JP2015162669A - 無欠陥領域を有するエピタキシャル膜を基板上に形成する方法及び無欠陥領域を有するエピタキシャル膜付き基板 - Google Patents

無欠陥領域を有するエピタキシャル膜を基板上に形成する方法及び無欠陥領域を有するエピタキシャル膜付き基板 Download PDF

Info

Publication number
JP2015162669A
JP2015162669A JP2014039113A JP2014039113A JP2015162669A JP 2015162669 A JP2015162669 A JP 2015162669A JP 2014039113 A JP2014039113 A JP 2014039113A JP 2014039113 A JP2014039113 A JP 2014039113A JP 2015162669 A JP2015162669 A JP 2015162669A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
groove
defect
epitaxial film
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014039113A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6245609B2 (ja
Inventor
道子 吉武
Michiko Yoshitake
道子 吉武
進二郎 柳生
Shinjiro Yagyu
進二郎 柳生
知京 豊裕
Toyohiro Chikyo
豊裕 知京
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Materials Science
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute for Materials Science filed Critical National Institute for Materials Science
Priority to JP2014039113A priority Critical patent/JP6245609B2/ja
Publication of JP2015162669A publication Critical patent/JP2015162669A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6245609B2 publication Critical patent/JP6245609B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Formation Of Insulating Films (AREA)
  • Recrystallisation Techniques (AREA)

Abstract

【課題】金属基板などの比較的柔らかい基板上にそれよりも硬い材料のエピタキシャル膜を形成すると、両者の間の格子整合による応力が基板側に欠陥を作り、それがエピタキシャル膜の欠陥として現れる。
【解決手段】基板表面上にごく浅い溝を形成してからその表面でエピタキシャル成長を行う。格子整合による応力は溝で解放されて基板表面全体にわたって伝搬、蓄積されないので、基板表面上の任意の領域を溝によって遠方からの応力から隔離しておけば、当該領域内では欠陥が形成されないようにすることができる。

