以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかるレーザー光を用いた接合方法によって接合された接合品1を示すものである。この接合品1は、例えば、化粧品用ケース、住設用又は電器製品用外装部材等として用いられるものであり、該外装部材の表側を構成する透光部材(第1部材)10と、裏側を構成する裏側部材(第2部材)20とを重ね合わせてなるものであり、透光部材10の裏面には透光部材10の一部を構成する意匠層30が設けられている。透光部材10と裏側部材20とはレーザー接合用中間部材40によって接合されている。
裏側部材20は、レーザー光を透過するレーザー光透過性を有する材料で構成された板状の部材か、レーザー光を通さないレーザー光非透過性を有する材料で構成された板状の部材である。ここで、レーザー光透過性とは、レーザー光を透過する性質のことであり、加熱源としてのレーザー光を15%以上透過する性質をいい、レーザー光の全てを透過するものも含む。このような性質を持つ材料としては、例えばプラスチック、ガラス、薄い金属酸化物皮膜等の材料である。逆に、レーザー光非透過性とは、レーザー光を吸収するレーザー光吸収性のことであり、加熱源としてのレーザー光を一部透過及び/又は反射しても残りを吸収する性質をいい、レーザー光の全てを吸収するものも含む。このような性質を持つ材料としては、例えば、金属、セラミックスの他、樹脂やゴムに顔料や染料を混合した材料もある。レーザー光非光透過性としては、例えば、波長940nmのレーザー光の透過率が15%未満であることが好ましい。本実施形態1では、裏側部材20は金属材料で構成されている。
透光部材10は、無色透明で、レーザー光を通すレーザー光透過性を有する材料で構成された板状の部材である。レーザー光透過性とは、加熱源としてのレーザー光を殆ど反射も吸収もせずに透過させるか、レーザー光を一部透過及び/又は反射しても溶融することなく、残りのレーザー光を透過させることのできる性質をいい、レーザー光の全てを透過させるものも含む。
透光部材10は、例えば熱可塑性樹脂で構成することができ、具体的には、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE、UHDPE、Polyethylene)、ポリプロピレン(PP Co-Polymer、PP Homo-Polymer、PP Ter-Polymer)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、スチレンアクリロニトリル樹脂(SAN)、K-レジン、SBS樹脂(SBS block co-polymer)、PVDC樹脂、EVA樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド(PA、PA6、PA66、PA46、PA610、PA612、PA6/66、PA6/12、PA6T、PA12、PA1212、PAMXD6)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフ夕レート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエチレンナフタリン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリチオエチルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルイミドなどが挙げられる。
その他、極性官能基が化学的に結合した変性樹脂も含み、具体的には、アクリル酸変性オレフィン樹脂、マレイン酸変性オレフィン樹脂、塩化変性オレフィン樹脂(CPP、CPE)、シラン変性オレフィン樹脂、アイオノマー樹脂、ナイロン変性オレフィン樹脂、エポキシ変性樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂(EVOH)、エチレンビニールアセテート樹脂、ホットメルト接着樹脂などの樹脂が挙げられ、これらと上記熱可塑性樹脂の混合物または組合物であってもよい。
透光部材10は、熱可塑性エラストマーであってもよく、具体的には、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、イソプレン系エラストマー、イオンクラスターと非晶性PE系のエラストマー(商品例:三井・デュポン ポリケミカル製ハイミラン)、塩素化PEと非晶性PE系のエラストマー(商品例:三菱化学製ミラプレーン)、フッ素系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、アクリル系エラストマー等が挙げられる。
透光部材10は熱硬化性樹脂であってもよく、具体的には、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。
透光部材10は、熱硬化性を有するゴムであってもよく、具体的には、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム及びシリコンゴム等が挙げられる。
