JP2016068676A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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雅祐 岩瀬
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高弘 稲見
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Tomoya Yuzawa
友也 湯澤
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杏一 田上
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Abstract

【課題】シミー現象に起因するステアリングホイールの振動をより確度高く抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】ステアリングシャフトから、転動輪を転動させるラック軸に対して回転することにより駆動力を加えるピニオンシャフト間に作用するトルクを検出するトルクセンサ109と、ラック軸に駆動力を加える電動モータと、転動輪側からステアリングホイール側へ伝わる外乱トルクを抑制するように電動モータを駆動させるシミー補償電流設定部27とを備え、シミー補償電流設定部27は、トルクセンサ109にて検出された検出トルクに基づいて電動モータに供給するシミー補償電流Irを算出すると共に、算出したシミー補償電流Ircが外乱トルクを抑制する方向とは反対方向のトルクを与えるように電動モータを駆動させるときには算出したシミー補償電流Ircの絶対値が小さくなるように制限する。
【選択図】図6

Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
近年、車両のステアリング系に電動モータを備え、電動モータの動力にてドライバの操舵力をアシストする電動パワーステアリング装置が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、制御装置にて制御される。制御装置は、電動モータの駆動を制御するために、先ず、操舵トルクや車速などに応じて電動モータに供給する目標電流を設定する。そして、設定した目標電流と実際に電動モータに流れる実電流とを一致させるべく、目標電流と実電流との偏差がゼロになるように、フィードバック制御を行う。
特開2001−315657号公報
路面の凹凸や車輪のアンバランスなどに起因してシミー現象が発生するおそれがある。シミー現象が発生すると、ステアリングホイールの回転方向の振動として運転者に伝わるため、シミー現象に起因するステアリングホイールの振動を抑制することが望ましい。そのためには、シミー現象に起因する振動を抑制するためのアシスト力を電動モータにて付与することが考えられる。
しかしながら、フィードバック制御系においては、特に高周波の領域で、シミー現象に起因する振動を抑制するためのアシスト力を電動モータに付与させるための抑制電流の位相が許容範囲を超えて遅れるおそれがある。抑制電流の位相が許容範囲を超えて遅れると、シミー現象に起因するステアリングホイールの振動を抑制するための電流がステアリングホイールの振動をかえって助長する電流となり、操舵フィーリングが悪化してしまうおそれがある。
本発明は、シミー現象に起因するステアリングホイールの振動をより高精度に抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明は、車両のステアリングホイールと連動して回転するステアリングシャフトと、転動輪を転動させるラック軸に対して回転することにより駆動力を加えるピニオンシャフトと、前記ステアリングシャフトから前記ピニオンシャフト間に作用するトルクを検出する検出手段と、前記ラック軸に駆動力を加える電動モータと、前記転動輪側から前記ステアリングホイール側へ伝わる外乱トルクを抑制するように前記電動モータを駆動させる外乱抑制駆動手段と、を備え、前記外乱抑制駆動手段は、前記検出手段にて検出された検出トルクに基づいて前記電動モータに供給する抑制電流を算出すると共に、当該算出した抑制電流が前記外乱トルクを抑制する方向とは反対方向のトルクを与えるように当該電動モータを駆動させるときには当該算出した抑制電流の絶対値が小さくなるように制限することを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
ここで、前記外乱抑制駆動手段は、前記検出手段にて検出された検出トルクが許容範囲を超えて大きく、かつ、前記算出した抑制電流の位相が許容範囲を超えてずれている場合には前記抑制電流の絶対値を小さくするとよい。
また、前記外乱抑制駆動手段は、前記検出手段にて検出された検出トルクを高速フーリエ変換することにより当該検出トルクの振動強度を算出し、当該算出した振動強度が所定閾値よりも大きい場合に、当該検出トルクが許容範囲を超えて大きいと判断してもよい。
また、前記外乱抑制駆動手段は、前記算出した抑制電流が前記外乱トルクを抑制する方向とは反対方向のトルクを与えるように前記電動モータを駆動させるときには、前記算出した振動強度が前記所定閾値よりも大きくなるのに反比例して当該算出した抑制電流の絶対値が小さくなるように制限してもよい。
また、前記外乱抑制駆動手段は、前記検出手段にて検出された検出トルクにおける所定範囲の周波数成分を通過させる通過部と、当該通過部にて通過させられた当該検出トルクと逆位相となる変化量に基づいて前記抑制電流を算出する算出部とを有してもよい。
