JP2015152231A - 熱処理炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】炉体への外気の流入や外部への雰囲気ガスの流出を十分抑制する。【解決手段】熱処理炉10は、内部で被処理物96の熱処理を行う炉体11と、被処理物96を、外部と炉体11との間で搬送するための搬送路29と、炉体11内部に雰囲気ガスとして不活性ガスを供給するガス供給装置22と、炉体11内部の雰囲気を外気より高い温度にするヒーター20と、搬送路29のうち第1搬送路30の鉛直上側に設けられ、鉛直下側に開口して第1搬送路30内に連通する上方空間63を形成する上方空間形成部60と、第1搬送路30の鉛直下側に設けられ、鉛直上側に開口して第1搬送路30内に連通する下方空間73を形成する下方空間形成部70と、下方空間73を吸引する吸引装置77と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、熱処理炉に関する。
従来、被処理物を熱処理する熱処理炉として、所定の雰囲気で加熱する熱処理炉が知られている。例えば、特許文献1には、繊維強化熱可塑性樹脂シートの熱処理炉であって、装置内の空気を不活性ガスで置換して、体積酸素濃度を9%未満とした雰囲気で加熱を行うものが記載されている。こうすることで、シート材表面の樹脂の酸化劣化を防止しつつ、速やかにシート材を加熱することができるとしている。
特開平7−132522号公報
ところで、このような所定の雰囲気で熱処理を行う場合、雰囲気を保ちやすくするため、外気の流入を抑制したり、外部への雰囲気ガスの流出を抑制することが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、炉体への外気の流入や外部への雰囲気ガスの流出を十分抑制することを主目的とする。
本発明の熱処理炉は、
被処理物の熱処理を行う熱処理炉であって、
内部で前記被処理物の熱処理を行う炉体と、
前記被処理物を含む被搬送物を、外部と前記炉体との間で搬送するための搬送路と、
前記炉体内部に雰囲気ガスとして不活性ガスを供給するガス供給手段と、
前記炉体内部の雰囲気を外気より高い温度にする加熱手段と、
前記搬送路の鉛直上側に設けられ、鉛直下側に開口して該搬送路内に連通する上方空間を形成する上方空間形成部と、
前記搬送路の鉛直下側に設けられ、鉛直上側に開口して該搬送路内に連通する下方空間を形成する下方空間形成部と、
前記下方空間を吸引する下方空間吸引手段と、
を備えたものである。
この本発明の熱処理炉では、炉体に不活性ガスが供給され、炉体の雰囲気ガスが外気より高い温度に加熱されている。そのため、炉体から搬送路に流出する雰囲気ガスがある場合に、その雰囲気ガスは搬送路の鉛直上側に設けられた上方空間に溜まりやすい。これにより、搬送路を通過して雰囲気ガスが外部へ流出することが抑制される。また、雰囲気ガスが溜まることで上方空間は炉体内部よりも高圧の状態になりやすい。これにより、炉体内部から流出する雰囲気ガスを炉体内部へ押し戻そうとする力が働き、雰囲気ガスの流出が抑制される。さらに、搬送路の鉛直下側に設けられた下方空間を吸引することで、上方空間から搬送路を経由して下方空間に向かうガスの流れができる。そのため、この流れがエアカーテンとして働いて外部と炉体内部との間の搬送路でガスの流出入を抑制できる。以上により、炉体への外気の流入や外部への雰囲気ガスの流出を十分抑制することができる。ここで、搬送路は、被処理物を含む被搬送物を外部から炉体に搬入するためのものであってもよいし、被搬送物を炉体から外部に搬出するためのものであってもよい。被搬送物は被処理物のみであってもよいし、被処理物を載置するセッターなどを含んでいてもよい。また、前記ガス供給手段が前記加熱手段を兼ねるものとしてもよい。例えば、前記ガス供給手段が外気より高い温度の不活性ガスを供給するものとしてもよい。さらに、前記下方空間吸引手段及び前記ガス供給手段は、前記上方空間が前記炉体内部よりも高圧に保たれるように、前記下方空間の吸引及び前記不活性ガスの供給をそれぞれ行うものとしてもよい。こうすれば、炉体内部から流出する雰囲気ガスを炉体内部へ押し戻そうとする力が働きやすくなる。
本発明の熱処理炉において、前記被搬送物の搬送方向に垂直且つ水平方向に平行な方向を左右方向として、前記被搬送物が前記搬送路を搬送される際の該搬送路の左端から前記被搬送物までの前記左右方向の隙間の大きさを左隙間幅WLとし、前記被搬送物が前記搬送路を搬送される際の該搬送路の右端から前記被搬送物までの前記左右方向の隙間の大きさを右隙間幅WRとしたときに、前記左隙間幅WLの最小値WLmin及び前記右隙間幅WRの最小値WRminがいずれも20mm以上30mm以下としてもよい。最小値WLmin及び最小値WRminを30mm以下とすることで、搬送路において搬送路に沿った方向にガスが流れるのを抑制できるため、ガスの流出入をより抑制できる。
この場合において、左隙間幅WL及び右隙間幅WRがいずれも20mm以上150mm以下の範囲としてもよい。左隙間幅WL及び右隙間幅WRをいずれも20mm以上とすることで、上方空間から搬送路を経由して下方空間に向かうガスの流量が大きくなる。そのため、この流れがエアカーテンとして働きやすくなり、ガスの流出入をより抑制できる。また、左隙間幅WL及び右隙間幅WRをいずれも150mm以下とすることで、搬送路において搬送路に沿った方向にガスが流れるのを抑制できるため、ガスの流出入をより抑制できる。なお、搬送路のうち鉛直上側に前記上方空間形成部が設けられ鉛直下側に前記下方空間形成部が設けられた部分における左隙間幅WL及び右隙間幅WRがいずれも20mm以上であれば、上方空間から搬送路を経由して下方空間に向かうガスの流れがエアカーテンとして働きやすくなりガスの流出入をより抑制できる効果は得られる。
