JP2015147187A - ナノ材料の分離方法 - Google Patents

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【課題】濃厚な薬液中からのナノ材料の効率的な分離、回収方法を提供する。【解決手段】ナノ材料を含んだ濃厚な薬液中にマイクロバブルを発生させ、マイクロバブル表面にナノ材料を付着させ、浮上させることにより、液中からナノ材料を分離する方法。ナノ材料がナノカーボン材料であり、カーボンナノチューブであるナノ材料の分離方法。【選択図】なし

Description

本発明はナノ材料の分離、回収方法に関するものである。
近年、様々なナノ材料が創出されており、たとえば、カーボンナノチューブやカーボンブラックをはじめとするナノカーボン材料等が厚生労働省により主要なナノマテリアルとして例示されている。ナノ材料は一般的な物質と比較して単位重量あたりの表面積が非常に大きいため液体を吸着保持し易く、薬液処理等を行った場合にナノ材料と薬液成分を分離、または薬液中からナノ材料を回収する事は容易でない。液中からのナノ材料の分離には、ろ過法ないしはろ材を用いる方法がしばしば用いられるが、操作開始後まもなく、ナノ材料がろ材表面にケーク層を形成してろ過抵抗を著しく増大させるため、高効率で処理を行うことは困難である。
ナノ材料のうち、とりわけナノカーボン材料は炭素−炭素の共有結合を基本とした骨格であるため官能基の導入等を目的とした化学処理が頻繁に行なわれている。また、ナノカーボン材料は分子間の相互作用が強く働くことから、反応効率や分子間隙への薬液分子の浸入性の観点から高い薬液濃度で処理を行うことが多い。このような処理を経たナノカーボン材料は、濃厚な薬液中に微小な固体として含まれたスラリーとして得られる。ここで、例えば化学修飾等により溶媒中に良分散、または溶解する系においてはこの限りでない。
ナノカーボン材料のうち、特にカーボンナノチューブ(CNT)はその細長い形状から分子間の相互作用や物理的な絡まりの影響が強く、ろ過時に高粘度のケークを形成してろ過抵抗を著しく増大させる傾向にある。CNTが官能基化等により親溶媒性を高めている場合には、ろ過抵抗の増大はさらに顕著であり、ろ過操作はよりいっそう困難になる。場合によってはろ過不能に陥ることもある。
上述のように液相処理を行った後にろ過を行い得られたナノ材料は、ウェットケークの形態で得られる。このウェットケークから薬液成分を除去するためには、さらに洗浄操作が必要になる。洗浄操作は、得られたウェットケークに対して薬液成分を抽出するための溶媒、ないしは分散媒中でさらにリスラリーし、再度ろ過を行う一連の操作を何度も繰り返す必要がある。操作の終点を判断するためには、リスラリーやろ過操作の状況により洗浄の程度がまちまちであるため、洗浄操作の度にろ液の分析が必要になる。
また、ナノ材料は特有の物性を発現することから、先端材料として期待される物質であると同時に、異物のコンタミネーションがある場合にはその特異な物性が著しく阻害される可能性がある。従来のろ過法ないしはろ材を用いる方法においてはウェットケークの掻き取り等の機械的な操作を行うため、ろ材や掻き取り刃の摩耗、擦過による異物のコンタミネーションの懸念がある。
一方、主に水処理に関する公知の分離技術として浮上分離法がある。浮上分離法は一般的に、水中から除去すべき不要成分に気泡を吸着させて浮力を与え、表層に浮上させた後に系外に排出する技術である。除去すべき不要成分が良好なフロックを形成することで浮上に有利になるため、フロックの形成を促す目的で凝集剤の添加を行うことが一般的である。凝集剤としては、不要成分を吸着するポリマーや、不要成分の自発的な凝集を促すpH調整剤等を少量添加する方法が広く行なわれている。また、該技術においては気泡径の大小により不要成分と気泡との吸着の程度に差があり、気泡径が小さいほどより吸着に有利であるとされている。近年においてはマイクロバブルと称される直径100μmからそれ以下の、より微細な気泡を用いる試みがなされており、マイクロバブルを用いた浮上分離法として知られている。ここで言うマイクロバブルはその他の呼称としてマイクロナノバブル、ナノバブルとも呼ばれることがある。
