JP2015158522A - 差圧式リークテスト装置によるリークテスト方法 - Google Patents
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Description
このようなリークテストは、検査対象たるワークに形成された空間(空隙部)に対して、該空間の開口部を閉塞した状態で、該空間に空気を圧入し、空気の漏れを検出することによって、漏れ欠陥の有無を確認するようにしている。
これにより、ワークの温度変化による影響を排除して、精度良く漏れ欠陥の有無を検査することができるようにしている。
また、検出精度の向上により、再検査を行う必要がなくなるため、検査工程に要する時間の短縮に寄与することができる。
まず始めに、本発明の一実施形態に係るリークテスト方法における検査対象たるワークについて、図1を用いて説明をする。尚、以下の説明では、ワークの姿勢を基準として、図1中に示す矢印Pの方向を上方(また、反対側を下方)と規定する。
図1に示す如く、本発明の一実施形態に係るリークテスト方法における検査対象たるワーク1は、例えば、油等の液状物が貯留される部位を形成するためのダイカスト製品等であって、漏れ欠陥が無いことを保証すべき部品であり、その内部に空隙部たる空間Aが形成されている。ワーク1の空間Aは、下方に形成される開口部1aと上方に形成される開口部1bにおいて外部に開放されており、各開口部1a・1bはそれぞれ縁部1c・1dによって取り囲まれている。
図2に示す如く、本発明の一実施形態に係るリークテスト方法に用いる差圧式リークテスト装置である差圧式リークテスタ10は、検査対象たるワーク1における漏れ欠陥の有無を検査するための装置であり、差圧計2、マスターチャンバー3、ワーク配置部4、配管装置5、バルブ6・7、制御装置8、等により構成している。
筐体2aは気密性を有する容器であり、その内部の空間を、ダイアフラム2bによって気密的に隔絶して、二つの気密性を有する空間B・Cを形成している。また、各空間B・Cは、それぞれ接続口2c・2dにおいて、外部と連通している。
また差圧計2においては、差圧を検出したときのダイアフラム2bの変形量によって、空間Bを含む空間と空間Cを含む空間の間で生じている差圧の大きさを検出することができる。尚、本実施形態では、差圧式リークテスタ10において、ダイアフラム式の差圧計2を採用する場合を例示しているが、本発明に係るリークテスト方法に用いる差圧式リークテスタの態様をこれに限定するものではない。
図3(a)に示す如く、マスキング装置9は、ワーク1に形成される空間Aの各開口部1a・1bを閉塞するための装置であり、基台部9a、蓋部9b、シール部材9c・9d、等により構成している。
また蓋部9bには、接続口9eを形成しており、マスキング装置9によって、各開口部1a・1bを閉塞した状態のワーク1における空間Aを、接続口9eにおいて、外部と連通する構成としている。
図2に示す如く、本発明の一実施形態に係るリークテスト方法では、マスキング装置9によって各開口部1a・1bが閉塞されるワーク1に、中子12を挿入するようにしている。
尚、本実施形態では、中子12が二つの部位(各中子12a・12b)からなる場合を例示しているが、中子12は、空間Aの形状に応じて、適宜分割態様を設定することができるものである。
また上中子12bは、ワーク1の上方の空間A2の内面から一定距離だけ離間した位置に形成される面を外面形状とする部材であり、蓋部9bに付設されている。
また、ワーク1の所定位置に蓋部9bを載置することにより、空間A2に上中子12bを挿入することができ、空間A2に空気が充填される空間の内容積を、上中子12bの体積分だけ減少させることができる。
つまり、空間Aに各中子12a・12bを挿入することによって、中子12の体積分だけ検査時に空間A(空間A1と空間A2の合計)に充填する空気量を少なくすることができる。
そして、配管装置5は、気密性が確保されているため、バルブ6を「閉」とすることによって、検査対象たる空間Aを含む配管系統の気密性を保持することができる。
