JP6577237B2 - レーザー接合用中間部材及び接合方法 - Google Patents

レーザー接合用中間部材及び接合方法 Download PDF

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本発明は、レーザー光を用いて各種部材を接合するためのレーザー接合用中間部材及び接合方法に関するものである。
従来から、各種部材を接合する場合にレーザー光が用いられている。レーザー光を用いて部材を接合する場合には、一方の部材をレーザー光透過部材とし、他方の部材をレーザー光非透過性部材とするのが一般的であり、例えば特許文献1に開示されているように、第1部材と第2部材との間にレーザー接合用中間部材を設け、レーザー接合用中間部材を介して第1部材と第2部材を接合する方法が知られている。
特許文献1のレーザー接合用中間部材は、第1部材側の第1レーザー光吸収層と、透明な基材と、第2部材側の第2レーザー光吸収層との3層構造となっている。レーザー接合用中間部材の全体のレーザー光吸収率は40%以上60%以下に設定され、第1レーザー光吸収層のレーザー光吸収率が20%以上に、また、第2レーザー光吸収層のレーザー光吸収率が20%以上に設定されている。
また、特許文献1のレーザー接合用中間部材の基材は、アクリルフィルムやPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等であることが開示されている。
特開2015−6803号公報
特許文献1では、レーザー光を照射することによって、第1部材側の第1レーザー光吸収層を発熱させるとともに、第2部材側の第2レーザー光吸収層も発熱させ、それらの発熱量をバランスさせてレーザー接合用中間部材を用いて第1部材及び第2部材を良好に接合することが可能である。
また、特許文献1のレーザー接合用中間部材の基材は、アクリルフィルムやPETフィルム等であることから引張強度が高く、ダイカット性に優れており、製造に有利である。さらに、接合時のレーザー光照射部分と同一部分に再度レーザー光を照射すればレーザー吸収層が軟化して接合強度を低下させることができ、このことで、第1部材を容易に剥離することができ、また、レーザー接合用中間部材を指で摘まんで引っ張れば破断することなく、第1部材及び第2部材から容易に除去することもでき、リワーク性に優れている。
ところで、特許文献1にも開示されているように、例えばモバイル機器やスマートフォンのような表示パネルを有する製品を製造する場合に、表示パネルと筐体とをレーザー接合用中間部材で接合することが考えられる。表示パネルにはバックライトが設けられているので、そのバックライト用光源の光(可視光)の一部が、表示パネルと筐体との間に介在するレーザー接合用中間部材に届くことになる。特許文献1のレーザー接合用中間部材は、第1及び第2レーザー光吸収層のレーザー光吸収率が20%以上であるが、全体のレーザー光吸収率は60%以下であることから、バックライト用光源がレーザー接合用中間部材を透過して表示パネルと筐体との接合部分から漏れ、表示パネルの表示性能を低下させてしまうことが起こり得る。
特に特許文献1のレーザー接合用中間部材では基材が透明であるため、基材からの光漏れは回避することができず、可視光を遮光することはできない構成となっている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、レーザー接合用中間部材による接合強度が十分に得られるようにしながら、バックライト用光源のような光を接合部分で遮光することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、レーザー光接合用中間部材の第1接合層、基材及び第2接合層の各々の可視光の透過率を30%以下とする一方、接合用レーザー光の透過率を60%以上とした。
第1の発明は、
波長が800nm以上1500nm以下のレーザー光透過性を有する第1部材の接合面側に設けられている意匠層と、上記波長のレーザー光非透過性を有する第2部材との間に配置され、上記波長のレーザー光を照射して上記第1部材と上記第2部材とを接合するためのレーザー光接合用中間部材において、
上記第1部材に隣接するように配置される第1接合層と、
上記第2部材に隣接するように配置される第2接合層と、
上記第1接合層と上記第2接合層との間に設けられる基材とを備え、
上記基材の構成成分として、ウレタン樹脂、熱可塑性エラストマー及びゴムの少なくとも1つを含んでおり、
上記レーザー光接合用中間部材における上記第1接合層、上記基材及び上記第2接合層の各々に照射した400nm以上800nm未満の波長の光の透過率が30%以下であり、
上記レーザー光接合用中間部材における上記第1接合層、上記基材及び上記第2接合層の各々に照射した上記波長を有するレーザー光の透過率が60%以上であることを特徴とする。
この構成によれば、レーザー接合用中間部材の第1接合層、基材及び第2接合層の各々が、波長が400nm以上800nm未満の可視光を吸収又は反射することによりその帯域の光透過率が30%以下になるので、第1部材と第2部材の接合部分において上記波長の可視光を有効に遮光する。よって、例えばバックライト光源等の光が第1部材と第2部材の接合部分から外部に漏れにくくなる。
一方、波長が800nm以上1500nm以下のレーザー光を照射すると、そのレーザー光をレーザー接合用中間部材が透過するので、レーザー光がレーザー光非透過性の第2部材まで十分に到達する。このため、例えば、レーザー光接合用中間部材と第2部材を重ねて第1部材を重ねない状態にしてレーザー光をレーザー光接合用中間部材に向けて照射すると、レーザー光接合用中間部材を透過したレーザー光が第2部材に達して第2部材がレーザー光によって十分に発熱し、この熱によりレーザー接合用中間部材の第2接合層が熱せられ、第2接合層と第2部材との界面の温度が十分に高まり、第2接合層が溶融又は軟化する。よって、レーザー接合用中間部材の第2接合層は第2部材に対して十分に密着する。
その後、第1部材とレーザー接合用中間部材を重ねてから意匠層へ向けて該意匠層の溶融及び分解温度を超えない所定温度となるまで該意匠層を加熱するためのレーザー光を照射すると、該意匠層が発熱する。この意匠層の熱によってレーザー接合用中間部材の第1接合層が十分に加熱されて第1接合層と第1部材との界面の温度が十分に高まり、第1接合層が溶融又は軟化する。
したがって、第1部材と第2部材を、レーザー接合用中間部材を使用して接合することにより、第1部材と第2部材の接合強度が十分に高まるとともに、接合部分において十分な防水性が得られる。
また、レーザー接合用中間部材の基材の凝集力と伸びが大きくなるため、レーザー接合用中間部材を指で剥離しても破断することなく容易に剥離することができるのでリワークに適する。
また、非加硫ゴムを含有させれば、レーザー接合用中間部材の基材に粘弾性を付与できるので、短時間の変形に十分追従できる。これにより、第1部材及び第2部材の接合後の落下等により衝撃が加わった場合でも第1部材と第2部材が剥離することが無い。
の発明は、第の発明において、
有機顔料、無機顔料及び染料の少なくとも1つを構成成分として含んでいることを特徴とする。
この構成によれば、有機顔料、無機顔料及び染料の少なくとも1つを含有したレーザー接合用中間部材は可視光を有効に吸収又は反射するので、可視光の遮光性に優れたレーザー接合用中間部材となる。その一方で、レーザー接合用中間部材は波長が800nm以上1500nm以下のレーザー光を透過するので、レーザー接合用中間部材と第2部材の十分な接合強度を得ることができるとともに、接合部分において十分な防水性が得られる。
の発明は、第1または2の発明において、
上記第1接合層と上記第2接合層の少なくとも一方が粘着性を有していることを特徴とする。
この構成によれば、レーザー接合用中間部材を第1部材や第2部材に貼り付けることが可能になるので、接合前の仮固定が簡単に行える。
の発明は、
波長が800nm以上1500nm以下のレーザー光透過性を有する第1部材の接合面側に設けられている意匠層と、上記波長のレーザー光非透過性を有する第2部材との間にレーザー光接合用中間部材を配置し、該レーザー光接合用中間部材を用いて上記第1部材及び上記第2部材を接合する接合方法において、
上記第1部材に隣接するように配置される第1接合層と、
