JP2015158604A - ホログラムシート及びホログラム付きカード - Google Patents

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英世 吉田
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Abstract

【課題】ホログラムを用いたホログラムシートにおいて、その真正性を高めるために、通常は視認できないが、電圧を印加することで、室内等の照明光源とは異なる波長でホログラム再生像を再生する新規なホログラムシートを提供するとともに、そのホログラムシートをカード基材に埋め込んだホログラム付きカードを提供する。【解決手段】ホログラム形成層上にエレクトロルミネッセンス素子層を設け、そのエレクトロルミネッセンス素子層に所定の電圧を印加したときのみ、空間にその所定の可視光波長のホログラムが浮き上がり、このことによって、そのホログラムが真正品であると、目視にて判定可能とし、偽造防止性を高めた、ホログラムシート及びホログラム付きカードとした。【選択図】 図1

Description

本発明は、新規なホログラムシート、特に、位相ホログラムを呈するレリーフホログラムのレリーフ位置に、蛍光発光および/又は燐光発光(以後、まとめて「蛍光」、もしくは「蛍光発光」と称す。)するエレクトロルミネッセンス素子薄膜を配した蛍光発光型のホログラムシート、及び、そのホログラムシートをIDカード等のカード類(「ID」とは「Identification:身分証明」を意味する。)や、ICカード(「IC」とは、「Integrated circuit:集積回路」を意味し、この「IC」を埋め込んだカードを「ICカード」という。この「ICカード」には、ICタグも含まれる。)の「カード基材」に埋め込んだ「ホログラム付きカード」に関するものである。
本発明において、「鏡面反射層」とは、ある「層」の少なくとも一方の面が、「光学的鏡面性」と「反射性」を併せ持っている「層」であって、しかも、その「面」が「『反射性』を持つ」とは、その「面」が「全反射性(可視光の全ての波長の光を100%反射することを意味する性質。)」を示すものでなく、「可視光の波長の光を『所定の割合』で『反射』する性質、すなわち、その『(「0%」でない)残りの割合』を透過(さらにその一部を吸収することもある。)する性質」を有していることを意味する。
そして、その「面」が、「『光学的鏡面性』を持つ」とは、ある「層」の所定の面(その「層」の一方の面、すなわち、その「層」の一方の「表面」を意味する。)の平滑性が、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmであることを意味する。
より詳しくは、三次元空間内に「ある有限な領域を持つ三次元曲面」が浮かんでいる状態を想定したとき、「この三次元曲面の『面』が『光学的鏡面性』を持つ」ということは、「この三次元曲面の『面』、すなわち、この三次元曲面の『形状』そのものが『光学的鏡面』形状となっている」ことを意味する。
これは、その三次元空間内に「有限な領域を持つ、一つの『二次元平面』が浮かんでいる」ような状態であって、その「三次元曲面」が、その「『一つの二次元平面』とほぼ一致する形状」を持っていることを意味する。
さらに言い換えると、その「『光学的鏡面性』を持つ三次元曲面」は、「その『一つの二次元平面』」から逸脱するような不規則な凹凸の無い「滑らかな面」をなし、且つ、「その三次元曲面における、極く小さな面領域(照明光の波長の数十倍の長さに相当する、直径数十μm程度の微小な領域。)における平均表面粗さRaの値が、どの小さな面領域においても0.01μm〜0.1μmであること」と定義される。
そして、この「光学的鏡面」をその表面に有する「ある層」の上に、その表面の「表面平滑性」を維持した状態(その表面形状に何らの変化も及ぼさないことを意味する。)で、「別の層」を重ねることとなるが、その際に、この「ある層」と「別の層」との「界面」も、いわば「光学的鏡面」となり、この「界面」を所定の光で照明すると、その照明光が、この「界面」を通過する際、この「界面」、において、「所定の割合」だけ「反射」されると同時に、その「残りの割合(一部吸収される場合は、さらにその吸収割合を差し引いた残りの割合。)」だけ「透過」されることとなる。
このように、結果として、「ある層」と「別の層」の「界面」を「光学的鏡面」とすることは、すなわち、「ある層」の「一方の面」に「光学的鏡面性」を付与することと同義であり、また、「鏡面反射層」の「反射性」及び「光学的鏡面性」のいずれの特性も、その「『鏡面反射層』のその『面』」の上に設ける「別の層」の性質や、「別の層」を設ける手段などによって影響を受けるという特徴を有している。
そして、その「面」や、「界面」が、「光学的鏡面」となっていることは、その「面」や、「界面」での「反射光」や、「透過光」が、その「照明光」の性質である「位相分布」や「強度分布」に対して、「正規の反射や透過によって受ける変化(理論的に想定される変化)」を除き、その「変化」以外の変化、すなわち、「不要なムラ(上記した『微小領域』の、さらに、1/10以下、乃至は、1/100以下という『さらに小さい領域』において、光の進む方向や位相成分が部分的に不規則に変化したり、光の強度に部分的な強弱が付与されることを意味する。)」を発生することなく、そういう意味において「『乱れる』ことなく、『反射』したり、『透過』したりする」ことを実現可能とする。
このことにより、本発明におけるエレクトロルミネッセンス素子層で発光した「光」は、その近傍にある「鏡面反射層」で「乱れる」ことなく正反射し(もちろん、一部透過し、一部吸収されるが、ここでは、その正反射光に注目する。)、その反射光がエレクトロルミネッセンス素子層のレリーフ面(ホログラムレリーフ形状となっている。)をいわば「照明」し、その「照明光」によって、このレリーフ面によるレリーフホログラム再生像が再生されることとなる。
特に、エレクトロルミネッセンス素子層内にある非常に多数の蛍光発光点(一種の点光源となっている。)の中の、「ある一つの発光点」から、ある瞬間に発光した「光」が、広がりつつ進み、上記した「光学的鏡面」で正反射され、さらに広がりつつ逆方向に進んで、エレクトロルミネッセンス素子層の「最表面」、さらには、多層形成されているエレクトロルミネッセンス素子層内に存在する「界面」(以下に、詳述する。)、または、エレクトロルミネッセンス素子層の裏面(背面)を、「照明」し、これらの「面」で、反射されるときに(各「面」の間で、反射を繰り返す、「多重反射現象」を含む。各「面」の間隔調整により、この「現象」を利用した反射率向上が可能となる。エレクトロルミネッセンス素子層の「最表面」、「界面」及び「裏面」の少なくともいずれか、もしくは、すべての「面」が、ホログラムレリーフ形状を成している。)、もしくは、透過されるときに(「多重反射現象」を含む。各「面」の別の間隔調整により、この「現象」を利用した透過率向上が可能となる。)、これらの「面」のなす「ホログラムレリーフ」形状に基づく「ホログラムレリーフの位相成分」を受け取って進み、その広がった「光」の「干渉現象」により「そのホログラムレリーフに基づくレリーフホログラム再生像」を結像(再生)するものである。
従って、この「レリーフホログラム再生像」を結像する光は、再び、その「鏡面反射層」を透過することとなる。(もちろん、一部は、反射されている。)
このとき、その「ある瞬間に、ある一点で発光し、その一点から広がった、『光』」が、その「光波面(例えば、点光源から発せられた『光』の『光波面』は、『球面波』として進む。)」に対して、「ホログラムレリーフの位相成分」を十分に受け取って進むためには(上記した、いわば『球面波』に『ホログラムレリーフの位相成分』を付与することを意味する。この『付与』を十分に達成し、『レリーフホログラム再生像の鮮明性を確保するため』という意味である。)、「一点から広がった『光』」が、所定の角度範囲内で、十分な強度を持って照明する、「エレクトロルミネッセンス素子層の『最表面』や『界面』等の照明領域」の「大きさ」は、少なくとも、平均周期1μm程度のレリーフの起伏形状に対して、「その起伏数が『数十個以上に及ぶ』大きさ」とすることが必要となる。
このことは、「光学的鏡面」と「エレクトロルミネッセンス素子層の最表面」との距離が、小さ過ぎると、その照明領域が小さくなり過ぎ、その距離が大きすぎると、その照明する強度が不十分となることを意味する。
本発明において、「エレクトロルミネッセンス素子層の発光側が前記ホログラムレリーフに接している」とは、本発明のホログラムシートにおける、エレクトロルミネッセンス素子層が、有機エレクトロルミネッセンスの場合に、例えば、「陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」等の構造であるとき、または、無機エレクトロルミネッセンス素子の場合に、例えば、「透明電極(陽極)/絶縁層/発光層/絶縁層/背面電極(陰極)」等の構造であるとき、それらの陽極側から、発光した光が出ることから、「エレクトロルミネッセンス素子層の発光側」とは、それらの「陽極」を成す「層」の最表面を意味し、
「エレクトロルミネッセンス素子層の発光側が前記ホログラムレリーフに接している」とは、この最表面が、ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層のそのホログラムレリーフに接していることを意味する。
本発明において、「カード基材に、ホログラムシートが埋め込まれ、そのホログラムシートの露出面が、そのカード基材の表面と面一、または、前記カード基材の表面から凹んだ位置にある」とは、本発明の「ホログラムシートそのもの」、すなわち、本発明のホログラムシートを構成する「全ての層」が、「カード基材に埋め込まれて」いて、偽造や変造を意図して、そのホログラムシート全体、もしくは、その一部の層を剥がそうとしても、その断面に爪を入れることができず、結局、それらの層を削り出す他に手段は無く、一旦、削り出してしまうと、もはや、その凹部に、それらの層を復元することが非常に困難であって、それらの貼り替えなどの変造や、偽造を物理的に不可能とするホログラム付きカードを示し、そこで、「本発明のホログラムシートを構成する『全ての層』が、『カード基材に埋め込まれて』いるとは、最終的に、「本発明のホログラムシートの最表面、すなわち、透明基材の「最表面(露出面)」、または、「鏡面反射層」の「最表面(露出面)」が、「カード基材表面と面一、または、カード基材の表面より凹んだ位置になっている」ことをいう。
本発明において、「そのカード基材が、IC駆動用電池を内臓している電池内臓型ICカード基材であり、且つ、そのIC駆動用電池が、本発明のホログラムシートを発光する発光用電源をも兼ねている、本発明のホログラム付きカード」(以下、「本発明のホログラム付きICカード」、もしくは、単に「ホログラム付きICカード」ともいう。)とは、少なくとも、いわゆる「ICカード用セキュアマイクロコンピュータ(略して、セキュアマイコンと称す。)」(このセキュアマイコンを内蔵するカードが、「接触式ICカード」と呼ばれる。)、もしくは、「非接触式ICチップ(TypeB、もしくは、FeliCa〈フェリカ:ソニー(株)の登録商標〉タイプ素子)」(このICチップを内蔵するカードが、「非接触式ICカード」と呼ばれる。以下の説明においては、このICチップを内蔵する「ICタグ」もこの「非接触式ICカード」便宜的に含めることとする。)、及び、それら「セキュアマイコン」や「非接触式ICチップ」を駆動するための電源(すなわち、IC駆動用電池。)として、且つ、本発明のホログラムシートを発光させるための電源として、一次電池、または、二次電池を、そのカード基材の中に「内蔵」することをいう。
これらの「電池」は、「セキュアマイコンまたは非接触式ICチップ等を制御する『制御部』」や、「液晶ディスプレイなどの『表示部』」をさらに含む場合には、それらの「『制御部』」や『表示部』」を駆動するための電源として用いられることは言うまでもない。
さらに、これら「内蔵」する「電池」に加えて、「太陽電池と、その太陽電池で生成された電気エネルギーを蓄電するコンデンサとにより構成される補助電源」を、そのカード基材に含めることも「IC駆動用電池を内臓する」ということの意味に含める。
このことにより、本発明のホログラム付きICカードを使用する者が、このホログラム付きICカードを「外部」に取り出すだけで、太陽電池に光が照射して生成された電気エネルギーがコンデンサに蓄電され、これを安定した補助電源として用いることが可能になる。
また、本発明のホログラムシートを発光させたり、消光させるためのON/OFF切り替えスイッチをも内蔵することができる。
本明細書において、配合を示す「部」は質量基準である。また、「ホログラム」はホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(主なる用途)
本発明のホログラムシート及びホログラム付きカードの主なる用途としては、ホログラムそのものを装飾用として用いる美術・工芸品分野や商業用分野があるが、それにとどまらず、偽造防止分野に使用されるホログラムシート及びホログラム付きカードであって、具体的には、クレジットカード等の偽造されて使用されると、カード保持者やカード会社等に損害を与え得るもの、運転免許証、社員証、会員証等の身分証明書、入学試験用の受験票、パスポート等、紙幣、商品券、ポイントカード、株券、証券、抽選券、馬券、預金通帳、乗車券、通行券、航空券、種々の催事の入場券、遊戯券、交通機関や公衆電話用のプリペイドカード等がある。
これらはいずれも、経済的、もしくは社会的な価値を有する情報を保持した情報記録体であり、偽造による損害を防止する目的で、記録体そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
また、これら情報記録体以外であっても、高額商品、例えば、高級腕時計、高級皮革製品、貴金属製品、もしくは宝飾品等の、しばしば、高級ブランド品と言われるもの、または、それら高額商品の収納箱やケース等も偽造され得るものである。また、量産品でも有名ブランドのもの、例えば、オーディオ製品、電化製品等、または、それらに吊り下げられるタグも、偽造の対象となりやすい。
さらに、著作物である音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、もしくはゲームソフト等が記録された記憶体、またはそれらのケース等も、やはり偽造の対象となり得る。また、プリンター用のトナー、用紙など、交換する備品を純正材料に限定している製品などにも、偽造による損害を防止する目的で、そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
(背景技術)
従来、情報記録体や上記した種々の物品(総称して、真正性識別対象物と言う。)の偽造を防止する目的で、その構造の精密さから、製造上の困難性を有すると言われるホログラムを真正性の識別可能なものとして適用することが多く行なわれている。しかしながら、ホログラムの製造方法自体は知られており、その方法により精密な加工を施すことができることから、ホログラムが単に目視による判定だけのものであるときは、真正なホログラムと偽造されたホログラムとの区別は困難である。
これらの真正性識別対象物、特にラベル形態や転写形態にてホログラム画像を施された物品、特に、IDカード類や、ICカード等は、ホログラム画像の目視確認という真正性識別のみでなく、新たな真正性識別方法を用いてその対象物の真正性を識別する必要が生じている。
(先行技術)
これらの要求に応えるため、ホログラムに積層して、入射した光の内、左回り偏光もしくは、右回り偏光のいずれか一方の光のみを反射する光選択反射層を有するホログラムシートが提案された。(例えば、特許文献1参照。)
この光選択反射層として、コレステリック液晶を使用し、偏光版等を用いて確認する方法で偽造防止性を高めている。
しかしながら、特許文献1の記載にあるように、ホログラム形成層上の反射性薄膜層の反射率が高いため、コレステリック液晶層で反射されず透過した光(選択的反射光の補色光)が、この反射性薄膜層で反射し、再びコレステリック液晶層へ戻る(以下戻り光とする)ことにより、この戻り光が、コレステリック液晶を観察する際のノイズ成分となって、選択的反射光に付加・混在し、液晶本来の色調とならず、視認・識別することすら難しくなっていた。
また、コレステリック液晶材料そのものが高価であり、その液晶性能を引き出すためには液晶層に接して、配向膜の形成が不可欠であって煩雑であり、さらには、コレステリック液晶の光散乱性により、ホログラム画像を再生する光がその液晶層を通過するときに画像にボケ・歪みを生じる等の問題があった。
このため、コレステリック液晶層の光散乱性を抑えたり、コレステリック液晶層そのものを薄くする等の工夫が考えられたが、コレステリック液晶層の光散乱性を抑えるために屈折率差を小さくしたり、コレステリック液晶層を薄くしたりすると、上記した光選択反射層としての機能が低下してしまい、ホログラム画像の鮮明性と偽造防止性能を確保する最適な条件を得ることが難しいという欠点を有していた。
特開2007−90538号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、位相ホログラムのホログラム形成層、すなわちホログラムレリーフに接するようにエレクトロルミネッセンス素子層を設け、電圧を印加したとき、所定の波長で光るホログラムを視認することができる新規なホログラムシート及びこのホログラムシートをカード基材に埋め込んだホログラム付きカードを提供することである。
特に、カード基材として、電池内臓型ICカード基材を用い、しかも、そのIC駆動用電池が、前記ホログラムシートの発光用電源をも兼ねることで、その意匠性や偽造防止性を一層高めたホログラム付きカードを提供する。
上記の課題を解決するために、
本発明のホログラムシートの第1の態様は、
透明基材の一方の面に、鏡面反射層、ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するように、且つ追従するようにエレクトロルミネッセンス素子層が設けられているホログラムシートであって、前記鏡面反射層の前記透明樹脂層と接している面が、光学的鏡面性及び反射性を有していることを特徴とするものである。
上記第1の態様のホログラムシートによれば、
透明基材の一方の面に、鏡面反射層、ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するように、且つ追従するようにエレクトロルミネッセンス素子層が設けられているホログラムシートであって、前記鏡面反射層の前記透明樹脂層と接している面が、光学的鏡面性及び反射性を有していることを特徴とするホログラムシートを提供することができる。
本発明のホログラムシートの第2の態様は、
透明基材の一方の面に鏡面反射層が設けられ、前記透明基材の他方の面に、ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するように、且つ追従するようにエレクトロルミネッセンス素子層が設けられているホログラムシートであって、前記鏡面反射層の前記透明基材と接している面が、光学的鏡面性及び反射性を有していることを特徴とするものである。
