JP2015145690A - 断熱パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】断熱性を十分に確保できると共に、長時間に亘って大量の炎に曝されても十分な防耐火性能を有する断熱パネルを提供する。【解決手段】本発明は、第1金属板、この第1金属板に対向する第2金属板、及び第1金属板と第2金属板との間に形成される断熱材を備える断熱パネルであって、断熱材が、フェノール樹脂フォーム層と、このフェノール樹脂フォーム層に積層されるポリウレタンフォーム層とを備える。ポリウレタンフォーム層とフェノール樹脂フォーム層とが、ポリウレタンフォーム層の自己接着力によって密着されているとよい。フェノール樹脂フォーム層とポリウレタンフォーム層とを固着する面材をさらに有することが好ましい。フェノール樹脂フォーム層が板材から形成され、ポリウレタンフォーム層が、第1金属板とフェノール樹脂フォーム層との間に注入したポリウレタンフォーム原料を発泡させて形成されるとよい。【選択図】図1

Description

本発明は、断熱パネルに関する。
従来の断熱パネルとして、一対の金属板の間に樹脂発泡体からなる断熱材を設けたものがある。この樹脂発泡体としては、ポリイソシアヌレートフォームやポリウレタンフォームが用いられている。しかし、樹脂発泡体を断熱材として用いた断熱パネルは、火災時に長時間に亘って大量の炎に曝されると断熱材が炭化するなどして劣化する。その結果、断熱材に収縮による亀裂が生じて防火性能が低下するという不都合がある。
かかる不都合を解決しようとするものとして、表面金属板と裏面金属板の間に発泡樹脂からなる断熱材を充填して形成される断熱パネルにおいて、熱により膨張する熱膨張性層を裏面金属板に沿って設けたものがある(特開2003−261996号公報参照)。この断熱パネルは、長時間に亘って大量の炎に曝されることによる断熱材の炭化劣化で断熱材に亀裂が生じた場合に熱膨張性層を熱膨張させ、熱膨張性層の構成材料を亀裂に充填しようとするものである。
この断熱パネルの熱膨張性層は、200℃程度で瞬間的に膨張する性質を有する。そのため、200℃程度に達するまでに断熱材に生じた亀裂は、熱膨張性層の膨張により修復することが可能である。しかし、200℃程度では、硬質ウレタンフォーム等により形成された断熱材は、亀裂が入る温度に到達しておらず膨張するだけである。その後、さらなる温度上昇により断熱材に亀裂が生じるが、このような亀裂が生じる温度で既に熱膨張性層が膨張できない状態であると、亀裂を十分に充填できないおそれがある。
また、断熱材の亀裂は、一瞬にして発生するのではなく温度の上昇と共に大きな亀裂へと成長する。そのため、瞬間的に膨張する熱膨張性層は、断熱材に生じた亀裂の成長に合わせて亀裂に充填することができない。従って、先の断熱パネルは、防耐火性能を十分に向上させることはでない。その結果、建築用途で必要な防耐火性を有する断熱パネルとして実用化するのは困難である。
一方、熱膨張性層の厚みを大きくすることで、熱膨張層をできるだけ長時間に亘って膨張させることも考えられる。ところが、熱膨張性層が殆ど断熱性を有していない場合、熱膨張性層の表面及び裏面のそれぞれに隣接する層との温度差が小さくなる。その結果、熱膨張性層の炎に曝される層が200℃程度に到達して膨張すると、炎から離れている熱膨張性層の裏面に接する層も連鎖的に短時間で膨張してしまうため、防耐火性能の十分な改善効果は得られない。
また、断熱材は、例えば予め熱膨張性材料を裏面金属板に固着させた後、熱膨張性材料と表面金属板との間にウレタン原液を注入することで形成される。この場合、ウレタン原液の反応熱により温度上昇が生じ熱膨張性層に膨張や変質が生じるおそれがある。特に、ウレタン原液として反応熱の大きい水発泡のウレタン原液を用いる場合、熱膨張性層に膨張や変質が生じる恐れがさらに大きくなる。その結果、炎に曝されたときに十分に膨張できず、防耐火性を発揮できないおそれがある。
特開2003−261996号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、断熱性を十分に確保できると共に、長時間に亘って大量の炎に曝されても十分な防耐火性能を有する断熱パネルを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、第1金属板、この第1金属板に対向する第2金属板、及び上記第1金属板と上記第2金属板との間に形成される断熱材を備える断熱パネルであって、上記断熱材が、フェノール樹脂フォーム層と、このフェノール樹脂フォーム層に積層されるポリウレタンフォーム層とを備えることを特徴とする断熱パネルである。