本発明の熱処理炉において、往路側と復路側とが共に外部から前記搬送路の外部開口面を通過して少なくとも該搬送路内まで配置されたリング状のワイヤーを複数有し、該複数のワイヤーにより前記搬送路内で前記被搬送物を搬送するワイヤーコンベア、を備え、前記被搬送物を搬送していない状態での、前記外部開口面における前記複数のワイヤーの各々の往路側と復路側との鉛直方向の距離V1は、20mm〜200mmとしてもよい。距離V1を200mm以下とすることで、外部開口面の鉛直方向の隙間をより小さくしやすくなるため、外部開口面を介したガスの流出入をより抑制しやすい。また、距離V1を20mm以上とすることで、被搬送物が載置された状態でワイヤーの往路側と復路側とが接触してしまうなどの不具合の発生をより抑制できる。
本発明の熱処理炉は、往路側と復路側とが共に前記搬送路内に配置されたリング状のワイヤーを複数有し、該複数のワイヤーにより前記搬送路内で前記被搬送物を搬送するワイヤーコンベアと、前記搬送路内で前記複数のワイヤーのうち隣接するワイヤー間を前記ワイヤーコンベアの搬送方向に気体が流通することを抑制する流通抑制部材と、を備えていてもよい。こうすれば、搬送路を介したガスの流出入を流通抑制部材によってより抑制できる。
本発明の熱処理炉において、前記搬送路は、鉛直上側に前記上方空間形成部が設けられ鉛直下側に前記下方空間形成部が設けられた第1搬送路と、前記被搬送物を、前記第1搬送路と前記炉体との間で搬送する搬送路であり、搬送方向長さLが100mm以上1000mm以下である第2搬送路と、を備えていてもよい。第2搬送路の搬送方向長さLを100mm以上とすることで、炉体の雰囲気ガスの流出をより抑制できる。
本発明の熱処理炉において、前記上方空間形成部は、前記炉体に対して上部が遠ざかる方向に傾斜した前記上方空間を形成していてもよい。外気より高い温度の雰囲気ガスが炉体から流出したときには、この雰囲気ガスの流れる向きは炉体に対して遠ざかるほど上昇する向きとなる。そのため、上方空間が炉体に対して上部が遠ざかる方向に傾斜していることで、炉体からの雰囲気ガスが上方空間に導かれやすくなり、外部への流出をより抑制できる。
この場合において、前記上方空間形成部は、前記炉体に対して上部が遠ざかる方向に傾斜した部材であり前記上方空間を前記被搬送物の搬送方向に沿って複数の区画空間に区画する区画部材を有していてもよい。こうすれば、複数の区画部材が前記炉体に対して上部が遠ざかる方向に傾斜していることで、炉体からの雰囲気ガスが上方空間に導かれやすくなる。この場合において、前記複数の区画空間は、前記上方空間のうち上方で互いに連通していてもよい。こうすれば、炉体からの雰囲気ガスが搬送路に流れたときに、雰囲気ガスが複数の区画空間のうちいずれかを通って上方空間のうち上方に流れ、そこから他の区画空間を流れて炉体に戻る、という流れが生じやすくなり、雰囲気ガスを炉体に戻して外部への流出を抑制する効果が高まる。
本発明の熱処理炉において、前記下方空間形成部は、前記炉体に対して下部が近づく方向に傾斜した前記下方空間を形成していてもよい。外気が搬送路に流れたとき、炉体の雰囲気ガスの方が温度が高いため、この外気の流れる向きは炉体に対して近づくほど下降する向きとなる。そのため、下方空間が炉体に対して下部が近づく方向に傾斜していることで、外気が下方空間に導かれやすくなり、炉体への流入をより抑制できる。
熱処理炉10の縦断面図である。 図1のA視図である。 図2のB−B断面図である。 変形例の熱処理炉110の縦断面図である。 図4のC視図である。 試験炉210の縦断面図である。
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である熱処理炉10の縦断面図である。図2は、図1のA視図である。図3は、図2のB−B断面図である。熱処理炉10は、炉体11と、搬送路29と、上方空間形成部60と、下方空間形成部70と、ワイヤーコンベア80と、コントローラー90と、を備えている。また、搬送路29は、第1搬送路30と、第2搬送路40と、第3搬送路50と、を備えている。この熱処理炉10は、炉体11の処理空間11a内でシート状の被処理物96を搬送しながら被処理物96に対する熱処理を行う装置として構成されている。
炉体11は、略直方体に形成された断熱構造体であり、内部の空間である処理空間11aと、炉体の前端面12(図1の左端面)及び後端面13(図1の右端面)にそれぞれ形成され外部から処理空間11aへの出入口となる開口14,15を有している。処理空間11a内には、ワイヤーコンベア80の複数のワイヤー81を上下から挟むように、炉体11の天井及び底部に複数のヒーター20が配置されている。ヒーター20は、長手方向が搬送方向に直交する方向(左右方向)となるように配置されており、ワイヤーコンベア80の搬送方向(図1の左から右に向かう方向)に沿って複数配置されている。ヒーター20は、処理空間11a内を通過する被処理物96や処理空間11aの雰囲気を加熱するものであり、例えばSiCヒーターなどのセラミックスヒーターとして構成されている。なお、ヒーター20に限らず、ガスバーナーなど、被処理物96の熱処理を行うことができる加熱装置であればよい。また、本実施形態ではヒーター20は円筒状ヒーターとしたが、面状ヒーターとするなど、他の形状のヒーターを用いてもよい。
また、炉体11の底部のうち後端面13側には、ガス供給装置22と接続され処理空間11aに雰囲気ガスを供給可能なガス供給口16が形成されている。炉体11の底部の前端面12側には、ガス供給装置24と接続され処理空間11aに雰囲気ガスを供給可能なガス供給口17が形成されている。なお、ガス供給装置22,24は、雰囲気ガスとして例えば窒素などの不活性ガスを処理空間11aに供給する。炉体11の天井部分のうち前端面12側には、流量調整弁26と接続され処理空間11aの雰囲気を流出可能な流出口18が形成されている。流量調整弁26は、配管を介してガス供給装置22,24に接続されており、処理空間11aの雰囲気をガス供給装置22,24の吸気として循環させる。なお、流量調整弁26を通過したガスは、フィルターなどにより不活性ガス以外の不要成分(例えば酸素,水など)が除去された上でガス供給装置22,24に供給されてもよい。炉体11の天井のうち流出口18の後方には、排気弁28と接続され処理空間11aの雰囲気を排気可能な排気口19が形成されている。なお、流出口18,排気口19の配置はこれに限られない。例えば排気口19を流出口18よりも前端面12側に配置してもよい。