マイクロバブルは液中で帯電していることが以前から知られており、マイクロバブルの安定性はその実験系の組成に左右されると考えられる。例えば酸やアルカリ等の濃厚な水溶液のように、溶媒に対して著しく異なる電荷を持った物質が主成分の一部として含まれるような濃厚な薬液中では、マイクロバブルの安定性が損なわれると当業者が考えるのは自然であり、濃厚な薬液中において浮上分離法は活用されていない。
また、浮上分離法は上述の通り、水中から不要成分を除去する目的で使用され、発展してきた水処理分野の技術である。しかしながら、これとは視点を変えて、液中から製品となる固形分を回収するための分離回収の用には殆ど用いられていない。浮上分離法によるナノ材料の分離、またはそれに順ずる手法に関する報告には、例えば特許文献1〜4が開示されている。
特許文献1にはCNTの分離方法が開示されている。CNTは構造の違いにより金属性と半導体性があり、通常はこれらの混合物として得られることが知られている。ここでは、添加剤としてアミンを用いる事で、優先的に金属性単層カーボンナノチューブ(SWNTs)を液中へ分散させ、非分散状態の半導体SWNTsを除去して金属性SWNTsとして精製する方法が示されている。非分散状態の半導体SWNTsを除去する方法としては、遠心分離、ろ過等と並列して浮上分離を利用できることが例示されている。上記希薄アミン溶液にはテトラヒドロフラン中にオクチルアミンを1.0Mの濃度で含んだ溶液が使用されており、重量%濃度に換算すると13重量%以下と推算される。
特許文献2には、カーボングラフェンをはじめとするナノ材料の生成プロセスが開示されている。ここでは、生成したカーボングラフェンとMgOナノ粒子とを分離する手法として、通常知られている分離手法が適用可能であることが示されており、具体的にはろ過、遠心分離等と並列して浮上分離が例示されている。
特許文献3には、CNT、またはカーボンナノホーンの製造方法が開示されている。気相で生成した上記ナノ材料を、フィルターを介して捕集する方法と並列して浮上選別(湿式)が利用できることが例示されている。
特許文献4には、厚さ1〜数十nm、横サイズμmスケールのカーボンナノシートの製造方法が開示されている。ここでは、前処理工程にてすでに固液分離され得たカーボンナノシートを含む固体に対して、さらに水を添加することでカーボンナノシートを浮遊させ、選択的に回収できる技術が示されている。すでに浮遊した状態のカーボンナノシートは、油系捕集剤の添加、または発泡剤により液中に空気を導入することで浮上を促す方法のいずれかにより回収される。
これら列記した先行技術は、いずれも一般的な浮上分離法の適用に過ぎず、濃厚な薬液中においての実施を想定していない。
特許第4734575号 特表2013−542907 特開2011−51880 国際公開2008/152680号
ナノ材料に対して濃厚な薬液による薬液処理を行う場合、薬液中からのナノ材料の分離、回収が毎回必要になる。分離、回収方法として一般に行なわれているろ過法ないしはろ材を用いる方法では、ナノ材料がろ材表面にケーク層を形成してろ過抵抗を著しく増大させるため、高効率で処理を行うことは困難である。
また、上述の操作を経て得られたウェットケーク状のナノ材料から薬液成分を除去するためには、さらに洗浄操作が必要になる。洗浄操作は、得られたウェットケークに対して薬液成分を抽出するための溶媒、ないしは分散媒中でさらにリスラリーし、再度ろ過等を行う一連の操作と、操作の終点を判断するためのろ液の分析を何度も繰り返す必要があるため、効率的でない。
上述のように、従来のろ過法等によるナノ材料の分離、回収方法はバッチプロセスでの操作となる。このため、他の工程との連続設備化、設備の自動化は望めず生産効率が著しく低い。
また、従来のろ過法等においてはウェットケークの掻き取り等の機械的な操作を行うため、ろ材や掻き取り刃の摩耗、擦過による異物のコンタミネーションの懸念がある。
本発明は、このような実状に鑑みなされたものであり、濃厚な薬液中からのナノ材料の効率的な分離、回収方法を提供する。
濃厚な薬液中での浮上分離が実施可能なことは知られておらず、当業者においても実施可能性が低いと考えられていた。発明者は鋭意検討の結果、濃厚な薬液中においてナノ材料が浮上分離法により分離できることを新たに見出した。
