JP2015136691A - 成膜装置 - Google Patents

成膜装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2015136691A
JP2015136691A JP2014011767A JP2014011767A JP2015136691A JP 2015136691 A JP2015136691 A JP 2015136691A JP 2014011767 A JP2014011767 A JP 2014011767A JP 2014011767 A JP2014011767 A JP 2014011767A JP 2015136691 A JP2015136691 A JP 2015136691A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
material liquid
spray
sprayer
tank
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014011767A
Other languages
English (en)
Inventor
衛 奥本
Mamoru Okumoto
衛 奥本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP2014011767A priority Critical patent/JP2015136691A/ja
Publication of JP2015136691A publication Critical patent/JP2015136691A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electrostatic Spraying Apparatus (AREA)

Abstract

【課題】静電噴霧法によって複数の噴霧器(42)のノズルから原料液を噴霧して対象物(20)に被膜を形成する成膜装置において、原料液が安定して噴霧されるようにする。【解決手段】原料液が貯留される貯留タンク(90)と噴霧器(42)との間に中間タンク(90)を接続し、この中間タンク(90)を、原料液に含まれる気体を抜き出す真空ポンプ(91)が接続された脱気タンクにして、噴霧器(42)への原料液の供給が気泡によって断続的になってしまうのを抑制する。【選択図】図2

