JP2015137373A - アルミニウム膜の製造方法及び製造装置 - Google Patents

アルミニウム膜の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Junichi Nishimura
淳一 西村
細江 晃久
Akihisa Hosoe
晃久 細江
奥野 一樹
Kazuki Okuno
一樹 奥野
弘太郎 木村
Kotaro Kimura
弘太郎 木村
健吾 後藤
Kengo Goto
健吾 後藤
英彰 境田
Hideaki Sakaida
英彰 境田
隼一 本村
Junichi Motomura
隼一 本村
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Abstract

【課題】長尺状多孔性樹脂基材表面に高品質なめっき膜を形成することができるアルミニウム膜の製造方法の提供。【解決手段】溶融塩電解液中で、導電性が付与された長尺状の多孔性樹脂基材1の表面にアルミニウムを電着させるアルミニウム膜の製造方法であって、第1円筒状電極を有する第1めっき槽10で前記多孔性樹脂基材の一方の面にアルミニウムにめっき膜を形成する第1めっき工程と、第2円筒状電極21を有する第2めっき槽20で、第1めっき工程で得られた一方の面にめっき膜を有する多孔性樹脂基材の他方の面にアルミニウム膜を形成する第2めっき工程とを有し、第1円筒状電極11は円筒状電極の表面に多孔性樹脂基材と接触する電極部を有し、第2円筒状電極21は円筒状電極の表面の円筒の軸方向の両端部に多孔性樹脂基材と接触する電極部を有するアルミニウム膜の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、電池の電極、各種フィルター、触媒の担体等に使用される、連通気孔を有する長尺状の三次元網状構造のアルミニウム多孔体を得るためのアルミニウム膜の製造方法及び製造装置に関する。
図12に示すような連続気孔を有する三次元網目構造を有する金属多孔体は、各種フィルター、触媒担体、電池用電極など多方面に用いられている。
このような三次元網目状構造を有する金属多孔体は、フェルトや海綿状の発泡樹脂等の多孔性樹脂基材の表面に導電性を付与するために無電解めっき法、導電性材料を塗布する方法、真空蒸着法、スパッタリング法等によって導電性材料を被覆する導電化処理を施し、次いで、この導電化処理した多孔性樹脂基材の表面に電気めっきを施し、必要に応じて多孔性樹脂基材を除去することによって得られる。
多孔性樹脂基材に導電性を付与する方法として、前記の真空蒸着法及びスパッタリング法はコスト的に不利である。また、無電解めっき法は生産性に劣る。これに対し、多孔性樹脂基材に導電性材料としてカーボンを含有する導電性塗料を塗布して多孔性樹脂基材表面をカーボン粒子で被覆することにより導電化処理する方法(以下、カーボン塗布法という)は生産性に優れており好ましい方法である。
上記のようにして導電化処理された多孔性樹脂基材の表面に電気めっきによりアルミニウム膜を形成するに際しては、水溶液中でアルミニウムをめっきすることは、実用上ほとんど不可能である。このため、溶融塩中でアルミニウムをめっきする溶融塩電解めっき法により、連通孔を有する多孔性樹脂基材の表面にアルミニウム膜を形成する。
ところで、電気めっき法には給電電極をワークに接触させてワークに直接給電する方法(以下、液外給電方式という。)と給電電極から電解液を介して間接的に給電する方法(以下、液中給電方式という。)とがある。
液外給電方式は装置が簡単でメンテナンスも容易であるという利点があるが、高い電流密度で処理を行うことができない。
これに対し、液中給電方式による処理は、高い電流密度で処理を行うことができるので特に長尺物の高速連続処理に特に適した方法である。
カーボン塗布法によって得られた導電膜は抵抗率が50μΩ・mと高いため、長尺状のアルミニウム多孔体を製造する際に用いるめっき方法としては液中給電方式を採用することが考えられる。
液中給電方式を実施するための装置としてはワークをめっき浴中を水平方向に搬送する方法とワークを円筒状電極の円筒表面に沿って搬送させる方法とがあるが、円筒状電極を用いる方法の方が装置をコンパクト化することができ、長尺状物の処理の生産性も良いので好ましい。
円筒状電極を用いる方法としては第1円筒状電極を有する第1めっき槽で長尺状物の一方の面に電気めっきを施し、次いで、第2円筒状電極を有する第2めっき槽で他方の面に電気めっきを施す方法が考えられる。
円筒状電極を用いて電気めっきする装置は特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載されているめっき装置を図13に示す。
図13において、41はめっき装置であり、42はカソードとしての円筒状電極であり、42aは円筒状電極42上に形成された導電材からなる突起である。また、43はアノードであり、44はめっき槽であり、45はめっき槽44に収容されためっき液である。Wは、めっきが施される導電性が付与された多孔性の長尺帯、すなわち多孔性樹脂基材(ワーク)である。円筒状電極42は、その下部がめっき液45に浸漬されて、ワークWの搬送速度と同じ速度で回転する。めっき中、突起42aが多孔体であるワークWの小孔に入り込み、突起42aの周囲でめっきが行われるため、ワークWの内部まで充分にめっきすることができる。
上記のめっき装置を二つ直列に接続して、第一番目のめっき槽でワークの一方の面をめっきし、第2番目のめっき槽で他方の面をめっきすることによってアルミニウム多孔体を得ることができる。
