JP2015141790A - 電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】各車両でのリアルタイムな使用状況を考慮した電池の構成部材(電池構成部材)の経時劣化の判断を可能にする。
【解決手段】電池システム1は、電池(電池セル200−1などの)構成部材のクリープ特性を利用して電池構成部材の劣化を判断する判断部413を備える。判断部は、電池内圧および時間量を複数回に分けて取得する。判断部は、複数回の各々において、電池内圧と時間量との関係を示すクリープ特性(図6や図16)における取得した電池内圧および時間量の割合を内圧ダメージ量として算出する。判断部413は、複数回の各々において、算出した内圧ダメージ量を積算して積算ダメージ量を得、得られた積算ダメージ量が規定値以上である場合、電池構成部材が劣化していると判断する。
【選択図】図7

Description

本発明は、電池システムに関し、特に密閉型電池を備える電池システムに関する。
密閉型電池では、密閉性維持のためなどにシール部材が用いられる。
密閉型電池では、充放電などによって電池内にガスが発生し、電池内圧が上昇する。電池内圧が上昇しすぎると、ケースが破損したりするおそれがある。
そのため、密閉型電池では、電池内で発生したガスを外部に排出するためのガス排出弁が設けられる。
また、密閉型電池には、圧力型の電流遮断機構(CID:Current Interrupt Device)が用いられる。CIDは、電池の一方の電極に接続される集電板(集電板)と、外部端子に接続される反転部材(反転板)とを含む。通常、集電板と反転部材とは導通状態にあり、外部端子と電極との間に電流が流れる。電池の内圧が上昇すると、反転部材および集電板が変形する。これにより、反転部材と集電板とが非導通状態となり、外部端子と電極との間の電流が遮断される。
このように、密閉型電池は、シール部材、ガス排出弁、CIDなど、さまざまな電池構成部材を含む。
電池構成部材は、経時劣化し得る。たとえば、CIDは、集電板などの疲労蓄積によって経時劣化する。
CIDの劣化に関して、たとえば国際公開第2013/111318号は、集電板に刻印部とスリット部とを設けることにより、電池使用時の内圧変動に伴う集電板の疲労蓄積を防ぎ、CID経時劣化を抑制することを提案する。
国際公開第2013/111318号 特開2007−053058号公報 特開2012−127938号公報 特開2008−024124号公報 国際公開第2011/132268号
電池には、車両に搭載されて使用されるものもある。そのような電池の構成部材が経時劣化し、電池が利用できなくなると、車両が走行できないなどの問題が生じる。そうなる前に、車両に搭載された電池を交換するなどの対応がなされることが好ましい。
しかし、実際に使用されている各車両においては、電池の使用温度や残存容量(SOC:State Of Charge)状態の履歴などが異なる。そのため、各車両における電池構成部材の劣化のタイミングが異なる場合も少なくない。
本発明の目的は、各車両でのリアルタイムな使用状況を考慮した電池の構成部材(電池構成部材)の経時劣化の判断を可能にすることである。
本発明は、要約すると、電池構成部材と、電池構成部材に加えられる負荷と負荷が加えられ続けることにより電池構成部材が不良状態に至るまでに要する時間量との関係を示すクリープ特性を利用して電池構成部材の劣化を判断する判断部とを備える電池システムである。負荷は、少なくとも電池内圧による電池構成部材への内圧負荷を含む。判断部は、電池内圧および時間量を複数回に分けて取得する。判断部は、複数回の各々において、電池内圧と時間量との関係を示すクリープ特性における取得した電池内圧および時間量の割合を内圧ダメージ量として算出する。判断部は、複数回の各々において、算出した内圧ダメージ量を積算して積算ダメージ量を得、得られた積算ダメージ量が規定値以上である場合、電池構成部材が劣化していると判断する。
上記構成の電池システムによれば、取得された電池内圧および時間量とクリープ特性とからダメージ量が算出され、電池構成部材の劣化が判断される。そのため、各車両に搭載されたそれぞれの電池において、その車両でのリアルタイムな使用状況を考慮して電池構成部材の劣化が判断される。
好ましくは、判断部は、取得した電池内圧に対してクリープ特性が示す時間量に占める取得した時間量の割合を内圧ダメージ量として算出するか、または、取得した時間量に対してクリープ特性が示す電池内圧に占める取得した電池内圧の割合を内圧ダメージ量として算出する。
たとえば、このようにクリープ特性を利用することで、具体的にダメージ量が算出される。
好ましくは、電池構成部材は、電流遮断機構である。規定値は、内圧ダメージ量をパーセントで表した場合、100%に設定される。
これにより、電流遮断機構の劣化が判断される。その場合、規定値を100%とすることで、電流遮断機構の劣化が良好に判断される。
あるいは、電池構成部材は、シール部材である。負荷は、温度によるシール部材への温度負荷をさらに含む。判断部は、温度および時間量を取得し、シール部材における温度ダメージ量をさらに算出する。判断部は、温度ダメージ量および積算内圧ダメージ量を積算して積算ダメージ量を得る。規定値は、95%以上に設定される。
これにより、シール部材の劣化が判断される。シール部材の劣化は温度にも関係する。上記構成によれば、シール部材における温度ダメージ量をも考慮したシール部材の劣化の判断が可能になる。その場合、規定値を95%以上とすることで、シール部材の劣化が良好に判断される。
あるいは、電池構成部材は、ガス排出弁である。負荷は、電池内圧変動によるガス排出弁への内圧変動負荷をさらに含む。判断部は、電池内圧の変動に伴う内圧変動ダメージ量をさらに算出する。判断部は、内圧変動ダメージ量および積算内圧ダメージ量を積算して積算ダメージ量を得る。規定値は、95%以上に設定される。
これにより、ガス排出弁の劣化が判断される。ガス排出弁の劣化は電池内圧の変動にも関係する。上記構成によれば、ガス排出弁における内圧変動ダメージ量をも考慮したガス排出弁の劣化の判断が可能になる。その場合、規定値を95%以上とすることで、ガス排出弁の劣化が良好に判断される。
好ましくは、電流遮断機構は、電池の端子板に設けられる。電池システムは、端子板に設けられた温度センサをさらに備える。判断部は、温度センサが検知する温度と電池の残存容量とから電池におけるガス発生速度を算出し、算出したガス発生速度に基づいて電池の内圧を算出する。
