JP2015140502A - 片面段ボールシート用波板原紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度並びに片面段ボールシートとした際の貼り合わせ性、美粧性及び印刷適性に優れ、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難い片面段ボールシート用波板原紙の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、3層以上の多層構造を有し、波板に加工後、裏面でライナと貼り合わせる片面段ボールシート用波板原紙であって、密度が0.80g/cm以上0.90g/cm以下であり、表層の灰分が15質量%以下であり、表面の接触時間120秒の吸水度が20g/m以上40g/m以下であり、上記裏面の接触時間120秒の吸水度が175g/m以上190g/m以下であることを特徴とする。上記表面の滑り角度が上記裏面の滑り角度より小さいことが好ましい。また、上記表面のベック平滑度(A)が20秒以上40秒以下であり、上記裏面のベック平滑度(B)が5秒以上15秒以下であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、片面段ボールシート用波板原紙に関する。
近年、表層ライナ、裏層ライナ、表層ライナと裏層ライナとの間に設けられる中芯からなる段ボールシートの加工段階で、段ロールを用いて表層又は裏層のライナの一方のみに中芯を波板状に貼合した片面段ボールシートが、柔軟な波板側の面を被包装物に接触させることで、被包装物の緩衝材、クッション材等として用いられている。また、その緩衝効果やクッション効果を高めるために伸縮シートを用いる技術(特開2009−102031号公報参照)及び段山数を調整する技術(特開2002−68164号公報参照)が開発されている。他方、片面段ボールシートは、緩衝材、クッション材等の用途に加え、片面段ボールシートの段の部分を表出させてデザイン性を醸し出し、菓子、食品、電化製品等の梱包用外装材、いわゆる段ボールケースとして用いられるようにもなっている。
本来両面段ボール用中芯は、表層ライナと裏層ライナとに挟持されているため、中芯(波板)を外部から視認することはなく、変形、破損、波板の剥がれ等による強度、美粧性の低下が問題となることは多くない。他方、片面段ボールシートに用いられる波板原紙は、所謂両面段ボール用中芯原紙をそのまま転用していることから、変形、破損し易いという不都合がある。また、上記両面段ボール用中芯原紙を片面段ボールで使用する場合、例えば梱包用外装材として使用する場合、強度、美粧性、印刷適性の低下が大きな問題となり易いという不都合がある。具体的には、板紙が変形、破損した片面段ボールや波板が剥がれた片面段ボールは、美麗ではなく、緩衝性も低下し、その結果片面段ボールの商品価値は大きく低下する。また、表面の平滑性が失われ、その結果印刷適性が低下する。さらに、変形、破損し易い波板原紙は、段付けの際、一対の段ロールから引張り、曲げ、せん断等の強い力を受けるため、段が割れたり(段割れ)、段頂が切れたり(段切れ)し、極端な場合には波板原紙全幅に渡って破断等が生じ易いという不都合もある。
特開2009−102031号公報 特開2002−68164号公報
本発明は、上記不都合に鑑みてなされたものであり、強度並びに片面段ボールシートとした際の貼り合わせ性、美粧性及び印刷適性に優れ、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難い片面段ボールシート用波板原紙の提供を目的とする。
本発明者は上記不都合を解決するために鋭意検討を重ねた結果、表層の灰分、密度並びに表面及び裏面の接触時間120秒の吸水度が特定範囲の片面段ボールシート用波板原紙が、強度並びに片面段ボールシートとした際の貼り合わせ性、美粧性及び印刷適性に優れ、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難い片面段ボールシート用波板原紙であることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するためになされた発明は、3層以上の多層構造を有し、波板に加工後、裏面でライナと貼り合わせる片面段ボールシート用波板原紙であって、密度が0.80g/cm以上0.90g/cm以下であり、表層の灰分が15質量%以下であり、表面の接触時間120秒の吸水度が20g/m以上40g/m以下であり、上記裏面の接触時間120秒の吸水度が175g/m以上190g/m以下であることを特徴とする片面段ボールシート用波板原紙である。
当該波板原紙が3層以上の多層構造を有し、かつ表層の灰分及び当該波板原紙の密度を上記範囲とすることで当該波板原紙の柔軟性と強度とのバランスをとりつつ、強度並びに片面段ボールシートとした際の美粧性及び印刷適性を向上させることができる。また、表面の接触時間120秒の吸水度が上記範囲であり、かつ上記裏面の接触時間120秒の吸水度が上記範囲であることで、裏面とライナとの間の貼り合わせ性が向上し、その結果片面段ボールシートとした際の美粧性をより高めることができる。さらに、当該波板原紙の強度を向上させることで、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難くなる。
上記表面の滑り角度が上記裏面の滑り角度より小さいことが好ましい。また、上記表面のベック平滑度(A)が20秒以上40秒以下であり、上記裏面のベック平滑度(B)が5秒以上15秒以下であることが好ましい。これらの場合、当該波板原紙の裏面より表面がより柔軟となり、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等がより生じ難くなる。