また、上述した熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に補強材や充填材を混合して作った複合樹脂で透光部材10を構成してもよい。
上記樹脂、エラストマーに対しては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、導電剤、核剤、離型剤、難燃剤、帯電防止剤、加工調剤、着色及び機能性顔料または染料、架橋剤、可塑剤及び加硫剤からなる群から選択された少なくとも一つを混合することも可能である。着色顔料や染料を混合する場合は、所定のレーザー光透過性を確保できる程度の量とする。
透光部材10は、上記樹脂の他、例えば、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス等で構成してもよい。また、強化ガラス、合わせガラス、積層ガラス等であってもよい。レーザー光透過性としては、例えば、波長940nmのレーザー光の透過率が20%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50%以上である。尚、透光部材10は、無色に限られるものではなく、薄く着色されていてもよく、意匠層30を表側から見ることのできる透光性を有していればよい。
裏側部材20及び透光部材10の厚みは、外装部材の種類等により異なるが、数mm程度である。また、裏側部材20をレーザー光透過性部材からなるものとしてもよい。
透光部材10の裏面である裏側部材20側の面には、透光部材10の表側に意匠が現れるように意匠層30が設けられている。この意匠層30は、染料や顔料を含むインクを透光部材10の裏面に付着させることによって形成された印刷塗膜からなるものであり、透光部材10の表側から視認可能となっている。
インクの硬化性化合物については、例えば、アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、カルボキシル基変性エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、不飽和ポリエステル樹脂、共重合系アクリレート、ポリアクリルアクリレート、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
硬化性インクは、例えば、自然乾燥硬化タイプ、焼付け乾燥による熱硬化タイプ、硬化剤を用いる二液型の反応硬化タイプ、紫外線や電子線などで硬化させる放射光硬化タイプ、漆などが挙げられる。融点以下のレーザー照射条件に限り熱可塑性であっても問題ない。また、染料としては、レーザー光の非透過性を有するものであればよく、アカネ、ベニバナなどの天然染料、反応、硫化、ナフトールなどの合成染料、蛍光染料など種類は問わない。また、顔料としては、レーザー光の非透過性を有するものであればよく、例えば、カーボンブラックや複合酸化物系顔料等の無機顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、レーキ顔料、多環式系顔料等の有機顔料が挙げられ、レーザー光の波長に対応した非透過性を有する各種顔料を使用できる。意匠層30を印刷塗膜で形成したことで、精緻な意匠が得られる。印刷方法としては、例えば、凸版印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、シルク印刷、グラビア印刷、レーザー印刷、インクジェット印刷等、各種印刷方法を用いることができる。
また、意匠層30によって構成される意匠は、例えば、文字、図形、記号、絵、グラデーションパターン、単色による塗りつぶし、又はこれらを組み合わせたもの等、様々な形態がある。また、意匠層30の厚みとしては、例えば、1μm以上100μm以下であるが、この範囲に限られるものではない。また、意匠層30におけるレーザー光非透過性としては、例えば、波長940nmのレーザー光の透過率が15%未満であることが好ましい。
尚、意匠層30は、上記のように印刷塗膜で形成するもの以外にも、例えば、蒸着膜、フィルムの貼り付け、プライマーの塗布等で形成することも可能である。蒸着膜の場合は、意匠層30は極めて薄くなる。また、意匠層30の全部がレーザー光非透過性である必要はなく、裏側部材20と透光部材10との接合部分に対応する一部のみがレーザー光非透過性であってもよい。
裏側部材20の表面である透光部材10側の面には、レーザー接合用中間部材40が設けられており、このレーザー接合用中間部材40は意匠層30に隣接している。
図2に示すように、レーザー接合用中間部材40は、フィルムからなる基材41と、基材41の両面にそれぞれ設けられた表側接合層42及び裏側接合層43とを有している。基材41は、例えばポリエチレンテレフタレート等の樹脂材からなるものであり、この実施形態1では厚みを38μmとしているが、これに限られるものではない。基材41は、レーザー光吸収剤を含有していない。
レーザー接合用中間部材40の表側接合層42は透光部材10に接合するものであり、一方、裏側接合層43は裏側部材20に接合するものである。表側接合層42及び裏側接合層43は基材41から剥離しないように基材41と一体化している。
