JP2015154837A - 担架運搬補助装置 - Google Patents

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真弘 渋谷
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Abstract

【課題】通行可能な平坦部が担架の幅より狭い足場でも、担架を少人数の運搬者によって運搬することができる担架運搬補助装置を提供すること。【解決手段】担架運搬補助装置1は、一対の平行な支持棒110と、支持棒110の間に張架したシート120とを有する担架100に装着され、担架100の移動を補助する。担架運搬補助装置1は、担架100の一対の支持棒110の一端110aに着脱自在に装着される支柱部10と、支柱部10の下端に配設され、担架100の幅方向中央に位置付けられる一輪の車輪20と、を有し、担架100の支持棒110の他端110bを支持する運搬者が一人で担架100を運搬でき、足場が担架100の幅より狭い場合も一輪の車輪20で担架100を支持できる。【選択図】図1

Description

本発明は、担架を運搬する際に用いられる補助装置に関する。
災害時に建物から屋外へと避難する際に、受傷者や自力で移動できない人(運搬対象者)などを移動させる手段として、二本の支持棒の間に運搬対象者を乗せるための布などを張った担架が用いられる。担架においては、支持棒の両端を複数の人(運搬者)が支えて、一人の運搬対象者を運搬するため、長時間の移動の場合、運搬者側にかかる労力は多大となり、多くの運搬対象者を運搬することは実際には困難であるという問題がある。このようなことから、二本の支持棒の鉛直方向の下方にキャスターを取付可能な担架が考案されている(例えば、特許文献1参照)。このような担架では、キャスターを取り付けることにより、平地において、一人の運搬者により担架を運搬することができる。
特開2005−245563号公報
しかしながら、キャスターを取り付けた担架では、二本の支持棒のそれぞれの鉛直方向の下方にキャスターが配設されており、災害時で障害物が散乱して通行可能な平坦部が担架の幅(二本の支持棒の長手方向に対して直交する方向の幅)より狭くなった足場を移動する際、キャスターが足場上の障害物と干渉し、一人の運搬者では担架を運搬することが困難になるという問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、通行可能な平坦部が担架の幅より狭い足場でも、担架を少人数の運搬者によって運搬することができる担架運搬補助装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、一対の平行な支持棒と、支持棒の間に張架したシートとを有する担架に装着され、担架の移動を補助する担架運搬補助装置であって、担架の一対の支持棒の一端に着脱自在に装着される支柱部と、支柱部の下端に配設され、担架の幅方向中央に位置付けられる一輪の車輪と、を有し、担架の支持棒の他端を支持する運搬者が一人で担架を運搬でき、足場が担架の幅より狭い場合も一輪の車輪で担架を支持できることを特徴とする。
また、上記担架運搬補助装置において、車輪を挟んだ両脇の支柱部に回動自在に配設され、先端に補助車輪を備えた一対の補助部と、補助車輪が車輪を補助して担架を支持する補助位置と、補助車輪が上方に収容される収容位置とに、補助部を回動させて位置付ける位置付け手段とをさらに備え、車輪による単輪走行と、補助部を併せて用いる三輪走行を選択できることが好ましい。
本発明によれば、担架の一対の平行な支持棒の一端に着脱自在に装着される支柱部と、支柱部の下端に配設され、担架の幅方向中央に位置付けられる一輪の車輪と、を有し、担架の支持棒の他端を支持する運搬者が一人で担架を運搬でき、足場が担架の幅より狭い場合も一輪の車輪で担架を支持できる。したがって、本発明によれば、通行可能な平坦部が担架の幅より狭い足場でも、担架を少人数の運搬者によって運搬することができるという効果を奏する。
