JP2015160795A - グラフェン組成物の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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芳章 池ノ上
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Abstract

【課題】本発明の一態様は、2層以上の各層のグラフェンシートの含有量に比べてグラフェンの含有量が多いグラフェン組成物を短時間で製造することが可能なグラフェン組成物の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の一態様は、グラフェン組成物を製造する方法であって、(a)黒鉛を含む溶媒を超臨界処理場に供給する工程と、(b)超臨界処理場に供給された溶媒を超臨界状態にする工程と、(c)超臨界状態にした溶媒を非超臨界状態に戻す工程を有し、(a)〜(c)の工程では、溶媒の流れを連続フロー方式で行い、(d)(a)〜(c)の工程により得られるグラフェン及び黒鉛を含む溶媒から黒鉛を分離する工程をさらに有し、分離された黒鉛を(a)の工程で再利用する。【選択図】図1

Description

本発明は、グラフェン組成物の製造方法及び製造装置に関する。
炭素材料として、グラフェンが注目されている。完全なグラフェンは、六角形セルの集合のみからなり、室温における電子移動度が10000cm−1−1と驚くほど高く、熱的・化学的安定性に優れ、比表面積が大きい。このため、次世代電子材料、蓄電材料等の多くの用途展開が期待されている。
しかしながら、六角形セルの集合の中に五角形や七角形のセルが存在すると、格子欠陥となり、グラフェンに期待される特性を十分引き出すことができない。例えば、黒鉛には積層構造の中に一部乱層構造を有する為に、剥離法によってグラフェン構造の一部に乱層構造に由来する格子欠陥が残存する場合があり、六角形セルの集合のみからなる完全なグラフェンの製造方法が求められている。
非特許文献1には、単原子層から約10層積層したグラフェンシートの製造方法として、エタノールやDME(ジメチルエーテル)の超臨界流体中で、グラファイトを1時間処理する方法が開示されている。
平成21年度産業技術総合研究所年報,p.692
しかしながら、非特許文献1のグラフェンシートの製造方法は、1時間熱処理するというバッチ式(回分式)であり、短時間で効率良くグラフェンを製造することは難しいという問題がある。
本発明の一態様は、2層以上の各層のグラフェンシートの含有量に比べてグラフェンの含有量が多いグラフェン組成物を短時間で製造することが可能なグラフェン組成物の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
[1]グラフェン組成物を製造する方法であって、(a)黒鉛を含む溶媒を超臨界処理場に供給する工程と、(b)該超臨界処理場に供給された溶媒を超臨界状態にする工程と、(c)該超臨界状態にした溶媒を非超臨界状態に戻す工程を有し、前記(a)〜(c)の工程では、前記溶媒の流れを連続フロー方式で行い、(d)前記(a)〜(c)の工程により得られるグラフェン及び黒鉛を含む溶媒から黒鉛を分離する工程をさらに有し、該分離された黒鉛を前記(a)の工程で再利用することを特徴とするグラフェン組成物の製造方法。
[2]前記(b)及び/又は(c)の工程は、振動を印加した状態で行われることを特徴とする前項[1]に記載のグラフェン組成物の製造方法。
[3]前記(a)〜(c)の工程を連続的及び/又は不連続的に繰り返す回数が10回以上70回以下であることを特徴とする前項[1]又は[2]に記載のグラフェン組成物の製造方法。
[4]前記(a)〜(c)の工程により得られるグラフェン及び黒鉛を含む溶媒は、グラフェンシートをさらに含み、前記(d)の工程において、前記グラフェン組成物中のグラフェンの含有量が各層のグラフェンシートの含有量よりも多くなるように分離することを特徴とする前項[1]〜[3]のいずれか一項に記載のグラフェン組成物の製造方法。
[5]前記(d)の工程において、遠心分離機を用い遠心力を調整することにより分離することを特徴とする前項[4]に記載のグラフェン組成物の製造方法。
[6]グラフェン組成物を製造する装置であって、(a)黒鉛を含む溶媒を超臨界処理場に供給する手段と、(b)該超臨界処理場に供給された溶媒を超臨界状態にする手段と、(c)該超臨界状態にした溶媒を非超臨界状態に戻す手段を有し、前記(a)〜(c)の手段は、前記溶媒の流れを連続フロー方式で行い、(d)前記(a)〜(c)の手段により得られるグラフェン及び黒鉛を含む溶媒から黒鉛を分離する手段をさらに有し、該分離された黒鉛を前記(a)の手段で再利用することを特徴とするグラフェン組成物の製造装置。
[7]前記(b)及び/又は(c)の手段は、振動を印加する手段を有することを特徴とする前項[6]に記載のグラフェン組成物の製造装置。