表側接合層42及び裏側接合層43の材料は同じであっても異なっていてもよく、また、厚みは共に100μmに設定されているが、厚みはこれに限られるものではない。また、表側接合層42及び裏側接合層43の厚みは互いに異ならせてもよい。
以下、表側接合層42について詳細に説明する。表側接合層42は、レーザー光で加熱された意匠層30の熱によって溶融するホットメルト材で構成されており、常温付近でゴム弾性を示す高分子物質(粘着付与剤やエラストマー)のうち、熱可塑性を有するものが好ましい。すなわち、レーザー接合用中間部材40の表側接合層42の材料としては、上記した粘着付与剤や熱可塑性エラストマーや、架橋ゴム等を使用することができ、特に限定されないが、粘着付与剤としてはゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、イソプレン系エラストマー、イオンクラスターと非晶性PE系のエラストマー(商品例:三井・デュポン ポリケミカル製ハイミラン)、塩素化PEと非晶性PE系のエラストマー(商品例:三菱化学製ミラプレーン)、フッ素系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、アクリル系エラストマー等が挙げられる。熱可塑性エラストマーはゴム系粘着付与剤のベースとしても一般的であり、特に限定されないがタッキファイヤやオイル、液状オリゴマー、架橋剤等を配合することで粘着付与剤になり得る。
タッキファイヤとしては、具体的に、例えばロジン系粘着付与樹脂である、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)や、これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合などにより変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの他、その他の化学的に修飾されたロジンなど)の他、各種のロジン誘導体などが挙げられる。前記ロジン誘導体としては、例えば、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物や、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなどの変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物などのロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)、不飽和脂肪酸変性ロジン類や不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩などが挙げられる。また、ロジン誘導体としては、ロジン類(未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体など)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール樹脂なども用いることができる。
テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン系樹脂や、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性など)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペン−フェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂など)などが挙げられる。
炭化水素系粘着付与樹脂としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂[炭素数4〜5のオレフィンやジエン(ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1等のオレフィン;ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン等のジエンなど)などの脂肪族炭化水素の重合体など]、芳香族系炭化水素樹脂[炭素数が8〜10であるビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン、メチルインデンなど)の重合体など]、脂肪族系環状炭化水素樹脂[いわゆる「C4石油留分」や「C5石油留分」を環化二量体化した後重合させた脂環式炭化水素系樹脂、環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテンなど)の重合体又はその水素添加物、芳香族系炭化水素樹脂や脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂など]、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン−オレフィン系共重合体など)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂などの各種の炭化水素系の樹脂が挙げられる。オイルとしては大別されるパラフィン系、ナフテン系、アロマ系から選べばよい。
