JP2014118315A - 薄片化黒鉛の製造装置及び製造方法 - Google Patents

薄片化黒鉛の製造装置及び製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】積層数が少なく厚みの薄い薄片化黒鉛を容易に得ることを可能とする薄片化黒鉛の製造装置を提供する。
【解決手段】原料としての黒鉛が貯留されている原料槽1と、25℃及び大気圧下で液体である第1の流体52を供給する流体供給源22と、第1の流路2Aを構成している第1の流路構成部材と、第1の流路2Aの下流側に接続されており、第1の流体52を150℃以上の高温及び5MPa以上の圧力となるように加熱する機能を備えた加熱部2と、加熱部2に接続されており、下流端が第1の流路2Aに連ねられて連続流路を構成している第2の流路2Bと、第2の流路2Bに接続されており、加熱された黒鉛を冷却しかつ減圧することにより剥離する冷却槽3と、薄片化黒鉛を取り出すことを可能とするように第2の流路2Bに接続されている取出流路29とを備える、薄片化黒鉛の製造装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、原料としての黒鉛から薄片化黒鉛を得るための薄片化黒鉛の製造装置及び製造方法に関する。
薄片化黒鉛は、原料の黒鉛をグラフェン層間で剥離することにより得られる。薄片化黒鉛ではグラフェンの積層数が黒鉛よりも少なく、例えば数十層以下程度とされている。
上記のような薄片化黒鉛の製造方法の一例が、下記の特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の製造方法では、まず、硫酸、硝酸及び過マンガン酸カリウムを用いて黒鉛を酸化する。それによって黒鉛層間化合物を得る。該黒鉛層間化合物が分散されている分散液を遠心分離する。しかる後上澄みを除去する。それによって薄片化酸化黒鉛を得る。
下記の特許文献2にも、薄片化黒鉛の製造方法が開示されている。特許文献2では、硫酸、硝酸または塩素酸などを用いて黒鉛を酸化する。しかる後、2000℃/分の急速加熱により剥離し、薄片化酸化黒鉛を得る。また、この急速加熱時の雰囲気を不活性雰囲気とすることにより、酸化黒鉛が部分的に還元されることが記載されている。
特開2002−53313号公報 特表2009−511415号公報
従来の薄片化黒鉛の上記製造方法では、酸化処理が必要であり、製造に長時間を要するという問題があった。また、黒鉛層間化合物を酸化させたうえで、剥離が行われていた。そのため、酸化が不十分な部分では、黒鉛のグラフェン層間への化合物の挿入が不十分となりがちであった。そのため、薄片化黒鉛を安定にかつ容易に得ることが困難であった。
本発明の目的は、薄片化黒鉛を容易に製造することを可能とする薄片化黒鉛の製造装置及び製造方法を提供することにある。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造装置は、原料槽と、流体供給装置と、第1の流路構成部材と、加熱部と、第2の流路構成部材と、取出流路構成部材と、冷却槽と、流路切換弁とを備える。
上記原料槽には、原料としての黒鉛が貯留されている。上記流体供給装置は、25℃及び大気圧下で液体である第1の流体を供給するように構成されている。第1の流路構成部材は、上記原料槽及び流体供給装置に接続されている第1の流路を構成している。また、加熱部は、上記原料槽及び流体供給装置よりも下流側において第1の流路に接続されており、第1の流体が、加熱部において、150℃以上及び5MPa以上の高温高圧力とされた状態で上記黒鉛に接触される。
