JP6465230B2 - X線画像撮影装置 - Google Patents
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Description
本発明は、X線画像撮影装置に係り、特に、X線発生装置との間で信号の送受信を行わない非連携方式で撮影を行うX線画像撮影装置に関する。
照射されたX線の線量に応じて検出素子で画像を生成するX線画像撮影装置が種々開発されている。このタイプのX線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台等と一体的に形成された、いわゆる専用機型(固定型等ともいう。)として構成されていたが、近年、検出素子等を筐体内に収納し、持ち運び可能とした可搬型(カセッテ型等ともいう。)のX線画像撮影装置が開発され、実用化されている。
このようなX線画像撮影装置では、従来、X線発生装置との間でインターフェースを構築して互いに信号を送受信し、X線画像撮影装置の準備が整った段階で、X線発生装置から被写体を介してX線画像撮影装置にX線を照射して撮影が行われていた。
すなわち、X線画像撮影装置は、撮影前に、各検出素子内に残存している電荷を除去するリセット処理を行い、放射線技師がX線発生装置を操作する等してX線発生装置からX線の照射を開始する旨を表す照射開始信号が送信されてくるとリセット処理を停止する。そして、各検出素子のスイッチ素子をオフ状態にして、照射されるX線の線量に応じて検出素子内で生じる電荷が検出素子内に蓄積される電荷蓄積状態に移行するとともに、X線発生装置にインターロック解除信号を送信する。X線発生装置は、X線画像撮影装置からインターロック解除信号が送信されてくると、被写体を介してX線画像撮影装置にX線を照射する。
従来のX線画像撮影システムでは、このようにして撮影が行われていた。そして、このようにして撮影を行うことで、リセット処理で各検出素子内に残存する電荷がほとんどない状態にしてスイッチ素子をオフ状態とし、X線発生装置から照射されたX線により各検出素子内で電荷が発生すると、それを各検出素子内に蓄積させて的確に撮影が行われるようになっていた。
しかし、例えば、X線画像撮影装置とX線発生装置との製造元が異なっているような場合には、両者の間でインターフェースを構築することが必ずしも容易でない場合があり、或いは、インターフェースを構築できない場合がある。そして、このような場合には、上記と同様に、X線画像撮影装置で、各検出素子のリセット処理と同時並行で、X線発生装置からのX線の照射が開始されたことを検出する検出処理を行い、X線発生装置からのX線の照射開始を検出するとすぐにスイッチ素子をオフ状態にして電荷蓄積状態に移行させるように構成されたX線画像撮影装置が種々開発されている。
そして、X線画像撮影装置自体でX線の照射開始を検出する方法としては、例えば特許文献1、2等に記載されているように、X線画像撮影装置の各検出素子に逆バイアス電圧を印加するために接続されているバイアス線を流れる電流を検出する電流検出手段を設け、X線画像撮影装置にX線が照射されるとバイアス線を流れる電流が増加することを利用してX線の照射開始を検出する方法が知られている。
また、例えば特許文献3等に記載されているように、スイッチ素子を介して検出素子からリークする電荷をリークデータdleakとして読み出すように構成し、X線画像撮影装置にX線が照射されると読み出されるリークデータdleakの値が増加することを利用してX線の照射開始を検出する方法も知られている。さらに、例えば特許文献4等に記載されているように、撮影前から画像データdの読み出し処理を行うように構成し、X線画像撮影装置にX線が照射されると読み出される画像データdの値が増加することを利用してX線の照射開始を検出する方法も知られている。
ところで、例えば特許文献1、2等に記載されているように、バイアス線を流れる電流を電流検出手段で検出するように構成すると、電流検出手段で生じたノイズがバイアス線を介して各検出手段に伝達してしまい、読み出される本画像としての画像データDにこのノイズが重畳されてしまう虞れがある。そのため、電流検出手段で生じたノイズがバイアス線を介して各検出手段に伝達しないようにする手段を講じる必要がある場合があった。
また、特許文献3、4等に記載された方法では、例えば可搬型のX線画像撮影装置を被写体である患者の身体にあてがったり、或いは患者とベッド等との間に差し込んだりする際に、X線画像撮影装置に衝撃や振動等が加わると、それによって読み出されるリークデータdleakや画像データdが増加してしまい、X線発生装置からのX線の照射が開始されていないにもかかわらず、X線の照射が開始されたと誤検出してしまう虞れがある。
このような誤検出は、例えば、X線画像撮影装置を患者の身体にあてがう等した後で(すなわちいわゆるポジショニングが完了した後で)検出処理を開始する等すれば的確に回避することが可能である。しかし、そのためには、放射線技師等が、ポジショニングを完了した時点で、X線画像撮影装置に対してポジショニングが完了したことを示す操作をする等して、X線画像撮影装置にポジショニングが完了したことを認識させることが必要になる。
しかし、X線画像撮影装置のユーザーである放射線技師等にとっては、上記のような操作をし忘れる場合もあり、また、撮影のたびにそのような操作を行わなければならないことを面倒に感じる可能性もある。そして、上記のような操作を行わずに撮影を行うことが可能なX線画像撮影装置の方が、使い勝手が良いと感じられるであろう。そして、放射線技師等が上記のような操作を行わなくても、X線画像撮影装置が上記のような誤検出を生じることなく的確に撮影を行うことができるように構成されていることが望ましい。
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、X線の照射開始を誤検出することなく的確に撮影を行うことが可能なX線画像撮影装置を提供することを目的とする。
前記の問題を解決するために、本発明は、
X線を照射するX線発生装置との間で信号の送受信を行わない非連携方式で撮影を行うX線画像撮影装置であって、
入射したX線の光子の個数、または入射したX線がシンチレーターで変換されて入射した電磁波の光子の個数を、入射したX線のエネルギー別にカウントするフォトカウンティング方式の検出素子と、
前記個数のカウント結果に基づいて、前記X線のエネルギーごとにX線画像を生成する画像処理装置と、を有することを特徴とする。
X線を照射するX線発生装置との間で信号の送受信を行わない非連携方式で撮影を行うX線画像撮影装置であって、
入射したX線の光子の個数、または入射したX線がシンチレーターで変換されて入射した電磁波の光子の個数を、入射したX線のエネルギー別にカウントするフォトカウンティング方式の検出素子と、
前記個数のカウント結果に基づいて、前記X線のエネルギーごとにX線画像を生成する画像処理装置と、を有することを特徴とする。
また、本発明は、
X線を照射するX線発生装置との間で信号の送受信を行わない非連携方式で撮影を行うX線画像撮影装置であって、
入射したX線の光子の個数、または入射したX線がシンチレーターで変換されて入射した電磁波の光子の個数に応じた量の電荷を発生させる光電変換部と、
前記光電変換部の出力を複数の異なる基準電圧と比較し、各基準電圧と比較した比較結果をそれぞれ出力するコンパレーターと、
前記コンパレーターから出力されたそれぞれの比較結果ごとに、前記光子の個数をそれぞれカウントする複数のカウント回路と、
前記複数のカウント回路のカウント結果に基づいて、前記カウント回路ごとにX線画像を生成する画像処理装置と、を有することを特徴とする。
X線を照射するX線発生装置との間で信号の送受信を行わない非連携方式で撮影を行うX線画像撮影装置であって、
入射したX線の光子の個数、または入射したX線がシンチレーターで変換されて入射した電磁波の光子の個数に応じた量の電荷を発生させる光電変換部と、
前記光電変換部の出力を複数の異なる基準電圧と比較し、各基準電圧と比較した比較結果をそれぞれ出力するコンパレーターと、
前記コンパレーターから出力されたそれぞれの比較結果ごとに、前記光子の個数をそれぞれカウントする複数のカウント回路と、
前記複数のカウント回路のカウント結果に基づいて、前記カウント回路ごとにX線画像を生成する画像処理装置と、を有することを特徴とする。
本発明のような方式のX線画像撮影装置によれば、X線の照射開始を誤検出することなく的確に撮影を行うことが可能となる。
