JP2015138117A - 光学物品用プライマー組成物及び、該組成物の製造方法 - Google Patents

光学物品用プライマー組成物及び、該組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学基材、例えば、眼鏡用プラスチックレンズにおいて、の耐衝撃性を向上させると共に、塗膜(プライマーコート膜)が、白濁などの外観不良を生じることがなく、光学基材との密着性に優れ、さらには、それ自体の保存安定性に優れる光学物品用プライマー組成物を提供する。【解決手段】(A)ポリカーボネート由来の骨格を有し、平均粒子径が50nm以上140nm以下であって、粒子径が1μm以上である粒子の割合が3体積%以下であるウレタン樹脂粒子が水に分散したウレタン樹脂の水分散体、及び(B)水溶性有機溶媒を含むことを特徴とする光学物品用プライマー組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート由来の骨格を有するウレタン樹脂を含む新規な光学物品用プライマー組成物、及び、該組成物の製造方法に関する。
光学基材、特に、プラスチックレンズの表面は、プラスチックレンズを形成する合成樹脂(プラスチックレンズ素材)の耐擦傷性が低いため、そのままでは傷つきやすく、通常は、レンズ表面にハードコート層が形成されている。さらに、プラスチックレンズ表面からの反射光を抑制するために、前記ハードコート層上には、無機酸化物を蒸着した反射防止コート層が積層されている。一般に、ハードコート層を積層した場合、プラスチックレンズの耐擦傷性は改善されるものの、耐衝撃性は低下することが知られている。さらに、ハードコート層上に反射防止コート層を積層した場合には、プラスチックレンズの耐衝撃性はより一層低下し、より割れやすくなることも知られている。そのため、プラスチックレンズの耐衝撃性を向上させる目的で、プラスチックレンズとハードコート層との間にプライマーコート層を介在させることがこれまで検討されてきた。
プラスチックレンズ用の上記プライマー組成物としては、ウレタン樹脂を用いたものが一般的に知られている。具体的には、(i)ウレタン樹脂のみのもの(特許文献1及び2参照)、(ii)ウレタン樹脂に無機酸化物微粒子を混合したもの(特許文献3参照)、(iii)ウレタン樹脂に無機酸化物微粒子及び有機ケイ素化合物が混合されたもの(特許文献4参照)などが知られている。
特許第2956887号 特許第3269630号 国際公開WO02/002676号パンフレット 特許第2896546号
これらのプライマー組成物は、特定のプラスチックレンズに対しては、密着性が良好で、且つ耐衝撃性を向上させることができるが、プラスチックレンズ素材の種類によっては、十分な密着性を提供できないとの問題点があった。また、これらプライマー組成物は、形成されるプライマーコート層が白濁する場合があり、かかる点でなお改善の余地があった。
例えば、特許文献1に記載されているプライマー組成物を使用した場合には、プラスチックレンズ素材の種類によってはプライマーコート層が白濁する、或いは密着性が十分ではない場合があり、かかる点で改善の余地があった。また、高温でプライマーコート層を硬化させる必要があり、耐熱性の低いプラスチックレンズ(光学基材)では、熱変形や、着色などが問題となる場合があった。さらに、プライマー組成物中にトルエンなどの有機溶媒を使用しているため、プラスチックレンズの溶解や、作業環境中の臭気等においても改善の余地があった。
また、特許文献2、3、及び特許文献4に記載されているプライマー組成物は、水を主な分散媒とするものであるが、これらプライマー組成物についてもプラスチックレンズ素材の種類によってはプライマーコート層が白濁する、或いは密着性が十分ではない場合があり、かかる点で改善の余地があった。
さらに、特許文献2に記載されているプライマー組成物を用いて高硬度のハードコート層を積層した際には、耐衝撃性が十分に向上しない場合がある点でも改善の余地があった。
従って本発明の目的は、光学基材(特に、プラスチックレンズ)の耐衝撃性を向上させると共に、塗膜(プライマーコート膜)が、白濁などの外観不良を生じることがなく、光学基材との密着性に優れ、さらには、それ自体の保存安定性に優れる光学物品用プライマー組成物を提供することにある。
特に、光学基材上に、該プライマー組成物により得られるプライマーコート層を形成し、次いで、該プライマーコート層上に、無機酸化物微粒子、及び有機ケイ素化合物の加水分解により形成されるハードコート層を積層した場合に、白濁などの外観不良を生じることなく、優れた耐殺傷性、耐衝撃性を発揮する光学物品用プライマー組成物を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。最初にウレタン樹脂の水分散体を用いたプライマー組成物における白濁の原因を調査した結果、粒子径が比較的大きいウレタン樹脂粒子が白濁の原因であることを確認した。また、かかる粒子径が比較的大きいウレタン樹脂粒子は、プライマーコート層を塗布する前のプライマー組成物のろ過では除去できないこと、そして、該粒子径の大きいウレタン樹脂がプライマー組成物の保存安定性にも影響を及ぼすことが判明した。以上の知見を基にさらに検討を行った結果、平均粒子径が特定の範囲で、且つ粒子径の大きいウレタン樹脂粒子が少ないウレタン樹脂と、特定の溶媒を用いてプライマー組成物を調製することにより、プライマーコート層を形成した際の白濁が少なく、且つ保存安定性に優れたプライマー組成物が得られることを見出し本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の第一の発明は、
(A)ポリカーボネート由来の骨格を有し、平均粒子径が50nm以上140nm以下であって、粒子径が1μm以上である粒子の割合が3体積%以下であるウレタン樹脂粒子が水に分散したウレタン樹脂の水分散体、及び、
(B)水溶性有機溶媒
を含むことを特徴とする光学物品用プライマー組成物である。
また、本発明の第二の発明は、ポリカーボネート由来の骨格を有し、平均粒子径が50nm以上140nm以下であって、粒子径が1μm以上である粒子の割合が3体積%を超えるウレタン樹脂粒子が水に分散したウレタン樹脂の水分散体を循環ろ過することにより、粒子径が1μm以上である粒子の割合を3体積%以下にしたウレタン樹脂の水分散体を準備した後、粒子径が1μm以上である粒子の割合が3体積%以下である前記ウレタン樹脂の水分散体と水溶性有機溶媒とを混合することを特徴とする上記光学物品用プライマー組成物の製造方法である。
本発明の光学物品用プライマー組成物は、光学基材(特に、プラスチックレンズ)とハードコート層との密着性を高めることができ、ハードコート層付き光学基材(光学物品)の耐衝撃性を向上させることができる。ハードコート層の上に、さらに反射防止コート層を積層する場合にも、得られるプラスチックンズは、充分な耐衝撃性を有しており、割れに対する抵抗性を示し、充分に実用に供され得るものである。加えて、プライマーコート層の白濁が少なく、外観が良好なプライマーコート層を形成できる。また、本発明の光学物品用プライマー組成物は優れた保存安定性を有する。
図1は、プライマーコート層、及びハードコート層を有する光学物品の概念図である。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の光学物品用プライマー組成物は、
(A)ポリカーボネート由来の骨格を有し、平均粒子径が50nm以上140nm以下であって、粒子径が1μm以上である粒子の割合が3体積%以下であるウレタン樹脂粒子が水に分散したウレタン樹脂の水分散体及び、
(B)水溶性有機溶媒
を含むことを特徴とする光学物品用プライマー組成物である。
なお、「光学物品用プライマー組成物」とは、プラスチックレンズのような光学基材上に塗布されるものであり、得られる光学物品の耐衝撃性を改善するものである。また、該光学物品用プライマー組成物により形成されるプライマーコート層は、光学基材と、下記に詳述するハードコート層との間に積層させることで、両者の密着性を高めることができる。そして、特に、ハードコート層付プラスチックレンズ(積層体)の耐衝撃性を改善することができる。以下、本発明の該光学物品用プライマー組成物を構成する各成分について説明する。
