以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物としてユニット式建物について具体化している。ユニット式建物は複数の建物ユニットを互いに連結することにより構成される建物である。そこでまず、建物ユニットの構成を図1を用いながら説明する。図1は建物ユニットを示す斜視図である。
図1に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備えている。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。例えば、天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。天井小梁25によって天井面材27が支持され、床小梁26によって床面材28が支持されている。
次に、ユニット式建物としての建物10について、図2を用いながら説明する。図2は、基礎11,12上に建物ユニット20が設置された状態を示す斜視図である。なお、図2では便宜上、紙面手前側の建物ユニット20の図示を省略している。
図2に示すように、基礎11,12上には複数の建物ユニット20が並べて設置されている。それら各建物ユニット20が互いに連結されることによりユニット式の建物10が構築されている。基礎11,12には、建物10の外周部に沿って設けられた外周基礎11と、外周基礎11により囲まれた内側空間(床下空間)に設けられた柱受け基礎12とがある。外周基礎11は、鉄筋コンクリート造の布基礎よりなる。外周基礎11は、床下地盤の内部に埋設されたフーチング部(図示省略)と、そのフーチング部から上方に立ち上がる立ち上がり部11aとを有する。
柱受け基礎12は、鉄筋コンクリート造の独立基礎よりなる。柱受け基礎12は、床下地盤の内部に埋設されたフーチング部12a(図3や図4参照)と、そのフーチング部12aから上方に立ち上がる四角柱状の立ち上がり部12bとを有する。柱受け基礎12は、建物ユニット20の柱21の設置位置に対応して複数箇所に配置されている。また、柱受け基礎12は、外周基礎11やその他の柱受け基礎12と基礎梁13を介して繋がっている。
建物ユニット20は、各柱21をそれぞれ基礎11,12上に載置した状態で設置されている。具体的には、建物ユニット20の各柱21のうち建物外周部に配置される柱21は外周基礎11上に設置され、屋内側に配置される柱21は柱受け基礎12上に設置されている。
次に、隣り合う4つの建物ユニット20の各柱21が集合する柱集合部の構成について図3及び図4に基づいて説明する。図3は柱集合部周辺の構成を示す横断面図であり、図4は柱集合部周辺の構成を示す縦断面図である。なお、図4は図3のA−A線断面図に相当する。
図3及び図4に示すように、柱集合部30においてその下方には柱受け基礎12が設けられている。柱受け基礎12(詳しくは立ち上がり部12b)は、その平面視の形状が全体として矩形形状をなしている。詳しくは、柱受け基礎12は、そのコンクリート部分(基礎コンクリートに相当)が平面視における四隅においてそれぞれ矩形形状に切り欠かれている。これにより、柱受け基礎12の四隅にはそれぞれ切り欠き部15が形成されている。
柱受け基礎12の四方にはそれぞれ基礎梁13が設けられている。基礎梁13は、柱受け基礎12の側面、詳しくは柱受け基礎12の側面において切り欠き部15により切り欠かれていない張出部分(ふかし部分)より側方へと延びている。この場合、基礎梁13の幅は当該張出部分の幅と同じとされている。
また、本建物10には、直交する2つの基礎梁13により区画されたインナガレージ33(付属車庫)が設けられている。インナガレージ33は、柱受け基礎12(詳しくはその隅部)に隣接して設けられている。
柱受け基礎12の上には、4つの建物ユニット20の各柱21がそれぞれ設置されている。これら各柱21は、平面視において2列×2列となるように配置されている。各柱21の下端部にはそれぞれベースプレート31(柱脚プレート)が固定されている。ベースプレート31は、平板状の鋼板からなり、柱21に対して溶接により固定されている。ベースプレート31は柱受け基礎12上に載置されており、その載置状態で柱21が柱受け基礎12上に設置されている。
ベースプレート31は、柱21において床大梁23が連結された2つの側面からそれぞれ側方に張り出す2つの張出部31aを有している。これら各張出部31aにはそれぞれ厚み方向に貫通する孔部34が形成されている。
