JP2015161025A - ニッケル粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】平均粒径が小さく、粗大粒子が少ない球状ニッケル粉末及びその製造方法を提供する。【解決手段】ニッケル塩水溶液の添加量は、アルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加した溶液の総溶液量に対するニッケル濃度が2g/L〜6g/Lとなり、且つ、アルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加した際の発泡によるニッケル粒子生成反応系の体積増加率が13%以下となるようにするニッケル粉末の製造方法により、還元剤の自己分解及び酸化還元反応による発生ガス量を制御し、反応溶液の飛散を抑制することによって、粗大粒子の含有率を低下させることができる。【選択図】なし
Description
本発明は、ニッケル粉末とその製造方法に関するものであって、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極として用いられる。
ニッケル粉末は、厚膜導電体を作製するための導電ペーストの材料として利用されている。厚膜導電体は、電気回路の形成、積層セラミックコンデンサ(MLCC:multilayer ceramic capacitors)、多層セラミック基板等の積層セラミック部品の電極等に用いられている。
特に、積層セラミックコンデンサの小型化及び高容量化が進み、積層セラミックコンデンサに用いる導電ペーストの使用量も大幅に増加している。このため、導電ペーストに使用する金属粉末としては、高価な貴金属の使用を避け、安価なニッケル等の卑金属が主流となっている。
ところで、積層セラミック部品である積層セラミックコンデンサは、次のように製造されている。積層セラミックコンデンサの製造方法では、ニッケル粉末、エチルセルロース等の樹脂、ターピネオール等の有機溶剤等を混練した導電ペーストが、誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷される。導電ペーストが印刷された誘電体グリーンシートは、導電ペーストが交互に重なるように積層され圧着される。
誘電体グリーンシートが圧着された積層体では、所定の大きさにカットされ、有機バインダとして使用したエチルセルロース等の樹脂が燃焼により除去され(脱バインダ処理)、1300℃で高温焼成され、セラミック体が得られる。積層セラミックコンデンサの製造方法では、得られたセラミック体に外部電極を取り付けて、積層セラミックコンデンサとする。
上述したように、内部電極となる導電ペースト中の金属粉末は、貴金属よりもニッケル等の卑金属が主流となっていることから、積層体の脱バインダ処理では、ニッケル粉末等が酸化しないように、極めて微量の酸素を含んだ雰囲気下にて行われる。
近年では、小型化及び大容量化した積層セラミックコンデンサが求められており、内部電極や誘電体と共に薄層化も進められている。特に、内部電極に使用されるニッケル粉末の粒径としては、0.5μm以下が主流となっている。
内部電極に使用されるニッケル粉末には様々な特性が求められているが、その一つに粗大粒子が含まれないことが求められている。その理由は、ニッケル粉末に粗大粒子が含まれていると、内部電極層から粗大粒子が突き出してしまい、別の内部電極層と接触し短絡してしまうからである。
粗大粒子を含まないニッケル粉末を得る方法としては、粒径の小さいニッケル粉末の製造方法が多数提案されており、代表的なものとして、以下の特許文献1及び2に記載の方法がある。
特許文献1では、パラウムを混合したニッケル塩水溶液に所定量のヒドラジンを加えて反応させ、粒径及び分散性において積層セラミックコンデンサの内部電極の作製に適したニッケル粉末の製造方法が提案されている。
特許文献2では、パラジウムと銀からなる複合コロイド粒子が分散したコロイド溶液を用いて、ニッケルを析出させることで、平均粒径が小さく、均一な粒度分布を有するとともに、良好な分散性を有し、粗大粒子や連結粒子が少ない球状のニッケル粉末を得る方法が提案されている。そして、特許文献2では、特許文献1の問題点であった経済的な不利を解消し、粗大粒子の含有量を著しく低減することができている。
しかしながら、特許文献1では、還元を促進するパラジウムを用いており、パラジウムがニッケル粒子の析出の核として作用するが、核となるパラジウムが凝集することがあり、凝集した核を中心にニッケルが成長し、単一の粒子が相互に連結した粒子や単一の粒子による粗大粒子が発生してしまう。また、特許文献1では、ニッケル粉末の粒径を小さくするためには、核となるパラジウムが多量に必要になり、この点で経済的にも不利である。
また、特許文献2では、粗大粒子が僅かながら含有されている問題が残っており、粗大粒子がより低減、更には、粗大粒子が含まれていないニッケル粉末の出現が期待されている。特に、特許文献2では、薄層化が十分に期待できるという観点から、平均粒径が0.3μm以下の微粒子の領域において、粗大粒子が含まれていないニッケル粉末の出現が期待されている。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極を作製するために、好適なニッケル粉末の製造方法を提供することにあり、具体的には、平均粒径が小さく、粗大粒子が少ないニッケル粉末の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、粗大粒子の含有率を更に低減する目的を達成するために、鋭意研究開発を進めた結果、ニッケル粉末が生成する核となるコロイド粒子を投入し粗大粒子の発生を抑制しても、ニッケル粒子が生成している際に、還元剤の自己分解又は酸化還元反応によるガスの発生により、ニッケル生成反応溶液は激しく発泡し、それによってニッケル生成反応溶液が飛散し、飛散した溶液が空冷もしくは反応槽の壁面に付着して冷却されて粗大粒子になっていることを見出した。
