JP2015144751A - 尿道狭窄症の治療方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】瘢痕組織を処置して形成された処置部に上皮機能を提供することにより尿道狭窄症の再発を抑制する尿道狭窄症の治療方法を提供する。【解決手段】尿道狭窄症の治療方法は、尿道内へ導入可能な第1の形状に形状付けした保護具を経尿道的に尿道内へ導入し、瘢痕組織を処置することにより形成された処置部に保護具を配置する導入工程S15と、保護具を第1の形状から処置部を保護可能な第2の形状へ変形させて処置部を保護する保護工程S16とを有している。【選択図】図4

Description

本発明は、尿道狭窄症の治療方法に関する。
尿道狭窄症とは、怪我や炎症により尿道粘膜に傷がついて、その傷が修復される過程で尿道粘膜や尿道粘膜を取り囲む尿道海綿体に瘢痕化が起こり、尿道が狭くなる疾患である。尿道狭窄症の治療方法として、外科的に尿道を再建する治療法が存在するが、侵襲性が高く長期の入院が必要とされることになるため、近年は低侵襲で簡便なブジー(尿道拡張具)や下記特許文献1に記載されたような尿道内で利用可能なバルーンカテーテル、コールドナイフ、レーザー等を利用した経内視鏡的拡張手技が実施されている。
特願平8−526731号
しかしながら、上記の従来の治療法では、瘢痕組織化した尿道内面に上皮細胞を再建する能力が極めて低いため、再発をきたす患者が後を絶たない点が課題とされている。瘢痕組織が尿透過性を備えるため、尿道に持続的な炎症反応が惹起されて組織の肥厚化が招かれ、その結果、再閉塞が誘発されてしまうのが主な原因とされている。
本発明は、瘢痕組織を処置して形成された処置部に上皮機能を提供することにより尿道狭窄症の再発を抑制する尿道狭窄症の治療方法を提供することを目的とする。
本発明の尿道狭窄症の治療方法は、尿道内へ導入可能な第1の形状に形状付けした保護具を経尿道的に前記尿道内へ導入し、瘢痕組織を処置することにより形成された処置部に前記保護具を配置する導入工程と、前記保護具を前記第1の形状から前記処置部を保護可能な第2の形状へ変形させて前記処置部を保護する保護工程と、を有している。
上記発明によれば、瘢痕組織を処置することにより形成された処置部を所定の保護具により保護して処置部に上皮機能を提供することにより瘢痕組織の肥厚に伴う再狭窄の発生を抑制することが可能になる。そして、経尿道的に尿道内に導入可能に構成され、かつ、尿道内において処置部を保護し得る形状に変形可能に構成された保護具を使用して処置部の保護を行うため、患者に掛かる負担を大幅に軽減した低侵襲な手技を実現することが可能になる。
また、保護工程が、生着部での上皮細胞の生着を補助する工程を含む場合、より一層好適に再狭窄の発生を抑制することが可能になる。
また、保護具が液体非浸潤性を備え、かつ、第1の形状と第1の形状から展開された第2の形状に可逆的に変形可能に構成されたシートを含み、さらに、導入工程の前に、尿道内を移動可能に構成された導入具にシートを離脱可能に装着する準備工程を有する場合、尿道内への保護具の導入および保護具による処置部の保護をより簡単な作業で行うことが可能になるとともに、処置部を好適に保護することが可能になる。
また、準備工程が、導入具が備える棒状の本体部にシートを巻き付ける工程を含む場合、シートを巻き付ける簡単な作業で導入具に保護具を装着させることが可能になるため、保護具の導入に要する手間を軽減することが可能になる。
また、シートが、生体から採取した上皮からなる場合、シートを使用して処置部に上皮細胞を生着させることが可能になるため、再狭窄の発生をより確実に防止することが可能になる。
また、経尿道的に尿道内に導入した維持手段により処置部に対して保護具が位置決めされた状態を維持する維持工程をさらに有する場合、処置部を安定的に保護することが可能になる。
図1は、実施形態に係る治療方法が適用される生体の尿道を示す図であって、(A)は、生体の尿道周辺を模式的に示す図、(B)は、図1(A)に示す1B−1B線に沿う尿道の断面図である。 図1に示す尿道およびその周辺部の断面図であって、図1(A)に示す2A−2A線(尿道の延伸方向に沿う線)に沿う断面図である。 図3は、尿道および尿道海綿体を拡大して示す図であって、(A)は、図1(B)に示す尿道周辺を拡大した断面図、図3(B)は、図3(A)に示す破線部3Bを拡大した断面図である。 実施形態に係る治療方法の各工程のフローを示す図である。 処置工程において使用される処置具の概観斜視図である。 図6は、図5に示す処置具の構成を説明するための図であって、(A)は、刃部を収容した状態の処置具の先端部を長手方向に沿う断面で示す断面図、図6(B)は、図6(A)に示す6B−6B線に沿う断面図である。 図7は、図5に示す処置具の構成を説明するための図であって、(A)は、刃部を突出させた状態の処置具の先端部を長手方向に沿う断面で示す断面図、図7(B)は、図7(A)に示す7B−7B線に沿う断面図である。 図8は、実施形態に係る処置工程を説明するための図であって、(A)は、尿道内に処置具を導入した際の様子を示す断面図、(B)は、尿道内に導入した処置具により処置工程を実施している際の様子を示す断面図である。 図9は、実施形態に係る処置工程および確認工程を説明するための図であって、(A)は、尿道内に導入した処置具により処置工程を実施している際の様子を示す断面図、(B)は、尿道内に導入した診断具により確認工程を実施している際の様子を示す断面図である。 図10(A)〜(C)は、変形例1〜3に係る処置具を示す図である。 図11は、瘢痕組織を削る処置により処置部を形成する処置工程を説明するための図であって、(A)は、尿道内に導入した処置具により処置工程を実施している際の様子を示す断面図、(B)は、図11(A)に示す処置工程により形成された処置部を示す断面図である。 図12(A)、(B)は、変形例4および変形例5に係る処置具の要部を示す断面図である。 図13(A)〜(C)は、変形例6〜変形例8に係る処置具を示す図である。 図14(A)〜(C)は、変形例9に係る処置具の構成および使用例を示す部分断面図である。 図15(A)〜(C)は、変形例9に係る処置具の使用例を示す部分断面図である。 図16は、実施形態に係る平滑化工程を説明するための図であって、(A)は、所定の平滑具により内面が平滑化された尿道を示す断面図、(B)は、図16(A)の一部を拡大して示す断面図である。 図17(A)、(B)は、変形例1および変形例2に係る平滑具の使用例を示す図である。 図18は、実施形態に係る止血工程を説明するための図であって、(A)は、所定の止血具により処置部付近を止血した様子を示す断面図、(B)は、変形例1に係る止血具を使用した使用例を示す断面図である。 図19(A)、(B)は、変形例2および変形例3に係る止血具を示す図である。 図20(A)〜(C)は、変形例2に係る止血具の使用例を示す部分断面図である。 図21(A)〜(C)は、実施形態に係る導入工程において使用される導入具を示す図である。 図22(A)、(B)は、図21に示す導入具の使用例を示す図である。 図23(A)、(B)は、変形例1に係る導入具の構成および使用例を示す図である。 図24(A)〜(C)は、変形例2に係る導入具の構成および使用例を示す図である。 図25(A)〜(C)は、変形例3に係る導入具の構成および使用例を示す図である。 図26は、導入工程を説明するための図であって、(A)は、導入工程を実施している際の様子を示す断面図、(B)は、尿道内に保護具を配置した際の様子を示す断面図である。 図27(A)、(B)は、変形例4および変形例5に係る導入具を示す図である。 図28(A)〜(C)は、変形例6〜変形例8に係る導入具を示す図である。 図29は、実施形態に係る維持工程を説明するための図であって、(A)は、所定の維持手段により維持工程を実施した際の様子を示す断面図、(B)は、変形例1に係る維持手段を使用して維持工程を実施した際の様子を示す断面図である。 図30(A)は、処置工程後の尿道の断面を示す図、(B)は、変形例2に係る維持手段の使用例を示す図である。 図31は、変形例3に係る維持手段の使用例を示す図である。 図32(A)、(B)は、変形例4に係る維持手段の使用例を示す図である。 図33は、図30(B)に示す支持具の変形例を示す図である。 図34(A)、(B)は、変形例5および変形例6に係る維持手段の使用例を示す図である。 図35(A)、(B)は、変形例7および変形例8に係る維持手段の使用例を示す図である。 図36は、変形例9に係る維持手段の構成を説明するための図である。 図37(A)、(B)は、変形例10に係る維持手段の使用例を示す図である。 図38は、変形例10に係る維持手段の使用例を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1〜図3は尿道狭窄症に罹患した生体の尿道を模式的に示す図、図4は本実施形態に係る治療方法の全体工程を示す図、図5〜図38の各図は本実施形態に係る治療方法において使用される医療器具や各工程の説明に供する図である。
実施形態を通じて説明する本発明は、尿道狭窄症の治療方法に関するものであり、特に尿道に形成された狭窄部分を施術した後に再狭窄(再閉塞)が生じることを抑制する治療方法に関するものである。まず、生体の尿道周辺の構造、尿道狭窄症および再狭窄の発生機序等について説明する。
