JP2015146879A - 下肢リハビリ訓練機器 - Google Patents

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Kazusuke Abe
一祐 安部
秀一 安部
Shuichi Abe
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Abstract

【課題】通常の車椅子に簡単に取り付け・取り外しができ、車椅子に取り付けて下肢のリハビリテーション運動ができ、しかも車椅子に対して乗り降りをする際に障害とならない、下肢リハビリ訓練機器を提供する。【解決手段】リハビリ訓練機器100は、一輪車部110と、ハンドル部120と、アーム部130と、連結部140と、グリップ力調整部150を備えている。一対の連結部140を車椅子200のフロントパイプ211に連結する。この状態で、車椅子200に載っている訓練者がペダル114を漕ぎ、またハンドル121のハンドル操作をすることにより、脚と腕のリハビリテーション運動をすることができる。【選択図】図1

Description

本発明は下肢リハビリ訓練機器に関するものである。
更に詳述すると、本発明の下肢リハビリ訓練機器は、各種の車椅子に取り付けることができるものであり、車椅子に取り付けた状態で車椅子利用者が下肢のリハビリ訓練ができるように工夫したものである。
車椅子は、歩行機能を失った人や歩行機能が弱った人が、移動するために利用している。歩行機能が弱った人は、歩行機能を全て失っているわけではないが、車椅子を利用することなく歩行すると、転倒する恐れがあったり、また、不安になったりすることがある。このため、歩行機能を残しているにも拘わらず、安全確保等のため自発的に車椅子を使ったり、車椅子を使うことを他者から求められたりすることがある。
特に近年の高齢化社会においては、上記の事情から、車椅子は高齢者施設や在宅生活で多く利用されている。しかし、歩行機能が弱った人が車椅子を利用すると、歩行のために必要な筋肉を自分自身で動かさない事態に陥り、筋力低下が生じ、ますます日常生活での介助支援の範囲が広がっていくことになる。このような事態は、社会的課題の一面であると考えられる。
パーキンソン病では「すくみ」という歩行症状(神経症状)が発症することがある。この「すくみ」とは、平らな床において歩き出すときに、あたかも足が床に張り付いたような感触になり、最初の一歩がブルブル震えて足がなかなか前に出ない症状である。一方、「すくみ」を持った患者であっても、階段では一歩目からスムーズに昇降できることが多い。
つまり平らな床では「すくみ」が発症するが、階段では「すくみ」は発症しないのである。これはパーキンソン病患者に特異的に見られる「逆説的歩行」と呼ばれている。
パーキンソン病の「すくみ」に限らず、歩行機能が弱った人は、歩行障害の進行を防止したり歩行障害を改善したりするために、積極的にリハビリテーションを行うことが必要である。
しかし、上述したように、歩行機能をまだ残しているにも拘わらず、車椅子を利用せざるを得ないことが多く、これにより筋力の低下をもたらしている実情がある。
一方、下肢訓練用のリハビリテーション機器としては、種々のものがある。
下肢訓練用のリハビリテーション機器の一つの例としては、自転車型サイクル運動機器(室内自転車、エアロバイク)がある。このような自転車型サイクル運動機器では、訓練者(患者等)がサドルに座り、脚を屈伸させてペダルを漕ぐことにより、下肢の運動をする。このときペダルの回転運動に対して電動的に負荷を与えることができるようにしている。なお、負荷を与えないタイプの機器もある。
しかし、車椅子を使った生活を余儀なくされている人が、このような自転車型サイクル運動機器を使ってリハビリテーションをすることは、困難が伴うことであった。つまり、車椅子から自転車型サイクル運動機器に乗り移るのが難しく、歩行機能が弱った人が、自転車型サイクル運動機器を用いてリハビリテーション行うことは殆ど無いのが現実であった。
下肢訓練用のリハビリテーション機器の他の例としては、足漕ぎ式の車椅子がある(例えば特許文献1,2,3参照)。このような足漕ぎ式の車椅子では、車椅子の前方部分にペダルを有する回転機構を固定設置し、この回転機構の回転力を車椅子の駆動輪(後輪)に伝達する駆動力伝達機構を車椅子の下部位置に配置している。
車椅子に乗った人がペダルを漕ぐ(回転させる)と、この回転力が駆動力伝達機構を介して車椅子の駆動輪(後輪)に伝達されて走行できるようになっている。