当該断熱パネルによれば、優れた防耐火性能を発揮する。すなわち、ポリウレタンフォーム層側が火災等により炎の曝露を受けた場合、ポリウレタンフォーム層とフェノール樹脂フォーム層とが接する部分において、ポリウレタンフォーム層の温度上昇に伴いフェノール樹脂フォーム層の温度も上昇する。フェノール樹脂フォーム層が炭化する温度は、一般にポリウレタンフォーム層が炭化する温度より高く、またフェノール樹脂フォーム層はガスバリア性が高い。そのため、フェノール樹脂フォーム層は、ポリウレタンフォーム層に厚み方向に貫通する亀裂が生じる温度に達するまで温度上昇に伴い膨張を続ける。このとき、ポリウレタンフォーム層に亀裂が生じると、亀裂の周辺部分におけるフェノール樹脂フォーム層の温度が一気に上昇する。この温度上昇により、フェノール樹脂フォーム層もさらに膨張し、ポリウレタンフォーム層の亀裂が埋められる。また、ポリウレタンフォーム層の亀裂は、ある程度の時間拡大を続けるが、亀裂の拡大に応じてフェノール樹脂フォーム層の温度が上昇する領域も拡がり、この領域が膨張と炭化を起こすので、亀裂の拡大に合わせてフェノール樹脂フォーム層による継続的に亀裂の閉塞を続けることができる。
さらに、フェノール樹脂フォーム層は、プラスチックフォームとしては高い断熱性能を有する素材であるため、ポリウレタンフォーム層とフェノール樹脂フォーム層とが積層された断熱パネルは、良好な断熱性能を発揮する。
上記ポリウレタンフォーム層と上記フェノール樹脂フォーム層とが、上記ポリウレタンフォーム層の自己接着力により密着しているとよい。このようにポリウレタンフォーム層の自己接着力を利用することで、接着剤を使用することなくポリウレタンフォーム層とフェノール樹脂フォーム層とを密着させることができる。そのため、製造工程が簡略化できる。また、ポリウレタンフォーム層とフェノール樹脂フォーム層とがポリウレタンフォームの自己接着力によって直接密着された状態で接着されている場合、炎の曝露にポリウレタンフォーム層の亀裂に膨張したフェノール樹脂フォーム層が充填されやすくなるため、より防耐火性能を高めることが可能となる。
上記フェノール樹脂フォーム層と上記ポリウレタンフォーム層とを固着する面材をさらに有するとよい。このような面材を有することで、フェノール樹脂フォーム層の表面補強を図ることができ、またポリウレタンフォーム層に対するフェノール樹脂フォーム層の接着性の改善を図ることができる。さらに、面材として難燃性の高いものを使用すると、フェノール樹脂フォーム層の膨張するタイミングを遅らせることができ、フェノール樹脂フォームの膨張の程度が大きくなり、ポリウレタンフォーム層に生じた亀裂の修復をより少ない量のフェノールフォームで行うことができる。
上記フェノール樹脂フォーム層が板材から形成されているとよく、上記ポリウレタンフォーム層が、上記第1金属板と上記フェノール樹脂フォーム層との間に注入したポリウレタンフォーム原料を発泡させて形成されるとよい。このようにポリウレタンフォーム原料を発泡させてポリウレタンフォーム層を形成することで、ポリウレタンフォーム層とフェノール樹脂フォーム層とをポリウレタンフォーム層の自己接着力により密着させることができる。また、上記フェノール樹脂フォーム層を形成する板材の表面平滑性が悪い場合であっても、フェノール樹脂フォーム層とポリウレタンフォーム層とを密着性良く接着することが可能となる。
上記フェノール樹脂フォーム層と上記第2金属板との間に形成される無機物層を有していてもよい。この無機物層は、石膏又はセメントを主成分とするとよい。このような無機物層を有する断熱パネルによれば、耐火性を向上させることが可能なる。すなわち、石膏又はセメントを主成分とする無機物層は水分を有するため、この水分が蒸発して無機物層の温度を100℃程度に維持することが可能となる。加えて、無機物層の水分がなくなった場合であっても、無機物層が石膏又はセメントを主成分とすることで、一定時間の耐火性を持続することができる。また、無機物層は、第2金属板に対する防錆効果を発揮する。すなわち、フェノール樹脂フォーム層は防水性が高くなく、また材料が酸性あることから、フェノール樹脂フォーム層が第2金属板に接触していると、第2金属板が錆び易くなる。ところが、フェノール樹脂フォーム層と第2金属板との間に無機物層が介在することで、無機物層が第2金属板に対する防錆効果を発揮することができる。