【選択図】図7

Description

本発明は金属や合金の単結晶などの比較的ヤング率の小さな(つまり、比較的柔軟な)基板上への無欠陥のエピタキシャル膜の形成方法に関し、さらに詳細には予め設定した領域内を無欠陥とするエピタキシャル膜の形成方法に関する。本発明は更に、このようなあらかじめ設定した領域内が無欠陥であるエピタキシャル膜付き基板に関する。
本発明はエピタキシャル膜一般に広く適用できるものであるが、エピタキシャル膜の材料を特定の物質として説明しても一般性を失わないので、以下では主にエピタキシャルアルミナ膜に例を取って説明する。
エピタキシャル酸化アルミニウム極薄膜はトンネル効果素子用、チャージアップしない電子デバイス基板用等としての応用が期待できる材料である。本願発明者らは特許文献1、2でそのようなエピタキシャル酸化アルミニウム膜やその製造方法を提案した。このようにして成長させた酸化アルミニウム極薄膜は原子レベルで平坦な、高性能なトンネルバリア層等として使用できる。しかしこのようにして形成した膜面には特異な形状を持つ欠陥が現れる傾向があり、従ってこのエピタキシャル膜を使用する際には欠陥の存在を探知してそれを避ける必要があるなどの問題があった。
本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解消し、所望の領域に欠陥が現れないようにしたエピタキシャル膜を得ることにある。
本発明の一側面によれば、表面に溝が形成された基板上に前記基板よりもヤング率が大きい膜をエピタキシャル成長する段階を有する、無欠陥領域を有するエピタキシャル膜を基板上に形成する方法が与えられる。
ここで、前記溝は前記無欠陥領域とすべき領域の周囲に形成されてよい。
また、前記溝は前記無欠陥領域とすべき領域の周囲を完全に又は部分的に包囲する直線または曲線の形状を有してよい。
また、前記溝は前記無欠陥領域とすべき領域に、隣接する互いに平行な複数の直線の形状として設けられてよい。
また、前記溝の幅は前記溝の深さよりも大きくしてよい。
また、前記基板は金属または合金の単結晶であってよい。
また、前記エピタキシャル成長する膜の厚さは1nm以上であってよい。
本発明の他の側面によれば、溝が形成された基板と、前記基板上にエピタキシャル成長され、前記基板よりもヤング率が大きい膜とを設けた、無欠陥領域を有するエピタキシャル膜付き基板が与えられる。
ここで、前記溝は前記無欠陥領域の周囲に設けられてよい。
また、前記溝は前記無欠陥領域の周囲を完全に又は部分的に包囲する直線または曲線の形状を有してよい。
また、前記溝は前記無欠陥領域とすべき領域に、隣接する互いに平行な複数の直線の形状として設けられてよい。
また、前記溝の幅は前記溝の深さよりも大きくしてよい。
また、前記基板は金属または合金の単結晶であってよい。
また、前記膜の厚さは1nm以上であってよい。
本発明によれば、金属などの基板上に基板よりもヤング率の大きな(つまり、基板よりも弾性変形しにくい)膜をエピタキシャル成長するに当たって、あらかじめ設定したこの膜の領域内部に欠陥が発生しないようにすることができる。これにより、例えばこのようなエピタキシャル成長した膜上にデバイスを形成する際、素子中の重要な要素のレイアウトの都合上、欠陥が発生してはいけない一つまたはより多くの任意の領域を無欠陥領域としてあらかじめ設定してからエピタキシャル成長を行うことによって、素子の形成に利用しやすくまた作成した素子の収率が高いエピタキシャル膜を提供することができる。
Cu−9Al合金の(111)面にエピタキシャル成長させた酸化アルミニウム膜の二次電子像。 Cu−9Al合金の(111)面での酸化アルミニウム膜のエピタキシャル成長過程の各段階の二次電子像。 Cu−9Al合金の(111)面での酸化アルミニウム膜のエピタキシャル成長過程における酸素ドーズ量に対する膜厚と欠陥面積とが高い相関関係を有することを示す図。 Cu−9Al合金の(111)面にエピタキシャル成長させた酸化アルミニウム膜の欠陥のAFM像。 本発明の実施例において、サイズを変えて溝の効果を調べるためにCu−9Al(111)単結晶基板上に形成した溝パターンを示す概念図。 図5に示された溝パターンを形成したCu−9Al(111)単結晶基板の光学顕微鏡写真。 図5、図6に示された溝パターンを形成したCu−9Al(111)単結晶基板上に酸化アルミニウム膜をエピタキシャル成長する前(酸化前)及び成長後(酸化後)の基板表面を各種の倍率で撮影した光学顕微鏡写真。 350μmの溝パターンを追加して実験を繰り返した結果の一つを示す酸化後の基板表面の光学顕微鏡写真。 350μmの溝パターンを追加して実験を繰り返した結果の他の一つを示す酸化後の基板表面の光学顕微鏡写真。
