JP2010195097A - 電動パワーステアリング装置とその制御方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ステアリングホイールの操舵トルクを検出するトルクセンサと、ステアリングホイールに操舵補助力を与える電動モータと、電動モータへ実際に供給される実電流を検出するモータ電流検出部と、トルクセンサが検出した操舵トルクに基づいて電動モータに供給する目標電流を設定する目標電流算出部と、目標電流算出部が設定した目標電流とモータ電流検出部が検出する実電流とが一致するようにフィードバック制御を行うフィードバック制御部40と、目標電流が増加する場合にモータ電流検出部が検出する実電流を増加させるフィードフォワード制御を行い、目標電流の変動の周波数が低いほど実電流の増加量を小さくするバンドパスフィルタ52を有するフィードフォワード制御部50とを備える。
【選択図】図5
Description
この電動パワーステアリング装置は、制御装置にて制御される。制御装置は、電動モータの駆動を制御するために、先ず、操舵トルクや車速などに応じて電動モータに供給する目標電流を設定する。そして、設定した目標電流と実際に電動モータに流れる実電流とを一致させるべく、目標電流と実電流との偏差がゼロになるように、フィードバック制御を行う。
そして、前記フィードフォワード制御手段は、少なくともこの電動パワーステアリング装置を搭載する車両の車速あるいは前記操舵トルク検出手段が検出する操舵トルクの変化量のいずれかに応じて前記重み係数を設定する重み係数設定手段をさらに有することが好適である。
そして、前記重み係数設定手段は、前記車速が低いほど前記重み係数を大きくすることが好適である。
また、前記重み係数設定手段は、前記操舵トルクの変化量が小さいほど前記重み係数を大きくすることが好適である。
ここで、前記周波数補償手段は、所定の周波数のみを通すバンドパスフィルタであることが好適である。
図1は、実施の形態に係る電動パワーステアリング装置100の概略構成を示す図である。
電動パワーステアリング装置100(以下、単に「ステアリング装置100」と称する場合もある。)は、乗り物の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施の形態においては自動車に適用した構成を例示している。
また、ステアリング装置100は、電動モータ110に実際に流れる実電流の大きさおよび方向を検出する電流検出手段の一例としてのモータ電流検出部33(図4参照)と、電動モータ110の端子間電圧を検出するモータ電圧検出部160を有している。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等からなる算術論理演算回路である。
図2は、電動パワーステアリング装置100の制御装置10の概略構成図である。
制御装置10には、上述したトルクセンサ109にて検出された操舵トルクが出力信号に変換されたトルク信号Tdと、車速センサ170にて検出された車速が出力信号に変換された車速信号vとが入力される。
なお、制御装置10は、トルクセンサ109などからの検出信号がアナログ信号として入力されるので、図示しないA/D変換部によりアナログ信号をデジタル信号に変換し、CPUに取り込んでいる。
目標電流算出部20は、目標電流を設定する上で基準となるベース電流を算出するベース電流算出部21と、電動モータ110の慣性モーメントを打ち消すための電流を算出するイナーシャ補償電流算出部22とを備えている。また、目標電流算出部20は、モータの回転を制限する電流を算出するダンパー補償電流算出部23と、モータ電流信号Imおよびモータ端子間電圧信号Vmに基づいて電動モータ110の回転速度を算出するモータ回転速度算出部24とを備えている。また、目標電流算出部20は、ベース電流算出部21、イナーシャ補償電流算出部22、ダンパー補償電流算出部23などからの出力に基づいて最終的な目標電流を決定する最終目標電流決定部25を備えている。
このように、目標電流算出部20は、トルクセンサ109が検出した操舵トルクに基づいて電動モータ110に供給する目標電流を設定する目標電流設定手段の一例として機能する。
制御部30は、電動モータ110の作動を制御するモータ駆動制御部31と、電動モータ110を駆動させるモータ駆動部32と、電動モータ110に実際に流れる実電流を検出するモータ電流検出部33とを有している。
図5は、フィードバック(F/B)制御部40とフィードフォワード(F/F)制御部50のブロック図である。
フィードバック制御部40は、目標電流算出部20にて算出された目標電流とモータ電流検出部33にて検出された実電流との偏差を求める偏差演算部41と、その偏差がゼロとなるようにフィードバック処理を行うフィードバック(F/B)処理部42とを有している。
フィードバック(F/B)処理部42は、目標電流と実電流とが一致するようにフィードバック制御を行うものであり、例えば、入力された偏差信号41aに対して、比例要素で比例処理した信号を出力し、積分要素で積分処理した信号を出力し、加算演算部でこれらの信号を加算してフィードバック処理信号42aを生成・出力する。
フィードフォワード制御部50は、目標電流算出部20にて算出された目標電流に対してフィードフォワード処理を行うフィードフォワード(F/F)処理部51と、フィードフォワード(F/F)処理部51から出力された信号の周波数に応じてフィードフォワード効果を変化させる周波数補償手段の一例としてのバンドパスフィルタ(BPF)52とを有する。
さらに、フィードフォワード制御部50は、重み付け処理部53からの出力値53aとフィードバック制御部40からの出力値42aとを加算し、その値50aをPWM信号生成部60へ出力する加算器55を有している。
G(s)=Jm×s/(Jm×L×s2+Jm×R×s+Ke×Kt)・・・(1)
H(s)=(Jm×L×s2+Jm×R×s+Ke×Kt)/(Jm×s)・・・(2)
