JP2015153431A - Ag合金膜、Ag合金反射膜、Ag合金導電膜及びAg合金半透過膜 - Google Patents

Ag合金膜、Ag合金反射膜、Ag合金導電膜及びAg合金半透過膜 Download PDF

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Abstract

【課題】反射率や透過率等の光学特性に優れるとともに低い比抵抗値を有し、かつ、耐熱性、耐環境性等の各種耐性に優れ、熱処理後においても反射率が大きく変化せず、高温高湿の使用環境下においても反射率や透過率等の光学特性及び比抵抗値が大きく変化しないAg合金膜を提供する。
【解決手段】本発明のAg合金膜は、Sbを0.01原子%以上1.00原子%以下、Mgを0.05原子%以上1.00原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物とからなる組成を有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、タッチパネル等の配線部、ディスプレイや照明に使用される発光素子及び光記録用ディスク等の光反射層、赤外線カットフィルムや透明導電膜等に使用されるAg合金膜、および、このAg合金膜からなるAg合金反射膜、Ag合金導電膜、Ag合金半透過膜に関するものである。
一般に、有機ELや反射型液晶等のディスプレイや、LED等の発光素子、あるいは光記録用ディスク等には、光取り出し効率を向上させる目的で光反射層が形成されている。ここで、Ag及びAg合金からなるAg膜及びAg合金膜は、反射率が高いことから、上述の光反射層として広く使用されている。
例えば、特許文献1には、有機EL素子の反射電極の構成材料としてAg合金を用いることが開示されている。
特許文献2には、半導体発光素子の電極の構成材料として、高効率で光を反射するAgまたはAg合金を用いることが開示されている。
特許文献3には、光記録媒体の反射層の構成材料として、AgまたはAg合金を用いることが開示されている。
また、Ag膜及びAg合金膜は、上述の用途のみでなく、光学機器用反射ミラー、太陽電池用反射膜、照明装置のリフレクタ等にも利用されている。
また、上述のAg膜及びAg合金膜は、導電性にも優れていることから、例えば特許文献4に開示されているように、タッチパネルの引き出し配線としても使用されている。
さらに、特許文献5に記載されているように、膜厚の薄いAg膜は半透過膜としても用いられている。Agからなる半透明膜は、ディスプレイ用の透明導電膜やボトムエミッション方式の有機ELのアノードとしても使用されている。
特開2012−059576号公報 特開2006−245230号公報 特開2004−322556号公報 特開2009−031705号公報 特許第4395844号公報
ところで、純AgからなるAg膜は、反射率や透過率等の光学特性に優れているものの、耐環境性(耐湿環境への耐性)が不十分であることから、高温高湿の使用環境下において反射率や透過率等の光学特性が低下するため、長時間使用時の信頼性に問題を有していた。
また、上述の発光素子やディスプレイにおいては、その製造過程で高温の熱処理が行われることがあるため、熱処理後にAg膜またはAg合金膜の反射率が低下し、十分な特性を発揮できなくなるおそれがあった。このため、できるだけ純Ag膜に近い高反射率を維持しつつ、熱処理後においても、反射率が低下しないAg合金膜が求められている。
さらに、純AgからなるAg膜を配線として使用した場合には、高温高湿環境下において粒成長が生じ、比抵抗値が変動してしまうといった問題があった。また、純Agは、耐塩水性、耐湿性等の各種耐性が不十分なため、高温高湿の使用環境下や製造プロセスにおいて、Ag膜が変質してしまうおそれがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、反射率や透過率等の光学特性に優れるとともに低い比抵抗値を有し、かつ、耐熱性、耐環境性等の各種耐性に優れ、熱処理後においても反射率が大きく変化せず、高温高湿の使用環境下においても反射率や透過率等の光学特性及び比抵抗値が大きく変化しないAg合金膜、および、このAg合金膜からなるAg合金反射膜、Ag合金導電膜、Ag合金半透過膜を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のAg合金膜は、Sbを0.01原子%以上1.00原子%以下、Mgを0.05原子%以上1.00原子%以下含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有することを特徴としている。