また、前記外乱抑制駆動手段は、前記算出部が算出した抑制電流を高速フーリエ変換することにより当該算出した抑制電流の位相を算出し、当該算出した位相と基準位相との位相差が所定角度よりも大きい場合に、当該算出した抑制電流の位相が許容範囲を超えてずれていると判断してもよい。
また、前記外乱抑制駆動手段は、前記検出手段にて検出された検出トルクに基づいて前記外乱トルクを抑制するために前記電動モータへ供給する前記抑制電流を設定し、前記検出手段にて検出された検出トルクに基づいて前記電動モータへ供給する目標電流のベースとなるベース電流を算出するベース電流算出手段と、前記ベース電流算出手段が算出した前記ベース電流と前記外乱抑制駆動手段が設定した前記抑制電流とに基づいて前記目標電流を決定する目標電流決定手段と、をさらに備えてもよい。
本発明によれば、シミー現象に起因するステアリングホイールの振動をより高精度に抑制することができる。
実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成を示す図である。 制御装置の概略構成図である。 目標電流算出部の概略構成図である。 検出トルクおよび車速とベース電流との対応を示す制御マップの概略図である。 制御部の概略構成図である。 シミー補償電流設定部の概略構成図である。 バンドパスフィルタを示す概略図である。 車速とバンドパスフィルタの中心周波数との対応を示す制御マップの概略図である。 トルク変化量算出部が行う算出処理を示すフローチャートである。 トルク変化量と算出シミー補償電流との対応を示す制御マップの概略図である。 (a)は、共振が発生していない正常時におけるトルクFFT部が算出した検出トルクTの振動強度、電流FFT部が算出した算出シミー補償電流の振動強度及び位相を例示する図である。(b)は、共振発生時におけるトルクFFT部が算出した検出トルクTの振動強度、電流FFT部が算出した算出シミー補償電流の振動強度及び位相を例示する図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る電動パワーステアリング装置100の概略構成を示す図である。
電動パワーステアリング装置100(以下、単に「ステアリング装置100」と称する場合もある。)は、車両の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施の形態においては車両の一例としての自動車1に適用した構成を例示している。
ステアリング装置100は、自動車1の進行方向を変えるために運転者が操作する車輪(ホイール)状のステアリングホイール(ハンドル)101と、ステアリングホイール101に一体的に設けられたステアリングシャフト102とを備えている。また、ステアリング装置100は、ステアリングシャフト102と自在継手103aを介して連結された上部連結シャフト103と、この上部連結シャフト103と自在継手103bを介して連結された下部連結シャフト108とを備えている。下部連結シャフト108は、ステアリングホイール101の回転に連動して回転する。
また、ステアリング装置100は、転動輪としての左右の前輪150のそれぞれに連結されたタイロッド104と、タイロッド104に連結されたラック軸105とを備えている。また、ステアリング装置100は、ラック軸105に形成されたラック歯105aとともにラック・ピニオン機構を構成するピニオン106aを備えている。ピニオン106aは、ピニオンシャフト106の下端部に形成されている。これらラック軸105、ピニオンシャフト106などが、ステアリングホイール101の回転操作力を前輪150の転動力として伝達する伝達機構として機能する。ピニオンシャフト106は、前輪150を転動させるラック軸105に対して、回転することにより前輪150を転動させる駆動力を加える。
また、ステアリング装置100は、ピニオンシャフト106を収容するステアリングギヤボックス107を有している。ピニオンシャフト106は、ステアリングギヤボックス107内にてトーションバー112を介して下部連結シャフト108と連結されている。そして、ステアリングギヤボックス107の内部には、下部連結シャフト108とピニオンシャフト106との相対回転角度に基づいて、言い換えればトーションバー112の捩れ量に基づいて、ステアリングホイール101に加えられた操舵トルクおよび/または前輪150を介してピニオンシャフト106に伝わる外乱トルクを検出する検出手段の一例としてのトルクセンサ109が設けられている。言い換えれば、トルクセンサ109は、トーションバー112にはたらくトルクを検出する。また、トルクセンサ109は、ステアリングシャフト102とピニオンシャフト106との間に作用するトルクを検出する。
また、ステアリング装置100は、ステアリングギヤボックス107に支持された電動モータ110と、電動モータ110の駆動力を減速してピニオンシャフト106に伝達する減速機構111とを有している。減速機構111は、例えば、ピニオンシャフト106に固定されたウォームホイール(不図示)と、電動モータ110の出力軸に固定されたウォームギヤ(不図示)などから構成される。電動モータ110は、ピニオンシャフト106に回転駆動力を加えることにより、ラック軸105に前輪150を転動させる駆動力を加える。本実施の形態に係る電動モータ110は、3相ブラシレスモータであることを例示することができる。
また、ステアリング装置100は、電動モータ110の作動を制御する制御装置10を備えている。制御装置10には、上述したトルクセンサ109からの出力信号が入力される。また、制御装置10には、自動車に搭載される各種の機器を制御するための信号を流す通信を行うネットワーク(CAN)を介して、自動車の移動速度である車速Vcを検出する車速センサ170などからの出力信号が入力される。