そこで、本発明者らは、ニッケル生成反応溶液の飛散の防止を検討したところ、ガス発生にともなう発泡によるニッケル生成反応溶液の体積増加率を、総溶液量の13%以下に抑制できればニッケル生成反応溶液の飛散が抑制され、その結果、粗大粒子の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記目的を達成するための本発明に係るニッケル粉末の製造方法は、ニッケル以外の金属のコロイド粒子が分散したコロイド水溶液と還元剤とアルカリ性物質と保護コロイド剤とを含むアルカリ性コロイド水溶液を作製し、得られたアルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加してニッケル粒子生成反応系を形成し、ニッケル粒子を生成させるニッケル粉末の製造方法であって、ニッケル塩水溶液の添加量は、アルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加した溶液の総溶液量に対するニッケル濃度が2g/L〜6g/Lとなり、且つ、アルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加した際の発泡によるニッケル粒子生成反応系の体積増加率が13%以下となるようにすることを特徴とする。
本発明によれば、還元剤の自己分解及び酸化還元反応による発生ガス量を制御し、ニッケル生成反応溶液の飛散を抑制することによって、粗大粒子の含有率を低下させることができる。
以下、本発明に係るニッケル粉末の製造方法(以下、「本発明」という。)について、以下の項目に沿って詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更を加えることは可能である。
1.ニッケル粉末の製造方法
2.ニッケル粉末
3.ニッケル粉末の特性評価
2.ニッケル粉末
3.ニッケル粉末の特性評価
1.ニッケル粉末の製造方法
まず、本発明に係るニッケル粉末の製造方法(以下、「本製造方法」という。)について説明する。本製造方法では、ニッケル以外の金属のコロイド粒子が分散したコロイド水溶液と還元剤とアルカリ性物質と保護コロイド剤とを含むアルカリ性コロイド水溶液を作製し、得られたアルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加してニッケル粒子生成反応系を形成し、ニッケル粒子を生成させる。以下、本製造方法の詳細について説明する。
まず、本発明に係るニッケル粉末の製造方法(以下、「本製造方法」という。)について説明する。本製造方法では、ニッケル以外の金属のコロイド粒子が分散したコロイド水溶液と還元剤とアルカリ性物質と保護コロイド剤とを含むアルカリ性コロイド水溶液を作製し、得られたアルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加してニッケル粒子生成反応系を形成し、ニッケル粒子を生成させる。以下、本製造方法の詳細について説明する。
1−1.アルカリ性コロイド水溶液の作製
コロイド粒子として、パラジウムと銀の複合コロイド粒子を用いた例を基に説明するが、コロイド粒子は、これに限定される訳ではない。
コロイド粒子として、パラジウムと銀の複合コロイド粒子を用いた例を基に説明するが、コロイド粒子は、これに限定される訳ではない。
アルカリ性コロイド水溶液の作製方法としては、アルカリ性還元溶液中に、パラジウムと銀との複合コロイド粒子を分散させる方法であればよく、特に限定されるものではない。例えば、コロイド水溶液と還元剤とアルカリ性物質を混合する方法や、コロイド水溶液に還元剤とアルカリ性物質とを添加する方法、或いは、コロイド水溶液と還元剤及びアルカリ性物質を含有するアルカリ性溶液とを混合する方法等が挙げられる。
(1)複合コロイド粒子
パラジウムと銀との複合コロイド粒子は、保護コロイド剤を添加した溶液に、パラジウムと銀とを混合し、保護コロイド剤がパラジウム及び銀を分散させて複合コロイド粒子を形成させることにより得られる。
パラジウムと銀との複合コロイド粒子は、保護コロイド剤を添加した溶液に、パラジウムと銀とを混合し、保護コロイド剤がパラジウム及び銀を分散させて複合コロイド粒子を形成させることにより得られる。
複合コロイド粒子は、核となる複合コロイド粒子が、均一に単分散状態のままアルカリ性コロイド水溶液中に存在しているために、ニッケル塩水溶液を添加すると、核となるコロイド粒子に対してニッケルは、均一に、均等に核成長を起こしやすい。
アルカリ性コロイド水溶液を用いることによって、還元生成するニッケル粒子が微細化する機構については以下のように推測される。
アルカリ性コロイド水溶液中のパラジウムと銀とは、ニッケルよりも酸化還元電位が高く、ニッケル粒子析出の際に核となり、この核にニッケルが析出し、これが成長してニッケル粒子になると考えられる。即ち、ニッケル核は生成せず、ニッケル粒子が生成していると推測される。
アルカリ性コロイド水溶液では、核となる複合コロイド粒子が均一に単分散状態のまま還元剤溶液中で存在しているために、ニッケル塩水溶液を添加すると、核となるコロイド粒子に対してニッケルは、均等に核成長を起こしやすいと考えられる。
アルカリ性コロイド水溶液では、パラジウムのみならず、銀を添加することにより、パラジウムの凝集が抑制されるため、粗大粒子や連結粒子の形成が抑制される。特に、アルカリ性コロイド水溶液では、パラジウムと銀の質量比率が適切な値の範囲内に制御されることによって、粒径がより均一で、単分散状態のパラジウムと銀の複合コロイド粒子が生成され、粗大粒子や連結粒子の形成が抑制される。
