JP2015149826A - 誘導機用ロータの製造方法及び誘導機用ロータ - Google Patents
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Abstract
【課題】スロット溝形成時に発生する加工バリがステータと干渉し得ない製造方法を提供する。
【解決手段】電磁鋼板からプレスによって打ち抜くことにより、ロータ(2)外周の近くにクローズドスロット(5)を有すると共に、クローズドスロット(5)に対向してロータ(2)の外周に形成される窪み(21)であるカウンターボア形状を有する円環状部材(4)を成形する工程と、この工程後に複数の円環状部材(4)を軸方向に積層してロータコア(3)を成形する工程と、ロータコア(3)を型に入れ、一定圧の溶けた金属を鋳込むことによって、クローズドスロット(5)内の導体(7)を成形する鋳造工程と、鋳造工程の後に機械加工によってスロット溝(22)を成形する工程とを含む。そして、前記溶けた金属の圧力で窪み(21)とクローズドスロット(5)の間の部材が破壊されることがないようにカウンターボア形状を設定する。
【選択図】図3
【解決手段】電磁鋼板からプレスによって打ち抜くことにより、ロータ(2)外周の近くにクローズドスロット(5)を有すると共に、クローズドスロット(5)に対向してロータ(2)の外周に形成される窪み(21)であるカウンターボア形状を有する円環状部材(4)を成形する工程と、この工程後に複数の円環状部材(4)を軸方向に積層してロータコア(3)を成形する工程と、ロータコア(3)を型に入れ、一定圧の溶けた金属を鋳込むことによって、クローズドスロット(5)内の導体(7)を成形する鋳造工程と、鋳造工程の後に機械加工によってスロット溝(22)を成形する工程とを含む。そして、前記溶けた金属の圧力で窪み(21)とクローズドスロット(5)の間の部材が破壊されることがないようにカウンターボア形状を設定する。
【選択図】図3
Description
この発明は誘導機用ロータの製造方法及び誘導機用ロータの改良に関する。
かご型ロータを有する誘導機において、ロータのクローズドスロットの内部に配置する導体及びロータ軸方向の両端のエンドリングを高圧鋳造するものがある(特許文献1参照)。
ところで、誘導機のモータとしての出力向上のため、導体及びエンドリングの鋳造後に、現状ではロータ外周とクローズドスロットの間の部材を機械加工で削除している。この機械加工によって形成される部位を「スロット溝」というが、スロット溝の周辺にバリが放射線状に生じる。この加工バリによってステータとの干渉や電流損失等が発生する。スロット溝周辺のこの加工バリを抑制する目的で、カウンターボア形状を設定することが考えられる。しかしながら、この場合にはロータ外周とスロットの間の部材のロータ径方向幅が小さくなる(部材の肉厚が薄くなる)。カウンターボア形状の設定によってロータ外周とスロットの間の部材のロータ径方向幅が小さくなるのでは、導体及びエンドリングの鋳造時の鋳造射出圧力でロータ外周とスロットの間の部材が破壊されてしまう可能性がある。
そこで本発明は、スロット溝形成時に発生する加工バリがステータと干渉し得ない誘導機用ロータの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、プレス成形工程と、ロータコア成形工程と、鋳造工程と、スロット溝成形工程とを含む誘導機用ロータ2の製造方法を前提としている。上記のプレス成形工程では、電磁鋼板からプレスによって打ち抜くことにより、外周の近くにクローズドスロットを有すると共に、前記クローズドスロットに対向してロータ2の外周に形成される窪みであるカウンターボア形状を有する円環状部材を成形する。上記のロータコア成形工程では、前記プレス成形工程により成形される複数の円環状部材を円環状部材の軸方向に積層することにより、ロータコアを成形する。上記の鋳造工程では、前記ロータコアを型に入れ、一定圧の溶けた金属を鋳込むことによって、前記ロータコアのクローズドスロット内の導体及びロータの軸方向の両端のエンドリングを成形する。上記のスロット溝成形工程では、前記鋳造工程の後に機械加工によってスロット溝を成形する。そして、本発明では、前記溶けた金属の圧力で前記窪みと前記クローズドスロットの間の部材が破壊されることがないように前記カウンターボア形状を設定する。
本発明によれば、スロット溝の成形によって生じる加工バリは、窪みよりロータ径方向内側に生じることから、スロット溝を加工するときに発生する加工バリとステータとの干渉を防止できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態のかご型誘導機1をロータ2の軸方向(以下「ロータ軸方向」という。)に直交する方向でみた概略断面図、図2はロータ2のうち導体7及びエンドリング8,9のみを取り出して示すロータ2の側面図である。図3は工程#1〜#3を説明するための図1のA部拡大図、図4はスロット溝成形工程#4を説明するための図1のA部拡大図である。なお、図1,図2には概略を示しており、大きさや寸法が図1と図2とで正確に対応するものでない。
