JP2015149994A - 被検体情報取得装置および信号処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検体の形状を規定することなく、多重反射により発生した虚像の診断への影響を減らす被検体情報取得装置を提供する。【解決手段】被検体から発生した音響波を複数の測定位置で受信し複数の信号に変換する音響検出手段と、被検体の表面形状情報を取得する形状情報取得手段と、表面形状情報に基づいて、複数の信号から、特定位置で発生した音響波に由来する対象信号を推定する信号推定手段と、信号推定手段により推定された対象信号を低減する低減手段と、低減手段により対象信号が低減された複数の信号を用いて、被検体内部の特性情報を取得する取得手段とを有する。【選択図】図3

Description

本発明は、被検体情報取得装置および信号処理方法に関する。
近年、医療分野において、生体内部を非侵襲的にイメージングする装置の一つとして、光と超音波を用いて生体機能情報が得られるPhotoacoustic Tomography(PAT:光音響トモグラフィー)が提案され、開発が進んでいる。
光音響トモグラフィーとは、光音響効果を用いて、音響波の発生源となる内部組織を画像化する技術である。光音響効果とは、光源から発生したパルス光を被検体に照射すると、被検体内で伝播・拡散した光の吸収によって音響波(典型的には超音波)が発生する現象である。受信された音響波の時間による変化を複数の個所で検出し、得られた信号を数学的に解析処理、すなわち再構成し、被検体内部の吸収係数など光学特性に関連した情報を三次元で可視化する。
パルス光に近赤外光を用いた場合、近赤外光は生体の大部分を構成する水を透過しやすく、血液中のヘモグロビンで吸収されやすい性質を持つため、血管像をイメージングできる。さらに、異なる波長のパルス光による血管像を比較することによって、機能情報である血液中の酸素飽和度を測定することが期待されている。すなわち、悪性腫瘍周辺の血液は良性腫瘍周辺の血液より酸素飽和度が低くなっていると考えられるので、酸素飽和度を知ることによって腫瘍の良悪を鑑別できる。
また、光音響トモグラフィーと同様に、音響波を受信して生体機能情報を画像化するものとして超音波検査装置が挙げられる。超音波検査装置は、生体に音響波を送信し、生体内で反射した音響波を受信し、画像化する。音響波は、音響波が伝播する速度と密度の積である音響インピーダンスの異なる界面で反射する性質があるので、超音波検査装置では生体の音響インピーダンスの分布を可視化できる。
音響波を用いる場合、音響波の多重反射による画質の低下が問題となることがある。多重反射とは、音響検出器と被検体の間に、音響インピーダンスが異なる層がある場合、その層の両面で何度も音響波が反射することである。多重反射が発生する層を、多重反射層と呼ぶ。音響波源(被検体表面や被検体内の光吸収体、反射体など)から伝搬した強い音響波が多重反射の影響を受けて、時間的に遅れて音響検出器に到達すると、画像化した時に、音響波源が実在しない位置に虚像(アーティファクト)が生成される。
多重反射による時間遅れが少なければ、多重反射した音響波は、他の音響波源から伝搬した音響波とは重畳しないので、虚像が診断に及ぼす影響は少ない。しかし、多重反射による時間遅れが多ければ、多重反射した音響波は他の音響波と重畳するため、虚像による診断能への影響が大きくなる。
多重反射層が厚ければ、多重反射による時間遅れは多くなり、多重反射層が薄ければ時間遅れは少なくなる。しかし、被検体が生体である場合、被検体形状は測定ごとに異なる曲面であるので、多重反射層を薄くするためには音響検出器の形状を被検体に合わせる必要があり、これはきわめて困難である。したがって、多重反射層は厚くなり、多重反射による虚像の影響が大きくなる。
特開平7−178081号公報
被検体の保持や音響検出器の走査などの計測上の制約から、音響検出器と被検体の間の層(多重反射層)に厚みを持たせる場合、従来は、特許文献1のように、多重反射層の形状を規定していた。ここで、多重反射層の形状を規定するということは、被検体表面の形状を規定することだと捉えることもできる。多重反射層の形状を規定することによって、多重反射による音響波が常に同じ場所に出現するようにできる。従来は、このようにして多重反射した音響波を同定し、信号処理によって低減していた。
一方、被検体の形状を規定しないで測定を行った場合、被検体の形状が測定ごとに変化するため、多重反射信号を推定、同定し低減することは難しい。
また、被検体が人体などの生体の場合、被検体表面の形状には個人差がある。そのため、多重反射層を一定の形状に規定し、全ての人に適用することは難しい。
本発明は、このような課題認識に基づいてなされたものである。本発明の目的は、被検体の形状を規定することなく、多重反射により発生した虚像の診断への影響を減らすことにある。
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
被検体から発生した音響波を複数の測定位置で受信し複数の信号に変換する音響検出手段と、
前記被検体の表面形状情報を取得する形状情報取得手段と、
前記表面形状情報に基づいて、前記複数の信号から、特定位置で発生した音響波に由来する対象信号を推定する信号推定手段と、
前記信号推定手段により推定された前記対象信号を低減する低減手段と、
前記低減手段により前記対象信号が低減された前記複数の信号を用いて、前記被検体内部の特性情報を取得する取得手段と、
を有することを特徴とする被検体情報取得装置である。
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、
被検体の表面形状情報に基づいて、前記被検体から発生した音響波を複数の測定位置で受信して得られた複数の信号から、特定位置で発生した音響波に由来する対象信号を推定する信号推定ステップと、
前記信号推定手段により推定された前記対象信号を低減する低減ステップと、
前記対象信号が低減された前記複数の信号を用いて、前記被検体内部の特性情報を取得する取得ステップと、
を有することを特徴とする信号処理方法である。
本発明によれば、被検体の形状を規定することなく、多重反射により発生した虚像の診断への影響を減らすことができる。
