JP2015158212A - スラスト軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】摺動部に対して安定的に潤滑油を供給可能とするスラスト軸受を提供する。
【解決手段】相対的に回転する2部材の端面間に挟み込まれた状態で配置される環状かつ樹脂製のスラスト軸受100であって、内周面側に潤滑油が供給される状態で用いられるスラスト軸受100において、両面に油供給用通路110,120が形成されると共に、油供給用通路110,120は、環状のスラスト軸受100の中心軸線と同心状に設けられる環状溝111,121と、内周面から環状溝111,121に至るように設けられる第1溝112,122と、環状溝111,121から外周面に至るように設けられる第2溝113,123と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】相対的に回転する2部材の端面間に挟み込まれた状態で配置される環状かつ樹脂製のスラスト軸受100であって、内周面側に潤滑油が供給される状態で用いられるスラスト軸受100において、両面に油供給用通路110,120が形成されると共に、油供給用通路110,120は、環状のスラスト軸受100の中心軸線と同心状に設けられる環状溝111,121と、内周面から環状溝111,121に至るように設けられる第1溝112,122と、環状溝111,121から外周面に至るように設けられる第2溝113,123と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、アキシアル荷重を受けるスラスト軸受に関する。
自動車用のAutomatic Transmission(AT)やContinuously Variable Transmission(CVT)など、回転軸を備えた各種装置においては、回転軸の摺動抵抗を低減させるために、スラスト軸受が設けられている。そして、材料費が安く、加工性に優れ、かつ軽量化も可能な樹脂製のスラスト軸受(スラストワッシャ)が知られている。この樹脂製のスラスト軸受は、金属製のニードルベアリングに比べると、フリクションや摩耗に対する耐性が劣る。そのため、摺動部に油膜等の潤滑膜を常時確保する必要がある。このような従来例に係るスラスト軸受について、図7を参照して説明する。図7は従来例に係るスラスト軸受の斜視図である。
従来例に係る樹脂製のスラスト軸受500は、環状部材により構成されており、その両面側にそれぞれ溝510,520が複数設けられている。このように構成されるスラスト軸受500は、回転軸の端面と非回転部材の端面との間に挟み込まれた状態で配置される。これにより、回転軸が回転することによって、回転軸の端面とスラスト軸受500との間、及び非回転部材の端面とスラスト軸受500との間で摺動する。
ここで、非回転部材は円筒状の部材により構成されており、その中空内部が潤滑油の通路となっている。そして、この通路からスラスト軸受500の回転中心付近に潤滑油が供給される。また、回転軸が回転している間、潤滑油は遠心力を受けて、遠心方向に流れていき、スラスト軸受500に設けられている溝510,520を介して、スラスト軸受500の径方向内側から外側に潤滑油が排出される。
以上のように、回転軸が回転している間、スラスト軸受500の両面側にそれぞれ設けられた複数の溝510,520に潤滑油が供給される。これにより、回転軸とスラスト軸受500との摺動部、及びスラスト軸受500と非回転部材との摺動部にそれぞれ潤滑油が供給される。従って、各摺動部には潤滑油による油膜が常時形成される。
しかしながら、溝510及び溝520への潤滑油の供給は、遠心力に頼っているため、回転軸の回転速度が遅い場合には、潤滑油の供給が不十分になってしまうこともある。特に、内周面や外周面から離れている付近には潤滑油が供給され難い。これにより、摺動による発熱量が大きくなり、摩耗が促進されてしまい易い。更に、回転軸が停止すると、溝510や溝520内の潤滑油は径方向外側に排出されてしまい、これらの溝内には潤滑油が殆ど残らない。そのため、回転軸の起動時に摩擦力が大きくなり、摩耗が発生し易くなってしまう。
本発明の目的は、摺動部に対して安定的に潤滑油を供給可能とするスラスト軸受を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、本発明のスラスト軸受は、
相対的に回転する2部材の端面間に挟み込まれた状態で配置される環状かつ樹脂製のスラスト軸受であって、内周面側に潤滑油が供給される状態で用いられるスラスト軸受において、