上記第2の態様のホログラムシートによれば、
透明基材の一方の面に鏡面反射層が設けられ、前記透明基材の他方の面に、ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するように、且つ追従するようにエレクトロルミネッセンス素子層が設けられているホログラムシートであって、前記鏡面反射層の前記透明基材と接している面が、光学的鏡面性及び反射性を有していることを特徴とするホログラムシートを提供することができる。
本発明のホログラムシートの第3の態様は、
第1または第2の態様において、前記エレクトロルミネッセンス素子層は、その発光側が前記ホログラムレリーフに接していることを特徴とするものである。
上記第3の態様のホログラムシートによれば、
第1または第2の態様において、前記エレクトロルミネッセンス素子層は、その発光側が前記ホログラムレリーフに接していることを特徴とするホログラムシートを提供することができ、より鮮明性に優れるホログラムシートを提供可能とする。
本発明のホログラムシートの第4の態様は、
第1から第3の態様の何れかの態様において、前記エレクトロルミネッセンス素子層の厚さは、0.01μm〜2.0μmであることを特徴とするものである。
上記第4の態様のホログラムシートによれば、
第1から第3の態様の何れかの態様において、前記エレクトロルミネッセンス素子層の厚さは、0.01μm〜2.0μmであることを特徴とするホログラムシートを提供することができ、さらに鮮明性に優れるホログラムシートを提供可能とする。
本発明の第5の態様のホログラム付きカードは、
カード基材に、第1から第4の態様の何れかの態様のホログラムシートが埋め込まれ、前記ホログラムシートの露出面が、前記カード基材の表面と面一、または、前記カード基材の表面から凹んだ位置にあることを特徴とするものである。
上記第5の態様のホログラム付きカードによれば、
カード基材に、第1から第4の態様の何れかの態様のホログラムシートが埋め込まれ、前記ホログラムシートの露出面が、前記カード基材の表面と面一、または、前記カード基材の表面から凹んだ位置にあることを特徴とするホログラム付きカードを提供することができ、その意匠性と偽造防止性に優れるホログラム付きカードを提供することを可能とする。
本発明の第6の態様のホログラム付きカードは、
第5の態様の前記カード基材が、IC駆動用電池を内臓している電池内臓型ICカード基材であり、且つ、前記IC駆動用電池が、前記ホログラムシートの発光用電源をも兼ねていることを特徴とするものである。
上記第6の態様のホログラム付きカードによれば、
第5の態様の前記カード基材が、IC駆動用電池を内臓している電池内臓型ICカード基材であり、且つ、前記IC駆動用電池が、前記ホログラムシートの発光用電源をも兼ねていることを特徴とするホログラム付きカードを提供することができ、その意匠性と偽造防止性に著しく優れるホログラム付きカードを提供することを可能とする。
本発明において、「鏡面反射層」は、その少なくとも「一方の面」、さらには、その「一方の面」と接して設けられている「透明基材」、または、「透明樹脂層」との「界面」が、「光学的鏡面性」と「反射性」を併せ持っている「層」である。この「鏡面反射層」は、単層構成としてもよいし、多層構成としてもよい。
そして、その「一方の面」の平滑性は、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmであって、特に、本発明の「エレクトロルミネッセンス素子層」を発光させた際の「その発光した光」に対して「光学的鏡面性」を持つ。
すなわち、この「一方の面」、すなわち、その「界面」を、一つの三次元曲面と見做したとき、その三次元曲面の『形状』そのものが『光学的鏡面』形状、すなわち、「一つの理想的な『二次元平面』とほぼ一致する形状」となっていることを意味する。
言い換えると、本発明の「鏡面反射層」は、「その一つの理想的な『二次元平面』」から逸脱するような不規則な凹凸の無い「滑らかな面」をなし、且つ、その「鏡面反射層」における、極く小さな面領域(照明光の波長の数十倍の長さに相当する、直径数十μm程度の微小な領域。)における平均表面粗さRaの値が、どの小さな面領域においても0.01μm〜0.1μmとなっている。
そして、この「鏡面反射層」の「光学的鏡面」をなす「面」の上に、その表面の「表面平滑性」を維持した状態(その表面形状に何らの変化も及ぼさないことを意味する。)で、「透明基材」、または、「透明樹脂層」を重ねることとなるが(もちろん、「透明基材」の表面をあらかじめ「光学的鏡面」として、その上に、「鏡面平滑層」を、その表面の「表面平滑性」を維持した状態で、「鏡面反射層」を重ねてもよい。)、その際に、この「鏡面反射層」と、「『透明基材』もしくは『透明樹脂層』」との「界面」も、いわば「光学的鏡面」となる。
このことによって、その「鏡面反射層」の「光学的鏡面」をなす「面」や、上記した「界面」が、「光学的鏡面」となり、その「面」や「界面」での「反射光」や、「透過光」が、その「照明光」の性質である「位相分布」や「強度分布」に対して、「正規の反射や透過によって受ける変化(理論的に想定される変化)」を除き、その「変化」以外の変化、すなわち、「不要なムラ(上記した『微小領域』の、さらに、1/10以下、乃至は、1/100以下という『さらに小さい領域』において、光の進む方向や位相成分が部分的に不規則に変化したり、光の強度に部分的な強弱が付与されることを意味する。)」を発生することなく、すなわち、「『乱れる』ことなく、『反射』したり、『透過』したりする」こととなる。
従って、本発明におけるエレクトロルミネッセンス素子層で発光した「光」は、その近傍にある「鏡面反射層」で「乱れる」ことなく正反射し(もちろん、一部透過し、一部吸収される。)、その「反射光」がエレクトロルミネッセンス素子層のホログラムレリーフ面(ホログラムレリーフ形状となっている。)を「照明」し、その「反射光」が、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層のそのホログラムレリーフ」に対する「照明光」となり、この「照明」によって、このホログラムレリーフに基づくレリーフホログラム再生像が、所定の結像(再生)方向に結像(再生)されることとなる。
特に、本発明のホログラムシートの中のエレクトロルミネッセンス素子層内にある非常に多数の蛍光発光点(エレクトロルミネッセンス素子層を構成する「発光層:以下に詳述する。」の中の一つ一つの蛍光体等、さらには、その蛍光体等の中の「発光位置」そのものをさす。一種の「点光源」となっている。)の中の、ある一つの「発光点」から、ある「瞬間」に発光した「光」が、球面波として、広がりつつ進み、上記した「光学的鏡面」に向かう成分が、その「光学的鏡面」で正反射され、さらにその広がりを維持しつつ(その「光」の「波面」が「球面波」となっているままという意味。)、逆方向に進んで、エレクトロルミネッセンス素子層の「最表面」、さらには、多層形成されているエレクトロルミネッセンス素子層内に存在する「界面」(以下に、詳述する。)、または、エレクトロルミネッセンス素子層の裏面(背面)を照明する「照明光」となって「照明」し、これらの「最表面」、「裏面」及び「界面」(以下、総称して「これらの『面』」とも略す。)で、反射されるときに(「これらの『面』」の間で、反射を繰り返す、「多重反射現象」を含む。「これらの『面』」の間隔調整により、この「多重反射現象」を利用した反射率の著しい向上が可能となる。エレクトロルミネッセンス素子層の「最表面」、「界面」及び「裏面」の少なくともいずれか、もしくは、すべての「これらの『面』」が、ホログラムレリーフ形状を成している。)、もしくは、透過されるときに(「多重反射現象」を含む。「これらの『面』」の上記間隔調整とは異なる間隔調整により、この「多重反射現象」を利用した透過率の著しい向上が可能となる。)、「これらの『面』」のなす「ホログラムレリーフ」形状に基づく「ホログラムレリーフの位相成分」を受け取って進み、その広がった「光」の「干渉現象」により「そのホログラムレリーフに基づくレリーフホログラム再生像」を結像(再生)するものである。
従って、この「レリーフホログラム再生像」を結像(再生)する光は、進む途中で、その「鏡面反射層」を再び透過しているが、この「透過する」ときも、上記した「反射する」ときと同様に、不要なムラを付加することなく「透過する」こととなる。(もちろん、一部は、反射されている。)
このとき、その「ある瞬間に、ある一点で発光し、その一点から広がった、『光』」が、その「光波面(『球面波』として進む波面。)」に対して、「ホログラムレリーフの位相成分」を十分に受け取って進むためには(上記した、いわば『球面波』に『ホログラムレリーフの位相成分』を付与することを意味する。この『付与』を十分に達成し、『レリーフホログラム再生像の鮮明性を確保するため』という意味である。)、「一点から広がった『光』」が、所定の角度範囲内(観測位置から考慮して、±数十度の角度範囲以内。)で、十分な強度を持って、ホログラムレリーフを成している「これらの『面』」を照明することが必須であって、この「照明光」としての「一点から広がった『光』」が、「エレクトロルミネッセンス素子層の『最表面』、『界面』や『背面』を照明する、その『照明領域』」の「大きさ」は、少なくとも、平均周期1μm程度のホログラムレリーフの起伏形状(凹凸形状。)に対して、「その起伏数(凹凸数)が『数十個以上に及ぶ』大きさ」とすることが必要となる。
このことは、「光学的鏡面」と「エレクトロルミネッセンス素子層の最表面」との距離が、小さ過ぎると、その照明領域が小さくなり過ぎ、その距離が大きすぎると、その照明する強度が不十分となることを意味する。
すなわち、「光学的鏡面」と「エレクトロルミネッセンス素子層の最表面」との距離は、25μm〜300μm、特には、50μm〜100μmとする。
この距離が、25μm未満では、上記した「『照明領域』の大きさ」が不十分となり、300μmを超えると、「照明する強度」が不十分となり、レリーフホログラム再生像を目視判定する際に、そのレリーフホログラム再生像の鮮明性(「シャープさ」や「明るさ」)が不足し、その判定の確実性に劣るものとなる。
また、上記した「位相成分の付与」の際に、レリーフホログラム再生像の再生に無関係な「位相の乱れ」等の「不要な『ムラ』」が加えられると、レリーフホログラム再生像の歪みの発生や、ノイズ光の発生を招き、レリーフホログラム再生像の鮮明性を大幅に低下させることとなる。
特に、本発明のホログラムシートに内包する「エレクトロルミネッセンス素子層」を発光させると、まず、巨視的な視点では「シート状光源」と見做すことができる「エレクトロルミネッセンス素子層」の垂直上方(垂直下方にも同様の発光起こるが説明の簡略化のため、「上方」成分のみにつき言及する。)に向けた発光が起こり、その光の指向特性、すなわち、その配光曲線は、例えるならば、垂直方向に主軸を持つ回転楕円体を、そのシートで主軸に垂直に切り取ったような形となる。
すなわち、本発明のホログラムシートを発光させて、垂直上方から観察すると、その「エレクトロルミネッセンス素子層」の特有の発光波長(λ0)の光が、そのホログラムシートの中央領域の輝度が大きく、そのホログラムシートの周辺部分の輝度がなだらかに小さくなっている発光分布で放出(発光)している状態を視認することとなる。
しかも、この光は拡散性であって、その配光曲線は、いわゆる「『拡散性を持つ平板状光源』からの配光曲線」となり、図示しないが、その「平板」に垂直な方向への光度が「I0(カンデラ)」とすると、その垂直方向から斜めに「θ度」だけ傾いた方向での光度は、「I0×COSθ(カンデラ)」となっているというものであって、このような『拡散性を持つ平板状光源』によって照明される対象物上の点(目視観察の場合にはこの位置に観察者の「目」が配置することから「観察位置」ともいう。)における「照度」は、「光の逆二乗の法則」及び「光の入射角余弦の法則(コサイン1剰則)」に従うこととなる。
さらに、この指向特性をより高くした「エレクトロルミネッセンス素子層」(構成する各層の厚さ設定や、材料構成、さらには、印加電圧等により、その指向特性を制御できる。)を用いた場合には、いわゆる「コサイン3剰則」や、「コサイン4剰則」に従って、その「照度」が急激に減衰することとなる。
これらのことは、「平板状光源」を用いた際に、その平板に垂直な方向の光度や、その方向の先にある「観察位置」における「照度」は、比較的“大きい”ものであるものの、その垂直な方向から「傾いた方向(斜め方向)」の光度や、その方向の先にある「観察位置」における照度は、いわゆる「光の入射角余弦の法則」、「コサイン3剰則」、または、「コサイン4剰則」に則って、著しく小さくなっていることを示している。
本発明のホログラムシートは、このような「平板状光源」の、その平板に垂直な方向から「傾いた方向(斜め方向)」の先にある「観察位置」において、そのホログラムレリーフに基づくレリーフホログラム再生像を結像させるものであって、この状況を例えるならば、著しく光度や照度が小さくなった「光の背景」の中に、その光度や照度を比較的維持している「光の像」が浮かんでいるように観察される。
そのホログラムレリーフに基づくレリーフホログラム再生像が結像する状況を、さらに詳述すると、本発明のホログラムシートにおいて、その発光した「光」の一部が、上記した「鏡面反射層」で、その強度や位相成分について不要な歪み(不要な「ムラ」)を、一切、付加することのない「鏡面反射」を生じ、その反射光が、「エレクトロルミネッセンス素子層」の「これらの『面』」を「照明」して、その「これらの『面』」で「ホログラムレリーフの位相成分(位相分布成分ともいう。位相ホログラムであるため、原則として『強度分布を変化させる成分』は持たない。)」を含んで反射され(説明の簡略化のため、「これらの『面』」で主として「反射」される「光」についてのみ言及する。)、所定のレリーフホログラム再生方向(例えば、上記した傾きθとして、θ=45度や60度など、すなわち、ホログラムシート垂直方向に対して45度や60度の角度方向など。)に、レリーフホログラム再生像を再生する。
このときのレリーフホログラム再生像は、上記した拡散光と同一波長(λ0)の「光の像」として視認される。但し、この「光の像」は、上記した拡散光とは異なり、「結像系の『光の像』」であるため(もしくは、減衰し難い「単なる光束(『ビーム』状の『光』という意味。)」とすることも可能。)、所定の観察位置において、十分な輝度、もしくは、十分な照度、すなわち、十分な「明るさ」を持って観察されることから、この観察位置から、「発光した本発明のホログラムシート」を観察すると、上記したような急激に減衰する拡散光としての波長(λ0)で光る「シート状発光面」の中に、比較的「輝度」(「明るさ」)の大きい波長(λ0)の「光の像」を“併せて(もしくは、重ねて)”視認することとなる。
従って、このホログラムシート面から「所定の観察位置」までの「距離」を、大きくすればするほど、その位置における拡散光の「輝度」(もしくは「照度」、または、「明るさ」)と、「光の像」の「輝度」(もしくは「照度」、または、「明るさ」)の「差(『比率』で表してもよい。)」が大きくなる。
また、本発明のホログラムシートは、その最表面がホログラムレリーフ形状となっている「エレクトロルミネッセンス素子層」を、「鏡面反射層」で覆い隠す構成としたことで、その「ホログラムレリーフ形状」の存在、すなわち、この「ホログラムレリーフ形状」が自然光や、商業施設における一般的照明光源である「蛍光灯」などによる「照明」によって、レリーフホログラム再生像が出現してしまうことを阻止することを可能としている。
さらには、所定の電源を用いて(直流電源や交流電源を外部端子でつないだり、あらかじめカード基材に内蔵する電池の、やはり内蔵するスイッチを「ON」にすることなどを意味する。)「エレクトロルミネッセンス素子層」を発光させて「初めて」レリーフホログラム再生像が出現するという、著しく高い偽造防止性を有するホログラムシートとしている。
この「鏡面反射層」が設けられていない構成の「『エレクトロルミネッセンス素子層』を内包する『レリーフホログラム媒体』」に言及すると、このような「レリーフホログラム媒体」では、わざわざ、「エレクトロルミネッセンス素子層」を発光させずとも、上記した自然光や「蛍光灯」などによる「照明」によって、レリーフホログラム再生像が出現してしまっており(秘匿されていないという意味。)、この状態で「エレクトロルミネッセンス素子層」を発光させたとしても、その再生像自体は、「発光」前に見えていた「光の像」と同一の「光の像」であって、何らの意外性もなく、しかも、その再生像の背景までもが明るくなって、かえって、その再生像が判別し難くなるのみである。(但し、この『判別の難しさ』を敢えて偽造防止効果とすることは可能である。)
さらに、本発明のホログラムシートにおいて、その「覆い隠す」効果を高めるため、そのレリーフホログラムの「反射回折効率」(レリーフホログラムが「反射型」として形成され、且つ、そのホログラムレリーフ面における「反射光」によって再生されるレリーフホログラム再生像の再生効率を意味する。この「反射回折効率」の「大きさ、すなわち、『値』」は、「照明光が反射される界面の『界面反射率』」と「レリーフホログラム自体の『回折効率』」との「積」で表される。)を、敢えて小さく抑え、0.1%〜5.0%とする。
レリーフホログラムの「反射回折効率」を、このような小さな値に抑えることで、上記した自然光や「蛍光灯」などによる「照明」によるレリーフホログラム再生像が幽かなものとなり、「鏡面反射層」で覆い隠すことをさらに確実なものとできる。
しかも、商業施設内などでのホログラムシート面の「照度」が、100〜500ルクス程度であって、ホログラムレリーフ面に対する「照度」が、「鏡面反射層」を通過することでさらに小さくなることに対して、「エレクトロルミネッセンス素子層」を発光光源とする波長λ0の照明光による「照度」は、その発光面の近傍にある「鏡面反射層」で鏡面反射されてホログラムレリーフ面に届くため、光源としての発光光度が「蛍光灯」と同レベルであっても、いわゆる「光の入射角余弦の法則」により、上記した「蛍光灯」(距離にして少なくも数m程度、離れていると推察される。)によるホログラムレリーフ面に対する「照度」に比べ、その数百倍〜数千倍となる。
しかも、「レリーフホログラム再生像の再生効率」にはその照明光光源の発光波長に対して、いわゆる「波長依存性が存在する」という原理を利用して、「レリーフホログラム再生像」の「鮮明性(再生像の「シャープさ」及び「明るさ」をさす。)」に対して、「『自然光』照明もしくは『蛍光灯』照明」と、「『エレクトロルミネッセンス素子層』の発光による照明」との間で、さらなる有意差を与えることも可能である。
すなわち、その「『エレクトロルミネッセンス素子層』の発光波長λ0」において最も反射型レリーフホログラム再生像の再生効率が高くなるようにホログラムレリーフを形成しておくことで(ホログラムレリーフのレリーフ深さの調整となる。)、その「波長λ0」そのもので照明したときの、その「レリーフホログラム再生像」の「鮮明性」と、あらゆる可視光波長を比較的均等に含む「自然光」や、「主に3つの波長にピークを有する蛍光灯(3波長管を意味する。商業施設等ではこのタイプの蛍光灯が一般的である。)」などで照明したときの、その「レリーフホログラム再生像」の「鮮明性」との間で、さらなる有意差を与えることができる。