柱21に連結された2つの床大梁23はそれぞれ柱21付近でアンカーボルト18を介して柱受け基礎12に固定されている。アンカーボルト18は、床大梁23(詳しくはその下フランジ23a)に対して当該床大梁23から下方に突出した状態で固定されている。アンカーボルト18は、その突出した下部がベースプレート31(張出部31a)の孔部34に挿通された状態で柱受け基礎12に埋設されたアンカーホール19内に挿入されている。
アンカーホール19は、シース管よりなり、柱受け基礎12の天端において上方に開口された状態で設けられている。アンカーボルト18は、アンカーホール19に挿入された状態で同ホール19内に充填されたモルタル等の充填剤(グラウト)が固化されることで柱受け基礎12に固定されている。なお、アンカーボルト18がアンカー部に相当する。
上記のように、柱集合部30では、4つの建物ユニット20がそれぞれ2つのアンカーボルト18により柱受け基礎12に固定されている。4つの建物ユニット20ではそれぞれ、柱21から直交する2方向に向けて床大梁23が延びており、それら各床大梁23がそれぞれアンカーボルト18により柱受け基礎12に固定されている。
ここで、柱集合部30を構成する4つの柱21において、隣り合う2つの柱21が並ぶ方向であってかつ互いに直交する2つの方向をそれぞれ第1方向X及び第2方向Yとした場合、柱21から上記2方向に延びる2つの床大梁23はそれぞれ第1方向X及び第2方向Yに延びていることになる。そこで、以下の説明では、便宜上、第1方向Xに延びる床大梁23に設けられたアンカーボルト18の符号にAを付し、第2方向Yに延びる床大梁23に設けられたアンカーボルト18の符号にBを付すこととする。なお、アンカーボルト18Aが第1アンカー部に相当し、アンカーボルト18Bが第2アンカー部に相当する。
次に、柱受け基礎12の配筋構造について図5及び図6に基づいて説明する。図5は、柱受け基礎12の配筋構造を示す平面図である。図6は、柱受け基礎12の配筋構造を示す縦断面図であり、図5のB−B線断面図に相当する。なお、図5及び図6では、便宜上、柱受け基礎12及び基礎梁13の外形線を二点鎖線(仮想線)で示している。
図5及び図6に示すように、柱受け基礎12は、その内部に基礎配筋を備えている。基礎配筋は、フーチング部12aにおいて略水平に設けられたベース配筋部36と、ベース配筋部36から上方に立ち上げられた立ち上がり配筋部37とを備える。ベース配筋部36は、格子状に配された複数のベース筋38(横筋)を備える。それら各ベース筋38は、互いの交差部で溶接等により固定されることで一体化されている。なお、各ベース筋38は、異形鉄筋により構成されている。
立ち上がり配筋部37は、一対のはかま筋41を備える。はかま筋41は、鉄筋(異形鉄筋)が折り曲げられることにより形成されている。はかま筋41は、上下方向(鉛直方向)に延びる一対の縦筋部45と、それら各縦筋部45の上端部同士を互いに連結し横方向(水平方向)に延びる上側横筋部46と、各縦筋部45の下端部からそれぞれ互いに離間する側へ横向き(水平方向)に延びる一対の下側横筋部47とを有する。本実施形態では、各はかま筋41がそれぞれ同じ構成を有している。なお、はかま筋41が主筋に相当し、縦筋部45が主筋部に相当し、上側横筋部46が支持部に相当し、下側横筋部47が載置部に相当する。
各はかま筋41はそれぞれ下側横筋部47がベース配筋部36上に載置された状態で設けられている。各はかま筋41はそれぞれ、第2方向Yにおいて4つのアンカーボルト18Aを挟んだ両側の位置に配置されている。具体的には、各はかま筋41はそれぞれ、第2方向Yにおいて同一の建物ユニット20の各アンカーボルト18A,18Bの間となる位置に配置されている。この場合、各はかま筋41はそれぞれ第1方向Xに沿って延在しており、各々の上側横筋部46がそれぞれ第1方向Xに隣り合う2つの建物ユニット20の各アンカーボルト18A,18Bに跨がるよう延びている。
柱受け基礎12の立ち上がり部12bには、各アンカーボルト18A,18Bごとにそれぞれアンカー部用補強筋50が設けられている。以下、このアンカー部用補強筋50の構成について図7に基づいて説明する。図7は、アンカー部用補強筋50(以下、単に補強筋50という)の構成を示す斜視図である。