前記2部材のうちの少なくとも一方の部材との摺動面には、供給される潤滑油を径方向の内側から外側に送り出す油供給用通路が形成されると共に、
前記油供給用通路は、
環状のスラスト軸受の中心軸線と同心状に設けられる環状溝と、
内周面から前記環状溝に至るように設けられる第1溝と、
前記環状溝から外周面に至るように設けられる第2溝と、
を有することを特徴とする。
相対的に回転する2部材の端面間に挟み込まれた状態で配置される環状かつ樹脂製のスラスト軸受であって、内周面側に潤滑油が供給される状態で用いられるスラスト軸受において、
前記2部材のうちの少なくとも一方の部材との摺動面には、供給される潤滑油を径方向の内側から外側に送り出す油供給用通路が形成されると共に、
前記油供給用通路は、
環状のスラスト軸受の中心軸線と同心状に設けられる環状溝と、
内周面から前記環状溝に至るように設けられる第1溝と、
前記環状溝から外周面に至るように設けられる第2溝と、
を有することを特徴とする。
本発明によれば、2部材が相対的に回転すると、潤滑油が、遠心力により第1溝から環状溝に流れていき、更に、第2溝を通って、スラスト軸受の径方向の外側へと流れていく。これにより、スラスト軸受と2部材のうちの少なくとも一方の部材との摺動面には、潤滑油による油膜が形成される。そして、本発明における油供給用通路は環状溝を有するため、周方向全体に亘って油膜を形成させることができる。また、内周面や外周面から離れている付近には環状溝が形成されているので、この付近では摺動による発熱が殆ど生じない。更に、2部材の相対的な回転が停止した際においては、環状溝のうち、第2溝が繋がっている付近を除く領域において潤滑油を保持させることができる。これにより、2部材の相対的な回転の起動時においても、潤滑油による油膜を直ちに形成させることが可能となる。
第2溝の溝深さに比べて前記環状溝の溝深さの方が深いとよい。
こうすることで、2部材の相対的な回転が停止した際には、環状溝のうち、第2溝が繋がっている付近においても、環状溝内に潤滑油を保持させることができる。
更に、第1溝と第2溝は周方向にずらした位置に設けられているとよい。
こうすることで、第1溝から導かれた潤滑油の殆どは、環状溝を周方向に流れた後に第2溝から径方向外側に流れていくため、より確実に周方向全体に亘って油膜を形成させることができる。
前記油供給用通路は両面にそれぞれ設けられているとよい。
これにより、スラスト軸受が2部材の双方に対して摺動する場合であっても、双方の摺動部に対して好適に油膜を形成させることができる。
第1溝と第2溝は、それぞれ周方向に複数設けられているとよい。
これにより、より確実に周方向全体に亘って油膜を形成させることができる。
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
以上説明したように、本発明によれば、摺動部に対して安定的に潤滑油を供給すること
ができる。
ができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(実施例1)
図1及び図2を参照して、本発明の実施例1に係るスラスト軸受について説明する。本実施例に係るスラスト軸受100は、自動車用のATやCVTなど、回転軸を備えた各種装置において、回転軸の摺動抵抗を低減させるために用いることができる。また、本実施例に係るスラスト軸受100は、材料費が安く、加工性に優れ、かつ軽量化も可能な樹脂製のスラスト軸受(スラストワッシャ)である。
図1及び図2を参照して、本発明の実施例1に係るスラスト軸受について説明する。本実施例に係るスラスト軸受100は、自動車用のATやCVTなど、回転軸を備えた各種装置において、回転軸の摺動抵抗を低減させるために用いることができる。また、本実施例に係るスラスト軸受100は、材料費が安く、加工性に優れ、かつ軽量化も可能な樹脂製のスラスト軸受(スラストワッシャ)である。
<スラスト軸受の構成>
特に、図1を参照して、本実施例に係るスラスト軸受100の構成について説明する。図1は本発明の実施例1に係るスラスト軸受の平面図である。本実施例に係るスラスト軸受100は、環状かつ樹脂製の部材により構成される。そして、スラスト軸受100の両面には、供給される潤滑油を径方向の内側から外側に送り出すために、それぞれ油供給用通路110,120が形成されている。
