以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態で説明される寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構造又は様々な条件に応じて変更される。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に説明される実施形態で具体的に記載された形態に限定されるものではない。なお、以下で説明する図面で、同機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略することもある。
[第1実施形態]
<欠陥判定装置>
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る欠陥判定装置100の模式図である。欠陥判定装置100は、導光部110、照明部120、撮像部130、第1の移動機構140、及び制御装置150を備える。制御装置150は、表示部160に接続されている。
欠陥判定装置100は、検査対象物としてのワーク200の孔201内に導光部110を挿入し、ワーク200の孔内面202を撮像し、生成された画像情報を基に擬似配光分布を構築し、擬似配光分布の特徴量から孔内面202の欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定することができる。画像情報に含まれる各画素値(輝度値)は、ワーク200の孔内面202からの反射光の反射特性(反射強度)を反映した値である。ここで、「孔」には、非貫通のものに加えて、貫通したものも含まれる。また、「欠陥」には、欠けて足りないものに加えて、検査対象物の発見されなければならない特徴一般を意味する。例えば、「欠陥」には、検査対象物に形成された傷、鋳巣、割れ、打痕、凹み、凸部、びびり、及び製造不良、並びに該孔内面に付着した水滴、油、錆、及び不純物等も含まれる。
なお、本実施形態及び以下の実施形態では、ワーク200は円筒形状をとるものを想定しているが、欠陥判定装置100の欠陥判定の対象となるワークの形状はこれに何ら限定されるものではなく、どのような形状であっても欠陥判定装置100の欠陥判定の原理に影響は無い。
導光部110は、ワーク200の孔内面202に照射された光の反射光をとりこみ、撮像部130へと導光する手段であり、例えばファイバースコープ、工業用内視鏡、リジッドボアスコープ、又はビデオスコープ等である。なお、導光部110として、光ファイバや鏡面筒等の導光性質を有する筒状部材内で、レンズ及びミラーを組み合わせた構成を用いてもよい。
照明部120は、導光部110の周囲に固定され、光を導光部110の前方(ワーク200に挿入される方向)にある検査対象面(ワーク200の孔内面202)に照射する手段である。照明部120は、わらに詳しくは、n本の光ファイバ1211〜121n、照射切替部122、及び光源123を有する。ここで、nは2以上の整数である。
光ファイバ1211〜121nは、導光部110の周囲に接着剤や治具等の固定部材(不図示)により固定され、光源123からの光を導光部110の前方に照射する。なお、図1(a)では説明を簡単にするために、光ファイバ1211〜121nは、導光部110に固定された部分は立体的に描かれ、その他の部分は単線で描かれている。
図1(b)は、導光部110及び照明部120(光ファイバ1211〜121n)のAA線断面図である。図1(b)に示すように、導光部110は、中心軸Cを有する円筒形状をとり、光ファイバ1211〜121nは、導光部110の周囲に配置され固定されている。複数の光ファイバ1211〜121nの各々(の中心)は、導光部110の中心軸Cを中心とした同心円上に角度θで規定される位置(配置位置θ)に配置され固定されている。例えば、照明部120の光ファイバ1211は配置位置θ1に、照明部120の光ファイバ121kは配置位置θkに、そして照明部120の光ファイバ121nは配置位置θnに配置され固定されている。ここで、kは、1以上n以下の整数である。
照射切替部122は、詳細には後述するが、照明制御部153からの制御信号に応じて、光源123からの光が光ファイバ1211〜121nから個別に照射されるようにするための手段であり、例えば液晶パネルや電源スイッチ等である。光源123は、単色又は白色の光を発生する手段であり、例えば蛍光灯、電球、ランプ、LED、又はレーザ等である。ここで、用語「個別」には、「一つずつ別に」という意味の他に、「複数ずつ別に」や、「ある組ずつ別に」といった意味も含まれる。例えば、「照明部120から光を個別に検査対象物に照射する」又は「照明部120を個別に点灯させる」というとき、照明部120の光ファイバ1211〜121nの一つずつから光を検査対象物に照射する意味の他に、光ファイバ1211〜121nの複数本ずつから光を検査対象物に照射する意味も含まれるものとする。
撮像部130は、制御装置150からの制御信号に応じて、導光部110を通じて対象を撮像し、導光部110の見える範囲の画像を生成し、該画像の画素ごとの輝度値の情報(画像情報)を制御装置150に出力する機器である。例えば、撮像部130は、デジタルカメラ若しくはデジタルビデオ又はハイスピードカメラである。
第1の移動機構140は、制御装置150からの制御信号に応じて、導光部110を移動させるための手段であり、例えば、油圧シリンダやロボットアームである。また、第1の移動機構140は、位置を検出するエンコーダを備え、導光部110のZ軸位置の情報を制御装置150に出力する。ここで、Z軸は、ワーク200の孔201の深さ方向に向かう軸である。なお、第1の移動機構140を設けずに、操作者が手動で導光部110を移動させるようにしてもよい。
制御装置150は、中央演算処理装置(CPU)や入出力インターフェース(いずれも不図示)等を備えるコンピュータであり、照明部120、撮像部130、及び第1の移動機構140に接続されている。制御装置150は、記憶部154に記憶された所定のプログラムに従い実現される機能部として、移動制御部151、撮像制御部152、照明制御部153、特徴量算出部155、及び欠陥判定部156を有する。
移動制御部151は制御信号を第1の移動機構140に出力し、それに応じて第1の移動機構140は導光部110を所定のZ軸位置に移動させる。また、移動制御部151は、第1の移動機構140から導光部110のZ軸位置の情報を入力する。撮像制御部152は制御信号を撮像部130に出力し、それに応じて撮像部130は、導光部110を介して見える範囲の画像を生成し、その画像情報を制御装置150に出力する。照明制御部153は、制御信号を照明部120に出力し、それに応じて照明部120は個別に点灯し、導光部110の前方に光を照射する。記憶部154は、Read Only Memory(ROM)やRandom Access Memory(RAM)等の記憶媒体であり、各機能部を実現するためのプログラムや種々のパラメータ等を記憶し、撮像部130や第1の移動機構140からの情報並びに特徴量算出部155及び欠陥判定部156の処理結果等を記憶する。特徴量算出部155は、撮像部130からの画像情報及び第1の移動機構140からのZ軸位置情報等を用いて、種々の演算処理を行い、詳細には後述するが、各画素又はワークの孔内面の微小部分ごとの擬似配光分布を構築し、その特徴量を算出する。欠陥判定部156は、特徴量算出部155により算出された特徴量を基に、予め記憶部156に記憶された特徴量に関するデータを参照し、ワーク200の孔内面202の欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定する。
