JP2015146877A - X線画像撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】撮影時に配置を制限されることがなく、自然放射線とX線発生装置から照射されたX線とをリアルタイムで判別して、X線の照射開始を検出するとともに、自然放射線によるX線の照射開始の誤検出を防止することが可能なX線画像撮影装置を提供する。【解決手段】X線画像撮影装置1は、二次元状に配列された複数の検出素子7と、放射線が照射されると出力する電圧値Vaを変動させる放射線センサー25と、放射線センサー25から出力された電圧値Vaが所定の範囲Vth−〜Vth+以外の電圧値になった期間の長さWpに基づいて、当該放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であるか否かを判定する判定手段22と、判定手段22が放射線センサー25に入射した放射線は自然放射線ではないと判定した判定結果に基づいて、X線発生装置からのX線の照射が開始されたか否かを判断する照射開始検出手段22とを備える。【選択図】図5

Description

本発明は、X線画像撮影装置に係り、放射線センサーを備えるX線画像撮影装置に関する。
照射されたX線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させ、発生した電荷を画像データとして読み出すX線画像撮影装置が種々開発されている。このタイプのX線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台等と一体的に形成された、いわゆる専用機型(固定型等ともいう。)として構成されていたが、近年、検出素子等を筐体内に収納し、持ち運び可能とした可搬型(カセッテ型等ともいう。)のX線画像撮影装置が開発され、実用化されている。
このようなX線画像撮影装置では、従来、X線発生装置との間でインターフェースを構築して互いに信号等をやり取りし、X線画像撮影装置の準備が整った段階で、X線発生装置から被写体を介してX線画像撮影装置にX線を照射して撮影が行われていた。しかし、例えば、X線画像撮影装置とX線発生装置との製造元が異なっているような場合には、両者の間でインターフェースを構築することが必ずしも容易でない場合があり、或いは、インターフェースを構築できない場合もある。
そして、このようにX線画像撮影装置とX線発生装置との間でインターフェースを構築できない(或いは構築しない)場合、例えば、以下のような問題が生じ得る。X線画像撮影装置では、通常、撮影に先立って、各検出素子内に残存する電荷を検出素子内から除去する検出素子のリセット処理が行われる。その際、上記のようにインターフェースが構築されていないと、X線画像撮影装置が、X線発生装置からX線が照射されたことを知らずに検出素子のリセット処理を続行してしまい、X線の照射により検出素子内で発生した電荷がリセット処理によって検出素子内から除去されてしまうという事態が生じ得る。
このような事態が生じると、X線発生装置からのX線の照射が無駄になり、X線発生装置のX線源が無駄に消耗してしまうとともに、再びX線発生装置からX線を照射して撮影(すなわち再撮影)が行われることが必要になるため、被写体である患者の被曝線量が増加してしまい、患者に負担をかけることになるといった問題が生じ得る。
そこで、例えば、X線画像撮影装置に放射線センサーを取り付けて、放射線センサーからの出力値に基づいてX線の照射が開始されたことを検出するように構成される場合がある。そして、この場合、X線画像撮影装置は、X線の照射が開始されたことを検出すると、検出素子のリセット処理を停止し、各検出素子のスイッチ素子をオフ状態にして、X線の照射により検出素子内で発生した電荷を検出素子内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させるように構成される。
ところで、上記のようにX線画像撮影装置に放射線センサーを取り付けるように構成する場合、放射線センサーが宇宙線を検知してしまい、その情報に基づいて、X線画像撮影装置が、X線の照射が開始されたと誤検出してしまう虞れがある。そこで、例えば特許文献1では、X線画像撮影装置に取り付けられた放射線センサーの検出面の法線がほぼ水平方向を向くようにX線画像撮影装置を配置して撮影を行うことで、放射線センサーに宇宙線が入射する確率を低減することが提案されている。
また、特許文献2に記載されたX線撮像装置では、複数の画像データを比較することで、X線発生装置から照射されたX線とは異なる外来放射線成分の影響の有無を判断し、影響がある場合にはその影響を除去することが提案されている。
特許第4881796号公報 特許第4763655号公報
しかしながら、特許文献1に記載された撮影方法を採用する場合、撮影に用いるX線画像撮影装置の配置が制限されてしまうといった問題が生じる。すなわち、例えば、可搬型(カセッテ型)のX線画像撮影装置では、患者の身体とベッドとの間に挿入する等して撮影を行うことが可能となるなど、専用機型(固定型)のX線画像撮影装置にはないメリットがあるが、その場合、放射線センサーの検出面の法線が略垂直方向を向く状態になる。また、専用機型のX線画像撮影装置でも、天板上に患者が横臥する等して、上方からX線を照射して撮影を行ういわゆる臥位撮影用のX線画像撮影装置の場合には、やはり放射線センサーの検出面の法線が略垂直方向を向く状態になる。そのため、特許文献1に記載された撮影方法を採用する場合、X線画像撮影装置を用いた上記の撮影を行うことができなくなるといった問題がある。
また、特許文献2に記載された方法を採用する場合、外来放射線成分の影響があるか否かを判断できるのは画像データを読み出した後ということになる。一方、上記のように放射線センサーの出力値に基づいてX線画像撮影装置にX線が照射されたことを検出するように構成する場合、放射線センサーから出力値が出力された原因がX線の照射によるものか外来放射線によるものかを即座に判断して、外来放射線ではなくX線が照射されたことを即座に検出することができる即時性が求められるが、この特許文献2に記載された方法では、X線画像撮影装置に照射されたのがX線であるか外来放射線であるかを判断することができるようになるのは画像データの読み出し後であり、タイミングが遅すぎる。
なお、以下では、特許文献1に記載されている宇宙線や、特許文献2に記載されている外来放射線等を含む、X線発生装置から照射されたX線以外の放射線を、まとめて自然放射線と表す。なお、自然放射線という場合、上記のような自然由来の放射線だけでなく、原子力発電所等から飛散したり漏れ出す等した、人工の核燃料等に由来する放射性物質等からの放射線も含まれる。また、自然放射線には、X線だけでなく、γ線等のX線の波長領域を越える波長を有する放射線も含まれる。そして、本願出願では、自然放射線とX線発生装置から照射されたX線の場合とを区別しない場合には放射線一般という意味で単に放射線という。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、撮影時に配置を制限されることがなく、かつ、自然放射線とX線発生装置から照射されたX線とをリアルタイムで判別して、X線の照射開始を検出するとともに、自然放射線によるX線の照射開始の誤検出を防止することが可能なX線画像撮影装置を提供することを目的とする。