以下では先ず金属などの比較的ヤング率の小さな基板上にそれよりもヤング率が大きな膜をエピタキシャル成長させたときに現れる欠陥を具体的に説明する。
特許文献1,2のエピタキシャル膜は金属基板上に成長させたものであるが、このようにして得られたエピタキシャル膜には特異な形状を有する欠陥がランダムに現れる。図1には特許文献1に示す方法によってアルミニウムを9原子%含む銅アルミニウム合金(Cu−9Al)単結晶の(111)面にエピタキシャル成長させた酸化アルミニウムの極薄膜の二次電子像を示す。図1に示す2つの二次電子像は酸化アルミニウム極薄膜の異なる場所からのものであり、場所によりその密度は異なるが、上から見て三角形状の欠陥が表面上に散在していることがわかる。図2に、金属基板に酸素を供給してエピタキシャル酸化アルミニウム膜を成長させる4つの段階の過程における4つの時点の基板表面の二次電子像を示す。(a)に示す酸素ドーズ量が0Lの時点では欠陥は存在していないが、酸素ドーズ量を(b)350L、(c)750L、(d)4200Lと増加させていくにつれて欠陥が増加することがわかる。図3には酸素ドーズ量を横軸に取った時のエピタキシャル酸化アルミニウム膜の厚さ(○)及び欠陥の合計面積(▲)を示す。これから、エピタキシャル酸化アルミニウム膜の膜厚と欠陥面積との間に強い相関関係があることがわかる。
図4はこのような欠陥の原子間力顕微鏡(AFM)像を示す。ここに示された欠陥は一辺が約20μm、深さが約0.5μmの逆ピラミッド構造であり、この欠陥は部分はエピタキシャル酸化アルミニウムの平坦な膜面から窪んだ三次元構造であった。特許文献1,2に示されるエピタキシャル極薄膜の厚さは数nm程度(図2では0.5nm〜4nm程度)であることから、欠陥の底が膜面から約0.5μm下にあるということは、この欠陥はエピタキシャル膜だけの欠陥ではなく、その下地の基板の欠陥でもある。また、図2(a)及び図3に示すように、エピタキシャル成長前にはそのような欠陥は存在していないか、あるいは検出できないほどに僅かであることから、逆ピラミッド状の窪みはエピタキシャル成長中に形成されたものであることがわかる。
本願発明者の研究の結果、Cu−Al9(111)基板の金属原子間距離は酸化アルミニウム膜との界面付近では酸化アルミニウムの酸素原子間距離と7:6という整数比の関係であるが、界面から少し離れた位置ではCu−9Al本来の金属原子間距離(酸化アルミニウムの酸素原子間距離と整数比の関係にならない)になっていた。これは、基板表面に強い引っ張り応力が印加されて、ヤング率の小さな基板側がより大きく歪んだと考えられる。基板の材料とその上にエピタキシャル成長する膜の材料とを比較すれば、通常はヤング率の小さな材料の方が弾性限界点(降伏点)が小さいので、歪の大きな基板表面の方が先に弾性限界点に到達する。これによって基板表面側で破壊が起こることで基板表面のランダムな位置で穴が形成されることがわかった。これは、エピタキシャル酸化アルミニウム膜と基板表面とを比較的小さな値の整数比で双方の原子が整列するように格子整合させるために、本発明で前提としている条件下では、より柔軟な基板側の結晶格子が歪むことによる。なお、この応力が引っ張り応力となるのは、基板に圧縮応力がかかるとすれば基板表面の原子層が膨れて剥がれることになるが、そのために必要なエネルギーよりも引っ張り応力により表面に穴、つまり窪みを形成する方がエネルギー的に得であることによると考えられる。つまり、本発明の条件下では、基板側には一般に引っ張り応力がかかることになる。
もちろん、基板とエピタキシャル膜の組み合わせによっては、双方の原子配列がたまたま簡単な整数比で全く歪のない状態で整列することもあり得るが、そのような場合には応力は発生しない。なお、基板側の弾性限界点が例外的に大きいために、エピタキシャル膜と基板との界面で基板側の歪が大きくなってもエピタキシャル膜側が先に弾性限界に到達する場合には、基板側の破壊は起こらない。
上で説明した欠陥の構造及びその原因に基づき、本願発明者は、基板上にそれよりもヤング率が大きなエピタキシャル膜を成長させるに当たって、格子整合が起こる連結領域を局限し、成長すべきエピタキシャル膜よりも先に弾性限界に到達する基板の表面に発生する応力・歪をそのような領域端部で開放することにより、エピタキシャル成長中に基板表面上に発生する応力を低減するという着想を得て本発明を完成させた。具体的には、エピタキシャル成長を行う前に基板上に溝を形成することにより、領域端部となる溝の縁において歪を開放し、基板表面の応力が基板の弾性限界を超えないようにする。このようにすれば、基板表面上の溝のない部分には欠陥のない格子整合層が形成される。