このような構成とされた本発明のAg合金膜においては、Sbの含有量が0.01原子%以上とされているので、耐熱性、耐環境性を向上させることができ、成膜後の製造過程で熱処理などが行われても反射率が大きく変化することを抑制できるとともに、長時間使用時においても反射率や透過率等の光学特性及び比抵抗値が大きく変化することがない。また、Sbの含有量が1.00原子%以下とされているので、成膜直後においても優れた光学特性と低い比抵抗値を確保することができる。
また、Mgの含有量が0.05原子%以上とされているので、Agの粒成長を抑制でき、Sbとの相乗効果によって、耐熱性を大幅に向上させることができるとともに、耐塩水性も向上させることができる。また、Mgの含有量が1.00原子%以下とされているので優れた光学特性と低い比抵抗値を確保できるとともに、高温高湿環境下で反射率や透過率等の光学特性及び比抵抗値が大きく変化することを抑制できる。
ここで、本発明のAg合金膜においては、含有されるSbとMgの原子比がSb/Mg≧0.1であることが好ましい。
この場合、高温高湿環境下における反射率及び抵抗値の変化がより少ないAg合金膜とすることができる。
本発明のAg合金反射膜は、前記組成を有することを特徴としている。
この構成のAg合金反射膜においては、成膜直後の反射率が高く、かつ、成膜後の製造過程での熱処理などによっても反射率が大きく変化せず、高温高湿の使用環境下においても反射率が大きく変化しない。よって、本発明のAg合金反射膜は、ディスプレイ、発光素子等の光反射層に特に適している。また、比抵抗値が低いことから反射導電膜として用いることもできる。
本発明のAg合金導電膜は、前記組成を有することを特徴としている。
この構成のAg合金導電膜においては、成膜直後の比抵抗値が低く、かつ、高温高湿の使用環境下においても比抵抗値が大きく変化しない。また、耐塩水性にも優れている。よって、本発明のAg合金導電膜は、タッチパネルのパネル面周縁部に形成される配線等に特に適している。
本発明のAg合金半透過膜は、前記組成を有することを特徴としている。
この構成のAg合金半透過膜においては、成膜直後の透過率が高く、かつ、高温高湿の使用環境下においても透過率が大きく変化しない。また、成膜直後の比抵抗値が低く、かつ、高温高湿の使用環境下においても比抵抗値が大きく変化しない。よって、本発明のAg合金半透過膜は、透明導電膜や赤外線カットフィルムに用いられる半透過膜として特に適している。
ここで、本発明のAg合金反射膜においては、波長405〜550nmの最小反射率が90%以上であることが好ましい。なお、波長405〜550nmの最小反射率とは、波長405〜550nmの波長領域における反射率の最小値であり、本発明では、この波長領域において反射率が90%以上となっていることが好ましい。
また、本発明のAg合金導電膜においては、比抵抗が7μΩ・cm以下であることが好ましい。
さらに、本発明のAg合金半透過膜においては、膜厚15nm以下でかつ波長350〜850nmにおける平均透過率が40%以上、抵抗値が10μΩ・cm以下であることが好ましい。
以上のように、本発明によれば、反射率や透過率等の光学特性に優れるとともに低い比抵抗値を有し、かつ、耐熱性、耐環境性等の各種耐性に優れ、熱処理後においても反射率が大きく変化せず、高温高湿の使用環境下においても反射率や透過率等の光学特性及び比抵抗値が大きく変化しないAg合金膜、および、このAg合金膜からなるAg合金反射膜、Ag合金導電膜、Ag合金半透過膜を提供することが可能となる。
実施例2において恒温恒湿試験後の外観観察結果が「○」と評価される例を示す写真である。 実施例2において恒温恒湿試験後の外観観察結果が「×」と評価される例を示す写真である。 実施例2において塩水試験後の外観観察結果および光学顕微鏡観察結果が「◎」と評価される例を示す写真である。 実施例2において塩水試験後の外観観察結果および光学顕微鏡観察結果が「○」と評価される例を示す写真である。 実施例2において塩水試験後の外観観察結果および光学顕微鏡観察結果が「×」と評価される例を示す写真である。
以下に、本発明の一実施形態であるAg合金膜について説明する。
本実施形態であるAg合金膜は、例えばディスプレイ、発光素子等の光反射層を構成するAg合金反射膜、タッチパネルのパネル面周縁部に形成される配線を構成するAg合金導電膜、透明導電膜や赤外線カットフィルムに用いられるAg半透過膜として使用される。
