JP2015150899A - 油圧式パワーステアリング装置 - Google Patents

油圧式パワーステアリング装置 Download PDF

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酒巻 正彦
Masahiko Sakamaki
正彦 酒巻
圭亮 泉谷
Yoshiaki Izumitani
圭亮 泉谷
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Abstract

【課題】ラックエンド付近からの手放しが行われたときに、油圧制御バルブの実バルブ開度の変動を抑制できる油圧式パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】角度偏差演算部65は、バルブ開度指令値設定部63によって設定されたバルブ開度指令値θvとバルブ駆動用モータ15の実回転角θvとの偏差Δθvを演算する。PID制御部66は、角度偏差演算部65によって演算された角度偏差Δθvに対してPID演算を行って、電流指令値Iを演算する。PI制御部69は、モータ電流Iが電流指令値Iに近づくようにバルブ駆動用モータ15を制御する。制御応答性低下部74は、手放し判定部73によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定されたときに、PID制御部66の制御ゲインKp,Ki,Kdを減少補正する。
【選択図】図4

Description

この発明は、油圧式パワーステアリング装置に関する。
車両のステアリング機構に結合されたパワーシリンダに、油圧ポンプからの作動油を、油圧制御バルブを介して供給することによって、操舵力を補助する油圧式パワーステアリング装置が従来から知られている。一般的な油圧式パワーステアリング装置では、油圧制御バルブは、ステアリングホイール等の操舵部材にステアリングシャフトを介して機械的に連結されており、操舵部材の操作に応じて油圧制御バルブの開度が調節される。
下記特許文献1には、油圧制御バルブを操舵部材に機械的に連結せずに、電動モータ(バルブ駆動用モータ)によって油圧制御バルブの開度を制御する油圧式パワーステアリング装置が開示されている。特許文献1記載の油圧式パワーステアリング装置は、特許文献1の図2に示すように、アシストトルク指令値を設定するアシストトルク指令値設定部と、アシストトルク指令値に基いて油圧制御バルブのバルブ開度の目標値であるバルブ開度指令値を設定するバルブ開度指令値設定部と、油圧制御バルブの実バルブ開度がバルブ開度指令値と等しくなるようにバルブ駆動用モータを制御するフィードバック制御部とを含んでいる。
アシストトルク指令値設定部は、トルクセンサによって検出される操舵トルクと、車速センサによって検出される車速とに基いてアシストトルク指令値を設定する。アシストトルク指令値は、操舵トルクが大きく車速が小さいほど、その絶対値が大きな値となるように設定される。一般的には、トルクセンサによって検出される操舵トルクの位相を進めて系を安定化させるための位相補償部が設けられ、位相補償後の操舵トルク(位相補償後トルク)と車速とに基いてアシストトルク指令値が設定されることが多い。
特開2013−35447号公報 特開2006−306239号公報
特許文献1記載の油圧式パワーステアリング装置に前述の位相補償部が設けられ、位相補償後トルクと車速とに基いてアシストトルク指令値が設定される装置を、従来装置ということにする。従来装置において、ラック軸位置がラックエンド付近にある状態から操舵部材の手放し(以下、「ラックエンド付近からの手放し」という。)が行われると、操舵トルクが急変するので、バルブ開度指令値が急変する。これにより、実バルブ開度が中立位置付近で変動し、それにともなって作動油の油圧が変動するので、油圧制御バルブからパワーシリンダに作動油を供給するための配管(フィードチューブ)が振動する。これにより、異常音が発生する場合がある。
図11は、前記従来装置において、右操舵側のラックエンド付近からの手放しが行われたときの、トルクセンサによって検出される操舵トルク、位相補償後トルク、バルブ開度指令値、実バルブ開度および右フィードチューブ内の油圧(右フィード圧力)の変化を示すタイムチャートである。右フィードチューブは、右操舵時に作動油を油圧制御バルブ側からパワーシリンダ側に供給するためのフィードチューブである。
図11に示すように、右操舵側のラックエンド付近からの手放しが行われると、操舵トルク、位相補償後トルク、バルブ開度指令値、実バルブ開度および右フィード圧力が減少していく。操舵トルクの減少は滑らかではないため、位相補償後トルクが変動するようになり、これに伴って、バルブ開度指令値も変動するようになる。実バルブ開度が中立位置(0[deg])付近に達した後には、位相補償後操舵トルクおよびバルブ開度指令値の変動がさらに大きくなる。これにより、実バルブ開度が中立位置を中心として変動するようになり、右フィード圧力も変動するようになる。これにより、右フィードチューブが振動し、異常音が発生する。
この発明の目的は、ラックエンド付近からの手放しが行われたときに、油圧制御バルブの実バルブ開度の変動を抑制できる油圧式パワーステアリング装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、車両のステアリング機構(2)に結合されたパワーシリンダ(16)に、操舵部材(3)に機械的に連結されていない油圧制御バルブ(14)を介して、油圧ポンプ(23)からの作動油を供給することによって、操舵補助力を発生させる油圧式パワーステアリング装置(1)であって、前記油圧制御バルブの開度を制御するための電動モータ(15)と、前記電動モータの回転角の目標値である回転角指令値を設定する回転角指令値設定手段(63)と、前記電動モータの実回転角が、前記回転角指令値設定手段によって設定される回転角指令値に等しくなるように、前記電動モータを制御するモータ制御手段(65,66,76,77,78,79)と、ラックエンド付近からの手放し状態を検出する手放し検出手段(73)と、前記手放し検出手段によって前記ラックエンド付近からの手放し状態が検出されたときに、前記モータ制御手段の制御応答性を低下させる制御応答性低下手段(74,74A,74B,74C)と、を含む油圧式パワーステアリング装置である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
この発明では、ラックエンド付近からの手放し状態が検出されたときには、モータ制御手段の制御応答性が低下される。これにより、ラックエンド付近からの手放しが行われたときに、油圧制御バルブの実バルブ開度の変動を抑制できるので、作動油の油圧変動を抑制できる。これにより、フィードチューブの振動を抑制できるから、異常音の発生を抑制できる。
請求項2記載の発明は、前記モータ制御手段が、前記回転角指令値設定手段によって設定された回転角指令値と前記電動モータの実回転角との偏差に基いて、フィードバック操作量を演算するフィードバック操作量演算手段(66)と、前記フィードバック操作量演算手段によって演算されたフィードバック操作量に基いて、前記電動モータを制御する手段(68,69)とを含んでおり、前記制御応答性低下手段が、前記フィードバック操作量演算手段の制御ゲインを減少補正する手段(74,74A,74B,74C)を含んでいる、請求項1に記載の油圧式パワーステアリング装置である。
この構成では、ラックエンド付近からの手放し状態が検出されたときに、フィードバック操作量演算手段の制御ゲインが減少補正される。これにより、ラックエンド付近からの手放しが行われたときに、モータ制御手段の制御応答性が低下するので、油圧制御バルブの実バルブ開度の変動を抑制できる。
請求項3記載の発明は、前記モータ制御手段が、前記回転角指令値設定手段によって設定される回転角指令値と前記電動モータの実回転角との偏差に基いて、フィードバック操作量を演算するフィードバック操作量演算手段(66)と、前記回転角指令値設定手段によって設定される回転角指令値に基いて、フィードフォワード操作量を演算するフィードフォワード操作量演算手段(76)と、前記フィードバック操作量演算手段によって演算されるフィードバック操作量と前記フィードフォワード操作量演算手段によって演算されるフィードフォワード操作量とに基いて、前記電動モータを制御する手段(77,68,69)とを含んでおり、前記制御応答性低下手段は、前記フィードフォワード操作量を実質的に零にさせる手段(74A,74C)を含んでいる、請求項1に記載の油圧式パワーステアリング装置である。
