JP2015152640A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光体と帯電部材との間の異常放電の発生を抑制し、画像の均一性の低下を抑制することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体2と、帯電部材3と、帯電部材3にバイアスを印加する電源S1と、を有する画像形成装置100は、感光体2の表面には複数の各々独立した凹部が形成されており、凹部の感光体2の表面の移動方向の幅の平均値をX(μm)、互いに隣接する凹部同士の感光体2の表面の移動方向の間隔の平均値をY(μm)、帯電バイアスの交流電圧の周波数をf(Hz)、感光体2の表面の移動速度をP(mm/s)とするとき、X>1000P/(4f)、及び、Y>1000P/(4f)の少なくとも一方の関係を満たす構成とする。
【選択図】図11
【解決手段】感光体2と、帯電部材3と、帯電部材3にバイアスを印加する電源S1と、を有する画像形成装置100は、感光体2の表面には複数の各々独立した凹部が形成されており、凹部の感光体2の表面の移動方向の幅の平均値をX(μm)、互いに隣接する凹部同士の感光体2の表面の移動方向の間隔の平均値をY(μm)、帯電バイアスの交流電圧の周波数をf(Hz)、感光体2の表面の移動速度をP(mm/s)とするとき、X>1000P/(4f)、及び、Y>1000P/(4f)の少なくとも一方の関係を満たす構成とする。
【選択図】図11
Description
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンター、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式の画像形成装置では、電子写真感光体(感光体)の表面に所定形状の型を圧接するなどして複数の凹部が形成されたものがある(特許文献1、特許文献2)。
すなわち、感光体の耐久性の向上を図る目的から、感光体の表面は高硬度化される傾向にある。しかし、高硬度で表面が摩耗しにくい感光体は、耐久性は高い一方で、特に高湿度環境における画像流れなどの画像不良が発生し易い。ここで、クリーニング部材による感光体の表面のクリーニング性能を良好に維持するためには、クリーニング部材と感光体との摩擦力が適切に維持されることが望まれる。しかし、高硬度で表面が磨耗しにくい感光体では、この摩擦力が増加して、クリーニング部材の良好なクリーニング性を維持することが困難になることがある。場合によっては、クリーニング部材のビビリや捲れが生じることがある。そこで、例えば、クリーニング部材と感光体の表面との摩擦力を適切に維持することなどを目的として、感光体の表面に複数の凹部が形成される。
一方、電子写真方式の画像形成装置では、感光体を帯電処理する方式として、接触帯電方式が実用化されている。接触帯電方式では、帯電部材として、例えば、導電性支持体(芯金)の外周に導電性弾性体層を設け、該導電性弾性体層の外周に抵抗層を被覆して設けた帯電ローラが用いられる。この帯電ローラは、感光体に接触して回転可能なように配設され、芯金に電圧が印加される。これにより、帯電ローラと感光体との当接部である帯電ニップの近傍で微小な放電が発生し、感光体の表面が帯電処理される。このとき、芯金に印加される電圧が、直流電圧のみであるDC帯電方式と、直流電圧と交流電圧とを重畳した電圧であるAC+DC帯電方式とがある。AC+DC帯電方式では、感光体の目標帯電電位の直流電圧に対して、直流電圧印加時の帯電開始電圧値の2倍以上のピーク間電圧Vppを持つ交流電圧が重畳される。AC+DC帯電方式は、交流電圧による帯電電位の収束効果によって、感光体の帯電電位の均一性を得やすいという利点がある。
なお、帯電ローラなどの帯電部材は、被帯電体である感光体の表面に必ずしも接触している必要はない。帯電部材と被帯電体との間に、ギャップ間電圧と補正パッシェンカーブで決まる放電可能領域さえ確実に保証されれば、例えば数10μmの空隙(間隙)を有して非接触に近接配置されていてもよい。このように帯電部材を被帯電体に近接させて被帯電体を帯電させる方式を近接帯電方式と呼ぶ。
また、帯電ローラと感光体との圧力を低減させ、帯電ローラの汚染を軽減するなどのために、帯電ローラの表層を凹凸形状にすることが行われている。この凹凸をつける方法としては、表層に微粒子を含有させる方法、機械的研磨により処理する方法などがある(特許文献3〜5)。
上述のように表面に複数の凹部を有する感光体の凹部の形状としては、従来提案されているように様々なパターンが採用可能である。しかし、例えば型を押しつけることで形成された凹部などでは、その凹部の境界部分が周囲より隆起する傾向がある。
そして、このような形状を持つ感光体を用いた場合に、帯電ローラ側の凸部との間で部分的に相対的に強い放電が発生し、均一な帯電が得られなくなり、シロ抜けなどの画像不良が発生することがあることがわかった。特に、感光体上の近接する凹部の周囲の隆起部で同時に複数の相対的に強い放電が発生する場合や、1つの凹部の周囲の隆起部の全体で同時に相対的に強い放電が発生する場合に、顕著に画像不良が生じることがわかった。
したがって、本発明の目的は、感光体と帯電部材との間の異常放電の発生を抑制し、画像の均一性の低下を抑制することのできる画像形成装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、回転可能な感光体と、前記感光体に近接又は接触して配置され前記感光体を帯電させる帯電部材と、前記帯電部材に直流電圧と交流電圧とが重畳されたバイアスを印加する電源と、前記帯電部材によって帯電された前記感光体の表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、を有する画像形成装置において、前記感光体の表面には複数の各々独立した凹部と、前記凹部の周囲に配置され前記感光体の表面から隆起した隆起部が形成されており、複数の前記凹部の前記感光体の表面の移動方向の幅の平均値をX(μm)、互いに隣接する前記凹部同士の前記感光体の表面の移動方向の間隔の平均値をY(μm)、前記交流電圧の周波数をf(Hz)、前記感光体の表面の移動速度をP(mm/s)とするとき、
X>1000P/(4f)
及び
Y>1000P/(4f)
の少なくとも一方の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置である。
X>1000P/(4f)
及び
Y>1000P/(4f)
の少なくとも一方の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、感光体と帯電部材との間の異常放電の発生を抑制し、画像の均一性の低下を抑制することができる。
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例に係る画像形成装置100の模式的な断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を利用してフルカラー画像を形成することのできる中間転写方式を採用したタンデム型のフルカラーレーザービームプリンターである。画像形成装置100は、その装置本体に接続された機器からの画像信号に応じて、フルカラーの記録画像を転写材(記録用紙、プラスチックフィルム、布など)に形成することができる。上記機器としては、原稿読み取り装置、パーソナルコンピュータなどのホスト機器、デジタルカメラなどの外部機器が挙げられる。