上記フェノール樹脂フォーム層の平均厚みが上記ポリウレタンフォーム層の平均厚みの0.3倍以上3倍以下であるとよい。ここで、フェノール樹脂フォーム層は、一般に400℃〜650℃程度で炭化するが、このときの膨張の程度は2〜3倍程度である。従って、フェノール樹脂フォーム層の平均厚みを上記した特定の範囲とすることで、このフェノール樹脂フォーム層の炭化時に十分に膨張し、ポリウレタンフォーム層に発生した亀裂を好適に修復できる。
上記ポリウレタンフォーム層の平均密度として20kg/m以上100kg/m以下が好ましく、上記フェノール樹脂フォーム層の平均密度としては15kg/m以上100kg/m以下が好ましい。ポリウレタンフォーム層の平均密度を上記した特定の範囲とすることで、当該断熱パネルの軽量化を図りつつ十分な断熱性及び強度を確保することができる。また、第1金属板及び第2金属板の内部で酸素供給が制限された環境下でポリウレタンフォーム層が炭化する場合、このときの収縮量をポリウレタンフォーム層の平均密度が上記した範囲であることで一定範囲内にと留めることができ、フェノール樹脂フォーム層による亀裂の修復等の効果を好適に奏することができる。また、フェノール樹脂フォーム層が上記した範囲であることで、軽量化を達成しつつ、フェノール樹脂フォーム層の強度及び膨張性を十分に確保することができる。
上記フェノール樹脂フォーム層が断熱パネルの端面から露出していないことが好ましい。このようにフェノール樹脂フォーム層が断熱パネルの端面から露出していないことで、比較的脆いフェノール樹脂フォーム層が当該断熱パネルの端面から露出することがなく、施工時における断熱パネルの端面の破損を抑制できる。
ここで、「金属板」は、金属のみからなる板の他、このような金属のみからなる板を塗料で着色したもの、及び樹脂等で被覆したものを含む。「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上のものをいう。フェノール樹脂フォーム層及びポリウレタンフォーム層の「平均厚み」とは、一般断面における任意の10点で測定した厚みの平均値をいう。「一般断面」とは、ポリウレタンフォーム層における大部分を占める一様な厚みを有する部分の断面をいい、他の部位と著しく厚みの異なる部分の断面は含まない。
本発明によれば、断熱性を十分に確保できると共に、長時間に亘って大量の炎に曝されても十分な防耐火性能を有する断熱パネルが提供される。
本発明の第1の実施形態に係る断熱パネルを、パネル面に対して垂直方向に破断した斜視図である。 図1の断面を拡大した断面図である。 図1の断熱パネルが炎に曝されたときの経時変化を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る断熱パネルの図1に相当する斜視図である。 図4の断面を拡大した断面図である。 他の実施形態に係る断熱パネルの図1に相当する斜視図である。
以下、本発明第1及び第2実施形態に係る断熱パネルついて、図面を参照しつつ詳説する。なお、以下に開示される実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、以下の実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
[第1実施形態]
<断熱パネル>
図1及び図2の断熱パネル1は、複数枚を並べて配置することで使用されるものである。この断熱パネル1は、第1金属板2と、この第1金属板2に対向する第2金属板3と、第1金属板2と第2金属板3との間に形成されるフェノール樹脂フォーム層4及びポリウレタンフォーム層5とを備える。
断熱パネル1は、一方の側端部に凸部6、他方の側端部には凹部7が設けられている。凸部6は、隣接配置される他の断熱パネルの凹部と嵌合する部分である。一方、凹部7は、隣接配置される他の断熱パネルの凸部が嵌合する部分である。