前記の問題を解決するために、本発明のX線画像撮影装置は、
二次元状に配列された複数の検出素子と、
放射線が照射されると、出力する電圧値を変動させる放射線センサーと、
前記放射線センサーから出力された前記電圧値が、前記電圧値について設定された所定の範囲以外の電圧値になった期間の長さに基づいて、当該放射線センサーに入射した放射線が自然放射線であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記放射線センサーに入射した放射線は自然放射線ではないと判定した判定結果に基づいて、X線発生装置からのX線の照射が開始されたか否かを判断する照射開始検出手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明のような方式のX線画像撮影装置によれば、X線発生装置からのX線の照射が開始された場合にはそれを的確に検出することが可能となるとともに、放射線センサーに自然放射線が入射した場合には、それによりX線の照射が開始されたと誤検出することを的確に防止することが可能となる。そして、判定手段よる判定処理や照射開始検出手段による判断処理を長くてもミリ秒オーダーで行うことが可能となるため、自然放射線とX線発生装置から照射されたX線とをリアルタイムで判別することが可能となり、撮影を的確に行うことが可能となる。
また、放射線センサーに宇宙線等の自然放射線が入射しても、X線発生装置からX線の照射が開始されたと誤検出することが的確に防止されるため、前述した特許文献1に記載されているように、X線画像撮影装置に取り付けられた放射線センサーの検出面の法線がほぼ水平方向を向くようにX線画像撮影装置を配置して撮影を行うなど、撮影時に制約を受けることなくX線画像撮影装置を用いて撮影を行うことが可能となる。
X線画像撮影装置の断面図である。 図1のX線画像撮影装置を上側から見た図である。 本実施形態の放射線センサーのアナログの電圧値の時間的推移(下段)およびそれに対応して出力されるパルス信号(上段)の例等を表す図である。 X線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。 X線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。 放射線センサーにX線が入射し、所定時間内にパルス信号Pが(A)1回だけ、(B)2回出力される場合の放射線センサーのアナログの電圧値の時間的推移(下段)およびそれに対応して出力されるパルス信号(上段)の例を表す図である。 放射線センサーに自然放射線が入射し、所定時間内にパルス信号Pが(A)多数回、(B)2回出力される場合の放射線センサーのアナログの電圧値の時間的推移(下段)およびそれに対応して出力されるパルス信号(上段)の例を表す図である。
以下、本発明に係るX線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、X線画像撮影装置として、シンチレーター等を備え、放射されたX線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型のX線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレーター等を介さずにX線を検出素子で直接検出する、いわゆる直接型のX線画像撮影装置に対しても適用することができる。
また、X線画像撮影装置がいわゆる可搬型である場合について説明するが、支持台等と一体的に形成された専用機型のX線画像撮影装置に対しても、本発明を適用することが可能である。
[X線画像撮影装置]
まず、本実施形態に係るX線画像撮影システムで用いられるX線画像撮影装置の構成等について説明する。図1は、本実施形態に係るX線画像撮影装置の断面図である。なお、以下では、X線画像撮影装置1を、図1に示すようにX線が照射される側の面であるX線入射面Rが上側になるように水平面上に載置した状態における上下、左右方向に基づいて説明する。また、以下の各図におけるX線画像撮影装置1の各部材等の相対的な大きさや長さ等は、必ずしも現実のX線画像撮影装置の構成を反映するものではない。
X線画像撮影装置1は、図1に示すように、X線入射面Rを有するカーボン板等で形成された筐体2内に、シンチレーター3やセンサー基板4等で構成されるセンサーパネルSPが収納されて構成されている。センサーパネルSPと筐体2の側面の内側との間には緩衝材35が設けられている。また、図1では図示を省略するが、本実施形態では、筐体2には、画像データD等を無線方式で図示しない画像処理装置に送信する無線方式の通信手段であるアンテナ41(後述する図5参照)が設けられている。また、図1では図示を省略するが、本実施形態では、X線画像撮影装置1は、筐体2の側面等にコネクター42(後述する図5参照)を備えており、コネクター42を介して有線方式で信号やデータ等を図示しないコンソールや画像処理装置等に送信することができるようになっている。そして、後述する図5に示すように、アンテナ41やコネクター42等が接続された通信部40がX線画像撮影装置1の通信手段として機能するようになっている。
図1に示すように、筐体2内には、基台31が配置されており、基台31のX線入射面R側すなわち上面側に、図示しない鉛の薄板等を介してセンサー基板4が設けられている。そして、センサー基板4の上面側には、照射されたX線を可視光等の光に変換するシンチレーター3がシンチレーター基板34上に設けられ、シンチレーター3がセンサー基板4側に対向する状態で設けられている。また、基台31の下面側には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリー24等が取り付けられている。
また、基台31の下面側には、放射線センサー25が取り付けられている。本実施形態では、放射線センサー25は、X線だけでなく放射線一般に対して感度を有するものが用いられる。また、放射線センサー25は、図2に示すように、基台31の下面側の中央の位置に配置されているが、その取り付け位置は中央の位置でなくてもよい。なお、図2は、X線画像撮影装置1をX線入射面R側すなわち上側から見た図である。また、図1では、放射線センサー25を基台31に直接取り付けた場合が示されているが、PCB基板33等を介して基台31に取り付けたり、或いは筐体2の内側に取り付けることも可能であり、放射線センサー25は適宜の方法でX線画像撮影装置1の適宜の位置に取り付けられる。
また、以下では、上記のように放射線センサー25を1つだけ設ける場合について説明するが、放射線センサー25を複数設けるように構成することも可能である。また、その場合、例えば、放射線センサー25を、X線画像撮影装置1のX線入射面Rの端部や角隅部等の適宜の位置にそれぞれ配置するように構成することが可能である。
本実施形態では、放射線センサー25としては、X線発生装置から照射されるX線のみならず、前述した自然放射線をも検出する放射線センサーが用いられており、X線が照射されたり自然放射線を検出すると、出力する電圧値を変動させる放射線センサーが用いられている。具体的には、放射線センサー25は、図示しないフォトダイオード等にX線等が当たると電離作用が生じて電流が流れ、その電流をアナログ値の電圧値に変換する。そして、本実施形態では、放射線センサー25は、図3に示すように、アナログ値の電圧値Vaには正と負の閾値Vth+、Vth−がそれぞれ設定されており、放射線センサー25は、アナログ値の電圧値Vaが、上限を正の閾値Vth+とし下限を負の閾値Vth−とする範囲以外の電圧値(すなわち正の閾値Vth+を上回る電圧値や負の閾値Vth−を下回る電圧値)になるとパルス信号Pを出力するように構成されている。
なお、図3中のA、B、Cについては後で説明する。また、上記の場合、正と負の閾値Vth+、Vth−を両者の絶対値が同じ値になるように設定することが可能であり、両者の絶対値が異なる値になるように設定することも可能である。また、放射線センサー25として、電流値から変換したアナログ値の電圧値Vaをアナログ値のまま出力する放射線センサーを用いることも可能である。さらに、X線発生装置とは、クーリッジX線源や回転陽極X線源等のX線源を備えた、医療現場で広く一般に用いられているX線発生装置のことであり、本発明は、特定のX線発生装置を用いる場合に限定されない。
本実施形態では、センサー基板4はガラス基板で構成されており、図4に示すように、センサー基板4の上面(すなわちシンチレーター3に対向する面)4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。また、センサー基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、検出素子7がそれぞれ設けられている。本実施形態では、検出素子7はフォトダイオードが用いられているが、例えばフォトトランジスター等を用いることも可能である。
ここで、X線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図5は本実施形態に係るX線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図である。各検出素子7の第1電極7aには、スイッチ素子である薄膜トランジスター(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8のソース電極8s(図5の「S」参照)が接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dおよびゲート電極8g(図5の「D」および「G」参照)は信号線6および走査線5にそれぞれ接続されている。そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させる。また、走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、検出素子7内に電荷を蓄積させるようになっている。
また、本実施形態では、図4や図5に示すように、センサー基板4上で1列の各検出素子7ごとに1本の割合で各検出素子7の第2電極7bにそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9はセンサー基板4の縁端部で結線10に結束されている。そして、結線10は入出力端子11(パッドともいう。図4参照)を介してバイアス電源14(図5参照)に接続されており、バイアス電源14から結線10や各バイアス線9を介して各検出素子7の第2電極7bに逆バイアス電圧が印加されるようになっている。
一方、各走査線5は、それぞれ入出力端子11を介して走査駆動手段15のゲートドライバー15bにそれぞれ接続されている。走査駆動手段15では、配線15cを介して電源回路15aからゲートドライバー15bにオン電圧とオフ電圧が供給されるようになっており、ゲートドライバー15bで走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間でそれぞれ切り替えるようになっている。
また、各信号線6は、各入出力端子11を介して読み出しIC16内に内蔵された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。本実施形態では、読み出し回路17は、主に増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。また、図示を省略するが、本実施形態では、増幅回路18は、オペアンプとコンデンサー等が並列に接続されたチャージアンプ回路で構成されており、コンデンサーに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプの出力側から相関二重サンプリング回路19(図5のCDS参照)に出力されるようになっている。図5に示すように、読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサー21と、A/D変換器20とが設けられている。
そして、各検出素子7からの画像データDの読み出し処理の際には、走査駆動手段15のゲートドライバー15bからある走査線5にオン電圧が印加されて各TFT8がオン状態とされると、これらの各TFT8を介して各検出素子7内から信号線6に電荷がそれぞれ放出されて、読み出し回路17の増幅回路18のコンデンサーに蓄積される。そして、前述したように、各読み出し回路17の増幅回路18では、コンデンサーに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプから相関二重サンプリング回路19に出力される。
相関二重サンプリング回路19は、各検出素子7から増幅回路18に電荷が流れ込む前後の増幅回路18からの出力値の増加分をアナログ値の画像データDとして下流側に出力する。そして、出力された各画像データDがアナログマルチプレクサー21を介してA/D変換器20に順次送信され、A/D変換器20でデジタル値の画像データDに順次変換されて記憶手段23に出力されて順次保存される。このようにして画像データDの読み出し処理が行われるようになっている。
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。そして、制御手段22は、走査駆動手段15や読み出し回路17を制御して上記のように画像データDの読み出し処理を行わせるなど、X線画像撮影装置1の各機能部の動作等を制御するようになっている。
また、図5に示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ41やコネクター42等が接続された通信部40が接続されており、さらに、走査駆動手段15や読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各機能部に必要な電力を供給するバッテリー24が接続されている。
なお、本実施形態では、制御手段22は、後述するX線画像撮影装置1の判定手段や照射開始検出手段としても機能するようになっているが、判定手段や照射開始検出手段を制御手段22とは別体の手段として設けることも可能である。また、以下の説明において、制御手段22が判定手段や照射開始検出手段として機能する場合には、判定手段22や照射開始検出手段22と記載する。また、図5に示すように、判定手段22(制御手段22)には前述した放射線センサー25が電気的に接続されており、放射線センサー25から出力された信号が判定手段22に入力するようになっている。
