JP2015143074A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、制御装置にて制御される。制御装置は、電動モータの駆動を制御するために、先ず、操舵トルクや車速などに応じて電動モータに供給する目標電流を設定する。そして、設定した目標電流と実際に電動モータに流れる実電流とを一致させるべく、目標電流と実電流との偏差がゼロになるように、フィードバック制御を行う。
本発明は、シミー現象に起因するステアリングホイールの振動を抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
また、前記抑制電流決定手段は、前記変化量に基づいて前記抑制電流のベースとなる抑制ベース電流を算出するとともに、当該抑制ベース電流を補正する補正係数を決定し、当該抑制ベース電流と当該補正係数とに基づいて当該抑制電流を決定してもよい。
また、前記抑制電流決定手段は、前記検出トルク、前記モータの回転速度、前記車両の移動速度の少なくともいずれかに基づいて前記補正係数を決定してもよい。
図1は、実施の形態に係る電動パワーステアリング装置100の概略構成を示す図である。
電動パワーステアリング装置100(以下、単に「ステアリング装置100」と称する場合もある。)は、車両の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施の形態においては車両の一例としての自動車1に適用した構成を例示している。
図2は、制御装置10の概略構成図である。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等からなる算術論理演算回路である。
制御装置10には、上述したトルクセンサ109にて検出された検出トルクTが出力信号に変換されたトルク信号Tdと、車速センサ170にて検出された車速Vcが出力信号に変換された車速信号vなどが入力される。
また、制御装置10は、電動モータ110の回転速度Nmを算出するモータ回転速度算出部70を備えている。モータ回転速度算出部70は、3相ブラシレスモータである電動モータ110の回転子(ロータ)の回転位置を検出するレゾルバからの出力信号を基に電動モータ110の回転速度Nmを算出し、その回転速度Nmが出力信号に変換された回転速度信号Nmsを出力する。
図3は、目標電流算出部20の概略構成図である。
目標電流算出部20は、目標電流Itを設定する上で基準となるベース電流Ibを算出するベース電流算出手段の一例としてのベース電流算出部21と、電動モータ110の慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流Isを算出するイナーシャ補償電流算出部22と、電動モータ110の回転を制限するダンパー補償電流Idを算出するダンパー補償電流算出部23とを備えている。また、目標電流算出部20は、ベース電流算出部21、イナーシャ補償電流算出部22、ダンパー補償電流算出部23にて算出された値に基づいて仮の目標電流である仮目標電流Itfを決定する仮目標電流決定部25を備えている。また、目標電流算出部20は、トルクセンサ109にて検出された検出トルクTの位相を補償する位相補償部26を備えている。また、目標電流算出部20は、シミー現象に起因するステアリングホイールの回転方向の振動を抑制する電流である抑制電流の一例としてのシミー補償電流Irを算出するシミー補償電流算出部27と、仮目標電流決定部25にて決定された仮目標電流Itfおよびシミー補償電流算出部27にて算出されたシミー補償電流Irに基づいて最終的に目標電流Itを決定する最終目標電流決定部28と、を備えている。
なお、目標電流算出部20には、トルク信号Td、車速信号v、回転速度信号Nms、などが入力される。
ベース電流算出部21は、位相補償部26にてトルク信号Tdが位相補償されたトルク信号Tsと、車速センサ170からの車速信号vとに基づいてベース電流Ibを算出する。つまり、ベース電流算出部21は、位相補償された検出トルクTと、車速Vcとに応じたベース電流Ibを算出する。なお、ベース電流算出部21は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、位相補償された検出トルクT(トルク信号Ts)および車速Vc(車速信号v)とベース電流Ibとの対応を示す図4に例示した制御マップに、検出トルクT(トルク信号Ts)および車速Vc(車速信号v)を代入することによりベース電流Ibを算出する。
シミー補償電流算出部27については後で詳述する。
図5は、制御部30の概略構成図である。
制御部30は、図5に示すように、電動モータ110の作動を制御するモータ駆動制御部31と、電動モータ110を駆動させるモータ駆動部32と、電動モータ110に実際に流れる実電流Imを検出するモータ電流検出部33とを有している。