図1は、実施形態1に係る担架運搬補助装置の構成例を示す図である。 図2は、実施形態1に係る担架運搬補助装置の使用例を示す図である。 図3は、実施形態2に係る担架運搬補助装置の構成例を示す図である。 図4は、実施形態2に係る担架運搬補助装置の三輪走行での使用例を示す図である。 図5は、実施形態2に係る担架運搬補助装置の単輪走行での使用例を示す図である。 図6は、実施形態3に係る担架運搬補助装置の構成例を示す図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る担架運搬補助装置の構成例を示す図である。図2は、実施形態1に係る担架運搬補助装置の使用例を示す図である。図1に示す担架運搬補助装置1は、担架100に装着され、足場Gでの担架100の移動を補助するものである。本実施形態では、受傷者や自力で移動できない人(運搬対象者)および支持棒110を支える人(運搬者M)として、一般的な成人を想定しており、この一般的な成人の体格(例えば身長が170cm程度、体重が60kg程度)に基づいて、担架運搬補助装置1の各構成部材の寸法が設定されている。担架運搬補助装置1は、図1に示すように、支柱部10と、車輪20と、を含んで構成されている。
ここで、担架100は、一般的な成人の身長よりも長い一対の平行な支持棒110と、一対の平行な支持棒110の間に張架され、運搬対象者が乗せられるシート120と、を有している。また、担架100は、複数の運搬者Mが一対の平行な支持棒110の両端110a、110b側を把持し、シート120に乗せた運搬対象者を支持しつつ運搬するためのものである。担架100の幅は、一対の平行な支持棒110の長手方向に対して、一対の平行な支持棒110同士に直交する方向の幅であり、運搬者Mが脇を締めて担架100を運搬することができ、運搬対象者をシート120に乗せることができる幅に設定されている。担架100の幅は、例えば50〜60cm程度である。
支柱部10は、担架100の一対の支持棒110の一端110aに着脱自在に装着される支柱であり、一対の支持棒110を支え、車輪20を挟んで支持する支柱である。支柱部10は、支柱本体11と、横架部材12と、支持部13と、を備えている。
支柱本体11は、一対の支持棒110の長手方向視において、コ字形状に形成されている。支柱本体11は、例えば、円筒状の鋼材から形成されている。支柱本体11は、一対の支持棒110の一端110a側から鉛直方向の下方に向けて延在された一対の柱部11aと、一対の柱部11aの鉛直方向の下端同士を連結する梁部11bと、一対の柱部11aの上端に設けられた装着部11cと、を一体に有している。
一対の柱部11aは、担架100の幅方向に間隔をおいて互いに平行に、鉛直方向に対して平行に延在されて形成されている。一対の柱部11aは、車輪20を挟んで支持する支柱部10の両脇である。梁部11bは、担架100の幅方向に対して平行に延在されて形成されている。梁部11bの鉛直方向の下端の足場Gに対する鉛直方向の高さは、梁部11bの鉛直方向の下方に位置する障害物との干渉を抑えることができる高さに設定されている。装着部11cは、一対の支持棒110の一端110a側のそれぞれに着脱自在に装着されるものである。装着部11cは、例えば、一対の支持棒110の一端110a側の外周面を挟持するクランプと、その外周面に対してクランプを締め付けたり緩めたりする締緩部材と、を有している。締緩部材としては、運搬者Mなどが手作業で外周面に対してクランプを締緩することで、担架運搬補助装置1を担架100に着脱させることができるように、例えば蝶ボルトとナットなどを用いることができる。
横架部材12は、一対の柱部11aの鉛直方向の上端側に配設され、一対の柱部11a同士の間に配設されている。横架部材12は、担架100の幅方向に対して平行に延在されている。横架部材12の両端は、一対の柱部11aのそれぞれに連結されている。横架部材12は、支柱本体11と同様に、円筒状の鋼材から形成されている。
支持部13は、車輪20を回転自在に支持するものである。支持部13は、梁部11bの長手方向の中央部の鉛直方向の下端から下方に向けて延在されている。支持部13は、車輪20を挟んで、担架100の幅方向に間隔をおいて二つ配設されている。つまり、支柱部10は、車輪20を挟んで支持する。支持部13同士の間隔は、車輪20を回転自在に支持することができる間隔であり、一対の柱部11a同士の間隔より狭い間隔である。