[本発明に特有の構成等について]
次に、自然放射線を検出した場合のX線の照射開始の誤検出を防止するための本発明に特有の構成等について説明する。また、本実施形態に係るX線画像撮影装置1の作用についてもあわせて説明する。
本実施形態では、基本的に、照射開始検出手段22は、上記のように放射線センサー25から出力されたパルス信号Pに基づいて図示しないX線発生装置からX線が照射されたか否かを検出するようになっている。しかし、前述したように、放射線センサー25は、X線発生装置から照射されたX線だけでなく、自然放射線を検出した場合もパルス信号Pを出力するため、単に放射線センサー25から出力されるパルス信号Pに基づくだけでは、自然放射線が照射された場合もX線の照射が開始されたと誤検出してしまう虞れがある。
また、放射線センサー25として、前述したように、電流値から変換したアナログ値の電圧値Vaをアナログ値のまま出力する放射線センサーを用いる場合も、照射開始検出手段22は、放射線センサー25から出力されたアナログ値の電圧値Vaに基づいてX線発生装置からX線が照射されたか否かを検出するように構成されるが、放射線センサー25は、X線発生装置から照射されたX線だけでなく、自然放射線を検出した場合も出力するアナログ値の電圧値Vaの変動幅が大きくなる。そのため、単に放射線センサー25から出力されるアナログ値の電圧値Vaに基づくだけでは、自然放射線が照射された場合もX線の照射が開始されたと誤検出してしまう虞れがある。
そこで、本発明に係るX線画像撮影装置1は、まず、判定手段22が、放射線センサー25から出力されたパルス信号Pのパルス幅(すなわちパルス信号PがONになっている時間)や電圧値Vaが設定された所定の範囲以外の電圧値になった期間の長さに基づいて、当該放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であるか否かを判定する。そして、照射開始検出手段22が、判定手段22が放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線ではないと判定した判定結果に基づいてX線発生装置からのX線の照射が開始されたか否かを判断するように構成されている。
なお、本実施形態では、前述したように、放射線センサー25は、放射線センサー25は、アナログ値の電圧値Vaが、上限を正の閾値Vth+とし下限を負の閾値Vth−とする範囲以外の電圧値になるとパルス信号Pを出力するように構成されているため、上記のパルス信号Pのパルス幅と、電圧値Vaが設定された所定の範囲(すなわち上限を正の閾値Vth+とし下限を負の閾値Vth−とする範囲)以外の電圧値になった期間の長さとは、同じ長さになる。
[放射線センサーに放射線が照射される際に生じる現象について]
以下、本実施形態における上記の構成等について具体的に説明する前に、その前提となる、放射線センサー25にX線や自然放射線を含む放射線が照射された際に生じる現象について説明する。
例えば、X線発生装置からX線画像撮影装置1にX線を一定の線量率(すなわち単位時間あたりの線量)で照射した状態でも、X線画像撮影装置1に設けられた放射線センサー25からON信号(図3のパルス信号Pの「ON」参照)が出力され続ける状態になるわけではなく、パルス状の信号すなわちパルス信号Pが出力される状態になる。これは、X線を構成する光子が放射線センサー25に入射したとき初めて放射線センサー25のフォトダイオード等に電流が流れることに起因する。そして、X線発生装置からのX線の照射が続くと放射線センサー25にX線を構成する光子が絶えず入射する状態になるため、X線の照射が続く限り、放射線センサー25からパルス信号Pが断続的に出力され続ける状態になる。
それに対し、放射線センサー25に自然放射線が入射した場合も同様に、放射線センサー25からパルス信号Pが出力される。しかし、自然放射線の場合はX線発生装置から照射されるX線の場合とは異なり、自然放射線は、通常、放射線センサー25に単発的に入射する。
一方、例えば、X線発生装置から照射されたX線が放射線センサー25に入射すると、例えば図3にBやCで示したパルス信号Pに対応するアナログの電圧値Vaの波形のように、X線の入射時に電圧値Vaが瞬間的に大きくなって正の閾値Vth+を上回り、パルス信号Pが出力される。しかし、その後、電圧値Vaが波打つように変動しても負の閾値Vth−を下回ったり再度正の閾値Vth+を上回ったりしにくいため、結局、X線が放射線センサー25に1回入射すると、パルス信号Pは1回だけ出力される場合が多い。なお、図示を省略するが、放射線センサー25に入射したX線の強度が強い場合には、X線の入射時に電圧値Vaが正の閾値Vth+を上回ってパルス信号Pが1回出力されたすぐ後に、電圧値Vaが負の閾値Vth−を下回ってパルス信号Pがもう1回出力される場合もある。このように、X線の放射線センサー25への1回の入射で、パルス信号Pが2回出力されることもある。
それに対し、自然放射線は、一般的に、X線発生装置から照射されるX線よりもエネルギーが大きいため、自然放射線が放射線センサー25に入射すると、例えば図3にAで示したパルス信号Pに対応するアナログの電圧値Vaのように、電圧値Vaの波形が大きく波打つ。そのため、自然放射線の入射時に電圧値Vaが正の閾値Vth+を上回ってパルス信号Pが出力され、その後、電圧値Vaが負の閾値Vth−を下回って再度パルス信号Pが出力され、さらにその後、電圧値Vaが正の閾値Vth+を再度上回ってパルス信号Pが出力されるという現象が生じる。そのため、自然放射線が放射線センサー25に1回入射すると、パルス信号Pが複数回出力される場合が少なくない。
また、上記のように、自然放射線はX線発生装置から照射されるX線よりもエネルギーが大きいため、自然放射線が放射線センサー25に入射すると、X線発生装置から照射されたX線が放射線センサー25に入射する場合に比べて、アナログの電圧値Vaの正側や負側により大きく変動するようになる。そのため、アナログの電圧値Vaが正の閾値Vth+を上回っている期間の長さ(すなわちそれに対応するパルス信号Pのパルス幅)や負の閾値Vth−を下回っている期間の長さ(すなわちそれに対応するパルス信号Pのパルス幅)も、X線発生装置から照射されたX線が放射線センサー25に入射する場合に比べて、より長くなる傾向がある。
つまり、放射線センサー25に自然放射線が1回入射した場合、放射線センサー25にX線発生装置から照射されたX線が1回入射した場合に比べて、一般的に、放射線センサー25からパルス信号Pが出力される回数が多くなったり、出力されるパルス信号Pのパルス幅が長くなったりすることが、本発明者らの研究で分かってきた。そして、この現象を利用すれば、放射線センサー25に入射したのが自然放射線であるかX線発生装置から照射されたX線であるかを判別することが可能となると考えられる。
