JP2015136825A - ガスバリア性積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性および経済性に優れ、熱水処理後においてもガスバリア性が低下せず、優れたガスバリア性を有するガスバリア性積層体の提供。
【解決手段】プラスチック基材(I)にガスバリア層(II)が積層されてなるガスバリア性積層体であって、プラスチック基材(I)が、ナイロン6層/ガスバリア性樹脂層(III)/ナイロン6層の順に積層され、金属化合物を0.1〜70質量%含有し、ガスバリア層(II)がポリカルボン酸を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱水処理後においても優れたガスバリア性を有するガスバリア性積層体に関するものである。
ポリアミドフィルム等のプラスチックフィルムは、強度、透明性、成形性に優れていることから、包装材料として幅広い用途に使用されている。しかし、これらのプラスチックフィルムは、酸素等のガス透過性が大きいので、一般食品、レトルト処理食品、化粧品、医療用品、農薬等の包装に使用した場合、長期間保存する内にフィルムを透過した酸素等のガスにより、内容物の変質が生じることがある。したがって、これらの包装用途に使用するプラスチックフィルムは、ガスバリア性を有することが必要とされ、また水分を含む食品等の包装においては、高湿熱下でのガスバリア性も必要とされている。
プラスチックフィルムにガスバリア性を付与する方法として、フィルムにガスバリア層を積層する方法があり、ガスバリア層として、ポリカルボン酸系ポリマーとポリアルコール系ポリマーと金属化合物とから構成されるものを使用することが知られている。
例えば、特許文献1には、ガスバリア性積層体の製造方法として、プラスチック基材、ガスバリア層(D)、2価以上の金属化合物(E)を含有するポリマー層(F)が積層されてなるガスバリア性積層体(1)を、水の存在下に加熱処理して、ガスバリア性積層体(3)を製造する方法が記載されている。そして、ガスバリア層(D)は、ポリビニルアルコール(A)とエチレン−マレイン酸共重合体(B)とを含有するガスバリア層形成用塗料(C)から形成されることが記載されている。また2価以上の金属化合物(E)を含有するポリマー層(F)は、ガスバリア層(D)の少なくとも一方の面に積層されることが記載され、またプラスチック基材とガスバリア層(D)との間に位置するアンダーコート層(F1)として積層されることが記載されている。
しかしながら、特許文献1の方法は、ガスバリア層を形成した後、金属化合物を含む水中で、オートクレーブを用いた加圧処理がなされており、連続的に実施するのが困難であり、生産性に劣るものであった。また、特許文献1においては、アンダーコート層は、溶剤系塗料を塗布、乾燥して形成され、その後にガスバリア層は、水系塗料を塗布、乾燥して形成されている。したがって、特許文献1の方法は、溶剤系塗料を使用するために防爆設備が必要になったり、複数回の塗布が必要になったりする等、経済性や生産性の観点で問題があった。
本発明者は、特許文献1の方法について、溶剤系のアンダーコート層形成用塗料と、水系のガスバリア層形成用塗料とを、カーテンコーター等を用いて同時に塗布することを検討したが、乾燥時に塗膜がムラになってしまい、得られた積層体は、ガスバリア性が発現しなかった。また、アンダーコート層形成用の塗料を水系のものに代えて、カーテンコーター等を用いて同時に塗布することや、アンダーコート層形成用の水系塗料を塗布、乾燥した後に、ガスバリア層形成用水系塗料を塗布することを検討したが、得られた積層体は、いずれもガスバリア性が発現しなかった。
また、従来より、ガスバリア樹脂層の少なくとも一方の面にナイロン6とを積層した積層体は、ガスバリア性フィルムとして知られているが、熱水処理後において、処理前のガスバリア性より低下するという問題があった。
特開2004−322626号公報
本発明の課題は、上記問題を解決し、生産性および経済性に優れ、熱水処理後においても優れたガスバリア性を有するガスバリア性積層体を提供することにある。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、ナイロン6層/ガスバリア性樹脂層(III)/ナイロン6層の順に積層され、金属化合物を0.1〜70質量%含有するラスチック基材(I)に、ポリカルボン酸を含有するガスバリア層(II)を積層することにより、熱水処理後においても優れたガスバリア性を有すことを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)プラスチック基材(I)にガスバリア層(II)が積層されてなるガスバリア性積層体であって、プラスチック基材(I)が、ナイロン6層/ガスバリア性樹脂層(III)/ナイロン6層の順に積層され、金属化合物を0.1〜70質量%含有し、ガスバリア層(II)がポリカルボン酸を含有することを特徴とするガスバリア性積層体。
(2)ガスバリア性樹脂層(III)を構成する熱可塑性樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体またはポリメタキシレンアジパミドであることを特徴とする(1)記載のガスバリア性積層体。
(3)ガスバリア層(II)がポリアルコールを含有することを特徴とする(1)または(2)に記載のガスバリア性積層体。
(4)金属化合物を構成する金属が、マグネシウム、カルシウム、亜鉛から選ばれる1種であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
(5)20℃、相対湿度65%の雰囲気下の酸素透過度が150mL/(m・day・MPa)以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
(6)95℃、30分の熱水処理処理後の、20℃、相対湿度65%の雰囲気下の酸素透過度が、処理前の65%以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
(7)同時または逐次二軸延伸されたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載のガスバリア性積層体を含有することを特徴とする包装用袋。