この格子整合層の上に更に結晶の薄膜を成長させてもよいし、あるいはトンネル素子などのように極薄のエピタキシャル膜をそのまま素子の構成要素として使用する場合には、その上に更に結晶薄膜を成長させる必要はない。また、格子整合層の上に結晶薄膜を成長させる場合、結晶薄膜の成長の際に発生する歪は、基板と格子整合層との間に発生した歪と同様に、その伝搬、累積が溝により中断され、そこで解放される。
ここで、格子整列は基板表面上の極表層で起こる現象であるので、溝の深さも原理的には格子整列による応力、歪が存在している深さ程度まであればよく、実用上、20〜100nm程度あれば十分である。溝の深さの上限については、基板の機械強度を低下させたり、その他、基板の機能を損なうことがない限り、制限はない。また、溝の幅は原理的には制限はないが、数10nm等の極めて狭い幅とすることは技術的、経済的に不利となる。従って、溝の幅は溝の深さに比べてかなり大きくするのが現実的である。また、基板に溝を形成する方法は、溝以外の部分に悪影響を与えずに上の条件を満たす溝を形成できる方法である限り、いかなる方法でも使用することができる。
また、エピタキシャル膜は1nmという非常に薄いものであっても本発明は有効に機能する。エピタキシャル膜の厚さの上限については原理的には制限はないが、通常の用途では100nm程度あれば十分である場合も多い。
更には、以下の実施例では無欠陥としたい領域は周囲を溝で完全に囲まれた三角形の閉領域としたが、格子整合によるエピタキシャル成長中の基板表面上の応力を十分に低減できるものである限り、三角形ではない多角形としてもよいし、あるいは曲線状の溝を採用してもよい。
更には、溝で所望領域を完全に囲む必要はない。例えば、所々で切れ目の入った溝で囲むようにしてもよいし、あるいは多角形の一部を切り欠くことで開口部を設けた形状としてもよい。また、互いに平行な複数本の溝を形成してもよい。通常、結晶は対称性が高く、ある結晶方位に平行な直線の溝を形成しても必ず等価な結晶方位と交わる。そうするとそこを起点に欠陥が集積すると考えられ、互いに平行な複数本の溝だけでも無欠陥領域ができることになる。更に別の変形例として、所々で切れ目の入った溝という上述の構造を極端にした形状として、溝全体あるいはその一部の区間に非常に細かく切れ目を入れることで、連続的というよりはむしろ点線状の溝とすることもできる。このような多様な変形も本願特許請求の範囲に規定する本発明に包含されることに注意されたい。
以下、Cu−9Al(111)単結晶基板に酸素を供給することでこの基板上に酸化アルミニウム膜をエピタキシャル成長させる場合を例にとって本発明の実施例を詳細に説明するが、上で説明した本発明の原理を読めば、当業者であれば本発明は基板材料、エピタキシャル膜材料、エピタキシャル方法、溝形成方法等の特定の材料、方法等に限定されるものではないことを理解するはずである。なお、以下の実施例の基板とエピタキシャル膜との組み合わせでは、合金であるCu−9Al(111)単結晶基板の方が酸化アルミニウムに比べてはるかに柔軟、つまりヤング率が小さい。
その表面に酸化アルミニウム膜をエピタキシャル製造させるCu−9Al(111)単結晶基板表面に図5に示す溝パターンを形成した。具体的には基板表面の約700μm×約500μmの長方形の区画内に一辺が200μm、100μm、50μm、25μm、及び12.5μmの正三角形状の溝(それぞれ200μm〜12.5μmの溝パターンと称する)を6分間のFIB加工によって形成した。図中、200μm及び100μmの溝パターンはその正三角形形状をそのまま図示したが、50μm〜12.5μmの溝パターンについては小さくなるため図中にはそれぞれ正方形で図示した。実際の溝パターンは、長方形区画の左下隅から右上方向に延びる引き出し線の先に示したように、サイズ毎に6個の正三角形の組み合わせの形状になっている。
図6の(a)は溝を形成したCu−9Al(111)単結晶基板の長方形区画全体の光学顕微鏡写真、また(b)はその左下隅の50μm〜12.5μmのサイズの溝パターンが設けられている部分を拡大した光学顕微鏡写真である。
この基板をチャンバー内において0.5×10−7Paの超高真空状態下でArイオンのスパッタリング(1000eVのエネルギーで5分間)及び熱処理(910Kで15分間)することにより、基板表面を清浄にした。次に、結晶表面温度が900Kになるように加熱し、純粋な酸素をチャンバー内へ導入し、酸素分圧を6.7×10−6Paとした状態で6時間程度酸化させた。これにより、基板表面に酸化アルミニウムを2nmの厚さにエピタキシャル成長させた。ここで使用したエピタキシャル成長方法は特許文献1に開示され、当業者に周知となっている事項であるので、これ以上詳細な説明は省略する。