この構成では、ラックエンド付近からの手放し状態が検出されたときに、フィードフォワード操作量が実質的に零にされる。これにより、ラックエンド付近からの手放しが行われたときに、モータ制御手段の制御応答性が低下するので、油圧制御バルブの実バルブ開度の変動を抑制できる。
請求項4記載の発明は、前記操舵部材に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(32)を含み、前記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクの微分値に応じたトルク微分制御量を演算するトルク微分制御量演算手段(78)と、前記トルク微分制御量演算手段によって演算されるトルク微分制御量を、前記回転角指令値設定手段によって設定される回転角指令値に加算する加算手段(79)と、前記加算手段によってトルク微分制御量が加算された後の回転角指令値と前記電動モータの実回転角との偏差に基いて、フィードバック操作量を演算するフィードバック操作量演算手段(66)と、前記フィードバック操作量演算手段によって演算されるフィードバック操作量に基いて、前記電動モータを制御する手段(68,69)とを含んでおり、前記制御応答性低下手段が、前記トルク微分制御量を実質的に零にさせる手段(74B,74C)を含んでいる、請求項1に記載の油圧式パワーステアリング装置である。
この構成では、ラックエンド付近からの手放し状態が検出されたときに、トルク微分制御量が実質的に零にされる。これにより、ラックエンド付近からの手放しが行われたときに、モータ制御手段の制御応答性が低下するので、油圧制御バルブの実バルブ開度の変動を抑制できる。
請求項5記載の発明は、前記操舵部材の回転角である操舵角を検出する操舵角検出手段(31)と、前記操舵部材に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(32)と、前記電動モータの回転角を検出する回転角検出手段(33,64)と、前記電動モータのロータ角速度を検出するロータ角速度検出手段(71)とを含み、前記手放し検出手段は、前記操舵角検出手段によって検出される操舵角の絶対値が第1の所定値以上であり、前記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクの絶対値が第2の所定値以上であり、前記ロータ角速度検出手段によって検出されるロータ角速度の絶対値が第3の所定値以上であり、前記ロータ角速度の符号と前記回転角検出手段によって検出される回転角の符号とが逆であるときに、前記ラックエンド付近からの手放し状態であると判定するように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の油圧式パワーステアリング装置である。
請求項6記載の発明は、前記操舵部材の回転角である操舵角を検出する操舵角検出手段(31)と、前記操舵部材に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(32)とを含み、前記手放し検出手段は、前記操舵角検出手段によって検出される操舵角の絶対値が第4の所定値以上であり、前記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクの絶対値が第5の所定値以上であり、前記操舵角の時間微分値である操舵角速度の絶対値が第6の所定値以上であり、前記操舵角速度の方向と前記操舵トルクの方向とが逆であるときに、前記ラックエンド付近からの手放し状態であると判定するように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の油圧式パワーステアリング装置である。
請求項7記載の発明は、前記電動モータの回転角を検出する回転角検出手段(33,64)を含み、前記制御応答性低下手段によって前記モータ制御手段の制御応答性が低下されている場合において、前記回転角検出手段によって検出される回転角の絶対値が第7の所定値以下である状態が第1の所定時間以上継続したときに、前記モータ制御手段の制御応答性を元の状態に戻す手段(75,75A,75B,75C)を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の油圧式パワーステアリング装置である。
請求項8記載の発明は、前記操舵部材の回転角である操舵角を検出する操舵角検出手段(31)と、前記操舵部材に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(32)とを含み、前記制御応答性低下手段によって前記モータ制御手段の制御応答性が低下されている場合において、前記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクの絶対値が第8の所定値以上であり、かつ前記操舵角検出手段によって検出される操舵角の時間微分値である操舵角速度の絶対値が第9の所定値以上であり、かつ前記回転角検出手段によって検出される回転角の絶対値が第10の所定値以下であり、かつ前記手放し検出手段によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定された時点から第2の所定時間以上の時間が経過しておりかつ前記手放し状態判定時点から前記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクの絶対値が第11の所定値以上である状態が現在まで継続しているときに、前記モータ制御手段の制御応答性を元の状態に戻す手段(75,75A,75B,75C)を含む、請求項7に記載の油圧式パワーステアリング装置である。
請求項9記載の発明は、前記手放し検出手段によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定された時点での操舵角の絶対値に対して、操舵角の絶対値が第12の所定値以上小さくなったときに、前記モータ制御手段の制御応答性を元の状態に戻す手段(75,75A,75B,75C)を含む、請求項8に記載の油圧式パワーステアリング装置である。
図1は、この発明の一実施形態に係る油圧式パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。 図2は、ポンプ駆動用モータ制御部の構成を示すブロック図である。 図3は、操舵角速度ωhに対するポンプ回転速度指令値Vpの設定例を示すグラフである。 図4は、バルブ駆動用モータ制御部の構成を示すブロック図である。 図5は、位相補償後トルクThに対するアシストトルク指令値Taの設定例を示すグラフである。 図6は、アシストトルク指令値Taに対するバルブ開度指令値θvの設定例を示すグラフである。 図7は、制御応答性変更部の動作を説明するためのフローチャートである。 図8は、バルブ駆動用モータ制御部の第1変形例を示すブロック図である。 図9は、バルブ駆動用モータ制御部の第2変形例を示すブロック図である。 図10は、バルブ駆動用モータ制御部の第3変形例を示すブロック図である。 図11は、従来装置において、右操舵側のラックエンド付近からの手放しが行われたときの、トルクセンサによって検出される操舵トルク、位相補償後トルク、バルブ開度指令値、実バルブ開度および右フィードチューブ内の油圧(右フィード圧力)の変化を示すタイムチャートである。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る油圧式パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
油圧式パワーステアリング装置1は、車両のステアリング機構2に操舵補助力を与えるためのものである。ステアリング機構2は、車両の操向のために運転者によって操作される操舵部材としてのステアリングホイール3と、このステアリングホイール3に連結されたステアリングシャフト4と、ステアリングシャフト4の先端部に連結され、ピニオンギア6を持つピニオンシャフト5と、ピニオンギア6に噛合するラック7aを有し、車両の左右方向に延びた転舵軸としてのラック軸7とを備えている。
ラック軸7の両端にはタイロッド8がそれぞれ連結されており、このタイロッド8は、それぞれ、左右の転舵輪9,10を支持するナックルアーム11に連結されている。ナックルアーム11は、キングピン12まわりに回動可能に設けられている。
ステアリングホイール3が操作されてステアリングシャフト4が回転されると、この回転が、ピニオンギア6およびラック7aによって、ラック軸7の軸方向に沿う直線運動に変換される。この直線運動は、ナックルアーム11のキングピン12まわりの回転運動に変換され、これにより、左右の転舵輪9,10が転舵される。