上記第2の流路構成部材は、加熱部に接続された第2の流路を構成している。そして、加熱部よりも下流側であって、取出流路構成部材より上流側に冷却槽が設けられている。加熱された黒鉛が冷却槽において冷却されると共に、その圧力が低められる。それによって、黒鉛が剥離され、薄片化黒鉛とされる。そして、冷却槽よりも下流側において、第2の流路から薄片化黒鉛を取り出すように取出流路構成部材が接続されている。流路切換弁は、取出流路構成部材を開状態または閉状態とするように前記取出流路構成部材に設けられている。上記第1の流路の上流端と、前記第2の流路の下流端が連ねられて連続流路とされている。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造装置のある特定の局面では、前記第1の流体に加え、25℃及び大気圧下で気体である第2の流体が、前記第1の流路に供給される。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造装置の他の特定の局面では、前記加熱部において、加熱により前記第1の流体が亜臨界流体または超臨界流体とされている。この場合には、黒鉛をより確実に剥離することができる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法は、原料としての黒鉛に、25℃及び大気圧下で液体である第1の流体を、150℃以上及び5MPa以上の高温高圧下にある流体として接触させる接触工程と、前記第1の流体を冷却し、減圧する減圧工程とを備え、前記接触工程及び前記減圧工程とを複数回繰り返すことにより、原料としての黒鉛を薄片化し、薄片化黒鉛を得る。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法のある特定の局面では、前記第1の流体に加え、25℃及び大気圧下で気体である第2の流体を用いる。この場合には、黒鉛をより確実に剥離することができる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法のさらに他の特定の局面では、前記第1の流体と前記第2の流体との混合比が、重量比で99:1〜10:90の範囲にある。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法の更に別の特定の局面では、前記高温高圧下にある流体が、亜臨界流体または超臨界流体である。この場合には、黒鉛をより確実に剥離することができる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造装置及び製造方法によれば、上記高温高圧の第1の流体が黒鉛に接触されて黒鉛が剥離される。従って、従来法に比べ、容易にかつ確実に黒鉛を剥離し薄片化黒鉛を得ることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る薄片化黒鉛の製造装置の概略構成図である。 実施例1で得られた薄片化黒鉛回収液をAFM測定により評価した結果を示す図である。 実施例2で得られた薄片化黒鉛回収液をAFM測定により評価した結果を示す図である。 実施例3で得られた薄片化黒鉛回収液をAFM測定により評価した結果を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明すると共に、本発明を明らかにする。
図1は、本発明の一実施形態に係る薄片化黒鉛の製造装置の概略構成図である。本実施形態の製造装置では、原料槽1に原料としての黒鉛供給源21が接続されている。また、本実施形態では、常温常圧で液体である第1の流体を供給する流体供給源22も原料槽1に接続されている。なお、常温常圧とは、25℃及び大気圧下を意味する。上記流体供給源22が、本実施形態における流体供給装置の一部を構成している。なお、本実施形態では、第1の流体に加えて、第2の流体も用いることが可能とされている。従って、流体供給装置は、後述する第2の流体を供給する供給装置部分をも含む。
原料槽1内には、攪拌装置1aが設けられている。攪拌装置1aにより、黒鉛51と、第1の流体52とが混練される。それによって、黒鉛51が第1の流体52に均一に分散された分散液が得られる。
原料槽1は、第1の流路2Aに接続されている。より具体的には、接続流路23を介して原料槽1は第1の流路2Aに接続されている。接続流路23の途中には、ポンプ8、流量計9及び開閉弁12が接続されている。開閉弁12を開状態とし、ポンプ8を駆動することにより、上記分散液が搬送され、第1の流路2Aに与えられる。
