られる鉄系触媒は、酸化物を主成分とするものである。
前記含浸物を加熱処理するときの温度は、水酸化物を脱水させて十分に酸化物に変換できることから、300℃以上800℃以下であることが好ましく、300℃以上600℃以下であることがより好ましく、400℃以上600℃以下であることがさらに好ましい。
また、前記含浸物を加熱処理する時間は、1時間以上48時間以下であることが好ましく、1時間以上24時間以下であることがより好ましく、1時間以上12時間以下であることがさらに好ましい。
以上の方法により、目的とする鉄系触媒が得られるが、工程(iv)を省略する場合には、工程(iii)で得られた乾燥物を工程(v)に供して、加熱処理すればよい。
[担体を含む鉄系触媒とその製造方法]
本実施形態で用いる鉄系触媒は、上述の酸化物を主成分とする触媒のみで構成されていてもよいし、酸化物を主成分とする触媒以外に、炭素、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、酸化亜鉛、ポリマー(ポリエチレングリコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン等)等の他の成分を含んでいてもよい。これら他の成分は担体として用いることができる。
炭素担体としては、活性炭、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられ、好ましくは活性炭、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブであり、より好ましくは活性炭、カーボンブラックであり、特に好ましくは活性炭である。
前記鉄系触媒が担体成分を含む場合、鉄系触媒中の触媒金属(担体成分を含む鉄系触媒において、担体成分に該当しない金属)の含有量は、本実施形態の軽質オレフィン製造反応に用いる触媒が、良好な触媒能を奏し得る割合であれば特に限定されない。鉄系触媒中の触媒金属の含有量は、(鉄系触媒の総質量に対して)100質量%未満であればよく、1質量%以上99質量%以下であることが好ましく、3質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上95質量以下であることがさらに好ましい。
一方、鉄系触媒中の担体成分の含有量は、(鉄系触媒の総質量に対して)1質量%以上99質量%以下であることが好ましく、3質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上95質量以下であることがさらに好ましい。
上述の担体成分を含む鉄系触媒の製造方法としては、沈殿法、ゲル化法、含浸法、イオン交換法等の通常用いられる方法を適宜選択できる。
担体成分を含む鉄系触媒の好ましい製造方法としては、上述の工程(i)において担体成分を遷移金属塩の溶液又は分散液に分散させ、工程(ii)において沈殿剤を添加して生成した沈殿物とともに担体成分を沈殿させる点以外は、上述の工程(i)〜(v)を有する製造方法と同様の方法が挙げられる。
工程(i)の前記溶液又は分散液に添加する担体成分の量は、鉄系触媒中の触媒金属の含有量が、(鉄系触媒の総質量に対して)1質量%以上99質量%以下となる量であることが好ましく、3質量%以上97質量%以下となる量であることがより好ましく、5質量%以上95質量以下となる量であることがさらに好ましい。
担体成分を含む鉄系触媒の好ましい他の製造方法としては、鉄を含む塩又は錯体の溶液を含浸法により担体成分に導入し、得られた含浸物を加熱処理する方法が挙げられる。このとき、助触媒として鉄以外の遷移金属を含む塩又は錯体の溶液を同時含浸又は逐次含浸できる。
前記鉄を含む塩の例としては、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられ、好ましくは硝酸塩である。
鉄を含む塩又は錯体の溶液は、鉄を含む塩又は錯体を溶媒に加えて、この塩又は錯体を溶解させることで調製できる。
鉄を含む塩又は錯体の溶液の調製に用いる溶媒としては、無機塩の溶解性が高いことから、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒が好ましく、より好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールであり、特に好ましくは水である。
前記溶媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶液を含浸させる方法としては、公知の種々の方法を適用できるが、Incipient Wetness法が好ましい。
鉄以外の遷移金属を含む塩又は錯体の溶液も、鉄を含む塩又は錯体の溶液と同様の方法で調製し、担体成分に導入できる。
担体成分を含む鉄系触媒を製造するときの加熱処理時の加熱温度は、300℃以上800℃以下であることが好ましく、加熱時間は1時間以上48時間以下であることが好ましい。
第1工程におけるFT反応には、前記鉄系触媒をそのまま用いてもよいし、前記鉄系触媒に対して、予め粉砕、成型、整粒等の何らかの処理を行ったものを用いてもよい。
前記鉄系触媒は、FT反応に用いる前に、圧力が常圧以上10MPa以下の水素雰囲気下、又は常圧以上10MPa以下の合成ガス雰囲気下で、好ましくは200〜500℃で、好ましくは1〜24時間、還元して活性化させることができる。このような活性化処理は、当該分野で一般的に行われるものであり、効率的な活性化を行うために推奨される。
なお、本実施形態では、活性化処理で用いるガスを、FT反応で用いる合成ガスと区別するために「還元ガス」と称することがある。
鉄系触媒の活性化処理の温度は、250℃以上450℃以下であることが好ましく、280℃以上430℃以下であることがより好ましい。
鉄系触媒の活性化処理時の圧力は、常圧以上10MPa以下であることが好ましく、常圧以上3MPa以下であることがより好ましい。
鉄系触媒の活性化処理の時間は、5時間以上15時間以下であることが好ましく、8時間以上12時間以下であることがより好ましい。
鉄系触媒の活性化処理において、還元ガスの供給速度(F)(mol/h)に対する触媒の質量(W)(g)の割合(W/F)は、0.01g・h/mol以上500g・h/mol以下であることが好ましく、1g・h/mol以上100g・h/mol以下であることがより好ましく、5g・h/mol以上30g・h/mol以下であることが特に好ましい。
活性化処理で用いる還元ガスとして、合成ガスを用いる場合、その[水素のモル数/一酸化炭素のモル数]のモル比が、0.5以上5.0以下であることが好ましく、0.5以上3.0以下であることがより好ましく、0.5以上2.5以下であることがさらに好ましく、0.5以上2.0以下であることが特に好ましく、0.6以上2.0以下であることが殊更に好ましい。
還元ガスとして用いる合成ガスは、FT反応で用いる合成ガスと同じであってもよい。
以上により、FT反応に用いる触媒を製造できる。
[合成ガス]
本実施形態の第1工程で用いる合成ガスは、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含むものであり、合成ガスの二酸化炭素の含有量は、0.3モル%以上50モル%未満であり、好ましくは3モル%以上35モル%未満、より好ましくは5モル%以上30モル%未満、さらに好ましくは7モル%以上28モル%未満、特に好ましくは10モル%以上26モル%未満である。このような合成ガスを用いることで、原料の一酸化炭素が副生成物の二酸化炭素へ変換されることを抑制できる。
合成ガスは、一酸化炭素の水素化反応が進み易く、生産性が高くなることから、一酸化炭素に対する水素のモル比(水素のモル数/一酸化炭素のモル数)が、0.3以上であることが好ましい。
また、合成ガス中の一酸化炭素の含有量が少な過ぎることによる生産性の低下を抑制するために、合成ガスは、一酸化炭素に対する水素のモル比(水素のモル数/一酸化炭素のモル数)が、3以下であることが好ましい。
そして、合成ガスは、一酸化炭素に対する水素のモル比(水素のモル数/一酸化炭素のモル数)が、0.5以上3以下であることがより好ましく、0.5以上2.5以下であることがさらに好ましく、0.6以上2以下であることが特に好ましく、1以上2以下であることが殊更に好ましく、1.3以上2以下であることが最も好ましい。
[FT反応]
第1工程のFT反応においては、前記合成ガス及び鉄系触媒を、分散媒共存下において反応させる。このように、分散媒共存下において反応させることが、本実施形態の主たる特徴の一つであり、このようにすることで、分散媒によって炭化水素生成物が触媒上から直ちに抽出される等の効果により、炭化水素生成物の炭素数が増大し難く、炭素原子数2〜4のオレフィンの含有量が高い炭化水素生成物が得られると推測される。
FT反応は、前記合成ガス及び鉄系触媒を、スラリー床液相合成プロセスを用いて連続式で反応させることが好ましい。
第1工程のFT反応における反応温度は、100℃以上600℃以下であることが好ましく、200℃以上500℃以下であることがより好ましく、250℃以上400℃以下であることがさらに好ましく、250℃以上350℃以下であることが特に好ましい。
第1工程のFT反応における反応圧力は、0.1MPa以上50MPa以下であることが好ましく、0.1MPa以上30MPa以下であることがより好ましく、0.1MPa以上10MPa以下であることがさらに好ましく、0.5MPa以上3MPa以下であることが特に好ましい。ここで「反応圧力」とは反応容器内の圧力を意味する。
FT反応を行う場合、反応容器内には、あらかじめ前記鉄系触媒を分散媒中に、(例えばスラリー状に)分散させておくことが好ましい。
分散媒としては、前記合成ガス及び鉄系触媒を反応させる工程における、反応温度及び反応圧力において液状である有機化合物が好ましい。このような分散媒の例としては、常圧下、100℃以上600℃以下の温度範囲で液状である有機化合物が挙げられる。ここで、「a℃以上b℃以下の温度範囲で液状である有機化合物」とは、「a℃以上b℃以下の温度範囲のうち少なくともいずれかの温度で液状である有機化合物」を意味し、常圧は、0.1MPaを意味する。
分散媒としては、好ましくは常圧下150℃以上400℃以下、より好ましくは常圧下150℃以上350℃以下、さらに好ましくは常圧下200℃以上330℃以下、特に好ましくは常圧下200℃以上300℃以下の温度範囲で液状である有機化合物が挙げられる。このような有機化合物は、FT反応条件下、分散媒として好適である。
前記有機化合物の例としては、炭化水素化合物及び含酸素炭化水素化合物が挙げられる。
前記炭化水素化合物で好ましいものとしては、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン等の炭素数10〜100程度のパラフィン及びその混合物が挙げられ、FT反応で副生する炭素数10〜100程度のパラフィン(一般的にFTワックスと呼ばれるもの)や市販の炭素数10〜100程度のポリアルファオレフィンを用いてもよい。
前記含酸素炭化水素化合物で好ましいものとしては、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサデカノール等の炭素数10〜100程度のアルコール;デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸等の炭素数10〜100程度のカルボン酸;ポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;シリコーンが挙げられる。
前記有機化合物は、炭化水素化合物であることが好ましい。
前記分散媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記鉄系触媒と分散媒との割合は基本的には任意であるが、鉄系触媒1gに対して、分散媒は1mL以上10L以下であることが好ましく、5mL以上2L以下であることがより好ましく、10mL以上1L以下であることがさらに好ましく、10mL以上100mL以下であることが特に好ましい。
第1工程のFT反応において、合成ガスのモルあたりの供給速度(F)(mol/h)に対する触媒の質量(W)(g)の割合(W/F)は、0.01g・h/mol以上100g・h/mol以下であることが好ましく、1.0g・h/mol以上50g・h/mol以下であることがより好ましく、5.0g・h/mol以上30g・h/mol以下であることが特に好ましい。
第1工程のFT反応において、連続式の場合には、合成ガスの体積あたりの供給速度(F’)(mL/h)に対する反応容積(V)(mL)の比(V/F’)は、1.0×10−5h以上50h以下であることが好ましく、1.0×10−4h以上20h以下であることがより好ましく、5.0×10−4h以上20h以下であることがさらに好ましく、1.0×10−3h以上20h以下であることが特に好ましく、4.0×10−3h以上5h以下であることが殊更に好ましい。
FT反応による生成物は、複数の化合物(炭化水素化合物)の混合物として得られるが、この生成物における各化合物の存在比は、公知のガスクロマトグラフィー法により分析できる。これにより、FT反応で得られた各炭化水素化合物の組成を算出できる。
第1工程のFT反応において、得られた炭化水素生成物を構成する全炭素原子数に対する、炭素原子数2〜4のオレフィンを構成する全炭素原子数の割合([炭素原子数2〜4のオレフィンを構成する全炭素原子数(モル)]/[炭化水素生成物を構成する全炭素原子数(モル)]×100、以下、「C2〜C4オレフィン選択率」と称することがある。)は、18モル%以上100モル%以下であることが好ましく、25モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、30モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましく、35モル%以上100モル%以下であることが特に好ましく、50モル%以上100モル%以下であることが殊更に好ましく、60モル%以上100モル%以下であることが最も好ましい。
そして、第1工程のFT反応において、得られた炭化水素生成物を構成する全炭素原子数に対する、炭素原子数2以上のすべてのオレフィンを構成する全炭素原子数の割合([炭素原子数2以上のすべてのオレフィンを構成する全炭素原子数(モル)]/[炭化水素生成物を構成する全炭素原子数(モル)]×100、以下、「オレフィン選択率」と称することがある。)は、20モル%以上100モル%以下であることが好ましく、50モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、60モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましい。
なお、本実施形態において、単なる「オレフィン選択率」とは、特に断りのない限り、上述の「C2〜C4オレフィン選択率」ではなく、「炭素原子数2以上のすべてのオレフィンの選択率」を意味する。
後述する第2工程においては、例えば、パラフィン(飽和炭化水素)であるヘキサンを接触分解すると、下記式(300)に示すように、化学量論的に1分子のパラフィンから1分子のパラフィン(プロパン)と1分子のオレフィン(プロピレン)の2分子が生成し得る。一方、オレフィンであるヘキセンを接触分解すると、下記式(400)に示すように、化学量論的に1分子のオレフィンから2分子のオレフィン(プロピレン)が生成し得るので、高効率にオレフィンが得られる。