特開2013−7069号公報
本発明者が前記の円筒状電極を使用するめっき槽を二つ直列に接続してめっきを行ったところ、得られためっき膜は第2番目のめっき槽の円筒状電極に接触していた側の面が黒く変色し、これによって外観が損なわれ、また電気特性も低下するという課題があることが分かった。
本発明は円筒状電極を備えた二つのめっき槽を用いて長尺状多孔性樹脂基材表面に高品質なめっき膜を形成することができるアルミニウム膜の製造方法およびその方法を実施するアルミニウム膜の製造装置を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、第1めっき槽で形成された第1めっき膜が第2めっき槽において第2円筒状電極に接触すると第1めっき膜に電流が集中して流れることによって黒いコゲめっきとなるとの知見を得た。
そして、第2円筒状電極の電極をワークの幅方向の両端部にのみ配置することによって前記課題が解決できることを見出して本発明を完成した。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用する。
即ち、本発明は、溶融塩電解液中で、導電性が付与された長尺状の多孔性樹脂基材の表面にアルミニウムを電着させるアルミニウム膜の製造方法であって、
第1円筒状電極を有する第1めっき槽で前記長尺状の多孔性樹脂基材の一方の面にアルミニウムにめっき膜を形成する第1めっき工程と、
第2円筒状電極を有する第2めっき槽で、前記第1めっき工程で得られた一方の面にめっき膜を有する前記多孔性樹脂基材の他方の面にアルミニウム膜を形成する第2めっき工程とを有し、
前記第1円筒状電極は円筒状電極の表面に前記多孔性樹脂基材と接触する電極部を有し、
前記第2円筒状電極は円筒の軸方向の両端部に前記多孔性樹脂基材と接触する電極部を有する
アルミニウム膜の製造方法、である。
本発明のめっき方法によれば円筒状電極を備えた二つのめっき槽を用いて長尺状多孔性樹脂基材表面に焦げめっきのない高品質なめっき膜を形成することができる。
本発明のアルミニウム膜の製造方法の一例を示す概略図である 本発明における第1円筒状電極の一例を示す概略図である。 本発明における第1円筒状電極の表面部分の表す概略図である。 図2に示す第1円筒状電極を製造する工程の一例を示す概略図である。 本発明における第1円筒状電極の他の例を示す概略図である。 図4に示す第1円筒状電極を製造する工程の一例を示す概略図である。 本発明における第2円筒状電極の一例を示す概略図である。 本発明における第2円筒状電極の他の例を示す概略図である。 アルミニウム多孔体の製造工程を示すフロー図である。 アルミニウム多孔体の製造工程を説明する断面模式図である 導電性塗料による樹脂多孔体表面の連続導電化工程の一例を説明する図である。 連続気孔を有する三次元網目構造を有する金属多孔体を示す図である。 円筒状電極を用いて電気めっきする装置の従来例を示す図である。
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施形態に係るアルミニウム膜の製造方法は、
溶融塩電解液中で、導電性が付与された長尺状の多孔性樹脂基材の表面にアルミニウムを電着させるアルミニウム膜の製造方法であって、
第1円筒状電極を有する第1めっき槽で前記長尺状の多孔性樹脂基材の一方の面にアルミニウムにめっき膜を形成する第1めっき工程と、
第2円筒状電極を有する第2めっき槽で、前記第1めっき工程で得られた一方の面にめっき膜を有する前記多孔性樹脂基材の他方の面にアルミニウム膜を形成する第2めっき工程とを有し、
前記第1円筒状電極は円筒状電極の表面に前記多孔性樹脂基材と接触する電極部を有し、
前記第2円筒状電極は円筒の軸方向の両端部に前記多孔性樹脂基材と接触する電極部を有する、
アルミニウム膜の製造方法、である。
本実施形態によれば、第1めっき槽及び第2めっき槽の両槽において円筒状電極を用いるので高い電流密度をえることができ、生産性を向上させることができる。また、第2円筒状電極の電極部を円筒の軸方向の両端部にのみ設けることによってアルミニウム膜にコゲめっきが生じることがなく、高品質のめっき膜とすることができる。
(2)本発明の実施形態に係るアルミニウム膜の製造方法は、前記第1円筒状電極の電極部が円筒状電極の表面から針状に突出した針状電極である上記(1)に記載のアルミニウム膜の製造方法、である。
本実施形態によれば、針状電極を用いることにより針状電極が多孔性樹脂基材の内部まで進入して、多孔性樹脂基材の内部まで均一にアルミニウム膜を形成することができる。また、電極が針状であり、電極面積が小さいので電極表面に付着したアルミニウム膜を除去するメンテナンス操作も容易である。
(3)本発明の実施形態のアルミニウム膜の製造方法は、前記第1円筒状電極の電極部が円筒状電極の円周方向に円筒状電極の表面から線状に突出した線状電極である上記(1)に記載のアルミニウム膜の製造方法、である。
本実施形態によれば、円筒状電極の表面に円周方向に線状の突起電極を設けることで、めっき槽中において長尺状の基材に対して充分均一に金属を電気めっきすることが可能となる。また、電極が線状であり、電極面積が小さいので電極表面に付着したアルミニウム膜を除去するメンテナンス操作も容易である。
(4)本発明の実施形態に係るアルミニウム膜の製造方法は、前記第2円筒状電極の電極部が円筒状電極の表面から針状に突出した針状電極であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のアルミニウム膜の製造方法、である。