図8に示すように、補強筋50は、複数の鉄筋が組み合わされることによりかご状に形成されている。補強筋50は、基本構成が同じである一対の鉄筋材52を備える。鉄筋材52は、鉄筋(異形鉄筋)が折り曲げられることにより形成されている。鉄筋材52は、水平方向に延びる水平部53及び結合部54と、鉛直方向に延びる鉛直部55とを有する。各鉄筋材52において、水平部53の両端には一対の結合部54が形成され、それら各結合部54の端部(水平部53とは逆側の端部)にはそれぞれ鉛直部55が形成されている。水平部53と結合部54とは水平面内で垂直に折り曲げられた状態で形成され、結合部54と鉛直部55とは鉛直面内で垂直に折り曲げられた状態で形成されている。各鉄筋材52は、互いに逆向きに配置された状態で互いの結合部54同士が重ね合わせられており、その重ね合わせられた結合部54同士が結合金具56により結合されることで一体化されている。
なお、補強筋50がかご状に形成されている点からすれば、補強筋50をかご鉄筋ということもできる。
各鉄筋材52が一体化された状態では、各鉄筋材52の水平部53及び結合部54により四角環状の囲み部58が形成されている。囲み部58により囲まれた内側部分は、アンカーボルト18(アンカーホール19)が挿通されるアンカー挿通部59となっている。
各鉄筋材52にはそれぞれ、一対の鉛直部55に架け渡されて複数のひび割れ防止筋61が設けられている。ひび割れ防止筋61は、鉛直部55の長手方向に所定の間隔で設けられ、鉛直部55に対して溶接等で固定されている。
補強筋50は、さらに、各鉄筋材52の鉛直部55に架け渡されて設けられた一対の被支持部62を有している。被支持部62は、金属製の棒材(丸棒材)により形成され、その両端部において各鉛直部55に溶接により固定されている。各被支持部62のうち一方の被支持部62は、各鉄筋材52の一方の鉛直部55同士の間に架け渡され、他方の被支持部62は、各鉄筋材52の他方の鉛直部55同士の間に架け渡されている。各被支持部62は、結合部54の下方で結合部54と平行に配置されており、上下方向(鉛直部55の長手方向)で見て互いに同じ位置(同じ高さ位置)に位置している。
続いて、補強筋50の配置構成について図5及び図6に加えて図8に基づいて説明する。図8は、補強筋50の配置構成を示す縦断面図であり、図5のC−C線断面図に相当する。
図5、図6及び図8に示すように、補強筋50は、柱受け基礎12の立ち上がり部12bにおいて、各アンカーボルト18A,18B(アンカーホール19A,19B)ごとにそれぞれ設けられている。これら各補強筋50はいずれも同じ構成を有している。各補強筋50はそれぞれアンカー挿通部59にアンカーボルト18A,18B(アンカーホール19A,19B)を挿通させた状態で設けられている。
各補強筋50はそれぞれ、被支持部62をはかま筋41の上側横筋部46上に支持させた状態で設けられている。この場合、第1方向Xに隣り合う2つの建物ユニット20の各アンカーボルト18A,18Bに設けられた各々の補強筋50が同一のはかま筋41の上側横筋部46に支持されている。つまり、本実施形態では、各はかま筋41の上側横筋部46に対してそれぞれ4つの補強筋50が支持されている。また、同一の建物ユニット20の各アンカーボルト18A,18Bに設けられた各々の補強筋50は第1方向Xに隣接して配置され、上側横筋部46から互いに逆側へ張り出すように設けられている。
各補強筋50の囲み部58はそれぞれ、アンカーボルト18A,18B(アンカーホール19A,19B)の周囲を囲むように設けられている。囲み部58は、立ち上がり部12bにおいて上端部付近に位置している。囲み部58において(その内側の)アンカーボルト18A,18Bよりも柱受け基礎12の外側に配置された部位は剥落防止部64となっている。具体的には、囲み部58のうち、第1方向Xで見てアンカーボルト18A,18Bよりも基礎外側に位置する結合部54と、第2方向Yで見てアンカーボルト18A,18Bよりも基礎外側に位置する水平部53とがそれぞれ剥落防止部64となっている。この剥落防止部64によってアンカーボルト18A,18B周辺における柱受け基礎12の剥落が防止されている。
また、各鉄筋材52に設けられたひび割れ防止筋61のうち、第2方向Yにおいてアンカーボルト18A,18Bよりも基礎外側に配置されたひび割れ防止筋61はひび割れ防止部となっている。このひび割れ防止部によりアンカーボルト18A,18B周辺における柱受け基礎12のひび割れが防止されている。
以上が、柱受け基礎12の配筋構造に関する説明である。