ステアリングシャフト4の周囲には、ステアリングシャフト4の回転角である操舵角θhを検出するための舵角センサ31が配置されている。この実施形態では、舵角センサ31は、ステアリングシャフト4の中立位置(操舵中立位置)からのステアリングシャフト4の正逆両方向の回転量(回転角)を検出するものであり、操舵中立位置から右方向への回転量を例えば正の値として出力し、操舵中立位置から左方向への回転量を例えば負の値として出力する。ピニオンシャフト5には、操舵トルクThを検出するためのトルクセンサ32が設けられている。
油圧式パワーステアリング装置1は、油圧制御バルブ14、パワーシリンダ16および油圧ポンプ23を含んでいる。油圧制御バルブ14は、例えばロータリバルブであり、ロータハウジング(図示略)と作動油の流通方向を切り替えるためのロータ(図示略)とを備えている。油圧制御バルブ14のロータが電動モータ15(以下「バルブ駆動用モータ15」という)によって回転されることにより、油圧制御バルブ14の開度が制御される。バルブ駆動用モータ15は、例えば三相ブラシレスモータからなる。バルブ駆動用モータ15の近傍には、バルブ駆動用モータ15のロータの回転角(実回転角θv)を検出するための、例えばレゾルバからなる回転角センサ33が配置されている。
油圧制御バルブ14は、ステアリング機構2に操舵補助力を与えるパワーシリンダ16に接続されている。パワーシリンダ16は、ステアリング機構2に結合されている。具体的には、パワーシリンダ16は、ラック軸7に一体に設けられたピストン17と、このピストン17によって区画された一対のシリンダ室18,19とを有しており、シリンダ室18,19は、それぞれ、対応する油路(フィードチューブ)20,21を介して、油圧制御バルブ14に接続されている。
油圧制御バルブ14は、リザーバタンク22および操舵補助力発生用の油圧ポンプ23を通る油循環路24の途中部に介装されている。油圧ポンプ23は、例えば、ギヤポンプからなり、電動モータ25(以下、「ポンプ駆動用モータ25」という)によって駆動され、リザーバタンク22に貯留されている作動油をくみ出して油圧制御バルブ14に供給する。余剰分の作動油は、油圧制御バルブ14から油循環路24を介してリザーバタンク22に帰還される。
ポンプ駆動用モータ25は、一方向に回転駆動されて、油圧ポンプ23を駆動するものである。具体的には、ポンプ駆動用モータ25は、その出力軸が油圧ポンプ23の入力軸に連結されており、ポンプ駆動用モータ25の出力軸が回転することで、油圧ポンプ23の入力軸が回転して油圧ポンプ23の駆動が達成される。ポンプ駆動用モータ25は、例えば三相ブラシレスモータからなる。ポンプ駆動用モータ25の近傍には、ポンプ駆動用モータ25のロータの回転角を検出するための、例えばレゾルバからなる回転角センサ34が配置されている。
油圧制御バルブ14は、バルブ駆動用モータ15によって油圧制御バルブ14のロータが基準回転角度位置(バルブ開度中立位置)から一方の方向に回転された場合には、油路20,21のうちの一方を介してパワーシリンダ16のシリンダ室18,19のうちの一方に作動油を供給するとともに、他方の作動油をリザーバタンク22に戻す。また、バルブ駆動用モータ15によって油圧制御バルブ14のロータがバルブ開度中立位置から他方の方向に回転された場合には、油路20,21のうちの他方を介してシリンダ室18,19のうちの他方に作動油を供給するとともに、一方の作動油をリザーバタンク22に戻す。
油圧制御バルブ14のロータがバルブ開度中立位置にある場合には、油圧制御バルブ14は、いわば平衡状態となり、パワーシリンダ16の両シリンダ室18,19は等圧に維持され、作動油は油循環路24を循環する。バルブ駆動用モータ15によって油圧制御バルブ14のロータが回転されると、パワーシリンダ16のシリンダ室18,19のいずれかに作動油が供給され、ピストン17が車幅方向(車両の左右方向)に沿って移動する。これにより、ラック軸7に操舵補助力が作用することになる。
舵角センサ31によって検出される操舵角θh、トルクセンサ32によって検出される操舵トルクTh、回転角センサ33の出力信号、回転角センサ34の出力信号、車速センサ35によって検出される車速Sp、バルブ駆動用モータ15に流れる電流を検出するための電流センサ36の出力信号は、コンピュータにより構成される制御装置40にそれぞれ入力される。制御装置40は、駆動回路41を介してバルブ駆動用モータ15を制御するともに、駆動回路42を介してポンプ駆動用モータ25を制御する。
制御装置40は、バルブ駆動用モータ15の駆動回路41を制御するためのバルブ駆動用モータ制御部43と、ポンプ駆動用モータ25を制御するためのポンプ駆動用モータ制御部44とを含んでいる。
図2は、ポンプ駆動用モータ制御部44の構成を示すブロック図である。
ポンプ駆動用モータ制御部44は、舵角センサ31によって検出される操舵角θh、車速センサ35によって検出される車速Spおよび回転角センサ34の出力信号に基いて、ポンプ駆動用モータ25の回転速度を制御する。つまり、ポンプ駆動用モータ制御部44は、ポンプ駆動用モータ25に対して回転角制御を行う。
ポンプ駆動用モータ制御部44は、ソフトウエア処理によって実現される機能実現手段として、操舵角速度演算部51と、ポンプ回転速度指令値設定部52と、回転角演算部53と、回転速度演算部54と、速度偏差演算部55と、PI制御部56と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部57とを含んでいる。
操舵角速度演算部51は、舵角センサ31の出力値を時間微分することによって、操舵角速度ωhを演算する。ポンプ回転速度指令値設定部52は、操舵角速度演算部51によって演算される操舵角速度ωhと車速センサ35によって検出される車速Spとに基いて、油圧ポンプ23の回転速度の指令値(ポンプ駆動用モータ25の回転速度の指令値)であるポンプ回転速度指令値(モータ回転速度指令値)Vpを設定する。
具体的には、ポンプ回転速度指令値設定部52は、車速毎に操舵角速度とポンプ回転速度指令値との関係を記憶したマップに基いてポンプ回転速度指令値Vpを設定する。図3は、操舵角速度ωhに対するポンプ回転速度指令値Vpの設定例を示すグラフである。ポンプ回転速度指令値Vpは、操舵角速度が0のときに所定の下限値をとり、操舵角速度の増加に応じて単調に増加するように設定されている。また、ポンプ回転速度指令値Vpは、車速センサ35によって検出される車速Spが大きいほど、その値が小さくなるように設定されている。
回転角演算部53は、回転角センサ34の出力信号に基いて、ポンプ駆動用モータ25の回転角θpを演算する。回転速度演算部54は、回転角演算部53によって演算されるポンプ駆動用モータ25の回転角θpに基いて、ポンプ駆動用モータ25の回転速度Vpを演算する。速度偏差演算部55は、ポンプ回転速度指令値設定部52によって設定されたポンプ回転速度指令値Vpと回転速度演算部54によって演算されたポンプ駆動用モータ25の回転速度Vpとの偏差ΔVp(=Vp−Vp)を演算する。
PI制御部56は、速度偏差演算部55によって演算された速度偏差ΔVpに対してPI演算を行なう。すなわち、速度偏差演算部55およびPI制御部56によって、ポンプ駆動用モータ25の回転速度Vpをポンプ回転速度指令値Vpに導くための速度フィードバック制御手段が構成されている。PI制御部56は、速度偏差ΔVpに対してPI演算を行なうことで、ポンプ駆動用モータ25に印加すべき電圧指令値を演算する。
PWM制御部57は、PI制御部56によって演算された電圧指令値と、回転角演算部53によって演算されたポンプ駆動用モータ25の回転角θpとに基いて、駆動信号を生成して、駆動回路42に供給する。これにより、駆動回路42から、PI制御部56によって演算された電圧指令値に応じた電圧がポンプ駆動用モータ25に印加される。
なお、ポンプ駆動用モータ制御部44は、ポンプ駆動用モータ25の回転速度が予め定められた所定速度となるように駆動回路42を制御してもよい。
図4は、バルブ駆動用モータ制御部43の構成を示すブロック図である。
バルブ駆動用モータ制御部43は、トルクセンサ32によって検出される操舵トルクTh、車速センサ35によって検出される車速Sp、舵角センサ31によって検出される操舵角θhおよび回転角センサ33の出力信号に基いて、油圧制御バルブ14の開度(バルブ駆動用モータ15の回転角)を制御する。つまり、バルブ駆動用モータ制御部43は、バルブ駆動用モータ15に対して回転角制御を行う。