Description

本発明は、静電噴霧によって対象物に被膜を形成する成膜装置に関するものである。
従来、電気流体力学(EHD:Electro Hydrodynamics)により液体を霧化状態で噴霧するいわゆる静電噴霧法を用いて原料液を霧化し、霧化した原料液を対象物に付着させることによって被膜を形成する成膜装置が知られている。特許文献1には、広い面に被膜を形成するために、複数の開口から原料液を噴霧する成膜装置が開示されている。また、それぞれがノズルを有する複数の噴霧器を設け、静電噴霧法を用いて各噴霧器のノズルから原料液を噴霧するものもある。
被膜の耐久性は、膜厚や膜厚の均一性に依存し、肉厚部分や未形成部分があると、その部分をきっかけとして膜が剥がれ易くなる。そのため、被膜の耐久性を向上させるためには、薄く均一な被膜を形成する必要があり、各噴霧器のノズルに供給される原料液の流量を均一にする必要がある。
特開2012−135704号公報
しかしながら、原料液に気泡が含まれていると、噴霧器のノズルへの原料液の供給が断続的になってしまい、各噴霧器のノズルに供給される原料液の流量が不均一になって、形成される被膜の厚さも不均一になってしまうおそれがある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、静電噴霧法によって複数の噴霧器のノズルから原料液を噴霧して対象物に被膜を形成する成膜装置において、各噴霧器のノズルに供給される原料液の流量を均一にすることにより、形成される被膜の厚さを均一にすることである。
第1の発明は、原料液が貯留される貯留タンク(60)と、上記貯留タンク(60)から供給された原料液を噴霧するノズル部(55)をそれぞれが有する複数の噴霧器(42)が配列された噴霧機構(30)と、供給された原料液が帯電した液滴となって上記噴霧器(42)のノズル部(55)から対象物(20)へ噴霧されるように上記ノズル部(55)と上記対象物(20)の間に電圧を印加する電圧印加部(45)とを備え、上記ノズル部(55)から上記対象物(20)へ原料液を噴霧することによって該対象物(20)の表面に被膜を形成する静電噴霧型の成膜装置を前提としている。
そして、この成膜装置は、上記貯留タンク(60)と噴霧器(42)との間に中間タンク(90)が接続され、上記中間タンク(90)が、原料液に含まれる気体を抜き出す脱気機構(91)が接続された脱気タンクであることを特徴としている。
この第1の発明では、貯留タンク(60)の原料液が中間タンク(90)に供給される。中間タンク(90)に所定量の原料液が供給されると、脱気機構(91)により、中間タンク(90)内の空気が吸引される。これにより、原料液中に溶け込んだ空気が原料液から除去される。そして、空気が除去された原料液が噴霧器(42)に供給され、ノズル部(55)と対象物(20)の間に電圧が印加されることにより、ノズル部(55)から対象物(20)に向かって原料液が噴霧されて被膜が形成される。
第2の発明は、第1の発明において、上記噴霧機構(30)の複数の噴霧器(42)が、上記対象物(20)の幅方向に並んでおり、上記中間タンク(90)が、上記噴霧機構(30)の幅方向の中間部に配置されていることを特徴としている。
この第2の発明では、中間タンク(90)が噴霧機構(30)の幅方向の中間部に配置されているので、原料液が複数の噴霧器(42)に均等に分配される。
第3の発明は、第2の発明において、上記噴霧機構(30)は、上記中間タンク(90)の位置を中心として該噴霧機構(30)の幅方向に対称に配置された複数の噴霧ユニット(40)を備え、各噴霧ユニット(40)は複数の上記噴霧器(42)を有し、上記中間タンク(90)と各噴霧ユニット(40)とが原料液分岐流路(61a)により並列に接続され、上記中間タンク(90)を中心として噴霧機構(30)の幅方向に対称に配置されている噴霧ユニット(40)同士は、その噴霧ユニット(40)に接続されている原料液分岐流路(61a)の長さが同じであることを特徴としている。
この第3の発明では、中間タンク(90)に対して対称に配置されている噴霧ユニット(40)同士には、同じ長さの原料液分岐流路(61a)を介して原料液が供給される。
第4の発明は、第2または第3の発明において、上記中間タンク(90)と噴霧器(42)との間に該中間タンク(90)から噴霧器(42)へ原料液を供給するポンプ(43)が接続され、上記ポンプ(43)が、中間タンク(90)の液面高さの最大レベルよりも高い位置に配置されていることを特徴としている。
ポンプ(43)が中間タンク(90)よりも低い位置にあった場合には圧力ヘッドによりポンプ(43)から噴霧器(42)への原料液の供給に影響が出るおそれがあるのに対して、この第3の発明では、中間タンク(90)から噴霧器(42)へ原料液を供給するポンプ(43)を中間タンク(90)よりも高い位置に配置しているので、噴霧器(42)のノズル部(55)への原料液の供給が安定する。
本発明によれば、上記貯留タンク(60)と噴霧器(42)との間に中間タンク(90)を接続し、この中間タンク(90)を、原料液に含まれる気体を抜き出す脱気機構(91)が接続された脱気タンクにしており、この中間タンク(90)で原料液の気泡が除去されるので、ノズル部(55)への原料液の供給が連続して行われる。したがって、各ノズル部(55)へ供給される原料液の流量が均一になり、ノズル部(55)から対象物(20)への原料液の噴霧が安定して行われるので、形成される被膜の厚さを均一にすることができる。
上記第2,第3の発明によれば、中間タンク(90)を噴霧機構(30)の幅方向の中間部に配置することにより、原料液が複数の噴霧器(42)に均等に分配されるようにしているので、各ノズル部(55)への原料液の流量がより均一化される。したがって、ノズル部(55)から対象物(20)への原料液の噴霧がより安定して行われるので、形成される被膜の厚さをより均一にすることができる。
上記第4の発明によれば、中間タンク(90)から噴霧器(42)へ原料液を供給するポンプ(43)を中間タンク(90)よりも高い位置に配置したことにより、中間タンク(90)から噴霧器(42)へ原料液を安定して供給することができるようにしているので、ノズル部(55)から対象物(20)への原料液の噴霧がさらに安定し、より均一な被膜を形成することが可能になる。