特に、図1を参照して、本実施例に係るスラスト軸受100の構成について説明する。図1は本発明の実施例1に係るスラスト軸受の平面図である。本実施例に係るスラスト軸受100は、環状かつ樹脂製の部材により構成される。そして、スラスト軸受100の両面には、供給される潤滑油を径方向の内側から外側に送り出すために、それぞれ油供給用通路110,120が形成されている。
油供給用通路110は、環状溝111と第1溝112と第2溝113とから構成される。また、第1溝112と第2溝113は、等間隔に合計4か所ずつ設けられている。本実施例においては、第1溝112と第2溝113が一直線上に並ぶように設けられている。環状溝111は、環状のスラスト軸受100の中心軸線と同心状に設けられている。そして、第1溝112は内周面から環状溝111に至るように設けられ、第2溝113は環状溝111から外周面に至るように設けられている。また、環状溝111と第1溝112と第2溝113の溝深さは、いずれも同一となるように構成されている。
油供給用通路120も同様に、環状溝121と第1溝122と第2溝123とから構成される。また、第1溝122と第2溝123は、等間隔に合計4か所ずつ設けられている。本実施例においては、第1溝122と第2溝123が一直線上に並ぶように設けられている。環状溝121は、環状のスラスト軸受100の中心軸線と同心状に設けられている。そして、第1溝122は内周面から環状溝121に至るように設けられ、第2溝123は、環状溝121から外周面に至るように設けられている。また、環状溝121と第1溝122と第2溝123の溝深さは、いずれも同一となるように構成されている。
油供給用通路110と油供給用通路120は基本的に同一の構成であるが、第1溝11
2と第1溝122は、周方向に45°ずれるように配置されている。また、第2溝113と第2溝123も同様に、周方向に45°ずれるように配置されている。
2と第1溝122は、周方向に45°ずれるように配置されている。また、第2溝113と第2溝123も同様に、周方向に45°ずれるように配置されている。
<スラスト軸受の動作説明>
特に、図2を参照して、本実施例に係るスラスト軸受100の動作について説明する。図2は本発明の実施例1に係るスラスト軸受の使用時の状態を示す模式的断面図である。なお、図2中のスラスト軸受100は、図1中のAA断面図である。
特に、図2を参照して、本実施例に係るスラスト軸受100の動作について説明する。図2は本発明の実施例1に係るスラスト軸受の使用時の状態を示す模式的断面図である。なお、図2中のスラスト軸受100は、図1中のAA断面図である。
本実施例に係るスラスト軸受100は、相対的に回転する2部材の端面間に挟み込まれた状態で配置される。より具体的には、回転軸200の端面と、回転軸200の端面に対向して設けられる非回転部材300の端面に挟み込まれた状態で配置される。
非回転部材300は円筒状の部材により構成されており、回転軸200に向かって荷重がかかるように構成されている。なお、図2中、矢印Pは荷重がかかる方向を示している。そして、非回転部材300の中空内部は潤滑油の通路となっており、この通路からスラスト軸受100の回転中心付近に潤滑油が供給される。本実施例おいては、回転軸200が回転すると、回転軸200とスラスト軸受100との間、及びスラスト軸受100と非回転部材300との間でそれぞれ摺動する。なお、図2中、矢印Rは回転軸200の回転方向を示している。
そして、回転軸200が回転している間、潤滑油は遠心力を受けて、遠心方向に流れていく。これにより、回転軸200とスラスト軸受100との間において、潤滑油は、第1溝122から環状溝121に流れていき、更に、第2溝123を通って、スラスト軸受100の径方向の外側へと流れていく。また、スラスト軸受100と非回転部材300との間において、潤滑油は、第1溝112から環状溝111に流れていき、更に、第2溝113を通って、スラスト軸受100の径方向の外側へと流れていく。図2中、矢印Oは潤滑油の流れる方向を示している。
<本実施例に係るスラスト軸受の優れた点>