当該波板原紙としてはJIS−P−3902:2011に規定するLC級以上を満足することが好ましい。このように当該波板原紙をLC級以上とすることで、当該波板原紙は好適な範囲の坪量、圧縮強さ、破裂強さ及び水分を示し、様々な用途で幅広く用いることができる。
ここで、「片面段ボールシート用波板原紙の表面」とは、片面段ボールシートを製造する際、波板原紙が露出する面をいう。「片面段ボールシート用波板原紙の裏面」とは、片面段ボールシートを製造する際、波板原紙とライナとを貼り合わせる面をいう。
また、「密度」とは、JIS−P−8118:1998「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定される値をいう。「吸水度」とは、JIS−P−8140:1998「紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法」に準拠して測定される値をいう。「灰分」とは、JIS−P−8251:2003「紙,板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定される値をいう。「ベック平滑度」とは、JIS−P−8119:1998「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠して測定される値をいう。「圧縮強さ」とは、JIS−P−8126:2005「紙及び板紙−圧縮強さ試験方法−リングクラッシュ法」に準拠して測定される値をいう。
上述のように、当該片面段ボールシート用波板原紙は、強度並びに片面段ボールシートとした際の貼り合わせ性、美粧性及び印刷適性に優れ、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難い。そのため、当該片面段ボールシート用波板原紙を用いた片面段ボールシートは、菓子、食品、電化製品等の梱包用外装材として好適に用いることができる。
以下、本発明の片面段ボールシート用波板原紙の実施形態について説明する。
当該片面段ボールシート用波板原紙は、3層以上の多層構造を有し、波板に加工後、裏面でライナと貼り合わせる片面段ボールシート用波板原紙である。当該片面段ボールシート用波板原紙は、密度が0.80g/cm以上0.90g/cm以下であり、表層の灰分が15質量%以下であり、表面の接触時間120秒の吸水度が20g/m以上40g/m以下であり、上記裏面の接触時間120秒の吸水度が175g/m以上190g/m以下である。以下、当該片面段ボールシート用波板原紙について詳説する。
<片面段ボールシート用波板原紙>
当該波板原紙は原料繊維を含有する。原料繊維としては、例えばパルプ繊維、化学繊維等が挙げられる。当該波板原紙は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の抄紙用薬剤を含有してもよく、その表面に塗工液を塗工してもよい。
当該波板原紙は3層以上の多層構造を有する。当該波板原紙の多層構造としては、表層、少なくとも1層の中層及び裏層の3層以上である。層数の上限としては、5層が好ましい。層数が3層未満であると、当該波板原紙は、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じる。多層構造が5層を超えると、生産工程が複雑となるおそれがある。中層が複数の紙層を有する場合、それらは、同一であってよく、異なっていてもよい。
(原料繊維)
パルプ繊維としては、例えば、
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)等の化学パルプ、
ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ、
茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、中白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙、更紙古紙等から製造される古紙パルプ、
古紙パルプを脱墨処理した脱墨パルプ(DIP)などが挙げられる。
化学繊維としては、例えば、
ポリエチレンテレフタラート等のポリエステル系繊維、
ナイロン等のポリアミド系繊維、
アセテート等のセルロース系繊維、
プロミックス等のタンパク質系繊維、
レーヨン、キュプラ、ポリノジック等のセルロース系再生繊維、
アクリロニトリル系繊維、炭素繊維、ポリオレフィン系繊維、ビニロン繊維などが挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
原料繊維としては、これらの中で、パルプ繊維が好ましく、化学パルプ、古紙パルプがより好ましく、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、上白古紙パルプ、地券古紙パルプ、段ボール古紙パルプがさらに好ましい。また、古紙パルプは、再資源化の工程でパルプ繊維が平坦になる傾向を有し、紙層を柔軟化するとともに紙層を密にすることができ、また再資源化処理により親水性が向上するとともに毛細管現象により接着剤の吸収が向上する観点から好ましい。他方、化学パルプは強度を高める観点から好ましい。
パルプ繊維の原料繊維に対する含有量としては、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。上記含有量が上記下限未満であると再資源化が困難になり、専用の抄紙機にて製造する必要が生じるおそれがある。
(抄紙用薬剤)
抄紙用薬剤としては、例えば顔料、染料、填料、内添サイズ剤、内添紙力向上剤、歩留り向上剤(凝結剤、凝集剤)、内添サイズ剤、内添紙力向上剤等が挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
(塗工液)