以下、本発明に係るX線画像撮影装置およびX線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、X線画像撮影装置として、検出素子に入射したX線を直接検出する、いわゆる直接型のX線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレーター等を備え、放射されたX線をシンチレーターで可視光等の他の波長の電磁波に変換し、検出素子に入射した電磁波を検出する、いわゆる間接型のX線画像撮影装置に対しても適用することができる。
また、以下では、X線画像撮影装置が、可搬型のX線画像撮影装置である場合について説明するが、非連携方式での撮影を専用機型のX線画像撮影装置で行う場合にも適用することが可能である。
さらに、以下の各図における各部材の相対的な大きさや長さ等は、必ずしも現実の装置における相対的な大きさや長さ等を反映していない。また、以下では、X線発生装置から照射されたX線が入射するX線画像撮影装置1の面であるX線入射面Rの法線方向(すなわち図1や図2等に示すようにX線画像撮影装置1を載置した場合の上下方向)を、X線画像撮影装置1における上下方向として説明する。
[X線画像撮影装置の構成について]
図1は、本実施形態に係るX線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。本実施形態では、X線画像撮影装置1は、後述する検出素子20等が形成されたセンサーパネルSPが筐体2内に収納されて構成されている。また、筐体2の一方の側面には、電源スイッチ3aを含むスイッチ類3やコネクター4、インジケーター5等が配置されており、図示を省略するが、筐体2の側面等に、外部と無線通信を行うためのアンテナ(後述する図3の35参照)等が設けられている。
図1は、本実施形態に係るX線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。本実施形態では、X線画像撮影装置1は、後述する検出素子20等が形成されたセンサーパネルSPが筐体2内に収納されて構成されている。また、筐体2の一方の側面には、電源スイッチ3aを含むスイッチ類3やコネクター4、インジケーター5等が配置されており、図示を省略するが、筐体2の側面等に、外部と無線通信を行うためのアンテナ(後述する図3の35参照)等が設けられている。
図2に示すように、筐体2内には、基台10が配置されており、基台10のX線入射面R側すなわち上面側に、図示しない鉛の薄板等を介してガラス基板等の絶縁基板で形成されたセンサー基板11が配置されている。そして、本実施形態では、センサー基板11上に、複数の検出素子20が二次元状に配列されて設けられている。
そして、本実施形態では、図2に示すように、センサー基板11の上方すなわちX線入射面R側には、センサー基板11や各検出素子20等を保護したり、センサーパネルSPにある程度の剛性を持たせたりするためのガラス基板12が、センサー基板11に貼付される等して設けられている。なお、ガラス基板12は必ずしも設けなくてもよい。また、図示を省略するが、前述したように、X線画像撮影装置1を、シンチレーターを備えるいわゆる間接型のX線画像撮影装置として形成する場合には、ガラス基板12の代わりに、シンチレーターの蛍光体層等が形成されたシンチレーター基板をセンサー基板11に貼付してもよく、また、検出素子20上に直接的または間接的に蒸着したり貼付する等して設けるように構成することが可能である。
また、図2に示すように、基台10の下面側には、電子部品13等の必要な部材や回路等が配設されたPCB基板14やバッテリー15等が取り付けられている。本実施形態では、このようにして、基台10やセンサー基板11、複数の検出素子20等でセンサーパネルSPが形成されている。また、センサーパネルSPと筐体2の側面との間に緩衝材16が設けられている。
次に、本実施形態に係るX線画像撮影装置1の回路構成等について説明する。図3は、X線画像撮影装置の等価回路を概略的に表すブロック図である。
[検出素子の構成について]
図3に示すように、本実施形態に係るX線画像撮影装置1は、複数の検出素子201〜20xを備えている。以下、各検出素子201〜20xを区別せずに説明する場合は、検出素子20として説明する。また、この場合のxは、例えば検出素子20がm行n列配列されている場合にはm×nに等しい。
図3に示すように、本実施形態に係るX線画像撮影装置1は、複数の検出素子201〜20xを備えている。以下、各検出素子201〜20xを区別せずに説明する場合は、検出素子20として説明する。また、この場合のxは、例えば検出素子20がm行n列配列されている場合にはm×nに等しい。
本実施形態では、検出素子20として、入射したX線の光子の個数、または入射したX線がシンチレーターで変換されて当該検出素子に入射した電磁波の光子の個数をカウントするフォトカウンティング方式の検出素子が用いられている。以下、図3に基づいて検出素子20の構成について説明する。
検出素子20は、例えばシリコン等で形成された光電変換部21を備えている。光電変換部21は、X線画像撮影装置1が直接型の場合には当該光電変換素子21にX線が入射した場合、X線画像撮影装置1が間接型の場合には入射したX線がシンチレーターで変換された可視光等の電磁波が当該光電変換部21に入射した場合に、その内部で電荷すなわち電子正孔対を発生させるようになっている。
そして、本実施形態では、光電変換部21は、当該光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子が有しているエネルギーの大きさに応じた量の電子正孔対を生じさせるようになっている。なお、入射したX線がシンチレーターで変換されて生じた電磁波のエネルギーの大きさは、シンチレーターに入射したX線のエネルギーの大きさに応じて決まるため、光電変換部21は、当該光電変換部21に直接入射したX線またはシンチレーターを介して間接的に入射したX線のエネルギーに応じた量の電子正孔対を生じさせるようになっている。
光電変換部21では、このようにして、入射したX線が電子正孔対(すなわち電荷)に変換される。なお、光電変換部21内で生じた電子正孔対を再結合させずに的確に分離させるために、光電変換部21には、バイアス電源31からいわゆる逆バイアス電圧が印加されるようになっている。
光電変換部21には、プレアンプ22aおよびメインアンプ22b等を備えるアンプ回路22が接続されており、アンプ回路22では、光電変換部21内で発生し、光電変換部21から流出した電荷が増幅され、この電荷量に応じた大きさのアナログ値の電圧が出力されるようになっている。
すなわち、本実施形態に係る検出素子20では、光電変換部21に入射した光子のエネルギーに応じた量の電荷が発生し、その電荷量に応じてアンプ回路22からアナログ値の電圧が出力されるため、光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子のエネルギーとアンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧とが1:1に対応し、光電変換部21に入射した光子のエネルギーが大きいほどアンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧の値が大きくなるようになっている。
そして、アンプ回路22から出力されたアナログ値の電圧は、コンパレーター23の一方の入力端子に入力するようになっている。また、コンパレーター23の他方の入力端子には、基準電圧源32から基準電圧V0が入力するようになっている。
コンパレーター23は、アンプ回路22から出力されたアナログ値の電圧の値が基準電圧V0以上であれば「1」の電気信号を出力し、アンプ回路22から出力されたアナログ値の電圧の値が基準電圧V0未満であれば「0」の電気信号を出力するようになっている。なお、「1」、「0」の電気信号は、コンパレーター23から出力する電圧値の高低で表すことができ、以下では、「1」の電気信号が「0」の電気信号より高い電圧値で表される場合について説明するが、「0」、「1」の電気信号を表す電圧値の高低は逆であってもよい。
いずれにせよ、コンパレーター23により、アンプ回路22から出力されたアナログ値の電圧が、「1」、「0」のデジタル値の電気信号(すなわちデジタル信号)に変換されるようになっている。
なお、上記の基準電圧V0は、光電変換部21にX線や電磁波が入射しない場合にアンプ回路22から出力される電圧値の揺らぎと、光電変換部21にX線や電磁波が入射したことにより上昇するアンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧とを的確に判別することが可能な電圧値に設定される。