本実施例に係るスラスト軸受100によれば、回転軸200が回転している間、回転軸200とスラスト軸受100との間において、潤滑油が、第1溝122から環状溝121に流れていき、更に、第2溝123を通って、スラスト軸受100の径方向の外側へと流れていく。なお、第1溝122から環状溝121に流れてきた潤滑油の一部は、環状溝121を周方向に流れた後に、第2溝123へと流れていく。つまり、本実施例においては、第1溝122と第2溝123が一直線上に設けられているが、第1溝122から環状溝121に流れてきた潤滑油の一部は、当該第1溝122の直線上に設けられた第2溝123ではなく、他の第2溝123へと流れていく。同様に、スラスト軸受100と非回転部材300との間において、潤滑油が、第1溝112から環状溝111に流れていき、更に、第2溝113を通って、スラスト軸受100の径方向の外側へと流れていく。また、第1溝112から環状溝111に流れてきた潤滑油の一部は、当該第1溝112の直線上に設けられた第2溝113ではなく、他の第2溝113へと流れていく。そして、油供給用通路110,120に流れてきた潤滑油の一部が、スラスト軸受100と回転軸200との摺動面、及びスラスト軸受100と非回転部材300との摺動面に供給されて、それぞれ潤滑油による油膜が形成される。
本実施例に係るスラスト軸受100によれば、回転軸200が回転している間、回転軸200とスラスト軸受100との間において、潤滑油が、第1溝122から環状溝121に流れていき、更に、第2溝123を通って、スラスト軸受100の径方向の外側へと流れていく。なお、第1溝122から環状溝121に流れてきた潤滑油の一部は、環状溝121を周方向に流れた後に、第2溝123へと流れていく。つまり、本実施例においては、第1溝122と第2溝123が一直線上に設けられているが、第1溝122から環状溝121に流れてきた潤滑油の一部は、当該第1溝122の直線上に設けられた第2溝123ではなく、他の第2溝123へと流れていく。同様に、スラスト軸受100と非回転部材300との間において、潤滑油が、第1溝112から環状溝111に流れていき、更に、第2溝113を通って、スラスト軸受100の径方向の外側へと流れていく。また、第1溝112から環状溝111に流れてきた潤滑油の一部は、当該第1溝112の直線上に設けられた第2溝113ではなく、他の第2溝113へと流れていく。そして、油供給用通路110,120に流れてきた潤滑油の一部が、スラスト軸受100と回転軸200との摺動面、及びスラスト軸受100と非回転部材300との摺動面に供給されて、それぞれ潤滑油による油膜が形成される。
そして、本実施例に係る油供給用通路110,120は、それぞれ環状溝111,121を有するため、周方向全体に亘って油膜を形成させることができる。また、スラスト軸受100において内周面や外周面から離れている付近には環状溝111,121が形成されているので、この付近では摺動による発熱が殆ど生じない。以上のことから、摺動による摩耗を効果的に抑制することが可能となる。
また、本実施例に係るスラスト軸受100によれば、回転軸200の回転が停止した際においても、環状溝111,121のうち、第2溝113,123が繋がっている付近を除く領域に潤滑油を保持させることができる。これにより、回転軸200の起動時(回転再開時)においても、潤滑油による油膜を直ちに形成させることが可能となる。これにより、起動時における摺動摩耗も抑制することができる。
なお、本実施例に係るスラスト軸受100においては、その両面側にそれぞれ油供給用通路110,120が設けられる構成を採用している。これにより、スラスト軸受100の両面側の摺動部に対して好適に油膜を形成させることができる。
また、本実施例に係るスラスト軸受100においては、第1溝112,122と第2溝113,123は、それぞれ周方向に複数設けられている。これにより、より確実に周方向全体に亘って油膜を形成させることができる。なお、第1溝と第2溝の個数については、スラスト軸受100の大きさや、回転軸200の回転速度などの各種条件に応じて適宜設定すればよい。
なお、一般的には、スラスト軸受100は、その中心軸線が鉛直方向となるように用いられ、この場合には、上述した作用効果が十分に得られる。ただし、本実施例に係るスラスト軸受100は、その中心軸線が鉛直方向とはならないように用いられる場合でも、上述した作用効果をある程度得ることが可能となる。例えば、スラスト軸受100の中心軸線が水平方向となるようにスラスト軸受100が用いられる場合、図1中の下側が鉛直方向の下方の位置で回転軸200が停止すると、油供給用通路110側の潤滑油は下方に流れ落ちてしまう。しかしながら、油供給用通路120側においては、図中、領域Xに示す付近に潤滑油を保持させておくことが可能となる。このように、回転軸200が停止した際に、第2溝113,123が鉛直方向の下向きにならなければ、潤滑油を保持させておくことが可能となる。なお、回転軸200が回転している場合においては、スラスト軸受100の中心軸線が鉛直方向となるように用いられる場合ではなくても、スラスト軸受100の中心軸線が鉛直方向となるように用いられる場合と同様の作用効果を得ることができる。