搬送路29は、外部から炉体11の開口14までの被処理物96の搬入路となるものである。搬送路29の第1搬送路30,第2搬送路40,第3搬送路50は、外部から炉体11に向かって、第3搬送路50,第1搬送路30,第2搬送路40の順に並んでいる。以下、この順に説明する。
第3搬送路50は、被処理物96を外部から第1搬送路30まで搬送するための搬入路であり、管路として構成されている。この第3搬送路50は、外部からの搬入口となる搬送口52を有している。第3搬送路50は、この搬送口52の内側に遮蔽板85を備えている。遮蔽板85については後述する。
第1搬送路30は、被処理物96を第3搬送路50から第2搬送路40まで搬送するための搬入路であり、管路として構成されている。
この第1搬送路30の鉛直上側には、上方空間形成部60が設けられている。この上方空間形成部60は、下方向が開口した箱状の外壁62を有しており、この外壁62の内部の空間として、鉛直下側に開口し第1搬送路30内に連通する上方空間63が形成されている。外壁62は下方向の開口以外は気密な構造をしており、第1搬送路30を介さない外部との気体の流出入がほとんど生じないようになっている。なお、外壁62は、前方(図1の左方)の壁部及び後方(図1の右方)の壁部が、炉体11に対して上部が遠ざかる方向に傾斜している。これにより、上方空間63は炉体11に対して上部が遠ざかる方向に傾斜した形状の空間となっている。また、上方空間形成部60は、外壁62の内部に、炉体11に対して上部が遠ざかる方向に傾斜した区画部材64a,64bを備えている。この区画部材64a,64bは、前方から後方に向けてこの順に配置された平板状の部材であり、図示は省略するが左右方向の両端が外壁62の左右の壁部に例えば溶接などにより取り付けられている。区画部材64a,64b,外壁62の前方の壁部及び後方の壁部は、いずれも前方から上方に向けて同じ角度θ1だけ傾斜している。傾斜の角度θ1は0°超過〜90°未満であればよい。特に限定するものではないが、例えば角度θ1を30〜60°としてもよい。この区画部材64a,64bにより、上方空間63の一部が区画空間65a〜65cに区画されている。区画空間65aは、外壁62の前方の壁部と区画部材64aとで区画された空間である。区画空間65bは、区画部材64aと区画部材64bとで区画された空間である。区画空間65cは、区画部材64bと外壁62の後方の壁部とで区画された空間である。これらの区画空間65a〜65cは、いずれも下方が第1搬送路30内に開口している。また、区画部材64a,64bは、いずれも外壁62の天井には接していない。そのため、区画空間65a〜65cは、上方空間63のうち上方(外壁62の天井付近)で互いに連通している。
また、第1搬送路30の鉛直下側には、下方空間形成部70が設けられている。この下方空間形成部70は、上方向が開口した箱状の外壁72を有しており、この外壁72の内部の空間として、鉛直上側に開口し第1搬送路30内に連通する下方空間73が形成されている。外壁72は上方向の開口以外は気密な構造をしており、第1搬送路30を介さない外部との気体の流出入がほとんど生じないようになっている。なお、外壁72は、前方(図1の左方)の壁部及び後方(図1の右方)の壁部が、炉体11に対して下部が近づく(上部が遠ざかる)方向に傾斜している。これにより、下方空間73は炉体11に対して下部が近づく方向に傾斜した形状の空間となっている。また、下方空間形成部70は、外壁72の内部に、炉体11に対して下部が近づく方向に傾斜した区画部材74a,74bを備えている。この区画部材74a,74bは、後方から前方に向けてこの順に配置された平板状の部材であり、図示は省略するが左右方向の両端が外壁72の左右の壁部に例えば溶接などにより取り付けられている。区画部材74a,74b,外壁72の前方の壁部及び後方の壁部は、いずれも後方から下方に同じ角度θ2だけ傾斜している。傾斜の角度θ2は0°超過〜90°未満であればよい。特に限定するものではないが、例えば角度θ2を30〜60°としてもよい。この区画部材74a,74bにより、下方空間73の一部が区画空間75a〜75cに区画されている。区画空間75aは、外壁72の後方の壁部と区画部材74aとで区画された空間である。区画空間75bは、区画部材74aと区画部材74bとで区画された空間である。区画空間75cは、区画部材74bと外壁72の前方の壁部とで区画された空間である。これらの区画空間75a〜75cは、いずれも上方が第1搬送路30内に開口している。また、区画部材74a,74bは、いずれも外壁72の底部には接していない。そのため、区画空間75a〜75cは、下方空間73のうち下方(外壁72の底部付近)で互いに連通している。なお、外壁72の底部には、吸引装置77と接続され下方空間73を吸引するための吸引口76が形成されている。吸引装置77は、吸引口76を介して下方空間73内のガスを吸引して排気する。
第2搬送路40は、被処理物96を第1搬送路30から炉体11の開口14まで搬送するための搬入路であり、管路として構成されている。
なお、第1搬送路30と第3搬送路50とは、連続した管路として構成されている。本実施形態では、上方空間形成部60の開口の前端部と下方空間形成部70の開口の前端部とを結んだ線分D1を、第1搬送路30と第3搬送路50との境界とした。同様に、第1搬送路30と第2搬送路40とは、連続した管路として構成されている。本実施形態では、上方空間形成部60の開口の後端部と下方空間形成部70の開口の後端部とを結んだ線分D2を、第1搬送路30と第2搬送路40との境界とした。また、第2搬送路40は、搬送方向長さLが、100mm以上1000mm以下になるように構成されている。搬送方向長さLは、第2搬送路40に隣接する開口14と第1搬送路30との間の距離である。本実施形態では、搬送方向長さLは、図1に示すように、開口14の開口端(=前端面12)から、外壁62の傾斜が始まる部分(上方空間形成部60の開口の後端部)までの搬送方向の長さとした。