本発明の一態様によれば、2層以上の各層のグラフェンシートの含有量に比べてグラフェンの含有量が多いグラフェン組成物を短時間で製造することが可能なグラフェン組成物の製造方法及び製造装置を提供することができる。
グラフェン成分を得る方法の一例を概略的に示す図である。 グラフェン組成物の製造装置の一例を概略的に示す図である。
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、グラフェンがN層積層されている積層体をN層のグラフェンシートという。ただし、Nは、2〜20の整数である。
また、本明細書及び特許請求の範囲において、グラフェン及びN層のグラフェンシートをグラフェン成分といい、グラフェン成分を含む組成物をグラフェン組成物という。このとき、グラフェン成分は、グラフェンを必ず含むが、N層のグラフェンシートを含まなくてもよい。
グラフェン組成物の製造方法は、(a)黒鉛を含む溶媒を超臨界処理場に供給する工程と、(b)超臨界処理場に供給された溶媒を超臨界状態にする工程と、(c)超臨界状態にした溶媒を非超臨界状態に戻す工程を有し、(a)〜(c)の工程では、溶媒の流れを連続フロー方式で行う。
グラフェン組成物の製造方法は、(d)(a)〜(c)の工程により得られるグラフェン成分及び黒鉛を含む溶媒から黒鉛を分離する工程をさらに有し、分離された黒鉛を(a)の工程で再利用する。
これにより、従来のバッチ方式で行う製造方法に比べて、2層以上の各層のグラフェンシートの含有量に比べてグラフェンの含有量が多いグラフェン組成物を短時間で製造することができる。
非超臨界状態としては、例えば、常温常圧下、溶媒が液体又は気体である状態、常温において常圧よりも高い圧力下、溶媒が液体又は気体である状態が挙げられる。
グラフェン組成物の製造方法では、(b)の工程により、超臨界流体中で、溶媒が黒鉛層間に浸透する力で、原料の黒鉛が部分的又は完全に剥離して、グラフェン成分を生成させることができる。
グラフェン組成物の製造方法では、(c)の工程により、溶媒を非超臨界状態にすることにより、溶媒が黒鉛層間から脱離する力で、さらに、原料の黒鉛が部分的又は完全に剥離して、グラフェン成分を生成させることができる。
このとき、(b)及び/又は(c)の工程は、振動を加えた状態で行われることが好ましい。
溶媒が黒鉛層間に浸透する力、溶媒が黒鉛層間から脱離する力に加え、振動する力により、原料の黒鉛がさらに剥離して、グラフェン成分を生成させることができる。
このとき、(a)〜(c)の工程を連続的及び/又は不連続的に複数回繰り返してもよい。
なお、(a)〜(c)の工程を連続的に繰り返すとは、(a)〜(c)の工程を行った後に、続いて、次の(a)〜(c)の工程を行うことを意味する。一方、(a)〜(c)の工程を不連続的に繰り返すとは、(a)〜(c)の工程を行った後に、超臨界処理場から排出されたグラフェン成分を含む溶媒(分散液)を一時的に貯留容器に導いた後、貯留容器から汲み出して、次の(a)〜(c)の工程を行うことを意味する。すなわち、(a)〜(c)の工程を不連続的に繰り返すとは、(a)〜(c)の工程を行った後、上記分散液を貯留容器に導く工程、貯留容器から上記分散液を汲み出して、次の(a)〜(c)の工程を繰り返して行うことをいう。また、(a)〜(c)の工程を行う前に、黒鉛を含む溶媒を貯留した原料タンクを、(a)〜(c)の工程を行った後に導く貯留容器に併用して、次の(a)〜(c)の工程を繰り返してもよい。
(a)〜(c)の工程を連続的及び/又は不連続的に複数回繰り返した後、(d)の工程を行う。上記分散液は、貯留容器に導く工程を経て、(d)の工程に導く。貯留容器は、(a)〜(c)の工程を行った後に導く貯留容器と併用してもよい。
(d)の工程で黒鉛から分離されたグラフェン成分は、回収される。一方、(d)の工程で分離された黒鉛は、貯留容器に導く工程を経て、(a)の工程で再利用される。その際、未使用の黒鉛を加えて、黒鉛の濃度を調整してもよい。
このように、グラフェン組成物の製造方法において、(b)の工程(高温高圧下の超臨界状態)から(c)の工程の、低温・低圧力下での非超臨界状態に短時間、繰り返し加圧・開放されることにより、従来の密閉容器内(バッチ式)で行う製造方法に比べて効果的にグラフェン成分を生成させることができる。
例えば、12回の繰り返し処理を16分程度で実施している実施例1では、例えば、420℃、12MPaの超臨界処理場から常温・常圧下に、急激に開放するために、バッチ式に比べ、加熱・冷却の繰り返しを短時間かつ急激に行うことができる。その結果、黒鉛の剥離効果が高められる。ここで、バッチ式においては、約1時間/バッチ処理を12回行うと、加熱・冷却操作時間を含めると、120時間要する。このように、前述のグラフェン組成物の製造方法は、バッチ式よりも、大幅に生産性が高い。
また、(d)の工程で、黒鉛を分離するため、グラフェンの含有量が多いグラフェン成分を得ることができる。また、(d)の工程で分離された黒鉛には、黒鉛の剥離物が含まれているため、(d)の工程で分離された黒鉛を(a)の工程で再利用すると、(a)〜(c)の工程を1回行うだけでも、グラフェンの含有量が多いグラフェン成分を得ることができる。
