JP2015152236A - 地中熱採熱システム及び地中熱冷暖房又は給湯システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】地中浅層部に埋設した熱交換パイプに熱交換媒体を循環させることにより地中熱を採熱するクローズド型水平式の地中熱採熱システムであって、地中浅層部G1に設置され、水浸透性を有する熱交換層100と、熱交換層110内に埋設された熱交換パイプ120と、熱交換パイプ120の上方から熱交換層110に地下水を供給する地下水供給装置130とを備える地中熱採熱システム100。
【選択図】図1
Description
1.地中熱採熱システム及び地中熱冷暖房又は給湯システムの構成
図1は、実施形態1に係る地中熱採熱システム100及び地中熱冷暖房又は給湯システム10の断面図である。図1中、符号A1は熱交換パイプ120を熱交換媒体が流れる方向を示し、符号A2は熱交換層110を地下水が浸透する方向を示す。以下の図面においても同様である。
図2は、実施形態1に係る地中熱採熱システム100の要部を示す断面図である。図2(a)は熱交換層110の内部における熱交換パイプ120の敷設状態を示す縦断面図であり、図2(b)は熱交換層110の内部における水位計141,142及び温度計143の敷設状態を示す縦断面図である。なお、図2においては、土木シート112の図示を省略している。
図3は、実施形態1に係る地中熱採熱システム100の要部を示す断面図である。図3(a)は熱交換層110の内部における熱交換パイプ120の敷設状態を示す横断面図であり、図3(b)は熱交換層110の内部における導管133の敷設状態を示す横断面図である。
(1)ヒートポンプとの接続
まず、図1に示すように、実施形態1に係る地中熱採熱システム100をヒートポンプ21に接続し、ヒートポンプ21を建物内の空調機(冷暖房機)又は給湯器22に接続しておく。夏季の冷房時、冬季の暖房時、給湯時には、以下のようにして、実施形態1に係る地中熱採熱システム100及び地中熱冷暖房又は給湯システム10を使用する。
夜間に地下水(例えば15℃)を熱交換層110に供給して、熱交換層110の温度を下げておく。日中室内の温度が上がってきたら、熱交換媒体(例えば、水、不凍液など。)を介して、熱交換層110の冷熱と室内の温熱との熱交換を行うことにより、室内を冷房するとともに、室内の温熱を熱交換層110に排出する。すると熱交換層110が徐々に暖まってくるが、その暖まった水が当該熱交換層110の下方に位置する土砂層(地盤G3)に徐々に浸透する過程で、温熱が当該土砂層(地盤G3)に排出される。従って、熱交換層110の温度が上がり難くなり、従来のクローズド型水平式の地中熱採熱システムよりも熱交換量が多く実用的な地中熱採熱システムとなる。
夜間に地下水(例えば15℃)を熱交換層110に供給して、熱交換層110の温度を上げておく。日中又は夜間に室内の温度が下がってきたら、熱交換媒体(例えば、水、不凍液など。)を介して、熱交換層110の温熱と室内の冷熱との熱交換を行うことにより、室内を暖房するとともに、室内の冷熱を熱交換層110に排出する。すると熱交換層110が徐々に冷えてくるが、その冷えた水が当該熱交換層110の下方に位置する土砂層に徐々に浸透する過程で、冷熱が当該土砂層(地盤G3)に排出される。従って、熱交換層110の温度が下がり難くなり、従来のクローズド型水平式の地中熱採熱システムよりも熱交換量が多く実用的な地中熱採熱システムとなる。
地下水(例えば15℃)を熱交換層110に供給して、熱交換層110の温度を地下水の温度に近づけておく。給湯器貯湯槽昇温時には、熱交換層110で熱交換された熱交換媒体(例えば、水、不凍液など。)の熱エネルギーをヒートポンプで昇温して貯湯槽に温水を蓄えるとともに、熱交換媒体(例えば、水、不凍液など。)の冷熱を熱交換層110に排出する。すると熱交換層110が徐々に冷えてくるが、その冷えた水が徐々に下方の熱交換層110に浸透する過程で、冷熱が熱交換層110の下方に位置する土砂層(地盤G3)に排出される。従って、熱交換層110の温度が下がり難くなり、従来のクローズド型水平式の地中熱採熱システムよりも熱交換量が多く実用的な地中熱採熱システムとなる。また、夏季においては冷房による排熱と給湯器貯湯槽昇温による吸熱が相殺され好都合である。
実施形態1に係る地中熱採熱システム100において、熱交換層110内の地中熱エネルギーが不足(低下)した場合は、昼間に熱交換層に地下水を供給してもよい。地下水供給装置130による地下水の供給動作の制御は、熱交換層110内に設置した水位計141,142や温度計143によりモニターされた水位情報や温度情報並びにヒートポンプの運転状況に基づいて行う。
本発明は、地下水の流れを地表面近くの地盤(地中浅層部G1)内に人為的に実現し、そこに設置費用が安価ないわゆる水平ループ型の採熱管(熱交換パイプ120)を布設し、採熱効率に優れ設置費用が廉価なシステムを実現するものである。まず、流動する地下水を地中浅層部G1に実現する方法を図1を用いて説明する。地中に設置した1本の井戸130で地中深層部G2に滞水する熱エネルギーの高い地下水を例えば水中ポンプ132により揚水する。揚水した地下水を地表面近くに構築した熱交換層110の天端部分に供給(散水、給水)する。熱交換槽110の内部には例えば透水性の高い砕石が充填されていて、かつ、底面には浸透性の高い地盤G3に直に接しているため、熱交換槽110の上部に供給された地下水は、重力の作用により熱交換層110内を流下し下方の地盤に浸透してゆく。最終的には、地下浸透が進み地中深層部G2の滞水層に還元される。このような機構により、熱交換層110の内部には、鉛直方向に下向きの地下水流れが実現されることになる。これにより高効率の地中採熱が可能となる(効果A)。