そこで、本発明では、上記の現象を利用して放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線とX線とを判別するために、判定手段22(すなわち本実施形態では制御手段22)は、放射線センサー25におけるアナログの電圧値Vaが所定の範囲(すなわち上記の例では上限を正の閾値Vth+とし下限を負の閾値Vth−とする範囲)以外の電圧値になった期間の長さに基づいて、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であるか否かを判定するようになっている。
なお、本実施形態では、上記のように、放射線センサー25は、アナログの電圧値Vaが上記の所定の範囲以外の電圧値になるとパルス信号Pを出力するように構成されており、前述したように、上記のパルス信号Pのパルス幅と、アナログの電圧値Vaが所定の範囲以外の電圧値になった期間の長さとは同じ長さになるため、以下、上記の期間の長さをパルス信号Pのパルス幅として説明する。なお、放射線センサー25からアナログの電圧値Vaが出力されるように構成されている場合には、判定手段22に予め正と負の閾値Vth+、Vth−を設定しておき、判定手段22で、放射線センサー25から出力されたアナログの電圧値Vaが正の閾値Vth+を上回った期間の長さや負の閾値Vth−を下回った期間の長さを計測するように構成することも可能である。
[パルス幅に基づいて自然放射線か否かを判定する具体的な手法について]
上記のように判定手段22で放射線センサー25から出力されたパルス信号Pのパルス幅に基づいて当該放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線か否かを判定する具体的な手法について、いくつかの構成例を挙げて説明する。
[構成例1]
例えば、判定手段22は、放射線センサー25のアナログの電圧値Vaが正の閾値Vth+を上回りパルス信号Pが出力され始めてから所定時間(例えば100μsや200μs等)以内に出力された、当該一のパルス信号を含む各パルス信号Pのパルス幅Wpの合計値ΣWpが閾値Σth以上である場合に、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であると判定するように構成することが可能である。
この場合、放射線センサー25に入射した放射線がX線発生装置から照射されたX線であれば、例えば図6(A)に示すように、上記の所定時間ΔT内にパルス信号Pが1回だけ出力され、そのパルス幅Wpもさほど長くない(前述した図3のBやC参照)。そのため、パルス信号Pが出力され始めてから所定時間ΔT内に出力されたパルス信号Pのパルス幅Wpの合計値ΣWpは即ち当該パルス信号Pのパルス幅Wpということになり、閾値Σth未満になる。そのため、この場合は、判定手段22は、放射線センサー25に入射した放射線は、自然放射線ではない(すなわちX線発生装置から照射されたX線である)と判定する。なお、閾値Σthは例えば50μs等の適宜の時間幅に設定される。
また、例えば図6(B)に示すように、放射線センサー25のアナログの電圧値Vaが正の閾値Vth+を上回った後、負の閾値Vth−を下回って、上記の所定時間ΔT内にパルス信号P1、P2が2回出力された場合でも、所定時間ΔT内に出力されたパルス信号P1、P2のパルス幅Wp1、Wp2の合計値ΣWp(=Wp1+Wp2)が閾値Σth未満であれば、判定手段22は、やはり放射線センサー25に入射した放射線は自然放射線ではないと判定する。
それに対して、図7(A)に示すように、放射線センサー25のアナログの電圧値Vaが正側と負側に大きく振れ、パルス信号Pが出力され始めてから所定時間ΔT内に出力された各パルス信号Pのパルス幅Wpの合計値ΣWp(図7(A)の場合はWp3+Wp4+Wp5+Wp6)が閾値Σth以上になる場合には、判定手段22は、放射線センサー25に入射した放射線は自然放射線であると判定する。
また、図7(B)に示すように放射線センサー25からパルス信号Pが出力され始めてから所定時間ΔT内にパルス信号Pが2回出力された場合であっても、所定時間ΔT内に出力された各パルス信号Pのパルス幅Wpの合計値ΣWp(図7(B)の場合はWp7+Wp8)が閾値Σth以上になる場合には、判定手段22は、放射線センサー25に入射した放射線は自然放射線であると判定する。さらに、図示を省略するが、放射線センサー25からパルス信号Pが出力され始めてから所定時間ΔT内にパルス信号Pが1回だけ出力された場合であっても、所定時間ΔT内に出力された当該パルス信号Pのパルス幅Wp(すなわち合計値ΣWp)が閾値Σth以上になる場合(すなわち1回だけ出力されたパルス信号Pのパルス幅Wpが閾値Σth以上に大きい場合)にも、判定手段22は、放射線センサー25に入射した放射線は自然放射線であると判定するように構成することが可能である。
別の言い方をすれば、この構成例1の場合には、判定手段22における上記の閾値Σthが、図6(A)、(B)に示したような場合には自然放射線であるとは判定せず(すなわち自然放射線ではないと判定し)、図7(A)、(B)に示したような場合には自然放射線であると判定することができるような値に設定される。
[構成例2]
また、図6(B)と、図7(A)、(B)とを比較して分かるように、一般的に、放射線センサー25に入射した放射線がX線発生装置から照射されたX線である場合(図6(B)参照)より自然放射線である場合(図7(A)、(B)参照)の方が、最初に出力されたパルス信号Pを含む少なくとも2つのパルス信号Pのパルス幅Wpの合計値が大きい。これは、前述したように、放射線センサー25に自然放射線が1回入射した場合、放射線センサー25にX線発生装置から照射されたX線が1回入射した場合に比べて、一般的に、放射線センサー25から出力されるパルス信号Pのパルス幅が長くなることに起因する。
そこで、構成例2では、例えば、判定手段22は、放射線センサー25から出力された所定回数のパルス信号Pのパルス幅Wpの合計値σWpが閾値σth以上である場合に、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であると判定するように構成することが可能である。なお、以下では、構成例2の場合にも、構成例1におけるように所定時間ΔTを設定する場合について説明するが、所定時間ΔTを必ずしも設定しなくてもよい。
具体的には、例えば、上記の所定回数を2回に設定した場合、例えば図6(A)に示した場合には、所定時間ΔT内にパルス信号Pが1回しか生じていないため、判定手段22は、放射線センサー25に入射した放射線は自然放射線ではないと判定する。また、図6(B)に示したようにパルス信号Pが所定時間ΔT内に連続して出力される場合、最初のパルス信号Pを含む2回の各パルス信号Pのパルス幅Wp(図6(B)の場合はWp1とWp2)の合計値σWpが閾値σth未満であれば、判定手段22は、放射線センサー25に入射した放射線は自然放射線ではないと判定する。
それに対し、例えば図7(A)や図7(B)に示した場合のように、所定時間ΔT内に出力された、最初のパルス信号Pを含む2回の各パルス信号P(図7(A)の場合は所定時間ΔT内に出力された4つのパルス信号Pの波形のうち左側の2つの各パルス信号P)のパルス幅Wp(図7(A)の場合はWp3とWp4、図7(B)の場合はWp7とWp8)の合計値σWpが閾値σth以上であれば、判定手段22は、放射線センサー25に入射した放射線は自然放射線であると判定する。