上記第2部材に隣接するように配置される第2接合層と、
上記第1接合層と上記第2接合層との間に設けられる基材とを備え、
上記レーザー光接合用中間部材における上記第1接合層、上記基材及び上記第2接合層の各々に照射した400nm以上800nm未満の波長の光の透過率が30%以下であり、
上記レーザー光接合用中間部材における上記第1接合層、上記基材及び上記第2接合層の各々に照射した800nm以上1500nm以下の波長を有するレーザー光の透過率が60%以上であるレーザー光接合用中間部材を用意し、
上記レーザー光接合用中間部材の上記第2接合層と上記第2部材とを重ねてから、上記波長のレーザー光を上記第1接合層側から照射して上記第2部材を加熱し、該第2部材の熱によって上記第2接合層を加熱する第1レーザー光照射を行った後、
上記第1部材の意匠層と上記レーザー光接合用中間部材の上記第1接合層とを重ねてから、上記波長のレーザー光を上記意匠層へ向けて照射し、該意匠層の溶融及び分解温度を超えない所定温度となるまで該意匠層を加熱し、該意匠層の熱によって上記第1接合層を加熱する第2レーザー光照射を行うことを特徴とする。
この構成によれば、第1部材と第2部材の接合部分において可視光を有効に遮光するので、例えばバックライト光源等の光が第1部材と第2部材の接合部分から外部に漏れにくくなる。
一方、波長が800nm以上1500nm以下のレーザー光をレーザー接合用中間部材が透過するので、第2部材の発熱を利用して接合強度を十分に高めることが可能になるとともに、接合部分において十分な防水性が得られる。
第1の発明によれば、第1部材及び第2部材の接合強度を十分に高めて防水性も確保することができるとともに、例えばバックライト用光源のような光を接合部分で遮光することができる。
また、第1部材や第2部材の形状への追従性が高く、凝集力と伸びが大きいレーザー接合用中間部材とすることができるので、リワークも可能にすることができる。また、変形に対する追従性が高いので衝撃を受けても剥離することは無い。
の発明によれば、可視光を有効に吸収または反射して接合部分で遮光することができる。
の発明によれば、レーザー接合用中間部材を簡単に仮固定することができる。
の発明によれば、第1の発明と同様に、第1部材及び第2部材の接合強度を十分に高めることができるとともに、例えばバックライト用光源のような光を接合部分で遮光することができる。
実施形態に係る接合品の斜視図である。 実施形態に係るレーザー接合用中間部材の断面図である。 レーザー接合用中間部材を裏側部材に接合する要領を示す図である。 レーザー接合用中間部材を透光部材に接合する要領を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係るレーザー接合用中間部材40及びレーザー光を用いた接合方法によって接合された接合品1を示すものである。この接合品1は、例えば、化粧品用ケース、住設用又は電器製品用外装部材、モバイル端末や携帯電話、スマートフォン等として用いられるものであり、接合品1の表側を構成する透光部材(第1部材)10と、裏側を構成する裏側部材(第2部材)20とを重ね合わせてなるものであり、透光部材10の裏面には透光部材10の一部を構成する意匠層30が接合品1の表側に現れるように設けられている。透光部材10と裏側部材20とは、詳細は後述するが、3層構造のレーザー接合用中間部材40によって接合されている。
尚、図示しないが、透光部材10には液晶表示パネル等からなる表示画面が設けられている。また、接合品1の内部には、光源が設けられている。光源としては、例えば液晶表示パネル用のバックライト用光源や、透光部材10の一部に設けられる操作ボタンを裏側から透過照明するための透過照明用光源等を挙げることができるが、これら以外の光源を設けてもよい。また、透光部材10は多層構造であってもよい。
裏側部材20は、波長が800nm以上1500nm以下のレーザー光を通さないレーザー光非透過性を有する材料で構成された板状の部材である。この裏側部材20は多層構造であってもよい。ここで、本明細書におけるレーザー光透過性とは、上記波長のレーザー光を透過する性質のことであり、加熱源としてのレーザー光を15%以上透過する性質をいい、上記波長のレーザー光の全てを透過するものも含む。このような性質を持つ材料としては、例えばプラスチック、ガラス、ITO等の薄い金属酸化物皮膜等の材料である。逆に、レーザー光非透過性とは、上記波長のレーザー光を吸収又は反射するレーザー光非透過性のことであり、加熱源としての上記波長のレーザー光を一部透過及び/又は反射しても残りを吸収する性質をいい、レーザー光の全てを吸収するものも含む。このような性質を持つ材料としては、例えば、金属、セラミックスの他、樹脂やゴムに有機顔料、無機顔料、染料、補強用ガラスファイバー等を混合した材料を挙げることもできる。本実施形態では、裏側部材20は着色顔料および補強用ガラスファイバーを含む樹脂材料で構成されている。尚、この実施形態の説明では、波長が800nm以上1500nm以下のレーザー光を赤外線領域のレーザー光ともいう。
透光部材10は、無色透明で、上記波長のレーザー光を通すレーザー光透過性を有する材料で構成された板状の部材である。つまり、透光部材10は、加熱源としての上記波長のレーザー光を殆ど反射も吸収もせずに透過させるか、上記波長のレーザー光を一部透過及び/又は反射しても溶融することなく、残りのレーザー光を透過させることのできる性質を持っており、また、この透光部材10の性質としては、上記波長のレーザー光の全てを透過させる性質であってもよい。
透光部材10は、例えば熱可塑性樹脂で構成することができ、具体的には、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE、UHDPE、Polyethylene)、ポリプロピレン(PP Co-Polymer、PP Homo-Polymer、PP Ter-Polymer)、ポリカーボネート、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、スチレンアクリロニトリル樹脂(SAN)、K-レジン、SBS樹脂(SBS block co-polymer)、PVDC樹脂、EVA樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド(PA、PA6、PA66、PA46、PA610、PA612、PA6/66、PA6/12、PA6T、PA12、PA1212、PAMXD6)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフ夕レート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエチレンナフタレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリチオエチルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルイミドなどが挙げられる。
その他、極性官能基が化学的に結合した変性樹脂も含み、具体的には、アクリル酸変性オレフィン樹脂、マレイン酸変性オレフィン樹脂、塩化変性オレフィン樹脂(CPP、CPE)、シラン変性オレフィン樹脂、アイオノマー樹脂、ナイロン変性オレフィン樹脂、エポキシ変性樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂(EVOH)、エチレンビニールアセテート樹脂、ホットメルト接着樹脂などの樹脂が挙げられ、これらと上記熱可塑性樹脂の混合物または組合物であってもよい。
透光部材10は、熱可塑性エラストマーであってもよく、具体的には、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、イソプレン系エラストマー、イオンクラスターと非晶性PE系のエラストマー(商品例:三井・デュポン ポリケミカル製ハイミラン)、塩素化PEと非晶性PE系のエラストマー(商品例:三菱化学製ミラプレーン)、フッ素系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、アクリル系エラストマー等が挙げられる。