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例に係る画像形成装置100の模式的な断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を利用してフルカラー画像を形成することのできる中間転写方式を採用したタンデム型のフルカラーレーザービームプリンターである。画像形成装置100は、その装置本体に接続された機器からの画像信号に応じて、フルカラーの記録画像を転写材(記録用紙、プラスチックフィルム、布など)に形成することができる。上記機器としては、原稿読み取り装置、パーソナルコンピュータなどのホスト機器、デジタルカメラなどの外部機器が挙げられる。
画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色に対応して設けられた4つの画像形成部(第1、第2、第3、第4の画像形成部)1Y、1M、1C、1Bkを有する。本実施例では、各画像形成部1Y、1M、1C、1Bkの構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Bkは省略して、当該要素について総括的に説明する。
画像形成部1には、像担持体として電子写真感光体(感光体)2が設けられている。本実施例では、感光体2は、回転可能なドラム型(円筒形)の、所謂、感光ドラム(回転体)として構成されている。感光体2は、図中矢印R1方向に、所定の周速度(プロセススピード、表面の移動速度)で回転駆動される。感光体2の周囲には、その回転方向に沿って順に、次の各手段が配置されている。まず、帯電手段としての回転可能なローラ状の帯電部材である帯電ローラ(回転体)3が配置されている。次に、感光体2の図中上方において、露光手段としての露光装置(レーザースキャナ)7が配置されている。次に、現像手段としての現像装置4が配置されている。次に、一次転写手段としてのローラ状の一次転写部材である一次転写ローラ5が配置されている。次に、感光体クリーニング手段としての感光体クリーニング装置6が配置されている。
また、画像形成装置100には、各画像形成部1の感光体2と対向するようにして、中間転写体としての中間転写ベルト8が配置されている。中間転写ベルト8は、複数の張架ローラ(支持ローラ)である駆動ローラ9、二次転写対向ローラ10及びテンションローラ11に所定の張力をもって掛け回されており、駆動ローラ9に伝達される駆動力により図中矢印R2方向に回転(周回移動)する。中間転写ベルト8の内周面側において、各感光体2と対向する位置には、上記一次転写ローラ5が配置されている。一次転写ローラ5が中間転写ベルト8を介して感光体2に対して付勢(押圧)されることで、中間転写ベルト8と感光体2とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)N1が形成されている。また、中間転写ベルト8の外周面側において、二次転写対向ローラ10と対向する位置には、二次転写手段としてのローラ状の二次転写部材である二次転写ローラ12が配置されている。二次転写ローラ12が中間転写ベルト8を介して二次転写対向ローラ10に対して付勢(押圧)されることで、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)N2が形成されている。また、中間転写ベルト8の外周面側において、テンションローラ11と対向する位置には、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置15が配置されている。
画像形成動作が開始されると、回転する感光体2の表面が、帯電ローラ3によって一様に帯電される。このとき、帯電ローラ3には、帯電電圧印加手段としての帯電電源(高圧電源)S1(図3)より、所定の帯電バイアス(帯電高圧)が印加される。帯電された感光体2の表面は、各画像形成部1に対応する分解色の画像信号(画像情報)に従って露光装置7から発されたレーザー光により走査露光される。これにより、感光体2上に、各画像形成部1に対応する画像信号に応じた静電像(静電潜像)が形成される。感光体2上に形成された静電像は、現像装置4によってトナー像として現像される。本実施例では、露光装置7、現像装置4によって、帯電部材によって帯電された感光体の表面にトナー像を形成するトナー像形成手段が構成される。
なお、本実施例では、現像方式として反転現像方式が採用されている。すなわち、一様に帯電された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光体2上の露光部(明部電位部)に、感光体2の帯電極性と同極性に帯電したトナーを付着させることでトナー像が形成される。また、本実施例では、現像剤として主に非磁性トナー粒子(トナー)と磁性キャリア粒子(キャリア)とを有する二成分現像剤を用いる、二成分現像方式が採用されている。現像装置4には、現像剤を感光体2との対向部(現像位置)に搬送するための現像剤担持体としての現像スリーブが設けられている。現像時に、現像スリーブには、現像電圧印加手段としての現像電源(図示せず)により、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスが印加される。また、現像装置4において現像によって消費した分に相当するトナーが、図示しない補給装置から現像装置4に適宜補給されるようになっている。本実施例では、現像時のトナーの意図された帯電極性(正規の帯電極性)は負極性である。
感光体2上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ5の作用により、中間転写ベルト8上に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ5には、一次転写電圧印加手段としての一次転写電源(図示せず)より、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である一次転写バイアスが印加される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、各画像形成部1Y、1M、1C、1Bkの各感光体2上に形成されたトナー像が、各一次転写部N1において、順次に重ね合わせるようにして中間転写ベルト8上に転写(一次転写)される。こうして、中間転写ベルト8上に、4色のトナー像が重ね合わされた多重トナー像が形成される。