液状オリゴマーとしては、アクリル系、スチレン系、ポリイソプレンやブタジエンなどのゴム系、ポリエステル系、その他分子量数百〜数千程度の高粘度の重合体から選択する。その他必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、導電剤、核剤、離型剤、難燃剤、帯電防止剤、加工調剤、着色及び機能性顔料または染料、架橋剤、可塑剤及び加硫剤からなる群から選択された少なくとも一つを使用することが好ましい。
また、架橋ゴムとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム及びシリコンゴム等が挙げられる。これらの架橋ゴムには必要に応じていろいろな添加剤が配合されていてもよい。例えば、芳香族メルカプタン系、芳香族ジスルフィド系、芳香族メルカプタン亜鉛系の素練り促進剤、有機酸系、ニトロソ化合物系、スルフェンアミド系のスコーチ防止剤、パラフィン系、芳香族系、ナフテン系、液状ゴム系の可塑剤、ロジン誘導体系、テルペン系の天然樹脂系粘着付与剤やクマロン(インデン)樹脂系、石油樹脂系、アルキルフェノール樹脂系、キシレン・ホルムアルデヒド系樹脂等の合成樹脂系粘着付与剤、ハロゲン系、金属水和物系、シリコン系、リン系難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、架橋剤、架橋助剤、加硫もどり防止剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤といった一般的なゴムプラスチック配合薬品が挙げられる。
レーザー接合用中間部材40の表側接合層42の溶融温度は、意匠層30の溶融温度及び分解温度よりも低く設定されている。
尚、粘着剤や架橋ゴムをレーザー接合用中間部材40の表側接合層42の材料とする場合には、レーザー光による溶着性が低下してしまうのを回避する理由から、架橋の程度が低い方が好ましい。
レーザー接合用中間部材40の表側接合層42を構成するホットメルト材としては、より具体的には、例えば常温で弾性を有するアクリル系のブロックポリマーが好ましい。また、ホットメルト材としては、例えば、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、SEBS(スチレン−水添ブタジエン−スチレン)等であってもよい。
レーザー接合用中間部材40の表側接合層42には、熱伝導性フィラーが混合されている。熱伝導性フィラーとしては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化ニオブ等の無機窒化物等がある。
その他熱伝導性フィラーとして、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム等とそのウィスカー、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、炭化ケイ素、セラミック、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、シリカ、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、モンモリロナイト、マイカ、雲母、ネフェリンシナイト、タルク、アタルバルシャイト、ウォラストナイト、PMF、フェライト、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、二硫化モリブデン、黒鉛、石こう、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン、石英、石英ガラスなどが挙げられる。また使用するフィラーは中空であってもよい。また、これらのフィラーは2種以上を併用することが可能であり、必要によりシラン系、チタン系などのカップリング剤で予備処理して使用することができる。
また、熱伝導性のフィルムやクロス、アルミニウム箔、銅箔等を、レーザー接合用中間部材40の一部として用いてもよい。アルミニウム箔の厚さは例えば50μm程度が好ましく、また、銅箔の厚さは例えば30μm程度が好ましい。また、アルミニウム箔や銅箔に限られるものではなく、各種金属フィルムやシートをレーザー接合用中間部材40の一部として用いてもよい。
さらに、レーザー接合用中間部材40の裏側接合層43は、レーザー光を吸収するレーザー光吸収剤を含有している。この実施形態1では、レーザー光吸収剤は、裏側接合層43にのみ含有させている。
レーザー光吸収剤としては、例えば、黒色の吸収剤では、無機顔料としてカーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、グラファイトや金属酸化物のマグネタイト、チタンブラック、酸化クロム等があり、有機顔料としてはアゾ顔料、多環式系顔料等が挙げられる。