第1の流路2Aにおいて、上記接続流路23が接続されている部分よりも下流側、すなわち原料槽1が接続されている部分よりも下流側に、圧力弁13が設けられている。圧力弁13は、第1の流路2A内の圧力を調整するために設けられている。
上記圧力弁13の下流側において、第1の流路2Aに、接続流路24aが接続されている。接続流路24aには、第2の流体を供給するための流体供給源24が接続されている。流体供給源24が、本実施形態における流体供給装置の一部を構成している。また、接続流路24aは、第2の流体を第1の流路2Aに供給するための流体供給装置の一部を構成している。接続流路24aの途中には、冷却機6a、ポンプ8a及び流量計10aが接続されている。ポンプ8aを駆動することにより、第2の流体が第1の流路2Aに供給される。
第1の流路2Aの下流端近傍において圧力弁13bが設けられている。そして、第1の流路2Aの下流端は加熱部2に接続されている。従って、上記原料としての黒鉛、第1の流体52及び流体供給源24から供給されるガス状の第2の流体が加熱部2に供給されることになる。加熱部2は、図示しない加熱源に接触されている。加熱部2には図示しない加熱源が内部に配置されていてもよい。加熱部2内において、原料である黒鉛に、高温高圧の第1及び第2の流体が接触されるように構成されている。それによって、黒鉛層間に高温高圧の第1及び第2の流体が挿入される。
この高温及び高圧については、好ましくは、第1,第2の流体を亜臨界または超臨界とする温度及び圧力であるように選択される。この点については、後述する。
加熱部2には、第2の流路2Bが接続されている。第2の流路2Bの下流端は、流路接続部2Cにおいて第1の流路2Aの上流端に連ねられている。従って、第1の流路2Aと第2の流路2Bとにより、加熱部2を間に含む連続流路が構成されている。
第2の流路2Bの途中には、冷却分離槽3が設けられている。冷却分離槽3は、加熱部2から取り出された黒鉛と第1及び第2の流体の混合物を急冷、減圧することで黒鉛を剥離するために設けられている。上記減圧は、冷却分離槽3内のガスを後述するように冷却分離槽3から放出することにより行われる。また、冷却分離槽3は、第1及び第2の流体から気体である流体を分離する機能をも果たす。この冷却のため、熱交換機7が冷却分離槽3に連結されている。それによって、薄片化黒鉛、第1の流体52及び第2の流体が冷却されるように構成されている。
本実施形態では、冷却分離槽3が用いられているが、気体状の流体を分離する必要がない場合には、分離機能を有しない冷却槽を用いてもよい。もっとも、好ましくは、本実施形態のように気体状の流体を分離する機能をも有する、冷却分離槽3を用いることが望ましい。
冷却分離槽3の上部には、圧力弁13cを有する回収流路28が接続されている。回収流路28は、流路30aに接続されている。流路30aの一端がガス放出口30に接続されている。回収流路28が流路30aに接続されている部分とガス放出口30との間において、流路30aに放出ガス開閉弁17が設けられている。
また、流路30aが回収流路28と接続されている接続部分30cは、第1の流路2Aの接続部2A1に接続されている。ここでは、流路30aに、接続部分30cから接続部2A1に向って、圧縮機5、圧縮貯蔵槽4、冷却機6b、ポンプ8b及び回収気体流量計12aがこの順序で接続されている。圧縮機5により、回収された気体が圧縮され、圧縮貯蔵槽4において圧縮された気体が貯蔵される。そして、このようにして圧縮された気体が、冷却機6bにより冷却され、ポンプ8bを介して第1の流路2Aに搬送される。この回収気体の第1の流路2Aに供給される量は、上記回収気体流量計12aにより計測することができる。