以下、グラフェン成分を得る方法について、図1を用いて、詳しく説明する。
(工程S110)
まず、黒鉛を含む溶媒が準備される。
黒鉛としては、特に限定されないが、天然黒鉛、人造黒鉛等が挙げられる。
天然黒鉛は、その性状により、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛等に分類される。
人造黒鉛は、非酸化性雰囲気下において、石油系重質油、石炭系重質油、石油系コークス、石炭系コークス、ピッチ系炭素繊維を1500〜3200℃で焼成することにより製造することができる。このとき、ホウ素化合物等の黒鉛化触媒の存在下で焼成してもよい。
黒鉛の純度、結晶性等の特性は、特に限定されない。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、粒子の粒径は、一次粒径を意味する。
また、粒子の一次粒径dは、BET法で比表面積を測定した後、式
S=6/ρd
により換算して求めることができる。ここで、Sは、粒子の比表面積であり、ρは、粒子の密度である。
本明細書及び特許請求の範囲において、溶媒とは、超臨界流体にすることが可能な常温常圧下で液体又は気体であるものを意味する。
溶媒としては、特に限定されないが、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、炭化水素類、ジメチルスルホキシド、N,N'−ジメチルホルムアミド、N,N'−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等の液体、二酸化炭素、窒素、酸素、ヘリウム、アルゴン、アンモニア、亜酸化窒素、低級アルカン、アルケン等の気体が挙げられる。中でも、水、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1−メチル−2ピロリドン(NMP)、二酸化炭素が好ましい。
原料となる黒鉛の粒径(平均粒径)は、通常、0.1〜100μmであり、1〜50μmであることが好ましい。
黒鉛を含む溶媒中の黒鉛の濃度は、通常、0.1〜100mg/mLであり、1〜10mg/mLであることが好ましい。
次に、調製された黒鉛を含む溶媒は、黒鉛を超臨界処理するための超臨界処理場(例えば、反応管)に供給される。この際には、一旦、黒鉛を含む溶媒を原料タンクに保管しておき、原料タンクから、例えば、ポンプを用いて、黒鉛を含む溶媒を超臨界処理場に供給してもよい。
黒鉛を含む溶媒を超臨界処理場に供給する速度は、通常、1〜1000mL/minであり、5〜100mL/minであることが好ましい。
(工程S120)
次に、超臨界処理場において、溶媒が超臨界状態となる環境下で、黒鉛が超臨界処理される。
例えば、溶媒がエタノールである場合は、臨界温度が241℃であり、臨界圧力が6.1MPaである。このため、超臨界処理場は、温度が241℃以上であり、圧力が6.1MPa以上であり、例えば、温度が420℃、圧力が12MPaである。
溶媒がメタノールである場合は、同様にして、超臨界処理場は、温度が240℃以上であり、圧力が8.1MPa以上である。
溶媒がジメチルホルムアミド(DMF)である場合は、同様にして、超臨界処理場は、温度が35℃以上であり、圧力が6.2MPa以上である。
溶媒が水である場合は、同様にして、超臨界処理場は、温度が374℃以上であり、圧力が22.1MPa以上である。
以上のように、用いる溶媒の臨界温度及び臨界圧力により、超臨界処理場の温度と圧力が設定される。
溶媒を超臨界状態に保持する時間、即ち、黒鉛が超臨界流体中に滞留する時間は、通常、0.5秒〜10分間である。
このとき、必要に応じて、超臨界処理場に振動を印加してもよい。これにより、より多くのグラフェンを生成させることができる。
超臨界処理場に振動を印加する方法としては、特に限定されないが、機械的に超臨界処理場に振動を印加する方法、超音波により超臨界処理場に振動を印加する方法等が挙げられる。
超音波により超臨界処理場に振動を印加する方法では、超音波のキャビテーション効果、振動加速度の効果、直進流の効果等により、超臨界処理場に容易に振動を印加することができる。
(工程S130)
次に、超臨界状態にした溶媒が非超臨界状態に戻された後、グラフェン成分及び黒鉛を含む溶媒が超臨界処理場から排出される。なお、このように排出される黒鉛(以下、「未反応の黒鉛」という)は、グラフェン成分が全く剥離されていない黒鉛か、一部剥離されても黒鉛の形状を留めているものである。
非超臨界状態は、通常、温度が室温〜溶媒の沸点であり、圧力が大気圧である。
非超臨界状態においても、必要に応じて、振動を印加してもよい。これにより、より多くのグラフェンを生成させることができる。
非超臨界状態において、振動を印加する方法としては、特に限定されないが、超臨界処理場に振動を印加する方法と同じ方法を採用することができる。