<Ag合金膜>
本実施形態であるAg合金膜は、Sbを0.01原子%以上1.00原子%以下、Mgを0.05原子%以上1.00原子%以下含有し、残部がAgと不可避不純物とからなる組成を有するAg合金からなる。
以下に、本実施形態であるAg合金膜の組成を上述のように規定した理由について説明する。
Sb:0.01原子%以上1.00原子%以下
Sbは、耐熱性、耐環境性(高温高湿環境への耐性)を向上させる作用効果を有する元素である。
ここで、Ag合金膜におけるSbの含有量が0.01原子%未満の場合には、耐熱性、耐環境性が十分に向上しない。一方、Ag合金膜におけるSbの含有量が1.00原子%を超えた場合には、成膜直後においても反射率が低くなり、反射膜としての特性を確保できなくなるおそれがある。また、比抵抗値が高くなるとともに透過率が低くなり、導電膜又は半透過膜としての特性を確保できなくなるおそれがある。
このような理由から、本実施形態では、Ag合金膜におけるSbの含有量を、0.01原子%以上1.00原子%以下の範囲内に設定している。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Ag合金膜におけるSbの含有量を、反射膜用途においては0.01原子%以上1.00原子%以下、導電膜用途においては0.01原子%以上0.50原子%以下、半透過膜用途においては0.01原子%以上0.50原子%以下の範囲内とすることが好ましい。
Mg:0.05原子%以上1.00原子%以下
Mgは、高温高湿環境下においてAgの粒成長を抑制する作用効果を有する元素である。また、Sbを上述のように含有することとの相乗効果によって、高温における耐熱性を向上させる作用効果も有する。また、耐塩水性も向上させる作用効果も有する。
ここで、Ag合金膜におけるMgの含有量が0.05原子%未満の場合には、粒成長を十分に抑制できず、耐熱性・耐湿性を向上させることができなくなるおそれがある。また、耐塩水性も向上させることができなくなるおそれがある。一方、Ag合金膜におけるMgの含有量が1.00原子%を超えた場合には、高温高湿環境下で反射率が大きく低下し、反射膜としての特性を確保できなくなるおそれがある。また、比抵抗値が高くなるとともに透過率が低くなり、導電膜又は半透過膜としての特性を確保できなくなるおそれがある。
このような理由から、本実施形態では、Ag合金膜におけるMgの含有量を、0.05原子%以上1.00原子%以下の範囲内に設定している。なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Ag合金膜におけるMgの含有量を、反射膜用途においては0.05原子%以上0.50原子%以下、導電膜用途においては0.05原子%以上1.00原子%以下、半透過膜用途においては0.05原子%以上0.20原子%以下の範囲内とすることが好ましい。
また、Mgの含有量は、Sbに対して原子比でSb/Mg≧0.1とすることで、高温高湿環境下においての反射率や抵抗値の変化をより少なくすることができる。
以上のような構成とされた本実施形態であるAg合金膜によれば、Sbの含有量が0.01原子%以上1.00原子%以下とされているので、成膜直後において反射率や透過率等の光学特性に優れ、かつ、低い比抵抗値を有するとともに、耐熱性に優れており、熱処理後であっても反射率が大きく変化することを抑制できる。さらに、耐環境性に優れているので、長時間使用時においても反射率や透過率等の光学特性及び比抵抗値が大きく変化しない。
また、Mgの含有量が0.05原子%以上1.00原子%以下とされているので、成膜直後において反射率や透過率等の光学特性に優れ、かつ、低い比抵抗値を有するとともに、Agの粒成長を抑制でき、耐熱性、耐環境性、耐塩水性を向上させることができる。
以上のように、本実施形態であるAg合金膜は、成膜直後の反射率や透過率等の光学特性に優れ、かつ、低い比抵抗値を有するとともに、成膜後の製造過程での熱処理などによっても反射率が大きく変化せず、高温高湿の使用環境下においても反射率や透過率等の光学特性及び比抵抗値が大きく変化しない。よって、ディスプレイ、発光素子等の光反射層を構成するAg合金反射膜、タッチパネルのパネル面周縁部に形成される配線を構成するAg合金導電膜、透明導電膜や赤外線カットフィルムに用いられるAg半透過膜として特に適している。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態のAg合金膜は、ディスプレイ、発光素子等の光反射層を構成するAg合金反射膜、タッチパネルのパネル面周縁部に形成される配線を構成するAg合金導電膜、透明導電膜や赤外線カットフィルムに用いられるAg半透過膜として使用されるものとして説明したが、これに限定されることはなく、その他の用途に適用してもよい。