本発明によれば、生産性および経済性に優れ、熱水処理後においても優れたガスバリア性を有するガスバリア性積層体を提供することができる。
本発明における、金属化合物を含有するプラスチック基材は、プラスチック基材の原料に金属化合物を添加するだけで製造することができ、従来行われていた、金属化合物を含む層を基材に積層する工程を省略することができる。したがって、従来よりも少ない工程数でガスバリア性積層体が得られ、そのため、生産性やコストの観点から、工業的なメリットは極めて大きい。また、得られたガスバリア性積層体は、熱水処理後でも優れたガスバリア性を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のガスバリア積層体は、プラスチック基材(I)にガスバリア層(II)が積層されたものである。
プラスチック基材(I)は、ナイロン6層/ガスバリア性樹脂層(III)/ナイロン6層の順に積層されたものであって、金属化合物を0.1〜70質量%含有する。以下、ナイロン6は、「Ny6」と略称する場合がある。
本発明において、プラスチック基材(I)のNy6層は、ナイロン6樹脂を主成分として構成され、ガスバリア性樹脂層(III)は、ガスバリア性樹脂を主成分として構成される。ガスバリア性樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVOH)、メタキシレンアジパミド(MXD6)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン共重合体(PVDC)、ポリグリコール酸(PGA)等が挙げられるが、生産性・ガスバリア性等の観点から、EVOHまたはMXD6であることが好ましい。
金属化合物を構成する金属としては、特に限定されず、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の1価の金属や、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、亜鉛、銅、コバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム等の2価以上の金属が挙げられる。中でも、カルボン酸と反応しやすいという観点から、イオン化傾向の高い金属が好ましく、ガスバリア性の観点から、1価や2価の金属であることが好ましい。具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛であることが好ましく、マグネシウム、カルシウム、亜鉛であることがより好ましい。金属の種類は1種に限定されず、2種以上でもよい。
本発明において金属化合物は、上記金属を含有する化合物であり、化合物としては、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物や、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、硫酸塩等の無機塩や、酢酸塩、ギ酸塩、ステアリン酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩等のカルボン酸塩や、スルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられ、酸化物、炭酸塩であることが好ましい。また、金属化合物として金属単体を用いてもよい。
上記の金属化合物のうち、好ましい例として、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛等を挙げることができ、ガスバリア性の観点からは、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム等のマグネシウム塩や炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、酸化亜鉛、酢酸亜鉛等の2価金属化合物が好ましく、プラスチック基材(I)の透明性の観点からは、炭酸リチウムや炭酸水素ナトリウム等の1価の化合物や、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等のマグネシウム塩が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。
金属化合物は粉末状であることが好ましく、その平均粒径は、特に限定されないが、0.001〜10.0μmであることが好ましく、0.005〜5.0μmであることがより好ましく、0.01〜2.0μmがさらに好ましく、0.05〜1.0μmが特に好ましい。プラスチック基材(I)のヘイズを小さくすることができるので、金属化合物は、平均粒径が小さい方が好ましい。しかし、平均粒径が0.001μm未満の金属化合物は、表面積が大きいため凝集しやすく、粗大凝集物がフィルム中に散在し、基材の機械物性を低下させることがある。一方、平均粒径が10.0μmを超える金属化合物を含有するプラスチック基材(I)は、製膜する時に破断する頻度が高くなり、生産性が低下する傾向がある。
金属化合物は、無機処理や有機処理等の表面処理を施すことで、分散性や耐候性、熱可塑性樹脂との濡れ性、耐熱性、透明性等を向上させることができる。無機処理としては、アルミナ処理、シリカ処理、チタニア処理、ジルコニア処理、酸化錫処理、酸化アンチモン処理、酸化亜鉛処理等が挙げられる。有機処理としては、脂肪酸化合物、ペンタエリトリット、トリメチロールプロパン等のポリオール化合物、トリエタノールアミン、トリメチロールアミン等のアミン化合物、シリコーン樹脂、アルキルクロロシラン等のシリコーン系の化合物を用いた処理が挙げられる。
プラスチック基材(I)の金属化合物の含有量は、あわせて、0.1〜70質量%であることが必要であり、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.2〜20質量%であることがより好ましく、0.2〜5質量%であることがさらに好ましい。ヘイズの観点からは5質量%未満であることが好ましい。プラスチック基材(I)の金属化合物の含有量が、0.1〜70質量%であると、得られるガスバリア性積層体は、優れたガスバリア性を得ることができる。しかし、プラスチック基材(I)の金属化合物の含有量が0.1質量%未満であると、ガスバリア層(II)のポリカルボン酸と反応して形成される架橋構造が少なくなり、得られるガスバリア性積層体は、ガスバリア性が低下する。一方、含有量が70質量%を超えるプラスチック基材(I)は、製膜時の延伸において破断する頻度が高くなり、生産性が低下しやすくなり、機械物性も低下しやすい。金属化合物は、1層のみに含有してもよいし、複層に含有してもよい。また、N6層、ガラスバリア樹脂層(III)いずれに含有してもよい。