また、上記のように、光電変換部21にX線や電磁波の光子が入射すると、光電変換部21内で発生した電荷が流出し、電荷量に応じてアンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧の値が上昇して基準電圧V0以上になり、コンパレーター23から「1」のデジタル信号が出力される。そして、X線や電磁波の光子の入射に基づく光電変換部21での電荷の発生や流出が収まると、アンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧の値が低下するため、アンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧の値が基準電圧V0未満になり、コンパレーター23から出力されるデジタル信号が「0」に変わる。
このように、光電変換部21にX線や電磁波の光子が1個入射すると、コンパレーター23から出力されるデジタル信号が1回だけ「0」から「1」に変わり「0」に戻るようになる。そのため、本実施形態では、光電変換部21にX線や電磁波の光子が1個入射すると、検出素子20のコンパレーター23から1個のパルス信号が出力される状態になる。
また、コンパレーター23には、カウント回路24が接続されている。本実施形態では、カウント回路24は、積分回路等で形成されており、コンパレーター23から出力されるデジタル信号が「0」から「1」に変わるごとに、すなわち、本実施形態ではコンパレーター23から出力されるデジタル信号の立ち上がりを検出するごとに、カウント値N(初期値は0)に1ずつ加算していくようになっている。
すなわち、本実施形態では、検出素子20のカウント回路24で算出されるカウント値Nが、光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数Nということになる。そして、後述する画像処理装置C(図8参照)で、この検出素子20ごとの個数Nに基づいて検出素子20ごとの画像データが生成され、生成された画像データに基づいてX線画像が生成される。
一方、X線撮影の際に照射されるX線以外の、宇宙線等の自然放射線が光電変換部21に入射しても、それはX線画像にとってノイズにしかならない。そこで、本実施形態では、光電変換部21に自然放射線が入射しても、それを検出素子20で光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数としてカウントしないように構成されている。
なお、ここで言う自然放射線には、X線発生装置から照射されたX線以外の全ての放射線が含まれる。すなわち、自然放射線には、上記のような宇宙線のほか、地表や地中等に存在する放射性元素等から放射される自然由来の放射線や、病院等の施設内に存在する放射性治療薬や放射性検査薬等からの放射線、或いは、原子力発電所等から飛散したり漏れ出す等した人工の核燃料等に由来する放射性物質等からの放射線等も含まれる。
以下、自然放射線が光電変換部21に入射しても、カウント回路24がそれを光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数としてカウントしないようにさせるための構成について説明する。
本実施形態では、図3に示すように、アンプ回路22から出力されたアナログ値の電圧は、前述したコンパレーター23以外に、もう1つのコンパレーター25の一方の入力端子にも入力するようになっている。また、マスク用コンパレーター25の他方の入力端子には、基準電圧源32から、上記の基準電圧V0より高い電圧値に設定された基準電圧Vthが入力するようになっている。なお、以下、コンパレーター23と区別し易くするためにマスク用コンパレーター25といい、基準電圧V0と区別するために、マスク用基準電圧Vthという。
そして、マスク用コンパレーター25は、コンパレーター23の場合と同様に、アンプ回路22から出力されたアナログ値の電圧の値が、マスク用基準電圧Vth以上であれば「1」のデジタル信号を出力し、マスク用基準電圧Vth未満であれば「0」のデジタル信号を出力するようになっている。
また、マスク用コンパレーター25の出力端子は、前述したコンパレーター23からカウント回路24へのデジタル信号の入力経路上に設けられたマスク回路26に接続されている。そして、マスク回路26は、マスク用コンパレーター25から出力されるデジタル信号が「0」から「1」に変わると、出力されるデジタル信号が「1」である間、或いは出力されるデジタル信号の立ち上がりから所定時間が経過するまでの間、コンパレーター23からカウント回路24へのデジタル信号の入力をマスクするようになっている。すなわちコンパレーター23からカウント回路24にデジタル信号を入力させないようになっている。
光電変換部21に入射した光子のエネルギーのうち、検出素子20のアンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧の値がマスク用基準電圧VthになるようなエネルギーをEthとすると、本実施形態では、上記のように構成することにより、少なくともX線撮影の際にX線発生装置から照射されるX線よりも大きく、所定の閾値Eth以上の大きなエネルギーを有する自然放射線が検出素子20に入射した場合、カウント回路24がそれを光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数としてカウントさせないようになっている。
なお、上記のマスク用基準電圧Vthや光子のエネルギーに関する閾値Ethは、X線撮影の際にX線発生装置から照射されるX線とエネルギーが大きな自然放射線とを的確に切り分けることが可能な値に設定される。
すなわち、X線撮影の際にX線発生装置からX線画像撮影装置1にX線が照射され、光電変換部21にX線や電磁波の光子が入射すると、上記のように、検出素子20のアンプ回路22から、光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子のエネルギーに応じたアナログ値の電圧が出力される。
そして、この電圧の値が基準電圧V0以上であれば、コンパレーター23から「1」のデジタル信号が出力されるが、光電変換部21にX線や電磁波が入射した場合には、アンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧の値はマスク用基準電圧Vthよりは低いため、マスク用コンパレーター25から出力されるデジタル信号は「0」のままとなる。そのため、カウント回路24は、コンパレーター23から出力されるデジタル信号の立ち上がりを検出して、カウント値Nに1だけ加算する。
しかし、光電変換部21に上記の所定の閾値Eth以上の大きなエネルギーを有する自然放射線が入射すると、検出素子20のアンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧の値は、基準電圧V0以上であるが、マスク用基準電圧Vth以上でもあるため、コンパレーター23とマスク用基準電圧Vthのいずれからも「1」のデジタル信号が出力される。そのため、マスク回路26により、コンパレーター23からカウント回路24へのデジタル信号の入力がマスクされるため、カウント回路24は、コンパレーター23から出力されるデジタル信号の立ち上がりを検出できない。
本実施形態では、このようにして、少なくとも光電変換部21に入射した、エネルギーが閾値Eth以上の光子(すなわち自然放射線の光子)を検出素子20のカウント回路24が上記の個数Nとしてカウントさせないようになっている。すなわち、本実施形態では、マスク用コンパレーター25とマスク回路26とが、光電変換部21に入射した、エネルギーが設定された閾値Eth以上の自然放射線の光子を、カウント回路24が光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数Nとしてカウントしないようにさせるための手段として機能するようになっている。
[半導体基板の具体的な構成等について]
なお、本実施形態では、X線画像撮影装置1は、例えば14×17インチ等のサイズに形成され、比較的大型である。そのため、前述したようにセンサー基板11上に複数の検出素子20を二次元状に配列する場合、例えば、センサー基板11上に各検出素子20を1つ1つ貼付する等して複数の検出素子20を二次元状に配列することも不可能ではないが、縦横100μm程度の大きさの検出素子20をセンサー基板11上に二次元状に貼付していく作業は現実的には必ずしも容易に行うことはできない。また、例えば、複数の検出素子20を1つの半導体基板上に一体的に形成しようとしても、現状では、半導体基板を例えば14×17インチの大きさに形成することができない。