そのため、第1工程において上述の割合でオレフィンを含む炭化水素化合物が得られれば、第2工程での接触分解により、炭素数2〜4のオレフィン、特にプロピレンの含有量をさらに向上させることができる。
Figure 2015164909
Figure 2015164909
また、第1工程のFT反応において、得られた炭化水素生成物を構成する全炭素原子数に対する、プロピレンを構成する全炭素原子数の割合([プロピレンを構成する全炭素原子数(モル)]/[炭化水素生成物を構成する全炭素原子数(モル)]×100、以下、「プロピレン選択率」と称することがある。)は、3モル%以上100モル%以下であることが好ましく、5モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、10モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましい。
そこで、第1工程においては、上述の割合でオレフィンを含む炭化水素化合物が得られるように、FT反応の触媒の種類や反応温度等の反応条件を適宜選択するとよい。
一方、鉄系触媒を用いたFT反応では、下記式(200)で示される水性ガスシフト反応が生じることが知られている。
Figure 2015164909
本実施形態では、上述の水性ガスシフト反応について、第1工程において、下記式(1)から算出されるZは7×10−1以下である。
Figure 2015164909
(式(1)中、P(CO2)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素のモル数を示し;P(H2)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水素のモル数を示し;P(CO)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の一酸化炭素のモル数を示し;P(H2O)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水のモル数を示し;K(WGS)は第1工程の反応温度における水性ガスシフト反応の平衡定数を示す。)
第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素、水素及び一酸化炭素のモル数は、それぞれ公知のガスクロマトグラフィー法により算出できる。
また、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水のモル数は、{(第1工程で導入した一酸化炭素のモル数)+(第1工程で導入した二酸化炭素のモル数)×2}−{(第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の一酸化炭素のモル数)+(第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素のモル数)×2}から算出できる。
K(WGS)は、第1工程の反応温度における水性ガスシフト反応の平衡定数を示す。
ここでのK(WGS)の値は、文献「Y.Choi、H.G.Stenger、Journal of Power Sources 124(2003)432−439」中のp.434に記載されている式12から算出されるKeqの値を適用できる。
本実施形態では、前記Zが7×10−1以下であることにより、前記式(200)で示される水性ガスシフト反応は、熱力学的平衡よりも左側に偏っており、二酸化炭素の副生が抑制される。
また、このような観点から、前記Zは6×10−1以下であることが好ましく、5×10−1以下であることがより好ましく、4×10−1以下であることがさらに好ましく、3.5×10−1以下であることが特に好ましく、3×10−1以下であることが殊更に好ましい。
そのため、第1工程においては、Zが上述の条件を満たし、二酸化炭素の副生が抑制されるよう、FT反応の触媒の種類や反応温度等の反応条件を適宜選択するとよい。
<第2工程>
次に、第2工程について説明する。第2工程においては、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物を、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むゼオライトからなる分解触媒に接触させ、接触分解する。
第2工程で前記接触分解を行うことにより、炭素数2〜4のオレフィン、特にプロピレンの収量が向上する。
前記接触分解においては、反応器として、固定床反応器、移動床反応器、流動床反応器等、接触分解を行うために用いる反応器として、通常知られた反応器を用いることができる。
図1は、本実施形態において、第1工程(FT反応)及び第2工程(接触分解)を行うのに用いる製造装置の一例を示す模式図である。
図1に示す製造装置1は、合成ガスを収容するタンク11と、タンク11から供給される合成ガスを用いて第1工程を行う第1反応器12と、第1反応器12で得られた反応物(炭化水素化合物を含む混合物)を用いて接触分解を行う第2反応器14と、を備える。タンク11、第1反応器12及び第2反応器14は、この順に連結されている。また、第1反応器12と第2反応器14との間には、背圧弁13を備え、背圧弁13によって第1反応器12と第2反応器14の圧力が調整可能となっている。
図1に示す製造装置1は、ここに示すもの以外に、例えば、液体生成物を捕集するための冷却トラップ等、他の構成を適宜備えていてもよい。
第2工程で用いる前記ゼオライトは、上述のようにアルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むが、このような金属元素を含んでいれば、天然ゼオライト及び合成ゼオライトのいずれも使用でき、ZSM−5型ゼオライト(以下、「ZSM−5」と称することがある。)を使用することが好ましい。
ZSM−5は、Alに対するSiOのモル比(SiOのモル数/Alのモル数)が、50以上4000以下([Siのモル数/Alのモル数]のモル比(以下、「Si/Al比」とも称する。)が25以上2000以下)であるものが好ましく、90以上1000以下(Si/Al比が45以上500以下)であるものがより好ましく、200以上800以下(Si/Al比が100以上400以下)であるものが特に好ましい。
前記分解触媒の酸強度、密度等の酸特性及び耐久性は、リン含有化合物、ランタン含有化合物、アルカリ土類金属含有化合物等でゼオライトを処理することで向上させることもできる。
なお、本明細書において「ゼオライト」とは、一般的な定義に従い、「結晶性の多孔質アルミノケイ酸塩及びメタロケイ酸塩」を意味する。ZSM−5は、単位胞組成が一般式「M[AlSi96−n192]・xHO(式中、Mはプロトン、アンモニウムカチオン又は金属カチオン等のカチオンであり、nは0より大きく27未満の数であり、xは0以上の数である。)」で表される。以下、前記一般式においてMがプロトンであるZSM−5を、特に「HZSM−5」と称することがある。
前記ゼオライトは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びd−ブロック元素からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むゼオライトであることが好ましい。本明細書において、「d−ブロック元素」とは、周期律表における第3族元素〜第12族元素のうち、ランタノイド及びアクチノイドを除く元素のことを意味する。
ゼオライトが含む前記アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが好ましい。
ゼオライトが含む前記アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが好ましく、より好ましくはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムであり、さらに好ましくはマグネシウム、カルシウム、バリウムであり、特に好ましくはカルシウム、バリウムである。
ゼオライトが含む前記d−ブロック元素としては、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金が好ましく、より好ましくはバナジウム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ニオブ、モリブデン、銀、タンタル、タングステンであり、さらに好ましくはマンガン、鉄、コバルト、銅、銀であり、特に好ましくはマンガン、銅、銀であり、殊更に好ましくはマンガン、銅である。
前記分解触媒中の、前記アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種以上の元素の含有量は、(分解触媒の総質量に対して)0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
前記分解触媒は、ゼオライト中にアルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種以上の元素(金属元素)を、金属−酸素結合を介して含有するものが好ましい。前記金属−酸素結合の例としては、Ba−O結合、Mn−O結合、Cu−O結合、Ca−O、Mg−O等が挙げられ、これらの中でもBa−O結合が好ましい。
前記分解触媒は、[SiOのモル数/Alのモル数/前記金属元素の酸化物のモル数]のモル比が、50〜4000/1/0.1〜50であることが好ましい。例えば、前記金属元素がバリウムの場合には、[SiOのモル数/Alのモル数/BaOのモル数]のモル比が、50〜4000/1/0.1〜50であることが好ましい。
前記分解触媒中の、前記アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種類以上の元素(金属元素)は、アルカリ土類金属元素又はd−ブロック元素であることが好ましく、アルカリ土類金属元素であることが特に好ましい。
なお、分解触媒を構成する元素のモル比は、誘導結合プラズマ発光分析(以下、「ICP分析」と称することがある。)法で求められる。
[分解触媒の製造方法]
以下、第2工程で用いる分解触媒の製造方法について説明する。
分解触媒は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種以上の元素(金属元素)をゼオライト製造後に導入する方法、又はゼオライト製造時に導入する方法等の通常用いられる方法で製造できる。前記金属元素を均一に含有させるという点では、ゼオライト製造時に金属元素を導入する方法が好ましく、市販ゼオライトを簡便に利用できるという点では、ゼオライト製造後に金属元素を導入する方法が好ましい。これらの方法は、用いるゼオライトや本実施形態の製造方法で用いる製造設備の維持の簡便さ等を考慮して、適宜選択できる。
前記金属元素をゼオライト製造時に導入する方法を適用する場合、分解触媒は、ケイ素源、アルミニウム源、構造規定剤、溶媒、及びゼオライトに導入する金属元素の原料(導入元素源)の混合物を、耐圧容器に仕込み、反応させることにより製造できる。
前記混合物を反応させるときの反応温度は、50℃以上250℃以下であることが好ましく、100℃以上200℃以下であることがより好ましい。また、前記混合物を反応させるときの反応時間は、0.1時間以上150時間以下であることが好ましく、1時間以上120時間以下であることがより好ましい。
また、前記混合物から水を除去した乾燥ゲルを、水、又は前記構造規定剤を含む水と接触させないように耐圧容器に仕込み、蒸気を供給して反応させることでも、分解触媒を製造できる。
このように前記乾燥ゲルを用いる場合の反応温度は、50℃以上250℃以下であることが好ましく、100℃以上200℃以下であることがより好ましい。また、このように前記乾燥ゲルを用いる場合の反応時間は、0.1時間以上150時間以下であることが好ましく、1時間以上120時間以下であることがより好ましい。
反応で得られたものは、引き続き所定の温度及び時間(例えば、300℃以上800℃以下で1時間以上48時間以下)で焼成処理を行ってもよい。
前記ケイ素源、アルミニウム源、構造規定剤及び導入元素源の使用量は、分解触媒が目的の組成となるように適宜調節する。
また、前記ケイ素源、アルミニウム源、構造規定剤及び導入元素源は、いずれも1種のみを用いてもよし、2種以上を併用してもよい。
以下、各成分について、説明する。
(ケイ素源)
前記ケイ素源は、ケイ素を含有する化合物であり、分解触媒のゼオライトの構成成分となり得る原料であり、このようなものであれば特に限定されない。
前記ケイ素源の例としては、テトラアルキルオルソシリケート、シリカ、シリカゲル、熱分解法シリカ、沈降シリカ、コロイダルシリカ、水ガラス、湿式シリカ、無定形シリカ、ヒュームドシリカ、ケイ酸ナトリウム、カオリナイト、珪藻土、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、好ましくはテトラアルキルオルソシリケート、ヒュームドシリカである。
(アルミニウム源)
前記アルミニウム源は、アルミニウムを含有する化合物であり、分解触媒のゼオライトの構成成分となり得る原料あり、このようなものであれば特に限定されない。
前記アルミニウム源の例としては、アルミン酸塩、酸化アルミニウム、ベーマイト、オキシ水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミニウム塩(塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等)、アルミニウムアルコキシド(アルミニウムイソプロポキシド等)、アルミナホワイト、フッ化アルミニウム等が挙げられ、好ましくは硝酸アルミニウム、酸化アルミニウムである。
(構造規定材)
前記構造規定剤は、ゼオライトの構造を決定するための化合物である。構造規定剤は特に限定されず、公知の種々のものが挙げられ、より具体的には、四級アンモニウム化合物、アミン等の有機塩基等が挙げられる。
前記構造規定剤のうち、前記四級アンモニウム化合物としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウム及びn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムの水酸化物塩、リン酸塩、フッ化物塩、塩化物塩、臭化物塩並びに酢酸塩等が挙げられる。
前記構造規定剤のうち、前記アミンとしては、ジプロピルアミン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、1−メチルイミダゾール、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、ジエチルエタノールアミン等が挙げられる。