プラスチック基材(I)の金属化合物を含有させる方法は特に限定されず、その製造工程の任意の時点で、配合することができる。例えば、Ny6を重合するときに金属化合物を添加する方法や、Ny6と金属化合物とを押出機にて混練する方法や、金属化合物を高濃度に練り込んで配合したマスターバッチを製造しこれをNy6に添加して希釈する方法(マスターバッチ法)等が挙げられる。本発明においてはマスターバッチ法が好ましく採用される。
Ny6やガスバリア性樹脂には、必要に応じて、プラスチック基材(I)の性能に悪影響を与えない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、防腐剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、耐屈曲性剤等の各種の添加剤を、1種あるいは2種以上添加してもよい。また、Ny6には、プラスチック基材(I)のスリップ性を向上させる等の目的で、金属化合物以外の無機粒子や有機系滑剤を添加してもよく、中でも、シリカを添加することが好ましい。
プラスチック基材(I)の厚みは、得られるガスバリア性積層体が必要とする機械強度に応じて、適宜選択できる。機械強度やハンドリングのしやすさの理由から、プラスチック基材(I)の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。プラスチック基材(I)は、厚みが5μm未満であると十分な機械強度が得られず、突刺し強力が悪化する傾向がある。
プラスチック基材(I)は、Ny6層/ガスバリア性樹脂層(III)/Ny6層の順に積層されていることが必要である。以下、積層体において、金属化合物を含有する層を「金属含有層(M)」と称することがある。
本発明において、得られるガスバリア性積層体の構成としては、Ny6/(III)/M/(II)、M/(III)/M/(II)、M/(III)/Ny6/(II)等が挙げられる。中でも、ガスバリア層(II)と金属含有層(M)とが接触し、ガスバリア層(II)中のポリカルボン酸と金属含有層(M)中の金属化合物とが反応しやすいため、効率的にガスバリア性を得ることができるNy6/(III)/M/(II)、M/(III)/M/(II)の構成が好ましい。その中でも、生産設備や生産性の観点から、M/(III)/M/(II)の構成が最も好ましい。
プラスチック基材(I)を構成するNy6とガスバリア性樹脂層(III)の厚み構成比率は、特に限定されないが、1/100〜100/1であることが好ましく、1/50〜50/1がより好ましく、ガスバリア性の観点から、1/10〜10/1であることがさらに好ましい。
プラスチック基材(I)においては、Ny6層とガスバリア性樹脂層(III)の間に、発明の効果を妨げない範囲で、Ny6層とガスバリア性樹脂層(III)の接着性を向上させるため、接着剤層等の層があっても良い。また、Ny6層を2層以上積層してもよい。
本発明のガスバリア性積層体を構成するガスバリア層(II)は、ポリカルボン酸を含有することが必要である。ガスバリア層(II)中のポリカルボン酸は、プラスチック基材(I)中の金属化合物と反応することによって、ガスバリア性を発現することができる。
本発明におけるポリカルボン酸は、分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物や重合体であり、これらのカルボキシル基は、無水物の構造を形成していてもよい。ポリカルボン酸の具体例としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリマレイン酸、エチレン−マレイン酸共重合体等のオレフィン−マレイン酸共重合体、アルギン酸のように側鎖にカルボキシル基を有する多糖類、カルボキシル基含有のポリアミド、ポリエステル等を例示することができる。上記ポリカルボン酸は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
ポリカルボン酸が重合体である場合、その重量平均分子量は、1000〜1000000であることが好ましく、10000〜150000であることがより好ましく、15000〜110000であることがさらに好ましい。ポリカルボン酸の重量平均分子量が低すぎると、得られるガスバリア層(II)は脆弱になり、一方、分子量が高すぎると、ハンドリング性が損なわれ、場合によっては、後述するガスバリア層(II)を形成するための塗工液中で凝集し、得られるガスバリア層(II)は、ガスバリア性が損なわれる可能性がある。
本発明において、上記ポリカルボン酸のうち、ポリアクリル酸やオレフィン−マレイン酸共重合体、特にエチレン−マレイン酸共重合体(以下、「EMA」と略称することがある)が、ガスバリア性の観点から、好ましく用いられる。EMAは、無水マレイン酸とエチレンとを溶液ラジカル重合等の公知の方法で重合することにより得られる。オレフィン−マレイン酸共重合体中のマレイン酸単位は、乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した無水マレイン酸構造となりやすく、湿潤時や水溶液中では開環してマレイン酸構造となる。したがって、本発明においては、特記しない限り、マレイン酸単位と無水マレイン単位とを総称してマレイン酸単位という。EMA中のマレイン酸単位は、5モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましく、30モル%以上であることがさらに好ましく、35モル%以上であることが最も好ましい。また、EMAの重量平均分子量は、1000〜1000000であることが好ましく、3000〜500000であることがより好ましく、7000〜300000であることがさらに好ましく、10000〜200000であることが特に好ましい。
