JP2015141587A - 硬貨処理装置および硬貨処理方法 - Google Patents

硬貨処理装置および硬貨処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】精査処理において各収納部に収納されている硬貨を保留部に送る際および保留部から硬貨を各収納部に戻す際において同一の搬送部により硬貨を搬送することにより、硬貨処理装置の高さを小さくすることができ小型化を図ることができる硬貨処理装置および硬貨処理方法を提供する。
【解決手段】硬貨処理装置10において、各収納部(例えば、収納筒148)に収納されている硬貨を搬送部(例えば、硬貨搬送部120)により保留部(例えば、硬貨入金部20)に送って当該保留部に保留させた後にこの保留部から硬貨を搬送部により各収納部に戻し、この際に搬送部により搬送される硬貨を識別部125により少なくとも計数する精査処理を行うようになっている。このような精査処理において各収納部に収納されている硬貨を保留部に送る際および保留部から硬貨を各収納部に戻す際において同一の搬送部により硬貨が搬送される。
【選択図】図2

Description

本発明は、硬貨の処理を行う硬貨処理装置および硬貨処理方法に関し、とりわけ、硬貨の精査処理を行うことができる硬貨処理装置および硬貨処理方法に関する。
従来から、銀行等の金融機関には、硬貨の入出金処理を行うことができる循環型の硬貨処理装置が設置されている。例えば、特許文献1には、出金時、精査時、硬貨補充装填時の硬貨の搬送をより安定して行うことができる硬貨処理装置が開示されている。
特開平11−259718号公報
特許文献1に開示されるような従来の硬貨処理装置では、機体内に収納されている硬貨の在高を確認するために精査処理が行われるようになっている。このような精査処理の詳細について以下に説明する。特許文献1に開示されるような従来の硬貨処理装置では、精査処理を行う際に、金種別金庫に収納されている硬貨は下方に投出されて下部繰出部に送られ、この下部繰出部から硬貨が繰り出されることにより第2の硬貨強制搬送路、合流部、第1の硬貨強制搬送路、選別部を順に経て硬貨が元の金種別金庫に戻される。また、この際に、第1の硬貨強制搬送路に設けられた鑑別センサにより硬貨の計数等が行われる。
しかしながら、特許文献1に開示されるような従来の硬貨処理装置で精査処理を行うにあたり、金種別金庫から下方に投出された硬貨を下部繰出部により繰り出し、金種別金庫の上方に設けられた第1の硬貨強制搬送路を経て硬貨が金種別金庫に戻されるため、硬貨処理装置が高さ方向に大きくなってしまうという問題があった。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、精査処理において各収納部に収納されている硬貨を保留部に送る際および保留部から硬貨を各収納部に戻す際において同一の搬送部により硬貨を搬送することにより、硬貨処理装置の高さを小さくすることができ小型化を図ることができる硬貨処理装置および硬貨処理方法を提供することを目的とする。
本発明の硬貨処理装置は、筐体と、前記筐体内で硬貨の搬送を1枚ずつ行う搬送部と、前記搬送部に設けられ、当該搬送部により搬送される硬貨の識別を行う識別部と、前記搬送部にそれぞれ接続され、各々が前記搬送部から送られた硬貨を収納するとともに収納された硬貨を前記搬送部に繰り出し可能な複数の収納部と、前記搬送部に接続され、前記搬送部から送られた硬貨を保留するとともに保留された硬貨を前記搬送部に繰り出し可能な保留部と、各前記収納部に収納されている硬貨を前記搬送部により前記保留部に送って当該保留部に保留させた後に前記保留部から硬貨を前記搬送部により各前記収納部に戻し、この際に前記搬送部により搬送される硬貨を前記識別部により少なくとも計数する精査処理を行う制御部と、を備え、前記精査処理において各前記収納部に収納されている硬貨を前記保留部に送る際および前記保留部から硬貨を各前記収納部に戻す際において同一の前記搬送部により硬貨が搬送されることを特徴とする。
このような硬貨処理装置によれば、精査処理において各収納部に収納されている硬貨を保留部に送る際および保留部から硬貨を各収納部に戻す際において同一の搬送部により硬貨を搬送することにより、硬貨処理装置の高さを小さくすることができ小型化を図ることができる。
本発明の硬貨処理装置においては、前記保留部は、入金硬貨を受け入れる入金口または出金硬貨を受け入れる出金口を有していてもよい。
本発明の硬貨処理装置においては、前記保留部は、硬貨を収容するホッパと、前記ホッパの底部に配置された搬送ベルトとを有しており、前記搬送ベルトは前記搬送部より前記ホッパに送られてきた硬貨を当該ホッパに収容する方向および前記ホッパ内から硬貨を繰り出す方向の両方向に移動可能となっており、前記ホッパ内において前記搬送ベルトの側方には、前記ホッパの底部に配置された前記搬送ベルトから上方に突出する突出位置と前記搬送ベルトから下方に退避する退避位置との間で移動する撹拌部材が設けられていてもよい。
また、前記撹拌部材は、前記搬送ベルトの下方に設けられ水平方向に延びる軸を中心として回転する偏心部分からなっていてもよい。
また、前記偏心部分の前記軸は前記搬送ベルトの駆動と連動して回転するようになっていてもよい。
本発明の硬貨処理装置においては、前記ホッパの外側において、前記搬送ベルトにより搬送される硬貨を上方から前記搬送ベルトに向かって押圧する押圧部材が設けられていてもよい。
本発明の硬貨処理装置においては、前記搬送部には、搬送される硬貨を引っ掛けるピンが複数設けられており、前記精査処理において各前記収納部に収納されている硬貨を前記保留部に送る際に、前記搬送部により搬送される一の硬貨と、この一の硬貨に引き続く他の硬貨との間に挟まれる前記ピンの数が複数となるよう前記搬送部により硬貨が搬送されるようになっていてもよい。
本発明の硬貨処理装置は、前記搬送部から送られた硬貨を回収するための回収部を更に備え、前記制御部は、前記精査処理が行われる際に、各前記収納部に収納されている硬貨の量が前記保留部の容量よりも大きい場合には、各前記収納部に収納されている硬貨を前記搬送部により前記保留部に送って当該保留部に保留させるときに一部の硬貨を前記回収部に送るよう制御を行うようになっていてもよい。
本発明の硬貨処理方法は、筐体と、前記筐体内で硬貨の搬送を1枚ずつ行う搬送部と、前記搬送部に設けられ、当該搬送部により搬送される硬貨の識別を行う識別部と、前記搬送部にそれぞれ接続され、各々が前記搬送部から送られた硬貨を収納するとともに収納された硬貨を前記搬送部に繰り出し可能な複数の収納部と、前記搬送部に接続され、前記搬送部から送られた硬貨を保留するとともに保留された硬貨を前記搬送部に繰り出し可能な保留部とを備えた硬貨処理装置による硬貨処理方法であって、各前記収納部に収納されている硬貨を前記搬送部により前記保留部に送って当該保留部に保留させる工程と、前記保留部から硬貨を前記搬送部により各前記収納部に戻す工程と、を備え、各前記収納部に収納されている硬貨を前記搬送部により前記保留部に送って当該保留部に保留させる工程または前記保留部から硬貨を前記搬送部により各前記収納部に戻す工程において、前記搬送部により搬送される硬貨を前記識別部により少なくとも計数し、各前記収納部に収納されている硬貨を前記保留部に送る際および前記保留部から硬貨を各前記収納部に戻す際において同一の前記搬送部により硬貨が搬送されるようになっていてもよい。
このような硬貨処理方法によれば、精査処理において各収納部に収納されている硬貨を保留部に送る際および保留部から硬貨を各収納部に戻す際において同一の搬送部により硬貨を搬送することにより、硬貨処理装置の高さを小さくすることができ小型化を図ることができる。
本発明の硬貨処理装置および硬貨処理方法によれば、精査処理において各収納部に収納されている硬貨を保留部に送る際および保留部から硬貨を各収納部に戻す際において同一の搬送部により硬貨を搬送することにより、硬貨処理装置の高さを小さくすることができ小型化を図ることができる。