なお、第2の流路2Bにおいては、冷却分離槽3よりも下流側に、ポンプ8d、流量計11d及び逆止弁14dがこの順序で設けられている。なお、第2の流路2Bの接続部2B1に、薄片化黒鉛を回収する取出流路29が接続されている。取出流路29には、回収液開閉弁16が設けられている。回収液開閉弁16は、取出流路29を開または閉状態との間で切り換えるように構成されている。開状態とすることにより、薄片化黒鉛を取出流路29から系外に取り出し、回収することができる。また、閉状態とすることにより、後述する接触工程及び冷却工程を繰り返すことができる。上記回収液開閉弁16は、適宜の流路開閉弁により構成することができる。
次に、本実施形態の薄片化黒鉛の製造工程を説明する。
まず、原料槽1に、原料としての黒鉛51と、常温常圧で液体である第1の流体52とを供給し、攪拌装置1aにより攪拌する。それによって、均一な分散液を得る。この分散液を、接続流路23を介して第1の流路2Aに供給する。
その結果、分散液が第1の流路2Aを下流側すなわち加熱部2側に向って搬送されることになる。
本実施形態では、第2の流体、すなわち常温常圧で気体状の第2の流体もまた、ポンプ8aを駆動することにより第1の流路2Aに供給することができる。もっとも、ポンプ8aを駆動せずに、第2の流体を第1の流路2Aに供給しなくともよい。その場合には、第1の流体のみを用いて黒鉛の薄片化が行われることになる。
第1の流体52と第2の流体とを併用する場合、第1の流体と第2の流体の混合比は、流量計9,10aにより流量を測定し、ポンプ8a,8の搬送速度を調整すればよい。
上記のようにして、非加熱状態の分散液が加熱部2に与えられる。加熱部2は、上述したように加熱源を有する。加熱部2において、第1の流体、あるいは第1及び第2の流体の混合物が加熱されることになる。この加熱により、高温高圧の第1の流体52と黒鉛が接触され、あるいは高温高圧の第1の流体52及び高温高圧の第2の流体が黒鉛51と接触される。その結果、黒鉛のグラフェン間に高温高圧状態の流体が入り込み、その後冷却分離槽3にて上記高温高圧状態の流体が急冷、減圧されることによって剥離が進行する。すなわち、黒鉛が剥離され、薄片化黒鉛が生成する。
上記高温高圧とは、150℃以上の温度及び5MPa以上の圧力をいうものとする。150℃未満では剥離が十分に進行しない。5MPa未満の圧力では、やはり剥離が十分に進行にしない。なお、温度及び圧力の上限は、剥離を進めるうえでは特に限定されないが、薄片化黒鉛を分解しない温度及び圧力であることが望ましい。従って、加熱温度は800℃以下であることが望ましい。また、圧力は100MPa以下であることが望ましい。
上記のようにして剥離が進行した後、上記分散液が、冷却分離槽3に導かれる。冷却分離槽3において、下方部分からは、薄片化黒鉛分散液が第2の流路2Bの下流側に向って搬送されることになる。
前述した開閉弁16は最初は閉状態とされている。従って、薄片化黒鉛分散液は、接続部2B1を通り過ぎ、第1の流路2Aに再度与えられることになる。よって、薄片化黒鉛分散液が第1の流路2Aと第2の流路2Bとからなる連続流路を再度循環されることになる。
そして、上記薄片化黒鉛分散液にさらに第1の流体52及び/または第2の流体を供給し再度加熱部2に導く。この場合、図1に示す構造では、切換弁53を切り換え、分岐流路23aを介して第1の流体52のみを接続流路23に供給し、第1の流路2Aに供給する。すなわち、原料としての黒鉛51は再度供給せず、上記第1の流体52のみを薄片化黒鉛分散液に添加してもよい。従って、搬送されてきた薄片化黒鉛分散液中の第1の流体の量が少なくなっている場合には、このように第1の流体を再度添加することが望ましい。
もっとも、回収されてきた薄片化黒鉛分散液中の第1の流体の量が十分な量である場合には、ポンプ8を駆動する必要はない。そのまま薄片化黒鉛分散液を第1の流路2A内を搬送し、必要に応じて第2の流体をポンプ8aを駆動して供給する。