次に、超臨界処理場から排出されたグラフェン成分及び未反応の黒鉛を含む溶媒(分散液)は、必要に応じて、再度、連続的に超臨界処理場に供給され、2回目の超臨界処理が実施される。その後、超臨界状態にした溶媒が再度、非超臨界状態に戻された後、グラフェン成分及び未反応の黒鉛を含む溶媒が超臨界処理場から排出される。
(工程S140)
(a)〜(c)の工程が所定回数実施される。
(a)〜(c)の工程を実施する回数は、通常、2回以上であり、10回以上であることが好ましく、30回以上であることがさらに好ましい。
このとき、所望のグラフェン成分を得るために、(a)〜(c)の工程を実施する回数が任意に設定される。(a)〜(c)の工程を実施する回数が極端に大きいと、グラフェン成分の製造に要する時間が長くなり、製造コストが上昇する。このため、(a)〜(c)の工程を実施する回数は、100回以下であることが好ましい。
(工程S150)
その後、貯留容器に導かれ、得られるグラフェン成分及び未反応の黒鉛を含む溶媒から未反応の黒鉛が分離される。
分離方法としては、特に限定されないが、沈降法、カラム法、遠心分離法、ろ過法、沈殿法等が挙げられる。中でも、短時間で分離することができるため、遠心分離法が好ましい。
遠心分離機としては、特に限定されないが、超遠心分離機、冷却遠心分離機等が挙げられる。
遠心分離機を用いて、グラフェン成分及び未反応の黒鉛を含む溶媒から未反応の黒鉛を分離すると、グラフェン成分を含む溶媒が上方に、未反応の黒鉛を含む溶媒が下方に分離される。
グラフェン成分中のグラフェンの含有量は、遠心力を制御することにより、変化する。
遠心力は、遠心分離機の回転半径と回転数により制御されるが、遠心力が大きい程、グラフェンの存在量は多くなる。
原料の黒鉛により異なるが、遠心力は、2000〜30000Gであることが好ましい。遠心力が2000G未満であると、グラフェン成分中のグラフェンの含有量が少なくなることがあり、30000Gを超えると、グラフェン成分の収量が低下することがある。このとき、グラフェン組成物中のグラフェンの含有量が2層以上の各層のグラフェンシートの含有量よりも多くなるように遠心力を調整することが好ましい。
(工程S160)
上方のグラフェン成分を含む溶媒は、回収される。
下方の未反応の黒鉛を含む溶媒は、貯留容器に導く工程を経て、(a)の工程で再利用される。
このとき、未反応の黒鉛を含む溶媒は、黒鉛を超臨界処理するための超臨界処理場(例えば、反応管)に供給される。その際、未使用の黒鉛を含む溶媒を処理する条件と同一の条件で処理してもよいし、異なる条件で処理してもよい。
また、未反応の黒鉛を含む溶媒に、未使用の黒鉛を加えてもよい。
未使用の黒鉛は、未反応の黒鉛と同一であってもよいし、異なってもよい。
未使用の黒鉛としては、特に限定されないが、天然黒鉛、人造黒鉛等が挙げられる。
このとき、超臨界処理場に供給される黒鉛を含む溶媒が同等の濃度になるように、未反応の黒鉛を含む溶媒に未使用の黒鉛を加えてもよい。
溶媒中の未反応の黒鉛及び未使用の黒鉛の総含有量は、通常、0.1〜100mg/mLであり、1〜10mg/mLであることが好ましい。
以上の工程により、グラフェン成分を生成させることができる。
例えば、エタノールの流速を10ml/min、黒鉛の投入量を10mg/min、超臨界処理場の温度を420℃、超臨界処理場の圧力を12MPa、超臨界処理場に黒鉛が超臨界流体中に短時間で処理される条件で、(a)〜(c)の工程を12回繰り返すと、グラフェン成分中のグラフェンの含有量は35%であった。また、(a)〜(c)の工程を48回繰り返すと、グラフェンの含有量は90%以上であった。
なお、グラフェン成分中の各成分の含有量は、超臨界流体の種類、(a)の黒鉛を含む溶媒を熱処理場に供給する流速、黒鉛の投入量、超臨界処理場の温度、超臨界処理場の圧力、超臨界処理場に黒鉛が滞留する時間、貯留容器の使用の有無、貯留容器の貯留量等の条件により異なり、任意に設計される。
グラフェン組成物中のグラフェンの含有量、2〜3層のグラフェンシートの総含有量、4〜6層のグラフェンシートの総含有量及び7層以上のグラフェンシートの総含有量は、それぞれラマン散乱分光法により測定して2D−Bandの位置から推定されるグラフェン及び2層以上のグラフェンシートの総数に対するグラフェン、2〜3層のグラフェンシート、4〜6層のグラフェンシート及び7〜20層のグラフェンシートの数の割合から求めることができる(2D−Bandの位置の測定等については、Chem.Eur.J.2010,16,p6488−6494参照)。
2D−Bandの位置が2685cm−1未満であれば、グラフェン、2685cm−1以上2695cm−1未満であれば、2〜3層のグラフェンシート、2695cm−1以上2705cm−1未満であれば、4〜6層のグラフェンシート、2705cm−1以上であれば、7層以上のグラフェンシートに対応させる。
具体的には、グラフェンシート組成物を試料基板上に載せて、30箇所のラマン散乱分光スペクトルの2D−Bandの位置を測定する。次に、2D−Bandの位置が2685cm−1未満(グラフェンに対応)、2685cm−1以上2695cm−1未満(2〜3層のグラフェンシートに対応)、2695cm−1以上2705cm−1未満(4〜6層のグラフェンシートに対応)、2705cm−1以上(7〜20層のグラフェンシートに対応)の測定点の数をかぞえ、各測定点の数を全測定点数(30)で除して、それぞれの含有量とする。