車輪20は、足場Gの通行可能な平坦部上を転がる車輪である。車輪20は、支持部13に対して、回転自在に取り付けられている。車輪20は、担架100の幅方向の中央に一つ配置されている。つまり、車輪20は、担架100の幅方向中央に位置付けられる一輪の車輪である。車輪20は、その回転軸の軸方向が、担架100の幅方向に対して平行である。車輪20の幅(回転軸の軸方向の幅)は、支持部13同士の間隔より狭い幅である。車輪20の直径は、担架運搬補助装置1が装着された担架100の一対の支持棒110の他端110b側を運搬者Mが通常の立位姿勢で把持した際に、一対の支持棒110が水平面に対して平行状態になるように、一対の柱部11aおよび支持部13の鉛直方向の寸法に基づいて設定されている。車輪20は、ホイール21と、ホイール21の外周に取り付けられたタイヤ22と、を備えている。タイヤ22は、担架運搬補助装置1が装着された担架100により運搬対象者を運搬する際に、運搬対象者や担架運搬補助装置1などを含む荷重に耐える強度を有し、足場Gの凹凸により生じる振動を吸収することができる空気入りタイヤやソリッドゴムタイヤなどである。
ここで、足場Gとは、例えば、屋内の床、屋外の舗装路面や未舗装路面、溝や窪みを覆う平板など、担架運搬補助装置1が装着された担架100を一人の運搬者Mにより運搬することができる足場である。また、通行可能な平坦部とは、担架運搬補助装置1が装着された担架100を一人の運搬者Mにより運搬する際に、支柱部10と車輪20とに対して干渉する障害物のない足場G上での部分であり、車輪20が安定して転がることができる程度に平坦となっている部分である。このため、通行可能な平坦部では、足場Gが担架100の幅より狭い場合も一輪の車輪20で、担架100を支持することができる。また、通行可能な平坦部では、担架100の一対の支持棒110の他端110bを支持する運搬者Mが一人で担架100を運搬することができる。なお、通行可能な平坦部は、担架運搬補助装置1が装着された担架100を一人の運搬者Mにより運搬する際に、担架100に乗せられた運搬対象者に対して許容することができる範囲の凹凸や傾斜があってもよい。
次に、以上のように構成された担架運搬補助装置1の動作について説明する。なお、担架運搬補助装置1は、図2に示すように、予め運搬者Mによって、装着部11cが一対の支持棒110の一端110a側に取り付けられ、装着部11cのクランプが締緩部材で締め付けられることで、担架100に装着される。
通行可能な平坦部が担架100の幅より広い足場Gにおいて、担架運搬補助装置1が装着された担架100を運搬する場合、図2に示すように、担架100は、一人の運搬者Mにより、一対の支持棒110の他端110b側が把持されつつ、他端110b側が一端110a側に向かう方向(同図に示す矢印a)へ押される。ここで、担架100では、担架運搬補助装置1により一対の支持棒110の一端110a側が支持されており、一対の支持棒110の他端110b側が運搬者Mにより把持されると、一対の支持棒110が水平面に対して平行状態になる。また、担架運搬補助装置1では、運搬者Mが通常の立位姿勢で一対の支持棒110の他端110b側を把持しながら押すと、車輪20が足場G上を転がり、運搬者Mが押す方向(同図に示す矢印a)に担架100が移動することを補助する。このため、担架100は、一人の運搬者Mが押す方向に運搬される。
一方、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い足場Gにおいて、担架運搬補助装置1が装着された担架100を運搬する場合、上記の通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い足場Gにおける場合と同様に、担架100は、一人の運搬者Mにより他端110b側が把持されつつ、他端110b側が一端110a側に向かう方向へ押される。ここで、担架100では、一対の支持棒110が水平面に対して平行状態になり、担架運搬補助装置1では、車輪20が通行可能な平坦部上を転がり、運搬者Mが押す方向に担架100が移動することを補助する。また、担架運搬補助装置1では、鉛直方向視で障害物と担架100とが重なっていても、足場Gに対する障害物の鉛直方向の高さが梁部11bの下端より下方であれば、支柱本体11に障害物が干渉することなく、運搬者Mが押す方向に担架100が移動することを補助する。このため、担架運搬補助装置1では、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い足場Gでも一輪の車輪20で、担架100を支持する。また、担架運搬補助装置1では、担架100の一対の支持棒110の他端110b側を把持する運搬者Mが、一人で担架100を運搬することができる。