表示部160は、制御装置150による欠陥判定結果の情報を入力し、操作者に表示するための機器であり、例えば、ディスプレイやプリンタ、又は音声伝達手段等である。
次に、図2A乃至図2Cを参照して、照明部120の具体的な構成について説明する。図2A(a)に示すように、光ファイバ1211〜121nの入射端は、入射切替部である液晶パネル122からの光を入射できるように液晶パネル122に向かうように配置されている。そして、照明制御部153は、液晶パネル122を制御して、所望の画素だけ光を透過させるようにすることで、光源123からの光を照明部120の複数の光ファイバ1211〜121nのうちの所望の光ファイバに入射させることができる。なお、光ファイバ1201〜120nから出射される光の輝度が互いに同一となるように光源130の強度や位置等を予め調整しておくことが好ましい。
例えば、図2A(b)に示すように、照明制御部153は、液晶パネル122の画素1221を光を透過させる状態(透過状態)にし、他の画素を光を遮断する状態(遮断状態)にすることにより、光源123からの光を光ファイバ1211のみに入射させることができる。これにより、光ファイバ1211からの光だけが、ワーク200の孔内面202に照射されることになる。また、図2A(c)に示すように、照明制御部153は、液晶パネル122の画素122nを透過状態にし、他の画素を遮断状態にすることにより、光源123からの光を光ファイバ121nのみに入射させることがでる。これにより、光ファイバ121nからの光だけが、ワーク200の孔内面202に照射されることになる。なお、図2A(d)に示すように、照明制御部153は、液晶パネル122の画素122k及び122nを透過状態にし、他の画素を遮断状態にすることにより、光ファイバ120k、120nからの光が、ワーク200の孔内面202に照射されるようにしてもよい。
また、図2Bに示すように、光ファイバ1211〜121nの入射端に、それぞれ、電球やLED等のn個の光源1231〜123nを直接取り付けるようにしてもよい。この場合、照明制御部153は、光源1231〜123nの各々に供給される電源(不図示)を照射切替部としての電源スイッチ122で切り替えることにより、光源1231〜123nを個別に点灯及び消灯させる。これにより、光ファイバ1211〜121nからの光がワーク200の孔内面202に個別に照射されることになる。例えば、照明制御部153は、電源が光源123nにだけ供給され、他の光源には供給されないように電源スイッチ122を制御することにより、光ファイバ121nからの光だけが、ワーク200の孔内面202に照射される。
また、図2Cに示すように、光ファイバを1211〜121n設けずに、n個の光源1231〜123nを導光部110の周囲に直接取り付けるようにしてもよい。この場合、照明制御部153は、照射切替部としての電源スイッチ122を制御し、光源1231〜123nを個別に点灯及び消灯させ、光ファイバ1211〜121nからの光がワーク200の孔内面202に個別に照射される。
そのため、「照明部120の配置位置θk」、「照明部120は配置位置θkからワークの孔内面に光を照射する」又は「配置位置θkにある照明部120は点灯する」等という表現は、詳細には、配置位置θkに位置する光ファイバ121k又は光源123kから光がワークの孔内面に照射される状況を表している。
<擬似配光分布の構築>
欠陥判定装置100は、各配置位置の照明部120を点灯及び消灯させ、光を検査対象物の孔内面に個別に照射し、照射のつど撮像部130により当該孔内面を撮像し、撮像部130で生成された画像情報を基に、画素ごとに擬似配光分布を構築する。そして、欠陥判定装置100は、当該擬似配光分布の特徴量から検査対象物の欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定する。
ここで、本実施形態における「擬似配光分布」は、点灯した照明部120の配置位置θ、言い換えると検査対象物の孔内面に光を照射する照明部120の配置位置θと、そのときの画像情報の各画素の輝度値とを関連づけて、画素ごとに2次元空間(I−θ空間)に分布させたもの(又はそれらを結んだ曲線)である。言い換えると、擬似配光分布は、ある面に対して様々な方向から光が照射され、当該面からの光の反射強度が当該様々な方向に依存して変わることを示すものである。以下、特徴量算出部155による、擬似配光分布の構築の処理について説明する。
図3は、導光部110がワーク200の孔201に挿入された状態を示す断面図である。導光部110の中心軸C110とワーク200の中心軸C200とは一致している。ワーク200の開口端203をZ軸の位置Z0とし、導光部110の先端111のZ軸上の位置はZ1である。図3において、符号112は、導光部110がワーク200の孔内面202からの反射光を取り込める範囲、言い換えると撮像部130が生成する画像に写る範囲(画角)を示す。また、ワーク200の孔内面202には欠陥部204が存在すると想定する。
導光部110(の先端111)がZ軸上の位置Z1にある場合に、特徴量算出部155が撮像部130により生成される画像情報を用いて擬似配光分布を構築する原理について、図4A〜4Cを参照しながら説明する。
図4Aは、欠陥判定装置100の照明部120、照明制御部153、撮像部130、撮像制御部152、及び記憶部154間のタイミングチャートである。図4Aを参照して、配置位置θ1〜θnの照明部120を個別に点灯及び消灯させ、点灯ごとに撮像部130によりワーク200の孔内面202を撮像し、その画像情報(各画素の輝度値Iの情報)と照射部120の配置位置の情報(「θ位置情報」)と導光部110のZ軸上の位置の情報(「Z位置情報」)とを関連付けた情報(「関連情報」)を生成し記憶するフローを説明する。なお、導光部110のZ位置情報は、図4AのステップS401の前に、第1の移動機構140から入力され、記憶部154に記憶されている。また、本実施形態では、導光部110のZ位置情報は、2次元の擬似配光分布の構築の際に使用されない。
まず、ステップS401で、照明制御部153は、配置位置θ1の照明部120を点灯させるために、ON(θ1)制御信号を照明部120に出力し、それに応じて位置θ1の照明部120は点灯する(点灯θ1)。ステップS402で、照明制御部153は、点灯させた照明部120のθ位置情報(θ1)を記憶部154に記憶させる。ステップS403で、撮像制御部152は、撮像制御信号を撮像部130に出力し、それに応じて撮像部130は、ワーク200の孔内面202を撮像する(撮像1)。ステップS404で、撮像部130は生成した画像の画像情報(I)を記憶部154に出力し、記憶部154はそれを記憶する。このとき、記憶部154は、画像情報(I)とθ位置情報(θ1)とZ位置情報(Z1)とを関連づけて、関連情報D(I,θ1,Z1)として記憶する。ステップS405で、照明制御部153は、配置位置θ1の照明部120を消灯させるために、OFF(θ1)制御信号を照明部120に出力し、それに応じて位置θ1の照明部120は消灯する。