ワイヤーコンベア80は、複数(本実施形態では24本)のワイヤー81で被処理物96を搬送方向に搬送するものである。ワイヤーコンベア80は、水平方向のうち搬送方向に直交する方向(左右方向)に等間隔に配置されたワイヤー81(ワイヤー81a〜81x)と(図2,図3参照)、搬送口52の前方に配置された従動ローラー82と、開口15の後方に配置された駆動ローラー83と、複数(本実施形態では2個)の支持ローラー84a、84bと、を備えている。ワイヤー81a〜81xは、それぞれ従動ローラー82と駆動ローラー83とを両端としてリング状に掛け渡されている。このワイヤー81a〜81xは、図1に示すように、搬送口52よりも前方から開口15よりも後方までに亘って掛け渡されて、搬送路29及び炉体11を搬送方向に貫通している。また、ワイヤー81a〜81xは、いずれも往路側(図1の上側)の部分と復路側(図1の下側)の部分とが共に搬送路29内及び炉体11内を通過している。ワイヤーコンベア80は、駆動ローラー83を回転駆動する図示しないモーターなどを備えている。従動ローラー82は、自身を前方に引っ張る図示しないばねなどの弾性体を備えている。この弾性体は、炉体11の前方に向けて引っ張る張力を従動ローラー82を介してワイヤー81に作用させることで、ワイヤー81の張りを一定に保っている。支持ローラー84a,84bは、ワイヤー81a〜81xの往路側を下方から支持するものである。支持ローラー84aは、搬送方向で従動ローラー82と搬送口52との間に配置されている。支持ローラー84bは、搬送方向で開口15と駆動ローラー83との間に配置されている。
複数のワイヤー81は、図2に示すように、隣接するワイヤー81間の左右方向の距離を距離W1とすると、いずれのワイヤー81間の距離W1も30〜100mmの範囲内にあることが好ましい。距離W1を100mm以下とすることで、ワイヤー間が左右に離れすぎて搬送される被処理物96がたわむのを抑制することができる。また、被搬送物96を搬送していない状態(ワイヤー81に何も載せていない状態)での、搬送口52の端面(前端面)における複数のワイヤーの各々の往路側と復路側との鉛直方向の距離を距離V1とすると、距離V1が20mm〜200mmとなっていることが好ましい。なお、例えば従動ローラー82及び駆動ローラー83の直径を調整したり、従動ローラー82,駆動ローラー83,支持ローラー84a,84bなどのローラーの配置(搬送口52の端面からの距離)を調整したりすることで、距離V1を調整することができる。
遮蔽板85は、搬送口52の開口部分を塞いで、搬送口52を介した外気や炉体11内の雰囲気の流出入を抑制する板状の部材である。遮蔽板85は、上側遮蔽板86と、下側遮蔽板87とを備えている。上側遮蔽板86は、搬送口52におけるワイヤー81よりも上側に配置されており、上側遮蔽板86の上端及び左右端はそれぞれ第3搬送路50の内周面の上面及び左右面と接している。これにより、上側遮蔽板86は、ワイヤー81に搬送される被処理物96の上端と搬送口52の上端との間の隙間を狭くしている。下側遮蔽板87は、搬送口52において上側遮蔽板86の下に取り付けられており、上端が上側遮蔽板86の下端に接している。また、下側遮蔽板87は、左右端が第3搬送路50の内周面の左右面に接している。下側遮蔽板87には、上端側から下方向に向けて形成された切り欠き部87aが形成されている。また、下側遮蔽板87には、切り欠き部87aの下端からさらに下方向に向けて切り欠き部88a〜88xが形成されている。左右方向に隣接する切り欠き部88a〜88xの間は、切り欠きが形成されずに残った凸状部89a〜89wとなっている。この上側遮蔽板86と下側遮蔽板87とが搬送口52内に配置されることで、上側遮蔽板86が切り欠き部87aの上側を塞ぐ形になり、遮蔽板85は切り欠き部87a,切り欠き部88a〜88xの部分だけを残して搬送口52を塞いでいる。切り欠き部88a〜88xの数はワイヤー81の本数に対応しており、切り欠き部88a〜88xがそれぞれワイヤー81a〜81xに対応している。ワイヤーコンベア80のワイヤー81a〜81xの復路側(下側)は、それぞれ切り欠き部88a〜88xの部分を通過することで搬送口52を貫通している。なお、ワイヤー81a〜81xのうち往路側(上側)は、図2では切り欠き部87aの部分を通過しているが、少なくとも一部が切り欠き部87aの部分を通過していればよい。例えば、ワイヤー81a〜81xの往路側の一部が切り欠き部88a〜88xの部分を通過してもよい。換言すると、ワイヤー81a〜81xの往路側の上端が切り欠き部87aの部分を通過していればよい。
被搬送物96を搬送していない状態での、搬送口52の端面(前端面)におけるワイヤー81a〜81xの下端と外部開口面の下端(下側遮蔽板87の切り欠き部88a〜88xの下端)との鉛直方向(上下方向)の距離を距離V2とすると、距離V2はワイヤー81a〜81xのいずれも10mm〜50mmの範囲であることが好ましい。距離V2を50mm以下とすることで、搬送口52の鉛直方向の隙間をより小さくでき、搬送口52を介した外気や炉体11内の雰囲気の流出入をより抑制できる。また、距離V2を10mm以上とすることで、ワイヤー81の復路側(下側)が下側遮蔽板87に接触することをより抑制できる。
コントローラー90は、CPUを中心とするマイクロプロセッサーとして構成されている。このコントローラー90は、ガス供給装置22,24に制御信号を出力して、ガス供給口16,ガス供給口17を介した炉体11への不活性ガスの供給量を個別に制御する。コントローラー90は、流量調整弁26に制御信号を出力して流出口18からガス供給装置22,ガス供給装置24へ循環させるガスの量を制御したり、排気弁28に制御信号を出力して処理空間11aから排気する雰囲気ガスの量を制御したりする。また、コントローラー90は、吸引装置77に制御信号を出力して、吸引口76を介した下方空間73からのガスの吸引量(吸引速度)を制御する。さらに、コントローラー90は、ヒーター20に制御信号を出力して処理空間11aの温度を調整したり、ワイヤーコンベア80の図示しないモーターに駆動信号を出力して、駆動ローラー83を回転させることでワイヤー81を回転させる。
