JP2015138055A - 吸音性内装材 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、好適な吸音性能と優れた耐久性とを有するとともに、成形性に優れる吸音性内装材を提供することにある。
上記第1の不織布と、上記合成樹脂発泡体基材の表面および/または上記第2の不織布とは、上記第1の不織布および/または上記第2の不織布に含浸されている熱硬化性合成樹脂が該第1の不織布および/または該第2の不織布の表面に浸出してなる浸出層によるか、あるいはホットメルト接着剤粉末撒布層により、通気性を維持した状態で接着されていることが望ましい。
上記第1の不織布には、その繊維に溶融紡糸で得られる長繊維フィラメントを用いることが望ましく、上記第2の不織布は、ウェブ中の繊維相互をニードルパンチによって絡合する、高圧水流や加熱蒸気を吹き付けることによって絡合する、または複数層のウェブを重ねて長繊維で縫製することによって製造されることが望ましい。
上記第1の不織布あるいは第2の不織布に含浸されている熱硬化性合成樹脂は、フェノール系合成樹脂であることが望ましい。
上記吸音性内装材の通気抵抗は、0.30〜2.50kPa・s/mであることが望ましい。
本発明では合成樹脂発泡体基材の表面を補強するために、該合成樹脂発泡体基材の表面に熱硬化性合成樹脂を直接的に塗布する手段に代えて、熱硬化性合成樹脂を含浸した第1の不織布が該合成樹脂発泡体基材の表面に貼着されることを特徴としている。
なお、上記第1の不織布としてニードルパンチ不織布を使用した場合、該ニードルパンチ不織布は、ニードルパンチによって繊維相互が絡合されていることから、引張り力が及ぼされると、繊維相互が絡合する点(絡合点)にずれを生じることで良く伸びる性質を保有するものであるが、その一方では熱硬化性合成樹脂を含浸しても剛性を発現しにくく、剛性を発現させるために熱硬化性合成樹脂の含浸量を増やすと、合成樹脂的性質が大きくなり、不織布としての性質が消滅して外観が悪化し、かつ硬く折れ易くなるという問題点が発生する。
本発明の吸音性内装材1にあっては、合成樹脂発泡体基材2の表面を補強するための第1の不織布3として、繊維相互が溶融接合されているか、あるいは低融点熱可塑性合成樹脂を介して溶融接合されているか、あるいは接着剤によって接合されている不織布を使用する。すなわち、上記第1の不織布3にあっては、繊維相互が溶融接合あるいは接着接合されているから、該第1の不織布3に引張り力を及ぼすと、該第1の不織布3は繊維の丸まり形状が伸びることによって該引張り力に対応するが、繊維相互の接合点にずれを生じにくい。したがって上記第1の不織布3に熱硬化性合成樹脂を含浸させれば、含浸量を増やさなくても該不織布3内には略連続的な熱硬化性樹脂硬化物の被膜が形成され、上記合成樹脂発泡体基材2の表面は保護されると共に好ましい剛性を付与され、効果的に補強される。
但し、上記第1の不織布は、上記したように繊維相互の接合点にずれを生じにくいので、補強効果は充分に見込まれるが、その一方で伸びは深絞り成形にも対応出来る程に充分なものではない。よって上記合成樹脂発泡体基材2を上記第1の不織布3のみで補強する構成とした場合、上記吸音性内装材1を成形した際に、表面のしわ、破れ、亀裂等の外観不良を来すという問題が生じてしまう。
そこで本発明の吸音性内装材1にあっては、上記第1の不織布3の表面に、更に第2の不織布4を貼着する構成としている。上記第2の不織布4には、繊維相互が絡み合って絡合している不織布を使用する。第2の不織布4のうちの代表的なものは、ニードルパンチによって繊維相互を絡合させたニードルパンチ不織布である。上記第2の不織布4は前記したように引張り力を及ぼすと絡合点にずれを生ずる。したがって引張り力を及ぼせば繊維の丸まり形状の伸びに加えて繊維相互の絡合点のずれによっても伸びて、該引張り力に対応するから、深絞り成形が及ぼされても、しわ、破れ、亀裂等の外観不良を発生しにくく、吸音性内装材1の表面を好ましい外観に維持する。
更に本発明では合成樹脂発泡体基材2、第1の不織布3、第2の不織布4は各々相互に通気性を維持した状態で積層されるから、得られる吸音性内装材1も吸音性能に好ましい通気性を保有する。
本発明の吸音性内装材1にあっては、したがって本発明においては、外観良好かつ表面が補強された吸音性内装材が提供される。
図1は、本発明の吸音性内装材1を示す一実施例である。該吸音性内装材1にあっては、合成樹脂発泡体基材2の両面に第1の不織布3が積層されているとともに、該第1の不織布3の表面に第2の不織布4が積層されている。また該吸音性内装材1において、上記第1の不織布3と、上記合成樹脂発泡体基材2の表面とは、ホットメルト接着剤粉末撒布層5によって通気性を維持した状態で接着されているとともに、上記第1の不織布3と、上記第2の不織布4とは、ホットメルト接着剤粉末撒布層6により、通気性を維持した状態で接着されている。
図2は、本発明の吸音性内装材1’を示す他の実施例である。該吸音性内装材1’にあっては、合成樹脂発泡体基材2の両面に第1の不織布3が積層されているとともに、該第1の不織布3の表面に第2の不織布4が積層されており、該第1の不織布3及び該第2の不織布4に熱硬化性合成樹脂が含浸されている。また該吸音性内装材1’において、上記第1の不織布3と、上記合成樹脂発泡体基材2の表面とは、該第1の不織布3に含浸されている熱硬化性合成樹脂が該第1の不織布3の表面に浸出してなる浸出層3Aにより、通気性を維持した状態で接着されているとともに、上記第1の不織布3と、上記第2の不織布4とは、該第2の不織布4に含浸されている熱硬化性合成樹脂が該第2の不織布4の表面に浸出してなる浸出層4Aにより、通気性を維持した状態で接着されている。