(実施例2)
図3及び図4には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1では、環状溝と第1溝と第2溝の溝深さが、いずれも同一となるように構成される場合を示したが、本実施例においては、環状溝の溝深さが、第1溝と第2溝の溝深さに比べて深くなるように構成される場合を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
図3及び図4には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1では、環状溝と第1溝と第2溝の溝深さが、いずれも同一となるように構成される場合を示したが、本実施例においては、環状溝の溝深さが、第1溝と第2溝の溝深さに比べて深くなるように構成される場合を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
図3は本発明の実施例2に係るスラスト軸受の平面図である。図4は本発明の実施例2に係るスラスト軸受の使用時の状態を示す模式的断面図である。なお、図4中のスラスト軸受100は、図3中のBB断面図である。
本実施例に係るスラスト軸受100も、実施例1の場合と同様に、環状かつ樹脂製の部材により構成される。また、スラスト軸受100の両面には、供給される潤滑油を径方向の内側から外側に送り出すために、それぞれ油供給用通路110,120が形成されている。
そして、油供給用通路110が環状溝111aと第1溝112と第2溝113とから構成され、油供給用通路120が環状溝121aと第1溝122と第2溝123とから構成される点については、実施例1と同様である。本実施例においては、環状溝111aの溝
深さが、第1溝112と第2溝113の溝深さに比べて深く、かつ環状溝121aの溝深さが、第1溝122と第2溝123の溝深さに比べて深い点のみが、実施例1と異なっている。
深さが、第1溝112と第2溝113の溝深さに比べて深く、かつ環状溝121aの溝深さが、第1溝122と第2溝123の溝深さに比べて深い点のみが、実施例1と異なっている。
以上のように構成される本実施例に係るスラスト軸受100においても、上記実施例1の場合と同様の作用効果が得られることは言うまでもない。また、本実施例の場合には、第2溝113,123の溝深さに比べて、環状溝111a,121aの溝深さの方がそれぞれ深いため、実施例1の場合に比べて、次の点で有利である。
すなわち、スラスト軸受100の中心軸線が鉛直方向となるように用いられる場合、実施例1の場合には、回転軸200が停止すると、環状溝111,121のうち、それぞれ第2溝113,123が繋がっている付近においては、潤滑油が第2溝113,123からスラスト軸受100の径方向の外側に流れ出してしまう。これに対して、本実施例の場合には、環状溝111a,121aのうち、それぞれ第2溝113,123が繋がっている付近においても、環状溝111a,121a内に潤滑油を保持させることができる。従って、回転軸200が停止している間において、実施例1の場合に比べて、本実施例の場合の方が、潤滑油の保持量を多くすることができる。
なお、スラスト軸受100の中心軸線が水平方向となるように用いられる場合には、実施例1の場合と同様の作用効果を得ることができる。つまり、図3中の下側が鉛直方向の下方の位置で回転軸200が停止しても、油供給用通路120側においては、図中、領域Xに示す付近に潤滑油を保持させておくことが可能となる。
以上のように、本実施例の場合には、実施例1の場合に比べて、回転軸200が停止した際における潤滑油の保持能力を高くすることができる。また、回転軸200が回転している際においても、環状溝111a,121aと第2溝113,123との間にそれぞれ段差があることにより、潤滑油が第1溝112,122から第2溝113,123に直線的に流れてしまうことを抑制することができる。言い換えれば、環状溝111a,121aを周方向に流れる潤滑油を実施例1の場合よりも増やすことができる。
(実施例3)
図5には、本発明の実施例3が示されている。上記実施例1では、第1溝と第2溝が一直線上に設けられる場合の構成を示したが、本実施例では、第1溝と第2溝が周方向にずらした位置に設けられる場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。図5は本発明の実施例3に係るスラスト軸受の平面図である。