本発明の一実施形態に係る装置の配置を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の原理を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の原理を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の処理を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の実施方法を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の配置を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の実施方法を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の実施方法を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置の配置を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る装置による処理結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る装置による処理結果を示す図である。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明は、被検体から伝播する音響波を検出し、被検体内部の特性情報を生成し、取得する技術に関する。よって本発明は、音響波測定装置またはその制御方法、あるいは音響波測定方法や信号処理方法として捉えられるし、被検体情報取得装置またはその制御方法、あるいは被検体情報取得方法としても捉えられる。本発明はまた、これらの方法をCPU等のハードウェア資源を備える情報処理装置に実行させるプログラムや、そのプログラムを格納した記憶媒体としても捉えられる。
本発明の被検体情報取得装置は、被検体に光(電磁波)を照射し、光音響効果に従って被検体内または被検体表面の特定位置で発生して伝搬した音響波を受信(検出)する、光音響トモグラフィー技術を利用した装置を含む。このような被検体情報取得装置は、光音響測定に基づき被検体内部の特性情報を画像データ等の形式で得ることから、光音響装置とも呼べる。
光音響装置における特性情報とは、光照射によって生じた音響波の発生源分布、被検体内の初期音圧分布、あるいは初期音圧分布から導かれる光エネルギー吸収密度分布や吸収係数分布、組織を構成する物質の濃度分布を示す。組織を構成する物質とは、例えば、酸素飽和度分布や酸化・還元ヘモグロビン濃度分布などの血液成分、あるいは脂肪、コラーゲン、水分などである。
本発明の被検体情報取得装置にはまた、被検体に音響波を送信し、被検体内部の特定位置で反射した反射波(エコー波)を受信して、特性情報を画像データ等の形式で得る超音波装置を含む。超音波装置における特性情報とは、被検体内部の組織の音響インピーダンスの違う箇所での反射波に基づく、形態情報を反映した情報である。
本発明でいう音響波とは、典型的には超音波であり、音波、音響波と呼ばれる弾性波を含む。光音響効果により発生した音響波のことを、光音響波または光超音波と呼ぶ。探触子により音響波から変換された電気信号を音響信号とも呼ぶ。
[実施形態1]
本発明は、被検体の表面形状を取得し、その表面形状を用いて反射信号を予測するものである。本実施形態では、光音響トモグラフィーでの実施において、後述する遅延形状を用いて反射信号を低減する。ただし、以下の手法は超音波検査装置にも適用できる。
本稿では、特に記載がなければ、反射信号とは、虚像の原因となる多重反射した音響波の信号のことを示す。まず、本発明、本実施形態の原理について述べ、その後、構成要素、実施方法、具体的な処理方法を説明し、最後に効果について述べる。
(原理)
本発明の原理について述べる。図1は被検体、音響波検出器の配置と、生体表面で発生した音響波の伝播経路を示すものである。以下、図1のように、多重反射層(音響整合材)、被検体、および音響検出器の音響インピーダンスが互いに異なる場合を考える。
図1において、音響検出器102に含まれる複数の音響検出素子103は、多重反射層(音響整合材)105を介して、パルス光104を照射された被検体101で発生して伝播する光音響波を受信する。
なお、音響検出素子は単一であっても構わない。その場合、音響検出素子を被検体上での測定位置を移動させる走査機構を設けることで、複数の測定位置で光音響波を検出できる。それぞれの測定位置における音響信号に対して本発明の低減処理の手法を適用すれば、各実施形態と同様の効果を得られる。
光音響トモグラフィーでは、光源から照射されたパルス光を吸収した場所で、その吸収量に応じて音響波が発生する。このとき図1に示すように、被検体表面や音響検出器表面などには、減衰していない強いパルス光が照射されるので、強い音響波が発生する。発生する音響波の伝播方向は、被検体表面、音響検出器表面の法線方向となる。
被検体表面と音響検出器表面で発生した音響波は多重反射層(音響整合材)を伝播し、それぞれ音響検出器表面と被検体表面に到達する。そこで、一部の成分はそのまま透過して伝播し、残りの成分は反射される。透過、反射成分の割合は各物質の音響インピーダンスに応じたものとなる。反射は、光と同様に、入射角と反射角が同じになるように反射される。
パルス光の速度は音響波に比べて十分早いため、音響波が発生するタイミングは、発生場所によらず同時とみなせる。そのため、被検体表面から発生した信号が、最初に音響検出器に到達した時に得られる信号は、多重反射層の厚さに応じて遅延している。
また、音響検出器の表面から発生した音響波が被検体表面で反射して戻ってきたとき得られる信号は、多重反射層を2回通っているので、これも多重反射層の厚さに応じた遅延が発生する。さらに反射が繰り返された場合も、多重反射層の厚さに応じて遅延が発生する。
多重反射層の厚さは、被検体表面の形状と探触子素子(または測定位置)の配置、つまり音響検出器の形状によって決定されているので、多重反射による音響波の遅延は被検体表面の形状と探触子の形状によって推定できる。このことは、音響検出器の形状が平面でない場合にも成り立つ。
本実施形態では、音響検出器の形状が平面である場合について述べる。この場合、近似を用いて多重反射による音響波の遅延を簡単に推定できる。
まず、図2(a)に示すように、音響検出器表面と被検体表面が平行な場合について考える。図2(a)において、被検体201と、音響検出素子203(A〜E)を含む音響
検出器202は、多重反射層である音響整合材205を介して接している。
図2(a)の場合、入射と反射は同じ経路をたどる。したがって、多重反射による遅延は、多重反射層の厚さの整数倍となる。
図2(b)は、図2(a)中の音響検出素子で得られる信号を並べて示したものであり、素子位置は図2(a)、図2(b)で一致している。また、各信号の縦軸は電圧であり、検出された光音響波の強度を示す。また、横軸は時間を示し、光を照射した時刻を原点0とする。なお、音響検出素子が単独の場合、各素子は測定位置と読み替える。
図2(b)において、N1で示される信号は音響検出器表面で発生した信号である。N2は被検体表面で発生した信号が音響検出器に到達し、検出されたものである。N3は音響検出器表面で発生した音響波のうち被検体の方向に伝播したものが、被検体表面で反射されて、音響検出器に戻ってきて検出されたものである。N4は被検体表面で発生した音響波が一旦音響検出器まで伝播し、そこで反射され、さらに被検体表面で反射され、音響検出器で検出されたものである。同様に、音響検出器表面、被検体表面で発生した音響波が反射を繰り返して、N5、N6・・・として検出される。
ここで、時間0から各信号までの時間を遅延量と呼ぶことにする。図2(a)のように被検体表面と音響検出器表面が平行な場合、入射と反射は同じ経路をたどるので、得られる音響波信号は素子位置によらず同じ遅延量で検出される。言い換えると、図2(a)の場合の各素子で得られる信号は同位相である。