前記構造規定剤で好ましいものとしては、四級アンモニウム化合物であるテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラn−ブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドや、アミンであるジプロピルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジンが挙げられる。
前記構造規定剤でより好ましいものとしては、四級アンモニウム化合物であるテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラn−ブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられ、さらに好ましいものとしては、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。
(導入元素源)
前記導入元素源は、分解触媒のゼオライトに導入される、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種以上の元素(金属元素)を含有する化合物であり、分解触媒のゼオライトの構成成分となり得るものであれば特に限定されない。
前記導入元素源の例としては、金属塩、金属錯体等が挙げられる。
前記導入元素源として、より具体的には、導入される前記金属元素の炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、フッ化物塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、水酸化物塩、アセチルアセトナト錯体等が挙げられる。これらの中でも、加熱による陰イオン分の除去が容易であることから、導入元素源は、前記金属元素の硝酸塩、炭酸塩又は酢酸塩であることが好ましい。
前記導入元素源として用いられるこれらの化合物中の金属元素は、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属及びd−ブロック元素からなる群から選ばれる1種以上の元素である。
前記導入元素源における前記アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムであることが好ましい。
前記導入元素源における前記アルカリ土類金属は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムであることが好ましく、より好ましくはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムであり、さらに好ましくはマグネシウム、カルシウム、バリウムであり、特に好ましくはカルシウム、バリウムである。
前記導入元素源におけるd−ブロック元素は、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金であることが好ましく、より好ましくはバナジウム、マンガン、鉄、コバルト、銅、ニオブ、モリブデン、銀、タンタル、タングステンであり、さらに好ましくはマンガン、鉄、コバルト、銅、銀であり、特に好ましくはマンガン、銅、銀であり、殊更に好ましくは銅、マンガンである。
前記導入元素源が含有する金属元素は、アルカリ土類金属元素又はd−ブロック元素であることが好ましく、アルカリ土類金属元素であることが特に好ましい。
前記導入元素源は、酢酸銅、硝酸銅、酢酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸バリウム、硝酸バリウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウムであることが好ましく、酢酸バリウム、硝酸バリウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウムであることがより好ましい。
ゼオライト製造時に前記金属元素を導入する場合に用いる溶媒としては、一般的にゼオライト製造時に用いる溶媒でよく、その例としては、水、アルコール、ニトリル化合物、アミド化合物、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル化合物、ハロゲン化炭化水素、エステル化合物等が挙げられる。これらの中でも、前記溶媒は、好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンであり、より好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールである。
前記溶媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記金属元素をゼオライト製造後に導入する方法を適用する場合、分解触媒は、例えば、前記金属元素をゼオライト製造時に導入する方法を適用する場合の前記混合物から導入元素源を除いた混合物を用いて、ゼオライトを製造し、得られたゼオライトに前記金属元素を導入することにより製造できる。
得られたもの(分解触媒)は、引き続き所定の温度及び時間(例えば、300℃以上800℃以下で1時間以上48時間以下)で焼成処理を行ってもよい。
前記金属元素をゼオライト製造後に導入する方法は、前記金属元素を含む塩の溶液を用いる公知の方法でよい。具体的には、例えば、前記金属元素を含む塩の溶液にゼオライトを浸漬し、静置又は撹拌した後、得られたスラリーを蒸発乾固又はろ過乾燥させることで、前記金属元素を含有するゼオライトが得られる。
前記金属元素を含む塩として、より具体的には、前記金属元素の炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、フッ化物塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、水酸化物塩、アセチルアセトナト錯体等が挙げられる。これらの中でも、加熱による陰イオン分の除去が容易であることから、前記金属元素の硝酸塩又は酢酸塩であることが好ましい。
前記金属元素を含む塩における金属元素は、上述の前記金属元素をゼオライト製造時に導入する方法を適用する場合の、導入元素源として用いられる化合物中の金属元素と同じである。
前記金属元素を含む塩の溶液の調製に用いる溶媒は、前記塩の溶解性が高いことから、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒であることが好ましく、より好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールであり、特に好ましくは水である。
前記溶媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記金属元素を含む塩の溶液は、例えば、前記塩を溶媒に溶解させることで得られる。
上述の浸漬時の温度は、好ましくは0℃以上100℃未満であり、より好ましくは20℃以上80℃以下である。また、この浸漬時間は、好ましくは0.1時間以上24時間以下であり、より好ましくは1時間以上6時間以下である。
前記スラリーを蒸発乾固させる場合には、蒸発乾固時の温度は、好ましくは20℃以上100℃未満であり、より好ましくは40℃以上80℃以下である。また、蒸発乾固の時間は、好ましくは0.1時間以上48時間以下であり、より好ましくは1時間以上24時間以下である。
一方、前記スラリーをろ過乾燥させる場合には、ろ過して得られた固形分を、必要に応じて上述のゼオライト製造時に用いる溶媒で洗浄した後、好ましくは20℃以上150℃以下、より好ましくは60℃以上130℃以下の温度で、好ましくは1時間以上48時間以下、より好ましくは12時間以上36時間以下の時間だけ乾燥させる。
前記金属元素をゼオライト製造後に導入する方法を適用する場合、金属元素のゼオライトへの導入操作は、必要に応じて2回以上(繰り返して)行ってもよく、その回数は特に限定されない。
前記分解触媒は、粒径が大きくなるにつれて、接触分解反応時の副反応で生じる炭素析出によって性能が劣化し易いため、粒径は5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上2.5μm以下であることがさらに好ましく、0.01μm以上2μm以下であることが特に好ましい。ここでの「粒径」とは、50個のゼオライトの結晶における長軸径の平均値を意味する。なお粒径は、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)によって決定できる。
第2工程において、前記分解触媒は、上述の方法による製造後にそのまま用いてもよし、予め粉砕、成型、整粒等の何らかの処理を行ってから用いてもよい。
第2工程において、接触分解時の温度は、300℃以上800℃以下であることが好ましく、350℃以上650℃以下であることがより好ましく、400℃以上600℃以下であることがさらに好ましい。
第2工程において、接触分解時の反応圧力は、0.01MPa以上1MPa以下であることが好ましく、0.01MPa以上0.5MPa以下であることがより好ましく、0.05MPa以上0.3MPa以下であることがさらに好ましく、0.05MPa以上0.2MPa以下であることが特に好ましく、0.1MPa以上0.2MPa以下であることが殊更に好ましい。
第2工程の接触分解において、連続式の場合には、第1工程で得られた炭化水素生成物の体積あたりの供給速度(F’)(mL/h)に対する反応容積(V)(mL)の比(V/F’)は、1.0×10−6h以上6h以下であることが好ましく、1.0×10−5h以上3h以下であることがより好ましく、1.0×10−4h以上1h以下であることがさらに好ましい。
本実施形態では、前記第1工程及び第2工程を行うことにより、炭素原子数2〜4のオレフィンの含有量が高い炭化水素生成物が得られる。例えば、第2工程終了後に得られた炭化水素生成物を構成する全炭素原子数に対する、炭素原子数2〜4のオレフィンを構成する全炭素原子数の割合(C2〜C4オレフィン選択率)は、40モル%以上100モル%以下であることが好ましく、50モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、55モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましく、60モル%以上100モル%以下であることが特に好ましく、65モル%以上100モル%以下であることが殊更に好ましい。
本実施形態によれば、副生物である二酸化炭素の選択率を抑制しつつ、炭素原子数2〜4の軽質オレフィン、特にプロピレンの選択率を向上させることができる。したがって、本実施形態は、プロピレンの製造方法として有用である。
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態に係るオレフィンの製造方法は、フィッシャー・トロプシュ反応(FT反応)において、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、鉄元素及び鉄元素以外の遷移金属元素を含む触媒(以下、「鉄−遷移金属系触媒」と称することがある。)の共存下において反応させ、炭化水素化合物を含む混合物を得る工程(以下、「反応工程(I)」と称することがある。)を有し、前記工程における前記合成ガスの二酸化炭素の含有量が、0.3モル%以上50モル%未満であり、前記触媒中の、鉄元素及び鉄元素以外の遷移金属元素の合計含有量が、前記触媒が含む全ての金属元素に対して、77モル%より大きく100モル%以下であり、前記工程において、下記式(01)から算出されるZ01が7×10−1以下のものである。
Figure 2015164909
(式(01)中、P01(CO2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素のモル数を示し;P01(H2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水素のモル数を示し;P01(CO)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の一酸化炭素のモル数を示し;P01(H2O)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水のモル数を示し;K01(WGS)は前記工程の反応温度における水性ガスシフト反応の平衡定数を示す。)
<反応工程(I)>
前記反応工程(I)では、FT反応において、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、鉄−遷移金属系触媒の共存下において反応させ、炭化水素化合物を含む混合物を得る。ここで、合成ガスの二酸化炭素の含有量は、0.3モル%以上50モル%未満である(合成ガス中の全成分に対する二酸化炭素の割合は、0.3モル%以上50モル%未満である)。また、得られる炭化水素化合物には、オレフィンが含まれる。
反応工程(I)では、鉄元素が含まれる前記鉄−遷移金属系触媒を用いることにより、FT反応の反応性が良好となる。
前記鉄−遷移金属系触媒は、鉄元素以外に、その他の遷移金属元素を含む。
鉄元素以外の遷移金属元素としては、鉄元素以外の一般的な定義の遷移金属元素が挙げられる。好ましい前記遷移金属の例としては、マンガン、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルが挙げられ、これらの中でもより好ましくはマンガン、銅、亜鉛、ニッケルであり、さらに好ましくはマンガン、銅、亜鉛であり、特に好ましくはマンガン、亜鉛であり、殊更に好ましくはマンガンである。
前記鉄−遷移金属系触媒が含む鉄元素以外の遷移金属元素は、1種のみでもよいし、2種以上でもよいが、1〜3種であることが好ましい。
前記鉄−遷移金属系触媒は、鉄元素及びマンガン元素を含む触媒(以下、「鉄−マンガン系触媒(I)」と称することがある。)であることが殊更に好ましい。
前記鉄−遷移金属系触媒中の、鉄元素及び鉄元素以外の遷移金属元素の合計含有量(鉄元素の含有量と鉄元素以外の遷移金属元素の含有量との合計値)は、前記鉄−遷移金属系触媒が含む全ての金属元素に対して、77モル%より大きく100モル%以下であり、80モル%以上99.95モル%以下であることが好ましく、85モル%以上99.5モル%以下であることがより好ましい。
前記鉄−遷移金属系触媒は、鉄元素及び鉄元素以外の遷移金属元素以外に、さらに助触媒としてアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素からなる群から選ばれる1〜3種の元素を含んでいてもよい。
好ましい前記アルカリ金属及びアルカリ土類金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられ、より好ましくはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムであり、さらに好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムであり、特に好ましくはカリウム、マグネシウムである。