図1〜図3には、男性の尿道10およびその周辺部が模式的に示されている。図1(A)に示すように、尿道10は、陰茎21の内部および前立腺22の内部を通って生体の下腹部にある膀胱23まで延びている。図1(B)、図3(A)に示すように、尿道10は、その内面11が尿道粘膜12により覆われている。尿道粘膜12の外側には尿道海綿体13が存在する。また、図3(B)に示すように、尿道海綿体13の内部には網目状に走行する海綿体洞と呼ばれる血管14が存在する。なお、各図に付されたX軸は尿道の幅方向(図1(B)の左右方向)を示し、Y軸は尿道の延伸方向(図2の上下方向)を示し、Z軸は尿道の高さ方向(図1(B)の上下方向)を示している。
図1(B)に示すように、尿道海綿体13は、白膜24により覆われており、この白膜24の外側には筋膜25および陰茎海綿体26が存在する。陰茎海綿体26の内部には陰茎深動脈26aが存在し、陰茎海綿体26の上方には陰茎背動脈26bおよび陰茎背静脈26cが存在する。
尿道狭窄症は、例えば、外傷や炎症によって尿道粘膜12もしくは尿道海綿体13が損傷した後、修復される過程で尿道粘膜12や尿道粘膜12を取り囲む尿道海綿体13に組織の繊維化および瘢痕化が生じて、図2に示すように尿道内面11に瘢痕組織31が形成され、その結果、尿道10の内腔が狭くなる疾患である。尿道10において瘢痕組織31が形成された部位(狭窄部位30)は、尿道10の他の部位に比べて断面積が狭くなるため、尿が通過し難くなる。尿道狭窄症に罹患すると、尿が円滑に排出されない、尿が全く排出されないといった排尿障害が引き起こされる。
尿道狭窄症の治療方法として、例えば、ブジー(尿道拡張具)やバルーン、コールドナイフやレーザーなどの医療器具を経尿道的に尿道内に導入し、これらの医療器具により狭窄部を拡張、切開等することで狭窄部を治療する方法が試みられている。この方法によれば、一時的な治療効果は得られるものの、一旦治療した後に、狭窄部位30が再度形成されてしまい、尿道狭窄症を再発する可能性が極めて高い。瘢痕組織31が液体を透過する性質を備えるため、瘢痕組織31の周囲や瘢痕組織31下にある尿道海綿体31が尿道10内を流れる液体(例えば、尿や体液)に常時晒されることで持続的な炎症反応が誘発されて上皮細胞の再建が阻害されるためである。
本実施形態に係る治療方法は、尿道10内を流れる液体の影響による上皮機能の再建性(尿道粘膜12の再建性)の低下を抑制することにより、尿道狭窄症の再発を防止することを可能にする治療方法を提供する。この治療方法は、概説すれば、図4に示すように、尿道の内面を平滑化する平滑化工程S11と、瘢痕組織に対して所定の処置を実施して処置部を形成する処置工程S12と、処置部が形成されたか否かを確認する確認工程S13と、尿道に出血が生じた場合にその出血を抑える止血工程S14と、処置部を保護することにより上皮機能を提供する保護工程S16と、保護工程において使用される保護具と処置部とが接触した状態を維持する維持工程S17を有している。
処置工程S12について説明する。
処置工程S12は、経尿道的に尿道10内に導入した処置具100により、瘢痕組織31を処置して上皮機能が提供され得る処置部40(図9(A)、図9(B)を参照)を形成する工程である。ここでいう処置は、例えば、瘢痕組織31を切開、切削、切除等することを含み得る。
前述したように瘢痕組織31の下にある尿道海綿体13が尿等の液体に晒されると炎症反応が生じる。尿道10内では、排尿による尿の移動が不定期に繰り返し行われるため、瘢痕組織31を介した尿と尿道海綿体13との接触が頻繁に起き易い。また、尿道海綿体13を液体から保護するにしても、尿道海綿体13上には瘢痕組織31が存在するため、経尿道的なアプローチで直接的に治療行為等を施すことが難しい。処置工程S12では、尿道10において瘢痕組織31が形成された部位を処置して、瘢痕組織31の下に存在する尿道海綿体13からの上皮生着因子の供給を可能にする供給路を形成する。後述するように、処置工程S12で形成された処置部40に上皮機能を提供することにより、処置部40を足場とした上皮機能の再建を補助することが可能になる。
本明細書における「上皮機能」とは、尿等の液体および尿道に含まれる炎症惹起成分が尿道海綿体13に接触することを防止もしくは低減するバリア機能を意味する。
処置工程S12は、例えば、瘢痕組織31を切開する工程を含む。図8、図9等を参照して後述するように、尿道10に形成された瘢痕組織31を切開すると、瘢痕組織31の下にある尿道海綿体13が露出する。瘢痕組織31から露出した部位が処置部40となる。後述する保護工程S16では瘢痕組織40から露出した部位のみに上皮機能を提供してもよいし、露出させた部位およびその周辺を含めた部位へ上皮機能を提供してもよい。より広範な範囲に亘って上皮機能を提供することにより、尿道狭窄症の再発防止の治療効果を高めることが可能になる。なお、瘢痕組織31の下にある尿道海綿体13が露出しない程度に瘢痕組織31を薄肉に処置(薄化)して処置部40を形成してもよい。瘢痕組織を薄化して形成された処置部40からその周辺へ上皮生着因子の供給を可能にし、処置部40を尿等から保護する場合にも再狭窄の発生を防止することが可能になる。
次に、図5〜図7を参照して、処置工程S12において使用される処置具100の一例を説明する。
処置具100は、窓部101が形成されたシース103と、刃部104が備えられた拡張変形部105と、シース103の窓部101の開閉操作に用いられるスライド部106を有する。
図6(A)に示すように、シース103は、その先端側から基端側へ伸びる内腔103aを備える。シース103の内腔103a内には、拡張変形部105およびスライド部106がそれぞれ軸方向に進退移動自在に収容される。シース103に形成された窓部101は、軸方向に沿う所定の長さで形成された貫通孔により構成されている。
シース103は、生体内に導入可能であれば、その材質や外形形状等は特に限定されない。また、シース103に形成された窓部101の大きさやその形成される位置等は、後述するように拡張変形部105を拡張させた際に刃部104の先端部がシース103の外部に突出し得る限りにおいて特に限定されない。
拡張変形部105は、拡張および収縮変形可能なバルーンによって構成している。図5に示すように、拡張変形部105に取り付けられたシャフト105aは、その基端部がシース103の外部に配置される。また、シャフト105aには、拡張変形部105を拡張する際に当該拡張変形部105内へ導入される加圧媒体を供給するために使用される流体チューブ105cを連結可能なポート105bが設けられている。拡張変形部105内への加圧媒体の供給および拡張変形部105内からの加圧媒体の排出は、図示省略するシリンジポンプ等の公知の媒体供給手段により行うことが可能である。
図6(B)に示すように、拡張変形部105の外周には、刃部104が取り付けられた中空状のチューブ105dが設けられている。チューブ105dは、拡張変形部105の拡張−収縮変形に追従して拡張−収縮変形するように構成されている。チューブ105dには、拡張変形部105の変形に追従して拡張−収縮変形が円滑になされるように複数のスリット105eが設けられている。チューブ105dは、例えば、弾性変形可能な樹脂材料等によって構成することができる。
拡張変形部105に設けられた刃部104には、当該刃部104の長さ方向(図6(A)の上下方向)に互いに間隔を空けて付された複数の目盛り104aが設けられている。目盛り104aは、処置具100を使用して瘢痕組織31を切開する際に、瘢痕組織31内にどの程度の深さまで刃部104が進入したかを確認する際に使用される(図8(B)を参照)。目盛り104aは、内視鏡などの撮像装置により得られる画像下において明瞭に視認可能となるように色が付されていることが好ましい。また、各目盛り104aの間隔は、例えば、0.1〜1mmの間隔を空けて配置することができる。また、各目盛り104aの位置を示す数字や記号等を刃部104に設けることも可能である。また、目盛り104aは、刃部104の外表面に形成した凹凸部等により構成することも可能である。
刃部104を構成する材料は、瘢痕組織31を切開することが可能であれば特に限定されず、例えば、金属や硬質のプラスチック等によって構成することが可能である。
図5に示すように、スライド部106の基端部には、当該スライド部106の移動をシース103の外部で操作することを可能にする手元操作部106aが設けられている。手元操作部106aは、手指による把持が可能となるように平板状の外形で構成されている。なお、スライド部106および手元操作部106aの外形形状、寸法、構成材料の材質等は、シース103の窓部101を開閉する機能を備える限りにおいて特に限定されない。
処置具100が備えるスライド部106は、処置具100を尿道10内に導入する際に尿道内面11を刃部104から保護する機能を備える。例えば、図6(A)、図6(B)に示すように、拡張変形部105が拡張変形する前の状態で、シース103内に刃部104を収容し、さらにシース103の窓部101をスライド部106により覆うことで刃部104がシース103内に格納することができ、使用時の安全性を高めることが可能になる。刃部104による瘢痕組織31の切開を行う際は、スライド部106を図7(A)に示すように窓部101を開く位置に移動させる。このような位置にスライド部106を位置させ、さらに拡張変形部105を拡張させることにより、窓部101から刃部104を突出させることが可能になる。