本発明の「鏡面反射層」の一方の面を「光学的鏡面」とするためには、適宜な剥離性フィルム(厚さ50〜250μm、且つ、その表面に剥離性処理を施したもの。)上に、以下に詳述する材料を用いて「鏡面反射層」を形成した後、上記した「光学的鏡面」と同等もしくはそれ以上の「平滑な表面」を有する、「表面平滑化処理を施した厚さ0.1〜5.0mmの金属板、または、ガラス板」を用いて、その「平滑な表面」を「鏡面反射層」のその「一方の面」と接するように重ね、100〜200℃の加熱、及び、1.0〜103MPa(メガパスカル。N/平方ミリメートル)での加圧をする平板プレス処理(プレス状態で、「常温→設定温度までの加熱→設定温度保持→水冷式等による強制冷却→常温」の加熱冷却サイクル<1サイクル30分〜90分>を施す処理。)、もしくは、「同様の表面平滑化処理を施した直径100〜300mmの金属製ロール、または、ガラス製ロール」を用いて、100〜200℃に加熱した各ロール間を、そのロール幅1cmに対して1.0〜100kgの線圧を掛けつつ、1.0〜10m/分の速度でシート搬送させるロールプレス処理により、「鏡面反射層」の露出面を「光学的鏡面」とする。
そして、この「鏡面反射層」の「光学的鏡面」上に、この「光学的鏡面」を乱さないように、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層」を形成する。このとき、その「透明樹脂層」形成に用いられるインキ組成中には、「鏡面反射層」に用いられる樹脂との相溶性が低い樹脂系、及び、「鏡面反射層」の表面を溶解し難い溶剤系を用いるとともに、形成手段も、カーテンコート方式、ロールコート方式、フィルムラミネート方式、フィルム転写方式や、ステンレススクリーン印刷方式を用いる。
さらには、相対する2つの層の表面張力の差を10〜20mN/mとし、且つ、表面張力の小さい層の上に、表面張力の大きい層を形成する手順として、形成時の「濡れ性」を抑制し、形成前の層の「面」、及び、2層間の「界面」の「光学的鏡面」性の維持を促進することも好適である。
その後、この「鏡面反射層」の「光学的鏡面」とした「面」とは、反対の「面」を、その「適宜な剥離性フィルム」を剥離することで、露出させ、透明基材の一方の面に接するようにして、ラミネート、または、転写等の方式をもちいて積層することで、「鏡面反射層」の一方の面の「光学的鏡面」性を維持しつつ、この「鏡面反射層」とその「透明樹脂層」との「界面」をも、「光学的鏡面」とする。
または、この「鏡面反射層」の「光学的鏡面」上に、この「光学的鏡面」を乱さないように、「透明基材」をラミネート等の方式を用いて形成し(この場合は、「透明基材」の表面に予め「光学的鏡面」性を付与しておくことが好ましく、「鏡面反射層」とその「透明基材」との「界面」が、「光学的鏡面」となる。)、その「透明基材」の露出面に、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層」を形成する。
もちろん、適宜な剥離性フィルムの代わりに、本発明の透明基材を用い、その透明基材上に「鏡面反射層」を形成後、上記と同様にして、「鏡面反射層」の露出面を「光学的鏡面」とすることで、「透明基材」、「鏡面反射層」、及び、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層」の3層積層体としてもよい。(この場合は、「鏡面反射層」の「透明樹脂層」側の「面」、及び、「鏡面反射層」と「透明樹脂層」の「界面」が、「光学的鏡面」となる。)
また、本発明の「鏡面反射層」の一方の面を「反射性」とするためには、言い換えれば、「鏡面反射層」と、その「鏡面反射層」の「光学的鏡面」性を持つ「面」と接している「『透明樹脂層』、もしくは、『透明基材』」の「界面」における「反射率」を所望の大きさ(「値」:可視光波長範囲の光に対して、反射率を5〜90%、特には、5〜20%とする。)とするためには、「鏡面反射層」の屈折率n1と、「『透明樹脂層』、もしくは、『透明基材』」のn2を所定の大きさ(「値」)とする必要がある。
このときの「界面」の反射率、すなわち、「『鏡面反射層』の一方の面の『反射性』」は、いわゆる「フレネルの公式」に従い、それぞれの屈折率n1及びn2の値によって定まる。
さらには、「鏡面反射層」を、「透明層」と「透明反射性薄膜層」の2層とし、「透明反射性薄膜層」の最表面(露出面)を「光学的鏡面」とすると、「光学的鏡面」の反射率、そして、上記したようなこの「光学的鏡面」に接して設ける「層」との「界面」の反射率を「樹脂2層間の界面」の反射率より容易に高く設定でき、好適である。
また、「鏡面反射層」の中に、可視光の光を吸収する染料(使用する樹脂に溶解して透明性を維持できる。)や微粒子顔料(使用する樹脂に高度に分散させることで透明性を維持できる。)を5%〜30%添加して、上記した「自然光」や「蛍光灯」の照明下でのレリーフホログラム再生像の再生を抑制することも好適である。
この「透明反射性薄膜層」は、その厚さを、その層を透過する光の波長の1/4、もしくは、それ以下とすると、この光が「透明反射性薄膜層」内で「多重反射現象」を生じる。そして、その多重反射現象を利用して、その「透明反射性薄膜層」を垂直方向に進む光の透過率を抑制し、その垂直方向から傾いた方向へ進む光の透過率を高めたり、または、その逆に、垂直方向に進む光の透過率を高め、その垂直方向から傾いた方向へ進む光の透過率を抑制することもできる。
本発明のホログラムシートに用いる「透明反射性薄膜層」においては、この後者、すなわち、「透明反射性薄膜層」の厚さを、「エレクトロルミネッセンス素子層で発光した『光』」の波長の1/4、もしくは、それ以下として、その「透明反射性薄膜層」を垂直方向に進む光の透過率を高め、その垂直方向から傾いた方向(特に、レリーフホログラム再生像の再生方向)へ進む光の透過率を抑制することで、レリーフホログラム再生像の再生方向に進む「背景」の明るさを抑制し、レリーフホログラム再生像そのもの(この再生像は、「透明反射性薄膜層」を垂直方向に進む光の干渉によって再生される。)の鮮明性を高めることが好適である。
この「鏡面反射層」の厚さ(多層とした場合には、その総厚さ。)は、0.01〜10.0μmとする。
さらに、本発明のホログラムシートにおいては、「エレクトロルミネッセンス素子層」の発光側を透明樹脂層のホログラムレリーフに接する構成とする。
すなわち、本発明のホログラムシートにおける、エレクトロルミネッセンス素子層が、
有機エレクトロルミネッセンスの場合には、「陽極(透明導電層。以下同様。)/発光層/陰極(導電性反射層。以下同様。)」、「陽極/正孔輸送層/発光層/陰極」、「陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、その他、さらに多層化した構造を有し、無機エレクトロルミネッセンス素子の場合には、「分散型」及び「薄膜型」のいずれも、「透明電極(陽極。以下同様。)/絶縁層/発光層/背面電極(陰極。以下同様。)」、または、「透明電極/絶縁層/発光層/絶縁層/背面電極」の構造を有しており、それらの陽極側から、発光した光が出ることから、「エレクトロルミネッセンス素子層の発光側」とは、それらの「陽極」を成す「層」の最表面を意味し、「エレクトロルミネッセンス素子層の発光側が前記ホログラムレリーフに接している」とは、この最表面が、ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層のそのホログラムレリーフ面に接するように設けてある(積層している)ことを意味する。
上記した「エレクトロルミネッセンス素子層」の積層構成においては、「陰極」として、「可視光を全反射する金属層」を配置することを想定し、「発光層」からの「陰極」に向かう「発光」をも、その「陰極」で反射させて、その結果、「発光層」からのほぼ全ての「発光」を「陽極側」から発するように設計しているため、「『陽極側』が『発光側』」と位置付けている。
但し、「陰極」に対して、「陽極」と同様の「透明電極」を使用した場合は、「『陰極側』からも『発光層』からの『発光』を発する」ことを排除するものではない。
本発明のホログラム付きカードは、「カード基材」に、本発明のホログラムシートが埋め込まれ、そのホログラムシートの露出面が、その「カード基材」の表面と面一、または、その「カード基材」の表面から凹んだ位置にある。
一例としては、「厚さ12μmの『透明基材』、厚さ5.0μmの『鏡面反射層』、厚さ10μmの『ホログラムレリーフを有する透明樹脂層』、及び、厚さ5μmの『エレクトロルミネッセンス素子層』からなる、総厚さ32μmのホログラムシート(積層体)」(少なくとも、この「鏡面反射層」の「透明樹脂層」と接している「面」、従って、「鏡面反射層」と「透明樹脂層」との「界面」が「光学的鏡面性及び反射性」を有している。また、この「透明樹脂層」と「エレクトロルミネッセンス素子層」の「界面」が、ホログラムレリーフとなっている。)であって、総厚さ32μm、幅10mm、長さ30mmのストリップ(「小片」という意味。幅10mm×長さ30mm×高さ32μmの非常に薄い直方体状。または、この積層順序を、「鏡面反射層、透明基材、ホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、エレクトロルミネッセンス素子層とした、総厚さ32μmのホログラムシート(積層順序が異なる積層体)からなる、同一形状のストリップ」としても良い。この場合、「鏡面反射層」の「透明基材」に接している「面」、及び、「鏡面反射層」と「透明基材」との「界面」が、「光学的鏡面性及び反射性」を有している。)を、クレジットカードサイズで、厚さ760μmの軟質塩化ビニルシートからなる「カード基材」の表面の中央部に置き、この「カード基材」を、常温→150度→常温の加熱サイクル(1サイクル30分〜90分。)により、且つ、「表面鏡面仕上げステンレス板」に挟んだ平板加圧状態で、1.0MPa(メガパスカル。N/平方ミリメートル)の圧力を掛けつづけて、そのストリップの全厚さを、その760μmの軟質塩化ビニルシート内に埋め込むことをいう。(この際、「エレクトロルミネッセンス素子層」の陽極及び陰極のそれぞれに電圧を付加するための陽極端子〈リード部分をいう。以下同様。〉及び陰極端子を、カード基材表面に露出するように配置しておくことは言うまでもない。また、このホログラムシートの裏面、すなわち、「エレクトロルミネッセンス素子層」の陰極の露出面に、厚さ1μmの接着層を設けておいてもよい。)
ここで、カード基材表面を、触針式表面粗さ計を用いて、埋め込んだ部分の境界領域を測定し、その境界における段差が、1.0μm以下である状態が「面一」となっている状態である。
また、上記のストリップに、さらに、一方の面を剥離性とした10μm厚さのポリエチレンテレフタレートを積層した5層積層体とし、上記と同様にして、カード基材内に埋め込んだ後、そのポリエチレンテレフタレートを剥離することで、そのストリップの最表面が、カード基材表面より、10μmの深さだけ、「凹んだ」状態とすることができる。すなわち、上記した触針式表面粗さ計を用いて、凹んだ部分の段差を測定し、その段差が、10μmである状態が、「カード基材表面から10μm凹んだ」状態である。
この「凹み」は、クレジットカード形状の「カード基材」においては、1.0μm〜30μmとすることが望ましい。この凹みが1.0μm未満であると、凹ませた効果が無くなり、30μmを超えると、この段差の引っ掛かりがスクラッチカードのハンドリングに支障をきたす。
この凹みは、カード基材厚さに対して、1/10以下とし、望ましくは、1/20以下とする。また、凹みのサイズよりもストリップのサイズが小さい場合には、凹みとストリップの間に「隙間」が生じるが、この「隙間の幅」は、その偽造防止性を考慮して、爪先や金属へらを挿入し難い大きさ、すなわち、5.0mm幅以下、望ましくは、1.0mm以下とする。
さらに、上記のストリップをそのカード基材内に埋め込むために、予め、カード基材表面に、深さ35μm、幅11mm、長さ31mmの凹みを設けておき(プラスチック等であれは、その成形加工時に「凹み」を設けても良いし、カード基材表面を切削加工などにより削り込んで、凹みを設けてもよい。)、その凹みに、上記したストリップを入れて固定することも、その製造安定性から好適である。この場合には、上記したような、高温加熱や、高圧プレスの必要がないため、上記のストリップ内の「鏡面反射層」、「透明基材」、「ホログラムレリーフを有する透明樹脂層」、や「エレクトロルミネッセンス素子層」に対する変形や歪みが発生し難く、陽極端子や陰極端子としてのリード部分の破断(断線を意味する。)等を発生させることなく、確実に設けることができるという利点がある。
但し、偽造や変造を防止する観点からは、加熱及び加圧により「カード基材」に埋め込む方式が望ましい。
また、カード基材の形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード状、タグ状(ラベル形状も含む。)、はがき状、伝票状、封筒状、円盤状、楕円体状、球体状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。
その厚さも、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、3.0μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
これらカード基材の代表例としては、いわゆる「プリペイドカード」として用いられているカード基材及び形状や、「プラスチックカード」として用いられているカード基材及び形状、特に、JIS規格やISO規格で定められているものがある。すなわち、その「埋め込み適正」及び「汎用性」(加工汎用性を含む。)から、「JIS規格やISO規格で定められている『プラスチックカード』として用いられているカード基材及び形状」が望ましい。
これらは、既に、全世界に大量に頒布され、普及しているため、そのハンドリングや、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器や、関連グッズ等も既に普及しているため、これらのものへの適用もスムースであって好適である。
そして、本発明のホログラム付きICカードは、「IC駆動用電池を内臓している電池内臓型ICカード基材」を用い、且つ、そのIC駆動用電池が、本発明のホログラムシートを発光する発光用電源をも兼ねている。
すなわち、その「カード基材」には、少なくとも「セキュアマイコン」を内蔵する「接触式ICカード」、もしくは、少なくとも「非接触式ICチップ」を内蔵する「非接触式ICカード」を用いる。
それらの「カード基材」には、接触式ICカードについては、ISO/IEC 7816や、JIS X 6300に準拠したものを用いることができ、また、非接触式ICカードについては、ISO/IEC 14443(通信距離に応じて「密着型」、「近接型」、「近傍型」、または、「遠隔型」の4種類に区別され、さらに近接型は「Type A」、または、「Type B」に分類される。)やJIS X 6321〜6323に準拠したものを用いることができる。これらの「カード基材」は、上記したと同様の理由により好適である。
そして、本発明のホログラム付きICカードは、これらの「カード基材」を用いた上で、さらに、それらの「セキュアマイコン」や「非接触式ICチップ」を駆動する、一次電池、または、二次電池からなる「IC駆動用電池」をも内蔵していて、さらに、その「IC駆動用電池」が、そのICカード基材に埋め込まれたホログラムシートを発光させる発光用電源を兼ねるものである。
また、本発明のホログラム付きICカードは、「セキュアマイコンまたは非接触式ICチップ等を制御する『制御部』」や、「液晶ディスプレイなどの『表示部』」をさらに含むことができ、その場合には、これらの「電池」は、その「『制御部』」や『表示部』」を駆動するための電源として用いられることとなる。
さらに、本発明のホログラム付きICカードは、これら「内蔵」する「電池」に加えて、「太陽電池と、その太陽電池で生成された電気エネルギーを蓄電するコンデンサとにより構成される補助電源」を、その「カード基材」に含めることもできる。
また、「ON/OFF切り替えスイッチ」をも内蔵することができ、この場合には、この「スイッチ」により、本発明のホログラムシートを発光させたり、消光させたりすることが可能となる。
ところで、本発明のホログラムシートは、ホログラム画像を再生する干渉縞や回折格子群が、ホログラムレリーフとして、透明樹脂層面上に略一平面として形成されたものであり、このレリーフに上に、且つ、このレリーフに追従して均一な厚さでエレクトロルミネッセンス素子層が設けられている。
ここで、エレクトロルミネッセンス素子層は、そのレリーフ全面を覆うように設けてもよいし、部分的に覆うように設けてもよい。
ホログラムレリーフは、位相ホログラムとしての位相差を、レリーフ形状に現しているが、この位相差を有するレリーフ形状に追従して(沿って)、薄膜であるエレクトロルミネッセンス素子層が設けられることにより、エレクトロルミネッセンス素子層そのものが、ホログラムレリーフ形状を形作っている(特に、その素子の中で光を発する発光層がそのレリーフ形状を形作っている)。
そして、エレクトロルミネッセンス素子層が発する光が、そのすぐ近傍にある「鏡面反射層」でムラなく反射され、この反射された光(反射光)が、このエレクトロルミネッセンス素子層そのものが形作る、ホログラムレリーフ形状を照明することとなる。
これは、レリーフホログラムを再生する場合に、そのレリーフホログラムを所定の照明光で照明した際に、そのレリーフホログラム面上のあらゆる点(場所)で生じるホイヘンスの2次波に対し、本発明のホログラムシートの場合においては、この2次波に相当するものが、ホログラムレリーフ面に配されたエレクトロルミネッセンス素子層の「最表面」、「界面」及び「背面」での「反射光」であり、この光がその役目を担い、ホログラム画像に対応したホログラムレリーフが有する位相差を含んで発光した光を観察者側に届けるものである。
すなわち、この発光した光が、最終的には(一度、ホログラムレリーフ面での「発光」によって進み、「鏡面反射層」で反射され、そして、ホログラムレリーフ面で、今度は、「反射」された「後」という意味。)、ホログラムレリーフ面上に広がる「空間(その面から垂直方向に、数十波長以上離れた空間。)」において干渉現象を起こし、その結果、所定の方向に所定のホログラム再生像を発現する。
エレクトロルミネッセンスとは、電場のエネルギーによって、蛍光物質等が発光する現象であって、面光源を得ることが可能であり、大別して、有機エレクトロルミネッセンスと、無機エレクトロルミネッセンスとがある。
有機エレクトロルミネッセンスは、電流を流すと発光する性質を有する有機物質を用いた発光現象のことであり、ベースとなる層に有機物質を挟み込んだ構造をしている。
その層間に電流を流すことで、その有機物質の分子が励起され発光する仕組みとなっている。
代表的な層構成は、/陽極(透明導電層)/ホール輸送層/有機物質層/電子輸送層/陰極(導電性反射層)からなり、陽極側から発光した光が出る。
すなわち、薄膜で形成された有機エレクトロルミネッセンス素子は、陰極(陰極層)から電子輸送層を経て有機物質層に到達した電子と、陽極からホール輸送層を経て有機物質層に到達した正孔とを再結合させることにより生じた励起子(エキシトン)によって発光する。