そして、本実施形態では、前述した流路30aから回収された第2の流体を接続部2A1において供給する。よって、前述したように、流量計10a,12aで測定された流量に応じ、第1の流体52の量または、第1の流体52及び第2の流体の量が適切となるようにポンプ8a,8bにより搬送速度を調整すればよい。このようにして、適宜の量の流体が再度薄片化黒鉛分散液に追加されることになる。そして、薄片化黒鉛分散液が加熱部2内において再度加熱され、しかる後、前回と同様に、分散液が冷却分離槽3に導かれ、冷却されることで剥離が再度進行することとなる。その結果、薄片化黒鉛分散液が再度第2の流路2Bに搬送され、ガス状の第1の流体は、回収流路28から回収される。
なお、回収されたガス状の流体が余剰である場合には、開閉弁17を開放しガス放出口30から放出すればよい。それによって系内の圧力の上昇を抑制することができる。
上記加熱部2内においては、高温高圧の第1の流体または第1,第2の流体の混合物が黒鉛及び薄片化黒鉛と接触されることとなる。この接触工程と、冷却分離槽3における冷却工程とを、流路2A,2Bからなる連続流路を用いて複数回繰り返すことができる。それによって、黒鉛をより確実に剥離することができ、積層数の少ない薄片化黒鉛を安定に得ることができる。
目的とする積層数の薄片化黒鉛が得られると、開閉弁16により、取出流路29を開状態に切り換える。その結果、取出流路29から薄片化黒鉛を取り出すことが可能となる。
本実施形態の製造装置及び製造方法によれば、上記のように、接触工程と冷却工程とを複数回繰り返し、積層数が少ない薄片化黒鉛を容易に得ることができる。なお、上記製造装置では、上記接触工程及び冷却工程を連続流路を用いて効率良く実施することができる。しかも、常温常圧で気体の第1の流体については、回収流路28から回収し、再利用することができる。よって、コストを低減することができる。
なお、本発明の薄片化黒鉛の製造方法では、上記接触工程において、第1の流体または上記第1,第2の流体の混合物は、前述したように高温高圧状態とされるが、好ましくは亜臨界状態または超臨界状態とされていることが望ましい。それによって、黒鉛をより一層効果的に剥離することができる。
なお、本発明の薄片化黒鉛の製造方法は図1に示した製造装置を用いた製造方法に限定されるものではない。すなわち、黒鉛を上記高温高圧の流体に接触させる接触工程と、高温高圧の流体を冷却により減圧する減圧工程とを複数回繰り返しさえすればよく、本発明に従って薄片化黒鉛を容易にかつ安定に得ることができる。よって、連続式製造装置に限らず、パック式の製造装置を用いてもよい。すなわち、接触工程を実施する装置部分と、冷却工程を実施する装置部分とを独立に設けてもよい。
また、上記第1の流体と第2の流体を併用する必要は必ずしもない。第1の流体、すなわち常温常圧下が液体である第1の流体のみを用いてもよい。もっとも、第1の流体と第2の流体とを併用することが望ましい。併用した場合には、黒鉛をより一層容易に剥離することができ、かつより穏やかな条件で第1の流体及び第2の流体を黒鉛のグラフェン層間に確実にインターカレートすることができる。
第1の流体と第2の流体との混合比についても特に限定されないが、好ましくは、99:1〜50:50の範囲であることが望ましい。この範囲内であれば、黒鉛をより一層確実に剥離することができる。
次に、本発明において用いる材料につき説明する。
原料として用いる黒鉛については、通常の黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛などを用いることができ、特に限定されるものではない。
なお、第1の流体は常温常圧下で液体であるため上記分散液における分散媒を構成する。加熱部2内においては、高温高圧下で黒鉛に作用し、黒鉛層間に挿入される機能を果す。
上記第1の流体としても、高温高圧下で黒鉛に接触され、グラフェン層間に入り込み剥離を進行する適宜の流体を用いることができる。このような流体としては、エタノール、メタノール、プロパノールなどのアルコール類;水、エチルエーテルなどのエーテル類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどのベンゼン誘導体類、ヘキサン、シクロヘキサン、N−メチル−2−ピロリドンなどを挙げることができる。