従って、音響素子位置と各音響検出素子で得られる信号の相対的な遅延量の関係を遅延形状と呼ぶことにすると、すべての素子位置で同じタイミングなので、遅延形状は直線もしくは平面となる。
次に、図2(c)に示すように、音響検出器表面と被検体表面が少し傾いた場合を考える。図3には、この場合の多重反射層での反射の様子を示す。図3から分かるように、反射波は入射波とは異なる経路をたどる。
この時、音響検出器表面と被検体表面の傾きが少なければ、入射波の伝播経路の長さ(A、B)と反射波の伝播経路の長さ(A’、B’)はほとんど同じであるので、A=A’、B=B’と近似できる。したがって、図2(d)に示すように、各素子ごとに、得られる信号におけるN1からN2までの長さは、N2からN3、N3からN4、N4からN5、N5からN6の長さと等しいとみなせる。
N1からN2までの長さは、各素子における多重反射層の厚さに比例している。多重反射層の厚さは、音響検出器の形状が平面であれば、被検体表面形状を測定するだけで得られる。よって、N1からN2までの長さを整数倍すれば、N3以降の信号の場所を算出できる。
また、音響検出素子間での信号の検出タイミングは、N1は同時であり、N2は該当する音響検出素子から被検体に伸ばした垂線の長さに応じて遅延が発生する。N3はN2の遅延量の2倍、N4は3倍、N5は4倍、N6は5倍というように、多重反射信号はN2で得られた遅延量の整数倍だけ遅延する。したがって、N3以降の遅延形状はN2の遅延形状を時間方向に整数倍引き延ばすことで得られる。
一方、音響検出器表面と被検体表面の傾きが大きい場合は、N1からN2の長さとN2からN3の長さを同じであると近似できない。そのため、N2の位置や、遅延形状から求まるN3以降の位置や、遅延形状を知ることは簡単にはできない。しかし、一般的に音響検出素子は正面の感度が高く、斜め方向の感度が低いという指向性を持つところ、傾きが大きい場合の反射した音響波は音響検出素子に斜めに入射する。そのため、音響検出器表
面と被検体表面がさらに傾いた場合の反射波は問題とならないことが多い。
(構成要素)
次に本発明の構成要素について図4を用いて説明する。本発明の被検体情報取得装置は、光源1、光照射装置2、多重反射層である音響整合材4、音響検出器5、電気信号処理装置6、遅延取得装置7、データ処理装置10、画像化処理装置14、表示装置15を有する。また、遅延取得装置7は形状情報取得装置8、反射信号推定装置9を含む。データ処理装置10は遅延調整装置11、空間周波数フィルタ12、遅延回復装置13を含む。また、本発明の測定対象は被検体3である。
(光源)
光源1はパルス光を発生させる装置である。光源としては大出力を得るため、レーザーが望ましいが、発光ダイオードなどでもよい。光音響波を効果的に発生させるためには、被検体の熱特性に応じて十分短い時間に光を照射させなければならない。被検体が生体の場合、光源から発生するパルス光のパルス幅は数十ナノ秒以下にすることが望ましい。
また、パルス光の波長は生体の窓と呼ばれる近赤外領域であり、700nm〜1200nm程度が望ましい。この領域の光は比較的生体深部まで到達するので、深部の情報を得るのに好適である。さらに、パルス光の波長は観測対象に対して吸収係数が高いことが望ましい。
(光照射装置)
光照射装置2は、光源1で発生させたパルス光を被検体3へ導く装置である。具体的には光ファイバーやレンズ、ミラー、拡散板などの光学機器である。これらの光学機器を用いて、パルス光の照射形状、光密度、被検体への照射方向などの照射条件を変更する。また、これらは光源1で調整してもよい。また、広い範囲のデータを取得するために、光照射装置2を走査させることによりパルス光の照射位置を走査させてもよい。このとき、音響検出器5と連動して走査を行うことが望ましい。以上の機能を満たすものであれば、上で挙げた光学機器にかぎらず利用できる。
(被検体)
被検体3は測定の対象である。被検体3として例えば、生体または、生体の音響特性と光学特性を模擬したファントムが想定される。光音響診断装置では被検体3の内部に存在する光吸収係数の大きい光吸収体をイメージングできる。
生体の場合、イメージングの対象はヘモグロビン、水、メラニン、コラーゲン、脂質などが挙げられる。ファントムの場合は、このようなイメージング対象の光学特性を模擬した物質を光吸収体として内部に封入する。また、生体は形状、特性に個人差、個体差がある。さらに被検体として、造影剤や分子プローブなどを、生体またはファントム中に注入したものを対象としても良い。
(音響整合材)
音響整合材4は被検体3と音響検出器5との間に設置され、両者を音響的に結合させて、被検体3から音響検出器5へ音響波が伝播しやすくする。音響整合材4の音響インピーダンスは、被検体3と音響検出器5の音響インピーダンスに基づき、音響波の反射が少なくなるように設定されることが望ましい。しかし、現実的には完全に反射をなくすことは不可能であり、音響整合材4が多重反射層となる。
音響整合材4としては、パルス光の吸収が少ない材質が望ましい。これによって、音響整合材からの光音響波の発生を低減できるので、画像上のアーチファクトを抑制できる。さらに被検体に多くの光を照射することも可能となる。また、音響整合材は均一であることが望ましい。音響整合材としては音響マッチングGELや水、オイルなどが使用される
(音響検出器)
音響検出器5は音響波を電気信号に変換する音響検出素子を、少なくとも一つ含む。光音響トモグラフィーでは、複数の場所からの音響波を受信することによって三次元イメージングを行う。そのため、単一の音響検出素子を走査させ複数の場所に移動させるか、複数の音響検出素子を別々の場所に設置して、複数の場所での音響波を受信する。
音響検出器5は感度が高く、周波数帯域が広いものが望ましい。具体的にはPZT、PVDF、cMUT、ファブリペロー干渉計を用いた音響検出器などが挙げられる。ただし、以上の機能を満たすものであれば、上に挙げたものに限らず利用できる。
(電気信号処理装置)
電気信号処理装置6は、音響検出器5で得られた電気信号を増幅するとともに、デジタル信号へと変換する。電気信号処理装置6は、具体的には電気回路から成るアンプやAnalog−digital Converter(ADC)などである。効率的にデータを取得するため、音響検出器5の受信素子数と同じだけアンプ及びADCがあることが望ましい。ただし、一つずつ用意したアンプ及びADCを順々につなぎ換えて使用してもよい。
(遅延取得装置)
遅延取得装置7は、音響整合材4で多重反射した音響波の遅延形状を得るものであり、本発明の骨子となる処理を行う装置である。本実施形態では遅延形状を得る形態について述べる。遅延取得装置7は、形状情報取得装置8と反射信号推定装置9を含む。
(形状情報取得装置)
形状情報取得装置8は、音響検出器5の受信領域に含まれる被検体3の表面形状情報を取得する。表面形状情報とは、被検体表面のうち音響検出器側の面の形状を言う。音響検出器5が二次元で走査し、時間も含めて三次元のデータをとる場合には、被検体3の表面形状も三次元で取得する必要がある。音響検出器5が二次元のデータを取得する場合には、被検体3の表面形状も音響検出器5に合わせた二次元でよいが、精度を向上させるために三次元で取得することが望ましい。形状情報取得装置は、本発明の形状情報取得手段に相当する。