図7(A)に示すように、拡張変形部105に取り付けたシャフト105aは、シース103の基端部に形成された開口部107aを介してシース103の外部に導出される。拡張変形部105は、シャフト105aを介して開口部107aに揺動可能に支持される。このため、拡張変形部105を拡張変形させると、拡張変形部105がシース103の内面に押し付けられた際に生じる反力によりシャフト105aが開口部107a内を図中の矢印に示すように移動する。この移動により拡張変形部105が図中の下方向へ移動して、拡張変形部105に取り付けた刃部104が窓部103へ案内される。
拡張変形部105は、前述したようにバルーンによって構成されているため、拡張変形部105内へ導入する加圧媒体の圧力を調整することにより、拡張変形部105の径方向の変形量を調整することができる。拡張変形部105に刃部104を取り付けた構成としているため、瘢痕組織31に対して処置具100を使用して処置を行う際に拡張変形部105を段階的に変形させる操作を行うことにより、刃部104が瘢痕組織31および尿道海綿体13を必要以上に損傷することを未然に防止することが可能になる。
次に、図8(A)、(B)、図9(A)を参照して、処置具100を使用して処置部40を形成する手順を説明する。ここで参照する各図は、図2に示す破線部8Aに相当する部分を拡大して示す図である。
図8(A)に示すように、尿道10内に処置具100を導入する。処置具100を尿道10内に導入する段階では、シース103の窓部101はスライド部106により閉じた状態にする。処置具100を導入する際には、内視鏡等の公知の撮像装置を使用することが可能である。この場合、処置具100は撮像装置に備えられるチャネルを介して尿道10内に導入することができる。また、尿道10内への処置具100の導入は、例えば、医療分野において公知であるガイドシース等を使用して行うことも可能である。
次に、シース103の窓部101を瘢痕組織31に対して向い合わせる。そして、処置具100が備える拡張変形部105を拡張変形させることにより、図8(B)に示すように刃部104を瘢痕組織31に対して穿刺する。この際、瘢痕組織31に対する処置は、尿道10の周方向において陰茎海綿体26が位置する方向を避けて実施する。図1(B)に示すように、尿道10の斜め上方には陰茎海綿体26が存在するが、仮に、刃部104が陰茎海綿体26に到達して損傷してしまうと、陰茎21の勃起機能が損なわれるなどの問題が生じ得る。したがって、陰茎海綿体26が存在しない方向、具体的には、尿道10の中心から斜め上方の所定の角度範囲(例えば、−20°〜−60°、20°〜60°)以外の方向に向けて処置を実施することにより、陰茎海綿体26を損傷することなく処置工程S12を実施することが可能になる。なお、前立腺22の近傍の尿道に対して処置を行う場合は、陰茎海綿体26の損傷をより確実に防止するために略垂直下方(120°〜240°の方向、より好ましくは150°〜210°の方向)に向けて処置を進めることが好ましい。
刃部104による処置は、例えば、瘢痕組織31の厚み方向に段階的な深さで複数回実施する。深さを段階的に変更して処置を行うことにより、刃部104により尿道海綿体13が必要以上に損傷するのを防止できる。前述したように、処置具100が備える拡張変形部105の拡張変形量を調整することによりシース103の窓部101から刃部104が突出する突出長を調整することが可能となっているため、瘢痕組織31に対して段階的な深さで刃部104を刺入することができる。なお、一度に刃部104を瘢痕組織31に対して刺入させる量(深さ)、および最終的に刃部104を刺入させる量は、瘢痕組織31の厚み等に応じて任意に設定することができる。本実施形態においては、尿道海綿体13に到達する手前の深さまで瘢痕組織31に対する処置を実施するが、尿道海綿体13に十分に到達する深さで処置を実施してもよい。
処置工程S12を実施している最中に、または実施後に、例えば、瘢痕組織31に対して行った処置の深さ(刃部104を刺入した深さ)を診断する深さ診断工程を実施することが可能である。この工程を実施することにより、どの程度まで処置が進行したかを確認することが可能になるため、刃部104により尿道海綿体13に損傷等が必要以上に生じることをより確実に防止することが可能になる。深さの診断は、例えば、刃部104に設けられた目盛り104aを撮像装置等を使用して確認することで行うことができる。また、その他の方法として、目盛りを付した医療用のガイドワイや尿道内に導入可能な計測器具等を使用して深さの診断を行うことも可能である。さらには、膀胱鏡による水圧で尿道10の内壁に圧力がかかっている場合においては、円周状に展開(切開)される切開層を膀胱鏡により観察することにより処置が十分進行したか判断することも可能である。
次に、図9(A)に示すように、処置具100の刃部104を瘢痕組織31の延在方向(図中の上下方向)に沿って移動させて瘢痕組織31を切り開く。この作業を行うことにより、尿道海綿体13を瘢痕組織31から露出させることが可能になる。尿道海綿体13をより広範囲に亘って露出させるために、例えば、刃部104を尿道10の周方向に沿って回転させたり、刃部104を瘢痕組織31の延在方向に沿って移動させる作業を複数回繰り返したりしてもよい。
処置工程S12の進行に応じて確認工程S13が実施される。
図9(B)を参照して、確認工程S13は、経尿道的に尿道10内に導入した診断具200により処置部40が形成されたか否かを確認する工程である。なお、図9(B)は、図9(A)に示す矢印9B方向から見た尿道10の断面を拡大して示す図である。
診断具200としては、例えば、経尿道的に尿道10内に導入可能であり、かつ、尿道10の内部を撮像可能な撮像装置(内視鏡等の公知の医療用撮装置)を使用することが可能である。診断具200として撮像装置を使用する場合、確認工程S13は、撮像装置により撮像された診断画像に基づいて尿道海綿体13の少なくとも一部が瘢痕組織31から露出したか否かを判断する工程を含む。前述した処置工程S12は、確認工程S13により尿道海綿体13が確認されるまで実施する。なお、内視鏡のような撮像装置以外のもの(例えば、超音波診断装置等)、造影剤を用いたX線撮像装置などを使用して確認工程S13を実施することも可能である。
確認工程S13は、例えば、診断具200により撮像された診断画像の色の変化に基づいて尿道海綿体13が露出したか否かを視覚的に判断する工程を含む。
前述したように処置工程S12において、瘢痕組織31を切開して瘢痕組織31を薄化させると、薄化した瘢痕組織31は、尿道海綿体13内を流れる血液の影響により赤色もしくは赤味を帯びた色で映し出される。瘢痕組織31の色を視覚的に確認する簡単な作業で尿道海綿体13までの深度を判断することができる。仮に、処置を行った部位から出血が生じている場合には、その出血を視覚的に確認することにより尿道海綿体13が露出しているか否かを判断してもよい。
確認工程S13において尿道海綿体13の露出が確認された後、処置工程S12を終了する。瘢痕組織31から露出した尿道海綿体13は、前述したように上皮機能が提供され得る処置部40を構成する。
次に、処置工程S12において使用される処置具の変形例を説明する。
図10(A)には、変形例1に係る処置具110が示される。
処置具110は、らせん状の溝114aが形成された針状の刃部114を備える。刃部114をその先端側から瘢痕組織31内に刺入して、瘢痕組織31の延在方向に沿って往復移動させることにより瘢痕組織31を削り取ることができる。処置工程S12において出血が生じた際には、刃部114に形成されたらせん状の溝114aを伝わらせて血液を排出させることも可能である。なお、刃部114の内部を中空に加工して内腔を形成してもよい。内腔を設けることにより、内腔を介して血液を尿道10の外部へ排出させることが可能になる。
図10(B)には、変形例2に係る処置具120が示される。
処置具120は、瘢痕組織31を削ることが可能に構成された研磨部124を備える。図11(A)に示すように、研磨部124を瘢痕組織31に接触させた状態で瘢痕組織31の延在方向(図中の矢印方向)に沿って往復移動させることにより瘢痕組織31を削り取ることができる。
図11(B)に示すように、瘢痕組織31を削り取ると尿道海綿体13が露出する。図11(B)は、図11(A)に示す矢印11B方向から見た尿道10の断面を拡大して示す図である。前述した瘢痕組織31を切開する処置と瘢痕組織31を削る処置は一つの処置工程S12で同時に実施したり、交互に実施したりすることが可能である。
図10(C)には、変形例3に係る処置具130が示される。
処置具130は、瘢痕組織31を削ることが可能に構成されたおろし金状の突起部134を備える。突起部134を瘢痕組織31に接触させた状態で瘢痕組織31の延在方向に沿って突起部134を往復移動させることで瘢痕組織31を圧搾して尿道海綿体13を露出させることができる。
図12(A)には、変形例4に係る処置具140が示される。
図5に示した処置具100は刃部104が一つのみ設けられた構成であったが、この刃部は複数設けることも可能である。図12(A)に示すように、例えば、三つの刃部144a〜144cを設けることができる。各刃部144a〜144cを図示するように下方に向けて突出するように配置することで処置工程S12において陰茎綿面体26が損傷されるのを好適に防止することが可能になる。拡張変形部145の拡張により同時に三つの刃部144a〜144cを突出させることが可能になるため、処置工程S12を効率的に実施することが可能になる。シース143には、刃部と同数の三つの窓部141a〜141cが設けられる。刃部の数を三つ以上とすることも可能である。
図12(B)には、変形例5に係る処置具150が示される。