図1は本発明の第1実施形態のかご型誘導機1をロータ2の軸方向(以下「ロータ軸方向」という。)に直交する方向でみた概略断面図、図2はロータ2のうち導体7及びエンドリング8,9のみを取り出して示すロータ2の側面図である。図3は工程#1〜#3を説明するための図1のA部拡大図、図4はスロット溝成形工程#4を説明するための図1のA部拡大図である。なお、図1,図2には概略を示しており、大きさや寸法が図1と図2とで正確に対応するものでない。
かご型誘導機1は、外周に位置するステータ11及びステータ11と同軸でステータ11内に回転可能に配置されるロータ2を備える。かご型ロータ2は、円筒状のロータコア3、ロータスロット5、ティース6、導体7、エンドリング8,9を有する。
ロータコア3は、電磁鋼板で形成される円環状部材4を厚さ方向(円環状部材の軸方向)に複数積層したものである。ロータ2の外周2a近くには、ロータ軸方向(図2参照)に走る四角棒状空間のロータスロット5がロータ2の周方向に等間隔で多数形成されている。ロータスロット5は、ロータ軸方向に直交する方向の断面が等脚台形状に形成される閉鎖溝(クローズドスロット)である。図3にも示したように、ロータスロット5のうちロータ径方向外側の平面(以下、単に「外側平面」という。)5a及びロータ径方向内側の平面5bがロータ径方向に対して直交して設けられている。ロータ2の周方向に隣り合う2つのロータスロット5,5の間にはティース6が形成されている。
ロータ軸方向に走る四角棒状空間の各ロータスロット5には、アルミダイキャスト製法(鋳造)によって導体7が成形される。すなわち、ロータコア3を金型に入れ、溶けたアルミニウム(溶湯)に圧力(鋳造射出圧力)を作用させて各ロータスロット5に流し込む。これによって、図2にも示したように各ロータスロット5内にロータ軸方向に走る四角棒状の導体7を形成すると共に、ロータ軸方向の両端にエンドリング(短絡環)8,9を形成する。エンドリング8,9は各導体7を電気的に短絡するものである。本実施形態では、溶かす金属はアルミニウムであるが、他の導体金属(例えば銅)であってよい。
上記のステータ11には、円筒状のステータコア12とコイルを備えている。ステータ11の内周11aの近くにはステータスロット(図示しない)がステータ11の周方向に等間隔で多数形成されている。ステータスロットは例えばセミクローズドスロットである。セミクローズドスロットはロータ側に開口部を有するものであり、これによってステータ11の内周面での磁束漏れを防止している。
上記ロータ2の製造方法には次の3つの工程#1〜#3を含んでいる。
プレス成形工程#1:ロータスロット(以下、単に「スロット」という。)5を有する円環状部材4を、電磁鋼板からプレスによって打ち抜き成形する。
ロータコア成形工程#2:打ち抜き成形した複数の円環状部材4を積層してロータコア3を成形する。積層した各円環状部材4が外れることがないようにカシメ、溶接等を用いて固定する。
鋳造工程#3:ロータコア3を金型に入れ、溶けたアルミニウム(溶湯)に一定の圧力(鋳造射出圧力)を作用させて流し込む(鋳造)ことにより、導体7及びエンドリング8,9を成形する。
さて、誘導機1のモータとしての出力向上のためには、次の2つの条件を満たすことが必要である。
条件1:ロータ外周2aとスロット5の外側平面5aの間の部材(電磁鋼板)のロータ径方向幅が小さい(部材の肉厚が薄い)か、もしくはロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材が存在しないほうがよい。これは、特にロータ外周面2aでの磁束漏れを防止するためである。
条件2:ロータ2とステータ11の間のクリアランスは小さいほうがよい。これは特にモータとしての効率や力率を向上させるためである。
上記2つの条件を満たすため、現状では導体7及びエンドリング8,9(以下、「導体等」という。)の鋳造後、次の工程#4を行っている。
スロット溝成形工程#4:ロータ外周2aからスロット外側平面5aに向けて機械加工を行い、溝を成形する。ロータ外周2aとロータスロット外側平面5aの間の部材を削除するわけである。この機械加工によってロータ外周2aからロータ径方向内側に向けて成形される溝を、以下「スロット溝」という。
しかしながら、機械加工によりスロット溝の周囲にバリが放射線状に生じる。この加工バリによってステータ11との干渉や電流損失等が発生する。スロット溝周辺のこの加工バリを抑制する目的で、上記の円環状部材4にカウンターボア形状を設定するものがある。ここで、「カウンターボア形状」とは、スロット5に対向してロータ外周2aに形成される窪みのことである。例えば、電磁鋼板からプレスによって打ち抜くことによって、カウンターボア形状を有する円環状部材を形成するわけである。