被検体3の表面形状を得る方法は、光音響信号から得る方法、立体情報の測定可能なカメラで得る方法、レーザー距離計によって得る方法、超音波の照射によって得る方法などが考えられる。本実施形態では、光音響信号(光音響波に由来する電気信号)から得る方法について述べ、他の方法は実施形態5で述べる。この場合、形状情報取得装置8は、具体的にはコンピュータやFPGAなどのデジタル信号処理装置などである。光音響信号から被検体3の表面形状を得ることによって、新たな装置を増やすことなく、被検体3の表面形状を取得できる。
また、形状情報取得装置8に予め保存された複数の形状情報から、測定時の被検体の形状に対応する形状情報を形状情報取得装置8が読み出すことにより、形状情報を取得してもよい。このとき、ユーザーが入力部により測定時の被検体の形状や被検体を保持する部材の種類などを入力し、形状情報取得装置8がそれらに対応する被検体の形状情報を読み出してもよい。あるいは、形状情報取得装置8が被検体を保持する部材の種類を検知し、検知された部材の種類に対応する被検体の形状情報を読み出してもよい。
この手法の具体的な処理方法について述べる。被検体3の表面形状からは強い音響波が得られるが、より音響検出器に近い音響整合材からは強い音響波は得られない。さらに、
音響検出器の表面から得られる信号は、被検体によらず同じ時間に現れるので、あらかじめ強度ピークの現れるタイミングに基づき容易に特定できる。したがって、得られた信号に対し適切な閾値を設け、閾値以上になった個所のうち音響検出器の表面信号以外で時間的に最も早いものが、被検体の表面信号であると判定できる。その表面信号の出現する時間を得ることで、音響検出器からの被検体表面までの距離に対応した時間を取得できる。
この時間は音響波が被検体表面から音響検出器まで伝播するのにかかった時間なので、音響整合材における音響波の伝播速度を用いることで、被検体表面までの距離を算出でき、その結果表面形状を取得できる。
時間取得の処理を複数の測定位置で得られた信号に対して行い、測定位置に対応させて並べることによって、被検体の表面形状に対応した時間分布、つまり遅延形状が得られる。この時、信号に対してノイズ低減やテンプレートマッチングなどの処理を施し、被検体表面からの信号を強調することが望ましい。これによって、処理のロバスト性が向上する。また、信号以外から被検体3の表面形状を取得する際は、前述のように自動的に行われることが望ましいが、ユーザーが信号を見て判定し、手動で指定してもよい。
(反射信号推定装置)
反射信号推定装置9は、形状情報取得装置8で得られた被検体の表面形状から、前述の原理を用いて、反射信号を推定する装置である。反射信号推定装置は、本発明の信号推定手段に相当する。
反射信号の推定には、複数の測定位置での相対的な遅延量である遅延形状を推定し、その遅延形状と一致するものが反射信号であると同定する手法と、反射信号の絶対的な遅延量を推定する方法がある。本実施形態では前者について説明し、後者は実施形態3で説明する。反射信号推定装置9では遅延形状の推定のみを行い、遅延形状と一致するかどうかの判定は後段の装置によって行う。
前述の原理で述べたように、被検体の表面を示す信号の遅延形状を時間方向に整数倍引き延ばすと、反射信号の遅延形状が得られる。このような引き延ばし処理は、具体的には、被検体の表面を示す信号における、遅延形状を成す部分の遅延時間をそれぞれ整数倍することにより行われる。その結果得られた各遅延時間の相対的な関係が、整数倍引き延ばされた反射信号の遅延形状である。
また、理論上は多重反射には終わりがなく無限に続くが、反射波は反射を起こすごとに減衰していくので、測定したい信号に対して十分に減衰すれば、これ以降の多重反射は無視できる。したがって、推定する反射信号の遅延形状の数を、反射信号が十分に減衰する反射回数に応じて決めておくことが好ましい。
このあらかじめ決められた遅延形状の数は、反射信号推定装置9の内部や、記憶手段に保持しておくことが望ましい。これによってユーザーの作業が少なくなる。また、ユーザーが測定のたびに遅延形状の数を指定してもよい。これによって、被検体ごとに反射による減衰率が異なる場合でも、適切な量の処理を実行できる。
遅延形状の数は、被検体の大きさと反射波の伝播時間から決めてもよいし、反射波が十分に小さくなる反射回数から決めてもよい。決められた遅延形状の数をMとすると、被検体の表面を示す信号の遅延形状を時間方向に2倍、3倍、・・・、M倍引き伸ばして、M−1個の反射波の信号の遅延形状が得られる。
(データ処理装置)
データ処理装置10は、推定された多重反射信号の遅延形状に基づいて、多重反射信号
を低減する。本実施形態では、データ処理装置10は、遅延取得装置7によって推定された多重反射信号の遅延形状と同じ形状の信号を低減する。遅延形状が複数得られている場合には、一つの遅延形状を用いた処理を行い、その出力に対して異なる遅延形状を用いた処理を行うというように、複数回処理を行う。
本実施形態では、データ処理装置10は遅延調整装置11、空間周波数フィルタ12、遅延回復装置13を含む。データ処理装置10が行う処理としては、上記の手法の他に、最適化計算を用いて反射信号を小さくする方法なども考えられる。ただし、遅延取得装置7で得られた遅延形状の信号を低減する方法であれば、これら以外の方法でも構わない。データ処理装置は、本発明の低減手段に相当する。
(遅延調整装置)
遅延調整装置11は、遅延取得装置7で推定された反射波の信号の遅延形状に基づいて、電気信号処理装置6で得られた各々の測定位置のデジタル信号の遅延を、すべての測定位置での反射信号の遅延が同時になるように調整する。
具体的な処理方法としては、各測定位置の信号に、反射信号の遅延が同時になるような時間オフセット(遅延)を設ける。この時、反射信号の遅延が同時になるような時間オフセットは、遅延形状を時間方向に反転させることで得られる。これによって、反射波の信号の遅延形状と同じ遅延形状をした信号は、遅延が同じ、つまり同位相になる。これを遅延調整信号と呼ぶことにする。
図5(a)は、電気信号処理装置6で得られたA〜Eの測定位置のデジタル信号を表している。N1〜N6は、図2(d)と同じものである。被検体表面信号N2の遅延形状に基づいて、生体表面信号N2の遅延が同じになるようにデジタル信号を調整すると、図5(b)のような遅延調整信号が得られる。
(空間周波数フィルタ)
空間周波数フィルタ12は、遅延調整装置11で出力された遅延調整信号に対し、図5のように各々の遅延調整信号を並べたときの、信号の時間原点の並んでいる方向に関する空間周波数の低い成分を、各時間ごとにすべての時間において低減する。
各時間において、並べた方向に信号を見ると、同位相の信号は、すべての測定位置で信号強度が同じ直流成分、つまり低周波成分となっている。一方、位相がそろっていない信号は、測定位置によって信号強度が異なり、高い周波数成分を含む。したがって、並べた方向に関する空間周波数の低い成分を低減することで、主に同位相になっている信号を低減できる。
また、時間領域や空間領域では、低減したい同位相の信号に別の必要な信号が重畳しているせいで低減がうまく行かない場合がある。しかしこのような場合でも、上述のように周波数フィルタを用いて周波数領域での低減処理を実行することにより、主に同位相の成分を低減し、必要な信号を残すようにできる。
理論上、反射波の信号の遅延形状は、被検体の表面を示す信号の遅延形状の整数倍となっている。しかし実際には、各層の密着度や音響波伝搬速度の不均一性があり、完全に整数倍とはならない。したがって、空間周波数フィルタ12で低周波成分を低減する際には、最も低周波の直流成分のみでなく、少し高周波側も含んで低減することが望ましい。
どの程度の高周波まで低減するかは、各層の密着度や音響波伝搬速度の不均一性に応じて決める。測定や装置ごとのばらつきは大きくなく、材料や構成に依存することが大きいので、あらかじめ行った試験測定で、低減する空間周波数を決めておくことが望ましい。また、低減する空間周波数は、測定したデータを見ながらユーザーが決めてもよいし、あ
らかじめ行った試験測定から装置ごとに決めてもよい。
図5(b)の遅延調整信号を空間周波数フィルタ12で同位相の信号を低減すると図5(c)のようになる。この図が示すように、主に位相がそろった信号が低減され、位相がそろっていない信号はほぼ低減されない。
(遅延回復装置)
遅延回復装置13は、空間周波数フィルタ12で出力された同位相の信号が低減された信号に対して、遅延調整装置11で設けられた時間オフセットを逆方向に戻す、逆処理を行う。これにより、遅延形状に相当する部分の位置が、元の信号での位置に戻る。この結果、元の信号から、遅延取得装置7で得られた遅延形状と同じ形状の信号を主に低減できる。
これを図で示すと、図5(c)の空間周波数フィルタ12の同位相の信号が低減された信号に対し、遅延回復装置13で遅延を回復することによって、図5(d)の信号を得る処理に相当する。
多重反射で遅延形状が複数得られる場合、前述のように、ある遅延形状に基づいてその遅延形状と一致する信号を低減し、さらにその結果に対して、異なる遅延形状に基づいて、その遅延形状と一致する信号を低減する。
図5(d)に示された被検体表面信号N2を低減済みの信号から、さらにN3を低減する場合を例として説明する。まず、被検体表面信号N2の遅延形状を2倍に引き延ばしたN3の遅延形状を用いて、遅延調整装置11でN3が同位相になるように遅延を調整すると、図5(e)が得られる。この信号から、空間周波数フィルタ12で同位相の信号を低減したものが、図5(f)である。これを遅延回復装置13で処理すると、図5(g)のように、被検体表面信号N2と反射信号N3が低減された信号が得られる。
(画像化処理装置)
画像化処理装置14は、データ処理装置10によって得られた複数の測定位置の信号を再構成処理することによって、信号の発生源の空間分布を示す画像データを取得する。ここで得られる画像は、例えば、光を吸収した光吸収体から発生した音圧の空間分布を示す初期音圧分布である。
再構成処理の方法としては、微分処理した信号を、信号を得た位置から逆伝搬させ、重ね合わせるユニバーサルバックプロジェクション法が望ましい。ただし、信号の発生源の空間分布を画像化できれば、これに限らない。画像化処理装置は、本発明の取得手段に相当する。
なお、形状情報取得装置8、反射信号推定装置9、データ処理装置10、遅延調整装置11、空間周波数フィルタ12、遅延回復装置13、および画像化処理装置14のそれぞれは、具体的にはCPU、GPUなどの素子を有するコンピュータや、FPGA、ASICなどの回路から構成される。また、それぞれの装置は、1つの素子や回路から構成されるだけではなく、複数の素子や回路から構成されていてもよい。また、それぞれの装置が行う各処理をいずれの素子や回路が実行してもよい。また、それぞれの装置において、上記の素子や回路を共用してもよい。
(表示装置)
表示装置15は、画像化処理装置14によって得られた画像を表示する。具体的にはディスプレイなどである。これによって、被検体内の情報を視認できる。
(実施方法のフロー)
次に、本実施形態の実施方法について、図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、パルス光を被検体に照射し(S1)、被検体内で発生した音響波を複数位置で受信する(S2)。受信した信号から、形状情報取得装置の説明で記述した処理方法を用いて被検体の表面形状を取得し(S3)、表面形状に基づいて、多重反射信号の遅延形状を推定する(S4)。
ここで、少なくとも一つ以上の遅延形状が得られるので、各遅延形状について順番にS5〜S7の処理を行っていく。ある遅延形状を用いて、反射信号の遅延形状が同時になるように得られた信号の遅延を調整し(S5)、同位相の信号を空間周波数フィルタを用いて低減し(S6)、遅延を元に戻す(S7)。所望の反射回数に対応した遅延形状すべてについて、S5〜S7の処理を行ったかどうかを判定し(S8)、まだすべての遅延形状について処理が終わっていない場合にはS5に戻る。すべての遅延形状について処理が終わった場合には、処理された信号を用いて画像化を行い(S9)、画像を表示する(S10)。
本実施形態の装置によって、簡便に多重反射層による多重反射信号を低減し、多重反射による虚像を低減した画像を取得できる。これによって多重反射による虚像の診断への影響を低減できる。なお、本発明の各実施形態を通じて、反射波成分の低減に限らず、被検体の表面波の成分の検出と低減も可能である。すなわち、低減の対象信号には、多重反射した信号と、光吸収体から伝播した信号が含まれる。さらに、本発明の各実施形態を通じて、反射波成分や表面波成分を完全に低減できない場合でも、これらの成分を低減することで、アーチファクトの影響に対する低減処理の効果は期待できる。
[実施形態2]
本実施形態では、実施形態1の多重反射層にさらに平行な反射層が入り、多重反射が複雑になった場合について述べる。実施形態1と異なるのは、反射信号推定装置9での遅延形状の推定における反射形状の個数である。したがって、主に原理と反射信号推定装置9について説明する。
図7のように、二層の音響整合層が、被検体と探触子の間にある場合を考える。図7において、音響検出器702に含まれる複数の音響検出素子703は、音響整合材705を介して、パルス光を照射された被検体701からの光音響波を受信する。音響整合材705は、音響整合層705Aと705Bの二層からなり、両者の境界を705Cとする。
二層構造を設ける理由は、音響検出器のスムーズな走査と被検体の保持を両立させるためである。すなわち、音響整合層705Bを、平面が保証できる固い平板などで構成することで、走査中の音響検出器と音響整合層との接触を維持できる。一方、音響整合層705Aは、被検体の形状に合わせるためにやわらかいゲルなどの物質とする。このような場合に、複数の音響整合層が存在し、そのうち少なくとも一つが平行という状況が発生する。各音響整合層の材質(硬さ)が異なるため、境界705Cにおいて音響インピーダンスが不整合となるおそれがある。