続いて、位置θ2の照明部120を点灯させて、同様の処理を行う。すなわち、ステップS406で、照明制御部153は、配置位置θ2の照明部120を点灯させるために、ON(θ2)制御信号を照明部120に出力し、それに応じて位置θ2の照明部120は点灯する(点灯θ2)。ステップS407で、照明制御部153は、点灯させた照明部120のθ位置情報(θ2)を記憶部154に記憶させる。ステップS408で、撮像制御部152は撮像制御信号を撮像部130に出力し、それに応じて撮像部130はワーク200の孔内面202を撮像する(撮像2)。ステップS409で、撮像部130は生成した画像の画像情報(I)を記憶部154に出力し、記憶部154はそれを記憶する。このとき、記憶部154は、画像情報(I)とθ位置情報(θ2)とZ位置情報(Z1)とを関連づけて、関連情報D(I,θ2,Z1)として記憶する。ステップS410で、照明制御部153は、位置θ2の照明部120を消灯させるために、OFF(θ2)制御信号を照明部120に出力し、それに応じて配置位置θ2の照明部120は消灯する。
このように、他の配置位置θ3〜θn−1の照明部120を個別に点灯させて、同様の処理を行う。最後に、配置位置θnの照明部120を点灯させて、同様の処理を行う。すなわち、ステップS411で、照明制御部153は、配置位置θnの照明部120を点灯させるために、ON(θn)制御信号を照明部120に出力し、それに応じて位置θnの照明部120は点灯する(点灯θn)。ステップS412で、照明制御部153は、点灯させた照明部120のθ位置情報(θn)を記憶部154に記憶させる。ステップS413で、撮像制御部152は、撮像制御信号を撮像部130に出力し、それに応じて撮像部130は、ワーク200の孔内面202を撮像する(撮像n)。ステップS414で、撮像部130は生成した画像の画像情報(I)を記憶部154に出力し、記憶部154はそれを記憶する。このとき、記憶部154は、画像情報(I)とθ位置情報(θn)とZ位置情報(Z1)とを関連づけて、関連情報D(I,θn,Z1)として記憶する。ステップS415で、照明制御部153は、配置位置θnの照明部120を消灯させるために、OFF(θn)制御信号を照明部120に出力し、それに応じて配置位置θnの照明部120は消灯する。
図4Bは、図4Aのフローをさらに説明するための例示的な概念図である。図4AのステップS404、S409、S414で、それぞれ図4Bの画像420、421、422が生成されたとする。なお、実際の画像には、数万から数百万の画素が含まれるであろうが、ここでは説明を簡単にするために、画像420〜422は5×5画素からなり、各画素は、それが位置する行番号と列番号を用いた番地P11〜P55で識別される。
画像420では、画素P21〜P23、P31〜P33、P41〜P43は最も明るく(輝度値:255)、画素P11〜P14、P51〜P54、P24〜P44はやや明るく(輝度値:100)、そして画素P15〜P55はやや暗い(輝度値:50)。ステップS401〜S405で生成される関連情報D(I,θ1,Z1)は、画素ごとに3つの値(即ち、輝度値I、θ位置情報、Z位置情報)を有するデータの集まりである。なお、ワーク200の欠陥部204は、画像420〜422上で画素P22に対応しているとする。
画像421では、画素P23〜P25、P33〜P35、P43〜P45は最も明るく(輝度値:255)、画素P12〜P15、P52〜P55、P22〜P42はやや明るく(輝度値:100)、そして画素P11〜P15はやや暗い(輝度値:50)。ステップS406〜S410で生成される関連情報D(I,θ2,Z1)は、画素ごとに3つの値(即ち、輝度値I、θ位置情報、Z位置情報)を有するデータの集まりである。
同様に、画像422では、画素P23〜P24、P33は最も明るく(輝度値:255)、画素P21、P31、P25、P35はやや明るく(輝度値:100)、画素P11、P15、P32、P34、P41〜P45、P51〜P55はやや暗く(輝度値:50)、そして画素P12〜P14は最も暗い(輝度値:0)。ステップS411〜S415で生成される関連情報D(I,θn,Z1)は、画素ごとに3つの値(即ち、輝度値I、位置情報θ、Z位置情報)を有するデータの集まりである。
このように生成されたn個の関連情報D(I,θ1,Z1)〜D(I,θn,Z1)を基に、特徴量算出部155は、画素ごとに擬似配光分布を構築する。図4Cに示すように、画素P11についての擬似配光分布441は、画素P11のn個の関連情報D(100,θ1,Z1)、D(100,θ2,Z1)、…D(50,θn,Z1)をI−θ空間上に分布させて構築する。同様に、画素P55についての擬似配光分布449は、画素P55の関連情報D(50,θ1,Z1)、D(100,θ2,Z1)、…D(100,θn,Z1)をI−θ空間上に分布させて構築する。このようにして、図4Cに示すように、画素ごとに擬似配光分布441〜449が構築される。
擬似配光分布の形状は、欠陥の種別等ごとに異なり、経験的に求められるものである。例えば、図5に示すように、ワーク200の孔内面202の正常面を反映した擬似配光分布の形状は、形状501のようになる。孔内面202の傷を反映した擬似配光分布の形状は形状502のようになり、孔内面202に付着した水滴を反映した擬似配光分布の形状は形状503のようになる。また、孔内面202の打痕を反映した擬似配光分布の形状は形状504のようになり、そして孔内面202の鋳巣を反映した擬似配光分布の形状は、形状505のようになる。前述のように、図4Cの画素P22は欠陥部204に対応するものであるが、画素P22の擬似配光分布445は、この例では欠陥部204は打痕であることが分かる。このように、擬似配光分布の形状は欠陥の種別を反映したものとなる。
コンピュータにより擬似配光分布の形状の違いを判断させるためには、擬似配光分布の形状を数値で表すようにすればよい。そのため、本実施形態では、擬似配光分布の形状を反映する特徴量を算出し、特徴量の値を比較することにより、欠陥の種別等を判定するものである。
<擬似配光分布の特徴量>
本実施形態に係る欠陥検出方法は、欠陥の種別等に応じた擬似配光分布及びその特徴量を実際に(経験的に)予め求めておき、実際のワークの孔内面の検査のときに得られた擬似配光分布の特徴量と、予め求めておいた特徴量とを比較することで、欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定する。
ここで、擬似配光分布の特徴量は、擬似配光分布の最大値若しくは最小値若しくはこれらの方向若しくは面積(体積)、擬似配光分布の重心の位置(大きさ若しくは方向)、等価楕円の軸長若しくは面積、又は外接長方形の辺長若しくは面積等である。なお、等価楕円はI−θ空間において擬似配光分布に近似させた楕円であり、外接長方形はI−θ空間において擬似配光分布に外接させた長方形である。
図6を用いて、3種別の擬似配光分布600〜602の特徴量について説明する。図6(a)では、擬似配光分布の特徴量は、擬似配光分布の重心Gの位置(ある点からの大きさ及び/又は方向)である。正常面を反映する擬似配光分布600の重心はG0(I0,θ0)である。他方、欠陥面(水滴付着)を反映する擬似配光分布601の重心はG1(I1,θ1)であり、また別の欠陥面(打痕)を反映する擬似配光分布602の重心はG2(I2,θ2)である。図6(a)に示すように、欠陥面を反映する擬似配光分布601、602の重心G1、G2の位置は、それぞれ、正常面を反映する擬似配光分布600の重心G0の位置と異なる。また、欠陥の種別に応じて重心G1、G2の位置も互いに異なる。そのため、擬似配光分布の重心Gの位置を特徴量として用い、正常面に関する特徴量と欠陥面に関する特徴量とを比較することにより、欠陥の有無及び種別を判定することができる。