本変形例に示すように各刃部154a〜154cは拡張変形部155の周方向にそれぞれ均等な間隔を空けて配置してもよい。このように配置することにより瘢痕組織31に対する処置を効率的に実施することが可能になる。なお、この変形例においても刃部の数を三つ以上に設けることが可能である。刃部の数を増やすことで各切開部位における切開深度を浅くしても処置部40を形成することが可能となる。
図13(A)には、変形例6に係る処置具160が示される。
処置具160は、拡張変形可能なコイル165と、コイル165に取り付けた刃部164と、コイル165の基端部に取り付けられたシャフト165aと、窓部161が形成されたシース163を備える。
図5に示した処置具100においては拡張変形部105がバルーンにより構成されていたのに対して、本変形例に係る処置具160の拡張変形部165は拡張および収縮可能なコイル165により構成されている。コイル165は、例えば、コイル165に接続された所定の牽引部材166の押し引き操作や回転操作に連動させて拡張および収縮変形するように構成することができる。また、例えば、シース等を別途使用してコイル165を覆うことで変形操作を行うように構成してもよい。なお、外面に複数の鋭利な突起や刃が設けられたコイルにより処置具を構成してもよい。コイルの収縮−拡張を操作することにより、尿道10内への導入および尿道10内での処置を円滑に実施することが可能になる。また、コイルそのものが刃の役割を果たす構造としてもよい。
図13(B)には、変形例7に係る処置具170が示される。
処置具170は、瘢痕組織31を削ることが可能に構成された爪部174と、爪部174の基端側に配置された手元操作部175を備える。爪部174は、瘢痕組織31を引っ掛けて削ることが可能となるように、その先端部が湾曲した形状で構成されている。爪部174を瘢痕組織31に接触させた状態で瘢痕組織31の延在方向に沿って爪部174を往復移動させることで瘢痕組織31を削って尿道海綿体13を露出させることができる。爪部174の設置数は、三つに限定されることはなく、適宜変更することが可能である。
図13(C)には、変形例8に係る処置具180が示される。
処置具180は、らせん状の溝184aが形成されたドリル状の刃部184を備える。刃部184をその先端部から瘢痕組織31内に刺入して瘢痕組織31の延在方向に沿って往復移動させることで瘢痕組織31を削り取ることができる。
図14および図15には、変形例9に係る処置具190が示される。
処置具190は、拡張変形可能に構成された複数の刃部194a、194b、194cと、各刃部194a、194b、194cが取り付けられたシャフト195と、各刃部194a、194b、194cが進退移動可能に収容される内腔193aが形成された第1シース193と、各刃部194a、194b、194cを収容した状態の第1シース193が進退移動可能に収容される内腔197aが形成された第2シース197を備える。
図15(A)に示すように、各刃部194a〜194cは、シャフト195の中心軸側に折り畳み可能に構成されたアーム部198を介してシャフト195に取り付けられている。図14(A)、(B)に示すように、第1シース193の内腔193aに各刃部194a〜194cを収容すると、アーム部198が折り畳まれて各刃部194a〜194cがシャフト195の径方向の中心位置に互いに近接するように配置される。これにより、各刃部194a〜194cは、コンパクトに小型化された状態で第1シース193の内腔193aに収容される。図15(A)に示すように、第1シース193の内腔193aから各刃部194a〜194cを突出させると、折り畳まれていたアーム部198が開いて各刃部194a〜194cが拡張変形する。
アーム部198は、例えば、第1シース193の内腔193a内へ各刃部194a〜194cを円滑に収容することができ、かつ、第1シース193の内腔193aからの各刃部194a〜194cの突出に連動して円滑に開くように、弾性変形可能に加工された金属材料や樹脂材料で構成することができる。
各刃部194a〜194cは、第1シース193の内腔193a内に収容された状態で外形が円筒形状となるように構成されている。また、各刃部194a〜194cは、その外周縁(上下左右の各辺縁)に刃面199が形成されている。このため、各刃部194a〜194cを第1シース193の軸方向に押し引きする操作、および、各刃部194a〜194cを第1シース193の軸周りに回転させる操作を行うことで瘢痕組織31の切開および切削を行うことができる。
図14(A)に示すように、第1シース193の基端部およびシャフト195の基端部はそれぞれ、第2シース197の基端部に形成された開口部197bを介して、第2シース197の内腔197aの外部に配置される。第1シース193の基端部、シャフト195の基端部、第2のシース197の基端部をそれぞれ手元で操作することにより、各部材の進退移動や回転動作を行うことができる。
図14および図15を参照して、処置具190の使用例を説明する。
処置工程S12を実施するに際して、図14(A)に示すように、各刃部194a〜194cを第1シース193の内腔193aに収容し、第1シース193を第2シース197の内腔197aに収容する。この状態で尿道10内に処置具190を導入する。
図14(B)に示すように、瘢痕組織31の周辺まで処置具190を案内した後、各刃部194a〜194cを収容させた状態の第1シース193を第2シース197の内腔197aから突出させる。
図14(C)に示すように、瘢痕組織31に第1シース193の先端部を近付けて瘢痕組織31に対して位置決めした後、第1シース193の内腔193aから各刃部194a〜194cを突出させる。
図15(A)に示すように、第1シース193の内腔193aから突出した各刃部194a〜194cは拡張変形する。
図15(B)に示すように、各刃部194a〜194cを押し引きしたり、各刃部194a〜194cを回転させたりすることにより、瘢痕組織31を削って処置部40を形成することが可能になる。また、各刃部194a〜194cを第1シース193の内腔193aから突出させると、各刃部194a〜194cの刃面199が瘢痕組織31に刺入される。刺入された後に各刃部194a〜194cを瘢痕組織31の延在方向(図中の左右方向)に沿って移動させれば、瘢痕組織31を切り開いて処置部40を形成することができる。各刃部194a〜194cの拡張変形量は、アーム部198の弾性変形量により調整可能であるため、その変形量を予め調整しておくことにより、各刃部194a〜194cにより尿道海綿体13が必要以上に損傷されるのを防止することができる。
図15(C)に示すように、処置部40を形成した後、各刃部194a〜194cを第1シース193の内腔193aに収容する。各刃部194a〜194cを基端側に引き戻す操作で簡単に内腔193aに収容することができる。また、この際、切除された瘢痕組織31を各刃部194a〜194cの移動に伴わせて第1シース193内に収容することも可能である。これにより、瘢痕組織31が飛散するのを防止することができる。
図示により説明した各処置具は、処置工程S12において使用可能な器具の一例であり、その他の処置具を使用して処置工程S12を実施することも可能である。例えば、組織の切開や切除等に使用される公知のコールドナイフやレーザーメス等、刃部を備える拡張変形部としてステント等が使用された構造のもの、拡張変形部に備えられた刃部にヤスリのような研磨機能が備えられた構造のもの、カンナのように刃面を削り取るように構成されたものなどのように瘢痕組織31に対する所定の処置を経尿道的に行い得る種々の処置具を使用することが可能である。なお、処置工程S12は、各処置具を単独で使用して実施してもよいし、任意の複数の物を併用して実施してもよい。
次に、平滑化工程S11について説明する。
平滑化工程S11は、処置工程S12を円滑に行うことを可能にするために行われる。図3(A)、(B)に示すように、尿道内面11は、通常時は不規則に凹凸した面形状となる。また、尿道内面11に形成された瘢痕組織31の厚みにもばらつきがあるため、処置工程S12において尿道海綿体13に必要以上の深さで処置が行われてしまう可能性がある。平滑化工程S11を実施して、尿道内面11および瘢痕組織31を平滑に均すことで、処置深度の把握が容易となり、尿道海綿体13が必要以上の深さで処置されることを未然に防止することが可能になる。
図16(A)、(B)には、所定の平滑具300を使用して尿道内面11を平滑化した様子が示される。
平滑具300は、経尿道的に尿道10内に導入可能なステントにより構成されている。ステントとしては、例えば、自己拡張性を備えるように構成された公知のステントや、バルーンカテーテルにより拡張変形可能に構成された公知のステントなどを使用することが可能である。平滑具300は、尿道10の内径と略同一の外径または大きな外径を有する。
図16(A)に示すように、尿道10内に平滑具300を配置すると、尿道内面11が押し広げられる。その結果、図16(B)に示すように尿道内面11および尿道内面11近傍の尿道海綿体13が平滑化される。なお、図16(B)は、図16(A)に示す尿道内面11の一部を拡大して示す図である。
尿道内面11が平滑化された状態で処置工程S12を実施することにより、瘢痕組織31に対して適切な深さで切開等の処置を実施することが可能になる。なお、平滑具300には、瘢痕組織31において処置対象となる部位へのアクセスが可能となるように、所定の開口部等を備えさせることができる。