なお、エピタキシャル成長方法は、上で例示した酸素誘起アルミニウム偏析現象を利用する以外にも、例えば各種の金属基板の表面を特定の結晶方位面とし、そこに酸素雰囲気下で他の金属を蒸着することで、基板表面にその酸化物をエピタキシャル成長させてもよい。もちろん、エピタキシャル膜は酸化物に限定されるものではない。
図7は、図5及び図6を参照して説明した溝パターンを形成したCu−9Al(111)単結晶基板表面に上述の酸化処理を行うことで酸化アルミニウム膜を形成する前後の基板表面を各種の倍率で示す光学顕微鏡写真である。図中、「酸化前」が酸化処理前の、また「酸化後」が酸化処理後の基板表面である。倍率が×5及び×10の写真は溝パターンを形成した上述の区画全体を、倍率×20は領域左下部分のサイズ50μm〜12.5μmの溝パターンを、また倍率が×50の写真はサイズ12.5μmの溝パターンのみを、それぞれ示す。これからわかるように正三角形のサイズが200μm〜12.5μmの何れであっても、従来は表面にランダムに分布していた欠陥が溝付近では形成されないか、あるいは形成されても溝に沿って形成されるため、正三角形の領域内部には欠陥が現れなかった。12.5μmの溝パターンでは溝が囲んでいる正三角形の面積がかなり小さいため、溝の上にできた欠陥が正三角形内部へ向かって伸びた場合には正三角形内部の領域のうちの無視できない面積が欠陥で覆われてしまうことがあるが、当該領域の内部から欠陥が成長することはないという点ではこれよりも大きなサイズの領域と変わることはない。
溝パターンサイズの上限を確認するため、更に一辺が350μmの正三角形の大きな溝パターン(以下、350μmの溝パターンと称する)を追加したCu−9Al(111)単結晶基板表面に上と同じ条件で酸化アルミニウム膜をエピタキシャル成長させる実験を繰り返したところ、350μmの溝パターンの内部の領域では溝からある程度距離以上の中心部近傍では溝の効果はなく、毎回欠陥が現れた。一方、200μmの溝領域の内部の膜状態は試料のわずかな不均一性等の条件のばらつきに非常に敏感であり、欠陥が現れる場合も現れない場合もあった。
図8及び図9は350μmの溝パターンを追加した以外は上述したものと全く同じ態様で溝形成とエピタキシャル成長を行った後の多数の基板中の典型的な二つ(以下、それぞれ試料A及び試料Bと称する)の表面を倍率×5、×10及び×20で光学顕微鏡を使用して撮影した結果である。試料A、特にその倍率×10の顕微鏡写真からは、350μmの溝パターンの内部領域を見ると、溝に近い箇所を除けば多数の欠陥が存在していることがはっきりわかる。また、その下にある200μmの溝パターンをよく見ると、その内部にはわずかではあるが欠陥が形成されている。一方試料Bの顕微鏡写真中、倍率×10の写真については撮影範囲をずらした写真を2枚示すことで、350μm及び200μmの溝パターンの内部領域全体が分かるようにしている。これらの2枚の写真には何れも内部に多数の欠陥を有する350μmの溝パターンが示されている。一方、下側の倍率×10の写真を見ると、横に2つ並んでいる200μmの溝パターンのうちで、左側の三角形の中央やや下寄りにいくつかの欠陥が存在しているのがわかる。これに対して右側の逆三角形の内部には欠陥は観察されない。以上から、溝パターンを正三角形とした場合には、一辺の長さ200μmが欠陥の発生についての臨界点であることが確認できた。
なお、実施例では基本的には基板原子が細密に配列する方向(=酸化アルミニウムの酸素原子が細密に配列する方向)に平行な溝を形成しているが、本発明は本質的には溝の方向は関係ないと考えられる。結晶方位によって表面エネルギーが異なるので、欠陥の形状が結晶方位に沿った逆三角錐状になり、溝の方向が結晶方位と一致していない場合、溝に隣接して形成される平坦な膜のエッジが結晶方位に沿った方向からなるジグザグ形状になるだけであると考えられる。これを上述の実施例の光学顕微鏡写真に例を取って示せば、図7の酸化後の倍率×20の像の一番左に見える50μmの溝パターン中の溝の縁にこのようなジグザク形状の膜のエッジが形成されているのがわかる。また、図8に示す試料Aの左下隅の50μmの溝パターンにおいては、例えばその左上隅の逆三角形の底辺には平坦なエッジが形成されていて、この底辺を構成する溝が結晶方位と一致していることが分かる。
特許第5114774号 特開2011-016704号