なお、sはラプラス変換の演算子である。
なお、f1は5Hz、f2は100Hzであることを例示することができる。f2を100Hzとすることにより、トルク信号Tdなどにノイズが混入した場合でも、そのノイズ成分の影響を受けてステアリングホイール101の操舵フィーリングに悪影響を与えることを抑制することができる。なお、バンドパスフィルタ(BPF)52に変えて、適宜ローパスフィルタ(LPF)および/又は、ハイパスフィルタ(HPF)を介装してもよい。
重み係数設定部54は、車速信号vに基づいて重み係数αを算出する。図7は、重み係数αと車速との関係を示す図である。予め経験則に基づいて車速に応じた最適な重み係数αを図7に示すように導き出しておく。そして、重み係数設定部54は、予め作成しROMに記憶しておいた、車速信号vと重み係数αとの対応を示すマップ、あるいは車速信号vと重み係数αとの関係式に、車速信号vを代入することにより重み係数αを算出し、設定する。
図9は、ステップ応答の比較を示す図である。
図9では、目標電流算出部20にて算出された目標電流をステップ関数とした場合の、本実施の形態の制御部30のフィードフォワード制御部50およびフィードバック(F/B)制御部40からの出力値50aのステップ応答を実線で示している。また、本実施の形態のフィードフォワード制御部50から、バンドパスフィルタ52と重み付け処理部53と重み係数設定部54とを排除したシステム(第1の比較システム)における出力値50aのステップ応答を一点鎖線で示している。また、本実施の形態の制御部30からフィードフォワード制御部50を排除、つまりフィードバック制御部40のみを設けたシステム(第2の比較システム)におけるフィードバック制御部40からの出力値のステップ応答を破線で示している。そして、これらのステップ応答を太い実線(太線)で示した目標電流のステップ応答と比較している。
また、図8に示すようにトルク変動に応じた重み係数αを決定することにより、車庫入れ時など比較的緩やかにステアリングホイール101の操作が行われるときに応答性が向上する。他方、急ハンドル時には応答性が緩和されるので安全である。
Claims (8)
- ステアリングホイールの操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
前記ステアリングホイールに操舵補助力を与える電動モータと、
前記電動モータへ実際に供給される実電流を検出する電流検出手段と、
前記操舵トルク検出手段が検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータに供給する目標電流を設定する目標電流設定手段と、
前記目標電流設定手段が設定した目標電流と前記電流検出手段が検出する実電流とが一致するようにフィードバック制御を行うフィードバック制御手段と、
前記目標電流が増加する場合に前記電流検出手段が検出する実電流を増加させるフィードフォワード制御を行い、当該目標電流の変動の周波数が低いほど当該実電流の増加量を小さくする周波数補償手段を有するフィードフォワード制御手段と、
を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記フィードフォワード制御手段は、予め定められた重み係数を乗算することにより前記実電流の増加量を増減させる重み付け処理手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記フィードフォワード制御手段は、少なくともこの電動パワーステアリング装置を搭載する車両の車速あるいは前記操舵トルク検出手段が検出する操舵トルクの変化量のいずれかに応じて前記重み係数を設定する重み係数設定手段をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記重み係数設定手段は、前記車速が低いほど前記重み係数を大きくすることを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記重み係数設定手段は、前記操舵トルクの変化量が小さいほど前記重み係数を大きくすることを特徴とする請求項3又は4に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記周波数補償手段は、所定の周波数のみを通すバンドパスフィルタであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
- ステアリングホイールの操舵トルクを検出し、当該ステアリングホイールに操舵補助力を与える電動モータへ実際に供給される実電流を検出し、検出した操舵トルクに基づいて当該電動モータに供給する目標電流を設定し、当該目標電流と当該実電流とが一致するようにフィードバック制御を行い、当該目標電流が増加する場合に当該実電流を増加させるフィードフォワード制御を行い、当該フィードフォワード制御を行う際に、当該目標電流の変動の周波数が低いほど当該実電流の増加量を小さくすることを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御方法。
- コンピュータに、
ステアリングホイールの操舵トルクを検出する機能と、
前記ステアリングホイールに操舵補助力を与える電動モータへ実際に供給された実電流を検出する機能と、
前記操舵トルクを検出する機能が検出する操舵トルクに基づいて前記電動モータを駆動する目標電流を設定する機能と、
前記目標電流を設定する機能が設定した目標電流と前記実電流を検出する機能が検出する実電流とが一致するようにフィードバック制御を行う機能と、
前記目標電流が増加する場合に前記電流検出手段が検出する実電流を増加させるフィードフォワード制御を行い、当該目標電流の変動の周波数が低いほど当該実電流の増加量を小さくする機能と
を実現させるためのプログラム。
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