以上のように構成されたステアリング装置100は、トルクセンサ109が検出した検出トルクに基づいて電動モータ110を駆動し、電動モータ110の発生トルクをピニオンシャフト106に伝達する。これにより、電動モータ110の発生トルクが、ステアリングホイール101に加える運転者の操舵力をアシストする。
次に、制御装置10について説明する。
図2は、制御装置10の概略構成図である。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等からなる算術論理演算回路である。
制御装置10には、上述したトルクセンサ109にて検出された検出トルクTが出力信号に変換されたトルク信号Tdと、車速センサ170にて検出された車速Vcが出力信号に変換された車速信号vなどが入力される。
そして、制御装置10は、トルク信号Tdおよび車速信号vなどに基づいて電動モータ110に供給する目標電流Itを算出(設定)する目標電流算出部20と、目標電流算出部20が算出した目標電流Itに基づいてフィードバック制御などを行う制御部30とを有している。
次に、目標電流算出部20について詳述する。
図3は、目標電流算出部20の概略構成図である。
目標電流算出部20は、目標電流Itを設定する上でベースとなるベース電流Ibを算出するベース電流算出手段の一例としてのベース電流算出部21と、電動モータ110の慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流Isを算出するイナーシャ補償電流算出部22と、電動モータ110の回転を制限するダンパー補償電流Idを算出するダンパー補償電流算出部23とを備えている。また、目標電流算出部20は、ベース電流算出部21、イナーシャ補償電流算出部22、ダンパー補償電流算出部23にて算出された値に基づいて仮の目標電流である仮目標電流Itfを決定する仮目標電流決定部25を備えている。また、目標電流算出部20は、トルクセンサ109にて検出された検出トルクTの位相を補償する位相補償部26を備えている。
また、目標電流算出部20は、シミー現象に起因するステアリングホイール101の回転方向の振動を抑制する電流である抑制電流の一例としてのシミー補償電流Irを設定する外乱抑制駆動手段の一例としてのシミー補償電流設定部27を備えている。また、目標電流算出部20は、仮目標電流決定部25にて決定された仮目標電流Itfおよびシミー補償電流設定部27にて設定されたシミー補償電流Irに基づいて最終的に目標電流Itを決定する目標電流決定手段の一例としての最終目標電流決定部28を備えている。
なお、目標電流算出部20には、トルク信号Td、車速信号vが入力される。また、目標電流算出部20には、電動モータ110の回転速度Nmが出力信号に変換された回転速度信号Nmsが入力される。電動モータ110の回転速度Nmは、例えば3相ブラシレスモータである電動モータ110の回転子(ロータ)の回転位置を検出するレゾルバからの出力信号を基に算出されるものであることを例示することができる。
図4は、検出トルクTおよび車速Vcとベース電流Ibとの対応を示す制御マップの概略図である。
ベース電流算出部21は、位相補償部26にてトルク信号Tdが位相補償されたトルク信号Tsと、車速センサ170からの車速信号vとに基づいてベース電流Ibを算出する。つまり、ベース電流算出部21は、位相補償された検出トルクTと、車速Vcとに応じたベース電流Ibを算出する。なお、ベース電流算出部21は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、位相補償された検出トルクT(トルク信号Ts)および車速Vc(車速信号v)とベース電流Ibとの対応を示す図4に例示した制御マップに、検出トルクT(トルク信号Ts)および車速Vc(車速信号v)を代入することによりベース電流Ibを算出する。
イナーシャ補償電流算出部22は、トルク信号Tsと、車速信号vとに基づいて電動モータ110およびシステムの慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流Isを算出する。つまり、イナーシャ補償電流算出部22は、検出トルクT(トルク信号Ts)と、車速Vc(車速信号v)とに応じたイナーシャ補償電流Isを算出する。なお、イナーシャ補償電流算出部22は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、検出トルクT(トルク信号Ts)および車速Vc(車速信号v)とイナーシャ補償電流Isとの対応を示す制御マップに、検出トルクT(トルク信号Ts)および車速Vc(車速信号v)を代入することによりイナーシャ補償電流Isを算出する。
ダンパー補償電流算出部23は、トルク信号Tsと、車速信号vと、電動モータ110の回転速度信号Nmsとに基づいて、電動モータ110の回転を制限するダンパー補償電流Idを算出する。つまり、ダンパー補償電流算出部23は、検出トルクT(トルク信号Ts)と、車速Vc(車速信号v)と、電動モータ110の回転速度Nm(回転速度信号Nms)に応じたダンパー補償電流Idを算出する。なお、ダンパー補償電流算出部23は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、検出トルクT(トルク信号Ts)、車速Vc(車速信号v)および回転速度Nm(回転速度信号Nms)と、ダンパー補償電流Idとの対応を示す制御マップに、検出トルクT(トルク信号Ts)、車速Vc(車速信号v)および回転速度Nm(回転速度信号Nms)を代入することによりダンパー補償電流Idを算出する。
仮目標電流決定部25は、ベース電流算出部21にて算出されたベース電流Ib、イナーシャ補償電流算出部22にて算出されたイナーシャ補償電流Isおよびダンパー補償電流算出部23にて算出されたダンパー補償電流Idに基づいて仮目標電流Itfを決定する。仮目標電流決定部25は、例えば、ベース電流Ibに、イナーシャ補償電流Isを加算するとともにダンパー補償電流Idを減算して得た電流を仮目標電流Itfとして決定する。