Claims (14)

  1. 表面に溝が形成された基板上に前記基板よりもヤング率が大きい膜をエピタキシャル成長する段階を有する、無欠陥領域を有するエピタキシャル膜を基板上に形成する方法。
  2. 前記溝は前記無欠陥領域とすべき領域の周囲に形成される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記溝は前記無欠陥領域とすべき領域の周囲を完全に又は部分的に包囲する直線または曲線の形状を有する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記溝は前記無欠陥領域とすべき領域に、隣接する互いに平行な複数の直線の形状として設けられる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記溝の幅は前記溝の深さよりも大きな、請求項1から4の何れかに記載の方法。
  6. 前記基板は金属または合金の単結晶である、請求項1から5の何れかに記載の方法。
  7. 前記エピタキシャル成長する膜の厚さは1nm以上である、請求項1から6の何れかに記載の方法。
  8. 溝が形成された基板と、
    前記基板上にエピタキシャル成長され、前記基板よりもヤング率が大きい膜と
    を設けた、無欠陥領域を有するエピタキシャル膜付き基板。
  9. 前記溝は前記無欠陥領域の周囲に設けられる、請求項8に記載のエピタキシャル膜付き基板。
  10. 前記溝は前記無欠陥領域の周囲を完全に又は部分的に包囲する直線または曲線の形状を有する、請求項9に記載のエピタキシャル膜付き基板。
  11. 前記溝は前記無欠陥領域とすべき領域に、隣接する互いに平行な複数の直線の形状として設けられる、請求項8に記載のエピタキシャル膜付き基板。
  12. 前記溝の幅は前記溝の深さよりも大きな、請求項8から11の何れかに記載のエピタキシャル膜付き基板。
  13. 前記基板は金属または合金の単結晶である、請求項8から12の何れかに記載のエピタキシャル膜付き基板。
  14. 前記膜の厚さは1nm以上である、請求項8から13の何れかに記載のエピタキシャル膜付き基板。
JP2014039113A 2014-02-28 2014-02-28 無欠陥領域を有するエピタキシャル膜を基板上に形成する方法及び無欠陥領域を有するエピタキシャル膜付き基板 Expired - Fee Related JP6245609B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014039113A JP6245609B2 (ja) 2014-02-28 2014-02-28 無欠陥領域を有するエピタキシャル膜を基板上に形成する方法及び無欠陥領域を有するエピタキシャル膜付き基板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014039113A JP6245609B2 (ja) 2014-02-28 2014-02-28 無欠陥領域を有するエピタキシャル膜を基板上に形成する方法及び無欠陥領域を有するエピタキシャル膜付き基板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015162669A true JP2015162669A (ja) 2015-09-07
JP6245609B2 JP6245609B2 (ja) 2017-12-13