当該波板原紙の表面には、本発明で好適に用いられるLC級に準拠する板紙が用いられ、波板加工性を確保する目的を主に塗工液を任意に塗工していてもよい。塗工液は、当該波板原紙の表面及びライナとの貼合に支障が生じない範囲で裏面に塗工してもよく、それらのいずれか一方に塗工してもよい。また、塗工液は、溶液の形態であってよく、エマルジョンの形態であってもよい。
塗工液中に含まれる塗工用薬剤としては、好適には滑剤が用いられるが、他に例えば顔料、染料、滑材、バインダー、表面サイズ剤、外添紙力向上剤、蛍光増白剤、消泡剤、着色剤、保水剤、界面活性剤等が挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
塗工液は塗工用薬剤として滑剤を含有することが好ましい。当該波板原紙の変形、破損に対する耐性を向上させることで、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等を低減することができる。
滑剤としては、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、カチオン系アルキルケテンダイマー等のアルキルケテンダイマー、ポリビニルアルコール(PVA)、低分子量ポリエチレン、液状炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪酸硫酸化油、脂肪族リン酸エステル、ポリアルキレングリコール又はその誘導体などが挙げられる。
滑剤としては、これらの中で、当該波板原紙により高い滑性を付与できる観点から、アルキルケテンダイマー、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましく、カチオン系アルキルケテンダイマーがより好ましい。特に、多層構造を有する当該波板原紙の表層上にカチオン系アルキルケテンダイマーを含有する塗工液を塗工することで、カチオン系アルキルケテンダイマーが当該波板原紙の中層よりも表層中に定着し易くなる。そのため、カチオン系アルキルケテンダイマー内の炭化水素基同士の疎水性相互作用を利用することで、基紙表層の低密度化、クッション性の向上等を図ることができる。
滑剤としてカチオン系アルキルケテンダイマーを用いる場合、当該波板原紙表層のろ水度としては、200mL以上300mL以下が好ましく、220mL以上280mL以下がより好ましく、当該波板原紙中層のろ水度としては、300mL以上400mL以下が好ましく、320mL以上380mL以下がより好ましい。このように表層単体のろ水度及び中層単体のろ水度を上記範囲とすることでカチオン系アルキルケテンダイマーが表層単体中により定着し易くなる傾向がある。
アルキルケテンダイマーは、公知の方法に従って製造してもよく、市販品を用いてもよい。アルキルケテンダイマーの市販品としては、例えば大和化学社の「ダイマーS−20」等が挙げられる。
滑剤の塗工量としては、0.06g/m以上0.54g/m以下が好ましく、0.08g/m以上0.52g/m以下がより好ましい。滑剤の塗工を上記範囲とすることで当該波板原紙にさらに高い滑性を付与できる傾向がある。
(表層)
表層の坪量としては、15g/m以上40g/m以下が好ましく、20g/m以上35g/m以下がより好ましい。このように表層の坪量を上記範囲とすることで当該波板原紙の柔軟性が向上する傾向がある。なお、坪量(g/m)はJIS−P−8124:1998「紙及び板紙−坪量の測定方法」に準拠して測定される。
表層の密度としては、0.65g/cm以上1.00g/cm以下が好ましく、0.69g/cm以上0.89g/cm以下がより好ましい。このように表層の密度を上記範囲とすることで当該波板原紙の柔軟性が向上する傾向がある。なお、密度(g/cm)はJIS−P−8118:1998「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定される。
表層のろ水度(フリーネス)としては、200mL以上300mL以下が好ましく、220mL以上280mL以下がより好ましい。上記表層のろ水度を上記範囲とすることで当該波板原紙の柔軟性が向上する傾向がある。ろ水度の調節は、たとえば、原料として用いる古紙の選択、公知の叩解処理等の調節手段を取ることによって行うことができる。また、ろ水度は10℃以上40℃以下で測定した。なお、ろ水度(mL)は紙層をJIS−P−8220:1998「パルプ−離解方法」に準拠して離解し、得られた離解パルプのJIS−P−8121:1995「パルプのろ水度試験方法」に準拠して測定される。
当該波板原紙の表層の灰分としては、15質量%以下であり、13質量%以下が好ましい。また、当該波板原紙の表層の灰分としては、0.5質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましい。このように上記灰分を上記範囲とすることで灰分が表層中の原料パルプ繊維間の結合を阻害し紙層を柔軟化させることを可能とし、その結果段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難くなる。上記灰分が上記上限を超えると、表層の紙質能力を落とす問題が生じ紙粉や磨耗、表面強度の低下を招くおそれがある。上記灰分が下限未満であると、柔軟化の効果が不十分となるおそれがある。なお、灰分(質量%)はJIS−P−8251:2003「紙,板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定される。
波板加工における柔軟性を確保するために、表層には顔料を含有することが好ましい。当該波板原紙の表層に顔料を含有することで、当該波板原紙の美粧性及び印刷適性が向上する。
顔料としては、例えば、
カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルク、カオリン、サチンホワイト、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、ホワイトカーボン、焼成カオリン、構造化カオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト等の有色若しくは白色の無機顔料;
ポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子等の有機顔料などが挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
顔料としては、これらの中で、当該波板原紙の美粧性及び印刷適性がより向上する観点から、無機顔料が好ましく、カーボンブラック、タルクがより好ましい。
顔料の配合量としては、灰分換算で1g/m以上5g/m以下が好ましく、2g/m以上4g/m以下がより好ましい。顔料の配合量を上記範囲とすることで当該波板原紙の美粧性及び印刷適性がさらに向上する傾向がある。
表層が顔料を含有し、かつ表層の灰分が15質量%以下であると、強度とのバランスをとりながら美粧性及び印刷適性にさらに優れた片面段ボールシート用波板原紙を得ることができる。
染料を表層に含有させることも可能であるが、波板に接触する被包装物や運送、搬送時の擦れや不用意な水濡れ等による染料の染み出しを考慮すると、着色料としては顔料を用いることが、本発明の課題である美粧性及び印刷適性の確保と段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難い片面段ボールシート用波板原紙を得る上で好ましい。
(中層)
中層の坪量としては、20g/m以上120g/m以下が好ましく、36g/m以上120g/m以下がより好ましい。このように中層の坪量を上記範囲とすることで当該波板原紙の強度が向上する傾向がある。
中層の密度としては、0.80g/cm以上1.00g/cm以下が好ましく、0.82g/cm以上0.90g/cm以下がより好ましい。このように中層の密度を上記範囲とすることで当該波板原紙の柔軟性が向上する傾向がある。
中層のろ水度としては、300mL以上400mL以下が好ましく、320mL以上380mL以下がより好ましい。上記中層のろ水度を上記範囲とすることで当該波板原紙の強度が向上する傾向がある。
(裏層)
裏層の坪量としては、25g/m以上50g/m以下が好ましく、30g/m以上40g/m以下がより好ましい。このように表層の坪量を上記範囲とすることで当該波板原紙の強度が向上する傾向がある。
裏層の坪量は表層の坪量より大きいことが好ましい。表層の坪量と裏層の坪量との差としては、5g/m以上20g/m以下が好ましく、7g/m以上15g/mがより好ましい。裏層の坪量は表層の坪量より大きいことで、当該波板原紙の強度と柔軟性とのバランスをとりながら、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等を低減できる。
裏層の密度としては、0.65g/cm以上0.85g/cm以下が好ましく、0.70g/cm以上0.80g/cm以下がより好ましい。このように裏層の密度を上記範囲とすることで当該波板原紙の強度が向上する傾向がある。
裏層のろ水度としては、300mL以上450mL以下が好ましく、320mL以上430mL以下がより好ましい。上記裏層のろ水度を上記範囲とすることで当該波板原紙の吸水性が向上し、その結果ライナとの貼り合わせ性が向上する傾向がある。
裏層のろ水度は表層のろ水度より大きいことが好ましい。裏層のろ水度と表層のろ水度との差としては、30mL以上120mL以下が好ましく、40mL以上110mL以下がより好ましい。裏層の密度が表層の密度より大きいことで、この場合も当該波板原紙の強度と柔軟性とのバランスをとりながら、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等を低減できる。
<片面段ボールシート用波板原紙の製造方法>
当該波板原紙は原料パルプ等を含む原料パルプスラリーを3層以上に抄き合せて抄紙することで得ることができる。当該波板原紙が3層以上の多層構造を有することで、坪量換算でJIS−P−3902:2011に規定するLC級以上を満足すること、密度を調整すること等が容易となる。また、表層、少なくとも1層の中層及び裏層の特徴付けが容易となる。
当該波板原紙の製造方法は、例えば、
原料パルプ等を離解分散させる工程(離解分散工程)と、
原料パルプスラリーを3層以上に抄き合せ抄紙する工程(抄紙工程)とを備える。
当該波板原紙の製造方法は、
抄紙工程後に、当該波板原紙の表面に塗工液を塗工する工程(塗工工程)を任意に備えていてもよい。以下、各工程について詳説する。
(離解分散工程)
本工程では、原料パルプ等を離解分散させることで原料パルプスラリーを得ることができる。その際、原料パルプと共にその他の抄紙用薬剤を任意に分散させてもよい。その他の抄紙用薬剤としては、例えば上記抄紙用薬剤等が挙げられる。
離解分散方法としては、例えば攪拌機を備えたタンク内で原料パルプ、その他の抄紙用薬剤等を分散させる方法等が挙げられる。
(抄紙工程)
本工程では、原料パルプスラリーを3層以上に抄き合せて抄紙することで、3層以上の多層構造を有する波板原紙を得ることができる。また、坪量、原料パルプ種等を変更することで、表層及び裏層の特徴の異なる多層構造を容易に得ることができる。より具体的には、吸水度、滑り角度、ベック平滑度等が、各層間で異なる多層紙を容易に得ることができる。
抄紙方法としては、例えば酸性抄紙法、中性抄紙法、アルカリ性抄紙法等が挙げられる。抄紙機としては、例えばワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、サイズプレスパート及びカレンダーパートを備える、長網多層抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、円網短網コンビネーション抄紙機等が挙げられ、円網抄紙機が好ましい。