この場合、各音響整合層で多重反射が起こり、観測される信号における多重反射信号は複雑になる。この場合の音響波の伝播を考えると、音響整合層Bは平板なので、音響整合層Bでの反射は、波面にずれが発生しない。つまり、遅延形状が変わることはない。したがって、反射が複雑になったとしても、実施形態1と同じように、被検体表面の遅延形状を時間方向に整数倍して遅延形状を取得し、それと一致する信号が反射信号であると判定できる。
このことは、複数の音響整合層が存在するときに、一つの音響整合層が曲面であり、その他の音響整合層が平行であれば成立する。従って、音響整合層が2層の時だけでなく、
3層以上であっても、同様の方法で反射信号を推定できる。
実施形態1に比べ、本実施形態では、2つの反射波の信号の遅延形状を考慮する必要がある。音響検出器表面で発生した音響波が音響整合層Bで反射して検出される場合には、反射信号は各素子で同じタイミングで、つまり同位相で受信される。
また、被検体表面で発生した音響波が音響整合層B内で一往復して検出される場合、反射信号の遅延形状は、被検体の表面を示す信号の遅延形状と同じになる。さらに、音響検出器表面で発生した音響波が被検体表面まで伝播して反射し、そこから音響整合層B内で一往復して検出される場合の反射信号の遅延形状も、被検体の表面を示す信号の遅延形状と同じになる。
これらの場合、反射信号推定装置9において、被検体の表面を示す信号の遅延形状を時間方向に0倍、1倍、2倍、3倍、・・・、M倍引き伸ばして、M+1個の反射波の信号の遅延形状が得られる。なお、Mは、あらかじめ決められた、反射信号の遅延形状の個数とする。
本実施形態の装置によって、音響整合層が複数あって、反射が複雑になった場合でも、簡便に反射波の信号の遅延形状を推定し、低減できる。
[実施形態3]
本実施形態では、実施形態1の遅延形状の代わりに、遅延量を取得する場合について述べる。実施形態1と異なるのは、反射信号推定装置9の処理内容と、データ処理装置10である。したがって、主に反射信号推定装置9と、データ処理装置10および、実施方法について述べる。
以下、図2(b)、図2(d)を参照して説明する。
実施形態1の原理で述べたように、N2からN3、N3からN4、N4からN5、N5からN6の長さとN1からN2までの長さは等しいとみなせる。従って、音響検出器の表面で発生する信号N1の発生時刻と、被検体の表面形状の信号N2の発生時刻を取得できれば、N3以降の信号の遅延量は決定できる。
信号N1は、被検体によらず同じ時間に現れるので、あらかじめ同定可能であり、信号N2は形状情報取得装置8から得られる。したがって、N1〜N6の遅延量をTN1〜TN6とすると、反射信号推定装置9では、TN3=TN2+TN2−TN1、TN4=TN3+TN2−TN1、TN5=TN4+TN2−TN1、TN6=TN5+TN2−TN1というように取得できる。これにより、反射信号位置、つまり反射信号の遅延量が得られる。また、実施形態1と同様に、推定する反射信号の数を決めておくことが好ましい。
データ処理装置10は、実施形態1では遅延形状のみを使用していたが、本実施形態では遅延量のみを用いて低減を行う。データ処理装置10は、実施形態1と異なり、図8に示すように反射信号低減装置16からなる。
反射信号低減装置16は、反射信号推定装置9から得られた反射信号の遅延量を用いて、反射信号の時刻の信号強度をゼロにすることによって、低減する。
なお、この処理により、反射波に重畳した信号の強度もゼロになってしまう。しかし、装置は複数の測定位置において信号を測定しているので、信号の音源が反射波の音源と一致していない限り、他の測定位置の信号は反射信号と重畳しない。そのため、反射波に重畳した信号の強度もゼロにすることの影響は限定的である。
本実施形態の実施方法を、図9のフローチャートに示す。
S1〜S3は実施形態1と同じである。本実施形態では、被検体の表面形状から、前述の方法によって遅延量を推定し(S11)、反射信号を低減する(S12)。この時、推定した反射信号すべてについて処理が行われたかどうかを判定し(S8)、終わっていない場合はS12に戻り、低減を繰り返す。すべての反射信号について低減が終わった場合は、処理された信号を用いて画像化を行い(S9)、画像を表示する(S10)。
本実施形態の装置を用いることによって、測定位置の数が少なく、遅延形状に信頼性がない場合でも、反射信号を低減できる。
また、実施形態1と本実施形態の組み合わせで、遅延形状と遅延量の両方を用いて、反射信号の低減を行ってもよい。その場合、算出された遅延量に該当する遅延時間の低空間周波数の成分を選択的に低減できる。これによって、被検体中にある吸収体からの信号を低減することを避け、精度の高い反射信号低減を実施できる。
[実施形態4]
本実施形態では、反射信号を低減せずに表示のみする装置について述べる。実施形態1と異なるのは、遅延取得装置7の後のデータ処理装置10、画像化処理装置14がないことである。したがって、遅延取得装置7の後の処理について述べる。本実施形態では、反射信号推定装置9で反射信号の遅延形状、もしくは遅延量を得る。
まず、遅延形状を得る場合について説明する。本実施形態の構成要素について図10を用いて説明する。構成要素の1〜9は実施形態1と同じである。反射信号抽出装置17は、反射信号推定装置9から得られた遅延形状と、電気信号処理装置6から得られた信号とを比較し、遅延形状と同じ形状になっている成分を信号の中から探索し抽出する。探索・抽出の方法としては、計算速度を高められるため、遅延形状をテンプレートとするテンプレートマッチングが好ましい。ただし形状を探索できる方法であればこれに限らず、近傍法や統計的パターン認識など、他の方法でもよい。
画像化処理装置14は、実施形態1と同様に再構成を行う。本実施形態では、反射信号抽出装置17で抽出された反射信号を再構成に用いるので、反射信号からなる画像データが得られる。表示装置15は、この再構成画像を表示する。
さらに、電気信号処理装置6から得られた信号処理を行わないデジタル信号を画像化処理装置14で再構成し、反射信号からのみなる画像との差異が分かるように表示装置15で表示することが望ましい。これによって、多重反射信号起因の虚像が判別できるようになる。
この時、両者を並べて表示してもよいし、半透明にして重畳して表示してもよいし、時間的に交互に表示してもよいし、ユーザーの任意のタイミングで切り替えて表示してもよい。
実施方法について図11のフローチャートを用いて説明する。S1〜S4までは実施形態1と同じである。得られた遅延形状と一致する信号を同定、抽出し(S13)、所望の反射回数に対応する反射信号まで全て抽出したかを判定する(S8)。終わっていない場合はS8に戻り、終わった場合は画像化処理を行い(S9)、画像を表示する(S10)。
次に、遅延量を得る場合について説明する。本実施形態の構成要素について図12を用いて説明する。構成要素の1〜9は実施形態3と同じである。反射信号推定装置9から得られた遅延量から反射信号が同定できるので、反射信号抽出装置17は設けていない。その後、前述の遅延形状を用いた場合と同様に画像再構成と表示を行う。
本実施形態の装置を用いることによって、画像中における多重反射信号起因の虚像を表示することができ、通常の画像と見比べることによって、虚像による診断への影響を低減できる。