以上のように、実施形態1に係る担架運搬補助装置1によれば、一対の柱部11aの鉛直方向の下端の位置が高く設定され、二つの支持部13同士の幅が一対の柱部11aの幅より狭く、車輪20が担架100の幅方向中央に位置付けられ、かつ一輪であるので、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い足場Gにおいて、鉛直方向視で担架100と重なる障害物が支柱本体11に干渉することを抑えることができる。このため、担架運搬補助装置1によれば、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い足場Gにおいても、他端110b側を把持する一人の運搬者Mが押す方向に向かって、担架100が移動することを補助することができる。つまり、担架運搬補助装置1によれば、担架100の支持棒110の他端110b側を把持する運搬者Mが一人で担架100を運搬することができ、平坦部が担架100の幅より狭い場合も一輪の車輪20で担架100を支持することができる。したがって、担架運搬補助装置1によれば、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い足場Gでも、担架100を少人数の運搬者Mによって運搬することができるという効果を奏する。
〔実施形態2〕
図3は、実施形態2に係る担架運搬補助装置の構成例を示す図である。図4は、実施形態2に係る担架運搬補助装置の三輪走行での使用例を示す図である。図5は、実施形態2に係る担架運搬補助装置の単輪走行での使用例を示す図である。実施形態2に係る担架運搬補助装置1Aは、補助車輪31を設けた点で、上記の実施形態1に係る担架運搬補助装置1とは異なっている。なお、上記の実施形態1と共通する構成、作用、効果については、重複した記載はできるだけ省略する(以下で説明する他の実施形態でも同様である)。
図3に示す担架運搬補助装置1Aは、支柱部10と、車輪20と、を含み、さらに一対の補助部30と、位置付け手段40と、を備えている。
一対の補助部30は、車輪20を挟んで支持する支柱部10の両脇、つまり一対の柱部11aに配設されている。一対の補助部30のそれぞれは、補助車輪31と、補助車輪31を支持する支持部32と、を備えている。
補助車輪31は、担架100の幅方向に間隔をおいて、車輪20を挟んで二つ配置されている。補助車輪31は、支持部32の後述する先端部32bの長手方向に対して直交する回転軸周りに回転自在に支持されている。補助車輪31は、先端部32bの長手方向に対して平行な軸線周りに回転自在に支持されている。補助車輪31は、先端部32bの長手方向に対して平行な軸線と、先端部32bの長手方向に対して直交する回転軸とが偏倚している、いわゆるキャスターである。つまり、補助車輪31は、互いに独立して、回転軸周りおよび軸線周りに回転自在である。補助車輪31の直径は、例えば、車輪20の直径の半分程度である。補助車輪31同士の幅は、担架運搬補助装置1で担架100を安定に支持することができる幅に設定されている。好ましくは、補助車輪31同士の幅は、担架100の幅より狭く、担架運搬補助装置1で担架100を安定に支持することができる幅に設定されている。好ましくは、補助車輪31同士の幅は、担架100の幅より狭く、車輪20の幅より広く設定される。補助車輪31は、ホイール31aと、ホイール31aの外周に取り付けられたタイヤ31bと、を備えている。タイヤ31bは、車輪20と同様に、空気入りタイヤやソリッドゴムタイヤなどである。
支持部32は、担架100の幅方向視において、L字形状に形成されている。支持部32の基端部32aは、位置付け手段40に取り付けられている。支持部32の基端部32aの長さは、担架100の幅方向視において、補助車輪31が車輪20に重なるように設定されている。支持部32の先端部32bには、補助車輪31が取り付けられている。つまり、補助車輪31は、一対の補助部30の先端に設けられている。
位置付け手段40は、補助車輪31が車輪20を補助して担架100を支持する補助位置(図4に示す位置)と、補助車輪31が鉛直方向の上方に収容される収容位置(図5に示す位置)とに、補助部30を回動させて位置付けるものである。また、位置付け手段40は、一対の柱部11aに対して、一対の補助部30を後述する回動軸41周りに回動自在に支持するものである。位置付け手段40は、支持棒110の長手方向において、一対の柱部11aのそれぞれに対して、他端110b側に取り付けられている。位置付け手段40は、回動軸41と、図示しないロック機構と、を備えている。