図4(a)に示す如く、本発明の一実施形態に係るリークテスト方法において、差圧式リークテスタ10にワーク1を配置する場合には、まず、基台部9aの所定位置にシール部材9cを配置しておく。このときのシール部材9cの配置および形状は、ワーク1の下方の開口部1aの縁部1cの配置および形状に対応させている。また、基台部9aの所定位置には、下中子12aを配置しておく。このときの下中子12aの配置および形状は、ワーク1の下方の空間A1の配置および形状に対応させている。
このようにワーク1は、空間Aの気密性を確保するとともに、空間Aの内容積を減少させた状態で、ワーク配置部4に配置される。
図2および図4(b)に示す如く、リークテストに際しては、まずバルブ6・7を「開」として、圧力調整弁14によって所定の圧力に調整された空気を、圧空源13に接続された第三配管系統Zから、各空間A・Bを含む第一配管系統Xと各空間C・Dを含む第二配管系統Yに同時に(即ち、同じ圧力の空気を)所定量だけ供給する。
そして、各配管系統X・Yが所定の同じ圧力となったことを確認した時点で、バルブ6・7を「閉」とする。
これにより、各配管系統X・Yの内圧を所定の圧力に保持するとともに、各配管系統X・Yをダイアフラム2bを介して隔絶させた状態とする。
このように、空間A(即ち、ワーク1)に漏れ欠陥があると、空間Aを含む第一配管系統Xと空間Dを含む第二配管系統Yに差圧が生じるため、この差圧を、ダイアフラム2bによって検出する構成としている。
尚、一般的に差圧式リークテスタにおいては、ワーク1およびマスターチャンバー3の各配管系統X・Yにおける空気の温度変化が一定であれば、温度変化による測定結果への影響をキャンセルすることができるため、精度良く差圧を検出することができる。
図5に示す如く、差圧式リークテスタ10を用いたリークテストは、ワーク1に汚れ等が付着していない状態で行うことが望ましいため、検査工程の前工程として、ワーク1を洗浄する洗浄工程が行われるのが一般的である。
洗浄工程では、油分等を効果的に除去するために、ワーク1を加温して洗浄するのが一般的であり、洗浄装置16を出た直後のワーク1の温度T2は、工程の雰囲気温度T1(即ち、常温)に比して高くなっている場合が多い。
例えば、温度T2は40〜50℃程度となる場合があり、雰囲気温度T1の状況によっては、各温度T1・T2の温度差が20〜30℃程度となる場合がある。
このため従来は、ワーク1の温度が雰囲気温度T1になじむまでには至っていない状態で検査工程に移行しており、その後ワーク1が雰囲気温度T1になじんでいくことによって、検査中にワーク1の温度が変動していた。
本発明の一実施形態に係るリークテスト方法では、洗浄工程から検査工程に移行するまえに、温度T2で洗浄装置16から出てきたワーク1の温度を、検査工程の雰囲気温度T1になじませる工程であるなじませ工程を行うようにしている。
そして、なじませ工程において温度がT3となったワーク1を検査工程に移行させるようにしている。
そして、なじませ工程において、雰囲気温度T1になじませたワーク1の温度T3を測定し、設定温度Taの条件を満たしていれば、当該ワーク1を検査工程に移行するようにしている。即ち、温度T3は雰囲気温度T1に略一致する温度であるが、完全に一致している必要はない。
このように、検査工程の雰囲気温度T1を基準としてワーク1の温度を管理することにより、別途熱源手段や温度制御手段等を具備する必要がないため、簡易な設備により、ワークを含む配管系統とマスターチャンバーを含む配管系統の温度差の抑制を実現できる。
ファン15・15は、検査工程の空気をワーク1に吹付けることができるものであり、所謂扇風機のような簡易な態様のものを採用することができる。このため、温度制御手段等を具備する高価な装置を用いなくても、簡易な構成で、より効果的にワーク1の温度を工程の雰囲気温度T1になじませることができる。そしてこのような構成により、なじませ工程に要する時間を短縮することができる。
このような構成により、ファン15・15を追加するだけの簡易な構成で、ワーク1の温度を、放置するよりも短時間で検査工程の雰囲気温度T1になじませることができ、かつ、ワーク1を含む第一配管系統Xとマスターチャンバー3を含む第二配管系統Yの温度差を抑えることができ、漏れ欠陥の検出精度の向上を図ることができる。
