JP2015140450A - 酸化物焼結体、酸化物半導体膜及び薄膜トランジスタ - Google Patents

酸化物焼結体、酸化物半導体膜及び薄膜トランジスタ Download PDF

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【課題】スパッタリングによって形成した薄膜中のキャリア濃度の変動(ばらつき)を抑制し、該薄膜を使用したTFTの閾値電圧Vthの変動(ばらつき)を抑制することが可能なIGZO酸化物焼結体を提供する。【解決手段】インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を有する酸化物焼結体であって、ジルコニウム(Zr)を200〜1500wtppm含有し、バルク抵抗が1〜40mΩcmである酸化物焼結体で、相対密度が95%以上である酸化物半導体膜。【選択図】図1

Description

本発明は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)及び、不可避的不純物からなる酸化物(「IGZO」と一般的に称呼されている。必要に応じて、この「IGZO」を用いて説明する)に関し、特に、IGZO焼結体、酸化物半導体膜、及び、薄膜トランジスタに関する。
従来、FPD(フラットパネルディスプレイ)において、そのバックプレーンのTFT(薄膜トランジスタ)に、α−Si(アモルファスシリコン)が用いられてきた。しかし、α−Siでは十分な電子移動度が得られず、近年では、α−Siよりも電子移動度が高いIn−Ga−Zn−O系酸化物(IGZO)を用いたTFTの研究開発が行われている。そして、IGZO−TFTを用いた次世代高機能フラットパネルディスプレイが一部実用化され、注目を集めている。
IGZO膜は、主として、IGZO焼結体から作製されるターゲットをスパッタリングして成膜される。ここで、IGZO膜をTFTの活性層として用いる場合、膜のキャリア濃度を厳密に制御する必要があるが、膜のキャリア濃度は、スパッタ雰囲気中の酸素濃度に対して、非常に敏感である。それゆえ、大面積の基板上にIGZO膜を成膜した場合、成膜装置内の酸素濃度の不均一性の影響を受けて、膜のキャリア濃度のばらつきが大きくなるという問題がある。
フラットパネルディスプレイ用のTFTでは、閾値電圧Vth(TFTの電流−電圧特性において、電流値がある一定以下となるゲート電圧)の均一性が非常に重要である。しかし、この閾値電圧Vthは、キャリア濃度の変化に伴って変動するので、IGZO膜をTFTに用いる場合には、そのキャリア濃度のばらつきに起因して、閾値電圧Vthのばらつきが増大し、結果的に製品の歩留まりを低下させる原因となる。このような歩留まり低下は、IGZO−TFTを用いた大型パネルディスプレイ量産の障害となっている。
IGZOスパッタリングターゲットの先行技術として、特許文献1には、正四価以上の金属元素(スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム、セリウム、ニオブ、タンタル、タングステン)を100ppm〜10000ppm含有させることにより、バルク抵抗を1×10−3Ωcm未満まで低減して、スパッタリング時の異常放電を抑えることが記載されている。また、実施例には、酸化ジルコニウムを1010ppm添加したバルク抵抗0.94×10−3Ωcmのターゲットが開示されている。
IGZO−TFTの先行技術として、特許文献2には、TFTの活性層として用いられるIGZO系非晶質酸化物において、Li、Na、Mn、Ni、Pd、Cu、Cd、C、N、P、Ti、Zr、V、Ru、Ge、Sn、Fから選ばれる1種または複数種の元素を添加することにより、電子キャリア濃度が1012/cm以上、1018/cm未満とすることが記載されている。また、実施例4、5には、添加物として、それぞれN、Tiを添加することが開示されている。
特開2008−214697号公報 特開2006−165529号公報
本発明は、スパッタ雰囲気中の酸素濃度のばらつきの影響が少なく、キャリア濃度のばらつきが小さい酸化物半導体膜を得ることが可能なIGZO酸化物焼結体を提供することを課題とする。この膜を用いたTFTは閾値電圧Vthが安定しており、半導体デバイスとしての特性に優れているため、フラットパネルディスプレイ用として特に有用である。本発明は、このような高品質のフラットパネルディスプレイ等を量産することができる。