本発明の吸音性内装材を示す更に他の実施例として、以下のものが挙げられる。
図3(a),(b)に示す吸音性内装材1A,1Bは、合成樹脂発泡体基材2の両面に第1の不織布3及び第2の不織布4が積層されているものである。吸音性内装材1Aにあっては、第1の不織布3と、合成樹脂発泡体基材2の表面とがホットメルト接着剤粉末撒布層5によって通気性を維持した状態で接着され、第1の不織布3と、第2の不織布4とが浸出層4Aによって通気性を維持した状態で接着されている。吸音性内装材1Bにあっては、第1の不織布3と、合成樹脂発泡体基材2の表面とが浸出層3Aによって通気性を維持した状態で接着され、第1の不織布3と、第2の不織布4とがホットメルト接着剤粉末撒布層6によって通気性を維持した状態で接着されている。
図3(c)〜(f)に示す吸音性内装材1C,1D,1E,1Fは、合成樹脂発泡体基材2の片面に第1の不織布3及び第2の不織布4が積層されているものである。吸音性内装材1Cにあっては、第1の不織布3と、合成樹脂発泡体基材2の表面とがホットメルト接着剤粉末撒布層5によって通気性を維持した状態で接着され、第1の不織布3と、第2の不織布4とがホットメルト接着剤粉末撒布層6によって通気性を維持した状態で接着されている。吸音性内装材1Dにあっては、第1の不織布3と、合成樹脂発泡体基材2の表面とが浸出層3Aによって通気性を維持した状態で接着され、第1の不織布3と、第2の不織布4とが浸出層4Aによって通気性を維持した状態で接着されている。吸音性内装材1Eにあっては、第1の不織布3と、合成樹脂発泡体基材2の表面とがホットメルト接着剤粉末撒布層5によって通気性を維持した状態で接着され、第1の不織布3と、第2の不織布4とが浸出層4Aによって通気性を維持した状態で接着されている。吸音性内装材1Fにあっては、第1の不織布3と、合成樹脂発泡体基材2の表面とが浸出層3Aによって通気性を維持した状態で接着され、第1の不織布3と、第2の不織布4とがホットメルト接着剤粉末撒布層6によって通気性を維持した状態で接着されている。
本発明において使用される合成樹脂発泡体基材2としては、ポリウレタン発泡体(ポリウレタンフォーム)、ポリプロピレン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、ポリエステル発泡体、メラミン樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体等が例示されるが、最も一般的には軟質ウレタン樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体、またはフェノール樹脂発泡体のスラブが使用される。
上記合成樹脂発泡体基材2の厚みは、一般に5〜30mm、単位面積当りの質量は、一般に100〜500g/m2のものが使用される。
なお、以下では、「合成樹脂発泡体基材」を略して「基材」とも記載する。
上記第1の不織布3は、上記合成樹脂発泡体基材2の片面または両面に浸出層3A又はホットメルト接着剤粉末撒布層5によって接着される。
上記第1の不織布3に使用する原料繊維としては、例えばポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維等の熱可塑性樹脂からなる繊維の一種または二種以上が使用される。上記繊維によって不織布を形成するには、繊維相互を熱溶融によって結合させたり、繊維に低融点合成樹脂を混合したりして熱溶融によって結合させるサーマルボンド法、繊維に接着剤を混合して接着結合させるケミカルボンド法が適用される。
サーマルボンド法にあっては、繊維の原料となる熱可塑性合成樹脂を溶融してノズルから連続した長繊維状に吐出させると共に繊維相互を融着させるスパンボンド法、熱可塑性合成樹脂溶融物をノズルから吐出した直後に高温空気を及ぼして繊維をより細くするメルトブロー法がある。
上記サーマルボンド法にあっては、長繊維が得られ、前述したように伸びが良好な不織布が製造される。
通常上記第1の不織布3の厚さ(mm)は0.1〜0.3、単位面積当りの質量(目付量)(g/m2)は25〜60、伸び率(%)は縦5〜20、横30〜70程度に設定される。
上記第1の不織布3の伸び率が縦5%、横30%を下回ると、表面に形成される皺が大きくなりすぎる傾向がある。一方、上記第1の不織布3の伸び率が縦20%、横70%を越えた場合には、補強効果が低下する傾向にある。
上記第1の不織布3には熱硬化性合成樹脂が含浸されており、上記合成樹脂発泡体基材2の表面を効率的に補強する。即ち上記第1の不織布3に含浸される熱硬化性合成樹脂は、不織布内で略連続的な被膜を形成するから、上記合成樹脂発泡体基材2表面に剛性を付与して効果的に補強する。
前記したように合成樹脂発泡体基材2表面に直接熱硬化性合成樹脂を塗布した場合には、上記合成樹脂発泡体基材2の表面の粗構造によって熱硬化性合成樹脂の連続被膜の形成が阻害される。
上記第2の不織布4は、上記第1の不織布3の片面(表面)に浸出層4A又はホットメルト接着剤粉末撒布層6によって貼着される。