なお、本実施形態では、X線画像撮影装置1は、例えば14×17インチ等のサイズに形成され、比較的大型である。そのため、前述したようにセンサー基板11上に複数の検出素子20を二次元状に配列する場合、例えば、センサー基板11上に各検出素子20を1つ1つ貼付する等して複数の検出素子20を二次元状に配列することも不可能ではないが、縦横100μm程度の大きさの検出素子20をセンサー基板11上に二次元状に貼付していく作業は現実的には必ずしも容易に行うことはできない。また、例えば、複数の検出素子20を1つの半導体基板上に一体的に形成しようとしても、現状では、半導体基板を例えば14×17インチの大きさに形成することができない。
そこで、本実施形態では、複数の検出素子20を二次元状(或いは一次元状でもよい。)に形成した複数の半導体基板20Aを、図4(A)、(B)に示すようにセンサー基板11上に圧着したり接着したりすることで、複数の検出素子20をセンサー基板11上に二次元状に配列するようになっている。
なお、例えばX線画像撮影装置1がより面積が小さい小型の装置である場合には、上記のように半導体基板上に複数の検出素子20を二次元状に形成することも可能である。本発明では、複数の検出素子20が二次元状に配列されていればよく、その形態は特定の形態に限定されない。また、図4(A)、(B)では図示が省略されているが、各半導体基板20Aを保護するための樹脂や無機材料等からなる保護層で各半導体基板20A等を被覆するように形成するなど、必要な構成が適宜設けられる。
ここで、半導体基板20Aの具体的な構成例について説明する。本実施形態では、半導体基板20Aは、例えば図5に示すように各層の積層構造として構成されている。なお、半導体基板20Aとしては、例えば、特開2014−93616号公報に記載されているSOI(Silicon-On-Insulator)基板を用いることが可能であるが、必ずしもSOI基板を用いる場合に限定されない。また、図5における半導体基板20Aの各層や各部の相対的な厚さや大きさ等は、必ずしも現実を反映していない。
本実施形態に係る半導体基板20Aでは、図5では図示を省略した各検出素子20の光電変換部21は共通とされているが、光電変換部21を各検出素子20ごとに区画したり分離する等して構成することも可能である。そして、シリコン等で形成された光電変換部21の上側(すなわちX線入射面R(図1、図2参照)に近い側)には、電極20aが形成されており、電極20aには、バイアス電源31(図3参照)から逆バイアス電圧が印加されるようになっている。なお、X線画像撮影装置1を間接型として形成する場合には、図示しないシンチレーターからの電磁波が光電変換部21に到達するようにするために、電極20aは透明電極とされる。
また、光電変換部21の下側には、酸化膜等で形成された絶縁層20bを介して回路部20cが形成されており、さらに、回路部20cには、回路部20cに必要な電力を供給したり、後述する制御手段30(図3参照)からの信号を送信したり、或いは各カウント回路24で上記のように加算処理された、光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数Nの情報を制御手段30に送信したりするための各配線20dが接続されている。
そして、本実施形態では、回路部20c内に、前述した各検出素子20のアンプ回路22やコンパレーター23、カウント回路24、マスク用コンパレーター25、マスク回路26(図3参照)等の必要な回路等が形成されている。
そして、図示を省略するが、本実施形態では、絶縁層20b中に、光電変換部21と回路部20c内のアンプ回路22とを電気的に接続する複数のホールが二次元状に形成されており(すなわち図5に示した半導体基板20Aを図中上側から見た場合に複数のホールが二次元状に配列されており)、これらの複数のホールがそれぞれ各検出素子20に相当している。なお、光電変換部21内の所定の部分にVI族元素をドープしたりIII族元素をドープしてn層やp層を形成するなど、必要な処理が行われている。
本実施形態では、このようにして、複数の検出素子20が半導体基板20A内に形成されており、光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数Nをカウントする各検出素子20のカウント回路24等が当該半導体基板20A内にそれぞれ設けられるようになっている。
[X線画像撮影装置における検出素子以外の構成等について]
次に、図3に基づいて、X線画像撮影装置1における検出素子20以外の構成等について説明する。
次に、図3に基づいて、X線画像撮影装置1における検出素子20以外の構成等について説明する。
制御手段30は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。
そして、制御手段30は、前述したバイアス電源31を制御して、バイアス線31aを介して光電変換部21に逆バイアス電圧を印加させるようになっている。また、制御手段30は、前述した基準電圧源32を制御してコンパレーター23やマスク用コンパレーター25に基準電圧V0やマスク用基準電圧Vthを供給させたり、或いは基準電圧V0やマスク用基準電圧Vthの値を設定するようになっている。
また、制御手段30には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段33が接続されており、制御手段30から各検出素子20に送信した信号に基づいて各検出素子20のカウント回路24から、光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数Nの情報が送信されてくると、制御手段30は、それらの情報を記憶手段33に順次保存させるようになっている。
さらに、制御手段30には、アンテナ35やコネクター4(図1参照)等が接続された通信部34が接続されており、制御手段30は、通信部34を制御して、記憶手段33に保存している個数Nの情報を、アンテナ35を介して無線方式で、或いはコネクター4を介して有線方式で、外部装置に転送させたり、或いは、通信部34を介して外部装置から送信されてきた信号等を受信するようになっている。なお、図3では図示を省略するが、X線画像撮影装置1には、このほか、バッテリー等の必要な機器や回路等が適宜備えられる。
[作用]
次に、本実施形態に係るX線画像撮影装置1の作用について説明する。X線画像撮影装置1の制御手段30は、X線画像撮影装置1の電源スイッチ3a(図1参照)がオンされると、例えば検出素子20のアンプ回路22に電力を供給させたり、バイアス電源31(図3参照)から光電変換部21に逆バイアス電圧を印加させたり、各カウント回路24のカウント数すなわち個数Nをリセットする(すなわち0を設定する)等の所定の初期動作を行わせて、検出素子20によるフォトンカウンティング処理を開始させる。
次に、本実施形態に係るX線画像撮影装置1の作用について説明する。X線画像撮影装置1の制御手段30は、X線画像撮影装置1の電源スイッチ3a(図1参照)がオンされると、例えば検出素子20のアンプ回路22に電力を供給させたり、バイアス電源31(図3参照)から光電変換部21に逆バイアス電圧を印加させたり、各カウント回路24のカウント数すなわち個数Nをリセットする(すなわち0を設定する)等の所定の初期動作を行わせて、検出素子20によるフォトンカウンティング処理を開始させる。
なお、X線画像撮影装置1は、例えば図示しないブッキー装置に装填してX線撮影に用いることも可能であり、また、X線画像撮影装置1を被写体である患者の身体にあてがったり、患者とベッド等との間に差し込んだりした状態で、ポータブルのX線発生装置からX線を照射させて用いることも可能である。
そして、X線発生装置から被写体を介してX線画像撮影装置1にX線が照射されると、X線画像撮影装置1が直接型である場合には、X線の光子が光電変換部21に入射する。また、X線画像撮影装置1が間接型である場合には、X線画像撮影装置1にX線が照射されるとシンチレーターでX線が可視光等の別の波長の電磁波に変換され、変換された電磁波の光子が光電変換部21に入射する。
光電変換部21にX線や電磁波の光子が入射すると、そのエネルギーに応じた量の電子正孔対が光電変換部21内で発生し、光電変換部21に印加された逆バイアス電圧による電位勾配に従って電子と正孔が光電変換部21内をそれぞれの方向に移動する。そして、一方の電荷(例えば電子)は前述したホールを通って検出素子20のアンプ回路22側に流出し、他方の電荷(例えば正孔)は、半導体基板20Aの電極20a(図5参照)やバイアス線31a(図3参照)を介してバイアス電源31に流出する。
電荷が検出素子20のアンプ回路22に流出すると、アンプ回路22で増幅され、その電荷量に応じた大きさのアナログ値の電圧がアンプ回路22から出力され、出力されたアナログ値の電圧が、コンパレーター23で基準電圧V0と比較される。そして、コンパレーター23は、アンプ回路22から出力されたアナログ値の電圧の値が、基準電圧V0以上であれば「1」のデジタル信号を出力し、基準電圧V0未満であれば「0」のデジタル信号を出力して、アンプ回路22から出力されたアナログ値の電圧をデジタル信号に変換する。