被処理物96は、例えば炭素繊維入り樹脂シートとして構成されたシート状のものである。この被処理物96は、例えば炉体11内を通過する間にヒーター20からの熱により加熱されて軟化した状態になり、その後にプレス機に搬送されて所望形状にプレス成形される。特に限定するものではないが、被処理物96の左右方向の幅は、例えば1000mm程度である。
次に、こうして構成された熱処理炉10を用いて被処理物96の熱処理を行う様子について説明する。まず、コントローラー90は、図示しないモーターを動作させてワイヤーコンベア80の駆動ローラー83を回転させワイヤー81を回転させると共に、ヒーター20に通電してヒーター20を発熱させる。駆動ローラー83の回転速度(ワイヤー81の送り速度)は、被処理物96の熱処理に要する時間に基づいて予め定められている。ヒーター20の出力は、処理空間11a内での被処理物96の熱処理時の温度(例えば1000℃前後など)に基づいて予め定められているものとした。続いて、被処理物96を用意し、第3搬送路50の搬送口52の外側のワイヤー81の上に載置する。被処理物96は、ワイヤー81により第3搬送路50,第1搬送路30,第2搬送路40をこの順に搬送され、開口14から炉体11内に搬入される。そして、被処理物96が炉体11内を通過している間に、被処理物96に対する熱処理が行われ、被処理物96は加熱及び軟化される。その後、被処理物96は開口15から搬出される。このように、熱処理炉10では、被処理物96をワイヤー81により搬送しながら、ヒーター20により熱処理を行う。開口15から搬出された被処理物96は、例えばプレス機へ搬入されて、所望形状にプレス成形される。なお、被処理物96は開口14から順次搬入され、複数の被処理物96について連続的に熱処理が行われる。
なお、被処理物96を搬送している間、コントローラー90は、ガス供給装置22を制御して炉体11内に不活性ガスを供給させると共に、流量調整弁26及び排気弁28を制御して炉体11から雰囲気ガスを流出,排出させる。また、コントローラー90は、吸引装置77を制御して下方空間73からガスを吸引させる。これらの供給や吸引等の量(速度)は、処理空間11aを所定の雰囲気に保つことができるよう例えば実験などにより予め定められているものとしてもよいし、例えば図示しない温度センサなどのセンサからの検出信号に基づいてコントローラー90が処理空間11aの情報(温度など)を取得し、この情報に基づいてコントローラー90が供給量等を調整してもよい。なお、ガス供給装置24は、何らかの不具合により被処理物96が連続的に供給されず、搬送路29内で被処理物96の列が途切れてしまった場合などに使用される。被処理物96が存在しない場合には、第1搬送路30,第2搬送路40,第3搬送路50の空間がその分広がることになるため、外気が炉体11に流入しやすくなる。そこで、このような場合には、コントローラー90はガス供給装置24からも不活性ガスを供給させて、処理空間11a内の雰囲気を保つようにする。なお、ガス供給装置24を用いる代わりにガス供給装置22からの供給量を増大させてもよい。
ここで、被処理物96が搬送されている際の、被処理物96と搬送路29との隙間について説明する。本実施形態では、熱処理を行うために被処理物96が搬送されている際における隙間高さHの最小値Hmin、左隙間幅WLの最小値WLmin、右隙間幅WRの最小値WRminがそれぞれ所定範囲になるように、第1搬送路30,第2搬送路40,第3搬送路50,遮蔽板85の形状や被処理物96の形状及び配置の仕方が定められている。以下、これらの値について説明する。
隙間高さHは、被処理物96が搬送路29を搬送される際の、搬送路29内における被処理物96の鉛直上方向の隙間の大きさである(図1参照)。そして、搬送路29内におけるこの隙間高さHの最小値が、最小値Hminである。ここで、図1に示すように、本実施形態の搬送路29は、遮蔽板85で塞がれている部分が最も被処理物96の鉛直上方向の隙間が小さくなっている。そのため、この被処理物96の鉛直上方向の遮蔽板85までの隙間が、最小値Hminとなる(図1,図2参照)。この最小値Hminが小さいほど、搬送路29をガスが通過しにくくなるため、炉体11への外気の流入や外部への雰囲気ガスの流出をより抑制できる。一方、最小値Hminが大きいほど、例えば搬送時の振動などにより被処理物96が搬送路29の上側部分(本実施形態では、上側遮蔽板86)に接触してしまうことをより抑制できる。最小値Hminは、これらを考慮して適宜定めることができる。例えば、最小値minは5mm超過20mm以下としてもよい。
左隙間幅WLは、被処理物96が搬送路29を搬送される際の搬送路29の左端から被処理物96までの左右方向の隙間の大きさである(図3参照)。同様に、右隙間幅WRは、被処理物96が搬送路29を搬送される際の搬送路29の右端から被処理物96までの左右方向の隙間の大きさである。そして、搬送路29内におけるこの左隙間幅WL及び右隙間幅WRの最小値が、最小値WLmin、最小値WRminである。ここで、図3に示すように、本実施形態の搬送路29は、遮蔽板85で塞がれている部分が最も左右方向の隙間が小さくなっている。そのため、被処理物96から遮蔽板85(下側遮蔽板87)までの左右方向の隙間が、最小値WLmin、最小値WRminとなる(図2,図3参照)。そして、このように定まる最小値WLmin、最小値WRminは、いずれも20mm以上30mm以下となることが好ましい。なお、左隙間幅WL及び右隙間幅WRが、搬送路29の全体に亘っていずれも20mm以上150mm以下の範囲にあることが好ましい。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の被処理物96が本発明の被処理物及び被搬送物に相当し、炉体11が炉体に相当し、搬送路29が搬送路に相当し、ガス供給装置22がガス供給手段に相当し、ヒーター20が加熱手段に相当し、上方空間形成部60が上方空間形成部に相当し、下方空間形成部70が下方空間形成部に相当し、吸引装置77が下方空間吸引手段に相当する。また、搬送口52の前端面が搬送路の外部開口面に相当し、遮蔽板85(凸状部89a〜89w)が流通抑制部材に相当する。