上記第2の不織布4には、繊維相互を交絡した不織布が使用される。上記繊維を交絡するにはニードルパンチによる方法(ニードルパンチ法)、高圧水流を使用して繊維を交絡する方法(スパンレース法)、ガイドベルト上で形成した繊維に、一定方向からニードルパンチを施して交絡する方法(ステッチボンド法)等がある。
更に詳しく述べれば、一般的には原料繊維を梳毛機に通してカーディングしてウェブを形成し、該ウェブにバーブニードルを上下から刺し込んだり、高圧水流を及ぼしたりすることにより、該ウェブを構成する繊維を交絡することで上記第2の不織布4を製造する。
上記第2の不織布4に使用する原料繊維としては、例えばポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維等の合成繊維、とうもろこしやサトウキビ等の植物から抽出された澱粉からなる生分解繊維(ポリ乳酸繊維)、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、あるいはこれらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維の1種または2種以上の繊維が使用されるが、例えばポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維等のアラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維等の望ましくは融点が250℃以上の耐熱性合成繊維を混合使用すれば、耐熱性の極めて高い不織布が得られる。その中でもアラミド繊維は比較的安価で入手し易い点で有用な難燃性合成繊維である。
通常上記第2の不織布4の厚さ(mm)は1.0〜2.0、単位面積当りの質量(目付量)(g/m2)は60〜150、伸び率(%)は縦,横共に80%以上に設定される。
上記第2の不織布4の伸び率が縦,横共に80%以上に満たない場合には、第1の不織布3に形成された皺の吸収が悪くなる傾向にある。
上記第1の不織布3および上記第2の不織布4には主として剛性を付与するために熱硬化性合成樹脂が含浸される。
上記熱硬化性合成樹脂としては、例えばウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、熱硬化型アクリル系樹脂、特に加熱によりエステル結合を形成して硬化する熱硬化性アクリル系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化型ポリエステル系樹脂等が使用されるが、該合成樹脂を生成するウレタン系樹脂プレポリマー、尿素系樹脂プレポリマー(初期縮合体)、フェノール系樹脂プレポリマー(初期縮合体)、ジアリルフタレートプレポリマー、アクリルオリゴマー、多価イソシアナート、メタクリルエステルモノマー、ジアリルフタレートモノマー等のプレポリマー、オリゴマー、モノマー等の合成樹脂前駆体が使用されてもよい。該熱硬化性樹脂も取り扱いが容易な点から、水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパーションの形のものを使用することが好ましいが、有機溶剤溶液の形のものを使用してもよい。
上記熱硬化性樹脂あるいは合成樹脂前駆体は二種以上混合使用されてもよい。
本発明において望ましいフェノール系樹脂は、フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物である。該フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物は、該共縮合物(初期縮合物)の水溶液の安定性が良く、かつフェノールのみからなる縮合物(初期縮合物)に比較して、常温で長期間保存することが出来るという利点がある。
エストニア産オイルシェールの乾留によって得られる多価フェノール混合物は安価であり、かつ5−メチルレゾルシンのほか反応性の高い各種アルキルレゾルシンを多量に含むので、本発明において特に好ましい多価フェノール原料である。
本発明で使用する熱硬化性合成樹脂あるいは合成樹脂前駆体には、更に、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、コロイダルシリカ、雲母、珪藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、ガラス粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉等の無機充填材;天然ゴムまたはその誘導体;スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブチレンゴム等の合成ゴム;ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉、澱粉誘導体、ニカワ、ゼラチン、血粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子や天然ガム類;木粉、クルミ粉、ヤシガラ粉、小麦粉、米粉等の有機充填材;ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ブチリルステアレート、グリセリンモノステアレート等の脂肪酸のエステル類;脂肪酸アミド類;カルナバワックス等の天然ワックス類、合成ワックス類;パラフィン類、パラフィン油、シリコンオイル、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、グリス等の離型剤;アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビス−2,2’−(2−メチルグロピオニトリル)等の有機発泡剤;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム等の無機発泡剤;シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、発泡ガラス、中空セラミックス等の中空粒体;発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等のプラスチック発泡体や発泡粒;顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、燐系化合物、窒素系化合物、硫黄系化合物、ホウ素系化合物、臭素系化合物、グアニジン系化合物、燐酸塩系化合物、燐酸エステル系化合物、アミノ系樹脂等の難燃剤、防炎剤、撥水剤、撥油剤、防虫剤、防腐剤、ワックス類、界面活性剤、滑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤;DBP、DOP、ジシクロヘキシルフタレートのようなフタル酸エステル系可塑剤やその他のトリクレジルホスフェート等の可塑剤等を添加、混合してもよい。
上記フェノール系樹脂(初期縮合物)の水溶液を不織布3,4に含浸させる手段としては、通常浸漬(ディッピング)、あるいはスプレー、ロールコーター、ナイフコーター等による塗布が適用される。含浸量(%)は樹脂分として第1の不織布3、第2の不織布4共に20〜70に設定される。ここに含浸量%は不織布の単位面積当りの樹脂の質量(g)Aを不織布の単位面積当りの質量(g)Bで割って100を掛けた(%)である。
A/B×100(%)
ここにAは樹脂水溶液の量ではなく、樹脂水溶液中の樹脂の量である。
上記熱硬化性合成樹脂を上記不織布に含浸させた後は常温、あるいは不織布中の熱硬化性合成樹脂が完全硬化しない程度で加熱して溶剤(水)を除去する。上記熱硬化性合成樹脂(特にフェノール系樹脂)が初期縮合物である場合には、B−状態(B−ステージ)にすることが望ましい。上記初期縮合物がB−状態の場合には比較的安定であり、長期間の保存も可能であり、更に成形時には速やかに硬化すると云う利点がある。
本発明の吸音性内装材1,1’,1A〜1Fは、上記合成樹脂発泡体基材2の片面または両面に通気性を維持した状態で上記第1の不織布3を接着し、更に上記第1の不織布3の表面に通気性を維持した状態で上記第2の不織布4を接着するとともに、上記第1の不織布3および上記第2の不織布4に含浸されている熱硬化性合成樹脂を硬化させ、更に所望ならば所定形状に成形することによって製造される。
上記合成樹脂発泡体基材2の片面または両面(表面)に通気性を維持した状態で上記第1の不織布3を接着するためには、あるいは上記第1の不織布3の表面に通気性を維持した状態で上記第2の不織布4を接着するためには、下記の2つの方法が考えられる。
1つは、上記第1の不織布3、あるいは上記第2の不織布4に含浸されている熱硬化性合成樹脂が、吸音性内装材の製造に際して加熱プレスするとき、上記第1の不織布3、あるいは上記第2の不織布4から浸出するので、該浸出した熱硬化性合成樹脂(浸出層3A,4A)によって上記第1の不織布3と上記合成樹脂発泡体基材2の表面とを、あるいは上記第2の不織布4と上記第1の不織布3の表面とを接着する方法(方法1)である。
上記方法1によれば、上記熱硬化性合成樹脂が浸出してなる浸出層3A,4Aは、連続皮膜を形成しないので、通気性が維持されることになる。
もう1つは、上記合成樹脂発泡体基材2と上記第1の不織布3との間、および/または上記第1の不織布3と上記第2の不織布4との間にホットメルト接着剤粉末撒布層5,6を形成し、該ホットメルト接着剤粉末撒布層5,6を介して上記第1の不織布3と上記合成樹脂発泡体基材2の表面とを、あるいは上記第2の不織布4と上記第1の不織布3の表面とを接着する方法(方法2)である。
上記方法2によっても、上記ホットメルト接着剤粉末撒布層5,6は、撒布量の調節により通気性が維持されることになる。
上記方法2にあっては、一般的方法として、上記ホットメルト接着剤粉末を上記合成樹脂発泡体基材2の表面および/または上記第1の不織布3の表面および/または上記第2の不織布4の表面に撒布し、熱溶融して該ホットメルト接着剤粉末を表面に固定する。上記ホットメルト接着剤粉末の撒布量は、2g/m2〜40g/m2に設定し、更には5g/m2〜30g/m2に設定することが望ましい。
上記ホットメルト接着剤粉末としては、融点80〜180℃のポリエチレン樹脂粉末、ポリエステル樹脂粉末、ポリアミド樹脂粉末、エチレン−酢酸ビニル共重合体粉末等の低融点熱可塑性樹脂粉末の単体あるいは2種以上の混合物が使用され、上記ホットメルト接着剤粉末の篩分け法による平均粒子径は通常80〜500μmの範囲とする。平均粒子径が80μmに満たない場合は、該ホットメルト接着剤粉末を撒布する際、粉末が散乱して均一な撒布が困難になり、また粒子の細かい粉末が緊密につまって、形成されるホットメルト樹脂粉末撒布層5,6の密度が高くなり、該撒布層があたかも穴のないフィルム状となることで、通気性が維持されにくくなる。一方平均粒子径が500μmを超えると、得られるホットメルト樹脂粉末撒布層5,6の構造が粗になり、熱溶融した接着剤同士が結びつかずに接着力が低下するおそれがある。