次いで得られた当該波板原紙を乾燥手段にて、例えば多筒ドライヤー、ヤンキードライヤー等を用いて乾燥に付してもよい。
(塗工工程)
本工程では、当該波板原紙の表面に塗工液を塗工することで当該波板原紙表面の美粧性、平滑性等が向上する。
塗工装置としては、例えばサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、ロッドコーター、スプレーコーター等が挙げられる。
塗工装置としては、これらの中で、より容易に塗工し得る観点からバーコーターが好ましい。
塗工手段により塗工液の塗工濃度は調整されるが、滑剤等のクリヤー塗工液を塗工する場合は、塗工液の固形分濃度としては、0.5質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.8質量%以上4.0質量%以下がより好ましい。このように塗工液の固形分濃度を上記範囲とすることで塗工が効率的に行い得る傾向がある。
塗工回数としては、1回で行ってよく、複数回に分けて行ってもよい。
得られた原紙は乾燥に付される。
乾燥後の原紙を着色紙として巻き取る前に、カレンダー処理に付してもよい。原紙にカレンダー処理を施すことで原紙の平坦性を高めることができる。
(その他)
製造工程における温度、圧力、時間、設備等の工程条件は使用原料等に従って適宜設定される。製造工程の段階数も、1段階で行ってもよく、多段階で行ってもよい。
<片面段ボールシート用波板原紙の物性>
当該波板原紙の表面の接触時間120秒の吸水度としては、20g/m以上40g/m以下であり、21g/m以上38g/m以下が好ましく、24g/m以上34g/m以下がより好ましい。上記吸水度を上記範囲とすることで当該波板原紙の不用意な濡れに伴う強度低下を低減できる。また、表層表面が平滑となり、その印刷適性を向上させることができる。上記吸水度が上記上限を超えると、当該波板原紙は不用意な濡れによりその強度が低下する。上記吸水度が上記下限未満であると、不用意な濡れにより当該波板原紙の美粧性が低下する。なお、吸水度(g/m)は、JIS−P−8140:1998「紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法」に準拠して測定される。
当該波板原紙の裏面の接触時間120秒の吸水度は、175g/m以上190g/m以下であり、177g/m以上190g/m以下が好ましく、180g/m以上190g/m以下がより好ましい。上記吸水度を上記範囲とすることで接着剤に含まれる水分を十分に吸収でき、その結果波板の強度低下を低減できる。上記吸水度が上記上限を超えると、当該波板原紙は不用意な濡れによりその強度が低下する。上記吸水度が上記下限未満であると、当該波板原紙の貼合性が低下する。
当該波板原紙の裏面の接触時間120秒の吸水度を表面よりも高くすること、好ましくは145g/m以上170g/m以下高くすること、より好ましくは147g/m以上161g/m以下高くすることで裏面が表面より柔軟となり、当該波板原紙の段形成性がより向上する。本発明では、上記吸水度や以下の滑り角度等について表面と裏面との間で差異を設定することで、様々な特性の向上を図ることができる。
また、表面の接触時間120秒の吸水度が上記範囲であり、かつ上記裏面の接触時間120秒の吸水度が上記範囲であることで、裏面とライナとの間の貼り合わせ性が向上し、その結果片面段ボールシートとした際の貼り合わせ性、美粧性及び印刷適性を高めることができる。
当該波板原紙の表面の滑り角度としては、12度以上22度以下が好ましく、14度以上20度以下がより好ましい。上記滑り角度を上記範囲とすることで当該波板原紙の表面の滑性を確保できる傾向がある。なお、滑り角度(度)はJIS−P−8147:2010「紙及び板紙−静及び動摩擦係数の測定方法」に準拠して測定される。
当該波板原紙の裏面の滑り角度としては、20度以上25度以下が好ましく、22度以上24度以下がより好ましい。上記滑り角度を上記範囲とすることで当該波板原紙の裏面の滑性を確保できる傾向がある。
表面の滑り角度は裏面の滑り角度より小さいことが好ましい。表面の滑り角度と裏面の滑り角度との差としては、2度以上16度以下が好ましく、4度以上14度以下がより好ましい。表面の滑り角度は裏面の滑り角度より小さいことで、波板形状に段付けを行う段ロールでの嵌合時に段ロール間で波板のズレが波板の一方の面に生じ易くなり、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難くなる。
当該波板原紙の表面のベック平滑度(A)が20秒以上40秒以下で、裏面のベック平滑度(B)が5秒以上15秒以下であることが好ましく、ベック平滑度(A)が25秒以上38秒で、裏面のベック平滑度(B)が6秒以上14秒以下であることがより好ましい。上記ベック平滑度を上記範囲とすることで当該波板原紙表面が平滑となり、その美粧性及び印刷適性が向上する。段ロールでの段付け加工時に段ロールとの密着性を高める方策として設けられている段ロール内を疑似真空にして波板を段ロールに密着させる近年の加工方法に対応することもできる。上記ベック平滑度が上記上限を超えると、段加工時に加工むらを生じるおそれがある。上記ベック平滑度が上記下限未満であると、段ロールとの密着性に劣る問題が生じ、その結果段付けの際、段割れ、段切れ、破断等がより生じ易くなるおそれがある。なお、ベック平滑度(秒)はJIS−P−8119:1998「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠して測定される。