本発明においてガスバリア層(II)は、ポリアルコールを含有することが好ましい。ポリアルコールを含有することによって、ガスバリア層(II)中のポリカルボン酸は、プラスチック基材(I)中の金属化合物と反応することに加えて、ポリアルコールとも反応するので、ガスバリア性を向上することができる。ポリアルコールは、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物であり、低分子化合物としては、グリセリン、ペンタエリスリトール等の糖アルコール、グルコース等の単糖類、マルトース等の二糖類、ガラクトオリゴ糖等のオリゴ糖が挙げられ、高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、でんぷん等の多糖類が挙げられる。上記ポリアルコールは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。ポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化度は、95モル%以上であることが好ましく、98モル%以上であることがさらに好ましい。また、平均重合度は、50〜2000であることが好ましく、200〜1000であることがより好ましい。
ガスバリア層(II)における、ポリカルボン酸とポリアルコールとは、OH基とCOOH基のモル比(OH基/COOH基)が、0.01〜20となるように含有することが好ましく、0.01〜10となるように含有することがさらに好ましく、0.02〜5となるように含有することがより好ましく、0.04〜2となるように含有することが最も好ましい。
また、本発明においてガスバリア層(II)は、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミドまたはポリアミンを含有することも好ましい。これらの化合物を含有することによって、ガスバリア層(II)中のポリカルボン酸は、プラスチック基材(I)中の金属化合物と反応することに加えて、これらの化合物とも反応するので、ガスバリア性を向上することができる。
ポリアミンは、分子中にアミノ基として第一級、第二級から選ばれる少なくとも1種のアミノ基を2個以上有するものであり、その具体例としては、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、分岐状ポリエチレンイミン、線状ポリエチレンイミン、ポリリジン、キトサンのように側鎖にアミノ基を有する多糖類、ポリアルギニンのように側鎖にアミノ基を有するポリアミド類等が挙げられる。ポリアミンの重量平均分子量は、5000〜150000であることが好ましい。ポリアミンの重量平均分子量が低すぎると、得られるガスバリア層(II)は脆弱になり、一方、分子量が高すぎると、ハンドリング性が損なわれ、場合によっては、後述するガスバリア層(II)を形成するための塗工液中で凝集し、得られるガスバリア層(II)は、ガスバリア性が損なわれる可能性がある。
ガスバリア層(II)における、ポリアミンとポリカルボン酸との質量比(ポリアミン/ポリカルボン酸)は、12.5/87.5〜27.5/72.5であることが好ましい。ポリアミンの質量比がこれより低いと、ポリカルボン酸のカルボキシル基の架橋が不十分となり、逆に、ポリアミンの質量比がこれより高いと、ポリアミンのアミノ基の架橋が不十分となり、いずれの場合も、得られるガスバリア性積層体は、ガスバリア性に劣ることがある。
本発明におけるガスバリア層(II)は、架橋剤を含有してもよい。架橋剤を含有することによって、ガスバリア性を高めることができる。ガスバリア層(II)における架橋剤の含有量は、ポリカルボン酸100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。
架橋剤としては、自己架橋性を有する化合物や、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物が挙げられ、ガスバリア層(II)がポリアルコールを含有する場合は、水酸基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物でもよい。具体的な架橋剤としては、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、炭酸ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウム塩化合物、金属アルコキシド等が好ましく挙げられる。これらの架橋剤は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
金属アルコキシドとは、アルコキシ基が結合した金属を含む化合物であり、一部のアルコキシ基の代わりにハロゲンやカルボキシル基との反応性を有する官能基で置換されたアルキル基が結合していてもよい。ここで、金属とは、シリカ、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等の原子が挙げられ、ハロゲンとは、塩素、ヨウ素、臭素等が挙げられ、カルボキシル基との反応性を有する官能基とは、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、ウレイド基等が挙げられ、アルキル基とは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基等が挙げられる。このような化合物の例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、テトライソプロポキシチタン、テトラエトキシチタン等のアルコキシチタン化合物、トリイソプロポキシアルミニウム等のアルコキシアルミニウム化合物、テトライソプロポキシジルコニウム等のアルコキシジルコニウム化合物が挙げられる。
これらの金属アルコキシドは、その一部または全部が加水分解したもの、部分的に加水分解、縮合したもの、完全に加水分解しその一部が縮合したもの、あるいは、これらを組み合わせたものを用いることもできる。
上記の金属アルコキシドとポリカルボン酸とを混合すると、両者が反応して塗工することが困難になる場合があるので、予め、加水分解縮合物を形成させてから混合することが好ましい。加水分解縮合物を形成させる方法としては、公知のゾルゲル法で用いられている手法を適用することができる。