また、常温常圧下で気体である第2の流体としても特に限定されず、二酸化炭素、窒素、アルゴン、メタン、エタン、プロパンなどを挙げることができる。
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明の効果を明らかにする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
原料の黒鉛として、膨張黒鉛(東洋炭素社製、PFパウダー8F)を用いた。第2の流体は用いなかった。図1に示した製造装置を用いた。黒鉛のエタノール分散液における濃度が8重量%となるように調製し、該分散液を加熱部2に導いた。加熱部2の設定温度は380℃、冷却分離槽3の設定温度は0℃とした。また、冷却分離槽3を除く流路構成の内容積は780mLとした。この流路構成部分とは、第1の流路2A及び第2の流路2Bと加熱部2の容積の合計をいうものとする。
加熱部2における流体の圧力は約60MPaとなるように設定した。また、冷却分離槽3内の圧力は0.11MPaに設定した。循環時の流量計11dにおける流量を180ml/分とした。このようにして、分散液を第1,第2の流路2A,2Bを循環させ、上記接触工程及び減圧工程を90分間繰り返した。しかる後、開閉弁16を開状態とし、薄片化黒鉛回収液を取り出した。
得られた薄片化黒鉛回収液を原子力顕微鏡(AFM)により測定した。すなわち、薄片化黒鉛回収液に、エタノールをさらに加え、薄片化黒鉛濃度を0.05重量%まで希釈した。しかる後、超音波洗浄機を用い、薄片化黒鉛をエタノール中において十分に分散させた。AFM測定用試料台に得られた分散液をキャスティングした後、エタノールを自然乾燥させた。AFMとしては、キーエンス社製、ナノスケールハイブリッド顕微鏡、品番:VN−8000を用いて計測した。結果を図2に示す。
図2の横軸の幅及び縦軸の厚みは、薄片化黒鉛の幅及び厚みを示す。すなわち、図2は、多数の薄片化黒鉛の幅及び厚みの分布を示している。
図2から明らかなように、幅が2.5μm〜11μmの範囲、厚みが0.25μm〜24μmの範囲内に、全ての薄片化黒鉛が分布していることがわかる。特に、厚みが10nm以下、幅が10μm以下の薄片化黒鉛が大部分を占めていることがわかる。従って、厚みの薄い薄片化黒鉛を容易にかつ確実に得られることがわかる。
(実施例2)
第2の流体として二酸化炭素をも併用し、非加熱状態の分散液におけるエタノールと二酸化炭素との混合比が重量比で90:10となるようにしたこと、並びに、加熱における設定温度を280℃、高温高圧流体の圧力を34MPa、冷却分離槽内の圧力を0.13MPaとし、処理時間を45分としたことを除いては実施例1と同様として、薄片化黒鉛回収液を得た。得られた薄片化黒鉛回収液について実施例1と同様にして評価した。結果を図3に示す。
図3から明らかなように、実施例2においても、厚みが薄い薄片化黒鉛を安定に得られたことがわかる。従って、実施例1よりも加熱部における設定温度が100℃低く、圧力も26MPa低められている温和な条件で、かつ処理時間が半分であるにも係わらず、薄い薄片化黒鉛を得ることが可能とされている。
(実施例3)
原料の黒鉛として、富士黒鉛工業社製、鱗片状黒鉛、品番:UF−2を用いたこと、非加熱状態の分散液におけるエタノールと二酸化炭素の混合比を重量比で95:5としたこと、加熱部の設定温度を290℃としたこと、高温高圧下の流体の圧力を35MPaとし、冷却分離槽の圧力を0.11MPaとし、処理時間を60分としたことを除いては実施例2と同様にして薄片化黒鉛回収液を得た。またこの薄片化黒鉛回収液について実施例1と同様にして評価した。結果を図4に示す。
図4の結果から図2及び図3よりも薄片化黒鉛の厚みはばらついているものの、厚みが非常に薄い薄片化黒鉛を容易に得られることがわかる。
(比較例1〜3)