(A)ポリカーボネート由来の骨格を有するウレタン樹脂の水分散体
本発明の光学物品用プライマー組成物は、(A)ポリカーボネート由来の骨格を有し、平均粒径が50nm〜140nmであり、1μm以上の粒子が3体積%以下であるウレタン樹脂(以下、単に「ウレタン樹脂」ともいう)の水分散体を含むものである。本発明の光学物品用プライマー組成物は、上記平均粒子径の範囲で、かつ1μm以上の粗粒の含有率が少ないウレタン樹脂の水分散体を用いることで、白濁が少なく保存安定性に優れるものである。平均粒径が140μmを超える場合、光学基材に対する濡れ性の改善を目的として低級アルコールを添加する際に、プライマー組成物自体の保存安定性が低下する傾向にある。これは、ウレタン樹脂が低級アルコールに対して豊潤しやすいため、低級アルコールの添加によって粘度が増加して、プライマー組成物が不安定になるためと考えられる。一方、平均粒径が50nm以下では、ウレタン樹脂水分散体自体の製造が難しくなる。 また、1μm以上である粒子の割合が3体積%以上の場合にも、プライマーコート膜に白濁が生じてしまう。耐衝撃性、密着性、コート膜の白濁の観点から、平均粒子径は特に60nm〜90nmであることが好ましい。また、同様に1μm以上である粒子の割合は、2.0体積%以下であることが好ましい。水分散体におけるウレタン樹脂の平均粒径が前記範囲を満足することにより、下記に詳述する有機溶媒と組み合わせた際、平滑性がよく、均一な塗膜(プライマーコート層)を形成でき、外観に優れる光学物品が得られる。
さらに耐衝撃性、密着性、コート膜の白濁の観点から、ウレタン樹脂粒子が、粒子径が50nm以上200nm以下である粒子の割合が95体積%以上であることが、特に好ましい。
なお、本発明における上記ウレタン樹脂の平均粒径は、ベックマンコールター株式会社製レーザー回折散乱粒度分布測定装置LS230にて、波長750nmのレーザーを用いた光回折により、測定した体積平均値である。また、上記測定法にて1μm以上の粒子の体積分率も測定できる。
本発明のプライマー組成物における上記ウレタン樹脂は、伸び率が200%以上、1000%以下であることが好ましい。伸び率が前記範囲を満足することにより、形成されるプライマーコート層が適度な柔軟性を有するためと考えられるが、得られる光学物品の性能を向上することができ、特に、耐衝撃性を改善できる。また、伸び率が、前記範囲を満足することにより、プライマーコート層が柔らかくなりすぎないため、特に、プライマーコート層上に、無機酸化物微粒子及び有機ケイ素化合物を含むハードコート組成物を硬化させてハードコート層を形成する場合、ハードコート層の耐擦傷性を向上することができる。得られる光学物品、積層体、等の性能を考慮すると、ウレタン樹脂の伸び率は、250%以上、900%以下であることがより好ましい。
なお、上記ウレタン樹脂の伸び率は、以下の方法により測定した値である。まず、ウレタン樹脂を含む水分散体を、乾燥後のウレタン樹脂の膜厚が約500μmになるような量でシャーレ等の容器に取り分け、室温で24時間乾燥後、80℃で6時間、さらに20分乾燥させ、ウレタン樹脂のフィルムを作製する。次いで、このウレタン樹脂のフィルムを幅15mm、長さ200mmの大きさに切断した後、中央部に50mm間隔で標点を記したサンプルを作製する。このサンプルを引っ張り試験機に取り付け、試験機のつかみの間隔を100mmとし、200mm/minの速さでサンプルが破断するまで引っ張ることで伸び率を測定する。この時の測定温度は23℃である。伸び率の計算方法は、下記のとおりである。
伸び率(%)=((破断時の標点間距離−試験前の標点間距離)/(試験前の標点間距離))×100
また、本発明のプライマー組成物に用いるウレタン樹脂は、上記方法で測定される伸び率が200%以上1000%以下であると同時に、100%モジュラスが1.5〜18N/mmであることが好ましい。この100%モジュラスは、上記伸び率と同時に測定されるものであり、上記ウレタン樹脂のフィルムのサンプルが試験前の長さ(試験前の標点間距離)の2倍(伸び率100%)になった時の応力を指す。ウレタン樹脂の100%モジュラスが上記範囲を満足することにより、得られる光学物品、積層体の性能をより向上させることができる。
本発明において、プライマー組成物に用いるウレタン樹脂のガラス転移点(Tg)は特に制限されるものではないが0℃未満であることが好ましく、−5℃以下であることがより好ましく、−10℃以下であることがさらに好ましい、Tgが0℃未満であるウレタン樹脂を使用することにより、光学物品、積層体等の耐衝撃性、密着性をより改善することができる。また、ウレタン樹脂のTgの下限も特に制限されるものではないが、ウレタン樹脂の生産性、得られる光学物品、積層体等の性能を考慮すると、−100℃以上であることが好ましく、−70℃以上であることがより好ましく、−50℃以上であることがさらに好ましい。
なお、上記ウレタン樹脂のTgは、以下の方法により測定した値である。測定サンプルは、伸び率を測定したウレタン樹脂のフィルムと同様のサンプルを使用し、SII社製動的粘弾性測定装置(DMS5600)を用いてTgを測定する。測定条件は、変形モード;引っ張り、昇温速度;5℃/min、測定周波数;10Hz、測定温度範囲;−100℃〜200℃の条件である。
上記本発明におけるポリカーボネート由来の骨格を有するウレタン樹脂は、ポリカーボネート由来の骨格を有するため、ポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとの反応物からなる。一般的に、ウレタン樹脂を構成するポリオールとしては、ポリアルキレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル、エステルポリオールなどが用いられているが、各種光学基材への密着性及び耐衝撃性を向上させる効果を考慮すると、ポリカーボネートポリオールを使用することが重要である。つまり、本発明においては、ポリカーボネート由来の骨格を有するウレタン樹脂を使用することにより、優れた効果を発揮できる。
上記ウレタン樹脂の原料であるポリカーボネートポリオールとしては、公知のものを何ら制限なく使用することができるが、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)などのポリ(アルキレンカーボネート)類が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニール)チオホスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート化合物;1,3,3−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−、2,4’−又は2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート又はそれらの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネートー4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂肪族イソシアネート化合物を挙げることができる。
本発明で使用するウレタン樹脂は、前記ポリカーボネートポリオールと前記ポリイソシアネートとから構成されるが、その他、硫黄もしくはハロゲン基を一種または、二種以上含むポリイソシアネート、及びビュウレット、イソシアヌレート、アロファネート、カルボジイミソドなどの変性体が含まれるものであってもよい。
また、本発明において使用するウレタン樹脂は架橋構造を含むものが好ましい。分子鎖中に架橋構造を含むウレタン樹脂を用いることにより、プライマーコート層上、ハードコート層を形成するためのコーティング組成物を塗布した際に、プライマーコート層の該コーティング組成物に対する耐溶出性を高めることができ、積層体の製造時間を短縮できる。また、得られた積層体は、外観が優れ、耐衝撃性の良好なものとなる。