シミー補償電流設定部27については後で詳述する。
最終目標電流決定部28は、仮目標電流決定部25にて決定された仮目標電流Itfおよびシミー補償電流設定部27にて設定されたシミー補償電流Irに基づいて最終的に目標電流Itを決定する。本実施の形態に係る最終目標電流決定部28は、仮目標電流決定部25にて決定された仮目標電流Itfにシミー補償電流設定部27にて設定されたシミー補償電流Irを加算して得た電流を目標電流Itとして決定する。
次に、制御部30について詳述する。
図5は、制御部30の概略構成図である。
制御部30は、図5に示すように、電動モータ110の作動を制御するモータ駆動制御部31と、電動モータ110を駆動させるモータ駆動部32と、電動モータ110に実際に流れる実電流Imを検出するモータ電流検出部33とを有している。
モータ駆動制御部31は、目標電流算出部20にて最終的に決定された目標電流Itと、モータ電流検出部33にて検出された電動モータ110へ供給される実電流Imとの偏差に基づいてフィードバック制御を行うフィードバック(F/B)制御部40と、電動モータ110をPWM駆動するためのPWM(パルス幅変調)信号を生成するPWM信号生成部60とを有している。
フィードバック制御部40は、目標電流算出部20にて最終的に決定された目標電流Itとモータ電流検出部33にて検出された実電流Imとの偏差を求める偏差演算部41と、その偏差がゼロとなるようにフィードバック処理を行うフィードバック(F/B)処理部42とを有している。
フィードバック(F/B)処理部42は、目標電流Itと実電流Imとが一致するようにフィードバック制御を行うものであり、例えば、偏差演算部41にて算出された偏差に対して、比例要素で比例処理し、積分要素で積分処理し、加算演算部でこれらの値を加算する。
PWM信号生成部60は、フィードバック制御部40からの出力値に基づいて電動モータ110をPWM(パルス幅変調)駆動するためのPWM信号を生成し、生成したPWM信号を出力する。
モータ駆動部32は、所謂インバータであり、例えば、スイッチング素子として6個の独立したトランジスタ(FET)を備え、6個の内の3個のトランジスタは電源の正極側ラインと各相の電気コイルとの間に接続され、他の3個のトランジスタは各相の電気コイルと電源の負極側(アース)ラインと接続されている。そして、6個の中から選択した2個のトランジスタのゲートを駆動してこれらのトランジスタをスイッチング動作させることにより、電動モータ110の駆動を制御する。
モータ電流検出部33は、モータ駆動部32に接続されたシャント抵抗の両端に生じる電圧から電動モータ110に流れる実電流Imの値を検出する。
次に、シミー補償電流設定部27について詳述する。
シミー現象が発生した場合には、前輪150から、ラック軸105、ピニオンシャフト106、ステアリングシャフト102などを介してステアリングホイール101に振動が伝わる。
シミー補償電流設定部27は、シミー現象に起因してステアリングホイール101に伝わる振動を電動モータ110にて打ち消すための電流であるシミー補償電流Irを設定する。シミー補償電流Irは、シミー現象に起因して、前輪150、ラック軸105などを介してピニオンシャフト106に伝達される回転トルク(外乱トルク)とは逆方向の回転トルクを加えるように電動モータ110を駆動させるための電流である。
図6は、シミー補償電流設定部27の概略構成図である。
シミー補償電流設定部27は、トルクセンサ109による検出トルクTのうち所定範囲の周波数帯域の成分を抽出する通過部の一例としてのシミー周期抽出処理部271と、シミー周期抽出処理部271にて抽出された検出トルクTと逆位相となるトルク変化量を算出するトルク変化量算出部272とを備えている。また、シミー補償電流設定部27は、トルク変化量算出部272が算出したトルク変化量に基づいて算出シミー補償電流Ircを算出するシミー補償電流算出部275を備えている。
また、シミー補償電流設定部27は、トルクセンサ109による検出トルクTに対して高速フーリエ変換するトルクFFT部281と、シミー補償電流算出部275が算出した算出シミー補償電流Ircに対して高速フーリエ変換する電流FFT部282とを備えている。また、シミー補償電流設定部27は、シミー補償電流算出部275が算出した算出シミー補償電流Ircが、外乱トルクとは逆方向の回転トルクを加えるように電動モータ110を駆動させる電流であるか否かを判断する電流判断部283を備えている。
また、シミー補償電流設定部27は、シミー補償電流算出部275が算出した算出シミー補償電流Ircが外乱トルクとは逆方向の回転トルクを加えるように電動モータ110を駆動させる電流ではないと電流判断部283が判断した場合に、算出シミー補償電流Ircを制限する制限部284を備えている。また、シミー補償電流設定部27は、制限部284から出力された電流(以下、「制限後電流Irl」と称す場合がある。)に対してリミット処理を施すリミット処理部276を備えている。
シミー周期抽出処理部271は、トルクセンサ109からのトルク信号Tdのうちで、中心周波数Frcを中心とする所定範囲の周波数帯域の信号のみを通し、他の周波数の信号は通さない(減衰させる)バンドパスフィルタ271aと、車速Vcに応じてこのバンドパスフィルタ271aの中心周波数Frcを設定する中心周波数設定部271bと、を有している。
図7は、バンドパスフィルタ271aを示す概略図である。図7において、横軸は周波数であり、縦軸はゲインである。