次に、平滑化工程S11において使用される平滑具の変形例を説明する。前述した平滑具300および以下に説明する各平滑具310、320は、それぞれ単独で使用することが可能であるし、任意の複数の物を併用することも可能である。
図17(A)には、変形例1に係る平滑具310の使用例が示される。
平滑具310は、尿道内面11を把持可能な把持部材(クリップ等)により構成されている。平滑具310により尿道内面11の一部を把持(つまむ)して尿道内面11全体に引っ張り力を付与することで尿道内面11が平滑化される。
図17(B)には、変形例2に係る平滑具320が示される。
平滑具320は、尿道10内に挿入可能なシースにより構成されている。平滑具320は、尿道10の内径と略同一の外径または大きな外径を有する。平滑具320を尿道10内に導入すると、尿道内面11が押し広げられて平滑化される。平滑具320には、平滑具320の軸方向に延在する内腔321と、内腔321内外を連通する窓部322が形成されている。平滑具320の内腔321に処置具100等を受容させることにより、平滑具320をガイディングデバイスとして使用してもよい。
図示により説明した各平滑具は一例であり、説明した各平滑具を使用した方法以外の方法で尿道内面11を平滑化することも可能である。例えば、バネ状のコイルで構成された平滑具を使用する方法、尿道10内に生理食塩水等の流体を供給して水圧により尿道内面11を平滑化させる方法、鉗子等により尿道内面11を把持して平滑化させる方法、尿道内面11を吸引具等により吸引して引っ張り力を付与して平滑化させる方法などを採用することが可能である。
次に、止血工程S14について説明する。
止血工程S14は、処置工程S12において行われた処置により処置部位に出血が生じた場合に行われる工程である。前述したように、処置工程S12では、瘢痕組織31を切開する作業や削る作業が行われるが、この際、尿道海綿体13に達する深さで処置を行う場合、尿道海綿体13内を走行する海綿体洞14を流れる血液の出血が生じ得る。仮に出血が生じた場合に一時的に止血を実施することで、生体に掛かる負荷の軽減を図ることができ、さらにその後の各工程を滞りなく実施することが可能になる。
図18(A)には、所定の止血具400を使用して止血を行う様子が示される。
止血具400は、血液を吸着可能な吸着部材により構成されている。吸着部材としては、例えば、コラーゲンスポンジを使用することができる。コラーゲンスポンジを使用する場合、上皮細胞を生着させる下地としても利用することが可能であるため処置部40での上皮細胞の生着を好適に促進することが可能になる。なお、止血具400は、例えば、血液を吸着する機能を備える多孔質部材や複数のファイバーからなる吸着材などによって構成することも可能である。
図18(B)には、変形例1に係る止血具410の使用例が示される。
止血具410は、尿道10内に挿入可能なシースにより構成されている。止血具410には、窓部411が形成されている。例えば、窓部411を介して所定の処置具を瘢痕組織31に近接して配置し、また窓部411を介して所定の撮像装置等により処置した箇所の状態や位置を確認することができる。図示するように、止血具410の窓部411以外の部位を出血した部位に押し付け圧着させることにより、一時的に出血を抑えることができる。
図19(A)には、変形例2に係る止血具420が示される。
止血具420は、尿道10内に挿入可能なシースにより構成されている。止血具420には、その軸周りの周方向に複数の窓部421が形成されている。この止血具420は、例えば、図12(B)に示す処置具150のように複数の刃部154a〜154cを備えるものと併用することができる。例えば、各窓部421から突出させた刃部154a〜154cにより切開を実施した後、止血具420を回転させて窓部421の位置を出血した部位からずらした後にシースを押し付ける方法や、他の部材等を使用して窓部421を閉じた後に出血した部位に対してシースを押し付ける方法などで止血を行うことができる。
図19(B)には、変形例3に係る止血具430が示される。
止血具430は、尿道10内に挿入可能なシースにより構成されている。シース430には、その基端側に窓部431が形成されている。本変形例に示すように、止血具として使用されるシースに形成する窓部は任意の位置に設けることが可能である。
各止血具410〜430は、例えば、前述した各処置具などと組み合わせて使用することが可能である。以下に、図14に示した処置具190と止血具420を組み合わせて使用する使用例を説明する。
図20(A)に示すように、止血具420は、処置具190の第2シース197と置き換えて使用される。図20(B)に示すように、処置具190により瘢痕組織31を処置して処置部40を形成した後、処置具190の各刃部194a〜194cを第1シース193の内腔193aに収容させる。そして、処置具190による処置を行った際に、仮に出血が生じた場合には、図20(C)に示すように、止血具420の窓部421以外の部位を出血が生じた部位に押し付けて止血を行う。このように各処置具と各止血具とを組み合わせて使用することにより、尿道狭窄症の治療をより一層効率よく行うことが可能になる。
図示により説明した各止血具は一例であり、説明した各止血具を使用した方法以外の方法で止血行うことも可能である。例えば、拡張変形可能なバルーンなどを使用して止血部分を抑えて止血する方法、尿道内面11の形状に追従して変形可能な弾性チューブなどを使用して止血する方法、止血した部位の周辺の組織を吸引等により圧着して出血を抑える方法などが挙げられる。
次に、導入工程S15および保護工程S16について説明する。
図26に示すように、導入工程S15は、所定の保護具500を経尿道的に尿道10内へ導入する工程である。また、保護工程S16は、尿道10内に導入した保護具500を使用して処置部40に上皮機能を提供する工程である。前述したように、従来の尿道狭窄症の治療方法では、瘢痕組織31を切開や切除した後にその処置部位が尿等の液体に晒されることで、瘢痕組織31が肥厚して、尿道狭窄症が再発することが課題とされている。本実施形態に係る治療方法では、処置部40を形成した後、保護具500を使用して処置部40を液体(尿や炎症惹起成分)、その他の生体内分泌物、雑菌等から保護する。なお、「保護具による上皮機能の提供」とは、例えば、後述するように口腔粘膜(上皮)を使用して上皮細胞を再建や生着させること、処置部40への液体等の接触を防止すること等が含まれる。
尿道10内において処置部40を保護するためには、断面積が限られた尿道10を経由して処置部40まで保護具を案内する必要があるため、尿道10内を移動可能な大きさ・形状等に変形(形状付け)可能なものが保護具として使用されることが好ましい。また、保護具には、処置部40を保護することを可能にするために、処置部40に液体等が接触することを防止する機能が少なくとも備えられる。このような観点より、本実施形態においては、生体から採取した上皮をシート状に加工したものを保護具500として使用している。上皮としては、生体のいずれの部位から採取したものでもよいが、好ましくは、口腔粘膜である。口腔粘膜は、上皮細胞を含み、処置部40での上皮細胞の生着により上皮機能の提供(供与・獲得)を実現する。持続的に尿の浸潤を防止する上皮細胞(尿道粘膜)が形成されることにより、処置部40を尿等の液体から保護することが可能になる。
保護具500には、折り畳みや巻回された形状から平面状に展開した形状に可逆的に変形し得るように可撓性が備えられることが好ましい。また、保護具500の外形形状、各部の寸法(大きさ、厚み等)は、処置部40の大さきなどを考慮して任意に形成することができる。
本実施形態に係る導入工程S15は、具体的には、尿道10内へ導入可能な第1の形状に形状付けした保護具500を経尿道的に尿道10内へ導入し、瘢痕組織31を処置することにより形成された処置部40に保護具500を配置することを含む。
導入工程S15で使用される導入具600を説明する。
図21(A)〜(C)に示すように、導入具600は、軸方向に伸びた棒状の本体部601と、本体部601から径方向の外方へ突設された複数の保持部602と、本体部601の先端に設けられた先端保護部603と、本体部601からの保持部602の突出量を調整するために設けられた調整部604を備える。
図22(A)、(B)に示すように、本体部601は、保護具500が巻き付けて配置される部分である。本体部601に設けられた保持部602は、本体部601に巻き付けられた保護具500を引っ掛けて保持する部分である。保持部602に保護具500を引っ掛けることで、導入具600から保護具500が脱落するのを防止することができる。
調整部604は、回転操作や押し引き操作により、保持部602の突出量を調整するように構成されている。図示省略するが、調整部604は、本体部601の内部で保持部604に連結されている。図21(C)に示すように、調整部604を回転させると、その回転操作に伴って保持部602が本体部601内へ引き込まれる。また、調整部604を引っ張ると、その引っ張る操作に伴って保持部602が本体部601内へ引き込まれる。保持部602の突出量を調整することにより、本体部601から保持部602が過度に突出されるのを防止でき、導入具600の使用時に尿道10が損傷されるのを防止することが可能になる。
保護具500は、例えば、図22(B)に示すように導入具600の本体部601に巻き付けた状態で経尿道的に尿道10内に導入される。導入具600を使用することにより、細径化された断面形状となるように保護具500を形状付けした状態で導入工程S15を行うことが可能になる。本体部601に設けられた先端保護部603は、保護具500を尿道10内に導入する際に、保護具500が尿道内面11などに接触して脱落するのを防止する。