バルブ駆動用モータ制御部43は、ソフトウエア処理によって実現される機能実現手段として、操舵角速度演算部60と、位相補償部61と、アシストトルク指令値設定部62と、バルブ開度指令値設定部63と、回転角演算部64と、角度偏差演算部65と、PID(比例積分微分)制御部66と、モータ電流演算部67と、電流偏差演算部68と、PI(比例積分)制御部69と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部70と、ロータ角速度演算部71と、制御応答性変更部72とを含んでいる。PID制御部66は、フィードバック制御のための操作量(フィードバック操作量)を演算するフィードバック操作量演算手段を構成している。
位相補償部61は、トルクセンサ32によって検出される操舵トルクの位相を進めて系を安定化させるための処理を行うものである。この位相補償部61によって位相補償された操舵トルク(以下、「位相補償後トルクTh」という。)と、車速センサ35によって検出される車速Spとがアシストトルク指令値設定部62に与えられるようになっている。
アシストトルク指令値設定部62は、位相補償後トルクThと車速センサ35によって検出される車速Spとに基いて、パワーシリンダ16によって発生させるべきアシストトルクの指令値であるアシストトルク指令値Ta[N・m]を設定する。具体的には、アシストトルク指令値設定部62は、車速毎に位相補償後トルクとアシストトルク指令値との関係を記憶したマップに基いて、アシストトルク指令値Taを設定する。図5は、位相補償後トルクThに対するアシストトルク指令値Taの設定例を示すグラフである。
位相補償後トルクThは、例えば右方向への操舵のためのトルクが正の値にとられ、左方向への操舵のためのトルクが負の値にとられている。また、アシストトルク指令値Taは、パワーシリンダ16によって右方向操舵ためのアシストトルクを発生させるときには正の値とされ、パワーシリンダ16によって左方向操舵ためのアシストトルクを発生させるときには負の値とされる。
アシストトルク指令値Taは、位相補償後トルクThの正の値に対しては正の値をとり、位相補償後トルクThの負の値に対しては負の値をとる。位相補償後トルクThが−T1〜T1の範囲の微小な値のときには、アシストトルクは零とされる。そして、位相補償後トルクThが−T1〜T1の範囲以外の領域においては、アシストトルク指令値Taは、位相補償後トルクThの絶対値が大きくなるほど、その絶対値が大きくなるように設定されている。また、アシストトルク指令値Taは、車速センサ35によって検出される車速Spが大きいほど、その絶対値が小さくなるように設定されている。
バルブ開度指令値設定部63は、アシストトルク指令値設定部62によって設定されたアシストトルク指令値Taに基いて、油圧制御バルブ14の開度の目標値(バルブ駆動用モータ15の回転角の目標値)であるバルブ開度指令値(回転角指令値)θv[deg]を設定する。この例では、油圧制御バルブ14のロータがバルブ開度中立位置にあるときのバルブ駆動用モータ15の回転角を0°とする。油圧制御バルブ14のロータの回転角度範囲は、バルブ開度中立位置を中心として、機械角で±3[deg]程度である。
バルブ駆動用モータ15の回転角(実バルブ開度)が0°より大きくなると、パワーシリンダ16によって右方向操舵のためのアシストトルクが発生するように、油圧制御バルブ14の開度が制御されるものとする。一方、バルブ駆動用モータ15の回転角が0°より小さくなると、パワーシリンダ16によって左方向操舵のためのアシストトルクが発生するように、油圧制御バルブ14の開度が制御されるものとする。なお、バルブ駆動用モータ15の回転角の絶対値が大きくなるほど、パワーシリンダ16によって発生するアシストトルクの絶対値は大きくなる。
バルブ開度指令値設定部63は、アシストトルク指令値Taとバルブ開度指令値θvとの関係を記憶したマップに基いて、バルブ開度指令値θvを設定する。図6は、アシストトルク指令値Taに対するバルブ開度指令値θvの設定例を示すグラフである。バルブ開度指令値θvは、アシストトルク指令値Taの正の値に対しては正の値をとり、アシストトルク指令値Taの負の値に対しては負の値をとる。バルブ開度指令値θvは、アシストトルク指令値Taの絶対値が大きくなるほど、その絶対値が大きくなるように設定されている。
回転角演算部64は、回転角センサ33の出力信号に基いて、バルブ駆動用モータ15の実回転角(実バルブ開度)θvを演算する。角度偏差演算部65は、バルブ開度指令値設定部63によって設定されたバルブ開度指令値θvと回転角演算部64によって演算されたバルブ駆動用モータ15の実回転角θvとの偏差Δθv(=θv−θv)を演算する。
PID制御部66は、角度偏差演算部65によって演算された角度偏差Δθvに対してPID演算(比例積分微分演算)を行って、フィードバック操作量を演算する。具体的には、PID制御部66は、比例要素81と、積分要素82と、微分要素83と、第1加算器84と、第2加算器85とを備えている。ただし、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲイン、1/Zは入力信号を1演算周期遅延させて出力するための遅延素子の伝達関数、Kdは微分ゲイン、LPFはローパスフィルタである。
比例要素81は、角度偏差演算部65によって演算された角度偏差Δθvに対して比例演算を行うことによって、比例動作の操作量(比例項。以下、「比例操作量」という。)を演算する。具体的には、比例要素81は、角度偏差Δθvに比例ゲインKpを乗ずることによって、比例操作量を演算する。
積分要素82は、角度偏差Δθvに対して積分演算を行うことによって、積分動作の操作量(積分項。以下、「積分操作量」という。)を演算する。具体的には、積分要素82は、角度偏差Δθvに積分ゲインKiを乗じた値に、前回の積分操作量を加算することにより、今回の積分操作量を求める。
比例要素81によって演算された比例操作量と積分要素82によって演算された積分操作量とは、第1加算器84に与えられる。第1加算器84は、比例操作量と積分操作量とを加算する。第1加算器84の加算結果は、第2加算器85に与えられる。
微分要素83は、角度偏差Δθvに対して微分演算を行うことによって、微分動作の操作量(微分項。以下、「微分操作量」という。)を演算する。具体的には、微分要素83は、第1のLPF83aと、減算器83bと、第2のLPF83cと、乗算器83dとを含む。第1のLPF83aは、角度偏差演算部65によって演算された角度偏差Δθvの低周波数成分を抽出する。減算器83bは、角度偏差演算部65によって演算された角度偏差Δθvから、第1のLPF83aによって抽出された低周波数成分を除去する。これにより、角度偏差Δθvの高周波数成分が抽出される。つまり、角度偏差Δθvの微分値(以下、「角度偏差微分値」という。)が演算される。第2のLPF83cは、角度偏差微分値の高周波成分を除去する。乗算器83dは、高周波成分が除去された後の角度偏差微分値に微分ゲインKdを乗じることにより、微分操作量を演算する。微分要素83によって演算された微分操作量は、第2加算器85に与えられる。第2加算器85は、PID制御部66内の第1加算器84の加算結果(比例操作量と積分操作量と和)に、PID制御部66内の微分要素83によって演算された微分操作量を加算することにより、電流指令値Iを演算する。比例操作量と積分操作量と微分操作量の総和が、PID制御部66によって演算されるフィードバック操作量である。
角度偏差演算部65およびPID制御部66によって、バルブ駆動用モータ15の実回転角θvを、バルブ開度指令値θvに導くための回転角フィードバック制御手段が構成されている。
モータ電流演算部67は、電流センサ36の出力信号に基いて、バルブ駆動用モータ15に流れるモータ電流を演算する。電流偏差演算部68は、PID制御部66によって演算された電流指令値Iと、モータ電流演算部67によって演算されたモータ電流(実電流)Iとの偏差ΔI(=I−I)を演算する。PI制御部69は、電流偏差演算部68によって演算された電流偏差ΔIに対してPI演算を行なう。すなわち、電流偏差演算部68およびPI制御部69によって、バルブ駆動用モータ15に流れるモータ電流を電流指令値に導くための電流フィードバック制御手段が構成されている。PI制御部69は、電流偏差に対してPI演算を行なうことで、バルブ駆動用モータ15に印加すべき電圧指令値を演算する。
PWM制御部70は、PI制御部69によって演算された電圧指令値と、回転角演算部64によって演算されたバルブ駆動用モータ15の実回転角θvとに基いて、駆動信号を生成して、駆動回路41に供給する。これにより、駆動回路41から、PI制御部69によって演算された電圧指令値に応じた電圧がバルブ駆動用モータ15に印加される。
操舵角速度演算部60は、舵角センサ31の出力値を時間微分することによって、操舵角速度ωhを演算する。ロータ角速度演算部71は、回転角演算部64によって演算されるバルブ駆動用モータ15の実回転角θvを時間微分することによって、バルブ駆動用モータ15のロータ角速度ωvを演算する。