バンドパスフィルタ271aは、中心周波数Frcを中心とする所定範囲(例えば3Hz)の周波数帯域の信号のみを通し、他の周波数の信号は通さない(減衰させる)機能をもつフィルタである。バンドパスフィルタ271aは、例えばアナログ回路やCPUが実行するプログラム(ソフトウェア)で構成可能である。そして、中心周波数Frcが、中心周波数設定部271bにより設定される。
図8は、車速Vcとバンドパスフィルタ271aの中心周波数Frcとの対応を示す制御マップの概略図である。
中心周波数設定部271bは、車速信号vに基づいてバンドパスフィルタ271aの中心周波数Frcを決定する。つまり、中心周波数設定部271bは、車速Vcに応じた中心周波数Frcを算出する。なお、中心周波数設定部271bは、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、車速Vc(車速信号v)と中心周波数Frcとの対応を示す図8に例示した制御マップに、車速Vc(車速信号v)を代入することにより中心周波数Frcを算出する。
シミー現象により発生する振動の1周期は、前輪150の1回転と考えられることから、その振動の周波数は、前輪150の回転速度に依存し、前輪150の回転速度に比例して高くなる。そして、前輪150の直径は、車種に応じて異なる。また、前輪150の直径は、同じ車種でも仕様に応じて異なる。一方、シミー現象が生じる前輪150の回転速度は、車種や仕様により異なるものの、一般的には所定範囲の回転速度にて生じると考えられる。それゆえ、前輪150の直径が大きい車両では振動の周波数は小さい。他方、前輪150の直径が小さい車両では振動の周波数は大きい。一般的に、シミー現象により発生する振動の周波数は、10〜20Hzの間であると考えられている。
これらの事項に鑑み、図8に示した車速Vcとバンドパスフィルタ271aの中心周波数Frcとの対応を示す制御マップにおいては、シミー現象が生じると考えられる車速域では、車速Vcと中心周波数Frcとが比例するように設定されている。そして、シミー現象が生じると考えられる車速域よりも小さい車速域における中心周波数Frcは、シミー現象が生じると考えられる車速域内の最小の車速のときの中心周波数Frcに設定される。また、シミー現象が生じると考えられる車速域よりも大きな車速域における中心周波数Frcは、シミー現象が生じると考えられる車速域内の最大の車速のときの中心周波数Frcに設定されている。
中心周波数設定部271bは、例えば、本実施の形態に係るステアリング装置100が車両に組み付けられた後に、シミー現象に起因する振動が発生する車速Vcを把握し、把握した車速Vcを図8に例示した制御マップに代入することにより中心周波数Frcを算出する。そして、中心周波数設定部271bは、算出した中心周波数Frcをバンドパスフィルタ271aの中心周波数Frcとして設定する。
なお、中心周波数設定部271bは、車両の識別情報を取得するとともに、取得した識別情報に対応するシミー現象に起因する振動が発生する車速VcをROMから読み込むことにより取得することを例示することができる。また、中心周波数設定部271bは、ステアリング装置100のセッティングを行う作業者が入力した値に基づいてシミー現象に起因する振動が発生する車速Vcを把握することを例示することができる。
上述した構成により、シミー周期抽出処理部271は、トルクセンサ109からのトルク信号Tdのうち、中心周波数設定部271bにて設定された中心周波数Frcを中心とする所定範囲の周波数帯域の信号のみを通すことにより、シミー現象に起因する振動の周波数の信号を高精度に抽出する。
シミー周期抽出処理部271は、演算処理を行うことで、検出トルクTのうち、シミー現象に起因する振動の周波数成分を抽出してもよい。例えば、シミー周期抽出処理部271は、一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに、トルクセンサ109による検出トルクTを読み込み、所定範囲の周波数帯域の成分を抽出すればよい。
トルク変化量算出部272は、シミー周期抽出処理部271にて抽出された検出トルクTと逆位相となるトルク変化量を算出する。例えば、トルク変化量算出部272は、シミー周期抽出処理部271にて抽出された検出トルクTを2階微分する算出処理を行い、検出トルクTと逆位相となるトルク変化量として、シミー周期抽出処理部271にて抽出された特定周波数成分の逆位相成分を算出する。なお、逆位相成分は、シミー周期抽出処理部271にて抽出された検出トルクTを微分および位相補償により算出してもよい。
図9は、トルク変化量算出部272が行う算出処理を示すフローチャートである。
トルク変化量算出部272は、図9に示す算出処理を一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに繰り返し実行する。
図9を参照すると、トルク変化量算出部272は、シミー周期抽出処理部271にて抽出された検出トルクTである抽出トルクを読み込む(ステップ101)。そして、トルク変化量算出部272は、今回のルーチンで読み込んだ抽出トルクと前回のルーチンで読み込んだ抽出トルクとに基づいて前回から今回までの抽出トルクの1階微分値(抽出トルクの変化速度)(以下、「今回の1階微分値」と称す。)を算出する(ステップ102)。その後、前回のルーチンで読み込んだ抽出トルクと前々回のルーチンで読み込んだ抽出トルクとに基づいて前々回から前回までの抽出トルクの1階微分値(抽出トルクの変化速度)(以下、「前回の1階微分値」と称す。)を算出する(ステップ103)。そして、その後、ステップ102にて算出した今回の1階微分値とステップ103にて算出した前回の1階微分値とに基づいて抽出トルクの2階微分値(抽出トルクの変化加速度)(抽出トルクと逆位相となるトルク変化量)を算出する(ステップ104)。
なお、今回のルーチンのステップ103の処理においては、前回のルーチンのステップ102にて算出した抽出トルクの1階微分値を用いてもよい。