本発明におけるガスバリア層(II)には、ガスバリア性や、プラスチック基材(I)との接着性を大きく損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤、防腐剤、消泡剤、濡れ剤、粘度調整剤等が添加されていてもよい。
熱安定剤、酸化防止剤、劣化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられ、これらを混合して使用してもよい。
強化材としては、例えば、クレー、タルク、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、ゼオライト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、フッ素雲母、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維、フラーレン(C60、C70等)、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
本発明においてプラスチック基材(I)上に積層される上記ガスバリア層(II)の厚みは、ガスバリア性積層体のガスバリア性を十分高めるために、0.05μmより厚いことが好ましく、経済性の観点から、5.0μmより薄いことが好ましい。
本発明におけるガスバリア層(II)は、プラスチック基材(I)上に、ガスバリア層(II)形成用塗工液を塗布、乾燥することによって、形成することができる。上記塗工液は、作業性の面から水性であることが好ましいため、塗工液を構成するポリカルボン酸や、ポリアルコールやポリアミンは、水溶性または水分散性であることが好ましく、水溶性であることがより好ましい。
本発明において、ポリカルボン酸とポリアルコールとを混合して水性の塗工液を調製する場合、ポリカルボン酸のカルボキシル基に対して、0.1〜20当量%のアルカリ化合物を加えることが好ましい。ポリカルボン酸は、カルボキシル基の含有量が多いと親水性が高くなるので、アルカリ化合物を添加しなくても水溶液にすることができる。しかし、アルカリ化合物を適正量添加することにより、得られるガスバリア性積層体のガスバリア性を格段に向上することができる。アルカリ化合物は、ポリカルボン酸のカルボキシル基を中和できるものであればよく、その添加量は、ポリカルボン酸のカルボキシル基に対して、0.1〜20モル%であることが好ましい。
上記塗工液の調製は、撹拌機を備えた溶解釜等を用いて、公知の方法で行うことができ、例えば、ポリカルボン酸とポリアルコールとを別々に水溶液とし、塗工前に混合する方法が好ましい。この時、上記アルカリ化合物をポリカルボン酸の水溶液に加えておくと、その水溶液の安定性を向上させることができる。
また本発明において、ポリカルボン酸とポリアミンとを混合して水性の塗工液を調製する場合、ゲル化を抑制するために、ポリカルボン酸に塩基を添加しておくことが好ましい。塩基は、得られるガスバリア性積層体のガスバリア性を阻害しないものであればよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の無機物や、アンモニア、メチルアミン、ジエタノールアミン等の有機物が挙げられ、乾燥、熱処理で揮発しやすいことから、アンモニアであることが好ましい。塩基の添加量は、ポリカルボン酸のカルボキシル基に対して、0.6当量以上であることが好ましく、0.7当量以上であることがより好ましく、0.8当量以上であることがさらに好ましい。塩基の添加量が少ないと、塗工液は塗工中にゲル化し、プラスチック基材(I)上にガスバリア層(II)を形成することが困難となることがある。
ガスバリア層(II)形成用塗工液をプラスチック基材(I)に塗布する方法は特に限定されず、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディップコーター、ダイコーター等、あるいはこれらを組み合わせた方法を用いることができる。
ガスバリア層(II)形成用塗工液をプラスチック基材(I)に塗布後、直ちに加熱処理を行い、乾燥皮膜の形成と加熱処理を同時に行ってもよいし、また塗布後、ドライヤー等による熱風の吹き付けや赤外線照射等により水分等を蒸発させて乾燥皮膜を形成させた後に、加熱処理を行ってもよい。ガスバリア層(II)の状態やガスバリア性等の物性に特に障害が生じない限り、塗布後、直ちに加熱処理を行うことが好ましい。
加熱処理方法としては特に限定されず、オーブン等の乾燥雰囲気下で加熱処理を行う方法が挙げられる。工程の短縮化等を考慮すると、ガスバリア層(II)形成用塗工液を塗布した後でプラスチック基材(I)の延伸を行うのが好ましい。上記のいずれの場合においても、ガスバリア層(II)を形成したプラスチック基材(I)を、100℃以上の加熱雰囲気中で5分間以下の熱処理を施すことが好ましい。
ガスバリア層(II)が、ポリカルボン酸とポリアルコールとを含有する場合においては、それらの比率や、添加成分の有無やその含有量等によっても影響を受け得るので、塗工液を塗布後の加熱処理温度は、一概には言えないが、100〜300℃であることが好ましく、120〜250℃であることがより好ましく、140〜240℃であることがさらに好ましく、160〜220℃であることが特に好ましい。熱処理温度が低過ぎると、ポリカルボン酸とポリアルコールとの架橋反応を十分に進行させることができず、十分なガスバリア性を有する積層体を得ることが困難になることがあり、一方、高過ぎると、ガスバリア層(II)等が脆化するおそれ等がある。また、熱処理時間は、5分間以下であることが好ましく、1秒間〜5分間であることがより好ましく、3秒間〜2分間であることがさらに好ましく、5秒間〜1分間であることが特に好ましい。熱処理時間が短すぎると、上記架橋反応を十分に進行させることができず、ガスバリア性を有する積層体を得ることが困難になり、一方、長すぎると生産性が低下する。
また、プラスチック基材(I)に塗布されたガスバリア層(II)形成用塗工液は、上記乾燥の前後に、必要に応じて、紫外線、X線、電子線等の高エネルギー線照射が施されてもよい。このような場合には、高エネルギー線照射により架橋または重合する成分が配合されていてもよい。