(実施例1)
以下に、本発明に係るAg合金膜の作用効果について評価した評価試験の結果について説明する。
<Ag合金膜の成膜>
溶解原料として、純度99.9質量%以上のAgと、純度99.9質量%以上のSb,Mgと、を準備し、各種組成となるように秤量した。
次に、溶解炉を用いて、Agを不活性ガス雰囲気中で溶解し、得られたAg溶湯に、Sb,Mgを添加し、不活性ガス雰囲気中で溶解した。その後、鋳型へと注湯して鋳造インゴットを製造した。より具体的には、Agの溶解時には、雰囲気を一度真空(5×10−2Pa以下)にしたあとArガスで置換した雰囲気で行った。また、Sb,Mgの添加は、Arガス雰囲気中で実施した。これにより、Sbを0.001〜3.00原子%、Mgを0.05〜3.00原子%含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる成分組成の鋳造インゴットを作製した。
次いで、得られた鋳造インゴットに対して、圧下率70%で冷間圧延を行って板材を得た後、大気中で600℃、2時間保持の熱処理を実施した。そして、機械加工を実施することにより、直径152.4mm、厚さ6mm寸法を有するスパッタリングターゲット素材を作製した。
また、純Ag(純度99.9質量%以上)からなる上記と同一寸法のスパッタリングターゲット素材を準備した。
そして、上述のスパッタリングターゲット素材を、無酸素銅製のバッキングプレートにインジウム半田を用いて半田付けしてスパッタリングターゲットとした。
上述したスパッタリングターゲットを用いて、以下の条件でAg合金膜を成膜した。
上述したスパッタリングターゲットをスパッタ装置に装着し、ガラス基板(コーニング社製イーグルXG)との距離:70mm、電力:直流300W、到達真空度:5×10−5Pa、Arガス圧:0.3Paの条件でスパッタリングを実施し、ガラス基板の表面に、厚さ:100nmを有するAg合金膜を形成した試料を作製した。
なお、従来例として、上述の純Ag(純度99.9質量%以上)からなるスパッタリングターゲットを用いて、上記と同様の条件でガラス基板上に厚さ:100nmのAg膜を形成した試料を作製した。
<Ag合金膜の組成分析>
上述のようにして得られたAg合金膜の組成は、同一のスパッタリングターゲットを用いて、上記と同様の条件でSi基板上に膜厚3μmの厚膜を形成し、この厚膜を全量溶解してIPC発光分光分析法により分析することによって求めた。Ag合金膜の組成分析結果を表1に示す。
<反射率の測定>
上述のようにして得られた成膜直後のAg合金膜およびAg膜の反射率Rを、分光光度計を用いて、波長800nmから400nmの範囲の光を用いて測定した。波長405nmの光の反射率を表1に、波長450nmの光の反射率を表2に、波長550nmの光の反射率を表3に示す。
<耐熱試験>
上述の試料を、窒素雰囲気中で温度500℃、保持時間1時間の熱処理を行った。
この耐熱試験後のAg合金膜およびAg膜の反射率Rを上述と同様の方法で測定した。そして、耐熱試験前後の反射率の変化量(R−R)を求めた。耐熱試験後の波長405nmの光の反射率及び反射率の変化量を表1に、耐熱試験後の波長450nmの光の反射率及び反射率の変化量を表2に、耐熱試験後の波長550nmの光の反射率及び反射率の変化量を表3に示す。
<恒温恒湿試験>
上述の試料を、温度85℃、湿度85%の恒温恒湿槽中に250時間放置した。
この恒温恒湿試験後のAg合金膜およびAg膜の反射率Rを上述と同様の方法で測定した。そして、恒温恒湿試験前後の反射率の変化量(R−R)を求めた。恒温恒湿試験後の波長405nmの光の反射率及び反射率の変化量を表1に、恒温恒湿試験後の波長450nmの光の反射率及び反射率の変化量を表2に、恒温恒湿試験後の波長550nmの光の反射率及び反射率の変化量を表3に示す。
Ag合金膜におけるSbの含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例1は、波長405nm,450nm,550nmのいずれにおいても、耐熱試験後の反射率が低く、恒温恒湿試験前後における反射率の変化量が大きかった。