本実施形態では、画像化することによって虚像による診断への影響を低減したが、画像化せず反射信号を表示するだけでも、虚像による診断への影響を低減することが可能である。
[実施形態5]
本実施形態では、被検体の表面形状を、信号から取得するのではなく、立体情報の測定可能なカメラやレーザー距離計から取得する場合について述べる。実施形態1と異なるのは、遅延取得装置である。したがって、遅延取得装置について述べる。
本実施形態の構成要素について図13を用いて説明する。本実施形態では、被検体の表面形状を得るために、被検体3から形状情報取得装置8へ直接矢印が伸びている。言い換えると、本実施形態の形状情報取得装置8は、被検体の立体形状を直接計測する。したがって、形状情報取得装置8から得られるものは、空間上の距離である。
具体的には、形状情報取得装置8は、立体情報の測定可能なカメラやレーザー距離計である。ただし、形状情報取得装置8はこれらに限られず、被検体の立体形状が測定できるものであれば良い。
形状情報変換装置18は、形状情報取得装置8で得られた被検体の表面形状の距離のうち、音響検出器の正面方向の距離を、音響整合層における音響波の伝播速度を考慮して時間に変換する。使用する音響波の伝播速度は、あらかじめ用意した固定値を用いてもよいし、温度などを測定しあらかじめ用意したテーブルから伝搬速度を求めてもよいし、ユーザーがその都度指定してもよい。
形状情報変換装置18によって、被検体の表面を示す信号の遅延形状、もしくは遅延量が得られる。そこで反射信号推定装置9は、実施形態1〜3で述べたように、被検体の表面を示す信号の遅延形状、もしくは遅延量を用いて反射信号を推定する。
本実施形態の実施方法は実施形態1と同じである。
本実施形態の装置を用いることによって、信号から被検体の表面形状を得る方法に比べ、高いSN(シグナルノイズ)比で表面形状を得る処理が行えるので、安定して被検体の表面形状を取得できる。
[実施形態6]
実施形態1では音響検出器が平面であることを利用して、簡便に反射信号を推定した。本実施形態では、音響検出器が平面でないときにも利用できるシミュレーションを用いて反射信号の推定を行う方法について述べる。例えば、図14に示すように音響波検出器が曲面上に配置されている場合にも本発明によって反射信号の推定を行うことができる。図14において、音響検出器1702に含まれる複数の音響検出素子1703は、音響整合材1705を介して、パルス光を照射された被検体1701からの光音響波を受信する。この場合、被検体表面で発生した光音響波の音響整合材内での反射波を抽出・低減対象信号とする。
本実施形態の構成要素は実施形態1と同じである。一方、反射信号推定装置の処理内容が異なる。反射信号推定装置は被検体の表面形状の形状、音響整合層の形状、音響検出器の形状などを用いて、被検体表面や音響検出器表面から発生した音響波の伝播をシミュレーションし、信号として得られる反射波を予測する。
この予測処理において、被検体の表面形状の形状は、形状情報取得装置によって測定ごとに取得する。また、音響検出器の形状は常に同じであるので、あらかじめその形状を用意しておくことが望ましい。音響整合層については、音響検出器と被検体の表面形状が得られれば、その間の層を音響整合層とすることで形状取得できる。
また、音響伝播のシミュレーションに必要なパラメータである、音響整合層における音響波の伝播速度や、被検体、音響整合層、音響検出器の音響インピーダンスは、あらかじめ用意して記憶しておいた固定値を用いることが望ましい。音響整合層における音響波の伝播速度や被検体、音響整合層、音響検出器の音響インピーダンスは温度によって異なるため、温度を測定してあらかじめ用意したテーブルから求めてもよい。
また、被検体が生体の場合の音響インピーダンスは個人ごとに異なるため、あらかじめ音響インピーダンスを測定してもよい。ここで、用意するパラメータの精度が高ければ高いほど、シミュレーションで得られる反射波の精度が高くなる。反射信号推定装置によって反射信号を取得できれば、それをデータ処理装置に渡して、反射信号を低減することができる。
本実施形態の実施方法は実施形態1と同じである。
本実施形態の装置を用いることによって、音響検出器が曲面上に配置されている場合でも、反射波を精度よく推定することが可能になる。また、音響検出器が平面の場合でもあっても、反射波の推定精度が向上する。これによって、多重反射による虚像の低減を高い精度で実施可能になる。なお、音響検出素子が単独または少数の場合でも、目標とする測定位置に応じて素子を走査することで、同様の効果が得られる。
[実施形態7]
実施形態1では、音響検出器表面と被検体表面がほとんど平行である場合に、被検体の表面を示す信号の遅延形状を時間方向に整数倍引き延ばすことによって、反射信号の遅延形状を得ていた。本実施形態では、音響検出器表面と被検体表面が非平行であり、被検体の表面を示す信号と反射信号の遅延形状が整数倍の関係にない場合について述べる。
本実施形態の構成要素は実施形態1と同じであるが、反射信号推定装置9の処理内容が異なる。本実施形態において、反射信号推定装置9は、被検体の表面を示す信号の遅延形状を、時間方向に微小変化率で引き延ばす処理を行い、各段階における遅延形状を得る。具体的には、微小変化率で引き延ばす処理とは、被検体の表面を示す信号の遅延形状を、あらかじめ決めておいた微小変化率を用いて、時間方向に繰り返し引き延ばす処理である。
例えば、微小変化率をRとする。このとき、被検体の表面を示す信号の遅延形状を、時間方向に1+R、1+2R、1+3R倍、・・・の引き延ばし処理を行ってそれぞれの遅延形状を取得する。この処理を、あらかじめ決めておいた、推定する反射信号の遅延形状の上限数に達するまで行う。こうして取得された遅延形状と一致する形状が、反射信号であると推定できる。
ここでは遅延形状と一致する信号を低減するので、後段のデータ処理装置10は、得られた各遅延形状に基づいて信号を低減する。微小変化率と推定する反射信号の遅延形状の上限は、あらかじめ決めておくことが望ましいが、ユーザーがその都度入力してもよい。
本実施形態の装置を用いることによって、音響検出器表面と被検体表面が非平行の場合など、被検体の表面を示す信号の遅延形状を時間方向に整数倍引き延ばす処理では推定しきれない場合に、反射信号を推定し低減できる。
<実施例>
本発明の効果を、図15に示す実験体系にて確認した。
図15において、音響検出器1402は、音響整合材1405、被検体保持板1406およびそれを覆う音響整合液1407を介して、パルス光1404を照射された被検体1401で発生した光音響波を受信する。
被検体は生体のふくらはぎであり、被検体に接するようにゲル状の音響整合材を設置した。音響整合材は柔軟なものであり、生体の形状にフィットするようになっている。また、7mm厚のポリメチルペンテン製の被検体保持板が設置されている。音響検出器と被検体保持板の間の3mmの空間には、ひまし油である音響整合液が満たされている。被検体保持板と音響整合液は両面が平行になっている。