別の言い方をすれば、この構成例2の場合には、判定手段22における上記の閾値σthが、図6(B)に示したような場合には自然放射線であるとは判定せず(すなわち自然放射線ではないと判定し)、図7(A)、(B)に示したような場合には自然放射線であると判定することができるような値に設定される。
[構成例3]
また、構成例3では、前述したように、放射線センサー25に自然放射線が1回入射した場合、放射線センサー25にX線発生装置から照射されたX線が1回入射した場合に比べて、一般的に、放射線センサー25から出力されるパルス信号Pのパルス幅が長くなる現象を端的に利用して、例えば、放射線センサー25から1回目のパルス信号Pが出力された後に出力された2回目のパルス信号Pのパルス幅Wpに注目する。
そして、判定手段22は、この2回目のパルス信号Pのパルス幅Wp(図3の場合はBのパルス信号Pの後のCのパルス信号Pのパルス幅、図6(B)や図7(A)、(B)の場合はパルス幅Wp2、Wp4、Wp8)が閾値Wpth以上である場合に、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であると判定するように構成することが可能である。すなわち、図3のCや図6(B)のパルス信号Pの場合は、パルス幅Wp(図6(B)の場合はパルス幅Wp2)が閾値Wpth未満であるから、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線ではないと判定し、図7(A)、(B)のパルス信号Pの場合は、パルス幅Wp(すなわちパルス幅Wp4、Wp8)が閾値Wpth以上であるから、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であると判定するように構成することが可能である。
この場合も、別の言い方をすれば、この構成例3の場合には、判定手段22における上記の閾値Wpthが、図3のCや図6(B)に示したような場合には自然放射線であるとは判定せず(すなわち自然放射線ではないと判定し)、図7(A)、(B)に示したような場合には自然放射線であると判定することができるような値に設定される。
上記の構成例1〜3のように構成すれば、前述したように、放射線センサー25に自然放射線が1回入射した場合、放射線センサー25にX線発生装置から照射されたX線が1回入射した場合に比べて、一般的に、放射線センサー25からパルス信号Pが出力される回数が多くなったり、出力されるパルス信号Pのパルス幅が長くなったりするという現象を利用して、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であるか否かを判定することが可能となる。そして、その際、上記の閾値Σth、σth、Wpthを適切に設定することで、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であるかX線発生装置から照射されたX線であるかを的確に区別して判定することが可能となる。
なお、上記の構成例1〜3のうち2つ或いは全てを組み合わせて構成し、構成例1〜3のうち1つ、2つ或いは全ての構成例で判定手段22が放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であると判定した場合に、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であると判定するように構成することも可能である。また、上記の構成例1〜3と他の判定方法とを組み合わせて判定処理を行うように構成することも可能である。
また、上記の構成例1や構成例2のように、複数のパルス信号Pのパルス幅Wpの合計値ΣWp、σWpを算出するように構成すると、構成例3に示したように、1つのパルスPのパルス幅Wpを用いる場合に比べて、放射線センサー25に自然放射線が入射した場合の合計値ΣWp、σWpとX線発生装置から照射されたX線が入射した場合の合計値ΣWp、σWpとの差が大きくなり、閾値Σth、σthで両方の場合を切り分け易くなるといったメリットがある。また、構成例3に示したように1つのパルスPのパルス幅Wpと閾値Wpthとを比較するように構成すれば、パルス幅の加算処理が不要になり、処理を迅速に行うことが可能となる等のメリットがある。
[本実施形態に係る照射開始検出手段における処理について]
一方、照射開始検出手段22(本実施形態では制御手段22)は、上記のようにして、判定手段22が自然放射線ではないと判定した判定結果に基づいて、X線発生装置からのX線の照射が開始されたか否かを判断するようになっている。
この場合、最も単純な構成として、照射開始検出手段22は、判定手段22が上記のようにして放射線センサー22に入射した放射線は自然放射線ではなくX線発生装置から照射されたX線であると判定した場合に、即座にX線発生装置からのX線の照射が開始されたと判断するように構成することが可能である。
確かに、図7(A)、(B)に示したように、大きなエネルギーを有する自然放射線が放射線センサー25に入射した場合には、放射線センサー25のアナログの電圧値Vaの時間的推移はX線発生装置から照射されたX線が入射した場合(図6(A)、(B)参照)とは異なるため、例えば判定手段22を上記の構成例1〜3のように構成した場合には、閾値Σth、σth、Wpthを適切な値に設定することで、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であるか否かを閾値Σth、σth、Wpthで的確に切り分けて判定することができる。
しかし、例えば自然放射線のエネルギーが小さい場合、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であるにもかかわらず、放射線センサー25のアナログの電圧値Vaの時間的推移が、放射線センサー25にX線発生装置から照射されたX線が入射した場合とあまり変わらなくなるため、判定手段22が、放射線センサー25に入射した放射線はX線発生装置から照射されたX線であると誤って判定してしまう可能性がある。また、X線発生装置から照射するX線のエネルギーが非常に強い場合には、それにあわせて、上記の閾値Σth、σth、Wpthが、照射されるX線が弱い場合よりも大きな値に設定される。そのため、この場合も、閾値Σth、σth、Wpthで、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線である場合とX線発生装置から照射されたX線である場合とをうまく切り分けることができなくなり、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であるにもかかわらずX線発生装置から照射されたX線であると誤って判定してしまう可能性がある。