図6(b)では、擬似配光分布の特徴量は、擬似配光分布の等価楕円の長軸の長さca及び/又は短軸の長さcbである。正常面を反映する擬似配光分布600の等価楕円610は長軸の長さca1及び短軸の長さcb1を有する。他方、欠陥面(水滴付着)を反映する擬似配光分布601の等価楕円611は長軸の長さca2及び短軸の長さcb2を有し、また別の欠陥面(打痕)を反映する擬似配光分布602の等価楕円612は長軸の長さca3及び短軸の長さcb3を有する。図6(b)に示すように、欠陥面を反映する擬似配光分布601、602の等価楕円の長軸の長さca2、ca3及び短軸の長さcb2、cb3は、それぞれ、正常面を反映する擬似配光分布600の等価楕円の長軸の長さca1及び短軸の長さcb1と異なる。また、欠陥の種別に応じて、該長軸の長さca2、ca3及び短軸の長さcb2、cb3も互いに異なる。そのため、擬似配光分布の等価楕円の長軸の長さ及び/又は短軸の長さを特徴量として用い、正常面に関する特徴量と欠陥面に関する特徴量とを比較することにより、欠陥の有無及び種別を判定することができる。
図6(c)では、擬似配光分布の特徴量は、擬似配光分布の外接長方形の長辺の長さra及び/又は短辺の長さrbである。正常面を反映する擬似配光分布600の外接長方形620は長辺の長さra1及び短辺の長さrb1を有する。一方、欠陥面(水滴付着)を反映する擬似配光分布601の外接長方形621は長辺の長さra2及び短辺の長さrb2を有し、また別の欠陥面(打痕)を反映する擬似配光分布602の外接長方形612は長辺の長さca3及び短辺の長さcb3を有する。図6(b)に示すように、欠陥面を反映する擬似配光分布601、602の外接長方形の長辺の長さra2、ra3及び短辺の長さrb2、rb3は、それぞれ、正常面を反映する擬似配光分布600の外接長方形の長辺の長さra1及び短辺の長さrb1と異なる。また、欠陥の種別に応じて、該長辺の長さra2、ra3及び短辺の長さrb2、rb3も互いに異なる。そのため、擬似配光分布の等外接長方形の長辺の長さ及び/又は短辺の長さを特徴量として用い、正常面に関する特徴量と欠陥面に関する特徴量とを比較することにより、欠陥の有無及び種別を判定することができる。
<特徴量画像の生成及び閾値処理>
各画素の擬似配光分布の特徴量を用いて、特徴量を各画素の輝度値とした画像(「特徴量画像」)を生成することにより、特徴量と画素(即ち欠陥の位置)との関係が操作者にとって視認しやすくなる。そして、特徴量画像の各画素の輝度値(即ち、特徴量)を閾値処理することにより、欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定することができる。なお、特徴量画像の生成を行わずに、欠陥の有無等を特徴量から直接判定するようにしてもよい。
図7Aを参照し、図4Bの例のように5×5画素を有する画像における各画素の擬似配光分布の特徴量を用いた特徴量画像の生成及び閾値処理について説明する。ワーク200の孔201のZ軸位置Z1において位置θ1〜θnにある照明部120を個別に点灯及び消灯させて取得された画像701の各画素P11〜P55の擬似配光分布が、図7Aに示すようなものであったとする。この例では、特徴量として擬似配光分布の重心Gの位置(大きさ)を用いるが、他の特徴量を用いてもよい。画像702は、各画素P11〜P55の擬似配光分布の特徴量(重心Gの大きさ)を算出し各画素の輝度値とした特徴量画像である。
次に、予め経験的に求めておいた欠陥判定表703を用いて、各画素の値(特徴量)を閾値処理する。欠陥判定表703は、ワークの正常面及び既知の種別の欠陥部について擬似配光分布を構築し、その特徴量を基に予め記憶部154等に記憶させておいた一種の検量線(閾値表)である。例えば、特徴量画像702の画素P11の輝度値(特徴量=9)が欠陥判定表703の正常面の範囲(5〜18)にあるため、画層P11は、正常面を反映したものであると判定できる。特徴量画像702の画素P32の輝度値(特徴量=21)が欠陥判定表703の打痕の範囲(18〜25)にあるため、画素P32は、打痕がある面を反映したものであると判定できる。同様に、特徴量画像702の画素P54の輝度値(特徴量=3)が欠陥判定表703の傷の範囲(0〜5)に入るため、画素P54は、傷がある面を反映したものであると判定できる。
このようにして、制御装置150は、特徴量画像702を欠陥判定表703を用いて閾値処理することにより、正常面及び欠陥の種別毎に色分けされた閾値処理画像704を生成し、欠陥の種別及びそれに対応する欠陥の位置(画素の番地Pを含む欠陥判定情報705を表示部160に出力する。
図7Bは、実際の画像711を用いた欠陥の有無及び種別の判定についての例示的な概念図である。撮像部130に写るワーク200の孔内面202の一部が画像711である。画像711には、傷がある部分712、打痕がある部分713〜715が写っている。このとき、位置θkにある照明部120を個別に点灯させ(k=1〜n)、点灯ごとに撮像部130により撮像を行い、合計n個の画像を取得する。その後、画素P1,1〜P12,15ごとに擬似配光分布を構築し、そこから所定の特徴量(例えば重心の位置)を輝度値とした特徴量画像716を生成する。経験的に予め求めておいた所定の欠陥判定表703を用いて、特徴量画像716の各画素の値を閾値処理し、閾値処理画像717を生成する。そこから、欠陥の種別及び欠陥の位置を含む欠陥判定情報718が求まる。
<欠陥判定方法>
図8は、本実施形態における欠陥判定装置100による欠陥判定方法のフローチャートである。ここでは、導光部110が、ワーク200の孔201に挿入され、孔201内で移動及び停止をm回繰り返し、ワーク200の孔201の孔内面202の検査範囲全体を検査する場合を想定する。なお、ワーク200の孔内面202の正常面及び欠陥部の種別に起因する擬似配光分布の形状及びその特徴量は予め経験的に求められており、欠陥判定表703が記憶部154に予め記憶されているものとする。
まず、ステップS801で、導光部110を挿入できる位置に、ワーク200が配置される。ステップS802で、移動制御部151は、導光部110のZ軸上の位置Ziに関するパラメータiを初期化(i=1)する。ここで、i=1〜mの整数である。ステップS803で、移動制御部151は第1の移動機構140に制御信号を出力し、それに応じて第1の移動機構140は導光部110をワーク200の孔201内のZ軸上の位置Ziに移動させ、記憶部154にZ位置情報(Zi)を記憶させる。ステップS804で、照明制御部153は、照明部の配置位置θkに関するパラメータkを初期化(k=1)する。ここで、k=1〜nの整数である。
ステップS805で、照明制御部153は照明部120にON(θk)制御信号を出力し、それに応じて配置位置θkの照明部120は点灯する。このとき、照明制御部153は、点灯させた照明部120のθ位置情報(θk)を記憶部154に記憶させる。ステップS806で、撮像制御部152は撮像制御信号を撮像部130に出力し、それに応じて撮像部130は導光部110を通じてワーク200の孔内面202を撮像し、画像情報(I)を生成する。このとき、点灯していた照明部120は消灯させる。ステップS807で、記憶部154は、画像情報(I)を、θ位置情報(θk)及びZ位置情報(Zi)に関連させて関連情報D(I,θk,Zi)を生成し、それを記憶する。ステップS808で、照明制御部153は、kがnであるかどうかを判断し、kがnでない場合(No)、kをインクリメント(k=k+1)させて、ステップS805〜S807が繰り返される。その結果、導光部110の位置Ziにおいて、関連情報D(I,θ1,Zi)〜D(I,θn,Zi)が生成され記憶部154に記憶される。