本実施形態によれば、上記(2)の実施形態と同様の効果が得られる。
(5)本発明の実施形態に係るアルミニウム膜の製造方法は、前記第2円筒状電極の電極部が円筒状電極の表面から線状に突出した線状電極であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のアルミニウム膜の製造方法、である。
本実施形態によれば、上記(3)の実施形態と同様の効果が得られる。
(6)本発明の実施形態に係るアルミニウム膜の製造装置は、溶融塩電解液中で、導電性が付与された長尺状の多孔性樹脂基材の表面にアルミニウムを電着させるアルミニウム膜の製造装置であって、
第1円筒状電極を有する第1めっき槽と、
第2円筒状電極を有する第2めっき槽と
を有し、
前記第1円筒状電極は円筒状電極の全面に前記多孔性樹脂基材と接触する電極部を有し、
前記第2円筒状電極は円筒の軸方向の両端部に前記多孔性樹脂基材と接触する電極部を有する、
アルミニウム膜の製造装置、である。
本実施形態によれば、第1めっき槽及び第2めっき槽の両槽において円筒状電極を用いるので高い電流密度をえることができ、生産性を向上させることができる。また、第2円筒状電極の電極部を円筒の軸方向の両端部にのみ設けることによってアルミニウム膜にコゲめっきが生じることがなく、高品質のめっき膜とすることができる。
本発明に係るアルミニウム膜の製造方法の概要について述べる。
以下ではウレタン等の樹脂多孔体の表面にアルミニウム膜を形成する例を代表例として適宜図を参照して説明する。以下で参照する図面で同じ番号が付されている部分は同一またはそれに相当する部分である。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(アルミニウム構造体の製造工程の概要)
図9は、アルミニウム多孔体の製造工程を示すフロー図である。また図10は、フロー図に対応して基体となる多孔性樹脂基材(以下、「樹脂多孔体」ということがある)を芯材としてアルミニウム膜を形成する様子を模式的に示したものである。両図を参照して製造工程全体の流れを説明する。
まず樹脂多孔体の準備101を行う。図10(a)は、樹脂多孔体の例として、連通気孔を有する樹脂多孔体の表面を拡大視した拡大模式図である。樹脂多孔体1を骨格として気孔が形成されている。次に樹脂多孔体表面の導電化102を行う。この工程により、図10(b)に示すように樹脂多孔体1の表面には薄く導電体による導電層2が形成される。
続いて溶融塩中でのアルミニウムめっき103を行い、導電層が形成された樹脂多孔体の表面にアルミニウム膜3を形成する(図10(c))。これで、樹脂多孔体を基材として表面にアルミニウム膜3が形成されたアルミニウム構造体が得られる。必要に応じてアルミニウム構造体から基体樹脂の除去104を行う。
樹脂多孔体1を分解等して消失させることにより金属層のみが残ったアルミニウム多孔体3を得ることができる(図10(d))。
以下各工程について順を追って説明する。
(多孔性樹脂基材の準備)
三次元網目構造を有し連通気孔を有する樹脂多孔体を準備する。樹脂多孔体の素材は任意の樹脂を選択できる。ポリウレタン、メラミン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の発泡樹脂成形体が素材として例示できる。発泡樹脂成形体と表記したが、連続した気孔(連通気孔)を有するものであれば任意の形状の樹脂成形体を選択できる。例えば繊維状の樹脂を絡めて不織布のような形状を有するものも発泡樹脂成形体に代えて使用可能である。発泡樹脂成形体の気孔率は80%〜98%、気孔径は50μm〜500μmとするのが好ましい。発泡ウレタン及び発泡メラミンは気孔率が高く、また気孔の連通性があるとともに熱分解性にも優れているため発泡樹脂成形体として好ましく使用できる。
発泡ウレタンは気孔の均一性や入手の容易さ等の点で好ましく、発泡ウレタンは気孔径の小さなものが得られる点で好ましい。
樹脂多孔体には発泡体製造過程での製泡剤や未反応モノマーなどの残留物があることが多く、洗浄処理を行うことが後の工程のために好ましい。樹脂基材が骨格として三次元的に網目を構成することで、全体として連続した気孔を構成している。発泡ウレタンの骨格はその延在方向に垂直な断面において略三角形状をなしている。ここで気孔率は、次式で定義される。
気孔率=(1−(樹脂多孔体の重量[g]/(樹脂多孔体体積[cm]×素材密度)))×100[%]
また、気孔径は、樹脂基材表面を顕微鏡写真等で拡大し、1インチ(25.4mm)あたりの気孔数をセル数として計数して、平均孔径=25.4mm/セル数として平均的な値を求める。
(樹脂多孔体表面の導電化)
電気めっきを行うために、発泡樹脂の表面をあらかじめ導電化処理する。
本発明においては、カーボン等の導電性粒子を含有した導電性塗料を発泡樹脂表面に塗布して導電化処理を行う。
まず、導電性塗料としてのカーボン塗料を準備する。導電性塗料としての懸濁液は、好ましくは、カーボン粒子、粘結剤、分散剤および分散媒を含む。導電性粒子の塗布を均一に行うには、懸濁液が均一な懸濁状態を維持している必要がある。このため、懸濁液は、20℃〜40℃に維持されていることが好ましい。その理由は、懸濁液の温度が20℃未満になった場合、均一な懸濁状態が崩れ、樹脂多孔体の網状構造をなす骨格の表面に粘結剤のみが集中して層を形成するからである。この場合、塗布されたカーボン粒子の層は剥離し易く、強固に密着した金属めっきを形成し難い。一方、懸濁液の温度が40℃を越えた場合は、分散剤の蒸発量が大きく、塗布処理時間の経過とともに懸濁液が濃縮されてカーボンの塗布量が変動しやすい。また、カーボン粒子の粒径は、0.01〜5μmで、好ましくは0.01〜0.5μmである。粒径が大きいと樹脂多孔体の空孔を詰まらせたり、平滑なめっきを阻害したりする要因となり、小さすぎると十分な導電性を確保することが難しくなる。