しかし、このような足漕ぎ式の車椅子では、車椅子に乗った人の脚部の下方に駆動力伝達機構が配置されている。このため歩行機能が弱った人が、足漕ぎ式の車椅子に乗ろうとした場合には、駆動力伝達機構が障害物となり、椅子(座面)の部分に乗ることが困難であった。この結果、歩行機能が弱った人が、足漕ぎ式の車椅子を用いてリハビリテーション行うことは殆ど無いのが現実であった。
特開2003−102794号公報 特開2003−199795号公報 特開2010−259517号公報
本願発明者は、通常の車椅子に簡単に取り付け・取り外しができ、車椅子に取り付けた状態において下肢のリハビリテーション運動ができ、しかも車椅子に対して乗り降りをする際に障害とならない、下肢リハビリ訓練機器を開発しようと考えるに至った。
このような意図に沿い、一輪車(曲技、スポーツ、遊戯などに使用される一輪車)のようなペダルや車輪等を備えた機器を、車椅子の前部に簡単に取り付け・取り外しできるようにした、下肢リハビリ訓練機器を研究・開発してきた。
しかし、このような下肢リハビリ訓練機器を車椅子に簡単に取り付け・取り外しができるようにするためには、解決しなければならない問題があることが判明した。
車椅子の基本寸法はJIS規格(日本工業規格)やISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)により定められているが、市販されている車椅子の具体的な寸法は、上記の範囲内ではあるが千差万別の状況にある。例えば、車椅子の幅としては種々なものがあり、また車椅子の形状も多様である。
このように幅や形状の異なる各種の車椅子に、ペダルや車輪等を備えた下肢リハビリ訓練機器を、簡単に取り付け・取り外しすることができるようにするには、機構的に工夫をすることが必要であった。
本発明は、上記状況に鑑み、幅や形状の異なる各種の車椅子に対して簡単に取り付けることができる、ペダルや車輪等を備えた下肢リハビリ訓練機器を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の構成は、
一輪車部と、ハンドル部と、アーム部と、連結部を備えており、
前記一輪車部は、ネック及びレッグからなるフレームと、前記レッグの下端位置に回転自在に取り付けられた車輪と、前記車輪に取り付けられたペダルを有し、
前記ハンドル部は、ハンドルと、前記ハンドルに連結されると共に前記ネックに固定されるハンドル軸を有し、
前記アーム部は、基端部が回動自在に前記ネックに支持された一方のアームと、基端部が回動自在に前記ネックに支持された他方のアームを有し、
前記連結部は、前記一方のアーム及び前記他方のアームの先端部分にそれぞれ取り付けられており、車椅子の椅子状構造体を構成するパイプに対して連結する連結構造を有している、
ことを特徴とする。
また本発明の構成は、
前記連結部の少なくとも一方は、前記パイプに対して回動自在且つ着脱自在に連結する連結構造を有している、
ことを特徴とする。
また本発明の構成は、
前記連結部の連結構造は、
前記一方のアーム及び前記他方のアームの軸方向に対してそれぞれ直交する状態で、前記一方のアーム及び前記他方のアームの先端部分にそれぞれ取り付けられた連結パイプと、
前記連結パイプの内径よりも大径の頭部と、前記連結パイプ内に挿通できる径であり前記連結パイプの軸方向長さよりも軸方向長さが長い軸部を有する連結ロッドとにより構成されている、
ことを特徴とする。
また本発明の構成は、
前記連結部の連結構造は、
前記一方のアーム及び前記他方のアームの先端部分にそれぞれ連結されており、周面に雄ねじが形成された雄ねじ軸と、
L字形状となっており基端部が前記雄ねじ部の先端部に開閉自在に支持された一対の爪と、
前記爪側の面が開口した臼状体であり、前記雄ねじ軸が貫通すると共に、前記雄ねじに螺合する雌ねじ部を有する回し駒とにより構成されている、
ことを特徴とする。
また本発明の構成は、
前記連結部の連結構造は、
前記一方のアーム及び前記他方のアームの先端部分にそれぞれ取り付けられた紐により構成されている、
ことを特徴とする。
また本発明の構成は、
更に連結アタッチメントを備えており、
前記連結アタッチメントは、
前記椅子状構造体を構成する前記パイプに固定設置される固定板と、
前記固定板に面接触する状態で配置され、回転スライドが許容されつつ前記固定板に支持された回転スライド板と、
前記回転スライド板に固定されると共に、前記連結ロッドの前記軸部が挿通できるパイプ穴を有する受けパイプとを有する、
ことを特徴とする。
また本発明の構成は、
更にグリップ力調整機構を備えており、
前記グリップ力調整機構は、
前記ネックに環装されており、前記フレームを、前記一方のアーム及び前記他方のアーム側から前記車輪側に付勢するばね力を発生するコイルばねと、
