JP2010238770A - 酸化物薄膜及びその製造方法 - Google Patents

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正克 生澤
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幸三 長田
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Abstract

【課題】透明半導体として使用されるIGZO膜の電気的特性の耐熱性を向上させる。
【解決手段】主としてインジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)及び酸素(O)を構成元素として、インジウムとガリウムの合量に対するインジウムの原子数比[In]/([In]+[Ga])が20%〜80%、インジウムとガリウムと亜鉛の合量に対する亜鉛の原子数比[Zn]/([In]+[Ga]+[Zn])が15%〜40%である酸化物焼結体を1.1W/cm2〜6.6W/cm2のスパッタパワー密度、酸素濃度3%以下で、スパッタ成膜することで得られた酸化物薄膜を、200〜500℃で10分間以上アニールすることを特徴とする酸化物薄膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置や有機EL表示装置中の薄膜トランジスタの活性層等に使用される透明半導体薄膜として適切な酸化物薄膜及び該酸化物薄膜の製造方法に関する。
アクティブマトリックス型液晶表示装置等の表示素子には、各画素駆動用のシリコン系材料を活性層とする薄膜トランジスタが使用されているが、可視光吸収防止用光遮断層による開口率の減少、高温成膜が必要等の欠点から、近年、透明酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタの開発が行われている。
透明酸化物半導体は、低温成膜可能、高移動度等の観点から注目されており、中でも、インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素を構成元素とするIn−Ga−Zn−O系材料(以下、「IGZO」と記載する。)からなる非晶質IGZO膜の移動度は、アモルファスシリコンの移動度より高く、非晶質IGZO膜を活性層に用いた電界効果型トランジスタはオンオフ比が高い等の特性を有するため、有望視されている(特許文献1)。
非晶質IGZO膜は、パルスレーザーデポジション(PLD)法(非特許文献1)や量産性に優れているスパッタリング法(非特許文献2)によって作製されるが、どちらの方法であっても、作製された膜のキャリア濃度の成膜時酸素分圧依存性は極めて高い。
つまり、成膜時に酸素分圧が僅か数%変化しただけで、キャリア濃度は数桁のレベルで変化してしまい、一定キャリア濃度を再現性良く得ることが困難であり、キャリア濃度の制御性が悪いという問題がある。
また、IGZO膜は、後の素子作製工程で、加熱される工程があり、キャリア濃度等の電気的特性が大きく変化してしまうという、電気的特性の耐熱性が悪いという問題もある。
特開2006−173580号公報
Kenji Nomura et al."Amorphous Oxide Semiconductor for High-Performance Thin-Film Transistors", Japanese Journal of Applied Physics vol.45, No.5B, 2006, pp.4303-4308 Hisato Yabuta et al. "High-mobility thin-film transistor with amorphous InGaZnO4 channel fabricated by room temperature rf-magnetron sputtering", Applied Physics Letters 89, 112123 (2006)