回動軸41は、その軸線方向が、担架100の幅方向と平行である。つまり、位置付け手段40は、回動軸41周りに支持部32が回動可能であり、支持部32に取り付けられた補助車輪31が鉛直方向に昇降可能である。つまり、一対の補助部30は、互いに独立して回動軸41周りに回動自在(同図に示す矢印b)である。ロック機構は、補助部30の位置が補助位置になると、回動軸41周りに補助部30が回動することを規制し、補助部30を補助位置に位置付ける。また、ロック機構は、補助部30の位置が収容位置になると、回動軸41周りに補助部30が回動することを規制し、補助部30を収容位置に位置付ける。また、ロック機構は、補助部30の位置が補助位置または収容位置ではないと、回動軸41周りに補助部30が回動することを規制しない。つまり、ロック機構は、運搬者Mなどにより補助部30の位置が各位置になると、回動軸41周りに補助部30が回動することを規制するように構成されている。また、ロック機構は、運搬者Mなどの手作業などにより、その規制を解除するように構成されている。
ここで、補助位置とは、図4に示すように、補助部30の位置が、二つの補助車輪31と一つの車輪20とを足場Gに接触させることができる位置であり、三輪で担架100を支持することができる位置である。つまり、補助位置とは、担架運搬補助装置1Aが三輪走行することができる位置である。また、収容位置とは、図5に示すように、補助部30の位置が、鉛直方向視で担架100と重なる障害物から補助車輪31を退避させることができる位置であり、一つの車輪20で担架100を支持することができる位置である。つまり、収容位置とは、担架運搬補助装置1Aが単輪走行することができる位置である。このため、担架運搬補助装置1Aは、補助部30の位置を各位置に位置付けることにより、車輪20による単輪走行と、補助部30を併せて用いる三輪走行とを選択することができる。なお、収容位置では、梁部11bの鉛直方向の下端の下方に位置する障害物との干渉を抑えるために、鉛直方向において、補助車輪31の下端の位置が、梁部11bの下端より上方に位置することが好ましい。
次に、以上のように構成された担架運搬補助装置1Aの動作について説明する。
通行可能な平坦部が担架100の幅より広い足場Gにおいて、担架運搬補助装置1Aが装着された担架100を運搬する場合、図4に示すように、補助部30が補助位置に位置付けられる。ここで、担架運搬補助装置1Aでは、運搬者Mなどにより補助部30の位置が補助位置になると、位置付け手段40によって、支持部32が回動軸41周りに回動することが規制され、補助部30が補助位置に位置付けられた状態で固定される。つまり、担架運搬補助装置1Aでは、補助部30を併せて用いる三輪走行が選択され、一つの車輪20に加え、二つの補助車輪31でも担架100の一端110a側を支持する。このため、担架運搬補助装置1Aでは、担架100の幅方向に間隔をおいて配置された二つの補助車輪31により担架100の一端110a側が支持されており、担架100の幅方向に対する安定性が向上するので、一つの車輪20、つまり単輪で担架100を支持する場合よりも、担架100のバランスを運搬者Mがとりやすくなる。また、担架運搬補助装置1Aでは、他端110b側を把持する一人の運搬者Mにより、他端110b側から一端110a側に向かう方向(同図に示す矢印c)へ押されると、車輪20と補助車輪31とが足場G上を転がり、運搬者Mが押す方向に担架100が移動することを補助する。つまり、担架運搬補助装置1Aでは、車輪20と補助車輪31とにより、三輪走行する。このため、担架100は、一人の運搬者Mが押す方向に運搬される。
一方、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い足場Gにおいて、担架運搬補助装置1Aが装着された担架100を運搬する場合、図5に示すように、補助部30が収容位置に位置付けられる。ここで、担架運搬補助装置1Aでは、運搬者Mなどにより補助部30の位置が収容位置になると、位置付け手段40によって、支持部32が回動軸41周りに回動することが規制され、補助部30が収容位置に位置付けられた状態で固定される。つまり、担架運搬補助装置1Aでは、車輪20による単輪走行が選択され、一つの車輪20で担架100の一端110a側を支持する。また、担架運搬補助装置1Aでは、補助車輪31が鉛直方向の上方に収容され、鉛直方向視で担架100に重なる障害物が補助車輪31に干渉することが抑えられる。このため、担架運搬補助装置1Aでは、他端110b側を把持する一人の運搬者Mにより、他端110b側から一端110a側に向かう方向(同図に示す矢印d)へ押されると、車輪20が足場G上を転がり、運搬者Mが押す方向に担架100が移動することを補助する。つまり、担架運搬補助装置1Aでは、車輪20により、単輪走行する。このため、担架100は、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い足場Gにおいても、一人の運搬者Mにより、担架100を運搬することができる。