モータ駆動制御部31は、目標電流算出部20にて最終的に決定された目標電流Itと、モータ電流検出部33にて検出された電動モータ110へ供給される実電流Imとの偏差に基づいてフィードバック制御を行うフィードバック(F/B)制御部40と、電動モータ110をPWM駆動するためのPWM(パルス幅変調)信号を生成するPWM信号生成部60とを有している。
PWM信号生成部60は、フィードバック制御部40からの出力値に基づいて電動モータ110をPWM(パルス幅変調)駆動するためのPWM信号を生成し、生成したPWM信号を出力する。
モータ電流検出部33は、モータ駆動部32に接続されたシャント抵抗の両端に生じる電圧から電動モータ110に流れる実電流Imの値を検出する。
シミー現象が発生した場合には、前輪150から、ラック軸105、ピニオンシャフト106、ステアリングシャフト102などを介してステアリングホイール101に振動が伝わる。
シミー補償電流算出部27は、このシミー現象に起因してステアリングホイール101に伝わる振動を電動モータ110にて打ち消すための電流であるシミー補償電流Irを算出する。つまり、シミー補償電流Irは、シミー現象に起因して、前輪150、ラック軸105などを介してピニオンシャフト106に伝達される回転トルクとは逆方向の回転トルクを加えるように電動モータ110が駆動するための電流である。
シミー補償電流算出部27は、トルクセンサ109による検出トルクTのうち所定範囲の周波数帯域の成分を抽出する抽出手段の一例としてのシミー周期抽出処理部271と、シミー周期抽出処理部271にて抽出された検出トルクと逆位相となるトルク変化量を演算する演算手段の一例としてのトルク変化量演算処理部272と、を備えている。また、シミー補償電流算出部27は、トルク変化量演算処理部272にて演算されたトルク変化量に基づいてシミー補償電流Irのベースとなるシミー補償ベース電流Irbを算出する抑制電流決定手段の一例としてのシミー補償ベース電流算出部273と、操舵フィーリングの悪化を抑制するフィール悪化抑制処理部274と、を備えている。
シミー周期抽出処理部271は、トルクセンサ109からのトルク信号Tdのうちで、予め定められた所定範囲の周波数帯域の信号のみを通し、他の周波数の信号は通さない(減衰させる)ことで、シミー現象に起因する振動の周波数の信号を抽出する。シミー周期抽出処理部271は、図7に示した特性のバンドパスフィルタを有することを例示することができる。バンドパスフィルタは、例えばアナログ回路で構成可能である。シミー現象により発生する振動の周波数は、車種や仕様に応じて異なることから、上述した所定範囲の周波数帯域は、車種や仕様に応じて予め設定される。
トルク変化量演算処理部272は、図8に示す演算処理を一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに繰り返し実行する。
図8を参照すると、トルク変化量演算処理部272は、シミー周期抽出処理部271にて抽出された後の検出トルクTである抽出トルクを読み込み(ステップ101)、今回のルーチンで読み込んだ抽出トルクと前回のルーチンで読み込んだ抽出トルクとに基づいて前回から今回までの抽出トルクの1回微分値(抽出トルクの変化速度)(以下、「今回の1回微分値」と称す。)を算出する(ステップ102)。その後、前回のルーチンで読み込んだ抽出トルクと前々回のルーチンで読み込んだ抽出トルクとに基づいて前々回から前回までの抽出トルクの1回微分値(抽出トルクの変化速度)(以下、「前回の1回微分値」と称す。)を算出する(ステップ103)。そして、その後、ステップ102にて算出した今回の1回微分値とステップ103にて算出した前回の1回微分値とに基づいて抽出トルクの2回微分値(抽出トルクの変化加速度)(抽出トルクと逆位相となるトルク変化量)を算出する(ステップ104)。
なお、今回のルーチンのステップ103の処理においては、前回のルーチンのステップ102にて算出した抽出トルクの1回微分値を用いてもよい。
図9は、抽出トルクと逆位相となるトルク変化量とシミー補償ベース電流Irbとの対応を示す制御マップの概略図である。シミー補償ベース電流算出部273は、一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに、抽出トルクと逆位相となるトルク変化量(例えば抽出トルクの2回微分値)を読み込むと共に、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、抽出トルクと逆位相となるトルク変化量とシミー補償ベース電流Irbとの対応を示す図9に例示した制御マップに、読み込んだ抽出トルクと逆位相となるトルク変化量を代入することによりシミー補償ベース電流Irbを算出する。
また、フィール悪化抑制処理部274は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、電動モータ110の回転速度Nmと回転速度相当補正係数αmとの対応を示す図10(b)に例示した制御マップに、回転速度Nmを代入することにより回転速度相当補正係数αmを算出する。