一次転写後に感光体2の表面に残ったトナー(一次転写残トナー)は、感光体クリーニング装置6によって感光体2上から除去されて回収される。感光体クリーニング装置6は、感光体2の表面に当接するようにして配置されたクリーニング部材としてのクリーニングブレード61と、クリーニング容器62と、を有する。クリーニングブレード61は、ウレタンゴムなどの弾性材料で形成された、感光体2の長手方向(回転軸線方向)に沿って延在する板状部材である。このクリーニングブレード61は、カウンター方向、すなわち、その自由端側の先端が感光体2の回転方向(表面の移動方向)の上流を向くように感光体2の表面に当接されている。そして、クリーニングブレード61は、回転する感光体2の表面を摺擦して、感光体2の表面の一次転写残トナーなどの付着物を、感光体2の表面から物理的に掻き取る。
一方、中間転写ベルト8上のトナー像の移動とタイミングに合わせて、転写材収納カセット(図示せず)に収容された転写材Pが、供給ローラ13などによって二次転写部N2に搬送される。そして、中間転写ベルト8上の例えば上述のような多重トナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ12の作用により、転写材P上に一括して転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ12には、二次転写電圧印加手段としての二次転写電源(図示せず)より、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である二次転写バイアスが印加される。
トナー像が転写された転写材Pは、定着手段としての定着装置14へと搬送部材などにより搬送される。転写材P上の例えば上述のような多重トナー像は、定着装置14によって加熱、加圧されることで溶融、混合されて転写材Pに定着され、フルカラーの記録画像となる。その後、転写材Pは画像形成装置100の装置本体の外部に排出される。
また、二次転写後に中間転写ベルト8に残ったトナー(二次転写残トナー)は、ベルトクリーニング装置15によって中間転写ベルト8上から除去されて回収される。
なお、例えばブラックの単色画像形成時には、第4の画像形成部1Bkにおいてのみ感光体2Bk上にトナー像が形成される。そして、このトナー像が中間転写ベルト8に一次転写された後、転写材Pに二次転写される。
2.現像剤
トナーは、結着樹脂、着色剤、そして必要に応じてその他の添加剤を含む着色樹脂粒子に、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添されて構成されている。本実施例では、トナーは、重合法により製造した負帯電性のポリエステル系樹脂である。トナーの体積平均粒径は5μm以上、8μm以下が好ましい。本実施例では、トナーの体積平均粒径は6.2μmであった。
トナーは、結着樹脂、着色剤、そして必要に応じてその他の添加剤を含む着色樹脂粒子に、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添されて構成されている。本実施例では、トナーは、重合法により製造した負帯電性のポリエステル系樹脂である。トナーの体積平均粒径は5μm以上、8μm以下が好ましい。本実施例では、トナーの体積平均粒径は6.2μmであった。
また、キャリアは、例えば、表面酸化あるいは未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属、及びそれらの合金、又は酸化物フェライトなどが好適に使用可能である。これらの磁性粒子の製造法は特に制限されない。そして、キャリアは、重量平均粒径が20〜50μm、好ましくは30〜40μmであり、抵抗率が107Ω・cm以上、好ましくは108Ω・cm以上である。本実施例では、キャリアとして抵抗率が108Ω・cmのものを用いた。また、本実施例では、低比重磁性キャリアとして、フェノール系のバインダー樹脂に磁性金属酸化物及び非磁性金属酸化物を所定の比で混合し、重合法により製造した、樹脂磁性キャリアを使用した。本実施例で用いたキャリアの体積平均粒径は35μm、真密度は3.6〜3.7g/cm3、磁化量は53A・m2/kgである。
3.帯電装置
次に、帯電装置について更に詳しく説明する。図2は、本実施例における帯電装置30の概略構成を示す模式的な断面図であり、帯電ローラ3の層構成が示されている。
次に、帯電装置について更に詳しく説明する。図2は、本実施例における帯電装置30の概略構成を示す模式的な断面図であり、帯電ローラ3の層構成が示されている。
帯電装置30は、帯電部材としての帯電ローラ3、帯電電源S1などを有して構成される。帯電ローラ3は、詳しくは後述するように、感光体2に接触して感光体2の回転に従動して回転するゴムローラで構成されている。
本実施例では、帯電ローラ3の長手方向(回転軸線方向)の長さは320mmである。帯電ローラ3は、芯金(支持部材)3aの上(外周)に、下層3bと、中間層3cと、表層3dとを、下から順に積層した層構成を有する。下層3bは帯電音を低減するための発泡スポンジ層であり、表層3dは、感光体2上にピンホールなどの欠陥があってもリークが発生するのを防止するために設けられている保護層である。
より具体的には、本実施例における帯電ローラ3の仕様は、次の通りである。
芯金3a:直径6mmのステンレス丸棒
下層3b:カーボン分散の発泡EPDM、比重0.5g/cm3、体積抵抗値102〜109Ωcm、層厚3.0mm
中間層3c:カーボン分散のNBR系ゴム、体積抵抗値102〜105Ωcm、層厚700μm
表層3d:フッ素化合物のトレジン樹脂に酸化錫とカーボンを分散、体積抵抗値107〜1010Ωcm、層厚10μm
芯金3a:直径6mmのステンレス丸棒
下層3b:カーボン分散の発泡EPDM、比重0.5g/cm3、体積抵抗値102〜109Ωcm、層厚3.0mm
中間層3c:カーボン分散のNBR系ゴム、体積抵抗値102〜105Ωcm、層厚700μm
表層3d:フッ素化合物のトレジン樹脂に酸化錫とカーボンを分散、体積抵抗値107〜1010Ωcm、層厚10μm
なお、帯電ローラ3の表面粗さ(JIS規格(JIS−B0601:1994)の十点平均粗さRz、凹凸の平均間隔Sm)は、感光体2に対する圧力を低減するなどの観点から、次のように設定することが好ましい。十点平均粗さRzは3〜50μm程度、凹凸の平均間隔Smは10〜500μm程度である。帯電ローラ3の表面の凹凸は、前述のように表層に微粒子を含有させる方法、機械的研磨により処理する方法などによって形成することができる。
図3は、帯電ローラ3に対する帯電バイアス印加系のブロック回路図である。本実施例では、帯電電源S1から、直流電圧Vdcに、周波数fの交流電圧Vacを重畳した所定の振動電圧(帯電バイアス電圧Vdc+Vac)が、芯金3aを介して、帯電ローラ3に印加される。これにより、回転する感光体2の周面が、所定の電位に帯電処理される。より詳細には、帯電ローラ3は、帯電バイアスが印加されることによって、帯電ローラ3と感光体2との接触部(帯電ニップ)N3の近傍の帯電ローラ3と感光体2との間隙で生じる微小な放電によって、感光体2の表面を帯電させる。交流電圧Vacの周波数fは、通常、1〜3kHz程度である。