図5及び図6には、柱受け基礎12の配筋構造の他に、基礎梁13内部の配筋構造が示されている。この配筋構造について簡単に説明すると、各基礎梁13の内部には、基礎梁13の長手方向に延びる梁配筋部71が設けられている。梁配筋部71は、基礎梁13の長手方向に延びる複数の主筋72と、それら複数の主筋72を束ねるようにして設けられた複数のあばら筋73(スターラップ)とを備える。複数のあばら筋73は、主筋72の長手方向に沿って所定の間隔で配置されている。なお、図示の構成では、第2方向Yに延びる基礎梁13内の梁配筋部71が柱受け基礎12の内部を経由して当該基礎12を挟んだ両側の各基礎梁13に跨がって延びている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
柱受け基礎12に埋設された各アンカーボルト18ごとにそれぞれ補強筋50を設け、それら各補強筋50の囲み部58の内側にそれぞれアンカーボルト18を挿通させた。この場合、囲み部58において(その内側の)アンカーボルト18に対して基礎外側に配置される部分が剥落防止部64となるため、各アンカーボルト18周辺における柱受け基礎12の剥落防止を図ることができる。また、上下方向に延びるはかま筋41(主筋)に横向きに延びる上側横筋部46を設け、その上側横筋部46上に補強筋50の被支持部62を支持させることにより補強筋50を配置した。この場合、施工現場で補強筋50を柱受け基礎12に配置(配筋)する際には、被支持部62を上側横筋部46上に載せるといった簡単な作業で補強筋50を配筋することができる。よって、現場での配筋作業を容易としながら、柱受け基礎12の剥落防止を図ることができる。
また、4つの建物ユニット20をそれぞれ2つのアンカーボルト18A,18Bにより柱受け基礎12に固定する構成にあって、それら各アンカーボルト18A,18Bをフープ筋で囲って柱受け基礎12の剥落防止を図る場合、例えば各建物ユニット20のアンカーボルト18Aを囲むフープ筋を設けるとともに、各アンカーボルト18Bを囲むフープ筋を別途設けることが考えられる(図12(b)参照)。その場合、2つのフープ筋同士が互いに交差するように配置されることが考えられるため、施工現場で柱受け基礎12に一方のフープ筋を配筋した後、他方のフープ筋を配筋する際に、一方のフープ筋が作業の邪魔となることが想定される。そのため、その配筋作業が著しく困難になることが想定される。その点を鑑みると、各建物ユニット20が2つのアンカーボルト18により柱受け基礎12に固定される構成にあって、上述の配筋構造を適用することの意義は大きいといえる。
さらに、各アンカーボルト18A,18Bをフープ筋で囲って柱受け基礎12の剥落防止を図る場合、それら各アンカーボルト18A,18Bを1つのフープ筋により(矩形形状に)まとめて囲うことによっても、各アンカーボルト18A,18B周辺における柱受け基礎12の剥落防止を図ることは可能である。しかしながら、その場合でも、施工現場にて柱受け基礎12に複数の主筋を配筋するとともに、それら複数の主筋を束ねるようにしてフープ筋を上下に複数配筋する作業が発生する。このため、その配筋作業に手間がかかることが想定される。その点、上述の配筋構造によれば、そのような手間がかかることがないため、やはり、現場での配筋作業を容易としながら、柱受け基礎12の剥落防止を図ることができる。
また、各アンカーボルト18A,18Bを1つのフープ筋で(矩形形状に)まとめて囲うことにより基礎の剥落防止を図る場合には、フープ筋の平面視の大きさが第1方向X及び第2方向Yのそれぞれに大きくなってしまい、フープ筋をその4隅で支える各主筋が柱受け基礎12の4隅にて大きく外側に位置してしまうことが考えられる。これに対して、フープ筋に代えて補強筋50により基礎の剥落防止を図るようにした上述の配筋構造では、柱受け基礎12の4隅において大きく外側に位置するように主筋を配設する必要がない。そのため、柱受け基礎12の4隅にそれぞれ切り欠き部15を設けることが可能となっている。この場合、その切り欠き部15の分だけ基礎ボリュームの低減を図ることができるため、柱受け基礎12に隣接してインナガレージ33が設けるに際し、インナガレージ33にスペース上の制約が生じてしまうのを抑制することができる。
上下に延びる主筋(はかま筋41)をその上端部において横向きに折り曲げて、その横向き部分によって、補強筋50を支持する上側横筋部46(支持部)を形成するようにした。この場合、支持部が主筋の一部により形成されるため、主筋とは別に支持部を形成しそれを主筋に溶接等で接合する場合と比べて、支持部を簡単に形成することができる。