図26(A)には、導入具600を使用して保護具500を尿道10内に導入した際の様子が示される。なお、導入工程S15を実施する前には、前述した手順により導入具600に保護具500を離脱可能に装着する準備工程が行われる。
準備工程では導入具600の本体部601に保護具500を巻き付ける作業が行われる。準備工程を終えた後、尿道10内へ導入具600とともに保護具500を導入する。処置部40付近へ保護具500を移動させた後、保護具500を平面状に展開させる。展開する方法としては、例えば、導入具600に保護具500を巻き付けた際の方向と反対方向に導入具600を回転させて巻き戻す方法や、鉗子等を使用して導入具600から保護具500を取り外す方法を採用することができる。図26(B)に示すように、保護具500を展開させた後、処置部40を保護具500で覆う。前述したように保護具500が上皮(口腔粘膜等)で構成されている場合、処置部40での上皮細胞の生着により上皮機能の提供が実現される。保護具500を処置部40に配置することにより、導入工程S15に引き続いて上皮機能を提供する保護工程S16が実施される。保護具500を処置部40に配置した後、保護具500の不要な部分は切除して尿道10外部へ取り出してもよい。
図23(A)、(B)には、変形例1に係る導入具610の使用例が示される。
導入具610は、第1の導入具611および第2の導入具612の二つの導入具により構成されている。各導入具611、612は、前述した導入具600と構成が略同一であるため、説明は省略する。図23(A)に示すように、保護具500の両側端部にそれぞれ第1の導入具611および第2の導入具612を配置し、図23(B)に示すように保護具500を巻き取るように各導入具611、612を操作することで、簡単かつ迅速に保護具500を導入具600に装着させることが可能となる。
図24(A)〜(C)には、変形例2に係る導入具620および導入具620とともに使用される可撓性のシート621の使用例が示される。なお、図24(C)は、図24(B)に示す24C−24C線に沿う断面図である。
可撓性のシート621は、保護具500を展開する際に、その展開を補助するために使用される。前述したように、保護具500は尿道10内に導入された後、処置部40を覆うことができるように展開される。この際、保護具500にコシが足りないと保護具500が十分に展開せず、処置部40を覆うことが困難になる。尿道10内において円滑に展開し得る性質(弾性等)を備える可撓性のシート621を保護具500とともに導入具620に巻き付けておくことにより、可撓性のシート621が展開する力で保護具500の展開をアシストすることが可能になる。なお、可撓性のシート621の材質、形状、厚み等は、保護具500の展開をアシストし得る限りにおいて特に限定されない。また、保護具500および可撓性のシート621のいずれを内側(外側)に配置するかも限定されないが、保護具500が上皮(口腔粘膜等)により構成されている場合には、保護具500が可撓性のシート621の外側に配置されることが好ましい。
図25(A)〜(C)には、変形例3に係る導入具630の使用例が示される。
導入具630は、軸直交方向の断面が三角形に形成された本体部631と、本体部631の内部に配置され、拡張および収縮可能に構成された変形部632と、変形部632の変形を操作するための変形操作部633を備える。図25(B)は、縮小変形させる前の導入具630の軸直交方向に沿う断面を示す図、図25(C)は、縮小変形させた際の導入具630の軸直交方向に沿う断面を示す図である。
変形部632は、本体部631に張設されたワイヤーによって構成されている。また、変形操作部633は、本体部631の内部に受容された回転操作および押し引き操作可能な棒状の部材によって構成されている。各変形部632は、本体部631の内部で変形操作部633に固定されており、変形操作部633を回転させると、その回転操作に伴って変形操作部633に巻き付いて、図25(C)に示すように本体部631を縮小させる。また、変形操作部633を引っ張ると、その引っ張る操作に伴って各変形部632とともに本体部631が引っ張られて縮小する。この導入具630によれば、よりコンパクトに縮小した状態で導入工程S15を行うことが可能になるため、簡単かつ迅速に作業を進めることが可能になる。なお、例えば、傘のように、縮小した形状から本体部631をさらに円周状に丸める等してよりコンパクトな形状に変形可能に構成することも可能である。
図27(A)には、変形例4に係る導入具640が示される。
導入具640は、巻回した保護具500を把持することにより、保護具500を巻回した形状に維持するクリップにより構成されている。このような導入具640を使用する場合においても、保護具500を円滑に尿道10内へ導入することが可能になる。尿道10内へ導入した後は、導入具640による保護具500の把持を解除することで処置部40を覆う形状に展開させることができる。また、尿道10内への導入作業等を手元の操作で行い易くするようにクリップ部分から手元側へ伸びる手元操作部641を設けてもよい。
図27(B)には、変形例5に係る導入具650が示される。
導入具650は、複数の吸引孔651が形成された本体部652と、本体部652の基端側に設けられ、所定の吸引デバイスと連結−分離可能に構成されたポート653を備える。本体部652の内部は、各吸引孔651に連通する内腔が形成されている。外部装置である吸引具を使用して本体部652の内腔内の空気を吸引すると、吸引孔651の外表面に配置された保護具500に対して吸引力を作用させることができる。これにより、図示するように巻回した状態で保護具500が保持される。また、保持した状態で尿道10内に導入し、導入後に吸引を解除することで保護具500を簡単に展開させることが可能になる。
図28(A)には、変形例6に係る導入具660が示される。
導入具660は、開口した窓部661が形成された本体部662と本体部662の先端に着脱可能に構成された先端保護部663を備える。本体部662内には、巻回等により形状付けされた保護具500を窓部661を介して収容させることができる。本体部662内に保護具500を収容させることにより、保護具500が不用意に展開することを防止することが可能になる。先端保護部663は、導入具660を尿道10内に導入して移動させる際に摺動抵抗を軽減して移動を円滑に行うことを可能にする。
図28(B)には、変形例7に係る導入具670が示される。
導入具670は、開口した窓部671が形成された本体部672と窓部671を開閉するために設けられたスライドドア673を備える。本体部672内には、巻回等により形状付けされた保護具500を窓部671を介して収容させることができる。また、スライドドア673を本体部672の軸方向に沿って移動させることにより、窓部671を開閉させることができる。尿道10内へ保護具500を導入する際に窓部671を閉じた状態とすることにより、保護具500が不用意に展開するのを防止することが可能になる。
図28(C)には、変形例8に係る導入具680が示される。
導入具680は、先端側の上部半分が取り除かれて形成された開口部681を有する本体部682と蓋部材683を備える。蓋部材683は、例えば、本体部682に対して嵌合等により着脱自在に構成される。本体部683内には、開口部681を介して巻回等により形状付けされた保護具500を収容させることができる。また、蓋部材683を本体部682に取り付けることにより開口部681を閉じることができる。尿道10内へ保護具500を導入する際に開口部681を閉じた状態とすることにより、保護具500が不用意に展開するのを防止することが可能になる。
図示により説明した各導入具は一例であり、説明した各導入具を使用した方法以外の方法で保護具の導入を実施することも可能である。例えば、医療分野において公知であるバルーンカテーテル(例えば、卵管鏡下卵管形成術に使用されるバルーンカテーテル)のバルーンを縮小した状態にしてその外表面に保護具500を取り付けた状態で導入を行う方法、簡便な柱状部材(多角柱、円柱等)の外周面に保護具500を取り付けた状態で導入を行う方法、ガイドワイヤーや鉗子等を使用して保護具500の導入を行う方法などが挙げられる。また、各導入具にシート状の保護具500を取り付ける(固定を含む)作業は、所定の作業台上に導入具を載置して、導入具の上から保護具500を被せる手順で行ってもよいし、保護具500を作業台に載置して、保護具500上に配置した導入具を回転操作等する手順で行ってもよい。また、導入時の保護具500の形状は、尿道10内を移動可能な形状であればよく、例えば、折り畳んだ形状や丸めた形状でもよい。
また、導入工程S15において内視鏡等の撮像装置を使用することも可能である。この場合、撮像装置のワーキングチャネルを介して保護具500の導入を行ってもよい。また、ワーキングチャネル内を移動させている間に導入具から保護具500が脱落したり、保護具500が変形したりすることがないように、図28(A)〜(C)などに示される導入具を併用することが好ましい。また、内視鏡に保護具500を取り付けることにより内視鏡自体を導入具として使用することも可能である。この場合、尿道10内に内視鏡を導入する際に保護具500が不用意に脱落したり展開したりしないように、図28(A)に示す先端保護部(ヘッドカバー)などを内視鏡に装着させることが好ましい。また、保護具500を処置部40に配置する際に、例えば、目盛り等が付された計測器具を使用して位置決め作業を行ってもよい。また、処置工程S12により出血等が生じて保護具500を処置部40に位置決めすることが困難な場合には、尿道10内を吸引や潅流して視野を確保する作業を行ってもよい。