本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、その目的は、透明半導体として使用されるIGZO膜の電気的特性の耐熱性を向上させることであり、当該特性に優れたIGZO膜及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、IGZO膜の成膜時に、酸素分圧等の成膜諸条件を適切な条件として成膜し、更に、得られたIGZO膜を適切条件でのアニールを行うことによって得られた酸化物膜は、その後に熱処理を加えても膜の電気的特性が殆ど変化しないことを見出し、本発明を完成させた。
理論によって本発明が限定されることを意図しないが、これは、アニールで余分な酸素欠損がなくなり、これによってキャリア濃度が減少したことが大きな要因であると考えられる。すなわち、構造上は成膜後もアニール後も非晶質であることは同じであるが、その無秩序性にはバラエティがある。成膜直後は無秩序性が高く、酸素欠損が幅広く分布していたが、アニールすることにより、酸素欠損と局所的酸素過剰が打ち消しあい、全体として酸素欠損量が減少したと考えられる。従って、その後に高温の酸素雰囲気下に置かれても、酸素欠損が減少する余地が少ないため、キャリア濃度の変化が少なく、安定した電気的特性が得られるようになったと考えられる。酸素欠損の減少は、酸素雰囲気でのアニールのみならず、窒素雰囲気等の他の任意の雰囲気ガス中又は真空中でのアニールにおいても得られる。すなわち、温度条件を適切に制御しさえすれば、アニールを適切に行うことができる。
かかる知見を基礎として完成した本発明は以下のように特定することができる。
1) 主としてインジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)及び酸素(O)を構成元素として、インジウムとガリウムの合量に対するインジウムの原子数比[In]/([In]+[Ga])が20%〜80%、インジウムとガリウムと亜鉛の合量に対する亜鉛の原子数比[Zn]/([In]+[Ga]+[Zn])が15%〜40%である酸化物薄膜であって、酸素雰囲気中、300℃、30分間での熱処理前後の膜抵抗率の変化率が±10%以下であることを特徴とする非晶質酸化物薄膜。
2) 膜抵抗率の変化率が±5%以下であることを特徴とする1)に記載の酸化物薄膜。
3) 熱処理前の膜抵抗率が1×10-1〜1×103Ωcmである1)又は2)に記載の酸化物薄膜。
4) 主としてインジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)及び酸素(O)を構成元素として、インジウムとガリウムの合量に対するインジウムの原子数比[In]/([In]+[Ga])が20%〜80%、インジウムとガリウムと亜鉛の合量に対する亜鉛の原子数比[Zn]/([In]+[Ga]+[Zn])が15%〜40%である酸化物焼結体を1.1W/cm2〜6.6W/cm2のスパッタパワー密度、酸素濃度3%以下で、スパッタ成膜することで得られた酸化物薄膜を、200〜500℃で10分間以上アニールすることを特徴とする1)〜3)何れか一項に記載の酸化物薄膜の製造方法。
5) アニール雰囲気が空気、酸素、窒素、アルゴン、これらの任意の比率の混合ガス、または、真空のいずれかであることを特徴とする4)に記載の製造方法。
6) アニール雰囲気が酸素であることを特徴とする5)に記載の製造方法。
7) 1)〜3)何れか一項に記載の酸化物薄膜を活性層として備えた薄膜トランジスタ。
8) 7)記載の薄膜トランジスタを備えたアクティブマトリックス駆動表示パネル。
以上の様に、本発明によれば、電気的特性の耐熱性に優れたIGZO膜及びその製造方法が提供されるので、該IGZO膜をアクティブマトリックス駆動の液晶表示素子や有機EL表示素子中の薄膜トランジスタの活性層として利用することで、特性の安定した薄膜トランジスタを作製することができる。
以下に本発明の内容等について詳細に説明する。
本発明に係る酸化物薄膜は、主としてインジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)及び酸素(O)を構成元素とし、インジウムとガリウムの合量に対するインジウムの原子数比[In]/([In]+[Ga])が20%〜80%である。ここで、[In]はインジウムの原子数、[Ga]はガリウムの原子数をそれぞれ表す。