前記鉄−遷移金属系触媒は、例えば、後述する第3実施形態における鉄−マンガン系触媒(II)の製造方法に準じて、製造できる。すなわち、本実施形態における、鉄元素以外の遷移金属元素がマンガン元素である場合の前記鉄−遷移金属系触媒(以下、「鉄−マンガン系触媒(I)」と称することがある。)は、各工程での原料の使用量を必要に応じて適宜調節する点以外は、鉄−マンガン系触媒(II)の製造方法と同じ方法で製造できる。また、鉄元素以外の遷移金属元素がマンガン元素以外のものである場合の前記鉄−遷移金属系触媒は、マンガン元素に代えて鉄元素及びマンガン元素以外の遷移金属元素を用い、各工程での原料の使用量を必要に応じて適宜調節する点以外は、鉄−マンガン系触媒(II)の製造方法と同じ方法で製造できる。
鉄−マンガン系触媒(II)の製造方法については、後ほど詳述する。
前記鉄−遷移金属系触媒は、後述する第3実施形態における鉄−マンガン系触媒(II)の場合と同様に、担体を含んでいてもよい。
担体を含む前記鉄−遷移金属系触媒も、後述する第3実施形態における、担体を含む鉄−マンガン系触媒(II)の製造方法に準じて、製造できる。すなわち、本実施形態における、鉄元素以外の遷移金属元素がマンガン元素である場合の、担体を含む前記鉄−遷移金属系触媒(担体を含む鉄−マンガン系触媒(I))は、各工程での原料の使用量を必要に応じて適宜調節する点以外は、担体を含む鉄−マンガン系触媒(II)の製造方法と同じ方法で製造できる。また、鉄元素以外の遷移金属元素がマンガン元素以外のものである場合の、担体を含む前記鉄−遷移金属系触媒は、マンガン元素に代えて鉄元素及びマンガン元素以外の遷移金属元素を用い、各工程での原料の使用量を必要に応じて適宜調節する点以外は、担体を含む鉄−マンガン系触媒(II)の製造方法と同じ方法で製造できる。
担体を含む鉄−マンガン系触媒(II)の製造方法については、後ほど詳述する。
反応工程(I)でのFT反応においては、合成ガスを、鉄−遷移金属系触媒と分散媒との共存下において反応させることが好ましい。この場合、反応工程(I)は、鉄−マンガン系触媒(II)に代えて前記鉄−遷移金属系触媒を用いる点以外は、後述する第3実施形態における反応工程(II)と同じ方法で行うことができる。また、分散媒を用いない場合の反応工程(I)は、通常用いる触媒に代えて前記鉄−遷移金属系触媒を用いる点以外は、当該分野で公知の方法で行うことができる。
FT反応においては、反応器として、固定床反応器、流動床反応器、懸濁床反応器、スラリー床反応器等を用いることができる。これらの中でも、前記反応器は、前記鉄−遷移金属系触媒と分散媒との共存下において反応させる場合に用いるスラリー床反応器が好ましい。
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態に係るオレフィンの製造方法は、フィッシャー・トロプシュ反応(FT反応)において、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、鉄元素及びマンガン元素を含む触媒(以下、「鉄−マンガン系触媒(II)」と称することがある。)と分散媒との共存下において反応させ、炭化水素化合物を含む混合物を得る工程(以下、「反応工程(II)」と称することがある。)を有し、前記工程における前記合成ガスの二酸化炭素の含有量が、0.3モル%以上50モル%未満であり、前記工程において、下記式(01)から算出されるZ01が7×10−1以下のものである。
Figure 2015164909
(式(01)中、P01(CO2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素のモル数を示し;P01(H2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水素のモル数を示し;P01(CO)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の一酸化炭素のモル数を示し;P01(H2O)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水のモル数を示し;K01(WGS)は前記工程の反応温度における水性ガスシフト反応の平衡定数を示す。)
以下、前記工程について、詳細に説明する。
<反応工程(II)>
前記反応工程(II)においては、FT反応において、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、鉄−マンガン系触媒(II)と分散媒との共存下において反応させ、炭化水素化合物を含む混合物を得る。ここで、合成ガスの二酸化炭素の含有量は、0.3モル%以上50モル%未満である(合成ガス中の全成分に対する二酸化炭素の割合は、0.3モル%以上50モル%未満である)。また、得られる炭化水素化合物には、オレフィンが含まれる。
反応工程(II)では、鉄元素が含まれる前記鉄−マンガン系触媒(II)を用いることにより、FT反応の反応性が良好となる。
図2は、本実施形態において、前記反応工程(II)を行うのに用いる製造装置の一例を示す模式図である。
図2に示す製造装置2は、合成ガスを収容するタンク21と、タンク21から供給される合成ガスを用いて前記反応工程(II)を行う反応器22と、を備える。また、反応器22よりも下流側には、背圧弁23を備え、背圧弁23によって反応器22の圧力が調整可能となっている。
図2に示す製造装置2は、ここに示すもの以外に、例えば、液体生成物を捕集するための冷却トラップ等、他の構成を適宜備えていてもよい。
図2に示す製造装置2は、第2実施形態における反応工程(I)を行うのに用いることもできる。
前記鉄−マンガン系触媒(II)は、鉄元素及びマンガン元素以外に、さらに助触媒として他の遷移金属元素、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素を1〜3種含んでいてもよい。
好ましい前記遷移金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の例としては、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられ、より好ましくは銅、亜鉛、ニッケル、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムであり、さらに好ましくは銅、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムであり、特に好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムである。
前記鉄−マンガン系触媒(II)は、下記元素(01)及び元素(02)を含み、且つ下記条件(03)を満たすものが好ましい。
元素(01):鉄元素及びマンガン元素
元素(02):アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれる1〜3種の金属元素
条件(03):前記元素(01)及び(02)の合計量に対する鉄元素の割合をaモル%とし、前記元素(01)及び(02)の合計量に対するマンガン元素の割合をbモル%とし、前記元素(01)及び(02)の合計量に対する前記元素(02)の合計割合をcモル%としたとき、50≦a≦90、9.5≦b≦48、0.5≦c≦10であり、ただし、a+b+c=100である。
好ましい前記元素(02)としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられ、より好ましくはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムであり、さらに好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムであり、特に好ましくはカリウム、マグネシウムである。
前記鉄−マンガン系触媒(II)は、C2〜C4オレフィンの選択率が高まることから、前記条件(03)が、50≦a≦90、9.5≦b≦45、0.5≦c≦10であるものがより好ましく、55≦a≦85、9.5≦b≦45、1≦c≦7であるものがさらに好ましく、60≦a≦80、15≦b≦40、1≦c≦6であるものが特に好ましい。
なお、本実施形態において、前記a、b及びcは、エネルギー分散形蛍光X線分析(以下、「EDS分析」と称することがある。)、又は誘導結合プラズマ発光分析(以下、「ICP発光分析」と称することがある。)により求めることができる。
[鉄−マンガン系触媒(II)の製造方法]
前記鉄−マンガン系触媒(II)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記工程(i)〜(v)を有する製造方法が好ましい。
(i)遷移金属塩(鉄塩及びマンガン塩、又は鉄塩、マンガン塩及びこれら以外の遷移金属塩)の溶液又は分散液を調製する工程
(ii)工程(i)で調製した溶液又は分散液と、沈殿剤とを混合して沈殿物を生成させ、懸濁液を得る工程
(iii)工程(ii)で得られた懸濁液から沈殿物を分離した後、得られた沈殿物を洗浄し、乾燥させて、乾燥物を得る工程
(iv)工程(iii)で得られた乾燥物に、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上(例えば、1〜3種)を含浸させ、含浸物を得る工程
(v)工程(iv)で得られた含浸物を加熱処理して、鉄−マンガン系触媒(II)を得る工程
ただし、前記製造方法では、不要な場合、工程(iv)は省略でき、この場合の製造方法は、下記工程(i)〜(iii)及び(v)を有する製造方法である。
(i)遷移金属塩(鉄塩及びマンガン塩、又は鉄塩、マンガン塩及びこれら以外の遷移金属塩)の溶液又は分散液を調製する工程
(ii)工程(i)で調製した溶液又は分散液と、沈殿剤とを混合して沈殿物を生成させ、懸濁液を得る工程
(iii)工程(ii)で得られた懸濁液から沈殿物を分離した後、得られた沈殿物を洗浄し、乾燥させて、乾燥物を得る工程
(v)工程(iii)で得られた乾燥物を加熱処理して、鉄−マンガン系触媒(II)を得る工程
以下、各工程について、詳細に説明する。
(工程(i))
工程(i)においては、遷移金属塩(鉄塩及びマンガン塩、又は鉄塩、マンガン塩及びこれら以外の遷移金属塩)の溶液又は分散液を調製する。
前記遷移金属塩としては、得られる触媒の精製工程における除去が容易であることから、水に対する溶解性に優れるものが好ましい。このような塩の例としては、酢酸塩、フッ化物塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、及びこれら塩(前記酢酸塩〜硝酸塩)の水和物、並びに金属錯体が挙げられる。これらの中でも、遷移金属塩は、加熱による陰イオン分の除去が容易であることから、炭酸塩、硝酸塩であることが好ましく、硝酸塩であることがより好ましい。
前記遷移金属塩中の鉄及びマンガン以外の遷移金属の例としては、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ランタン、セリウムが挙げられる。
好ましい鉄塩及びマンガン塩の例としては、硝酸鉄、硝酸マンガンが挙げられ、[硝酸鉄のモル数/硝酸マンガンのモル数]のモル比が、1.22〜8.95であることが好ましい。
また、好ましい鉄塩及びマンガン塩以外の遷移金属塩の例としては、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸亜鉛が挙げられる。
前記溶液又は分散液は、上述の遷移金属塩を溶媒に添加して、遷移金属塩を溶解又は分散させることで調製できる。
前記溶液又は分散液中の金属イオンの含有量は、(溶液又は分散液の総質量に対して)3×10−7質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3×10−5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、3×10−3質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。前記金属イオンの含有量がこのような範囲であれば、鉄−マンガン系触媒(II)の製造にあたって金属成分が少な過ぎることもなく、また金属成分が多過ぎるために凝集することもなく、好適に触媒を製造できる。
遷移金属塩を添加する前記溶媒は、無機塩の溶解性が高いことから、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒であることが好ましく、より好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールであり、特に好ましくは水である。
前記溶媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記分散液の調製時には、分散性を向上させるために分散剤を併用してもよい。
前記分散剤としては、水溶性ポリマーが挙げられ、より具体的には、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール等のアルキレンエーテル構造を有するポリマー;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリアクリレート;ポリビニルピロリドン(PVP);ポリ(メルカプトメチレンスチレン−N−ビニル−2−ピロリドン);ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
(工程(ii))
工程(ii)においては、工程(i)で調製した溶液又は分散液と、沈殿剤とを混合して沈殿物を生成させ、懸濁液を得る。
前記沈殿剤は、溶媒に溶解して水酸化物イオンを生じさせるものである。沈殿剤は、このような性質を有していれば特に限定されないが、アルカリ性化合物であることが好ましく、その例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、尿素、炭酸アンモニウム等が挙げられ、なかでも金属イオンを含まず、触媒中の金属組成を制御し易い点から、アンモニア、尿素、炭酸アンモニウムであることがより好ましく、アンモニアであることがさらに好ましい。
前記沈殿剤の使用量は、工程(i)で調製した溶液又は分散液中の遷移金属塩(鉄塩及びマンガン塩、又は鉄塩、マンガン塩及びこれら以外の遷移金属塩)のモル量に対して、1倍量以上50倍量以下(モル量)であることが好ましく、2倍量以上30倍量以下(モル量)であることがより好ましく、5倍量以上20倍量以下(モル量)であることがさらに好ましい。
工程(ii)においては、前記沈殿剤を用い、工程(i)で調製した溶液又は分散液から懸濁液を調製するが、沈殿剤を溶媒に溶解させてなる沈殿剤溶液を用いて、前記懸濁液を調製することが好ましく、前記沈殿剤溶液と、工程(i)で調製した溶液又は分散液とを並流させて、容器内に滴下して、懸濁液を調製することがより好ましい。
前記沈殿剤溶液は、沈殿剤の濃度が(沈殿剤溶液の質量に対して)0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
前記懸濁液の調製時には、例えば、沈殿剤溶液と工程(i)で調製した溶液又は分散液とを並流させて、好ましくは0.1時間以上10時間以下、より好ましくは0.5時間以上5時間以下、さらに好ましくは1時間以上3時間以下の時間で容器内に滴下し、滴下終了後、好ましくは0.5時間以上8時間以下、より好ましくは0.5時間以上6時間以下、さらに好ましくは0.5時間以上4時間以下の時間だけ連続的に滴下物を撹拌する。