また、近赤外領域の波長を吸収する吸収剤もレーザー光吸収剤として使用することができ、例えば、ミアニン色素、チオニールニッケル錯体、ビス−[ミス1,2トルイル]エチレン−1,2ジチオレートニッケル、ビス−[1クロロ−3,4ジチオレート]ニッケル・テトラブチルアンモニウム等の金属錯体を好適に使用でき、また、830nmに最大吸収波長を有するジエチルアミノナフトールスクアリリウム、ジメチルアミノナフトールスクアリリウム等のスクアリリウム色素も使用できる。さらに、ポリメチン系色素、(ジ)インモニウム系色素、フタロシアニン系色素、トリアリルメタン系色素、ナフトキノン系色素等を好適に使用することができる。
尚、レーザー吸収剤は、これらに限られるものではなく、レーザー光を吸収して発熱する材料であれば溶解または分散させて使用できる。
レーザー接合用中間部材40の表側接合層42及び裏側接合層43は、粘着性付与剤を含有している。粘着性付与剤は、表側接合層42にのみ含有させてもよいし、裏側接合層43にのみ含有させてもよい。
粘着性付与剤を含有させることにより、レーザー接合用中間部材40の裏側部材20側の面及び透光部材10側の面は、粘着性を有することになる。従って、レーザー接合用中間部材40は、裏側部材20及び透光部材10に粘着する。レーザー接合用中間部材40の粘着力は、JIS Z0237の10.4に基づいて測定したSUS304板に対する180度引きはがし粘着力が0.1N/25mm以上となるように設定されている。
粘着性付与剤としては、上記したものが挙げられる。
レーザー接合用中間部材40の表側接合層42と意匠層30の樹脂組成はSP値(溶解性パラメータ)が近いほど相溶性が良く両者の接合強度が高まるので好ましく、また、裏側接合層43と裏側部材20の樹脂組成はSP値が近いほど相溶性が良く両者の接合強度が高まるので好ましい。
次に、上記接合品1の製造要領について説明する。まず、透光部材10の裏面に意匠層30を形成する。この工程では、顔料を含む着色インクを印刷機等によって透光部材10の裏面に付着させる。
尚、意匠層30を蒸着膜とする場合には、蒸着装置によって金属等の蒸着物を透光部材10の裏面に蒸着させる。また、意匠層30をフィルムとする場合には、フィルムを透光部材10の裏面に貼り付ける。さらに、意匠層30をプライマーとする場合には、プライマーを透光部材10の裏面に塗布する。
上記の工程が、透光部材10に、透光部材10の表側に意匠が現れるようにレーザー光非透過性の意匠層30を設ける工程である。
また、裏側部材20に、例えば、UV(紫外線)、EB(電子線)、オゾン等を照射してもよい。こうすることによってレーザー光照射後の接着力を向上させることもできる。
そして、図3に示すように、裏側部材20の表側にレーザー接合用中間部材40の裏側接合層43が重なるようにレーザー接合用中間部材40を裏側部材20に重ねる。このとき、レーザー接合用中間部材40の裏側接合層43が粘着性を有しているので、レーザー接合用中間部材40が裏側部材20に仮固定された状態となり、レーザー接合用中間部材40の位置ずれが抑制される。
その後、図3に示すように、レーザー光Lをレーザー接合用中間部材40の表側接合層42側からレーザー接合用中間部材40に照射する。これが第1レーザー光照射である。このレーザー光Lを照射する装置は、周知の装置を利用することができる。レーザー光Lの種類としては、例えば、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザー等のいずれでもよく、レーザー光Lの種類は限定されない。レーザー光Lの種類は、裏側部材20の材料や厚さ等に応じて適宜選択できる。また、レーザー光Lは、1つの波長からなるものであってもよいし、2つ以上の波長を有するものであってもよい。
レーザー接合用中間部材40の表側接合層42及び基材41がレーザー光吸収剤を含有していないので、レーザー光Lの殆どは、表側接合層42及び基材41を透過して裏側接合層43に吸収される。レーザー光Lを吸収した裏側接合層43は発熱する。また、レーザー光Lのうち、裏側接合層43を通過したレーザー光Lがある場合、裏側部材20がレーザー光吸収剤を含んでいれば裏側部材20に吸収され、裏側部材20が発熱する。
これにより、裏側接合層43が溶融又は軟化し、裏側部材20の表面に沿うように変形して密着し、レーザー接合用中間部材40が裏側部材20に接合する。図3において白丸で示す部分はレーザー光Lによって主に加熱される部分である。
裏側部材20には意匠層30が無く、意匠層30の溶融や分解の恐れがないので、第1レーザー光照射時のレーザー光Lの出力は強めに設定することができる。これにより、裏側接合層43を確実に溶融又は軟化させることができる。
その後、図4に示すように、透光部材10をレーザー接合用中間部材40の表側接合層42に重ねる。このとき、レーザー接合用中間部材40の表側接合層42が粘着性を有しているので、透光部材10と裏側部材20とをクランプしなくても両者の位置ずれを抑制できる。
尚、透光部材10と裏側部材20とを厚み方向にクランプしてもよく、クランプすることで、レーザー光Lが照射されたときの発熱による透光部材10及び裏側部材20の膨張、透光部材10及び裏側部材20の間の気泡の発生を抑制できるので、接合の信頼性をより向上できる。