本発明のガスバリア性積層体は、上記の構成を有するため、ガスバリア性に優れ、20℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定した酸素透過度は、150mL/(m・day・MPa)以下とすることができる。酸素透過度は、0.01〜150mL/(m・day・MPa)であることが好ましく、0.01〜120mL/(m・day・MPa)であることがより好ましい。
また、本発明のガスバリア性積層体は、95℃、30分の熱水処理後、20℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定した酸素透過度を、処理前の酸素透過度と比べて、小さくすることができ、好ましくは80%以下、より好ましくは65%以下、さらに好ましくは50%以下とすることができる。
本発明のガスバリア性積層体は、引張強度が150MPa以上であることが好ましく、180MPa以上であることがより好ましい。引張強度が150MPa未満であると、機械強度が十分ではなく、突刺し強力が低下する傾向がある。また、引張伸度は、引張強度と同様の観点から、60%以上が好ましく、80%以上であることがより好ましい。
本発明のガスバリア性積層体の耐ピンホール性は、5℃雰囲気下での500回繰り返し屈曲疲労テストにおけるピンホールの発生個数が100個以下であることが好ましく、50個以下であることがより好ましい。上記耐ピンホール性は、具体的には、MIL−B−131Fに示されるFed.Test Method Std. 101CのMethod 2017に従い、12インチ×8インチのサンプルを直径3.5インチの円筒状に把持し、初期把持間隔7インチ、最大屈曲時の把持間隔1インチとして、いわゆるゲルボテスター(テスター産業社製)で5℃の条件下で500回屈曲を与えた後のピンホール数の発生数を測定し評価したものである。
本発明のガスバリア性積層体の透明性は、ヘイズが70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましく、15%以下であることが特に好ましく、10%以下であることが最も好ましい。ただし、用途によっては、透明性を必要としない場合があるため、この限りではない。
本発明のガスバリア性積層体の製造方法について、以下に説明するが、これに限定されるものではない。プラスチック基材(I)の積層体の製造方法としては、公知の任意の方法を利用することができる。すなわち、各層を構成する樹脂を各々の樹脂を別々の押出機を用いて、融点以上の温度で溶融させ、溶融したそれぞれの樹脂をフィードブロックやマルチマニホールダイス中で多層構造に重ね合せてダイスにシート状に押出し、その後、静電印加キャスト法、エアーナイフ法等の公知の方法により、30℃以下に温度調節した冷却ドラム上に密着させて急冷し、急冷固化して所望の厚さの未延伸フィルムを得る。
得られた未延伸フィルムに、前述の方法でガスバリア層(II)形成用塗工液を塗布してガスバリア層(II)を形成し、同時二軸延伸機にて、縦方向(MD)および横方向(TD)に同時二軸延伸を施すことで、同時二軸延伸されたガスバリア性積層体を得ることができる。
また得られた未延伸フィルムをMDに延伸したのち、前述の方法でガスバリア層(II)形成用塗工液を塗布してガスバリア層(II)を形成し、次いでTDに延伸を施すことで、逐次二軸延伸されたガスバリア性積層体を得ることができる。なお、未延伸フィルムが配向していると、後工程で延伸性が低下することがあるため、未延伸フィルムは、実質的に無定形、無配向の状態であることが好ましい。本発明において、未延伸フィルムを、80℃を超えないように温調した水槽に移送し、5分間以内で浸水処理を施し、0.5〜15%吸湿処理することが好ましい。
また、フィルムの延伸倍率は、一軸延伸の場合は1.5倍以上であることが好ましく、縦横二軸延伸の場合も、縦横に各々1.5倍以上であることが好ましく、面積倍率で、通常3倍以上であることが好ましく、6〜20倍であることがより好ましく、6.5〜13倍であることがさらに好ましい。延伸倍率がこの範囲であると、優れた機械物性のガスバリア性積層体を得ることが可能となる。延伸処理工程を経たフィルムは、延伸処理が行われたテンター内において150〜300℃の温度で熱固定され、必要に応じて0〜10%、好ましくは2〜6%の範囲で、TDおよび/またはMDの弛緩処理が施される。熱収縮率を低減するためには、熱固定時間の温度および時間を最適化するだけでなく、熱弛緩処理を熱固定処理の最高温度より低い温度で行うことが望ましい。
延伸方法は特に限定されないが、同時二軸延伸方法を用いる方が好ましい。同時二軸延伸方法は、一般に、機械的特性、光学特性、熱寸法安定性、耐ピンホール性等の実用特性を兼備させることができる。このほか、縦延伸の後に横延伸を行う逐次二軸延伸方法では、縦延伸時にフィルムの配向結晶化が進行して横延伸時の熱可塑性樹脂の延伸性が低下することにより、金属化合物の配合量が多い場合にフィルムの破断頻度が高くなる傾向がある。このため、本発明においては、吸水処理を施し、同時二軸延伸方法を採ることが好ましい。
本発明のガスバリア性積層体は、ガスバリア性を高める目的で、積層体を製造した後に加湿された雰囲気下で処理することもできる。加湿処理により、プラスチック基材(I)の金属化合物とガスバリア層(II)のポリカルボン酸との作用を、より促進することができる。このような加湿処理は、高温、高湿度下の雰囲気において積層体を放置してもよいし、高温の水に直接積層体を接触させてもよい。加湿処理条件は種々目的により異なるが、高温高湿の雰囲気下で放置する場合は、温度30〜130℃、相対湿度50〜100%が好ましい。高温の水に接触させる場合も、温度30〜130℃程度(100℃以上は加圧下)が好ましい。加湿処理時間は処理条件により異なるが、一般に数秒から数百時間の範囲が選ばれる。
本発明のガスバリア性積層体には、必要に応じて、コロナ放電処理等の表面処理を施してもよい。
本発明のガスバリア性積層体は、シーラント等樹脂層を積層することにより、種々の積層フィルムとすることができる。
シーラントとして用いる樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸/メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル系樹脂等が挙げられ、ヒートシール強度や材質そのものの強度が高いポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂が好ましい。これらの樹脂は、単独で用いても、また他の樹脂と共重合や溶融混合して用いても、さらに酸変性等が施されていてもよい。