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、IGZO焼結体にジルコニウム(Zr)を所定割合で添加した場合、スパッタ雰囲気中の酸素濃度の変動に対して、キャリア濃度の変動が小さくなるとの知見を得た。
本発明はこの知見に基づき、下記の発明を提供する。
1)インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を有する酸化物焼結体であって、ジルコニウム(Zr)を200wtppm〜1500wtppm含有し、バルク抵抗が1mΩcm以上、40mΩcm以下であることを特徴とする酸化物焼結体。
2)相対密度が95%以上であることを特徴とする上記1)記載の酸化物焼結体。
3)インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を有する酸化物半導体膜であって、ジルコニウム(Zr)を200wtppm〜1500wtppm含有することを特徴とする酸化物半導体膜。
4)Hall移動度が10cm/Vs以上であることを特徴とする上記3)記載の酸化物半導体膜。
5)上記3)又は4)記載の酸化物半導体膜を活性層として備える薄膜トランジスタ。
本発明は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)、及び不可避的不純物からなるIGZO系の酸化物焼結体において、所定の割合でジルコニウムを含有させることにより、スパッタリングによって形成した薄膜中のキャリア濃度の変動(ばらつき)を抑制ことができる。本発明によれば、該薄膜を使用したTFTの閾値電圧Vthの変動(ばらつき)を抑制することができるという優れた効果を有する。
成膜雰囲気中の酸素濃度と薄膜のキャリア濃度との関係を示す図である。 成膜雰囲気中の酸素濃度と薄膜の移動度との関係を示す図である。 半導体の電気特性を調べるためのトランジスタ回路を示す図である。 本発明の実施例1のTFT伝達特性を示す図である。 本発明の実施例2のTFT伝達特性を示す図である。 本発明の比較例1のTFT伝達特性を示す図である。 成膜雰囲気中の酸素濃度と薄膜の閾値電圧の変動との関係を示す図である。
本発明は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を有する酸化物焼結体であって、ジルコニウム(Zr)を200wtppm〜1500wtppm含有すること特徴とする。ジルコニウム(Zr)を所定の割合含有させることにより、スパッタリング雰囲気中の酸素濃度の変動に起因する薄膜中のキャリア濃度の変動を著しく抑制することができる。
ジルコニウム(Zr)の添加によって、スパッタリング雰囲気中の酸素濃度の変動の影響を小さくできるメカニズムは定かではないが、ジルコニウム(Zr)と酸素(O)との結合エネルギーが強いため、成膜時に酸素濃度が一時的に低くなっても、キャリア濃度上昇の起源となる酸素欠損が発生しにくくなり、その結果、酸素濃度の変動に対して、キャリア濃度の変動を小さくすることができると考えられる。
ジルコニウム含有量は200wtppm〜1500wtppmとするのが好ましい。200wtppm未満であると、スパッタリング雰囲気中の酸素濃度の変動に起因する薄膜中のキャリア濃度の変動を十分に抑制することが困難となる。一方、1500wtppm超であると、酸化物焼結体のバルク抵抗が高くなりすぎて、DCスパッタリングが困難となる。
本発明において、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)及び酸素(O)の組成比は、IGZO系半導体膜として利用することできれば、特に制限はなく、公知の組成比を採用することができる。特には、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)の原子数の比率が、0.2≦In/(In+Ga)≦0.8、かつ、0.1≦Zn/(In+Ga+Zn)≦0.5であることが好ましい。
なお、本発明の酸化物焼結体には、原料純度や製造工程に由来する不可避的不純物も含まれる。また、ジルコニウム(Zr)は、原料の純度や製造工程にもよるが、不可避的に80wtppm程度混入する。
また、本発明の酸化物焼結体は、バルク抵抗値を1mΩ・cm以上、40mΩ・cm以下とする。好ましくは10mΩ・cm以上、40mΩ・cm以下とする。IGZO系酸化物焼結体のバルク抵抗は、主に酸素欠損に起因するため、焼結時に焼結炉内の酸素濃度を低くすることでバルク抵抗を下げることができるが、このような場合、焼結体中にポアが生じやすくなり、焼結体密度が低下することになる。