本発明において、ウレタン樹脂の水分散体におけるウレタン樹脂の濃度(すなわち、ウレタン樹脂固形分の濃度)は、使用する目的等に応じて適宜決定すればよい。ウレタン樹脂の水分散体の操作性や、光学物品用プライマー組成物を効率よく製造する観点から、3質量%以上60質量%以下であることが好ましい。また、本発明で使用するウレタン樹脂の水分散体は、水の他に、ウレタン樹脂の保存安定性や製膜性を向上させる目的で、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下の割合で高沸点溶剤、例えば、N−メチルピロリドンなどが添加されていてもよい。
上記のような要件を満足するウレタン樹脂の水分散体は、市販のものを使用することができる。具体的には、第一工業製薬株式会社製 製品名「スーパーフレックスシリーズ」、日華化学株式会社製 製品名「ネオステッカー」、「エバファノール」シリーズ、DIC株式会社製 製品名「ハイドランシリーズ」などが例示される。
ポリカーボネート由来の骨格を有するウレタン樹脂の製造方法
上記ウレタン樹脂は、平均粒子径、及び1μm以上である粒子の含有量を充足していれば、そのまま使用することもできるが、下記に記述する条件により濾過を行うことで、本発明における特定の平均粒径径と1μm以上の粒子の含有量を充足するウレタン樹脂を得ることができる。
本発明のウレタン樹脂を濾過する方法としては、1μm以上のウレタン樹脂粒子を濾別できる方法であればよく、公知の濾過方法を採用することができる。濾過方法として具体的には、自然濾過や加圧(吸引)濾過や循環濾過等が挙げられる。なお、1回の濾過で上記要件を充足しない場合には、濾過を繰り返し行えばよく、上記の濾過方法の中でも特に精密な濾過が可能で、簡便に繰り返しの濾過が可能で、効率良く1μm以上のウレタン樹脂粒子の濾別できる点で1μm以上の循環濾過が好ましい。
循環濾過とは、濾液を繰り返し濾過する方法である。循環濾過におけるフィルターの材質はPTFEやPP、セルロース、ガラス、シリカ等が挙げられるが、特にガラスであることが好ましい。フィルターの形状はメンブレン型やカートリッジ型があるが、カートリッジ型が望ましい。また、フィルターの大きさは、濾過に用いる装置の大きさに応じて適宜決定すれば良いが、濾過するウレタン樹脂の水分散体の量が2〜10Lである場合、濾過面積200〜300cmのフィルターを用いれば十分である。また、フィルターの孔径は効率良く1μm以上のウレタン樹脂粒子を濾別できるという観点から0.1〜1.0μm好ましく、特に0.4〜0.6μmが好ましい。本発明において上記フィルターとして具体的には、東洋濾紙株式会社製 ガラス濾紙カプセルカートリッジフィルターなどが例示される。循環濾過における濾過流量、及び濾過時間については、1μm以上のウレタン樹脂粒子を濾別できる条件で適宜設定すれば良い。具体的には、上記のフィルターを用いて、2〜10Lのウレタン樹脂の水分散体を循環濾過する場合、濾過流量を50〜100L/min、好ましくは70〜80L/minの範囲で設定し、ろ過時間を3〜10時間好ましくは5〜6時間の範囲で設定すれば良い。また、濾過温度は20〜30℃、特に24〜26℃の範囲内とすることが好ましい。
(B)水溶性有機溶媒
本発明の光学物品用プライマー組成物は、(B)水溶性有機溶媒を使用する。水溶性有機溶媒とは、25℃において、水に対する溶解度が10質量%以上、好ましくは50質量%以上となる有機溶媒を指す。上記水溶性有機溶媒を用いることで、プライマー組成物のプラスチックレンズ等の光学基材への濡れ性を向上させ、ハジキを抑制する効果が発揮される。また、前記ウレタン樹脂の水分散体と水溶性有機溶媒を組み合わせることで、光学基材に塗布した際に、平滑性がよく、均一な塗膜(プライマーコート層)を形成でき、外観に優れる光学物品を得ることができる。
上記水溶性有機溶媒を具体的に例示すれば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジオール、トリメチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、ヘキシレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキシレングリコール、ペンタエリスリトール、1,5-ペンタンジオールグリセリン、グリセリンモノアセタート等の分子内に2個以上の水酸基を有する炭素数2〜7の有機溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテルジオキサン等のエーテル類;アセトン、ジアセトンアルコール、アセチルアセトンなどのケトン類などが挙げられる。この中でも、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル等の分子内にエーテル結合又はカルボニル結合を有し、且つ分子内に1つの水酸基を有する水溶性有機溶媒、特にプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル等の沸点が110〜250℃である水溶性有機溶媒が、プライマー組成物のプラスチックレンズ等の光学基材への濡れ性を向上させ、ハジキを抑制する効果が高い点で好ましい。これらは単独で使用することもできるし、2種類以上の混合物を使用することもできる。
また、本発明のプライマー組成物において、前記ウレタン樹脂の水分散体と水溶性有機溶媒の配合割合は、使用するウレタン樹脂の種類や、プライマー組成物の操作性等を勘案して適宜決定すれば良い。光学基材への濡れ性、ハジキを抑制するという観点からウレタン樹脂の水分散体中の固形分100質量部に対して、水溶性有機溶媒を30〜700質量部用いることが好ましく、さらに50〜650質量部、特に70〜600質量部用いることが好ましい。最も上記効果を発現する水溶性有機溶媒であるプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテルを他の水溶性有機溶媒と混合して使用する場合、その合計質量が、ウレタン樹脂100質量部に対して70〜600質量部であることが好ましい。
なお、本発明のプライマー組成物において、後述するC成分であるポリエステル樹脂の水分散体や、D成分である無機酸化物粒子を含有させる場合、これら成分の分散媒として用いられる水溶性有機溶媒も含めて合計質量が上記範囲となるように調整すれば良い。
(C)ポリエステル樹脂の水分散体
本発明の光学物品用プライマー組成物において、さらに、ポリエステル樹脂の水分散体を含んでいてもよい。ポリエステル樹脂の水分散体を使用することにより、得られるプライマーコート層の機械的強度、耐熱性、耐衝撃性を向上させることができる。なお、本発明において、使用するポリエステル樹脂の形状、性状は、このポリエステル樹脂が水中に分散してプライマー組成物を形成できるものであれば、特に制限されない。中でも、プライマー組成物の調製の容易性、ポリエステル樹脂の入手の容易性を考慮すると、ポリエステル樹脂が予め水に分散されているポリエステル樹脂水分散体の使用が好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合により生成する樹脂であって、分子中にウレタン結合(−NHCOO−)を含まない樹脂である。
ポリエステル樹脂の中でも、ガラス転位点(Tg)が後述の範囲を満足するポリエステルエラストマーを使用することが好ましい。このポリエステルエラストマーは、得られるプライマーコート層の機械的強度、耐熱性、耐衝撃性向上の観点からハードセグメントとソフトセグメントとの共重合体からなるものが好ましい。具体的には、ハードセグメントがポリエステル、ソフトセグメントがポリエーテル又はポリエステルであるポリエステル・ポリエーテル型、及びポリエステル・ポリエステル型のものが好適に使用できる。また、ハードセグメントとソフトセグメンとの重量比率は、30/70〜90/10、好ましくは40/60〜80/20の範囲であることが好ましい。前記ポリエステルエラストマーのハードセグメント構成成分としては、多塩基酸であるジカルボン酸類と、多価アルコールである低分子グリコールとからなるポリエステルが好適に使用される。