図3に示すように、帯電ローラ3に対する電圧印加手段である帯電電源S1は、直流(DC)電源31と交流(AC)電源32とを有している。制御手段としての制御回路(制御部)41は、帯電電源S1のDC電源31とAC電源32とをオン・オフ制御して、帯電ローラ3に直流電圧と交流電圧との重畳電圧を印加するように制御する機能を有する。また、制御回路41は、DC電源31から帯電ローラ3に印加する直流電圧値と、AC電源32から帯電ローラ3に印加する交流電圧のピーク間電圧値又は交流電流値とを制御する機能を有する。制御回路41は、ROM42に記憶されたプログラムやデータ、電流検知回路43又は44の検知結果、画像形成枚数カウンター45の計数結果、環境センサー46の検知結果などに従って上記制御を行うことができる。その詳細な制御方法については、本発明においては利用可能なものを任意に用いることができるので、これ以上の説明は省略する。
なお、本実施例では、感光体2と帯電ローラ3とは、プロセスカートリッジとして一体的にユニット化されて、画像形成装置100の装置本体に対して着脱可能に構成されている。そして、規定枚数の画像形成により感光体2が寿命に達した場合などに容易に交換することができる。プロセスカートリッジには更に、現像装置4、感光体クリーニング装置6のいずれか又は両方が一体的にユニット化されていてよい。
4.感光体
次に、感光体について更に詳しく説明する。図2には、本実施例における感光体2の層構成が示されている。
次に、感光体について更に詳しく説明する。図2には、本実施例における感光体2の層構成が示されている。
本実施例では、感光体2は、機能分離された複数層からなるOPC(有機光導電体)感光層を有するOPC感光体である。本実施例では、感光体2は、支持体2aの上(外周)に、導電層2bと、下引き層2cと、電荷発生層2dと、電荷輸送層2eと、保護層2fとを、下から順に積層した層構成を有する。なお、支持体2a上の各層の全体を総称して感光層2gともいう。
そして、本実施例では、感光体2の表面には、複数の各々独立した凹部が形成されている。なお、本発明は、感光体2の表面に形成される凹部の具体的な態様については任意であり、様々な態様の凹部を備えた感光体2を有する画像形成装置100に適用できる。以下に説明する感光体2の表面の凹部の態様は、好ましい一実施例を示すものであって、凹部の態様は以下のものに限定されるものではない。
本実施例では、開口部最長径(長軸径)の比較的大きな凹部が、感光体2の表面に設けられている。また、本実施例では、この凹部の面積率は比較的少ない。さらに、本実施例では、表面層と表面層の直下の層との間の界面に表面層の表面に形成されている凹部に対応する凹部が複数形成されている。
すなわち、表面の凹部の態様を次のようにすることで、特に、画像流れの抑制効果が飛躍的に向上することがわかった。まず、開口部最長径の大きな凹部を感光体2の表面に疎に配置し、かつ、凹部以外の部分の中でも特に平坦部の面積を多くとることである。さらに、表面層と表面層の直下の層との間の界面に表面層の表面に形成されている凹部に対応する凹部が複数形成されていることである。
凹部を疎に配置することにより、感光体2側からクリーニングブレード61のビビリを適度に抑制し、安定的で高い摺擦状態を作り出すとともに、凹部へのクリーニングブレード61の圧力を低減することで、他の部分への圧力が増す。そして、圧力が増す非凹部の中でも、効率的な感光体2の表面のリフレッシュが行いやすい平坦部が多くなることで、更に、感光体2の表面に付着する画像流れの原因物質の除去が行われやすいような表面状態を形成できる。加えて、表面層の直下の層に表面層に形成された凹部に対応する凹部を形成することで、表面層に伝わるクリーニングブレード61の圧力、摺擦の効果を、分散せずに平坦部に伝えることができるため、更に効果を高めることが可能となる。このようなメカニズムにより、上述のような態様の凹部を表面に有する感光体2は、画像流れの抑制効果を飛躍的に向上させていると考えられる。
なお、表面層の直下の層に表面層に形成された凹部に対応する凹部が形成されていない場合には、次のようになるものと考えられる。すなわち、凹部の効果によって他の部分の圧力が増す分を、表面層の直下の層が均一であるために再度凹部方向へと分散してしまい、非凹部、特に平坦部に効果的に伝えにくくなるため、効果が得にくくなる。
具体的には、本実施例の感光体2の表面には、深さ0.5μm以上、6μm以下、かつ、開口部最長径20μm以上、80μm以下の凹部(以下「特定凹部」ともいう。)が設けられる。その際、表面層と表面層の直下の層との間の界面に表面層に形成されている特定凹部に対応する凹部が複数設けられている。そして、特定凹部は、次のような面積率で設けられている。すなわち、感光体2の表面の任意の位置に一辺が感光体2の回転方向に対して平行である一辺500μmの正方形領域を配置したとする。このとき、特定凹部は、その一辺500μmの正方形領域における特定凹部の面積が7500μm2以上、88000μm2以下になるように、感光体2の表面に設けられている。
なお、感光体の回転方向(表面の移動方向)とは、感光体が円筒状やベルト(エンドレスベルト)状のものである場合、周方向と同義である。また、深さ、開口部最長径の定義について後述する。
また、感光体2の表面には、特定凹部に加えて平坦部が設けられている。そして、平坦部は、次のような面積率で設けられている。すなわち、感光体2の表面の任意の位置に一辺が感光体2の回転方向に対して平行である一辺500μmの正方形領域を配置したとする。このとき、平坦部は、その一辺500μmの正方形領域における平坦部の面積が81000μm2以上、240000μm2以下になるように、感光体2の表面に設けられている。
また、例えば型を押しつけることで凹部を形成した場合などには、感光体2の表面には、上述のような複数の各々独立した凹部と、その凹部の周囲に配置され感光体2の表面から隆起した隆起部が形成される。
感光体2の表面の凹部(特定凹部)、隆起部、平坦部(凹部及び隆起部以外の領域)などは、例えば、レーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子力間顕微鏡などの顕微鏡を用いて観察することができる。
レーザー顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡VK−8550、超深度形状測定顕微鏡VK−9000、超深度形状測定顕微鏡VK−9500、VK−X200;(株)菱化システム製の表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機;オリンパス(株)製の走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000;レーザーテック(株)製のリアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130。
光学顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。(株)キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX−500、デジタルマイクロスコープVHX−200;オムロン(株)製の3DデジタルマイクロスコープVC−7700。
電子顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。(株)キーエンス製の3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800;エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM;(株)島津製作所製の走査型電子顕微鏡SUPERSCAN SS−550。