また、In:Ga:Znの原子数比率が、1:1:1からIn又はZnリッチに変動することでも、バルク抵抗値は低下することになるが、あまりにも低いバルク抵抗値を示す焼結体の場合には、その組成比が上記の範囲から外れることになる。したがって、焼結体のバルク抵抗値は上記の数値範囲とする。
本発明の酸化物焼結体はスパッタリングターゲットとして使用することが可能であり上記のようなバルク抵抗値とすることで、DC(直流)スパッタリングによる安定で、高速な成膜が可能となる。このような成膜速度の向上は生産のスループットを改善することができるので、生産コストの削減に大きく寄与することができる。
本発明は、酸化物焼結体の相対密度95%以上を達成することができる。本発明の酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとして使用した場合、焼結体の高密度化は、スパッタ膜の均一性を高め、また、スパッタリングの際に、パーティクルの発生を著しく低減することができるという優れた効果を有する。さらに、本発明は、相対密度99%以上と極めて高密度化を実現することができる。
本発明の酸化物半導体膜は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を有し、さらにジルコニウム(Zr)を200wtppm〜1500wtppm含有することを特徴とする。本発明の酸化物半導体膜は、上述の酸化物焼結体からなるターゲットをスパッタリングすることで形成することができる。このようにして形成された薄膜は、酸素濃度の変動の影響を受け難く、キャリア濃度のばらつきを抑制することができる。
本発明によって得られる酸化物半導体膜は、Hall移動度10cm/Vs以上を達成することができる。一般にスパッタリング雰囲気中の酸素濃度を増加させていくと、酸素欠損が減じて、キャリア濃度が低下し、Hall移動度が低下する。本発明によれば、酸素濃度を増加させていっても、キャリア濃度やHall移動度の急激な低下を抑えることができ、さらには、Hall移動度10cm/Vs以上とすることができる。
IGZO系酸化物膜は、TFT(薄膜トランジスタ)の活性層として有用であり、特に本発明で作製した酸化物半導体薄膜は、スパッタリング雰囲気中の酸素濃度のばらつきの影響を受け難く、膜中のキャリア濃度の変動が小さいので、薄膜トランジスタの活性層に用いた場合、閾値電圧Vthなどの変動が小さく、トランジスタとして安定した電気特性が得られるという優れた効果を有する。
本発明の酸化物焼結体の製造工程の代表例を示すと、次のようになる。
原料として、酸化インジウム(In)、酸化ガリウム(Ga)、及び酸化亜鉛(ZnO)を用意する。また併せて、酸化ジルコニウム(ZrO)を用意する。不純物による電気特性への悪影響を避けるため、純度4N以上の原料を用いることが望ましい。各々の原料を所定の組成比となるように秤量する。なお、これらの原料には不可避的に含有される不純物が含まれる。
次に、各原料を混合する。本発明において重要なことは、ジルコニウムを所定の割合で添加、混合することである。原料は、不可避的不純物として、ジルコニウムを含有している場合があり、また、原料粉の混合、粉砕工程において、混合、微粉砕装置で使用されるZrO製部品からもZrが混入する場合があるので、酸化物焼結体中のジルコニウム含有量が200wtppm〜1500wtppmとなるように、ジルコニウムの添加量を適宜調整する。
混合が不十分であると、ターゲット中の各成分が偏析して、スパッタリング中にアーキング等の異常放電の原因となったり、パーティクル発生の原因となったりするため、混合は十分に行うことが好ましい。さらに、混合粉を微粉砕、造粒することにより、混合粉の成形性及び焼結性を向上させ、高密度の焼結体を得ることができる。混合、粉砕の手段としては、例えば、市販のミキサーやボールミル、ビーズミル等を使用することができ、造粒の手段としては、例えば市販のスプレードライヤーを用いることができる。
次に、混合粉末を金型に充填し、面圧400〜1000kgf・cmでプレスして、成型体を得る。この成型体をビニールで2重に真空パックし、1500〜4000kgf/cmでCIP(冷間等方圧加圧法)を施す。そして、所定の温度で焼結 (保持時間5〜24hr、酸素雰囲気中) を行ない、焼結体を得る。スパッタリングターゲットの作製に際しては、前記焼結体を研削、研磨等、機械加工してターゲット形状にすることができる。