本発明の実施の形態による硬貨処理装置を備えた貨幣処理機の構成を示す斜視図である。 図1に示す貨幣処理機における硬貨処理装置の内部構成を示す構成図である。 図2に示す硬貨処理装置における硬貨搬送部等の上面図である。 図3に示す硬貨搬送部における収納分岐部および硬貨収納機構の拡大上面図である。 図3に示す硬貨搬送部における収納分岐部および硬貨収納機構の縦断面図である。 図2等に示す硬貨処理装置における硬貨入金部の構成の詳細を示す斜視図である。 図6に示す硬貨入金部を上方から見たときの構成の詳細を示す上面図である。 図6等に示す硬貨入金部において枠体の外部から内部に硬貨を繰り入れる際に搬送ベルト上に硬貨がいわゆる千鳥状態で敷き詰められたときの状態を示す上面図である。 図6等に示す硬貨入金部の構成の概略を示す側面図である。 図6等に示す硬貨入金部の構成の概略を示す側面図である。 図9Aや図9Bに示す硬貨入金部を上方から見たときの構成の概略を示す上面図である。 図6等に示す硬貨入金部に設けられた撹拌機構の構成の一例を示す斜視図である。 図6等に示す硬貨入金部に設けられた撹拌機構の構成の他の例を示す斜視図である。 図6等に示す硬貨入金部に設けられた撹拌機構の構成の更に他の例を示す斜視図である。 図6等に示す硬貨入金部に設けられた撹拌機構の構成を示す拡大側面図である。 図6等に示す硬貨入金部に設けられたガイド部の構成を示す上面図である。 図15に示す硬貨入金部のA−A矢視による縦断面図である。 図16に示す硬貨入金部の一部を拡大して示す拡大縦断面図である。 変形例に係る硬貨入金部の構成の概略を示す側面図である。 他の変形例に係る硬貨入金部の構成の概略を示す側面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図17は、本実施の形態による硬貨処理装置およびこの硬貨処理装置を備えた貨幣処理機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による硬貨処理装置を備えた貨幣処理機の構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示す貨幣処理機における硬貨処理装置の内部構成を示す構成図であり、図3は、図2に示す硬貨処理装置における硬貨搬送部の上面図である。また、図4は、図3に示す硬貨搬送部における収納分岐部および硬貨収納機構の拡大上面図であり、図5は、図3に示す硬貨搬送部における収納分岐部および硬貨収納機構の縦断面図である。また、図6乃至図17は、図2等に示す硬貨処理装置における硬貨入金部の構成を示す図である。
まず、図1を用いて本実施の形態による貨幣処理機の全体構成について説明する。図1に示すように、本実施の形態による貨幣処理機は、並列に配設された硬貨処理装置10および紙幣処理装置12から構成されている。より詳細には、本実施の形態による貨幣処理機を正面側から見て右側に硬貨処理装置10が配置されているとともに左側に紙幣処理装置12が配置されている。ここで、硬貨処理装置10は、硬貨の入出金処理等を行う硬貨入出金装置であり、紙幣処理装置12は、紙幣の入出金処理等を行う紙幣入出金装置である。
図1に示すように、硬貨処理装置10の前面上部には硬貨入金部20が設けられており、この硬貨入金部20の硬貨投入口21に投入された硬貨が硬貨処理装置10の機体内に繰り出されるようになっている。また、硬貨処理装置10の前面中段には硬貨出金ボックス136が着脱自在に設置されている。具体的には、硬貨出金ボックス136は硬貨処理装置10の前面から手前側に引き出すことができるようになっている。このような硬貨処理装置10の構成の詳細については後述する。
また、図1に示すように、紙幣処理装置12の前面には上方から順に紙幣入金口12aおよび紙幣出金口12bが設けられている。また、紙幣処理装置12の前面において紙幣出金口12bの下方には紙幣収納カセット12cが着脱自在に設置されている。具体的には、紙幣収納カセット12cは紙幣処理装置12の前面から手前側に引き出すことができるようになっている。このような紙幣収納カセット12cは紙幣処理装置12の高さ方向における中間位置に配置されている。また、紙幣処理装置12の前面において紙幣収納カセット12cの更に下方には出金リジェクト部12dが設けられている。なお、本実施の形態では紙幣処理装置12の構成の詳細の説明については省略する。
次に、硬貨処理装置10の構成の詳細について図2乃至図5を用いて説明する。図2は、図1に示す貨幣処理機における硬貨処理装置10の内部構成を示す構成図であり、図3は、図2に示す硬貨処理装置10における硬貨搬送部120等の上面図である。また、図4は、図3に示す硬貨搬送部120における収納分岐部141および硬貨収納機構142の拡大上面図であり、図5は、図3に示す硬貨搬送部120における収納分岐部141および硬貨収納機構142の縦断面図である。なお、図5において、硬貨収納機構142の硬貨収納部147に収納された硬貨を参照符号Cで示している。また、図2における硬貨処理装置10の左側面部は当該硬貨処理装置10の正面側となっており、図2における右方向が硬貨処理装置10の奥行き方向となっている。
図2および図3に示すように、硬貨入金部20における硬貨投入口21の下部には搬送ベルト24および逆転ローラ22が設けられており、操作者により硬貨投入口21に投入された硬貨は搬送ベルト24により硬貨処理装置10の奥方に繰り出され、この際に搬送ベルト24と逆転ローラ22との間の隙間を通ることにより、搬送ベルト24により搬送される硬貨は1枚ずつに分離されるようになっている。硬貨処理装置10の機体内において搬送ベルト24の奥方には硬貨搬送部120が設けられており、搬送ベルト24から硬貨搬送部120に硬貨が1枚ずつ受け渡され、この硬貨搬送部120により硬貨が更に搬送されるようになっている。
硬貨搬送部120は、硬貨処理装置10の奥行き方向に沿って延びる搬送通路114を通るよう、硬貨を1枚ずつ搬送するようになっている。より詳細には、硬貨搬送部120は、循環移動を行う無端状の搬送ベルト121を有しており、この搬送ベルト121は、搬送通路114の前端および後端にそれぞれ水平方向に回転可能に軸支されたプーリ122によって張設されている(なお、図3では、搬送通路114の前端に設けられたプーリ122のみを図示しており、搬送通路114の後端に設けられたプーリ122の図示は省略している)。搬送ベルト121には内周側に歯を有するタイミングベルトが用いられ、プーリ122にも外周に歯を有するタイミングプーリが用いられている。より詳細には、プーリ122の外周には搬送ベルト121の溝部に係合する突起部が設けられており、プーリ122によって搬送ベルト121の高さ方向の位置が規制され、搬送ベルト121と搬送通路114の硬貨搬送面116(図5参照、図3では図示せず)との間隔が、処理されるべき硬貨のうちの最大厚み硬貨の厚みよりも少し広い寸法に保たれている。
搬送ベルト121には、当該搬送ベルト121の下面から下方に向かって突出し、搬送通路114内の硬貨を1枚ずつ押動搬送する複数のピン123(図4および図5参照)が搬送ベルト121の長手方向に沿って所定の間隔毎に設けられている。複数のピン123の間隔は、搬送方向前後のピン123間に硬貨を1枚ずつ受け入れて搬送可能とする寸法とされている。ピン123と搬送通路114の硬貨搬送面116との間には、処理されるべき硬貨のうちの最小厚み硬貨の厚みよりも小さい寸法の間隙が空けられている。
このような硬貨搬送部120において、複数のプーリ122のうちある一つのプーリ122が駆動モータ(図示せず)によって正逆回転駆動される。そして、このような駆動モータによるプーリ122の駆動によって、搬送通路114上の搬送ベルト121が、搬送通路114の前側から後側方向へ向けた入金搬送方向F1、および搬送通路114の後側から前側方向へ向けた出金搬送方向F2にそれぞれ循環移動させられる。また、プーリ122の軸には、このプーリ122の回転位置を検知する検知センサが設けられており、この検知センサの検知に基づいて搬送通路114上における搬送ベルト121の位置および各ピン123の位置を検知することができるようになっている。
また、図2および図3に示すように、硬貨搬送部120には、搬送通路114を通って搬送される硬貨の金種、真偽、正損、表裏等の識別を行う識別部125が設けられている。
また、硬貨処理装置10の奥行き方向において、硬貨搬送部120の搬送通路114における識別部125の奥側には、当該識別部125による識別結果に基づいて硬貨を金種別に分岐させる金種別の収納分岐部141が配設されている。さらに、搬送通路114の一側部には、各収納分岐部141に対応して金種別に硬貨を収納する硬貨収納機構142が配設されている。