透光部材10は熱硬化性樹脂であってもよく、具体的には、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。
また、上述した熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に補強材や充填材を混合して作った複合樹脂で透光部材10を構成してもよい。
上記樹脂、エラストマーに対しては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、導電剤、核剤、離型剤、難燃剤、帯電防止剤、加工調剤、着色及び機能性顔料または染料、架橋剤、可塑剤及び加硫剤からなる群から選択された少なくとも一つを混合することも可能である。着色顔料や染料を混合する場合は、所定のレーザー光透過性を確保できる程度の量とする。
透光部材10は、上記樹脂の他、例えば、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス等で構成してもよい。また、強化ガラス、合わせガラス、積層ガラス等であってもよい。尚、透光部材10は、無色に限られるものではなく、薄く着色されていてもよく、意匠層30を表側から見ることのできる透光性を有していればよい。
裏側部材20及び透光部材10の厚みは、接合品1の種類等により異なるが、0.1mmから3mm程度である。
透光部材10の裏面である裏側部材20側の面には、透光部材10の表側に意匠が現れるように意匠層30が設けられている。この意匠層30は、染料や顔料を含むインクを透光部材10の裏面に付着させることによって形成された印刷塗膜からなるものであり、たとえばスマートフォンやタブレット、液晶テレビが接合品1である場合には、表示画面の見栄えをよくするためのパネルの額縁部のように、透光部材10の表側から視認可能な枠状となっている。
意匠層30を構成するインクの硬化性化合物については、例えば、アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、カルボキシル基変性エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、不飽和ポリエステル樹脂、共重合系アクリレート、ポリアクリルアクリレート、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
硬化性インクは、例えば、自然乾燥硬化タイプ、焼付け乾燥による熱硬化タイプ、硬化剤を用いる二液型の反応硬化タイプ、紫外線や電子線などで硬化させる放射光硬化タイプ、漆などが挙げられる。融点以下のレーザー照射条件に限り熱可塑性であっても問題ない。また、染料としては、上記波長のレーザー光の非透過性を有するものであればよく、アカネ、ベニバナなどの天然染料、反応、硫化、ナフトールなどの合成染料、蛍光染料など種類は問わない。また、顔料としては、上記波長のレーザー光の非透過性を有するものであればよく、例えば、カーボンブラックや複合酸化物系顔料等の無機顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、レーキ顔料、多環式系顔料等の有機顔料が挙げられ、上記波長のレーザー光の波長に対応した非透過性を有する各種顔料を使用できる。意匠層30を印刷塗膜で形成したことで、精緻な意匠が得られる。印刷方法としては、例えば、凸版印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、シルク印刷、グラビア印刷、レーザー印刷、インクジェット印刷等、各種印刷方法を用いることができる。
また、意匠層30によって構成される意匠は、例えば、線、文字、図形、記号、絵、グラデーションパターン、単色による塗りつぶし、又はこれらを組み合わせたもの等、様々な形態がある。また、意匠層30の厚みとしては、例えば、1μm以上50μm以下であるが、この範囲に限られるものではない。また、意匠層30におけるレーザー光非透過性としては、例えば、上記波長のレーザー光の透過率が15%未満であることが好ましくは、波長800nm以上1500nm以下のレーザー光の透過率が15%未満であることがより好ましい。意匠層30は可視光を殆ど透過しない。
尚、意匠層30は、上記のように印刷塗膜で形成するもの以外にも、例えば、蒸着膜、フィルムの貼り付け、プライマーの塗布等で形成することも可能である。蒸着膜の場合は、意匠層30は極めて薄くなる。また、意匠層30の全部がレーザー光非透過性である必要はなく、裏側部材20と透光部材10との接合部分に対応する一部のみがレーザー光非透過性であってもよい。
裏側部材20の表面である透光部材10側の面には、レーザー接合用中間部材40が設けられており、このレーザー接合用中間部材40は意匠層30に隣接している。
レーザー接合用中間部材40は、図2に示すように、フィルムやシートからなる基材41と、表側接合層(第1接合層)42と、裏側接合層(第2接合層)43とを積層した多層構造である。表側接合層42は、透光部材10に隣接するように配置される。裏側接合層43は、裏側部材20に隣接するように配置される。基材41は、表側接合層42と裏側接合層43との間に設けられる。レーザー接合用中間部材40は、3層以上の層を有するものであってもよい。
レーザー接合用中間部材40の基材41は、発泡基材のような独立気泡を有しないソリッドの樹脂材、例えばウレタン、熱可塑性エラストマー、ゴム、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン、ウレタンフィルム等の樹脂材からなるものであり、例えば10μm以上1000μm以下に設定することができる。
基材41の構成成分として、ウレタン樹脂、熱可塑性エラストマー及びゴムの少なくとも1つを含んでいるのが好ましい。ウレタン樹脂としては、エーテル系、エステル系、ポリカプロラクトン系、エーテル系(PTMG)系があり、熱可塑性と熱硬化性のウレタンが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、イソプレン系エラストマー、イオンクラスターと非晶性PE系のエラストマー(商品例:三井・デュポン ポリケミカル製ハイミラン)、塩素化PEと非晶性PE系のエラストマー(商品例:三菱化学製ミラプレーン)、フッ素系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、アクリル系エラストマー等が挙げられる。ゴムとしてはイソプレン、ブタジェン、スチレンブタジェン、クロロプレン、ニトリル、ポリイソブチレン、エチレンプロピレン、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリル、エピクロルヒドリン等のゴムが挙げられる。
基材41を製造する場合には、基材41の成分を溶剤に溶解する方法を用いることができる。この方法の場合、基材41の成分を適当な溶剤に溶解し、着色材としての色材も溶剤に添加して溶解または溶剤中に分散させ、これを例えば離型フィルムや板材等に塗布して溶剤を蒸発させフィルム状基材41を得ることができる。
また、基材41を製造する別の方法としては、例えば、2軸押出機により染料または顔料と基材41の成分とを混練し、シート状に押出して基材41を得る方法がある。
溶液や分散液を離型フィルムや板材等に塗布してフィルム状基材41を得る場合、乾燥塗膜は100μm程度が限界であるが、2軸押出機を使用する場合は厚みを適宜設定できるので、厚い基材41が必要な場合は2軸押出機を使用するのが好ましい。
上記ウレタンまたはゴムは熱による硬化や加硫をさせてもよい。硬化剤としてはイソシアネートや過酸化物、イオウ等を挙げることができる。これらを溶剤に適宜加えて、さらに染料や顔料を溶剤に溶解または溶剤中に分散させ、これを例えば離型フィルムや板材等に塗布したり、2軸押出機を使用してシート状基材41やフィルム状基材41を得て、その基材41を連続して硬化または加硫させ、または一旦巻き取った状態で熱硬化または加硫する。
レーザー接合用中間部材40の表側接合層42は透光部材10に接合するものであり、一方、裏側接合層43は裏側部材20に接合するものである。表側接合層42及び裏側接合層43は基材41から剥離しないように基材41と一体化している。