その後、図4に示すように、レーザー光Lを透光部材10側から意匠層30へ向けて照射する。これが第2レーザー光照射である。第2レーザー光照射は、第1レーザー光照射と同じ装置で行うことができる。第2レーザー光照射のレーザー光Lの出力は、第1レーザー光照射時のレーザー光Lの出力よりも低く、例えば、数W程度に設定するのが好ましい。
この第2レーザー光照射時のレーザー光Lの出力は、透光部材10を透過して意匠層30に到達したレーザー光Lによって意匠層30が溶融又は分解しない程度の出力であればよい。また、レーザー光Lの走査速度についても、意匠層30が溶融又は分解しない程度の速度に設定されている。接合範囲がレーザー光Lの照射径よりも広い場合には、必要に応じてレーザー光源又は接合対象物(裏側部材20、中間部材40及び透光部材10)を移動させながらレーザー光Lの照射を行ってもよい。
照射されたレーザー光Lは、透光部材10を透過して意匠層30に到達する。意匠層30に到達したレーザー光Lは、意匠層30に吸収され、意匠層30が加熱される。意匠層30の温度は、レーザー光Lの出力が上記したように低出力に設定されているので、意匠層30の溶融又は分解温度を超えない温度となる。図4において白丸で示す部分はレーザー光Lによって主に加熱される部分である。
意匠層30の熱は隣接するレーザー接合用中間部材40に伝わる。レーザー接合用中間部材40には熱伝導性フィラーが混合されているので、意匠層30の熱がレーザー接合用中間部材40の全体に伝わりやすい。レーザー接合用中間部材40の表側接合層42が溶融温度となるまで加熱されて溶融又は軟化する。表側接合層42が溶融又は軟化すると、透光部材10の意匠層30に密着して接合する。このとき、レーザー光Lの出力が上記のように設定されているので、意匠層10は溶融又は分解しない。
レーザー光Lの一部(照射されたレーザー光Lのうちの数%)は、意匠層30を透過することがある。意匠層30を透過した僅かなレーザー光Lはレーザー接合用中間部材40に到達する。このレーザー接合用中間部材40にレーザー光吸収剤が混合されているので、意匠層30を透過したレーザー光Lはレーザー接合用中間部材40に吸収される。このことによっても、レーザー接合用中間部材40が僅かではあるが加熱されるので、レーザー光Lを有効に利用できる。
上記のように、本実施形態1にかかる接合方法によれば、第2レーザー光照射時のレーザー光Lが数W程度の低出力で済むので、透光部材10が熱によって損傷(焦げや変形)してしまうのを抑制できる。よって、本接合方法の用途は広い。
そして、レーザー光Lの照射を終了した後、レーザー接合用中間部材40を冷却する。これによりレーザー接合用中間部材40が固化し、裏側部材20と透光部材10とが接合されて接合品1が得られる。この接合品1を透光部材10の表側から見ると、意匠層30の意匠が透光部材10を通して奥の方に見えることになり、意匠に深みが出る。この意匠層30は溶解していないので、見栄えは良好である。
また、レーザー光Lの照射によって透光部材10と裏側部材20とを溶着する際には、加熱された後、冷却されるという、熱サイクルを受ける。このとき、透光部材10と裏側部材20との線膨張係数の違い等が原因となって接合界面に応力が生じることがある。このことに対しては、レーザー接合用中間部材40が粘着剤やエラストマーを含有していることから、変形によって接合界面の応力を緩和することができる。これにより、接合強度の低下や剥がれを防止できる。
また、得られた接合品1には、使用時に熱的なストレスや機械的な力が加わることによって透光部材10と裏側部材20との接合界面に応力が発生することがあるが、このような応力もレーザー接合用中間部材40の存在によって緩和することができる。従って、接合品1を長期間に亘って使用しても所定の接合強度を維持することができる。
以上説明したように、この実施形態1にかかる接合方法によれば、第1レーザー光照射によってレーザー接合用中間部材40を裏側部材20に接合した後に、透光部材10をレーザー接合用中間部材40に重ねて第2レーザー光照射を行い、意匠層30が溶融及び分解する温度を超えない所定温度となるまで意匠層30を加熱してレーザー接合用中間部材40と透光部材10とを接合するようにしている。これにより、透光部材10と裏側部材20との間に意匠層30を介在させる場合に、意匠層30の溶融及び分解を回避しながら、透光部材10と裏側部材20との接合強度を十分に高めることができる。
また、レーザー接合用中間部材40における裏側部材20側の接合層43にレーザー光吸収剤を含有させたので、裏側部材20がレーザー光を透過又は反射する場合であっても、透光部材10と裏側部材20とを接合することができる。
また、レーザー接合用中間部材40をレーザー光Lの照射前に透光部材10や裏側部材20に粘着させるようにしたので、仮固定等が困難な場合でも透光部材10と裏側部材20とを確実に接合することができる。
また、レーザー接合用中間部材40をホットメルト材としたので、接着強度が十分に得られる。
また、レーザー接合用中間部材40に熱伝導性フィラーを混合したので、意匠層30の熱がレーザー接合用中間部材40の全体に伝わりやすくなり、レーザー接合用中間部材40を確実に溶融させて接合が確実に行えるようになる。