「主として」という語句の意味するところは、酸化物焼結体の構成元素として、In、Ga、Zn及びO以外の元素であって、通常入手可能な原料の精製工程上、不可避的に含まれてくる元素や、酸化物焼結体製造プロセス上不可避的に混入する不純物元素を、不可避的に含まれる濃度程度、例えば10ppm程度まで含むものをも本発明に係る焼結体に包含する趣旨である。
Inの比率を上げると酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとしてスパッタ成膜して得られる膜のキャリア濃度は上昇する傾向にあり、一方、Gaの比率を上げると膜のキャリア濃度は下降する傾向にある。具体的には、Inの比率が80%を超えると、キャリア濃度が高過ぎてしまい、その膜を活性層とする薄膜トランジスタ特性の重要な指標であるon/off比が悪くなってしまう。一方、Inの比率が20%未満になると、キャリア濃度が低くなり過ぎてしまうと共に、膜の移動度も低下してしまうので、素子特性上好ましくない。[In]/([In]+[Ga])は好ましくは30%〜70%であり、より好ましくは40%〜60%である。
また、本発明に係る酸化物薄膜は、インジウムとガリウムと亜鉛の合量に対する亜鉛の原子数比[Zn]/([In]+[Ga]+[Zn])が15%〜40%である。ここで[Zn]は亜鉛の原子数を表す。
Zn比率が40%を超えると、膜の安定性、耐湿性等が劣化してしまう。一方、Zn比率が15%未満になると、膜の非晶質性が弱くなり、結晶化し易くなってしまう。結晶化膜は膜特性の面内ばらつきが大きく、素子特性のばらつきを大きくしてしまう。更に、Zn比率の減少とは、InとGaの比率の増加であり、これら2種類の金属は比較的高価であるため、酸化物焼結体のコストアップとなってしまう。[Zn]/([In]+[Ga]+[Zn])は好ましくは18%〜35%である。
組成条件をこの様に規定したことで、その組成を有する酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとして、スパッタ成膜して得られる膜の抵抗率が、透明半導体として使用されるのに適した範囲となることができる。
膜の組成はICP(高周波誘導結合プラズマ)分析法等で評価することができ、本発明ではSIIナノテクノロジ−社製型式SPS3000を用いて組成分析を行った。
一般にInは3価、Gaは3価、Znは2価で存在するので、上記酸化物薄膜においては、酸素欠損を考慮しなければ、一実施形態において、次式:InxGayZnza(式中、0.2≦x/(x+y)≦0.8、0.15≦z/(x+y+z)≦0.4、及びa=(3/2)x+(3/2)y+z)で表すことができる。例えば、In:Ga:Zn=1:1:1の場合は、InGaZnO4、In:Ga:Zn=2:2:1の場合は、InGaZnO7と表すことができる。
熱処理前後の膜抵抗率の変化率とは、熱処理後の膜抵抗率を熱処理前の抵抗率で除することで求められるものであり、例えば熱処理前後で抵抗率が2倍となれば、該変化率は200%である。膜の抵抗率はvan der pauw法によるホール測定によって求めることができる。具体的には、膜の付いたガラス等の基板を約10mm角に切り出し、四隅にインジウム等の電極をつけて、ホール測定装置にセットすることで、膜の抵抗率に加えて、キャリア濃度、移動度も求めることができる。本測定ではホール測定装置(東陽テクニカ社製、型式Resitest8200)を用いた。また測定時に必要となる膜厚測定は、Veeco社製、型式Dektak8 STYLUS PROFILERの段差計を用いた。
本発明に係る酸化物薄膜は、所望の組成を有するIGZO酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとして、適切な条件でスパッタ成膜して、その後に、適切な条件でアニールをすることで得ることができる。
(酸化物焼結体の製造方法)
原料である酸化インジウム、酸化ガリウム、及び酸化亜鉛を所望の組成比となるように秤量、混合する。その後、仮焼しても良い。不純物による電気特性への悪影響を避けるために、純度4N以上の原料を用いることが望ましい。次に、微粉砕、造粒、プレス成形、静水圧加圧、焼結をして、酸化物焼結体を得る。所定のターゲット形状に加工して、スパッタリングターゲットとして使用できる。
(酸化物薄膜の製造方法)