表側接合層42及び裏側接合層43の材料は同じであっても異なっていてもよく、また、厚みは共に100μmに設定されているが、厚みはこれに限られるものではなく、例えば50μm以上200μm以下に設定することができる。また、表側接合層42及び裏側接合層43の厚みは互いに異ならせてもよい。
以下、表側接合層42について詳細に説明する。表側接合層42は、上記波長のレーザー光で加熱された意匠層30の熱によって溶融するホットメルト材で構成されており、常温付近でゴム弾性を示す高分子物質(粘着付与剤やゴム、エラストマー)のうち、熱可塑性を有するものが好ましい。すなわち、レーザー接合用中間部材40の表側接合層42の材料としては、上記した粘着付与剤や熱可塑性エラストマーや、非架橋ゴム等から任意のものを使用することができ、特に限定されないが、粘着付与剤としてはゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、イソプレン系エラストマー、イオンクラスターと非晶性PE系のエラストマー(商品例:三井・デュポン ポリケミカル製ハイミラン)、塩素化PEと非晶性PE系のエラストマー(商品例:三菱化学製ミラプレーン)、フッ素系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、アクリル系エラストマー等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーや非加硫ゴムはゴム系粘着付与剤のベースとしても一般的であり、特に限定されないがタッキファイヤやオイル、液状オリゴマー等を配合することで粘着付与剤になり得る。
また、表側接合層42の材料としては、非加硫のゴムも使用することができ、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム等である。
タッキファイヤとしては、具体的に、例えばロジン系粘着付与樹脂である、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)や、これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合などにより変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの他、その他の化学的に修飾されたロジンなど)の他、各種のロジン誘導体などが挙げられる。前記ロジン誘導体としては、例えば、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物や、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなどの変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物などのロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)不飽和脂肪酸変性ロジン類や不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩などが挙げられる。また、ロジン誘導体としては、ロジン類(未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体など)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール樹脂なども用いることができる。
テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン系樹脂や、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性など)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペン−フェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂など)などが挙げられる。
炭化水素系粘着付与樹脂としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂[炭素数4〜5のオレフィンやジエン(ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1等のオレフィン;ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン等のジエンなど)などの脂肪族炭化水素の重合体など]、芳香族系炭化水素樹脂[炭素数が8〜10であるビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン、メチルインデンなど)の重合体など]、脂肪族系環状炭化水素樹脂[いわゆる「C4石油留分」や「C5石油留分」を環化二量体化した後重合させた脂環式炭化水素系樹脂、環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテンなど)の重合体又はその水素添加物、芳香族系炭化水素樹脂や脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂など]、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン−オレフィン系共重合体など)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂などの各種の炭化水素系の樹脂が挙げられる。オイルとしては大別されるパラフィン系、ナフテン系、アロマ系から選べばよい。
液状オリゴマーとしては、アクリル系、スチレン系、ポリイソプレンやブタジエンなどのゴム系、ポリエステル系、その他分子量数百〜数千程度の高粘度の重合体から選択する。その他必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、導電剤、核剤、離型剤、難燃剤、帯電防止剤、加工調剤、可塑剤及び加硫剤からなる群から選択された少なくとも一つを使用することが好ましい。
レーザー接合用中間部材40における基材41、表側接合層42及び裏側接合層43の各々は、波長が400nm以上800nm未満の可視光を吸収する可視光吸収性を有している。具体的には、基材41、表側接合層42及び裏側接合層43の各々に800nm以上1500nm以下の波長の可視光を照射すると、光の透過率が30%以下となるように可視光に対して黒色化されている。
また、レーザー接合用中間部材40における基材41、表側接合層42及び裏側接合層43の各々は、波長が800nm以上1500nm以下のレーザー光を照射した際にそのレーザー光の透過率が60%以上となるように構成成分が決定されている。基材41のレーザー光の透過率と、表側接合層42及び裏側接合層43のレーザー光の透過率とは異ならせてもよい。表側接合層42及び裏側接合層43のレーザー光の透過率の方を高くしてもよいし、低くしてもよい。表側接合層42及び裏側接合層43のレーザー光の透過率は、例えば80%以上、好ましくは90%以上に設定することができる。
基材41、表側接合層42及び裏側接合層43を可視光に対して黒色化するには、以下の材料を、基材41、表側接合層42及び裏側接合層43の各材料に分散又は溶解して単独で使用、もしくは混合して使用することで実現できる。
波長が400nm以上800nm未満の光透過率が30%以下であり、波長が800nmから1500nmの光透過率が60%以上である基材41、表側接合層42及び裏側接合層43を得ることのできる有機顔料としては、赤外線透過黒色顔料としてビスベンゾフラノン系顔料、アゾメチン系顔料、ベリレン系顔料等を挙げることができる。このうちビスベンゾフラノン系顔料が最も好ましい。
また、波長が400nm以上800nm未満の光透過率が30%以下であり、波長が800nm以上1500nm以下の光透過率が60%以上である基材41、表側接合層42及び裏側接合層43を得ることのできる着色有機顔料としては、C.I. Pigment Orange 2, 5, 13, 16, 31, 34等、C.I. Pigment Red 1, 2, 3, 4, 5等、C.I. Pigment Green 7, 10, 36, 37, 58等、C.I.Pigment Violet 1, 19, 23, 27, 32 等、C.I. Pigment Blue 1, 2, 15, 16,22等及びその誘導体を2種以上混合して黒色として使用できる。