前記コイルばねに隣接する位置に配置されており、前記ネックが貫通する長穴形状の貫通孔が形成されることにより前記ネックの軸方向と直交する方向に沿い移動でき、スライド移動方向に関して前側部分と後側部分とで厚さが異なるスライド部材とを有する、
ことを特徴とする。
本発明の下肢リハビリ訓練機器では、連結部を介して下肢リハビリ訓練機器を、通常の車椅子に簡単に取り付けることができる。
また車椅子に取り付けた状態において、車椅子に乗った訓練者が下肢リハビリ訓練機器のペダルを漕ぐことにより、効果的に下肢のリハビリテーション運動を行うことができる。
更に、一対のアームの開閉量を調整することにより、幅の異なる各種の車椅子に対して簡単に取り付けることができる。
しかも車椅子に対して乗り・降りをする際に障害物となるものがなく、訓練者にとって利用しやすい機器である。
本発明の実施例1に係る下肢リハビリ訓練機器を車椅子に取り付けた状態で示す側面図。 本発明の実施例1に係る下肢リハビリ訓練機器を車椅子に取り付けた状態で示す正面図。 本発明の実施例1に係る下肢リハビリ訓練機器を車椅子に取り付けた状態で示す平面図。 グリップ力調整部を示す側面図。 グリップ力調整部を示す側面図。 グリップ力調整部のスライド部材を示す側面図。 本発明の実施例1に係る下肢リハビリ訓練機器の一方側を車椅子に取り付け、開いた状態で示す平面図。 本発明の実施例2に係る下肢リハビリ訓練機器を車椅子に取り付けた状態で示す側面図。 連結アタッチメントを示す構成図。 本発明の実施例2に係る下肢リハビリ訓練機器を車椅子に取り付けた状態で示す側面図。 連結部の他の例を示す構成図。 連結部の他の例を示す構成図。
以下、本発明の実施の形態を、実施例に基づき詳細に説明する。
本発明の実施例1に係る下肢リハビリ訓練機器100を、図1〜図3を参照しつつ説明する。
なお、図1は下肢リハビリ訓練機器100を車椅子200に取り付けた状態で示す側面図、図2は下肢リハビリ訓練機器100を車椅子200に取り付けた状態で示す正面図(車椅子は一部のみ示している)、図3は下肢リハビリ訓練機器100を車椅子200に取り付けた状態で示す平面図(下肢リハビリ訓練機器の一部は図示省略している)である。
本発明の実施例1に係る下肢リハビリ訓練機器100は、車椅子200に簡単に取り付け・取り外しできるものであり、車椅子200に下肢リハビリ訓練機器100を取り付けた状態で、下肢のリハビリ訓練をする人(以下「訓練者」と称する)がリハビリ訓練をするものである。
下肢リハビリ訓練機器100の詳細説明をするのに先立ち、まず車椅子200の構造を概説する。
車椅子200は、アルミ合金製の丸パイプ(中空パイプ材)を組み合わせて構成した椅子状構造体210に、一対の駆動輪220、一対のキャスタ230、座シート240、背シート250、一対のアームサポート260等を備えて構成されている。この車椅子200は、駆動輪220にハンドリム221を備えている自走式の車椅子である。
椅子状構造体210のうち、車椅子200の進行方向の最も前端側で垂直方向に起立配置された一対のフロントパイプ211は、上端面が開口している。この一対(左右)のフロントパイプ211は、車椅子200に訓練者が乗ったときに、訓練者の右脚の右側及び訓練者の左脚の左側に位置するパイプである。
次に、上記の車椅子200に簡単に取り付け・取り外しができる、実施例1に係る下肢リハビリ訓練機器100の構造について説明する。
このリハビリ訓練機器100は、一輪車部110と、ハンドル部120と、アーム部130と、連結部140と、グリップ力調整部150を備えている。
一輪車部110のフレーム111は、一本のネック111aと、ネック111aの下端から2つに枝分かれした一対のレッグ111bを有している。なおネック111aは円筒状のパイプ部材で構成されており、その頂部は開口している。
一対のレッグ111bの下端部(エンド爪部)には、車輪112が回転自在に取り付けられている。つまり、一対のレッグ111bの間に車輪112が位置する状態で、車輪112はフレーム111の下端位置で回転自在に取り付けられている。
車輪112には、一対のクランク軸113を介して一対のペダル114が取り付けられている。
ハンドル部120は、円形のハンドル121と、ハンドル121の回転中心位置に取り付けられてハンドル121の下方に伸びたハンドル軸122を有している。
ハンドル軸122の下端部分は、フレーム111のネック111a内にスライド自在に挿入されている。つまり、ハンドル軸122は上方から下方に向かってネック111aの内部空間(パイプ空間)に挿入されている。
なおハンドル121としては、自転車ハンドルと同様な形状となっているハンドルバーを採用してもよい。