上記記載の製造方法によって製造したスパッタリングターゲットとガラス基板等をスパッタ装置内にセットして、ローターリーポンプ及びクライオポンプによって、スパッタチャンバー内を、真空度が約5×10-4Pa以下となるまで真空排気する。この真空度が充分でないと、チャンバー内に酸素や水分が残留して、スパッタ成膜時に膜に取り込まれて、膜の電気的特性に悪影響を及ぼす。
スパッタガスとして、アルゴン及び酸素の混合ガスを使用することができる。混合ガス中の酸素濃度を調整する方法としては、例えば、アルゴン100%のガスボンベと、アルゴン中の酸素が2%のガスボンベを用いて、それぞれのガスボンベからチャンバーへの供給流量をマスフローで適宜設定することで行うことができる。ここで、混合ガス中の酸素濃度とは、酸素分圧/(酸素分圧+アルゴン分圧)を意味するものであり、酸素の流量を酸素とアルゴンの流量の合計で除したものとも等しい。酸素濃度は所望のキャリア濃度に応じて適宜変更すればよいが、典型的には3%以下とすることができ、より典型的には0.5〜3%、例えば1〜2%とすることができる。
スパッタガスの全圧は0.3〜1.0Pa程度とする。全圧がこれより低いと、プラズマ放電が立ち難くなり、立ったとしてもプラズマが不安定となってしまう。また、全圧がこれより高いと、成膜速度が遅くなり、生産性に悪影響を及ぼす等の不都合が生じる。
プラズマ発生方式としては、高周波(RF)スパッタリング法及び直流(DC)スパッタリング法の両方の方式があり、両方式とも利用できるが、後者の方が高成膜速度であり、生産性に優れている。また、DCスパッタリングの方が、膜のキャリア濃度の制御性が格段に向上する。すなわち、高周波(RF)スパッタの場合は成膜時の雰囲気中の僅かな酸素濃度の変化によって、キャリア濃度が大きく変化してしまうが、直流スパッタでは酸素濃度の変化によって緩やかにキャリア濃度が変化するため、厳密な酸素濃度の制御が不要となる。ここでの直流スパッタリング法の中には、スパッタリングターゲットに印加する電圧を周期的に停止させて、低い正電圧を印加して、電気的中和を行う直流パルシング法をも含む。
ターゲットと基板との間隔は70〜120mmとする。この間隔が短過ぎると、基板に到達するターゲット構成元素の粒子の運動エネルギーが大きくなりすぎて、基板へのダメージが大きくなり、良好な膜特性が得られないと共に、膜厚や膜の電気的特性の面内分布が悪化する。一方、間隔が長過ぎると、基板に到達するターゲット構成元素の粒子の運動エネルギーが小さくなりすぎて、緻密な膜が形成されず、膜特性が良くならない。
スパッタパワーは、ターゲットサイズが6インチの場合、200〜1200W程度で成膜する。スパッタパワーが小さすぎると、成膜速度が小さく、生産性に劣るし、逆に、大き過ぎると、ターゲットの割れ等の問題が生ずる。200〜1200Wは、スパッタパワー密度に換算すると、1.1W/cm2〜6.6W/cm2であり、3.2〜4.5W/cm2とすることが望ましい。ここで、スパッタパワー密度とは、スパッタパワーをスパッタリングターゲットの面積で除したものであり、同じスパッタパワーでもスパッタリングターゲットザイズによって、スパッタリングターゲットが実際に受けるパワーが異なり、成膜速度が異なることから、スパッタリングターゲットに印加するパワーを統一的に表現するための指標である。
基板を加熱することなく成膜すると、スパッタ成膜して得られる膜は非晶質のIGZO膜となる。膜の結晶性の判定は、X線回折装置で行うことができ、本発明ではリガク社製RINT−1100X線回折装置を用いて結晶性を判定した。非晶質IGZO膜は表面が平坦であり、多結晶化した膜のように粒界がなく、膜面内の均一性が良いので、膜を活性層として素子を作製した場合に、素子特性のばらつきを非常に小さく抑えることができるという利点がある。
(酸化物薄膜のアニール方法)
本発明に係る酸化物薄膜を得るためには、以上のようして得られた非晶質酸化物膜をアニールすることが重要である。酸化物薄膜のキャリア濃度は膜中の酸素欠損によって支配されており、所定温度でのアニールによって、膜中の酸素欠損を減少させることができる。