原子力間顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。(株)キーエンス製のナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000;エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の走査型プローブ顕微鏡NanoNaviステーション;(株)島津製作所製の走査型プローブ顕微鏡SPM−9600。
上記一辺500μmの正方形領域の観察は、一辺500μmの正方形領域が収まるような倍率で行ってもよいし、より高い倍率で部分的な観察を行った後、ソフトを用いて複数の部分画像を連結するようにしてもよい。
ここで、図4、図5を参照して、一辺500μmの正方形領域における特定凹部及び平坦部の定義などについて説明する。まず、感光体2の表面を顕微鏡などで拡大観察する。感光体2の表面の感光体2の回転方向の面が曲面である場合は、その曲面の断面プロファイルを抽出し、曲線をフィッティングする。その曲線が直線になるように上記断面プロファイルの補正を行い、得られた直線を感光体2の長手方向(回転軸線方向)に拡張した面を基準面とする。そして、得られた基準面から高低差±0.2μm以内の領域を、上記一辺500μmの正方形領域における平坦部とする。また、平坦部よりも下に位置するものを凹部とする。また、平坦部よりも上に位置するものを隆起部(非凹部かつ非平坦部)とする。深さ及び開口部最長径に関しては、平坦部から凹部の底面までの最大の距離を凹部の深さHとし、平坦部による凹部の断面を凹部の開口部とし、開口部を横切る線分のうち、最も長い線分の長さを凹部の開口部最長径Dとする。
上記一辺500μmの正方形領域における凹部のうち、上述のようにして求めた深さが0.5μm以上、6μm以下の範囲にあり、開口部最長径が20μm以上、80μm以下の範囲にあるものが、上記一辺500μmの正方形領域における特定凹部に該当する。
図4(A)は、基準面、平坦部、凹部の関係を模式的に示している。また、図4(B)は、基準面、平坦部、隆起部(非凹部かつ平坦部以外の部分)の関係を模式的に示している。図5は、感光体2の表面上の一辺500μmの正方形領域の例を示したものである。
特定凹部の開口部の形状(凹部を真上から見たときの形状)の例を、図6(A)〜(G)に示す。また、特定凹部の断面形状の例を、図7(A)〜(F)に示す。図6(A)〜(G)及び図7(A)〜(F)において、Dは、特定凹部の開口部最長径を表し、Hは、特定凹部の深さを表す。特定凹部の開口部の形状としては、例えば、図6(A)〜(G)に示す円、楕円、あるいは正方形、長方形、三角形、四角形、五角形、六角形といった多角形などが挙げられる。また、特定凹部の断面形状としては、例えば、図7(A)〜(F)に示す三角形、四角形といった多角形などのエッジを有するものや、連続した曲線からなる波型や、三角形、四角形といった多角形のエッジの一部又は全部を曲線に変形したものなどが挙げられる。感光体2の表面に設けられる複数の特定凹部は、すべてが同一の形状、大きさ、深さであってもよいし、異なる形状、大きさ、深さのものが混在していてもよい。
なお、隆起部(非凹部の平坦部以外の部分)の高さについては、これがあまり高い場合には後述する異常放電を低減する効果が顕著でなくなることがあり、凹部の深さよりも小さいことが好ましく、凹部の深さの1/3以下の高さであることがより好ましい。
次に、感光体2の表面の形成方法について説明する。図8(A)、(B)は、感光体2の表面に複数の凹部を形成するための、モールド(型)201を有する圧接形状転写加工装置(以下、単に「加工装置」ともいう。)200の例を示す模式図である。図8(A)、(B)に示す加工装置200によれば、感光体2を回転させながら、その表面(周面)に連続的にモールド201を接触させ、加圧することにより、感光体2の表面に凹部や平坦部を形成することができる。
加圧部材202の材質としては、例えば、金属、金属酸化物、プラスチック、ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、機械的強度、寸法精度、耐久性の観点から、ステンレス鋼(SUS)が好ましい。加圧部材202は、その上面にモールド201が設置される。また、下面側の支持部材(図示せず)及び加圧システム(図示せず)により、支持部材203に支持された感光体2の表面に、モールド201を所定の圧力で接触させることができる。また、支持部材203を加圧部材202に対して所定の圧力で押し付けてもよいし、支持部材203及び加圧部材202を互いに押し付けてもよい。
ここで、図8に示す例は、加圧部材202を移動させることにより、感光体2を従動回転させるか又は駆動回転させながら、その表面を連続的に加工する例である。代わりに、支持部材203を移動させることにより、又は、支持部材203及び加圧部材202の両者を移動させることにより、感光体2の表面を連続的に加工することもできる。
なお、形状の転写を効率的に行う観点から、モールド201や感光体2を加熱することが好ましい。
モールド201としては、例えば、次のようなものが挙げられる。すなわち、微細な表面加工された金属や樹脂フィルム、シリコンウエハーなどの表面にレジストによりパターニングをしたもの、微粒子が分散された樹脂フィルム、又は微細な表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングを施したものなどである。
なお、感光体2に対する圧力を均一にする観点から、モールド201と加圧部材202との間に弾性体を設置することが好ましい。
5.感光体の具体例
以下、具体的な感光体の製造例を示す。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
以下、具体的な感光体の製造例を示す。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
<感光体製造例>
直径30.7mm、長さ370mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