表面のベック平滑度と裏面のベック平滑度との差(A−B)としては、10秒以上30秒以下が好ましく、14秒以上27秒以下がより好ましい。このようにベック平滑度に差を設け、裏面のベック平滑度を低く設定することで、滑り角度と同様に段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難くなる。上記差が上記上限を超えると、表面の平滑性が低下するおそれがある。上記差が上記下限未満であると、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ易くなるおそれがある。
表面のベック平滑度(A)が20秒以上40秒以下で、裏面のベック平滑度(B)が5秒以上15秒以下であり、かつ表面のベック平滑度と裏面のベック平滑度との差(A−B)が10秒以上30秒以下であることが好ましい。このように、波板の表面と裏面のベック平滑度に差を設け、裏面の平滑度を低く設定することで、滑り角度の場合と同様に、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難くなる。
当該波板原紙としては、坪量換算でJIS−P−3902:2011に規定するLC級以上を満足することが好ましい。このように当該波板原紙をLC級以上とすることで、当該波板原紙は、好適な範囲の坪量、圧縮強さ、破裂強さ及び水分を示し、様々な用途で幅広く用いることができる。
当該波板原紙の密度としては、0.80g/cm以上0.90g/cm以下であり、0.81g/cm以上0.89g/cm以下が好ましく、0.82g/cm以上0.87g/cm以下がより好ましい。このように当該波板原紙の密度を上記範囲とすることで当該波板原紙の強度が向上する。当該波板原紙の密度が上記上限を超えると、当該波板原紙の柔軟性が低下する。当該波板原紙の密度が上記下限未満であると、当該波板原紙の強度が低下する。
また、当該波板原紙が3層以上の多層構造を有し、かつ密度を上記範囲とすることで当該波板原紙の柔軟性と強度とのバランスをとりつつ、強度及び片面段ボールシートとした際の美粧性を向上させることができる。
従来、波板原紙は、段ロールでの段を形成工程で段割れや段潰れ等の成形不良対策として0.45g/cm程度の低密度とすることが行われていたが、低密度化は波板の強度的な性能を落とす問題が有り、本発明者等の知見では段を構成する波板の密度を0.80g/cm以上とすることで性能を維持できることを見出している。しかし、波板原紙の密度を0.80g/cm以上とすることは、段形成における段割れや段潰れ等の成形不良が生じるおそれがあるが、3層以上の多層構造とすることで波板原紙の密度を0.80g/cm以上としても上記不具合を改善できる。
当該波板原紙の坪量としては、80g/m以上180g/m以下が好ましく、90g/m以上180g/m以下がより好ましい。このように当該波板原紙の坪量を上記範囲とし、坪量換算でLC級以上の品質を確保することで当該波板原紙としての強度が得られ、傷などの毀損が生じ難い傾向がある。
当該波板原紙の平均厚さとしては、100μm以上210μm以下が好ましく、105μm以上207μm以下がより好ましい。このように当該波板原紙の平均厚さを上記範囲とすることで当該波板原紙の強度が向上する傾向がある。
当該波板原紙の縦目方向の圧縮強さとしては、1.6kN/m以上3.2kN/m以下が好ましく、1.8kN/m以上3.0kN/m以下がより好ましい。一方、当該波板原紙の横目方向の圧縮強さとしては、1.0kN/m以上3.5kN/m以下が好ましく、1.5kN/m以上3.0kN/m以下がより好ましい。
当該波板原紙の縦目方向の圧縮強さとしては、坪量換算でJIS−P−3902:2011に規定するLC級以上を満足する圧縮強さとすることで当該波板原紙の強度が向上する傾向がある。なお、圧縮強さ(kN/m)はJIS−P−8126:2005「紙及び板紙−圧縮強さ試験方法−リングクラッシュ法」に準拠して測定される。
圧縮強さの比率(縦目方向/横目方向)としては、1.06以上1.54以下が好ましく、1.08以上1.52以下がより好ましい。圧縮強さの比率を上記範囲とすることで両方向のバランスを保ちつつ、当該波板原紙の強度が向上する傾向がある。
また、当該波板原紙を坪量換算でJIS−P−3902:2011に規定するLC級以上とし、かつライナに対する圧縮強さの比率を上記範囲とすることで当該波板原紙の強度がより向上する傾向がある。
当該波板原紙は坪量換算でJIS−P−3902:2011に規定するLC級以上を満足させながら、当該波板原紙の縦目方向の比圧縮強さとしては、135N・m/g以上220N・m/g以下が好ましく、139N・m/g以上211N・m/g以下がより好ましい。一方、当該波板原紙の横目方向の比圧縮強さとしては、100N・m/g以上125N・m/g以下が好ましく、108N・m/g以上115N・m/g以下がより好ましい。なお、比圧縮強さ(N・g/m)はJIS−P−8126:2005「紙及び板紙−圧縮強さ試験方法−リングクラッシュ法」に準拠して測定される。
当該波板原紙の縦目方向の引張破断伸びとしては、2.0%以上3.5%以下が好ましく、2.0%以上3.3%以下がより好ましい。一方、当該波板原紙の横目方向の引張破断伸びとしては、5.0%以上9.0%以下が好ましく、7.0%以上8.0%以下がより好ましい。このように当該波板原紙の引張破断伸びを上記範囲とすることで比較的密度の高いJIS−P−3902:2011に規定するLC級以上の性能を有しながら、波板形状に段付けを行う段ロールでの形状追随性に優れ、その結果段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難い美粧性に優れた片面段ボールシート用波板を得ることができる傾向がある。上記引張破断伸びが上記上限を超えると、成形時に復元性が生じ易くなり成形不良の問題を招くおそれがある。上記引張破断伸びが上記下限未満であると、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ易くなるおそれがある。なお、引張破断伸び(%)はJIS−P−8113:2006「紙及び板紙−引張特性の試験方法−第2部:定速伸張法」に準拠して測定される。