なお、担架運搬補助装置1Aが装着された担架100を方向転換させる場合には、二つの補助車輪31がキャスターであるため、車輪20付近を鉛直方向に対して平行となる回動中心として、一人の運搬者Mにより担架100を方向転換することができる。
以上のように、実施形態2に係る担架運搬補助装置1Aによれば、担架100の幅方向に間隔をおいて配置された二つの補助車輪31が回転自在に取り付けられた一対の補助部30と、一対の補助部30を補助位置と収容位置とに位置付ける位置付け手段40と、をさらに備え、位置付け手段40により一対の補助部30を補助位置または収容位置に位置付けることで、車輪20による単輪走行、または補助部30を併せて用いる三輪走行を選択することができる。このため、担架運搬補助装置1Aによれば、通行可能な平坦部が担架100より広い足場Gにおいては、三輪走行を選択することで、運搬者Mが担架100のバランスをとりやすくなり、一人の運搬者Mにより担架100を安定的に運搬することができる。また、担架運搬補助装置1Aによれば、通行可能な平坦部が担架100より狭い足場Gにおいては、単輪走行を選択することで、補助車輪31に障害物が干渉することを抑え、一人の運搬者Mにより担架100を運搬することができる。したがって、担架運搬補助装置1Aによれば、通行可能な平坦部が担架100の幅より広い足場Gでは、少人数の運搬者Mにより担架100を安定的に運搬することができ、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い足場Gでは、少人数の運搬者Mにより担架100を運搬することができるという効果を奏する。
〔実施形態3〕
図6は、実施形態3に係る担架運搬補助装置の構成例を示す図である。実施形態3に係る担架運搬補助装置1Bは、運搬者Mが手元で位置付け手段40のロック機構による規制を解除することができる点で、上記の実施形態1、2とは異なる。
図6に示す担架運搬補助装置1Bは、支柱部10と、車輪20と、補助部30と、位置付け手段40と、を含み、さらにロック操作部50を備えている。
ロック操作部50は、位置付け手段40のロック機構による規制、すなわち補助位置または収容位置に位置付けられた補助部30が回動軸41周りに回動することを規制されている状態(ロック状態)を解除するものである。ロック操作部50は、一対の支持棒110のうち、少なくとも一方の支持棒110の他端110b側に着脱自在に装着されている。ロック操作部50は、一対の支持棒110の他端110b側を把持する運搬者Mにより操作されることで、位置付け手段40のロック機構の動作を制御する。本実施形態では、ロック操作部50は、一対の支持棒110のうち、一方の支持棒110の他端110b側に着脱自在に装着され、二つの位置付け手段40のそれぞれのロック機構の動作を同時に制御する。ロック操作部50は、操作レバー51と、装着部52と、ケーブル53と、を備え、ケーブル53を介して位置付け手段40と接続されている。
操作レバー51は、例えば、運搬者Mが一対の支持棒110の他端110b側を把持した状態で、運搬者Mが操作可能なものであり、例えば梃子状可動部材(カンチレバー)である。操作レバー51は、装着部52に対して一端側が回動自在に取り付けられている。装着部52は、支持棒110の他端110b側の外周面を挟持するクランプと、外周面に対してクランプを締緩可能な締緩部材と、を有している。締緩部材としては、運搬者Mなどが手作業で外周面に対してクランプを締緩することで、装着部52を他端110b側に対して着脱することができるように、例えば、蝶ボルトとナットなどを用いることができる。ケーブル53は、例えば、合成樹脂等のフレキシブルチューブ等で構成されたアウターケーブルと、アウターケーブル内に挿通され、鋼撚線等で構成されたインナーケーブル(いわゆるワイヤー)と、を有している。アウターケーブルは、例えば、図示しない着脱自在な留め具等により、支持棒110に沿って配索されている。インナーケーブルは、一端が操作レバー51の一端側に連結され、他端が位置付け手段40に連結されている。インナーケーブルには、位置付け手段40により、運搬者Mが操作レバー51を操作することができる程度の張力がかけられている。インナーケーブルは、操作レバー51が運搬者Mに握られると、位置付け手段40側からロック操作部50側へ引っ張られる。