ハンドル軸122には、クランプ123が環装されている。このクランプ123はフレーム111のネック111aに固定されている。ネック111aに対するハンドル軸122の高さ位置を決めた(調整した)状態で、クランプ123を締めると、その高さ位置でハンドル軸122がネック111aに固定される。
ハンドル軸122をフレーム111のネック111aに固定した状態では、ハンドル121の回転角度(操舵角度)に応じて(一致して)、車輪112の進行方向(操舵角度)が操作される。
アーム部130は、一対の湾曲したアーム131,132を備えている。
一方のアーム131(車椅子200に着座した訓練者から見て右側のアーム)は、その基端部が回動自在にフレーム111のネック111aに支持されている。この場合、アーム131は、ネック111aに対して回動することはできるが、ネック111aの軸方向には移動できないように、アーム131はネック111aに回動自在に支持されている。
他方のアーム132(車椅子200に着座した訓練者から見て左側のアーム)は、その基端部が回動自在にフレーム111のネック111aに支持されている。この場合、アーム132は、ネック111aに対して回動することはできるが、ネック111aの軸方向には移動できないように、アーム132はネック111aに回動自在に支持されている。
ネック111aの軸方向に関して、アーム131の支持位置は、クランプ123の直下の位置であり、アーム132の支持位置は、アーム131の支持位置の直下の位置である。
このような構造により、一対のアーム131,132は、フレーム111(ネック111a)を回動中心として開閉(回動)することができるようになっている。
連結部140は、アーム部130のアーム131,132の先端部分に、それぞれ取り付けられている。なお、アーム131の先端部分に取り付けられている連結部140と、アーム132の先端部分に取り付けられている連結部140は、同様な機械的構造になっている。
この連結部140は、車椅子200のフロントパイプ211に対して、回動自在且つ着脱自在に連結するものである。
連結部140は、アーム131,132の先端部分に固定(溶接)された連結パイプ141と、この連結パイプ141内に挿通される連結ロッド142とにより構成されている。
連結パイプ141は、アーム131,132の軸方向に対して直交する状態で、アーム131,132の先端部分に固定されている。ちょうど、図1等に示すように、下肢リハビリ訓練機器100を車椅子200に取り付けた状態において、連結パイプ141の軸方向が垂直方向になるように、連結パイプ141がアーム131,132に固定されている。
なお、アーム131に固定した連結パイプ141と、アーム132に固定した連結パイプ141は、下端の高さ位置は同一になっているが、上端の高さ位置はずれている。
連結ロッド142は、連結パイプ141の内径よりも大径の頭部142aと、連結パイプ142内に緊密に挿通できる径となっている軸部142bとを有している。連結ロッド142の軸部142bの軸方向長さは、連結パイプ141の軸方向長さよりも長くなっている。
なお、連結部の構成としては、上記のもの以外に各種の変形例が考えられる。その変形例については後述する。
グリップ力調整部150の構造については、図1〜図3のみならず、更に図4〜図6も参照して説明する。なお、図4,図5はグリップ力調整部150を示す側面図、図6はグリップ力調整部150のスライド部材151を示す平面図である。
スライド部材151には長穴形状の貫通孔151aが形成されており、この貫通孔151aにフレーム111のネック111aが貫通している。このスライド部材151は、アーム131,132の直下の位置で、ネック111aに取り付けられている。そして、貫通孔151内にネック111aを占位させた状態で、スライド部材151は、ネック111aの軸方向と直交する方向に沿いスライド移動できるようになっている。しかも、スライド部材151は、スライド方向に関して前側(図4,図5では左側)部分が薄く、スライド方向に関して後側(図4,図5では右側)部分が厚くなっている。
スライド部材151の直下では、リング板152がネック111aに環装されている。リング板152はネック111aに沿い移動することができるようになっている。なお、ネック111aのうち、アーム131,132が取り付けられている位置よりも下方の位置には、段部111cが形成されている。
そしてリング板152と段部111cとの間には、ネック111aに環装する状態でコイルばね(圧縮コイルばね)153が配置されている。このコイルばね153は、フレーム111を、アーム131,132側から車輪112側に付勢するばね力を発生する。