直径30.7mm、長さ370mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、酸化スズで被覆されている硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)0.015部、シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製)3.6部、2−メトキシ−1−プロパノール50部、及びメタノール50部を、ボールミルに入れ、20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を1時間140℃で加熱し、硬化させることによって、膜厚15μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部、及びメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)30部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚0.45μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°及び28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)20部、下記構造式(1)で示されるカリックスアレーン化合物0.2部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)10部、及びシクロヘキサノン600部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理した後、酢酸エチル700部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚0.17μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(2)で示される化合物(電荷輸送物質(正孔輸送性化合物))70部、及びポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート)100部を、モノクロロベンゼン600部/ジメトキシメタン200部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚15μmの電荷輸送層を形成した。
次に、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラーH、日本ゼオン(株)製)20部/1−プロパノール20部の混合溶剤をポリフロンフィルター(商品名PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過した。その後、下記構造式(3)で示される正孔輸送性化合物90部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン70部、及び1−プロパノール70部を、混合溶剤に加えた。これをポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)製)で濾過することによって、第二電荷輸送層(保護層)用塗布液を調製した。この第二電荷輸送層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を大気中において10分間50℃で乾燥させた。その後、窒素中において加速電圧150kV、ビーム電流3.0mAの条件で支持体を200rpmで回転させながら、1.6秒間電子線を塗膜に照射した。引き続いて、窒素中において25℃から125℃まで30秒かけて昇温させ、塗膜の加熱硬化反応を行った。なお、このときの電子線の吸収線量を測定したところ、15kGyであった。また、電子線照射及びその後の加熱硬化反応時の雰囲気の酸素濃度は15ppm以下であった。次に、大気中において25℃まで塗膜を自然冷却し、大気中において30分間100℃で加熱処理を行うことによって、膜厚5μmの第二電荷輸送層(保護層)を形成した。
このようにして、表面に凹部を形成する前の感光体2を作製した。
<モールド圧接形状転写による凹部の形成>
図8に示す加工装置200に、図9(A)、(B)に示すようなモールド201(例えば、最長径d:50μm、間隔i1及びi2:50μm、高さh:2.0μmのドーム型形状)を設置する。そして、上述のようにして作製した表面に凹部を形成する前の感光体2に対して表面加工を行った。本実施例では、感光体2の外周の法線方向に見た凹部の形状は略円形である。
図8に示す加工装置200に、図9(A)、(B)に示すようなモールド201(例えば、最長径d:50μm、間隔i1及びi2:50μm、高さh:2.0μmのドーム型形状)を設置する。そして、上述のようにして作製した表面に凹部を形成する前の感光体2に対して表面加工を行った。本実施例では、感光体2の外周の法線方向に見た凹部の形状は略円形である。
加工時には、感光体2の表面の温度が110℃になるように、感光体2及びモールド201の温度を制御し、3.0MPaの圧力で感光体2と加圧部材202とを押し付けながら、感光体2を周方向に回転させて、感光体2の表面に凹部を形成した。このようにして、表面に凹部を有する感光体2を作製した。
6.凹部の配置
次に、感光体2の表面の凹部の配置について説明する。
次に、感光体2の表面の凹部の配置について説明する。
本実施例では、表面に複数の凹部が形成され画像流れなどに強い感光体2と、表面に凹凸が形成され汚れなどに強い帯電ローラ3とを組み合わせた構成とされている。前述のように、このような構成とされている場合、感光体2と帯電ローラ3との凸部同士が近接した際に、特に強い電界が生じ、異常放電を発生し、画像の均一性が低下し、がさついた画像となってしまうことがある。
更に説明すると、上述のような表面に凹部を有する感光体2を用いて画像形成を行った場合に、一定の条件下においては、異常放電によるシロ抜けの斑点状又はスジ状の画像不良が発生することがわかった。これは、図4(B)に示す隆起部(非凹部かつ非平坦部)である、感光体2の表面の隆起した位置において主に発生していることがわかった。つまり、その感光体2の表面の隆起部が、周囲に比べて帯電ローラ3の表層に近く、局所的に放電が集中するために電位が異常に高くなり、その部分で画像不良が生じるものと考えられる。
また、特に、隣り合う(並び合う)凹部の周囲(縁)の隆起部が同時に異常放電を生じさせた場合や、1つの凹部の周囲の隆起部の全体が同時に異常放電を生じさせた場合に、顕著に画像不良が発生することがわかった。
一方、図10は、帯電ローラ3に印加される交流電圧(以下、単に「交流電圧」ともいう。)に応じた交流電流の波形を示す図である。交流電圧を印加する帯電方式の場合、プラス側、マイナス側への放電を交互に起こすことで、被帯電体を均一に帯電せることができる。例えば、直流電圧を印加したときの被帯電体の放電開始閾値電圧(帯電開始電圧)の2倍以上のピーク間電圧を有する交流電圧と、直流電圧(直流オフセットバイアス)とを重畳した振動電圧を印加する。これにより、被帯電体の帯電電位を均す効果があり、被帯電体をより均一に帯電させることができる。
図10には、感光体2を負極性に帯電させる際の、放電が発生しない場合の交流電流波形(未放電波形)と、放電が発生した場合の交流電流波形とが、比較されるように示されている。同図中の矢印Aで示す部分が放電波形の放電領域(放電部)と考えられる。すなわち、交流電圧の負側の電界が強くなる領域において、帯電ローラ3と感光体2との間の微小な隙間で放電が生じ、交流電流波形によりその放電成分を検出することができる。そして、この放電領域は、交流電圧の基準となるDC電圧から電圧が上昇してゆく過程にあり、交流電圧周期の1/4の範囲内にあることがわかる。