本工程においては、さらにその後、8時間以上48時間以下、撹拌物を静置することが好ましい。
以上により、工程(i)で調製した溶液又は分散液に含まれる鉄イオン、マンガンイオン等の金属イオンが水酸化物として沈殿し、生じた水酸化物が懸濁した懸濁液が得られる。
得られた前記懸濁液のpHは、7〜14であることが好ましく、8〜14であることがより好ましい。
(工程(iii))
工程(iii)においては、工程(ii)で得られた懸濁液から沈殿物(水酸化物)を分離した後、得られた沈殿物を洗浄し、乾燥させて、乾燥物を得る。
工程(iii)においては、例えば、ろ過等により前記懸濁液から前記沈殿物を分離した後、沈殿物を水洗し、乾燥させることで、前記乾燥物を得ることが好ましい。
この場合、乾燥物を得る際の乾燥温度は、水分を概ね除去できる程度の温度であればよく、20℃以上150℃以下であることが好ましく、60℃以上130℃以下であることがより好ましい。また、乾燥時間は、1時間以上48時間以下であることが好ましく、12時間以上36時間以下であることがより好ましい。
以上により、工程(ii)で生じた水酸化物を主成分とする乾燥物が得られる。
(工程(iv))
工程(iv)においては、工程(iii)で得られた乾燥物に、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上を含浸させ、含浸物を得る。
工程(iv)における手法としては、含浸法、イオン交換法等の通常用いられる方法を適宜選択できる。なかでも特に好ましい方法としては、含浸法が挙げられ、含浸法の中でも特に好ましい方法としては、Incipient Wetness法が挙げられる。Incipient Wetness法とは、多孔質物質の細孔容積と同容量の溶液を多孔質物質に含浸させる方法である。即ち、A(cm/g)の細孔容積を有する多孔質物質をB(g)用いた場合、細孔容積はA×B(cm)となり、このA×B(cm)と同容量の溶液を多孔質物質に含浸させる方法である。なお、特定の細孔径における細孔容積率、即ち細孔径分布は、一般的なガス吸着法で測定できる。工程(iv)においては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上を含む溶液を、工程(iii)で得られた乾燥物の細孔容積と同容量調製し、これを工程(iii)で得られた乾燥物に含浸させる。複数種の金属を含浸させる場合には、同時含浸及び逐次含浸のいずれも選択できるが、同時含浸が好ましい。
前記アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、水に対する溶解性が高い塩が好ましく、炭酸塩、硝酸塩がより好ましい。
前記塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩が好ましく、より好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩であり、さらに好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩であり、特に好ましくはカリウム塩、マグネシウム塩である。
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上を含む溶液における、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の合計濃度は、(溶液の総質量に対して)1質量%以上70質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上を含む溶液に用いる溶媒としては、無機塩の溶解性が高いことから、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒が好ましく、より好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールであり、特に好ましくは水である。
前記溶媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上を、前記乾燥物に含浸させるときの温度(含浸温度)は、10℃以上100℃未満であることが好ましく、20℃以上80℃以下であることがより好ましく、20℃以上60℃以下であることがさらに好ましい。
また、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上を、前記乾燥物に含浸させるときの時間(含浸時間)は、0.1時間以上3時間以下であることが好ましく、0.5時間以上2時間以下であることがより好ましく、0.5時間以上1時間以下であることがさらに好ましい。
(工程(v))
工程(v)においては、工程(iv)で得られた含浸物を加熱処理して、鉄−マンガン系触媒(II)を得る。ここで得られる鉄−マンガン系触媒(II)は、酸化物を主成分とするものである。
前記含浸物を加熱処理するときの温度は、水酸化物を脱水させて十分に酸化物に変換できることから、300℃以上800℃以下であることが好ましく、300℃以上600℃以下であることがより好ましく、400℃以上600℃以下であることがさらに好ましい。
また、前記含浸物を加熱処理する時間は、1時間以上48時間以下であることが好ましく、1時間以上24時間以下であることがより好ましく、1時間以上12時間以下であることがさらに好ましい。
以上の方法により、目的とする鉄−マンガン系触媒(II)が得られるが、工程(iv)を省略する場合には、工程(iii)で得られた乾燥物を工程(v)に供して、加熱処理すればよい。
[担体を含む鉄−マンガン系触媒(II)とその製造方法]
本実施形態で用いる鉄−マンガン系触媒(II)は、上述の酸化物を主成分とする触媒のみで構成されていてもよいし、酸化物を主成分とする触媒以外に、炭素、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、酸化亜鉛、ポリマー(ポリエチレングリコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン等)等の他の成分を含んでいてもよい。これら他の成分は担体として用いることができる。
炭素担体としては、活性炭、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられ、好ましくは活性炭、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブであり、より好ましくは活性炭、カーボンブラックであり、特に好ましくは活性炭である。
前記鉄−マンガン系触媒(II)が担体成分を含む場合、鉄−マンガン系触媒(II)中の触媒金属(担体成分を含む鉄−マンガン系触媒(II)において、担体成分に該当しない金属)の含有量は、本実施形態のオレフィン製造反応に用いる触媒が、良好な触媒能を奏し得る割合であれば特に限定されない。鉄−マンガン系触媒(II)中の触媒金属の含有量は、(鉄−マンガン系触媒(II)の総質量に対して)100質量%未満であればよく、1質量%以上99質量%以下であることが好ましく、3質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上95質量以下であることがさらに好ましい。
一方、鉄−マンガン系触媒(II)中の担体成分の含有量は、(鉄−マンガン系触媒(II)の総質量に対して)1質量%以上99質量%以下であることが好ましく、3質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上95質量以下であることがさらに好ましい。
上述の担体成分を含む鉄−マンガン系触媒(II)の製造方法としては、沈殿法、ゲル化法、含浸法、イオン交換法等の通常用いられる方法を適宜選択できる。
担体成分を含む鉄−マンガン系触媒(II)の好ましい製造方法としては、上述の工程(i)において担体成分を遷移金属塩の溶液又は分散液に分散させ、工程(ii)において沈殿剤を添加して生成した沈殿物とともに担体成分を沈殿させる点以外は、上述の工程(i)〜(v)を有する製造方法と同様の方法が挙げられる。
工程(i)の前記溶液又は分散液に添加する担体成分の量は、鉄−マンガン系触媒(II)中の触媒金属の含有量が、(鉄−マンガン系触媒(II)の総質量に対して)1質量%以上99質量%以下となる量であることが好ましく、3質量%以上97質量%以下となる量であることがより好ましく、5質量%以上95質量以下となる量であることがさらに好ましい。
担体成分を含む鉄−マンガン系触媒(II)の好ましい他の製造方法としては、鉄を含む塩又は錯体及びマンガンを含む塩又は錯体の溶液を含浸法により担体成分に導入し、得られた含浸物を加熱処理する方法が挙げられる。このとき、助触媒として鉄及びマンガン以外の遷移金属を含む塩又は錯体の溶液を同時含浸あるいは逐次含浸できる。
前記鉄を含む塩及びマンガンを含む塩の例としては、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられ、好ましくは硝酸塩である。
鉄を含む塩又は錯体及びマンガンを含む塩又は錯体の溶液は、鉄を含む塩又は錯体及びマンガンを含む塩又は錯体を溶媒に加えて、これら塩や錯体を溶解させることで調製できる。
鉄を含む塩又は錯体及びマンガンを含む塩又は錯体の溶液の調製に用いる溶媒としては、無機塩の溶解性が高いことから、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒が好ましく、より好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールであり、特に好ましくは水である。
前記溶媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶液を含浸させる方法としては、公知の種々の方法を適用できるが、Incipient Wetness法が好ましい。
鉄及びマンガン以外の遷移金属を含む塩又は錯体の溶液も、鉄を含む塩又は錯体及びマンガンを含む塩又は錯体の溶液と同様の方法で調製し、担体成分に導入できる。
担体成分を含む鉄−マンガン系触媒(II)を製造するときの加熱処理時の加熱温度は、300℃以上800℃以下であることが好ましく、加熱時間は1時間以上48時間以下であることが好ましい。
前記反応工程(II)におけるFT反応には、前記鉄−マンガン系触媒(II)をそのまま用いてもよいし、前記鉄−マンガン系触媒(II)に対して、予め粉砕、成型、整粒等の何らかの処理を行ったものを用いてもよい。
前記鉄−マンガン系触媒(II)は、FT反応に用いる前に、圧力が常圧以上10MPa以下の水素雰囲気下、又は常圧以上10MPa以下の合成ガス雰囲気下で、好ましくは200〜500℃で、好ましくは1〜24時間、還元して活性化させることができる。このような活性化処理は、当該分野で一般的に行われるものであり、効率的な活性化を行うために推奨される。
なお、本実施形態では、活性化処理で用いるガスを、FT反応で用いる合成ガスと区別するために「還元ガス」と称することがある。
鉄−マンガン系触媒(II)の活性化処理の温度は、250℃以上450℃以下であることが好ましく、280℃以上430℃以下であることがより好ましい。
鉄−マンガン系触媒(II)の活性化処理時の圧力は、常圧以上10MPa以下であることが好ましく、常圧以上3MPa以下であることがより好ましい。
鉄−マンガン系触媒(II)の活性化処理の時間は、5時間以上15時間以下であることが好ましく、8時間以上12時間以下であることがより好ましい。
鉄−マンガン系触媒(II)の活性化処理において、還元ガスの供給速度(F)(mol/h)に対する触媒の質量(W)(g)の割合(W/F)は、0.01g・h/mol以上500g・h/mol以下であることが好ましく、1g・h/mol以上100g・h/mol以下であることがより好ましく、5g・h/mol以上30g・h/mol以下であることが特に好ましい。
活性化処理で用いる還元ガスとして、合成ガスを用いる場合、その[水素のモル数/一酸化炭素のモル数]のモル比が、0.5以上5.0以下であることが好ましく、0.5以上3.0以下であることがより好ましく、0.5以上2.5以下であることがさらに好ましく、0.5以上2.0以下であることが特に好ましく、0.6以上2.0以下であることが殊更に好ましい。
還元ガスとして用いる合成ガスは、FT反応で用いる合成ガスと同じであってもよい。
以上により、FT反応に用いる触媒を調製することができる。
[合成ガス]
本実施形態の前記反応工程(II)で用いる合成ガスは、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含むものであり、合成ガスの二酸化炭素の含有量は、0.3モル%以上50モル%未満であり、好ましくは3モル%以上35モル%未満、より好ましくは5モル%以上30モル%未満、さらに好ましくは7モル%以上28モル%未満、特に好ましくは10モル%以上26モル%未満である。このような合成ガスを用いることで、原料の一酸化炭素が副生成物の二酸化炭素へ変換されることを抑制できる。
合成ガスは、一酸化炭素の水素化反応が進み易く、生産性が高くなることから、一酸化炭素に対する水素のモル比(水素のモル数/一酸化炭素のモル数)が、0.3以上であることが好ましい。
また、合成ガス中の一酸化炭素の含有量が少な過ぎることによる生産性の低下を抑制するために、合成ガスは、一酸化炭素に対する水素のモル比(水素のモル数/一酸化炭素のモル数)が、3以下であることが好ましい。
そして、合成ガスは、一酸化炭素に対する水素のモル比(水素のモル数/一酸化炭素のモル数)が、0.5以上3以下であることがより好ましく、0.5以上2.5以下であることがさらに好ましく、0.6以上2以下であることが特に好ましく、1以上2以下であることが殊更に好ましく、1.3以上2以下であることが最も好ましい。
[FT反応]
FT反応においては、前記合成ガス及び鉄−マンガン系触媒(II)を、分散媒共存下において反応させる。このように、分散媒共存下において反応させることが、本実施形態の主たる特徴の一つであり、このようにすることで、分散媒によって炭化水素生成物が触媒上から直ちに抽出される等の効果により、炭化水素生成物の炭素数が増大し難く、炭素原子数2〜4のオレフィンの含有量が高い炭化水素生成物が得られると推測される。
FT反応は、前記合成ガス及び鉄−マンガン系触媒(II)を、スラリー床液相合成プロセスを用いて連続式で反応させることが好ましい。
FT反応における反応温度は、100℃以上600℃以下であることが好ましく、200℃以上500℃以下であることがより好ましく、250℃以上400℃以下であることがさらに好ましく、250℃以上350℃以下であることが特に好ましい。
FT反応における反応圧力は、0.1MPa以上50MPa以下であることが好ましく、0.1MPa以上30MPa以下であることがより好ましく、0.1MPa以上10MPa以下であることがさらに好ましく、0.5MPa以上3MPa以下であることが特に好ましい。ここで「反応圧力」とは反応容器内の圧力を意味する。
FT反応を行う場合、反応容器内には、あらかじめ前記鉄−マンガン系触媒(II)を分散媒中に、(例えばスラリー状に)分散させておくことが好ましい。