ハードセグメントを構成するジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、デカメチレンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸等の炭素数4〜20の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、ε−オキシカプロン酸等の脂肪族オキシカルボン酸、ダイマー酸(二重結合を有する脂肪族モノカルボン酸を二量重合させた二塩基酸)等、及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
一方、低分子グリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、1,6−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族グリコール等、及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
ポリエステルエラストマーのソフトセグメント構成成分としては、前述のようにポリエステルもしくはポリエーテルが好適に使用される。
ソフトセグメントとなるポリエステルは、ジカルボン酸類と長鎖グリコール(多価アルコール)よりなるものが挙げられる、このソフトセグメントを構成するジカルボン酸は、前記ハードセグメントにおけるものと同じものを使用できる。一方、長鎖グリコールとしては、ポリ(1,2−ブタジエングリコール)、ポリ(1,4−ブタジエングリコール)及びその水素添加物などが挙げられる。また、ε−カプロラクトン、エナントラクトン、及びカプロリラクトンもポリエステル成分として有用である。
また、ソフトセグメントとなるポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール等のポリ(アルキレンオキシド)グリコール類が挙げられる。
本発明で好適に使用できるポリエステルエラストマー(ポリエステル樹脂)は、上記のハードセグメントとソフトセグメントとの共重合体からなることが好ましく、その中でも、ガラス転移点(Tg)が以下の範囲を満足することが好ましい。すなわち、ガラス転移点(Tg)が0℃未満であることが好ましく、−5℃以下であることがより好ましく、−10℃以下であることがさらに好ましい。Tgが0℃未満であるポリエステル樹脂を使用することにより、光学物品、積層体、の耐衝撃性、密着性をより改善することができる。また、ポリエステル樹脂のTgの下限も、特に制限されるものではないが、ウレタン樹脂の生産性、得られる光学物品、積層体等の性能を考慮すると、−100℃以上であることが好ましく、−70℃以上であることがより好ましく、−50℃以上であることがさらに好ましい。
なお、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、上記ウレタン樹脂の水分散体において説明した方法と同様の方法で測定した値である。
本発明で好適に使用できるポリエステルエラストマーは、数平均分子量が5000〜10万の範囲であることが好ましく、より好ましくは6000〜5万の範囲であることが好ましい。
なお、上記ポリエステル樹脂の分子量は、ポリスチレン換算によるゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)を用いて、カラム:Shodex KD−805、KD−804(昭和電工株式会社製)、溶離液:テトラヒドラフラン溶液、流速:1ml/min、検出器:RI検出器、ポリエステル樹脂試料溶液:0.5質量%テトラヒドラフラン溶液の条件により測定した値である。
本発明のプライマー組成物において、ポリエステル樹脂は、前記の通り、水に分散した状態のものを使用することが好ましい。この場合、水分散体におけるポリエステル樹脂の濃度(ポリエステル樹脂固形分濃度)は、使用する目的等に応じて適宜決定することができるが、10〜50質量%であることが好ましい。この濃度範囲を満足するポリエステル樹脂水分散体を使用することにより、取扱が容易となり、得られるプライマー組成物におけるポリエステル樹脂の濃度を容易に調整できる。この水分散体は、下記に詳述する水溶性有機溶媒を水の量の1/3以下含むこともできる。
上記のような要件を満足するポリエステル樹脂水分散体は、市販のものを使用することができる。具体的には、高松油脂株式会社製 製品名「ペスレジン」シリーズ、東洋紡績株式会社製 製品名「バイロナール」シリーズ、東亞合成株式会社製 製品名「アロンメルト」等が例示される。
また、本発明のプライマー組成物において、上記ポリエステル樹脂の水分散体の配合割合は、使用するポリエステル樹脂の種類や、プライマー組成物の操作性等を勘案して適宜決定すれば良い。得られるプライマーコート層の機械的強度、耐熱性、耐衝撃性向上の観点から、ウレタン樹脂の水分散体中の固形分100質量部に対して、ポリエステル樹脂の水分散体中の固形分を10〜95質量部用いることが好ましく、さらに20〜95質量部、特に30〜85質量部用いることが好ましい。
(D)無機酸化物粒子
また、本発明の光学物品用プライマー組成物において、無機酸化物粒子配合してもよい。無機酸化物粒子を配合することにより、形成されるプライマーコート層の屈折率を向上させて、光学基材の屈折率との差によって生ずる干渉縞を低減できると共に、ハードコート層の耐擦傷性をより向上させることができる。
上記無機酸化物粒子は、プライマーコート層の屈折率を高める目的で配合されるものであり、Ti、Zr、Sn、Sb及びCeからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含む無機酸化物又は複合無機酸化物からなる微粒子であることが好ましい。複合無機酸化物の場合には、前記の元素以外に、Si、Al、Fe、In、Au、W等を含んでいてもよい。
無機酸化物粒子の粒径は、電子顕微鏡(TEM)により観察される1次粒子径が1〜300nm程度であることが好適である。
このような粒径の無機酸化物微粒子は、通常、分散媒として水又は水溶性有機溶媒(特にアルコール系溶媒)に分散させたゾルとして使用に供され、一般に、コロイド分散させることによって、粒子が凝集することが防止される。例えば、本発明では、光学物品用プライマー組成物中に均一に分散させるとの観点から、無機酸化物微粒子を、水溶性有機溶媒又は水に分散させたゾルの形で光学物品用プライマー組成物中に配合させるのが好ましい。
上記無機酸化物粒子の分散媒として使用される水溶性有機溶媒としては、イソプロパノール、エタノール、メタノール、エチレングリコール等のアルコール溶媒が好適であるが、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミド等を使用することもできる。
無機酸化物粒子を分散させたゾル溶液のpHは、光学物品用プライマー組成物中に均一に分散させるとの観点から、5.0〜10.0の範囲であることが好ましく、5.5〜9.0の範囲であることがより好ましい。このpH値は、サンプル液を蒸留水で10倍希釈して、株式会社堀場製作所製pHメータD−51で測定した値である。
上記、複合無機酸化物粒子のゾルとしては、市販のものを使用することができ、例えば、日産化学工業株式会社製 商品名「HX」シリーズ、「HIT」シリーズ、「HT」シリーズ、「HZ」シリーズ、「AMT」シリーズなどが挙げられる。その中でも、より屈折率が高く、プライマー組成物中への分散安定性の観点から、「HIT」シリーズ、「HT」シリーズ、「HZ」シリーズが好適である。
また、本発明のプライマー組成物において、上記無機酸化物粒子の配合割合は、使用する無機酸化物粒子の種類や、プライマー組成物の操作性等を勘案して適宜決定すれば良い。得られるプライマーコート層の干渉縞の低減効果や耐衝撃性向上効果の観点から、ウレタン樹脂の水分散体中の固形分100質量部に対して、無機酸化物粒子を70〜300質量部用いることが好ましく、さらに80〜205質量部、特に100〜200質量部用いることが好ましい。
水の配合量