この理由としては、パラジウムの凝集抑制に効果を発揮する銀が不足すると、パラジウムの凝集過程で発生した連結した核が、成長することによって、連結粒子が発生していると考えられる。また、この理由としては、複数個の複合コロイドが凝集し核となり、その核を中心にして粒成長して粗大粒子が発生すると考えられる。逆に、銀が過剰量であると、銀のみの粗大なコロイド粒子が発生したりすることが、粗大粒子や連結粒子の発生に関与していると考えられる。加えて、この理由としては、保護コロイド剤を用いることにより、コロイド粒子の凝集が一層抑制される。
このため、アルカリ性コロイド水溶液では、生成したニッケル粒子が均一な粒径で、単分散状態になり、粗大粒子や連結粒子が形成されにくくなると考えられ、更に、このコロイド粒子の数を変化させることによって、ニッケル析出の際の核の数を変化させることができ、ニッケル粒子の粒径を制御することができると推測される。
[保護コロイド剤]
保護コロイド剤は、コロイド粒子の凝集を抑制するために添加する。保護コロイド剤としては、パラジウムと銀からなる複合コロイド粒子を取り囲み、保護コロイドの形成に寄与するものであればよく、特にゼラチンが好ましいが、その他、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリビニルアルコールを用いることもできる。
保護コロイド剤は、コロイド粒子の凝集を抑制するために添加する。保護コロイド剤としては、パラジウムと銀からなる複合コロイド粒子を取り囲み、保護コロイドの形成に寄与するものであればよく、特にゼラチンが好ましいが、その他、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリビニルアルコールを用いることもできる。
[パラジウム及び銀]
パラジウムとしては、例えば、パラジウム塩水溶液を用いることができるが、特にこれ限定されるものではない。パラジウム塩水溶液としては、例えば、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム等から選ばれる少なくとも1種類のパラジウム塩を含む水溶液を用いることができる。これらの中では、液調製が容易な塩化パラジウムが最も好ましく用いられる。
パラジウムとしては、例えば、パラジウム塩水溶液を用いることができるが、特にこれ限定されるものではない。パラジウム塩水溶液としては、例えば、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム等から選ばれる少なくとも1種類のパラジウム塩を含む水溶液を用いることができる。これらの中では、液調製が容易な塩化パラジウムが最も好ましく用いられる。
銀としては、例えば、銀塩水溶液を用いることができるが、特にこれに限定されるものではない。銀塩水溶液としては、例えば、硝酸銀水溶液を用いることができる。
なお、上述の通り、コロイド粒子にパラジウムと銀からなる複合コロイド粒子を例に説明してきたが、コロイド粒子は、パラジウムと銀の複合コロイド粒子に限定されない。また、ニッケルよりも貴な金属であればよく、例えば、銅のコロイド粒子等であってもよい。
(2)複合コロイド粒子の配合比率
複合コロイド粒子の配合比率は、パラジウムの量を10質量ppm〜500質量ppm、銀の量を0.1質量ppm〜5質量ppm、ゼラチンの量を0.02質量%〜1質量%とし、パラジウム、銀、及びゼラチンの質量比率を90:0.9:1800〜110:1.1:2200の範囲内に制御とすることが好ましい。
複合コロイド粒子の配合比率は、パラジウムの量を10質量ppm〜500質量ppm、銀の量を0.1質量ppm〜5質量ppm、ゼラチンの量を0.02質量%〜1質量%とし、パラジウム、銀、及びゼラチンの質量比率を90:0.9:1800〜110:1.1:2200の範囲内に制御とすることが好ましい。
(3)還元剤
還元剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヒドラジン、ヒドラジン化合物、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)等から選ばれる少なくとも1種類を含む水溶性ヒドラジン化合物を用いて作製したヒドラジン水溶液等を用いることが好ましい。これらの水溶性ヒドラジン化合物の中では、特に不純物が少ない点で、ヒドラジン(N2H4)や水和ヒドラジンン(N2H4H2O)が好ましい。
還元剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヒドラジン、ヒドラジン化合物、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)等から選ばれる少なくとも1種類を含む水溶性ヒドラジン化合物を用いて作製したヒドラジン水溶液等を用いることが好ましい。これらの水溶性ヒドラジン化合物の中では、特に不純物が少ない点で、ヒドラジン(N2H4)や水和ヒドラジンン(N2H4H2O)が好ましい。
還元剤として水素化ホウ素化ナトリウムを用いると、ニッケルイオンの還元反応により水素ガスが発生する。また、還元剤としてヒドラジンを用いると、ニッケルイオンの還元反応により窒素ガス、水素ガス、アンモニア等が発生する。
(4)アルカリ性物質
アルカリ性物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の水溶性のアルカリ性物質であればよい。これらの水溶性のアルカリ性物質と、ヒドラジン、ヒドラジン水和物等の水溶性ヒドラジン化合物を純水中で混合して、アルカリ性のヒドラジン水溶液を作製することができる。
アルカリ性物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の水溶性のアルカリ性物質であればよい。これらの水溶性のアルカリ性物質と、ヒドラジン、ヒドラジン水和物等の水溶性ヒドラジン化合物を純水中で混合して、アルカリ性のヒドラジン水溶液を作製することができる。