図5には、本発明の実施例3が示されている。上記実施例1では、第1溝と第2溝が一直線上に設けられる場合の構成を示したが、本実施例では、第1溝と第2溝が周方向にずらした位置に設けられる場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。図5は本発明の実施例3に係るスラスト軸受の平面図である。
本実施例に係るスラスト軸受100も、実施例1の場合と同様に、環状かつ樹脂製の部材により構成される。また、スラスト軸受100の両面には、供給される潤滑油を径方向の内側から外側に送り出すために、それぞれ油供給用通路110,120が形成されている。
そして、油供給用通路110が環状溝111と第1溝112aと第2溝113aとから構成され、油供給用通路120が環状溝121と第1溝122aと第2溝123aとから構成される点については、実施例1と同様である。本実施例においては、第1溝112aと第2溝113aが周方向にずらした位置に設けられ、かつ第1溝122aと第2溝123aが周方向にずらした位置に設けられている点のみが、実施例1と異なっている。より具体的には、第1溝112aと第2溝113aが周方向に45°ずらした位置に設けられ、かつ第1溝122aと第2溝123aが周方向に45°ずらした位置に設けられている。
以上のように構成される本実施例に係るスラスト軸受100においても、上記実施例1の場合と同様の作用効果が得られることは言うまでもない。また、本実施例の場合には、第1溝112aと第2溝113aが周方向にずらした位置に設けられ、かつ第1溝122aと第2溝123aが周方向にずらした位置に設けられているため、実施例1の場合に比べて、次の点で有利である。
上記実施例1に係るスラスト軸受100の場合には、第1溝と第2溝が一直線上に設けられているため、回転軸200の回転時に、潤滑油の一部は第1溝から第2溝に直線的に流れてしまう。これに対して、本実施例に係るスラスト軸受100の場合、第1溝112a,122aから導かれた潤滑油の殆どは、環状溝111,121を周方向に流れた後に第2溝113a,123aから径方向外側に流れていく。従って、より確実に周方向全体に亘って油膜を形成させることができる。
(実施例4)
図6には、本発明の実施例4が示されている。本実施例においては、上記実施例3に示す構成において、実施例2の場合と同様に、環状溝の溝深さが、第1溝と第2溝の溝深さに比べて深くなるように構成される場合を示す。その他の構成および作用については上記各実施例と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。図6は本発明の実施例4に係るスラスト軸受の平面図である。
図6には、本発明の実施例4が示されている。本実施例においては、上記実施例3に示す構成において、実施例2の場合と同様に、環状溝の溝深さが、第1溝と第2溝の溝深さに比べて深くなるように構成される場合を示す。その他の構成および作用については上記各実施例と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。図6は本発明の実施例4に係るスラスト軸受の平面図である。
本実施例に係るスラスト軸受100も、上記各実施例の場合と同様に、環状かつ樹脂製の部材により構成される。また、スラスト軸受100の両面には、供給される潤滑油を径方向の内側から外側に送り出すために、それぞれ油供給用通路110,120が形成されている。
そして、油供給用通路110が環状溝111aと第1溝112aと第2溝113aとから構成され、油供給用通路120が環状溝121aと第1溝122aと第2溝123aとから構成される点については、上記各実施例と同様である。
本実施例においては、上記実施例3の場合と同様に、第1溝112aと第2溝113aが周方向にずらした位置に設けられ、かつ第1溝122aと第2溝123aが周方向にずらした位置に設けられている。より具体的には、第1溝112aと第2溝113aが周方向に45°ずらした位置に設けられ、かつ第1溝122aと第2溝123aが周方向に45°ずらした位置に設けられている。
また、本実施例においては、上記実施例2の場合と同様に、環状溝111aの溝深さが、第1溝112aと第2溝113aの溝深さに比べて深く、かつ環状溝121aの溝深さが、第1溝122aと第2溝123aの溝深さに比べて深くなるように構成されている。