本発明の光学物品用プライマー組成物には、ウレタン樹脂の水分散体に含まれる水以外に、必要に応じて、追加の水を配合することもできる。水の配合量は、用途に応じて調整すればよいが、ウレタン樹脂の固形分100質量部に対して、100質量部以上1500質量部以下とすることが好ましい。ウレタン樹脂の固形分に対する水の配合割合には、ウレタン樹脂の水分散体に含まれる水や、前記ポリエステル樹脂の水分散体や、無機酸化物粒子ゾルを光学物品用プライマー組成物に配合させている場合には、これらの水も含めて上記範囲に調整すればよい。
例えば、光学物品用プライマー組成物が、ハードコート層を積層する際のプライマー層を形成するために使用されるものである場合には、水を配合することにより、光学物品用プライマー組成物そのものの保存安定性をより高めることができる。さらには、平滑なプライマーコート層を形成することができる。この効果は、プライマーコート層の形成が、プライマー組成物をディップコーティングによって塗布することによって行われる場合、プライマー組成物を長期間ディップコート槽内に保管することが必要になるため、特に有用である。そのため、ハードコート層を積層する際のプライマー組成物として使用する場合に、本発明の光学物品用プライマー組成物においては、ウレタン樹脂の固形分100質量部に対して、水を150質量部以上1500質量部以下とすることがさらに好ましく、300質量部以上、1000質量部以下とすることがさらに好ましく、500質量部以上1000質量部以下とすることが特に好ましい。なお、この水の質量は、ウレタン樹脂の水分散体に含まれる水の量を含むものとする。
その他の任意成分
本発明の光学物品用プライマー組成物には、得られるプライマーコート層の平滑性を向上させるという目的から、レベリング剤を添加してもよい。レベリング剤としては、公知のものが何ら制限なく使用できるが、好適なものを例示すれば、シリコーン系、フッ素系、アクリル系、ビニル系等を挙げることができる。該レベリング剤は、プライマー組成物中に10〜10000ppm、特に、50〜5000ppmの量で存在するような量で添加するのが好ましい。
本発明の光学物品用プライマー組成物の製造方法
本発明の光学物品用プライマー組成物は、前記(A)ポリカーボネート由来の骨格を有するウレタン樹脂の水分散体、(B)水溶性有機溶媒に、さらに、必要であれば、(C)ポリエステル樹脂の水分散体、(D)無機酸化物粒子や他の任意成分を加え、さらに必要に応じて水を加えて混合することによって製造される。これら各成分を混合する順序や混合条件は、特に制限されるものではないが、各々の成分の配合割合の調整が容易である点から、(B)水溶性有機溶媒、及び水は最後に加える方が好ましい。また、上記各成分の混合方法は公知の方法によって実施すればよい。本発明の光学物品用プライマー組成物の製造方法として好適な具体例をあげれば、最初に(A)ポリウレタン樹脂の水分散体と(C)ポリエステル樹脂の水分散体とを、10〜40℃、好ましくは20〜30℃の温度において30分〜48時間、好ましくは30分〜12時間、より好ましくは30分〜3時間混合させ、次いで得られた混合物に、(D)無機酸化物微粒子の水性ゾル又は有機溶媒ゾルを混合し、最後に所定の配合量を達成するように、残りの(B)水溶性有機溶媒、及び必要に応じて水を添加し、10〜40℃、好ましくは20〜30℃の温度において30分〜48時間、好ましくは30分〜12時間、より好ましくは30分〜3時間混合させることによって、本発明の光学物品用プライマー組成物を製造することができる。
本発明の光学物品用プライマー組成物において、形成されるプライマーコート層の膜厚を調整することが容易な点、耐衝撃性、さらには、密着性の向上が容易な点から、光学物品用プライマー組成物全体を100質量%とした際の該プライマー組成物の固形分濃度が、3〜35質量%となるように配合することが好ましい。光学物品用プライマー組成物の固形分濃度は、該プライマー組成物の配合割合から算出が可能であり、また該プライマー組成物を濃縮、乾燥することにより求めることができる。
次に、本発明の光学物品用プライマー組成物を使用する光学基材について説明する。
光学基材
本発明の光学物品用プライマー組成物は、光学基材、特に、プラスチックレンズの耐衝撃性を改善するために使用することができる。プラスチックレンズ素材(樹脂)を例示すれば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル又はメタクリル(単に「(メタ)アクリル」と表示する)系樹脂、アリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂及びチオエポキシ系樹脂等を挙げることができる。
次に、光学基材上に、本発明の光学物品用プライマー組成物からプライマーコート層を形成する方法について説明する。
プライマーコート層の形成方法
本発明の光学物品用プライマー組成物を光学基材上に塗布し、該プライマー組成物を硬化(乾燥)させることによって、光学基材上に形成されたプライマーコート層を有する光学物品を製造することができる。
本発明の光学物品用プライマー組成物から形成されるプライマーコート層は、光学基材、特に、プラスチックレンズの光学特性を低下させることがない。そのため、プライマーコート層が積層されたプラスチックレンズは、そのままで光学物品としても使用することができる。さらに、プライマーコート層上で、無機酸化物微粒子及び加水分解性基含有有機ケイ素化合物を含むハードコート組成物を硬化させることによってハードコート層を積層することにより、優れた耐衝撃性と耐擦傷性とを有する光学物品(積層体)とすることもできる。
本発明の光学物品用プライマー組成物を光学基材上に塗布するに当たり、密着性を向上させることを目的として、光学基材の表面を前処理しておくことが好ましい。前処理としては、有機溶剤による脱脂処理、塩基性水溶液又は酸性水溶液による化学的処理、研磨剤を用いた研磨処理、大気圧プラズマ及び低圧プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、火炎処理又はUVオゾン処理等を挙げることができる。中でも、光学基材とプライマーコート層との密着性を向上させる観点から、有機溶剤による脱脂処理、アルカリ処理、研磨処理、プラズマ処理、コロナ放電処理又はUVオゾン処理、或いはこれらを組み合わせた処理を行なうのが好適である。
光学物品用プライマー組成物を光学基材に塗布する方法は、特に制限されるものではなく、ディップコーティング、スピンコーティング、ディップスピンコーティング等の方法が挙げられる。中でも、生産性、塗膜の均一性の観点から、ディップコーティングを採用することが好ましい。
上記方法により光学基材上に塗布された光学物品用プライマー組成物は、最終的に、その中に含まれる溶剤が除去される。塗布終了後、光学基材上のプライマー組成物を加熱し、溶剤を除去して、プライマーコート層を形成させることが好ましい。加熱温度は、特に限定されないが、加熱による光学基材の変形、変色を防止するという観点から、室温〜120℃、特に、室温〜100℃の範囲であることが好適である。加熱時間は、特に限定されないが、通常、1分〜1時間の範囲であり、生産性の観点から20分以下であることが特に好適である。
耐衝撃性改良の用途に使用するプライマーコート層
光学物品の耐衝撃性を改良する用途の場合には、光学基材上に、本発明の光学物品用プライマー組成物からプライマーコート層を形成し、次いで、該プライマーコート層上に、下記に詳述するハードコート層を形成することができる。
この光学物品を製造する際の工程図を、図1に示す。光学基材1上に、本発明のプライマー組成物を塗布し、乾燥させることによって、プライマーコート層2を形成する。このようにして製造された光学物品には、通常、プライマーコート層2上に、さらに、ハードコート層3が形成される。このような光学物品の場合、プライマーコート層2の膜厚は、0.1μm以上、5.0μm以下であることが好ましい。プライマーコート層の膜厚が上記範囲を満足することにより、耐衝撃性が向上すると共に、ハードコート層3を形成することによって、耐擦傷性の低下、クラック発生などの問題を低減できる。
次に、ハードコート層について説明する。
ハードコート層用のハードコート組成物