つまり、その再結合の際に発生するエネルギーにより有機物質の分子等を励起し、励起状態から、再び、基底状態へ戻るときに、蛍光(燐光を含む。)発光等が起こる。
蛍光発光の原理は、図1に示すジャブロンスキー図にあるように、その有機物質(複数の物質の複合系を含む。)の分子等の基底状態(S0:一重項状態)からエネルギー吸収によって第一(S1)、第二(S2)、第三励起状態(S3)・・・のどれかの振動状態に励起された有機物質の分子等が、無放射過程で非常に速やかに緩和してS1の電子励起状態に移るか、あるいは項間交差によって三重項状態(T1、T2)へ移る。
S1の最低振動状態になった蛍光体は、無放射過程によるか蛍光を発して基底状態に戻り、三重項状態になった分子は、無放射過程によるか、燐光を発して基底状態に戻る。
そして、励起しても光に上手く利用できないエネルギーは無放射失活(熱失活)する。
また、一重項同士の遷移は瞬間的に起こるため、蛍光の半減期は10-4sec以下と短いものである。遷移に要する時間は、10-15secで励起が起こり、その後10-9〜10-7secで蛍光発光が起こるとされている。
一方、三重項から一重項への遷移はスピン変化禁止により禁制遷移となり自発的放出が起こりにくいので、燐光の半減期は大きく、秒単位のものもある。
基底状態に戻る際に光を発するか否か、光の強度が強いか弱いか、蛍光寿命が長いか短いかは、その有機物質の分子等の分子構造や分子等の置かれた環境に大きく依存する。
有機物質の分子等の放出光の波長分布を発光スペクトルといい、発光スペクトルは発光の波長に対し相対的な発光強度をプロットして作成される。発光スペクトルに示される波長(エネルギー)は一次励起状態の最低振動エネルギー準位から基底状態の優先的な振動エネルギー準位までのエネルギー差と等しくなる。
無機エレクトロルミネッセンスとは、物質に電界を印加したときに発光する物理現象であり、その機構は、固体である無機化合物の蛍光体(発光層)に電圧を印加するとその固体内にあらかじめ存在する電子、あるいは電極から注入された電子が高電界によって加速され、発光中心に衝突してこれを励起し、そのとき生じた電子と正孔が再結合することによって発光するというものである。外部から電流によって注入された電子と正孔の再結合によって発光する有機ELとは、励起の点で異なる。
すなわち、薄膜で形成された無機エレクトロルミネッセンス素子は、二重絶縁構造を有しており、この構造に電界を印加することにより発光が起こる。
発光層の構成形態から「分散型」と「薄膜型」の2種類に分けられ、分散型は、強誘電体粉末を有機バインダーに分散させた絶縁層と蛍光体粉末を有機バインダーに分散させた発光層とを積層させて、透明電極と背面電極で挟んだ構造であり、その代表的な構成は、/透明電極/絶縁層/発光層/背面電極/、若しくは、/透明電極/絶縁層/発光層/絶縁層/背面電極/である。
薄膜型は、薄膜電極付き基板上に薄膜蛍光体からなる発光層と絶縁層を積層させ、電極を付けた構造であって、スパッタリング法や真空蒸着法等の薄膜形成方法を用いて層を形成する。その代表的な構成は、分散型と同様である。
いずれも、透明電極側から、発光した光が出る。
本発明は、従来のホログラムの再生方法、すなわち、ホログラムに、遠く離れた照明光源からの照明光を当て、ホログラムレリーフ面での反射光の干渉現象によって、その照明光の波長のホログラムを再生するもの、とは異なり、電圧を印加することによって、エレクトロルミネッセンス素子が発光し、その発光した光そのものが、最終的に、上記の干渉現象を生じて、その発光した光の波長におけるホログラムを再生するものである。従って、回折角度も、その発光した光の波長に依存する。
例えば、透明でほとんど何も見えない空間(レーザー再生ホログラム等のようにその再生に単波長光を必要とするものは、白色光光源では視認できない。また、白色光再生に適するレインボーホログラムであっても、ホログラフレリーフ面の界面反射強度が小さい場合にも、やはり視認しにくくなる。)に、電圧印加によって初めて、例えば「緑色」のホログラムを視認することもできるため、観察者の目には、あたかも、再生に用いられる「緑色の照明光源」の無いところに、ホログラムだけが光輝き、空中に浮いているように見え、意匠性にも優れるものとなる。
特に、ホログラムレリーフ面を「鏡面反射層」が覆っていることからこの効果がさらに強調されている。
さらに、ホログラムを再生可能な電源端子用のリード部分(陽極端子と、陰極端子用のリード部分。複数設けてもよいし、ダミー端子を設けることで、その偽造防止性を高めることが出来る。)がどの部分に形成されているか判別しにくくして、その構造を知りうる者のみがホログラム再生を果たすことができるよう設け、真正性判定用にさらに有用なものとすることができる。
また、上記した、発光した光の波長を知りうる者のみがホログラム再生像の色調を予測でき、その再生波長に調整したバンドパスフィルターを通して覗いて、そのバンドパスフィルターを通過できるホログラムのみが、真正であると判定することもできる。
また、このバンドパスフィルターを通過する角度(回折角度)も、その発光波長に依存し、やはり、その値を知りうる者のみがその所定の角度で判定を行うことができる。
さらに、薄膜で形成されたエレクトロルミネッセンス素子を複数含めることにより、この再生像は複数の角度に異なる色調で現れることになり、意匠性の面でも、真正性判定の面でもより優れたものとすることができる。
もちろん、エレクトロルミネッセンス素子は、その印加する電圧により、発光スペクトルが大きく異なり、また個々の素子独特の発光特性を有するため、真正性判定に使用する印加電圧(電圧強度や、周波数等。)を知りえない偽造者が、真正品と全く同一のホログラムシートを作製しようとしても、物理的に不可能と言える。
有機エレクトロルミネッセンス素子の構造は、具体的には、発光層となる有機薄膜を陰極と陽極で挟んだ単層構造のものや、陽極と発光層との間に正孔輸送層を有する構造のもの、陰極と発光層との間に電子輸送層を有するもの、発光層部分を電子輸送層、発光層、正孔輸送層の3層構造とするもの、さらには必要に応じて多層化した構造のもの等を用いることができる。
これらの陽極と陰極で挟んだ層は、すべて有機薄膜(固体)で構成されており、各層の厚さは、10〜100nmである。
10nm未満では、各層の機能を十分発揮できず、また、100nmあれば、各層の機能を達成するためには十分であり、それより厚くすることによる不要なレリーフ追従性低下を避けるため、100nm以下とする。
発光層は、主材料(ホスト材料)と不純物材料(ドーパント材料:発光強度向上等の機能向上のために添加される。)との2成分系であり、発光する不純物材料は、0.1〜30%添加で主材料中に均一に分散されている。
0.1%以下では、発光性が不十分であり、30%を超えると、その不純物性(特異点としての存在性)が薄れ、かえって発光性が低下し始める。
陽極には、透明導電性薄膜と称される、透明性と導電性をあわせもつITO薄膜(インジウム・スズ酸化物薄膜)、錫ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫、フッ素ドープ酸化錫、酸化亜鉛などの金属酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどの共役系高分子などが挙げられる。
形成方法は、薄膜形成方法、すなわち、スパッタリング法や、真空蒸着法等を用いて、厚さ50〜500nmで形成する。以上の配慮から、透明導電性薄膜の表面抵抗値は、0.001Ω/□〜0.1Ω/□とする。
形成方法として、印刷法等も用いることが可能であるが、ホログラムレリーフに接して、且つ、追従して設ける必要があり、この層がレリーフ形状を維持し、次の薄膜層にもそのレリーフ形状を与えるためには、この層の膜厚さが、薄く且つ高度に均一である必要があり、上記した薄膜形成方法が望ましい。
ホログラムレリーフのレリーフ形状の凹凸は、0.01μm〜1μmと微細であり、その周期も0.01μm〜1μmと、非常に微細でなだらかな変化を有しているが、このなだらかな変化を忠実に再現できないと、再生されるホログラムの像を正確に、且つ、明るく再現することができない。
従って、上記した「ホログラムレリーフへの追従性」は、多層構造となる、エレクトロルミネッセンス素子の発光層及び、発光層から光が放出される透明導電性薄膜層の膜厚さ及び、その均一性が、より薄く、且つ、より均一であることが要求されることを意味する。
すなわち、ホログラムレリーフ面と、発光層との間に、多層が介在しても、発光層の発光面のレリーフ形状が、そのホログラムレリーフのレリーフ形状と同一乃至はほぼ同一となることが重要である。ほぼ同一とは、レリーフ形状の凹凸の再現性が、90%以上、さらには、95%以上であることが望ましい。
これは、一つの凹凸の再現性であると同時に、ホログラムを再生する領域全体の再現性を示す指標である。
この再現性は、例えば、2つの3次元曲線の比較において、元の3次元曲線の凹凸領域の体積に対して、もう一つの3次元曲線との差分領域の体積が、その10%以内、さらには、5%以内にあることを意味する。これは、一つの凹凸の再現性であると同時に、ホログラムを再生する領域全体の再現性を示す指標である。簡易的な評価として、レリーフ断面同士を2次曲線で比較する方法を用いることも好適である。
以上を配慮して、その膜厚さは、50nm未満では、その導電性が不十分であり、500nmを超えると、ホログラムレリーフへの追従性が劣化する。さらに、ホログラムレリーフに接して設けた場合に、その加熱負荷により、ホログラムレリーフ形状を保持している透明樹脂の劣化、すなわち、ホログラムレリーフ形状の変形(劣化)を起こす。
陰極には、アルミニウム、金、銀、白金、銅、鉄、銀・マグネシウム合金等の金属薄膜や、グラファイトなどを厚さ、50〜500nmで形成する。
50nm未満では、その導電性が不十分であり、500nmを超えると、やはり、ホログラムレリーフへの追従性が劣化する。さらに、ホログラムレリーフに接して設けていなくても、その薄膜形成時の加熱負荷により、この場合であっても、ホログラムレリーフ形状を保持している透明樹脂の劣化、すなわち、ホログラムレリーフ形状の変形(劣化)を起こし易くなる。
金属薄膜はその反射性が高いことから、エレクトロルミネッセンス発光の効率を向上する効果を持つ。もちろん、この金属薄膜に網点状等の穴を設け、透明性を付加することもできるし、金属薄膜の代わりに、透明導電性薄膜を陽極と同様に形成してもよい。
発光層である有機薄膜には、低分子系と高分子系とを用いることができる。
低分子系には、正孔輸送材料として、TPAC(1,1−ビス[4-[N,N―ジ(p−トリル)アミノ]フェニル]シクロヘキサン)、TPD(N,N´―ジフェニル−N,N´―ジ(m―トリル)ベンジジン)、CuPc(フタロシアニン銅)、α―NPD(4,4´―ビス[フェニル(1−ナフチル)アミノ]−1,1´ビフェニール等、
電子輸送材料として、BND(2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4− オキサジアゾール)、PBD(2−(ターシャリー−ブチルフェニル)―5― (4−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、Butyl−PBD(2−ビフェニル−5−(パラ−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、TAZ(1−フェニル−2−ビフェニル−5−パラ−tert−ブチルフェニル−1,3,4−トリアゾール)、Alq3(トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)、Beq2(ビス(8−ヒドロキシ−キノリノ)ベリリウム)、Zn(BOZ)2(亜鉛−ビス−ベンゾキサゾール)、Zn(BTZ)2(亜鉛−ビス−ベンゾチアゾール)、Eu(DBM)3(Phen)(トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオノ)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III))等、
発光層材料として、ZnPBO(ビス[2−(2−ベンゾキサゾリル)フェノラト]亜鉛)等、
ドーピング色素材料として、Coumarin6(3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)コーマリン、QN−(N,N´−ジメチルキナクリドン)、ナイルレッド、ベリレンラブレン、TBP(1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン)キナクリドン等、その他、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(4−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール、4,4'−ビス(9−カルバゾリル)ビフェニル等を用いることができる。
これらの低分子系材料は、真空蒸着法、CVD法(化学蒸着法)等の薄膜形成法により設けることができる。
高分子系には、
発光層材料として、PPV(ポリパラフェニレンビニレン)系、PAT(ポリチオフェン)系、PF(ポリフルオレン)系、PPP系(ポリパラフェニレン)等、
正孔層材料として、PEDOT(ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン)+PSS(ポリスチレンスルホン酸:ドーパント)共重合体、PEDOT+PVS(ポリビニルスルホン酸)共重合体、ポリアニリン+PSS共重合体、ポリピロール+PSS共重合体等、を用いることができる。
これらの高分子系材料は、各種のコーティング法、印刷法により設けることことができる。印加直流電圧は、1〜10Vである。
無機エレクトロルミネッセンス素子の構造は、基本構造として、透明電極、絶縁層、発光層、背面電極を積層したものであり、発光は、発光層である蛍光体膜から出る。蛍光体は、薄膜型の場合、誘電性のある母体材料に、発光中心となる微量の添加不純物を混ぜたもので、エネルギーを受けることで、その発光中心物質の外殻軌道または高い順位に移動(励起)した、発光中心物質の持つ電子が、元の順位に戻る(遷移)ときに、発光を生じる。
発光層である蛍光体の膜を、絶縁層である誘電体で挟み込み、その両端に電極を配した構造は、コンデンサを3個直列に接続した回路と考えることができ、ここに、交流電圧をかけると、誘電体と蛍光体の中で分極が生じ、印加電圧を上げ、蛍光体の膜にかかる電界が、100MV/m以上となると、発光中心が電界で加速された電子等の衝突のエネルギーを受け取り、励起されるようになる。
発光層としては、母体にZnSや、SrSなどのII族硫化物を用い、発光中心にMnや希土類を添加したもの、母体にBaAL24(バリウム・アルミニウム複合硫化物)を用い、発光中心にEuを添加したもの、等が用いられる。
発光層には、周期表の第2族元素と第16族元素とから成る群から選ばれる少なくとも1種の元素及び/又は周期表の第13族元素と第15族元素とから成る群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含む半導体を好ましく用いることができる。
そのキャリア密度は、1017/cm3以下であることが好ましい。
発光層を形成する物質の具体例をさらに挙げると、CdS,CdSe,CdTe,ZnSe,ZnTe,CaS,MgS,GaP,GaAs,GaN,InP,InAs及びそれらの混晶などが挙げられるが、ZnSe,CaSなどを好ましく用いることができる。
さらに、BaAl2S4、CaGa2S4、Ga2O3、Zn2SiO4、Zn2GaO4、ZnGa2O4,ZnGeO3,ZnGeO4,ZnAl2O4,CaGa2O4,CaGeO3,Ca2Ge2O7,CaO,Ga2O3,GeO2,SrAl2O4,SrGa2O4,SrP2O7,MgGa2O4,Mg2GeO4,MgGeO3,BaAl2O4,Ga2Ge2O7,BeGa2O4,Y2SiO5,Y2GeO5,Y2Ge2O7,Y4GeO8,Y2O3、Y2O2S,SnO2及びそれらの混晶などを好ましく用いることができる。
キャリア密度等は、一般に用いられるホール効果測定法などで求めることができる。
絶縁層である誘電体膜としては、金属酸化物、窒化物が用いられる。BaTiO3などのペロブスカイト系酸化物は高い誘電率を持ち好適である。
酸化物に含むことができる元素としては、周期表の第2族、3族、9族、12族(旧2B族(旧IIb族))、13族(旧3B族(旧III族))、14族(旧4B族(旧IV族))、第15族、第16族の元素が好ましく、第12族、第13族及び第14族の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含むことがより好ましい。具体的にはGa、In、Sn、Zn、Al、Sc、Y、La、Si、Ge、Mg、Ca、Sr、Rh、Ir等を挙げることができ、より好ましくは、Ga,In,Sn,Zn,Si,Ge等である。またこれらの元素以外に透明半導体が、S、Se、Te等のカルコゲナイドやCu、Ag等を好ましく含むことができる。
絶縁層と発光層の層厚さは、0.1μm〜2μmとする。もちろん、2μmを超えて10μm程度の厚さとすることで、発光の性能をより向上させることができるが、ホログラムレリーフの追従性の面で、2μmが限界である。
透明電極、背面電極は、有機エレクトロルミネッセンス素子と同様に、ITOや、金属薄膜が好適に持ちいられる。
異なる発光色の蛍光体膜を交互に並置して、多色とすることもできるが、輝度の高い1色の発光体膜の上に、色変換材料(クマリン系:クマリン6、ローダミン系:ローダミン6G、ローダミンB等の蛍光色素の混合物や、2種以上のベンゾ−α−ビロン骨格を持つ蛍光色素の混合物等、波長350nm〜600nmの光を吸収して、波長600nm以上の可視領域に発光極大を有する光を放出する等。)を重ねて多色とすることも好適である。
印加電圧としては、100V、且つ、50〜1000Hzの交流電源等を用いることができる。
次に、ホログラフィの原理について説明する。
物体がコヒーレント光で照明され,物体から回折された光が記録媒体(フォトレジスト等。)を照明しているとした場合、物体から回折されて記録面に到達した波面を物体波は、
F(x,y)=A(x,y)EXP[φ(x,y)]
であらわされる。ここで、
A(x,y) は物体波の振幅分布とし、
φ(x,y) は位相分布とする。
このとき、記録媒体には、記録媒体に到達する光波の強度分布が記録される。その強度分布は、
I(x,y)=|F(x,y)|2=A2(x,y) (1)
となり、位相分布は記録されない。
ここで,物体波にこれと干渉性のある光波(参照波という)を重ね合わせると,記録される光波の強度分布は、
I(x,y)=|F(x,y)+R(x,y)|2
=|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+F(x,y)R*(x,y)+F*(x,y)R(x,y) (2)
となる.(*は複素共役項を表す。)
ただし,参照光が記録面に角度θで入射する平面波であるとすれば、
R(x,y)=r(x,y)EXP(2πiαx) (3)
と書け、
α = SIN(θ)/λ (4)
である。(2)の第1項と第2項はそれぞれ、物体波の強度と参照波の強度でいずれも位相情報は欠落している。第3項と第4項は干渉の項でそれぞれ