収納分岐部141は、搬送通路114の硬貨搬送面116(図5参照)から上方に突出可能な振分ゲート145を有しており、この振分ゲート145は、ソレノイド等の駆動手段により、入金搬送方向F1の下流側の水平な軸を中心として入金搬送方向F1の上流側が上下に移動し、このことにより搬送通路114の硬貨搬送面116から上方に突出することができるようになっている。ここで、振分ゲート145は、通常時は搬送通路114の硬貨搬送面116の下方に退避し、この振分ゲート145上を硬貨が通過するようになっているが、搬送ベルト121により搬送される硬貨のうち、識別部125で該当金種と識別された硬貨が搬送されてくる所定のタイミングで、振分ゲート145の入金搬送方向F1の上流側が搬送通路114の硬貨搬送面116から上方に突出し、この振分ゲート145により該当金種の硬貨が当該振分ゲート145に対応する硬貨収納機構142へ向けて案内される。また、硬貨収納機構142から搬送通路114に硬貨を繰り出す際にも、振分ゲート145が搬送通路114の硬貨搬送面116から上方に突出した状態で、硬貨収納機構142から繰り出された硬貨を搬送通路114内に案内するようになる。なお、図4に示すように、硬貨処理装置10の奥行き方向における最も奥側にある搬送通路114の端部には振分ゲート145ではなく案内部材146が設けられており、搬送通路114から最も奥側にある硬貨収納機構142の収納筒148へはこの案内部材146により硬貨が案内されるようになっている。
硬貨収納機構142は、搬送通路114から硬貨を受け入れて収納するとともに、収納している硬貨を搬送通路114に繰り出すものである。硬貨収納機構142は、上下方向(鉛直方向)を集積方向として硬貨を積層状態で収納する硬貨収納部147を構成する収納筒148、および搬送通路114および収納筒148の両方に跨がった状態でそれらの上方に配置される押動部材149を備えている(図5参照)。収納筒148の上端は開口されており、この上端の開口から硬貨の収納および繰出が行われるようになっている。
図2乃至図4に示すように、硬貨処理装置10の奥行き方向に沿って6つの硬貨収納機構142が設けられており、これらの6つの硬貨収納機構142は、硬貨処理装置10の手前側から順に(すなわち、図2における左側から順に)、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨をそれぞれ収納するようになっている。
図4および図5に示すように、搬送通路114の一側方に収納筒148の上端が配置されており、搬送通路114と収納筒148の上端との間にはこれらの搬送通路114と収納筒148の上端との間で硬貨を案内する案内通路150が形成されている。図4に示すように、案内通路150は、搬送通路114から収納筒148の上端へ向けて湾曲した形状となっている。さらに、案内通路150の上方には、押動部材149の一部が配置されている。
押動部材149は、収納筒148の集積方向と平行な回転軸155を中心に水平方向に回転する回転板156を有している。この回転板156の下面周辺部には、3つの突起157が周方向に等間隔で設けられている。回転板156の回転軸155の上端は駆動モータ158(図2参照)に連結されており、この駆動モータ158によって回転板156が回転可能に支持されている。
回転板156の下面と搬送通路114の硬貨搬送面116との間には硬貨の1枚分の厚みより大きく2枚分の厚みより小さい間隙が空けられ、また、突起157の下面と搬送通路114の硬貨搬送面116との間には硬貨の1枚分の厚みより小さい間隙が空けられている。したがって、回転板156の下側に1枚の硬貨のみが進入し、その硬貨の側面に突起157が当接して押動可能となる。このようにして、回転板156が120°回転することにより1枚の硬貨の収納筒148への収納動作または1枚の硬貨の収納筒148からの繰出動作を行うようになる。
押動部材149には、回転板156の回転位置を検知する検知部(図示せず)が設けられている。具体的には、回転板156の周縁部には、3つの突起157の位置に対応して3つの開口162が形成されている。また、回転板156の回転位置を検知する検知部は、回転板156または回転軸155に取り付けられた検知板およびこの検知板の周辺部に対して上下方向から対向配置されたフォトインタラプタである定位置検知センサを有しており、定位置検知センサに対して検知板の周縁部が対向する状態から開口162が対向する状態となって、定位置検知センサが遮光状態から透光状態に切り換わることにより、回転板156の定位置を検知する。回転板156の定位置は、図4に示すように、いずれの突起157も搬送通路114の外に位置している回転板156の回転位置としている。このような回転板156の定位置では、1つの突起157が案内通路150の出入口の中央に位置し、搬送通路114から案内通路150に硬貨が進入するのを防止している。
そして、回転板156は、駆動モータ158により、硬貨の収納時(押込動作時)に図4の時計回りの方向の押込回転方向に回転駆動され、硬貨の繰出時(押出動作時)に押込回転方向と反対になる図4の反時計回りの方向の押出回転方向に回転駆動されるようになっている。さらに、駆動モータ158による回転板156の各方向への回転は、硬貨搬送部120による硬貨の搬送に同期されている。すなわち、上述したように、プーリ122の回転位置を検知する検知センサが設けられており、この検知センサの検知に基づいて搬送通路114上における搬送ベルト121の位置および各ピン123の位置を検知することができるようになっているため、入金時には、ピン123の検知位置と識別部125での識別結果とに基づいて該当する金種の硬貨を分岐させるように駆動モータ158で回転板156を回転させ、また、出金時にはピン123の位置に基づいて該当するピン123に硬貨を受け渡すように駆動モータ158で回転板156を回転させる。
また、図4に示すように、各押動部材149の回転板156の近傍における搬送通路114上には、硬貨の通過を検知する通過確認センサ170が各押動部材149に対応して設けられている。このような通過確認センサ170により、各硬貨収納機構142の収納筒148から搬送通路114に繰り出された硬貨の計数が行われるようになっている。なお、各硬貨収納機構142の収納筒148から搬送通路114に繰り出された硬貨の計数を通過確認センサ170により行うにあたり、繰出直後の搬送通路114上での硬貨の挙動は不安定であり、硬貨が二重に計数されるおそれがあるため、硬貨が収納筒148から搬送通路114に繰り出された直後に位置する通過確認センサ170ではなく、この通過確認センサ170よりも出金搬送方向F2の下流側に設けられた通過確認センサ170が用いられるようになっている。
図2および図3に示すように、硬貨処理装置10の奥行き方向における識別部125と各硬貨収納機構142との間には、識別部125で識別不能または不適切と識別されたリジェクト硬貨を硬貨搬送部120の搬送通路114から分岐するリジェクト分岐部127が設けられている。このリジェクト分岐部127は、搬送通路114の通路底面に形成された分岐口、およびこの分岐口を開閉してリジェクト硬貨のみを選択的に分岐させる分岐ゲートを有している。分岐ゲートは、ソレノイド等の駆動手段により、入金搬送方向F1の下流側の水平な軸を支点として入金搬送方向F1の上流側が上下に移動し、分岐口を開閉する。そして、識別部125で識別された硬貨が各硬貨収納機構142に収納される場合には、分岐ゲートによって分岐口を閉塞する状態で分岐ゲート上を硬貨が通過する。また、入金搬送方向F1に搬送される硬貨が識別部125でリジェクト硬貨と識別された場合には、分岐ゲートの入金搬送方向F1の上流側が上方に移動して分岐口を開放し、分岐ゲートでリジェクト硬貨を分岐口に落とし込んで分岐させる。
図2に示すように、リジェクト分岐部127の分岐口の下方には、この分岐口により分岐されたリジェクト硬貨を、硬貨処理装置10の前面に設けられた硬貨出金ボックス136に導くリジェクトシュート131が設けられている。
また、図2および図3に示すように、硬貨処理装置10の奥行き方向における硬貨入金部20と識別部125との間には、硬貨を硬貨搬送部120の搬送通路114から分岐する出金分岐部133が設けられている。この出金分岐部133は、リジェクト分岐部127と同様に分岐口および分岐ゲートを有しているが、分岐ゲートは、ソレノイド等の駆動手段により、出金搬送方向F2の下流側の水平な軸を支点として出金搬送方向F2の上流側が上下に移動し、分岐口を開閉するようになっている。そして、出金分岐部133において、硬貨が出金されない場合には、分岐ゲートによって分岐口を閉塞する状態で分岐ゲート上を硬貨が通過する。また、後述する出金処理や回収処理等において、分岐ゲートの出金搬送方向F2の上流側が上方に移動して分岐口を開放し、出金搬送方向F2に搬送される硬貨を分岐ゲートで分岐口に落とし込んで分岐させるようになっている。
出金分岐部133の分岐口の下方には、この分岐口により分岐された硬貨を、硬貨処理装置10の前面に設けられた硬貨出金ボックス136に導く出金シュート135が設けられている。また、出金シュート135の中間部には、硬貨処理装置10の機体内に着脱可能に配置された硬貨回収カセット137に硬貨を導くための回収シュート138が接続されている。また、出金シュート135と回収シュート138との接続部には、分岐口から分岐された硬貨を出金シュート135または回収シュート138に振り分ける切換レバー139が配設されている。