また、波長が400nm以上800nm未満の光透過率が30%以下であり、波長が800nm以上1500nm以下の光透過率が60%以上である基材41、表側接合層42及び裏側接合層43を得ることのできる黒色染料としては、酸性染料のAcid Black 1, 2, 24, 48等を挙げることができる。
また、波長が400nm以上800nm未満の光透過率が30%以下であり、波長が800nm以上1500nm以下の光透過率が60%以上である基材41、表側接合層42及び裏側接合層43を得ることのできる着色染料としては、化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピロメテン系、トリアリールメタン系、アゾメチン系、ベリレン系、ペリノン系、クオタリレン系、キノフタロン系染料等が挙げられ、酸性染料、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、アゾイック染料、分散染料、油溶染料、食品染料及びその誘導体を2種以上混合して黒色として使用できる。
上記波長の赤外線レーザー光は波長が長いのでレイリー散乱、ミー散乱を受けにくい100nm〜500nmの硫化ビスマス粉体や5nm〜50nmの銀又は錫又はその合金からなるナノ粒子を基材41、表側接合層42及び裏側接合層43の成分に添加して、基材41、表側接合層42及び裏側接合層43をレーザー光に対して黒色化することができる。また、有機顔料と染料を併用して使用することもできるし、無機顔料、有機顔料及び染料の少なくとも1つを構成成分として含有させて基材41、表側接合層42及び裏側接合層43を得ることができる。
レーザー接合用中間部材40における基材41、表側接合層42及び裏側接合層43は、可視光を反射させることによって400nm以上800nm未満の波長の光の透過率を30%以下とするようにしてもよい。可視光反射性を有する白色とするためには、以下の材料を、基材41、表側接合層42及び裏側接合層43の材料に分散又は溶解して単独で使用し、もしくは混合して使用することで実現することができる。
波長が400nm以上800nm未満の光透過率が30%以下であり、波長が800nm以上1500nm以下の光透過率が60%以上である基材41、表側接合層42及び裏側接合層43を得ることのできる白色無機顔料としては、赤外線がレイリー散乱、ミー散乱を受けにくく、400nm以上800nm未満の可視光を反射する無機顔料、即ち、赤外線の波長の1/2以下の粒子径である直径100nm〜400nmの二酸化チタン粒子、酸化マグネシウム粒子、硫酸バリウム粒子、塩基性炭酸鉛粒子、酸化亜鉛粒子等を含む無機顔料を挙げることができる。これら無機顔料を溶媒に添加・分散して白色化することができる。
レーザー接合用中間部材40における基材41、表側接合層42及び裏側接合層43の可視光透過率は、400nm以上800nm未満の波長において上述した30%以下が好ましく、さらに好ましくは20%以下である。レーザー接合用中間部材40の可視光透過率が30%よりも高いと、接合品1の内部にあるバックライト光源の光が透光部材10と裏側部材20の接合部分から漏れ、液晶表示パネル等の表示品質が低下して好ましくないが、可視光透過率を30%以下にすると、接合品1の内部の光源からの光を外部から使用者が確認できない程度となるまでレーザー接合用中間部材40によって遮光されるので表示画面の表示品質が向上する。
レーザー接合用中間部材40における基材41、表側接合層42及び裏側接合層43のレーザー光透過率は、上述したように、800nm以上1500nm以下の波長において60%以上が好ましく、さらに好ましくは80%以上である。レーザー光透過率が60%未満ではレーザー接合用中間部材40に殆どのレーザー光が吸収されて、後述する接合時にレーザー光が第2部材20に十分到着せず、第2部材20の発熱量が少なく第2部材20に接する部分のレーザー接合用中間部材40(裏側接合層43)が十分に溶融または軟化しないため好ましくないが、60%以上にすることで、レーザー光が第2部材20に十分に到達し、第2部材20の発熱量を十分に確保できる。これにより、レーザー接合用中間部材40の裏側接合層43が十分に溶融または軟化するので、接合強度を高めることができる。
上記有機又は無機の顔料の粒子をレーザー接合用中間部材40における基材41、表側接合層42及び裏側接合層43の材料に分散させるには、一般のビーズミル、3本ロールミル、コロイドミル、高速回転ミル等を使用することができる。特に、赤外線がレイリー散乱、ミー散乱を受けにくくするため粒子径の小さな粒子を、溶媒中にできるかぎり単分散させる必要がある。粒子の分散を助けて安定な分散状態を得るために界面活性剤や高分子の樹脂等を保護コロイドとして使用することができる。また、染料を使用する場合は、適当な溶媒に染料を溶解して使用することができる。
顔料や染料の添加量は、その色材により異なるが、波長が400nm以上800nm未満の光透過率が30%以下、波長が800nm以上1500nm以下の光透過率が60%以上となるように調整できればよい。
レーザー接合用中間部材40の表側接合層42の溶融温度は、意匠層30の溶融温度及び分解温度よりも低く設定されている。
尚、粘着剤や非加硫ゴムをレーザー接合用中間部材40の表側接合層42の材料とする場合には、レーザー光による接着性が低下してしまうのを回避する理由から、熱可塑性であることが好ましい。
レーザー接合用中間部材40の表側接合層42及び裏側接合層43は、粘着性付与剤を含有している。粘着性付与剤は、表側接合層42にのみ含有させてもよいし、裏側接合層43にのみ又は両方に含有させてもよい。粘着性付与剤は、表側接合層42及び裏側接合層43に含有させなくてもよい。粘着性付与剤としては、上記したものが挙げられる。
粘着性付与剤を裏側接合層43に含有させることにより、レーザー接合用中間部材40の裏側部材20側の面は粘着性を有することになる。また、粘着性付与剤を表側接合層42に含有させることにより、レーザー接合用中間部材40の透光部材10側の面は粘着性を有することになる。従って、レーザー接合用中間部材40は、裏側部材20及び透光部材10に粘着する。レーザー接合用中間部材40の粘着力は、JIS Z0237の10.4に基づいて測定したSUS304板に対する180度引きはがし粘着力が0.1N/25mm以上となるように設定されている。
レーザー接合用中間部材40の表側接合層42と意匠層30の樹脂組成はSP値(溶解性パラメータ)が近いほど相溶性が良く両者の接合強度が高まるので好ましく、また、裏側接合層43と裏側部材20の樹脂組成はSP値が近いほど相溶性が良く両者の接合強度が高まるので好ましい。
次に、上記接合品1の製造要領について説明する。まず、透光部材10の裏面に意匠層30を形成する。この工程では、顔料を含む着色インクを印刷機等によって透光部材10の裏面に付着させる。
尚、意匠層30を蒸着膜とする場合には、蒸着装置によって金属等の蒸着物を透光部材10の裏面に蒸着させる。また、意匠層30をフィルムとする場合には、フィルムを透光部材10の裏面に貼り付ける。さらに、意匠層30をプライマーとする場合には、プライマーを透光部材10の裏面に塗布する。
上記の工程が、透光部材10に、透光部材10の表側に意匠が現れるようにレーザー光非透過性の意匠層30を設ける工程である。
また、裏側部材20に、例えば、UV(紫外線)、EB(電子線)、オゾン等を照射してもよい。こうすることによって裏側部材20の表面はより活性化され、レーザー光照射後のレーザー接合用中間部材40の接着力を向上させることもできる。
一方、レーザー接合用中間部材40の基材41は、上述したようにして得た溶液や分散液を離型フィルムや板材等に塗布して乾燥させたり、2軸押出機を使用して押出して得ることができる。この基材41の表面及び裏面に、表側接合層42及び裏側接合層43を積層して一体化することで、レーザー接合用中間部材40が得られる。そして、得られたレーザー接合用中間部材40をダイカットすることで所望形状に加工することができる。
次いで、図3に示すように、裏側部材20の表側にレーザー接合用中間部材40の裏側接合層43が重なるようにレーザー接合用中間部材40を裏側部材20に重ねる。このとき、レーザー接合用中間部材40の裏側接合層43が粘着性を有しているので、レーザー接合用中間部材40が裏側部材20に仮固定された状態となり、レーザー接合用中間部材40の位置ずれが抑制される。