以上のことから、特に顕著な画像不良が発生するのは、上記感光体2の隣り合う複数の隆起部において同時に、上記放電を発生させる交流電圧の1/4周期の範囲のタイミングで放電が生じる場合であると考えられる。この隣り合う複数の隆起部には、上述のように、隣り合う凹部の周囲の隆起部や、1つの凹部の周囲の隣り合う隆起部が含まれる。
図11は、上述のような放電が生じるタイミングを模式的に示す図である。同図中のP点、すなわち、感光体2の表面の隆起部と帯電ローラ3の表面とが近接する部分において、交流電圧による放電が発生する条件(図10に示す放電領域)になると、異常放電が発生する可能性が生じるものと考えられる。
これに対し、まず、隣り合う凹部の感光体2の回転方向の位置が、交流電圧の1/4周期よりも大きくずれていれば、同時に異常放電を引き起こす可能性を無くすか又は低減することができ、画像不良を問題がないレベルにし得ることがわかった。
また、1つの凹部の感光体2の回転方向の幅が、交流電圧の1/4周期以下の場合には、1つの凹部の周囲の隆起部の全体が同時に異常放電を生じさせる場合がある。そのため、凹部の感光体2の回転方向の幅が交流電圧の1/4周期よりも大きければ、異常放電が発生する部分が分散され、画像不良を問題がないレベルにし得ることがわかった。
図12は、感光体2の表面の近接する凹部の位置関係、及び1つの凹部の幅を説明するための模式図である。上述のように、ここでは、感光体2の表面の凹部の周囲(縁)が、感光体2の表面の移動に伴ってある位置に到達するタイミングで放電が発生しやすい条件になるか否かを問題とする。そのため、1つの凹部の周囲(縁)については、該凹部の感光体2の回転方向における下流側端部(先端)と上流側端部(後端)との距離に注目する。一方、隣り合う凹部の周囲(縁)については、典型的には、各凹部の感光体2の回転方向における下流側端部(先端)同士の、同方向における距離に注目する。したがって、図12に示すように、前述した開口部最長径Dの場合と同様に定義される凹部の開口部を横切る線分のうち、感光体2の回転方向における最も長い線分の長さを、凹部の感光体2の回転方向の幅Xとする。凹部が略円形の場合は、開口部最長径Dと、凹部の感光体2の回転方向の幅Xとは、実質的に同じである。一方、図12に示すように、隣り合う凹部間の感光体2の回転方向における最近接距離を、互いに隣接する凹部同士の感光体2の回転方向の間隔Yとする。この幅X、間隔Yとしては、感光体2上のトナー像を形成することが可能な領域である画像形成可能領域における上記幅、間隔のそれぞれの平均値を用いる。この平均値は、感光体2の画像形成可能領域の全域における平均値を求めてもよいが、許容し得る精度にて画像形成可能領域における平均値を代表し得る、感光体2上の所定の範囲について求めたものであってよい。例えば、感光体2の画像形成可能領域の中の任意の2cm×2cmの領域における平均値を求めて用いることができる。
すなわち、凹部の感光体2の回転方向の幅の平均値をX(μm)、互いに隣接する凹部同士の感光体2の回転方向の間隔の平均値をY(μm)、帯電バイアスの交流電圧の周波数をf(Hz)、感光体2の表面の移動速度をP(mm/s)とする。この場合に、
X>1000P/(4f) ・・・(1)
及び
Y>1000P/(4f) ・・・(2)
の少なくとも一方の関係を満たす構成とする。
X>1000P/(4f) ・・・(1)
及び
Y>1000P/(4f) ・・・(2)
の少なくとも一方の関係を満たす構成とする。
なお、上記式(1)は、X(μm)を周波数fの交流電圧の1/4周期分よりも大きくするとのことから、次式、X(μm)>1000×P(mm/s)/f(s-1)×1/4、から導かれる。上記(2)、及び後述する式(3)についても同様である。
後述する評価結果からわかるように、上記式(1)、(2)の関係は、いずれか一方を満たすことで、上述のような異常放電による画像不良を顕著に低減できる。ただし、後述する評価結果からわかるように、上記(1)、(2)の関係の両方を満たすことで、斯かる効果をより顕著に得られる。
さらに、帯電ローラ3の表面の凹凸が一定の条件を満たす場合に、上述のような異常放電による画像不良を抑制する効果を向上し得ることがわかった。
すなわち、一般に、感光体2の回転方向において帯電ニップN3の上流側と下流側の帯電ローラ3と感光体2との間隙で放電が生じている。しかし、感光体2の電位が低い状態である帯電ニップN3の上流側では、電界が強いため、帯電バイアスによる放電が大きく生じ、感光体2の電位はほぼ帯電ニップN3の上流側で所望の帯電電位に収束することが知られている。
したがって、帯電ニップN3の下流側の放電は相対的に小さくなるため、上述のような感光体2の凹部の周辺における異常放電は、特に帯電ニップN3の上流側で生じやすいものと考えられる。逆に、帯電ニップN3の上流側で発生した異常放電によって局所的に周囲より電位上昇した部分があった場合には、下流側では相対的に感光体2と帯電ローラ3との間の電界が強い領域となるため部分的に良く放電し、電位ムラが均されるという効果がある。
ここで、帯電ニップN3の上流側で感光体2の凹部の周辺において発生した異常放電により電位が上昇している部分に、帯電ニップN3の下流側で帯電ローラ3の凹部が対向すると、上述のような放電による電位ムラを均す効果が得にくくなると考えられる。これに対し、感光体2の回転方向に沿う方向おける、帯電ローラ3の凹凸の周期、すなわち、帯電ローラ3の表面の凹凸の平均間隔Smが所定値よりも小さければ、上述のような電位ムラを均す効果を得やすくなる。これは、次のような理由によるものと考えられる。例えば、本実施例のように帯電ローラ3が感光体2の回転に従動して回転している場合であっても、一般に帯電ローラ3と感光体2との間には若干の速度差が生じている。そのため、上述のように帯電ローラ3の表面の凹凸の平均間隔Smを所定値よりも小さくすることで、帯電ニップN3の上流側で異常放電が生じた個所に、帯電ニップN3の下流側で帯電ローラ3の凸部を対向させやすくなる。そのメカニズムは必ずしも明らかではないが、本発明者の検討の結果、帯電ローラ3の表面の凹凸の平均間隔Smが、交流電圧の1/8周期よりも小さい場合、画像不良のより少ない状態を維持できることがわかった。
すなわち、帯電ローラ3の表面の凹凸の平均間隔SmをZ(μm)、帯電バイアスの交流電圧の周波数をf(Hz)、感光体2の周速度(プロセススピード)をP(mm/s)とする。この場合に、
Z<1000P/(8f) ・・・(3)
の関係を満たす構成とすることが好ましく、上記式(1)及び式(2)の少なくとも一方の関係を満たすと共に上記式(3)の関係を満たすようにすることで更に画像不良の少ない状態を維持できるという効果を得ることができる。
Z<1000P/(8f) ・・・(3)
の関係を満たす構成とすることが好ましく、上記式(1)及び式(2)の少なくとも一方の関係を満たすと共に上記式(3)の関係を満たすようにすることで更に画像不良の少ない状態を維持できるという効果を得ることができる。
表1は、凹部の感光体2の回転方向の幅、互いに隣接する凹部同士の感光体2の回転方向の間隔Y、帯電ローラ3の凹凸の平均間隔を様々に変えて画像不良の発生の有無を確認した結果を示している。なお、交流電圧の周波数f、感光体2の周速度(プロセススピード)Pを変更させた場合についても確認した。画像不良は、A4画像1枚当たりのHT(ハーフトーン)画像上のシロ抜けの個数で評価した。