制御応答性変更部72は、ラック軸7の位置がラックエンド付近にある状態から、ステアリングホイール3の手放し(ラックエンド付近からの手放し)が行われたときに、バルブ駆動用モータ制御部43の制御応答性を低下させるものである。制御応答性変更部72は、手放し判定部73と、制御応答性低下部74と、制御応答性復帰部75とを含んでいる。
手放し判定部73は、舵角センサ31によって検出される操舵角θh、トルクセンサ32によって検出される操舵トルクTh、回転角演算部64によって演算されるバルブ駆動用モータ15の実回転角(実バルブ開度)θvおよびロータ角速度演算部71によって演算されるロータ角速度(バルブ開度の角速度)ωvに基いて、ラックエンド付近からの手放し状態であるか否かを判定する。
具体的には、操舵角θhの絶対値が所定の閾値A(A>0)以上であり、かつ操舵トルクThの絶対値が所定の閾値B(B>0)以上であり、かつロータ角速度ωvの絶対値が所定の閾値C(C>0)以上であり、かつロータ角速度ωvの符号と実回転角θvの符号とが逆であるときに、手放し判定部73は、ラックエンド付近からの手放し状態であると判定する。たとえば、「θh≧A」かつ「Th≧B」かつ「ωv≦−C」かつ「θv>0」の条件が成立しているとき、または「θh≦−A」かつ「Th≦−B」かつ「ωv≧C」かつ「θv<0」の条件が成立しているときに、手放し判定部73は、ラックエンド付近からの手放し状態であると判定してもよい。
閾値Aは、たとえば、540[deg]に設定される。閾値Bは、たとえば、3[Nm]に設定される。閾値Cは、たとえば、1[deg/s]に設定される。
また、操舵角θhの絶対値が所定の閾値A(A>0)以上であり、かつ操舵トルクThの絶対値が所定の閾値B(B>0)以上であり、かつロータ角速度ωvの絶対値が所定の閾値C(C>0)以上であり、かつ実回転角θvの絶対値が所定の閾値D(D>0)以上であり、かつロータ角速度ωvの符号と実回転角θvの符号とが逆であるときに、手放し判定部73は、ラックエンド付近からの手放し状態であると判定してもよい。たとえば、「θh≧A」かつ「Th≧B」かつ「θv≧D」かつ「ωv≦−C」の条件が成立しているとき、または「θh≦−A」かつ「Th≦−B」かつ「θv≦−D」かつ「ωv≧C」の条件が成立しているときに、手放し判定部73は、ラックエンド付近からの手放し状態であると判定してもよい。閾値Dは、たとえば、3[deg]に設定される。
また、手放し判定部73は、舵角センサ31によって検出される操舵角θh、トルクセンサ32によって検出される操舵トルクThおよび操舵角θhの時間微分値である操舵角速度ωhに基いて、ラックエンド付近からの手放し状態であるか否かを判定してもよい。具体的には、操舵角の絶対値が所定の閾値E(E>0)以上であり、かつ操舵トルクThの絶対値が所定の閾値F(F>0)以上であり、かつ操舵角速度ωhの絶対値が所定の閾値G(G>0)以上であり、かつ操舵角速度ωhの方向と操舵トルクThの方向とが逆(ωhとThの符号が逆)であるときに、手放し判定部73は、ラックエンド付近からの手放し状態であると判定してもよい。たとえば、「θh≧E」かつ「Th≧F」かつ「ωh≦−G」の条件が成立しているとき、または「θh≦−E」かつ「Th≦−F」かつ「ωh≧G」の条件が成立しているときに、手放し判定部73は、ラックエンド付近からの手放し状態であると判定してもよい。
閾値Eは、たとえば、540[deg]に設定される。閾値Fは、たとえば、3[Nm]に設定される。閾値Gは、たとえば、10[deg/s]に設定される。
制御応答性低下部74は、手放し判定部73によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定されたときに、PID制御部66の制御ゲイン(比例ゲインKp、積分ゲインKiおよび微分ゲインKd)を減少補正する。これにより、バルブ駆動用モータ制御部43による回転角制御の応答性が低下される。これにより、ラックエンド付近からの手放しが行われたときに、油圧制御バルブ14の実バルブ開度θvの変動を抑制できるので、作動油の油圧変動を抑制できる。これにより、フィードチューブ(20,21)の振動を抑制できるから、異常音の発生を抑制できる。
以下において、制御応答性低下部74によって回転角制御の応答性が低下されているときの制御モードを応答性低下モードといい、回転角制御の応答性が低下されていないときの制御モードを通常モードという場合がある。
制御応答性復帰部75は、応答性低下モード時において、所定の制御応答性復帰条件が満たされたときに、制御応答性低下状態を解除して制御モードを通常モードに戻す。所定の制御応答性復帰条件は、たとえば、以下に示す第1条件または第2条件または第3条件を満たしたときに、満たされたことになる。言い換えれば、以下に示す第1条件、第2条件および第3条件のいずれかを満たしたときに、制御応答性復帰条件が満たされたことになる。
第1条件:バルブ駆動用モータ15の実回転角(実バルブ開度)θvの絶対値が所定の閾値H(H>0)以下である状態が所定時間J(J>0)以上継続したこと。閾値Hは、たとえば、0.2[deg]に設定される。所定時間Jは、たとえば、0.01[s]に設定される。
第2条件:操舵トルクThの絶対値が所定の閾値K(K>0)以上であり、かつ操舵角速度ωhの絶対値が所定の閾値L(L>0)以上であり、かつ実バルブ開度θvの絶対値が所定値M(M>0)以下であり、かつ手放し判定部73によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定された時点から所定時間N(N>0)以上の時間が経過しておりかつ前記手放し状態判定時点から操舵トルクThの絶対値が所定の閾値P(P>0)以上である状態が現在まで継続していること。
閾値Kは、たとえば、3[Nm]に設定される。閾値Lは、たとえば、1[deg/s]に設定される。閾値Mは、たとえば、2[deg]に設定される。所定時間Nは、たとえば、0.2[s]に設定される。閾値Pは、たとえば、5[Nm]に設定される。
第3条件:手放し判定部73によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定された時点での操舵角θhの絶対値に対して、操舵角θhの絶対値が所定の閾値Q(Q>0)以上小さくなったこと。閾値Qは、たとえば、30[deg]に設定される。
なお、前記第2条件は、ラックエンド付近からの手放し状態であると判定された後に、操舵角θhが操舵中立位置に向かって少し(前記閾値Q未満)だけ戻ってから再切り込みが行われたときに、制御応答性低下状態を解除するために設定された条件である。
この実施形態では、制御応答性復帰部75は、応答性低下モード時において、前記制御応答性復帰条件が満たされたときに、PID制御部66の制御ゲイン(比例ゲインKp、積分ゲインKiおよび微分ゲインKd)を初期設定値に戻す。
図7は、制御応答性変更部72の動作を説明するためのフローチャートである。図7の処理は、所定の演算周期毎に繰り返し実行される。
制御応答性変更部72は、モードフラグFがリセット(F=0)されているか否かを判別する(ステップS1)。モードフラグFは、制御モードを記憶するためのフラグであり、制御モードが応答性低下モードから通常モードに変更されたときにリセット(F=0)され、制御モードが通常モードから応答性低下モードに変更されたときにセット(F=1)される。モードフラグFの初期値は0である。
モードフラグFがリセット(F=0)されている場合には(ステップS1:YES)、つまり制御モードが通常モードである場合には、制御応答性変更部72は、ラックエンド付近からの手放し状態であるか否かを判定する(ステップS2)。この判定は、手放し判定部73によって行われる。ラックエンド付近からの手放し状態ではないと判定された場合には(ステップS2:NO)、制御応答性変更部72は、今演算周期での処理を終了する。
前記ステップS2において、ラックエンド付近からの手放し状態であると判定された場合には(ステップS2:YES)、制御応答性変更部72は、制御応答性低下処理を行う(ステップS3)。この実施形態では、制御応答性変更部72は、PID制御部66の制御ゲイン(比例ゲインKp、積分ゲインKiおよび微分ゲインKd)を減少補正する。この制御応答性低下処理は、制御応答性低下部74によって行われる。これにより、制御モードが応答性低下モードになる。
この後、制御応答性変更部72は、モードフラグFをセット(F=1)する(ステップS4)。そして、制御応答性変更部72は、今演算周期での処理を終了する。