本発明光学物品用プライマー組成物にて形成したプライマーコート層上に、さらに、無機酸化物微粒子及び加水分解性基含有有機ケイ素化合物を含むハードコート組成物を硬化させることによって形成されるハードコート層を積層させることができる。ハードコート層の形成に使用される無機酸化物微粒子としては、前述のシリカゾル及び複合無機酸化物微粒子を何ら制限なく使用することができる。無機酸化物微粒子の配合量は、無機酸化物の種類、最終的に得られるハードコート層について望まれる物性、目的に応じて、適宜、決定されるが、一般的には、最終的に形成されるハードコート層に占める無機酸化物微粒子の割合が20〜80質量%、特に40〜60質量%となるような決定される。なお、ハードコート層の質量は、ハードコート組成物を120℃で3時間加熱した後に残った固体成分の質量を秤量することにより求めることができる。
加水分解性基含有有機ケイ素化合物は、無機酸化物粒子のバインダーとしての機能を有し、ハードコート層中でマトリックスとなる透明な硬化体を形成するものであり、重合可能な有機ケイ素化合物が使用される。有機ケイ素化合物は、官能基であるアルコキシル基を有するものであり、前述の公知の加水分解性基含有有機ケイ素化合物を何ら制限無く使用できる。有機ケイ素化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。有機ケイ素化合物は、その少なくとも一部が加水分解した形、又はその部分加水分解物が縮合した部分縮合物の形で使用に供される。本発明では、特にプラスチックレンズとの密着性、架橋性の観点から、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、テトラエトキシラン、メチルトリエトキシシラン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン又はこれらの部分加水分解物、又は部分縮合物等が好適に使用される。
上記加水分解性基含有有機ケイ素化合物は、ハードコート層のクラックを防止し、ハードコート組成物の保存安定性の低下を防止するために、無機酸化物微粒子100質量部当り、50〜500質量部、特に60〜400質量部の量で使用され、特に好ましくは、70〜300質量部の量で使用される。また、無機酸化物微粒子との合計で、15〜50質量%、好適には20〜40質量%となる量でハードコート組成物中に存在するように使用される。ここに記載した加水分解性基含有有機ケイ素化合物は、含有するアルコキシ基が加水分解されていない状態のものである。
ハードコート層形成用のハードコート組成物では、加水分解性基含有有機ケイ素化合物が加水分解し、この加水分解物が無機酸化物微粒子を取り込んだ形で重合硬化(重縮合)して、マトリックスとなる硬化体を形成し、無機酸化物微粒子が緻密にマトリックス中に分散したハードコート層を形成する。硬化体形成のための加水分解性基含有有機ケイ素化合物の加水分解を促進させるために、水の配合が必要となる。
このような水の量は、無機酸化物微粒子と加水分解性基含有有機ケイ素化合物との合計質量100質量部当り、20〜80質量部、好ましくは20〜65質量部、さらに好ましくは20〜60質量部である。水の量が少な過ぎると、加水分解性基含有有機ケイ素化合物に含まれるアルコキシ基の加水分解が十分に進行せず、得られるハードコート層の硬度、ハードコート組成物の保存安定等の特性が低下するおそれがあり、必要以上に多すぎると、均一な厚みのハードコート膜の形成が困難となり、ハードコート膜が形成された光学基材の光学特性に悪影響を与えるおそれがある。
使用される水は酸水溶液の形で添加されても構わず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸を水溶液の形で添加することができる。中でも、ハードコート組成物の保存安定性、加水分解性の観点から、塩酸及び酢酸水溶液が好適に使用される。酸水溶液の濃度は、0.001〜0.5N、特に0.01〜0.1Nであることが好適である。尚、既に述べた通り、無機酸化物微粒子は、水に分散させた分散液(ゾル)の形態で使用されることがある。従って、ハードコート層用のハードコート組成物中に存在する水の量は、無機酸化物微粒子の分散液及び酸水溶液に含まれる水の量の合計として上記範囲となるように調整される。例えば、無機酸化物微粒子の分散液に含まれる水の量が、上述した水量の範囲を満足している場合には、さらに水を添加する必要はなく、また上述した水量の範囲に満たない場合には、さらに水を添加することが必要である。
ハードコート層用のハードコート組成物には、上述した加水分解性基含有有機ケイ素化合物の加水分解物の重合硬化を促進させるために、硬化触媒を配合することもできる。硬化触媒は、それ自体公知のもの、例えば、アセチルアセトナート錯体、過塩素酸塩、有機金属塩、各種ルイス酸が使用され、これらは単独で又は2種以上を混合して使用される。
アセチルアセトナート錯体の具体的に例示すれば、アルミニウムアセチルアセトナート、リチウムアセチルアセトナート、インジウムアセチルアセトナート、クロムアセチルアセトナート、ニッケルアセチルアセトナート、チタニウムアセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、コバルトアセチルアセトナート、銅アセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナート等を挙げることができる。これらの中では、アルミニウムアセチルアセトナート、チタニウムアセチルアセトナートが好適である。
過塩素酸塩としては、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸アルミニウム、過塩素酸亜鉛、過塩素酸アンモニウム等を例示することができる。有機金属塩としては、酢酸ナトリウム、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸亜鉛等を例示することができる。ルイス酸としては、塩化第二スズ、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化チタン、塩化亜鉛、塩化アンチモン等を例示することができる。
ハードコート層用のハードコート組成物においては、比較的低温でも短時間で耐擦傷性の高いハードコート膜が得られるという観点から、アセチルアセトナート錯体が特に好適であり、重合触媒の50質量%以上、特に70質量%以上、最適には重合触媒の全量がアセチルアセトナート錯体であるのがよい。
上述した硬化触媒は、硬い硬化膜を得るという観点から、前記加水分解性基含有有機ケイ素化合物100質量部当たり、1〜15質量部、好ましくは1〜10質量部の範囲の量で使用される。
ハードコート層用のハードコート組成物には、有機溶媒を配合することもできる。有機溶媒は加水分解性基含有有機ケイ素化合物の溶剤となり、無機酸化物微粒子の分散媒となるものであるが、このような機能を有していると同時に、揮発性を有するものであれば、公知の有機溶媒が使用できる。このような有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等の低級カルボン酸の低級アルコールエステル類;セロソルブ、ジオキサン、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類;メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これら有機溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用される。中でも、任意的に添加される水との相溶性を有し、ハードコート組成物の硬化の際に、容易に蒸発し、平滑なハードコート膜が形成されるという観点から、特にメタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、アセチルアセトンを使用するのが好ましい。また、このような有機溶媒の一部は、先に述べたように、無機酸化物微粒子の分散媒として、予め該無機酸化物微粒子と混合しておくこともできる。