そこで、このような誤った判定によってX線発生装置からのX線の照射開始を誤検出してしまうことを防止するために、例えば、自然放射線の場合とX線発生装置から照射されたX線の場合の前述したもう1つの特徴に着目することが可能である。すなわち、前述したように、X線発生装置からX線が照射される場合、放射線センサー25にX線を構成する光子が絶えず入射し続ける状態になり、放射線センサー25からパルス信号Pが断続的に出力され続ける状態になる。それに対し、放射線センサー25に自然放射線が入射した場合には、図7(A)、(B)に示したように、放射線センサー25への1回の自然放射線の入射で複数のパルス信号Pが出力される場合があるが、それ以降、パルス信号Pの出力はなくなる。
本実施形態では、上記の特徴に着目して、照射開始検出手段22は、判定手段22が放射線センサー25に入射した放射線は自然放射線であると判定した判定結果は除外し、判定手段22が放射線センサーに入射した放射線が自然放射線ではない(すなわちX線発生装置から照射されたX線である)と判定した判定結果が一定の時間δT内に所定回数生じた場合に初めてX線発生装置からのX線の照射が開始されたと判断するようになっている。この場合の一定の時間δTは、上記の判定手段22における所定時間ΔT(例えば100μsや200μs等)よりも十分に長い、例えば数msのオーダーに設定される。
このように構成する場合、例えば図3に示した例で言えば、図中のAの部分の各パルス信号Pは、上記のように判定手段22により放射線センサー25に入射した放射線は自然放射線であると判定されて除外されるが、図中のBやCのパルス信号Pは、Bのパルス信号Pが出力されてから上記の所定時間ΔTが経過した後であり、かつ、上記の一定の時間δT(図3では図示省略)内にCのパルス信号Pが出力されているため、判定手段22によりいずれも放射線センサー25に入射した放射線は自然放射線ではないと判定される。そのため、照射開始検出手段22は、BとCの各パルス信号Pについてはそれぞれ、放射線センサー25に入射した放射線は自然放射線ではないと判定することになる。そのため、この場合は、判定手段22が放射線センサーに入射した放射線が自然放射線ではない(すなわちX線発生装置から照射されたX線である)と判定した判定結果が一定の時間δT内に2回生じることになる。
そして、照射開始検出手段22は、判定手段22によるこのような判定結果が上記の一定の時間δT内に例えば3回や5回等に設定された所定回数だけ生じた場合に、初めてX線発生装置からのX線の照射が開始されたと判断する。
このように構成すれば、例えば、上記のように、放射線センサー25に入射する自然放射線のエネルギーが小さかったり、或いはX線発生装置から照射するX線が強いため閾値Σth、σth、Wpthをより大きな値に設定した場合に、判定手段22が、放射線センサー25に入射した自然放射線をX線発生装置から照射されたX線であると誤って判定してしまったとしても、放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であれば、その後、一定の時間δT内に所定回数だけ自然放射線が再び放射線センサー25に入射することは事実上生じない。そのため、上記のように構成することで、照射開始検出手段22が、放射線センサー25に自然放射線が入射したことによってX線発生装置からのX線の照射が開始されたと誤って判断することを的確に防止することが可能となる。
また、上記のように、X線発生装置からX線が照射された場合には、判定手段22が、仮に最初に放射線センサー25に入射した放射線がX線発生装置から照射されたX線であるのに自然放射線であると判定してしまい判定結果を除外しても、その後も続けてX線の光子が放射線センサー25に入射する。そのため、判定手段22が放射線センサーに入射した放射線が自然放射線ではない(すなわちX線発生装置から照射されたX線である)と判定した判定結果が一定の時間δT内に所定回数だけ確実に生じるようになるため、上記のように構成すれば、照射開始検出手段22は、X線発生装置からX線が照射された場合には、X線発生装置からのX線の照射が開始されたと的確に判断することが可能となる。
このように、上記のように構成することで、放射線センサー25に自然放射線が入射した場合にはX線発生装置からX線の照射が開始されたと誤って判断してしまうことを的確に防止し、X線発生装置からX線が照射された場合には、X線発生装置からのX線の照射が開始されたと的確に判断することが可能となる。
[X線の照射開始の判断後の処理について]
X線画像撮影装置1の照射開始検出手段22は、上記のようにしてX線発生装置からのX線の照射が開始されたと判断すると、走査駆動手段15(図5参照)を制御し、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とし、X線の照射により検出素子7内で発生した電荷を検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させるように構成される。
そして、制御手段22は、X線の照射が終了した後、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、前述したようにして各検出素子7からの画像データDの読み出し処理を行うようになっている。また、撮影の前または後にオフセットデータOの読み出し処理を行ったり、X線画像撮影装置1から画像処理装置への画像データDやオフセットデータOの送信処理を行うなど、公知の処理を行うようになっている。
[効果]
以上のように、本実施形態に係るX線画像撮影装置1によれば、判定手段22が、放射線センサー25から出力されたパルス信号Pのパルス幅Wp(すなわち放射線センサー25を流れる電流値から変換したアナログ値の電圧値Vaが所定の範囲以外の電圧値になった期間の長さ)に基づいて、当該放射線センサー25に入射した放射線が自然放射線であるか否かを判定し、照射開始検出手段22は、判定手段22が放射線センサー25に入射した放射線は自然放射線ではないと判定した判定結果(すなわちX線発生装置から照射されたX線であると判定した判定結果)に基づいて、X線発生装置からのX線の照射が開始されたか否かを判断するように構成した。
そのため、X線発生装置からのX線の照射が開始された場合にはそれを的確に検出することが可能となるとともに、放射線センサー25に自然放射線が入射したことによりX線の照射が開始されたと誤検出することを的確に防止することが可能となる。
そして、判定手段22よる判定処理や、照射開始検出手段22による判断処理は、上記のように長くてもミリ秒オーダーで行われるため、自然放射線とX線発生装置から照射されたX線とをリアルタイムで判別することが可能となる。そのため、X線発生装置からX線の照射が開始されると、即座に各TFT8をオフ状態にして電荷蓄積状態に移行し、X線の照射により各検出素子7内で発生した電荷を的確に各検出素子7内に蓄積することが可能となり、放射線画像を的確に撮影して生成することが可能となる。
また、本実施形態に係るX線画像撮影装置1によれば、放射線センサー25に宇宙線等の自然放射線が入射しても、X線発生装置からX線の照射が開始されたと誤検出することが的確に防止されるため、前述した特許文献1に記載されているように、X線画像撮影装置に取り付けられた放射線センサーの検出面の法線がほぼ水平方向を向くようにX線画像撮影装置を配置して撮影を行うなど、撮影時に制約を受けることなくX線画像撮影装置を用いて撮影を行うことが可能となる。