シーラント層をガスバリア性積層体に形成方法する方法としては、シーラント樹脂からなるフィルムまたはシートを、接着剤を介して、ガスバリア性積層体にラミネートする方法や、シーラント樹脂をガスバリア性積層体に押出ラミネートする方法等が挙げられる。前者の方法においては、シーラント樹脂からなるフィルムまたはシートは、未延伸状態であっても低倍率の延伸状態でもよいが、実用的には、未延伸状態であることが好ましい。シーラント層の厚みは、特に限定されないが、20〜100μmであることが好ましく、40〜70μmであることがより好ましい。
本発明のガスバリア性積層体を用いて包装用袋を作製することができ、この包装用袋は、例えば、飲食品、果物、ジュ−ス、飲料水、酒、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、肉製品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、その他の各種の飲食料品、液体洗剤、化粧品、化成品といった内容物を充填包装することができる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.測定方法
(1)各層厚み
得られたガスバリア性積層体を23℃、50%RHの環境下に2時間以上放置してから、走査型電子顕微鏡(SEM)によりフィルム断面観察を行い、各層の厚みを測定した。
(2)酸素透過度
得られたガスバリア性積層体を、モコン社製酸素バリア測定器(OX−TRAN 2/20)を用いて、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下における酸素透過度を測定した。単位はmL/(m・day・MPa)である。
また、得られたガスバリア性積層体を、95℃、30分の条件で熱水処理した後、23℃、50%RHの環境下に2時間以上放置してから、同様に、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下における酸素透過度を測定した。
2.原料
下記の実施例・比較例において使用した原料は、以下のとおりである。
(1)プラスチック基材(I)構成用の樹脂
・Ny6:ナイロン6樹脂(ユニチカ社製 A1030BRF、相対粘度3.0)
(2)プラスチック基材(I)構成用のガスバリア性樹脂
・MXD6:ポリメタキシレンアジパミド(三菱ガス化学社製 MXナイロンS6007、融点240℃)
・EVOH:エチレン−酢酸ビニル共重合体(クラレ社製 エバールF101B、融点183℃ )
(3)プラスチック基材(I)構成用の金属化合物
・MgO:酸化マグネシウム(タテホ化学工業社製 PUREMAG FNM−G 平均粒径0.4μm)
・MgCO:炭酸マグネシウム(神島化学工業社製 MSS 平均粒径1.2μm)
・CaCO:炭酸カルシウム(白石工業社製 Vigot15 平均粒径0.5μm)
・ZnO:酸化亜鉛(堺化学工業社製 FINEX−50 平均粒径0.02μm)
(4)プラスチック基材(I)構成用の金属化合物マスターチップ
・マスターチップ1
Ny6の55質量部と、MgOの45質量部とを混練してマスターチップを作成し、金属化合物の含有量が15〜45質量%である金属含有層(M)を調製する際に使用した。
・マスターチップ2
Ny6の25質量部と、MgOの75質量部とを混練してマスターチップを作成し、金属化合物の含有量が45質量%を超える金属含有層(M)を調製する際に使用した。
・マスターチップ3
Ny6の85質量部と、MgOの15質量部とを混練してマスターチップを作成し、金属化合物の含有量が15質量%未満の金属含有層(M)を調製する際に使用した。
・マスターチップ4
PA6の85質量と、MgCOの15質量部とを混練して作成した。
・マスターチップ5
PA6の85質量と、CaCOの15質量部とを混練して作成した。
・マスターチップ6
PA6の85質量と、ZnOの15質量部とを混練して作成した。
(5)ガスバリア層(II)形成用塗工液のポリカルボン酸成分
・EMA水溶液:
EMA(重量平均分子量60000)と水酸化ナトリウムとを水に加え、加熱溶解後、室温に冷却して調製した、EMAのカルボキシル基の10モル%が水酸化ナトリウムにより中和された、固形分15質量%のEMA水溶液。
・PAA水溶液:
ポリアクリル酸(東亞合成社製 A10H、数平均分子量200000、25質量%水溶液)と、水酸化ナトリウムとを用いて調製した、ポリアクリル酸のカルボキシル基の10モル%が水酸化ナトリウムにより中和された、固形分15質量%のポリアクリル酸(PAA)水溶液。
(6)ガスバリア層(II)形成用塗工液の他の樹脂成分
・PVA水溶液:
ポリビニルアルコール(クラレ社製 ポバール105、ケン化度98〜99%、平均重合度約500)を水に加え、加熱溶解後、室温に冷却することにより調製した、固形分15質量%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液。
・PAM:
ポリアクリルアミド(キシダ化学社製、試薬、重量平均分子量900万〜1000万、重合度12.7万〜14.1万)。
実施例1
3層共押出Tダイを用いて、第1押出機に(中間層)としてMXD6を、第2押出機に(外層)として酸化マグネシウムの含有量が0.1質量%となるようにNy6とマスターチップを投入した。それぞれ270℃で溶融押出し、(外層)/(中間層)/(外層)が1/1/1の厚み構成になるようダイスから押出し、10℃に冷却した回転ドラムに密着させて急冷することで、厚さ150μmの未延伸プラスチック基材(I)フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを50℃の温水槽に送り、2分間の浸水処理を施した。
次に、PVAとEMAの質量比(固形分)が50/50になるように、PVA水溶液とのEMA水溶液とを混合して、固形分10質量%のガスバリア層(II)形成用塗工液を得た。この塗工液を、浸水処理を施した未延伸フィルムの片面に塗布した後、乾燥した。
フィルムの端部を、テンター式同時二軸延伸機のクリップに保持させ、180℃で、MD、TDにそれぞれ3.3倍に延伸した。その後、TDの弛緩率を5%として、210℃で4秒間の熱処理を施し、室温まで徐冷して、厚みが15μmのプラスチック基材(I)に、厚みが0.3μmのガスバリア層(II)を積層したガスバリア性積層体を得た。
実施例2〜9、11、12、比較例1〜4
表1に記載の積層体の組成になるように、プラスチック基材やガスバリア層に用いる樹脂やその量比を変更し、さらに、延伸後の厚みが表1に記載の厚みになるようにした以外は、実施例1と同様にして、未延伸プラスチック基材(I)フィルムを得て、浸水処理を施した。なお、投入する樹脂をEVOHとする場合には、押出温度を210℃とした。
次に、PVA等の他の樹脂やポリカルボン酸について、種類や質量比(固形分)が表1に記載のものになるようにした以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア層(II)形成用塗工液を調製した。
得られた塗工液を用いて、延伸後の厚みが表1記載の厚みになるようにした以外は、実施例1と同様にして、未延伸フィルムに塗布、乾燥後、同時二軸延伸してガスバリア性積層体を得た。
実施例10
ガスバリア層(II)形成用塗工液を、次にようにして調製した。
すなわち、数平均分子量200000のポリアクリル酸(PAA)を蒸留水で溶解し、水溶液中の固形分濃度が13質量%であるPAA水溶液を得た。続いて、このPAA水溶液に、13質量%アンモニア水溶液を加え、PAAのカルボキシル基の1モル%を中和して、PAAの部分中和物水溶液を得た。
また、数平均分子量40000のポリアクリル酸(PAA)100質量部をメタノール1064質量部に溶解し、続いて、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMOS)166質量部を攪拌しながら加えた。このようにして、APTMOSメタノール溶液(10−1)を得た。APTMOSメタノール溶液(10−1)では、APTMOSのアミノ基の少なくとも一部がPAAのカルボキシル基によって中和されている。
次に、テトラメトキシシラン(TMOS)34.5質量部をメタノール34.5質量部に溶解することによって、TMOSメタノール溶液を調製した。このTMOSメタノール溶液の温度を10℃以下に維持しながら、蒸留水2.3質量部と0.1Mの塩酸5.7質量部とを加え、攪拌しながら10℃で60分間、加水分解および縮合反応を行うことによって、溶液(10−2)を得た。
続いて、溶液(10−2)を、メタノール214.7質量部および蒸留水436.1質量部で希釈した後、攪拌しながら上記PAAの部分中和物水溶液235.9質量部を添加し、溶液(10−3)を得た。
続いて、溶液(10−3)を攪拌しながらAPTMOSメタノール溶液(10−1)36.2質量部を加え、さらに30分間攪拌することによって、溶液(10−4)を得た。
上記方法で調製した溶液(10−4)を、ガスバリア層(II)形成用塗工液として使用した以外は実施例8と同様にして、ガスバリア性積層体を得た。
実施例13
第1押出機に(第2層)としてMXD6を、第2押出機に(第1層)として酸化マグネシウムの含有量が0.5質量%となるようにNy6とマスターチップを、第3押出機に(第3層)としてNy6を投入し、それぞれ270℃で溶融押出し、未延伸プラスチック基材(I)フィルムを得る以外は、実施例1と同様にして、浸水処理、塗工液の塗布乾燥、延伸、熱処理を行い、ガスバリア性積層体を得た。なお、塗工液は、(第1層)上に塗布した。
実施例、比較例で得られたガスバリア性積層体の構成とその評価結果を表1、2に示す。
実施例1〜16の積層体では、いずれも、酸素透過性に優れており、熱水処理後の酸素透過度は処理前の酸素透過度の65%以下であった。
比較例1の積層体は、プラスチック基材(I)に含まれる金属化合物が0.1質量%未満であったため、酸素透過度が低かった。
比較例2では、プラスチック基材(I)に含まれる金属化合物が70質量%を超えていたため、製膜時の延伸において破断し、ガスバリア性積層体が得られなかった。
比較例3の積層体は、ガスバリア性樹脂(III)が使用されていなかったため、酸素透過度が低かった。
比較例4の積層体は、ガスバリア層(II)にポリカルボン酸を含有していなかったため、熱水処理後の酸素透過度は処理前と比べて大きかった。

Claims (8)

  1. プラスチック基材(I)にガスバリア層(II)が積層されてなるガスバリア性積層体であって、プラスチック基材(I)が、ナイロン6層/ガスバリア性樹脂層(III)/ナイロン6層の順に積層され、金属化合物を0.1〜70質量%含有し、ガスバリア層(II)がポリカルボン酸を含有することを特徴とするガスバリア性積層体。
  2. ガスバリア性樹脂層(III)を構成する熱可塑性樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体またはポリメタキシレンアジパミドであることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層体。
  3. ガスバリア層(II)がポリアルコールを含有することを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性積層体。
  4. 金属化合物を構成する金属が、マグネシウム、カルシウム、亜鉛から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
  5. 20℃、相対湿度65%の雰囲気下の酸素透過度が150mL/(m・day・MPa)以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
  6. 95℃、30分の熱水処理処理後の、20℃、相対湿度65%の雰囲気下の酸素透過度が、処理前の65%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
  7. 同時または逐次二軸延伸されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のガスバリア性積層体を含有することを特徴とする包装用袋。
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