樹脂多孔体へのカーボン粒子の塗布は、上記懸濁液に対象となる樹脂多孔体を浸漬し、絞りと乾燥を行うことで可能である。
図11は実用上の製造工程の一例として、骨格となる帯状の樹脂多孔体を導電化する処理装置の構成例を模式的に示す図である。図示の如く、この装置は長尺状樹脂基材(以下「帯状樹脂」ともいう)51を供給するサプライボビン52と、導電性塗料の懸濁液54を収容した槽55と、槽55の上方に配置された1対の絞りロール57と、走行する帯状樹脂51の側方に対向して設けられた複数の熱風ノズル56と、処理後の帯状樹脂51を巻き取る巻取りボビン58とを備えている。また、帯状樹脂51を案内するためのデフレクタロール53が適宜配置されている。以上のように構成された装置において、三次元網状構造を有する帯状樹脂51は、サプライボビン52から巻き戻され、デフレクタロール53により案内されて、めっき槽55内の懸濁液内に浸漬される。槽55内で懸濁液54に浸漬された帯状樹脂51は、上方に向きを変え、懸濁液54の液面上方の絞りロール57の間を走行する。このとき、絞りロール57の間隔は、帯状樹脂51の厚さよりも小さくなっており、帯状樹脂51は圧縮される。従って、帯状樹脂51に含浸された過剰な懸濁液は、絞り出されて槽55内に戻る。
続いて、帯状樹脂51は、再び走行方向を変える。ここで、複数のノズルから構成された熱風ノズル56が噴射する熱風により懸濁液の分散媒等が除去され、充分に乾燥された上で帯状樹脂51は巻取りボビン58に巻き取られる。尚、熱風ノズル56の噴出する熱風の温度は40℃から80℃の範囲であることが好ましい。以上のような装置を用いると、自動的かつ連続的に導電化処理を実施することができ、目詰まりのない網目構造を有し、且つ、均一な導電層を具備した骨格が形成されるので、次工程の金属めっきを円滑に行うことができる。
(アルミニウム膜の形成:溶融塩めっき)
次に溶融塩中で電解めっきを行い、樹脂多孔体表面にアルミニウム膜を形成する。
溶融塩浴中でアルミニウムのめっきを行うことにより特に三次元網目構造を有する樹脂多孔体のように複雑な骨格構造の表面に均一に厚いアルミニウム膜を形成することができる。
表面が導電化された樹脂多孔体を陰極とし、アルミニウムを陽極として溶融塩中で直流電流を印加する。
また、溶融塩としては、有機系ハロゲン化物とアルミニウムハロゲン化物の共晶塩である有機溶融塩、アルカリ金属のハロゲン化物とアルミニウムハロゲン化物の共晶塩である無機溶融塩を使用することができる。比較的低温で溶融する有機溶融塩浴を使用すると、基材である樹脂多孔体を分解することなくめっきができ好ましい。有機系ハロゲン化物としてはイミダゾリウム塩、ピリジニウム塩等が使用でき、具体的には1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド(EMIC)、ブチルピリジニウムクロライド(BPC)が好ましい。
溶融塩中に水分や酸素が混入すると溶融塩が劣化するため、めっきは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、かつ密閉した環境下で行うことが好ましい。
溶融塩浴としては窒素を含有した溶融塩浴が好ましく、中でもイミダゾリウム塩浴が好ましく用いられる。溶融塩として高温で溶融する塩を使用した場合は、めっき膜の成長よりも樹脂が溶融塩中に溶解や分解する方が早くなり、樹脂多孔体表面にめっき膜を形成することができない。イミダゾリウム塩浴は、比較的低温であっても樹脂に影響を与えず使用可能である。イミダゾリウム塩として、1,3位にアルキル基を持つイミダゾリウムカチオンを含む塩が好ましく用いられ、特に塩化アルミニウム−1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド(AlCl−EMIC)系溶融塩が、安定性が高く分解し難いことから最も好ましく用いられる。発泡ウレタン樹脂や発泡メラミン樹脂などへのめっきが可能であり、溶融塩浴の温度は10℃から100℃、好ましくは25℃から45℃である。低温になる程めっき可能な電流密度範囲が狭くなり、多孔体表面全体へのめっきが難しくなる。100℃を超える高温では基材樹脂の形状が損なわれる不具合が生じやすい。
金属表面への溶融塩アルミニウムめっきにおいて、めっき表面の平滑性向上の目的でAlCl−EMICにキシレン、ベンゼン、トルエン、1,10−フェナントロリンなどの添加剤を加えることが報告されている。本発明者らは特に三次元網目構造を備えた樹脂多孔体上にアルミニウムめっきを施す場合に、1,10−フェナントロリンの添加によりアルミニウム多孔体の形成に特有の効果が得られることを見出した。すなわち、多孔体を形成するアルミニウム骨格が折れにくいという第1の特徴と、多孔体の表面部と内部とのめっき厚さの差が小さい均一なめっきが可能であるという第2の特徴が得られるのである。