シミー補償電流算出部275は、トルク変化量算出部272が算出したトルク変化量に基づいて算出シミー補償電流Ircを算出する。
図10は、トルク変化量と算出シミー補償電流Ircとの対応を示す制御マップの概略図である。シミー補償電流算出部275は、一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに、トルク変化量を読み込むと共に、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、トルク変化量と算出シミー補償電流Ircとの対応を示す図10に例示した制御マップに、読み込んだトルク変化量を代入することにより算出シミー補償電流Ircを算出する。このように、シミー補償電流算出部275は、バンドパスフィルタ271aを通過した検出トルクTと逆位相となる変化量に基づいて前輪150側からステアリングホイール101側へ伝わる外乱トルクを抑制するための抑制電流を算出する算出部の一例として機能する。
トルクFFT部281は、トルクセンサ109による検出トルクTに対して高速フーリエ変換する。トルクFFT部281は、高速フーリエ変換することにより、各周波数における検出トルクTの振動強度を算出する。
電流FFT部282は、シミー補償電流算出部275が算出した算出シミー補償電流Ircに対して高速フーリエ変換する。電流FFT部282は、高速フーリエ変換することにより、各周波数における算出シミー補償電流Ircの振動強度及び位相を算出する。
電流判断部283は、以下に述べる手法にて、シミー補償電流算出部275が算出した算出シミー補償電流Ircが、外乱トルクとは逆方向の回転トルクを加えるように電動モータ110を駆動させる電流ではないか否かを判断する。言い換えれば、電流判断部283は、以下に述べる手法にて、シミー補償電流算出部275が算出した算出シミー補償電流Ircが、外乱トルクと同方向の回転トルクを加えるように電動モータ110を駆動させる電流であるか否かを判断する。
本実施の形態に係る制御装置10は、フィードバック(F/B)制御部40にて、目標電流算出部20にて決定された目標電流Itと、モータ電流検出部33にて検出された電動モータ110の実電流Imとの偏差に基づいてフィードバック制御を行う。このようなフィードバック制御を行う制御系においては、通常の操舵領域である低周波の領域では応答速度も小さいためシミー補償電流算出部275が算出した算出シミー補償電流Ircの位相遅れは大きくない。しかしながら、シミー現象に起因する振動が発生する周波数帯域などの高周波の領域では、シミー補償電流算出部275が算出した算出シミー補償電流Ircの位相遅れが大きくなるおそれがある。そして、シミー補償電流算出部275が算出した算出シミー補償電流Ircの位相遅れが大きいと、シミー現象に起因するステアリングホイールの振動を抑制するために算出した算出シミー補償電流Ircが、外乱トルクと同方向の回転トルクを加える電流となるおそれがある。算出シミー補償電流Ircが外乱トルクと同方向の回転トルクを加える電流となった場合には、ステアリングホイールの振動がかえって助長され、操舵フィーリングが悪化してしまうおそれがある。以下では、算出シミー補償電流Ircが外乱トルクと同方向の回転トルクを加える電流となり、ステアリングホイールの振動がかえって助長されることを共振と称す。
図11(a)は、共振が発生していない正常時におけるトルクFFT部281が算出した検出トルクTの振動強度、電流FFT部282が算出した算出シミー補償電流Ircの振動強度及び位相を例示する図である。図11(b)は、共振発生時におけるトルクFFT部281が算出した検出トルクTの振動強度、電流FFT部282が算出した算出シミー補償電流Ircの振動強度及び位相を例示する図である。なお、図11(a)及び図11(b)には、バンドパスフィルタ271aが信号を通す周波数帯域である中心周波数Frcを中心とする所定範囲が示されている。
シミー補償電流算出部275が算出した算出シミー補償電流Ircの位相(電流FFT部282が算出した算出シミー補償電流Ircの位相)遅れが大きいと、算出シミー補償電流Ircがシミー現象に起因する外乱トルクと同方向の回転トルクを加える電流となる。その結果、図11(b)に示すように、トルクFFT部281が算出した検出トルクTの振動強度が、図11(a)に示したトルクFFT部281が算出した検出トルクTの振動強度よりも大きくなる。
そこで、電流判断部283は、トルクFFT部281が算出した検出トルクTの振動強度が許容範囲を超えて大きく、かつ、電流FFT部282が算出した算出シミー補償電流Ircの位相が許容範囲を超えてずれている場合には共振が発生していると判断する。言い換えると、電流判断部283は、トルクセンサ109による検出トルクTが許容範囲を超えて大きく、かつ、シミー補償電流算出部275が算出した算出シミー補償電流Ircの位相と基準位相との位相差が許容範囲を超えて大きい場合には共振が発生していると判断する。なお、基準位相は、検出トルクTの位相であることを例示することができる。
トルクFFT部281が算出した検出トルクTの振動強度の許容範囲は、例えば、図11(a)に示した正常時におけるトルクFFT部281が算出した検出トルクTの振動強度に所定値を加算した値を所定閾値とした場合に、所定閾値以内の範囲であることを例示することができる。電流FFT部282が算出した算出シミー補償電流Ircの位相と基準位相との位相差の許容範囲は、所定角度(例えば90度)以内であることを例示することができる。