F(x,y)R*(x,y)=
A(x,y)r(x,y)EXP[i [φ(x,y)−2παx] ] (5)
F*(x,y)R(x,y)=
A(x,y)r(x,y)EXP[−i [φ(x,y)−2παx]] (6)
とあらわされ、物体の位相項 φ(x,y) が残っている。(5)、(6)は互いに複素共役であり、(4.2)の第3項は物体の複素振幅分布を含んでいる。(5)、(6)を(2)に代入すると、
I(x,y)=|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+2A(x,y)r(x,y)COS [2παx−φ(x,y)] (7)
となる.物体波と参照波が干渉して干渉縞を形成していることがわかる。
このように、物体波に参照波を重ね合わせて干渉記録し、 物体の位相情報を欠落させずに記録する方法がホログラフィである。(7)を記録したものが「ホログラム」と呼ばれる。ホログラムの振幅透過率もしくは振幅反射率が、記録した強度分布 I(x,y)
比例し、
T(x,y)=τI(x,y) (8)
とかけるとする。このホログラムに、記録したときに用いた参照波を所定の角度であてると、ホログラムを透過もしくは反射してきた波面は、
T(x,y)R(x,y)=τ(|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+τF(x,y)|R(x,y)|2
+τF*(x,y)R2(x,y) (9)
とあらわすことが出来る.この第2項は
τF(x,y)|R(x,y)|2
τA(x,y)r2(x,y)EXP[iφ(x,y)]] (10)
第3項は、
τF*(x,y)R2(x,y)=
τA(x,y)r2(x,y)EXP[−iφ(x,y)+2πiα] (11)
とかける。
このことから、(9)の第1項は、照明光と同じ方向にホログラムを突き抜ける光束もしくは正反射する光束であり、第2項は、(10)より、物体光に比例した振幅を持つ光波であることがわかり、第3項は、(11)より、物体波と共役な位相分布を持ち、2θの方向に伝播する光波であることがわかる。
このようにして,ホログラフィの技術を使うと複素振幅分布を記録して再生することが出来る。
本発明の場合は、ホログラムの振幅透過率もしくは振幅反射率が、記録した強度分布に比例し、(8)の式で表されてはいるものの、このホログラムに、記録したときに用いた参照波を所定の角度であてるのではなく、(8)の振幅透過率もしくは振幅反射率と同様の空間的な分布を持つ発光波(一種の球面波である)が近傍の鏡面反射面(ミラー面)で反射され、参照波となって、このホログラムにあてられることになる。
従って、参照光にホログラムに記録された位相項を付与するという従来のホログラム再生の原理によらず、ホログラムそのものが、散乱型発光光源となり、ホログラムから発光した光が、再度、自分自身を照明することにより、その反射光が、既にホログラムに記録されている位相項を保持して放射するものである。
時間的且つ空間的コヒーレンス性を完全には持たない放射光同士の干渉効果は、レーザー光のような十分な干渉を生じないが、低コヒーレント光で ホログラムを照明した際と同様のレベルでホログラム再生が行われる。
以上のような原理による再生であるため、ホログラム撮影時の参照光は平行光であることが好ましく(複雑な参照光を再現できないため。)、もしくは、「回折格子により表現されたホログラム」(回折格子は、物体光、参照光とも平行光である。)であることが好ましく、回折格子は計算機ホログラム等、電子線描画により形成したものが精密であり、好適である。
さらに、上記の理由から、ホログラム再生像をより鮮明にするためには、放射光に対して、時間的若しくは空間的なコヒーレンス性に関する特性を付与することも好適であり、例えば、発光体の発光する部分の厚さ(放射方向の距離)を薄いものとして、発光点の厚さ方向におけるばらつきを小さいものとしたり、発光層その他の層を均一(層厚さを均一にしたり、均一分散や、均一組成とするなど、層内のムラをなくすこと。)にして、発光スペクトルのばらつきや、発光スペクトルの幅を小さいものとすることが望ましい。
また、ホログラムを光学的に記録する際に使用する光の主波長や、回折格子等を形成する際に想定する回折光の主波長と、エレクトロルミネッセンス素子からの発光波長を同一、乃至はほぼ同一とすることで、より鮮明なホログラム再生像を得ることができる。
さらには、発光した光が通過する透明導電性薄膜、絶縁層、正孔輸送層等の透明な層での光の多重反射を考慮して、「発光波長を持った『通過する光』」の強度が最大となるように、各層の屈折率と厚さを設定することが好ましい。
もちろん、偽造防止性を高めるために、敢えて、発光する波長を記録形成時の波長と異ならせることも好適である。その場合は、波長が異なることによる、ホログラム再生像の変形や、回折角度の変化を予想し、あらかじめ確認しておくことが必須となる。
さらに、エレクトロルミネッセンス素子形成領域の部分的なばらつき、すなわち、形成場所による発光波長や、発光強度のばらつきは、ホログラム再生像の品質を劣化させるため、発光層の均一性は重要となる。
少なくとも、発光波長のピーク値の部分的なばらつき(ある1mm径のスポット領域と、それに隣接する1mm径のスポット領域との差など。)や半値幅のばらつきは、30nm以内、発光強度ばらつきは10%以内であることが好適である。発光波長のピーク値や、半値幅のバラツキが30nmを超えると、ホログラム再生像の再生位置のばらつきが発生し、ホログラム再生像がボケて不鮮明となる。また、発光強度のばらつきが10%を超えると、光の干渉にもばらつきが発生し、結果的に不鮮明な再生となる。
また、エレクトロルミネッセンス素子を多数の微細なスポット(例えば、網点状等)として、離散させて設けた場合(発光層のみを網点状とする等、素子全体を離散的に設けても良いし、単層乃至は複数の層のみを離散的に設けても良い。)には、発光量が減少し、全体的な明るさは低下するものの、個々のスポットに隣接する領域から発光した光がでないため、不要な干渉を低減させることができ、ホログラム再生像のシャープさが増し、好適である。
但し、このスポットの大きさや、発光層等の厚さが、ホログラムレリーフとは無関係にそのホログラム面上に離散的に形成されている場合には、その大きさ分布や、厚さ分布に起因する蛍光発光強度分布が、場合によっては、ホログラムを再生する光と不要な干渉を生じ、若しくは、あるべき干渉を撹乱し、ホログラム再生像を不鮮明にする要因となり得る。
この要因を排除するため、発光層を、連続して形成する場合、及び、離散的に形成する場合においても、ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さ、そして、均一な分布で形成して、ホログラムレリーフ面のどの領域からも、同一の強度の発光が生じるようにし、ホログラム再生像の鮮明化を図ることができる。
本発明のホログラムシートは、室内照明光や、自然光照明下では、ホログラム再生像が認識できず、電圧を印加した時のみ、突然ホログラム再生像が出現し、まったく照明光のないところに、ホログラム再生像が浮き上がっているように観察される。
但し、陰極の金属層が高い反射性を有しているため、この層の反射により、ホログラム再生像が視認できる場合が生じる。そこで、陰極そのものも透明性を有する層としたり、陰極層のみホログラムレリーフに追従させないように陰極層に接している層の厚さを制御、若しくは、ばらつかせて、さらには、敢えて平坦化して(鏡面となる。)、室内照明光や、自然光照明下では、ホログラム再生像を全く認識できないようにすることも偽造防止性の向上や、意外性という意味での意匠性の向上に寄与する。
本発明のホログラムシートのホログラム再生像は、空間的なホログラムの位相を含んではいるとはいえ、その発光した光同士の時間的及び空間的なコヒーレント性は小さく、このホログラム再生像は通常のレーザー再生レリーフホログラムの再生像より比較的微弱であって、且つ、比較的不鮮明となっている。
もちろん、「ビーム形状(レーザービームのような形状)」の回折光を観察するのみであれば、その色調と回折方向を確認することは容易であり、そのままでも真正性の判定に差し支えないものの、この比較的微弱、且つ、比較的不鮮明なホログラム再生像を観察者が認識しその存在を正確に判定可能とするために、発光体の発光性能を向上させ、且つ、回折角度を大きくとって波長―回折角依存性を強め、0次回折光の角度と発光の回折角度の差を大きくし、さらには、発光層を薄くして、発光層の厚さ方向のばらつきを抑えて、均一なものとすることが必要となる。
さらには、時間的なコヒーレント性をより強く発現するため、電圧の印加をパルス状とし、パルスとパルスの時間的間隔を蛍光等の発光時間である10-7sec以上あけて照明することも好適である。これにより、一つの印加パルスによって生じた一つの蛍光の発光面が、次の印加パルスによって生じた蛍光の発光面とは、互いに撹乱現象を起こさず、一つのパルスによって発現した一つの蛍光発光面によって生じるホログラフィックな干渉現象により、鮮明なホログラム再生像を観察することができるようになる。もちろん、単純に秒単位でON−OFFする電圧印加手法(手動でも可能なレベル。)を使用した場合でも、観察者には、連続して発光しているようにも見えるため、このような簡易な手段であっても目視で確認する場合には、上記した効果を十分得ることができる。
本発明のホログラムシートにおいて、エレクトロルミネッセンス素子層の発光側、すなわち、発光層、正孔輸送層と、透明導電性薄膜の積層や、発光層、絶縁層と、透明導電性薄膜の積層等における、透明導電性薄膜の最表面が、ホログラム形成層のホログラムレリーフに接し、且つ追従している場合には、透明導電性薄膜の最表面を通過した発光が、ホログラム形成層と透明基材を通過して、観察者側にその発光した光の波長におけるホログラム再生像を再生する。
この場合には、ホログラム形成層、透明導電性薄膜、及び発光層等の屈折率差を小さくしたり、その分布を制御することで、各層の界面での不要な反射を抑制することができ、エレクトロルミネッセンス素子に電圧を印加する前の視認性を抑制可能であって、より意匠性を高いものとすることができる。
さらには、発光層の表面からホログラム形成層のホログラムレリーフ面までの距離(その間の各層の層厚さ)を極力小さいものとすることで、発光層表面のレリーフ形状のホログラムレリーフに対する追従性を高いものとすることができる。これにより、より鮮明なホログラム再生像を得ることができる。
また、陰極層を金属反射面として、全体の発光強度を増すことが可能である。
さらに、エレクトロルミネッセンス素子層を、レリーフ形状に、接するように、且つ追従するように設ける際に、ホログラム再生像をより鮮明にするためには、エレクトロルミネッセンス素子層の厚さは、すなわち、素子全体の厚さは、薄く形成することが好適であり、ホログラムレリーフの凹凸の深さや、ピッチの大きさに対して、同じレベルとすることが望ましく、0.01μm〜2.0μmであることが好ましい。
この厚さが、0.01μm、すなわち、10nm未満であれば、素子としての性能が不十分であり、2.0μmを超えると、ホログラムレリーフの追従性が低下し、いずれにしても鮮明なホロググラム再生像を得ることはできない。
本発明のホログラムシートによれば、透明基材の一方の面に、鏡面反射層、ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、そのホログラムレリーフに接するように、且つ追従するようにエレクトロルミネッセンス素子層が設けられていることを特徴とするホログラムシート、または、透明基材の一方の面に鏡面反射層が設けられ、その透明基材の他方の面に、ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、そのホログラムレリーフに接するように、且つ追従するようにエレクトロルミネッセンス素子層が設けられていることを特徴とするホログラムシートが提供され、電圧印加によりエレクトロルミネッセンス素子層が発光し、その発光波長によるホログラム再生像を持つ、意匠性及び真正性判定性に優れるホログラムシート、及び、これらのホログラムシートをカード基材に埋め込んだ、偽造防止性に優れるホログラム付きカードが提供される。
特に、カード基材として、電池内臓型ICカード基材を用い、しかも、そのIC駆動用電池が、そのホログラムシート発光用の電源をも兼ねることで、その意匠性や偽造防止性を一層高めたホログラム付きカードが提供される。
は、ジャブロンスキー図である。 は、本発明の一実施例を示すホログラムシートAの断面図である。
(エレクトロルミネッセンス素子層〈1層で表わしている。〉が、「ホログラム レリーフを形成する凹凸に接するように、且つ追従して形成されている」例で ある。)
は、本発明の他の実施例を示すホログラムシートA´の断面図である。 は、本発明の一実施例を判定するプロセスである。 は、本発明のホログラムシートAをカード基材C0に埋め込み、ホログラムシート Aの露出面が、カード基材C0の表面と面一とした、ホログラム付きカードC1 の図である。ここで、ホログラムシートA(「ホログラムシートA」そのものの 表示はせず、「ホログラムシートA」を構成する層を個々に表示してある。)を 、カード基材C0の所定の位置に、カード基材C0の表面とホログラムシートA の最表面(透明基材1の露出面)が「面一」となるように埋め込んでいる。 は、本発明のホログラムシートAをカード基材IC0(電池内臓型ICカード基 材。)に埋め込んである、ホログラム付きカードC2の図である。ここで、カー ド基材IC0は、接触式ICカードであって、その構成を詳細に図示している。 また、ホログラムシートAは、そのカード基材IC0に埋め込まれると同時に、 セキュアマイコンIC1駆動用の内蔵電池IC2(IC駆動用電池。「ホログラ ムシート発光用電源」をも兼ねている。)から、発光用の電力を供給されており (リード線を表示。)、且つ、ホログラムシートAの露出面が、カード基材IC 0の表面と面一となっている(この「面一」の状態は図示せず。)。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(透明基材)本発明で使用される透明基材1は、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、ホログラムシートA、または、A´を製造する際の加工に耐える耐溶剤性および耐熱性を有するものが好ましい。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。(図2及び図3参照。)
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
その中でも、紫外線等の励起光に対する耐性を有するもの、例えば、紫外線吸収剤を含むものであってもよい。紫外線吸収剤を含むものは、自然光等の中に含まれる紫外線により微かではあるが、予定外のホログラム再生を防ぐ効果も有する。
透明基材1の厚さは、通常5〜200μmであるが、ホログラム再生像の視認性を配慮する場合には、5〜50μm(ホログラムシートAの構成の場合。)、または、150〜200μm(ホログラムシートA´の構成の場合。)とすることが望ましい。
(ホログラムレリーフを有する透明樹脂層:ホログラム形成層ともいう。)
本発明のホログラム形成層2を構成するための透明な樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、すなわち、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)等、セルロース系樹脂、すなわち、硝酸セルロース(n=1.54)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)等、ビニル系樹脂、すなわち、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54)等、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、もしくはポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アクリルウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、メラミン樹脂(n=1.56)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、フェノール樹脂(n=1.60)、シリコン樹脂(n=1.41〜1.60)、もしくは、フッ素化樹脂(n=1.35〜1.38)等が挙げられる。(図2及び図3参照。)
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
上記の樹脂材料を用いてホログラム形成層2を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を、透明基材1上に、コーティング方式、グラビア印刷方式、カーテンコート方式、インクジェット方式等種々の形成方式を用いて、上記の樹脂を、25〜100μm厚さに形成したホログラム形成層2に押し付けることにより、賦型を行なうのがよい。ホログラム形成層2には、エレクトロルミネッセンス素子による発光波長に対する高い透明性を有することが要求される。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
微細な凹凸を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。このレリーフ形状は、ホログラムを再現もしくは再生する光もしくは光源の波長(域)と、再現もしくは再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。
また、カラーホログラム画像を、回折格子線からなる回折格子画素(同一の回折格子線からなる単一回折格子エリアの最小単位。これら画素から回折光としてでてくる光の集合が一つのカラーホログラム画像を形成する。)に要素分解し、所定の画素のサイズ、格子線ピッチ、格子線角度をその各要素に割り当てて再現するという画像処理方法を用いて形成することも可能である。
凹凸のピッチ(周期)は再現もしくは再生角度に依存するが、通常0.01μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再現もしくは再生強度に大きな影響を与える要素であるが、通常0.01μm〜数μmである。(図2及び図3参照において、ホログラム形成層2に設けたホログラムレリーフの「形状」を「波線」で表している。)
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、画像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再現もしくは再生画像が鮮明となる。
ホログラムレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記透明基材1上にコーティング方法等、適宜な印刷方法により形成したホログラム形成層2上に、前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。