また、レーザー接合用中間部材40は、意匠層30の熱によって溶融又は分解させることなく、単に軟化させるようにしてもよい。これはレーザー光の出力やレーザー接合用中間部材40の材料を変更すること等で可能である。レーザー接合用中間部材40を軟化させることによっても、中間部材40を裏側部材20及び透光部材10に密着させることができるので、確実に接着できる。
また、レーザー接合用中間部材40は、粘着テープで構成してもよい。この場合、中間部材40を軟化させて密着させることで接合部分に気泡が存在するのを抑制でき、気密性及び水密性が向上する。特に、幅の狭い粘着テープでは、気密性及び水密性が向上するという効果が顕著に現れる。
また、レーザー接合用中間部材40の表側接合層42にレーザー光吸収剤を含有させ、裏側接合層43にはレーザー光吸収剤を含有させなくてもよい。この場合もレーザー光Lをレーザー接合用中間部材40に照射することで裏側接合層43を溶融等させることができる。また、表側接合層42と裏側接合層43とにレーザー光吸収剤を含有させてもよい。
また、上記実施形態1では、レーザー接合用中間部材40を3層構造としているが、これに限らず、例えば2層構造にしてもよい。
(実施形態2)
図5〜7は、本発明の実施形態2にかかるものである。この実施形態2では、レーザー接合用中間部材40を1層構造としている点で上記実施形態1と異なっており、透光部材10及び裏側部材20は実施形態1と同じである。
実施形態2のレーザー接合用中間部材40は、実施形態1のレーザー接合用中間部材40の裏側接合層43の材料と同じ材料で構成されている。
次に、実施形態2にかかる製造要領について説明する。
まず、実施形態1と同様に、裏側部材20の表側にレーザー接合用中間部材40の裏側が重なるようにレーザー接合用中間部材40を裏側部材20に重ねる(図6参照)。このとき、レーザー接合用中間部材40が粘着性を有している場合には、レーザー接合用中間部材40が裏側部材20に仮固定された状態となり、レーザー接合用中間部材40の位置ずれが抑制される。
その後、レーザー光Lをレーザー接合用中間部材40の表側からレーザー接合用中間部材40に照射する。これが第1レーザー光照射である。
レーザー接合用中間部材40がレーザー吸収剤を含有しているので、レーザー光はレーザー接合用中間部材40に吸収される。レーザー光Lを吸収したレーザー接合用中間部材40は発熱する。
これにより、レーザー接合用中間部材40が溶融又は軟化し、裏側部材20の表面に沿うように変形して密着し、レーザー接合用中間部材40が裏側部材20に接合する。図6において白丸で示す部分はレーザー光Lによって主に加熱される部分である。
裏側部材20には意匠層30が無く、意匠層30の溶融や分解の恐れがないので、第1レーザー光照射時のレーザー光Lの出力は強めに設定することができる。これにより、レーザー接合用中間部材40を確実に溶融又は軟化させることができる。
その後、図7に示すように、透光部材10をレーザー接合用中間部材40の表側に重ねる。このとき、レーザー接合用中間部材40が粘着性を有している場合には、透光部材10と裏側部材20とをクランプしなくても両者の位置ずれを抑制できる。
その後、レーザー光Lを透光部材10側から意匠層30へ向けて照射する。これが第2レーザー光照射である。
照射されたレーザー光Lは、透光部材10を透過して意匠層30に到達する。意匠層30に到達したレーザー光Lは、意匠層30に吸収され、意匠層30が加熱される。図7において白丸で示す部分はレーザー光Lによって主に加熱される部分である。
意匠層30の熱は隣接するレーザー接合用中間部材40に伝わる。レーザー接合用中間部材40には熱伝導性フィラーが混合されているので、意匠層30の熱がレーザー接合用中間部材40の全体に伝わりやすい。レーザー接合用中間部材40が溶融温度となるまで加熱されて溶融又は軟化する。これにより、透光部材10の意匠層30に密着して接合する。
上記のように、本実施形態2にかかる接合方法によれば、実施形態1と同様に、透光部材10が熱によって損傷(焦げや変形)してしまうのを抑制できる。
そして、レーザー光Lの照射を終了した後、レーザー接合用中間部材40を冷却する。これによりレーザー接合用中間部材40が固化し、裏側部材20と透光部材10とが接合されて接合品1が得られる。この接合品1を透光部材10の表側から見ると、意匠層30の意匠が透光部材10を通して奥の方に見えることになり、意匠に深みが出る。この意匠層30は溶解していないので、見栄えは良好である。
以上説明したように、この実施形態2にかかる接合方法によれば、実施形態1と同様に、意匠層30の溶融及び分解を回避しながら、透光部材10と裏側部材20との接合強度を十分に高めることができる。
また、本発明にかかる接合方法は、化粧品用ケース、住設用又は電気製品用外装部材以外にも、各種接合品を製造する場合に適用できる。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、様々な実施例がある。
(実施例1)
第1部材