Ag合金膜におけるSbの含有量が本発明の範囲よりも多い比較例2は、波長405nm,450nm,550nmのいずれにおいても、成膜直後の反射率が低かった。
Ag合金膜におけるMgの含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例3は、波長405nm,450nm,550nmのいずれにおいても、耐熱試験後の反射率が低かった。
Ag合金膜におけるMgの含有量が本発明の範囲よりも多い比較例4は、波長405nm,450nm,550nmのいずれにおいても、恒温恒湿試験前後で反射率が大きく変化した。
純Agからなる従来例は、波長405nm,450nm,550nmのいずれにおいても、耐熱試験後の反射率が低く、恒温恒湿試験前後における反射率の変化量も大きかった。
これに対して、Ag合金膜におけるSb,Mgの含有量が本発明の範囲内とされた本発明例1〜9においては、成膜直後の反射率が、波長405nm,450nm,550nmのいずれでも高く、耐熱試験後の反射率も高いままであった。また、恒温恒湿試験前後における反射率の変化量も小さく、反射率が安定していることが確認された。
以上のことから、本発明によれば、反射率が高く、かつ、耐熱性、耐環境性に優れ、反射膜として特に適したAg合金膜を提供可能であることが確認された。
(実施例2)
次に、実施例1のAg合金膜の作用効果についてさらに評価した評価試験の結果について説明する。
<成膜後の比抵抗値>
上述のようにして得られたAg合金膜およびAg膜のシート抵抗値を四探針法によって測定し、比抵抗値を算出した。得られた成膜後の比抵抗値を表4に示す。
<恒温恒湿試験>
上述の試料を、温度85℃、湿度85%の恒温恒湿槽中に250時間放置した。
この恒温恒湿試験後の試料外観を目視し、恒温恒湿試験前後で外観に変化がないものを「○」、腐食による斑点や白濁が認められたものを「×」と評価した。評価結果を表4に示す。なお、「○」と評価される外観観察結果の一例を図1に、「×」と評価される外観観察結果の一例を図2に示す。ここで、図1,2の黒い影は、カメラのレンズの影であり、図2の大小の白い丸が白濁点を示している。
<塩水試験>
基板をITO膜(厚さ10nm)付のガラス基板として、上述した条件でAg合金膜(Ag合金導電膜)およびAg膜を成膜して、試料を作製した。
この試料を、5%NaCl水溶液に12時間浸漬し、取り出した後の外観を目視および光学顕微鏡にて観察した。光学顕微鏡観察でも外観変化が認められないものを「◎」、目視では光沢が失われていないが光学顕微鏡観察により黒い斑点が確認されたものを「○」、目視で腐食による白濁が確認されたものを「×」と評価した。評価結果を表4に示す。なお、「◎」と評価される外観観察結果及び光学顕微鏡観察結果の一例を図3に、「○」と評価される外観観察結果及び光学顕微鏡観察結果の一例を図4に、「×」と評価される外観観察結果及び光学顕微鏡観察結果の一例を図5に示す。
Ag合金膜におけるSbの含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例11においては、恒温恒湿試験後の外観観察で腐食が認められており、耐湿性が不十分であることが確認された。
Ag合金膜におけるSbの含有量が本発明の範囲よりも多い比較例12においては、成膜後の比抵抗値が高くなっていた。
Ag合金膜におけるMgの含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例13においては、塩水試験後の外観観察で腐食が認められており、耐塩水性が不十分であることが確認された。
Ag合金膜におけるMgの含有量が本発明の範囲よりも多い比較例14においては、成膜後の比抵抗値が高くなっていた。
純Agからなる従来例においては、恒温恒湿試験後、塩水試験後の外観観察で腐食が認められており、耐湿性、耐塩水性が不十分であった。
これに対して、Ag合金膜におけるSb,Mgの含有量が本発明の範囲内とされた本発明例11〜17においては、成膜後の比抵抗値が低く、恒温恒湿試験後、塩水試験後の外観観察で腐食は認められなかった。
以上のことから、本発明によれば、比抵抗値が低く、かつ、耐湿性、耐塩水性に優れ、導電膜として特に適したAg合金膜を提供可能であることが確認された。
(実施例3)
次に、実施例1のスパッタリングターゲットを用いて形成したAg合金膜の作用効果について評価した評価試験の結果について説明する。