主筋(はかま筋41)を、一対の縦筋部45と、それら一対の縦筋部45の上端部同士を繋ぐ上側横筋部46とを有して構成したため、各縦筋部がばらばらに設けられている構成と比べて、主筋の本数を減らすことができる。そのため、施工現場で主筋を基礎に配置(配筋)する際の作業工数の低減を図ることができる。
また、上側横筋部46(支持部)には、隣り合う2つの建物ユニット20の各アンカーボルト18に設けられた各々の補強筋50をそれぞれ支持させたため、それら各アンカーボルト18の補強筋50をそれぞれ個別の支持部により支持する構成と比べて、支持部の数を減らすことができる。そのため、構成の簡素化を図ることができる。
主筋(はかま筋41)に、各縦筋部45の下端部からそれぞれ横向きに延びる一対の下側横筋部47を設け、それら各下側横筋部47を柱受け基礎12のフーチング部12aに設けられたベース配筋部36上に載置するようにした。この場合、現場で主筋を柱受け基礎12に配置(配筋)する際には、それら各下側横筋部47をベース配筋部36上に載置することで主筋を配置することができるため、主筋の配筋作業をし易くすることができる。
また、一対の下側横筋部47を各縦筋部45の下端部からそれぞれ互いに離間する側へ延びるように設けることで、主筋をはかま状をなすはかま筋41として形成した。この場合、各下側横筋部47がベース配筋部36上で互いに離れた位置に配置されるため、主筋(はかま筋41)を安定した状態で配置することができる。そのため、主筋の配筋作業をより一層し易くすることができる。
同一の建物ユニット20の各アンカーボルト18A,18Bに設けた補強筋50をそれぞれ共通の上側横筋部46(支持部)により支持するようにした。この場合、それら各補強筋50ごとにそれぞれ支持部を設け、各補強筋50を別々の支持部により支持する場合と比べ、構成の簡素化を図ることができる。また、特に、第1方向Xに隣り合う2つの建物ユニット20の各アンカーボルト18A,18Bに設けた各々の補強筋50、すなわち4つの補強筋50をそれぞれ共通の上側横筋部46により支持するようにしたため、構成の簡素化を大いに図ることができる。
具体的には、上側横筋部46を、第2方向Yにおいて同一の建物ユニット20の各アンカーボルト18A,18Bの間となる位置でそれら各アンカーボルト18A,18Bに跨がって第1方向Xに延びるように設け、その上側横筋部46に対して各アンカーボルト18A,18Bの補強筋50をそれぞれ支持させた。この場合、それら各アンカーボルト18A,18Bがそれぞれ上側横筋部46を挟んだ両側に位置するため、上側横筋部46から各アンカーボルト18A,18Bまでの距離をそれぞれ近い距離とすることができる。そのため、それら各アンカーボルト18A,18Bの補強筋50を共通の上側横筋部46に支持させる構成にあって、各補強筋50を同じ構成とすることが可能となる。これにより、補強筋50の共通化を図ることができ、補強筋50について製造コストの低減等を図ることができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、上下方向に延びる2つの主筋をそれぞれはかま状に形成しはかま筋41としたが、主筋の形態は必ずしもこれに限定されない。例えば、主筋を、上下方向に延びる縦筋部と、縦筋部の上下両端部から互いに反対側に向けて横向きに延びる上側横筋部(支持部に相当)及び下側横筋部を有してZ型に形成し、その主筋を4つ設けることが考えられる。この場合、それら4つの主筋をそれぞれ、同一の建物ユニット20の各アンカーボルト18A,18B間に上側横筋部が位置するように配置する。かかる構成にあっても、それら各主筋の上側横筋部にそれぞれ各アンカーボルト18A,18Bに設けられた2つの補強筋50を支持させることができる。
また、上記実施形態では、はかま筋41(主筋)において、各下側横筋部47(載置部)を各縦筋部45の下端部から互いに離間する側へ横向きに延びるように設けたが、これを変更して、各下側横筋部47を各縦筋部45の下端部から上側横筋部46の長手方向と直交する方向へ横向きに延びるよう設けてもよい。この場合でも、各下側横筋部47をベース配筋部36上に載置した状態で主筋を配置することができる。また、主筋に、下側横筋部47を設けないようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、支持部としての上側横筋部46を主筋としてのはかま筋41の一部により形成したが、支持部を主筋とは別体で形成してもよい。例えば、縦筋部45及び下側横筋部47を有してL字状をなす一対の主筋を形成し、それら一対の主筋の上端部同士を上側横筋部46を構成する横筋(支持部に相当)により結合しはかま状としてもよい。