例えば、グラフェンシート組成物中のグラフェンの含有量は、2685cm−1未満の測定点数が0であれば、
0/30=0[%]
となり、9点であれば、
9/30=30[%]
となる。
また、グラフェンシート組成物中の2〜3層のグラフェンシートの総含有量は、2685cm−1以上2695cm−1未満の測定点数が12であれば、
12/30=40[%]
となる。
なお、ラマン散乱分光スペクトルの測定箇所は、精度を上げるために、100箇所に増やしてもよい。
グラフェン組成物は、グラフェンを主成分として30%以上100%未満の範囲で含み、グラフェン以外の他の成分は2〜3層のグラフェンシート、4〜6層のグラフェンシート及び7層以上のグラフェンシートからなる群から選択される一種以上の成分をさらに含む。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、グラフェンを主成分として含むとは、グラフェンの含有量が2層以上の各層のグラフェンシートの含有量よりも多いことを意味する。
ここで、2層以上の各層のグラフェンシートの含有量が必要な場合は、SPM(走査型プローブ顕微鏡)法を用いて、グラフェン組成物の任意の30箇所の厚さ[nm]を測定することにより求めることができる。
具体的には、グラフェンシート組成物の無作為に選んだ30箇所を、SPMを用いて測定されるグラフェンシートの厚さをグラフェンの層数に換算し、各層について測定された点の数をかぞえ、各層の測定点の数を全測定点数(30)で除して、それぞれの含有量とする。
例えば、グラフェン組成物中の4層のグラフェンシートの含有量は、4層として測定される測定点数が9点であれば、
9/30=30[%]
となり、12点であれば、
12/30=40[%]
となる。
なお、グラフェン組成物の厚さの測定箇所は、精度を上げるために、60箇所、100箇所等に増やしてもよい。
グラフェン組成物のメジアン径(D50)は、原料の黒鉛の種類(結晶性、結晶子サイズ、粒子径等)に依存するが、通常、数μm〜数nmであり、1μm〜5nmであることが好ましく、200nm〜10nmであることがさらに好ましい。
なお、グラフェン組成物のメジアン径(D50)は、公知のレーザー回折法を用いて、測定することができる。
グラフェン成分は、遠心分離による分離法や特定の分散媒中での浮遊密度分離法により、グラフェンの積層数が20層を超える黒鉛剥離物を分離除去して精製することができる。
図2に、グラフェン組成物の製造装置の一例を概略的に示す。
グラフェン組成物の製造装置100は、原料部110、超臨界処理部150及び第一の回収部180を備える。
原料部110は、グラフェン組成物の原料となる黒鉛を含む溶媒を保管する部分である。原料部110は、貯留容器115を備えており、貯留容器115内には、黒鉛を含む溶媒(分散液)120が収容されている。
超臨界処理部150は、溶媒を超臨界状態にすることにより黒鉛を超臨界処理する部分である。超臨界処理部150は、耐熱耐圧性の超臨界処理器155を備える。また、超臨界処理部150は、振動手段160を有する。振動手段160は、超臨界処理器155に振動を印加するように構成される。ただし、振動手段160を省略してもよい。
原料部110と超臨界処理部150の間には、貯留容器115と超臨界処理器155を接続する配管125が設けられている。配管125には、ポンプ130が設置されている。
第一の回収部180は、超臨界処理部150で超臨界処理された後のグラフェン成分及び未反応の黒鉛を含む溶媒を回収する部分である。回収部180は、容器185を備える。容器185内には、冷却用の液体が収容されていてもよい。
超臨界処理部150の出口側には、配管165が接続されており、配管165は、冷却槽168内を通るように構成されている。冷却槽168は、超臨界処理後のグラフェン成分及び未反応の黒鉛を含む溶媒の温度を、例えば、室温まで冷却させる。このとき、冷却槽168の直前又は直後に減圧弁が設置されている。
回収部180には、配管172が接続されている。冷却槽168を通過した配管165と配管172の間には、切り替えバルブ170が接続されている。切り替えバルブ170は、貯留容器115に接続された配管174とも接続されている。
切り替えバルブ170は、配管174を介した原料部110側と、配管172を介した回収部180側に切り替えることができる。ここで、排出されたグラフェン成分及び未反応の黒鉛を含む溶媒を、配管174を介して、配管125に導いてポンプ130に送る処理を繰り返すことにより、(a)〜(c)の工程を連続的に繰り返すことができる。
グラフェン組成物の製造装置100を用いて、グラフェン組成物を製造する場合、まず、ポンプ130により、貯留容器115内の黒鉛を含む溶媒120が、超臨界処理器155に供給される。超臨界処理器155に供給される黒鉛を含む溶媒120の流速は、例えば、10mL/minである。