前記ステップS1において、モードフラグFがセット(F=1)されていると判別された場合には(ステップS1:NO)、制御応答性変更部72は、制御応答性復帰条件を満たしているか否かを判別する(ステップS5)。この判別は、制御応答性復帰部75によって行われる。
制御応答性復帰条件を満たしていないと判別された場合には(ステップS5:NO)、制御応答性変更部72は、今演算周期での処理を終了する。
前記ステップS5において、制御応答性復帰条件を満たしていると判別された場合には(ステップS5:YES)、制御応答性変更部72は、制御応答性低下状態を解除して、制御モードを通常モードに戻すための制御応答性復帰処理を行う(ステップS6)。この実施形態では、制御応答性変更部72は、PID制御部66の制御ゲイン(比例ゲインKp、積分ゲインKiおよび微分ゲインKd)を初期設定値に戻す。この処理は、制御応答性復帰部75によって行われる。
この後、制御応答性変更部72は、モードフラグFをリセット(F=0)する(ステップS7)。そして、制御応答性変更部72は、今演算周期での処理を終了する。
図8は、バルブ駆動用モータ制御部の第1変形例を示すブロック図である。図8において、前述の図4の各部に対応する部分には図4と同じ符号を付して示す。
このバルブ駆動用モータ制御部43Aでは、図4のバルブ駆動用モータ制御部43に比べて、FF(フィードフォワード)制御部76および第3加算器77が追加されている。また、このバルブ駆動用モータ制御部43Aでは、図4のバルブ駆動用モータ制御部43に比べて、制御応答性変更部72Aの動作が異なっている。その他の点は、図4のバルブ駆動用モータ制御部43と同じである。
FF制御部76は、フィードフォワード制御のための操作量(フィードフォワード操作量)を演算するフィードバック操作量演算手段を構成している。FF制御部76は、回転角制御の応答性を高めることにより、バルブ開度指令値θvが周期的に変化しているような場合において、バルブ開度指令値θvの振幅が小さいときの応答性を改善するために設けられている。
FF制御部76は、バルブ開度指令値設定部63によって設定されたバルブ開度指令値θvに基いてフィードフォワード操作量を演算する。具体的には、FF制御部76は、バルブ開度指令値θvの微分値に応じたフィードフォワード操作量を演算する。より具体的には、FF制御部76は、第1のLPF91と、減算器92と、第2のLPF93と、乗算器94と、リミッタ95とを含む。
第1のLPF91は、バルブ開度指令値設定部63によって設定されたバルブ開度指令値θvの低周波数成分を抽出する。減算器92は、バルブ開度指令値設定部63によって設定されたバルブ開度指令値θvから、第1のLPF91によって抽出された低周波数成分を除去する。これにより、バルブ開度指令値θvの高周波数成分が抽出される。つまり、バルブ開度指令値θvの微分値(以下、「角度指令微分値」という。)が演算される。
第2のLPF93は、角度指令微分値の高周波成分を除去する。乗算器94は、高周波成分が除去された後の角度指令微分値に所定のゲインKffを乗じることにより、フィードフォワード操作量を演算する。リミッタ95は、乗算器94によって演算されたフィードフォワード操作量の絶対値を予め定められた制限値以下に制限する。これは、フィードフォワード操作量が大きくなりすぎるのを防止するためである。リミッタ95による制限処理後のフィードフォワード操作量は、第3加算器77に与えられる。
第3加算器77は、PID制御部66によって演算されるフィードバック操作量に、FF制御部76によって演算されるフィードフォワード操作量を加算することにより、電流指令値Iを演算する。この電流指令値Iが、電流偏差演算部68に与えられる。
制御応答性変更部72Aは、手放し判定部73と、制御応答性低下部74Aと、制御応答性復帰部75Aとを含んでいる。手放し判定部73の動作は、図4の制御応答性変更部72の手放し判定部73の動作と同じである。
制御応答性低下部74Aは、手放し判定部73によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定されたときに、フィードフォワード操作量を実質的に零にするような制御を行うとともに、PID制御部66の制御ゲイン(比例ゲインKp、積分ゲインKiおよび微分ゲインKd(図4参照))を減少補正する。フィードフォワード操作量を実質的に零にするためには、たとえば、FF制御部76の動作を停止させるか、FF制御部76によって演算されるフィードフォワード操作量を第3加算器77に与えないようにすればよい。フィードフォワード操作量が実質的に零にされた場合には、PID制御部66によって演算されるフィードバック操作量に応じた電流指令値Iが、電流偏差演算部68に与えられるようになる。これにより、バルブ駆動用モータ制御部43Aによる回転角制御の応答性が低下される。これにより、ラックエンド付近からの手放しが行われたときに、油圧制御バルブ14の実バルブ開度θvの変動を抑制できるので、作動油の油圧変動を抑制できる。これにより、フィードチューブ(20,21)の振動を抑制できるから、異常音の発生を抑制できる。
制御応答性復帰部75Aは、応答性低下モード時において、所定の制御応答性復帰条件が満たされたときに、フィードフォワード操作量を実質的に零にするための制御を解除させるとともに、PID制御部66の制御ゲイン(比例ゲインKp、積分ゲインKiおよび微分ゲインKd)を初期設定値に戻す。制御応答性復帰条件は、たとえば、前述した制御応答性復帰条件と同じである。
制御応答性低下部74Aは、手放し判定部73によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定されたときに、PID制御部66の制御ゲインを減少補正することなく、フィードフォワード操作量を実質的に零にするような制御のみを行うようにしてもよい。この場合には、制御応答性復帰部75Aは、応答性低下モード時において、所定の制御応答性復帰条件が満たされたときに、フィードフォワード操作量を実質的に零にするような制御を解除すればよい。
制御応答性変更部72Aによる全体的な処理手順は、前述の図7に示される処理手順と同様である。ただし、図7のステップS3においては、制御応答性変更部72Aは、フィードフォワード操作量を実質的に零にするような制御を行うとともに、PID制御部66の制御ゲインを減少補正する。また、図7のステップS6においては、制御応答性変更部72Aは、フィードフォワード操作量を実質的に零にするような制御を解除するとともに、PID制御部66の制御ゲインを初期設定値に戻す。
なお、図7のステップS3において、制御応答性変更部72Aは、PID制御部66の制御ゲインを減少補正させることなく、フィードフォワード操作量を実質的に零にするような制御のみを行うようにしてもよい。この場合には、図7のステップS6において、制御応答性変更部72Aは、フィードフォワード操作量を実質的に零にするような制御を解除すればよい。
図9は、バルブ駆動用モータ制御部の第2変形例を示すブロック図である。図9において、前述の図4の各部に対応する部分には図4と同じ符号を付して示す。
このバルブ駆動用モータ制御部43Bでは、図4のバルブ駆動用モータ制御部43に比べて、トルク微分制御量演算部78および第4加算器79が追加されている。また、このバルブ駆動用モータ制御部43Bでは、図4のバルブ駆動用モータ制御部43に比べて、制御応答性変更部72Bの動作が異なっている。その他の点は、図4のバルブ駆動用モータ制御部43と同じである。
トルク微分制御量演算部78は、トルクセンサ32によって検出される操舵トルクThの微分値に応じたトルク微分制御量を演算する。第4加算器79は、バルブ開度指令値設定部63によって設定されるバルブ開度指令値θvに、トルク微分制御量演算部78によって演算されるトルク微分制御量を加算する。トルク微分制御量が加算された後のバルブ開度指令値が、角度偏差演算部65に与えられる。トルク微分制御量演算部78は、操舵トルク変化に対する回転角制御の応答性を高めるために設けられたものである。
PID制御部66は、トルク微分制御量が加算された後のバルブ開度指令値と回転角演算部によって演算される実回転角θvとの偏差Δθvに基いてフィードバック操作量を演算する。電流偏差演算部68には、PID制御部66によって演算されるフィードバック操作量に応じた電流指令値Iが与えられる。
制御応答性変更部72Bは、手放し判定部73と、制御応答性低下部74Bと、制御応答性復帰部75Bとを含んでいる。手放し判定部73の動作は、図4の制御応答性変更部72の手放し判定部73の動作と同じである。