(3)上記実施形態では、主筋としてのはかま筋41(縦筋部45)を柱受け基礎12の4隅に位置するよう配置したが、これらの主筋に加えて、さらに別途主筋を設けるようにしてもよい。例えば、柱受け基礎12における各縦筋部45の間の中間位置に別途上下に延びる主筋を設けることが考えられる。この場合、柱受け基礎12の強度を高めることができる。なお、上記別途の主筋については支持部を有しない構成とすることが考えられる。
(4)上記実施形態では、はかま筋41を、第2方向Yにおいて同一の建物ユニット20の各アンカーボルト18A,18Bの間となる位置に配置したが、これを変更して、はかま筋41を、第2方向Yにおいてそれら各アンカーボルト18A,18Bを挟んだ両側位置のうちいずれかに配置してもよい。その場合においても、はかま筋41の上側横筋部46にそれぞれ各アンカーボルト18A,18Bの補強筋50をそれぞれ支持させることができるため、それら各補強筋50ごとに上側横筋部46(支持部)を設ける場合と比べて構成の簡素化を図ることができる。但し、かかる構成とすると、上側横筋部46から各アンカーボルト18A,18Bまでの距離がそれぞれ(大きく)異なることになるため、それら各アンカーボルト18A,18Bの補強筋50として共通の構成のものを用いることが困難になるおそれがある。その点を鑑みると、第2方向Yにおいて各アンカーボルト18A,18Bの間となる位置に上側横筋部46を配置するのが望ましいといえる。
(5)補強筋50の構成は必ずしも上記実施形態のものに限定されない。上記実施形態では、補強筋50を一対の鉄筋材52を有して構成し、それら一対の鉄筋材52(鉄筋)により囲み部58を形成したが、例えば囲み部58を四角環状の一の鉄筋により形成してもよい。
また、上記実施形態では、囲み部58を閉環状に形成したが、囲み部58を開放部を有した環状に形成してもよい。例えば、囲み部58を、鉄筋をコ字状に折り曲げて形成することが考えられる。この場合にも、コ字状をなす囲み部58の内側にアンカーボルト18A,18Bを位置させた状態で補強筋50を配置すれば、囲み部58がアンカーボルト18A,18Bの周囲を囲むように設けられる。そして、囲み部58においてアンカーボルト18A,18Bよりも基礎外側に配置される部分が剥落防止部として機能することになる。そのため、この場合にも、柱受け基礎12の剥落防止を図ることができる。
(6)上記実施形態では、補強筋50にひび割れ防止筋61を設けたが、補強筋50にひび割れ防止筋61を設けないようにしてもよい。
(7)剥落防止部64(囲み部58)の高さ方向の自由度という観点からは、剥落防止部64と被支持部62との高さ方向の相対位置が調整可能であるとよい。例えば、鉛直部55に対する被支持部62の結合位置を鉛直部55の長手方向に調整可能とすることが考えられる。具体的には、被支持部62を、鉛直部55に対してフック等の結合部材を介して着脱可能に取り付けられるようにし、施工現場にて被支持部62を鉛直部55に対して適切な高さ位置で取り付けられるようにすることが考えられる。これによれば、剥落防止部64と被支持部62との相対高さ位置を調整することにより、立ち上がり部12b内のはかま筋41の上側横筋部46の高さ位置に依存することなく、現場環境の相違に対して、それぞれに適した高さ方向の被り量とすることが可能となる。例えば、海岸近くであればコンクリートが中性化しやすいため、高さ方向の被り量は大きい方がよい。したがって、剥落防止部64と被支持部62との相対高さ位置が異なるものを多数用意しなくても現場環境の相違に対して柔軟に対応することができる。
(8)上記実施形態では、隣り合う4つの建物ユニット20をそれぞれ2つのアンカーボルト18A,18Bにより柱受け基礎12に固定したが、4つの建物ユニット20のうちいずれか1〜3つの建物ユニット20を2つのアンカーボルト18A,18Bで柱受け基礎12に固定し、それ以外の建物ユニット20を1つのアンカーボルト18Aで柱受け基礎12に固定することも考えられる。この場合にも、各アンカーボルト18A,18Bごとに補強筋50を設けることで、施工現場での配筋作業を容易としながら、アンカーボルト18A,18B周辺の基礎剥落の防止を図ることができる。