超臨界処理器155は、溶媒が超臨界状態となるような温度及び圧力に設定されている。このため、超臨界処理器155内に供給された溶媒は、速やかに超臨界状態になる。超臨界状態の溶媒の作用により、黒鉛の少なくとも一部は、層間の結合が切断され、グラフェン成分が生成する。
この現象は、振動手段160による振動により助長される。
なお、黒鉛を含む溶媒120の超臨界処理器155内の流速は、例えば、10mL/minである。
次に、超臨界処理後の溶媒は、非超臨界状態に戻り、グラフェン成分及び未反応の黒鉛及び未反応の黒鉛を含む溶媒は、配管165を介して、超臨界処理器155から排出される。排出されたグラフェン成分及び未反応の黒鉛を含む溶媒は、配管165を通り、冷却槽168で室温まで急激に冷却される。
次に、排出されたグラフェン成分及び未反応の黒鉛を含む溶媒は、切り替えバルブ170により、配管174に流通され、貯留容器115に戻される。その後、前述の超臨界処理が再度繰り返され、(a)〜(c)の工程を不連続的に繰り返すことができる。超臨界処理を繰り返す度に、グラフェン成分中のグラフェンの含有量が増加する。
所望の回数だけ、超臨界処理が繰り返された後、超臨界処理器155から排出されたグラフェン成分及び未反応の黒鉛を含む溶媒は、切り替えバルブ170により、配管172の方に供給される。これにより、グラフェン成分及び未反応の黒鉛を含む溶媒は、配管172を介して、第一の回収部180の容器185に回収される。
第一の回収部180は、分離部190に接続されている。分離部190は、第二の回収部200と原料部110に接続されている。容器185のグラフェン成分及び未反応の黒鉛を含む溶媒は、遠心分離機195で分離される。遠心分離機195で遠心分離された上方のグラフェン成分を含む溶媒198は、容器205に送る。遠心分離機195で遠心分離された下方の未反応の黒鉛を含む溶媒199は、配管194を介して、配管125に導いてポンプ130に送ることにより、(a)の工程で再利用される。
なお、グラフェン組成物の製造装置100は、単なる一例に過ぎず、別の構成のグラフェン組成物の製造装置を用いて、グラフェン組成物を製造してもよい。
このとき、黒鉛を含む溶媒120を処理する超臨界処理部150とは別に、未反応の黒鉛を含む溶媒199を処理する超臨界処理部を設けてもよい。
このような方法により、例えば、グラフェンを主成分として含むグラフェン組成物を製造することができる。
グラフェン組成物中のグラフェンの含有量は、通常、10%以上であり、30%以上100%未満であることが好ましく、50%以上100%未満であることがさらに好ましく、70%以上100%未満であることが特に好ましい。グラフェン組成物中のグラフェンの含有量が10%未満であると、グラフェン組成物においてグラフェンの特長が活かされない。
グラフェン組成物としては、例えば、グラフェンを主成分として30%以上含み、さらに2〜3層のグラフェンシート、4〜6層のグラフェンシート、7層以上のグラフェンシートを含む材料を任意に選択することができる。
グラフェン組成物中の2〜3層のグラフェンシートの総含有量、4〜6層のグラフェンシートの総含有量及び7層以上のグラフェンシートの総含有量の合計は、通常、70%以下であり、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。
グラフェン組成物は、相対的に積層数が少ないグラフェンシートの含有量が相対的に積層数が多いグラフェンシートの含有量よりも多いことが好ましい。
グラフェン組成物中の7層以上のグラフェンシートの含有量は、通常、15%以下であり、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、0%であることが特に好ましい。グラフェン組成物中において、7層以上のグラフェンシートの含有量が15%を超えると、グラフェンの特長が活かされない。
グラフェン組成物は、電子材料、蓄電材料、例えば、透明導電膜等に適用することができる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されない。なお、部は、質量部を意味する。
(グラフェン成分の組成)
励起波長が532nmのレーザーラマン分光光度計(XploRAラマン顕微鏡、HORIBA Jobin Yvon製)を用いて、グラフェン組成物中のグラフェン成分を測定して2D−Bandの位置から、組成を推定した。このとき、測定基板上の測定点を100点とし、任意に選択した。
2D−Bandの位置が2685cm−1未満であれば、グラフェン、2685cm−1以上2695cm−1未満であれば、2〜3層のグラフェンシート、2695cm−1以上2705cm−1未満であれば、4〜6層のグラフェンシート、2705cm−1以上であれば、7層以上のグラフェンシートに対応させた。
(実施例1)
連続フロー方式のグラフェン組成物の製造装置(図1参照)を用いて、以下の条件下で、グラフェン組成物を製造した。