また、保護具として上皮を使用した例を説明したが、保護具は上皮のみに限定されず、処置部40に液体(尿等)が接触することを防止する機能を備えた各種のものを使用することができる。例えば、医療分野において公知の尿道カテーテルのバルーンにより処置部40を覆うことで保護をしたり、処置部40を覆うように配置することが可能なシースや弾性チューブ、液体非浸潤性の膜材等が被覆されたステント等を保護具として使用して所定の期間に亘って処置部40を保護して上皮機能を確保したりすることも可能である。例えば、ワセリン等の疎水性基材、ウレタンやシリコーン素材により形成されたシール材、パッチ等を使用してもよい。これらを使用することにより、処置部40に液体(尿等)が接触することを防止することができる。
また、保護具自体が上皮細胞を生着させる機能を備えないものである場合には、上皮細胞の再生を誘導、支援する生体適合性材料の使用、上皮細胞が定着や担持された所定の部材(パッチやシート材等)を保護具とともに使用して上皮機能の提供(供与・獲得)を図ることが好ましい。
次に、維持工程S17について説明する。
処置部40を液体から保護した状態や上皮(保護具500)を処置部40に接触させた状態を所定の期間に亘って維持すると、処置部40での上皮細胞(尿道粘膜)の再建が好適に促進される。しかしながら、処置部40に上皮等を一旦配置した後に、位置ずれ等により上皮が処置部40から離れてしまい、両者の接触状態が維持されなくなってしまうと、上皮細胞が再建され得ないことも起こり得る。維持工程S17は、尿道10内に導入した上皮と処置部40の接触状態を維持することにより、上皮細胞の再建性を向上させるために実施される。
本実施形態に係る維持工程S17は、具体的には、経尿道的に尿道10内に導入した所定の維持手段により処置部40に上皮(保護具500)の少なくとも一部が接触した状態(位置決めされた状態)を維持することを含む。なお、処置部40に上皮500が接触する量(接触面積)は、処置部40に接触することにより、処置部40で上皮が生着可能となり得る限りにおいて特に限定されない。
維持工程S17で使用される維持手段を説明する。
図29(A)には、維持手段700により維持工程S17を実施している様子が示される。
維持手段700は、尿道10内で拡張変形するように構成された中空形状のステントで構成されている。維持手段700は、処置部40に接触する位置に配置された保護具500の内側に配置されている。維持手段700は、保護具500に対して拡張圧を付与する。保護具500が処置部40に対して押し付けられることで保護具500と処置部40の接触状態が好適に維持される。
図29(B)には、変形例1に係る維持手段710が示される。
維持手段710は、尿道10内に導入可能な鉗子により構成されている。維持手段710により保護具500を処置部40に対して押し付けることにより、保護具500と処置部40との接触状態が好適に維持される。
図30(A)には、処置工程S12により瘢痕組織31が部分的に切開された尿道10の断面が示される。図30(B)には、変形例2に係る維持手段720が示される。維持手段720を使用する場合、導入工程S15は、瘢痕組織31を切開して形成された切り込み部33に保護具500を配置する工程を含み得る。
維持手段720は、尿道10内において拡張可能に構成されたステント721とステント721とともに使用される所定の支持具722を備える。ステント721は、拡張変形に伴って保護具500を処置部40へ押し付けて、保護具500と処置部40との接触状態を維持する。尿道10は、ステント721の拡張圧を受けて径方向に押し広げられる。支持具722は、例えば、ステント722と保護具500の間に隙間が生じる場合に、その隙間を埋めるように配置される。支持具722を配置することにより、ステント722の拡張圧を保護具500に十分に作用させて保護具500に位置ずれが生じることを防止できる。維持手段720と保護具500との間に隙間が生じない場合には支持具722の使用は省略することが可能である。なお、ステント722に代えて、例えば、尿道10の内径と同程度の外径もしくは少し大きな外径を備える弾性チューブなどを使用して保護具500の位置ずれを防止してもよい。
図31には、変形例3に係る維持手段730が示される。この維持手段730を使用する場合、維持工程S17は、尿道内面11の周方向の複数の異なる位置に対して保護具500を押し付けることにより保護具500の少なくとも一部を処置部40に接触させる工程を含み得る。
維持手段730は、エンボス731が形成されたステントにより構成されている。維持手段730の拡張圧により保護具500を処置部40に押し付けることが可能になるため、保護具500と処置部40との接触状態を好適に維持することができる。維持手段730を構成するステントの外周部分には複数のエンボス731が形成されているため、尿道内面11の全周に圧力が付与されるのを防止できる。ステントの使用による血流の阻害を招くことがないため、虚血状態となることを防止できる。エンボス731の形状や個数は図示したものに限定されず、適宜変更することが可能である。また、弾性変形可能なチューブにエンボスを形成したものや拡張−収縮可能に構成されたバルーンにエンボス731と同様の機能を備える凹凸部を形成したものを維持手段として使用することも可能である。
図32(A)、(B)には、変形例4に係る維持手段740が示される。この維持手段740を使用する場合、維持工程S17は、処置部40に対して保護具500を押し付ける第1の押し付け力を付与する第1の押し付け工程と、第1の押し付け工程の後に、第1の押し付け力よりも小さな押し付け力で処置部40に対して保護具500を押し付ける第2の押し付け工程を含み得る。
維持手段740は、拡張および収縮変形可能な中空状のバルーンによって構成されている。図32(A)に示すように、維持手段740を尿道10内で拡張させることにより、保護具500を処置部40に押し付けて両者を接触させることができる。また、上皮細胞の生着がある程度まで進行した後、図31(B)に示すように、維持手段740を収縮させて保護具500に作用する押し付け力を弱めることにより、尿道内面11に対して過剰な圧力が付与されることを防止でき、虚血状態となることを防止できる。維持手段740としては、例えば、尿道バルーンカテーテルのバルーンなどを使用することが可能である。各押し付け力は、処置部40での上皮細胞の生着の進行具合などを考慮して任意に設定することが可能である。また、二段階以上で押し付け力を調整することも可能である。
図33には、図30(B)に示した支持具722の変形例が示される。
変形例に係る支持具722bは、窓部725が形成されたシース726と、窓部725から突出するように変形可能に構成されたワイヤー727を備える。ワイヤー727は、窓部725から突出される部分が予め湾曲するように形状付けされている。ワイヤー727の基端部を押し引きする操作を行うことで、窓部725からのワイヤー727突出と、シース726内へワイヤー727の格納を行うことが可能になっている。前述したように、尿道10内に導入したステントやチューブなどと保護具500との間に隙間が形成される場合には、隙間に支持具722bの窓部725を位置合わせした後、ワイヤー727を窓部725から突出させて保護具500に押し付けることにより保護具500に位置ずれが生じることを防止できる。
図34(A)には、変形例5に係る維持手段750が示される。図示例では、尿道10内を潅流して尿道10を拡張させた状態の断面が示される。
維持手段750は、保護具500を固定するリベットにより構成されている。維持手段750を使用することにより保護具500の位置ずれを防止することができ、保護具500と処置部40との接触状態を好適に維持することが可能になる。なお、維持手段750により保護具500を固定する部位は、尿道海綿体13でもよいし、瘢痕組織31でもよい。
図34(B)には、変形例6に係る維持手段760が示される。図示例では、尿道10内を潅流して尿道10を拡張させた状態の断面が示される。
維持手段760は、保護具500を縫い付ける縫合糸により構成されている。維持手段760を使用することにより保護具500の位置ずれを防止することができ、保護具500と処置部40との接触状態を好適に維持することが可能になる。縫合の縫い目等は、保護具500を固定させることが可能な限りにおいて特に限定されない。なお、維持手段760により保護具500を固定する部位は、尿道海綿体13でもよいし、瘢痕組織31でもよい。
図35(A)には、変形例7に係る維持手段770が示される。図示例では、尿道10内を潅流して尿道10を拡張させた状態の断面が示される。
維持手段770は、保護具500を瘢痕組織31等に固定する生体適合性の接着剤により構成されている。維持手段770を保護具500の表面に塗布して、保護具500を瘢痕組織31に固定させることにより保護具500の位置ずれを防止することができ、保護具500と処置部40との接触状態を好適に維持することが可能になる。接着剤には、例えば、フィブリン等を主成分としたものを使用することが可能である。また、例えば、疎水性の薬剤やワセリン等の基材、ウレタンやシリコーン素材により形成されたシール材、パッチ等を使用してもよい。これらを使用することにより、保護具500を固定しつつ処置部40の保護を実施することが可能となる。