本発明は、ナノ材料を含んだ濃厚な薬液中にマイクロバブルを発生させ、マイクロバブル表面にナノ材料を付着させ、浮上させることにより、液中からナノ材料を分離することを特徴とするナノ材料の分離方法を提供する。
すなわち、本発明は以下に示す特徴を含むものである。
(1)ナノ材料を含んだ14〜35重量%の酸またはアルカリを含む液体にマイクロバブルを発生させ、マイクロバブル表面にナノ材料を付着させ、浮上させることにより、液中からナノ材料を分離することを特徴とするナノ材料の分離方法。
(2)前記ナノ材料が浮上した液中から上層と下層を分離し、上層液に新たに酸、またはアルカリを溶解する液体を加えて同様の浮上操作を繰り返すことで、ナノ材料を含む上層中から酸またはアルカリを除去することを特徴とする(1)に記載のナノ材料の分離方法。
(3)ナノ材料がナノカーボン材料である(1)または(2)に記載のナノ材料の分離方法。
(4)前記ナノカーボン材料がカーボンナノチューブである(3)に記載のナノ材料の分離方法。
(5)前記酸またはアルカリが硝酸、混酸、アンモニアである(1)から(4)のいずれかに記載のナノ材料の分離方法。
(6)酸、またはアルカリを溶解する液体が水である(2)から(5)のいずれかに記載のナノ材料の分離方法。
本発明は、ナノ材料の分離、回収の用に対して、従来のろ過法等において課題となっていたろ過抵抗の増大による効率低下を解消し、さらにリスラリー操作、ろ液の分析を削減することで濃厚な薬液中からナノ材料を効率的に分離、回収することが可能になる。
また、本発明においては、前工程にて液相処理を行なう等して得られたナノ材料を含んだ濃厚な薬液スラリーを直接処理することができ、さらに薬液成分からナノ材料を分離、回収した後もスラリーとして扱うことができるため、後段の処理工程へ直接投じることが可能になる。これはナノ材料を終始流体として扱えることを意味しており、他の工程との連続設備化、設備の自動化を可能にするものであって、ナノ材料の生産効率を飛躍的に向上させる。
また、本発明は、従来のろ過法等と異なり、ケークの掻き取り等の機械的な操作が不要になるため、ろ材や掻き取り刃の摩耗、擦過による異物のコンタミネーションの防止に繋がる。
図1は製造例で使用した化学気相成長法の装置の概略図である。 図2は実施例、比較例で使用した浮上分離装置の概略図である。
本発明は、以下の特徴を有するナノ材料の分離方法である。
ナノ材料は、極めて微小な物質という意味合いで用いる語であり、その定義には種々あるが、ここでは厚生労働省が公表している「第1回ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会、第1回ナノマテリアルの安全対策に関する検討会」議事に記述の通り、少なくとも一次元が100nmより小さい物質と定義する。本国においては、厚生労働省から主要なナノマテリアルが例示されているが、本質的にはこれに限るものではなく、上記ナノ材料の定義に該当する物質全般に適用可能である。本発明は、ナノ材料のうち特にナノカーボン材料において有効であり、ナノカーボン材料のうち特にCNTにおいて極めて有効である。CNTのうち、直径が1〜50nmのCNTが特に有効であり、直径が1〜7nmのCNTが極めて有効である。また、CNTのうち、長さが0.1〜1000μmのCNTが特に有効であり、長さが0.1〜100μmのCNTが極めて有効である。CNTの直径、および長さは、CNTをマイカ基板上にキャストし、原子間力顕微鏡(AFM)写真から測定することができる。
上記ナノ材料は官能基や置換基の導入により化学修飾されていてもよく、それらは複数種含んでいてもよい。官能基や置換基には例えば水酸基、カルボキシル基、アルキル基等が挙げられる。
また、上記ナノ材料は、他の物質との複合体を形成していてもよく、ナノ材料と複合体を形成する物質は複数種含んでいてもよい。ナノ材料と複合体を形成する物質には例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのポリマーや、ドデシル硫酸ナトリウム等の界面活性剤、イオン等が挙げられ、ナノ材料同士が何らかの複合体を形成していてもよい。
液中のナノ材料の濃度には特に制限はなく、ナノ材料が良好に流動する条件であれば本発明を実施できるが、特に10重量%以下において有効であり、1重量%以下がより有効であり、500ppm以下が極めて有効である。