以上説明した本実施形態の熱処理炉10では、熱処理時において炉体11にガス供給装置22から不活性ガスが供給され、ヒーター20により炉体11の雰囲気ガスが外気より高い温度に加熱されている。そのため、炉体11から開口14を通って搬送路29側に流出する雰囲気ガスがある場合に、その雰囲気ガスは搬送路29(第1搬送路30)の鉛直上側に設けられた上方空間63に溜まりやすい。これにより、搬送路29を通過して雰囲気ガスが外部へ流出することが抑制される。また、雰囲気ガスが溜まることで上方空間63は炉体11内部よりも高圧の状態になりやすい。これにより、炉体11内部から流出する雰囲気ガスを炉体11内部へ押し戻そうとする力が働き、雰囲気ガスの流出が抑制される。さらに、搬送路29(第1搬送路30)の鉛直下側に設けられた下方空間73を吸引装置77が吸引することで、上方空間63から第1搬送路30を経由して(被処理物96が搬送されている場合には被処理物96の左右の隙間を経由して)下方空間73に向かうガスの流れができる。そのため、この流れがエアカーテンとして働いて外部と炉体11内部との間の第1搬送路30でガスの流出入を抑制できる。以上により、炉体11への外気の流入や外部への雰囲気ガスの流出を十分抑制することができる。なお、外気が流入すると、例えば炉体11内に酸素,水,微粒子などの不要成分が流入して熱処理に悪影響を与える場合があるため、それを抑制したいという要望がある。また、炉体11内部の雰囲気ガスには、例えば不活性ガスや被処理物96から生じたガスなどが含まれるため、外部に流出させたくないという要望がある。本発明の熱処理炉では、ガスの流出入を抑制することから、これらの要望を満たしやすい。
さらに、熱処理炉10において、左隙間幅WLの最小値WLmin及び右隙間幅WRの最小値WRminをいずれも20mm以上30mm以下とすれば、最小値WLmin及び最小値WRminを30mm以下とすることで、搬送路29において搬送路29に沿った方向にガスが流れるのを抑制できるため、ガスの流出入をより抑制できる。また、左隙間幅WL及び右隙間幅WRをいずれも20mm以上とすることで、上方空間63から搬送路29を経由して下方空間73に向かうガスの流量が大きくなる。そのため、この流れがエアカーテンとして働きやすくなり、ガスの流出入をより抑制できる。また、左隙間幅WL及び右隙間幅WRをいずれも150mm以下とすることで、搬送路29において搬送路29に沿った方向にガスが流れるのを抑制できるため、ガスの流出入をより抑制できる。
さらにまた、熱処理炉10は、往路側と復路側とが共に外部から搬送路29の外部開口面である搬送口52の前端面を通過して少なくとも搬送路29内まで配置されたリング状のワイヤー81を複数有し、複数のワイヤー81により搬送路29内で被搬送物96を搬送するワイヤーコンベア80、を備えている。そして、被搬送物96を搬送していない状態での、外部開口面における複数のワイヤー81の各々の往路側と復路側との鉛直方向の距離V1を200mm以下とすると、外部開口面の鉛直方向の隙間(例えば遮蔽板85の切り欠き部88a〜88x)をより小さくしやすくなり、外部開口面を介したガスの流出入をより抑制しやすくなる。また、距離V1を20mm以上とすることで、被搬送物96が載置された状態でワイヤー81の往路側と復路側とが接触してしまうなどの不具合の発生をより抑制できる。
そしてまた、熱処理炉10は、搬送路29内で複数のワイヤー81のうち隣接するワイヤー81間をワイヤーコンベア80の搬送方向(前後方向)に気体が流通することを抑制する遮蔽板85の凸状部89a〜89wを備えている。そのため、搬送路29を介したガスの流出入をこの凸状部89a〜89wによってより抑制できる。
また、熱処理炉10は、被処理物96を、第1搬送路30と炉体11との間で搬送するための搬送路であり、搬送方向長さLが100mm以上1000mm以下である第2搬送路40、を備えている。第2搬送路40の搬送方向長さLを100mm以上とすることで、炉体11からの雰囲気ガスの流出をより抑制できる。
そしてまた、上方空間形成部60は、炉体11に対して上部が遠ざかる方向に傾斜した上方空間63を形成している。外気より高い温度の雰囲気ガスが炉体11から流出したときには、この雰囲気ガスの流れる向きは炉体11に対して遠ざかるほど上昇する向きとなる。そのため、上方空間63が炉体11に対して上部が遠ざかる方向に傾斜していることで、炉体11からの雰囲気ガスが上方空間63に導かれやすくなり、外部への流出をより抑制できる。
そしてまた、上方空間形成部60は、炉体11に対して上部が遠ざかる方向に傾斜した部材であり上方空間63を被処理物96の搬送方向に沿って複数の区画空間65a〜65cに区画する区画部材64a,64bを有している。そのため、複数の区画部材64a,64bが炉体11に対して上部が遠ざかる方向に傾斜していることで、炉体11からの雰囲気ガスが上方空間63に導かれやすくなる。しかも、複数の区画空間65a〜65cは、上方空間63のうち上方で互いに連通している。そのため、炉体11からの雰囲気ガスが第1搬送路30に流れたときに、雰囲気ガスが複数の区画空間65a〜65cのうちいずれかを通って上方空間63のうち上方に流れ、そこから他の区画空間を流れて炉体に戻る、という流れが生じやすくなる。例えば、第1搬送路30から区画空間65a,65bを上方に流れていき、上方空間63のうち上方を通って区画空間65cを下方に流れ、炉体11に戻ろうとする流れが生じる。これにより、雰囲気ガスを炉体11に戻して外部への流出を抑制する効果が高まる。