アルカリ性のヒドラジン水溶液としては、特に、pHが10以上に調整された水酸化ナトリウムとヒドラジン水和物の混合水溶液であることが好ましい。一方、pHが10未満では、反応速度が遅くなるため、ニッケルの還元析出が起こりにくくなるので好ましくない。
1−2.ニッケル粒子の生成
ニッケル粒子の生成方法としては、アルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加してニッケル粒子生成反応系を形成し、ニッケル粒子を生成させる。
ニッケル粒子の生成方法としては、アルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加してニッケル粒子生成反応系を形成し、ニッケル粒子を生成させる。
(1)ニッケル塩の還元と発泡
ニッケル粒子生成反応系では、アルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加すると発泡が起こる。そこで、ニッケル塩の還元による発泡を抑制するために、アルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加した溶液の総溶液量に対するニッケル濃度を2g/L〜6g/Lとする必要がある。
ニッケル粒子生成反応系では、アルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加すると発泡が起こる。そこで、ニッケル塩の還元による発泡を抑制するために、アルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加した溶液の総溶液量に対するニッケル濃度を2g/L〜6g/Lとする必要がある。
投入するニッケル塩水溶液から得られるニッケル換算量が6g/Lを超えると、ニッケル塩水溶液からの還元反応による発泡によりニッケル粒子生成反応系の体積増加率が13%を超える。一方、投入するニッケル塩水溶液から得られるニッケル換算量が2g/L未満であると、生産効率が悪くなるので2g/L以上が必要である。
平均粒径50nm〜300nmのニッケル粉末を得るために、アルカリ性コロイド水溶液へ全量のニッケル塩水溶液を添加に要する時間は、5分以内が望ましい。添加に要する時間を5分以内とするのは、コロイド粒子(保護コロイド粒子)を核としたニッケル粒子の成長が終わるまで、ニッケル塩水溶液を投入し終わらすためである。
ニッケル塩水溶液を添加に要する時間が5分を超えてニッケル塩水溶液を投入すると、ニッケル塩水溶液中のニッケルイオンの一部は、コロイド粒子(保護コロイド粒子)を核としてニッケル粒子の成長ができないことに起因して、ニッケルイオンが還元したニッケル自発核からニッケル粒子が成長し、得られるニッケル粉末の粒度分布が広くなる。別な言い方をすれば、粗大粒子が多くなるので、積層セラミックコンデンサの内部電極の作製に適したニッケル粉末が得られない。
その一方で、ニッケル塩水溶液を投入すると、ニッケル粒子生成反応系では微細な泡が発生し体積増加する。ニッケル塩水溶液の添加速度が速すぎる場合、ニッケルイオン濃度から見れば急激にニッケル粒子生成反応系のニッケルイオン濃度を上昇させた場合には、反応による急激な発泡が生じ、急激な体積増加で体積増加率が13%を超えることがある。
一方、ニッケル塩水溶液の添加速度が遅いと、発泡は穏やかになるが、粒度分布の問題が生じる。そこで、ニッケル粒子生成反応系の体積増加率を13%に抑え、ニッケル粒子換算量の総溶液量に対するニッケル濃度が2g/L〜6g/Lに管理することが必要である。
ここで、総溶液量とはアルカリ性コロイド溶液の量と還元剤と添加するニッケル塩水溶液の量の合計であり、ニッケル塩からニッケル粒子が生成されるニッケル粒子生成反応系の溶液量のことである。
粗大粒子の発生要因である溶液の飛散を防止するために、ニッケル濃度を2g/L〜6g/Lとし、還元剤にヒドラジンを用いるならば、ヒドラジンの添加量は、ニッケルと還元剤のモル比が、1:3.5〜1:5.2にすることが望ましい。
ヒドラジン濃度においては、ニッケル塩1molに対してヒドラジンのモル数が3.5mol未満の場合には、未還元のニッケルが残ってしまい不経済であり、逆にヒドラジンのモル数が5.2molより多い場合には、ガス発生量が増加し反応溶液が飛散してしまい、粗大粒子含有率が高くなる。
(2)ニッケル塩水溶液
ニッケル塩水溶液としては、特に限定されるものではなく、例えば、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル等から選ばれる少なくとも1種類を含む水溶液を用いることができる。これらの水溶液の中では、特に廃液処理が簡易である塩化ニッケル水溶液が好ましい。
ニッケル塩水溶液としては、特に限定されるものではなく、例えば、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル等から選ばれる少なくとも1種類を含む水溶液を用いることができる。これらの水溶液の中では、特に廃液処理が簡易である塩化ニッケル水溶液が好ましい。
(3)反応容器
ニッケル粒子を析出させる反応容器は、水平方向の断面が略円の略円筒形又は、略円筒形の胴体と胴体と連通し下方に向かうほど細くなる円錐台や円錐となったものを適宜用いることができる。ただし、容器内での撹拌を考慮して、容器の円筒部分の内径と反応容器全体の高さの比は、内径/高さで6/10〜14/10の範囲が望ましい。
ニッケル粒子を析出させる反応容器は、水平方向の断面が略円の略円筒形又は、略円筒形の胴体と胴体と連通し下方に向かうほど細くなる円錐台や円錐となったものを適宜用いることができる。ただし、容器内での撹拌を考慮して、容器の円筒部分の内径と反応容器全体の高さの比は、内径/高さで6/10〜14/10の範囲が望ましい。