図35(B)には、変形例8に係る維持手段780が示される。図示例では、尿道10内を潅流して尿道10を拡張させた状態の断面が示される。
維持手段780は、保護具500を固定するステープラーにより構成されている。維持手段780を使用することにより保護具500の位置ずれを防止することができ、保護具500と処置部40との接触状態を好適に維持することが可能になる。なお、維持手段780により保護具500を固定する部位は、尿道海綿体13でもよいし、瘢痕組織31でもよい。
図36には、変形例9に係る維持手段810が示される。
維持手段810は、陰茎21を覆う弾性部材811と保護具500を支持するように尿道10内に配置される支持手段812を備える。弾性部材811により陰茎21の外部から押しつけ力を付与しつつ、支持手段812により尿道10内から保護具500を支持することで、保護具500と処置部40との接触状態を好適に維持することが可能になる。なお、支持手段812には柱状の簡便な部材により構成しているが、例えば、バルーン、ステント、弾性チューブ、シース等を使用してもよい。
図37(A)、(B)には、変形例10に係る維持手段820が示される。図37(B)は、図37(A)に示す37B−37B線に沿う断面図である。
維持手段820は、軸方向に間隔を空けて配置された第1バルーン821aおよび第2バルーン821bと、各バルーン821a、821bに連通する第1ルーメン822および尿等の液体が流通可能な第2ルーメン823が設けられた本体部824と、各バルーン821a、821bへ圧送する加圧媒体を供給するための所定のチューブが連結可能に構成されたポート825が設けられたハブ826と、尿等の液体を第2ルーメン823へ誘導するテーパー形状に形成された誘導部827を備える。
図37を参照して、維持手段820の使用例を説明する。
第1バルーン821aは、第2バルーン821bの先端側において尿等の液体を堰き止めて処置部40に液体が接触することを防止する。尿等の液体は、先端に設けられた誘導部827により本体部824内に設けられた第2ルーメン823へ案内された後、生体外部へ排出される。第2バルーン821bは、処置部40の周辺で拡張して、その拡張圧により保護具500を処置部40に押さえ付ける。保護具500の移動が防止されるため、保護具500と処置部40との接触状態を好適に維持することが可能になる。
図示により説明した各維持手段は一例であり、説明した各維持手段を使用した方法以外の方法で維持工程S17を実施することも可能である。例えば、時間経過に伴い外径や硬さなど変化するように形成された形状記憶ステントや形状記憶チューブを使用することが可能である。導入直後には比較的高い圧力で保護具と処置部との接触状態を維持した後、経時的に圧力を減少させるように構成することで虚血状態になることを防止できる。また、その他の例として、加圧媒体を経時的に放出して体積を経時的に減少させるマイクロポーラスが形成されたバルーン、体温の変化(体温の降下)に応じて硬度が軟化する拡張体、外部からの操作で加圧媒体を放出可能に構成されたバルーン、外部から水等の温度調整媒体を供給すると軟化する素材が使用されたバルーン、外部から水等の温度調整媒体を供給すると軟化する形状や粗密度が変化するように構成されたメッシュ状部材やコイル、外部からの操作で伸縮可能に構成されたステント等を使用することも可能である。なお、維持工程S17は、一つの維持手段を単独で使用して実施することが可能であるし、任意の複数の維持手段を併用して実施することも可能である。また、保護具500にシート状の上皮等以外のもの(例えば、バルーン等の処置部40への液体の接触を防止する器具や部材等であって、処置部40から位置ずれする可能性が低いもの)を使用する場合、維持工程S17の実施は適宜省略することができる。
以上説明した各工程S11〜S17を実施することにより、処置部40に上皮機能を提供することができ、尿道狭窄症が再発するのを好適に防止することが可能になる。保護部500は尿道10内において所定の期間に亘って留置され、例えば、処置部40での上皮細胞の再建が確認された後に尿道10内から経尿道的に取り出すことができる。なお、尿道10内を流れる尿等によって各工程の実施が阻害されないように公知の膀胱留置型バルーンを備える尿道カテーテルを使用して排尿作業を連続的にまたは断続的に実施することも可能である。
本実施形態に係る尿道狭窄症の治療方法によれば、瘢痕組織31を処置することにより形成された処置部40を所定の保護具500により保護して処置部40に上皮機能を提供することにより瘢痕組織31の肥厚に伴う再狭窄の発生を抑制することが可能になる。そして、経尿道的に尿道10内に導入可能に構成され、かつ、尿道10内において処置部40を保護し得る形状に変形可能に構成された保護具500を使用して処置部40の保護を行うため、患者に掛かる負担を大幅に軽減した低侵襲な手技を実現することが可能になる。
また、保護工程S16が、処置部40での上皮細胞の生着を補助する工程を含む場合、より一層好適に再狭窄の発生を抑制することが可能になる。
また、保護具500が液体非浸潤性を備え、かつ、第1の形状と第1の形状から展開された第2の形状に可逆的に変形可能に構成されたシートを含み、さらに、導入工程S15の前に、尿道10内を移動可能に構成された導入具600にシートを離脱可能に装着する準備工程を有する場合、尿道10内への保護具500の導入および保護具500による処置部40の保護をより簡単な作業で行うことが可能になるとともに、処置部40を好適に保護することが可能になる。
また、準備工程が、導入具600が備える棒状の本体部601にシートを巻き付ける工程を含む場合、シートを巻き付ける簡単な作業で導入具600に保護具500を装着させることが可能になるため、保護具500の導入に要する手間を軽減することが可能になる。
また、処置工程S12が、瘢痕組織31を削る工程を含む場合、処置部40の形成を経尿道的に簡単かつ迅速に行うことが可能になる。
また、シートが、生体から採取した上皮からなる場合、シートを使用して生着部40に上皮細胞を生着させることが可能になるため、再狭窄の発生をより確実に防止することが可能になる。
また、経尿道的に尿道10内に導入した維持手段700により処置部40に対して保護具500が位置決めされた状態を維持する維持工程S17をさらに有する場合、処置部40を安定的に保護することが可能になる。
実施形態を通じて本発明に係る尿道狭窄症の治療方法を説明したが、本発明は実施形態により説明された内容のみに限定されず、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜改変することが可能である。
上述した実施形態では、各工程S11〜S17を実施した方法を説明したが、再狭窄による尿道狭窄症の再発を抑制するためには、導入工程S15および保護工程S16を少なくとも実施すればよく、他の工程の実施は適宜省略することが可能である。
実施形態において説明した治療方法は、患者の性別に関係なく適用することが可能である。また、尿道であれば、いずれの部位(例えば、外尿道口側の部位や前立腺側の部位)に対しても適用することが可能である。
10 尿道、
11 尿道内面、
12 尿道粘膜、
13 尿道海綿体、
21 陰茎、
26 陰茎海綿体、
30 狭窄部位、
31 瘢痕組織、
33 切り込み部分、
40 処置部、
100、110、120、130、140、150、160、170、180、190 処置具、
200 診断具、
300、310、320 平滑具、
400、410、420、430 止血具、
500 保護具(上皮)、
600、610、620、630、640、650、660、670、680 導入具、
700、710、720、730、740、750、760、770、780、810、820 維持手段。

Claims (6)

  1. 尿道内へ導入可能な第1の形状に形状付けした保護具を経尿道的に前記尿道内へ導入し、瘢痕組織を処置することにより形成された処置部に前記保護具を配置する導入工程と、
    前記保護具を前記第1の形状から前記処置部を保護可能な第2の形状へ変形させて前記処置部を保護する保護工程と、を有する尿道狭窄症の治療方法。
  2. 前記保護工程は、前記処置部での上皮細胞の生着を補助する工程を含む請求項1に記載の尿道狭窄症の治療方法。
  3. 前記保護具は、液体非浸潤性を備え、かつ、前記第1の形状と前記第1の形状から展開された前記第2の形状に可逆的に変形可能に構成されたシートを含み、
    前記導入工程の前に、前記尿道内を移動可能に構成された導入具に前記シートを離脱可能に装着する準備工程をさらに有する請求項1または請求項2に記載の尿道狭窄症の治療方法。
  4. 前記準備工程は、前記導入具が備える棒状の本体部に前記シートを巻き付ける工程を含む請求項3に記載の尿道狭窄症の治療方法。
  5. 前記シートは、生体から採取した上皮からなる請求項3または請求項4に記載の尿道狭窄症の治療方法。
  6. 経尿道的に前記尿道内に導入した維持手段により前記処置部に対して前記保護具が位置決めされた状態を維持する維持工程をさらに含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の尿道狭窄症の治療方法。
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