kがnである場合(ステップS809でYes)、ステップS808で、特徴量算出部155は、関連情報D(I,θ1,Zi)〜D(I,θn,Zi)を基に、画素ごとに擬似配光分布を構築する。ステップS810で、特徴量算出部155は、各画素の擬似配光分布から各画素の特徴量を算出する。特徴量としては、例えば、擬似配光分布の重心の位置や、擬似配光分布の外接長方形の長辺の長さ等である。ステップS811で、特徴量算出部155は、各画素の特徴量を各画素の輝度値とした特徴量画像702を生成する。なお、特徴量の種別(例えば、重心の位置や外接長方形の長辺の長さ等)ごとに特徴量画像を生成してもよい。
ステップS812で、欠陥判定部156は、欠陥判定表703を用いて、特徴量画像702の各画素の輝度値(特徴量)を閾値処理する。このとき、閾値処置画像704を生成するようにしてもよい。ステップS813で、欠陥判定部156は、閾値処理画像704の画像情報(又は特徴量画像の各画素の輝度値)を基に、欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定し、それらの情報を含む欠陥判定情報705を表示部160に出力する。ステップS814で、移動制御部151は、iがmであるかどうかを判断し、iがmでない場合(No)、iをインクリメント(i=i+1)させて、ステップS803〜S813が繰り返される。このようにして、欠陥判定装置100は、ワーク200の孔201の孔内面202を検査し、欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定する。
このように、本実施形態の欠陥判定装置は、複数の配置位置θにある照明部を個別に点灯させて撮像した検査対象物の孔内面の画像から、画素ごとに擬似配光分布を構築し、画素ごとに擬似配光分布の特徴量を算出し、特徴量から又は特徴量を閾値処理することにより、欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定することができる。そのため、従来に比べ正確に欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定することができ、また欠陥の検出誤り等の問題も低減される。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る欠陥判定装置の構成は、第1実施形態のものと同じであり、説明を省略する。ただし、撮像部130として対象を高速に撮像できる高速カメラを用いる構成が望ましい。
第1実施形態の欠陥判定方法では、関連情報D(I,θ,Z)のうち、画像情報(I)とθ位置情報(θ)とを用いてI−θ空間上に2次元的な擬似配光分布を構築して、その擬似配光分布の特徴量を基に欠陥の有無等を判定するものであった。一方、本実施形態の欠陥判定方法では、ワークの孔内において導光部を等速で移動させながらワークの孔内面を撮像し、取得された関連情報D(I,θ,Z)を用いて3次元空間(I−θ−Z空間)上に3次元の擬似配光分布を構築し、その擬似配光分布の特徴量を基に欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定する点で異なる。
<3次元の擬似配光分布の構築>
本実施形態では、3つのパラメータ(I,θ,Z)を使用して擬似配光分布を構築する。特徴量の次元(パラメータの数)が1つ増えるため、欠陥を発見する性能(分解能)が向上し、欠陥判定の精度をより向上させることができる。以下、第1実施形態と異なる点について詳細に説明する。
図9は、ワーク200の孔201内において導光部110を一定速度Vで移動させつつ、各配置位置θの照明部120を個別に点灯させながら、撮像部130により撮像していく状況を示す概念図である。導光部110が照明部120からワーク200の孔内面からの反射光を取り込めるZ軸方向の範囲をLRとすると、導光部110は、範囲LR内かつ画角112内にある部分からの反射光を入力することになる。
時刻t1において、図9(a)に示すように、導光部110はZ軸上の位置Z1にあり、ワーク200の孔内面の着目する微小部分900は、時刻t1に撮像部130により生成された画像901a上で箇所900aに相当し、画像901a上で捉えられている。画像901bは、画像901aの画素を明確にしたものであり、微小部分900に相当する箇所900aは、画素P43にあたる。その後、時刻t2において、図9(b)に示すように、導光部110はZ軸上の位置Z2(=Z1+V(t2―t1))にあり、微小部分900は、時刻t2に撮像部130により生成された画像902a上で箇所900aに相当し、画像902a上で捉えられている。画像902bは、画像902aの画素を明確にしたものであり、微小部分900に相当する箇所900aは、画素P42にあたる。
このように、導光部110はワーク200の孔201内において一定速度Vで移動しているため、時刻t2に生成された画像902aでは、時刻t1に生成された画像901aと比べて、微小部分900に相当する画素は、画素P43からP42へと左側に移動している。
同様に、その後、時刻t3において、図9(c)に示すように、導光部110は、Z軸上の位置Z3(=Z1+V(t3―t1))にあり、微小部分900は、時刻t3に撮像部130により生成された画像903a上で箇所900aに相当し、画像903a上で捉えられている。このとき、微小部分900は、撮像部130によりぎりぎり捉えられている。画像903bは、画像903aの画素を明確にしたものであり、微小部分900に相当する箇所900aは、画素P41にあたる。このように、導光部110が一定速度Vで移動しているため、時刻t3に生成された画像903aでは、時刻t2に生成された画像902aと比べて、微小部分900に相当する画素は、画素P42からP41へと左側に移動している。
このように、本実施形態では、導光部110を停止させずに等速で移動させながら、照明部の点灯及び撮像を繰り返すため、撮像部130が捉える微小部分900の動きに合わせて、擬似配光分布の構築に使用する関連情報D(I,θ,Z)の対応を調整する必要がある。即ち、本実施形態では、画素ごとに擬似配光分布を構築するのではなく、ワークの孔内面の微小部分ごとに擬似配光分布を構築するのである。この点について、図10A及び10Bを参照し、詳しく説明する。
図9の例と同様に、図10A(a)に示すように、時刻t1に導光部110がZ軸上の位置Z1にあるときに、撮像部130により生成された画像911において、ワーク200の孔内面の着目する微小部分900に相当する箇所は、画素P43にあたる。このときに(正確には時刻t1からt2までの間に)、配置位置θiの照明部120が点灯し撮像部130により画像911が生成され、次の配置位置θi+1の照明部120が点灯し撮像部130により画像911が生成され、同様に複数回の撮像が繰り返され、最終的に配置位置θjの照明部120が点灯し撮像部130により画像911が生成される。ここで、i及びjは、1以上n以下の整数である。このようにして、時刻t1(時刻t1からt2までの間)において、画素P43に関して関連情報D1(I,θi,Z1)〜D1(I,θj,Z1)が生成される。なお、照明部120の点灯及び撮像部130による撮像は、導光部110の移動に比べて十分に高速であるため、時刻t1(時刻t1からt2までの間)において、導光部110のZ軸上の位置Z1は変わらないと近似している。また、時刻t1において、全ての位置の照明部120を個別に点灯させ、n個の画像911を生成し、n個の関連情報を生成するようにしてもよい。