その後、図3に示すように、セパレーター付きの透明ガラス100等でレーザー接合用中間部材40に圧力をかけ、レーザー光Lを、レーザー接合用中間部材40の表側接合層42側からレーザー接合用中間部材40に照射する。これが第1レーザー光照射である。このレーザー光Lを照射する装置は、周知の装置を利用することができる。レーザー光Lの種類としては、例えば、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザー等のいずれでもよく、レーザー光Lの種類は限定されないが800nm以上1500nm以下の赤外線領域に波長を持つ必要がある。レーザー光Lの種類は、裏側部材20の材料や厚さ等に応じて適宜選択できる。また、レーザー光Lは、1つの波長からなるものであってもよいし、2つ以上の波長を有するものであってもよい。
レーザー接合用中間部材40における表側接合層42、基材41及び裏側接合層43は、波長が800nm以上1500nm以下の光透過率が60%以上なので、レーザー光Lは、レーザー接合用中間部材40を透過して裏側部材20に到達して吸収される。レーザー光Lを吸収した裏側部材20は発熱する。
その裏側部材20の熱により裏側部材20に隣接する裏側接合層43が最も熱せられて溶融又は軟化して、裏側部材20の表面に沿うように変形して密着し、レーザー接合用中間部材40が裏側部材20に接合する。図3において白丸で示す部分はレーザー光Lによって主に加熱される部分である。
裏側部材20には意匠層30が無く、意匠層30の溶融や分解の恐れがないので、第1レーザー光照射時のレーザー光Lの出力は強めに設定することができる。これにより、裏側接合層43を確実に溶融又は軟化させることができる。
その後、セパレーター付きの透明ガラス100をレーザー接合用中間部材40から剥がし、図4に示すように、透光部材10をレーザー接合用中間部材40の表側接合層42に重ねる。このとき、レーザー接合用中間部材40の表側接合層42が粘着性を有しているので、透光部材10と裏側部材20とをクランプしなくても両者の位置ずれを抑制できる。
尚、透光部材10と裏側部材20とを厚み方向にクランプしてもよく、クランプすることで、レーザー光Lが照射されたときの発熱による透光部材10及び裏側部材20の膨張を抑制できるとともに、透光部材10及び裏側部材20の間の気泡の発生を抑制できるので、接合の信頼性をより向上できる。
その後、図4に示すように、レーザー光Lを透光部材10側から意匠層30へ向けて照射する。これが第2レーザー光照射である。第2レーザー光照射は、第1レーザー光照射と同じ装置で行うことができる。第2レーザー光照射のレーザー光Lの出力は、第1レーザー光照射時のレーザー光Lの出力よりも低く、例えば、数W程度に設定するのが好ましい。この第2レーザー光照射時のレーザー光Lの出力は、透光部材10を透過して意匠層30に到達したレーザー光Lによって意匠層30が溶融又は分解しない程度の出力であればよい。また、レーザー光Lの走査速度についても、意匠層30が溶融又は分解しない程度の速度に設定されている。接合範囲がレーザー光Lの照射径よりも広い場合には、必要に応じてレーザー光源又は接合対象物(裏側部材20、中間部材40及び透光部材10)を移動させながらレーザー光Lの照射を行ってもよい。また、レーザー光Lの焦点径を広く設定し接合範囲を広くすることもできる。
照射されたレーザー光Lは、透光部材10を透過して意匠層30に到達する。意匠層30に到達したレーザー光Lは、意匠層30に吸収され、意匠層30が加熱される。意匠層30の温度は、レーザー光Lの出力が上記したように低出力に設定されているので、意匠層30の溶融又は分解温度を超えない温度となる。図4において白丸で示す部分はレーザー光Lによって主に加熱される部分である。
意匠層30の熱は隣接するレーザー接合用中間部材40に伝わる。レーザー接合用中間部材40の表側接合層42が溶融温度となるまで加熱されて溶融又は軟化する。表側接合層42が溶融又は軟化すると、透光部材10の意匠層30に密着して接合する。このとき、レーザー光Lの出力が上記のように設定されているので、意匠層10は溶融又は分解しない。
レーザー光Lの一部(照射されたレーザー光Lのうちの数%)は、裏側部材20に到達することがある。意匠層30を透過した僅かなレーザー光Lはレーザー接合用中間部材40に到達する。裏側部材20が発熱するのでレーザー接合用中間部材40全体が溶融又は軟化してさらに密着しレーザー光Lを有効に利用できる。
上記のように、本実施形態にかかる接合方法によれば、第2レーザー光照射時のレーザー光Lが数W程度の低出力で済むので、透光部材10が熱によって損傷(焦げや変形)してしまうのを抑制できる。よって、本接合方法の用途は広い。
そして、レーザー光Lの照射を終了した後、レーザー接合用中間部材40を冷却する。これによりレーザー接合用中間部材40が固化し、裏側部材20と透光部材10とが接合されて接合品1が得られる。この接合品1を透光部材10の表側から見ると、意匠層30の意匠が透光部材10を通して奥の方に見えることになり、意匠に深みが出る。この意匠層30は溶解していないので、見栄えは良好である。
また、レーザー光Lの照射によって透光部材10と裏側部材20とを接合する際には、加熱された後、冷却されるという、熱サイクルを受ける。このとき、透光部材10と裏側部材20との線膨張係数の違い等が原因となって接合界面に応力が生じることがある。このことに対しては、レーザー接合用中間部材40が粘着剤やウレタン、ゴム、エラストマー等を含有していることから、変形によって接合界面の応力を緩和することができる。これにより、接合強度の低下や剥がれを防止できる。そして、落下等の衝撃を受けた場合でも透光部材10が剥がれることは無い。
また、得られた接合品1には、使用時に熱的なストレスや機械的な力が加わることによって透光部材10と裏側部材20との接合界面に応力が発生することがあるが、このような応力もレーザー接合用中間部材40の存在によって緩和することができる。従って、接合品1を長期間にわたって使用しても所定の接合強度を維持することができる。さらに、レーザー接合用中間部材40の基材41として、発泡基材のように独立気泡を有しない密度の高いソリッドな基材41を使用しているので、打抜き性が良好である。また、独立気泡をダイカットして接着面積が減少して防水性が低下してしまうこともない。ソリッドな基材41とすることで、接合力も高いので線幅の狭い打抜き品の接合、いわゆる狭額縁の接合を実現できる。そして、レーザー接合用中間部材40が可視光に対する遮光性が高いので、接合品1の内部に光源があっても、狭額縁を実現しながら接合部分からの光漏れを無くすことができる。
以上説明したように、この実施形態にかかる接合方法によれば、第1レーザー光照射によってレーザー接合用中間部材40を裏側部材20に接合した後に、透光部材10をレーザー接合用中間部材40に重ねて第2レーザー光照射を行い、意匠層30が溶融及び分解する温度を超えない所定温度となるまで意匠層30を加熱してレーザー接合用中間部材40と透光部材10とを接合するようにしている。これにより、透光部材10と裏側部材20との間に意匠層30を介在させる場合に、意匠層30の溶融及び分解を回避しながら、透光部材10と裏側部材20との接合強度を十分に高めることができる。
また、レーザー接合用中間部材40をレーザー光Lの照射前に透光部材10や裏側部材20に粘接着させるようにしたので、仮固定等が困難な場合でも透光部材10と裏側部材20とを確実に接合することができる。
さらに、レーザー接合用中間部材40をホットメルト材としたので、レーザー光Lの照射時に意匠層30及び裏側部材20に十分馴染み、強力な接着強度が得られる。
また、レーザー接合用中間部材40は、意匠層30の熱によって溶融又は分解させることなく、単に軟化させるようにしてもよい。これはレーザー光の出力やレーザー接合用中間部材40の材料を変更すること等で可能である。レーザー接合用中間部材40を軟化させることによっても、中間部材40を裏側部材20及び透光部材10に密着させることができるので、確実に接合できる。