表1中の○が記載された部分は、上述の条件を備えた設定を示している。表1から、上述の条件を備えた場合に異常画像の発生が抑えられることがわかる。すなわち、上記式(1)及び式(2)の少なくとも一方の関係を満たすことで、顕著に画像不良を抑制でき、更に上記式(3)の関係を満たすことで、より顕著に画像不良を抑制できることがわかる。
なお、本実施例では、感光体2の表面に形成される複数の凹部は実質的にその全部が前述の特定凹部であり、深さや開口部最長径が特定凹部の条件を満たさないものは無視できる程度である。ただし、前述の特定凹部の条件を満たさない凹部が無視できない程度にある場合には、それらの凹部も上述の条件を満たすようにすればよい。また、本発明は、感光体2の表面の凹部の全部が上述の条件を満たす場合に限定されるものではない。本発明者の検討によれば、感光体2(その画像形成可能領域)の表面の中で任意に2cm×2cmの領域を確認した場合に、80%以上の凹部の幅X、隣接する凹部の間隔Yが上述の条件を満たしていれば十分の効果が得られる。また、その場合、上述の条件を満たさない部分については、上述の条件の境界に対し20%以内のはみ出し量(誤差)に抑えられていることが好ましい。
以上説明したように、本実施例によれば、感光体2の凹部の回転方向の幅を、帯電バイアスの交流電圧の4半周期よりも大きくする。これにより、1つの凹部の中で特に強い放電が同時に集中して発生することを抑制することができる。また、それに代えて又は加えて、隣り合う凹部同士の感光体2の回転方向の間隔を、帯電バイアスの交流電圧の4半周期よりも大きくする。これにより、隣接する凹部の縁が同時に異常放電を起こすことを抑制することができる。さらに、帯電ローラ3の表面の凹凸の平均間隔を、帯電バイアスの交流電圧の1/8周期より小さくする。これにより、仮に帯電ニップN3の上流側で異常放電による帯電ムラが発生した場合でも、その帯電ムラを帯電ニップN3の下流側で解消しやすくなる。したがって、本実施例によれば、画像流れなどに強い凹凸を有する感光体2と、汚れなどに強い凹凸を有する帯電ローラとを組み合わせた構成においても、局所的な異常放電による画像不良の発生を抑制し、良好な画像を維持することが可能となる。
なお、本実施例では、感光体の表面の凹部は、所定の形状を有する型を感光体の表面に圧接し形状転写を行う方法で形成した。しかし、凹部が形成されるのであれば、その形成方法は特に限定されるものではない。例えば、パルス幅が100ns以下である出力特性を有するレーザー照射により、所定の形状の凹部を感光体の表面に形成する方法などが知られている。このような他の方法で形成された凹部についても、その縁は他の部位(平坦部や凹部の内側)などと比較すると、帯電部材との間で異常放電が生じやすいと言える。したがって、このような他の方法で形成された凹部を有する感光体を用いる場合にも、本発明を適用することで、上述と同様の効果を得ることができる。
また、本実施例では、画像形成装置は、中間転写方式を採用したタンデム型のものであるとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、タンデム型/1ドラム型、中間転写型/直接転写型の区別無く実施できる。1ドラム型とは、一の感光体に対して複数の現像手段が設けられており、感光体に形成される複数のトナー像を被転写体に順次に重ね合わせるように転写して画像を形成するものである。また、直接転写型とは、中間転写体の代わりに、被転写体としての記録材を担持して搬送する記録材担持体を有し、感光体から記録材担持体上の記録材にトナー像を直接転写するものである。ここで、複数の画像形成部が設けられる場合、画像形成部の数は、上述の実施例のものに限定されるものでない。また、画像形成装置は、カラー画像形成装置に限定されるものではなく、白黒画像形成装置など、画像形成部が単独のものであってもよい。
1 画像形成部
2 感光体
3 帯電ローラ
4 現像装置
6 クリーニング装置
2 感光体
3 帯電ローラ
4 現像装置
6 クリーニング装置
Claims (4)
- 回転可能な感光体と、
前記感光体に近接又は接触して配置され前記感光体を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材に直流電圧と交流電圧とが重畳されたバイアスを印加する電源と、
前記帯電部材によって帯電された前記感光体の表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
を有する画像形成装置において、
前記感光体の表面には複数の各々独立した凹部と、前記凹部の周囲に配置され前記感光体の表面から隆起した隆起部が形成されており、
複数の前記凹部の前記感光体の表面の移動方向の幅の平均値をX(μm)、互いに隣接する前記凹部同士の前記感光体の表面の移動方向の間隔の平均値をY(μm)、前記交流電圧の周波数をf(Hz)、前記感光体の表面の移動速度をP(mm/s)とするとき、
X>1000P/(4f)
及び
Y>1000P/(4f)
の少なくとも一方の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。 - 前記帯電部材の表面の凹凸の平均間隔SmをZ(μm)とするとき、
Z<1000P/(8f)
の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記凹部は、深さが0.5μm以上、6μm以下、かつ、開口部最長径が20μm以上、80μm以下であり、前記感光体の表面の一辺が前記感光体の表面の移動方向に対して平行である一辺500μmの正方形領域における前記凹部の面積が7500μm2以上、88000μm2以下、該領域における前記凹部及び前記隆起部以外の領域である平坦部の面積が81000μm2以上、240000μm2以下になるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記帯電部材は、回転可能な回転体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
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JP2014023817A JP2015152640A (ja) | 2014-02-10 | 2014-02-10 | 画像形成装置 |
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JP2014023817A JP2015152640A (ja) | 2014-02-10 | 2014-02-10 | 画像形成装置 |
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-
2014
- 2014-02-10 JP JP2014023817A patent/JP2015152640A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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