ここで、位置付け手段40は、運搬者Mが操作レバー51を握っている状態では、ロックフリー状態となり、補助部30が回動軸41周りに回動自在となる。このため、ロックフリー状態では、補助車輪31は、梁部11bの下端より下方に位置する障害物であれば、運搬者Mによる担架100の運搬に伴って乗り越えることができる。
次に、以上のように構成された担架運搬補助装置1Bの動作について説明する。
通行可能な平坦部が担架100の幅より広い箇所と、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い箇所とを含む足場Gにおいて、担架運搬補助装置1Bが装着された担架100を運搬する場合、図6に示すように、他端110b側に装着されたロック操作部50が運搬者Mにより操作可能である。ここで、担架運搬補助装置1Bでは、通行可能な平坦部が担架100の幅より広い箇所において、位置付け手段40により補助部30が補助位置に位置付けられ、三輪走行が選択される。このため、担架運搬補助装置1Bでは、一人の運搬者Mにより他端110b側から一端110a側に向かう方向(同図に示す矢印e)へ押されると、車輪20と補助車輪31とにより三輪走行する。また、担架運搬補助装置1Bでは、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い箇所において、操作レバー51が運搬者Mにより握られ、位置付け手段40がロックフリー状態になる。このため、担架運搬補助装置1Bでは、一人の運搬者Mにより操作レバー51が握られた状態で押されると、担架100の運搬中に補助車輪31に障害物が接触した場合、補助部30が回動軸41周りに回動し、この回動に伴って補助車輪31が上昇するので、補助車輪31が障害物を乗り越えることができる。
以上のように、実施形態3に係る担架運搬補助装置1Bによれば、運搬者Mが手元の操作レバー51を操作することによって、位置付け手段40のロック機構による規制を解除することができる。このため、担架運搬補助装置1Bによれば、通行可能な平坦部が担架100の幅より広い箇所の足場Gにおいては、三輪走行を選択して安定的に担架100を運搬することができ、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い箇所の足場Gにおいては、規制を解除して補助車輪31が障害物を乗り越えることができる。つまり、担架運搬補助装置1Bによれば、運搬者Mにより補助部30の位置を収容位置に位置付けなくても、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い箇所で担架100を一人の運搬者Mにより運搬することができる。したがって、運搬者Mが補助部30を回動させて補助位置または収容位置に位置付けなくても、通行可能な平坦部が担架100の幅より広い箇所と狭い箇所とを、一人の運搬者Mにより担架100を運搬することができるという効果を奏する。
また、担架運搬補助装置1Bによれば、運搬者Mが操作レバー51を離した状態で補助部30が補助位置に位置すると、位置付け手段40により補助部30が補助位置に位置付けられるので、補助部30が自重により鉛直方向の下方に下降するように構成することにより、例えば通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い箇所から広い箇所へ運搬された場合に、運搬者Mが補助部30を補助位置に位置付けるための作業を省略することができる。
なお、上記の実施形態1〜3では、一対の支持棒110の他端110b側を運搬者Mが把持しているが、一対の支持棒110の他端110b側に装着部11cを装着し、運搬者Mが一対の支持棒110の一端110a側を把持してもよい。つまり、運搬者Mは、装着部11cが装着されている一対の支持棒110の端とは反対側の端側を把持することで、一人で担架100を運搬することができる。
また、上記の実施形態1〜3では、足場Gにおいて、一対の支持棒110の他端110b側から一端110a側、つまり運搬者M側から担架運搬補助装置1、1A、1B側に向かう方向(例えば図2に示す矢印aなど)へ担架100を運搬していたが、この方向とは反対側の方向に向かって運搬してもよい。つまり、担架運搬補助装置1、1A、1Bが装着された担架100は、足場Gにおいて、担架運搬補助装置1、1A、1B側から運搬者M側に向かう方向へ運搬することができ、運搬者M側から担架運搬補助装置1、1A、1B側に向かう方向へ運搬することもできる。