そして、カウント回路24は、コンパレーター23から出力されるデジタル信号が「0」から「1」に変わり、デジタル信号が立ち上がるごとに、カウント値N、すなわち光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数Nに1ずつ加算する。このようにして、カウント回路24では、図6(A)に示すように、光電変換部21に光子が1個入射するごとに、個数Nであるカウント値Nが1ずつ増加される。なお、図6(A)や以下の各図において、グラフの縦線は、コンパレーター23からカウント回路24に「1」のデジタル信号が入力され、カウント回路24で個数をカウントした時刻tを表す。
一方、光電変換部21に、宇宙線等の自然放射線が入射した場合にも、上記と同様にして、検出素子20のアンプ回路22からアナログ値の電圧が出力され、電圧の値が基準電圧V0以上であれば、コンパレーター23から「1」のデジタル信号が出力される。しかし、光電変換部21に入射した自然放射線のエネルギーが大きく、アンプ回路22から出力されたアナログ値の電圧の値がマスク用基準電圧Vth以上であれば、マスク用コンパレーター25(図3参照)から「1」のデジタル信号が出力され、マスク回路26により、コンパレーター23からカウント回路24への「1」のデジタル信号の入力がマスクされる。
そのため、光電変換部21にこの自然放射線が入射した時刻が時刻taであるとすると、図6(B)に示すように、時刻taに光電変換部21に自然放射線が入射しても、そのタイミングでは、検出素子20のコンパレーター23からカウント回路24には「1」のデジタル信号が入力されない状態になる。そのため、その時刻taには、カウント回路24のカウント値Nすなわち光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数Nは増加しない。
このように、本実施形態では、少なくとも、アンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧の値がマスク用基準電圧Vth以上になるようなエネルギーが大きな自然放射線が光電変換部21に入射しても、検出素子20のカウント回路24ではそれにより「光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数N」を加算しないようになっている。すなわち、少なくともエネルギーが大きな自然放射線については、光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数としてカウントしないようにすることが可能となり、カウント回路24でカウントされる上記の個数Nに、自然放射線によるノイズが含まれてしまうことを的確に防止することが可能となる。
そして、X線発生装置からのX線の照射が終了すると、制御手段30(図3参照)は、各検出素子20に信号を送信する。そして、信号に応じて各検出素子20からカウント回路24から、光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数Nの情報が送信されてくると、制御手段30は、それらの情報を記憶手段33に順次保存させる。また、制御手段30は、通信部34を制御してアンテナ35やコネクター4を介して記憶手段33に保存されている個数Nの情報を外部装置に無線方式や有線方式で転送する。
X線撮影では、X線画像撮影装置1の各検出素子20のうち、被写体である患者の骨や内臓等のようにX線が散乱されたり吸収されたりし易い身体の部分に対応する位置の検出素子20では、入射するX線の量が少なくなり、X線をより透過し易い身体の部分に対応する位置の検出素子20では、入射するX線の量が多くなる。そのため、各検出素子20のカウント回路24でカウントされた上記の個数Nは、従来のX線画像撮影装置で撮影されるX線画像と同様に、患者の身体の各部の組織(病変部等も含む。)の情報を担持したものとなる。
そのため、本実施形態に係るX線画像撮影装置1で検出素子20ごとの個数Nの情報に対して的確に処理を行うことで、従来のX線画像撮影装置で撮影された画像データの場合と同様に、的確にX線画像を生成することが可能となる。なお、画像処理の仕方等については後で説明する。
[効果]
次に、本実施形態に係るX線画像撮影装置1の効果について説明する。ここで、本実施形態に係るX線画像撮影装置1の優れた作用効果を説明するために、従来のX線画像撮影装置で撮影時に行われていた処理について簡単に説明する。
次に、本実施形態に係るX線画像撮影装置1の効果について説明する。ここで、本実施形態に係るX線画像撮影装置1の優れた作用効果を説明するために、従来のX線画像撮影装置で撮影時に行われていた処理について簡単に説明する。
前述したように、例えば特許文献2〜4等に記載されている従来のX線画像撮影装置では、撮影前に、通常、各検出素子のリセット処理が行われる。そして、X線発生装置から被写体を介してX線画像撮影装置にX線を照射する際にこのリセット処理が行われていると、X線の照射により検出素子内で発生した電荷が検出素子内から流出してしまうため、各検出素子内で発生した電荷の量に担持された被写体の病変部等の貴重な情報が失われてしまう。X線発生装置から被写体を介してX線画像撮影装置にX線を照射する際には、各検出素子のリセット処理を停止し、各検出素子のスイッチ素子を全てオフ状態にして、X線の照射により検出素子内で発生した電荷を検出素子内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させることが必要になる。
また、前述したように、X線画像撮影装置とX線発生装置との間で信号のやり取りを行えない、或いは行わない場合(以下、このような場合を非連携方式という。)には、X線画像撮影装置自体で、X線発生装置からのX線の照射が開始されたことを検出するように構成し、X線の照射開始を検出すると即座に各検出素子のリセット処理を停止し、各検出素子のスイッチ素子を全てオフ状態にして電荷蓄積状態に移行させるように構成することが必要になる。
すなわち、従来のX線画像撮影装置を用いて非連携方式でX線撮影を行う場合、少なくとも(1)X線画像撮影装置自体でX線発生装置からのX線の照射が開始されたことを検出することと、(2)X線の照射開始を検出したら即座に電荷蓄積状態に移行することが必要であった。
そして、上記の(1)の点においては、前述したように、例えば可搬型のX線画像撮影装置を被写体である患者の身体にあてがう等する際にX線画像撮影装置に衝撃や振動等が加わると、衝撃や振動等によって、X線発生装置からのX線の照射が開始されていないにもかかわらず、X線画像撮影装置がX線の照射が開始されたと誤検出してしまう虞れがあった。そして、このような現象が生じる原因の1つとして、振動等によりフレキシブル回路基板(フレキシブル配線基板、フレキシブルプリント基板等ともいう。)が振動することが考えられている。
すなわち、従来のX線画像撮影装置では、X線の照射開始の判断に用いられるデータがアナログ値の状態でフレキシブル回路基板上を送信されるように構成される場合があるが、このような場合、X線画像撮影装置に衝撃や振動等が加わってフレキシブル回路基板が振動すると、その振動が、アナログ値のデータにノイズとして重畳されてしまい、X線が照射されていないにもかかわらす、アナログ値のデータに振動等によるノイズが重畳されて照射開始判定用の閾値を越える等することで、X線画像撮影装置が、X線の照射が開始されたと誤検出してしまった。
それに対し、本実施形態に係るX線画像撮影装置1では、上記のように検出素子20として、入射したX線(直接型の場合)や電磁波(間接型の場合)の光子の個数Nをカウント回路24(図3参照)でカウントするフォトカウンティング方式の検出素子20が用いられている。
このようなフォトンカウンティング方式の検出素子20では、上記の従来のX線画像撮影装置における検出素子のように、各検出素子のスイッチ素子を全てオフ状態にして、X線の照射により検出素子内で発生した電荷を検出素子内に蓄積させるための電荷蓄積状態に移行する操作を行う必要がない(上記の(2)参照)。
すなわち、本実施形態に係るX線画像撮影装置1におけるフォトンカウンティング方式の検出素子20では、上記のように、光電変換部21にX線や電磁波の光子が入射して電荷(電子正孔対)が発生すると、従来のX線画像撮影装置のようにそれを光電変換部21内に一旦蓄積させることなく、すぐにアンプ回路22で増幅してコンパレーター23で基準電圧V0と比較してカウント回路24でカウントする。このように、本実施形態に係るX線画像撮影装置1では、X線や電磁波が光電変換部21に入射したことにより光電変換部21内で発生した電荷を光電変換部21内に溜めておく必要がない。そのため、本実施形態に係るX線画像撮影装置1におけるフォトンカウンティング方式の検出素子20では電荷蓄積状態に移行するという概念がない。