本発明では、上記ナノ材料が、酸、またはアルカリを含む液体から分離、回収されることを特徴とする。
本発明における酸には例えば硝酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、りん酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、くえん酸をはじめとする酸や、複数の酸を混合した混酸を選択できる。特にナノ材料の化学処理に頻繁に用いられる硝酸、塩酸、混酸において有効であって、硝酸、混酸において極めて有効である。
本発明におけるアルカリには例えばアンモニア、メチルアミンなどのアミン化合物、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの塩類をはじめとするアルカリや、複数のアルカリの混合物を選択できる。特に、ナノ材料の化学処理に用いられるアンモニアにおいて極めて有効である。
酸、アルカリの濃度は、溶媒、ないしは分散媒に対して14から35重量%が有効であり、15から30重量%がより有効であり、23から30重量%が極めて有効である。
本発明におけるナノ材料を含んだ液体のうち、溶媒、ないしは分散媒にあたる液体には、本発明を実施する際に選択した酸、またはアルカリを溶解するものであれば通常溶媒として知られているものを使用できる。例えば、水、メタノールやイソプロピルアルコール等のアルコール類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸エチルや酢酸メチル等のエステル類、アセトンやブタノンなどのケトン類、ヘキサンやオクタンなどの飽和炭化水素類、ベンゼンやトルエン等の不飽和炭化水素類、クロロホルムやジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類、これら複数の混合物を選択できる。特に、水において極めて有効である。
ナノ材料は、酸またはアルカリを含む液中に存在してスラリーを形成していることが好ましいが、溶解、または良分散状態にあるナノ材料が本発明における分離操作の過程で凝集や析出する等して結果的にスラリーを形成する場合には、本発明を適用できる。
本発明においては、前工程にて液相処理を行う等して得られたナノ材料を含んだ処理液を直接処理することができる。
本発明では上記のスラリー液中にマイクロバブルを発生させ、マイクロバブル表面にナノ材料を付着させ、浮上させることにより、液中からナノ材料を分離することができる。
マイクロバブルには種々の定義があるが、本発明においては直径が100μm以下の気泡と定義する。ここで言うマイクロバブルはその他の呼称としてマイクロナノバブル、ナノバブルとも呼ばれることがある。マイクロバブルによる浮上分離の用には、通常は空気を用いるが、例えば窒素や酸素などその他の気体を用いても良い。
マイクロバブルの発生方法は、通常知られている方法である二相旋回流方式、加圧方式、微細孔方式、その他の方式の何れの方法においても適用できる。各発生方法において発生するマイクロバブルは粒径が等しい限り本質的に違いはないが、より効率的に本発明を実施するためには、マイクロバブルの発生効率の高い二相旋回流方式、または加圧方式が有効であって、特に二相旋回流方式が有効である。二相旋回流方式は、液体と気体を直接混合、粉砕することによりマイクロバブルを発生させるため、加圧により気体を一旦溶解させた後に常圧に戻す事でマイクロバブルを発生させる加圧方式に比べて、液中への気体の溶解量の制限を受けないため、より効率的にマイクロバブルを発生させる事が可能である。二相旋回流方式には様々な改良がなされているが、派生の方式も含めてここでは二相旋回流方式と表現する。
マイクロバブルの粒径は、ナノ材料への付着効率の観点から小さい程有効であって、0.01〜60μm以下がより有効であって、0.1〜30μm以下が極めて有効である。
マイクロバブルを発生させた後の静置時間は、ナノ材料の浮上が達成される限り特に制限は無いが、操作効率の観点から5分から60分が有効である。静置時間は容器の形状、液の組成、マイクロバブルの安定性により異なる。