まず、粒径が20μm以下の黒鉛(Aldrich社製)が超臨界流体用のエタノールに濃度1mg/mlで分散した黒鉛分散液を貯留容器115内に調製し、ポンプ130により、黒鉛分散液を10ml/minの流速で超臨界処理器155に供給した。超臨界処理器155内の超臨界条件は、420℃、12MPaとして、超臨界処理器155内の分散液の滞留時間(入口から導入され、出口から排出されるまでの時間)を約1.3分として液をフローした。超臨界処理器155には外部から超音波振動を印加した。超臨界処理器155から排出されたエタノール分散液は、配管165を介して、冷却槽168で室温大気圧まで冷却された後、ポンプ130を用いて、再度、同じ条件で超臨界処理器155に続けて供給した。このとき、排出されたエタノール分散液は、貯留タンク115内に所定量を貯留して、溶媒の超臨界処理器155への供給を不連続的に繰り返した。黒鉛分散液の超臨界処理器155への供給の繰り返し回数を12回とした。このとき、超臨界処理に要した時間は、16分間であった。超臨界処理を行った分散液を容器185に送った後、遠心分離機195を用いて、5000Gで遠心分離し、上方のグラフェン成分を含む溶媒198を容器205に送り、回収した。
一方、下方の未反応の黒鉛を含む溶媒199は、貯留容器115に送り、濃度が1mg/mlになるように、黒鉛を添加した。未反応の黒鉛を含む溶媒を10ml/minの流速で超臨界処理器155に供給した。超臨界処理器155内の超臨界条件は、420℃、12MPaとして、超臨界処理器155内の分散液の滞留時間(入口から導入され、出口から排出されるまでの時間)を約1.3分として液をフローした。黒鉛分散液の超臨界処理器155への供給の繰り返し回数を1回とした。超臨界処理を行った分散液を容器185に送った後、遠心分離機195を用いて、5000Gで遠心分離し、上方のグラフェン成分を含む溶媒198を容器205に送り、回収した。
下方の未反応の黒鉛を含む溶媒199に対する上記の操作をさらに2回繰り返した。
容器205内のグラフェン成分を含む溶媒を、所定の条件で、溶媒を溜去した後、真空乾燥させて、粉末状のグラフェン組成物を取得した。
グラフェン組成物は、グラフェンの含有量が87%であり、2〜3層のグラフェンシートの総含有量が10%であり、4〜6層のグラフェンシートの総含有量が3%であり、7層以上のグラフェンシートの総含有量が0%であった。すなわち、グラフェン組成物は、グラフェンの含有量が2層以上の各層のグラフェンシートの含有量よりも多かった。
レーザー回析装置Shimadzu SalD−700(島津製作所製)を用いて、グラフェン組成物の粒度分布を測定したところ、メジアン径(D50)が数十nm〜200nmの範囲にあるナノ粒子が観測された。
(実施例2)
超臨界処理温度を300℃に変更し、黒鉛分散液の超臨界処理器155への供給の繰り返し回数を12回から20回に変更した以外は、実施例1と同様にして、粉末状のグラフェン組成物を取得した。このとき、超臨界処理に要した時間は、23分間であった。
グラフェン組成物は、グラフェンの含有量が85%であり、2〜3層のグラフェンシートの総含有量が10%であり、4〜6層のグラフェンシートの総含有量が4%であり、7層以上のグラフェンシートの総含有量が1%であった。すなわち、グラフェン組成物は、グラフェンの含有量が2層以上の各層のグラフェンシートの含有量よりも多かった。
実施例1と同様にして、グラフェン組成物の粒度分布を測定したところ、メジアン径(D50)が数十nm〜200nmの範囲にあるナノ粒子が観測された。
(実施例3)
エタノールの代わりに、ジメチルホルムアミド(DMF)を用い、超臨界条件における温度を200℃にした以外は、実施例1と同様にして、粉末状のグラフェン組成物を取得した。このとき、超臨界処理に要した時間は、16分間であった。
グラフェン組成物は、グラフェンの含有量が90%であり、2〜3層のグラフェンシートの総含有量が8%であり、4〜6層のグラフェンシートの総含有量が2%であり、7層以上のグラフェンシートの総含有量が0%であった。すなわち、グラフェン組成物は、グラフェンの含有量が2層以上の各層のグラフェンシートの含有量よりも多かった。
実施例1と同様にして、グラフェン組成物の粒度分布を測定したところ、メジアン径(D50)が数十nm〜200nmの範囲にあるナノ粒子が観測された。
(実施例4)
粒径が20μm以下の黒鉛(Aldrich社製)の代わりに、平均粒径が5μmの人造黒鉛(昭和電工社製)を用い、超臨界処理回数を9回にした以外は、実施例1と同様にして、粉末状のグラフェン組成物を取得した。このとき、超臨界処理に要した時間は、12分間であった。
グラフェン組成物は、グラフェンの含有量が94%であり、2〜3層のグラフェンシートの総含有量が6%であり、4〜6層のグラフェンシートの総含有量が0%であり、7層以上のグラフェンシートの総含有量が0%であった。すなわち、グラフェン組成物は、グラフェンの含有量が2層以上の各層のグラフェンシートの含有量よりも多かった。