このように電池の温度と電池の残存容量との関係によってガス発生速度を算出することで、電池内圧を精度よく算出できる。
好ましくは、電池システムは、電池を複数含む電池スタックを備える。温度センサは、電池スタックにおける排気経路の下流側に配置された電池の端子板に設けられる。
電池スタックにおいて、排気経路の下流側にある電池は温度調整されにくく、温度条件が厳しい。上記構成によれば、温度センサが検知する温度は、もっとも厳しい条件に置かれている電池の温度であるため、この温度を参考に同じ電池スタック内の他の電池の温度状況も判断すれば、他の電池の温度を監視などせずとも、電池スタック全体における電池構成部材の劣化を判断できる。
本発明によると、各車両でのリアルタイムな使用状況を考慮した電池の構成部材(電池構成部材)の経時劣化の判断が可能になる。
電池システムが備える電流遮断機構(CID)などを説明するための図である。 電池セルを説明するための図である。 電池セルの温度情報とSOC情報とを取得するための構成の一例を説明するための図である。 端子板と温度センサとが備えられたCIDを説明するための図である。 一例として、電池セルの温度Tと、電池セル内のガス発生速度との関係を示すグラフである。 CIDのクリープ特性を説明するためのグラフである。 実施の形態に係る電池システムの概略構成を説明するための図である。 CID劣化を判断するために実行される処理を説明するためのフローチャートである。 CIDの劣化を判断するための規定値についての検討結果を説明するための図である。 CIDの劣化を判断するための規定値についての検討結果を説明するための図である。 一例として、図1のシール部材27のようなシール部材の温度T(の逆数(1/T))と、シール部材が破綻に至るまでの破綻時間(単位はたとえば(h))との関係を示すグラフ(クリープ線)である。 シール部材の劣化を判断するために実行される処理を説明するためのフローチャートである。 シール部材の劣化を判断するための規定値についての検討結果を説明するための図である。 シール部材の劣化を判断するための規定値についての検討結果を説明するための図である。 変形例2において、電池セルの温度情報を取得するための構成の一例を説明するための図である。 一例として、図2の電池セル200の内圧変動の回数(内圧変動回数)と、図15などに示すガス排出弁240のようなガス排出弁が開弁に至るまでの電池内圧力との関係を示すグラフ(S−N線)である。 ガス排出弁劣化を判断するために実行される処理を説明するためのフローチャートである。 ガス排出弁の劣化を判断するための規定値についての検討結果を説明するための図である。 ガス排出弁の劣化を判断するための規定値についての検討結果を説明するための図である。 車両に搭載された電池パックを説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
実施の形態に係る電池システムが適用される電池は、代表的には密閉型電池である。電池は、電池構成部材として、シール部材、ガス排出弁、電流遮断機構などを含む。シール部材は、電池内に設けられる。ガス排出弁は、電池ケースに設けられる。電流遮断機構は、電池要素と外部端子との間に設けられる。
以下、はじめに、電池構成部材のうち、主に、電流遮断機構の劣化の判断について説明する。その後、電池構成部材としてのシール部材およびガス排出弁の劣化の判断についてもそれぞれ説明する。
図1は電池システムが備える電流遮断機構(CID)10などを説明するための図である。後に説明するように、CID10には、シール部材27が含まれる。
CID10は、外部端子220を含む。外部端子220は、正極端子および負極端子のいずれかの端子である。外部端子220は、図示しない外装体(電池ケースまたは電池ケースの一部)の外側に設けられる。電池ケースは、電界液とともに電池要素を収容する。
CID10は、圧力型の電流遮断機構であり、密閉型の電池に利用される。具体的に、CID10は、電池の内圧(電池ケース内の圧力)が上昇した場合に、電池要素と外部端子220との間の電流を遮断する。
CID10は、インシュレータ23と、封口体25と、シール部材27と、接続部材31と、反転板41と、集電板(集電板)51と、ホルダ部材61とを含む。
封口体25は、電池ケースの開口部を塞ぐように設けられる。封口体25には、貫通孔25mが形成され、貫通孔25mは、電池ケースの内外の空間を連通させるように形成される。
インシュレータ23は、絶縁性材料で形成される。インシュレータ23は、封口体25と外部端子220との間に介挿され、両者を電気的に絶縁する。
接続部材31は、たとえば銅やアルミニウムなどの導電性材料で形成される。接続部材31は、貫通孔25mに挿通される。接続部材31は、電池ケースの外部で外部端子220に接続され、電池ケースの内部で反転板41に接続される。つまり、接続部材31は、外部端子220と反転板41とを電気的に接続する。
シール部材27は、封口体25と接続部材31との間に介挿される。シール部材27は、たとえば樹脂性のガスケットである。電池ケース内は、たとえばヘリウム(He)などの不活性ガスで満たされており、シール部材27は、Heを密閉するといった機能も果たす。
反転板41は、導電材料から形成される。反転板41は、接続部材31および集電板51に接続(たとえば溶接)され、両者の間に配置される。反転板41は、接続部材31と集電板51とを電気的に接続する。反転板41は、通常、接続部材31側に凹形状になり、集電板51側で凸形状になる。
反転板41の両端部分は接続部材31に接続される。反転板41の中央部分は集電板51の中央部分に接続(たとえば溶接)される。
ホルダ部材61は、電池ケースの内部に設けられる。ホルダ部材61は、封口体25の直下に設けられる。封口体25や接続部材31によって支持されるとともに、電池ケースの内部で集電板51を保持する。
ホルダ部材61は、かしめ部62を含む。集電板51は、かしめ部62に加締められ、ホルダ部材61によって保持される。
集電板51は、電池要素の電極に接続される。これにより、電池要素からの電力(電流)が、集電板51、反転板41、接続部材31、外部端子220を通して取り出される。
集電板51の中央には、溝(ノッチ)52が形成される。