実施例1〜3において加熱部2における加熱を行わなかったこと、すなわち流体を高温高圧の状態としなかったことを除いては、実施例1〜3と同様にして回収液を得た。得られた回収液について実施例1と同様にAFMにより評価した。しかしながら、黒鉛の厚みが大きいため、AFMでは測定ができなかった。すなわち薄片化黒鉛は得られていなかった。
(比較例4〜6)
実施例1〜3において、開閉弁16を開放し、製造ライン内を循環させずに回収液を得た。すなわち、接触工程及び減圧工程を1度のみ実施して回収液を得た。得られた回収液について実施例1〜3と同様にAFMによる評価を行った。しかしながら、黒鉛の厚みが大きいため、測定ができなかった。従って、実施例1〜3の条件で接触工程及び減圧工程を1度のみ実施した場合には、黒鉛の剥離が進行し難いことがわかる。
1…原料槽
1a…攪拌装置
2…加熱部
2A…第1の流路
2B…第2の流路
2C…流路接続部
2A1,2B1…接続部
3…冷却分離槽
4…圧縮貯蔵槽
5…圧縮機
6a,6b…冷却機
7…熱交換機
8,8a,8b,8d…ポンプ
9,10a,11d…流量計
12…開閉弁
12a…回収気体流量計
13,13b,13c…圧力弁
14d…逆止弁
16…回収液開閉弁
17…放出ガス開閉弁
21…黒鉛供給源
22…流体供給源
23…接続流路
23a…分岐流路
24…流体供給源
24a…接続流路
28…回収流路
29…取出流路
30…ガス放出口
30a…流路
30b…ガス放出口
30c…接続部分
51…黒鉛
52…第1の流体
53…切換弁

Claims (7)

  1. 原料としての黒鉛が貯留されている原料槽と、
    25℃及び大気圧下で液体である第1の流体を供給する流体供給装置と、
    前記原料槽及び前記流体供給装置に接続されている第1の流路を構成している第1の流路構成部材と、
    前記原料槽及び前記流体供給装置よりも下流側において該第1の流路に接続されており、前記第1の流体が150℃以上及び5MPa以上の高温高圧力とされた状態で前記黒鉛に接触される加熱部と、
    前記加熱部に接続された第2の流路を構成している第2の流路構成部材と、
    前記加熱部よりも下流側において、前記第2の流路から薄片化黒鉛を取り出すように接続された取出流路構成部材と、
    前記第2の流路において、前記加熱部よりも下流側であって、前記取出流路構成部材よりも上流側に設けられており、加熱された黒鉛を冷却するための冷却槽と、
    前記取出流路構成部材を開状態または閉状態とする流路切換弁とを備え、
    前記第1の流路の上流端と前記第2の流路の下流端が連ねられて連続流路とされている、薄片化黒鉛の製造装置。
  2. 前記第1の流体に加え、25℃及び大気圧下で気体である第2の流体が、前記第1の流路に供給される、請求項1に記載の薄片化黒鉛の製造装置。
  3. 前記加熱部において、加熱により前記第1の流体が亜臨界流体または超臨界流体とされている、請求項1または2に記載の薄片化黒鉛の製造装置。
  4. 原料としての黒鉛に、25℃及び大気圧下で液体である第1の流体を、150℃以上及び5MPa以上の高温高圧下にある流体として接触させる接触工程と、
    前記第1の流体を冷却し、減圧する減圧工程とを備え、
    前記接触工程及び前記減圧工程とを複数回繰り返すことにより、原料としての黒鉛を薄片化し、薄片化黒鉛を得る、薄片化黒鉛の製造方法。
  5. 前記第1の流体に加え、25℃及び大気圧下で気体である第2の流体を用いる、請求項4に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  6. 前記第1の流体と前記第2の流体との混合比が、重量比で99:1〜10:90の範囲にある、請求項5に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
  7. 前記高温高圧下にある流体が、亜臨界流体または超臨界流体である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法。
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