なお、断熱パネル1における側端部の構造は、隣接する断熱パネルを並設でき、十分な耐火性を有するための構造であれば特に限定されない。例えば、断熱パネル1の内部に炎が侵入し難くするために、第1及び第2金属板2,3の側端部の形状を互いに重ね合わされる形状としてもよく、第1及び第2金属板2,3の側端部に生じる隙間にセラミックファイバーやロックウール等の耐火を有する目地材や熱膨張性の目地材を配置してもよい。
また、断熱パネル1の厚みは、通常10mm〜250mmであり、好ましくは20mm〜100mm、より好ましくは30mm〜75mmである。
<第1金属板及び第2金属板>
第1金属板2は、断熱パネル1を施工したときに屋外側に位置する部分である。一方、第2金属板3は、断熱パネル1を施工したときに屋内側に位置する部分である。
第1金属板2及び第2金属板3としては、例えば亜鉛鉄板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、チタン鋼板等が挙げられる。第1金属板2及び第2金属板3は、例示した金属板を塗料で着色したもの、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂などで被覆したものであってもよい。第1金属板2及び第2金属板3の厚みは、通常0.25mm〜2mmであり、好ましくは0.35mm〜0.8mmである。
<フェノール樹脂フォーム層>
フェノール樹脂フォーム層4は、断熱材を構成するものである。このフェノール樹脂フォーム層4は、例えば独立気泡を有するフェノール樹脂フォームボードを第2金属板3に沿って配置することで形成することができる。また、フェノール樹脂フォーム層4は、ポリウレタンフォーム層5との間に配置した面材(図示略)を介して固着してもよい。面材としては、例えばPET繊維等からなる不織布、水酸化アルミニウムを配合したクラフト紙等の不燃紙、無機質紙などが挙げられる。面材の厚は、通常0.01mm〜1mmである。面材は、フェノール樹脂フォーム層4(フェノール樹脂フォームボード)の成形時にフェノール樹脂フォームボードに自己接着させてもよく、成形後にフェノール樹脂フォームボードに接着剤等で固着させてもよい。このように面材を配置することで、フェノール樹脂フォーム層4の表面強度を高めることができ、またポリウレタンフォーム層に対するフェノール樹脂フォーム層4の接着性の改善を図ることができる。このような面材は、フェノール樹脂フォーム層4と第2金属板3との間に配置してもよい。
フェノール樹脂フォーム層4は、フェノール樹脂に発泡剤を添加して発泡させることにより得ることができる。このようなフェノール樹脂フォーム層4は、独立気泡に発泡剤由来のガスが存在することで熱膨張性を有する。
フェノール樹脂としては、通常使用されているレゾール型又はノボラック型のフェノール樹脂を使用することができる。これらのレゾール型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂は、単独で使用しても併用してもよいが、成形性に優れたレゾール型フェノール樹脂を使用することが好ましい。
フェノール樹脂フォーム層4は、独立気泡を有することで十分な断熱性及び弾力性を有するが、これらの特性に加えて、熱膨張性を維持できるように発泡剤に由来するガスに対するバリア性を有することが好ましい。このようなガスバリア性は、フェノール樹脂フォーム層4が炭化を生じ始める高温域付近まで維持できることが好ましい。
発泡剤としては、一般的にフェノール樹脂フォームに使用されている発泡剤が挙げられる。一般的に使用されている発泡剤は、不燃性でかつ分子量が大きく、フェノール樹脂フォーム層4を透過し難いため、火災等で炎に曝された高温時に十分に膨張する。もちろん、発泡剤としては、可燃性ガスであってもよく、その場合には発火点が高く分子量が大きいものほど膨張の程度は大きくなるために好ましい。
フェノール樹脂フォーム層4を構成するフェノール樹脂は、一般に450℃〜650℃程度の高温域において、酸素供給を抑制した環境下で無炎燃焼し炭化する性質を有する。また、フェノール樹脂フォーム層4は、内部に独立気泡を有するため、炭化するまでの間は気泡内のガスの膨張により膨張する。そして、フェノール樹脂フォーム層4が炭化し始めると、独立気泡が連続気泡となるため、弾力性を失い収縮し難く、また連続気泡内部で膨張したガスはフェノール樹脂フォーム層4の内部から離脱するガス抜けによっても収縮し難い。