電池の(電池ケースの)内圧が上昇すると、反転板41が、集電板51から離れる方向に変形する(接続部材31側で凸となり、集電板51側で凹となるように反転する)。このとき、集電板51と反転板41との間の溶接部または集電板51のノッチ52が破断して、反転板41と集電板51との接続が解除される。このような原理によって、電池要素と外部端子220との間の電流が遮断される。
密閉型電池では、電解液の分解反応などに伴ってガスが発生する。そのため、時間経過とともに内圧が上昇する傾向にある。内圧が上昇すると、反転板41や集電板51などの疲労蓄積によって、CID10が経時劣化する。CID10の劣化がさらに進むと、上述のようにノッチ52が破断して電流が遮断される。ノッチ52が破断した後は、CID10としては不良状態になる。すなわち、CID10のような電池構成部材に対する負荷として、電池内圧による内圧負荷が加えられることで、電池構成部材の劣化が進み、不良状態に至る。ここで、「負荷」とは、たとえば、電池構成部材に対する機械的負担やストレスであったり、温度ストレスなど、電池構成部材の劣化となるさまざまな要因を含む概念である。
後に図20を参照して説明するように、電池は、車両に搭載されて使用される場合もある。そのような電池においてCIDが遮断動作した後に不良状態に至ると、車両は電池の電力を利用できなくなる。そうなる前に、車両用の電池の交換作業などを行なうことが好ましい。
電池の劣化の仕方は、内圧がどの程度上昇したかによって異なる。車両に搭載した電池の内圧がどの程度上昇するかは、その車両における電池の使われ方にも依存する。したがって、車両でのリアルタイムな使用状況を考慮して、CIDなどの電池構成部材の劣化を判断することが好ましい。
実施の形態では、たとえば、電池内圧および時間量が複数回に分けて取得される。複数回の取得の各々について、電池内圧と時間量との関係を示すクリープ特性における取得された電池内圧および時間量の割合が、内圧ダメージ量としてそれぞれ算出される。そして、複数回の取得の各々において、算出されたそれぞれの内圧ダメージ量が積算され、電池構成部材の積算ダメージ量が得られる。得られた積算ダメージ量が規定値以上である場合、電池構成部材が劣化していると判断される。クリープ特性については、後に図7を参照して説明する。
図1のCID10などは、たとえば、電池セルに搭載される。図2は、電池セルを説明するための図である。
図2を参照して、外部端子220,230が、電池ケース210に設けられる。たとえば、外部端子220はプラス端子であり、外部端子230はマイナス端子である。
外部端子220は、端子板221と、ボルト222とを含む。端子板221は、図1のCID10の接続部材31の上部に配置される蓋としての役割を果たす。ボルト222は、外部端子220に連結される。すなわち、図1のCID10は、図2の外部端子220の下方に設けられる。
外部端子230は、端子板231と突起部(ボルト)232とを含む。
電池セル200は、さらにガス排出弁240を含む。ガス排出弁240は、電池セル200内に発生したガスを排出するために用いられる。
電池セル200は、たとえば、車両に搭載される組電池(電池パック)に組み込まれて使用される。
実施の形態において、電池セル200の温度情報とSOC情報(SOCプロファイルなどを含む)とが取得され、利用される。
図3は、電池セルの温度情報とSOC情報とを取得するための構成の一例を説明するための図である。
温度情報を取得するために、たとえば、温度センサ223が、端子板221の上部に設けられる。温度センサ223が検知する温度Tは、後に説明するように、たとえば電池セル200の内圧を算出するために用いられる。
また、SOC情報を取得するために、たとえば、電圧検出線224Pおよび電圧検出線224Nが、ボルト222およびボルト232にそれぞれに接続される。なお、ボルト232は、外部端子230に連結される。電池セルの電圧は、電池セルのSOCに関連する。したがって、電圧検出線224Pおよび224Nを利用して、電池セル200のSOCが算出される。電池セル200のSOCは、後に説明するように、たとえば電池セル200の内圧を算出するために用いられる。
図4は、端子板221と温度センサ223とが備えられたCID10を説明するための図である。図4に示すように、端子板221は、接続部材31の上部に蓋として配置される。図4には示されていないが、図3のボルト222によって、端子板221が接続部材32や外部端子220などに固定される。
図5は、一例として、図2の電池セル200のような電池セルの温度T(の逆数(1/T))と、電池セル内のガス発生速度(単位はたとえば(cc/√day))との関係を示すグラフである。このようなグラフは、アレニウスプロットと呼ばれることもある。アレニウスプロットは、たとえば電池セルの設計データや実験データなどによって知ることができる。
図5に示すグラフによれば、電池セルの温度Tと電池セルのSOCとに基づいて、電池セル内のガス発生速度を算出できる。図5に示すように、温度Tが大きいほど(1/Tが小さいほど)、ガス発生速度は大きくなる。また、電池のSOCが大きいほど、ガス発生速度は大きくなる。たとえば、SOC=30%よりも、SOC=90%の方が、ガスは発生速度は大きくなる。
電池セル内のガス発生速度が分かれば、そのガス発生速度および経過時間や、電池セルの体積などを考慮して、電池の内圧がどの程度変化(上昇)したかが分かる。これにより、電池の内圧を知ることができる。
図6は、図1のCID10のようなCIDのクリープ特性を説明するためのグラフである。このグラフは、CIDが不良状態になる、たとえば図1のCID10においてノッチ52が破断に至るときの電池セルの内圧および時間量の関係を示すクリープ線を示す。グラフの横軸は時間を、縦軸は内圧をそれぞれ示す。クリープ線(クリープ特性)は、たとえばCIDの設計データや実験データなどによって知ることができる。
図6を参照して、クリープ線は、たとえば、電池セルの内圧がPAであれば、その内圧PAが時間量tB加えられ続けると、CIDが不良状態に至ることを示し、電池セルの内圧がPBであれば、その内圧PBが時間量tA加えられ続けると、CIDが不良状態に至ることを示す。
実施の形態では、たとえば、図6のクリープ特性(クリープ線)に基づいて、CIDのダメージ量が定義される。CIDのダメージ量が大きいほど、CIDは不良状態に近づくと考えられる。実施の形態において、電池セルの内圧によるダメージ量は「内圧ダメージ量」と称する。