その結果、アニール後に高温の酸素雰囲気下に置かれても、酸素欠損が減少する余地が少ないため、キャリア濃度の変化も少なくなり、電気的特性の耐熱性が高い非晶質酸化物膜となる。具体的には、酸素雰囲気中、300℃、30分間での熱処理前後の膜抵抗率の変化率が±10%以下であり、好ましくは±5%以下である。
具体的なアニールの方法を説明する。スパッタ成膜で得られた膜付きガラス基板等を所定の温度に設定可能な炉に入れ、まず、炉内の大気をロータリーポンプ等で排気した後に、所定の種類と濃度を有するガスを導入し、所定の温度に達するまで昇温後、一定時間保持した後に、降温することで酸化物薄膜をアニールすることができる。炉内に導入するガスは、特に制限はないが、雰囲気ガスと酸化物膜の反応を防止するため、空気、酸素、窒素、アルゴン、これらの任意の比率の混合ガス、または、真空とするのが好ましい。真空とは大気よりも圧力の低い空間のことである。
また、アニール温度はアニールの効果を充分に発現させるが膜が結晶化してしまわないようにとの理由から200〜500℃が好ましく、250℃〜350℃がより好ましい。アニールの保持時間は、10分間以上とし、10〜60分程度が好ましく、あまりに長時間であっても効果が飽和することから10〜20分がより好ましい。
成膜時のスパッタパワーは、アニール後の膜抵抗率に影響を与えるが、膜抵抗率のスパッタパワーへの依存性は酸素雰囲気中でのアニールの方が窒素雰囲気中でのアニールと比較して少なく、安定した膜抵抗率を得られやすい。そのため、アニール雰囲気は酸素雰囲気とするのが好ましい。
本発明に係る製造方法を使用して得られた酸化物薄膜は、典型的にはアニール後の膜抵抗率が1×10-1〜1×103Ωcm、好ましくは1×10-1〜5×102Ωcmとなることができ、薄膜トランジスタの活性層として好適に使用することができる。また、上記製造方法を使用して得られた薄膜トランジスタをアクティブ素子として使用し、アクティブマトリックス駆動表示パネルに利用することができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。
実施例1
酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛の各原料粉末を各金属元素の組成比がIn:Ga:Zn=1:1:1となるように秤量後、スーパーミキサーで、大気中、回転数3000rpm、回転時間4分混合した。この混合粉を電気炉にて、大気雰囲気中で、1000℃で、5時間程度保持することで仮焼した。仮焼粉をアトライターにジルコニアビーズと共に投入し、回転数300rpm、回転時間3時間微粉砕を行った。微粉砕後の原料紛の平均粒径(D50)は0.59μmとなった。
微粉砕した原料粉を固形分50%のスラリーとなるように水分量を調整し、入口温度を200℃、出口温度を120℃に設定し、造粒を行った。造粒粉を400kgf/cm2の面圧、1分保持の条件でプレス成形した後、静水圧加圧装置(CIP)で1800kgf/cm2の面圧で、1分保持の条件で成形した。
次に、電気炉にて酸素雰囲気中、昇温速度1.0℃/minで800℃まで昇温後、5時間保持、その後、昇温速度1.0℃/minで1450℃まで昇温後、20時間保持、その後、炉冷で降温した。
得られた焼結体を直径6インチ、厚さ6mmに加工して、スパッタリングターゲットとして使用した。
スパッタリングターゲットと直径4インチ、厚さ0.7mmのコーニング#1737ガラス基板をスパッタ装置内にセットして、ロータリーポンプ及びクライオポンプによって、スパッタチャンバー内を、真空度が約5×10-4Pa以下となるまで真空排気した後、スパッタガスとして、酸素濃度が1.0%となるように、純アルゴンガス及び酸素濃度2.0%含有アルゴンガスの流量を各々のガス流量を制御するマスフローコントローラーを調整してチャンバーへ導入した。チャンバー内のスパッタガスの全圧は0.5Paとした。直流(DC)スパッタリング法でスパッタパワー500W、ターゲットと基板との間隔は80mmとした。基板は加熱しなかった。成膜時間は197秒で、膜厚は1043Åであった。膜のホール測定をした結果、抵抗率は6.37×10-2Ωcmであった。膜の組成はInGaZnO4であり、非晶質であった。その後、100%の酸素雰囲気中で300℃、30分のアニールを行った後に膜の抵抗率を測定したところ、1.36×101Ωcmであった。依然として膜は非晶質であった。その後、100%の酸素雰囲気中で300℃、30分の熱処理を行った後に膜の抵抗率を測定したところ、1.41×101Ωcmであった。熱処理前後の膜抵抗率の変化率は、−3.7%であった。この結果を表1に記す。