しかしながら、導体等の鋳造前にカウンターボア形状を円環状部材4に設定していると、カウンターボア形状を設定していない場合よりロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材のロータ径方向幅が小さくなる(部材の肉厚が薄くなる)。ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材のロータ径方向幅が小さくなると、導体等の鋳造時に、鋳造射出圧力を受けている溶湯がロータ外周2aとスロット5の間の部材を突き破ってしまう。言い換えると、鋳造射出圧力でロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材が破壊されてしまうという問題がある。現状では、カウンターボア形状の設定によって、導体等の鋳造時に鋳造射出圧力でロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材が破壊されることがある、という観点からカウンターボア形状を検討していなかったわけである。
そこで本発明の第1実施形態では、ロータ外周2aのスロット5に対向する位置に、ロータ軸と直交する方向の断面が四角形状の窪み21をカウンターボア形状として設定する。そして、この窪み21にはロータ軸方向にロータ2の両端まで走る底面21aと、この底面21aからロータ外周2aに向けて立ち上がる2つの側面(平面)21b、21cを有する。さらに、図3に示したように、窪み21の底面21aをスロット外側平面5aに対して平行な平面としている。
スロット外側平面5aに対して底面21aを平行な面とするのは、次の理由からである。すなわち、図3に示したように溶湯の鋳造射出圧力Pmはスロット外側平面5aに対して垂直な方向に作用する。このとき、窪みの底面21aがスロット外側平面5aに対して平行でなく、ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材に相対的に厚い部分と相対的に薄い部分とができたのでは、相対的に薄い部分で強度が弱くなり、溶湯がこの薄い部分を破壊し兼ねない。そこで、スロット外側平面5aに対して窪みの底面21aを平行な面として、ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材をロータ周方向に同じ厚さとすることで、相対的に薄い部分ができないようにするためである。
ここで、スロット外側平面5aと、窪みの底面21aとの間のロータ径方向幅をL、窪みの側面21b,21cの幅(ロータ径方向幅)をMとする(図3参照)。このとき、ロータ外周2aからスロット外側平面5aまでのロータ径方向幅(つまりL+M)は、ロータ2の仕様により予め決まっている。このため、導体等の鋳造時に鋳造射出圧力でロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材(電磁鋼板)が破壊されることがないようにLの寸法を定める。現状では、Lの寸法を定めていなかったため、鋳造射出圧力でロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材が破壊されることがあったのである。そこで、本実施形態では、Lの寸法を定めることで、ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材が破壊されることがないようにするのである。このようにしてLの寸法が定まれば、Mの寸法、つまりカウンターボア形状としての窪み21の深さが定まる。
次に、本実施形態でも、上記鋳造工程#3の後には、次のスロット溝成形工程#4を実行する。
スロット溝成形工程#4:窪み21に対し機械加工を行うことによって、スロット溝22を成形する。すなわち、図4に示したように、スロット外側平面5aと平行な平面をスロット溝22として成形する。図4において導体等の鋳造直後にカウンターボア形状としての窪みの底面21aが一点鎖線で示した位置にあったとすると、機械加工によって底面21aをさらに実線の位置まで削ってスロット溝22を形成する。削り代を所定の厚さΔLとすると、スロット溝成形工程#4の後には、スロット溝22とスロット外側平面5aの間の部材のロータ径方向幅L’は窪みの底面21aより所定の厚さΔLだけ小さくなる。
詳述すると、スロット溝22を加工するに際しては、窪み21のロータ軸方向の両端に削除代ΔLの分だけ切欠いた溝をレーザー等で予め成形する。このときの切欠き部の深さは0.3mm程度とする。このあと、機械加工で残りの底面21aの全体を機械加工で削り落としてスロット溝22を成形する。