そしてまた、下方空間形成部70は、炉体11に対して下部が近づく方向に傾斜した下方空間73を形成している。外気が第1搬送路30に流れたとき、炉体11の雰囲気ガスの方が温度が高いため、この外気の流れる向きは炉体11に対して近づくほど下降する向きとなる。そのため、下方空間73が炉体11に対して下部が近づく方向に傾斜していることで、外気が下方空間73に導かれやすくなり、炉体11への流入をより抑制できる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
上述した実施形態では、遮蔽板85は搬送口52に設けられているものとしたが、これに限らず搬送路29における被処理物96が搬送される空間を塞ぐように設けられていればよい。また、遮蔽板85を複数設けてもよい。なお、遮蔽板85は少なくとも搬送口52に設けることが好ましい。
上述した実施形態では、遮蔽板85は上側遮蔽板86と下側遮蔽板87とを備えるものとしたが、これに限られない。例えば、遮蔽板85は被処理物96及びワイヤー81が通過可能な穴(切り欠き部87a及び切り欠き部88a〜88xに相当)を備えた1つの部材としてもよい。あるいは、遮蔽板85を3以上の部材から構成してもよい。また、上述した実施形態では、遮蔽板85は上側遮蔽板86と下側遮蔽板87との上下に分割された構成としているが、左右に分割された構成などとしてもよい。
上述した実施形態では、ワイヤーコンベア80のワイヤー81は、搬送口52よりも前方から開口15よりも後方までに亘って掛け渡されて、搬送路29及び炉体11を搬送方向に貫通しているものとしたが、これに限られない。例えば、ワイヤー81が外部から搬送口52を通過して搬送路29内まで配置されており、炉体11内の搬送は別のワイヤーコンベアや別の搬送手段(搬送ローラーなど)で行ってもよい。あるいは、ワイヤー81が搬送路29内に配置されて、搬送口52から外部には出ていないものとしてもよい。
上述した実施形態では、搬送路29(第1搬送路30,第2搬送路40,第3搬送路50)は、外部から炉体11の開口14までの被処理物96の搬入路となるものとしたが、搬出路となるものとしてもよい。また、上述した実施形態では、開口14側にのみ第1搬送路30,第2搬送路40,第3搬送路50,上方空間形成部60,下方空間形成部70を備えるものとしたが、開口15側にもこれらと同様の構成を備えるものとしてもよい。図4は、この場合の変形例の熱処理炉110の縦断面図である。図5は、図4のC視図である。なお、図4,図5では、図1,図2と同じ構成要素については同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。熱処理炉110は、熱処理炉10に加えて、炉体11の開口15から外部までの搬出路となる搬送路129を備えている。搬送路129は、開口15から支持ローラー84bまでの間に位置している。搬送路129の第1搬送路130の鉛直上側には上方空間形成部160が設けられている。搬送路129の第1搬送路130の鉛直下側には、下方空間形成部170が設けられている。下方空間形成部170の外壁172の底部には、吸引装置177が接続されている。搬送路129の第3搬送路150は、外部への搬出口となる搬送口152を有している。第3搬送路150は、この搬送口152の内側に遮蔽板185を備えている。なお、搬送路129,上方空間形成部160,下方空間形成部170,吸引装置177,遮蔽板185は、それぞれ搬送路29,上方空間形成部60,下方空間形成部70,吸引装置77,遮蔽板85と前後方向に対称な構造をしている。そのため、搬送路129,上方空間形成部160,下方空間形成部170,吸引装置177,遮蔽板185の構成要素については搬送路29,上方空間形成部60,下方空間形成部70,吸引装置77,遮蔽板85に値100を加えた符号を付して、詳細な説明を省略する。なお、線分D3は上方空間形成部160の開口の後端部と下方空間形成部170の開口の後端部とを結んだ線分であり、搬送路29における線分D1に相当する。線分D4は上方空間形成部160の開口の前端部と下方空間形成部170の開口の前端部とを結んだ線分であり、搬送路29の線分D2に相当する。角度θ3は、区画部材164a,164b,外壁162の前方の壁部及び後方の壁部の傾斜の角度であり、上方空間形成部60における角度θ1に相当する。角度θ4は、区画部材174a,174b,外壁172の前方の壁部及び後方の壁部の傾斜の角度であり、下方空間形成部70における角度θ2に相当する。この熱処理炉110では、炉体11内と外部との開口14を介したガスの流出入を抑制できるだけでなく、炉体11内と外部との開口15を介したガスの流出入も抑制できる。なお、図5に示す被処理物96と遮蔽板185との距離VL及び距離VRは、図2に示した距離VL及び距離VRと同様に20mm以上とすることが好ましい。なお、図4,5では、搬送路29等と搬送路129等とは前後方向に対称な構成としたが、これに限られない。例えば、角度θ1と角度θ3とが異なっていてもよいし、角度θ2と角度θ4とが異なっていてもよい。また、上述した区画部材の数などについても、前後方向に対称でなくともよい。
上述した実施形態では、炉体11の底部にガス供給口16,17を形成したが、これに限られない。例えば、ガス供給口を炉体11の天井部及び底部に形成し、このガス供給口を介して上下から被処理物96にガスを吹き付けるように供給してもよい。
[実施例1]