静置後に上層と、下層とに分離する。必ずしも二層に分離している必要はなく、三層以上に分離していてもよい。このうち上層とは、実質的に系中のナノ材料の大部分を含む層、下層は系中から上層を除いたものと定義する。上層と下層の区別は、目視、濁度、透過光、吸収光、散乱光、比重、電位差等から判断できる。
上層の分離、回収方法としては、下層の排出、レーキ等掻き出し用器機による上層の掻き出し、液面付近に上層の回収口を設置する等の方法が挙げられる。移液時のロス分を考慮すると、特に下層の排出による方法が同容器内で繰り返し処理を行うことができるため有効である。
分離して得た上層液に新たに酸、またはアルカリを溶解する液体を加えて同様の浮上操作を繰り返すが、上層中から酸、またはアルカリを除去する目的が達せられる限り、酸、またはアルカリを溶解する液体はもともとの溶媒、ないしは分散媒と同じものであってもよいし、違うものを選択してもよい。酸、またはアルカリの除去を判断する指標としては、例えばpH測定、希釈率計算等が利用でき、実験条件により実質的に酸、またはアルカリが除去できたと判断できる値が得られればよい。繰り返しの回数には特に制限はないが、ナノ材料の収率を考慮すると回数は少ないほど有効であって、現実的には20回以下が有効であり、10回以下がより有効である。上記操作を経て、ナノ材料は最終的にスラリーの形態で得られる。これはナノ材料を終始流体として扱えることを意味しており、後段の処理工程へ直接投じることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(製造例)CNTの調製
[触媒調製例:マグネシアへの触媒金属塩の担持]
クエン酸アンモニウム鉄(和光純薬工業(株)製)2.46gをメタノール(関東化学(株)製)500mLに溶解した。この溶液に、酸化マグネシウム(岩谷化学工業(株)製MJ−30)を100.0g加え、撹拌機で60min間激しく撹拌処理し、懸濁液を減圧下、40℃で濃縮堅固した。得られた粉末を120℃で加熱乾燥してメタノールを除去し、酸化マグネシウム(以下、MgO)粉末に金属塩が担持された触媒体を得た。得られた固形分は篩い上で、乳鉢で細粒化しながら、20〜32メッシュ(0.5〜0.85mm)の範囲の粒径を回収した。上記の操作を繰り返し、以下の実験に供した。
[CNT製造例:CNTの合成]
図1に示した装置を用いてCNTの合成を行った。反応器403は内径75mm、長さは1,100mmの円筒形石英管である。中央部に石英焼結板402を具備し、石英管下方部には、不活性ガスおよび原料ガス供給ラインである混合ガス導入管408、上部には廃ガス管406を具備する。さらに、反応器を任意温度に保持できるように、反応器の円周を取り囲む加熱器として3台の電気炉401を具備する。また反応管内の温度を検知するために熱電対405を具備する。
触媒調製例で調製した固体触媒体132gをとり、鉛直方向に設置した反応器の中央部の石英焼結板上に導入することで触媒層404を形成した。反応管内温度が約860℃になるまで、触媒体層を加熱しながら、反応器底部から反応器上部方向へ向けてマスフローコントローラー407を用いて窒素ガスを16.5L/minで供給し、触媒体層を通過するように流通させた。その後、窒素ガスを供給しながら、さらにマスフローコントローラー407を用いてメタンガスを0.78L/minで60min間導入して触媒体層を通過するように通気し、反応させた。この際の固体触媒体の重量をメタンの流量で割った接触時間(W/F)は、169min・g/L、メタンを含むガスの線速が6.55cm/secであった。メタンガスの導入を止め、窒素ガスを16.5L/min通気させながら、石英反応管を室温まで冷却した。
加熱を停止させ室温まで放置し、室温になってから反応器から触媒体とCNTを含有するCNT含有組成物を取り出した。上記の操作を繰り返し、以下の実験に供した。
[CNTの精製および酸化処理]
CNT製造例で得られた触媒体とCNTを含有するCNT含有組成物を130g用いて4.8Nの塩酸水溶液2,000mL中で1時間撹拌することで触媒金属である鉄とその担体であるMgOを溶解した。得られた黒色懸濁液はろ過した後、ろ取物は再度4.8Nの塩酸水溶液400mLに投入し脱MgO処理をし、ろ取した。この操作を3回繰り返した(脱MgO処理)。その後、イオン交換水でろ取物の懸濁液が中性となるまで水洗後、水を含んだウェット状態のままCNTを保存した。このとき水を含んだウェット状態のCNT全体の重量は102.7gであった(CNT含有濃度:3.12重量%)。上記の操作を繰り返し、以下の実験に供した。