このように本実施形態では、プレス成形工程#1と、ロータコア成形工程#2と、鋳造工程#3と、スロット溝成形工程#4とを含む誘導機用ロータ2の製造方法を前提としている。上記のプレス成形工程#1では、電磁鋼板からプレスによって打ち抜くことにより、スロット5に対向してロータ外周2aに形成される窪み21であるカウンターボア形状を有する円環状部材4を成形する。この場合、ロータ外周2aの近くにはスロット5(クローズドスロット)を有している。上記のロータコア成形工程#2では、プレス成形工程#1により成形される複数の円環状部材4を円環状部材4の軸方向に積層することにより、ロータコア3を成形する。上記の鋳造工程#3では、ロータコア3を金型(型)に入れ、一定圧の溶けた金属を鋳込むことによって、スロット5内の導体及びロータ2の軸方向の両端のエンドリング8,9を成形する。上記のスロット溝成形工程#4では、鋳造工程#3の後に機械加工によってスロット溝22を成形する。そして、本実施形態では、前記溶けた金属の圧力で窪み21とスロット5の間の部材が破壊されることがないようにカウンターボア形状を設定する。これによって、スロット溝22の成形によって生じる加工バリは、窪み21よりロータ径方向内側に生じることから、スロット溝22を加工するときに発生する加工バリとステータ11との干渉を防止できる。
本実施形態では、スロット5(クローズドスロット)が外側平面5a(ロータ外周側にロータ径方向に直交する平面)を有し、カウンターボア形状が、ロータ軸と直交する方向の断面が四角形状の窪み21である。そして、この窪み21にロータ軸方向に両端まで走る底面21aと、この底面21aからロータ外周2aに向けて立ち上がる2つの側面21b,21cを有する。このため、スロット溝成形工程#4でスロット溝22を加工するときに発生する加工バリは、カウンターボア形状としての窪みの底面21aよりロータ径方向内側で発生する。これによりスロット溝22を加工するときに発生する加工バリとステータ11との干渉を防止できる。
本実施形態では、窪みの底面21aが、スロット外側平面5a(クローズドスロットの有する平面)に対して平行な平面であるので、ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材に強度が相対的に弱くなる部分が生じることを防止できる。
(第2実施形態)
図5は第2実施形態のかご型誘導機1をロータ軸方向に直交する方向でみた概略断面図、図6は工程#1〜#3を説明するための図5のA部拡大図、図7はスロット溝成形工程#4を説明するための図5のA部拡大図である。第1実施形態の図1,図3,図4と同一部分には同一の符号を付している。
図5は第2実施形態のかご型誘導機1をロータ軸方向に直交する方向でみた概略断面図、図6は工程#1〜#3を説明するための図5のA部拡大図、図7はスロット溝成形工程#4を説明するための図5のA部拡大図である。第1実施形態の図1,図3,図4と同一部分には同一の符号を付している。
第1実施形態では、ロータ外周2aのスロット5に対向する位置に、ロータ軸と直交する方向の断面が四角形状となる窪み21をカウンターボア形状として設定した。一方、第2実施形態は、ロータ外周2aのスロット5に対向する位置に、ロータ軸と直交する方向の各断面が二等辺三角形状の一対(複数)の窪み31,32をカウンターボア形状として設定するものである。この一対の窪み31,32にはロータ軸方向にロータ2の両端まで走る2つの斜面31a,31b,32a,32bを有する。すなわち、一方の窪み31は、図6に示したように、二等辺三角形のうち斜辺に相当する同じ幅の2つの斜面31a,31bを有し、窪み31の底辺に相当する側がロータ外周2aに開口している。他方の窪み32の形状は一方の窪み31と同一である。他方の溝32も、図6に示したように、二等辺三角形のうち斜辺に相当する同じ幅の2つの斜面32a,32bを有し、窪み32の底辺に相当する側がロータ外周に開口している。
また、スロット5の中心を通るロータ径方向の線を考えたとき、この線を中心として一対の窪み31,32をロータ周方向の対称な位置に設ける。第2実施形態は窪みの数が2つの場合であるが、窪みの数はこれに限られるものでなく、窪みの数が3つ以上ある場合で合ってよい。
ここで、窪み31,32の底とスロット外側平面5aの間のロータ径方向幅をN、窪み31,32の深さ(ロータ径方向幅)をOとする(図6参照)。このとき、ロータ外周2aからスロット外側平面5aまでのロータ径方向幅(つまりN+O)は、ロータ2の仕様により予め決まっている。このため、導体等の鋳造時に鋳造射出圧力でロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材(電磁鋼板)が破壊されることがないようにNの寸法を定める。現状では、Nの寸法を定めていなかったため、鋳造射出圧力でロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材が破壊されることがあったのである。そこで、第2実施形態では、Nの寸法を定めることで、ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材が破壊されることがないようにするのである。このようにしてNの寸法が定まれば、Oの寸法、つまりカウンターボア形状としての窪み31,32の深さが定まる。