フェノール樹脂フォーム層4の独立気泡率としては、炎に曝されていない状態(例えば施工時)において70体積%以上が好ましく、さらに好ましくは85体積%以上である。独立気泡率が70体積%以上であることで、高温域における十分な発泡性を確保することができる。
フェノール樹脂フォーム層4の平均厚みは、例えば2mm〜150mmであり、好ましくは5mm〜90mmであり、より好ましくは7mm〜75mmである。また、フェノール樹脂フォーム層4の平均厚みとしては、ポリウレタンフォーム層5の平均厚みの0.3倍以上3倍以下であるとよい。ここで、フェノール樹脂フォーム層4は、上述のように400℃〜650℃程度で炭化するが、このときの膨張の程度は2〜3倍程度である。従って、フェノール樹脂フォーム層4の平均厚みがポリウレタンフォーム層5の平均厚みの0.3倍未満であると、フェノール樹脂フォーム層4が十分に膨張せず、亀裂の修復効果を容易に発揮するのが困難となるおそれがある。一方、フェノール樹脂フォーム層4の平均厚みポリウレタンフォーム層5の平均厚みの3倍を超えると、材料コストが大きくなる共に、断熱材におけるフェノール樹脂フォーム層4の占有割合が相対的に大きくなり、ポリウレタンフォーム層5の亀裂等に対する充填性が却って悪化するおそれがある。
フェノール樹脂フォーム層4の平均密度としては、15kg/m以上100kg/m以下が好ましく、15kg/m以上75kg/m以下がより好ましく、20kg/m以上50kg/m以下がさらに好ましい。フェノール樹脂フォーム層4の平均密度が低すぎると、気泡内ガスの温度上昇に伴い膨張する際に強度不足で気泡内ガスが外部に離脱してしまい十分に膨張できないおそれがある。また、平均密度が小さ過ぎると、断熱パネル1の芯材として必要な曲げ強度や支圧強度が得られないことも懸念される。一方、フェノール樹脂フォーム層4の平均密度が大き過ぎると、強度が高くなり過ぎて気泡内ガスの膨張を阻害するおそれがある。また、平均密度が大きくなると材料コストが高くなるばかりか、断熱パネル1の重量が大きくなって施工性が悪化するおそれがある。
<ポリウレタンフォーム層>
ポリウレタンフォーム層5は、フェノール樹脂フォーム層4と共に断熱材を構成するものである。このポリウレタンフォーム層5は、イソシアネート化合物とポリオール化合物とを含むポリウレタン原料に、発泡剤や触媒を加えたものを、第1金属板2及び第2金属板3により規定される空間内に注入し、ポリウレタン原料を発泡及び架橋させることにより得ることができる。このように充填発泡によりポリウレタンフォーム層5を形成することで、各材料の寸法誤差に起因して材料間の隙間が発生する場合であっても、この隙間をポリウレタンフォームで埋めることができる。また、充填発泡によりポリウレタンフォーム層5を形成することで、ポリウレタンフォーム層5の自己接着力によりフェノール樹脂フォーム層4を密着することができる。
イソシアネート化合物としては、例えば芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えばトルエンジイソシアネート、ジフェニルイソシアネート等が挙げられる。このイソシアネート化合物のイソシアネート指数としては、0.9〜5.0が好ましく、1.5〜3.5がより好ましい。
ポリオール化合物としては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリマーポリオール、ひまし油等の天然物又はその変性品などが挙げられる。
発泡剤としては、一般的にポリウレタンフォームに使用されている発泡剤が挙げられる。
触媒としては、従来からポリウレタンフォームで使用されている触媒、例えばアミン系泡化触媒、ウレタン化触媒、イソシアヌレート化触媒等が挙げられる。
ポリウレタンフォーム層5は、長時間に亘って高い防耐火性が要求される場合、ヌレート変性のイソシアヌレートフォームにより形成し、さらに難燃剤を適宜配合したものとすることもできる。難燃剤としては、トリスクロロエチルフォスフェート、トリスクロロプロピルフォスフェート、トリエチルフォスフェート等のリン酸エステルが好ましい。このようなポリウレタンフォーム層5は、第1金属板2及び第2金属板3の内部で酸素供給が制限された環境下で300〜600℃程度で炭化するため、本発明の効果を発揮し易くなる。