本発明の酸化物半導体膜の作製に際しては、上記のようにして得られたスパッタリングターゲットを、所定の条件でスパッタリングを実施して成膜し、必要に応じて、この膜を所定の温度でアニールすることで、酸化物半導体膜を得ることができる。また、本発明の薄膜トランジスタの作製に際しては、前記酸化物半導体膜を図1に示すようなゲート電極として用いることで、薄膜トランジスタを得ることができる。
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
(実施例1)
In粉、Ga粉、ZnO粉からなる基本材料(母材)を、各金属元素の比率In:Ga:Znが1:1:1となるように混合した後、この母材にZrO粉を所定の割合で添加し、湿式で混合・微粉砕した後、スプレードライヤーで乾燥・造粒して、原料粉を得た。次に、この原料粉を酸素雰囲気中、温度1430℃で焼結した。得られた焼結体には、ジルコニウムが460wtppm含有していた。また、この焼結体の相対密度は、99.3%と高密度であり、バルク抵抗値は、36.8mΩ・cmと低抵抗のものが得られた。以上の結果を表1に示す。なお、ジルコニウムの分析には、ICP−MS(SIIナノテクノロジー社製SPQ−9100型)を用い、バルク抵抗は四探針法、相対密度はアルキメデス法により求めた。
次に、焼結体を機械加工してスパッタリングターゲットに仕上げ、このターゲットを使用してスパッタリングを行った。スパッタ条件は、DCスパッタ、スパッタパワー50W、酸素を2〜10vol%含有するArガス圧0.5Paとし、厚さ約400nmの膜を成膜した。次に、この膜を大気中350℃で1時間アニールし、Hall効果測定により、キャリア濃度とHall移動度を測定した。Hall効果の測定には、(株)東陽テクニカ製ResiTest8400を用いた。その結果を表1、図1及び図2に示す。図1及び図2に示す通り、スパッタリング雰囲気中の酸素濃度の変動に対し、後述の比較例1に比べてキャリア濃度、Hall移動度の変動は著しく小さくなった。
次に、同スパッタリングターゲットを用いて、熱酸化膜(100nm)が形成されたSi基板上に50nmの膜を成膜した。その他のスパッタ条件は上記と同様とした。その後、大気中350℃で1時間アニールした後、フォトリソグラフィーにより、ゲート幅50μm、ゲート長さ20μmのTFTを作製した(図3、参照)。なお、他の素子の形成方法に関しては、ここでは省略する。このTFTの伝達特性(Ids−Vgs特性)を測定し、電界効果移動度μFE、閾値電圧Vth、SS値を評価した。その結果を表2及び図4に示す。また、閾値電圧Vthの酸素濃度に対する変動を評価した。その結果を表2及び図7に示す。なお、閾値電圧の変動の指標として、ΔVth=(酸素濃度6%又は10%のときのVth)−(酸素濃度3%のときのVth)とした。その結果、ΔVthは後述の比較例1に比べて、1/2程度と変動(ばらつき)を小さくすることができた。
(実施例2)
In粉、Ga粉、ZnO粉からなる基本材料(母材)を、各金属元素の比率In:Ga:Znが1:1:1となるように混合した後、この母材にZrO粉を所定の割合で添加し、湿式で混合・微粉砕した後、スプレードライヤーで乾燥・造粒し原料粉を得た。次に、この原料粉を酸素雰囲気中、温度1430℃で焼結した。得られた焼結体には、ジルコニウムが1020wtppm含有していた。また、この焼結体の相対密度は、99.3%と高密度であり、バルク抵抗値は、20.9mΩ・cmと低抵抗のものが得られた。以上の結果を表1に示す。
次に、焼結体を機械加工してスパッタリングターゲットに仕上げ、このターゲットを使用してスパッタリングを行った。スパッタ条件は、実施例1と同条件とした。次に、この膜を大気中350℃で1時間アニールし、Hall効果測定により、キャリア濃度とHall移動度を測定した。その結果を表1、図1及び図2に示す。図1及び図2に示す通り、スパッタリング雰囲気中の酸素濃度の変動に対し、後述の比較例1に比べてキャリア濃度、Hall移動度の変動は著しく小さくなった。
次に、同スパッタリングターゲットを用いて、実施例1と同様の条件で、熱酸化膜(100nm)が形成されたSi基板上に50nmの膜を成膜した。その後、大気中350℃で1時間アニールした後、フォトリソグラフィーにより、ゲート幅50μm、ゲート長さ20μmのTFTを作製した。このTFTの伝達特性(Ids−Vgs特性)を測定し、電界効果移動度μFE、閾値電圧Vth、SS値を評価した。その結果を表2及び図4に示す。また、閾値電圧Vthの酸素濃度に対する変動を評価した結果、表2及び図7に示すとおり、ΔVthは後述の比較例1に比べて、1/2程度と変動(ばらつき)を小さくすることができた。