実施例1の熱処理炉として、図6に示す試験炉210を作製した。この試験炉210は、炉体11内にヒーター20を備えない点、開口15を有さない点、及びワイヤーコンベア80の支持ローラー84b及び駆動ローラー83が炉体11内の搬送路29側に配置されている点、以外は上述した実施形態の熱処理炉10と同様の構成をしている。この試験炉210は、遮蔽板85を除いた搬送口52の寸法が、上下方向の高さが240mm,左右方向の幅が1100mmとした。また、第2搬送路40の搬送方向長さLを200mm、第1搬送路30と第3搬送路50との搬送方向長さの合計(=搬送口52から第2搬送路40までの長さ)を500mmとした。炉体11の寸法は上下方向高さが300mm、前後方向長さが500mm,左右方向幅が1500mmとした。上方空間形成部60の傾斜の角度θ1を45°、下方空間形成部70の傾斜の角度θ2を45°とした。上方空間形成部60の容積は0.08m3、下方空間形成部70の容積は0.04m3とした。遮蔽板85は、厚さ1mmの板とし、上側遮蔽板86及び下側遮蔽板87が切り欠き部87a及び切り欠き部88a〜88x以外で搬送口52を全て塞ぐような形状とした。上側遮蔽板86の上下方向高さは30mmとした。ワイヤー81の搬送方向に沿って見たときの切り欠き部87aの形状は、上下方向高さが30mm,左右方向幅が1040mmの矩形とした。下側遮蔽板87の左端から切り欠き部87aまでの左右方向の距離は30mmとし、下側遮蔽板87の右端から切り欠き部87aまでの左右方向の距離は30mmとした。ワイヤー81の搬送方向に沿って見たときの切り欠き部88a〜88xの形状は、いずれも上下方向高さ154mm,左右方向幅が30mmの矩形とした。また、被処理物96をワイヤー81に載置しない状態における、ワイヤー81a〜81xの各距離V1をいずれも150mmとし、各距離V2をいずれも20mmとし、隣接するワイヤー81間の距離W1をいずれも41mmとした。ワイヤー81a〜81xの直径はいずれも2mmとした。ワイヤー81a〜81xは、それぞれ切り欠き部88a〜88xの左右方向の中央に位置するものとした。
この試験炉210において、以下の条件で試験を行った。まず、搬送口52を含む搬送路29内のワイヤー81上に被処理物96を配置した。被処理物96の左右方向の幅は1000mmとし、厚さは2mmとし、前後方向長さは150mmとした。このときの最小値Hminは8mmであり、最小値WLminは20mmであり、最小値WRminは20mmであった。また、距離VL,VRはいずれも20mmであった。この状態で、被処理物96の搬送は行わず、吸引装置77の吸引力を500L/min、炉体11内の温度を80℃、ガス供給装置22からの窒素ガスの供給量を100L/minとして1〜2時間経過した後の、炉体11内の酸素濃度及び、搬送口52から外部への窒素の漏れ量を測定した。なお、ガス供給装置22から供給される窒素ガスの酸素濃度は1ppm以下とした。また、試験中は流量調整弁26を開放とし排気弁28を全閉として、流出口18による雰囲気ガスの循環のみ行い排気口19からの雰囲気ガスの排気はない状態とした。試験後の炉体11内の酸素濃度は1000ppmであった。また、外部への窒素ガスの漏れ量は、検出されなかった。
10,110 熱処理炉、11 炉体、11a 処理空間、12 前端面、13 後端面、14,15 開口、16、17 ガス供給口、18 流出口、19 排気口、20 ヒーター、22,24 ガス供給装置、26 流量調整弁、28 排気弁、29,129 搬送路、30 第1搬送路、40 第2搬送路、50 第3搬送路、52 搬送口、60,160 上方空間形成部、62 外壁、63 上方空間、64a,64b 区画部材、65a〜65c 区画空間、70,170 下方空間形成部、72 外壁、73 下方空間、74a,74b 区画部材、75a〜75c 区画空間、76 吸引口、77,177 吸引装置、80 ワイヤーコンベア、81,81a〜81x ワイヤー、82 従動ローラー、83 駆動ローラー、84a,84b 支持ローラー、85,185 遮蔽板、86 上側遮蔽板、87 下側遮蔽板、87a 切り欠き部、88a〜88x 切り欠き部、89a〜89w 凸状部、90 コントローラー、96 被処理物、210 試験炉、D1,D2 線分。

Claims (4)

  1. 被処理物の熱処理を行う熱処理炉であって、
    内部で前記被処理物の熱処理を行う炉体と、
    前記被処理物を含む被搬送物を、外部と前記炉体との間で搬送する搬送路と、
    前記炉体内部に雰囲気ガスとして不活性ガスを供給するガス供給手段と、
    前記炉体内部の雰囲気を外気より高い温度にする加熱手段と、
    前記搬送路の鉛直上側に設けられ、鉛直下側に開口して該搬送路内に連通する上方空間を形成する上方空間形成部と、
    前記搬送路の鉛直下側に設けられ、鉛直上側に開口して該搬送路内に連通する下方空間を形成する下方空間形成部と、
    前記下方空間を吸引する下方空間吸引手段と、
    を備えた熱処理炉。
  2. 前記被搬送物の搬送方向に垂直且つ水平方向に平行な方向を左右方向として、前記被搬送物が前記搬送路を搬送される際の該搬送路の左端から前記被搬送物までの前記左右方向の隙間の大きさを左隙間幅WLとし、前記被搬送物が前記搬送路を搬送される際の該搬送路の右端から前記被搬送物までの前記左右方向の隙間の大きさを右隙間幅WRとしたときに、前記左隙間幅WLの最小値WLmin及び前記右隙間幅WRの最小値WRminがいずれも20mm以上30mm以下である、
    請求項1に記載の熱処理炉。
  3. 請求項1又は2に記載の熱処理炉であって、
    往路側と復路側とが共に外部から前記搬送路の外部開口面を通過して少なくとも該搬送路内まで配置されたリング状のワイヤーを複数有し、該複数のワイヤーにより前記搬送路内で前記被搬送物を搬送するワイヤーコンベア、
    を備え、
    前記被搬送物を搬送していない状態での、前記外部開口面における前記複数のワイヤーの各々の往路側と復路側との鉛直方向の距離V1は、20mm〜200mmである、
    熱処理炉。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱処理炉であって、
    往路側と復路側とが共に前記搬送路内に配置されたリング状のワイヤーを複数有し、該複数のワイヤーにより前記搬送路内で前記被搬送物を搬送するワイヤーコンベアと、
    前記搬送路内で前記複数のワイヤーのうち隣接するワイヤー間を前記ワイヤーコンベアの搬送方向に気体が流通することを抑制する流通抑制部材と、
    を備えた熱処理炉。
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