ポリウレタンフォーム層5の10%変形時圧縮強さとしては、30kPa〜500kPaが好ましく、75kPa〜300kPaがより好ましい。10%変形時圧縮強さがこのような範囲であると、断熱パネル1として要求される強度及び表面平滑性を十分に得ることができ、施工性が向上する。
ポリウレタンフォーム層5の平均密度としては、20kg/m以上100kg/m以下が好ましく、25kg/m以上75kg/m以下がより好ましい。ポリウレタンフォーム層5の平均密度をこのような範囲とすることで、断熱パネル1の軽量化を図りつつ十分な断熱性と強度を確保することができる。また、第1金属板2及び第2金属板3の内部で酸素供給が制限された環境下で300〜600℃程度で炭化する場合、収縮量を一定範囲内にとどめることができ、本発明の効果を発揮し易くなる。
ポリウレタンフォーム層5の平均厚みは、通常5mm〜50mmであり、好ましくは10mm〜30mmである。ポリウレタンフォーム層5の平均厚みがこのような範囲であることで、断熱パネル1に十分な強度と断熱性を付与することができる。また、ポリウレタンフォーム層5の平均厚みが、通常5mm以上であれば、充填発泡によるポリウレタンフォーム層5の形成を容易に行える。
<断熱パネルの作用効果>
まず、断熱材がフェノール樹脂フォーム層4又はポリウレタンフォーム層5の単層からなる場合の不都合を検討する。
断熱材がフェノール樹脂フォーム層4の単層からなる場合、難燃性及び断熱性に優れるが、第1金属板2及び第2金属板3により規定される複雑な形状の空間に注入して良好なフォームとして成形するのが困難である。また、フェノール樹脂フォーム層4は、第2金属板3等に直接自己接着させるのが困難である。従って、予め作製された板状部材のフェノール樹脂フォームを所定の寸法や形状に加工し、接着剤を用いて第2金属板3等に接着させる必要がある。しかし、フェノール樹脂フォームは、脆性材料であるため、接着力が弱く、安定した接着力をバラツキなく得るのが困難である。また、フェノール樹脂フォームは、所定の平均強度を満たす場合でも、部分的な接着不良により第2金属板3に部分的に浮きが生じ、外観を損なうという不都合が生じることが懸念される。さらに、フェノール樹脂フォーム層4は、施工の際の僅かな接触により破損が生じる得るために補修に手間を要し、破損の際に生じる微細片や粉により現場が汚れてしまう不都合がある。また、酸硬化により成形されたフェノール樹脂フォームは、これと接触する第2金属板3を発錆させるおそれがある。そのため、発錆を抑えるには第2金属板3に予め十分な中和処理を施さなければならないという不都合もある。加えて、フェノール樹脂フォームボードは、金属パネルに要求されるレベルの表面平滑性を得ることは困難であり、このようなボードで第2金属板3の裏打ちを行った場合、第2金属板3の平滑性を阻害するおそれもある。
一方、断熱材がポリウレタンフォーム層5の単層からなる場合、断熱性に優れる反面、一般的に火災時等にポリウレタンフォームが容易に燃焼してしまい十分な防耐火性は得られないおそれがある。また、防耐火性を向上させるために、ポリウレタンフォーム層5をヌレート変成したポリウレタンフォームとし、さらに難燃剤を大量に配合することも考えられるが、このような改良を行ったとしても十分な防耐火性を得がたい。
これに対して、断熱パネル1は、図3(a)〜図(e)に示す概略図を参照して以下に説明するように優れた断熱性能を発揮する。
図3(a)に示すように、断熱パネル1の第1金属板2側(外壁材として断熱パネルを施工した場合の屋外側)が火災時に炎10に曝された場合、第1金属板2の裏面に位置するポリウレタンフォーム層5は、第1金属板2によって酸素供給が制限された環境下で炭化する。このとき、ポリウレタンフォーム層5は高温下でのガスバリア性が十分でないため、十分に炭化が進行する前に気泡内のガスが離脱してしまいポリウレタンフォーム層5が収縮する。このときのポリウレタンフォーム層5は、図3(b)に示すように収縮の影響により気泡が繋がって大きな空隙が層状に存在した状態となる。このような現象は厚み方向に生じている温度分布に応じて起こるため、炎10近い側から段々と炭化や収縮が生じる。その結果、厚み方向に層を重ねる層状の炭化層が生じ、図3(c)に示すように厚み方向に亀裂9が発生する。