また、検出精度の向上により、再検査を行う必要がなくなるため、検査工程に要する時間の短縮にも寄与することができる。
本発明の一実施形態に係るリークテスト方法では、ワーク1の温度を、雰囲気温度T1に略一致する温度T3とした状態で、差圧式リークテスタ10により検査を行う検査工程に移行するようにしている。
ワーク1の温度を雰囲気温度T1になじませておくと、検査時にワーク1に圧入された空気の断熱圧縮による発熱以外の温度変化の外乱を抑えることができるため、より精度良く差圧の測定を行うことができる。
ファン17は、検査工程の空気を、常時マスターチャンバー3に吹付けることができるものであり、所謂扇風機のような簡易な態様のものを採用することができる。
そして、マスターチャンバー3の温度がT4となっていれば、ワーク1を検査工程に移行させるようにしている。
このような構成により、ファン17を追加するだけの簡易な構成で、ワーク1を含む第一配管系統Xとマスターチャンバー3を含む第二配管系統Yの温度差を抑えることができ、漏れ欠陥の検出精度のさらなる向上を図ることができる。
そして、図4(b)と図6を比較すると、より精密に空間Aの形状を倣わせた中子12(各中子12a・12b)を挿入することによって、従来の空間Eに充填される空気量に比して、空間Aに充填される空気量が低減されていることが判る。
図7に示す如く、空間A(各空間A1・A2)の各内面から、約3mmだけ離間させた位置に外面を形成する中子を採用することによって、従来空気が充填される空間となっていた部分(図7中に示す二重斜線の部分)を、中子12に置換することができる。
これにより、従来に比して、第一配管系統Xに充填する空気量を低減させることが可能になり、第一配管系統Xに空気を圧入するのに要する時間、圧入時における圧力変動や温度変化を安定させるために放置する時間、空気の漏れを検出するのに要する時間等を短縮することができ、また、空気の漏れの検出感度も向上させることもできる。
このような構成により、漏れ欠陥の検出精度のさらなる向上と、検査時間の短縮を図ることができる。
1a 開口部
1b 開口部
3 マスターチャンバー
10 差圧式リークテスタ
12 中子
15 ファン(ワーク用)
17 ファン(マスターチャンバー用)
Claims (3)
- 内部に空間を有する検査対象たるワークに対して、前記空間の開口部を封止した状態で所定量の空気を充填したときの、前記空間の圧力と、
気密性を有する容器であるマスターチャンバーに対して、所定量の空気を充填したときの、前記マスターチャンバーにおける基準となる圧力と、の差圧を計測して、
前記ワークにおける漏れ欠陥の有無を検査する差圧式リークテスト装置を用いたリークテスト方法であって、
前記差圧式リークテスト装置による検査を行う検査工程と、
該検査工程の前工程との間に、
前記ワークの温度を、前記検査工程の雰囲気の温度になじませる工程を備え、
該検査工程の雰囲気の温度になじませる工程は、
ファンを用いて、前記検査工程の雰囲気の空気を前記ワークに吹付けて、
前記ワークの温度を、前記検査工程の雰囲気の温度になじませるとともに、
前記検査工程においては、
ファンを用いて、前記検査工程の雰囲気の空気を前記マスターチャンバーに常時吹付けて、
該マスターチャンバーの温度を、前記検査工程の雰囲気の温度に常時なじませておく、
ことを特徴とするリークテスト方法。 - 前記検査工程の雰囲気の温度になじませる工程は、
前記ワークの温度が、前記検査工程の雰囲気の温度を基準に設定する温度条件を満たすときに、前記検査工程の雰囲気の温度になじんだものと判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載のリークテスト方法。 - 前記検査工程において、
前記ワークの空間に、
該空間の内面から一定距離だけ離間した、前記空間に倣わせた外面形状を有する中子を挿入する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリークテスト方法。
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