その後、時刻t2に導光部110がZ軸上の位置Z2にあるときに、撮像部130により生成された画像912において、着目する微小部分900に相当する箇所は、画素P42にあたる。このときに(正確には、時刻t2からt3までの間に)、配置位置θiの照明部120が点灯し撮像部130により画像912が生成され、次の配置位置θi+1の照明部120が点灯し撮像部130により画像912が生成され、同様に複数回の撮像が繰り返され、最終的に配置位置θjの照明部120が点灯し撮像部130により画像912が生成される。このようにして、時刻t2(時刻t2からt3までの間)において、画素P42に関して関連情報D2(I,θi,Z2)〜D2(I,θj,Z2)が生成される。
また、その後、時刻t3に導光部110がZ軸上の位置Z3にあるときに、撮像部130により生成された画像913において、着目する微小部分900に相当する箇所は、画素P41にあたる。このときに(正確には時刻t3から所定の時間に)、配置位置θiの照明部120が点灯し撮像部130により画像913が生成され、次の配置位置θi+1の照明部120が点灯し撮像部130により画像913が生成され、同様に複数回の撮像が繰り返され、最終的に配置位置θjの照明部120が点灯し撮像部130により画像913が生成される。このようにして、時刻t3(時刻t3からt4までの間)において、画素P41に関して関連情報D3(I,θi,Z3)〜D3(I,θj,Z3)が生成される。
そして、図10A(b)に示すように、このようにして得られた関連情報D1、D2、D3を含む関連情報の集合920が着目する微小部分900からの反射光の特徴を表すものであるため、微小部分900に関する擬似配光分布は、関連情報の集合920を用いて構築される。つまり、微小部分900についての関連情報D1〜D3の画像情報(I)、θ位置情報(θ)及びZ位置情報(Z)を、3次元空間(I−θ−Z空間)上に分布させることにより、図10A(c)に示すように擬似配光分布930が構築される。
なお、微小部分に対応する画素の位置により、当該微小部分についての擬似配光分布を構築するのに必要な関連情報の集合に含めるべき関連情報を有する画素は変わってくる。つまり、画像の中心Cから放射状に外へ向かう方向の画素の関連情報を集合させて、それを用いて擬似配光分布を構築する。例えば、図10A(d)に示すように画素P33に着目する微小部分900に相当する箇所900aが現れたとすると、当該箇所は、孔201の奥方向への導光部の移動にともない、画素P33から画素P22、そして画素P11に移っていく。そのため、画素P33、P22、P11についての関連情報の集合を用いて擬似配光分布を構築する必要がある。なお、ワーク200の孔201内において導光部110を孔から取り出す方向に動かす場合には、画像の中心Cから放射状に内に向かう方向の画素の関連情報を集合させることになる。
さらに、図10Bを用いて、着目する微小部分についての関連情報の集合の生成方法について、別の観点から説明する。符号1000で示すように、導光部110がワーク200の孔201内をZ1の位置から深度方向に一定速度Vで移動しながら、関連情報を生成する構成について説明する。孔201の孔内面の検査すべき縦に並んだ微小部分A1〜A5を想定する。
まず、時刻t1において導光部110はZ軸上の位置Z1にあり、撮像部130は導光部110を介して初めて微小部分A1を捉える。撮像部130により生成された画像1001の画素P43が微小部分A1に相当する。このとき(即ち、時刻t1からt2までの間)に、前述のように、画素P43について関連情報D13(I,θi,Z1)〜D13(I,θj,Z1)が生成される。
次に、時刻t2において導光部110はZ軸上の位置Z2に移動し、撮像部130は導光部110を介して微小部分A1を捉えつつ、初めて微小部分A2を捉える。撮像部130により生成された画像1002の画素P42が微小部分A1に相当し、画素P43が微小部分A2に相当する。このとき(即ち、時刻t2からt3までの間)に、画素P42について関連情報D22(I,θi,Z2)〜D22(I,θj,Z2)が生成され、画素P43について関連情報D23(I,θi,Z2)〜D23(I,θj,Z2)が生成される。
次に、時刻t3において導光部110はZ軸上の位置Z3に移動し、撮像部130は導光部110を介して微小部分A1及びA2を捉えつつ、初めて微小部分A3を捉える。撮像部130により生成された画像1003の画素P41が微小部分A1に相当し、画素P42が微小部分A2に相当し、画素P43が微小部分A3に相当する。このとき(即ち、時刻t3からt4までの間)に、画素P41について関連情報D31(I,θi,Z3)〜D31(I,θj,Z3)が生成され、画素P42について関連情報D32(I,θi,Z3)〜D32(I,θj,Z3)が生成され、そして画素P43について関連情報D33(I,θi,Z3)〜D33(I,θj,Z3)が生成される。
次に、時刻t4において導光部110はZ軸上の位置Z4に移動し、撮像部130は導光部110を介して微小部分A2及びA3を捉えつつ、初めて微小部分A4を捉える。撮像部130により生成された画像1004の画素P41が微小部分A2に相当し、画素P42が微小部分A3に相当し、画素P43が微小部分A4に相当する。このとき(即ち、時刻t4からt5までの間)に、画素P41について関連情報D41(I,θi,Z4)〜D41(I,θj,Z4)が生成され、画素P42について関連情報D42(I,θi,Z4)〜D42(I,θj,Z4)が生成され、そして画素P43について関連情報D43(I,θi,Z4)〜D43(I,θj,Z4)が生成される。
次に、時刻t5において導光部110はZ軸上の位置Z5に移動し、撮像部130は導光部110を介して微小部分A3及びA4を捉えつつ、初めて微小部分A5を捉える。撮像部130により生成された画像1005の画素P41が微小部分A3に相当し、画素P42が微小部分A4に相当し、画素P43が微小部分A5に相当する。このとき(時刻t5からt6までの間)に、画素P41について関連情報D51(I,θi,Z5)〜D51(I,θj,Z5)が生成され、画素P42について関連情報D52(I,θi,Z5)〜D52(I,θj,Z5)が生成され、そして画素P43について関連情報D53(I,θi,Z5)〜D43(I,θj,Z5)が生成される。
次に、時刻t6において導光部110はZ軸上の位置Z6に移動し、撮像部130は導光部110を介して微小部分A4及びA5を捉える。撮像部130により生成された画像1006の画素P41が微小部分A4に相当し、画素P42が微小部分A5に相当する。このとき(時刻t6からt7までの間)に、画素P41について関連情報D61(I,θi,Z6)〜D61(I,θj,Z6)が生成され、画素P42について関連情報D62(I,θi,Z6)〜D62(I,θj,Z6)が生成される。
最後に、時刻t7において導光部110はZ軸上の位置Z7に移動し、撮像部130は導光部110を介して微小部分A5を捉える。撮像部130により生成された画像1007の画素P41が微小部分A5に相当する。このとき(時刻t7から所定の時間)に、画素P41について関連情報D71(I,θi,Z7)〜D71(I,θj,Z7)が生成される。