本発明の吸音性内装材1は吸音性能を確保するために通気性であることが必要である。上記内装材1の通気抵抗は吸音性を考慮すれば、0.30〜2.50kPa・s/mに設定することが望ましい。ここに上記の通気抵抗(Pa・s/m)とは、通気性材料の通気の程度を表す尺度である。この通気抵抗の測定は定常流差圧測定方式により行われる。図4に示すように、シリンダー状の通気路W内に試験片Tを配置し、一定の通気量V(図中矢印の向き)の状態で図中矢印の始点側の通気路W内の圧力P1と、図中矢印の終点P2の圧力差を測定し、次式より通気抵抗Rを求めることが出来る。
R=ΔP/V
ここで、ΔP(=P1−P2):圧力差(Pa)、V:単位面積当りの通気量(m3/m2・s)である。
通気抵抗は、例えば、通気性試験機(製品名:KES−F8−AP1、カトーテック株式会社製、定常流差圧測定方式)によって測定することが出来る。
吸音性内装材1の通気抵抗は、0.30〜2.50kPa・s/mに設定することが望ましい。通気抵抗が0.30kPa・s/mに満たない場合、該吸音性内装材1が騒音に対して十分な緩衝吸音性能を発揮することができない。通気抵抗が2.50kPa・s/mを超える場合、該吸音性内装材1の内部へ騒音が入り込めずに反射などすることで却って騒音が増してしまうおそれがある。
なお上記通気抵抗の調整は、繊維相互の絡みや目付量や密度で調整することができ、それら以外にも合成樹脂の塗布量または含浸量で調整することができる。
〔実施例1〕
A:合成樹脂発泡体基材
厚さ20mm、単位面積当たりの質量が100g/m2の連続気泡のメラミン発泡体を基材(A−1)とした。
B:第1の不織布
ポリエステル繊維からなり、厚さ0.15mm、質量28g/m2、伸び率(縦)9%、(横)35%のスパンボンド不織布に、フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド共縮合物(固形分40質量%水溶液)からなる熱硬化性合成樹脂初期縮合物を、上記スパンボンド不織布に対し固形分として55質量%になるように含浸塗布後140℃で2分加熱し、上記熱硬化性合成樹脂初期縮合物をB−状態にすることによって第1の不織布(B−1)を得た。
C:第2の不織布
ポリエステル繊維からなり、厚さ1.0mm、質量70g/m2、伸び率(縦)95%、(横)82%のニードルパンチ不織布に、上記第1の不織布に用いた熱硬化性合成樹脂初期縮合物を、上記ニードルパンチ不織布に対し固形分として60質量%になるように含浸塗布後140℃で2分加熱し、上記熱硬化性合成樹脂初期縮合物をB−状態にした第2の不織布(C−1)を得た。
D:成形物
上記で得られた基材(A−1)の片面に、浸出層3Aを介して第1の不織布(B−1)を重合し、さらにその上に浸出層4Aを介して第2の不織布(C−1)を重合した積層物を、所定の凹凸形状が付された加熱プレス盤上で200℃×60秒間加熱プレス成形し、所定の凹凸形状が付された成形物(D−1)を得た。
得られた成形物(D−1)について、通気性試験機(製品名:KES−F8−AP1、カトーテック株式会社製、定常流差圧測定方式)を使用して通気抵抗を測定するとともに、目視により成形状態を評価した。この成形物(D−1)の通気抵抗と成形状態を表1に示す。
A:合成樹脂発泡体基材
実施例1と同じ(A−1)を用いた。
B:第1の不織布
実施例1と同じ(B−1)を用いた。
C:第2の不織布
ポリエステル繊維からなり、厚さ2.0mm、質量140g/m2、伸び率(縦)135%、(横)125%のニードルパンチ不織布を使用し、実施例1で使用したものと同じ熱硬化性合成樹脂初期縮合物を該ニードルパンチ不織布に対し固形分として30質量%になるように含浸塗布後140℃で2分加熱し、上記熱硬化性合成樹脂初期縮合物をB−状態にした第2の不織布(C−2)を使用した。
D:成形物
上記基材(A−1)、第1の不織布(B−1)および第2の不織布(C−2)を使用し、上記実施例1と同様にして、所定の凹凸形状が付された成形物(D−2)を得た。得られた成形物(D−2)について、上記実施例1と同様にして得た通気抵抗と成形状態を表1に示す。
A:合成樹脂発泡体基材
実施例1と同じ(A−1)を用いた。
B:第1の不織布
ポリエステル繊維からなり、厚さ0.3mm、質量58g/m2、伸び率(縦)15%、(横)65%のスパンボンド不織布に、実施例1で使用したものと同じ熱硬化性合成樹脂初期縮合物を、該スパンボンド不織布に対し固形分として35質量%になるように含浸塗布後140℃で2分加熱し、上記熱硬化性合成樹脂初期縮合物をB−状態にした第1の不織布(B−2)を使用した。
C:第2の不織布
実施例2と同じ(C−1)を用いた。
D:成形物
上記基材(A−1)、第1の不織布(B−2)および第2の不織布(C−1)を使用し、上記実施例1と同様にして、所定の凹凸形状が付された成形物(D−3)を得た。得られた成形物(D−3)について、上記実施例1と同様にして得た通気抵抗と成形状態を表1に示す。
A:合成樹脂発泡体基材
実施例1と同じ(A−1)を用いた。
B:第1の不織布
実施例3と同じ(B−2)を用いた。