また、フィール悪化抑制処理部274は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、検出トルクTとトルク相当補正係数αtとの対応を示す図10(c)に例示した制御マップに、検出トルクTを代入することによりトルク相当補正係数αtを算出する。
フィール悪化抑制処理部274は、図11に示す演算処理を一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに繰り返し実行する。
その後、フィール悪化抑制処理部274は、車速センサ170にて検出された車速Vcを読み込むと共に、図10(a)に例示した制御マップに、車速Vcを代入することにより車速相当補正係数αsを算出する(ステップ202)。
その後、フィール悪化抑制処理部274は、モータ回転速度算出部70が算出した電動モータ110の回転速度Nmを読み込むと共に、図10(b)に例示した制御マップに、回転速度Nmを代入することにより回転速度相当補正係数αmを算出する(ステップ203)。
その後、フィール悪化抑制処理部274は、ステップ201にて読み込まれたシミー補償ベース電流Irbに、ステップ202,203,204にて算出された車速相当補正係数αs,回転速度相当補正係数αm,トルク相当補正係数αtをそれぞれ乗算することにより、シミー補償電流Irを算出する(Ir=Irb×αs×αm×αt)(ステップ205)。
そして、最終目標電流決定部28は、RAMなどの記憶領域に記憶された、仮目標電流Itfとシミー補償電流Irとを加算した値を目標電流Itとして決定する。
かかる事項に鑑み、シミー現象が発生するのは車速Vcが特定の速度領域であると考えられるため、図10(a)に例示した制御マップにおいては、車速相当補正係数αsを、車速Vcが特定の速度領域(例えば、80km/h〜120km/h)である場合に1とし、車速Vcが特定の速度領域以外は1よりも小さい値とした。
また、シミー現象が発生した場合にトルクセンサ109にて検出される検出トルクTは特定のトルクを中心とする所定範囲であると考えられるため、図10(c)に例示した制御マップにおいては、検出トルクTが所定範囲である場合にトルク相当補正係数αtを1とし、所定範囲以外は1よりも小さい値となるような山形状とした。
また、上述した実施形態においては、シミー現象に起因する振動を抑制する制御を、ピニオン型の電動パワーステアリングに適用した場合について説明したが、特に限定されない。ダブルピニオン型やラックアシスト型など他の形式の電動パワーステアリング装置に適用してもよい。
Claims (4)
- 車両のステアリングホイールと連動して回転するステアリングシャフトと、
転動輪を転動させるラック軸に対して回転することにより駆動力を加えるピニオンシャフトと、
前記ステアリングシャフトから前記ピニオンシャフト間に作用するトルクを検出する検出手段と、
前記ラック軸に駆動力を加えるモータと、
前記検出手段にて検出された検出トルクに基づいて前記モータへ供給する目標電流のベースとなるベース電流を算出するとともに、当該検出トルクの特定周波数成分と逆位相となる変化量に基づいて前記転動輪側から前記ステアリングホイール側へ伝わる外乱トルクを抑制するための抑制電流を決定し、当該ベース電流と当該抑制電流とに基づいて当該目標電流を設定する目標電流設定手段と、
を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記目標電流設定手段は、
前記ベース電流を算出するベース電流算出手段と、
前記検出トルクの特定周波数成分を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段にて抽出された検出トルクの特定周波数成分と逆位相となる変化量を演算する演算手段と、
前記演算手段が演算した前記変化量に基づいて前記抑制電流を決定する抑制電流決定手段と、
を備え、
前記ベース電流算出手段が算出した前記ベース電流に基づいて決定した前記目標電流の仮目標電流に前記抑制電流決定手段が決定した前記抑制電流を加算した値を当該目標電流として決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記抑制電流決定手段は、前記変化量に基づいて前記抑制電流のベースとなる抑制ベース電流を算出するとともに、当該抑制ベース電流を補正する補正係数を決定し、当該抑制ベース電流と当該補正係数とに基づいて当該抑制電流を決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記抑制電流決定手段は、前記検出トルク、前記モータの回転速度、前記車両の移動速度の少なくともいずれかに基づいて前記補正係数を決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
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