また、レーザー接合用中間部材40は、粘着テープで構成してもよい。この場合、中間部材40を軟化させて密着させることで接合部分に気泡が存在するのを抑制でき、気密性及び水密性が向上する。特に、狭額縁の幅が狭い粘着テープでは、気密性及び水密性が向上するという効果が顕著に現れる。
さらに、バックライト光源等、接合品1の内部で光が発生する場合でも、接合部分からの光漏れがなく、表示品質が高く、かつ、意匠性も高い接合品1を得ることができる。
また、本発明にかかる接合方法は、化粧品用ケース、住設用又はスマートフォンやモバイル機器、液晶テレビ等電気製品用外装部材以外にも、各種接合品を製造する場合に適用できる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されるものではない。
(基材の作製)
レーザー接合用中間部材の3種類の基材(第1〜第3基材)の作製方法について説明する。
1.第1基材の作製
水添スチレン系熱可塑成エラストマーとして旭化成ケミカルズ株式会社製 タフテックM-1913(SEBS スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロックポリマー)を固形分50%になるように溶剤としてのトルエンに溶解した。この樹脂溶液にService Chemical Inc.製の染料Acid Black 2を0.7重量%添加して十分に溶解し、黒色の溶液を得た。
離型処理した38μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(セパレーター)に、上記黒色の溶液をアプリケーターによって乾燥膜厚40μmになるように塗布し、乾燥させて黒色の熱可塑性エラストマーからなるシート状の基材(第1基材)を得た。
2.第2基材の作製
トルエンに黒色顔料 BASF製IRGAPOR BKを10.0重量%添加して手で溶液中に分散させた後、ビーズミル 寿工業株式会社製 ウルトラアスペックミルUAM-015を使用して精密分散を十分に行い、黒色顔料の分散液を得た。そして、2液硬化型無溶剤ウレタン DIC株式会社製パンデックスGW-1340に顔料濃度が2.0重量%になるように黒色顔料の分散液と硬化剤を添加して黒色顔料が十分に分散するように攪拌した。上記セパレーター上に乾燥皮膜が200μmになるようにアプリケーターで塗布し100℃の乾燥機で1時間加熱して黒色のウレタンからなるシート状の基材を得た。
3.第3基材の作製
JSR株式会社製 NBR JSR N2395V(アクリルニトリル・ブタジェン共重合ゴム)と、白色顔料 石原産業株式会社製CR-58 ルチル型二酸化チタン 粒子径0.28μm 10.0重量%と、イオウ 0.5重量%を3本ロールで十分混練した。この練り生地を300μmのスペーサーを挟んだステンレス製の平板の金型に入れ150℃で30分加熱して膜厚300μmの加硫したシート状の基材を得た。
(接合層の作製)
スチレン・ブタジェン・スチレン共重合物SBS (Kraton 製D-1118) 56重量部とスチレン・ブタジェン・スチレン共重合物 (JSR株式会社製TR2601) 44重量部及びタッキファイアとしてテルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製 YSポリスターT-115) 50重量部、オイル(株式会社クラレ製 LBR-305) 10重量部、酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製 イルガノックス1010) 1重量部をトルエンに溶解して固形分40重量%の粘着剤溶液を調製した。
上記粘着剤溶液にService Chemical Inc.製の染料Acid Black 2を0.7重量%添加して十分に溶解し、黒色の溶液を得た。そして、黒色の溶液をセパレーターにアプリケーターを使用して乾燥膜厚100μmになるように塗布して接合層を得た。
(実施例1)
レーザー光接合用中間部材の作製
上記第1基材(熱可塑性エラストマー製基材)の両面に、セパレーターを付けた接合層を張り合わせて、第1基材と、表側接合層と、裏側接合層とが積層したレーザー光接合用中間部材を得た。接合層の厚みは表1に示すとおりである。
このレーザー光接合用中間部材をスマートフォンのパネル(透光部材)の意匠層、いわゆる額縁部の外周と一致する形状となるように、幅0.5mmでダイカットした。
次に、裏側接合層のセパレーターを剥がし、裏側接合層を黒色のスマートフォンの筐体(裏側部材)に貼り合せて重ねた。
表側接合層のセパレーターはそのまま残しておき、そのセパレーターの上に当該セパレーターと同じ大きさの無色透明なガラス板を重ねた。そして、そのガラス板を押圧しながら、波長940nm、焦点径φ1.6mmの半導体レーザーを出力5.0W 10mm/secの条件でレーザー光接合用中間部材に向けて照射した。
レーザー光接合用中間部材には焦げや発泡等の変化は見られず、レーザー光接合用中間部材と筐体とが十分な接合力で接合した。
これは赤外線のレーザー光がレーザー光接合用中間部材を透過して筐体表面まで届き、筐体表面が十分に発熱して、筐体に接するレーザー光接合用中間部材の裏側接合層が軟化または溶融して筐体表面に隙間無く密着したためである。
次に、表側接合層のセパレーターを剥がして、その上にレーザー光接合用中間部材と額縁部とが重なるようにパネルを重ねて固定した。パネルと同じ大きさの無色透明なガラス板をパネルの上に重ね、そのガラス板を押圧しながら、上記と同じレーザー光を使用し、3.0W、10mm/secの条件で額縁部にレーザー光を照射した。レーザー光接合用中間部材とパネルとは十分な接合力で接合された。1mの水深で30分水没試験を行っても水はスマートフォンに浸入しなかった。
また、スマートフォンを1.5mの高さから落下させたがパネルは筐体から剥離することは無かった。これは意匠層がレーザー光を吸収し発熱して、パネルに接するレーザー光接合用中間部材の表側接合層が軟化または溶融してパネルに隙間無く密着したことと、基材が柔軟なため衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換できたこととによるものである。
次に、暗室でスマートフォンの電源を入れ光漏れの有無を観察した。パネルと筐体の隙間からのバックライトの光漏れは観察されず、良好なスマートフォンの画面が得られた。これはレーザー光接合用中間部材の基材、表側接合層及び裏側接合層の染料が可視光を選択的に吸収したためである。
(実施例2)
実施例2では、レーザー接合用中間部材の基材が上記第2基材(ウレタン製基材)である点で実施例1と異なっており、表側接合層及び裏側接合層、レーザー光の照射要領、試験要領は実施例1と同じである。接合層の厚みは表1に示すとおりである。
上記第2基材を有するレーザー接合用中間部材の場合も、十分な接合力が得られ、1mの水深で30分水没試験を行っても水はスマートフォンに浸入しなかった。また、スマートフォンを1.5mの高さから落下させたがパネルは筐体から剥離することは無かった。これは、パネルに接するレーザー光接合用中間部材の表側接合層が軟化または溶融してパネルに隙間無く密着したことと、基材が柔軟なため衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換できたこととによるものである。
次に、暗室でスマートフォンの電源を入れ光漏れの有無を観察した。パネルと筐体の隙間からのバックライトの光漏れは観察されず、良好なスマートフォンの画面が得られた。
これは接合層の染料と基材の顔料が可視光を選択的に吸収したためである。
(実施例3)
実施例3では、レーザー接合用中間部材の基材が上記第3基材(ゴム製基材)である点で実施例1と異なっており、表側接合層及び裏側接合層、レーザー光の照射要領、実験要領は実施例1と同じである。接合層の厚みは表1に示すとおりである。
上記第3基材を有するレーザー接合用中間部材の場合も、十分な接合力が得られ、1mの水深で30分水没試験を行っても水はスマートフォンに浸入しなかった。また、スマートフォンを1.5mの高さから落下させたがパネルは筐体から剥離することは無かった。これは、パネルに接するレーザー光接合用中間部材の表側接合層が軟化または溶融してパネルに隙間無く密着したことと、基材が柔軟なため衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換できたこととによるものである。