次に、第2実施形態でも、鋳造工程#3の後には、次のスロット溝成形工程#4を実行する。
スロット溝成形工程#4:窪み31,32に対し機械加工を行うことによって、スロット溝35,36を成形する。すなわち、図7において導体等の鋳造直後にカウンターボア形状としての窪み31,32の側面31a,31b,32a,32bが一点鎖線で示した位置にあったとして、機械加工によって側面をさらに実線の位置まで削ってスロット溝35,36を形成するのである。
第2実施形態では、カウンターボア形が、ロータ軸と直交する方向の断面が二等辺三角形状の一対(複数)の窪み31,32であり、一対の各窪み31,32にロータ軸方向にロータ2の両端まで走る2つの斜面31a,31b,32a,32bを有する。このため、スロット溝成形工程#4でスロット溝31,32を加工するときに発生する加工バリは、カウンターボア形状としての窪みの斜面31a,31b,32a,32bよりロータ径方向内側で発生する。これによりスロット溝31,32を加工するときに発生する加工バリとステータ11との干渉を防止できる。
(第3実施形態)
図8は第3実施形態のかご型誘導機1をロータ軸方向に直交する方向でみた概略断面図、図9は工程#1〜#3を説明するための図8のA部拡大図、図10はスロット溝成形工程#4を説明するための図8のA部拡大図である。第1実施形態の図1,図3と同一部分には同一の符号を付している。
図8は第3実施形態のかご型誘導機1をロータ軸方向に直交する方向でみた概略断面図、図9は工程#1〜#3を説明するための図8のA部拡大図、図10はスロット溝成形工程#4を説明するための図8のA部拡大図である。第1実施形態の図1,図3と同一部分には同一の符号を付している。
第1実施形態では、ロータ外周2aのスロット5に対向する位置に、ロータ軸と直交する方向の断面が四角形状の窪み21をカウンターボア形状として設定した。一方、第3実施形態は、ロータ外周2aのスロット5に対向する位置に、ロータ軸方向にロータ2の両端まで走る窪み41であって、ロータ軸と直交する方向の断面が円弧曲線41aの窪み41をカウンターボア形状として設定するものである(図9参照)。
ロータ軸と直交する方向の断面が円弧曲線41aとなるようにした理由は次の通りである。すなわち、図9に示したように溶湯の鋳造射出圧力Pmがスロット外側平面5aに対して垂直な方向に作用する。このため、窪み41とスロット外側平面5aの間の部材にはこの圧力Pmに受圧面積を乗算した力Fが作用する。この力Fは窪み41とスロット外側平面5aの間の部材の形状によってさらに2つの分力F1,F2に分解される。このように、2つの各分力F1,F2を窪み41の周辺に沿って逃すため、ロータ軸と直交する方向の断面が円弧曲線41aとなるようにしたのである。
ここで、窪み41の底とスロット外側平面5aの間のロータ径方向幅をP、ロータ外周2aから窪み41の底までの深さをQとする。このとき、第3実施形態によれば、窪み41の周辺に沿って各分力F1,F2を逃すことができる分だけ、窪み41の底とスロット外側平面5aの間のロータ径方向幅Pを第1実施形態のロータ径方向幅Lよりも小さくすることができる。ロータ径方向幅Pが第1実施形態のロータ径方向幅Lより小さくても、導体等の鋳造時に鋳造射出圧力でロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材(電磁鋼板)が破壊されることはないのである。
さらに、第3実施形態は、上記円弧曲線41aの曲率半径Rが2[mm]を超えるものとしている。これについて説明すると、図11は曲率半径に対する最大応力の特性図である。すなわち、横軸に円弧曲線41aの曲率半径R[mm]を、縦軸にロータ外周2aとスロット外側平面の間の部材に作用する最大主応力[MPa]を採っている。
図11に示したように、円弧曲線41aの曲率半径Rは最大主応力に対する感度が大きいことがわかる。電磁鋼板の降伏応力が256MPaであるとし、これに余裕代をみた320MPaを応力限界値として設定したとする。すると、図11より、応力限界値のときの曲率半径Rは2[mm]であるから、応力限界値を超えることがないようにするには、曲率半径Rを2[mm]を超える値とすればよいことわかる。つまり、曲率半径Rを2[mm]を超える値とすることで、鋳造射出圧力による破損なく、ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材のロータ径方向幅(部材の肉厚)を1mmまで小さくすることができる。このように、ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材のロータ径方向幅を小さくできるのであれば、スロット溝の加工を廃止することが可能となるケースがある。