分散媒としては、前記合成ガス及び鉄−マンガン系触媒(II)を反応させる工程における、反応温度及び反応圧力において液状である有機化合物が好ましい。このような分散媒の例としては、常圧下、100℃以上600℃以下の温度範囲で液状である有機化合物が挙げられる。ここで、「a℃以上b℃以下の温度範囲で液状である有機化合物」とは、「a℃以上b℃以下の温度範囲のうち少なくともいずれかの温度で液状である有機化合物」を意味し、常圧は、0.1MPaを意味する。
分散媒としては、好ましくは常圧下150℃以上400℃以下、より好ましくは常圧下150℃以上350℃以下、さらに好ましくは常圧下200℃以上330℃以下、特に好ましくは常圧下200℃以上300℃以下の温度範囲で液状である有機化合物が挙げられる。このような有機化合物は、FT反応条件下、分散媒として好適である。
前記有機化合物の例としては、炭化水素化合物及び含酸素炭化水素化合物が挙げられる。
前記炭化水素化合物で好ましいものとしては、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン等の炭素数10〜100程度のパラフィン及びその混合物が挙げられ、FT反応で副生する炭素数10〜100程度のパラフィン(一般的にFTワックスと呼ばれるもの)や市販の炭素数10〜100程度のポリアルファオレフィンを用いてもよい。
前記含酸素炭化水素化合物で好ましいものとしては、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサデカノール等の炭素数10〜100程度のアルコール;デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸等の炭素数10〜100程度のカルボン酸;ポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;シリコーンが挙げられる。
前記有機化合物は、炭化水素化合物であることが好ましい。
前記分散媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記鉄−マンガン系触媒(II)と分散媒との割合は基本的には任意であるが、鉄−マンガン系触媒(II)1gに対して、分散媒は1mL以上10L以下であることが好ましく、5mL以上2L以下であることがより好ましく、10mL以上1L以下であることがさらに好ましく、10mL以上100mL以下であることが特に好ましい。
FT反応において、合成ガスのモルあたりの供給速度(F)(mol/h)に対する触媒の質量(W)(g)の比(W/F)は、0.01g・h/mol以上100g・h/mol以下であることが好ましく、1.0g・h/mol以上50g・h/mol以下であることがより好ましく、5.0g・h/mol以上30g・h/mol以下であることが特に好ましい。
FT反応において、連続式の場合には、合成ガスの体積あたりの供給速度(F’)(mL/h)に対する反応容積(V)(mL)の比(V/F’)は、1.0×10−5h以上50h以下であることが好ましく、1.0×10−4h以上20h以下であることがより好ましく、5.0×10−4h以上20h以下であることがさらに好ましく、1.0×10−3h以上20h以下であることが特に好ましく、4.0×10−3h以上5h以下であることが殊更に好ましい。
FT反応による生成物は、複数の化合物(炭化水素化合物)の混合物として得られるが、この生成物における各化合物の存在比は、公知のガスクロマトグラフィー法により分析できる。これにより、FT反応で得られた各炭化水素化合物の組成を算出できる。
FT反応において、得られた炭化水素生成物を構成する全炭素原子数に対する、炭素原子数2〜4のオレフィンを構成する全炭素原子数の割合([炭素原子数2〜4のオレフィンを構成する全炭素原子数(モル)]/[炭化水素生成物を構成する全炭素原子数(モル)]×100、以下、「C2〜C4オレフィン選択率」と称することがある。)は、18モル%以上100モル%以下であることが好ましく、25モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、30モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましく、35モル%以上100モル%以下であることが特に好ましく、50モル%以上100モル%以下であることが殊更に好ましく、60モル%以上100モル%以下であることが最も好ましい。
そして、FT反応において、得られた炭化水素生成物を構成する全炭素原子数に対する、炭素原子数2以上のすべてのオレフィンを構成する全炭素原子数の割合([炭素原子数2以上のすべてのオレフィンを構成する全炭素原子数(モル)]/[炭化水素生成物を構成する全炭素原子数(モル)]×100、以下、「オレフィン選択率」と称することがある。)は、20モル%以上100モル%以下であることが好ましく、50モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、60モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましい。
また、FT反応において、得られた炭化水素生成物を構成する全炭素原子数に対する、プロピレンを構成する全炭素原子数の割合([プロピレンを構成する全炭素原子数(モル)]/[炭化水素生成物を構成する全炭素原子数(モル)]×100、以下、「プロピレン選択率」と称することがある。)は、3モル%以上100モル%以下であることが好ましく、5モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、10モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましい。
なお、本実施形態において、単なる「オレフィン選択率」とは、特に断りのない限り、上述の「C2〜C4オレフィン選択率」ではなく、「炭素原子数2以上のすべてのオレフィンの選択率」を意味する。
そこで、前記反応工程(II)においては、上述の割合でオレフィンを含む炭化水素化合物が得られるように、FT反応の触媒の種類や反応温度等の反応条件を適宜選択するとよい。
一方、鉄元素を含む触媒を用いたFT反応では、下記式(200)で示される水性ガスシフト反応が生じることが知られている。
Figure 2015164909
本実施形態では、上述の水性ガスシフト反応について、前記反応工程(II)において、下記式(01)から算出されるZ01は7×10−1以下である。
Figure 2015164909
(式(01)中、P01(CO2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素のモル数を示し;P01(H2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水素のモル数を示し;P01(CO)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の一酸化炭素のモル数を示し;P01(H2O)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水のモル数を示し;K01(WGS)は前記工程の反応温度における水性ガスシフト反応の平衡定数を示す。)
前記反応工程(II)で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素、水素及び一酸化炭素のモル数は、それぞれ公知のガスクロマトグラフィー法により算出できる。
また、前記反応工程(II)で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水のモル数は、{(反応工程(II)で導入した一酸化炭素のモル数)+(反応工程(II)で導入した二酸化炭素のモル数)×2}−{(反応工程(II)で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の一酸化炭素のモル数)+(反応工程(II)で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素のモル数)×2}から算出できる。
K01(WGS)は、前記反応工程(II)の反応温度における水性ガスシフト反応の平衡定数を示す。
ここでのK01(WGS)の値は、文献「Y.Choi、H.G.Stenger、Journal of Power Sources 124(2003)432−439」中のp.434に記載されている式12から算出されるKeqの値を適用できる。
本実施形態では、前記Z01が7×10−1以下であることにより、前記式(200)で示される水性ガスシフト反応は、熱力学的平衡よりも左側に偏っており、二酸化炭素の副生が抑制される。
また、このような観点から、前記Z01は6×10−1以下であることが好ましく、5×10−1以下であることがより好ましく、4×10−1以下であることがさらに好ましく、3.5×10−1以下であることが特に好ましく、3×10−1以下であることが殊更に好ましい。
そのため、前記反応工程(II)においては、Z01が上述の条件を満たし、二酸化炭素の副生が抑制されるよう、FT反応の触媒の種類や反応温度等の反応条件を適宜選択するとよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例においては、下記分析手法により、得られたFT反応用の触媒、及びFT反応の結果を評価した。
(EDS分析)
EDS分析は、エネルギー分散形蛍光X線分析装置(島津製作所社製「RaynyEDX―700」)を用いて行った。
(ガスクロマトグラフィー)
ガスクロマトグラフィーは、島津製作所社製「GC−14B」及び「GC−2014AFsc」を用いて、FID(水素炎イオン化型検出器)測定を行い、GLサイエンス社製「GC320」及び島津製作所製「GC−2014AT」を用いて、TCD(熱伝導度型検出器)測定を行った。
(ICP分析)
ICP分析は、誘導結合プラズマ発光分析装置(島津製作所社製「ICPE−9000」)を用いて行った。
<鉄系触媒(鉄−マンガン系触媒)の製造>
[製造例1]
Fe(NO・9HO(60.60g)、Mn(NO・6HO(25.83g)を秤量し、水(360mL)に溶解させ、鉄を含む塩及びマンガンを含む塩の溶液を調製した。また、28%NHOH水溶液(180mL)を秤量して、NHOH溶液を準備した。
ビーカーに水(360mL)を秤量して60℃に加熱し、撹拌しながら上述の鉄を含む塩及びマンガンを含む塩の溶液、並びにNHOH溶液を同時に1.5時間かけて滴下した。その際、予めビーカー内の水にNHOH溶液を加え、pHを約8に調整した後に、鉄を含む塩及びマンガンを含む塩の溶液の滴下を開始した。また、この溶液の滴下中においても、ビーカー内の反応混合物のpHが約8を維持されるように、反応混合物のpHを測定しながらNHOH溶液を滴下した。
滴下終了後後、0.5時間攪拌した後、得られた反応混合物を20時間静置して、沈殿を生じさせた。
生成した沈殿をろ過及び洗浄して、120℃で一晩乾燥させて、乾燥物を得た。さらに、得られた乾燥物をメノウ鉢で粉砕し、粉砕物を得た。
炭酸カリウム(0.121g)を秤量し、水(2.33g)に溶解させ、炭酸カリウム溶液を調製した。得られた炭酸カリウム溶液に上述の粉砕物を分散させ、この分散液を室温下で30分間、超音波処理して攪拌した。
次いで、得られた混合物を真空下、室温で1時間保持した後、120℃で一晩乾燥させ、得られた乾燥物をメノウ鉢で粉砕した。
大気中で、電気炉にこの粉砕物を導入し、室温から400℃まで80分間かけて昇温させた後に、400℃で3時間保持し、熱処理することで、鉄系触媒(鉄−マンガン系触媒)である触媒(1)を得た(収量9.701g)。
EDS分析の結果、得られた触媒(1)の金属モル含有量比は、Fe:Mn:K=64.55:34.11:1.34であった。すなわち、触媒(1)中の、鉄元素及び鉄元素以外の遷移金属元素の合計含有量は、触媒(1)が含む全ての金属元素に対して、98.66%であった。
<分解触媒の製造>
[製造例2]
酢酸バリウム(0.076g)を脱イオン水(50.117g)に溶解させた溶液を、HZSM−5(SiO/Al=280、5.001g)に60℃で2時間含浸させた後、これを120℃で12時間乾燥させ、600℃で5時間焼成することで、分解触媒(2)を得た(収量4.885g)。
ICP分析の結果、得られた分解触媒(2)の酸化物含有比(モル比)は、SiO/Al/BaO=291/1.00/1.09であった。
<炭素原子数2〜4のオレフィンの製造(第1実施形態)>
[実施例1]
攪拌機を有する内容量85mLのスラリー床反応器と、このスラリー床反応器に配管を介して接続された固定床反応器とを備え、このスラリー床反応器と固定床反応器との間の配管に背圧弁を備えた、図1に示す製造装置を用いて、以下に示すように炭素原子数2〜4のオレフィンを製造した。
前記スラリー床反応器に、触媒(1)(鉄系触媒)(1.0g)、ポリアルファオレフィン(20mL、数平均分子量735)を加えた。
次いで、[水素のモル数/一酸化炭素のモル数]のモル比が1.95である還元ガスを、0.1MPaの圧力で、還元ガスの供給速度(F)(mol/h)に対する触媒(1)の質量(W)(g)の割合(W/F)が10g・h/molとなるように流し、300℃で10時間活性化処理を行った。
次いで、[水素のモル数/一酸化炭素のモル数/二酸化炭素のモル数]のモル比が1.9/1.0/1.0である合成ガスを、1MPaの圧力で、合成ガスのモルあたりの供給速度(F)(mol/h)に対する触媒(1)の質量(W)(g)の割合(W/F)が10g・h/molとなるように流し、280℃で8時間FT反応を行った(第1工程)。
FT反応の生成物(炭化水素化合物を含む混合物)をガスクロマトグラフィーで分析することにより、一酸化炭素(CO)転化率、二酸化炭素(CO)選択率、プロピレン選択率、C2〜C4オレフィン選択率、オレフィン選択率、及びZを算出した。結果を表1に示す。
これと同様にFT反応を行って(第1工程)得られた生成物、すなわち、表1に示すものと同様の炭化水素化合物を含む混合物を、100℃に保たれた背圧弁を通し、上述の分解触媒(2)(0.3g)を充填した固定床反応器へ流通させた。そして、固定床反応器において、常圧下500℃で接触分解を行い、分解生成物を得た(第2工程)。接触分解はFT反応と同時に開始し、接触分解の反応時間を10時間とした。
接触分解の生成物をガスクロマトグラフィーで分析することにより、CO転化率、CO選択率、プロピレン選択率、C2〜C4オレフィン選択率を算出した。結果を表2に示す。
なお、表1及び2における「プロピレン選択率」、「C2〜C4オレフィン選択率」及び「オレフィン選択率」は、いずれも先に説明したものである。
また、表1及び2における「CO転化率」は、反応で用いた原料のCO量(モル)に対する、反応で消費されたCO量(モル)の割合であり、[反応で消費されたCOのモル数]/[反応で用いた原料のCOのモル数]×100(%)で算出される値である。
なお、転化率は、活性化処理後の触媒を用いてFT反応を行い、反応後の混合物(残存原料及び生成物の混合物)におけるCO量に基づいて算出している。