C:第2の不織布
実施例2と同じ(C−2)を用いた。
D:成形物
上記基材(A−1)、第1の不織布(B−2)および第2の不織布(C−2)を使用し、上記実施例1と同様にして、所定の凹凸形状が付された成形物(D−4)を得た。得られた成形物(D−4)について、上記実施例1と同様にして得た通気抵抗と成形状態を表1に示す。
A:合成樹脂発泡体基材
実施例1と同じ(A−1)を用いた。
B:第1の不織布
なし(省いた)。
C:第2の不織布
実施例1と同じ(C−1)を用いた。
D:成形物
A:基材(A−1)の片面に、C:第2の不織布(C−1)を重合した積層物を用い、実施例1と同様にプレス成形して、成形物(D−5)を得た。得られた成形物(D−5)について、上記実施例1と同様にして得た通気抵抗と成形状態を表1に示す。
A:合成樹脂発泡体基材
実施例1と同じ(A−1)を用いた。
B:第1の不織布
なし(省いた)。
C:第2の不織布
実施例2と同じ(C−2)を用いた。
D:成形物
A:基材(A−1)の片面に、C:第2の不織布(C−2)を重合した積層物を用い、実施例1と同様にプレス成形して、成形物(D−6)を得た。得られた成形物(D−6)について、上記実施例1と同様にして得た通気抵抗と成形状態を表1に示す。
A:合成樹脂発泡体基材
実施例1と同じ(A−1)を用いた。
B:第1の不織布
実施例1と同じ(B−1)を用いた。
C:第2の不織布
なし(省いた)。
D:成形物
A:基材(A−1)の片面に、B:第1の不織布(B−1)を重合した積層物を用い、実施例1と同様にプレス成形して、成形物(D−7)を得た。得られた成形物(D−7)について、上記実施例1と同様にして得た通気抵抗と成形状態を表1に示す。
A:合成樹脂発泡体基材
実施例1と同じ(A−1)を用いた。
B:第1の不織布
ポリエステル繊維からなり、厚さ0.08mm、質量20g/m2、伸び率(縦)25%、(横)80%のスパンボンド不織布を使用し、実施例1で使用したものと同じ熱硬化性合成樹脂初期縮合物を該スパンボンド不織布に対し固形分として15質量%になるように含浸塗布後140℃で2分加熱し、上記熱硬化性合成樹脂初期縮合物をB−状態にすることによって得られた不織布(B−3)を使用した
C:第2の不織布
実施例1と同じ(C−1)を用いた。
D:成形物
A:基材(A−1)、B:第1の不織布(B−3)およびC:第2の不織布(C−1)を用い、上記実施例1と同様にして、成形物(D−8)を得た。得られた成形物(D−8)について、上記実施例1と同様にして得た通気抵抗と成形状態を表1に示す。
A:合成樹脂発泡体基材
実施例1と同じ(A−1)を用いた。
B:第1の不織布
ポリエステル繊維からなり、厚さ0.38mm、質量90g/m2、伸び率(縦)4%、(横)25%のスパンボンド不織布を使用し、実施例1で使用したものと同じ熱硬化性合成樹脂初期縮合物を、上記スパンボンド不織布に対し固形分として73質量%になるように含浸塗布後140℃で2分加熱し、上記熱硬化性合成樹脂初期縮合物をB−状態にした不織布(B−4)を使用した。
C:第2の不織布
実施例2と同じ(C−2)を用いた。
D:成形物
A:合成樹脂発泡体基材(A−1)、B:第1の不織布(B−4)およびC:第2の不織布(C−2)を用い、上記実施例1と同様にして、成形物(D−9)を得た。得られた成形物(D−9)について、上記実施例1と同様にして得た通気抵抗と成形状態を表1に示す。
A:合成樹脂発泡体基材
実施例1と同じ(A−1)を用いた。
B:第1の不織布
実施例1と同じ(B−1)を用いた。
C:第2の不織布
ポリエステル繊維からなり、厚さ0.8mm、質量50g/m2、伸び率(縦)75%、(横)70%のニードルパンチ不織布に、実施例1で使用したものと同じ熱硬化性合成樹脂初期縮合物を該ニードルパンチ不織布に対し固形分として15質量%になるように含浸塗布後140℃で2分加熱し、上記熱硬化性合成樹脂初期縮合物をB−状態にした第2の不織布(C−3)を使用した。
D:成形物
A:基材(A−1)、B:第1の不織布(B−1)およびC:第2の不織布(C−3)を用い、上記実施例1と同様にして、成形物(D−10)を得た。得られた成形物(D−10)について、上記実施例1と同様にして得た通気抵抗と成形状態を表1に示す。
A:合成樹脂発泡体基材
実施例1と同じ(A−1)を用いた。
B:第1の不織布
実施例3と同じ(B−2)を用いた。
C:第2の不織布
ポリエステル繊維からなり、厚さ2.5mm、質量160g/m2、伸び率(縦)140%、(横)130%のニードルパンチ不織布に、実施例1で使用したものと同じ熱硬化性合成樹脂初期縮合物を該ニードルパンチ不織布に対し固形分として77質量%になるように含浸塗布後140℃で2分加熱し、上記熱硬化性合成樹脂初期縮合物をB−状態にした第2の不織布(C−4)を使用した。
D:成形物
A:基材(A−1)、B:第1の不織布(B−2)およびC:第2の不織布(C−4)を用い、上記実施例1と同様にして、成形物(D−11)を得た。得られた成形物(D−11)について、上記実施例1と同様にして得た通気抵抗と成形状態を表1に示す。
A:合成樹脂発泡体基材
実施例1と同じ(A−1)を用いた。
B:第1の不織布
実施例1と同じ(B−1)を用いた。
C:第2の不織布