(4)ニッケル粉末の乾燥
得られたニッケル粉末は、公知の手法を採用してもよく、例えば、真空下や不活性ガス雰囲気下等にて行うことができる。
得られたニッケル粉末は、公知の手法を採用してもよく、例えば、真空下や不活性ガス雰囲気下等にて行うことができる。
2.ニッケル粉末
ニッケル濃度、ヒドラジン添加量、パラジウム添加量、銀添加量、ゼラチン添加量、及びパラジウム添加量と銀添加量とゼラチン添加量の質量比率を制御することにより、粗大粒子の存在が少なく、且つ、平均粒径が50nm〜300nmの範囲の所定値に制御された球状のニッケル粉末を得ることができる。
ニッケル濃度、ヒドラジン添加量、パラジウム添加量、銀添加量、ゼラチン添加量、及びパラジウム添加量と銀添加量とゼラチン添加量の質量比率を制御することにより、粗大粒子の存在が少なく、且つ、平均粒径が50nm〜300nmの範囲の所定値に制御された球状のニッケル粉末を得ることができる。
3.ニッケル粉末の特性評価
得られたニッケル粉末について、走査型電子顕微鏡で倍率10000倍の写真(縦19.2μm×横25.6μm)を撮影し、その写真に対角線を引き、その対角線が通過した粒子の対角線への投影長さを測定し、その投影長さを粒径として平均粒径Dmeanを算出する。
得られたニッケル粉末について、走査型電子顕微鏡で倍率10000倍の写真(縦19.2μm×横25.6μm)を撮影し、その写真に対角線を引き、その対角線が通過した粒子の対角線への投影長さを測定し、その投影長さを粒径として平均粒径Dmeanを算出する。
得られたニッケル粉末の粒径が50nm以上から100nm未満の時は、走査型電子顕微鏡で倍率20000倍の写真(縦4.8μm×横6.4μm)を80視野撮影し、その80視野の写真において、300nmを上回る粗大粒子の数を数え、ニッケル粉末の粒径が100nm以上から200nm未満の時は、走査型電子顕微鏡で倍率10000倍の写真(縦9.6μm×横12.8μm)を80視野撮影し、その80視野の写真において、500nmを上回る粗大粒子の数を数え、ニッケル粉末の粒径が200nm以上から300nm以下の時は、走査型電子顕微鏡で倍率5000倍の写真(縦19.2μm×横25.6μm)を80視野撮影し、その80視野の写真において、1.0μmを上回る粗大粒子の数を数える。
以上のような本製造方法では、還元剤の自己分解及び酸化還元反応による発生ガス量を制御し、反応溶液の飛散を抑制することによって、粗大粒子の含有率を低下させることができる。
本製造方法を経ることにより、粗大粒子の存在が少なく、且つ、平均粒径が50nm〜300nmの範囲の所定値に制御された球状のニッケル粉末を得ることができる。
以下、各実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
まず、実施例1では、純水6Lに、後に添加されるニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が0.02質量%となるようにゼラチンを溶解した後、ヒドラジン濃度が0.02g/Lとなるようにヒドラジンを混合した。なお、ここで用いたヒドラジンは水加ヒドラジンであり、60質量%のヒドラジン分子を含むものであった。
まず、実施例1では、純水6Lに、後に添加されるニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が0.02質量%となるようにゼラチンを溶解した後、ヒドラジン濃度が0.02g/Lとなるようにヒドラジンを混合した。なお、ここで用いたヒドラジンは水加ヒドラジンであり、60質量%のヒドラジン分子を含むものであった。
次に、実施例1では、得られたヒドラジンを含む溶液に、ニッケルの全質量に対してパラジウムが10質量ppm及び銀が0.1質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液0.2Lを滴下しコロイド溶液を得た。
なお、実施例1では、塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液中のパラジウム及び銀の含有量は、ICP発光分光分析法(ICP:Inductively Coupled Plasma)により分析した。
また、実施例1では、塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液中のパラジウムと銀とゼラチンの質量比率を、90:0.9:1800〜110:1.1:2200の範囲内に制御した。
次に、実施例1では、得られたコロイド溶液に水酸化ナトリウム水溶液を添加して、そのpHが10以上になるように調整し、後に添加されるニッケル塩水溶液1molに対してヒドラジンが4.4molとなるまで添加し、パラジウムと微量の銀からなる複合コロイド粒子が混合されたアルカリ性ヒドラジン水溶液を作製した。
なお、実施例1では、この時点で、アルカリ性ヒドラジン水溶液の全溶液量が7.83Lとなるように、純水を更に添加した。
実施例1では、得られたアルカリ性ヒドラジン水溶液は、直径24cm、及び高さ36cmの略円筒形のビーカーに入っており、このアルカリ性コロイド水溶液に、塩化ニッケル水溶液としてニッケル濃度に換算して100g/Lの塩化ニッケル水溶液0.5Lを、3分間で連続的に投入してニッケルの還元を行い、乾燥してニッケル粉末を得た。
なお、実施例1では、塩化ニッケル水溶液を含むアルカリ性ヒドラジン水溶液の総溶液量、即ちニッケル粒子生成反応系の体積は8.33Lであり、投入した塩化ニッケルから得られたニッケル粉末は50gであったことから、得られたニッケル粉末の総溶液量に対する割合は、6g/Lの関係であった。