上記の極微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、Ni薄膜層を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μm形成した後、金属を剥離することで作ることができる。
複製方式は、平板式もしくは、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、複製温度は、通常60℃〜200℃とする。
ホログラムレリーフ面のそのレリーフ形状が、エレクトロルミネッセンス素子層を設ける際の種々の負荷、すなわち、薄膜形成時の熱粒子の衝突や、薄膜材料を加熱する電子線への暴露、薄膜特性を向上させるための加熱エージング処理等による、ホログラム形成層2にかかる種々の負荷、による熱変形等を受けてホログラム再生像が劣化することを防ぐため、ホログラム形成層は、電離放射線硬化型とすることが好ましく、ホログラムレリーフ形成後にさらに硬化度を向上させるための、追加加熱処理や、追加電離放射処理をするものが、さらに好ましい。
また、電圧を印加した際の電気的絶縁性を確保するため、導電性がなく、絶縁性の高いものが望ましく、絶縁破壊強さ(ASTM−149)で、15MV/m以上、さらには、20MV/m以上のものが望ましい。絶縁破壊強さは、ガラス粉等の充填剤を混入することで、より高い値とすることができるが、本発明の目的から、光学的透明性が要求されるため、絶縁破壊強さは、高いものでも、50MV/m以下となる。
絶縁破壊強さが、15MV/m未満では、エレクトロルミネッセンス素子への印加電圧が安定せず、発光がムラとなることで、ホログラム再生像が劣化する。また、電気が漏れることによる感電の不安が残る。
これらのことを考慮して、熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
但し、ホログラム形成層2そのものが、エレクトロルミネッセンス素子における陽極の役目をする場合には、これとは逆に、導電性を有する樹脂を用い、その樹脂層にホログラム形成レリーフを施すことも、好適である。この場合には、層構成が簡易となり、また、透明導電性薄膜を形成する際の種々の負荷を避けることが可能となる。
(鏡面反射層)
本発明の鏡面反射層K1は、上記したホログラム形成層2に用いられる樹脂を使用し、同様の方法を用いて形成することができる。(図2及び図3参照。)
ここで、ホログラム形成層2におけるホログラムレリーフ面が、鏡面反射層K1においては、「光学的鏡面性と反射性」を併せ持つ「面」となると考えることもできる。
この「鏡面反射層K1」の「反射性」は、「鏡面反射層K1」の屈折率n1と、その「鏡面反射層K1」に接して設けられる「『ホログラム形成層2』や『透明基材1』」の屈折率n2との「差」を、少なくとも0.1以上、好ましくは、0.3〜1.0とすることで設定できる。(もちろん、この「差」を大きくすればするほど、その「反射性」、すなわち、可視光波長の「光」に対する「反射率」は高くなる。この「反射率」の大きさは、いわゆる「フレネルの公式」に従う。)
また、本発明の鏡面反射層K1の「反射性」をさらに高めるため、すなわち、鏡面反射層K1の「光学的鏡面性と反射性」を併せ持つ「面」の「反射率」をさらに高めるため、鏡面反射層K1を少なくとも2層構成とし(それ以上の多層構成としてもよい。)、その一方を透明性を有する樹脂からなる「透明層」、そして、他方を「透明反射性薄膜層」とすることができる。(鏡面反射層K1を少なくとも2層構成とすること、及び、「透明層」や「透明反射性薄膜層」は図示せず。)
この「透明層」には、やはり、上記したホログラム形成層2に用いられる樹脂を使用することができる。(図示せず。)
また、「透明反射性薄膜層」としては、真空薄膜法などにより形成される「透明な反射層」、すなわち、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率が、「透明な反射層」である「透明反射性薄膜層」に接して設けられる、「『ホログラム形成層2』や『透明基材1』」の屈折率とは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、その「透明反射性薄膜層」の「『ホログラム形成層2』や『透明基材1』」側の面、すなわち、「透明な反射層」と「『ホログラム形成層2』や『透明基材1』」との「界面」における「反射率」を高くすることができるものを用いることができる。
例えば、「『ホログラム形成層2』や『透明基材1』」よりも光屈折率の高い「透明反射性薄膜層」には、例として、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITOなどがある。
好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Ti、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Auなどの酸化物または窒化物他はそれらを2種以上を混合したものなど(透明金属化合物)が例示できる。
またアルミニウムなどの一般的な光反射性(可視光波長のほぼ全域にわたる反射、すなわち、「全反射」に近い性質を有する。)の金属薄膜も、厚みが20nm以下になると、透明性が出て使用できる。
「透明反射性薄膜層」の形成は、10〜2000nmの厚さ、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)などの真空薄膜法などにより設ければよい。特にCVD法は「透明層」への熱的ダメージが少なく、予め、その「透明層」の「光学的鏡面性」を付与した「面」に対して、その「光学的鏡面性」を維持し易く、好適である。そして、この「面」上に形成した「透明反射性薄膜層」の露出面が、新たに、「透明層」と「透明反射性薄膜層」の2層構成からなる「鏡面反射層K1」の「光学的鏡面性と反射性」を有する「面」となる。
また、他の薄膜形成法を用いても、形成する薄膜層を薄くしておくと、その熱的ダメージを少なくすることができる。例えば、アルミニウム蒸着層であれば、形成条件によるが、厚さにして、ほぼ20nmのものあたりが、透明性が無くなり全反射性を出現する臨界点である。この厚さは薄膜材料、形成方法、金属加熱温度・真空度等の形成条件により異なる。
本発明の「鏡面反射層K1」の一方の面を「光学的鏡面」とするためには、適宜な剥離性フィルム(厚さ50〜250μm、且つ、その表面に剥離性処理を施したもの。)上に、上記した「鏡面反射層K1」を形成した後、上記した「光学的鏡面」と同等もしくはそれ以上、特には、その平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.03μm、の「平滑な表面」を有する、「表面平滑化処理を施した厚さ0.1〜5.0mm、特には、0.1〜0.3mmの金属板、または、ガラス板」を用いて、その「平滑な表面」を「鏡面反射層K1」のその「一方の面」と接するように重ね、100〜200℃の加熱(特には、「鏡面反射層K1」に用いる樹脂のガラス転移点〈Tg〉より、50℃以上高い温度で、且つ、その樹脂の融点〈Tm〉より、10℃以上低い温度とする。)、及び、1.0〜103MPa(メガパスカル。N/平方ミリメートル)での加圧をする平板プレス処理(プレス状態で、「常温→設定温度までの加熱→設定温度保持→水冷式等による強制冷却→常温」の加熱冷却サイクル<1サイクル30分〜90分>を施す処理。この処理を2回から10回程度繰返し実施してもよい。)、もしくは、「同様の表面平滑化処理を施した直径100〜300mmの金属製ロール、または、ガラス製ロール」を用いて、100〜200℃に加熱した各ロール間を、そのロール幅1cmに対して1.0〜100kgの線圧を掛けつつ、1.0〜10m/分の速度でシート搬送させるロールプレス処理(この処理を2回から10回程度繰返し実施してもよい。)により、「鏡面反射層K1」の露出面を「光学的鏡面」とする。
そして、この「鏡面反射層K1」の「光学的鏡面」上に、この「光学的鏡面」を乱さないように、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層2(ホログラム形成層2)」を形成する。このとき、その「透明樹脂層2」形成に用いられるインキ組成中には、「鏡面反射層K1」に用いられる樹脂との相溶性が低い樹脂系、及び、「鏡面反射層K1」の表面を溶解し難い溶剤系を用いるとともに、形成手段も、カーテンコート方式、ロールコート方式、フィルムラミネート方式、フィルム転写方式や、ステンレススクリーン印刷方式を用いる。
さらには、相対する2つの層の表面張力の差、すなわち、「鏡面反射層K1」の表面張力と、「『ホログラム形成層2』や『透明基材1』」の表面張力との「差」を、10〜20mN/mとし、且つ、表面張力の小さい層の上に、表面張力の大きい層を形成する手順として、形成時の「濡れ性」を抑制し、形成前の「層」の「面」、及び、「2層」間の「界面」の「光学的鏡面」性の維持を確実なものとする。
その後、この「鏡面反射層K1」の「光学的鏡面」とした「面」とは、反対の「面」を、その「適宜な剥離性フィルム」を剥離することで、露出させ、透明基材1の一方の面に接するようにして、ラミネート、または、転写等の方式をもちいて積層することで、「鏡面反射層K1」の一方の面の「光学的鏡面」性を維持しつつ、この「鏡面反射層K1」とその「透明樹脂層2」との「界面」をも、「光学的鏡面」とする。
または、この「鏡面反射層K1」の「光学的鏡面」上に、この「光学的鏡面」を乱さないように、「透明基材1」をラミネート等の方式を用いて形成し(この場合は、「透明基材1」の表面に予め「光学的鏡面」性を付与しておくことが好ましく、「鏡面反射層K1」とその「透明基材1」との「界面」が、「光学的鏡面」となる。)、その「透明基材1」の露出面に、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層2」を形成する。
もちろん、適宜な剥離性フィルムの代わりに、本発明の透明基材1を用い、その透明基材1上に「鏡面反射層K1」を形成後、上記と同様にして、「鏡面反射層K1」の露出面を「光学的鏡面」とすることで、「透明基材1」、「鏡面反射層K1」、及び、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層2」の3層積層体としてもよい。(この場合は、「鏡面反射層K1」の「透明樹脂層2」側の「面」、及び、「鏡面反射層K1」と「透明樹脂層2」の「界面」が、「光学的鏡面」となる。)
また、上記したように、本発明の「鏡面反射層K1」の一方の面を「反射性」とするためには、言い換えれば、「鏡面反射層K1」と、その「鏡面反射層K1」の「光学的鏡面」性を持つ「面」と接している「『透明樹脂層2』、もしくは、『透明基材1』」の「界面」における「反射率」を所望の大きさ(「値」:可視光波長範囲の光に対して、反射率を5〜90%、特には、5〜20%とする。)とするために、「鏡面反射層K1」の屈折率n1と、「『透明樹脂層2』、もしくは、『透明基材1』」のn2を所定の大きさ(「値」)とする。
また、「鏡面反射層K1」の中に、可視光の光を吸収する染料(可視光波長範囲400〜800nmの中の、所定の波長範囲において、所定の割合だけ吸収するという意味。これらの染料を使用する樹脂に溶解して透明性を維持する。)や、微粒子顔料(同様。使用する樹脂に高度に分散させることで透明性を維持する。)を5%〜30%添加して、上記した「自然光」や「蛍光灯」の照明下でのレリーフホログラム再生像の再生を抑制することも好適である。
この「鏡面反射層K1」の厚さは、多層構成の場合も含めて、0.01〜10.0μmとする。この厚さが0.01μm未満であると、上記した「光学的鏡面性」を付与し難くなり、また、10.0μmを超えると、「光学的鏡面性」を付与した後の変形(熱膨張や熱収縮などの熱変形や、圧力のよる変形等の力学的変形などを意味する。)を受けやすくなり、不適当である。
(エレクトロルミネッセンス素子層)
エレクトロルミネッセンス素子層3は、ホログラム形成層2のホログラムレリーフ上に、構成する層を順次設けていくことで、形成される。
有機エレクトロルミネッセンス素子、または、無機エレクトロルミネッセンス素子のいずれにしても、まず電極である、陽極若しくは陰極から形成する。以下では、陽極から形成する例について説明する。この方法と同様にして陰極から設けていくことは容易に推察できる。
陽極の材料としては、例えば、ITO薄膜(インジウム・スズ酸化物薄膜)、酸化インジウム、錫ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫、フッ素ドープ酸化錫、酸化亜鉛等の透明導電性材料、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体等の導電性高分子等、を使用して形成することができる。
陽極の形成形成方法は、スパッタリング法、真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法)、スピンコート法、キャスト法を用いたゾルゲル法、スプレイパイロリシス法、イオンプレーティング法等の方法、さらには、所望の組成の塗布液を塗布して形成する方法等を採用することができる。
特に、電子ビーム加熱真空蒸着法や、高周波マグネトロンスパッタリング法を採ることが好ましい。具体的には、真空度1×10-7〜1×10-3Pa、成膜速度0.1〜50nm/秒、基材温度−10〜100℃の条件で成膜する。
陽極の代表的なものは、透明導電性薄膜である、ITO薄膜であり、ホログラムレリーフ上に、電子線加熱真空蒸着法により、例えば300nm程度形成する。
透明導電性薄膜の導電性は、その表面抵抗値で管理しており、0.1Ω/□以下となるよう、インジウムと錫の加熱速度や、導入する酸素がスの量を制御する。
ホログラムレリーフは、その凹凸深さが0.01μmと微細であり、しかも、その微妙に変化する曲線の変化そのものが、ホログラム再生情報を含んでいる為、この薄膜形成による加熱や、金属粒子の衝突等の衝撃によって、その曲線に変化を生じないよう、ホログラム形成層及び透明基材を十分冷却し、高速で処理する。従って、膜厚さを薄く形成する。
透明導電性薄膜の膜厚さ制御を十分行い、膜厚さばらつきが、数%以内にとどめ(300nmの数%→10nmレベル)、透明導電性薄膜の表面(レリーフと接着している面とは反対の面)が、ホログラム形成面とほぼ同一の形となるようにする。
ホログラム形成層2へのダメージをさらに軽減するために、CVD法(化学蒸着法)等を用いることもできる。CVD法の場合は、ホログラム形成層へのダメージはほとんど無いが、薄膜形成後の加熱処理等付加的な処理を要し、薄膜の表面性もホログラムレリーフのレリーフ形状としてはやや粗いものとなる。
次に、形成する層は、無機エレクトロルミネッセンス素子の場合には、最も単純な構成としては、この透明導電性薄膜上に、絶縁層を設ける。
絶縁層として用いられる材料は、具体的には、Y2O3、Al2O3、Ta2O5、SiO2、Si3O4等の非晶質酸化物、BaTiO3、PbTiO3等の強誘電体、SiNx、SiOF、SiOC、Pb(Zr,Ti)O3、(Pb、La)(Zr,Ti)O3、Bi4Ti3O12、さらにはぺロブスカイト型強誘電体、タングステン・ブロンズ型強誘電体、ビスマス層状構造強誘電体等を挙げることができる。
さらに、π電子系の酸−塩基二成分型有機物を利用した有機強誘電体、例えば、クロラニク酸、ブロマニル酸等のような強い酸性度(H+(プロトン)の供与能)の水酸基を有するジヒドロキシ−p−ベンゾキノン類、あるいは、クロラニル酸を酸として、ベンゼン環にプロトン受容基の窒素原子を組み入れたフェナジン(Phz)を塩基として作用させ、1:1の分子化合物としたもの等、さらに、分子間で水素結合を形成して一次元のネットワークを形成したこれらの集合構造分子も使用することもできる。
その形成方法は、スパッタリング法、真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法)、スピンコート法、キャスト法を用いたゾルゲル法、スプレイパイロリシス法、イオンプレーティング法等の方法、さらには、所望の組成の塗布液を塗布して形成する方法等を採用することができる。
絶縁層である誘電体膜として、代表的には、BaTiO3薄膜を、スパッタリング(Arガス使用)法を用いて、例えば500nmの厚さで形成する。この場合には、ホログラム形成層2上に、既に、金属酸化物薄膜が形成されているため、そのレリーフの耐熱性は比較的高く、比較的容易に薄膜形成を行うことができる。
この層は、絶縁性を確保するためには、厚い方が望ましい(〜2μm)が、ホログラム形成層のホログラムレリーフ面の形状を維持するためには、やはり、均一厚さ、及び、その表面性の滑らかさを確保する必要があるため、100nm〜500nmとすることが好適である。
ここで、絶縁層を透明導電性薄膜上の隅々まで形成すると、陽極端子を設けることができないため、マスキング法により、透明導電性薄膜上の一部を、そのホログラムの大きさとのバランスを考慮して、例えば、50mm×40mmサイズのホログラムの場合には、2mm×4mmサイズのマスキングを施して、絶縁層を形成する。
さらにその上に、無機エレクトロルミネッセンス素子用の発光層を設ける。
発光層は、所望の発光色の発光蛍光体を用いて形成されたものであり、例えば、赤色発光蛍光体として、ZnS、Mn/CdSSe等、緑色発光蛍光体として、ZnS:TbOF、ZnS:Tb等、青色発光蛍光体としては、SrS:Ce、(SrS:Ce/ZnS)n、CaGa2S4:Ce、Sr2Ga2S5:Ceを挙げることができる。また、白色発光蛍光体として、SrS:Ce/ZnS:Mn等が挙げられ、これらの蛍光体を適宜選択して、用いることができる。
発光層としては、代表的には、母体にZnSを用い、発光中心にMnを添加したものを、スパッタリング(Arガス使用)法を用いて、例えば1μm厚さで形成する。
この発光層が、ホログラムレリーフの位相情報を含んで発光するものであるため、この層の両表面(両界面)は、ホログラム形成層のレリーフ形状を忠実に再現していなければならない。
そのために、上記した各層の厚さの均一性、界面の滑らかさを確保できる成膜方法を採用する。
発光層形成時にも、上記した位置に同様のマスキング処理を施す。
この上に設ける陰極は、アルミニウム、金、銀、白金、銅、鉄、銀・マグネシウム合金等の金属薄膜や、グラファイトなどを厚さ、50〜500nmで形成する。代表的には、アルミニウム薄膜でよく、真空蒸着法で安定的に、例えば、300nm厚さで形成することができる。
アルミニウム薄膜の発光層と接している面は、発光層のレリーフ形状に追従しており、発光層の形状そのものを再現できる。また、その反対の層は、本発明の発光とは無関係であるため、通常の形成面でよい。
陰極形成時にも、上記した位置に同様のマスキング処理を施す。
以上の様にして、透明基材1上に、ホログラム形成層2、そして、無機エレクトロルミネッセンス素子からなる、エレクトロルミネッセンス素子層3を、そのホログラムレリーフ面に接して、追従するように設けることができ、且つ、陰極側から観察した場合、アルミニウム金属面の一部に、陽極である透明導電性薄膜層が露出して見える。
この陽極と、陰極の間に、電圧100V100〜1000Hzの交流電圧を印加すると、エレクトロルミネッセンス素子層3において発光が生じ、(陽極側より)ホログラム形成層2、透明基材1を通して、ホログラム再生像を視認することができる。