上記実施例1の(C−1)で使用したポリエステル繊維からなるニードルパンチ不織布に熱硬化性合成樹脂初期縮合物を含浸させず、またホットメルト接着剤粉末撒布層を設けるべく接着剤として共重合ポリエステル樹脂からなるホットメルト接着剤粉末(粒度:80〜120μm、融点:140℃)を5g/m2の塗布量で塗布することにより、第2の不織布(C−5)を得た。
D:成形物
A:基材(A−1)、B:第1の不織布(B−1)およびC:第2の不織布(C−5)を用い、上記実施例1と同様にして、成形物(D−12)を得た。得られた成形物(D−12)について、上記実施例1と同様にして得た通気抵抗と成形状態を表1に示す。
表1より、本発明の実施例1〜実施例4は、基材の表面の全面に熱硬化性合成樹脂が含浸された第1の不織布を積層することにより、基材の表面全体が補強され、発泡体表面の脆さがなくなり、更にその上に適度な厚さと伸びの良好な不織布からなる第2の不織布が積層されることにより、プレス成形時の凹凸形状の大きい箇所における伸びの小さい第1の不織布に形成される皺は、更にその上に積層される熱硬化性合成樹脂が含浸された適度な厚さと伸びによる第2の不織布により吸収され、基材のワレや折れのない外観の優れた成形物になることが判る。加えて成形物の通気抵抗も、好適な吸音性を奏する範囲内であった。
比較例1,2,4のように第1の不織布がない場合、あるいは第1の不織布の厚さ、単位面積当りの質量、伸び、樹脂含浸量等が{厚さ(mm):<0.1、質量(g/m2):<25、伸び率(%):縦>20、横>70、樹脂含浸量(%):<20}のように範囲を外れる場合は、基材である発泡体の脆さを改善出来ず、取扱時に凹凸の大きい成形箇所で基材が折れ、このため第2の不織布に皺が発生し、表面の外観が悪くなった。また通気抵抗は、比較例1,2について、成形箇所によっては好適な吸音性を奏する範囲から外れていた。
又、同様に、比較例3,5のように第2の不織布がない場合、あるいは第1の不織布の厚さ、質量、伸び、樹脂含浸量等が{厚さ(mm):>0.3、質量(g/m2):>60、伸び率(%):縦<5、横<30、樹脂含浸量(%):>70}のように範囲を外れる場合は、成形時に凹凸の大きい成形箇所で皺が発生したり、また第2の不織布で該皺が吸収できなかったりして、表面の外観が悪くなった。また通気抵抗は、成形箇所によっては好適な吸音性を奏する範囲から外れていた。
比較例6のように第2の不織布の厚さ、質量、伸び、樹脂含浸量等が{厚さ(mm):<1.0、質量(g/m2):<60、伸び率(%):縦<80、横<80、樹脂含浸量(%):<20}のように範囲を外れる場合、成形時に凹凸の大きい成形箇所で第1の不織布表面に発生した皺が完全に吸収されずに皺が混入してしまうため、表面の外観が悪くなった。
比較例7のように第2の不織布の厚さ、質量、樹脂含浸量等が{厚さ(mm):>2.0、質量(g/m2):>150、樹脂含浸量(%):>70}のように範囲を外れたうえで樹脂含浸量が過多の場合、成形後の成形物の表面に不織布による繊維の風合いが現れず、該成形物の表面が樹脂化されてしまって見映えが悪かった。
比較例8のように、第2の不織布に樹脂が含浸されない不織布のみを使用した場合は、不織布の繊維による毛羽が成形物の表皮層表面に発生し、見映えが悪かった。
A:合成樹脂発泡体基材
厚さ20mm、単位面積当たりの質量が150g/m2のウレタン発泡体を基材(A−2)とした。
B:第1の不織布
低融点ポリエステル繊維(融点:110℃)が10質量%混入されたポリエステル繊維からなる厚さ0.15mm、質量40g/m2、伸び率(縦)15%、(横)40%のサーマルボンド不織布に、フェノール−ホルムアルデヒド共縮合物(固形分40質量%水溶液)からなる熱硬化性合成樹脂初期縮合物を、上記サーマルボンド不織布に対し固形分として40質量%になるように含浸塗布後160℃で2.0分加熱し、上記熱硬化性合成樹脂初期縮合物をプレキュアしてB−状態とすることによって、第1の不織布(B−5)を得た。
C:第2の不織布
ポリエステル繊維/ポリアミド繊維=80/20質量%の比率からなり、厚さ1.6mm、質量120g/m2、伸び率(縦)110%、(横)120%のスパンレース不織布に、熱硬化性合成樹脂初期縮合物として、スルホメチル化−フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド共縮合物(固形分40質量%水溶液)40質量%、フッ素系撥水撥油剤(固形分20質量%水溶液)5質量%、カーボンブラック(固形分30質量%水分散液)2質量%、リン酸エステル系難燃剤(固形分40質量%水溶液)5質量%、水48質量%からなる混合水溶液を、上記スパンレース不織布に対し固形分として30質量%になるように含浸塗布した。更にホットメルト接着剤粉末撒布層を設けるべく、上記スパンレース不織布の片面に、接着剤として共重合ポリアミド樹脂からなるホットメルト接着剤粉末(粒度:80〜120μm、融点:120℃)を3g/m2の塗布量で塗布した。そして上記スパンレース不織布を150℃で1.5分間加熱し、上記熱硬化性合成樹脂初期縮合物をプレキュアしてB−状態にするとともに、該スパンレース不織布の片面にホットメルト接着剤粉末を融着させることにより、第2の不織布(C−6)を得た。
D:成形物