熱の移動には、空間を通して離れた物体間に熱が移動する放射、物質の移動を伴わないで熱が物体の高温部から低温部へ移動する伝導、そして流体の実質の流れによって熱が移動する対流の3形態がある。土砂のような多孔質体内が水で飽和している場合には、熱の移動は伝導と対流が主体となる。このうち対流には、飽和水内の不均質な温度分布に起因する自然対流とそれ以外の要因で起こる強制対流がある。自然対流は、水温の変化で生じた水の質量の変化(例えば温度上昇に伴う密度低下による浮力)による対流で、強制対流は密度変化に起因しない対流であり、例えば、重力作用による地盤G3への浸透により発生する対流(地下浸透流)である。水のみの場合(水槽等)は温度変化に伴い自然対流が発生し、上層部が高温、下層部が低温となる。これに対して飽和土砂中の水の移動は土砂中の空隙が僅かであることから対流が発生し難い。この度合いは土砂の透水係数と水の温度差に比例し、かつ、土砂の間隙率の逆数に比例し、自然対流の速度vfは次式で示される。
実施形態1に係る地中熱採熱システム100によれば、熱交換パイプ120の上方から熱交換層110に地下水を供給する地下水供給装置130を備えることから、地中浅層部に十分な量の地下水を供給して熱交換を行わせるとともに、熱交換された後の熱ポテンシャルが低下した地下水を徐々に地下浸透させることが可能となる。その結果、実施形態1に係る地中熱採熱システム100は、利用可能な熱交換量を増大することが可能となり、従来のクローズド型水平式の地中熱採熱システムよりも利用可能な熱交換量が多く実用的な地中熱採熱システムとなる。その結果、同じ採熱量を確保するのに従来のクローズド型水平式の地中熱採熱システムの場合よりも狭い敷地面積で済むという効果もある。
図4は、実施形態2に係る地中熱採熱システム200を説明するために示す図である。図4(a)は地中熱採熱システム200の縦断面図であり、図4(b)は図4(a)とは直交する方向から見た地中熱採熱システム200の縦断面図である。なお、図4(b)においては、地下水供給装置230の図示は省略している。
図5は、実施形態2に係る地中熱採熱システム200の要部を示す斜視図である。なお、図5においては、地下水供給装置230、接続管234、土木シート211,212、遮水シート213並びに遮水シート及び断熱材214の図示は省略している。
図6は、実施形態3に係る地中熱採熱システム300を説明するために示す図である。図6(a)は地中熱採熱システム300の縦断面図であり、図6(b)は図6(a)とは直交する方向から見た地中熱採熱システム300の縦断面図である。なお、図6(b)においては、地下水供給装置330の図示は省略している。
図7は、実施形態3に係る地中熱採熱システム300の要部を示す斜視図である。なお、図7においては、人工土砂層315、地下水供給装置330、接続管234、土木シート311、遮水シート313及び遮水シート及び断熱材314の図示は省略している。
Claims (10)
- 地中浅層部に埋設した熱交換パイプに熱交換媒体を循環させることにより地中熱を採熱するクローズド型水平式の地中熱採熱システムであって、
地中浅層部に設置され、水浸透性を有する熱交換層と、
前記熱交換層内に埋設された前記熱交換パイプと、
前記熱交換パイプの上方から前記熱交換層に地下水を供給する地下水供給装置とを備えることを特徴とする地中熱採熱システム。 - 請求項1に記載の地中熱採熱システムにおいて、
前記熱交換層が、人工土砂層からなることを特徴とする地中熱採熱システム。 - 請求項2に記載の地中熱採熱システムにおいて、
前記人工土砂層が、細粒土分を含まない人工土砂層であることを特徴とする地中熱採熱システム。 - 請求項2又は3に記載の地中熱採熱システムにおいて、
前記熱交換層の底面及び/又は前記熱交換層の内部には、土木シートが配設されていることを特徴とする地中熱採熱システム。 - 請求項1に記載の地中熱採熱システムにおいて、
前記熱交換層が、ポーラスコンクリート層及び当該ポーラスコンクリート層の上部に設けられた人工土砂層からなることを特徴とする地中熱採熱システム。 - 請求項5に記載の地中熱採熱システムにおいて、
前記熱交換層の底面には、土木シートが配設されていることを特徴とする地中熱採熱システム。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の地中熱採熱システムにおいて、
前記地下水供給装置は、井戸と、当該井戸から前記熱交換層に地下水を移送するポンプ及び導管と、前記導管から前記熱交換層に地下水を供給する供給口を有することを特徴とする地中熱採熱システム。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の地中熱採熱システムにおいて、
前記熱交換層には、地下水の水位をモニターするための水位計と、熱交換層の温度をモニターするための温度計とが配設されており、
前記地下水供給装置は、前記水位計によりモニターされた水位情報及び前記温度計によりモニターされた温度情報に基づいて、前記地下水の供給動作を制御する機能を有することを特徴とする地中熱採熱システム。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の地中熱採熱システムにおいて、
前記熱交換層においては、地下水の地盤浸透の速度をvgとし、地下水の自然対流の速度をvfとしたとき、vg>vfなる関係を満たすことを特徴とする地中熱採熱システム。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の地中熱採熱システムと、
前記地中熱採熱システムの熱交換媒体を用いて熱交換するヒートポンプとを備える地中熱利用冷暖房又は給湯システム。
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