Family

ID=54185538

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014039113A Expired - Fee Related JP6245609B2 (ja) 2014-02-28 2014-02-28 無欠陥領域を有するエピタキシャル膜を基板上に形成する方法及び無欠陥領域を有するエピタキシャル膜付き基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6245609B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106919771A (zh) * 2016-12-16 2017-07-04 清华大学 硬膜‑软基底双层结构后屈曲失稳形貌的设计方法及应用

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0982640A (ja) * 1995-09-20 1997-03-28 Oki Electric Ind Co Ltd 化合物半導体基板とその製造方法
JPH10106948A (ja) * 1996-10-01 1998-04-24 Tera Tec:Kk 半導体装置およびその製造方法
JPH11195813A (ja) * 1997-12-26 1999-07-21 Toshiba Electronic Engineering Corp 窒化ガリウム系半導体素子
JPH11199379A (ja) * 1998-01-16 1999-07-27 Kobe Steel Ltd ダイヤモンド膜の形成方法
JP2001335934A (ja) * 2000-05-25 2001-12-07 Japan Atom Energy Res Inst 立方晶炭化珪素単結晶薄膜におけるスリップの低減方法
JP2013084643A (ja) * 2011-10-06 2013-05-09 Nano Material Kenkyusho:Kk 半導体製造装置及び製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0982640A (ja) * 1995-09-20 1997-03-28 Oki Electric Ind Co Ltd 化合物半導体基板とその製造方法
JPH10106948A (ja) * 1996-10-01 1998-04-24 Tera Tec:Kk 半導体装置およびその製造方法
JPH11195813A (ja) * 1997-12-26 1999-07-21 Toshiba Electronic Engineering Corp 窒化ガリウム系半導体素子
JPH11199379A (ja) * 1998-01-16 1999-07-27 Kobe Steel Ltd ダイヤモンド膜の形成方法
JP2001335934A (ja) * 2000-05-25 2001-12-07 Japan Atom Energy Res Inst 立方晶炭化珪素単結晶薄膜におけるスリップの低減方法
JP2013084643A (ja) * 2011-10-06 2013-05-09 Nano Material Kenkyusho:Kk 半導体製造装置及び製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
山内康弘, 外2名: "Cu-9%Al(111)合金上に成長したエピタキシャル酸化膜の表面形態と化学結合状態", 真空, JPN6017035941, 2003, pages 546 - 549, ISSN: 0003645717 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106919771A (zh) * 2016-12-16 2017-07-04 清华大学 硬膜‑软基底双层结构后屈曲失稳形貌的设计方法及应用
CN106919771B (zh) * 2016-12-16 2020-06-12 清华大学 硬膜-软基底双层结构后屈曲失稳形貌的设计方法及应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP6245609B2 (ja) 2017-12-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Tham et al. Defects in GaN nanowires
Xu et al. Faceting, composition and crystal phase evolution in III–V antimonide nanowire heterostructures revealed by combining microscopy techniques
Choi et al. Fabrication of SiC nanopillars by inductively coupled SF6/O2 plasma etching
JP2012142629A5 (ja)
US10115589B2 (en) Epitaxial substrate for electronic devices, electronic device, method for producing the epitaxial substrate for electronic devices, and method for producing the electronic device
Gray et al. Periodic arrays of epitaxial self-assembled SiGe quantum dot molecules grown on patterned Si substrates
JP6831814B2 (ja) 複数のイオン注入を用いた窒化ガリウム基板の製造方法
US20150376778A1 (en) Graphene growth on sidewalls of patterned substrate
JP6621304B2 (ja) 半導体ウエハの製造方法
Sun et al. The morphology evolution of selective area wet etched commercial patterned sapphire substrates
JP6245609B2 (ja) 無欠陥領域を有するエピタキシャル膜を基板上に形成する方法及び無欠陥領域を有するエピタキシャル膜付き基板
WO2016171168A1 (ja) SiC単結晶シード、SiCインゴット、SiC単結晶シードの製造方法及びSiC単結晶インゴットの製造方法
Ağan et al. TEM studies of Ge nanocrystal formation in PECVD grown SiO2: Ge/SiO2 multilayers
JP6706414B2 (ja) Ge単結晶薄膜の製造方法及び光デバイス
RU2628220C1 (ru) Способ формирования массива нанопроволок на ступенчатой поверхности Cu2Si
Tarasov et al. Tailoring the preferable orientation relationship and shape of α-FeSi 2 nanocrystals on Si (001): The impact of gold and the Si/Fe flux ratio, and the origin of α/Si boundaries
JP6153224B2 (ja) 表面の平坦性および結晶構造の完全性に優れたGaSb/InAs/Si(111)構造とその形成方法、並びにその構造を用いたMOSデバイスおよび赤外線検出デバイス
US20240178141A1 (en) Nanomolding of electrical interconnects
US20230392288A1 (en) SiC SINGLE CRYSTAL SUBSTRATE
Lunceford et al. Characterization of epitaxially grown indium islands on Si (111)
Beekley Interface evolution of au-au thermocompression bonding and nanotwins
KR102006533B1 (ko) 플라즈마를 이용한 나노 로드의 제조 방법
CN105914135A (zh) 半导体器件的形成方法
Schoenherr et al. Freestanding single-crystalline magnetic structures fabricated by ion bombardment
Hetherington et al. Characterization of a porous silicon carbide layer produced on a 6H-SiC substrate: TEM (XHREM) and EDX studies

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171013

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171024

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171108

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6245609

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees