JP2015150597A - 低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部 - Google Patents

低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部 Download PDF

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Abstract

【課題】極寒冷地で使用のラインパイプ用UO鋼管のシーム溶接部の低温靱性を高める。
【解決手段】X60〜X80級の板厚が20mm以上の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による二層溶接により溶接して製造するUO鋼管の溶接部において、(i)先行溶接部及び/又は後続溶接部の溶接金属の板表面から7mmの位置の溶融線の接線の傾きと、溶接ビードの中央線のなす角度が15°以上で、かつ、(ii)板表面から7mmの位置の溶接金属中央の靭性が、溶融線から0.5mmの溶接熱影響部の靭性の2.0倍以上であることを特徴とする低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部。
【選択図】図6

Description

本発明は、X60〜X80級の板厚が20mm以上の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による二層溶接により溶接して製造するUO鋼管の低温靱性に優れたシーム溶接部に関するものである。
近年、極寒冷地でのエネルギー源の開発の進行に伴い、ラインパイプ用UO鋼管には、極寒冷地でも耐え得る低温靱性が要求されている。最近では、−60℃での低温靱性が要求されている。これに伴い、ラインパイプ用UO鋼管のシーム溶接部にも、母材と同様の、極寒冷地でも耐え得る低温靱性が要求される。さらに、耐座屈性能の確保から、鋼管の厚肉化の要望もある。
UO鋼管のシーム溶接には、一般に、生産性と品質の観点から複数の電極を用いた、多電極サブマージアーク溶接が用いられる。シーム溶接部は、大きく、溶接金属、溶融線、及び、溶接熱影響部(HAZ)からなる。HAZにおいては、溶接入熱により母材の組織が変質及び/又は粗大化し、多くの場合は靱性が低下する。特に、厚肉鋼管になると入熱も相対的に大きくなり、HAZ靱性に対しては不利に作用する。
例えば、板厚方向に、溶融線と交差してノッチ等の疵が板表面から入り、ノッチを起点として亀裂が進展する場合を想定する。その場合、溶融線近傍のHAZ部の靱性が低いと、そこを亀裂が伝播し、溶接ビードに沿って破壊が進展することが想定される。そのため、特に、鋼管の外表面側におけるHAZ部の靱性は、使用上の安全性を確保する上で重要である。
ここでいうHAZ部とは、溶接金属、溶融線、及び、HAZを含んだHAZを中心とする溶融線近傍を意味する。HAZの靱性は、加熱される最高温度により変化する。実際の溶接部において、HAZ組織は、溶融線から母材原質部まで連続的に変化するので、最も靱性の低いHAZ組織は、溶接部の一部である。
そのため、HAZそのものの靱性でなく、溶融線近傍の全体的な種々の特性の混合体としても検討する必要があるため、本発明では、個々のHAZと区別してHAZ部という。
このように、UO鋼管のシーム溶接部においては、HAZ部の低温靱性の改善が一つの課題であり、これまで、冶金的側面及びプロセス的側面から改善手法が数多く提案されている。
特許文献1には、内面及び外面の溶接を、それぞれ1層行う通常の溶接に対して、外面を2層溶接する方法が提案されている。即ち、溶接を低入熱化することで、HAZ部の靱性低下を抑制しようとする方法である。
この方法では、多層溶接によるスラグ残りを防ぐために、ビード形状やスラグ剥離の良好なフラックスの使用、又は、2段開先等を活用して生産性を確保しているが、いずれにしても溶接回数の増加や加工の複雑化による生産コストの増大は避けられない。
特許文献2には、溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法が提案されている。この製造方法では、鋼板が実質的にAlを含有せず、Ti及びMgで微細酸化物を形成し、HAZ組織の粗大化を防止している。
しかし、鋼板の成分組成が規定されているため、鋼板に要求される強度、靱性、耐食性、又は、製造性が制限されることになる。また、極低Al鋼板であるので、他の脱酸元素を使用することになり、製造コストが高くなるという問題もある。
特許文献3には、内外面の各1層でシーム溶接を完了する、厚さ25mm以上のUO鋼管を想定して、溶融線の傾斜、及び、後続溶接(Final側)の溶融線近傍のHAZの粒径を規定して、HAZ部の靱性を改善する方法が提案されている。しかし、この方法では、単純に溶融線を寝かすと、溶込みが浅くなるという問題がある。
UO鋼管等の内外面2層溶接では、内面溶接金属と外面溶接金属が接触しないと欠陥に繋がるので、この接触を確保する必要がある。そのためには、適切な溶込み深さが必要である。溶融線を寝かせて、かつ、溶込みを深くするためには、溶接金属の断面積そのものを広くする必要があるが、その場合は、入熱が増加し、溶接熱影響部の靱性が低下する可能性がある。また、粒径を規定するためには、母材の成分組成を規定する必要があり、母材設計の自由度が低くなるという欠点もある。
特開平6−328255号公報 特開平9−279235号公報 特開2009−202167号公報
本発明は、従来技術の現状に鑑み、X60〜X80級の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による2層溶接により溶接して製造する、極寒冷地で使用のラインパイプ用UO鋼管のシーム溶接部の低温靱性を高めることを課題とし。該課題を解決する、HAZ部の低温靱性に優れたシーム溶接部を提供することを目的とする。
本発明者らは、母材を中心とする改善は、母材設計の自由度を阻害するので、溶接部の形状と亀裂の進展経路の観点から、上記課題を解決する手法について鋭意検討した。その結果、本発明者らは、多電極サブマージアーク溶接部の形状に注目し、溶融線の傾斜を最適化し、かつ、溶接金属の靭性を規定すれば、溶接熱影響部の靱性を改善できることを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)X60〜X80級の板厚が20mm以上の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による二層溶接により溶接して製造するUO鋼管の溶接部において、
(i-1)後続溶接部の溶接金属の板表面から7mmの位置の溶融線の接線の傾きと、溶接ビードの中央線のなす角度が15°以上で、かつ、
(ii)板表面から7mmの位置の溶接金属中央の靭性が、溶融線から0.5mmの溶接熱影響部の靭性の2.0倍以上である
ことを特徴とする低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部。
(2)X60〜X80級の板厚が20mm以上の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による二層溶接により溶接して製造するUO鋼管の溶接部において、
(i-2)先行溶接部の溶接金属の板表面から7mmの位置の溶融線の接線の傾きと、溶接ビードの中央線のなす角度が15°以上で、かつ、
(ii)板表面から7mmの位置の溶接金属中央の靭性が、溶融線から0.5mmの溶接熱影響部の靭性の2.0倍以上である
ことを特徴とする低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部。
(3)X60〜X80級の板厚が20mm以上の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による二層溶接により溶接して製造するUO鋼管の溶接部において、
(i)先行溶接部及び後続溶接部の溶接金属の板表面から7mmの位置の溶融線の接線の傾きと、溶接ビードの中央線のなす角度が15°以上で、かつ、
(ii)板表面から7mmの位置の溶接金属中央の靭性が、溶融線から0.5mmの溶接熱影響部の靭性の2.0倍以上である
ことを特徴とする低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部。
(4)前記溶接金属の化学組成が、質量%で
C :0.03%以上、0.12%以下、
Si:0.05%以上、0.50%以下、
Mn:0.80%以上、2.20%以下、
P :0.015%以下、
S :0.010%以下、
Cu:1.00%以下、
Nb:0.050%以下、
V :0.020%以下、
O :0.015%以上、0.045%以下、
N :0.0080%以下、
Al:0.003%以上、0.035%以下、
Ti:0.005%以上、0.030%以下、
B :0.0004%以上、0.0040%以下、
かつ、必要に応じて
Ni:2.0%以下、
Cr:1.5%以下、
Mo:1.0%以下の一種又は二種以上、
残部:Fe及び不可避的不純物からなり、さらに、
下記式(1)で定義するPCMが0.120以上、0.300以下であり、
下記式(2)で算出するα’が、−10以上、30以下である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部。
Pcm=[C]+[Si]/30+([Mn]+[Cu]+[Cr])/20
+[Ni]/60+[Mo]/15+[V]/10+5[B] ・・・(1)
[A]は、元素Aの質量%
α’=(1.5×([O]−0.89×[Al])+3.4×[N]−[Ti])
×1000 ・・・(2)
[A]は、元素Aの質量%
本発明によれば、X60〜X80級の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による二層溶接により溶接して製造する、極寒冷地で使用のラインパイプ用UO鋼管のシーム溶接部として、低温靱性に優れたシーム溶接部を提供することができる。
HAZ部の衝撃試験片の採取要領を示す図である。 実験に用いた開先形状を示す図である。 溶接金属の衝撃試験片の採取要領を示す図である。 溶接金属sの場合のθとHAZ部の吸収エネルギーの関係を示す図である。 溶接金属tの場合のθとHAZ部の吸収エネルギーの関係を示す図である。 溶接金属uの場合のθとHAZ部の吸収エネルギーの関係を示す図である。 溶接金属wの場合のθとHAZ部の吸収エネルギーの関係を示す図である。 0.5mmHAZの衝撃試験片の採取要領を示す図である。 溶接金属吸収エネルーと0.5mmHAZ吸収エネルギーの比と、HAZ部の吸収エネルギーとの関係を示す図である。 実施例に用いた開先を示す図である。 実施例における溶接金属からの衝撃試験片の採取要領を示す図である。 実施例におけるHAZ部からの衝撃試験片の採取要領を示す図である。
本発明者らは、HAZ部の靭性を改善するため、溶接ビード形状と2mmVノッチシャルピー衝撃試験(以下、単に「衝撃試験」という。)の結果との関係を検討した。その結果、溶融線の傾きが、HAZ部の靭性に影響を及ぼすことを見いだした。
さらに、溶融線の傾きとHAZ部の靭性の関係について詳細に検討した。HAZ部の靭性を把握するために、衝撃試験片のノッチの中央部に、最も靭性が低いと考えられる溶融線直近のHAZ粗粒域が位置するように、さらに、ノッチ底に溶接金属が50%、HAZが50%と均等に配分されるように試験片を加工し、この試験片に係る衝撃試験の結果を、HAZ部の靭性の代表値とした。
このように試験片を作製して衝撃試験を行なえば、ノッチ底には、最も靭性の低い粗粒HAZが、最も条件的に厳しいノッチ中央部に位置するので、HAZ部の靭性を適確に評価することができる。
ここでの検討、及び、後の実施例では、50%溶融線、50%HAZを含むノッチを加工した試験片に係る衝撃試験の結果を、HAZ部の吸収エネルギーを表すものとして、HAZ部の靭性とする。
実際に、一般的に行われているHAZの衝撃試験での試験片には、HAZにおける種々の組織や溶融線を含む試験片があり、種々の組織や溶融線を含むHAZの靭性を評価することになる。本発明では、HAZそのものの靭性をHAZ靭性という。
ここで、図1に、HAZ部の衝撃試験片の採取要領を示す。図1に示すように、鋼板1の溶接部2(溶接金属3+HAZ部4)において、衝撃試験片(以下、単に「試験片」ということがある。)6を、試験片6に形成するノッチ5と溶融線7が傾斜角度(以下単に「角度」ということがある。)θをなすように、また、鋼板表面から7mmの位置がノッチ5の中央5aに位置するように採取する。
鋼板表面から7mmの位置は、通常のUO鋼管のシーム溶接部の靱性を評価するために試験片を採取する位置あるので、鋼板表面から7mmの位置が、ノッチ5の中央5aに位置するように試験片6を採取する。
実際の溶融線は湾曲しているので、溶融線7とノッチ5の角度θは、溶融線7が試験片6の中心線と交差する位置での溶融線7の接線とノッチ5のなす角度を、溶融線7の傾斜角度θとする。本発明者らは、角度θを変えて試験片6を採取して衝撃試験を行い、角度θと吸収エネルギーの関係を調査する。
調査に際しては、表1に化学組成を示す母材Aとワイヤa、b、cと、表2に化学組成を示すフラックスFXを用いて、板厚30mmの鋼板に開先を形成し、該開先に溶接部を形成した(図1、参照)。
Figure 2015150597
Figure 2015150597
図2に、板厚30mmの鋼板に形成した開先を示す。開先は、深さ12mm、開き角度60°の片側V開先である。溶接は、4電極のサブマージアーク溶接で行った。表3に、溶接条件を示す。
Figure 2015150597
表4に、ワイヤの組合せを変えて形成した溶接金属の引張強度(MPa)と、−60℃の衝撃吸収エネルギー(J)を示す。
Figure 2015150597
図3に、溶接金属の衝撃試験片の採取要領を示す。試験片6に形成するノッチ5の中央5aが、鋼板表面から7mmの位置に位置するように、溶接金属3の中央部から衝撃試験片を採取した。衝撃試験片は、溶接金属毎に3本採取した。
ワイヤの組合せを変えることにより、溶接金属の−60℃の衝撃吸収エネルギーは、3点平均で、38Jから144Jまで値が得られている。
このような靱性を有する溶接部から、図1に示す試験片採取要領で、θを変えて衝撃試験片を採取し、−60℃で衝撃試験を実施し、HAZ部の靱性(吸収エネルギー)に及ぼすθの影響を調査した。その結果を、図4〜7に示す。
図4〜6に示すように、θが約15°以上で吸収エネルギーが改善されている。しかし、図7に示すように、−60℃の平均吸収エネルギーが38Jと靱性が低い溶接金属wの場合は、吸収エネルギーの改善が見られない。
そこで、本発明者らは、吸収エネルギーに対する溶接金属の靱性の影響について調査した。表4に示す4種類のワイヤとフラックスの組合せと、幾つかの化学組成の異なる母材で溶接部を形成し、溶接金属、HAZ部、及び、HAZの靱性を測定した。
溶接金属の靱性は、図3に示す試験片採取要領で採取した衝撃試験片を用いて測定した。HAZ部の靱性は、図1に示す試験片採取要領で、θが15°になるように採取した衝撃試験片を用いて測定した。HAZの靱性は、図8に示すように、HAZが最も粗大化する溶融線近傍を狙い、溶融線から0.5mm離れたHAZにノッチを加工した衝撃試験片を用いて測定した。
図8に示すように、衝撃試験片の中心線と溶融線の交点における溶融線の接線と平行に、溶融線から0.5mmHAZ側に、ノッチの中央が鋼板表面から7mmの位置に位置するように、ノッチを加工した。以下、溶融線から0.5mmHAZ側の位置を0.5mmHAZという。
衝撃試験は、−60℃で3回、繰り返して実施し、各回の値と平均値を求めた。
図9に、溶接金属吸収エネルーと0.5mmHAZ吸収エネルギーの比と、HAZ部の吸収エネルギーとの関係を示す。図9においては、溶接金属の吸収エネルギーの平均値をHAZの吸収エネルギーの平均値で除した値を横軸にとり、横軸の溶接金属とHAZの組合せにおけるHAZ部の吸収エネルギーの各値を縦軸にして整理した。
図9から、−60℃のHAZ部に要求される吸収エネルギーの基準を50Jとすると、溶接金属の吸収エネルギーの平均値をHAZの吸収エネルギーの平均値で除した値が2.0以上であれば、HAZ部の靱性が50Jを上回ることができることが解る。
以上の調査結果から、溶接金属の靱性がHAZの靱性の2.0倍以上であれば、溶融線とノッチのなす角度が15°以上で、HAZ部の靱性が改善されることが判明した。
本発明の低温靱性に優れたサブマージアーク溶接部(以下「本発明溶接部」ということがある。)は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は次のとおりである。
(1)X60〜X80級の板厚が20mm以上の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による二層溶接により溶接して製造するUO鋼管の溶接部において、
(i-1)後続溶接部の溶接金属の板表面から7mmの位置の溶融線の接線の傾きと、溶接ビードの中央線のなす角度が15°以上で、かつ、
(ii)板表面から7mmの位置の溶接金属中央の靭性が、溶融線から0.5mmの溶接熱影響部の靭性の2.0倍以上である
ことを特徴とする低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部。
(2)X60〜X80級の板厚が20mm以上の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による二層溶接により溶接して製造するUO鋼管の溶接部において、
(i-2)先行溶接部の溶接金属の板表面から7mmの位置の溶融線の接線の傾きと、溶接ビードの中央線のなす角度が15°以上で、かつ、
(ii)板表面から7mmの位置の溶接金属中央の靭性が、溶融線から0.5mmの溶接熱影響部の靭性の2.0倍以上である
ことを特徴とする低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部。
(3)X60〜X80級の板厚が20mm以上の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による二層溶接により溶接して製造するUO鋼管の溶接部において、
(i)先行溶接部及び後続溶接部の溶接金属の板表面から7mmの位置の溶融線の接線の傾きと、溶接ビードの中央線のなす角度が15°以上で、かつ、
(ii)板表面から7mmの位置の溶接金属中央の靭性が、溶融線から0.5mmの溶接熱影響部の靭性の2.0倍以上である
ことを特徴とする低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部。
ここで、本発明溶接部の特徴要件について説明する。
(1)先行溶接部及び/又は後続溶接部の溶接金属の板表面から7mmの位置の溶融線の接線の傾きと、溶接ビードの中央線のなす角度が15°以上((i-1)、(i-2)、(ii))
本発明溶接部において靱性向上効果を得るためには、先行溶接部及び/又は後続溶接部の溶接金属の板表面から7mmの位置の溶融線の接線の傾きと、溶接ビードの中央線のなす角度が15°以上であることが必要である。15°未満では、亀裂が、ノッチ底に沿って伝播するので、靱性向上効果が得られないので、15°以上とする。好ましくは20°以上である。
靱性向上効果の確保の点で、角度の上限はないが、実際の溶接においては施工上の限界があるので、約50°程度が上限になる。好ましくは40°以下である。
靱性向上効果を得るためには、溶接ビード形状を制御し、溶融線の傾斜を板厚方向に対して寝かす必要があるが、溶接線の傾斜は、開先形状の調整、溶接速度の低速化、電流・電圧バランス、ワイヤ径の選択と、これらの適正な組合せで調整することが可能である。
(2)板表面から7mmの位置の溶接金属中央の靭性が、溶融線から0.5mmの溶接熱影響部の靭性の2.0倍以上((ii))
図8で示したように、本発明溶接部における靱性向上効果は、溶接金属の靭性に影響される。き裂の進展方向にある溶接金属が、き裂の進展に対する抵抗として機能するので、溶接金属の靭性は、HAZの靭性より良好である必要がある。
板表面から7mmの位置の溶接金属中央の靱性が、溶融線から0.5mmの溶接熱影響部の靭性の2.0倍未満であると、き裂の進展方向にある溶接金属が、き裂の進展に対する抵抗として十分に機能しない。
靱性向上効果を十分に得るためには、板表面から7mmの位置の溶接金属中央の靭性が、溶融線から0.5mmの溶接熱影響部の靭性の2.0倍以上であることが必要である。好ましくは3.0倍以上である(図9)。靱性向上効果の確保の点から、上限は、特にないが、現実的には、10.0程度が上限となる。
本発明溶接部を適用する溶接部は、UO鋼管のシーム溶接において、先行溶接部単独、後続溶接部単独、又は、両方の溶接部に適用することができる。シーム溶接部に要求される特性に応じて、先行溶接部単独、後続溶接部単独、又は、両方の溶接部への適用を決定すればよい。
本発明溶接部において靱性向上効果を安定的に確保し得る溶接金属の化学組成は、溶接ワイヤの化学組成と母材の溶込み分を考慮して、下記の化学組成が好ましい。
質量%で
C :0.03%以上、0.12%以下、
Si:0.05%以上、0.50%以下、
Mn:0.80%以上、2.20%以下、
P :0.015%以下、
S :0.010%以下、
Cu:1.00%以下、
Nb:0.050%以下、
V :0.020%以下、
O :0.015%以上、0.045%以下、
N :0.0080%以下、
Al:0.003%以上 、0.035%以下、
Ti:0.005%以上、0.030%以下、
B :0.0004%以上、0.0040%以下、
かつ、必要に応じて
Ni:2.0%以下、
Cr:1.5%以下、
Mo:1.0%以下の一種又は二種以上、
残部:Fe及び不可避的不純物からなり、さらに、
下記式(1)で定義するPCMが0.120以上、0.300以下であり、
下記式(2)で算出するα’が、−10以上、30以下。
Pcm=[C]+[Si]/30+([Mn]+[Cu]+[Cr])/20
+[Ni]/60+[Mo]/15+[V]/10+5[B] ・・・(1)
[A]は、元素Aの量(質量%)
α’=(1.5×([O]−0.89×[Al])+3.4×[N]−[Ti])
×1000 ・・・(2)
[A]は、元素Aの質量%
上記化学組成の限定理由について説明する。以下、%は質量%を意味する。
C:0.03%以上、0.12%以下
Cは、溶接金属の強度の確保に有効な元素である。0.03%未満であると、所要の強度が得られず、また、溶接時に高温割れが発生する可能性があるので、0.03%以上とする。好ましくは0.04%以上である。一方、0.12%を超えると、強度が過剰に上昇し靱性が低下し、また、凝固割れの可能性もでてくるので、0.12%以下とする。好ましくは0.10%以下である。
Si:0.05%以上、0.50%以下
Siは、溶接金属の脱酸と強度の向上に有効な元素である。0.05%未満であると、添加効果が十分に発現しないので、0.05%以上とする。好ましくは0.09%以上である。一方、0.50%を超えると、溶接金属の靱性が低下するので、0.50%以下とする。好ましくは0.40%以下である。
Mn:0.80%以上、2.20%以下
Mnは、Siと同様に、溶接金属の脱酸と強度の向上に有効な元素である。0.80%未満であると、添加効果が十分に発現しないので、0.80%以上とする。好ましくは1.00%以上である。一方、2.20%を超えると、靱性が低下するので、2.20%以下とする。好ましくは2.00%以下である。
P:0.015%以下
Pは、溶接金属の靱性を阻害する元素である。少ないほど好ましいが、0.015%を超えると、溶接金属が著しく脆化するので、0.015%以下とする。好ましくは0.012%以下である。下限は0%を含むが、母材から不可避的に0.002%程度は混入する。
S:0.010%以下
Sは、溶接金属の靱性を阻害する元素である。少ないほど好ましいが、0.010%を超えると、溶接金属が著しく脆化するので、0.010%以下とする。好ましくは0.007%以下である。下限は0%を含むが、母材から不可避的に0.002%程度混入する。
Cu:1.00%以下
Cuは、溶接金属の焼入れ性を高め、強度と靱性の改善に有効な元素である。しかし、1.00%を超えると、靭性を阻害し、さらに、高温割れの発生を誘発するので、1.00%以下とする。好ましくは0.75%以下である。下限は0%を含むが、不可避的不純物やワイヤのめっき等から、約0.10%程度は混入する。
Nb:0.050%以下
Nbは、強度向上に有効な元素である。しかし、0.050%を超えると、靱性を阻害するので、0.050%以下とする。好ましくは0.040%以下である。下限は、特に限定しないが、母材からの溶込み分や溶接ワイヤの不純物から、少なくとも0.001%程度は混入する。
V:0.020%以下
Vは、強度向上に有効な元素である。しかし、0.020%を超えると、靱性を阻害するので、0.020%以下とする。好ましくは0.015%以下である。下限は、特に限定しないが、母材からの溶込み分や溶接材料の不純物から、少なくとも0.001%程度は混入する。
O:0.015%以上、0.045%以下
Oは、粒内変態の核となる酸化物を形成し、溶接金属の組織を制御する作用をなす元素である。0.015%未満では、強度が500〜850MPa級のX60〜X80クラスの鋼管の溶接金属において、組織をアシキュラーフェライト主体の組織にするために必要な、粒内変態の核となる酸化物の形成が不十分となるので、0.015%以上とする。好ましくは0.018%以上である。
一方、0.045%を超えると、溶接金属中の酸化物が粗大化して、上部棚エネルギーが低下し、溶接金属の極低温靱性が低下するので、0.045%以下とする。好ましくは0.040%以下である。
N:0.0080%以下
Nは、0.0080%を超えると、固溶Nが増加し、また、窒化物の生成量も増大して、溶接金属の靱性が低下するので、0.0080%以下とする。好ましくは0.0060%以下である。下限は、特に限定しないが、不可避的に0.0010%程度は混入する。
Al:0.003%以上、0.035%以下
Alは、酸化物を形成し、溶接金属のO量を制御する作用をなす元素である。0.003%未満では、溶接金属中の酸素の量が過剰となるとともに、生成する酸化物が粗大化して、溶接金属の極低温靱性が低下するので、0.003%以上とする。好ましくは0.005%以上である。一方、0.035%を超えると、生成する酸化物が粗大化して靱性が低下するので、0.035%以下とする。好ましくは0.025%以下である。
Ti:0.005%以上、0.030%以下
Tiは、粒内変態の核となる酸化物を形成して、溶接金属の組織を制御する作用をなす元素である。0.005%未満では、強度がX65〜X80クラスの鋼管の溶接金属において、組織をアシキュラーフェライト主体の組織にするために必要な、粒内変態の核となる酸化物の形成が不十分となるので、0.005%以上とする。好ましくは0.007%以上である。一方、0.030%を超えると、溶接金属の極低温靱性が低下するので、0.030%以下とする。好ましくは0.025%以下である。
B:0.0004%以上、0.0040%以下
Bは、溶接金属の焼入れ性を高め、粒界フェライトの生成を抑制する作用をなす元素である。0.0004%未満であると、添加効果が充分に発現しないので、0.0004%以上とする。好ましくは0.0010%以上である。一方、0.0040%を超えると、固溶Bが増加して、溶接金属の靱性が低下するので、0.0040%以下とする。好ましくは0.0035%以下である。
本発明溶接部においては、溶接金属の強度の向上のため、溶接金属の溶接性や極低温靭性を阻害しない範囲で、Ni、Cr、及び、Moの1種又は2種以上を含有してもよい。
Ni:2.0%以下
Niは、溶接金属の焼入れ性を高め、強度向上に寄与する元素である。しかし、2.0%を超えると、凝固割れが発生する可能性が高くなり、靱性を阻害するので、2.0%以下とする。好ましくは1.5%以下である。下限は、特に限定しないが、母材及び/又はワイヤから、不可避的に0.01%程度混入する。
Cr:1.5%以下
Crは、溶接金属の焼入れ性を高め、強度向上に寄与する元素である。1.5%を超えると、靱性を阻害するので、1.5%以下とする。好ましくは1.0%以下である。下限は、特に限定しないが、母材及び/又はワイヤから、不可避的に0.01%程度混入する。
Mo:1.0%以下
Moは、溶接金属の焼入れ性を高め、強度向上に寄与する元素である。1.0%を超えると、靱性を阻害するので、1.0%以下とする。好ましくは0.5%以下である。下限は、特に限定しないが、母材及び/又はワイヤから、不可避的に0.01%程度混入する。
(3)下記式(1)で定義するPcmが0.120以上、0.300以下
Pcmは、溶接金属の強度を推定する指標として使用する。Pcmが0.120未満であると、X65〜X80級のUO鋼管に適した500〜850MPaの強度の溶接金属を得るのが難しくなるので、0.120以上とする。好ましくは0.140以上である。一方、0.300を超えると、強度が上昇しすぎて靭性が低下するので0.300以下とする。好ましくは0.250%以下である。
Pcm=[C]+[Si]/30+([Mn]+[Cu]+[Cr])/20
+[Ni]/60+[Mo]/15+[V]/10+5[B] ・・・(1)
[A]は、元素Aの質量%
(4)下記式(2)で算出するα’が、−10以上、30以下
溶接金属の組織を微細化し、靱性向上効果を安定して得るには、O、Al、N、及び、Tiのバランスが重要である。それ故、α’は、溶接金属の組織を制御するための指標である。
α’が−10未満であると、酸素不足となり、組織が十分に微細化せず、靱性が低下するので、−10以上とする。好ましくは−5以上である。一方、30を超えると、酸素過剰となり、組織の粗大化及び酸化物の粗大化が生じ、溶接金属の靱性が低下するので、30以下とする。好ましくは28以下である。
α’=(1.5×([O]−0.89×[Al])+3.4×[N]−[Ti])
×1000 ・・・(2)
[A]は、元素Aの質量%
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
表5に化学組成を示す母材及びワイヤと、表2に化学組成を示すフラックスを用いて、UO鋼管のシーム溶接部を模擬した溶接部を作製した。
Figure 2015150597
開先は、図10に示す両面V溝の開先である。表6に、開先「い〜と」の寸法を示す。開先「い〜と」に、表7に示す溶接条件で溶接金属を形成した。先行溶接は、3電極サブマージアーク溶接で行い、後続溶接は、4電極のサブマージアーク溶接で行った。この溶接は、実際にUO鋼管の製造において行うシーム溶接の条件と同様である。
Figure 2015150597
Figure 2015150597
溶接ビード形状は開先の開き角(θoとθi)で調整した。溶接ビード形状の調整は、他に、溶接速度や、ワイヤ径で行った。溶接は、図10に示す板下面を先行溶接し、板上面を後続溶接した。実際のUO鋼管の工場では、通常、鋼管の内面側が先行溶接、外面側が後続溶接となる。
実際のUO管の工場では、先行溶接の前に形状を保持するために、仮付けの溶接を行うこともあるが、その後の先行溶接及び後続溶接で、この仮付け溶接部は消滅するので、本発明の効果には、なんら影響を与えない。
表8に、ワイヤの組合せを示す。ワイヤと母材の組合せで、溶接金属の強度を調整した。さらに、フラックスXFを基本に、合金元素を添加したフラックスを作製して、溶接金属の化学組成を調整した。
Figure 2015150597
表9に、形成した溶接金属の分析値、及び、−60℃の吸収エネルギー値を示す。
Figure 2015150597
溶接金属の衝撃試験は、2mmVノッチの衝撃試験片採取して行った。図11に、溶接金属の衝撃試験片の採取要領を示す。図11に示すように、衝撃試験片6を、溶接金属3の中央部から、試験片5に形成するノッチ5の中央5aが、鋼板表面から7mmの位置に位置するように採取した。
一つの溶接金属当たり、3本の試験片を採取し、各値及び平均値を求めて、溶接金属の靱性とした。溶接金属の引張強度は、先行溶接及び後続溶接の溶接金属の中央部より溶接線方向に、JIS A2号引張試験片を採取して測定した。測定は1回とした。
溶接金属A〜C、及び、溶接金属Dは、化学組成が本発明の範囲内であり、いずれも、良好な低温靱性を有している。しかし、溶接金属E、溶接金属A1、溶接金属A2、溶接金属B1、溶接金属C1、及び、溶接金属D1は、いずれかの成分組成、α’、又は、PCMが本発明の範囲を外れていて、靱性が低い、強度が過剰に上昇、又は、溶接時の凝固割れの発生などの問題が生じている。
これらの溶接金属と、図10に示す開先、及び、表6及び表7に示す溶接条件で、溶接継手を作製し、靱性向上効果を確認した。
HAZ部の靱性を2mmVノッチ衝撃試験片の衝撃試験で評価した。図12に、2mmVノッチ衝撃試験片の採取要領を示す。図12に示すように、鋼板の表面から7mmの位置に、ノッチ底に溶接金属及びHAZが各々50%含まれるように採取した。衝撃試験片の長さ方向は、鋼板と平行にした。衝撃試験は、何れも−60℃で実施した。
表10と表11(表10の続き)に、試験結果を示す。
Figure 2015150597
Figure 2015150597
発明例1〜10は、溶接金属の靱性及び溶融線の傾斜が本発明の範囲内であるので、HAZ部の吸収エネルギーが改善され、平均値、各値とも、50Jを上回る値を示している。一方、比較例1では、溶融線の傾斜が小さいため、吸収エネルギーの低い値もみられ、HAZ部の靱性が十分に改善されていない。
比較例2では、先行溶接の溶融線の傾斜が小さいため、先行溶接のHAZ部の靱性が改善されていない。後続溶接のHAZ部は、溶融線の傾斜が本発明の範囲内であるので、HAZ部の靱性は改善されている。
比較例3は、後続溶接の溶融線の傾斜が小さいため、後続溶接のHAZ部の靱性が改善されていない。先行溶接のHAZ部は、溶融線の傾斜が本発明の範囲内であるので、HAZ部の靱性は改善されている。
比較例4では、溶接金属Eのα’が本発明の範囲外であるので、溶接金属の靱性が低い。そのため、HAZ部の靱性が改善されていない。比較例で5は、溶接金属C1のα’が本発明の範囲外であるので、溶接金属の靱性が低い。そのため、HAZ部の靱性が改善されていない。また、溶接金属のC量が多いため、溶接時に凝固割れが発生している。
比較例6では、HAZ部の靱性が改善されているが、Bの多い溶接金属を使用しているため、溶接時に凝固割れが発生している。比較例7では、Ni、Mo及びNの量が多い溶接金属D1を使用しているため、溶接金属の強度が過剰に上昇して溶接金属の靱性が低い。そのため、HAZ部の靱性が改善されていない。