上記で得られた基材(A−2)の両面に、第1の不織布(B−5)を重合し、さらにその上に第2の不織布(C−6)を、ホットメルト接着剤粉末撒布層が上記第1の不織布(B−5)面に重合するように積層し、加熱プレス盤上で200℃×60秒間加熱プレス成形し、凹凸形状の付いた所定形状の成形物(D−13)を得た。得られた成形物は基材表面のワレや折れがなく、通気抵抗は0.6〜2.0kpa・s/mの範囲であり、吸音性能に優れ、また凹凸の大きい成形箇所でも第1の不織布の皺が、第2の不織布で吸収されており、外観の良好な成形物であった。
A:合成樹脂発泡体基材
厚さ30mm、単位面積当たりの質量が450g/m2のの連続気泡のフェノール発泡体を基材(A−3)とした。
B:第1の不織布
ポリエステル繊維からなり、厚さ0.25mm、質量50g/m2、伸び率(縦)20%、(横)60%の、アクリル酸エステル樹脂を接着剤とするケミカルボンド不織布に、フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物(固形分50質量%水溶液)からなる熱硬化性樹脂初期縮合物を、上記ケミカルボンド不織布に対し固形分として30質量%になるように含浸塗布後140℃で2.5分加熱し、上記の該熱硬化性樹脂初期縮合物をプレキュアしてB−状態とすることによって第1の不織布(B−6)を得た。
C:第2の不織布
ポリエステル繊維/レーヨン繊維=90/10質量%の比率からなり、厚さ1.5mm、質量80g/m2、伸び率(縦)80%、(横)90%のステッチボンド不織布に、熱硬化性合成樹脂初期縮合物として、スルホメチル化−フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド共縮合物(固形分40質量%水溶液)40質量%、フッ素系撥水撥油剤(固形分20質量%水溶液)5質量%、カーボンブラック(固形分30質量%水分散液)2質量%、リン酸エステル系難燃剤(固形分40質量%水溶液)5質量%、水48質量%からなる混合水溶液を、上記ステッチボンド不織布に対し固形分として50質量%になるように含浸塗布した。更にホットメルト接着剤粉末撒布層を設けるべく、上記ステッチボンド不織布の片面に共重合ポリエステル樹脂からなるホットメルト樹脂粉末(粒度:100〜150μm、融点:150℃)を5g/m2の塗布量で塗布した。そして、170℃で1.5分加熱し、上記熱硬化性樹脂初期縮合物をプレキュアしてB−状態にするとともに、該ステッチボンド不織布の片面にホットメルト接着剤粉末を融着させることにより、第2の不織布(C−7)を得た。
D:成形物
上記で得られた基材(A−2)の片面に、凹凸形状の大きい箇所部分のみに、第1の不織布(B−6)を重合し、さらにその上に第2の不織布(C−8)を、ホットメルト接着剤粉末撒布層が第1の不織布(B−6)面に重合するようにして、成形物全面に積層し、加熱プレス盤上で210℃×50秒間加熱プレス成形し、所定の凹凸形状が付された成形物(D−14)を得た。得られた成形物は、通気抵抗が0.4〜1.5kpa・s/mの範囲であり、吸音性能に優れ、基材表面のワレや折れがなく、また凹凸の大きい成形箇所でも第1の不織布のしわは、第2の不織布で吸収されており、外観の良好な成形物であった。
2 合成樹脂発泡体基材
3 第1の不織布
4 第2の不織布
3A,4A 浸出層
5,6 ホットメルト接着剤粉末撒布層
Claims (7)
- 合成樹脂発泡体基材と、上記合成樹脂発泡体基材の両面または片面に積層された第1の不織布と、上記第1の不織布の表面に積層された第2の不織布とからなり、
上記第1の不織布は、繊維相互が溶融接合、低融点熱可塑性合成樹脂による溶融接合、あるいは接着剤による接合によって接合されており、
上記第2の不織布は、繊維相互が交絡によって接合されているとともに、
上記第1の不織布および/または第2の不織布には熱硬化性合成樹脂が含浸されていることを特徴とする吸音性内装材。 - 上記第1の不織布と、上記合成樹脂発泡体基材の表面および/または上記第2の不織布とは、上記第1の不織布および/または上記第2の不織布に含浸されている熱硬化性合成樹脂が該第1の不織布および/または該第2の不織布の表面に浸出してなる浸出層により、通気性を維持した状態で接着されている請求項1に記載の吸音性内装材。
- 上記第1の不織布と、上記合成樹脂発泡体基材の表面および/または上記第2の不織布とは、ホットメルト接着剤粉末撒布層により、通気性を維持した状態で接着されている請求項1に記載の吸音性内装材。
- 上記第1の不織布には、その繊維に溶融紡糸で得られる長繊維フィラメントを用いる請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の吸音性内装材。
- 上記第2の不織布は、ウェブ中の繊維相互をニードルパンチによって絡合する、高圧水流や加熱蒸気を吹き付けることによって絡合する、または複数層のウェブを重ねて長繊維で縫製することによって製造される請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の吸音性内装材。
- 上記第1の不織布および/または第2の不織布に含浸されている熱硬化性合成樹脂は、フェノール系合成樹脂である請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の吸音性内装材。
- 上記吸音性内装材の通気抵抗は、0.30〜2.50kPa・s/mである請求項1から請求項6のうち何れか一項に記載に吸音性内装材。
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