次に、有機エレクトロルミネッセンス素子について説明すると、上記した、透明導電性薄膜層の上に、発光層となる有機薄膜を形成し、陰極で挟んだものが最も単純な有機エレクトロルミネッセンス素子からなるエレクトロルミネッセンス素子3となる。
発光層は、主材料(ホスト材料)と不純物材料(ドーパント材料)との2成分系であり、発光する不純物材料は、0.1〜1%添加で主材料中に均一に分散されている。
有機薄膜の電子移動度は、高速応答を目的とするものではないため、比較的小さいものでも用いることができ、1×10-6cm2 /V・s以上の値とするのが好ましい。
発光層である有機薄膜に、低分子系を用いる場合には、
発光層材料として、ZnPBO(ビス[2−(2−ベンゾキサゾリル)フェノラト]亜鉛)と、ドーピング色素材料として、Coumarin6(3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)コーマリンを用いて、CVD法を用いて、50nm厚さに形成する。
発光層である有機薄膜に、高分子系を用いる場合には、
発光層材料として、PPV(ポリパラフェニレンビニレン)系、正孔層材料として、PEDOT(ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン)+PSS(ポリスチレンスルホン酸:ドーパント)共重合体を、コーティング方式により、固形分を0.5%として、乾燥後の厚さ100nmとする。
また、有機薄膜に、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤や、スチリルベンゼン系化合物、8−キノリノール誘導体を配位子とする金属錯体を併用することも好ましい。また、ジスチリルアリーレン骨格、例えば4,4’一ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等をホストとし、それに青色から赤色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系あるいはホストと同様の蛍光色素をドープしたものを併用することも好適である。
形成方法としては、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB(ラングミュア・ブロジェット)法、スパッタリング法等の方法を採用することができる。例えば、真空蒸着法により形成する場合は、真空度1×10-7〜1×10-3Pa、成膜速度0.1〜50nm/秒、基板温度−10〜100℃の条件を採ることが好ましい。
また、結着剤として機能する適宜な樹脂と有機薄膜用の材料とを所定の溶剤に溶かして溶液状態とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、有機薄膜を形成することができる。なお、有機薄膜は、形成方法や形成条件を適宜選択し、気相状態の材料化合物から沈着されて形成された薄膜や、溶液状態又は液相状態の材料化合物から固体化されて形成された膜である分子堆積膜とすることが好ましい。

これらの上に、陰極層として、金属、合金、それらの酸化物、電気電導性化合物又はこれらの混合物を使用する。具体的には、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、セシウム、銀、錫等の一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
代表的には、陰極層として、アルミニウム薄膜層を上記同様に設け、有機エレクトロルミネッセンス素子からなるエレクトロルミネッセンス素子層3を得る。
有機エレクトロルミネッセンス素子においても、無機エレクトロルミネッセンス素子と同様に、陽極端子を露出させる方法を取る。(図示していない。)
このことは、本発明のホログラムシートA、またはA´を、カード基材C1に埋め込むときも、同様である(図示していない。)。但し、カード基材C2に埋め込むときには、この陽極端子、及び、陰極端子を、IC駆動用電池IC2に接続することとなる。(図6参照。)
この陽極と、陰極の間に、電圧10Vの直流電圧6を印加すると(図4参照。)、エレクトロルミネッセンス素子層3において、波長λ0の発光が生じ、ホログラム形成層2を通過し、「鏡面反射層K1」で反射した光が、再び、ホログラム形成層2で反射し、再び、「鏡面反射層K1」や、透明基材1を通過したホログラム再生像7(「発光」の文字状。)を、やはり、波長λ0で発光している「拡散光の背景」(ホログラム再生像の明るさやシャープさに比べて、比較的輝度の低い、ぼんやりと広がった背景となっている。)の中に、視認することができる。(図4参照。この「背景」は図示していない。)
(カード基材)
本発明のホログラム付きカードC1に用いられるカード基材C0としては、もしくは、カード基材IC0に採用可能な材料としては、少なくとも本発明のホログラムシートA、または、A´を、そのカード基材C0や、IC0(カード基材IC0については、さらに、以下に詳述するセキュアマイコン等の電子部品を内蔵可能であることが要求される。)内に埋め込むことができるものであれば、あらゆる材料、すなわち、プラスチック材料、金属材料、セラミック材料、生体材料、それらの複合材料、さらには、それらを多層構造としたり、さらに複雑に組み合わせたりしたものなどを用いることができる。且つ、その表面や裏面に、本発明のホログラム付きカードC1の用途に応じた印刷等の手段による適宜な表示を設けたものであってもよい。(図5参照。図5には、カード基材C0の表面と、ホログラムシートAの最表面が「面一」となっている場合を例示している。その他の場合は図示していない。)
その形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード形状(磁気カード、ICカード、非接触ICカード、ポストカード、グリーティングカード、名刺、ポイントカード、ライセンスカード、遊戯用カード等の形形状)、はがき形状、リーフ形状、帳票形状、伝票形状、Sメール形状、ラベル形状、シール形状、証券類形状、通帳形状、パスポート形状、郵便物形状、配送物形状、封筒状、袋状、箱状、ケース状、円盤状、ディスク状、楕円体状、球体状、曲面形状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。さらには、電子端末や、携帯用端末等、あらゆる工業製品やあらゆる商品をもカード基材C0や、IC0として採用することができる。
その厚さも、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、30μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
また、これらカード基材C0や、IC0の代表例として、いわゆる「プラスチックカード」として用いられている材料及び形状や、「プリペイドカード」として用いられている材料及び形状、特に、ISO規格(ISO/IEC7810シリーズ、ISO/IEC7816シリーズ、ISO/IEC14443シリーズ、ISO/IEC15457シリーズ等。)やJIS規格(「プリペイドカード JIS X 6310シリーズ」や、JIS X 6301、JIS X 6300シリーズ、JIS X 6320シリーズ、JIS X 6330シリーズ等。)で定められているものがある。(図示せず。)
その中でも、その「埋め込み適正」(ホログラムシートA、またはA´をそのカード基材C0や、IC0内に安定して埋め込むことができると共に、そのホログラムシートA、またはA´の最表面とカード基材C0、または、IC0の表面とを再現性良く「面一」とすることができる性質をいう。)及び「汎用性」(加工汎用性を含む。この「加工汎用性」とは、「保護層/磁気層/接着層」からなる磁気ストライプをカード基材に埋め込んだり、必要な電子部品等を内蔵させたりする、製造ラインや製造条件が確立していることを意味する。)から、「JIS規格やISO規格で定められている『プラスチックカード』や、『ICカード』として用いられているカード基材及び形状」が望ましい。
これらは、既に、全世界に大量に頒布され、普及しているため、それらをハンドリングしたり、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器(入退室用ゲート端末、駅務ゲート端末、クレジットカード端末、ICカード端末、その他のカード利用機器を意味する。)や、関連グッズ(カードを携帯するためのカード入れや、カード用装飾品等を意味する。)等も既に普及しているため、これらのものに対する適用もスムースであって好適である。
特に、不透明性を有するフィルム状もしくはシート状のプラスチックがその加工適正やコスト面で好ましく、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や耐溶剤性および耐熱性をも有するものが用いられる。例えば、その材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の各種のプラスチックフィルム材料があげられる。そして、これらのプラスチックそのものが透明性を有する場合には、不透明化処理のために、二酸化チタンや炭酸カルシウム等の不透明性付与のための顔料等を適宜練り込むなど、不透明性付与材料を混在させた、フィルム状もしくはシート状のプラスチックを例示することができる。
さらに、これらの材料に、フッ素系樹脂パウダーや、シリコン系樹脂パウダー等を混入したプラスチックフィルムは、耐擦傷性が著しく高く好適である。
以下、ホログラムシートAとカード基材C0をその代表例として説明する。(ホログラムシートA´や、カード基材IC0を用いる場合も、以下の説明とほぼ同様の説明となる。)
ホログラムシートAをそのカード基材C0内に、加熱温度60℃〜200℃、好適には、80℃〜150℃、且つ、プレス圧力104Pa〜1010Pa(N/平方メートル)、好適には、106Pa〜108Paの条件下で、「面一」に埋め込むことが可能なものが用いられる。
これらのフィルム状もしくはシート状のプラスチック材料からなるカード基材C0の厚さは、通常、30μm〜1.0mmであるが、「種々の目的のカード」としての加工適正や取り扱い適正から200〜840μmとすることが望ましい。
この厚さが、30μm未満であると、このカード基材C0上にホログラムシートAを設けたり、埋め込んだりする際の加工適正に劣るものとなり、この厚さが1.0mmを超えると、シート処理や巻き取り処理における取扱いに困難を生じるため好ましくない。(図5及び図6参照。)
具体的には、50μm〜1000μmの厚さの軟質塩化ビニルシートや硬質塩化ビニルシート、もしくは、その組み合わせ(積層体という意味。)が好適である。
カード基材C0として、100μmの軟質塩化ビニルシートを用いて、総厚さ32μmのホログラムシートA(積層体)(幅10mmの帯状。カード基材C0の厚さの約1/3の厚さを有する。)を、150℃の加温、及び106Paの加圧にて、1mm厚さの表面鏡面仕上げのステンレス板で挟み込み、「常温→加温→150℃→冷却→常温」の加熱&冷却サイクル(1サイクル30分〜90分。)を通した場合には、その積層体が全て、カード基材C0内に埋め込まれ、ホログラムシートAの最表面とカード基材C0の表面が面一となった。
同様の条件下においては、カード基材C0の厚さ100μmに対して、5μm〜50μmまでの積層体を「面一」とすることができるが、50μmを超える厚さの積層体に対しては、その境界における段差が、1.0μmを超えるものとなり、「面一」とするためには、より高温、且つ、高圧の条件とする必要が生じる。
しかしながら、上記の条件をより過酷な条件に設定することは、カード基材C0の大きな変形や、変質を招き、本発明のホログラム付きカードC1としての用途には不向きであり、カード基材C0の厚さに対する埋め込み深さは、「カード基材C0の厚さの1/20〜1/2」とする。
また、「面一」の状態とは、上記したように、その境界における段差が、1.0μm以下となった状態を意味するが、「埋め込む小片(上記したストライプ等を意味する。)」のサイズによって、「小片」全体が均一に埋め込まれる場合(「小片」を含むカード基材C0の厚さが、「小片」のある個所や、その他の箇所で同一となっている状態。)や、「小片」の埋め込み量に偏りがある場合(「小片」の端部(境界に近い部分)に対して「小片」の中央部の埋め込み量が少なくなっている状態。)、さらには、カード基材C0の材料が「小片」の断面を覆い隠すように流動した場合等を含むものとし、結果として「小片」が面一に埋め込まれた状態となることを指す。
さらには、「面一」の状態から「凹んだ状態」とするためには、上記した総厚さ32μm積層体の代わりに「耐熱性を有する剥離性フィルム(10μm)を加え、他の層の合計を10μmだけ薄くした、結果として、同一の総厚さを有する「積層体」を、同一条件下でカード基材C0に埋め込み、その剥離性フィルムを剥離することで、ホログラムシートAの最表面が、カード基材C0の表面より、10μm凹んだ状態とすることができる。
すなわち、この積層体における「剥離性フィルム」の厚さだけ、カード基材C0の表面より凹ませることができることとなる。
この「凹み」は、カード基材C0の厚さに対して、1/10以下とし、望ましくは、1/20以下とする。
また、このような「剥離性フィルム」は、ホログラムシートAの保護層の代用となるため、製造工程中や、流通過程においては残しておき、ホログラム付きカードC1の正規購入者がホログラム付きカードC1を使用する直前に剥離するものとすることで、ホログラムシートAの最表面(露出面)の汚れや傷の発生を防止できる。さらに、「剥離性フィルム」は、一旦、剥離すると、もはや、元に戻すことが困難であるため、不正者が接着剤等を塗布して元の状態に戻そうとすると、「剥離性フィルム」の剥離性が損なわれるだけでなく、「段差」が1.0μmを超えてしまい、不正が行われたことを示唆する機能を持つため、「剥離性フィルム」を付加したホログラム付きカードC1とすることも好適である。(凹んだ状態や、「剥離性フィルム」を付加した状態は、図示せず。)
ここで、本発明のホログラム付きカードC2について説明を加える。
本発明のホログラム付きカードC2は、いわゆる「ホログラム付きICカード」であって、そのカード基材IC0として、「IC駆動用電池を内臓している電池内臓型ICカード基材」を用いており、「接触式ICカード(セキュアマイコンIC1を搭載している。)」を、その基本構成とし、IC駆動用電池IC2(薄型3V系フィルム電池等。)、 ON/OFFスイッチIC3(表示切替用スイッチ等。)、表示パネル制御部IC4(液晶ディスプレー用ドライバ等。)、表示パネルIC5(フィルム液晶等。)、 補助電池IC6(3V出力太陽電池フィルム等。)などを搭載、もしくは、内蔵したものである。(図6参照。図6のホログラム付きカードC2は、カード基材IC0に、もしくは、カード基材IC0として、これらの電子部品を全て搭載した例を示している。)
また、本発明のホログラム付きカードC2は、「非接触式ICカード(非接触式ICチップを内蔵している。)」を、その基本構成とし、「インターフェイス用IC(電波→デジタル変換機能を持つ。)」駆動用電池(これも、一種のIC駆動用電池であって、薄型3V系フィルム電池等。)を内蔵しており、さらに、ON/OFFスイッチIC3(表示切替用スイッチ等。)、表示パネル制御部IC4(液晶ディスプレー用ドライバ等。)、表示パネルIC5(フィルム液晶等。)、補助電池IC6(3V出力太陽電池フィルム等。)などを搭載、もしくは、内蔵したものを用いることができる。(図示していない。)
そして、これらのIC用駆動電池IC2が、ホログラムシートA、もしくは、A´の発光用電源を兼ねている。
このセキュアマイコンIC1や、「非接触式ICチップ」を駆動するための「電源」(IC駆動用電池IC2)として、且つ、本発明のホログラムシートA、もしくはA´を発光させるための「電源」として、一次電池、または、二次電池を、そのカード基材IC0の中に「内蔵」している。
これらの「電池」は、「セキュアマイコンIC1または非接触式ICチップ等を制御する『制御部』(表示パネル制御部IC4等。)」や、「液晶ディスプレイなどの『表示部』(表示パネルIC5等。」をさらに含む場合には、それらの「『制御部』」や『表示部』」を駆動するための電源として用いられる。
さらに、これら「内蔵」する「電池」に加えて、「太陽電池と、その太陽電池で生成された電気エネルギーを蓄電するコンデンサとにより構成される補助電源(補助電池IC6等)」を、そのカード基材IC0に含めることも「IC駆動用電池を内臓する」ということの意味に含める。
このことにより、本発明のホログラム付きICカードC2を使用する者が、このホログラム付きICカードC2を、「外部」に取り出すだけで(屋外で自然光にかざしたり、室内において、室内蛍光灯の照明下にさらすことを意味する。)、太陽電池に光が照射して生成された電気エネルギーがコンデンサに蓄電され、これを安定した補助電源として用いることが可能になる。
また、本発明のホログラムシートA、または、A´を発光させたり、消光させるためのON/OFF切り替えスイッチ(図示していない。)をも、搭載すると、その利便性を大幅に向上させたり、真偽判定性を著しく容易なものとすることができる。
(実施例1)
透明基材1として、12μmのPETフィルムの表面に、下記組成の鏡面反射層K1用インキ組成物を、カーテンコート方式にて、乾燥後の厚さとして、鏡面反射層K1を5.0μmの厚さで形成し、表面を鏡面仕上げした、厚さ1.0mmのステンレス板に挟みこみ、150℃、1.0MPa、及び、60分の加熱、加圧、及び冷却処理を施して、鏡面反射層K1の露出面を「光学的鏡面」(上記したRaで、Ra=0.05μmとした。)とした。(図2参照。)
<鏡面反射層K1用インキ組成物>
メラミン樹脂(屈折率n1=1.56) 30部
トルエン 20部
メチルエチルケトン 20部
メチルアルコール 10部
イソプロピルアルコール 20部
この鏡面反射層K1の「光学的鏡面」とした「面」の上に、下記組成のホログラム形成層2用インキ組成物を塗布し、溶剤を十分に揮発させた後、ホログラム画像位置検知パターン付きのレリーフホログラム(30mm×40mmサイズ:「発光」の文字画像:図3参照)の複製用型の型面を、接触させたまま加熱することにより、レリーフホログラムの形成を行ない、厚さ30μmの「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層2」(ホログラム形成層2)を得た。(図2参照。)
このことにより、鏡面反射層K1のホログラム形成層2(すなわち、「透明樹脂層」)と接している「面」、さらには、鏡面反射層K1とホログラム形成層2の「界面」は、「光学的鏡面性と反射性」を有していることとなった。
<ホログラム形成層2用インキ組成物>
ポリブチルアクリレート(屈折率n2=1.44) 30部
メチルアルコール 10部
イソプロピルアルコール 40部
エチルセルソルブ 20部
ブチルセルソルブ 10部
このとき、PETフィルム(透明基材1)及びポリブチルアクリレート(ホログラム形成層2)の絶縁破壊強さは、それぞれ50MV/m、20MV/mであった。
このホログラム形成層2上に、そのホログラムレリーフ形成領域を覆うように、陽極として、ITO薄膜を電子線加熱真空蒸着法により500nm厚さで形成した。ITO薄膜の表面抵抗値は、0.1Ω/□であった。