次に、第3実施形態でも、鋳造工程#3の後には、次のスロット溝成形工程#4を実行する。
スロット溝成形工程#4:窪み41に対し機械加工を行うことによって、スロット溝45を形成する。すなわち、図10において導体等の鋳造直後にカウンターボア形状としての窪み41が一点鎖線で示した位置にあったとすると、機械加工によって窪みをさらに実線の位置まで削って円弧曲線のスロット溝45を形成する。窪み41の底での削り代を所定の厚さΔPとすると、スロット溝成形工程#4の後には、スロット溝45の底とスロット外側平面5aの間の部材のロータ径方向幅P’は窪み41の底より所定の厚さΔPだけ小さくなる。
第3実施形態では、カウンターボア形状が、ロータ軸方向に両端まで走る窪み41であってロータ軸と直交する方向の断面が円弧曲線41aであり、かつ円弧曲線41aの曲率半径Rが2mmを超える窪み41である。このため、スロット溝45を加工するときに発生する加工バリは、カウンターボア形状としての窪み41よりロータ径方向の内側で発生する。これによりスロット溝45を加工するときに発生する加工バリとステータ11との干渉を防止できる。
さらに、第3実施形態では次の効果を得る。カウンターボア形状としての窪み41は、ロータ軸と直交する方向の断面が円弧曲線41aであるため、鋳造射出時の応力を低減することができる。これによって、ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材(電磁鋼板)の破損を防止しつつ、この応力低減分だけ、ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の部材のロータ径方向幅を小さく(部材の肉厚を薄く)することができる。この結果、スロット外側平面5aをロータ外周2aにより近づけることが可能となる。スロット外側平面5aがロータ外周2aにより近づくと、スロット溝45による出力向上と同じ効果を得ることが可能となるため、スロット溝45を加工レス(加工不要)とすることができる。
(実施例)
実施例は、第3実施形態に対応して製作した。すなわち、図9に対応させて実施例のロータ2を製作した場合のロータのA部拡大図を図12に示すと、図12は実施例で製作したロータ2について窪み41の寸法を記載したものである。ただし、図12は実際の窪みの形状や寸法に対応するものでない。
実施例は、第3実施形態に対応して製作した。すなわち、図9に対応させて実施例のロータ2を製作した場合のロータのA部拡大図を図12に示すと、図12は実施例で製作したロータ2について窪み41の寸法を記載したものである。ただし、図12は実際の窪みの形状や寸法に対応するものでない。
実施例では、電磁鋼板からプレスによって打ち抜くことにより、円環状部材4を成形する際に、カウンターボア形状としての窪み41を形成した。この窪み41のロータ軸方向に直交する方向の断面を円弧曲線41aとし、この円弧曲線41aの円周方向幅を3mm、円弧曲線41aの曲率半径Rを10mmとした。上記の窪み41を有する円環状部材4をプレスで複数打ち抜いたあと、その複数の円環状部材4を積層し、全体を溶接によって一体化してロータコア3を製作した。このロータコア3を金型にセットして、一定圧力の溶けたアルミニウムを鋳込むことにより、導体5及びエンドリング8,9を成形した。
この導体等の鋳造時に、ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の電磁鋼板部材が、鋳造射出圧力(例えば700kg/cm2:68.6MPa)を受けてロータ径方向外側に向けて変形する。しかしながら、窪み41のロータ軸方向に直交する方向の断面が円弧曲線41aであり、この円弧曲線41aの曲率半径Rが10mmである。このため、ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の電磁鋼板部材に作用する圧力は、応力限界値(電磁鋼板の降伏応力に余裕代を加えた圧力である320MPa)以下である。ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の電磁鋼板部材に作用する圧力が応力限界値以下であると、ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の電磁鋼板部材の変形は弾性変形領域となる。変形が弾性変形領域となれば、鋳造射出圧力でロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の電磁鋼板部材が破壊されることがない。かつ、溶湯凝固後の凝固収縮により、ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の電磁鋼板部材は変形する前の形状に戻る。