制御応答性低下部74Bは、手放し判定部73によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定されたときに、トルク微分制御量を実質的に零にするような制御を行うとともに、PID制御部66の制御ゲイン(比例ゲインKp、積分ゲインKiおよび微分ゲインKd(図4参照))を減少補正する。トルク微分制御量を実質的に零にするためには、たとえば、トルク微分制御量演算部78の動作を停止させるか、トルク微分制御量演算部78によって演算されるトルク微分制御量を第4加算器79に与えないようにすればよい。
トルク微分制御量が実質的に零にされた場合には、バルブ開度指令値設定部63によって設定されるバルブ開度指令値θvが、角度偏差演算部65に与えられるようになる。したがって、この場合には、PID制御部66は、バルブ開度指令値設定部63によって設定されるバルブ開度指令値θvと回転角演算部によって演算される実回転角θvとの偏差に基いてフィードバック操作量を演算するようになる。これにより、バルブ駆動用モータ制御部43Bによる回転角制御の応答性が低下される。これにより、ラックエンド付近からの手放しが行われたときに、油圧制御バルブ14の実バルブ開度θvの変動を抑制できるので、作動油の油圧変動を抑制できる。これにより、フィードチューブ(20,21)の振動を抑制できるから、異常音の発生を抑制できる。
制御応答性復帰部75Bは、応答性低下モード時において、所定の制御応答性復帰条件が満たされたときに、トルク微分制御量を実質的に零にするための制御を解除させるとともに、PID制御部66の制御ゲイン(比例ゲインKp、積分ゲインKiおよび微分ゲインKd)を初期設定値に戻す。制御応答性復帰条件は、たとえば、前述した制御応答性復帰条件と同じである。
制御応答性低下部74Bは、手放し判定部73によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定されたときに、PID制御部66の制御ゲインを減少補正することなく、トルク微分制御量を実質的に零にするための制御のみを行うようにしてもよい。この場合には、制御応答性復帰部75Bは、応答性低下モード時において、所定の制御応答性復帰条件が満たされたときに、トルク微分制御量を実質的に零にするための制御を解除すればよい。
制御応答性変更部72Bによる全体的な処理手順は、前述の図7に示される処理手順と同様である。ただし、図7のステップS3においては、制御応答性変更部72Bは、トルク微分制御量を実質的に零にするための制御を行うとともに、PID制御部66の制御ゲインを減少補正する。また、図7のステップS6においては、制御応答性変更部72Bは、トルク微分制御量を実質的に零にするための制御を解除するとともに、PID制御部66の制御ゲインを初期設定値に戻す。
なお、図7のステップS3において、制御応答性変更部72Bは、PID制御部66の制御ゲインを減少補正させることなく、トルク微分制御量を実質的に零にするための制御のみを行うようにしてもよい。この場合には、図7のステップS6において、制御応答性変更部72Bは、トルク微分制御量を実質的に零にするための制御を解除すればよい。
図10は、バルブ駆動用モータ制御部の第3変形例を示すブロック図である。図10において、前述の図4の各部に対応する部分には図4と同じ符号を付して示す。
このバルブ駆動用モータ制御部43Cでは、図4のバルブ駆動用モータ制御部43に比べて、第1変形例(図8参照)のFF(フィードフォワード)制御部76および第3加算器77と、第2変形例(図9参照)のトルク微分制御量演算部78および第4加算器79とが追加されている。また、このバルブ駆動用モータ制御部43Cでは、図4のバルブ駆動用モータ制御部43に比べて、制御応答性変更部72Cの動作が異なっている。その他の点は、図4のバルブ駆動用モータ制御部43と同じである。
トルク微分制御量演算部78は、トルクセンサ32によって検出される操舵トルクThの微分値に応じたトルク微分制御量を演算する。第4加算器79は、バルブ開度指令値設定部63によって設定されるバルブ開度指令値θvに、トルク微分制御量演算部78によって演算されるトルク微分制御量を加算する。トルク微分制御量が加算された後のバルブ開度指令値が、FF制御部76および角度偏差演算部65に与えられる。
FF制御部76は、トルク微分制御量が加算された後のバルブ開度指令値に基いてフィードフォワード操作量を演算する。PID制御部66は、トルク微分制御量が加算された後のバルブ開度指令値と回転角演算部64によって演算される実回転角θvとの偏差に基いて、フィードバック操作量を演算する。第3加算器77は、PID制御部66によって演算されるフィードバック操作量に、FF制御部76によって演算されるフィードフォワード操作量を加算することにより、電流指令値Iを演算する。この電流指令値Iが、電流偏差演算部68に与えられる。
制御応答性変更部72Cは、手放し判定部73と、制御応答性低下部74Cと、制御応答性復帰部75Cとを含んでいる。手放し判定部73の動作は、図4の制御応答性変更部72の手放し判定部73の動作と同じである。
制御応答性低下部74Cは、手放し判定部73によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定されたときに、トルク微分制御量およびフィードフォワード操作量を実質的に零にするような制御を行うとともに、PID制御部66の制御ゲイン(比例ゲインKp、積分ゲインKiおよび微分ゲインKd(図4参照))を減少補正させる。トルク微分制御量およびフィードフォワード操作量が実質的に零にされた場合には、PID制御部66において、バルブ開度指令値設定部63によって設定されるバルブ開度指令値θvと実回転角θvとの偏差Δθvに基いてフィードバック操作量が演算される。そして、得られたフィードバック操作量に応じた電流指令値Iが、電流偏差演算部68に与えられるようになる。これにより、バルブ駆動用モータ制御部43Cによる回転角制御の応答性が低下される。これにより、ラックエンド付近からの手放しが行われたときに、油圧制御バルブ14の実バルブ開度θvの変動を抑制できるので、作動油の油圧変動を抑制できる。これにより、フィードチューブ(20,21)の振動を抑制できるから、異常音の発生を抑制できる。
制御応答性復帰部75Cは、応答性低下モード時において、所定の制御応答性復帰条件が満たされたときに、トルク微分制御量およびフィードフォワード操作量を実質的に零にするための制御を解除させるとともに、PID制御部66の制御ゲイン(比例ゲインKp、積分ゲインKiおよび微分ゲインKd)を初期設定値に戻す。制御応答性復帰条件は、たとえば、前述した制御応答性復帰条件と同じである。
制御応答性低下部74Cは、手放し判定部73によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定されたときに、トルク微分制御量を実質的に零にするための制御、フィードフォワード操作量を実質的に零にするための制御、およびPID制御部66の制御ゲインの減少補正のうち、任意の1または2つの組み合わせを実行するようにしてもよい。この場合には、制御応答復帰部75Cは、応答性低下モード時において、所定の制御応答復帰条件が満たされたときに、制御応答性低下部74Cによって実行された応答性を低下させるための制御を解除させればよい。
制御応答性変更部72Cによる全体的な処理手順は、前述の図7に示される処理手順と同様である。ただし、図7のステップS3においては、制御応答性変更部72Cは、トルク微分制御量およびフィードフォワード操作量を実質的に零にするための制御を行うとともに、PID制御部66の制御ゲインを減少補正する。また、図7のステップS6においては、制御応答性変更部72Cは、トルク微分制御量およびフィードフォワード操作量を実質的に零にするための制御を解除するとともに、PID制御部66の制御ゲインを初期設定値に戻す。
なお、図7のステップS3において、制御応答性変更部72Cは、トルク微分制御量を実質的に零にするための制御、フィードフォワード操作量を実質的に零にするための制御、およびPID制御部66の制御ゲインの減少補正のうち、任意の1または2つの組み合わせを実行するようにしてもよい。この場合には、図7のステップS6において、制御応答性変更部72Cは、図7のステップS3において実行した制御応答性を低下させるための制御を解除すればよい。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。例えば、前記実施形態では、回転角フィードバック制御手段は、PID制御を行うためのPID制御部66を含んでいるが、PID制御部66の代わりにPI制御を行うためのPI制御部を用いてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1…油圧式パワーステアリング装置、2…ステアリング機構、3…ステアリングホイール、14…油圧制御バルブ、15…バルブ駆動用モータ、16…パワーシリンダ、23…油圧ポンプ、25…ポンプ駆動用モータ、33…回転角センサ、36…電流センサ、60…操舵角速度演算部、61…位相補償部、62…アシストトルク指令値設定部、63…バルブ開度指令値設定部、65…角度偏差演算部、66…PID(比例積分微分)制御部、68…電流偏差演算部、69…PI(比例積分)制御部、72,72A,72B,72C…制御応答性変更部、73…手放し判定部、74,74A,74B,74C…制御応答性低下部、75,75A,75B,75C…制御応答性復帰部、76…FF制御部、78…トルク微分制御量演算部、77,79…加算器