たとえば、電池の内圧が0.2MPaの状態が8h(8時間)続いたとする。この内圧=0.2MPaにおいて、クリープ線が時間量=1000hを示すとすると、CIDの内圧ダメージ量=(8h)/(1000h)×100=0.8%として算出される。さらに、その後、電池の内圧が0.21Mpaの状態が7h続いたとする。この内圧=0.21MPaにおいて、クリープ線が時間量=900hを示すとすると、CIDの内圧ダメージ量=(7h)/(900h)×100=約0.78%として算出される。
このようにして、取得された電池内圧に対してクリープ線(クリープ特性)が示す時間量に占める取得された時間量の割合が、内圧ダメージ量として算出される。または、取得された時間量に対してクリープ線が示す電池内圧に占める取得された電池内圧の割合が、内圧ダメージ量として算出される。この割合は、たとえばパーセンテージで表される。
また、CIDの内圧ダメージ量は蓄積される。したがって、電池内圧および時間量が複数回に分けて取得される場合、複数回の各々において算出された内圧ダメージ量を積算することで、積算ダメージ量が得られる。上述の例では、積算内圧ダメージ量=0.8%+0.78%=1.58%として得られる。実施の形態では、別々に取得された異なる電池内圧や時間量から算出された内圧ダメージ量の積算に基づいて、CIDに蓄積されたダメージ量、すなわち積算ダメージ量が得られる。このようにして得られる積算ダメージ量は、電池内圧および時間量が取得されて内圧ダメージ量が算出される都度増加する。増加した積算ダメージ量は、いずれ、100%よりも大きな値、たとえば110%や120%もしくはそれ以上の値に到達し得る。取得された電池内圧および時間量が大きければ、より少ない数の算出で積算内圧ダメージ量が100%を超えるようなこともあり得る。
実施の形態において、たとえばCIDの積算ダメージ量から、CIDの劣化が判断される。すなわち、積算内圧ダメージ量が規定値以上であれば、CIDが劣化していると判断される。後に図9および図10を参照して説明するように、実験結果によれば、CIDの劣化を的確に判断するためには、規定値はたとえば100%に設定することが好ましい。
図7は、実施の形態に係る電池システム1の概略構成を説明するための図である。電池システム1は、一例として、車両に搭載される組電池(電池パック)400に適用される。
図7に示すように、電池パック400は、4つの電池スタック300−1〜300−4を含む。電池スタック300−1〜300−4の各々は、複数の電池セルを含む。たとえば、電池スタック300−1は、14個の電池セル200−1〜200−14を含む。電池セル200−1〜200−14の各々は、図2の電池セル200と同様の構成とすることができる。
電池システム1は、さらに監視ユニット410を含む。監視ユニット410は、温度計測部411と、SOC計測部412と、判断部413と、記憶部414とを含む。
温度計測部411は、少なくとも1つ以上の電池セル(たとえば電池セル200−14)の温度を計測(取得)する。温度の計測は、電池セルに設けられた温度センサ(図3の温度センサ223)を利用して行なわれる。
SOC計測部412は、温度計測部411が温度計測の対象とする電池セルのSOCを計測(取得)する。SOCの計測は、電池セルのボルト(図3のボルト222,232など)に接続された電圧検出線(図3の電圧検出線224P,224Nなど)を利用して行なわれる。
判断部413は、電池セルが備えるCIDの劣化を判断する。判断部413は、先に図5および図6を参照して説明した、ガス発生速度の算出や、内圧ダメージ量の算出なども行なう。記憶部414は、判断部413の判断に必要なさまざまな情報を記憶する。一例として、判断部413の判断に必要な情報には、電池セル200−1などに含まれるCIDの構成部材のクリープ特性やアレニウスプロットなどに関する情報が含まれる。
監視ユニット410は、通信信号Sを介して、電池パック10が搭載される車両の制御部(図示しない)などと通信できる。この通信により、監視ユニット410は、たとえば、車両の走行距離や走行時間、あるいは車両の動作状態、たとえばイグニッション電源(IG)がオン(ON)またはオフ(OFF)であるか、などのさまざまな情報を取得し、また、その情報を記憶部414に記憶させる。
電池パック400は、温度調整、たとえば冷却可能に構成される。温度調整は、たとえば空気(冷気など)を吸気口500から吸気し、排気口600から排気することで実現される。このような冷却においては、吸気口500側の電池セルに対する冷却効果が比較的高く、排気口600側の電池セルに対する冷却効果は比較的低くなる。換言すれば、電池スタック(300−1〜300−4など)において、吸気口500側の電池セル(電池セル200−1など)は比較的低温になり、排気口600側の電池セル(電池セル200−14など)は比較的高温となり易い。
先に述べたように、電池セルが高温になるほど内圧が高まるため、その電池セルに含まれるCIDは劣化し易い。そこで、監視ユニット410は、電池スタック300−1〜300−4の各々において含まれる電池セルのうち、排気口600側の電池セルのみの温度やSOCを監視して取得し、CID劣化を判断してもよい。これにより、もっとも温度条件の厳しい(温度が高い)電池セルのCID、すなわちもっとも劣化が進んだCIDの劣化が判断される。ここで、判断部413は、温度条件の厳しい電池セルのCIDが劣化していると判断した場合に、その電池スタック内の他の電池セルのCIDも劣化していると推測(判断)してもよい。そうすれば、他の電池セルの温度を監視せずとも、電池スタック全体におけるCIDの劣化を判断することが可能になる。
このように排気口600側の電池セルのみの温度やSOCを監視する手法は、後に説明する変形例1および変形例2においても適用できる。
図8は、CID劣化を判断するために実行される処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理は、図7の監視ユニット410(の判断部413)によって実行される。
図7および図8を参照して、はじめに、ステップS1において、1トリップが終了したか否かが判断される。1トリップとは、電池パック400を搭載した車両が、走行停止状態から走行を開始し、再び走行を停止するまでの期間をいう。1トリップの時間は、たとえば、走行停止状態から走行を開始するまでの時間(放置時間X(h))と、走行を開始してから走行を停止するまでの時間(走行時間Y(h))との合計時間として算出できる。1トリップが終了した場合(ステップS1でYES)、ステップS2に処理が進められる。そうでない場合(ステップS1でNO)、1トリップが終了するまでステップS1の処理が繰り返し実行される。