次に、実施例1では、得られたニッケル粉末について、走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−5510)を用いて、倍率10000倍の写真(縦19.2μm×横25.6μm)を撮影し、その写真に引いた対角線が通過した粒子の対角線への投影長さを測定し、その投影長さを粒径として平均粒径Dmeanを算出した。
実施例1では、ニッケル粉末の粒径が50nm以上から100nm未満の時は、走査型電子顕微鏡で倍率20000倍の写真(縦4.8μm×横6.4μm)を80視野撮影し、その80視野の写真において、300nmを上回る粗大粒子の数を数えた。
また、実施例1では、ニッケル粉末の粒径が100nm以上から200nm未満の時は、走査型電子顕微鏡で倍率10000倍の写真(縦9.6μm×横12.8μm)を80視野撮影し、その80視野の写真において、500nmを上回る粗大粒子の数を数えた。
更に、実施例1では、ニッケル粉末の粒径が200nm以上から300nm以下の時は、走査型電子顕微鏡で倍率5000倍の写真(縦19.2μm×横25.6μm)を80視野撮影し、その80視野の写真において、1.0μmを上回る粗大粒子の数を数えた。
実施例1では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(実施例2)
実施例2では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解した以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例2では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解した以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例2では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(実施例3)
実施例3では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが10質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例3では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが10質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例3では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例4では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解し、ニッケルの全質量に対してパラジウムが10質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例4では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解し、ニッケルの全質量に対してパラジウムが10質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例4では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(実施例5)
実施例5では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が0.1質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例5では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が0.1質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例5では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(実施例6)
実施例6では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解し、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が0.1質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例6では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解し、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が0.1質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例6では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(実施例7)
実施例7では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例7では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例7では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(実施例8)
実施例8では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解し、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例8では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解し、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