実施例1と同様にして、グラフェン組成物の粒度分布を測定したところ、メジアン径(D50)が数十nm〜200nmの範囲にあるナノ粒子が観測された。
(比較例1)
処理温度を200℃に変更し、処理圧力を5MPaに変更し、超臨界にせず処理をした以外は、実施例1と同様にして、粉末状のグラフェン組成物を取得した。このとき、処理に要した時間は、16分間であった。
グラフェン組成物は、グラフェンの含有量が0%であり、2〜3層のグラフェンシートの総含有量が0%であり、4〜6層のグラフェンシートの総含有量が3%であり、7層以上のグラフェンシートの総含有量が97%であった。
実施例1と同様にして、グラフェン組成物の粒度分布を測定したところ、メジアン径(D50)が20μmであった。
(比較例2)
粒径が20μm以下の黒鉛(Aldrich社製)をエタノール中に1mg/mlで分散させ、密閉容器(バッチ式)に入れた。密閉容器内の超臨界条件を420℃、12MPaとして、300分間維持した後、常温・常圧に戻し、粉末状のグラフェン組成物を取得した。
グラフェン組成物は、グラフェンの含有量が0%であり、2〜3層のグラフェンシートの総含有量が1%であり、4〜6層のグラフェンシートの総含有量が2%であり、7層以上のグラフェンシートの総含有量が97%であった。
実施例1と同様にして、グラフェン組成物の粒度分布を測定したところ、メジアン径が20μmであった。
表1に、実施例1〜4及び比較例1、2のグラフェン組成物の組成を示す。
Figure 2015160795
100 グラフェン組成物の製造装置
110 原料部
115 貯留容器
120 黒鉛を含む溶媒
125 配管
130 ポンプ
150 超臨界処理部
155 超臨界処理器
160 振動手段
165 配管
168 冷却槽
170 切り替えバルブ
172 配管
174 配管
180 第一の回収部
185 容器
190 分離部
195 遠心分離機
198 グラフェン成分を含む溶媒
199 未反応の黒鉛を含む溶媒
200 第二の回収部
205 容器
194 配管

Claims (7)

  1. グラフェン組成物を製造する方法であって、
    (a)黒鉛を含む溶媒を超臨界処理場に供給する工程と、
    (b)該超臨界処理場に供給された溶媒を超臨界状態にする工程と、
    (c)該超臨界状態にした溶媒を非超臨界状態に戻す工程を有し、
    前記(a)〜(c)の工程では、前記溶媒の流れを連続フロー方式で行い、
    (d)前記(a)〜(c)の工程により得られるグラフェン及び黒鉛を含む溶媒から黒鉛を分離する工程をさらに有し、
    該分離された黒鉛を前記(a)の工程で再利用することを特徴とするグラフェン組成物の製造方法。
  2. 前記(b)及び/又は(c)の工程は、振動を印加した状態で行われることを特徴とする請求項1に記載のグラフェン組成物の製造方法。
  3. 前記(a)〜(c)の工程を連続的及び/又は不連続的に繰り返す回数が10回以上70回以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のグラフェン組成物の製造方法。
  4. 前記(a)〜(c)の工程により得られるグラフェン及び黒鉛を含む溶媒は、グラフェンシートをさらに含み、
    前記(d)の工程において、前記グラフェン組成物中のグラフェンの含有量が各層のグラフェンシートの含有量よりも多くなるように分離することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のグラフェン組成物の製造方法。
  5. 前記(d)の工程において、遠心分離機を用いて、遠心力を調整することにより分離することを特徴とする請求項4に記載のグラフェン組成物の製造方法。
  6. グラフェン組成物を製造する装置であって、
    (a)黒鉛を含む溶媒を超臨界処理場に供給する手段と、
    (b)該超臨界処理場に供給された溶媒を超臨界状態にする手段と、
    (c)該超臨界状態にした溶媒を非超臨界状態に戻す手段を有し、
    前記(a)〜(c)の手段は、前記溶媒の流れを連続フロー方式で行い、
    (d)前記(a)〜(c)の手段により得られるグラフェン及び黒鉛を含む溶媒から黒鉛を分離する手段をさらに有し、
    該分離された黒鉛を前記(a)の手段で再利用することを特徴とするグラフェン組成物の製造装置。
  7. 前記(b)及び/又は(c)の手段は、振動を印加する手段を有することを特徴とする請求項6に記載のグラフェン組成物の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019502536A (ja) * 2015-11-26 2019-01-31 フォンダツィオーネ・イスティトゥート・イタリアーノ・ディ・テクノロジャFondazione Istituto Italiano Di Tecnologia 湿式ジェット粉砕技術による層状物質の剥離

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