そのため、従来のX線画像撮影装置では、各検出素子を的確に電荷蓄積状態に移行させる必要があるために装置自体でX線の照射が開始されたことを検出する照射開始の検出処理を行うことが必須の要件になったが、本実施形態に係るX線画像撮影装置1では、上記のように検出素子20を電荷蓄積状態に移行させる必要がないため、そもそもX線画像撮影装置1自体で、X線の照射開始の検出処理を行う必要がない(上記の(1)参照)。
すなわち、X線発生装置からのX線の照射が開始される前にX線画像撮影装置1を起動させて光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数Nを各検出素子20で的確にカウントできる状態にすれば、後は、各検出素子20が上記のように動作して、例えば図6(A)、(B)に示したように光電変換部21にX線や電磁波の光子が入射するごとにいわば自動的にその個数Nをカウントしていく。
本実施形態に係るX線画像撮影装置1では、このように、そもそもX線の照射開始の検出処理を行う必要がないため、X線の照射開始を誤検出するという事態が生じることはない。そして、このように、本実施形態に係るX線画像撮影装置1では、従来のX線画像撮影装置のように衝撃や振動等が加わっても誤検出が生じることがないため、前述したように撮影の際にX線画像撮影装置にポジショニングが完了したことを認識させるための操作等を行う必要がない。そのため、放射線技師等にとって、本実施形態に係るX線画像撮影装置1は使い勝手が良いものとなる。
そして、上記のように、本実施形態に係るX線画像撮影装置1の各検出素子20でカウントされた上記の光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数Nは、その検出素子20に対応する患者の身体の組織(病変部等も含む。)の情報を担持したものとなる。そのため、このような個数Nの情報に基づいてX線画像を生成することで、患者の身体の各部の組織が濃淡で表された的確なX線画像を生成することが可能となり、本実施形態に係るX線画像撮影装置1を用いてX線撮影を的確に行うことが可能となる。
一方、本実施形態では、図5に示したように、検出素子20のアンプ回路22やコンパレーター23、カウント回路24等が、検出素子20の回路部20c内に形成され、回路部20cと光電変換部21等とが一体的に形成されている。すなわち、本実施形態では、検出素子20のアンプ回路22やコンパレーター23、カウント回路24等の間を、例えばフレキシブル回路基板で接続するような構成にはなっていない。そのため、X線画像撮影装置1に振動等が加わっても、検出素子20には、フレキシブル回路基板のように振動する要素がないため、光電変換部21からカウント回路24までの経路でノイズが入り込む余地がない。
そのため、本実施形態に係るX線画像撮影装置1では、上記の従来のX線画像撮影装置のように、装置に衝撃や振動等が加わっても、読み出されるデータ(本実施形態のX線画像撮影装置1ではアンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧やコンパレーター23から出力されるデジタル信号等)にノイズが重畳されるような現象は生じないという特徴もある。
また、本実施形態に係るX線画像撮影装置1では、各検出手段20のコンパレーター23でアンプ回路22から出力されたアナログ値の電圧がデジタル信号に変換される。そして、カウント回路24でカウントされる上記の回数Nもデジタル化されている。そのため、例えば、各検出手段20から回数Nの情報が出力される時点で、上記のようにX線画像撮影装置1に衝撃や振動が加わる等して、回数Nの情報にノイズが重畳される等しても、例えば誤り訂正符号を用いた誤り検出訂正(error detection and correction)等の公知の技術を用いて的確に訂正することが可能となる。
なお、従来のX線画像撮影装置では、上記の(2)に示したように、X線の照射開始を検出すると全てのスイッチ素子をオフ状態にして電荷蓄積状態に移行する。その際、検出素子内では、検出素子自体の熱(温度)による熱励起等によりいわゆる暗電荷(暗電流等ともいう。)が常時発生しているため、このようにスイッチ素子をオフ状態にすると、X線の照射により検出素子内で発生した電荷だけでなく、暗電荷も検出素子内に蓄積されることになる。そのため、検出素子から読み出される電荷から生成される画像データには、暗電荷に起因するオフセット分が重畳されることになる。
そのため、従来のX線画像撮影装置では、X線撮影の前や後に、X線画像撮影装置にX線を照射しない状態で、X線撮影時と同じ時間だけ全てのスイッチ素子をオフ状態にして電荷蓄積を行わせ、蓄積された暗電荷を読み出して、上記の暗電荷に起因するオフセット分に相当するオフセットデータを読み出す処理が行われていた。そして、後の画像処理では、画像データからオフセットデータを減算していわゆる真の画像データを算出し、この真の画像データに基づいてX線画像を生成していた。しかし、従来のX線画像撮影装置では、上記のようにX線撮影の前や後にオフセットデータの読み出し処理を行う分だけ、撮影に要する時間が長くなっていた。
それに対し、本実施形態に係るX線画像撮影装置1では、上記のように、電荷蓄積という処理を行う必要がなく、光電変換部21にX線や電磁波の光子が入射すると即座に検出素子20のコンパレーター23でデジタル信号に変換してカウント回路24に出力する。そのため、本実施形態に係るX線画像撮影装置1では、カウント回路24でカウントされる上記の個数Nに、上記の暗電荷に起因するオフセット分のような成分は含まれず、個数Nの情報をそのまま真の画像データとして用いることができる。
このように、本実施形態に係るX線画像撮影装置1では、従来のX線画像撮影装置のようにX線撮影の前や後にオフセットデータの読み出し処理を行わないため、少なくともその分だけ撮影に要する時間が従来のX線画像撮影装置に比べて短くすることが可能となるといったメリットも有している。
[ノイズの影響を除去するための構成等について]
上記の実施形態では、上記のように、アンプ回路22やコンパレーター23、カウント回路24等を回路部20c内に形成し、それと光電変換部21等とを一体的に形成することで、X線画像撮影装置1に衝撃や振動等が加わっても、それによりカウント回路24でカウントされる上記の個数Nの情報にノイズが重畳されないように構成されている。
上記の実施形態では、上記のように、アンプ回路22やコンパレーター23、カウント回路24等を回路部20c内に形成し、それと光電変換部21等とを一体的に形成することで、X線画像撮影装置1に衝撃や振動等が加わっても、それによりカウント回路24でカウントされる上記の個数Nの情報にノイズが重畳されないように構成されている。
また、上記の実施形態では、上記のように、マスク用コンパレーター25やマスク回路26を設け、光電変換部21に所定の閾値Eth以上のエネルギーを有する自然放射線が入射してもそれを検出素子20のカウント回路24で光電変換部21に入射したX線や電磁波の個数Nとしてカウントしないように構成することで、同様に、カウント回路24でカウントされる上記の個数Nの情報にノイズが重畳されないようになっている。
ところで、上記の実施形態の構成では、光電変換部21に入射した自然放射線のエネルギーが上記の所定の閾値Eth未満であり、そのような自然放射線が光電変換部21に入射したことにより検出素子20のアンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧の値が基準電圧V0以上であれば、カウント回路24は、それを光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数Nとしてカウントすることになる。
一方、上記の実施形態では、X線発生装置からX線が照射されている間は、X線画像撮影装置1の検出素子20でX線や電磁波が検出され、光電変換部21にX線や電磁波の光子が入射すればそれをカウント回路24でカウントしていく。しかし、X線発生装置からX線が照射されていない場合には、X線画像撮影装置1の光電変換部21にはX線や電磁波の光子が入射しないため、検出素子20のカウント回路24におけるカウント数すなわち上記の個数Nは増加しない。このことを前提として説明した。