図4に示すように、スライド部材151を押し込み、スライド部材151の厚い部分をアーム131,132とリング板152との間に位置させると、コイルばね153によるばね力が強くなり、車輪112が床面に接触するグリップ力が強くなる。
一方、図5に示すように、スライド部材151を引き出し、スライド部材151の薄い部分をアーム131,132とリング板152との間に位置させると、コイルばね153によるばね力が弱くなり、車輪112が床面に接触するグリップ力が弱くなる。
次に、このような構造になっている下肢リハビリ訓練機器100を、車椅子200に取り付ける手順を説明する。
2つの連結部140のうちの一方を、車椅子200のフロントパイプ211に連結する。例えば、平面図である図7に示すように、アーム131の先端部に取り付けている連結部140を、右側のフロントパイプ211に連結する。
具体的には、アーム131側の連結部140の連結パイプ141を、右側のフロントパイプ211の上に載せ、連結パイプ141の穴とフロントパイプ211の穴を一致させて一本の連続した穴とする。この状態で、連結ロッド142の軸部142bを、連結パイプ141及びフロントパイプ211の穴に上方から挿入する。これにより、下肢リハビリ訓練機器100の一端側が、車椅子200の右側に取り付けられる。
そして図7に示すように、右側の連結部140を回動中心として下肢リハビリ訓練機器100を旋回移動させ、車椅子200の前方空間を広く開ける。このようにすれば、何の障害もなく訓練者が車椅子200に乗ることができる。
訓練者が車椅子200に乗ったら、右側の連結部140を回動中心として下肢リハビリ訓練機器100を逆方向に旋回移動させ、左側のアーム132を左側のフロントパイプ211に近づけ、車椅子200の前方に下肢リハビリ訓練機器100を位置させる。この状態で、アーム132の先端部に取り付けている連結部140を、左側のフロントパイプ211に連結する。連結の手法は上述した右側での連結手法と同じである。
このようにして訓練者が車椅子200に乗ったら、訓練者は座シート240に座った状態で足をペダル114に掛け、ペダル114を漕ぐことにより、下肢リハビリ訓練機器100と車椅子200が一体となって走行することができる。このとき、訓練者はハンドル121を操作することにより、走行方向を調整することができる。
このような運動をすることにより、下肢リハビリ訓練機器100が連結された車椅子200を必要なところで使用しつつ(つまり車椅子生活をしつつ)、または下肢リハビリ訓練機器100が連結された車椅子200をリハビリ施設で使用することにより、下肢のリハビリ運動を楽しみながら行うことができる。
つまり、訓練者は、自分の足でペダル114を漕ぐことにより下肢の運動ができると同時に、自分の手でハンドル121を操作することにより腕の運動ができる。つまり、脚と腕の運動を同時に行うことができ、身体機能を総合的に使うこととなり、効果的なリハビリ訓練となる。しかも、謂わば、三輪車を運転しているような遊び感覚も得られるので、楽しみながら、知らず知らずのうちに、リハビリ運動ができる。
なお、下肢リハビリ訓練機器100が連結された車椅子200により走行をしている際に、グリップ力調整部150を操作して、タイヤ112のグリップ力を調整することもできる。
訓練が終わったら、2つの連結部140のうちの一方(例えば左側の連結部140)を、車椅子200のフロントパイプ211から開放する。開放するには、連結ロッド142の軸部142bを、連結パイプ141及びフロントパイプ211から引き抜けばよい。
そして、図7に示すように、他方の連結部140(例えば右側の連結部140)を回動中心として下肢リハビリ訓練機器100を旋回移動させ、車椅子200の前方空間を広く開ける。このようにすれば、何の障害もなく訓練者が車椅子200から降りることができる。
車椅子200を単体で使用するときには、2つの連結部140をいずれも、車椅子200の左右のフロントパイプ211から開放する。
このような下肢リハビリ訓練機器100は、簡単に車椅子200に取り付け・取り外しすることができる。しかも、車椅子200の左右のフロントパイプ211,211間の幅間隔が異なっている場合であっても、アーム131,132の開閉角度を調整することにより、幅間隔が異なっている車椅子200に対しても、下肢リハビリ訓練機器100を簡単に取り付ける(連結する)ことができる。
なお、フロントパイプ211の頂部の高さが異なっている場合には、フロントパイプ211の頂部の高さに合わせて、連結部140の連結パイプ141の長さ及び下端の高さを調整した下肢リハビリ訓練機器100を用意しておく。つまり、フロントパイプ211の上に連結パイプ141を載せたときに、アーム131,132が水平状態になるように、連結パイプ141の長さ及び下端の高さを調整しておく。