実施例2〜10
実施例1の膜作製条件の一部であるスパッタパワーと酸素濃度を変化させて得られた結果を表1に示す。表中、「窒素アニール」というのは、100%の窒素雰囲気でアニールを行ったことを意味する。
比較例1〜5
実施例1の膜作製条件の一部であるアニール条件について、アニールを行っていない場合の膜抵抗率とその膜の熱処理後の膜抵抗率等を表1に示す。
実施例11〜22
組成をIn:Ga:Zn=2:2:1とした他は、上記実施例1〜10の様に、スパッタパワーと酸素濃度を変化させて膜電気特性を評価した結果を表1に示す。
比較例6〜11
実施例11の膜作製条件の一部であるアニール条件について、アニールを行っていない場合の膜電気特性を評価した結果を表1に示す。
実施例23〜30
組成をIn:Ga:Zn=7:3:5とした他は、上記実施例1〜10の様に、スパッタパワーと酸素濃度を変化させて膜電気特性を評価した結果を表1に示す。
比較例12〜15
実施例23の膜作製条件の一部であるアニール条件について、アニールを行っていない場合の膜電気特性を評価した結果を表1に示す。
実施例31〜34
組成をIn:Ga:Zn=3:7:5とした他は、上記実施例1〜10の様に、スパッタパワーと酸素濃度を変化させて膜電気特性を評価した結果を表1に示す。
比較例16〜17
実施例31の膜作製条件の一部であるアニール条件について、アニールを行っていない場合の膜電気特性を評価した結果を表1に示す。
Figure 2010238770
比較例18〜24、実施例35〜39
成膜条件を表2に記載の条件とした他は、実施例1と同様の条件で製造した。結果を表2に示す。
Figure 2010238770

Claims (8)

  1. 主としてインジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)及び酸素(O)を構成元素として、インジウムとガリウムの合量に対するインジウムの原子数比[In]/([In]+[Ga])が20%〜80%、インジウムとガリウムと亜鉛の合量に対する亜鉛の原子数比[Zn]/([In]+[Ga]+[Zn])が15%〜40%である酸化物薄膜であって、酸素雰囲気中、300℃、30分間での熱処理前後の膜抵抗率の変化率が±10%以下であることを特徴とする酸化物薄膜。
  2. 膜抵抗率の変化率が±5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物薄膜。
  3. 熱処理前の膜抵抗率が1×10-1〜1×103Ωcmである請求項1又は2に記載の酸化物薄膜。
  4. 主としてインジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)及び酸素(O)を構成元素として、インジウムとガリウムの合量に対するインジウムの原子数比[In]/([In]+[Ga])が20%〜80%、インジウムとガリウムと亜鉛の合量に対する亜鉛の原子数比[Zn]/([In]+[Ga]+[Zn])が15%〜40%である酸化物焼結体を1.1W/cm2〜6.6W/cm2のスパッタパワー密度、酸素濃度3%以下で、スパッタ成膜することで得られた酸化物薄膜を、200〜500℃で10分間以上アニールすることを含む請求項1〜3何れか一項に記載の酸化物薄膜の製造方法。
  5. アニール雰囲気が空気、酸素、窒素、アルゴン、これらの任意の比率の混合ガス、または、真空のいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
  6. アニール雰囲気が酸素であることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜3何れか一項に記載の酸化物薄膜を活性層として備えた薄膜トランジスタ。
  8. 請求項7記載の薄膜トランジスタを備えたアクティブマトリックス駆動表示パネル。
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