Claims (9)

  1. 車両のステアリング機構に結合されたパワーシリンダに、操舵部材に機械的に連結されていない油圧制御バルブを介して、油圧ポンプからの作動油を供給することによって、操舵補助力を発生させる油圧式パワーステアリング装置であって、
    前記油圧制御バルブの開度を制御するための電動モータと、
    前記電動モータの回転角の目標値である回転角指令値を設定する回転角指令値設定手段と、
    前記電動モータの実回転角が、前記回転角指令値設定手段によって設定される回転角指令値に等しくなるように、前記電動モータを制御するモータ制御手段と、
    ラックエンド付近からの手放し状態を検出する手放し検出手段と、
    前記手放し検出手段によって前記ラックエンド付近からの手放し状態が検出されたときに、前記モータ制御手段の制御応答性を低下させる制御応答性低下手段と、を含む油圧式パワーステアリング装置。
  2. 前記モータ制御手段が、
    前記回転角指令値設定手段によって設定された回転角指令値と前記電動モータの実回転角との偏差に基いて、フィードバック操作量を演算するフィードバック操作量演算手段と、
    前記フィードバック操作量演算手段によって演算されるフィードバック操作量に基いて、前記電動モータを制御する手段とを含んでおり、
    前記制御応答性低下手段が、前記フィードバック操作量演算手段の制御ゲインを減少補正する手段を含んでいる、請求項1に記載の油圧式パワーステアリング装置。
  3. 前記モータ制御手段が、
    前記回転角指令値設定手段によって設定される回転角指令値と前記電動モータの実回転角との偏差に基いて、フィードバック操作量を演算するフィードバック操作量演算手段と、
    前記回転角指令値設定手段によって設定される回転角指令値に基いて、フィードフォワード操作量を演算するフィードフォワード操作量演算手段と、
    前記フィードバック操作量演算手段によって演算されるフィードバック操作量と前記フィードフォワード操作量演算手段によって演算されるフィードフォワード操作量とに基いて、前記電動モータを制御する手段とを含んでおり、
    前記制御応答性低下手段は、前記フィードフォワード操作量を実質的に零にさせる手段を含んでいる、請求項1に記載の油圧式パワーステアリング装置。
  4. 前記操舵部材に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を含み、
    前記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクの微分値に応じたトルク微分制御量を演算するトルク微分制御量演算手段と、
    前記トルク微分制御量演算手段によって演算されるトルク微分制御量を、前記回転角指令値設定手段によって設定される回転角指令値に加算する加算手段と、
    前記加算手段によってトルク微分制御量が加算された後の回転角指令値と前記電動モータの実回転角との偏差に基いて、フィードバック操作量を演算するフィードバック操作量演算手段と、
    前記フィードバック操作量演算手段によって演算されるフィードバック操作量に基いて、前記電動モータを制御する手段とを含んでおり、
    前記制御応答性低下手段が、前記トルク微分制御量を実質的に零にさせる手段を含んでいる、請求項1に記載の油圧式パワーステアリング装置。
  5. 前記操舵部材の回転角である操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記操舵部材に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    前記電動モータの回転角を検出する回転角検出手段と、
    前記電動モータのロータ角速度を検出するロータ角速度検出手段とを含み、
    前記手放し検出手段は、
    前記操舵角検出手段によって検出される操舵角の絶対値が第1の所定値以上であり、前記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクの絶対値が第2の所定値以上であり、前記ロータ角速度検出手段によって検出されるロータ角速度の絶対値が第3の所定値以上であり、前記ロータ角速度の符号と前記回転角検出手段によって検出される回転角の符号とが逆であるときに、前記ラックエンド付近からの手放し状態であると判定するように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の油圧式パワーステアリング装置。
  6. 前記操舵部材の回転角である操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記操舵部材に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段とを含み、
    前記手放し検出手段は、
    前記操舵角検出手段によって検出される操舵角の絶対値が第4の所定値以上であり、前記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクの絶対値が第5の所定値以上であり、前記操舵角の時間微分値である操舵角速度の絶対値が第6の所定値以上であり、前記操舵角速度の方向と前記操舵トルクの方向とが逆であるときに、前記ラックエンド付近からの手放し状態であると判定するように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の油圧式パワーステアリング装置。
  7. 前記電動モータの回転角を検出する回転角検出手段を含み、
    前記制御応答性低下手段によって前記モータ制御手段の制御応答性が低下されている場合において、前記回転角検出手段によって検出される回転角の絶対値が第7の所定値以下である状態が第1の所定時間以上継続したときに、前記モータ制御手段の制御応答性を元の状態に戻す手段を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の油圧式パワーステアリング装置。
  8. 前記操舵部材の回転角である操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記操舵部材に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段とを含み、
    前記制御応答性低下手段によって前記モータ制御手段の制御応答性が低下されている場合において、前記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクの絶対値が第8の所定値以上であり、かつ前記操舵角検出手段によって検出される操舵角の時間微分値である操舵角速度の絶対値が第9の所定値以上であり、かつ前記回転角検出手段によって検出される回転角の絶対値が第10の所定値以下であり、かつ前記手放し検出手段によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定された時点から第2の所定時間以上の時間が経過しておりかつ前記手放し状態判定時点から前記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクの絶対値が第11の所定値以上である状態が現在まで継続しているときに、前記モータ制御手段の制御応答性を元の状態に戻す手段を含む、請求項7に記載の油圧式パワーステアリング装置。
  9. 前記手放し検出手段によってラックエンド付近からの手放し状態であると判定された時点での操舵角の絶対値に対して、操舵角の絶対値が第12の所定値以上小さくなったときときに、前記モータ制御手段の制御応答性を元の状態に戻す手段を含む、請求項8に記載の油圧式パワーステアリング装置。
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