得られたウェット状態のCNT385g(乾燥重量12g相当)分に対して、3.0Lの濃硝酸(日本化成(株)製Assay67.5重量%、密度1.4g/mL)を添加した。この時点での硝酸濃度は62重量%である。その後、マントルヒーターで25時間攪拌しながら加熱還流した。加熱還流後、CNT含有スラリー液3.3Lを回収した(CNT含有濃度:200ppm)。上記の操作を繰り返し、以下の実験に供した。
[CNT直径、長さ測定]
上記処理により得たCNT含有スラリー液を少量採取し、吸引ろ過した。さらにイオン交換水でろ取物の懸濁液が中性となるまで水洗後、ウェットケークとしてCNTを得た。このCNTを、濃度が0.003質量%となるようにクロロスルホン酸に添加し、マグネティックスターラーで一昼夜攪拌した混合液を調製した。この混合液30μLをマイカ基板上に置き、回転数3000rpmで60秒間スピンコートした後、AFM((株)島津製作所社製、SPM9600M)により、CNTの直径、長さを測定したところ、直径は2nm、長さは2μmであった。
(実施例1)
製造例で得られたCNT含有スラリー液1.0kgを、イオン交換水11.2kgに混合し、希釈液とした。この時点での硝酸濃度は5重量%、CNT含有濃度は15ppmである。このうち8.0Lを取り出し、1〜30μmのマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生装置((株)ナゴヤ大島機械製FJ−2.0)を用いて150秒間のバブル発生操作を行い、20Lフラスコ内に静置した。静置後速やかにCNTがフロックを形成し浮上する様子が観察され、静置後約1分で明らかに2層に分離していることが確認できた。静置後3分経過後にほぼ完全に分離し、静置後60分以上経過後においても、分離した2層の混合は観察できず、分離状態は保持されていた。
(実施例2)
製造例で得られたCNT含有スラリー液4.5kgを、イオン交換水7.4kgに混合し、希釈液とした。この時点での硝酸濃度は23重量%、CNT含有濃度は76ppmである。このうち8.0Lを取り出し、実施例1と同様の操作を行った。静置後速やかにCNTがフロックを形成し浮上する様子が観察され、静置後約2分で明らかに2層に分離していることが確認できた。静置後3分経過後にほぼ完全に分離し、静置後60分以上経過後においても、分離した2層の混合は観察できず、分離状態は保持されていた。
(実施例3)
製造例で得られたCNT含有スラリー液5.6kgを、イオン交換水6.0kgに混合し、希釈液とした。この時点での硝酸濃度は30重量%、CNT含有濃度は97ppmである。このうち8.0Lを取り出し、実施例1と同様の操作を行った。静置後CNTがフロックを形成し浮上する様子が観察され、静置後約5分で明らかに2層に分離していることが確認できた。静置後10分経過後にほぼ完全に分離し、静置後60分以上経過後においても、分離した2層の混合は観察できず、分離状態は保持されていた。
(比較例1)
製造例で得られたCNT含有スラリー液7.0kgを、イオン交換水5.0kgに混合し、希釈液とした。ここの時点での硝酸濃度は36重量%、CNT含有濃度は117ppmである。この希釈液8.0Lについて、実施例1と同様の操作を行ったが、静置後60分経過後においても2層に分離する様子は確認できなかった。
(比較例2)
製造例で得られたCNT含有スラリー液8.0Lについて、イオン交換水による希釈を行わずに実施例1と同様の操作を行ったが、静置後60分経過後においても2層に分離する様子は確認できなかった。
(実施例4)
実施例3において、20分静置後の上層(CNTの大半を含む層)を1.0kgのスラリー液として回収し、新たにイオン交換水7.0kgに混合し、希釈液とした。この時点での硝酸濃度は4重量%、CNT含有濃度は140ppmである。この希釈液8.0Lについて、再び実施例1と同様の操作を行った。静置後速やかにCNTがフロックを形成し浮上する様子が観察され、静置後約1分で明らかに2層に分離していることが確認できた。静置後3分経過後にほぼ完全に分離し、静置後20分以上経過しても、分離した2層の混合は観察できず、分離状態は保持されていた。ここでさらに上層を回収して上記同様の希釈、および浮上操作を繰り返したところ、全9回の処理を行うことでpHが中性となった。処理前から全9回処理後のCNT回収率は92%であった。