また、上記の実施形態1〜3では、担架運搬補助装置1、1A、1Bが装着された担架100は、運搬者Mによって運搬される際、一対の支持棒110が水平面に対して平行状態となっていたが、水平方向に対する一対の支持棒110の傾き、つまり担架100の傾きが運搬対象者を運搬する際に許容できる範囲内であればよい。このため、運搬者Mの身長が想定しているものよりも高い場合であっても低い場合であっても、一人の運搬者Mにより、担架運搬補助装置1、1A、1Bが装着された担架100を運搬することができる。
また、上記の実施形態1〜3では、運搬対象者は、一般的な成人を想定していたが、子供などであってもよい。
また、上記の実施形態2では、一対の補助部30は、互いに独立して回動自在であったが、例えば横架部材で互いを連結するなど、一体的に回動自在、かつ一体的に各位置に位置付けられるものであってもよい。これにより、運搬者Mが一対の補助部30を各位置に位置付けるための作業数を減らすことができる。この場合、二つの位置付け手段40のロック機構による規制も、一体的に解除できることが好ましい。
また、上記の実施形態2では、補助車輪31同士の間隔は、担架100の幅とほぼ同じであったが、担架100の幅より狭くする(かつ車輪20の幅より広くする)ことで、通行可能な平坦部が補助車輪31同士の間隔より広ければ、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い場合でも、三輪走行を選択することができ、一人の運搬者Mにより担架100を安定的に運搬することができる。
また、上記の実施形態2では、担架運搬補助装置1Aは、単輪走行または三輪走行を選択することができるが、車輪20と二つのうちの一方の補助車輪31とを用いて、二輪走行を選択することもできる。二輪走行を選択した場合、担架100の幅方向において、三輪走行より幅が狭くなるので、通行可能な平坦部が担架100の幅より狭い足場Gで担架100を二輪走行させることができる。この場合、車輪20による単輪走行よりも担架100のバランスをとりやすくなる。
また、上記の実施形態3では、運搬者Mが手元で位置付け手段40のロック機構による規制を解除できるようにしたが、これに加えて、位置付け手段40により補助部30を収容位置に上昇させる上昇機構を有していてもよい。これにより、補助車輪31が障害物を乗り越えることが難しくても、補助部30を収容位置に位置付ければ補助車輪31が障害物に干渉しなくなる場合には、運搬者Mが補助部30を収容位置に位置付ける手作業を省くことができる。
また、上記の実施形態3では、ロック操作部50は、一対の支持棒110のうち、一方の支持棒110の他端110b側に装着され、二つの位置付け手段40のそれぞれのロック機構の動作を同時に制御するが、一対の支持棒110のそれぞれに装着し、それぞれのロック操作部50でそれぞれのロック機構の動作を制御するようにしてもよい。これにより、通行可能な平坦部の幅の変化に対して、より柔軟に対応することができる。
1 担架運搬補助装置
10 支柱部
20 車輪
30 補助部
31 補助車輪
40 位置付け手段
100 担架
110 支持棒
110a 一端
110b 他端
120 シート
G 足場
M 運搬者

Claims (2)

  1. 一対の平行な支持棒と、前記支持棒の間に張架したシートとを有する担架に装着され、担架の移動を補助する担架運搬補助装置であって、
    前記担架の前記一対の支持棒の一端に着脱自在に装着される支柱部と、
    前記支柱部の下端に配設され、前記担架の幅方向中央に位置付けられる一輪の車輪と、を有し、
    前記担架の前記支持棒の他端を支持する運搬者が一人で担架を運搬でき、足場が前記担架の幅より狭い場合も一輪の前記車輪で前記担架を支持できる担架運搬補助装置。
  2. 前記車輪を挟んだ両脇の前記支柱部に回動自在に配設され、先端に補助車輪を備えた一対の補助部と、
    前記補助車輪が前記車輪を補助して前記担架を支持する補助位置と、前記補助車輪が上方に収容される収容位置とに、前記補助部を回動させて位置付ける位置付け手段とをさらに備え、
    前記車輪による単輪走行と、前記補助部を併せて用いる三輪走行を選択できる請求項1記載の担架運搬補助装置。
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