(実施例の評価)
ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の電磁鋼板部材のロータ径方向幅(部材の肉厚)を0.5mmまで薄くすることが可能となる。
ロータ外周2aとスロット外側平面5aの間の電磁鋼板部材のロータ径方向幅(部材の肉厚)を0.5mmまで薄くすることが可能となる。
#1 プレス成形工程
#2 ロータコア成形工程
#3 鋳造工程
#4 スロット溝成形工程
1 かご型誘導機
2 かご型ロータ(ロータ)
2a ロータ外周
3 ロータコア
5 スロット(クローズドスロット)
5a スロット外側平面(ロータ外周側にロータ径方向に直交する平面)
7 導体
8,9 エンドリング
21 窪み
21a 底面
21b,21c 側面
22 スロット溝
31,32 窪み
35,36 スロット溝
41 窪み
41a 円弧曲線
#2 ロータコア成形工程
#3 鋳造工程
#4 スロット溝成形工程
1 かご型誘導機
2 かご型ロータ(ロータ)
2a ロータ外周
3 ロータコア
5 スロット(クローズドスロット)
5a スロット外側平面(ロータ外周側にロータ径方向に直交する平面)
7 導体
8,9 エンドリング
21 窪み
21a 底面
21b,21c 側面
22 スロット溝
31,32 窪み
35,36 スロット溝
41 窪み
41a 円弧曲線
Claims (6)
- 電磁鋼板からプレスによって打ち抜くことにより、ロータの外周の近くにクローズドスロットを有すると共に、前記クローズドスロットに対向してロータの外周に形成される窪みであるカウンターボア形状を有する円環状部材を成形するプレス成形工程と、
前記プレス成形工程により成形される複数の円環状部材を円環状部材の軸方向に積層することにより、ロータコアを成形するロータコア成形工程と、
前記ロータコアを型に入れ、一定圧の溶けた金属を鋳込むことによって、前記クローズドスロット内の導体及びロータの軸方向の両端のエンドリングを成形する鋳造工程と、
前記鋳造工程の後に機械加工によってスロット溝を成形するスロット溝成形工程と
を含む誘導機用ロータの製造方法において、
前記溶けた金属の圧力で前記窪みと前記クローズドスロットの間の部材が破壊されることがないように前記カウンターボア形状を設定することを特徴とする誘導機用ロータの製造方法。 - 前記クローズドスロットがロータ外周側にロータ径方向に直交する平面を有し、
前記カウンターボア形状は、ロータ軸と直交する方向の断面が四角形状の窪みであり、この窪みにロータ軸方向にロータの両端まで走る底面と、この底面からロータ外周に向けて立ち上がる2つの側面を有することを特徴とする請求項1に記載の誘導機用ロータの製造方法。 - 前記窪みの有する底面は、前記クローズドスロットの有する平面に対して平行な平面であることを特徴とする請求項2に記載の誘導機用ロータの製造方法。
- 前記カウンターボア形状は、ロータ軸と直交する方向の断面が二等辺三角形状の複数の窪みであり、前記複数の各窪みにロータ軸方向にロータの両端まで走る2つの斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の誘導機用ロータの製造方法。
- 前記カウンターボア形状は、ロータ軸方向にロータの両端まで走る窪みであって、ロータ軸と直交する方向の断面が円弧曲線であり、かつ円弧曲線の曲率半径が2mmを超える窪みであることを特徴とする請求項1に記載の誘導機用ロータの製造方法。
- 前記誘導機用ロータの製造方法により製造される誘導機用ロータ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014021162A JP2015149826A (ja) | 2014-02-06 | 2014-02-06 | 誘導機用ロータの製造方法及び誘導機用ロータ |
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JP2014021162A Pending JP2015149826A (ja) | 2014-02-06 | 2014-02-06 | 誘導機用ロータの製造方法及び誘導機用ロータ |
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2014
- 2014-02-06 JP JP2014021162A patent/JP2015149826A/ja active Pending
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