一方、樹脂が溶解等しない範囲で溶融塩として無機塩浴を用いることもできる。無機塩浴とは、代表的にはAlCl−XCl(X:アルカリ金属)の2成分系あるいは多成分系の塩である。このような無機塩浴はイミダゾリウム塩浴のような有機塩浴に比べて一般に溶融温度は高いが、水分や酸素など環境条件の制約が少なく、全体に低コストでの実用化が可能とできる。樹脂が発泡メラミン樹脂である場合は、発泡ウレタン樹脂に比べて高温での使用が可能であり、60℃〜150℃での無機塩浴が用いられる。
図1は前述の帯状樹脂に対してアルミニウムめっき処理を連続的に行うための装置の構成を模式的に示す図である。
めっき装置は第1円筒状電極11を備えた第1めっき槽10と、第2円筒状電極21を備えた第2めっき槽20とからなる。
図1に示しためっき装置ではめっきが施される長尺状の樹脂多孔体(ワーク)は第1めっき槽10から第2めっき槽20に送られる。
サプライボビン4から繰り出されたワーク1は第1めっき槽10で第1の面が電気めっきされる。第1の面がめっきされたワーク2は第2めっき槽20で第1の面と反対側の第2の面が電気めっきされ、めっきを終えたワーク3は巻取りボビン9に巻き取られる。
なお、ワーク1、2、3はデフレクタロール5、6及びピンチロール7、8によって支持され、搬送される。
以下、第1めっき槽及び第2めっき槽のそれぞれについて説明する。
(第1めっき槽)
第1めっき槽10は、第1円筒状電極11と容器内壁に設けられたアルミニウムからなる陽極12およびめっき浴13から構成される。
円筒状電極11はワーク1の全面に均一な厚さのめっき膜が形成されるようなものであればよい。
円筒状電極は全面が導電性材料から構成されていても良いが、円筒状電極の表面から突出した突起状の導電性材料からなる電極部を設けたものであっても良い。この場合、電極部以外の円筒状電極の表面は絶縁材から構成される。
このような突起状の電極を設けた円筒状電極としては、特開2013−7069号公報に記載されているものを用いることができる。
図2に示したものは円筒状電極の一例である。図2において円筒状電極11は給電層31、絶縁層32、及び電極部を構成する導電性の突起33を備えている。
突起33は、絶縁層32を貫通し、その一端は給電層31に接しており、他端は絶縁層32の表面から突出して突起を形成している。従って、この突起33が電極として機能する。以下では針状の突起33を「針状電極」ということがある。
突起33のサイズは、ワークに対して一様にめっきが施されるように、ワークのセル径や厚さに応じて適宜設定されており、例えば、底部の直径、高さがそれぞれ0.5mm、1mm程度に設定された突起33が設けられる。
突起33は、円筒状電極11の表面に整列して配置される。突起33の間隔(ピッチ)は、製品に一様にめっきを施すことができるように適宜設定されており、例えば、1.5mm程度に好ましく設定される。また、整列方法としては、図3に示す整列方法が好ましく用いられる。図3は、円筒状電極11の表面の一部を表わす平面図であり、図3において33は突起であり、32は絶縁層である。突起33は、碁盤目状に配置しても良いが、図3に示すように、千鳥状に配置する方が突起ピッチを均等にすることができ、めっき品質の面からは好ましい。
図2に示した円筒状電極の製造方法について説明する。
図4は、本発明の一実施の形態における円筒状電極の突起の形成方法を説明する図である。図4において、11は円筒状電極であり、33は突起であり、32は絶縁層であり、31は給電層であり、34は貫通孔である。
まず、図4(a)に示す給電層31の表面に、図4(b)に示すように絶縁層32を形成する。次に、機械加工またはフォトリソグラフィなどのマスク法、あるいはエキシマレーザ等のレーザを用いて、図4(c)に示すように絶縁層32の所定の位置に、所定の大きさの貫通孔34を形成する。
次に、例えば、電気めっきにより貫通孔34に突起33を形成させる。具体的には、例えば、Ni製の突起33は、給電層31を陰極として、Niめっきすることにより形成され、Al製の突起33は、給電層31を陰極として、Alめっきすることにより形成される。
突起33の太さおよび絶縁層32の表面からの高さは、それぞれ貫通孔34の太さおよびめっき量を調整することにより制御される。
円筒状電極の他の例を図5に基づいて説明する。
円筒状電極11は、給電層31、絶縁層32、及び電極部を構成する導電性材料からなる線状の突起33を備えている。絶縁層32は給電層31の表面を被覆しており、突起33は絶縁層32の表面から突出して給電層31と導通するように形成されている。そして、この突起33が電極として機能する。以下では線状の突起33を「線状電極」ということがある。
図5に示す円筒状電極11は例えば以下に記載するような方法によって製造することができる。
図6(a)に示すように、中央に貫通孔を有するドーナッツ状の絶縁性円板42と、中央に貫通孔を有するドーナッツ状の金属製円板43とを作製し、これらを交互に同心円状に並べて円筒状にする。そして、中央の貫通孔に給電層となる円柱状の給電材を挿入してしっかりと固定する。
絶縁性円板42と金属製円板43との固定は、例えば、ボルトでの締め付けや、接着剤の塗布等により行うことができる。また、貫通孔に挿入した給電材との固定も同様に、ボルトや導電性の接着剤を用いて行うことができる。
金属製円板43の直径は絶縁性円板42の直径よりも大きいことが好ましいが、同程度かそれよりも小さい場合であっても、給電材を挿入した後に、前述の方法のように金属製円板の表面に金属をめっきすればよい。
図6(b)に、上記の方法によって得られる円筒状電極の表面部分の拡大断面図を示す。
図6(b)は、絶縁性円板42と金属製円板43とを交互に並べて固定することによって作製した例である。