(実施例5)
実施例4で得られたCNT含有スラリー液1.0kgに対し、10.0kgのアンモニア水(関東化学(株)製Assay28重量%、密度1.2g/mL)を添加した。この時点でのアンモニア濃度は25重量%、CNT含有濃度は102ppmである。その後、室温下で2時間攪拌した。攪拌処理後、CNT含有スラリー液11kgを回収した(CNT含有濃度:0.01重量%)。上記の操作を繰り返し、以下の実験に供した。
(実施例6)
実施例5で得られたCNT含有スラリー液2.0kgを、イオン交換水8.0kgに混合し、希釈液とした。この時点でのアンモニア濃度は5重量%、CNT含有濃度は19ppmである。このうち8.0Lを取り出し、濃硝酸をアンモニア水に変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。静置後速やかにCNTがフロックを形成し浮上する様子が観察され、静置後約1分で明らかに2層に分離していることが確認できた。静置後3分経過後にほぼ完全に分離し、静置後60分以上経過後においても、分離した2層の混合は観察できず、分離状態は保持されていた。
(実施例7)
実施例5で得られたCNT含有スラリー液5.0kgを、イオン交換水3.3kgに混合し、希釈液とした。この時点でのアンモニア濃度は15重量%、CNT含有濃度は61ppmである。このうち8.0Lを取り出し、濃硝酸をアンモニア水に変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。静置後速やかにCNTがフロックを形成し浮上する様子が観察され、静置後約2分で明らかに2層に分離していることが確認できた。静置後3分経過後にほぼ完全に分離し、静置後60分以上経過後においても、分離した2層の混合は観察できず、分離状態は保持されていた。
(実施例8)
実施例5で得られたCNT含有スラリー液8.0Lについて、イオン交換水による希釈を行わずに、濃硝酸をアンモニア水に変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。静置後CNTがフロックを形成し浮上する様子が観察され、静置後約5分で明らかに2層に分離していることが確認できた。静置後10分経過後にほぼ完全に分離し、静置後60分以上経過後においても、分離した2層の混合は観察できず、分離状態は保持されていた。
本発明によれば、薬液中からナノ材料を効率的に分離、回収することが可能になり、ナノ材料の生産効率を飛躍的に向上させることができる。これにより、ナノ効果が期待される分野での製品開発を効果的に実施することができる。
401 電気炉
402 石英焼結板
403 反応器
404 触媒層
405 熱電対
406 廃ガス管
407 マスフローコントローラー
408 混合ガス導入管

Claims (6)

  1. ナノ材料を含んだ14〜35重量%の酸またはアルカリを含む液体にマイクロバブルを発生させ、マイクロバブル表面にナノ材料を付着させ、浮上させることにより、液中からナノ材料を分離することを特徴とするナノ材料の分離方法。
  2. 前記ナノ材料が浮上した液中から上層と下層を分離し、上層液に新たに酸、またはアルカリを溶解する液体を加えて同様の浮上操作を繰り返すことで、ナノ材料を含む上層中から酸またはアルカリを除去することを特徴とする請求項1に記載のナノ材料の分離方法。
  3. ナノ材料がナノカーボン材料である請求項1または2に記載のナノ材料の分離方法。
  4. 前記ナノカーボン材料がカーボンナノチューブである請求項3に記載のナノ材料の分離方法。
  5. 前記酸またはアルカリが硝酸、混酸、およびアンモニアから選ばれる少なくとも1種である請求項1から4のいずれかに記載のナノ材料の分離方法。
  6. 酸、またはアルカリを溶解する液体が水である請求項2から5のいずれかに記載のナノ材料の分離方法。
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