ステップS2において、1トリップ分のダメージ量ΔZが算出される。その後、ステップS3において、積算ダメージ量Zが算出される。積算ダメージ量Zの算出は、それまでの積算ダメージ量Z(記憶部414に記憶されている)に、直近の1トリップ部のダメージ量ΔZを加えた値、つまりZ=Z+ΔZとして、算出される。
次に、ステップS4において、積算ダメージ量Zが規定値以上であるか否かが判断される。積算ダメージ量Zが規定値以上の場合(ステップS4でYES)、ステップS6に処理が進められる。そうでない場合(ステップS4でNo)、ステップS5に処理が進められる。
ステップS5において、積算ダメージ量Zが記憶部414に記憶される。
ステップS6において、電池パック400内の電池セル(または電池スタックなど)のCIDが劣化していると判断され、エンジン始動禁止を示す診断結果が確定される。この診断結果が確定されると、たとえば、車両からユーザへのその旨が通知される。これにより、ユーザに対して電池スタックの交換などが促される。
ステップS5またはステップS6の処理が実行された後、フローチャートの処理は終了する。
図8のフローチャートによれば、1トリップ分のダメージ量ΔZに基づいて、つまり電池セルの各車両でのリアルタイムな使用状況を考慮して、CIDの劣化を判断することが可能になる。CIDの劣化がユーザに通知されるため、電池構成要素(CIDなど)の経時劣化により電池が利用できなくなる前に、ユーザは、車両に搭載された電池を交換するといった対応が可能になる。
なお、図8のフローチャートの処理は、CIDの劣化だけでなく、シール部材27(図1)やガス排出弁(図2)の劣化を判断するために適用されてもよい。その場合、ステップS4で用いられる規定値は、シール部材27やガス排出弁の劣化の判断に適した規定値に設定される。
図9および図10は、図8のステップS4などで用いられるCIDの劣化を判断するための規定値についての検討結果を説明するための図である。
図9は、電池セル(電池パック)を車両に搭載してその車両を走行させた場合の、電池セルのCIDの積算ダメージ量ZとCID破断(たとえば図1のノッチ52の破断)の有無の確認結果を示す表である。
図9に示すように、積算ダメージ量Zが100%以下の場合、CID破断は確認されなかった。一方、積算ダメージ量Zが103%に至ると、CID破断が確認された。このため、CID劣化の判断基準となる積算ダメージ量Zに対する規定値(しきい値)として、100%が好適に用いることができる。
図10は、実施の形態において規定値を100%に設定して行なった車両走行試験(走行試験回数N=3)の結果を示す表である。走行試験回数Nは、N=3(No1〜No3)である。すなわち、車両走行試験には、3つの電池セルをサンプルとして使用した。図10の表には、比較のために、規定値によるCID劣化の判断を行なわない検討例も併せて記載している。なお、図10中、「制御有無」は、規定値に基づくCID劣化の判断の有無のための制御を意味する。「異常診断有無」は、先に図8のステップS6で説明したエンジン始動禁止を示す診断結果の確定の有無を意味する。
検討例では、積算ダメージ量Zが100%を超えてもエンジン始動禁止を示す診断結果が確定しないため、積算ダメージ量Zが100%を超えたことが判別できない。そのため、検討例では、積算ダメージ量Zが100%を超えても電池セルの使用が継続され、図10に示すように、積算ダメージ量Zが105%に達し、CIDが破断に至った。
これに対し、実施の形態では、積算ダメージ量Zが100%で異常診断有りとされる。車両走行試験では、異常診断有りと判断された場合、走行を停止するようにしたので、積算ダメージ量Zが100%になった時点で、車両の走行が停止された。その結果積算ダメージ量Zは100%よりも大きくなることが防がれ、また、No1〜No3の3回の走行試験においていずれも、CIDが破断に至ることがなかった。
このように、CID劣化に関して、積算ダメージ量Zに対する規定値を100%に設定することで、CID劣化を適切に判断できることが確認された。
[変形例1]
再び図1を参照して、シール部材27も、CID10同様、経時劣化する。シール部材27が劣化すると、たとえば、電池ケース内を満たすガス(Heなど)が電池ケース外に漏れる(リークする)。ガスリークが発生している場合、シール部材27は不良状態であると言える。シール部材27は、たとえば、温度ストレスによってもその劣化の進行度合い(寿命)が変わり得る。
変形例1では、温度によるシール部材27への負荷(温度負荷)が考慮される。すなわち、電池構成部材に対する負荷として、先に述べた内圧負荷だけでなく、温度負荷も含まれる。変形例1では、たとえば、温度および時間量が複数回に分けて取得される。複数回の取得の各々について、温度と時間量との関係を示すクリープ特性における取得された温度および時間量の割合が、温度ダメージ量としてそれぞれ算出される。そして、算出されたそれぞれの温度ダメージ量および内圧ダメージ量の積算に基づいて積算ダメージ量が得られる。
図11は、一例として、図1のシール部材27のようなシール部材の温度T(の逆数(1/T))と、シール部材が破綻に至るまでの破綻時間(単位はたとえば(h))との関係を示すグラフ(クリープ線)である。シール部材が破綻に至るとは、シール部材が不良状態に至ることであるとも言える。たとえば、シール部材の温度TAがtA時間続くとシール部材が不良状態となる。なお、図11のtAと、図6のtAとは異なっていてもよい。
図11に示すグラフによれば、シール部材の温度Tと、時間とに基づいて、シール部材のダメージ量を算出できる。温度Tは、シール部材そのものの温度を直接したものでなく、それに近い温度、たとえば電池セル200(図2)の温度の値を採用したものであってもよい。
たとえば、電池セルの温度がX℃の状態が700h(700時間)続いたとする。この温度=X℃において、クリープ線が時間量=1000hを示すとすると、シール部材27の温度ダメージ量=(700h)/(1000h)×100=70%として算出される。