このようにして得られた関連情報D13〜D71を各微小部分A1〜A5それぞれについて集める。つまり、微小部分A1からの反射光の特徴を表す関連情報D13、D22、D31を含む関連情報の集合1011を生成し、この集合1011を用いて微小部分A1についての擬似配光分布を形成する。また、微小部分A2からの反射光の特徴を表す関連情報D23、D32、D41を含む関連情報の集合1012を生成し、この集合1012を用いて微小部分A2についての擬似配光分布を形成する。また、微小部分A3からの反射光の特徴を表す関連情報D33、D42、D51を含む関連情報の集合1013を生成し、この集合1013を用いて微小部分A3についての擬似配光分布を形成する。また、微小部分A4からの反射光の特徴を表す関連情報D43、D52、D61を含む関連情報の集合1014を生成し、この集合1014を用いて微小部分A4についての擬似配光分布を形成する。そして、微小部分A5からの反射光の特徴を表す関連情報D53、D62、D71を含む関連情報の集合1015を生成し、この集合1015を用いて微小部分A5についての擬似配光分布を形成する。
<3次元の擬似配光分布の特徴量>
図11は、3次元の擬似配光分布の特徴量を示す概念図である。図11に示すように、擬似配光分布1101、1111があるとする。なお、擬似配光分布1101の形状は、正常面を反映するものであり、擬似配光分布1111の形状は、欠陥部を反映するものである。
3次元の擬似配光分布の特徴量は、擬似配光分布の重心の位置、等価楕円球の軸長、体積若しくは表面積、又は外接直方体の辺長、体積若しくは表面積等である。なお、等価楕円球はI−θ−Z空間において擬似配光分布に近似させた楕円球であり、外接直方体はI−θ−Z空間において擬似配光分布に外接させた直方体である。
図11では、3次元の擬似配光分布の特徴量として、重心1102、1112、等価楕円球1103、1113の軸長ra、rb、及び外接直方体1104、1114の辺長a、b、cが描かれている。
<欠陥判定方法>
図12は、本実施形態における欠陥判定装置100による欠陥判定方法のフローチャートである。ワーク200の孔内面202の正常面及び欠陥部の種別に起因する3次元の擬似配光分布の形状及びその特徴量は経験的に予め求められており、それに関する欠陥判定表は記憶部154に予め記憶されているものとする。
まず、ステップS1201で、導光部110を挿入できる位置に、ワーク200が配置される。ステップS1202で、移動制御部151は第1の移動機構140に制御信号を出力し、それに応じて第1の移動機構140は導光部110をワーク200の孔201内でZ軸方向に一定速度Vで移動させる。このとき、移動制御部151は、導光部110が現在Z軸上どの位置(Z位置)にいるのかを、第1の移動機構140からの情報を基に、又は速度V及び経過時間tを基に、導光部110の移動の間中常に把握している。
ステップS1203で、導光部110は、Z軸上の位置Ziに位置する。ここで、i=1〜mであり、iの初期値は1であり、i=1のとき導光部110はワーク200の孔201の検査すべき範囲の最も浅いところに位置し、i=mのとき導光部110は当該検査すべき範囲の最も深いところに位置する。
ステップS1204で、導光部110が等速移動を続けつつZ軸上の位置Ziに位置する状況において、照明制御部153は照明部120にON(θk)制御信号を出力し、それに応じて位置θkにある照明部120は点灯する。ここで、k=1〜nの整数であり、nは照明部120の位置θ1〜θnの数である。
ステップS1205で、撮像制御部152は撮像制御信号を撮像部130に出力し、それに応じて撮像部130は導光部110を通じてワーク200の孔内面202を撮像し、画像情報を生成する。ステップS1206で、画像情報、θ位置情報及びZ位置情報を関連させた関連情報D(I,θk,Zi)が画素ごとに生成され、記憶部154に記憶される。
ステップS1207で、照明制御部153は、所定の時間が経過したか否か判断する。ここで、当該所定の時間とは、図10Bの例における時刻t1からt2までの時間やt2からt3までの時間等であり、ワークの孔内面の着目する微小部分を捉えている画素が隣の画素に移動するまでの時間である。当該所定の時間が経過していない場合には(ステップS1207でNo)、kをインクリメント(k=k+1)させて、ステップS1204〜S1206が繰り返される。なお、k=n+1になるときには、k=1にする。その結果、導光部110が位置Ziに位置する状況において、各画素について関連情報D(I,θj,Zi)〜D(I,θl,Zi)が生成され記憶部154に記憶される。ここで、j、lは任意の整数である。
ステップS1208で、移動制御部151は、iがmであるかどうかを判断し、iがmでない場合(No)、iをインクリメント(i=i+1)させて、ステップS1203〜S1207が繰り返される。iがmである場合(ステップS1208でYes)、ステップS1209で、例えば図10Bの符号1011〜1015に示すように、特徴量算出部155は、ワーク200の孔内面201の微小部分(A1〜A5)ごとに、関連情報の集合を生成する。
ステップS1210で、特徴量算出部155は、微小部分ごとの関連情報の集合を用いて、微小部分ごとに3次元の擬似配光分布を構築する。ステップS1211で、特徴量算出部155は、各微小部分の擬似配光分布から特徴量を算出する。特徴量としては、例えば、擬似配光分布の重心の位置や、擬似配光分布の外接直方体の長辺の長さ又は体積等である。
ステップS1212で、欠陥判定部156は、記憶部154に記憶された欠陥判定表を用いて、各特徴量を閾値処理する。ステップS1213で、欠陥判定部156は、閾値処理の結果を基に、欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置(即ち、対応する微小部分)を判定し、これらの情報を含む欠陥判定情報を表示部160に出力する。このようにして、欠陥判定装置100は、ワーク200の孔201の孔内面202を検査し、欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定する。
このように、本実施形態の欠陥判定装置は、複数の位置にある照明部を個別に点灯させて撮像した検査対象物の孔内面の画像から、当該孔内面の微小部分ごとに3次元の擬似配光分布を構築し、微小部分ごとに擬似配光分布の特徴量を算出し、特徴量から又は特徴量を閾値処理することにより、欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定することができる。そのため、従来技術に比べ正確に欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定することができ、また欠陥の検出誤り等の問題も低減される。
[第3実施形態]
<欠陥判定装置>
図13は、本発明の第3実施形態に係る欠陥判定装置1300の模式図である。第1実施形態の欠陥判定装置100と異なり、本実施形態の欠陥判定装置1300は、第2の移動機構1301を備え、照明部120(光ファイバ1211〜121n)は、導光部110に対して一体として移動可能に配置されている。
第2の移動機構1301は、移動制御部151からの制御信号に応じて、照明部120(光ファイバ1211〜121n)を導光部110(x軸)に沿って移動させる手段である。第2の移動機構1301は、エンコーダを備え、照明部120のx軸上の位置の情報を移動制御部151に出力する。
図14Aは、導光部110がワーク200の孔201内に挿入された状態を示す断面図である。ワーク200の孔内面202には欠陥1401が存在するとする。本実施形態では、まず図14A(a)に示すように、導光部110がZ軸上の位置Z1にあり、照明部120がx軸上の位置x1にあるときに、配置位置θ1〜θnの照明部120を個別に点灯させてワーク200の孔内面202が撮像され、各画素についてn個の関連情報D(I,θ1,x1,z1)〜D(I,θn,x1,z1)が生成される。