また、表1及び2において、「CO選択率」は、反応で消費されたCO量(モル)に対する、反応で生じたCO量(モル)の割合であり、[反応で生じたCOのモル数]/[反応で消費されたCOのモル数]×100(%)で算出される値である。
なお、合成ガスにCOを添加した場合、「反応で生じたCO量」は、「[反応後ガスに含まれるCO量]−[合成ガスに添加したCO量]」に基づいて算出した。
[実施例2]
[水素のモル数/一酸化炭素のモル数/二酸化炭素のモル数]のモル比が1.9/1.0/1.0である合成ガスに代えて、[水素のモル数/一酸化炭素のモル数/二酸化炭素のモル数]のモル比が1.7/1.0/1.0である合成ガスを用いた点以外は、実施例1と同様にFT反応を行い、FT反応の生成物(炭化水素化合物を含む混合物)をガスクロマトグラフィーで分析することにより、CO転化率、CO選択率、プロピレン選択率、C2〜C4オレフィン選択率、オレフィン選択率、及びZを算出した。結果を表1に示す。
さらに、これと同様にFT反応を行って(第1工程)得られた生成物、すなわち、表1に示すものと同様の炭化水素化合物を含む混合物を用いることで、実施例1と同様に接触分解(第2工程)を行うことができる。
[実施例3]
触媒(1)の使用量を1.0gに代えて2.0gとし、ポリアルファオレフィンの使用量を20mLに代えて40mLとし、接触分解時の反応温度を500℃に代えて550℃とした点以外は、実施例1と同様に第1工程、及び第2工程を行った。そして、実施例1と同様に、生成物をガスクロマトグラフィーで分析することにより、CO転化率、CO選択率、プロピレン選択率、C2〜C4オレフィン選択率を算出した。結果を表2に示す。
なお、本実施例では、第1工程でのZを算出していないが、前記式(1)の定義から明らかなように、第1工程での触媒(1)の使用量とポリアルファオレフィンの使用量は、Zとは無関係のため、本実施例におけるZは実施例1におけるZと同等であるといえる。
[比較例1]
[水素のモル数/一酸化炭素のモル数/二酸化炭素のモル数]のモル比が1.9/1.0/1.0である合成ガスに代えて、[水素のモル数/一酸化炭素のモル数]のモル比が2.0/1.0である合成ガスを用い、反応時間を8時間に代えて6時間とした点以外は、実施例1と同様にFT反応を行い、FT反応の生成物(炭化水素化合物を含む混合物)をガスクロマトグラフィーで分析することにより、CO転化率、CO選択率、プロピレン選択率、C2〜C4オレフィン選択率、オレフィン選択率、及びZを算出した。結果を表1に示す。
さらに、これと同様にFT反応を行って(第1工程)得られた生成物、すなわち、表1に示すものと同様の炭化水素化合物を含む混合物を用いて、反応温度を500℃に代えて550℃とし、FT反応と同時に開始した接触分解の反応時間を10時間に代えて6時間とした点以外は、実施例1と同様に接触分解を行って、生成物を得た。
そして、得られた生成物について、実施例1と同様にCO転化率、CO選択率、プロピレン選択率、C2〜C4オレフィン選択率を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2015164909
Figure 2015164909
上記結果より、実施例1〜3は、比較例1よりもCO選択率が低く、かつC2〜C4オレフィン選択率及びプロピレン選択率が高いことを確認できた。
<オレフィンの製造(第2実施形態)>
[実施例4]
攪拌機を有する内容量85mLの反応器と、この反応器よりも下流側に背圧弁23を備えた、図2に示す製造装置を用いて、以下に示すようにオレフィンを製造した。
前記反応器に、触媒(1)(鉄−マンガン系触媒(I)、鉄−マンガン系触媒(II))(1.0g)、ポリアルファオレフィン(20mL、数平均分子量735)を加えた。
次いで、[水素のモル数/一酸化炭素のモル数]のモル比が1.95である還元ガスを、0.1MPaの圧力で、還元ガスの供給速度(F)(mol/h)に対する触媒(1)の質量(W)(g)の割合(W/F)が10g・h/molとなるように流し、300℃で10時間活性化処理を行った。
次いで、[水素のモル数/一酸化炭素のモル数/二酸化炭素のモル数]のモル比が1.9/1.0/1.0である合成ガスを、1MPaの圧力で、合成ガスのモルあたりの供給速度(F)(mol/h)に対する触媒(1)の質量(W)(g)の割合(W/F)が10g・h/molとなるように流し、280℃で8時間FT反応を行った。
FT反応の生成物(炭化水素化合物)をガスクロマトグラフィーで分析することにより、CO転化率、CO選択率、プロピレン選択率、C2〜C4オレフィン選択率、オレフィン選択率、及びZ01を算出した。結果を表3に示す。
なお、表3における「プロピレン選択率」、「C2〜C4オレフィン選択率」及び「オレフィン選択率」は、いずれも先に説明したものである。
また、表3における「CO転化率」は、反応で用いた原料のCO量(モル)に対する、反応で消費されたCO量(モル)の割合であり、[反応で消費されたCOのモル数]/[反応で用いた原料のCOのモル数]×100(%)で算出される値である。
なお、転化率は、活性化処理後の触媒を用いてFT反応を行い、反応後の混合物(残存原料及び生成物の混合物)におけるCO量に基づいて算出している。
また、表3において、「CO選択率」は、反応で消費されたCO量(モル)に対する、反応で生じたCO量(モル)の割合であり、[反応で生じたCOのモル数]/[反応で消費されたCOのモル数]×100(%)で算出される値である。
なお、合成ガスにCOを添加した場合、「反応で生じたCO量」は、「[反応後ガスに含まれるCO量]−[合成ガスに添加したCO量]」に基づいて算出した。
[実施例5]
[水素のモル数/一酸化炭素のモル数/二酸化炭素のモル数]のモル比が1.9/1.0/1.0である合成ガスに代えて、[水素のモル数/一酸化炭素のモル数/二酸化炭素のモル数]のモル比が1.7/1.0/1.0である合成ガスを用いた点以外は、実施例4と同様にFT反応を行い、FT反応の生成物(炭化水素化合物を含む混合物)をガスクロマトグラフィーで分析することにより、CO転化率、CO2選択率、プロピレン選択率、C2〜C4オレフィン選択率、オレフィン選択率、及びZを算出した。結果を表3に示す。
[比較例2]
[水素のモル数/一酸化炭素のモル数/二酸化炭素のモル数]のモル比が1.9/1.0/1.0である合成ガスに代えて、[水素のモル数/一酸化炭素のモル数]のモル比が2.0/1.0である合成ガスを用い、反応時間を8時間に代えて6時間とした点以外は、実施例4と同様にFT反応を行い、生成物を得た。
そして、得られた生成物について、実施例4と同様にCO転化率、CO選択率、プロピレン選択率、C2〜C4オレフィン選択率、及びZ01を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2015164909
本発明は、オレフィン、特にプロピレン等の炭素原子数2〜4の軽質オレフィンの製造に利用可能である。
1,2・・・製造装置、11,21・・・タンク、12・・・第1反応器、13,23・・・背圧弁、14・・・第2反応器、22・・・反応器

Claims (19)

  1. フィッシャー・トロプシュ反応において、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、鉄元素を含む触媒と分散媒との共存下において反応させ、炭化水素化合物を含む混合物を得る第1工程と、
    前記第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物を、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むゼオライトからなる分解触媒に接触させ、接触分解する第2工程と、を有し、
    前記第1工程における前記合成ガスの二酸化炭素の含有量が、0.3モル%以上50モル%未満であり、
    前記第1工程において、下記式(1)から算出されるZが7×10−1以下である、炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
    Figure 2015164909
    (式(1)中、P(CO2)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素のモル数を示し;P(H2)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水素のモル数を示し;P(CO)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の一酸化炭素のモル数を示し;P(H2O)は、第1工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水のモル数を示し;K(WGS)は第1工程の反応温度における水性ガスシフト反応の平衡定数を示す。)
  2. 前記ゼオライトが、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びd−ブロック元素からなる群から選ばれる1種以上の元素を含むゼオライトである、請求項1に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
  3. 前記ゼオライトが、ZSM−5であり、前記ゼオライトにおけるAlに対するSiOのモル比(SiOのモル数/Alのモル数)が、50以上4000以下である、請求項1又は2に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
  4. 前記分解触媒中の、前記アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種以上の元素の含有量が、0.01質量%以上30質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
  5. 前記分解触媒中の、前記アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属からなる群から選ばれる1種類以上の元素が、アルカリ土類金属元素である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
  6. 前記第2工程において、接触分解時の反応圧力が0.01MPa以上0.5MPa以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
  7. 前記鉄元素を含む触媒が、マンガン、銅、亜鉛、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる1〜3種の元素をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
  8. 前記鉄元素を含む触媒が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれる1〜3種の元素をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
  9. 前記鉄元素を含む触媒が、下記元素(1)及び(2)を含み、且つ下記条件(3)を満たす、請求項1〜8のいずれか一項に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
    元素(1):鉄元素及びマンガン元素
    元素(2):アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれる1〜3種の金属元素
    条件(3):前記元素(1)及び(2)の合計量に対する鉄元素の割合をaモル%とし、前記元素(1)及び(2)の合計量に対するマンガン元素の割合をbモル%とし、前記元素(1)及び(2)の合計量に対する前記元素(2)の合計割合をcモル%としたとき、50≦a≦90、9.5≦b≦48、0.5≦c≦10であり、ただし、a+b+c=100である。
  10. 前記合成ガスにおいて、一酸化炭素に対する水素のモル比(水素のモル数/一酸化炭素のモル数)が0.3以上3以下である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
  11. 前記第1工程における反応温度が、100℃以上600℃以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
  12. 前記第1工程における反応圧力が、0.1MPa以上50MPa以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
  13. 前記分散媒が、常圧下、100℃以上600℃以下の温度範囲で液状の有機化合物である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
  14. 前記Zが5×10−1以下である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
  15. 前記第1工程において、得られた炭化水素生成物を構成する全炭素原子数に対する、炭素原子数2〜4のオレフィンを構成する全炭素原子数の割合が、18モル%以上である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法を用いる、プロピレンの製造方法。
  17. フィッシャー・トロプシュ反応において、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、鉄元素及び鉄元素以外の遷移金属元素を含む触媒の共存下において反応させ、炭化水素化合物を含む混合物を得る工程を有し、
    前記工程における前記合成ガスの二酸化炭素の含有量が、0.3モル%以上50モル%未満であり、
    前記触媒中の、鉄元素及び鉄元素以外の遷移金属元素の合計含有量が、前記触媒が含む全ての金属元素に対して、77モル%より大きく100モル%以下であり、
    前記工程において、下記式(01)から算出されるZ01が7×10−1以下である、オレフィンの製造方法。
    Figure 2015164909
    (式(01)中、P01(CO2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素のモル数を示し;P01(H2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水素のモル数を示し;P01(CO)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の一酸化炭素のモル数を示し;P01(H2O)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水のモル数を示し;K01(WGS)は前記工程の反応温度における水性ガスシフト反応の平衡定数を示す。)
  18. フィッシャー・トロプシュ反応において、一酸化炭素、水素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、鉄元素及びマンガン元素を含む触媒と分散媒との共存下において反応させ、炭化水素化合物を含む混合物を得る工程を有し、
    前記工程における前記合成ガスの二酸化炭素の含有量が、0.3モル%以上50モル%未満であり、