変形例1において、上述のようにして算出された温度ダメージ量と、先に図6を参照して説明した内圧ダメージ量との合計が、シール部材のダメージ量として算出される。そして、このシール部材のダメージ量が積算され、シール部材の積算ダメージ量が得られる。変形例1では、シール部材の劣化を判断するために、シール部材の積算ダメージ量に対して適切な規定値が設定されるので、温度ダメージ量をも考慮した、シール部材の劣化判断が可能になる。
シール部材の劣化判断は、先にも述べたように、図8のフローチャートの処理によって実行されてもよい。また、シール部材の劣化判断は、次に図12を参照して説明するフローチャートの処理によって実行されてもよい。
図12は、シール部材の劣化を判断するために実行される処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理は、図7の監視ユニット410によって実行される。
図7および図12を参照して、はじめに、ステップS11において、IG(イグニッション電源)がOFF中の、電池セル(たとえば電池セル200−1)のSOCおよび時間と、IGがオン(ON)とされた直後の温度とが取得される。イグニッション電源は、電池パック400が搭載される車両のイグニッション電源を意味する。
次に、ステップS12において、積算ダメージ量Zが算出され、算出した積算ダメージ量Zが95%以上であるか否かが判断される。積算ダメージ量Zが95%以上の場合(ステップS12でYES)、ステップS14に処理が進められる。そうでない場合(ステップS12でNO)、ステップS13に処理が進められる。
ステップS13において、走行中のSOC、時間、温度が取得される。この処理は、所定の時間間隔で(たとえば5分毎に)行なわれる。所定の時間間隔での取得が実行されるために、たとえば、ステップS12とステップS13との間に、5分間待機するといった処理が実行されてもよい。ステップS13の処理の完了後は、ステップS12に再び処理が戻される。
ステップS14において、スタック交換を示す診断結果が確定される。この診断結果が確定される。この診断結果が確定されると、たとえば、車両からユーザへの通知などによって、電池スタックの交換がユーザに促される。
ステップS14の処理が実行された後、フローチャートの処理は終了する。
図12のフローチャートによれば、電池セルの温度情報をも考慮して、電池構成部材(たとえばシール部材)の劣化を判断することが可能になる。
図13および図14は、図12のステップS12などで用いられる、シール部材の劣化を判断するための規定値についての検討結果を説明するための図である。
図13は、電池セル(電池パック)を車両に搭載してその車両を走行させた場合の、電池セルのシール部材の積算ダメージ量Zとシール部材の破綻(シール破綻)の有無の確認結果を示す表である。シール破綻の有無は、たとえば、Heリークの程度に基づいて判断される。
図13に示すように、積算ダメージ量Zが100%以下の場合、シール破綻は確認されなかった。一方、積算ダメージ量Zが105%に至ると、シール破綻が確認された。安全マージンを考慮すると、シール部材劣化の判断基準となる積算ダメージ量Zに対する規定知(しきい値)として、95%が好適に用いることができる。
図14は、変形例1において規定値を95%に設定して行なった車両走行試験(走行試験回数N=3)の結果を示す表である。比較のため、規定値によるシール部材劣化の判断を行なわない検討例も併せて記載している。なお、図14中「制御有無」は、規定値に基づくシール部材劣化の判断のための制御の有無を意味する。「異常診断有無」は、先に図12のステップS14で説明したスタック交換を示す診断結果の確定の有無を意味する。
検討例では、積算ダメージ量Zが95%を超えてもスタック交換を示す診断結果が確定しないため、積算ダメージ量Zが95%を超えたことが判別できない。そのため、検討例では、積算ダメージ量Zが95%を超えても電池セルの使用が継続され、図14に示すように、積算ダメージ量Zが105%に達し、シール部材が破綻に至った。
これに対し、変形例1では、積算ダメージ量Zが95%で異常診断有りとされる。そのため、積算ダメージ量Zも95%より大きくなることが抑止され、また、No1〜No3の3回の試験走行においていずれも、シール部材が破綻に至ることがなかった。
このように、シール部材劣化に関して、積算ダメージ量Zに対する規定値を95%に設定することで、シール部材劣化を適切に判断できることが確認された。
[変形例2]
再び図2を参照して、ガス排出弁240も、図1に示すCID10やシール部材27同様経時劣化する。ガス排出弁240が劣化すると、たとえば、ガス排出弁240が開弁状態に至る可能性がある。ガス排出弁240が開弁状態に至る場合、ガス排出弁240は不良状態であると言える。ガス排出弁240は、たとえば、電池内圧が変動する頻度、すなわち電池内圧の変動数によってもその劣化の進行度合いが変わり得る。
変形例2では、電池内圧の変動(たとえば変動の回数)によるガス排出弁240への負荷(内圧変動負荷)も考慮される。すなわち、電池構成部材に対する負荷として、先に述べた内圧負荷だけでなく、内圧変動負荷も含まれる。変形例2では、たとえば、電池内圧および電池内圧の変動回数が複数回に分けて取得される。複数回の取得の各々について、電池内圧とその電池内圧に変動した変動回数との関係を示すS−N線(S−N特性)における取得された電池内圧および変動回数の割合が、内圧変動ダメージ量としてそれぞれ算出される。そして、算出されたそれぞれの内圧変動ダメージ量および積算内圧ダメージ量の積算に基づいて積算ダメージ量が得られる。S−N線については、後に図16を参照して説明する。
変形例2においても、電池セルの温度情報などが取得され、利用される。
図15は、変形例2において、電池セルの温度情報を取得するための構成の一例を説明するための図である。
温度情報を取得するために、たとえば、温度センサ223は、ガス排出弁240の上部に設けられる。
図16は、一例として、図2の電池セル200の内圧変動の回数(内圧変動回数)と、図15などに示すガス排出弁240のようなガス排出弁が開弁に至る(不良状態に至る)までの電池内圧力との関係を示すグラフ(S−N線)である。
図16に示すグラフによれば、電池の内圧と、内圧の変動回数とに基づいて、ガス排出弁のダメージ量を算出できる。内圧の変動回数のカウントは、図5を参照して説明したアレニウスプロットに基づき、たとえば、所定の大きさの温度変動(たとえば±5℃)が生じた場合行なわれる。