また、連結ロッド142の軸部142bが、連結パイプ141を貫通してフロントパイプ211の穴に挿入できるように、軸部142bの長さも調整しておく。
このようなフロントパイプ211の頂部の高さに合わせて連結部140を調整した下肢リハビリ訓練機器100を用意しておくことにより、フロントパイプ211の高さが異なる車椅子200に対しても、下肢リハビリ訓練機器100を簡単に取り付ける(連結する)ことができる。
次に本発明の実施例2を説明する。
上記の実施例1では、車椅子200の椅子状構造体210に、上端面が開口したフロントパイプ211が存在する場合において、このフロントパイプ211を利用して、連結部140をフロントパイプ211に連結していた。
しかし、上端面が開口したフロントパイプを有していない車椅子も存在する。実施例2では、上端面が開口したフロントパイプを有していない車椅子である場合には、連結アタッチメントを車椅子に取り付け、この連結アタッチメントを利用して、連結部140を車椅子に連結するものである。
図8に示す車椅子200Aでは、椅子状構造体210のフロントパイプ211の上端面は開口しておらず、一対のフロントパイプ211よりも前方位置に一対のレッグパイプ212が配置されている。レッグパイプ212は、座シート240から見て、前方の斜め下方に向かって伸びている。レッグパイプ212の下端位置には、フットサポート261が配置されている。
この車椅子200Aの椅子状構造体210では、車椅子200Aの進行方向の最も前端側に斜め下方に伸びた一対のレッグパイプ212が配置されていることになる。
そこで、実施例2では、一対のレッグパイプ212にそれぞれ連結アタッチメント300を組み付け、この連結アタッチメント300に連結部140を連結させることにより、下肢リハビリ訓練機器100を車椅子200Aに取り付けるようにしている。
ここで連結アタッチメント300の構成を、正面図である図9(a)、平面図である図9(b)、正面図である図9(c)をも参照して説明する。
この連結アタッチメント300は、固定板310と、回転スライド板320と、受けパイプ330を有している。
固定板310には、レッグパイプ212を挟んだ状態の2本のUボルト311が貫通している。Uボルト311のねじ部に、それぞれナット312をねじ込むことにより、固定板310はレッグパイプ212に固定設置される。
回転スライド板320は、固定板310に接する(面接触する)状態で配置されている。この回転スライド板320には、円弧状の2本のガイド溝321が周方向に180度ずれて形成されている。ガイド溝321にはボルト322が挿入され、このボルト322は固定板310にねじ込まれている。このように2本のボルト322が、個別に、2本のガイド溝321に挿入されていることにより、回転スライド板320は、固定板310に支持されつつ、回転スライドすることができる。
そして、ボルト322を更にねじ込むことにより、回転スライド板320は固定板310に押し付けられ、回転スライド板320の回転は拘束される。
受けパイプ330は、回転スライド板320に溶接固定されている。この受けパイプ330は、連結ロッド142の軸部142bが挿通できるパイプ穴を有している。
ここで、連結アタッチメント300の取り付け手順を説明する。
まず、固定板310を、Uボルト311及びナット312を用いて、レッグパイプ212に固定する。
次に、受けパイプ330の軸方向が鉛直方向になるように、回転スライド板320を回転スライドさせる。
受けパイプ330の軸方向が鉛直方向になったら、ボルト322をねじ込んでいき、回転スライド板320を固定板310に固定し、受けパイプ330を鉛直方向に配置した状態にセットする。
このようにして、左右のレッグパイプ212に、連結アタッチメント300を取り付ける。
下肢リハビリ訓練機器100を車椅子200Aに取り付ける際には、図8に示すように、アーム131,132の先端部に取り付けている連結部140を、それぞれ、車椅子200Aに取り付けている左右の連結アタッチメント300の受けパイプ330に連結する。
具体的には、連結部140の連結パイプ141を、受けパイプ330の上に載せ、連結パイプ141の穴と受けパイプ330の穴を一致させて一本の連続した穴とする。この状態で、連結ロッド142の軸部142bを、連結パイプ141及び受けパイプ330の穴に上方から挿入する。これにより、下肢リハビリ訓練機器100を、車椅子200Aに取り付けることができる。
車椅子200Aから下肢リハビリ訓練機器100を開放するには、連結ロッド142の軸部142bを、連結パイプ141及び受けパイプ330から引き抜けばよい。