(比較例1)
In粉、Ga粉、ZnO粉からなる基本材料(母材)を、各金属元素の比率In:Ga:Znが1:1:1となるように混合した。この母材にジルコニウムは添加しなかった。次に、この混合粉末を湿式で混合・微粉砕した後、スプレードライヤーで乾燥・造粒し原料粉を得た。次に、この原料粉を酸素雰囲気中、温度1430℃で焼結した。得られた焼結体には、不可避的不純物としてジルコニウムが80wtppm含有していた。また、この焼結体の相対密度は、99.3%と高密度であったが、バルク抵抗値は、42.6mΩ・cmと比較的高かった。以上の結果を表1に示す。
次に、焼結体を機械加工してスパッタリングターゲットに仕上げ、このターゲットを使用してスパッタリングを行った。スパッタ条件は、実施例1と同条件とした。次に、この膜を大気中350℃で1時間アニールし、ホール効果測定により、キャリア濃度とホール移動度を測定した。その結果を表1、図1及び図2に示す。図1及び図2に示す通り、スパッタリング雰囲気中の酸素濃度が増加していくと、キャリア濃度、ホール移動度は急激に減少した。
次に、同スパッタリングターゲットを用いて、実施例1と同様の条件で、熱酸化膜(100nm)が形成されたSi基板上に膜厚50nm成膜した。その後、大気中350℃で1時間アニールした後、フォトリソグラフィーにより、ゲート幅50μm、ゲート長さ20μmのTFTを作製した。このTFTの伝達特性(Ids−Vgs特性)を測定し、電界効果移動度μFE、閾値電圧Vth、SS値を評価した。その結果を表2及び図4に示す。また、閾値電圧Vthの酸素濃度に対する変動を評価した結果、表2及び図7に示す通り、酸素濃度が10vol%のとき、△Vth=3.0と大きな値を示した。
(比較例2)
In粉、Ga粉、ZnO粉からなる基本材料(母材)を各金属元素の比率In:Ga:Znが1:1:1となるように混合し、この母材にジルコニウムを所定の割合で添加、混合した。次に、この混合粉末を湿式で混合・微粉砕した後、スプレードライヤーで乾燥・造粒し原料粉を得た。次に、この混合粉末を湿式で混合・微粉砕した後、スプレードライヤーで乾燥・造粒し原料粉を得た。次に、この原料粉を酸素雰囲気中、温度1430℃で焼結した。得られた焼結体には、ジルコニウムが1720wtppm含有していた。また、この焼結体の相対密度は、86.4%と低密度であり、バルク抵抗値は、5×10mΩ・cm超と極めて高かった。次に、焼結体を機械加工してスパッタリングターゲットに仕上げた。しかし、このターゲットは抵抗値が高く、DCスパッタができなかった。
本発明の酸化物焼結体は、スパッタリングターゲットとすることができ、このスパッタリングターゲットを使用して形成した膜は、スパッタリング雰囲気中の酸素濃度の影響を受け難いため、キャリア濃度の変動(ばらつき)を抑制することができる。したがって、この膜を用いた酸化物半導体膜及び薄膜トランジスタは、安定的な電気特性が得られるという優れた効果を有する。本発明の酸化物半導体膜は、特にフラットパネルディスプレイやフレキシブルパネルディスプレイなどのバックプレーンにおけるTFTの活性層として有用である。

Claims (5)

  1. インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を有する酸化物焼結体であって、ジルコニウム(Zr)を200wtppm〜1500wtppm含有し、バルク抵抗が1mΩcm以上、40mΩcm以下であることを特徴とする酸化物焼結体。
  2. 相対密度が95%以上であることを特徴とする請求項1記載の酸化物焼結体。
  3. インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び亜鉛(Zn)を有する酸化物半導体膜であって、ジルコニウム(Zr)を200wtppm〜1500wtppm含有することを特徴とする酸化物半導体膜。
  4. Hall移動度が10cm/Vs以上であることを特徴とする請求項3記載の酸化物半導体膜。
  5. 請求項3又は4記載の酸化物半導体膜を活性層として備える薄膜トランジスタ。
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