音響検出器とパルス光は、被検体が接している領域をすべて測定するように同期して走査される。音響検出器の素子には受信部の直径が2mm、中心周波数1MHzで帯域80%のPZTを用いた。この素子を平面方向に15x23個を並べ、一つの音響検出器とした。パルス光の光源には、波長797nmの光を、ナノ秒オーダーのパルス幅で発生させるTiSレーザーを用いた。
この実験体系において、パルス光の照射、音響波信号の収集、走査を繰り返し、全信号データを得た。この時用いられたアナログデジタルコンバータは、サンプリング周波数20MHz、分解能12bitであった。
図16(a)に、得られた信号を測定位置に合わせて並べたものを示す。被検体の表面が200samplesに観測されており、この形状が被検体表面の遅延形状である。その後、400〜600samplesの位置に多重反射信号群が現れている。単体でなく複数の反射信号が存在するのは、多重反射層となる層が複数あり、間隔の異なる反射が何重にも起こっているためである。また、800〜1000samplesにも、多重反射信号群が現れている。ここの領域では、反射を繰り返して信号強度が小さくなっている。
図16(b)に、実施形態2で述べた装置を用いて、多重反射信号を低減したものを示す。ここでは、推定する反射信号の遅延形状の数は4つとし、被検体表面の遅延形状を時間方向に0、1、2、3倍引き延ばした形状を反射波の信号の遅延形状として、反射信号の低減を行った。図16(a)、図16(b)を見比べると、多重反射信号が低減されていることが分かる。
次に、信号を画像化処理し、3次元画像を得た。画像化処理には、ユニバーサルバックプロジェクションを用いた。図16(a)に示した未処理の信号を画像化し、反射信号のスライスを表示させた画像を図17(a)に示す。また、図16(b)に示した実施形態2で述べた装置を用いて処理した信号を画像化し、図17(a)と同じスライスを表示させた画像を図17(b)に示す。
両者を比較すると、処理をしない場合は、被検体の表面形状を反映した反射信号が画像化され虚像となって表れているが、本発明の装置を用いて反射信号を低減することによって、虚像が低減されている。
また、同じ3次元画像のうち生体由来の構造物が顕著に表れているスライスにおいて、未処理の信号、処理済みの信号から作成された画像をそれぞれ図17(c)、図17(d)に示す。両者を比較すると、生体由来の構造物は影響をほとんど受けていないことがわかる。
以上のことから、本発明の装置を用いることによって、生体由来の構造物にほとんど影
響を与えずに、虚像を主に低減できることが示された。
5:音響検出器,8:形状情報取得装置,9:反射信号推定装置,10:データ処理装置,14:画像化処理装置

Claims (15)

  1. 被検体から発生した音響波を複数の測定位置で受信し複数の信号に変換する音響検出手段と、
    前記被検体の表面形状情報を取得する形状情報取得手段と、
    前記表面形状情報に基づいて、前記複数の信号から、特定位置で発生した音響波に由来する対象信号を推定する信号推定手段と、
    前記信号推定手段により推定された前記対象信号を低減する低減手段と、
    前記低減手段により前記対象信号が低減された前記複数の信号を用いて、前記被検体内部の特性情報を取得する取得手段と、
    を有することを特徴とする被検体情報取得装置。
  2. 前記特定位置とは、前記音響検出手段と前記被検体の間に配置された音響整合材に接する前記被検体の表面、または、前記音響整合材に接する前記音響検出手段の表面の少なくとも一つを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
  3. 前記信号推定手段は、前記被検体の表面形状情報に基づいて、前記複数の測定位置のそれぞれと、前記被検体の表面との間の距離を求め、前記距離に基づいて、前記複数の信号のそれぞれにおける前記対象信号の位置を推定する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の被検体情報取得装置。
  4. 前記信号推定手段は、前記被検体の表面または前記音響検出手段の表面の少なくとも一つで発生したのち、前記被検体の表面と前記音響検出手段の表面との間で多重反射した音響波に由来する信号を、前記対象信号として推定する
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  5. 前記信号推定手段は、前記音響波が前記被検体の表面と前記複数の測定位置との間を伝播する時間を整数倍することにより、前記多重反射した音響波に由来する信号を推定することを特徴とする請求項4に記載の被検体情報取得装置。
  6. 前記信号推定手段は、推定する前記多重反射の回数を設定する
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の被検体情報取得装置。
  7. 前記信号推定手段は、前記被検体の表面形状情報を用いて前記音響波の伝播をシミュレーションすることにより、前記対象信号を推定する
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  8. 前記形状情報取得手段は、前記被検体から発生した音響波を用いて前記表面形状情報を取得する
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  9. 前記形状情報取得手段は、立体情報を測定可能なカメラを用いて前記表面形状情報を取得する
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  10. 前記形状情報取得手段は、レーザー距離計を用いて前記表面形状情報を取得する
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  11. 前記音響波は、前記被検体に光が照射されたことにより発生したものである
    ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  12. 前記音響波は、前記被検体に送信されたのち反射したものである
    ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  13. 前記取得手段は、前記特性情報に基づいて前記被検体内の画像データを取得する
    ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  14. 前記画像データを表示する表示手段をさらに有する
    ことを特徴とする請求項13に記載の被検体情報取得装置。
  15. 被検体の表面形状情報に基づいて、前記被検体から発生した音響波を複数の測定位置で受信して得られた複数の信号から、特定位置で発生した音響波に由来する対象信号を推定する信号推定ステップと、
    前記信号推定手段により推定された前記対象信号を低減する低減ステップと、
    前記対象信号が低減された前記複数の信号を用いて、前記被検体内部の特性情報を取得する取得ステップと、
    を有することを特徴とする信号処理方法。
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