実施例8では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(比較例1)
比較例1では、アルカリ性ヒドラジン水溶液の全溶液量が6.64Lとなるように純水を添加し、また、塩化ニッケル水溶液を含むアルカリ性ヒドラジン水溶液の総溶液量、即ちニッケル粒子生成反応系の体積は7.14Lであり、投入した塩化ニッケルから得られたニッケル粉末は50gであったことから、得られたニッケル粉末の総溶液量に対する割合は、7g/Lの関係であった以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例1では、アルカリ性ヒドラジン水溶液の全溶液量が6.64Lとなるように純水を添加し、また、塩化ニッケル水溶液を含むアルカリ性ヒドラジン水溶液の総溶液量、即ちニッケル粒子生成反応系の体積は7.14Lであり、投入した塩化ニッケルから得られたニッケル粉末は50gであったことから、得られたニッケル粉末の総溶液量に対する割合は、7g/Lの関係であった以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例1では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(比較例2)
比較例2では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解した以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例2では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解した以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例2では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(比較例3)
比較例3では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが10質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例3では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが10質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例3では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(比較例4)
比較例4では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解し、ニッケルの全質量に対してパラジウムが10質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例4では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解し、ニッケルの全質量に対してパラジウムが10質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例4では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(比較例5)
比較例5では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が0.1質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例5では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が0.1質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例5では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(比較例6)
比較例6では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解し、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が0.1質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例6では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解し、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が0.1質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例6では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(比較例7)
比較例7では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例7では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例7では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(比較例8)