また、本実施の形態では、図2に示すように、硬貨処理装置10の各構成要素の制御を行う制御部190が当該硬貨処理装置10の機体内に設置されている。
次に、硬貨入金部20の構成の詳細について図6乃至図17を用いて説明する。ここで、図6は、硬貨入金部20の構成の詳細を示す斜視図であり、図7は、図6に示す硬貨入金部20を上方から見たときの構成の詳細を示す上面図である。また、図8は、図6等に示す硬貨入金部20において枠体20aの外部から内部に硬貨を繰り入れる際に搬送ベルト24上に硬貨がいわゆる千鳥状態で敷き詰められたときの状態を示す上面図である。また、図9Aおよび図9Bは、図6等に示す硬貨入金部20の構成の概略を示す側面図であり、図10は、図9Aや図9Bに示す硬貨入金部20を上方から見たときの構成の概略を示す上面図である。また、図11乃至図13は、図6等に示す硬貨入金部20に設けられた撹拌機構30、30a、30bの構成の様々な例を示す斜視図であり、図14は、図6等に示す硬貨入金部20に設けられた撹拌機構30の構成を示す拡大側面図である。また、図15は、図6等に示す硬貨入金部20に設けられたガイド部26の構成を示す上面図であり、図16は、図15に示す硬貨入金部20のA−A矢視による縦断面図であり、図17は、図16に示す硬貨入金部の一部を拡大して示す拡大縦断面図である。
本実施の形態による硬貨入金部20は、上部が開口している枠体20aを有しており、この枠体20aの上部開口により硬貨投入口21が構成されている。このような枠体20aにより、硬貨を収容するホッパが構成されている。また、枠体20aの一方の側部(図9Aおよび図9Bにおける右側の側部)にも開口が設けられている。また、枠体20aの下部には、当該枠体20aの側部に設けられた開口を通って当該枠体20aの内部および外部に跨がるよう搬送ベルト24が設けられている。この搬送ベルト24により、硬貨入金部20の硬貨投入口21に投入されて枠体20aの内部に収容された硬貨が当該枠体20aの外部に繰り出されて硬貨搬送部120の搬送ベルト121に受け渡されるようになっている。
また、枠体20aの側部に設けられた開口を塞ぐように逆転ローラ22が設置されている。ここで、逆転ローラ22は、搬送ベルト121の上方において当該搬送ベルト121との間に硬貨1枚分の厚さよりもわずかに大きな隙間を隔てるよう設置されており、枠体20aの内部に収容された硬貨が搬送ベルト121により当該枠体20aの外部に繰り出される際に図9Aや図9Bにおける時計回りの方向に回転するようになっている。このような逆転ローラ22が設置されていることにより、搬送ベルト121により枠体20aの内部から繰り出される硬貨が一層一列状態に整列されるようになっている。また、逆転ローラ22の外周面には当該逆転ローラ22の周方向(すなわち、逆転ローラ22の軸に対して直交する方向)に沿って2つの溝が形成されている。ここで、逆転ローラ22が単なる円筒形状であるときには、多数の硬貨が硬貨投入口21に一度に投入されることにより枠体20a内に硬貨が充満した状態となったときには、搬送ベルト121が駆動しても枠体20a内の硬貨同士が干渉しあっていわゆるケイリン現象が発生してしまい、このようなケイリン現象が発生すると、枠体20a内にある硬貨が当該枠体20aの外部に一層一列状態で繰り出されるまでに時間がかかるおそれがあった。これに対し、逆転ローラ22の外周面に2つの溝を形成することによりこのようなケイリン現象の発生を抑制することができる。また、逆転ローラ22の外周面における2つの溝の間の部分はその一部が切り欠けられている(すなわち、逆転ローラ22の外周面における2つの溝の間の部分においてD字カットが行われている)。このことにより、多数の硬貨が硬貨投入口21に一度に投入されることにより枠体20a内に硬貨が充満した状態となったときに、逆転ローラ22の外周面における切り欠けられた部分により枠体20a内の硬貨の撹拌を行うことができるようになっている。
搬送ベルト24は図示しない複数のプーリに張架されており、複数のプーリのうちある一つのプーリが駆動モータ(図示せず)によって正逆回転駆動されることにより搬送ベルト24は枠体20aの内部から外部に硬貨を繰り出す方向および枠体20aの外部から内部に硬貨を繰り入れる方向の両方向に移動するようになっている。より詳細には、後述する入金処理を行う際には、搬送ベルト24は枠体20aの内部から外部に硬貨を繰り出す方向に移動し、硬貨入金部20の硬貨投入口21に投入された硬貨は当該搬送ベルト24により枠体20aの内部から外部に繰り出されて硬貨搬送部120の搬送ベルト121に受け渡されるようになっている。一方、後述する精査処理を行う際には、搬送ベルト24は枠体20aの外部から内部に硬貨を繰り入れる方向に移動し、硬貨搬送部120の搬送ベルト121から搬送ベルト24に受け渡された硬貨は枠体20aの外部から内部に繰り入れられるようになっている。このように、本実施の形態による硬貨入金部20は、硬貨搬送部120に接続され、当該硬貨搬送部120から送られた硬貨を枠体20a内で保留するともに保留された硬貨を硬貨搬送部120に繰り出し可能な保留部として機能するようになっている。
ここで、枠体20aの外部から内部に硬貨を繰り入れる方向に搬送ベルト24を移動させて枠体20aの外部から内部に硬貨を繰り入れる際に、図8に示すように搬送ベルト24上に硬貨がいわゆる千鳥状態で敷き詰められてしまいこれ以上搬送ベルト24を駆動しても枠体20aの上方へ硬貨を積み上げることができない場合がある。このような現象の発生を防止するために、本実施の形態による硬貨入金部20では様々な工夫がなされている。
例えば、枠体20a内における搬送ベルト24の下部には撹拌機構30が設置されており、この撹拌機構30により、搬送ベルト24上でいわゆる千鳥状態で敷き詰められた硬貨の撹拌を行うことができるようになっている。図11に示すように、撹拌機構30は、搬送ベルト24の下方に設けられ、その軸心が水平方向に延びる円筒形状の軸部32と、この軸部32の両端部に設けられた偏心フランジ34とを有している。ここで、軸部32は搬送ベルト24の下面に接するよう配置されており、搬送ベルト24が移動すると軸部32も搬送ベルト24に連れ回るようになっている。また、各偏心フランジ34は搬送ベルト24の両側方に位置するようになっている。すなわち、硬貨入金部20を上方から見たときに、撹拌機構30の軸部32は搬送ベルト24に隠れて見えないが各偏心フランジ34は見えるようになっている。また、各偏心フランジ34は軸部32の軸心から偏心した楕円形状となっており、これらの偏心フランジ34は、図9Aに示すような搬送ベルト24の下方に退避する退避位置と図9Bに示すような搬送ベルト24の上方に突出する突出位置との間で移動するようになっている。なお、図11に示すように、軸部32の両端部に設けられた偏心フランジ34における軸部32から突出する向きは同じ向きとなっている。このような撹拌機構30によれば、搬送ベルト24が移動することにより軸部32が連れ回って回転すると、偏心フランジ34は軸部32の軸心を中心として回転し、図9Aに示すような退避位置および図9Bに示すような突出位置に交互に位置するようになる。ここで、図8に示すように搬送ベルト24上に硬貨がいわゆる千鳥状態で敷き詰められてしまいこれ以上搬送ベルト24を駆動しても枠体20aの上方へ硬貨を積み上げることができない状態にあるときには、搬送ベルト24上に敷き詰められた硬貨の一部は搬送ベルト24から側方にはみ出している。このため、搬送ベルト24が移動することにより撹拌機構30の軸部32が連れ回って回転し、偏心フランジ34が軸部32の軸心を中心として回転すると、搬送ベルト24から側方にはみだした硬貨の一部分が偏心フランジ34により上方に押され、この硬貨が搬送ベルト24から上方に浮くことにより後続の硬貨がこの浮き上がった硬貨の下側に入り込む(潜り込む)ようになり、枠体20a内において硬貨を上方に積み上げていくことが可能となる。
なお、偏心フランジ34が搬送ベルト24上の硬貨や異物等に当接することにより撹拌機構30がロックされた場合には、このロックされた撹拌機構30の軸部32に対して搬送ベルト24は滑りながら移動するようになり、当該搬送ベルト24を駆動する駆動モータに過負荷がかからないようになっている。