有機溶媒の使用量は特に限定されないが、保存安定性と十分な耐擦傷性を得るために、通常、合計量が、加水分解性基含有有機ケイ素化合物100質量部当たり、100〜2500質量部、特に140〜1500質量部の範囲であることが好ましい。また、ここで記載する有機溶剤の使用量は、加水分解性基含有有機ケイ素化合物が加水分解される際に生じるアルコールの量を考慮したものではなく、加水分解性基含有有機ケイ素化合物が加水分解されていない場合の使用量である。
ハードコート層を形成するためのハードコート組成物は、上記成分を公知の方法により混合で製造できる。中でも、加水分解性基含有有機ケイ素化合物は、完全に加水分解させた後に、他の成分と混合することが好ましい。
ハードコート層の形成方法
ハードコート層は、光学物品上に形成されたプライマーコート層上に、ハードコート組成物を塗布し、乾燥・硬化させることによって形成される。ハードコート層を設けることにより、優れた耐衝撃性及び耐擦傷性を有する光学物品を作製することができる。
ハードコート層用のハードコート組成物を、光学物品上に形成されたプライマーコート層上に塗布するに当たり、特に前処理を行う必要はなく、プライマーコート層を硬化(乾燥)させ、冷却した後、ハードコート組成物を塗布すればよい。
ハードコート組成物をプライマーコート層上に塗布する方法は、特に制限されるものではなく、ディップコーティング、スピンコーティング、ディップスピンコーティングなどの方法が挙げられる。中でも、生産性、塗膜の均一性の観点から、ディップコーティングを採用することが好ましい。
プライマーコート層上に塗布されたハードコート組成物を熱処理して、最終的に、ハードコート組成物中に含まれる溶剤を除去(乾燥)させる必要がある。塗布されたハードコート組成物の塗膜を加熱し、溶剤を除去して、ハードコート層3を形成させることが好ましい。加熱温度は特に限定されないが、密着性、耐擦傷性及び加熱による光学基材の変形、変色の防止の観点から、90〜130℃、特に90〜110℃の範囲であることが好適である。加熱時間は、特に限定されないが、通常1時間〜5時間の範囲であり、生産性の観点から1時間〜3時間であることが特に好適である。
このようにして形成されたハードコート層の膜厚は、1.0〜4.0μmであることが好ましい。ハードコート層の膜厚が上記範囲を満足することにより、耐衝撃性及び耐擦傷性に優れる積層体が得られる。
その他の層
本発明によれば、ハードコート層用のハードコート組成物からなるハードコート層を有する積層体には、さらに必要に応じて、ハードコート層上に、SiO、TiO、ZrO等の無機酸化物からなる薄膜の蒸着、有機高分子体の薄膜の塗布等による反射防止処理、帯電防止処理等の加工及び2次処理を施すことも可能である。
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の実施例において使用した各成分、プラスチックレンズ(光学基材)を示す。
光学基材:
レンズA(チオウレタン系樹脂プラスチックレンズ:屈折率1.60、直径70mm、厚み2.0mm)
レンズB(チオエポキシ系樹脂プラスチックレンズ:1.67 直径70mm、厚み2.0mm)
A成分:ウレタン樹脂の水分散体:
U1:スーパーフレックス420(第一工業製薬株式会社製、平均粒径:120nm、Tg:−20℃、伸び率:280%、100%モジユラス:15N/mm、ウレタン樹脂濃度:約35質量%、水:約65質量%、架橋性)
U2:スーパーフレックス460(第一工業製薬株式会社製、平均粒径:100nm、Tg:−25℃、伸び率:750%、100%モジユラス:2N/mm、ウレタン樹脂濃度:約38質量%、水:約62質量%、架橋性)
U3:エバファノールHA−50C(日華化学株式会社製、平均粒径:80nm、Tg:−30℃、伸び率:450%、100%モジユラス:7N/mm、ウレタン樹脂濃度:約35質量%、水:約65質量%、架橋性)
B成分:水溶性有機溶媒:
EG:エチレングリコール
TBA:t―ブタノール
DEB:ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル
C成分:ポリエステル樹脂の水分散体:
Pl:バイロナールMD−1930(東洋紡績株式会社製、Tg:−10℃、数平均分子量:2万、ポリエステル樹脂濃度:約31質量%、水:約58質量%、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル:約11質量%)
P2:バイロナールMD−1985(東洋紡績株式会社製、Tg:−20℃、数平均分子量:2万5千、ポリエステル樹脂濃度:約27質量%、水:約64質量%、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル:約9質量%)
D成分:無機酸化物粒子:
SOLl:酸化ジルコニウム11.7質量%、酸化スズ77.6質量%、酸化アンチモン7.0質量%、二酸化ケイ素3.7質量%を含む複合無機酸化物微粒子のメタノール分散ゾル(複合無機酸化物微粒子濃度:30質量%、pH:8.3)
SOL2:酸化ジルコニウム14.3質量%、酸化スズ12.0質量%、酸化チタニウム61.3質量%、二酸化ケイ素12.3質量%を含む複合無機酸化物微粒子のメタノール分散ゾル(複合無機酸化物微粒子濃度:30質量%、pH:6.8)
ハードコート組成物の調製方法
ハードコート組成物1の調製
有機ケイ素化合物としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン77.9g、テトラエトキシシラン23.5g、有機溶媒としてt−ブチルアルコール30.8g、ジアセトンアルコール82.0g、メタノール20.0g、シリコーン系界面活性(東レ・ダウコーニング株式会社製L−7001(商品名))0.3gを混合した。この液を十分に撹拌しながら、水52.0g及び0.05N塩酸26gの混合物を添加し、添加終了後から20時間撹拌を継続した。次いで、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(IH)5.0gを混合し、1時間撹拌した。次いで、酸化ジルコニウム11.7質量%、酸化スズ77.6質量%、酸化アンチモン7.0質量%、二酸化ケイ素3.7質量%を含む複合無機酸化物微粒子のメタノール分散ゾル(複合無機酸化物微粒子濃度:40質量%)182gを加え、さらに24時間撹拌してハードコート組成物1を得た。
ハードコート組成物2の調製
有機ケイ素化合物としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン88.3g、有機溶媒としてt−ブチルアルコール30.8g、ジアセトンアルコール102.0gシリコーン系界面活性(東レ・ダウコーニング株式会社製L−7001(商品名))0.3gを混合した。この液を十分に撹拌しながら、水52.0g及び0.05N塩酸26gの混合物を添加し、添加終了後から20時間撹拌を継続した。次いで、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(IH)5.0gを混合し、1時間撹拌した。次いで、酸化スズ12.0質量%、酸化チタニウム61.3質量%、酸化ジルコニウム14.3質量%、二酸化ケイ素12.3質量%を含む複合無機酸化物微粒子のメタノール分散ゾル(複合無機酸化物微粒子濃度:30質量%)234gを加え、さらに24時間撹拌してハードコート組成物2を得た。
ハードコート組成物3の調製
有機ケイ素化合物としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン88.3g、有機溶媒としてt−ブチルアルコール30.8g、ジアセトンアルコール102.0g、シリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング株式会社製L−7001(商品名))0.3gを混合した。この液を十分に撹拌しながら、水52.0g及び0.05N塩酸26gの混合物を添加し、添加終了後から20時間撹拌を継続した。次いで、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(IH)5.0gを混合し、1時間撹拌した。次いで、酸化チタニウム78.6質量%、酸化ジルコニウム1.6質量%、二酸化ケイ素19.8質量%を含む複合無機酸化物微粒子のメタノール分散ゾル(複合無機酸化物微粒子の濃度:30質量%)234gを加え、さらに24時間撹拌してハードコート組成物3を得た。