すなわち、各検出素子20のカウント回路24で上記の個数Nがカウントされる様子を図6(A)等と同様にグラフに縦線で表すと、ノイズ等がない理想的な状態では、例えば図7(A)に示すように、X線発生装置からのX線の照射が開始される前は、各検出素子20のカウント回路24で上記の個数Nがカウントされることはなく、例えば時刻TsでX線発生装置からのX線の照射が開始されると、その時刻Ts以降、各検出素子20のカウント回路24で個数Nがカウントされる状態になる。そして、時刻TeでX線発生装置からのX線の照射が終了すると、その時刻Te以降は、各検出素子20のカウント回路24では上記の個数Nがカウントされない状態に戻る。
そのため、X線発生装置からのX線の照射が終了した時刻Te以降であれば、制御手段30が、時刻T1で各検出素子20のカウント回路24から上記の個数Nの情報を送信させても、時刻T2で送信させても、同じ個数Nの情報が各検出素子20のカウント回路24から送信されてくる。そのため、上記のように、この理想的な状態では、X線発生装置からのX線の照射が終了すれば、任意のタイミングで(すなわち任意の時刻に)各検出素子20のカウント回路24から個数Nの情報を送信させることができる。
しかし、実際には、上記のように、光電変換部21に入射した自然放射線のエネルギーが上記の所定の閾値Eth未満であるような場合には、検出素子20のカウント回路24で上記の個数Nとしてカウントされる。また、それ以外の原因で、ノイズが上記の個数Nとしてカウントされる可能性もある。そのため、実際には、図7(B)に示すように、X線発生装置からのX線の照射が開始される前や、X線の照射が終了した後でも、各検出素子20のカウント回路24で上記の個数Nがカウントされる可能性がある。
そのため、上記のように、X線発生装置からのX線の照射が終了した後、制御手段30が、時刻T1で各検出素子20のカウント回路24から送信させた場合の上記の個数Nと、それより後の時刻T2で送信させた場合の上記の個数Nは、異なる個数になる。また、いずれもノイズにより誤ってカウントされた個数が含まれている。
そこで、例えば、以下のように構成することにより、検出素子20のカウント回路24でカウントされた上記の個数Nに、少なくとも、X線発生装置からのX線の照射が開始される前や、X線の照射が終了した後に生じたノイズ(エネルギーが低い自然放射線の入射を含む。)をカウントしたことによる個数が含まれないようにすることが可能である。
[構成1]
すなわち、例えば、各検出素子20のカウント回路24で上記の個数Nをカウントする処理と同時に、例えば制御手段30(図3参照)で、X線発生装置からX線の照射が開始された時刻Tsと照射が終了した時刻Teを割り出すように構成することが可能である。なお、この場合のX線発生装置からX線の照射が開始された時刻Tsの割り出し処理は、上記のように個数Nからノイズの影響を除去するための処理であり、前述した従来のX線画像撮影装置における電荷蓄積状態に移行するためのX線の照射開始の検出処理とは異なる。
すなわち、例えば、各検出素子20のカウント回路24で上記の個数Nをカウントする処理と同時に、例えば制御手段30(図3参照)で、X線発生装置からX線の照射が開始された時刻Tsと照射が終了した時刻Teを割り出すように構成することが可能である。なお、この場合のX線発生装置からX線の照射が開始された時刻Tsの割り出し処理は、上記のように個数Nからノイズの影響を除去するための処理であり、前述した従来のX線画像撮影装置における電荷蓄積状態に移行するためのX線の照射開始の検出処理とは異なる。
具体的には、例えば、上記のようにして検出素子20のカウント回路24がコンパレーター23から出力されたデジタル信号の「0」から「1」への立ち上がりを検出して個数Nを1だけ増加させる(すなわち個数Nをカウントする)処理を行うと同時に、カウント回路24から制御手段30に個数Nを増加させた旨を表す信号を送信する。
そして、制御手段30は、各検出素子20のカウント回路24から送信されてくる信号を常時監視し、例えば、1秒等に設定された単位時間前から現時点までに送信されてきた信号の数を、単位時間あたりの個数nとして算出する。そして、図7(A)、(B)に示したようにX線発生装置からX線の照射が開始されると単位時間あたりの個数nが増加することから、単位時間あたりの個数nに所定の閾値を設けておき、算出した単位時間あたりの個数nが閾値以上になった時刻をX線の照射が開始された時刻Tsとして割り出す。また、このように算出した単位時間あたりの個数nが一旦閾値以上になった後、閾値未満になった場合にその時刻をX線の照射が終了した時刻Teとして割り出すように構成する。
そして、制御手段30は、X線の照射が開始された時刻Tsを割り出す前、或いはX線の照射が終了した時刻Teを割り出した後に、信号を送信してきた検出素子20に対して、当該検出素子20のカウント回路24におけるカウント数Nすなわち上記の個数Nを1だけ減らすように指示する信号を送信する。そして、この信号を受信した検出素子20は、カウント回路24における上記の個数Nを1だけ減らす。
このように構成すれば、例えば図7(B)に示したような時刻に各検出素子20のカウント回路24で上記の個数Nがカウントされたとしても、少なくとも、X線の照射が開始された時刻Tsより前や、X線の照射が終了した時刻Teより後に、カウント回路24でカウントした個数Nについては個数Nを増加させない、すなわち光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子の個数Nとしてカウントしないようにすることが可能となる。
そして、制御手段30は、このようにして、各検出素子20のカウント回路24でカウントされた上記の個数Nから、X線の照射開始時刻Tsより前や照射終了時刻Teより後に生じたノイズに基づく個数Nを除去することが可能となり、各検出素子20のカウント回路24における上記の個数Nを、照射開始時刻Tsから照射終了時刻Teまでの間だけでカウント回路24でカウントされた個数Nとすることが可能となる。
そして、制御手段30は、以上の処理を行ったうえで、各検出素子20のカウント回路24から個数Nの情報を送信させて、記憶手段33(図3参照)に保存させたり、通信部34を介して、図8に示すように無線方式や有線方式で外部の画像処理装置Cに検出素子20ごとの個数Nの情報を転送するように構成することが可能である。
そして、画像処理装置Cで、送信されてきた個数Nの情報に基づいてX線画像を生成することにより、ノイズの影響が低減されたX線画像を生成することが可能となる。
[構成2]
また、上記の構成1のように、各検出素子20のカウント回路24で個数Nをカウントする処理と同時並行で、制御手段30で、X線発生装置からのX線の照射開始時刻Tsと照射終了時刻Teを割り出すように構成する代わりに、X線撮影の終了後、各検出素子20のカウント回路24から上記の個数Nの情報を送信させた後で、これらの個数Nの情報を時間的に解析して、X線の照射開始時刻Tsや照射終了時刻Teを割り出すように構成することも可能である。
また、上記の構成1のように、各検出素子20のカウント回路24で個数Nをカウントする処理と同時並行で、制御手段30で、X線発生装置からのX線の照射開始時刻Tsと照射終了時刻Teを割り出すように構成する代わりに、X線撮影の終了後、各検出素子20のカウント回路24から上記の個数Nの情報を送信させた後で、これらの個数Nの情報を時間的に解析して、X線の照射開始時刻Tsや照射終了時刻Teを割り出すように構成することも可能である。
しかし、上記の実施形態や構成1では、各検出素子20のカウント回路24でどの時刻に個数Nがカウントされたか分からないため、この場合は、検出素子20のカウント回路24は、上記のように個数Nをカウントするとともに、カウントした時刻tの情報をも保存するように構成される。
そして、制御手段30は、X線発生装置からのX線の照射が終了した後、例えば放射線技師等による操作があった時点で、各検出素子20のカウント回路24から、個数Nの情報と、個数をカウントした時刻tの情報とを送信させる。そして、各検出素子20で個数をカウントした時刻tを例えば図7(B)に示したように時系列的に並べ、上記と同様に、単位時間あたりの個数nを算出し、算出した単位時間あたりの個数nに基づいてX線の照射開始時刻Tsと照射終了時刻Teを割り出す。そして、割り出した照射開始時刻Tsから照射終了時刻Teまでの間に検出素子20ごとにカウントされた個数Nを、当該検出素子20ごとの個数Nとするように構成することが可能である。
そして、上記の構成1と同様に、制御手段30は、以上の処理を行ったうえで、検出素子20ごとの個数Nの情報を、記憶手段33に保存させたり、通信部34を介して外部の画像処理装置C(図8参照)に転送する。そして、画像処理装置Cで、送信されてきた個数Nの情報に基づいてX線画像を生成することにより、ノイズの影響が低減されたX線画像を生成することが可能となる。
[構成3]