なお、図8の例では、ボルト322をねじ込んでいくことにより、回転スライド板320を固定板310に固定していた。
しかし、これに限らず、ボルト322のねじ込み量を緩めて、固定板310に対して回転スライド板320を回転スライドできるように調整しておくこともできる。
このように固定板310に対して回転スライド板320を回転スライドできるように調整しておけば、図10に示すように、床面に凹凸があった場合であっても、下肢リハビリ訓練機器100の車輪112を常に床面に接地させることができる。
つまり、車椅子200Aの駆動輪220及びキャスタ230が平らな水平面に接地しているときに、その前方の床面が窪んでいたとしても、固定板310に対して回転スライド板320が回転スライドすることにより、下肢リハビリ訓練機器100が下方に移動して車輪112の接地状態を維持することができる。
連結部の各種の変形例を実施例3として説明する。
図11(a),(b)に示す連結部160では、アーム131,132の先端部に、それぞれ雄ねじ軸161が連結されている。雄ねじ軸161の周面には雄ねじ161aが形成されると共に、先端面から軸方向に伸びる縦溝161bが形成されている。更に、雄ねじ軸161の先端部には、支持孔161cが形成されている。
回し駒162は一端面(図11では右端面)が開口した臼状体であり、他端面(図11では左端面)には雌ねじ162aが形成され、この雌ねじ162aには雄ねじ軸161が貫通した状態で螺合している。
この回し駒162を正逆回転させると、回し駒162が雄ねじ軸161に沿い進退移動することができる。
一対の爪163は、長辺とこれに直交する短辺からなるL字形状となっている。ピン164は支持孔161cに貫通しており、このピン164により一対の爪163の基端部を支持している。このため、一対の爪163はピン164を中心として開閉(回動)できるようになっている。一対の爪163は、L字形状の先端部分(長辺に対して折れ曲がった短辺)が互いに向き合っている。
また、回し駒162の先端部が、爪163の長辺に接するようになっている。
この連結部160を、車椅子のパイプ211,212に連結するためには、回し駒162を逆回転させて回し駒162を後進(爪163とは反対方向へ進行)させる。そして、一対の爪163を大きく開き、一対の爪163の間にパイプ211,212を位置させる。
この状態で回し駒162を正回転させ回し駒162を前進(爪163に近づく方向へ進行)させると、回し駒162が一対の爪163を押しつつ閉めていくことになる。これにより、一対の爪163がパイプ211,212を把持し、連結部160がパイプ211,212に連結される。
開放する際には、回し駒162を逆回転させて回し駒162を後進(爪163とは反対方向へ進行)させ、一対の爪163の間を開く。これにより、パイプ211,212との連結を解除することができる。
図12に示す連結部170では、アーム131,132の先端部に紐171が取り付けられている。
この連結部170を、車椅子のパイプ211,212に連結するためには、紐171をパイプ211,212に巻き付けて縛る。これにより連結部170がパイプ211,212に連結される。
開放する際には、紐171をパイプ211,212から解けばよい。
連結部の構造は上記のものに限定されるものではなく、車椅子200,200Aの椅子状構造体210のうち、進行方向の前端側にあるパイプに対して、簡単に着脱できる構造のものであれば、他の構造を採用することもできる。
更に上記の左右の(一対の)連結部140,160,170は、車椅子200,200Aの椅子状構造体210のうち進行方向の前端側にあるパイプに対して、回動自在な状態で着脱できる構造となっている。
しかし、左右の(一対の)連結部のうちの一方は、上記の連結部140,160,170のように車椅子パイプに対して回動自在で且つ着脱できる構造とし、左右の(一対の)連結部のうちの他方は、車椅子のパイプに対して回動はできるがパイプに取り付け後は簡単に着脱できないような構造とすることも可能である。
更に左右の(一対の)連結部の両方とも、車椅子のパイプに対して回動はできるがパイプに取り付け後は簡単に着脱できないような構造とすることも可能である。
車椅子のパイプに対して回動はできるがパイプに取り付け後は簡単に着脱できないような連結部としては、例えば、軸受構造体の軸をボルト等でパイプに取り付け、アームの先端部をボルト等で軸受構造体の軸受に取り付ける、などの構造を採用することができる。
本発明の下肢リハビリ訓練機器では、形状や寸法の異なる各種の車椅子に連結して利用可能である。
100 下肢リハビリ訓練機器
110 一輪車部
111 フレーム
111a ネック
111b レッグ
111c 段部
112 車輪
113 クランク軸