以上のようにして本発明の実施形態に係る円筒状電極を製造することができる。
絶縁性円板42は前述の絶縁層となるものであるから、絶縁性であって、円筒状電極を設置するめっき槽中で接触するめっき液に対して安定なものであればよい。
金属製円板43は前述の突起電極となるものであるから、導電性のものであれば特に限定されず、各種金属材料を好ましく用いることができる。また、基材にめっきする金属と同じ材質の金属であることが好ましい。
給電層は前述のように導電性のものであれば特に限定されず、各種金属を好ましく用いることができる。また、給電層は、一層であってもよいし、二層以上が積層されていてもよい。
また、絶縁性円板42はドーナッツ状の1枚ものとしてもよいし、複数の部材片を組み合わせて円板状のものとしても良い。
図5の円筒状電極では、突起33は円筒状電極11の円周方向に平行に線状に連続して形成されている。このため、円筒状電極11は絶縁層32と突起33とが円筒状電極の軸方向に交互に並んだ状態になっている。以下では突起33を「線状電極」ということがある。また、円筒状電極において突起33は円周方向に連続して閉じた状態で形成されていてもよいし、一部に切り欠きが形成されていて不連続となっていてもよい。突起33上に切り欠き部がある場合には、切り欠き部は短い方が好ましく、連続した突起電極の長さよりも短い方がよい。
また、突起33は円周方向と平行に形成されていてもよいし、円周方向に対して多少の傾きをもって形成されていてもよい。連続した線状の突起が円周方向に対して傾きを有している場合には、突起電極は円筒状電極の表面においてらせん状に形成されることになる。突起と円周方向との角度はなるべく小さい方が好ましく、60°以内であることが好ましい。
突起33の幅に対して絶縁層32の幅を大きくすると、電流効率を上げることができる。一方で、例えば、基材がカーボン塗布して導電化処理された樹脂成形体のように電気抵抗が大きい基材の場合には、金属めっきの付き回りが悪くなる傾向にある。また、突起33の幅に対して絶縁層32の幅を小さくすると、抵抗小さくなり、基材への金属めっきの付き回りを良くすることができるが、一方で、電流効率が悪くなる傾向にある。
このため、絶縁層32と突起33の幅は、上記の点を勘案して、金属をめっきする基材の材質や厚さ、めっきをする金属の種類などに応じて適宜設定すればよい。
例えば、カーボン塗布により導電性を付与した発砲ウレタン樹脂に溶融塩中でアルミニウムをめっきする場合には、絶縁層12の幅が4〜12mm程度、突起電極13の幅が1〜4mm程度で交互に並べて形成されていることによって良好に電気めっきを行うことができる。
突起33は絶縁層32の表面から突出している必要がある。これは、円筒状電極と基材とを接触させる際に、必ず突起33が基材と接触して給電を行うことができるようにするためである。特に、基材が導電性を付与された三次元網目状構造を有する樹脂成形体のように電気抵抗が大きく、多孔性部の内部にまで均一にめっき膜を形成することが難しい基材の場合には、突起33と基材とを充分に接触させる必要がある。突起33が絶縁層32から突出している高さは特に限定されないが、0mm〜2mm程度突出していることが好ましく、0.2mm〜1.5mm程度突出していることがより好ましく、0.5mm〜1mm程度突出していることが更に好ましい。これにより突起33が基材と充分に接触するようにすることができる。
絶縁層よりも突起電極が低いと基材の表面と突起電極とが接触しないため、基材の表面に金属を電気めっきすることができない。但し、本発明の円筒状電極はめっき液が充填されためっき槽中に設けるものであるから、操業中に、めっき液と突起電極とが接触すれば突起電極の表面に金属が電着し始めて突起電極の高さが高くなり、絶縁層の表面から突出するようになる。このような状態になれば突起電極と基材とが接触するようになるため給電が可能となり、基材の表面に金属を電気めっきすることができる。
(第2めっき槽)
第2めっき槽20は、第2円筒状電極21と容器内壁に設けられたアルミニウムからなる陽極22およびめっき浴23から構成される。
第2めっき槽は第1めっき槽とほぼ同様の構成を有するが、第2円筒状電極の電極配置が第1円筒状電極の電極配置と異なる。
−針状電極の例−
図7第2円筒状電極の一例を示す。
図7に示した例は図2に示したものと同様に突起電極を有するものである。
図7に示すように第2円筒状電極21はワークの幅方向の両端部(耳部)に対応する位置にのみ突起33(突起電極)を有している。
この様な電極配置とした理由について述べる。
既に述べたように、第1めっき槽10で形成された第1めっき膜が第2めっき槽20において第1円筒状電極11と同様な電極配置の円筒状電極と接触すると第1めっき膜に電流が集中して流れ、第1めっき膜が黒色を呈するコゲめっきとなる。
これに対して、図7に示したように第2円筒状電極21の幅方向端部のみに設けた場合には、第2円筒状電極21の端部に設けた電極からワークの第1めっき面の幅方向に電流が均一に流れるので、のワークの中央部に電極を設けなくてもワークの全面にめっきが形成される。
従って、ワークの両端部(両耳部)にはコゲめっきが生じても、端部以外のワークの面は電極に接触することがないので電流の集中がなく焦げめっきが生じない。
第2めっき膜形成後はワークの両端部(両耳部)を切断除去することによりコゲめっきのない高品質のめっき品を得ることできる。
−線状電極の例−
図8に示した例は図4に示したものと同様に線状電極を有するものである。
図8に示すように第2円筒状電極21はワークの幅方向の両端部(耳部)に対応する位置にのみ突起33(線状電極)を有している。
そして、線状電極33から電流を供給すると、第2円筒状電極21の端部に設けた電極からワークの第1めっき面の幅方向に電流が均一に流れるので、のワークの中央部に電極を設けなくてもワークの全面にめっきが形成される。
従って、ワークの両端部(両耳部)にはコゲめっきが生じても、端部以外のワークの面は電極に接触することがないので電流の集中がなく焦げめっきが生じない。
第2めっき膜形成後はワークの両端部(両耳部)を切断除去することによりコゲめっきのない高品質のめっき品を得ることできる。
本発明のアルミニウムのめっき方法において使用する円筒状電極の材料は特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、銅、鉄等を好ましく用いることができる。
また、突起11は、一般に、めっきする金属と同じ材質の金属で形成されることが好ましく、アルミニウム(Al)めっき用にはAlで形成された突起11が好ましく用いられる。
(水洗)
めっきされ多孔性樹脂基材表面にアルミニウム膜が形成されたアルミニウム構造体に窒素ブローでめっき液を十分除去した後、水洗しアルミ多孔体を得る。
以上の工程により骨格の芯として樹脂成形体を有するアルミニウム構造体(アルミニウム多孔体)が得られる。各種フィルターや触媒担体などの用途によっては、このまま樹脂と金属の複合体として使用しても良い。また使用環境の制約などから、樹脂が無い金属構造体として用いる場合には樹脂を除去しても良い。樹脂の除去は、有機溶媒、溶融塩、又は超臨界水による分解(溶解)、加熱分解等任意の方法で行うことができる。ここで、高温での加熱分解等の方法は簡便であるが、アルミニウムの酸化を伴う。アルミニウムはニッケル等と異なり、一旦酸化すると還元処理が困難であるため、たとえば電池等の電極材料として使用する場合には、酸化により導電性が失われることから用いることが出来ない。
このため、アルミニウムの酸化が起こらないように、以下に説明する溶融塩中での熱分解により樹脂を除去する方法が好ましく用いられる。
(樹脂の除去:溶融塩中熱分解)
溶融塩中での熱分解は以下の方法で行う。表面にアルミニウム膜を形成した樹脂成形体を溶融塩に浸漬し、アルミニウム膜に負電位を印加しながら加熱して発泡樹脂成形体を分解する。溶融塩に浸漬した状態で負電位を印加すると、アルミニウムを酸化させることなく発泡樹脂成形体を分解することができる。加熱温度は発泡樹脂成形体の種類に合わせて適宜選択できるが、アルミニウムを溶融させないためにはアルミニウムの融点(660℃)以下の温度で処理する必要がある。好ましい温度範囲は500℃以上600℃以下である。また印加する負電位の量は、アルミニウムの還元電位よりマイナス側で、かつ溶融塩中のカチオンの還元電位よりプラス側とする。
樹脂の熱分解に使用する溶融塩としては、アルミニウムの電極電位が卑となるようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物の塩が使用できる。具体的には塩化リチウム(LiCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化アルミニウム(AlCl)からなる群より選択される1種以上を含むと好ましい。このような方法によって連通気孔を有し、表面の酸化層が薄く酸素量の少ないアルミニウム多孔体を得ることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲の範囲によって示され、特許請求の範囲の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
[実施例1]
(多孔性樹脂基材)
基材として、幅1m、厚さ1mm、気孔率95体積%、1インチ当たりの気孔数(セル数)約50個の発泡ウレタンを用意した。そして、この発泡ウレタンをカーボン懸濁液に浸漬して乾燥させることにより導電性を付与させた。カーボン懸濁液の成分は、黒鉛とカーボンブラックを17質量%、樹脂バインダーを7質量%含み、更に、浸透剤及び消泡剤を含むものとした。カーボンブラックの粒径は0.5μmとした。
図1に示すめっき装置を用いて、第1めっき槽10の円筒状電極11として図2に示す突起部が整列配置された円筒状電極を使用し、第2めっき槽20の円筒状電極21として図7に示す円筒状電極21を使用して多孔体のワーク1にめっきを施した。めっき条件は以下の通りである。
(めっき装置)
めっき装置における第1めっき槽及び第2めっき槽の構成は以下の通りとした。
(1)第1めっき槽−
−第1円筒状電極−
円筒径 : 2000mm
針状電極 :高さ1mm、底部の直径3.5mm、ピッチ7mm
−めっき条件−
めっき液の組成 :AlCl/EMIC=2mol/1mol
通電電流 :3200A
ワーク :発泡ウレタン(厚さ1mm、幅1000mm、孔径0.5mm)
ワークの速度 :490mm/分
ワークの浸漬長さ:2.5m
(2)第2めっき槽
−第2円筒状電極−
円筒径 :2000mm
針状電極 :高さ1mm、底部の直径3.5mm、ピッチ7mm
(円筒状電極の端部から40mmの円周上に1列の突起を設けた。)
−めっき条件−
めっき液の組成 :AlCl/EMIC=2mol/1mol
通電電流 :3200A
ワーク :発泡ウレタン(厚さ1mm、幅1000mm、孔径0.5mm)
ワークの速度 :490mm/分
ワークの浸漬長さ:2.5m
−めっき膜の形成−