また、アンカーボルト18をフープ筋により囲むことで基礎の剥落防止を図る構成(図12(b)参照)では、4つの建物ユニット20のうち一の建物ユニット20だけを2つのアンカーボルト18A,18Bで柱受け基礎12に固定する場合でも、各アンカーボルト18Aを囲むフープ筋に加え、アンカーボルト18Bを囲む別のフープ筋を設ける必要が生じることが考えられる。そのため、4つの建物ユニット20のうち一の建物ユニット20だけを2つのアンカーボルト18A,18Bで柱受け基礎12に固定する場合でも、4つの建物ユニット20それぞれを2つのアンカーボルト18A,18Bで固定する場合と同様のフープ筋の配筋作業が発生することが考えられる。その点、アンカーボルト18A,18Bごとに補強筋50を配設することで基礎剥落の防止を図る上記の構成によれば、アンカーボルト18Bの数が少なければ、すなわち2つのアンカーボルト18A,18Bで柱受け基礎12への固定を行う建物ユニット20の数が少なければ、その分補強筋50の数が少なくなるため、現場での配筋作業を容易とすることができる利点がある。
(9)4つの建物ユニット20がそれぞれ1つのアンカーボルト18(例えばアンカーボルト18A)で柱受け基礎12に固定される場合も考えられる。この場合にも、各アンカーボルト18Aに対してそれぞれ補強筋50を配設するようにすれば、各アンカーボルト18Aをフープ筋で囲う場合と比べて、その配筋作業を容易とすることができる。そのため、施工現場での配筋作業を容易としながら、基礎剥落の防止を図ることができる。
(10)上記実施形態では、柱受け基礎12の4隅にそれぞれ切り欠き部15を設けたが、4隅のうちいずれか1〜3つの隅部にのみ切り欠き部15を設けるようにしてもよい。例えば、柱受け基礎12の4隅のうちインナガレージ33と隣接する側の隅部にのみ切り欠き部15を設けることが考えられる。
また、上記実施形態では、柱受け基礎12に隣接してインナガレージ33が設けられていたが、例えば柱受け基礎12に隣接してエレベータが設けられる場合も考えられる。その場合にも、切り欠き部15によって柱受け基礎12の基礎ボリュームを低減させることでエレベータの配置スペースに制約が生じるのを抑制することができる。なお、柱受け基礎12に切り欠き部15を設けないようにしてもよい。
(11)上記実施形態では、建物ユニット20の床大梁23をアンカーボルト18により柱受け基礎12に固定したが、柱21のベースプレート31の各張出部31aをそれぞれアンカーボルト18により固定するようにしてもよい。
(12)上記実施形態では、柱受け基礎12上に建物ユニット20を固定する2つのアンカーボルト18A,18Bにそれぞれ補強筋50を設け、アンカーボルト18A,18B周辺における柱受け基礎12の剥落防止を図ったが、外周基礎11上に建物ユニット20を2つのアンカーボルト18で固定する構成においてそれら各アンカーボルト18にそれぞれ補強筋50を設けて外周基礎11の剥落防止を図るようにしてもよい。その具体例について図9及び図10を用いて説明する。なお、図9は、外周基礎上に建物ユニットが設置された状態を示す横断面図である。図10は、外周基礎の配筋構造を示しており、(a)が同構造を示す平面図であり、(b)が(a)のD−D線断面図であり、(c)が(a)のE−E線断面図である。
図9に示すように、外周基礎11の立ち上がり部11a上には、隣り合う2つの建物ユニット20の各柱21がそれぞれ隣接して配置されている。これら2つの建物ユニット20では、その柱21から互いに直交する2方向に床大梁23が延びており、それら各床大梁23がそれぞれ柱21の付近で立ち上がり部11aに対してアンカーボルト18を介して固定されている。このアンカーボルト18は、上記実施形態におけるアンカーボルト18と同様、外周基礎11に設けられたアンカーホール19に上方から挿入され、その挿入状態でモルタル等の充填剤が充填され固化されることで外周基礎11に固定されている。なお、以下の説明では、外周基礎11の長手方向(第1方向)に延びる床大梁23を固定するアンカーボルト18(アンカーホール19)の符号にCを付し、基礎長手方向と直交する方向(第2方向)に延びる床大梁23を固定するアンカーボルト18(アンカーホール19)の符号にDを付す。
続いて、外周基礎11及びその配筋構造について説明する。