<片面段ボールシート用波板>
上記片面段ボールシート用波板(以下、「波板」ともいう。)は当該片面段ボールシート用波板原紙を波板に加工したものをいう。
上記波板は、例えば、
当該波板原紙を波状に段付けする工程(段付け工程)を備えた製造方法により得ることができる。より具体的には、当該波板原紙を一対の段ロール、即ち上方段ロールと下方段ロールとの噛み合い部を通過、圧接させることで、波状に段付けした波板を得ることができる。
一般に、当該波板原紙は、一対の段ロールから引張り、曲げ、せん断等の強い力を受け、また波板原紙の厚さ方向に、段成形の際の曲げにより外側は引張り応力、内側は圧縮力を受け、せん断応力も働くため、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ易い。しかし、当該波板原紙は、上述のような構成を有するため、強度と柔軟性とのバランスをとることで、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難い。
波板の段山数としては、30山/30cm以上80山/30cm以下が好ましく、40山/30cm以上70山/30cm以下がより好ましい。上記段山数を上記範囲とすることで段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難い傾向がある。
波板の段高としては、1.0mm以上1.5mm以下が好ましく、1.05mm以上1.45mm以下がより好ましい。上記段山数を上記範囲とすることで段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難い傾向がある。
<片面段ボールシート>
上記片面段ボールシートは上記波板の裏面とライナとを貼り合わせたものをいう。
上記片面段ボールシートは、例えば、
片面段ボールシート用波板の裏面とライナとを接着剤を用いて貼り合わせる工程(貼合せ工程)を備えた製造方法により得ることができる。
段付け工程と貼合せ工程はそれぞれ別々に行ってよく、例えばコルゲータ等を用いて一連の工程として行ってもよい。
接着剤としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等の合成樹脂、澱粉、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、酢酸ビニルアルコール等が挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、本実施例で行った品質及び性能の評価方法は以下のとおりである。
<評価方法>
実施例及び比較例における各種物性は以下の評価方法に準じて測定した。
(坪量(g/m))
坪量(g/m)はJIS−P−8124:1998「紙及び板紙−坪量の測定方法」に準拠して測定した。
(密度(g/cm))
密度(g/cm)はJIS−P−8118:1998「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
(ろ水度(mL))
ろ水度(mL)は紙層をJIS−P−8220:1998「パルプ−離解方法」に準拠して離解し、得られた離解パルプのJIS−P−8121:1995「パルプのろ水度試験方法」に準拠して評価した。
(灰分(質量%))
灰分(質量%)はJIS−P−8251:2003「紙,板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定した。
(吸水度(g/m))
吸水度(g/m)はJIS−P−8140:1998「紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法」に準拠して測定した。
(滑り角度(度))
滑り角度(度)はJIS−P−8147:2010「紙及び板紙−静及び動摩擦係数の測定方法」に準拠して測定した。
(ベック平滑度(秒))
ベック平滑度(秒)はJIS−P−8119:1998「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠して測定した。
(等級)
等級はJIS−P−3902:2011「段ボール用ライナ」に準拠して判定した。
(平均厚さ(μm))
平均厚さ(μm)はJIS−P−8118:1998「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
(圧縮強さ(kN/m))
圧縮強さ(kN/m)はJIS−P−8126:2005「紙及び板紙−圧縮強さ試験方法−リングクラッシュ法」に準拠して測定した。
(比圧縮強さ(N・m/g))
比圧縮強さ(N・m/g)はJIS−P−8126:2005「紙及び板紙−圧縮強さ試験方法−リングクラッシュ法」に準拠して測定した。
(引張破断伸び(%))
引張破断伸び(%)はJIS−P−8113:2006「紙及び板紙−引張特性の試験方法−第2部:定速伸張法」に準拠して測定した。
(段付けの際の段割れ、段切れ、破断)
段付けの際の段割れ、段切れ、破断は目視により以下の基準に基づいて評価した。
◎:段割れ、段切れ、破断がない。
○:段割れ、段切れ、破断が僅かに発生した。
△:段割れ、段切れ、破断が多少発生した。
×:段割れ、段切れ、破断が多く発生した。
なお、◎、○は実使用可能であった。
(美粧性)
片面段ボールシートの美粧性は目視により以下の基準に基づいて評価した。
◎:段割れ、段切れ、破断及び貼合不良がなく、美粧性に優れる。