ここで、枠体20a内において搬送ベルト24の下部に設置される撹拌機構は図11に示すような形状のものに限定されることはない。枠体20a内において搬送ベルト24の下部に設置される撹拌機構の他の例として、図12および図13に示す撹拌機構30a、30bを用いてもよい。図12に示す撹拌機構30aでは、軸部32の両端部に設けられた偏心フランジ35は上下2つの偏心部分が重ね合わせられたものからなり、各偏心部分は軸部32の中心から偏心している。このような撹拌機構30aによれば、軸部32が1回転する間に各偏心フランジ35は搬送ベルト24の上方に2回突出するようになり、図11に示すような撹拌機構30と比べて搬送ベルト24上の硬貨の撹拌をより一層確実に行うことができるようになる。また、図13に示す撹拌機構30bでは、軸部32の両端部に設けられた偏心フランジ36、37における軸部32から突出する向きが互いに逆向きとなっている。このような撹拌機構30bによれば、軸部32が1回転する間に2つの偏心フランジ36、37がそれぞれ搬送ベルト24の上方に1回突出するようになり、図11に示すような撹拌機構30と比べて搬送ベルト24上の硬貨の撹拌をより一層確実に行うことができるようになる。
また、図14に示すように、図11に示すような撹拌機構30が設けられる場合には、搬送ベルト24の上方において撹拌機構30の近傍に当該搬送ベルト24上の硬貨を検知する硬貨検知センサ38を設けることができる。硬貨検知センサ38は例えば発光素子および受光素子を有する光センサからなり、発光素子と受光素子との間の光軸上に搬送ベルト24上の硬貨が位置したときに当該硬貨が硬貨検知センサ38により検知されるようになっている。ここで、搬送ベルト24が駆動されていない状態のときには撹拌機構30の偏心フランジ34は図9Aに示すような位置にあり、このことにより硬貨検知センサ38による硬貨の検知動作において発光素子と受光素子との間の光軸上に偏心フランジ34が位置することがなくなり、偏心フランジ34が硬貨検知センサ38による硬貨の検知動作の邪魔になることはない。
なお、図9A、図9Bおよび図10に示す例では硬貨入金部20において撹拌機構30が1つだけ設けられた態様について示されているが、変形例として、硬貨入金部20において複数の撹拌機構30が設置されるようになっていてもよい。
また、図9Aおよび図9Bに示すように、搬送ベルト24は、撹拌機構30の軸部32によりいわゆる「へ」の字形状に屈曲させられるようになっている。このように搬送ベルト24が屈曲していることにより、枠体20aの外部から内部に硬貨を繰り入れる方向に搬送ベルト24を移動させて枠体20aの外部から内部に硬貨を繰り入れる際に、枠体20aの収容された硬貨のうち軸部32の真上に位置する硬貨における逆転ローラ22側の端部が搬送ベルト24から上方に浮いた状態となる。そして、このような状態で搬送ベルト24が更に移動することにより後続の硬貨が搬送ベルト24から上方に浮いた硬貨の下側に入り込む(潜り込む)ようになり、枠体20a内において硬貨を上方に積み上げていくことが可能となる。
また、本実施の形態による硬貨入金部20では、枠体20aの外側において、搬送ベルト24により搬送される硬貨を上方から搬送ベルト24に向かって押圧する押圧部材としてベアリング40が設けられている。図6および図7に示すように当該ベアリング40は支持部材42により搬送ベルト24に向かって支持されており、この支持部材42によりベアリング40は搬送ベルト24に向かって押圧されるようになっている。このようなベアリング40が設けられていることにより、搬送ベルト24上に硬貨がいわゆる千鳥状態で敷き詰められてしまいこれ以上搬送ベルト24を駆動しても枠体20aの上方へ硬貨を積み上げることができない状態のときに、ベアリング40により押圧された硬貨と搬送ベルト24との間の摩擦力が大きくなることにより当該硬貨の搬送力を増加させることができ、このような搬送力が増加した硬貨により搬送ベルト24上にいわゆる千鳥状態で敷き詰められた硬貨を崩すことができ、よって枠体20aの上方に硬貨を積み上げることができるようになる。
なお、枠体20aの外側において、搬送ベルト24により搬送される硬貨を上方から搬送ベルト24に向かって押圧する押圧部材として、ベアリング40の代わりにローラ、板バネ、球等を用いてもよい。
また、図6および図7に示すように、枠体20aの外側において搬送ベルト24の幅方向における側縁部の上方には円盤形状のカム50が設けられており、このカム50は軸50aを中心として回転するようになっている。また、カム50には複数の切り欠き52が形成されている。ここで、搬送ベルト24により枠体20aの外部から当該枠体20a内に硬貨を繰り入れる際に、カム50が軸50aを中心として図7における反時計回りの方向に回転することにより、枠体20aの外側において搬送ベルト24上にある硬貨がこのカム50の切り欠き52に引っ掛けられることにより当該硬貨の搬送力を増加させることができる。このため、搬送ベルト24上に硬貨がいわゆる千鳥状態で敷き詰められてしまいこれ以上搬送ベルト24を駆動しても枠体20aの上方へ硬貨を積み上げることができない状態のときに、カム50の切り欠き52に引っ掛けられることにより搬送力が増加した硬貨により搬送ベルト24上にいわゆる千鳥状態で敷き詰められた硬貨を崩すことができ、よって枠体20aの上方に硬貨を積み上げることができるようになる。
また、搬送ベルト24により枠体20aの外部から当該枠体20a内に硬貨を繰り入れる際に、カム50が搬送ベルト24上に敷き詰められた硬貨や異物等により停止させられた場合には、まず硬貨収納機構142の各収納筒148から硬貨を繰り出す回転板156が停止させられ、次に硬貨搬送部120の搬送ベルト121が逆方向(すなわち、入金搬送方向F1)に移動するようになる。このことにより、硬貨入金部20の枠体20a内の硬貨の集積状態が改善される。その後、回転板156が再び駆動させられるとともに硬貨搬送部120の搬送ベルト121が出金搬送方向F2に移動するようになり、通常の処理モードに戻るようになる。
また、図15乃至図17に示すように、硬貨入金部20における枠体20aの内部において搬送ベルト24の両側方にはガイド部26が設けられている。ここで、ガイド部26には搬送ベルト24の両端部から斜め上方に延びる傾斜面が設けられている。また、各ガイド部26における搬送ベルト24側の端部(すなわち、傾斜面における最も低い部分)の高さレベルは、搬送ベルト24の上面の高さレベルよりも低くなっている。このことにより、搬送ベルト24上に硬貨がいわゆる千鳥状態で敷き詰められてしまいこれ以上搬送ベルト24を駆動しても枠体20aの上方へ硬貨を積み上げることができない状態のときに、搬送ベルト24上にある後続の硬貨による押圧力によって当該搬送ベルト24上にいわゆる千鳥状態で敷き詰められた硬貨は図15乃至図17の二点鎖線で示すようにガイド部26のガイド面に沿って搬送ベルト24の側方に移動するようになり、この搬送ベルト24上に敷き詰められた硬貨を崩すことができるようになる。
また、本実施の形態による硬貨入金部20では、枠体20aの内部において搬送ベルト24の下方に2つの磁気センサ60が撹拌機構30を挟むよう設置されている。このような磁気センサ60は、枠体20aの内部において搬送ベルト24上に残留する硬貨を検知する残留検知センサとして機能するようになっている。
次に、このような構成からなる硬貨処理装置10の動作について説明する。なお、以下に示す硬貨処理装置10の動作は、制御部190が硬貨処理装置10の各構成要素を制御することにより行われるようになっている。
〔硬貨の入金処理〕
硬貨の入金処理開始の指令が硬貨処理装置10に与えられた後、操作者により硬貨入金部20の硬貨投入口21に硬貨が投入されると、枠体20a内に収容された硬貨は搬送ベルト24により当該枠体20aの外部に繰り出され、この際に搬送ベルト24と逆転ローラ22との間の隙間を通ることにより、搬送ベルト24により搬送される硬貨は一層一列状態となる。そして、枠体20aの外部に繰り出された硬貨は硬貨入金部20の搬送ベルト24から硬貨搬送部120の搬送ベルト121に1枚ずつ受け渡され、この硬貨搬送部120により硬貨が更に搬送される。具体的には、搬送通路114に沿って、搬送ベルト121の下面から下方に向かって突出したピン123により硬貨が押動され、この硬貨は硬貨処理装置10の奥方(図2における右方向)に向かって搬送されるようになる。また、搬送ベルト121により搬送される硬貨は、識別部125により識別が行われる。
識別部125での識別の結果、正常な硬貨ではないリジェクト硬貨が識別されると、リジェクト分岐部127の分岐ゲートが開かれ、リジェクト硬貨は搬送通路114から分岐してリジェクトシュート131を介して硬貨出金ボックス136に送られるようになる。また、識別部125での識別の結果、正常な硬貨であると識別された硬貨は、リジェクト分岐部127を通過し、対応する金種の収納分岐部141で搬送通路114から分岐されて、対応する金種の硬貨収納機構142の収納筒148内に収納される。