亀裂9は、ポリウレタンフォーム層5の炎10に曝された面(以下「曝露面」という)から徐々に発生する。その後、ポリウレタンフォーム層5の曝露面の反対側の部分の温度が上昇し、ガスの膨張離脱や炭化の進行によりポリウレタンフォーム層5の曝露面の反対側が収縮する温度となる。このような温度にポリウレタンフォーム層5の曝露面の反対側が達すると、図3(d)に示すように亀裂9が曝露面の反対側にまで到達する。このときのポリウレタンフォーム層5の曝露面の反対側の温度は、400℃〜500℃である。
一方、ポリウレタンフォーム層5とフェノール樹脂フォーム層4とが接する部分において、ポリウレタンフォーム層5の温度上昇に伴いフェノール樹脂フォーム層4の温度も上昇する。フェノール樹脂フォーム層4が炭化する温度は、一般にポリウレタンフォーム層5が炭化する温度より高く、またフェノール樹脂フォーム層4はガスバリア性が高い。そのため、フェノール樹脂フォーム層4は、ポリウレタンフォーム層5に亀裂9が生じる温度に達するまで温度上昇に伴う膨張を続ける。そこで、ポリウレタンフォーム層5に厚み方向に貫通する亀裂9が生じると、亀裂9の周辺部分におけるフェノール樹脂フォーム層4の温度が一気に上昇する。これにより、フェノール樹脂フォーム層4が膨張し、ポリウレタンフォーム層5の亀裂9が埋められる。また、ポリウレタンフォーム層5の亀裂9は、ある程度の時間拡大を続けるが、亀裂9の拡大に応じてフェノール樹脂フォーム層4の温度が上昇している部分も拡がり膨張と炭化を起こすので、図3(e)に示すように亀裂9の拡大に合わせて継続的に亀裂9の閉塞を続けることができる。
さらに、フェノール樹脂フォーム層4は、プラスチックフォームとしては高い性能を有する素材であるため、ポリウレタンフォーム層5とフェノール樹脂フォーム層4が積層された断熱パネルは、良好な断熱性能が発揮する。また、上述したフェノール樹脂フォーム層4の建築用断熱パネルとして用いる場合の欠点は、ポリウレタンフォーム層5と組み合わせることで解消することができる。
加えて、ポリウレタンフォーム層5とフェノール樹脂フォーム層4とがポリウレタンフォームの自己接着力によって直接密着された状態で接着されている場合、炎10の曝露によりポリウレタンフォーム層5の亀裂9に膨張したフェノール樹脂フォーム層4が充填されやすくなる。また、フェノール樹脂フォーム層4を形成するフェノールフォームボードの表面に面材が固着されたものを用いる場合、この面材が可燃性である場合には面材がないボードを直接接着した場合と殆どかわらない膨張特性を有する一方、難燃性の高い面材を用いる場合、フェノール樹脂フォーム層4が膨張するタイミングを遅らせることができる。後者の場合、フェノール樹脂フォーム4の膨張の程度が大きくなり、ポリウレタンフォーム層5に生じた亀裂9の修復をより少ない量のフェノールフォームで行うことが可能となる。
このような断熱パネル1は、第1金属板2及び第2金属板3の間にポリウレタンフォーム層5とフェノール樹脂フォーム層4とが積層されており、断熱性能の良い発泡樹脂が積層されていることから高い断熱性能を有している。
[第2実施形態]
<断熱パネル>
次に、本発明の第2実施形態に係る断熱パネルについて、図4及び図5を参照しつつ説明する。なお、これらの図4及び図5においては、図1〜図3を参照して先に説明した本発明の第1実施形態に係る断熱パネル1と同一の要素等については同一の符号を付してあり、以下における重複説明を省略する。
断熱パネル1Aは、フェノール樹脂フォーム層4と第2金属板3との間に無機物層8を介在する点において、図1〜図3の断熱パネル1とは異なる。
<無機物層>
無機物層8は、接着剤により第2金属板3の内面に接着されている。また、フェノール樹脂フォーム層4は、無機物層8に接着されている。この無機物層8は、例えば石膏又はセメントを主成分とする硬化物である。石膏の硬化物としては、表面にパルプ等からなる面材を備える石膏ボードなども含む。面材を備えていると、石膏の表面補強を図ることができ、フェノール樹脂フォーム層4や第2金属板3との接着性の改善を図ることができる。この無機物層8の厚みは、通常5mm〜25mmであり、好ましくは9mm〜19mmである。無機物層8の厚みが5mm未満であると、防耐火性の向上効果を十分に発揮できないおそれがある。一方、無機物層8の厚みが25mmを超えると、断熱パネル1の重量が大きくなり施工性が悪化するおそれがある。