また、上記の構成2の処理を、X線画像撮影装置1の制御手段30等で行う代わりに、図8に示したX線画像撮影システム100の画像処理装置Cで行うように構成することも可能である。
また、上記の構成2の処理を、X線画像撮影装置1の制御手段30等で行う代わりに、図8に示したX線画像撮影システム100の画像処理装置Cで行うように構成することも可能である。
この場合、X線画像撮影装置1の制御手段30は、X線発生装置からのX線の照射が終了した後、例えば放射線技師等による操作があった時点で、各検出素子20のカウント回路24から、個数Nの情報と、個数をカウントした時刻tの情報とを送信させる。そして、それらの情報を画像処理装置Cに転送する。
そして、画像処理装置Cは、X線画像撮影装置1の各検出素子20で個数をカウントした時刻tを例えば図7(B)に示したように時系列的に並べ、上記と同様に、単位時間あたりの個数nを算出し、算出した単位時間あたりの個数nに基づいてX線の照射開始時刻Tsと照射終了時刻Teを割り出す。そして、割り出した照射開始時刻Tsから照射終了時刻Teまでの間に検出素子20ごとにカウントされた個数Nを、当該検出素子20ごとの個数Nとするように構成することが可能である。
そして、画像処理装置Cは、このようにして割り出した個数Nの情報に基づいてX線画像を生成することにより、ノイズの影響が低減されたX線画像を生成することが可能となる。
[入射したX線等のエネルギー別に個数をカウントする構成等について]
なお、本実施形態に係るX線画像撮影装置1では、前述したように、光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子のエネルギーに応じた量の電荷が光電変換部21内で発生し、検出素子20のアンプ回路22からその電荷量に応じたアナログ値の電圧が出力される。そこで、アンプ回路22から出力されたアナログ値の電圧を、その電荷量に応じて(すなわち光電変換部21に入射した光子のエネルギーに応じて)分離してカウントするように構成することも可能である。
なお、本実施形態に係るX線画像撮影装置1では、前述したように、光電変換部21に入射したX線や電磁波の光子のエネルギーに応じた量の電荷が光電変換部21内で発生し、検出素子20のアンプ回路22からその電荷量に応じたアナログ値の電圧が出力される。そこで、アンプ回路22から出力されたアナログ値の電圧を、その電荷量に応じて(すなわち光電変換部21に入射した光子のエネルギーに応じて)分離してカウントするように構成することも可能である。
この場合、検出素子20*を、例えば図9に示すように構成することが可能である。具体的には、アンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧を、複数のコンパレーター23A〜23Cの一方の入力端子に入力させる。なお、以下、コンパレーターが23A〜24Cの3個設けられている場合について説明するが、3個の場合に限定されない。また、図9では、上記のマスク用コンパレーター25等の図示が省略されている。
また、コンパレーター23A〜23Cの他方の入力端子には、基準電圧源32から基準電圧V0〜V2(例えばV0<V1<V2<Vth)を入力する。そして、各コンパレーター23A〜23Cから各カウント回路24A〜24Cにそれぞれデジタル信号を送信するように構成する。
このように構成すると、検出素子20*の光電変換部21に入射した光子のエネルギーが小さく、アンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧の値が基準電圧V0以上であるが基準電圧V1未満である場合には、コンパレーター23Aからは「1」のデジタル信号が出力され、カウント回路24Aのカウント値Nが1増加するが、コンパレーター23B、23Cから出力されるデジタル信号は「0」のままであり、カウント回路24B、24Cのカウント値Nは増加しない。
また、検出素子20*の光電変換部21に入射した光子のエネルギーが中程度で、アンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧の値が基準電圧V1以上であるが基準電圧V2未満である場合には、コンパレーター23A、23Bからは「1」のデジタル信号が出力され、カウント回路24A、24Bのカウント値Nがそれぞれ1増加するが、コンパレーター23Cから出力されるデジタル信号は「0」のままであり、カウント回路24Cのカウント値Nは増加しない。
さらに、検出素子20*の光電変換部21に入射した光子のエネルギーが大きく、アンプ回路22から出力されるアナログ値の電圧の値が基準電圧V2以上である場合である場合(なお、マスク用基準電圧Vth未満であるとする。)には、コンパレーター23A〜23Cから「1」のデジタル信号が出力され、カウント回路24A〜24Cのカウント値Nがそれぞれ1増加する。
このようにして、カウント回路24Cでは、検出素子20*の光電変換部21に入射した光子のうち、エネルギーが大きい光子(すなわち当該光子の入射によりアンプ回路22から基準電圧V2以上の電圧が出力されるような光子)の個数Nがカウントされる。また、カウント回路24Bでは、エネルギーが大きい光子と中程度の光子(すなわち当該光子の入射によりアンプ回路22から基準電圧V1以上の電圧が出力されるような光子)の個数Nがカウントされる。そして、カウント回路24Aでは、エネルギーが大きい光子と中程度の光子と小さい光子(すなわち当該光子の入射によりアンプ回路22から基準電圧V0以上の電圧が出力されるような光子)の個数Nがカウントされる。
そのため、上記のように構成することにより、検出素子20*の各カウント回路24A〜24Cで、光電変換部21に入射した光子のエネルギーに応じて光子の個数Nを分離してカウントするように構成することが可能となる。そして、画像処理装置Cで、各カウント回路24A〜24Cごとに別々にX線画像を生成することで、X線画像撮影装置1に照射したX線に含まれるエネルギーの各領域ごとにX線画像を生成することが可能となる。
なお、本発明が上記の実施形態等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
1 X線画像撮影装置
2 筐体
20 検出素子
20A 半導体基板
24 カウント回路
30 制御手段(手段)
100 X線画像撮影システム
C 画像処理装置
Eth 閾値
N 光子の個数
n 単位時間あたりの個数
SP センサーパネル
t 時刻
Ts X線の照射が開始された時刻、照射開始時刻
Te X線の照射が終了した時刻、照射終了時刻
2 筐体
20 検出素子
20A 半導体基板
24 カウント回路
30 制御手段(手段)
100 X線画像撮影システム
C 画像処理装置
Eth 閾値
N 光子の個数
n 単位時間あたりの個数
SP センサーパネル
t 時刻
Ts X線の照射が開始された時刻、照射開始時刻
Te X線の照射が終了した時刻、照射終了時刻
Claims (4)
- X線を照射するX線発生装置との間で信号の送受信を行わない非連携方式で撮影を行うX線画像撮影装置であって、
入射したX線の光子の個数、または入射したX線がシンチレーターで変換されて入射した電磁波の光子の個数を、入射したX線のエネルギー別にカウントするフォトカウンティング方式の検出素子と、
前記個数のカウント結果に基づいて、前記X線のエネルギーごとにX線画像を生成する画像処理装置と、を有することを特徴とするX線画像撮影装置。 - X線を照射するX線発生装置との間で信号の送受信を行わない非連携方式で撮影を行うX線画像撮影装置であって、
入射したX線の光子の個数、または入射したX線がシンチレーターで変換されて入射した電磁波の光子の個数に応じた量の電荷を発生させる光電変換部と、
前記光電変換部の出力を複数の異なる基準電圧と比較し、各基準電圧と比較した比較結果をそれぞれ出力するコンパレーターと、
前記コンパレーターから出力されたそれぞれの比較結果ごとに、前記光子の個数をそれぞれカウントする複数のカウント回路と、
前記複数のカウント回路のカウント結果に基づいて、前記カウント回路ごとにX線画像を生成する画像処理装置と、を有することを特徴とするX線画像撮影装置。 - 単位時間あたりの前記カウント結果に基づいて、前記X線発生装置からのX線の照射開始時刻と照射終了時刻とを算出する制御手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のX線画像撮影装置。
- 前記画像処理装置は、前記制御手段によって算出された前記照射開始時刻から前記照射終了時刻までの間にカウントされたカウント結果に基づいて前記X線画像を生成することを特徴とする請求項3に記載のX線画像撮影装置。
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