次に、図14A(b)に示すように、導光部110の位置はそのままで(Z=Z1)、照明部120はx軸上の位置x2に移動し、配置位置θ1〜θnの照明部120を個別に点灯させてワーク200の孔内面202が撮像され、各画素についてn個の関連情報D(I,θ1,x2,z1)〜D(I,θn,x2,z1)が生成される。
その後、同様のことが繰り返され、図14A(c)に示すように、導光部110の位置はそのままで(Z=Z1)、照明部120がx軸上の位置xqに移動し、配置位置θ1〜θnの照明部120を個別に点灯させてワーク200の孔内面202が撮像され、各画素についてn個の関連情報D(I,θ1,xq,z1)〜D(I,θn,xq,z1)が生成される。その後、図14A(d)〜(f)に示すように、導光部110をZ軸上の位置Z2に移動させ、同様のことが繰り返される。そして、最終的に検査すべき範囲(Z1〜Zm)全体を検査して終了する。
<3次元の擬似配光分布の構築>
本実施形態の欠陥判定装置1300は、照明部120のx軸上の位置を変えながら、各配置位置の照明部120から光を個別に点灯させ、点灯のつど撮像部130により検査対象物の孔内面を撮像し、そして撮像部130で生成された画像情報の画素ごとに擬似配光分布を構築する。そして、欠陥判定装置1300は、擬似配光分布の特徴量から検査対象物の欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定する。
ここで、本実施形態における「擬似配光分布」とは、画像の各画素の輝度値I、照明部120の配置位置θ及びx軸上の位置xを関連づけて、各画素ごとにI−θ−x空間上に分布させたものである。
図14Bは、本実施形態の擬似配光分布の構築を説明するための例示的な概念図である。なお、実際の画像には、数万から数百万の画素が含まれるであろうが、ここでは説明を簡単にするために、画像1411〜1416は3×3画素からなり、各画素を行番号と列番号を用いた番地P11〜P33により識別する。また、ワーク200の孔内面202の欠陥部1401は、画像1411〜1414の画素P21で捉えられているとする。
画像1411、1412は、導光部110がZ軸上の位置Z1に位置し、照明部120がx軸上の位置x1に位置した状態で、配置位置θ1〜θnにある照明部120を個別に点灯させることにより取得されたものである。画像1411から各画素P11〜P33について関連情報D(I,θ1,x1,Z1)が生成され、画像1412から各画素P11〜P33について関連情報D(I,θn,x1,Z1)が生成される。
画像1413、1414は、導光部110がZ軸上の位置Z1に位置し、照明部120がx軸上の位置x2に移動した後に、配置位置θ1〜θnにある照明部120を個別に点灯させることにより取得されたものである。画像1413から各画素P11〜P33について関連情報D(I,θ1,x2,Z1)が生成され、画像1414から各画素P11〜P33について関連情報D(I,θn,x2,Z1)が生成される。
同様のことが繰り返され後、画像1415、1416は、導光部110がZ軸上の位置Z2に移動し、照明部120がx軸上の位置x1に位置する状態で、配置位置θ1〜θnにある照明部120を個別に点灯させることにより取得されたものである。画像1415から各画素P11〜P33について関連情報D(I,θ1,x1,Z2)が生成され、画像1416から各画素P11〜P33について関連情報D(I,θn,x1,Z2)が生成される。
このように生成された関連情報D(I,θ1,x1,Z1)〜D(I,θn,xq,Zm)を基に、画素ごとに擬似配光分布を構築する。図14Cに示すように、導光部110がZ軸上の位置Z1における各画素P11〜P33の擬似配光分布1421〜1430が構築されたとする。欠陥部1401に相当する画素P21の擬似配光分布1424の形状は、正常面の擬似配光分布1421等の形状と異なる。これらの特徴量を算出し、比較することで、欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置が判定される。なお、擬似配光分布の特徴量は、前述のように、重心の位置や等価楕円球の軸長等である。
<欠陥判定方法>
図15は、本実施形態における欠陥判定装置1300による欠陥判定方法のフローチャートである。なお、図8のフローチャートと同様の処理の部分については同一符号を付しており、説明を省略する。
ステップS1701で、照明部120の個別位置θに関するパラメータk及び照明部120のx軸上の位置xpに関するパラメータpを初期化(k=1、p=1)する。ここで、k=1〜nの整数であり、p=1〜qの整数であり、n及びqは2以上の整数である。ステップS1702で、移動制御部151は第2の移動機構1301に制御信号を出力し、それに応じて第2の移動機構1301は全ての照明部120をx軸上の位置xpに移動させる。
ステップS1703で、画像情報(I)、θ位置情報(θ)、x位置情報(x)、及びZ位置情報(Z)を関連させた関連情報D(I,θk,xp,Zi)が生成され、記憶部154に記憶される。ステップS1704で、pがqであるかどうかが判断され、pがqでない場合(No)に、ステップS1702、S805、S806、S1703、及びS808が繰り返される。
pがqである場合、ステップS1705で、特徴量算出部155は、関連情報D(I,θ1,xp,Zi)〜D(I,θn,xq,Zi)を用いて、画素ごとに3次元(I−θ−x空間)の擬似配光分布を構築する。ステップS1706で、特徴量算出部155は、各画素の擬似配光分布から各画素の特徴量を算出する。ステップS1707で、特徴量算出部155は、各画素の特徴量を各画素の輝度値とした特徴量画像を生成する。なお、特徴量の種別(例えば、重心の位置や外接長方形の長辺の長さ等)ごとに特徴量画像を生成してもよい。
ステップS1708で、欠陥判定部156は、予め記憶部154に記憶された欠陥判定表を用いて、当該特徴量画像の各画素の輝度値(特徴量)を閾値処理し、閾値処置画像を生成する。ステップS1709で、欠陥判定部156は、閾値処理画像の画像情報を基に、欠陥の有無及び種別並びにその位置を判定し、欠陥判定情報を表示部160に出力する。
このように、本実施形態の欠陥判定装置は、複数の位置にある照明部を個別に点灯させて撮像した検査対象物の孔内面の画像から、当該孔内面の微小部分ごとに3次元の擬似配光分布を構築し、微小部分ごとに擬似配光分布の特徴量を算出し、特徴量から又は特徴量を閾値処理することにより、欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定することができる。そのため、従来技術に比べ正確に欠陥の有無及び種別並びに欠陥の位置を判定することができ、また欠陥の検出誤り等の問題も低減される。
(その他の実施形態)
図16(a)は、本発明のその他の実施形態に係る欠陥判定装置の導光部1600及び照明部1610の構成を示す模式図であり、図16(b)は、導光部1600及び照明部1610のAA線断面図である。
導光部1600は、円筒状の導光部材1601内に、ハーフミラー1602、1つ又は複数のリレーレンズ1603、広角レンズ1604を含み、導光部材1601の周囲には複数の光ファイバ1605が配置される構成をとる。円筒状の動向部材1601としては、光ファイバや、ファイバースコープ、又は鏡面筒等である。光源123からの光は、照明切替部122に接続された同数の光ファイバ1606からハーフミラー1602を介して光ファイバ1605に導入され、光ファイバ1605の先端から導光部1600の前方にあるワークの孔内面に向けて照射される。ワークの孔内面からの反射光は、ハーフミラー1602を介して撮像部130に入る。