比較例8では、Cr量の多い溶接金属A2を使用しているため、溶接金属の靱性が低い。そのため、HAZ部の靱性が改善されていない。比較例9では、先行溶接金属にTiを、後続溶接金属にAlを、フラックスから添加している。そのため、いずれも、α’が本発明の範囲外であるので、溶接金属の靱性が低い。そのため、HAZ部の靱性が改善されていない。
前述したように、本発明によればX60〜X80級の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による2層溶接により溶接して製造するラインパイプ用UO鋼管の溶接部として、低温靱性に優れたシーム溶接部を提供することができる。
したがって、上記シーム溶接部を備えるラインパイプ用UO鋼管は、極寒冷地で高い信頼性のもとで使用できるので、本発明は、ラインパイプ製造産業及びラインパイプ建設産業において利用可能性が高いものである。
1 鋼板
2 溶接部
3 溶接金属
4 HAZ部
5 ノッチ
5a ノッチ5の中央
6 衝撃試験片(試験片)
7 溶融線
8 開先

Claims (4)

  1. X60〜X80級の板厚が20mm以上の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による二層溶接により溶接して製造するUO鋼管の溶接部において、
    (i-1)後続溶接部の溶接金属の板表面から7mmの位置の溶融線の接線の傾きと、溶接ビードの中央線のなす角度が15°以上で、かつ、
    (ii)板表面から7mmの位置の溶接金属中央の靭性が、溶融線から0.5mmの溶接熱影響部の靭性の2.0倍以上である
    ことを特徴とする低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部。
  2. X60〜X80級の板厚が20mm以上の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による二層溶接により溶接して製造するUO鋼管の溶接部において、
    (i-2)先行溶接部の溶接金属の板表面から7mmの位置の溶融線の接線の傾きと、溶接ビードの中央線のなす角度が15°以上で、かつ、
    (ii)板表面から7mmの位置の溶接金属中央の靭性が、溶融線から0.5mmの溶接熱影響部の靭性の2.0倍以上である
    ことを特徴とする低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部。
  3. X60〜X80級の板厚が20mm以上の鋼板を円筒状に成型して、あらかじめ開先加工を施した突合せ面を、多電極サブマージアーク溶接により、内面から一層、外面から一層による二層溶接により溶接して製造するUO鋼管の溶接部において、
    (i)先行溶接部及び後続溶接部の溶接金属の板表面から7mmの位置の溶融線の接線の傾きと、溶接ビードの中央線のなす角度が15°以上で、かつ、
    (ii)板表面から7mmの位置の溶接金属中央の靭性が、溶融線から0.5mmの溶接熱影響部の靭性の2.0倍以上である
    ことを特徴とする低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部。
  4. 前記溶接金属の化学組成が、質量%で
    C :0.03%以上、0.12%以下、
    Si:0.05%以上、0.50%以下、
    Mn:0.80%以上、2.20%以下、
    P :0.015%以下、
    S :0.010%以下、
    Cu:1.00%以下、
    Nb:0.050%以下、
    V :0.020%以下、
    O :0.015%以上、0.045%以下、
    N :0.0080%以下、
    Al:0.003%以上、0.035%以下、
    Ti:0.005%以上、0.030%以下、
    B :0.0004%以上、0.0040%以下、
    かつ、必要に応じて
    Ni:2.0%以下、
    Cr:1.5%以下、
    Mo:1.0%以下の一種又は二種以上、
    残部:Fe及び不可避的不純物からなり、さらに、
    下記式(1)で定義するPcmが0.120以上、0.300以下であり、
    下記式(2)で算出するα’が、−10以上、30以下である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の低温靭性に優れたサブマージアーク溶接部。
    Pcm=[C]+[Si]/30+([Mn]+[Cu]+[Cr])/20
    +[Ni]/60+[Mo]/15+[V]/10+5[B] ・・・(1)
    [A]は、元素Aの質量%
    α’=(1.5×([O]−0.89×[Al])+3.4×[N]−[Ti])
    ×1000 ・・・(2)
    [A]は、元素Aの質量%
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