第1部材10は、厚み2mmの透明ポリカーボネート製の板材とした。意匠層30は、ポリカーボネート板の裏面に、UVスクリーンインクの黒(十条ケミカル株式会社製:レイキュアGA4100)をスクリーン印刷により印刷した後、紫外線を照射して硬化させることによって得た。意匠層30の厚みは10μmであり、意匠層30の形成範囲は、60mm×60mmである。透光部材10における意匠層30を有する部分のレーザー光の透過率は、4%であった。
第2部材
第1部材20は、厚み2mmのステンレス鋼(SUS304)製の板材とした。
中間部材の作製
アクリル系エラストマー(株式会社クラレ製LA2250)50重量部と、粘着付与剤(荒川化学工業株式会社製SE−A−115)50重量部とをトルエン100重量部に投入した後、攪拌溶解して粘着剤組成物溶液を作製した。
この粘着剤組成物の固形分に対して0.5重量%になるようカーボンブラック(エボニックデグサジャパン株式会社製 PRINTEK 35)を加えてロールミルで分散し、レーザー吸収性粘着剤組成物溶液とした。
上記溶液を離型処理済みのPETフィルム(株式会社フジコー製SKB−2)の上に、乾燥後の膜厚が100μmになるようにアプリケーターで塗布した。尚、PETフィルムの厚みは、38μmである。
溶液の塗布後の離型処理済みフィルムを、庫内温度が70℃のオーブンに10分間入れて溶液を乾燥させ、離型処理済みフィルム上に1層構造のレーザー接合用中間部材40を得た(図8(a)参照)。
第1レーザー光照射
離型処理済みフィルム上のレーザー接合用中間部材40を、50mm×50mmの四角形枠状となるようにカッターを用いて切り抜いた(図8(b)参照)。枠の幅は1mmである。
枠状に成形したレーザー接合用中間部材40を離型処理済みフィルムに付けたまま、第1部材20に重ねて貼り付けた。その上に10mm厚のガラス板を置いて、5kgのクランプ圧をかけた。
その後、ガラス板の表側からレーザー光を照射した(第1レーザー光照射)。レーザー光の焦点は、レーザー接合用中間部材40に合わせた。また、レーザー光の波長は940nm、出力は10Wであり、走査速度は500mm/minである。
第2レーザー光照射
第1レーザー光照射の後、ガラス板を取り除くとともに、離型処理積みフィルムをレーザー接合用中間部材40から剥がした。その後、意匠層30がレーザー接合用中間部材40に接するように第2部材20を置き、第2部材20をレーザー接合用中間部材40に貼り付けた。
その後、第1レーザー光照射と同様に、ガラス板を第2部材20の表側に置き、クランプ圧をかけた。
次いで、ガラス板の表側からレーザー光を照射した(第2レーザー光照射)。レーザー光の焦点は、レーザー接合用中間部材40に合わせた。また、レーザー光の波長は940nm、出力は3Wであり、走査速度は500mm/minである。
このとき意匠層30は変色や損傷することはなかった。
(実施例2)
実施例2では、第1部材10及び第2部材は実施例1と同じである。
また、レーザー接合用中間部材40の作製時、カーボンブラックを含有させていない粘着剤組成物溶液を、離型処理していない厚み38μmのPETフィルム(東レ株式会社製ルミラーS10)の上に、乾燥後の膜厚が100μmとなるようにアプリケーターで塗布した。その後、実施例1と同様にオーブンで乾燥し、第1部材20側の接合層(表側接合層)を得た。上記離型処理していないPETフィルムは、本発明の基材に相当する。
上記表側接合層の表面に、厚み38μmの離型処理済みPETフィルムを貼り付け、基材(離型処理していないPETフィルム)における表側接合層と逆側の面に、上記実施例1で調製したレーザー吸収性粘着剤組成物溶液を、乾燥後の膜厚が100μmとなるようにアプリケーターで塗布し、実施例1と同様にオーブンで乾燥し、第2部材20側の接合層(裏側接合層)を得た。
上記のようにして得た3層構造(表側接合層、基材、裏側接合層)のレーザー接合用中間部材40を実施例1と同様に四角形枠状に成形し、離型処理済みフィルムに付けたまま、第2部材20に貼り付けた。そして、実施例1の第1レーザー光照射と同様に第1レーザー光照射を行った。
その後、レーザー接合用中間部材40の表側接合層に第1部材10の意匠層30が重なるように第1部材10を配置してから、実施例1と同様に第2レーザー光照射を行った。
(比較例)
実施例2の第1部材10、第2部材20及びレーザー接合用中間部材40を用意し、第1レーザー光照射を行わずに接合した。すなわち、第1部材10、レーザー接合用中間部材40及び第2部材20を順に重ねた後、第1部材10の上にガラス板を重ねてクランプ圧をかけてからレーザー光照射を行った。
比較例において照射したレーザー光は、意匠層30が変色や損傷することがないようにしており、波長が940nm、出力が3W、走査速度が500mm/minである。
接合性の試験
実施例1、実施例2及び比較例の接合品1を各50個用意した。
これらを深さ2mの水中に24時間沈めて防水性の比較を行った。
結果は、実施例1、2では、50個全ての接合品1でレーザー接合用中間部材40の内側(枠の内側)に水の浸入が認められなかった。つまり、2m程度の水圧に十分に耐え得る強固な接合力を安定して得ることができている。
一方、比較例では、2個の接合品1でレーザー接合用中間部材40の内側に水の浸入が認められたので、接合力の不足した個体が発生することが分かる。