たとえば、電池内圧力がxMPa(あるいはその付近)に変動した回数が700回であったとする。この場合、xMPaにおけるS−N線が内圧変動回数=1000回を示すとすると、ガス排出弁の内圧変動ダメージ量=(700回)/(1000回)×100=70%として算出される。
変形例2において、上述のようにして算出された内圧変動ダメージ量と、先に図6を参照して説明した内圧ダメージ量との合計が、ガス排出弁のダメージ量として算出される。そして、このガス排出弁のダメージ量が積算され、ガス排出弁の積算ダメージ量が得られる。変形例2では、ガス排出弁の劣化を判断するために、ガス排出弁の積算ダメージ量に対して適切な規定値が設定されるので、内圧変動をも考慮した、ガス排出弁の劣化判断が可能になる。
ガス排出弁の劣化判断は、先にも述べたように、図8のフローチャートの処理によって実行されてもよい。また、ガス排出弁の劣化判断は、次に図17を参照して説明するフローチャートの処理によって実行されてもよい。
図17は、ガス排出弁劣化を判断するために実行される処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理は、図7の監視ユニット410によって実行される。
図7および図17を参照して、はじめに、ステップS21において、IGがOFF中の電池セル(たとえば電池セル200−1)のSOCおよび時間と、IGがONとされた直後の温度とが取得される。
次に、ステップS22において、車両の放置中(たとえばIGがOFFであった期間中)の電池内圧の上昇値が算出され、内圧上昇によるダメージ量ΔZが算出される。そして、積算ダメージ量Zが算出される。
その後、ステップS23において、積算ダメージ量Zが95%以上であるか否かが判断される。積算ダメージ量Zが95%以上の場合(ステップS23でYES)、ステップS27に処理が進められる。そうでない場合(ステップS23でNO)、ステップS24に処理が進められる。
ステップS24において、走行中のSOC、時間、温度が取得される。この処理は、所定の時間間隔で(たとえば5分毎に)行なわれる。そのため、たとえば、ステップS23とステップS24との間に、5分間待機するという処理が実行されてもよい。ステップS24の処理の完了後は、ステップS25に再び処理が戻される。
ステップS25において、(1)走行中の内圧上昇値が算出され、内圧上昇によるダメージ量(たとえばΔZ1)が算出される。また、(2)走行中の温度変動値が所定値(たとえば絶対値が5℃)以上となった回数から、内圧変動によるダメージ量(たとえばΔZ2)が算出される。
次に、ステップS26において、内圧上昇によるダメージ量ΔZ1との内圧変動によるダメージ量ΔZ2の合計がダメージ量ΔZとされ、ダメージ量ΔZが積算されて積算ダメージ量Zが算出される。そして、積算ダメージ量Zが95%以上であるか否かが判断される。積算ダメージ量Zが95%以上の場合(ステップS26でYES)、ステップS27に処理が進められる。そうでない場合(ステップS26でNO)、ステップS24に再び処理が戻される。
ステップS27において、スタック交換を示す診断結果が確定される。その後、フローチャートの処理は終了する。
図17のフローチャートによれば、電池セルの内圧変動をも考慮して、電池構成部材(たとえばガス排出弁)の劣化を判断することが可能になる。
図18および図19は、図17のステップS23などで用いられる、ガス排出弁の劣化を判断するための規定値についての検討結果を説明するための図である。
図18は、電池セル(電池パック)を車両に搭載してその車両を走行させた場合の、電池セルのガス排出弁の積算ダメージ量Zとガス排出弁の開弁の有無の確認結果を示す表である。
図18に示すように、積算ダメージ量Zが95%以下の場合、ガス排出弁の開弁は確認されなかった。一方、積算ダメージ量Zが103%に至ると、開弁が確認された。したがって、ガス排出弁劣化の判断基準となる積算ダメージ量Zに対する規定値(しきい値)として、95%が好適に用いることができる。
図19は、変形例2において規定値を95%に設定して行なった車両走行試験(走行試験回数N=3)の結果を示す表である。比較のため、規定値によるガス排出弁劣化の判断を行なわない検討例も併せて記載している。なお、図19中「制御有無」は、規定値に基づくガス排出弁劣化の判断のための制御の有無を意味する。「異常診断有無」は、スタック交換を示す診断結果の確定の有無を意味する。
検討例では、積算ダメージ量Zが95%を超えてもスタック交換を示す診断結果が確定しないため、積算ダメージ量Zが95%を超えたことが判別できない。そのため、検討例では、積算ダメージ量Zが95%を超えても電池セルの使用が継続され、図19に示すように、積算ダメージ量Zが103%に達し、ガス排出弁が開弁状態に至った。
これに対し、変形例2では、積算ダメージ量Zが95%でスタック交換を示す診断結果が確定される。そのため、積算ダメージ量Zも95%より大きくなることが防がれ、また、No1〜No3の3回の試験走行においていずれも、ガス排出弁が開弁状態に至ることがなかった。
このように、ガス排出弁に関して、積算ダメージ量に対する規定値を95%に設定することで、ガス排出弁劣化を適切に判断できることが確認された。
以上説明したような、CID、シール部材、ガス排出弁などの電池構成部材の劣化を判断する機能を備えた電池システムは、たとえば車両に搭載される電池に適用されるのが好適である。
図20は、車両に搭載された電池パック(図7に示す電池パック400)を説明するための図である。図20を参照して、車両700は、電池パック400に蓄えられた電気エネルギを利用して走行可能な電気自動車やハイブリッド車両などである。車両700において電池パック400がどのように使用(充放電など)されるかは、車両700のユーザの使用方法によってさまざまである。実施の形態に係る電池システムによれば、電池パック400が車両700においてどのような使われ方をしたとしても、その使用状況が考慮されて電池パック400に含まれる電池(電池セル)の構成部材の劣化が判断される。そのため、電池パック400(の構成部材)の経時劣化のタイミングを適切に判断することが可能になる。