以上のように構成される本実施例に係るスラスト軸受100においても、上記実施例1の場合と同様の作用効果が得られることは言うまでもない。また、本実施例の場合には、上記実施例2及び実施例3の場合と同様の利点も得ることができる。
(その他)
上記各実施例においては、スラスト軸受の両面にそれぞれ油供給用通路が形成される場合の構成を示した。しかしながら、スラスト軸受が、相対的に回転する2部材のうちの一方の部材との間でのみ摺動する場合には、スラスト軸受の両面のうちの摺動する面側にのみ油供給用通路を設ける構成を採用してもよい。
上記各実施例においては、スラスト軸受の両面にそれぞれ油供給用通路が形成される場合の構成を示した。しかしながら、スラスト軸受が、相対的に回転する2部材のうちの一方の部材との間でのみ摺動する場合には、スラスト軸受の両面のうちの摺動する面側にのみ油供給用通路を設ける構成を採用してもよい。
100 スラスト軸受
110,120 油供給用通路
111,111a,121,121a 環状溝
112,112a,122,122a 第1溝
113,113a,123,123a 第2溝
200 回転軸
300 非回転部材
110,120 油供給用通路
111,111a,121,121a 環状溝
112,112a,122,122a 第1溝
113,113a,123,123a 第2溝
200 回転軸
300 非回転部材
Claims (5)
- 相対的に回転する2部材の端面間に挟み込まれた状態で配置される環状かつ樹脂製のスラスト軸受であって、内周面側に潤滑油が供給される状態で用いられるスラスト軸受において、
前記2部材のうちの少なくとも一方の部材との摺動面には、供給される潤滑油を径方向の内側から外側に送り出す油供給用通路が形成されると共に、
前記油供給用通路は、
環状のスラスト軸受の中心軸線と同心状に設けられる環状溝と、
内周面から前記環状溝に至るように設けられる第1溝と、
前記環状溝から外周面に至るように設けられる第2溝と、
を有することを特徴とするスラスト軸受。 - 第2溝の溝深さに比べて前記環状溝の溝深さの方が深いことを特徴とする請求項1に記載のスラスト軸受。
- 第1溝と第2溝は周方向にずらした位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のスラスト軸受。
- 前記油供給用通路は両面にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1,2または3に記載のスラスト軸受。
- 第1溝と第2溝は、それぞれ周方向に複数設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のスラスト軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014031776A JP2015158212A (ja) | 2014-02-21 | 2014-02-21 | スラスト軸受 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017180584A (ja) * | 2016-03-29 | 2017-10-05 | 大豊工業株式会社 | ワッシャ |
WO2017170550A1 (ja) * | 2016-03-29 | 2017-10-05 | 大豊工業株式会社 | ワッシャ |
WO2018097293A1 (ja) * | 2016-11-28 | 2018-05-31 | 大豊工業株式会社 | スラストワッシャ |
US10145411B2 (en) | 2016-09-01 | 2018-12-04 | Freudenberg-Nok General Partnership | Thrust washers with hydrodynamic features |
US10774876B1 (en) | 2019-04-25 | 2020-09-15 | Freudenberg-Nok General Partnership | Hydrodynamic thrust washers with pumping features for sparse lubrication applications |
-
2014
- 2014-02-21 JP JP2014031776A patent/JP2015158212A/ja active Pending
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