そして、識別部125で硬貨を所定時間識別しなくなることで、硬貨入金部20の硬貨投入口21に投入された硬貨についての入金処理が完了したものとなる。
〔硬貨の出金処理〕
次に、硬貨処理装置10における硬貨の出金処理について説明する。硬貨の出金処理開始の指令が硬貨処理装置10に与えられると、操作者等によって入力された出金額や出金金種等の出金データに基づいて、出金該当金種の硬貨収納機構142に収納されている硬貨を1金種ずつ順番に出金する。具体的には、搬送ベルト121のピン123とピン123との間に硬貨を繰り出すように、搬送ベルト121の循環移動に同期して押動部材149の回転板156を図3や図4における反時計回りの方向に回転させる。このことにより、回転する回転板156の1つの突起157が、収納筒148内の最上層にある硬貨に当接し、この硬貨を案内通路150に押し出していく。このときに、最上層から2番目の硬貨は、収納筒148の内壁に当接して最上層の硬貨とともに連れ出されることはなく、1枚の硬貨のみが案内通路150に押し出されていく。そして、回転板156の突起157による押出動作により、硬貨を案内通路150に沿って移動させながら搬送通路114内に押し出していく。このようにして、搬送通路114内に押し出される硬貨は、搬送ベルト121のピン123とピン123との間に進入する。
そして、硬貨に当接して押動していた突起157が案内通路150の出入口に位置する定位置で、回転板156の回転が停止する。硬貨は、突起157で押動されていた慣性によって搬送通路114内に移動する。そして、搬送通路114内に移動した硬貨に搬送ベルト121のピン123が当接し、硬貨を出金搬送方向F2(図2参照)に搬送する。その後、搬送ベルト121により搬送される硬貨は識別部125により識別が行われ、出金分岐部133で分岐される。より詳細には、出金分岐部133の分岐ゲートは開放されており、搬送通路114から硬貨が出金シュート135に分岐され、この出金シュート135により硬貨が硬貨出金ボックス136に送られる。なお、識別部125により正常な硬貨ではないと識別されたリジェクト硬貨は硬貨入金部20の枠体20aの内部に一度送られ、硬貨の出金処理が完了した後にこの硬貨入金部20から再び硬貨搬送部120によって硬貨処理装置10の奥行き方向に搬送されることにより、識別部125により識別された後に各硬貨収納機構142に収納されるようになる。
硬貨出金ボックス136に出金硬貨が送られた後、操作者は、貨幣処理機の筐体から硬貨出金ボックス136を引き出すことにより、出金硬貨を取り出すことができる。
〔硬貨の回収処理〕
次に、硬貨処理装置10における硬貨の回収処理について説明する。硬貨の回収処理開始の指令が硬貨処理装置10に与えられると、上述した硬貨の出金処理と同様の方法により各硬貨収納機構142の収納筒148から搬送通路114に硬貨が1枚ずつ繰り出され、この繰り出された硬貨は搬送ベルト121により出金搬送方向F2に搬送される。そして、搬送ベルト121により搬送される硬貨は識別部125により識別され、出金分岐部133で分岐される。より詳細には、出金分岐部133の分岐ゲートは開放されており、搬送通路114から硬貨が出金シュート135に分岐され、切換レバー139により出金シュート135から回収シュート138に硬貨が送られ、この回収シュート138により硬貨が硬貨回収カセット137に収納される。なお、識別部125により正常な硬貨ではないと識別されたリジェクト硬貨は硬貨入金部20の枠体20aの内部に一度送られ、硬貨の回収処理が完了した後にこの硬貨入金部20から再び硬貨搬送部120によって硬貨処理装置10の奥行き方向に搬送されることにより、識別部125により識別された後に各硬貨収納機構142に収納されるようになる。
硬貨回収カセット137に回収硬貨が送られた後、操作者は、貨幣処理機の筐体から硬貨回収カセット137を取り出すことにより、この硬貨回収カセット137ごと硬貨を回収することができる。
〔硬貨の精査処理〕
次に、硬貨処理装置10における硬貨の精査処理について説明する。本実施の形態の硬貨処理装置10における硬貨の精査処理では、1金種ごとに硬貨収納機構142の収納筒148から搬送通路114に硬貨を繰り出して硬貨搬送部120の搬送ベルト121により硬貨入金部20の枠体20a内に収容させた後、この硬貨入金部20の枠体20a内から搬送ベルト24により繰り出された硬貨を硬貨搬送部120の搬送ベルト121により硬貨収納機構142の収納筒148に戻すようになっている。より詳細には、硬貨の精査処理開始の指令が硬貨処理装置10に与えられると、上述した硬貨の出金処理と同様の方法により各硬貨収納機構142の収納筒148から搬送通路114に硬貨が1枚ずつ繰り出され、この繰り出された硬貨は搬送ベルト121により出金搬送方向F2に搬送され、搬送ベルト121から搬送ベルト24に受け渡されることにより硬貨入金部20の枠体20a内に送られる。そして、ある金種の硬貨収納機構142の収納筒148から硬貨が全て搬送通路114に繰り出されて硬貨入金部20の枠体20a内に収容させられると、硬貨入金部20の枠体20a内から搬送ベルト24により硬貨が1枚ずつ繰り出されて硬貨搬送部120の搬送ベルト121に受け渡され、この搬送ベルト121により入金搬送方向F1に搬送され、対応する金種の硬貨収納機構142の各収納筒148内に収納される。また、硬貨入金部20の枠体20a内から搬送ベルト24により繰り出された硬貨が搬送ベルト121により入金搬送方向F1に搬送されて硬貨収納機構142の各収納筒148内に戻される際に識別部125により当該硬貨の計数が行われる。
なお、硬貨処理装置10における硬貨の精査処理において、硬貨入金部20の枠体20a内から搬送ベルト24により繰り出された硬貨が搬送ベルト121により入金搬送方向F1に搬送されて硬貨収納機構142の各収納筒148内に戻される際に識別部125により当該硬貨の計数が行われる代わりに、各硬貨収納機構142の収納筒148から繰り出された硬貨が搬送ベルト121により出金搬送方向F2に搬送されて硬貨入金部20の枠体20a内に送られる際に識別部125により当該硬貨の計数が行われるようになっていてもよい。
また、硬貨処理装置10における硬貨の精査処理において識別部125により硬貨の計数が行われる際に、カウントセンサにより硬貨の計数のみが行われ、当該硬貨の識別は行われないようになっていてもよい。この場合には、カウントセンサにより計数される硬貨の金種は、当該硬貨が繰り出された収納筒148に対応する金種に基づいて判断されるようになる。また、他の態様として、硬貨処理装置10における硬貨の精査処理において識別部125により硬貨の計数のみならず識別も行われるようになっていてもよい。
また、このような硬貨の精査処理において硬貨収納機構142の各収納筒148から搬送通路114に繰り出された硬貨を硬貨搬送部120の搬送ベルト121により硬貨入金部20に向かって搬送する際に、当該搬送ベルト121により搬送される一の硬貨と、この一の硬貨に続く他の硬貨との間に挟まれるピン123の数が複数となるように搬送ベルト121により硬貨が搬送されるようになっている。具体的には、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨および100円硬貨の各々が搬送ベルト121により搬送される際には、1枚目〜80枚目の硬貨については搬送ベルト121により搬送される1枚の硬貨に対応するピン123の数は2つとなり(すなわち、硬貨と硬貨との間に挟まれるピン123の数は2つとなり)、81枚目以降の硬貨については搬送ベルト121により搬送される1枚の硬貨に対するピン123の数は3つとなる(すなわち、硬貨と硬貨との間に挟まれるピン123の数は3つとなる)。また、500円硬貨が搬送ベルト121により搬送される際には、1枚目〜40枚目の硬貨については搬送ベルト121により搬送される1枚の硬貨に対応するピン123の数は2つとなり(すなわち、硬貨と硬貨との間に挟まれるピン123の数は2つとなり)、41枚目以降の硬貨については搬送ベルト121により搬送される1枚の硬貨に対するピン123の数は4つとなる(すなわち、硬貨と硬貨との間に挟まれるピン123の数は4つとなる)。このように硬貨の精査処理が行われる際に搬送ベルト121により間欠的に硬貨が搬送されることによって、硬貨入金部20における枠体20a内の硬貨の集積状態が前述した撹拌機構30やベアリング40等によって改善されるまでの時間を十分に確保することができるようになる。