最後に、本発明の実施の形態について総括する。図7を参照して、電池システム1は、電池(電池セル200−1などの)構成部材と、電池構成部材に加えられる負荷と負荷が加えられ続けることにより電池構成部材が不良状態に至るまでに要する時間量との関係を示すクリープ特性を利用して電池構成部材の劣化を判断する判断部413とを備える。負荷は、少なくとも電池内圧による電池構成部材への内圧負荷を含む。判断部は、電池内圧および時間量を複数回に分けて取得する。判断部は、複数回の各々において、電池内圧と時間量との関係を示すクリープ特性(図6や図16)における取得した電池内圧および時間量の割合を内圧ダメージ量として算出する。判断部413は、複数回の各々において、算出した内圧ダメージ量を積算して積算ダメージ量を得、得られた積算ダメージ量が規定値以上である場合、電池構成部材が劣化していると判断する。
好ましくは、判断部は、取得した電池内圧に対してクリープ特性が示す時間量に占める取得した時間量の割合を内圧ダメージ量として算出するか、または、取得した時間量に対してクリープ特性が示す電池内圧に占める取得した電池内圧の割合を内圧ダメージ量として算出する。
好ましくは、電池構成部材は、図1などに示す電流遮断機構(CID10)である。規定値は、内圧ダメージ量をパーセントで表した場合、100%に設定される。
あるいは、電池構成部材は、図1などに示すシール部材27である。負荷は、温度によるシール部材への温度負荷をさらに含む。判断部413は、温度および時間量を取得し、シール部材27における温度ダメージ量をさらに算出する。判断部413は、温度ダメージ量および積算内圧ダメージ量を積算して積算ダメージ量を得る。規定値は、95%以上に設定される。
あるいは、電池構成部材は、図2などに示すガス排出弁240である。負荷は、電池内圧変動によるガス排出弁240への内圧変動負荷をさらに含む。判断部413は、電池内圧の変動に伴う内圧変動ダメージ量をさらに算出する。判断部413は、内圧変動ダメージ量および積算内圧ダメージ量を積算して積算ダメージ量を得る。規定値は、95%以上に設定される。
好ましくは、電流遮断機構(CID10)は、図3および図4に示すように、電池(電池セル200)の端子板221(のたとえば下方)に設けられる。電池システム1は、端子板221(のたとえば上方)に設けられた温度センサ223をさらに備える。判断部413は、図5などに示すように温度センサ223が検知する温度と電池の残存容量(SOC)とから電池におけるガス発生速度を算出し、算出したガス発生速度に基づいて電池の内圧を算出する。
好ましくは、電池システム1は、電池を複数(電池セル200−1〜200−14など)含む電池スタック(たとえば電池スタック300−1〜300−4)を備える。温度センサは、電池スタック(たとえば電池スタック300−1)における排気経路の下流側に配置された電池(たとえば電池セル200−14)の端子板に設けられる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 電池システム、23 インシュレータ、25 封口体、25m 貫通孔、27 シール部材、31,32 接続部材、41 反転板、51 集電板、52 ノッチ、61 ホルダ部材、62 かしめ部、200 電池セル、210 電池ケース、220,230 外部端子、221,231 端子板、222,232 ボルト、223 温度センサ、224N,224P 電圧検出線、240 ガス排出弁、300 電池スタック、400 電池パック、410 監視ユニット、411 温度計測部、412 計測部、413 判断部、414 記憶部、500 吸気口、600 排気口、700 車両、S 通信信号。

Claims (7)

  1. 電池構成部材と、
    前記電池構成部材に加えられる負荷と前記負荷が加えられ続けることにより前記電池構成部材が不良状態に至るまでに要する時間量との関係を示すクリープ特性を利用して前記電池構成部材の劣化を判断する判断部とを備え、
    前記負荷は、少なくとも電池内圧による前記電池構成部材への内圧負荷を含み、
    前記判断部は、電池内圧および時間量を複数回に分けて取得し、
    前記判断部は、前記複数回の各々において、電池内圧と時間量との関係を示すクリープ特性における取得した電池内圧および時間量の割合を内圧ダメージ量として算出し、
    前記判断部は、前記複数回の各々において、算出した内圧ダメージ量を積算して積算ダメージ量を得、得られた積算ダメージ量が規定値以上である場合、前記電池構成部材が劣化していると判断する、電池システム。
  2. 前記判断部は、前記取得した電池内圧に対してクリープ特性が示す時間量に占める前記取得した時間量の割合を前記内圧ダメージ量として算出するか、または、前記取得した時間量に対してクリープ特性が示す電池内圧に占める前記取得した電池内圧の割合を前記内圧ダメージ量として算出する、請求項1に記載の電池システム。
  3. 前記電池構成部材は、電流遮断機構であり、
    前記規定値は、前記内圧ダメージ量をパーセントで表した場合、100%に設定される、請求項2に記載の電池システム。
  4. 前記電池構成部材は、シール部材であり、
    前記負荷は、温度による前記シール部材への温度負荷をさらに含み、
    前記判断部は、温度および時間量を取得し、前記シール部材における温度ダメージ量をさらに算出し、
    前記判断部は、前記温度ダメージ量および前記内圧ダメージ量を積算して前記積算ダメージ量を得、
    前記規定値は、95%以上に設定される、請求項1または請求項2に記載の電池システム。
  5. 前記電池構成部材は、ガス排出弁であり、
    前記負荷は、電池内圧変動による前記ガス排出弁への内圧変動負荷をさらに含み、
    前記判断部は、前記電池内圧の変動に伴う内圧変動ダメージ量をさらに算出し、
    前記判断部は、前記内圧変動ダメージ量および前記内圧ダメージ量を積算して前記積算ダメージ量を得、
    前記規定値は、95%以上に設定される、請求項1または請求項2に記載の電池システム。
  6. 前記電流遮断機構は、電池の端子板に設けられ、
    前記電池システムは、前記端子板に設けられた温度センサをさらに備え、
    前記判断部は、前記温度センサが検知する温度と前記電池の残存容量とから前記電池におけるガス発生速度を算出し、算出したガス発生速度に基づいて前記電池の内圧を算出する、請求項3に記載の電池システム。
  7. 前記電池システムは、前記電池を複数含む電池スタックを備え、
    前記温度センサは、前記電池スタックにおける排気経路の下流側に配置された電池の端子板に設けられる、請求項6に記載の電池システム。
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