比較例8では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解し、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例8では、ニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対してゼラチン量が1質量%となるようにゼラチンを溶解し、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が5質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例8では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
(比較例9)
比較例9では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が0.1質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用い、また、ニッケル塩水溶液1molに対してヒドラジンが5.3molとなるまで添加した以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例9では、ニッケルの全質量に対してパラジウムが500質量ppm及び銀が0.1質量ppmとなるように塩化パラジウム水溶液と硝酸銀水溶液とを混合した水溶液を用い、また、ニッケル塩水溶液1molに対してヒドラジンが5.3molとなるまで添加した以外は実施例1と同様にして、ニッケル粉末を得た。
比較例9では、得られたニッケル粉末の平均粒径Dmean、及び粗大粒子の数について評価を行い、その評価結果を表1に示した。
表1に示すように、実施例1乃至8で得られたニッケル粉末は、ニッケル濃度、ヒドラジン添加量、パラジウム添加量、銀添加量、ゼラチン添加量、及びパラジウム添加量と銀添加量とゼラチン添加量の質量比率を制御することにより、ニッケル濃度が2g/L〜6g/Lとなり、且つ、ニッケル粉末生成反応系の体積増加率が13%以下となり、粗大粒子の存在が少なく、且つ、平均粒径が50nm〜300nmの範囲の所定値に制御されたニッケル粉末を得ることができる。
一方、表1に示すように、比較例1乃至9で得られたニッケル粉末では、ニッケル濃度が6g/Lを超え、且つ、ニッケル粉末生成反応系の体積増加率が13%を超えることにより、ニッケル粉末中に多数の粗大粒子が存在し、且つ、平均粒径を制御することができなかった。
Claims (6)
- ニッケル以外の金属のコロイド粒子が分散したコロイド水溶液と還元剤とアルカリ性物質と保護コロイド剤とを含むアルカリ性コロイド水溶液を作製し、
得られたアルカリ性コロイド水溶液にニッケル塩水溶液を添加してニッケル粒子生成反応系を形成し、ニッケル粒子を生成させるニッケル粉末の製造方法であって、
前記ニッケル塩水溶液の添加量は、前記アルカリ性コロイド水溶液に前記ニッケル塩水溶液を添加した溶液の総溶液量に対するニッケル濃度が2g/L〜6g/Lとなり、且つ、前記アルカリ性コロイド水溶液に前記ニッケル塩水溶液を添加した際の発泡によるニッケル粒子生成反応系の体積増加率が13%以下となるようにすることを特徴とするニッケル粉末の製造方法。 - 前記還元剤は、ヒドラジンであり、前記還元剤の添加量は、前記ニッケル塩水溶液中のニッケル塩と前記還元剤とのモル比が1:3.5〜1:5.2となるようにすることを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記ニッケル以外の金属のコロイド粒子は、パラジウムと銀との複合コロイド粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記アルカリ性コロイド水溶液に含まれるパラジウム、銀及び保護コロイド剤の各含有量は、前記ニッケル塩水溶液中のニッケルの質量を100%として、前記パラジウムの質量が10質量ppm〜500質量ppm、前記銀の質量が0.1質量ppm〜5質量ppm、前記保護コロイド剤の質量が0.02質量%〜1質量%となるようにすることを特徴とする請求項3に記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記保護コロイド剤は、ゼラチンであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記ニッケル粒子生成反応系から得られるニッケル粉末の平均粒径は、50nm〜300nmであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のニッケル粉末の製造方法。
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WO2017069067A1 (ja) * | 2015-10-19 | 2017-04-27 | 住友金属鉱山株式会社 | ニッケル粉末の製造方法 |
-
2014
- 2014-02-28 JP JP2014039177A patent/JP2015161025A/ja active Pending
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WO2017069067A1 (ja) * | 2015-10-19 | 2017-04-27 | 住友金属鉱山株式会社 | ニッケル粉末の製造方法 |
JP6172413B1 (ja) * | 2015-10-19 | 2017-08-02 | 住友金属鉱山株式会社 | ニッケル粉末の製造方法 |
US10850330B2 (en) | 2015-10-19 | 2020-12-01 | Sumitomo Metal Mining Co., Ltd. | Process for producing nickel powder |
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