また、上述した硬貨の精査処理が行われる際に、硬貨収納機構142の各収納筒148に収納されている硬貨の量が硬貨入金部20の枠体20aの硬貨の収容量よりも大きい場合には、各収納筒148に収納されている硬貨を硬貨搬送部120により硬貨入金部20に送って枠体20a内に保留させるときに当該枠体20a内に入りきらない一部の硬貨を硬貨搬送部120から出金分岐部133により出金シュート135に分岐させ、この出金シュート135から回収シュート138を介して硬貨回収カセット137に収納させるようにしてもよい。この場合には、制御部190により管理される各収納筒148内の硬貨の在高および硬貨回収カセット137内の硬貨の在高がそれぞれ更新されるようになる。なお、硬貨入金部20の枠体20a内に入りきらない硬貨を硬貨回収カセット137に収納させるタイミングは、硬貨の精査処理を行う直前でもよく、あるいは硬貨の精査処理中において硬貨入金部20の枠体20a内の硬貨がフル状態となったときでもよい。このような硬貨入金部20の枠体20a内における硬貨のフル状態は、当該硬貨入金部20に設けられたフルセンサ(図示せず)による検知に基づいて判断されてもよく、あるいは識別部125による硬貨の計数結果に基づいて判断されてもよい。
また、硬貨入金部20にはシャッタ(図示せず)が設けられており、上述した硬貨の入金処理時には当該シャッタは開閉自在な状態となっている。一方、上述した硬貨の出金処理時には、識別部125やカウントセンサで搬送異常と判定された出金リジェクト硬貨を硬貨入金部20で保留するため、シャッタは閉じられたままとなる。なお、出金リジェクト硬貨は、上述したように、出金処理が完了した後、硬貨入金部20から硬貨搬送部120に繰り出されて、識別部125で識別された金種に該当する収納筒148に戻されるようになる。また、上述した硬貨の精査処理時には、硬貨入金部20に操作者の手が入ってしまうことを防止するために、精査処理が完了するまでシャッタは閉じられたままとなる。
以上のような構成からなる本実施の形態の硬貨処理装置10によれば、硬貨収納機構142の各収納筒148に収納されている硬貨を硬貨搬送部120により硬貨入金部20(保留部)に送って当該硬貨入金部20に保留させた後に硬貨入金部20から硬貨を硬貨搬送部120により各収納筒148に戻し、この際に硬貨搬送部120により搬送される硬貨を識別部125により少なくとも計数する精査処理を行うようになっており、このような精査処理において硬貨収納機構142の各収納筒148に収納されている硬貨を硬貨入金部20に送る際および硬貨入金部20から硬貨を各収納筒148に戻す際において同一の硬貨搬送部120により硬貨が搬送されるようになっている。このように精査処理において各収納筒148に収納されている硬貨を保留部としての硬貨入金部20に送る際および硬貨入金部20から硬貨を各収納筒148に戻す際において同一の硬貨搬送部120により硬貨を搬送することにより、硬貨処理装置10の高さを小さくすることができ小型化を図ることができる。
また、本実施の形態による硬貨処理装置10においては、前述したように、保留部として機能する硬貨入金部20は、入金硬貨を受け入れる入金口(硬貨投入口21)を有している。なお、保留部の他の例として、入金硬貨を受け入れる入金口の代わりに出金硬貨を受け入れる出金口を有するものが用いられてもよい。また、保留部の更に他の例として、入金硬貨を受け入れる入金口および出金硬貨を受け入れる出金口を兼用する入出金口を有するものが用いられてもよい。
また、本実施の形態による硬貨処理装置10においては、前述したように、保留部として機能する硬貨入金部20は、硬貨を収容するホッパとして機能する枠体20aと、この枠体20aの底部に配置された搬送ベルト24とを有しており、搬送ベルト24は硬貨搬送部120より枠体20aに送られてきた硬貨を当該枠体20a内に収容する方向および枠体20a内から硬貨を繰り出す方向の両方向に移動可能となっている。
また、枠体20a内において搬送ベルト24の側方には、枠体20aの底部に配置された搬送ベルト24から上方に突出する突出位置と搬送ベルト24から下方に退避する退避位置との間で移動する撹拌部材として偏心フランジ34が設けられている。このことにより、搬送ベルト24上に硬貨がいわゆる千鳥状態で敷き詰められてしまいこれ以上搬送ベルト24を駆動しても枠体20aの上方へ硬貨を積み上げることができない状態にあるときでも、搬送ベルト24上に敷き詰められた硬貨のうち搬送ベルト24から側方にはみだした硬貨の一部分が偏心フランジ34により上方に押され、この硬貨が搬送ベルト24から上方に浮くことにより後続の硬貨がこの浮き上がった硬貨の下側に入り込む(潜り込む)ようになり、枠体20a内において硬貨を上方に積み上げていくことが可能となる。ここで、偏心フランジ34は、搬送ベルト24の下方に設けられ水平方向に延びる軸部32の軸心を中心として回転するようになっている。また、この軸部32は搬送ベルト24の駆動と連動して回転するようになっている。このことにより、偏心フランジ34の駆動源の設置を省略することができる。
また、本実施の形態による硬貨処理装置10においては、前述したように、枠体20aの外側において、搬送ベルト24により搬送される硬貨を上方から搬送ベルト24に向かって押圧する押圧部材としてベアリング40が設けられている。このことにより、搬送ベルト24上に硬貨がいわゆる千鳥状態で敷き詰められてしまいこれ以上搬送ベルト24を駆動しても枠体20aの上方へ硬貨を積み上げることができない状態のときに、ベアリング40により押圧された硬貨と搬送ベルト24との間の摩擦力が大きくなることにより当該硬貨の搬送力を増加させることができ、このような搬送力が増加した硬貨により搬送ベルト24上にいわゆる千鳥状態で敷き詰められた硬貨を崩すことができ、よって枠体20aの上方に硬貨を積み上げることができるようになる。
また、本実施の形態による硬貨処理装置10においては、前述したように、硬貨の精査処理において硬貨収納機構142の各収納筒148から搬送通路114に繰り出された硬貨を硬貨搬送部120の搬送ベルト121により硬貨入金部20に向かって搬送する際に、当該搬送ベルト121により搬送される一の硬貨と、この一の硬貨に続く他の硬貨との間に挟まれるピン123の数が複数となるように搬送ベルト121により硬貨が搬送されるようになっている。このように硬貨の精査処理が行われる際に搬送ベルト121により間欠的に硬貨が搬送されることによって、硬貨入金部20における枠体20a内の硬貨の集積状態が前述した撹拌機構30やベアリング40等によって改善されるまでの時間を十分に確保することができるようになる。
また、本実施の形態による硬貨処理装置10においては、前述したように、硬貨の精査処理が行われる際に、硬貨収納機構142の各収納筒148に収納されている硬貨の量が硬貨入金部20の枠体20aの硬貨の収容量よりも大きい場合には、各収納筒148に収納されている硬貨を硬貨搬送部120により硬貨入金部20に送って枠体20a内に保留させるときに当該枠体20a内に入りきらない一部の硬貨を硬貨搬送部120から出金分岐部133により出金シュート135に分岐させ、この出金シュート135から回収シュート138を介して硬貨回収カセット137に収納させることができるようになっている。このことにより、硬貨収納機構142の各収納筒148に収納されている硬貨の量が硬貨入金部20の枠体20aの硬貨の収容量よりも大きい場合でも硬貨の精査処理を行うことができるようになる。
なお、本実施の形態による硬貨処理装置10や硬貨処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、硬貨の精査処理において硬貨収納機構142の各収納筒148から送られた硬貨が一時的に保留される保留部として、硬貨入金部20以外のものを用いてもよい。例えば、硬貨搬送部120における硬貨入金部20と識別部125との間に保留部を新たに設置し、硬貨搬送部120により搬送される硬貨が当該保留部に対応するよう新たに設置された分岐部により分岐されてこの保留部に保留されるようになっていてもよい。
また、硬貨の入金処理が行われる際に、硬貨収納機構142の各収納筒148には硬貨フル状態で収納されることなく、各収納筒148に収納される硬貨の最大枚数が硬貨入金部20の枠体20a内の硬貨の収容量と同じとなっていてもよい。この場合には、硬貨の精査処理を行う際に各収納筒148から硬貨搬送部120に繰り出された硬貨の一部を硬貨回収カセット137に収納させる必要がなくなる。
また、硬貨の入金処理を行う際には識別部125により硬貨の画像を取得するとともに当該硬貨の磁性を磁気センサで検知することにより当該硬貨の真偽等の判別を行い、一方、硬貨の出金処理や回収処理を行う際には識別部125により硬貨の画像を取得するのみであり当該硬貨の磁性を磁気センサで検知しないようにしてもよい。この場合には、硬貨の出金処理や回収処理を行う際における識別部125による硬貨の識別処理にかかる時間が短縮されるようになるので、識別部125と出金分岐部133との間の距離が短くても識別部125による硬貨の識別結果を用いて出金分岐部133による硬貨の分岐を行うことができるようになる。