上記の条件でめっきを行うと共に、円筒状電極がめっき液外に出たところで、毎周、突起部に形成された金属析出物を切削処理した。ワークのめっき目付量(見かけの単位面積当たりのめっき質量)を測定し、幅方向のめっき目付量のばらつきを調べた。その結果、幅方向のめっき目付量のばらつきは、狙い目付量の±5%以内であった。
また、めっき膜にはコゲめっきは生じていなかった。
[実施例2]
図1に示すめっき装置を用いて、第1めっき槽10の第1円筒状電極11として図5に示す線状電極が配置された円筒状電極を使用し、第2めっき槽20の第2円筒状電極21として図8に示す円筒状電極を使用して多孔体のワークにめっきを施した。めっき条件は以下の通りである。
めっき装置を代えた他は実施例1と同様にしてめっき膜を形成した。
(めっき装置)
めっき装置における第1めっき槽及び第2めっき槽の構成は以下の通りとした。
(1)第1めっき槽
−第1円筒状電極−
円筒径 : 2000mm
線状電極 :高さ1mm、幅1mm、ピッチ5mm
−めっき条件−
めっき液の組成 :AlCl/EMIC=2mol/1mol
通電電流 :3200A
ワーク :発泡ウレタン(厚さ1mm、幅1000mm、孔径0.5mm)
ワークの速度 :490mm/分
ワークの浸漬長さ:2.5m
(2)第2めっき槽
−円筒状電極−
(2)第2めっき槽
−円筒状電極−
円筒径 : 2000mm
線状電極 :高さ1mm、幅1mm、ピッチ5mm
(円筒状電極の端部から40mmの円周上に1列の突起を設けた。)
−めっき条件−
めっき液の組成 :AlCl/EMIC=2mol/1mol
通電電流 :3200A
ワーク :発泡ウレタン(厚さ1mm、幅1000mm、孔径0.5mm)
ワークの速度 :490mm/分
ワークの浸漬長さ:2.5m
(めっき膜の形成)
上記の条件でめっきを行うと共に、円筒状電極がめっき液外に出たところで、毎周、線状電極に形成された金属析出物を切削処理した。ワークのめっき目付量(見かけの単位面積当たりのめっき質量)を測定し、幅方向のめっき目付量のばらつきを調べた。その結果、幅方向のめっき目付量のばらつきは、狙い目付量の±5%以内であった。
また、めっき膜にはコゲめっきは生じていなかった。
本発明のアルミニウム膜の製造方法及び製造装置は、電池の電極、各種フイルター、触媒の担体等に使用される、連通気孔を有する長尺状の三次元網状構造のアルミニウム多孔体を製造するためのアルミニウム膜の形成方法として好適に使用することができる。
(図1〜図12)
1、2、3 ワーク
4サプライボビン
5、6 デフレクタロール
7、8 ピンチロール
9 巻取りボビン
10 第1めっき槽
11 第1円筒状電極
12 陽極
13 めっき浴
14、15 駆動ロール
20 第2めっき槽
21 第2円筒状電極
22 陽極
23 めっき浴
31 給電層
32 絶縁層
33 突起
34 貫通孔
43 金属製円板
42 絶縁性円板
51 長尺状多孔性樹脂基材(帯状樹脂)
52 サプライボビン
53 デフレクタロール
54 導電性塗料の懸濁液
55 槽
56 熱風ノズル
57 絞りロール
58 巻取りボビン
(図13)
41 めっき装置
42 円筒状電極
42a 突起
43 アノード
44 めっき槽
45 めっき液
W 多孔性樹脂基材(ワーク)

Claims (6)

  1. 溶融塩電解液中で、導電性が付与された長尺状の多孔性樹脂基材の表面にアルミニウムを電着させるアルミニウム膜の製造方法であって、
    第1円筒状電極を有する第1めっき槽で前記長尺状の多孔性樹脂基材の一方の面にアルミニウムにめっき膜を形成する第1めっき工程と、
    第2円筒状電極を有する第2めっき槽で、前記第1めっき工程で得られた一方の面にめっき膜を有する前記多孔性樹脂基材の他方の面にアルミニウム膜を形成する第2めっき工程とを有し、
    前記第1円筒状電極は円筒状電極の表面に前記多孔性樹脂基材と接触する電極部を有し、
    前記第2円筒状電極は円筒状電極の表面の円筒の軸方向の両端部に前記多孔性樹脂基材と接触する電極部を有する、
    アルミニウム膜の製造方法。
  2. 前記第1円筒状電極の電極部が円筒状電極の表面から針状に突出した針状電極である請求項1に記載のアルミニウム膜の製造方法。
  3. 前記第1円筒状電極の電極部が円筒状電極の表面の円周方向に円筒状電極の表面から線状に突出した線状電極である請求項1に記載のアルミニウム膜の製造方法。
  4. 前記第2円筒状電極の電極部が円筒状電極の表面から針状に突出した針状電極であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のアルミニウム膜の製造方法。
  5. 前記第2円筒状電極の電極部が円筒状電極の表面から線状に突出した線状電極であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のアルミニウム膜の製造方法。
  6. 溶融塩電解液中で、導電性が付与された長尺状の多孔性樹脂基材の表面にアルミニウムを電着させるアルミニウム膜の製造装置であって、
    第1円筒状電極を有する第1めっき槽と、
    第2円筒状電極を有する第2めっき槽と
    を有し、
    前記第1円筒状電極は円筒状電極の全面に前記多孔性樹脂基材と接触する電極部を有し、
    前記第2円筒状電極は円筒の軸方向の両端部に前記多孔性樹脂基材と接触する電極部を有する、
    アルミニウム膜の製造装置。
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