○:段割れ、段切れ、破断及び貼合不良が僅かに発生したが、美粧性が良好である。
△:段割れ、段切れ、破断及び貼合不良が多少発生したが、美粧性にやや劣る。
×:段割れ、段切れ、破断及び貼合不良が多く発生し、美粧性に劣る。
なお、◎、○は実使用可能であった。
(印刷適性)
PK Print Coat Instruments社の「Kプリンティングプルーファー」を用いて表面に印刷を施した。インクとしては東洋インキ製造のDANNEC3−藍を使用し、インク量は5mLとした。以下の基準にて評価を行った。
◎:インクの着色ムラ、インクの転移不良等が目視できない。
○:インクの着色ムラ、インクの転移不良等がわずかに目視できる。
△:インクの着色ムラ、インクの転移不良等がある。
×:インクの着色ムラ、インクの転移不良等が多い。
なお、◎、○は実使用可能であった。
(貼り合わせ性(作業性))
段ボール用ライナと片面段ボール用波板原紙とをコルゲータマシン(ISOWA社の「コルゲータCWDX」)及び糊(日本澱粉社の「ローコンス」)を用いて貼合速度180m/分で貼合して片面段ボールシートを得た。1分後に得られた片面段ボールシートの貼合部分(シートのジョイント部分)を手で剥がし、以下の基準に基づいて評価した。
◎:糊貼り個所が剥離しなかった(段ボールシートが破壊された)部分が、糊貼り面積全体うち2/3以上あり、糊貼り適性に優れる。
○:糊貼り個所が剥離しなかった(段ボールシートが破壊された)部分が、糊貼り面積全体うち1/3以上あり、糊貼り適性がよい。
△:糊貼り個所が剥離しなかった(段ボールシートが破壊された)部分が、糊貼り面積全体うち1/3以下あり、糊貼り適性がやや悪い。
×:糊貼り個所が剥離しなかった(段ボールシートが破壊された)部分がなく、糊貼り適性が悪い。
なお、◎、○は実使用可能であった。
<実施例1>
以下の原料を用いて、下記の製造方法に従い、表層、中層及び裏層からなる3層の片面段ボールシート用波板原紙を得た。
(離解分散工程)
[表層用原料パルプスラリー]
上白古紙パルプに顔料としてのカーボンブラック(御国色素社の「グランドブラックYT−100」)を2質量%配合した後、ダブルディスクレファイナーを用いて表層用原料パルプスラリーを調整した。
[中層用原料パルプスラリー]
地券古紙パルプを配合した後、ダブルディスクレファイナーを用いて中層用原料パルプスラリーを調整した。
[裏層用原料パルプスラリー]
地券古紙パルプを配合した後、ダブルディスクレファイナーを用いて裏層用原料パルプスラリーを調整した。
(抄紙工程)
これらの原料パルプスラリーを用い、円網抄紙機にて表層、中層及び裏層の紙層を抄き合わせた後、水分を51%に調整し、鏡面仕上げされたヤンキードライヤー表面に圧接しながら乾燥した。
(塗工工程)
滑剤としてのカチオン系アルキルケテンダイマー(大和化学社の「ダイマーS−20」)を希釈し、固形分3質量%の塗工液を製造した。次いで、バーコーターを用いて片面段ボールシート用波板原紙の表面に塗工液を塗工して、片面段ボールシート用波板原紙を製造した。
(段付け工程及び貼合せ工程)
コルゲータマシン(ISOWA社の「コルゲータCWDX」)を用いて塗工後の波板原紙を段付けし、次いで得られた波板とライナ(大王製紙社の「ジャストエコノミー」、120g/m)とを貼合糊として澱粉(日本澱粉社の「ローコンス」、塗工量(3.2g/m)を用いて180m/分の貼合速度で塗工面が表面となるように貼り合わせて片面段ボールシートを製造した。
<実施例2〜15及び比較例1〜5>
実施例1の原料等を表1〜3に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、波板原紙、波板及び片面段ボールシートを製造した。この波板原紙、波板及び片面段ボールシートの物性及び評価、並びに用いた原料等を表1〜3に示す。
Figure 2015140502
Figure 2015140502
Figure 2015140502
上記結果から明らかなように、実施例では片面段ボールシート用波板原紙は、圧縮強さ、比圧縮強さ及び引張破断伸び並びに片面段ボールシートとした際の美粧性に優れ、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難い。また、片面段ボールシートは貼り合わせ性及び印刷適性にも優れていた。これに対し、比較例ではこれらの性能は不十分なものがあった。
当該片面段ボールシート用波板原紙は、強度並びに片面段ボールシートとした際の貼り合わせ性、美粧性及び印刷適性に優れ、段付けの際、段割れ、段切れ、破断等が生じ難い。そのため、当該片面段ボールシート用波板原紙を用いた片面段ボールシートは、菓子、食品、電化製品等の梱包用外装材として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 3層以上の多層構造を有し、波板に加工後、裏面でライナと貼り合わせる片面段ボールシート用波板原紙であって、
    密度が0.80g/cm以上0.90g/cm以下であり、
    表層の灰分が15質量%以下であり、
    表面の接触時間120秒の吸水度が20g/m以上40g/m以下であり、
    上記裏面の接触時間120秒の吸水度が175g/m以上190g/m以下であることを特徴とする片面段ボールシート用波板原紙。
  2. 上記表面の滑り角度が上記裏面の滑り角度より小さく、
    上記表面のベック平滑度(A)が20秒以上40秒以下であり、
    上記裏面のベック平滑度(B)が5秒以上15秒以下である請求項1に記載の片面段ボールシート用波板原紙。
  3. 圧縮強さが坪量換算でJIS−P−3902:2011に規定するLC級以上である請求項1又は請求項2に記載の片面段ボールシート用波板原紙。
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