(実施例1−1)
ウレタン樹脂の水分散体(A)成分の調整
(A)成分のウレタン樹脂の水分散体としてU1 2Lを、濾過面積231cm、孔径が0.5μmであるガラス質カートリッジフィルター(東洋濾紙株式会社製、製品名:ガラス濾紙カプセルカートリッジフィルター、型番:CCG−045−E1B)を用いて表1に示す条件にて濾過温度25℃で25時間循環濾過を行った。得られたウレタン樹脂の水分散体の平均粒子径、及び1μm以上の粗粒の割合を表1に示す。
Figure 2015138117
(実施例1−2〜1−9)
ウレタン樹脂の水分散体(A)成分、濾過液量、濾過流速、濾過面積、濾過時間、濾過サイクルを表1の条件とした以外は実施例1−1同様にして循環濾過を行った。得られたウレタン樹脂の水分散体の平均粒子径、及び1μm以上の粗粒の割合を表1に示す。
プライマー組成物の調整方法
プライマー組成物Qの調製
(A)成分として実施例1−7で得られたウレタン樹脂の水分散体50g、(B)成分の有機溶媒としてDEBを15g、(C)成分のポリエステル樹脂の水分散体としてPlを50g、(D)成分の無機酸化物粒子としてSOL1を65g、水180g及びシリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名L−7001)0.2gを混合し、一時間室温にて撹拌し、本発明のプライマー組成物Qを得た。
さらに表2に示す組成とした以外は、上記プライマー組成物Qと同様の方法で、プライマー組成物A〜Wを調製した。
Figure 2015138117
(実施例2−1)
プライマーコート層及びハードコート層の形成
光学基材としてレンズAを使用し、アセトンで十分に脱脂し、50℃に加熱した10質量%水酸化ナトリウム水溶液中で5分間超音波洗浄した。次いで、プライマー組成物Aを、引き上げ速度5cm/minにてディップコーティングし、80℃で10分間乾燥させることにより、屈折率1.66、膜厚1.2μmを有するプライマーコート層を形成した。このレンズを室温まで冷却した後、ハードコート組成物3を、引き上げ速度15cm/minにてディップコーティングし、110℃において2時間で硬化させることによって、前記プライマーコート層(膜厚1.2μm)に上に膜厚2.2μmのハードコート層が形成されたプラスチックレンズを得た。得られたプライマーコート層及びハードコート層を有するプラスチックレンズについて、下記(1)〜(5)に示す各評価項目について評価を行った。評価結果を表3に示す。
評価項目
(1)外観
プライマーコート層を有するプラスチックレンズのヘーズ値、及びコーティング前のプラスチックレンズのヘーズ値を、日本電色工業株式会社製ヘーズメーターNDH5000を用いて測定し、その差分であるΔヘーズ値により、その白濁度合いを評価した。
(2)スチールウール耐擦傷性
スチールウール(日本スチールウール株式会社 製品名 ボンスター#0000番)を用い、1Kg及び3Kgの加重で10往復プラスチックレンズの表面を擦り、傷ついた程度を以下の評価基準にて目視で評価した。評価基準は次の通りであり。
A:ほとんど傷がつかない(目視で5本未満の擦傷である場合)
B:極わずかに傷がつく(目視で5本以上10本未満の擦傷がある場合)
C:少し傷がつく(目視で10本以上20本未満の擦傷がある場合)
D:はっきりと傷がつく(目視で20本以上の擦傷がある場合)
E:ハードコート層の剥離が生じている
(3)密着性
プライマーコート層及びハードコート層のプラスチックレンズに対する密着性を、JIS D−0202に準じて、クロスカットテープ試験によって評価した。即ち、カッターナイフを使い、ハードコート層表面に約1mm間隔に切れ目を入れ、マス目を100個形成させる。その上にセロファン粘着テープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標))を強く貼りつけ、次いで、表面から90°方向で一基に引っ張り、剥離した後、ハードコート層が残っているマス目を測定した。
(4)煮沸密着性
沸騰した蒸留水中に、試験片であるプラスチックレンズを1時間ごとに浸漬した後、プラスチックレンズを取り出し、水滴をふき取り、室温で1時間放置した後に、上述の(3)密着性の試験方と同様にして密着性を評価した。密着性を保持しているプラスチックレンズに関しては、煮沸時間が合計5時間になるまで試験を実施した。(3)密着性の評価法と同様に残っているマス目を測定した。
(5)耐衝撃性
プラスチックレンズの中心部に、127cmの高さから、16g、32g、50g、80g、95g、112g、138g、151g、174g、198g、225gの剛球を、軽い方から順に落下させ、プラスチックレンズが割れるか、否かで耐衝撃性を評価した。評価結果は、プラスチックレンズが割れなかった最大鋼球重量で表した。
(6)保存安定性
プライマー組成物の安定性は、調整したプライマー組成物を15℃で保管し、一定期間保管後に、(1)外観と同様の方法でヘーズ値を測定し、Δヘーズ値が0.15以下である期間を示した。
(7)屈折率
アッベ屈折計を用い、ハードコート液の屈折率を小数点2桁まで測定した。
Figure 2015138117
(実施例2−2〜2−18、比較例2−1〜2−5)
表3に示す、プライマー組成物、レンズ基材、ハードコート組成物を用いた以外は実施例2−1と同様にしてプラスチックレンズ上にプライマーコート層及びハードコート層を形成した。得られたプラスチックレンズの評価結果を表3に示す。
1 光学基材
2 プライマーコート層
3 ハードコート層

Claims (9)

  1. (A)ポリカーボネート由来の骨格を有し、平均粒子径が50nm以上140nm以下であって、粒子径が1μm以上である粒子の割合が3体積%以下であるウレタン樹脂粒子が水に分散したウレタン樹脂の水分散体、及び
    (B)水溶性有機溶媒
    を含むことを特徴とする光学物品用プライマー組成物。
  2. 前記ウレタン樹脂粒子が、粒子径が50nm以上200nm以下である粒子の割合が95体積%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学物品用プライマー組成物。
  3. (A)ウレタン樹脂の水分散体中の固形分100質量部に対して、(B)水溶性有機溶媒を30〜700質量部含む請求項1または2に記載の光学物品用プライマー組成物。
  4. さらに、(C)ポリエステル樹脂の水分散体を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学物品用プライマー組成物。
  5. (A)ウレタン樹脂の固形分100質量部に対して、(C)ポリエステル樹脂の固形分を10〜95質量部含む請求項4に記載の光学物品用プライマー組成物。
  6. さらに、(D)無機酸化物粒子を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学物品用プライマー組成物。
  7. (A)ウレタン樹脂の固形分100質量部に対して、(D)無機酸化物粒子を70〜300質量部含むことを特徴とする請求項6に記載の光学物品用プライマー組成物。
  8. 光学物品用プライマー組成物中の水の合計量が、(A)ウレタン樹脂の固形分100質量部に対して、150〜2300質量部となる請求項1〜7の何れかに記載の光学物品用プライマー組成物。
  9. ポリカーボネート由来の骨格を有し、平均粒子径が50nm以上140nm以下であって、粒子径が1μm以上である粒子の割合が3体積%を超えるウレタン樹脂粒子が水に分散したウレタン樹脂の水分散体を循環濾過することにより、粒子径が1μm以上である粒子の割合を3体積%以下にしたウレタン樹脂の水分散体を準備した後、粒子径が1μm以上である粒子の割合が3体積%以下である前記ウレタン樹脂の水分散体と水溶性有機溶媒とを混合することを特徴とする請求項1に記載の光学物品用プライマー組成物の製造方法。
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