図10(a)〜(c)に示すように、外周基礎11は、上述したように、地中に埋設されるフーチング部11bと、そのフーチング部11bから上方に立ち上がる立ち上がり部11aとを有している。立ち上がり部11aにおいて、その上方に隣り合う各建物ユニット20の柱21が設置されている部位では、その他の部位よりも立ち上がり部11aが基礎内側(床下側)に張り出している。以下、この張り出した部分を張出部78ともいう。なお、立ち上がり部11aに設けられた各アンカーホール19C,19Dのうちアンカーホール19Dについては若干この張出部78に跨がる状態で配置されている。
外周基礎11は、その内部に基礎配筋を備えている。基礎配筋は、フーチング部11bにおいて略水平に設けられたベース配筋部81と、ベース配筋部81から上方に立ち上げられた立ち上がり配筋部82とを備える。ベース配筋部81は、外周基礎11の長手方向に延びる複数のベース配力筋83と、外周基礎11の幅方向に延び各ベース配力筋83に溶接等で固定された複数のベース筋84とを備えている。ベース筋84は、外周基礎11の長手方向に所定間隔をおいて設けられている。
立ち上がり配筋部82は、外周基礎11の長手方向に延びる横鉄筋としての上端主筋86、腹筋87及び下端主筋88と、鉛直方向に延びる縦鉄筋としてのあばら筋89とを備える。具体的には、立ち上がり配筋部82の上端には上端主筋86が、下端には下端主筋88が、それらの略中央には腹筋87が、それぞれ平行となるように配設されている。そして、これら上端主筋86、腹筋87及び下端主筋88は、あばら筋89に溶接等によって固定されている。あばら筋89は、基礎11の長手方向に所定間隔をおいて複数設けられている。このようにして構成された立ち上がり配筋部82は、下端主筋88がベース配筋部81の上に載置された状態で設けられている。
立ち上がり配筋部82において、上端主筋86、腹筋87及び下端主筋88はそれぞれ立ち上がり部11aの厚み方向においてアンカーボルト18Cとアンカーボルト18Dとの間の位置に位置している。隣り合う建物ユニット20の各アンカーボルト18C,18Dにはそれぞれ補強筋50が設けられている。各補強筋50はいずれも同じ構成を有している。また、各補強筋50は、上記実施形態における柱受け基礎12の補強筋50とも同じ構成を有している。各補強筋50はそれぞれアンカー挿通部59にアンカーボルト18C,18D(アンカーホール19C,19D)を挿通させた状態で設けられている。
各補強筋50はそれぞれ、その被支持部62を上端主筋86上に支持させた状態で設けられている。この場合、それら各補強筋50がそれぞれ上端主筋86の長手方向に並んで配置されており、それら4つの補強筋50がいずれも上端主筋86に対して支持された状態となっている。具体的には、アンカーボルト18Cの補強筋50とアンカーボルト18Dの補強筋50とは上端主筋86の長手方向と直交する方向(立ち上がり部11aの厚み方向)に互いに反転させて配置されている。
各補強筋50の囲み部58はそれぞれ、アンカーボルト18C,18D(アンカーホール19C,19D)の周囲を囲むように設けられている。囲み部58は、立ち上がり部11aにおいて上端部付近に位置している。囲み部58において立ち上がり部11aの厚さ方向におけるアンカーボルト18C,18Dを挟んだ両側に配置された部分は剥落防止部91となっている。また、各アンカーボルト18Dの補強筋50についてはアンカーボルト18Dに対して張出部78の幅方向の端部側に配置された部位についても剥落防止部91となっている。これにより、アンカーボルト18C,18Dの周辺における外周基礎11の剥落防止を図ることができる。また、施工現場で補強筋50を配筋する際には、4つの補強筋50をそれぞれその被支持部62を上端主筋86上に載せるといった簡単な作業で配筋することができるため、現場での配筋作業を容易としながら、基礎剥落の防止を図ることができる。
また、同じ建物ユニット20の各アンカーボルト18C,18Dに設けられた各補強筋50については上端主筋86の長手方向と直交する方向に互いに反転させて配置するようにしたため、それら各補強筋50として同じ構成のものを用いることが可能となる。これにより、補強筋50の共通化を図ることができ、補強筋50の製造コストの低減等を図ることができる。
外周基礎11に設ける補強筋50として、柱受け基礎12に設ける補強筋50と同じ構成の補強筋を用いた。これにより、基礎11,12全体で一種類の補強筋だけを用意すれば足りるため、補強筋50の製造コスト低減等の効果を得ることができる。