そして、電流判断部283は、トルクFFT部281が算出した検出トルクTの振動強度が所定閾値よりも大きく、かつ、電流FFT部282が算出した算出シミー補償電流Ircの基準位相に対する位相差が所定角度よりも大きい場合には、共振が発生していると判断する。つまり、電流判断部283は、トルクFFT部281が算出した検出トルクTの振動強度が所定閾値よりも大きく、かつ、電流FFT部282が算出した算出シミー補償電流Ircの基準位相に対する位相差が所定角度よりも大きい場合に、算出シミー補償電流Ircが外乱トルクと同方向の回転トルクを加えるように電動モータ110を駆動させる電流であると判断する。
なお、電流判断部283は、例えば、予め作成しROMに記憶しておいた、周波数と所定閾値との対応を示す制御マップにトルクFFT部281が算出した検出トルクTの周波数を代入することで所定閾値を把握すると共に、トルクFFT部281が算出した検出トルクTの振動強度が所定閾値よりも大きいか否かを判断する。また、電流判断部283は、電流FFT部282が算出した算出シミー補償電流Ircの基準位相に対する位相差が予め作成しROMに記憶しておいた所定角度よりも大きいか否かを判断する。
制限部284は、算出シミー補償電流Ircが外乱トルクとは逆方向の回転トルクを加えるように電動モータ110を駆動させる電流ではないと電流判断部283が判断した場合(共振が発生している場合)に、算出シミー補償電流Ircを抑制または制限する。例えば、制限部284は、共振が発生していない場合は、算出シミー補償電流Ircを制限せずに算出シミー補償電流Ircのままリミット処理部276に出力し、共振が発生している場合は、算出シミー補償電流Ircを零に制限する。つまり、制限部284は、共振が発生していない場合は、制限部284から出力する制限後電流Irlを算出シミー補償電流Ircとし、共振が発生している場合は、制限後電流Irlを零とする。
また、制限部284は、共振が発生している場合は、トルクFFT部281が算出した検出トルクTの振動強度が所定閾値よりも大きくなるのに応じて算出シミー補償電流Ircの絶対値が小さくなるように抑制してもよい。例えば、制限部284は、共振が発生している場合は、トルクFFT部281が算出した検出トルクTの振動強度が所定閾値よりも大きくなるのに反比例して算出シミー補償電流Ircの絶対値が小さくなるように抑制するとよい。
リミット処理部276は、最終的にシミー補償電流設定部27から出力するシミー補償電流Irの値を制限する。
リミット処理部276は、制限部284から出力された制限後電流Irlの絶対値が所定電流Il以上である場合には、シミー補償電流Irとして、制限後電流Irlの絶対値が所定電流Ilとなる値を出力する。
他方、リミット処理部276は、制限部284から出力された制限後電流Irlの絶対値が所定電流Il未満である場合には制限後電流Irlをシミー補償電流Irとして出力する。
つまり、リミット処理部276は、制限部284から出力された制限後電流Irlの値に応じて以下のように定めたシミー補償電流Irを出力する。「Irl≧Il」である場合には「Ir=Il」、「Irl≦−Il」である場合には「Ir=−Il」、「−Il<Irl<Il」である場合には「Ir=Irl」。
シミー補償電流設定部27は、上述した手法にてリミット処理部276から出力されたシミー補償電流IrをRAMなどの記憶領域に記憶する。
そして、最終目標電流決定部28は、RAMなどの記憶領域に記憶された、仮目標電流Itfとシミー補償電流Irとを加算した値を目標電流Itとして決定する。
以上のように構成されたステアリング装置100においては、共振が発生していない場合には、シミー現象に起因してステアリングホイール101に伝わる振動を電動モータ110にて打ち消すための電流であるシミー補償電流Irが目標電流Itに含まれるので、シミー現象に起因する振動が運転者に伝わることを抑制することができる。
また、以上のように構成された目標電流算出部20においては、常に、仮目標電流Itfにシミー補償電流Irを加算した電流が目標電流Itとして決定される。それゆえ、シミー現象に起因する大きな振動が発生していない場合にはシミー補償電流Irを零とすることが望ましい。本実施の形態に係るシミー補償電流設定部27のバンドパスフィルタ271aは、シミー現象に起因する振動が発生すると考えられる車速Vcに応じた中心周波数Frcを中心とする所定範囲の周波数帯域の信号のみを通し、他の周波数の信号は通さない。それゆえ、例えば、車速Vcに応じて中心周波数Frcを変更せずに、全ての車種や仕様をカバーする範囲の周波数帯域(例えば10〜20Hz)の信号を通すフィルタにてシミー現象に起因する振動の周波数の信号を抽出する場合と比較すると、本実施の形態に係るシミー補償電流設定部27は、通常操舵の周波数であってシミー現象に起因する振動が発生していない周波数域まで、過剰に検出し不要なシミー補償電流Irが付与されることを抑制することができる。
その結果、シミー現象に起因する振動が発生しない場合の操舵フィーリングが悪化することを抑制することができる。
また、上述したシミー補償電流設定部27においては、シミー補償電流算出部275が算出する算出シミー補償電流Ircは、トルク変化量算出部272にて算出された抽出トルクと逆位相となるトルク変化量に基づく値である。また、図4および図10に示すように、トルクセンサ109にて検出された検出トルクTとトルク変化量とが逆位相(逆符号(一方がプラスである場合は他方がマイナス))である場合には、ベース電流Ibとシミー補償電流Irとは逆符号(一方がプラスである場合は他方がマイナス)である。それゆえ、シミー補償電流設定部27は、シミー現象に起因して運転者に伝わる振動を電動モータ110にて打ち消すための電流を、精度高く算出することができる。