    前記工程において、下記式(01)から算出されるZ01が7×10−1以下である、オレフィンの製造方法。
    Figure 2015164909
    (式(01)中、P01(CO2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の二酸化炭素のモル数を示し;P01(H2)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水素のモル数を示し;P01(CO)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の一酸化炭素のモル数を示し;P01(H2O)は、前記工程で得られた炭化水素化合物を含む混合物中の水のモル数を示し;K01(WGS)は前記工程の反応温度における水性ガスシフト反応の平衡定数を示す。)
  19. 前記Z01が5×10−1以下である、請求項17又は18に記載のオレフィンの製造方法。
JP2014189377A 2014-02-06 2014-09-17 炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法、プロピレンの製造方法及びオレフィンの製造方法 Pending JP2015164909A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014189377A JP2015164909A (ja) 2014-02-06 2014-09-17 炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法、プロピレンの製造方法及びオレフィンの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014021737 2014-02-06
JP2014021737 2014-02-06
JP2014189377A JP2015164909A (ja) 2014-02-06 2014-09-17 炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法、プロピレンの製造方法及びオレフィンの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015164909A true JP2015164909A (ja) 2015-09-17

Family

ID=54187573

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014189377A Pending JP2015164909A (ja) 2014-02-06 2014-09-17 炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法、プロピレンの製造方法及びオレフィンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015164909A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106669720A (zh) * 2015-11-09 2017-05-17 中国石油化工股份有限公司 一种加氢催化剂及其制备方法和应用
US10336946B2 (en) 2014-12-03 2019-07-02 Racional Energy & Environment Company Catalytic pyrolysis method and apparatus
US10611969B2 (en) 2014-12-03 2020-04-07 Racional Energy & Environment Company Flash chemical ionizing pyrolysis of hydrocarbons
US10851312B1 (en) 2014-12-03 2020-12-01 Racional Energy & Environment Company Flash chemical ionizing pyrolysis of hydrocarbons
JP2021003681A (ja) * 2019-06-27 2021-01-14 日本製鉄株式会社 炭化水素製造触媒、炭化水素製造触媒の製造方法、及び炭化水素の製造方法
CN112642437A (zh) * 2019-10-12 2021-04-13 中国石油化工股份有限公司 用于合成气制低碳烯烃的催化剂及其制备方法和应用
CN112774722A (zh) * 2019-11-11 2021-05-11 中国石油天然气股份有限公司 环烷芳烃选择性开环催化剂及其制备方法
CN113117683A (zh) * 2021-04-16 2021-07-16 郑州大学 负载型催化剂及其制备方法
CN114643062A (zh) * 2020-12-18 2022-06-21 中国石油化工股份有限公司 一种合成气制低碳烯烃催化剂及其制备方法和应用
CN116116426A (zh) * 2023-02-15 2023-05-16 宁夏大学 一种用于费托合成的铁基催化剂及其制备方法、应用
JP7492232B2 (ja) 2020-08-07 2024-05-29 三菱ケミカル株式会社 低級オレフィン製造用の触媒、及び低級オレフィンの製造方法

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10336946B2 (en) 2014-12-03 2019-07-02 Racional Energy & Environment Company Catalytic pyrolysis method and apparatus
US10557089B2 (en) 2014-12-03 2020-02-11 Racional Energy & Environment Company Emulsion and system for catalytic pyrolysis
US10611969B2 (en) 2014-12-03 2020-04-07 Racional Energy & Environment Company Flash chemical ionizing pyrolysis of hydrocarbons
US10851312B1 (en) 2014-12-03 2020-12-01 Racional Energy & Environment Company Flash chemical ionizing pyrolysis of hydrocarbons
CN106669720A (zh) * 2015-11-09 2017-05-17 中国石油化工股份有限公司 一种加氢催化剂及其制备方法和应用
JP2021003681A (ja) * 2019-06-27 2021-01-14 日本製鉄株式会社 炭化水素製造触媒、炭化水素製造触媒の製造方法、及び炭化水素の製造方法
CN112642437B (zh) * 2019-10-12 2022-10-11 中国石油化工股份有限公司 用于合成气制低碳烯烃的催化剂及其制备方法和应用
CN112642437A (zh) * 2019-10-12 2021-04-13 中国石油化工股份有限公司 用于合成气制低碳烯烃的催化剂及其制备方法和应用
CN112774722B (zh) * 2019-11-11 2023-08-22 中国石油天然气股份有限公司 环烷芳烃选择性开环催化剂及其制备方法
CN112774722A (zh) * 2019-11-11 2021-05-11 中国石油天然气股份有限公司 环烷芳烃选择性开环催化剂及其制备方法
JP7492232B2 (ja) 2020-08-07 2024-05-29 三菱ケミカル株式会社 低級オレフィン製造用の触媒、及び低級オレフィンの製造方法
CN114643062A (zh) * 2020-12-18 2022-06-21 中国石油化工股份有限公司 一种合成气制低碳烯烃催化剂及其制备方法和应用
CN114643062B (zh) * 2020-12-18 2023-10-31 中国石油化工股份有限公司 一种合成气制低碳烯烃催化剂及其制备方法和应用
CN113117683A (zh) * 2021-04-16 2021-07-16 郑州大学 负载型催化剂及其制备方法
CN116116426A (zh) * 2023-02-15 2023-05-16 宁夏大学 一种用于费托合成的铁基催化剂及其制备方法、应用
CN116116426B (zh) * 2023-02-15 2024-04-09 宁夏大学 一种用于费托合成的铁基催化剂及其制备方法、应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2015164909A (ja) 炭素原子数2〜4のオレフィンの製造方法、プロピレンの製造方法及びオレフィンの製造方法
CN110769930B (zh) 水蒸气重整用催化剂结构体、具备该水蒸气重整用催化剂结构体的重整装置以及水蒸气重整用催化剂结构体的制造方法
Wang et al. Synthesis, characterization and catalytic performance of MgO-coated Ni/SBA-15 catalysts for methane dry reforming to syngas and hydrogen
US8987160B2 (en) Fischer-tropsch catalysts containing iron or cobalt selective towards higher hydrocarbons
CN110691646A (zh) Co变换或逆变换催化剂结构体及其制造方法、co变换或逆变换反应装置、二氧化碳和氢的制造方法、以及一氧化碳和水的制造方法
CN105618034A (zh) 一种负载型钌金属纳米簇基催化剂及其制备与应用
Autthanit et al. Oxidative and non-oxidative dehydrogenation of ethanol to acetaldehyde over different VOx/SBA-15 catalysts
WO2014024774A1 (ja) 炭素原子数2~4のオレフィンの製造方法及びプロピレンの製造方法
Palomo et al. ZSM-5-decorated CuO/ZnO/ZrO2 fibers as efficient bifunctional catalysts for the direct synthesis of DME from syngas
Liu et al. Factors influencing the Fischer–Tropsch synthesis performance of iron-based catalyst: Iron oxide dispersion, distribution and reducibility
US9610569B2 (en) Process for the preparation of Ni—CeMgAl2O4 catalyst for dry reforming of methane with carbon dioxide
Raveendra et al. Syngas to light olefin synthesis over La doped Zn x Al y O z composite and SAPO-34 hybrid catalysts
WO2020049502A1 (en) Copper-based catalysts
Lawson et al. Screening of adsorbent/catalyst composite monoliths for carbon capture-utilization and ethylene production
CN112469666B (zh) 使用负载有机模板的晶种连续合成沸石材料的方法
Sun et al. Direct coating copper–zinc–aluminum oxalate with H-ZSM-5 to fabricate a highly efficient capsule-structured bifunctional catalyst for dimethyl ether production from syngas
US20220016608A1 (en) Catalyst structure and method for producing same, and method for producing hydrocarbon by use of catalyst structure
Chang et al. High catalytic activity and stability of Ni/CexZr1− xO2/MSU-H for CH4/CO2 reforming reaction
US20220023848A1 (en) Catalyst structure and method for producing same, and method for producing hydrocarbon by use of catalyst structure
Cho et al. Magnesium-promoted Ni/USY catalysts prepared via surfactant-assisted melt infiltration for ammonia decomposition
CA2983738A1 (en) Method of manufacturing iron-based catalysts and method of manufacturing hydrocarbons using iron-based catalysts made by the method
Dehkordi et al. Dimethyl ether from methanol on mesoporous γ-alumina catalyst prepared from surfactant free highly porous pseudo-boehmite
KR20150024818A (ko) 실리코알루미노인산염, 그 제조 방법 및 그것을 함유하는 고체산 촉매
Yang et al. Topotactic transformation of metal–organic frameworks to iron-based catalysts for the direct hydrogenation of CO 2 to olefins
Feyzi et al. Catalytic performance and characterization of cobalt-nickel nano catalysts for CO hydrogenation

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150916

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20150916

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150916