そのため、例えば可搬型(カセッテ型)のX線画像撮影装置では、患者の身体とベッドとの間に挿入する等して撮影を行うことが可能となるなど、可搬型のX線画像撮影装置のメリットを生かして撮影を行うことが可能となる。また、臥位撮影用の専用機型のX線画像撮影装置でも、宇宙線等の自然放射線の影響を受けることなく的確に撮影を行うことが可能となる。
なお、上記の実施形態では、放射線センサー25のみを用いてX線発生装置からのX線の照射開始の検出処理(すなわち上記の判定処理および判断処理)を行う場合について説明したが、例えば、特開2009−219538号公報等に記載されている、バイアス線9(図5参照)等を流れる電流に基づいてX線の照射開始を検出する手法や、国際公開第2011/135917号パンフレット等に記載されている、オフ状態のTFT8を介して検出素子7からリークする電荷を読み出したリークデータdleak等に基づいてX線の照射開始を検出する手法、或いは国際公開第2011/152093号パンフレット等に記載されている、撮影前から画像データの読み出し処理を行って読み出された画像データに基づいてX線の照射開始を検出する手法等と、本発明に係る手法とを併用して、X線の照射開始を検出するように構成することも可能である。
また、X線画像撮影装置1に放射線センサー25を複数設ける場合、X線発生装置からX線が照射された場合には、X線画像撮影装置1におけるX線の照射野内に存在する放射線センサー25にX線が入射し得るため、上記のように、X線の照射が続く限り放射線センサー25からパルス信号Pが断続的に出力され続ける状態が、照射野内に存在する複数の放射線センサー25で生じ得る。一方、放射線センサー25に自然放射線が入射する場合は、通常、複数設けられた放射線センサー25のうちの1つの放射線センサー25のみでパルス信号Pの出力が生じ、しかも、当該放射線センサー25から1回の自然放射線の入射に基づくパルス信号Pが数回出力されると(例えば図7(A)、(B)参照)、その後は、パルス信号Pの出力はなくなる。
そのため、X線画像撮影装置1に放射線センサー25を複数設ける場合には、上記の実施形態で説明したX線の照射開始の検出処理(すなわち上記の判定処理および判断処理)のほかに、上記のように放射線センサー25に入射する放射線が自然放射線であるかX線発生装置から照射されたX線であるかに応じて生じる現象が異なることをも考慮し、それらを組み合わせて、X線の照射開始の検出処理を構築するように構成することも可能である。
なお、本発明が上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
1 X線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7 検出素子
8 TFT(スイッチ素子)
15 走査駆動手段
22 制御手段(判定手段、照射開始検出手段)
25 放射線センサー
P パルス信号
Va 電圧値
Vth−〜Vth+ 所定の範囲
Wp パルス幅(期間の長さ)
Wp2、Wp4、Wp8 2回目のパルス信号のパルス幅(2回目の期間の長さ)
ΔT 所定時間
δT 一定の時間
Σth 閾値
σth 閾値
ΣWp パルス幅の合計値(期間の長さの合計値)
σWp 所定回数のパルス幅の合計値(所定回数の期間の長さの合計値)

Claims (7)

  1. 二次元状に配列された複数の検出素子と、
    放射線が照射されると、出力する電圧値を変動させる放射線センサーと、
    前記放射線センサーから出力された前記電圧値が、前記電圧値について設定された所定の範囲以外の電圧値になった期間の長さに基づいて、当該放射線センサーに入射した放射線が自然放射線であるか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段が前記放射線センサーに入射した放射線は自然放射線ではないと判定した判定結果に基づいて、X線発生装置からのX線の照射が開始されたか否かを判断する照射開始検出手段と、
    を備えることを特徴とするX線画像撮影装置。
  2. 前記放射線センサーは、前記電圧値が前記所定の範囲以外の電圧値になるとパルス信号を出力するように構成されており、
    前記判定手段は、前記放射線センサーから出力された前記パルス信号のパルス幅に基づいて、当該放射線センサーに入射した放射線が自然放射線であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のX線画像撮影装置。
  3. 前記判定手段は、前記放射線センサーから出力された前記電圧値が前記所定の範囲以外の電圧値になってから所定時間以内に生じた前記期間の長さの合計値が閾値以上である場合、または、前記放射線センサーから一の前記パルス信号が出力されてから所定時間以内に出力された、当該一のパルス信号を含む前記パルス信号の前記パルス幅の合計値が閾値以上である場合に、当該放射線センサーに入射した放射線が自然放射線であると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線画像撮影装置。
  4. 前記判定手段は、前記放射線センサーから出力された前記電圧値が前記所定の範囲以外の電圧値になって生じた前記期間を含む所定回数の前記期間の長さの合計値が閾値以上である場合、または、前記放射線センサーから出力された一の前記パルス信号を含む所定回数の前記パルス信号の前記パルス幅の合計値が閾値以上である場合に、当該放射線センサーに入射した放射線が自然放射線であると判定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のX線画像撮影装置。
  5. 前記判定手段は、前記放射線センサーから出力された前記電圧値が前記所定の範囲以外の電圧値になって1回目の前記期間が生じた後に生じた2回目の前記期間の長さが閾値以上である場合、または、前記放射線センサーから1回目の前記パルス信号が出力された後に出力された2回目の前記パルス信号の前記パルス幅が閾値以上である場合に、当該放射線センサーに入射した放射線が自然放射線であると判定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のX線画像撮影装置。
  6. 前記照射開始検出手段は、前記判定手段が前記放射線センサーに入射した放射線が自然放射線ではないと一定の時間内に所定回数判定した場合に、前記X線発生装置からのX線の照射が開始されたと判断することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のX線画像撮影装置。
  7. 走査駆動手段から走査線を介してオフ電圧が印加されると前記検出素子内に電荷を蓄積させ、オン電圧が印加されると前記検出素子に蓄積された電荷を信号線に放出させるスイッチ素子を備え、
    前記照射開始検出手段は、前記X線発生装置からX線の照射が開始されたと判断すると、前記走査駆動手段を制御して前記各スイッチ素子をオフ状態とし、X線の照射により前記検出素子内で発生した電荷を前記検出素子内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のX線画像撮影装置。
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