ただし、ベース電流Ibとシミー補償電流Irとが同符号となる場合、シミー補償電流Irは外乱トルクと同方向の回転トルクを加える電流となるため、ステアリングホイールの振動がかえって助長され、操舵フィーリングが悪化してしまうおそれがある。しかしながら、本実施の形態に係るシミー補償電流設定部27においては、トルクFFT部281及び電流FFT部282を備え、電流判断部283がトルクFFT部281及び電流FFT部282の算出値に基づいて算出シミー補償電流Ircが外乱トルクと同方向の回転トルクを加える電流となることを判断する。そして、算出シミー補償電流Ircが外乱トルクと同方向の回転トルクを加える電流になると電流判断部283が判断した場合には、シミー補償電流設定部27がシミー補償電流Irを例えば零に制限する。これにより、本実施の形態に係るステアリング装置100は、シミー補償電流Irが外乱トルクと同方向の回転トルクを加える電流となることに起因してステアリングホイールの振動がかえって助長され、操舵フィーリングが悪化してしまうことを抑制することができる。
なお、上述した実施形態においては、ステアリングホイール101に加えられた操舵トルクおよび前輪150を介してピニオンシャフト106に伝わる外乱トルクを検出するトルクセンサ109として、トーションバー112の捩れ量を基に検出するセンサを用いているが特に限定されない。例えば、磁歪に起因する磁気特性の変化に基づいてトルクを検出する磁歪式のセンサであってもよい。
また、上述した実施形態においては、シミー現象に起因する振動を抑制する制御を、ピニオン型の電動パワーステアリングに適用した場合について説明したが、特に限定されない。ダブルピニオン型やラックアシスト型など他の形式の電動パワーステアリング装置に適用してもよい。
10…制御装置、20…目標電流算出部、21…ベース電流算出部、25…仮目標電流決定部、27…シミー補償電流設定部、28…最終目標電流決定部、30…制御部、100…電動パワーステアリング装置、109…トルクセンサ、110…電動モータ、271…シミー周期抽出処理部、272…トルク変化量算出部、275…シミー補償電流算出部、276…リミット処理部、281…トルクFFT部、282…電流FFT部、283…電流判断部

Claims (7)

  1. 車両のステアリングホイールと連動して回転するステアリングシャフトと、
    転動輪を転動させるラック軸に対して回転することにより駆動力を加えるピニオンシャフトと、
    前記ステアリングシャフトから前記ピニオンシャフト間に作用するトルクを検出する検出手段と、
    前記ラック軸に駆動力を加える電動モータと、
    前記転動輪側から前記ステアリングホイール側へ伝わる外乱トルクを抑制するように前記電動モータを駆動させる外乱抑制駆動手段と、
    を備え、
    前記外乱抑制駆動手段は、前記検出手段にて検出された検出トルクに基づいて前記電動モータに供給する抑制電流を算出すると共に、当該算出した抑制電流が前記外乱トルクを抑制する方向とは反対方向のトルクを与えるように当該電動モータを駆動させるときには当該算出した抑制電流の絶対値が小さくなるように制限する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記外乱抑制駆動手段は、前記検出手段にて検出された検出トルクが許容範囲を超えて大きく、かつ、前記算出した抑制電流の位相が許容範囲を超えてずれている場合には前記抑制電流の絶対値を小さくする
    ことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記外乱抑制駆動手段は、前記検出手段にて検出された検出トルクを高速フーリエ変換することにより当該検出トルクの振動強度を算出し、当該算出した振動強度が所定閾値よりも大きい場合に、当該検出トルクが許容範囲を超えて大きいと判断する
    ことを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記外乱抑制駆動手段は、前記算出した抑制電流が前記外乱トルクを抑制する方向とは反対方向のトルクを与えるように前記電動モータを駆動させるときには、前記算出した振動強度が前記所定閾値よりも大きくなるのに反比例して当該算出した抑制電流の絶対値が小さくなるように制限する
    ことを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記外乱抑制駆動手段は、前記検出手段にて検出された検出トルクにおける所定範囲の周波数成分を通過させる通過部と、当該通過部にて通過させられた当該検出トルクと逆位相となる変化量に基づいて前記抑制電流を算出する算出部とを有する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記外乱抑制駆動手段は、前記算出部が算出した抑制電流を高速フーリエ変換することにより当該算出した抑制電流の位相を算出し、当該算出した位相と基準位相との位相差が所定角度よりも大きい場合に、当該算出した抑制電流の位相が許容範囲を超えてずれていると判断する
    ことを特徴とする請求項5に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記外乱抑制駆動手段は、前記検出手段にて検出された検出トルクに基づいて前記外乱トルクを抑制するために前記電動モータへ供給する前記抑制電流を設定し、
    前記検出手段にて検出された検出トルクに基づいて前記電動モータへ供給する目標電流のベースとなるベース電流を算出するベース電流算出手段と、
    前記ベース電流算出手段が算出した前記ベース電流と前記外乱抑制駆動手段が設定した前記抑制電流とに基づいて前記目標電流を決定する目標電流決定手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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