膜厚を変更した以外は、実施例1と同様に成膜を行った。組成分析、比抵抗値の評価も実施例1,2と同様に行った。測定結果を表5に示す。なお、半透過膜においては、膜厚が増加すると透過率が低下するため、膜厚15nm以下としている。
<Ag合金膜の膜厚測定>
上述のようにして得られたAg合金膜の膜厚は、透過電子顕微鏡(TEM)により膜の断面を観察することによって確認した。TEMによる断面を観察するための試料作製は、例えばクロスセクションポリッシャー(CP)や集積イオンビーム法(FIB)などを用いることができる。
<透過率測定>
分光光度計(日本分光株式社製Ubestシリーズ)により波長850nm〜350nmの範囲でAg合金膜およびAg膜の透過率を測定した。透過率測定の際には、最初に基板をセットしない中空の状態で測定を行って、分光光度計のキャリブレーションを行った。続いてAg合金膜およびAg膜が成膜されていないガラス基板の透過率Tsを測定し、その後、Ag合金膜およびAg膜が成膜されたガラス基板の透過率Ttを測定し、Ag合金膜およびAg膜の透過率Tfを Tf=Tt/Ts として計算した。表5に測定結果を示す。なお、表5に示す透過率は、波長850nm〜350nmの範囲の平均値である。
<恒温恒湿試験>
上述の試料を、温度85℃、湿度85%の恒温恒湿槽中に250時間放置した。
この恒温恒湿試験後のAg合金膜およびAg膜の比抵抗値と透過率Tfを、上述と同様の方法で測定した。測定結果を表5に示す。
そして、恒温恒湿試験前後の比抵抗値の変化率を求めた。また、恒温恒湿前後の変化量(Tf−Tf)を求めた。恒温恒湿試験前後の比抵抗値の変化率および透過率の変化量を表5に示す。
Ag合金膜におけるSbの含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例21においては、恒温恒湿試験前後で比抵抗値が大きく変化した。
Ag合金膜におけるSbの含有量が本発明の範囲よりも多い比較例22においては、成膜後の比抵抗値が高く、かつ、透過率が低かった。
Ag合金膜におけるMgの含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例23においては、恒温恒湿試験前後で透過率が大きく変化した。
Ag合金膜におけるMgの含有量が本発明の範囲よりも多い比較例24においては、成膜後の比抵抗値が高く、かつ、透過率が低かった。さらに、恒温恒湿試験前後で比抵抗値が大きく変化した。
純Agからなる従来例においては、恒温恒湿試験前後で比抵抗値、透過率が大きく変化した。
これに対して、Ag合金膜におけるSb,Mgの含有量が本発明の範囲内とされた本発明例21〜27においては、成膜後の比抵抗値が低く、かつ、透過率が高く、恒温恒湿試験前後で比抵抗値および透過率が大きく変化せずに安定していた。
以上のことから、本発明によれば、比抵抗値が低いとともに透過率が高く、かつ、耐湿性に優れ、半透過膜として特に適したAg合金膜を提供可能であることが確認された。

Claims (8)

  1. Sbを0.01原子%以上1.00原子%以下、Mgを0.05原子%以上1.00原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物とからなる組成を有することを特徴とするAg合金膜。
  2. 含有されるSbとMgの原子比がSb/Mg≧0.1であることを特徴とする請求項1に記載のAg合金膜。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の組成を有することを特徴とするAg合金反射膜。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の組成を有することを特徴とするAg合金導電膜。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の組成を有することを特徴とするAg合金半透過膜。
  6. 波長405〜550nmの最小反射率が90%以上であることを特徴とする請求項3に記載のAg合金反射膜。
  7. 比抵抗が7μΩ・cm以下であることを特徴とする請求項4に記載のAg合金導電膜。
  8. 膜厚15nm以下でかつ波長350〜850nmにおける平均透過率が40%以上、比抵抗値が10μΩ・cm以下であることを特徴とする請求項5に記載のAg合金半透過膜。
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