114 ペダル
120 ハンドル部
121 ハンドル
122 ハンドル軸
123 クランプ
130 アーム部
131,132 アーム
140 連結部
141 連結パイプ
142 連結ロッド
142a 頭部
142b 軸部
150 グリップ力調整部
151 スライド部材
151a 貫通孔
152 リング板
153 コイルばね
160 連結部
161 雄ねじ軸
161a 雄ねじ
161b 縦溝
161c 支持孔
162 回し駒
162a 雌ねじ
163 爪
170 連結部
171 紐
200,200A 車椅子
210 椅子状構造体
211 フロントパイプ
212 レッグパイプ
220 駆動輪
221 ハンドリム
230 キャスタ
240 座シート
250 背シート
260 アームサポート
261 フットサポート
300 連結アタッチメント
310 固定板
311 Uボルト
312 ナット
320 回転スライド板
321 ガイド溝
322 ボルト
330 受けパイプ

Claims (7)

  1. 一輪車部と、ハンドル部と、アーム部と、連結部を備えており、
    前記一輪車部は、ネック及びレッグからなるフレームと、前記レッグの下端位置に回転自在に取り付けられた車輪と、前記車輪に取り付けられたペダルを有し、
    前記ハンドル部は、ハンドルと、前記ハンドルに連結されると共に前記ネックに固定されるハンドル軸を有し、
    前記アーム部は、基端部が回動自在に前記ネックに支持された一方のアームと、基端部が回動自在に前記ネックに支持された他方のアームを有し、
    前記連結部は、前記一方のアーム及び前記他方のアームの先端部分にそれぞれ取り付けられており、車椅子の椅子状構造体を構成するパイプに対して連結する連結構造を有している、
    ことを特徴とする下肢リハビリ訓練機器。
  2. 請求項1において、
    前記連結部の少なくとも一方は、前記パイプに対して回動自在且つ着脱自在に連結する連結構造を有している、
    ことを特徴とする下肢リハビリ訓練機器。
  3. 請求項1において、
    前記連結部の連結構造は、
    前記一方のアーム及び前記他方のアームの軸方向に対してそれぞれ直交する状態で、前記一方のアーム及び前記他方のアームの先端部分にそれぞれ取り付けられた連結パイプと、
    前記連結パイプの内径よりも大径の頭部と、前記連結パイプ内に挿通できる径であり前記連結パイプの軸方向長さよりも軸方向長さが長い軸部を有する連結ロッドとにより構成されている、
    ことを特徴とする下肢リハビリ訓練機器。
  4. 請求項1において、
    前記連結部の連結構造は、
    前記一方のアーム及び前記他方のアームの先端部分にそれぞれ連結されており、周面に雄ねじが形成された雄ねじ軸と、
    L字形状となっており基端部が前記雄ねじ部の先端部に開閉自在に支持された一対の爪と、
    前記爪側の面が開口した臼状体であり、前記雄ねじ軸が貫通すると共に、前記雄ねじに螺合する雌ねじ部を有する回し駒とにより構成されている、
    ことを特徴とする下肢リハビリ訓練機器。
  5. 請求項1において、
    前記連結部の連結構造は、
    前記一方のアーム及び前記他方のアームの先端部分にそれぞれ取り付けられた紐により構成されている、
    ことを特徴とする下肢リハビリ訓練機器。
  6. 請求項3において、更に連結アタッチメントを備えており、
    前記連結アタッチメントは、
    前記椅子状構造体を構成する前記パイプに固定設置される固定板と、
    前記固定板に面接触する状態で配置され、回転スライドが許容されつつ前記固定板に支持された回転スライド板と、
    前記回転スライド板に固定されると共に、前記連結ロッドの前記軸部が挿通できるパイプ穴を有する受けパイプとを有する、
    ことを特徴とする下肢リハビリ訓練機器。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、更にグリップ力調整機構を備えており、
    前記グリップ力調整機構は、
    前記ネックに環装されており、前記フレームを、前記一方のアーム及び前記他方のアーム側から前記車輪側に付勢するばね力を発生するコイルばねと、
    前記コイルばねに隣接する位置に配置されており、前記ネックが貫通する長穴形状の貫通孔が形成されることにより前記ネックの軸方向と直交する方向に沿い移動でき、スライド移動方向に関して前側部分と後側部分とで厚さが異なるスライド部材とを有する、
    ことを特徴とする下肢リハビリ訓練機器。
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