また、硬貨入金部20の枠体20aの外側において、搬送ベルト24により搬送される硬貨を上方から搬送ベルト24に向かって押圧する押圧部材としてベアリング40を設ける代わりに、図18に示すように、硬貨入金部20の枠体20aの外側において、搬送ベルト24の裏側(すなわち、搬送ベルト24における硬貨が搬送される面と反対側の面)に押圧部材としてベアリング44を設置するとともに当該ベアリング44に対向するようガイド部46を設置するようにしてもよい。より詳細には、ガイド部46は枠体20aの外側において搬送ベルト24の上面から硬貨1枚分の厚さよりもわずかに大きな隙間を隔てて上方に設置されており、ベアリング44とガイド部46との間に搬送ベルト24が挟まれるようこれらのベアリング44およびガイド部46は配置されている。また、ベアリング44は図示しない押圧手段によってガイド部46に向かって押圧されるようになっている。そして、ガイド部46と搬送ベルト24との間に硬貨が挟まれた状態にあるときにベアリング44がガイド部46に向かって押圧されることにより、ベアリング44とガイド部46との間で挟圧された硬貨と搬送ベルト24との間の摩擦力が大きくなることにより当該硬貨の搬送力を増加させることができる。このようなベアリング44およびガイド部46が設けられていることにより、搬送ベルト24上に硬貨がいわゆる千鳥状態で敷き詰められてしまいこれ以上搬送ベルト24を駆動しても枠体20aの上方へ硬貨を積み上げることができない状態のときに、ベアリング44によって搬送力が増加した硬貨により搬送ベルト24上にいわゆる千鳥状態で敷き詰められた硬貨を崩すことができ、よって枠体20aの上方に硬貨を積み上げることができるようになる。
また、硬貨入金部20の枠体20aの外側において、搬送ベルト24により搬送される硬貨を上方から搬送ベルト24に向かって押圧する押圧部材としてベアリング40を設ける代わりに、図19に示すように、搬送ベルト24に対向する面に凹部分72が形成されたガイド部70を枠体20aの外部に設置してもよい。図19に示すような硬貨入金部20によれば、搬送ベルト24により枠体20a内の硬貨が当該枠体20aの外部に繰り出される際に、逆転ローラ22と搬送ベルト24との間の隙間を通過した硬貨のうち折れ曲がって変形した硬貨はその折れ曲がった部分がガイド部70の凹部分72に入り込むようになり、搬送ベルト24によりこれ以上搬送されなくなる。このことにより、硬貨入金部20の硬貨投入口21に投入された硬貨のうち変形硬貨が硬貨入金部20から硬貨搬送部120に受け渡されてしまうことを防止することができるようになる。
10 硬貨処理装置
12 紙幣処理装置
12a 紙幣入金口
12b 紙幣出金口
12c 紙幣収納カセット
12d 出金リジェクト部
20 硬貨入金部
20a 枠体
21 硬貨投入口
22 逆転ローラ
24 搬送ベルト
26 ガイド部
30、30a、30b 撹拌機構
32 軸部
34、35、36、37 偏心フランジ
38 硬貨検知センサ
40 ベアリング
42 支持部材
44 ベアリング
46 ガイド部
50 カム
50a 軸
52 切り欠き
60 磁気センサ
70 ガイド部
72 凹部分
114 搬送通路
116 硬貨搬送面
120 硬貨搬送部
121 搬送ベルト
122 プーリ
123 ピン
125 識別部
127 リジェクト分岐部
131 リジェクトシュート
133 出金分岐部
135 出金シュート
136 硬貨出金ボックス
137 硬貨回収カセット
138 回収シュート
139 切換レバー
141 収納分岐部
142 硬貨収納機構
145 振分ゲート
146 案内部材
147 硬貨収納部
148 収納筒
149 押動部材
150 案内通路
155 回転軸
156 回転板
157 突起
158 駆動モータ
162 開口
170 通過確認センサ
190 制御部
F1 入金搬送方向
F2 出金搬送方向

Claims (9)

  1. 筐体と、
    前記筐体内で硬貨の搬送を1枚ずつ行う搬送部と、
    前記搬送部に設けられ、当該搬送部により搬送される硬貨の識別を行う識別部と、
    前記搬送部にそれぞれ接続され、各々が前記搬送部から送られた硬貨を収納するとともに収納された硬貨を前記搬送部に繰り出し可能な複数の収納部と、
    前記搬送部に接続され、前記搬送部から送られた硬貨を保留するとともに保留された硬貨を前記搬送部に繰り出し可能な保留部と、
    各前記収納部に収納されている硬貨を前記搬送部により前記保留部に送って当該保留部に保留させた後に前記保留部から硬貨を前記搬送部により各前記収納部に戻し、この際に前記搬送部により搬送される硬貨を前記識別部により少なくとも計数する精査処理を行う制御部と、
    を備え、
    前記精査処理において各前記収納部に収納されている硬貨を前記保留部に送る際および前記保留部から硬貨を各前記収納部に戻す際において同一の前記搬送部により硬貨が搬送される、硬貨処理装置。
  2. 前記保留部は、入金硬貨を受け入れる入金口または出金硬貨を受け入れる出金口を有している、請求項1記載の硬貨処理装置。
  3. 前記保留部は、硬貨を収容するホッパと、前記ホッパの底部に配置された搬送ベルトとを有しており、前記搬送ベルトは前記搬送部より前記ホッパに送られてきた硬貨を当該ホッパに収容する方向および前記ホッパ内から硬貨を繰り出す方向の両方向に移動可能となっており、
    前記ホッパ内において前記搬送ベルトの側方には、前記ホッパの底部に配置された前記搬送ベルトから上方に突出する突出位置と前記搬送ベルトから下方に退避する退避位置との間で移動する撹拌部材が設けられている、請求項1または2記載の硬貨処理装置。
  4. 前記撹拌部材は、前記搬送ベルトの下方に設けられ水平方向に延びる軸を中心として回転する偏心部分からなる、請求項3記載の硬貨処理装置。
  5. 前記偏心部分の前記軸は前記搬送ベルトの駆動と連動して回転するようになっている、請求項4記載の硬貨処理装置。
  6. 前記ホッパの外側において、前記搬送ベルトにより搬送される硬貨を上方から前記搬送ベルトに向かって押圧する押圧部材が設けられている、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の硬貨処理装置。
  7. 前記搬送部には、搬送される硬貨を引っ掛けるピンが複数設けられており、
    前記精査処理において各前記収納部に収納されている硬貨を前記保留部に送る際に、前記搬送部により搬送される一の硬貨と、この一の硬貨に引き続く他の硬貨との間に挟まれる前記ピンの数が複数となるよう前記搬送部により硬貨が搬送されるようになっている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の硬貨処理装置。
  8. 前記搬送部から送られた硬貨を回収するための回収部を更に備え、
    前記制御部は、前記精査処理が行われる際に、各前記収納部に収納されている硬貨の量が前記保留部の容量よりも大きい場合には、各前記収納部に収納されている硬貨を前記搬送部により前記保留部に送って当該保留部に保留させるときに一部の硬貨を前記回収部に送るよう制御を行う、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の硬貨処理装置。
  9. 筐体と、前記筐体内で硬貨の搬送を1枚ずつ行う搬送部と、前記搬送部に設けられ、当該搬送部により搬送される硬貨の識別を行う識別部と、前記搬送部にそれぞれ接続され、各々が前記搬送部から送られた硬貨を収納するとともに収納された硬貨を前記搬送部に繰り出し可能な複数の収納部と、前記搬送部に接続され、前記搬送部から送られた硬貨を保留するとともに保留された硬貨を前記搬送部に繰り出し可能な保留部とを備えた硬貨処理装置による硬貨処理方法であって、
    各前記収納部に収納されている硬貨を前記搬送部により前記保留部に送って当該保留部に保留させる工程と、
    前記保留部から硬貨を前記搬送部により各前記収納部に戻す工程と、
    を備え、
    各前記収納部に収納されている硬貨を前記搬送部により前記保留部に送って当該保留部に保留させる工程または前記保留部から硬貨を前記搬送部により各前記収納部に戻す工程において、前記搬送部により搬送される硬貨を前記識別部により少なくとも計数し、
    各前記収納部に収納されている硬貨を前記保留部に送る際および前記保留部から硬貨を各前記収納部に戻す際において同一の前記搬送部により硬貨が搬送される、硬貨処理方法。
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