この陽極上に、絶縁層である誘電体膜として、BaTiO3を、同様の位置のマスキング処理を施して、スパッタリング(Arガス使用)法を用いて、1μmの厚さで形成した。
その上に、発光層として、母体にZnSを用い、発光中心にMnを添加したものを、スパッタリング(Arガス使用)法を用いて、1μm厚さで形成した。ターゲットには、硫化マンガン(MnS)を0.5mol%添加した硫化亜鉛(ZnS)を用い、ターゲットガスには、高純度のアルゴンガスを用いた。この時、陽極端子を残すため、ホログラム画像の右端下に3mm×3mmの領域で、マスキング処理を行った。
さらに、その上に、陰極としてアルミニウム薄膜を、同様の位置のマスキング処理を施して、真空蒸着法によりにより、厚さ1μmで形成した。
以上により、ホログラム形成層2上に、ITO薄膜層(陽極層)、絶縁層、発光層、及びアルミニウム薄膜層(陰極層)の4層構成からなる、無機エレクトロルミネッセンス素子層3を形成し、実施例1のホログラムシートAを作製した。(図2参照。図2においては、「マスキング処理」の状況を省略して表示している。)
このホログラムシートAを室内の照明光4下で、透明基材1側からの目視にて観察5したところ、「鏡面反射層K1」による反射光によって、ホログラム形成層2に基づくホログラム再生像の視認性が低下しており、「発光」の文字を明確には判定することができなかった。
このホログラムシートAのITO薄膜端子部分(マスキングにより露出させた部分)と、背面の陰極層との間に、100V、且つ、100Hzの交流電圧を印加6したところ、発光7が生じた。
この際、透明基材1側から観察すると、ホログラムシートA全体が、比較的柔らかく発光(「緑色」の発光。この状態は図示していない。)しており、ホログラムシートAのシート面に対する垂直上方から45度程度傾いた方向で、そのシート面から30cm程度離れた視点を観察位置として、目視観察すると、その比較的輝度の小さな柔らかなシート全体の「緑色」の発光の中に、同色の「発光」の文字がホログラム再生像7として視認できた。(図4参照。)
そして、このホログラムシートAへの電圧印加を止めると、印加前の状態に戻った。
以上のことから、このホログラムシートAは、真正品であることが判明した。
(実施例2)
陰極として、ITO薄膜を電子線加熱真空蒸着法による、厚さ1μmの層とした以外は、実施例1と同様にして実施例2のホログラムシートAを作製した。
実施例1と同様に評価したところ、電圧印加前における観察5では、ホログラムシートAは、透明なシートとして観察され、その両面からやや不明瞭なホログラム再生像の存在を見て取れたが、ホログラム再生像を明確に判定することは出来なかった。
しかし、電圧印加6により、ホログラムシートA全体が、その両面とも、比較的柔らかく「緑色」に発光し、それと同時に、その透明基材1側から、「緑色」のホログラム再生像7(「発光」の文字)がその「背景(色)」の中に浮き上がり、判定することができた。そして、電圧印加を止めると、元の状態に戻ることを確認した。(図4参照。)
また、電圧印加を、1秒単位でON/OFFの繰り返しパターンとしたところ、そのホログラム再生像7がより鮮明に視認できた。(この状況は図示していない。)
(実施例3)
厚さ50μmの適宜な剥離性フィルム上に、実施例1と同様の組成の鏡面反射層K1用インキ組成物を、カーテンコート方式にて、乾燥後の厚さとして、鏡面反射層K1を5.0μmの厚さで形成し、表面を鏡面仕上げした、厚さ1.0mmのステンレス板に挟みこみ、150℃、1.0MPa、及び、60分の加熱、加圧、及び冷却処理を施して、鏡面反射層K1の露出面を「光学的鏡面」(上記したRaで、Ra=0.05μmとした。)とした。
この鏡面反射層K1の「光学的鏡面」とした「面」を、一方の面を「光学的鏡面」とした150μmのPET(屈折率n2=1.45)からなる透明基材1のその一方の面上にラミネート処理により積層した後、その剥離性フィルムを剥離し、さらに、その透明基材1の他方の面に、実施例1と同様にして、ホログラム形成層2、エレクトロルミネッセンス素子層3を形成して、実施例3の本発明のホログラムシートA´を得た。(図3参照。)
このホログラムシートA´を、実施例1と同様にして評価したところ、エレクトロルミネッセンス素子層3と、鏡面反射層K1との距離を比較的大きくとることができ、実施例1より鮮明なホログラム再生画像7を視認でき、真正品であるとの判定が容易であったこと(図4参照。)以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
(実施例4)
このホログラム形成層2上の陽極を100nm厚さで形成し、その上の絶縁層を、300nmの厚さで形成し、その上の発光層を、500nm厚さで形成し、さらに、その上のITO薄膜を、厚さ100nmで形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例4のホログラムシートAを得た。(図2参照。)
実施例1と同様に評価したところ、発光時のホログラム再生像7の鮮明度が向上し、文字がより明確に判断でき、真性正の判定がより確実にできると思われた。(図4参照。)
(実施例5)
実施例1の無機エレクトロルミネッセンス層に代えて、そのホログラム形成層2上に、下記有機エレクトロルミネッセンス層をエレクトロルミネッセンス素子層3として形成した。
すなわち、ホログラム形成層2のホログラムレリーフ形成領域を覆うように、陽極として、ITO薄膜を、電子線加熱真空蒸着法により、100nm厚さで形成した。
その上に、正孔輸送材料として、TPAC(1,1−ビス[4-[N,N―ジ(p−トリル)アミノ]フェニル]シクロヘキサン)を厚さ60nmで、発光層材料として、ZnPBO(ビス[2−(2−ベンゾキサゾリル)フェノラト]亜鉛)及びドーピング色素材料として、Coumarin6(3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)コーマリン)を3%混入させ、厚さ100nmで、そして、電子輸送材料として、BND(2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール)を厚さ50nmで、真空蒸着法により、実施例1と同様のマスキング処理を施して、形成した、
さらに、その上に、ITO薄膜を、同様の位置のマスキング処理を施して、電子線加熱真空蒸着法により、厚さ100nmで形成した。
以上により、ホログラム形成層2上に、陽極層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び陰極層からなる有機エレクトロルミネッセンス素子層3を形成し、実施例5のホログラムシートAを作製した。(図2参照。)
このホログラムシートAを室内の照明光4下で観察したところ、透明基材1側から、及びホログラムシートAの背面のITO薄膜側(陰極側)からも、ホログラム再生像5を明確には視認できなかった。
このホログラムシートAの陽極端子部分と、背面のITO薄膜形成部分との間に、6Vの直流電圧6を印加したところ、発光が生じ、透明な空間上に緑色の「『背景』としての発光」の中に、鮮明さが増したホログラム再生像7を視認することができた。(図4参照。)
このホログラムシートAへの電圧印加を止めると、印加前の状態に戻った。
以上のことから、このホログラムシートAは、真正品であることを容易に且つ確実に判断することができた。
(実施例6)
実施例5と同様のホログラム形成層2を得た後、酸化インジウムと酸化セリウムとの粉末を、焼結した陽極用のターゲット(セリウムモル比0.05)を用いて、真空度を3×10-1Paまで減圧した状態で、アルゴンガスに酸素ガスを混入したガスを封入し、その雰囲気中において、到達真空度5×10-4Paでの高周波スパッタリングにて、厚さ100nmの透明電極膜を形成し、その上に、真空度7×10-4Paで、正孔輸送層として厚みが50nmのNPD(N,N´−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N´−ジフェニルベンジジン)薄膜を、蒸着速度が6nm/分の条件にて真空蒸着法により形成し、さらに、その上に、有機発光材料層兼電子輸送層として厚みが50nmのAlq3(トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)の薄膜を、蒸着速度が6nm/分の条件にて真空蒸着法により形成し、その表面に、陰極として厚みが200nmのマグネシウム−銀薄膜( 組成比10/1 )を共蒸着法により形成して、4層からなる有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、エレクトロルミネッセンス素子層3とした。各薄膜形成時に、マスキング処理による陽極端子の作製を行い、これによって、実施例6のホログラムシートAを得た。(図2参照。)
このホログラムシートAの陽極端子部分と、背面のマグネシウム−銀薄膜形成部分との間に、6Vの直流電圧6を印加したところ、発光が生じ、透明な空間上に緑色の、輝度10cd/m2の「『背景』としての発光」が生じたが、この「背景」も、ホログラムシートAから30cm程度離れた観察点からの観察においては、その照度(視認する明るさ)が減衰しており、その中に現われている、比較的その照度の減衰の少ない、ホログラム再生像7を十分に判別して視認することができた。(図4参照。)
このホログラムシートAへの電圧印加を止めると、印加前の状態に戻った。
以上のことから、このホログラムシートAは、真正品であることを容易に且つ確実に判断することができた。
(実施例7)
実施例1において用いた鏡面反射層K1用インキ組成物と同様組成の「透明層」を同様方式、同様厚さで設け、その露出面を同様に「光学的鏡面」とした後、その「面」の上に、「透明反射性薄膜層」として、厚さ50nmのZnS薄膜層を、真空蒸着法を用いて形成した(このときの最表面は、「光学的鏡面」性を維持していた。本実施例7においては、この「透明層」と「透明反射性薄膜層」の2層積層体が、「鏡面反射層K1」となっている。図示せず。)こと以外は、実施例1と同様にして、実施例7のホログラムシートAを得た。(図2参照。本実施例7の「鏡面反射層K1」の詳細構成〈2層構造〉は図示せず。)
この実施例7のホログラムシートAを実施例1と同様に評価したところ、透明基材1側からの目視観察において、「鏡面反射層K1」の「光学的鏡面性と反射性」を有する「面」からの反射光の強度が大きくなっており、「鏡面反射層K1」の背後にあるホログラムレリーフからのレリーフホログラム再生像5を目視にて視認することは困難であったこと、また、エレクトロルミネッセンス素子層3を発光させたとき、ホログラムシートA全体に広がる「背景」としての発光の明るさも抑制され、その上、ホログラム再生像7がより明るくなっていたため、その判定がより容易、且つ、確実に実施できると思われたこと以外は、実施例1と同様であった。
(実施例8)
本発明のホログラム付きカードC1用のカード基材C0として、厚さ560μmの硬質塩化ビニルシートを、厚さ100μmの軟質塩化ビニルシート2枚で挟み込み、総厚さ760μmの3層積層塩化ビニルシート(クレジットカードサイズ)を用いる。
所定のデザイン印刷は、その硬質塩化ビニルシート上にオフセット印刷にて施した後、所定のラミネート条件にて、3層積層体とした。(図5参照。カード基材C0の積層状況は図示せず。図5は、既に本発明のホログラムシートAを埋め込んだ図となっている。)
このカード基材C0の表面の中央部分に、実施例1のホログラムシートA(但し、陽極端子及び陰極端子を、その位置をずらせてホログラムシートAの透明基材1側に露出するように配置し、幅10mm×長さ30mmのストリップ状に切り取ったもの)をそのカード基材C0の表面と、ホログラムシートAのエレクトロルミネッセンス素子層3の陰極層が接するようにして配置したものを、表面を鏡面仕上げしたステンレス板に挟みこみ、120℃、106Pa、及び60分の加熱、加圧、及び冷却処理を施して、ホログラムシートAの透明基材1の最表面とカード基材C0の表面を「面一」として、実施例8のホログラム付きカードC1を得た。(図5参照。)
この実施例8のホログラム付きカードC1を、通常の蛍光灯下で観察したところ、ホログラム付きカードC1上にて、「埋め込まれたストリップ」を観察できるのみであり、そのストリップから再生されるホログラム再生像5の存在を、明確には窺い知ることはできなかった。(ホログラム付きカードC1上に埋め込まれている「ストリップ」の見え方は、図4参照。本実施例8の「ストリップ」は、「長方形」であるが、図4では、楕円形の例示となっている。)
次いで、この実施例8のホログラム付きカードC1に埋め込まれたホログラムシートAの陽極端子及び陰極端子に実施例1と同様に電圧6を印加したところ、実施例1と同様のホログラム再生像7を視認することができた。
また、このホログラム付きカードC1から、ホログラムシートAのみを剥がして取り出そうとしたが、ホログラムシートAの断面を捉えることができず、このホログラム付きカードC1の偽造や変造は不可能と思われた。(図示せず。)
それ以外については、実施例1と同様の結果を得た。
(実施例9)
本発明のホログラム付きカードC2用のカード基材IC0として、厚さ600μmの硬質塩化ビニルシートを、厚さ100μmの軟質塩化ビニルシート2枚で挟み込み、総厚さ800μmの3層積層塩化ビニルシート(クレジットカードサイズ)のICカード基材であり、且つ、「IC駆動用電池IC2を内臓している電池内臓型ICカード基材IC0」である、図6の構成の「接触式ICカード(セキュアマイコンIC1を搭載している。)」を用いた。
このカード基材IC0は、図6のごとく、「接触式ICカード」を、その基本構成とし、薄型3V系フィルム電池(IC駆動用電池IC2)、表示切替用スイッチ(ON/OFFスイッチIC3)、液晶ディスプレー用ドライバ(表示パネル制御部IC4)、フィルム液晶(表示パネルIC5)、3V出力太陽電池フィルム(補助電池IC6)を搭載、もしくは、内蔵している。(図6は、既に、本発明のホログラムシートAを埋め込んだ図となっている。)
このカード基材IC0の表面の中央部分(各電子部品と重ならない位置。)に、実施例1のホログラムシートA(但し、幅10mm×長さ30mmのストリップ状に切り取り、さらに、陽極端子及び陰極端子にリード端子を接続し、内蔵する薄型3V系フィルム電池(IC駆動用電池IC2)の陽極及び陰極端子に繋げた。)を、そのリード端子を断線させないように配慮して配置し、表面を鏡面仕上げしたステンレス板に挟みこみ、120℃、106Pa、及び60分の加熱、加圧、及び冷却処理を施して、ホログラムシートAの透明基材1の最表面とカード基材IC0の表面を「面一」として、実施例9のホログラム付きカードC2を得た。(図6参照。)
この実施例9のホログラム付きカードC2を、通常の蛍光灯下で観察したところ、ホログラム付きカードC2上にて、「埋め込まれたストリップ」を観察できるのみであり、そのストリップから再生されるホログラム再生像5の存在を、明確には窺い知ることはできなかった。
次いで、この実施例9のホログラム付きカードC2に埋め込まれたホログラムシートAの陽極端子及び陰極端子に、薄型3V系フィルム電池(IC駆動用電池IC2)からの電圧6を供給したところ(図6の中には表示していない「スイッチ」〈表示切替用スイッチ:ON/OFFスイッチIC3〉と同様のもの。〉による操作である。この「スイッチ」は、その存在が秘匿されていることが望ましい。)、実施例1と同様のホログラム再生像7を視認することができた。(ホログラム付きカードC2上に埋め込まれている「ストリップ」の観察状態は、図4参照。ここで、本実施例9の「ストリップ」は、「長方形」であるが、図4では、楕円形の例示となっている。)
また、このホログラム付きカードC2から、ホログラムシートAのみを剥がして取り出そうとしたが、ホログラムシートAの断面を捉えることができず、また、そのような行為が上記したリード端子の断線を引き起こすものと想定され、このホログラム付きカードC2の偽造や変造は非常に困難と思われたこと以外については、実施例1と同様の結果を得た。(図示せず。)
(比較例)
「鏡面反射層K1」を形成せず、実施例1と同様にホログラムシートを形成し、比較例とした。
実施例1と同様に観察したところ、電圧を印加していないにも拘らず、室内照明下で目視にて、エレクトロルミネッセンス素子層3の表面からの反射光によるホログラム再生像を視認できてしまい、さらに、電圧を印加すると、ホログラムシート全体が「緑色」に発光し、この「緑色」の背景の中に、既に視認できていたホログラム再生像と同様の「緑色の光の像」が存在するように思えたが、その判別性は、かえって低下した。
このことより、このホログラムシートが真正なものでないと判断できた。
A、A´ ホログラムシート
1 透明基材
K1 鏡面反射層
2 ホログラムレリーフを有する透明樹脂層(ホログラム形成層)
3 エレクトロルミネッセンス素子層
4 観察状態の例示:可視光線(室内照明光)
5 同上 :反射光による再生像(視認できる場合と、出来ない 場合がある。)
6 同上 :電圧を印加した状態
7 同上 :緑色の再生像(発光による再生像)
C0、IC0 カード基材
C1、C2 ホログラム付きカード
IC1 セキュアマイコン
IC2 IC駆動用電池
IC3 ON/OFFスイッチ
IC4 表示パネル制御部
IC5 表示パネル
IC6 補助電池

Claims (6)

  1. 透明基材の一方の面に、鏡面反射層、ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するように、且つ追従するようにエレクトロルミネッセンス素子層が設けられているホログラムシートであって、
    前記鏡面反射層の前記透明樹脂層と接している面が、光学的鏡面性及び反射性を有していることを特徴とするホログラムシート。
  2. 透明基材の一方の面に鏡面反射層が設けられ、前記透明基材の他方の面に、ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するように、且つ追従するようにエレクトロルミネッセンス素子層が設けられているホログラムシートであって、
    前記鏡面反射層の前記透明基材と接している面が、光学的鏡面性及び反射性を有していることを特徴とするホログラムシート。
  3. 請求項1または2に記載の前記エレクトロルミネッセンス素子層は、その発光側が前記ホログラムレリーフに接していることを特徴とするホログラムシート。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の前記エレクトロルミネッセンス素子層の厚さは、0.01μm〜2.0μmであることを特徴とするホログラムシート。
  5. カード基材に、請求項1から4の何れかに記載のホログラムシートが埋め込まれ、前記ホログラムシートの露出面が、前記カード基材の表面と面一、または、前記カード基材の表面から凹んだ位置にあることを特徴とするホログラム付きカード。
  6. 前記カード基材が、IC駆動用電池を内臓している電池内臓型ICカード基材であり、且つ、前記IC駆動用電池が、前記ホログラムシートの発光用電源をも兼ねていることを特徴とする請求項5に記載のホログラム付きカード。
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