<断熱パネルの効果>
断熱パネル1Aは、フェノール樹脂フォーム層4と第2金属板3との間に無機物層8を有するため、この無機物層8により防耐火性を向上させることが可能なる。すなわち、石膏又はセメントを主成分とする無機物層8は水分を有するため、この水分が蒸発して無機物層の温度を100℃程度に維持することが可能となる。加えて、無機物層8の水分がなくなった場合であっても、無機物層8が石膏又はセメントを主成分であることで、一定時間の防耐火性を持続することができる。また、無機物層8は、第2金属板3に対する防錆効果を発揮する。すなわち、フェノール樹脂フォーム層4は防水性が高くなく、また材料が酸性であるためにフェノール樹脂フォーム層4が第2金属板3に接触すると第2金属板3が錆び易くなる。ところが、フェノール樹脂フォーム層4と第2金属板3との間に無機物層8が介在することで、この無機物層8が第2金属板8に対する防錆効果を発揮し、フェノール樹脂が有する断熱性や耐火性等の特性を好適に発揮できる。
<他の実施形態>
本発明の断熱パネルは、上述の実施形態に限定されず設計変更可能である。
例えば、断熱パネルは、図6に示すようにフェノール樹脂フォーム層4の端面がポリウレタンフォーム層5により被覆されたものであってもよい。すなわち、フェノール樹脂フォーム層4の端面が露出しない態様としてもよい。ポリウレタンフォーム層5によるフェノール樹脂フォーム層4の端面の被覆は、フェノール樹脂フォーム層4の寸法及び配置を適宜選択すると共にポリウレタンフォーム層5を充填発泡することで行うことができる。
フェノール樹脂フォーム層4の端面が露出しないようにすることにより、施工時における断熱パネル1の小口の破損を防止することができる。
本発明によれば、断熱性を十分に確保できると共に、長時間に亘って大量の炎に曝されても十分な防耐火性能を有する断熱パネルが提供される。
1,1A 断熱パネル
2 第1金属板
3 第2金属板
4 フェノール樹脂フォーム層
5 ポリウレタンフォーム層
6 凸部
7 凹部
8 無機物層
9 亀裂
10 炎

Claims (8)

  1. 第1金属板、この第1金属板に対向する第2金属板、及び上記第1金属板と上記第2金属板との間に形成される断熱材を備える断熱パネルであって、
    上記断熱材が、フェノール樹脂フォーム層と、このフェノール樹脂フォーム層に積層されるポリウレタンフォーム層とを備えることを特徴とする断熱パネル。
  2. 上記ポリウレタンフォーム層と上記フェノール樹脂フォーム層とが、上記ポリウレタンフォーム層の自己接着力により密着している請求項1記載の断熱パネル。
  3. 上記フェノール樹脂フォーム層と上記ポリウレタンフォーム層とを固着する面材をさらに有する請求項1に記載の断熱パネル。
  4. 上記フェノール樹脂フォーム層が板材から形成され、
    上記ポリウレタンフォーム層が、上記第1金属板と上記フェノール樹脂フォーム層との間に注入したポリウレタンフォーム原料を発泡させて形成される請求項1、請求項2又は請求項3に記載の断熱パネル。
  5. 上記フェノール樹脂フォーム層と上記第2金属板との間に形成される無機物層を有し、
    上記無機物層が石膏又はセメントを主成分とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の断熱パネル。
  6. 上記フェノール樹脂フォーム層の平均厚みが上記ポリウレタンフォーム層の平均厚みの0.3倍以上3倍以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の断熱パネル。
  7. 上記ポリウレタンフォーム層の平均密度が、20kg/m以上100kg/m以下であり、
    上記フェノール樹脂フォーム層の平均密度が、15kg/m以上100kg/m以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の断熱パネル。
  8. 上記フェノール樹脂フォーム層が端面から露出していない請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の断熱パネル。
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