次に、暗室でスマートフォンの電源を入れ光漏れの有無を観察した。パネルと筐体の隙間からのバックライトの光漏れは観察されず、良好なスマートフォンの画面が得られた。
これは接合層の染料と基材の顔料が可視光を選択的に吸収及び反射したためである。
また、実施例3では、ゴム製基材の白色顔料の粒径が赤外線のレーザー光の波長よりも十分に小さいので、レイリー散乱やミー散乱の影響を受けない。これにより、レーザー光が二酸化チタンに反射されず筐体表面まで届き、筐体表面が十分に発熱して、筐体に接するレーザー光接合用中間部材の裏側接合層が軟化または溶融して筐体表面に密着する。また、意匠層も十分に発熱してレーザー光接合用中間部材の表側接合層がパネルに隙間なく密着したために十分な接合強度、防水性が得られた。
(比較例1)
38μmの透明易接着PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム 東洋紡株式会社製 コスモシャインA4300(PET基材)の両面に実施例1と同様にセパレーター付き100μmの接合層を積層して両面粘着シートを得た。
実施例1と同様にレーザー照射を行い、同様の試験を行った。
比較例1のPET基材の両面粘着シートについては十分な接合強度が得られ、1mの水深で30分水没試験を行っても水はスマートフォンに浸入しなかった。しかし、1.5mの高さから落下させるとパネルと筐体にわずかに浮きが発生した。これはPET基材が硬いために衝撃を十分吸収できなかったことに起因する。
次に、暗室でスマートフォンの電源を入れ光漏れの有無を観察した。パネルと筐体の隙間からのバックライトの光漏れが発生して、良好なスマートフォンの画面が得られなかった。これはPET基材が透明であったため基材部分から光が漏れたためである。
(比較例2)
トルエンに黒色顔料 三菱カーボンブラック株式会社製 #2650を10重量%添加し手で分散させた後、ビーズミルを使用して精密分散を十分に行い黒色の分散溶液を得た。2液硬化型無溶剤ウレタン DIC株式会社製パンデックスGW-1340に黒色顔料濃度が0.7重量%になるように黒色分散液と硬化剤を添加して十分に分散するように攪拌した。
攪拌した溶液をセパレーター上に乾燥皮膜が200μmになるようにアプリケーターで塗布し100℃の乾燥機で1時間加熱して黒色のウレタン基材を得た。このウレタン基材の両面に実施例1と同様にセパレーター付き100μmの接合層を積層して両面粘着シートを得た。そして、実施例1と同様に筐体と両面粘着シートを重ねてクランプしながらレーザー光を両面粘着シートに照射した。しかし、両面粘着シートのウレタン基材の表面に焦げが発生し破損したので、筐体と両面粘着シートとの接合強度は不十分であった。これは基材表面がレーザー光を全て吸収してしまい、基材表面が破損するとともに筐体までレーザー光が届かずに筐体の発熱が不足したことに起因する。
(比較例3)
比較例2と同様にウレタン基材を作製した。ただし、カーボンブラックはウレタンに対して0.06重量%とした。そして、実施例1と同様にウレタン基材の両面に接合層を積層して両面粘着シートを得た。ウレタン基材の両面粘着シートについては、筐体及びパネルに対して十分な接合強度が得られ、1mの水深で30分水没試験を行っても水はスマートフォンに浸入しなかった。また、スマートフォンを1.5mの高さから落下させたがパネルは筐体から剥離することは無かった。
次に、暗室でスマートフォンの電源を入れ光漏れの有無を観察すると、パネルと筐体の隙間からのバックライトの光漏れが発生して、満足のいくスマートフォンの画面が得られなかった。これはウレタン基材が十分に可視光を吸収または反射していないことに起因する。
(透過率の測定結果)
Figure 0006577237
表1は、上述した実施例1〜3と比較例1〜3の各基材の光の透過率、各接合層の光の透過率、及び実施例1〜3と比較例1〜3のバックライト光漏れの有無と接合状況を示している。光の透過率は、波長が460nm、540nm、630nm、940nmのそれぞれについて測定した。測定には、分光光度計 島津製作所製UV-3600を使用した。比較例2については筐体とパネルとを接合することができず、スマートフォンを作製できなかったので、バックライト光漏れの有無を判定できなかった。
実施例1〜3では、波長が400nm以上800nm未満の光透過率が30%以下であり、波長が800nm以上1500nm以下の光透過率が60%以上である基材、表側接合層及び裏側接合層としたので、バックライトの光漏れがなく、しかも接合状況が良好であることが分かる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係るレーザー接合用中間部材及び接合方法は、例えば化粧品用ケース、住設用又は電器製品用外装部材、モバイル端末や携帯電話、スマートフォン等を製造する場合に使用することができる。
1 接合品
10 透光部材(第1部材)
20 裏側部材(第2部材)
30 意匠層
40 レーザー接合用中間部材
41 基材
42 表側接合層(第1接合層)
43 裏側接合層(第2接合層)

Claims (4)

  1. 波長が800nm以上1500nm以下のレーザー光透過性を有する第1部材の接合面側に設けられている意匠層と、上記波長のレーザー光非透過性を有する第2部材との間に配置され、上記波長のレーザー光を照射して上記第1部材と上記第2部材とを接合するためのレーザー光接合用中間部材において、
    上記第1部材に隣接するように配置される第1接合層と、
    上記第2部材に隣接するように配置される第2接合層と、
    上記第1接合層と上記第2接合層との間に設けられる基材とを備え、
    上記基材の構成成分として、ウレタン樹脂、熱可塑性エラストマー及びゴムの少なくとも1つを含んでおり、
    上記レーザー光接合用中間部材における上記第1接合層、上記基材及び上記第2接合層の各々に照射した400nm以上800nm未満の波長の光の透過率が30%以下であり、
    上記レーザー光接合用中間部材における上記第1接合層、上記基材及び上記第2接合層の各々に照射した上記波長を有するレーザー光の透過率が60%以上であることを特徴とするレーザー光接合用中間部材。
  2. 請求項に記載のレーザー光接合用中間部材において、
    有機顔料、無機顔料及び染料の少なくとも1つを構成成分として含んでいることを特徴とするレーザー光接合用中間部材。
  3. 請求項1または2に記載のレーザー光接合用中間部材において、
    上記第1接合層と上記第2接合層の少なくとも一方が粘着性を有していることを特徴とするレーザー光接合用中間部材。
  4. 波長が800nm以上1500nm以下のレーザー光透過性を有する第1部材の接合面側に設けられている意匠層と、上記波長のレーザー光非透過性を有する第2部材との間にレーザー光接合用中間部材を配置し、該レーザー光接合用中間部材を用いて上記第1部材及び上記第2部材を接合する接合方法において、
    上記第1部材に隣接するように配置される第1接合層と、
    上記第2部材に隣接するように配置される第2接合層と、
    上記第1接合層と上記第2接合層との間に設けられる基材とを備え、
    上記レーザー光接合用中間部材における上記第1接合層、上記基材及び上記第2接合層の各々に照射した400nm以上800nm未満の波長の光の透過率が30%以下であり、
    上記レーザー光接合用中間部材における上記第1接合層、上記基材及び上記第2接合層の各々に照射した800nm以上1500nm以下の波長を有するレーザー光の透過率が60%以上であるレーザー光接合用中間部材を用意し、
    上記レーザー光接合用中間部材の上記第2接合層と上記第2部材とを重ねてから、上記波長のレーザー光を上記第1接合層側から照射して上記第2部材を加熱し、該第2部材の熱によって上記第2接合層を加熱する第1レーザー光照射を行った後、
    上記第1部材の意匠層と上記レーザー光接合用中間部材の上記第1接合層とを重ねてから、上記波長のレーザー光を上記意匠層へ向けて照射し、該意匠層の溶融及び分解温度を超えない所定温度となるまで該意匠層を加熱し、該意匠層の熱によって上記第1接合層を加熱する第2レーザー光照射を行うことを特徴とする接合方法。
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