図1は、実施形態に係る成膜装置の全体構成を示す概略の構成図である。 図2は、実施形態に係る成膜装置の前処理ゾーン及び噴霧ゾーンの概略の構成を示す側面図である。 図3は、実施形態に係る噴霧機構の全体構成を示す概略の縦断面図である。 図4は、図3のIV−IV線断面図である。 図5は、図4の1つの噴霧ユニットを拡大して示す図である。 図6は、実施形態に係る噴霧ユニットの側面図である。 図7(A)は、図6のVII(A)−VII(A)線断面図であり、図7(B)は、図7(A)の噴霧器を側面から視た図である。 図8は、噴霧機構の横断面の模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態の成膜装置(10)は、タッチパネルのガラス基板(対象物)(20)の表面に防汚用の被膜を形成するためのものである。また、本実施形態の成膜装置(10)は、揮発性の溶媒に膜の材料となる成分を溶解させた原料液を、いわゆる静電噴霧法によって噴霧し、対象物であるガラス基板(20)の表面に付着させ、原料液中の溶媒が揮発して残留成分がガラス基板(20)の表面上に定着することにより、被膜を形成する静電噴霧型の成膜装置(10)である。
−成膜装置の全体構成−
図1に示すように、成膜装置(10)には、ケーシング(10a)内に、前処理ゾーン(11)と、噴霧ゾーン(12)と、後処理ゾーン(13)とが形成されている。また、成膜装置(10)は、コントローラ(14)を備えている。コントローラ(14)は、成膜装置(10)の運転を制御する。
成膜装置(10)には、ガラス基板(20)を搬送するためのベルトコンベア(15)が設けられている。ベルトコンベア(15)は、前処理ゾーン(11)と噴霧ゾーン(12)と後処理ゾーン(13)とに亘って設けられ、導電材料からなる搬送トレイ(25)の上に載せられたガラス基板(20)を、前処理ゾーン(11)、噴霧ゾーン(12)、後処理ゾーン(13)の順に搬送する。つまり、ベルトコンベア(15)は、図1の左から右へ向かって、ガラス基板(20)を真っ直ぐに搬送する。
図2に示すように、前処理ゾーン(11)には、プラズマ処理機構(80)が設けられ、基板の表面にプラズマを照射して、基板の表面を洗浄する工程が行われる。噴霧ゾーン(12)には、噴霧機構(30)が設けられ、基板の表面に原料液を付着させる工程が行われる。図2では図示を省略しているが、後処理ゾーン(13)には、加熱装置が設けられ、原料液の付着したガラス基板(20)を加熱して、ガラス基板(20)に被膜を定着する工程が行われる。なお、図2に示すように、噴霧ゾーン(12)の噴霧機構(30)の下方には、原料液が貯留された貯留タンク(60)が設けられている。貯留タンク(60)と噴霧機構(30)とは、液供給管(61)で接続され、該液供給管(61)には、脱気タンク(中間タンク)(90)が設けられている。また、脱気タンク(90)には、原料液に含まれる気体を抜き出す真空ポンプ(脱気機構)(91)が接続されている。
−プラズマ処理機構−
プラズマ処理機構(80)は、複数(本実施形態では、10本)の放電電極(81)と、該放電電極(81)に高電圧を印加してコロナ放電を生起する高電圧印加部(82)とを有している。放電電極(81)は、金属製の円筒部材によって構成されている。10本の放電電極(81)は、ベルトコンベア(15)の搬送方向に直交する水平方向に延び、ベルトコンベア(15)の搬送方向に所定の間隔を置いて等間隔に配列されている。一方、搬送トレイ(25)は、図示を省略するが、プラズマ処理機構(80)のフレームに電気的に接続されることにより、接地されている。
このような構成により、プラズマ処理機構(80)では、高電圧印加部(82)が、各放電電極(81)と搬送トレイ(25)に載置されたガラス基板(20)との間に高電圧を印加し、大気中においてコロナ放電を生起する。これにより、大気中において発生したプラズマがガラス基板(20)の表面に照射される。その結果、ガラス基板(20)の表面が洗浄されると共に、親水性が向上する。
−噴霧機構−
図3及び図4に示すように、噴霧機構(30)は、フレーム(31)と、該フレーム(31)の内部に支持される一対のユニット支持板(32)と、該一対のユニット支持板(32)の向かい合う端部どうしを連結する一対の側板(33)と、各ユニット支持板(32)及び各側板(33)の上端に固定された天板(34)と、上記一対のユニット支持板(32)に支持される複数の噴霧ユニット(40)と、補助電極(50)とを備えている。
フレーム(31)は、複数本のステーが、直方体形状の枠体を形成するように組み合わされて構成されている。フレーム(31)は、ベルトコンベア(15)を幅方向(搬送方向に直交する方向)に跨ぐように配置され、上述のケーシング(10a)の支柱部材にボルト等の固定具(16)を介して固定されている。フレーム(31)には、噴霧機構(30)の他の構成要素が固定されている。そのため、フレーム(31)とケーシング(10a)の支柱部材との固定状態を解除することにより、噴霧機構(30)がケーシング(10a)から取り外される。
一対のユニット支持板(32)は、互いに平行で且つ鉛直な姿勢でフレーム(31)の内部に支持されている。一対のユニット支持板(32)は、ベルトコンベア(15)の搬送方向に所定の間隔を置いて互いに対向して配置される。各ユニット支持板(32)の各内壁面には、複数(本実施形態では15本)の上下方向に延びる縦溝(35)が形成されている。これらの縦溝(35)は、ベルトコンベア(15)の搬送方向と直交する水平方向(複数の噴霧ユニット(40)の配列方向)に所定の間隔を置いて等間隔に配列されている。各縦溝(35)は、上下に縦長の直方体形状に形成される。各縦溝(35)は、ユニット支持板(32)の上端から該ユニット支持板(32)の下部(ユニット支持板(32)の下端よりもやや上方の部分)まで垂直方向に延びている。つまり、ユニット支持板(32)の上端面には、各縦溝(35)の上端を構成する開口部(36)が形成される。また、各縦溝(35)の下端には、矩形状の底壁部(37)が形成される。
天板(34)は、矩形の平板によって構成されている。天板(34)は、一対のユニット支持板(32)の上端に掛け渡され、上端のそれぞれに固定されている。
図4に示すように、本実施形態の噴霧機構(30)は、複数(本実施形態では15つ)の噴霧ユニット(40)を備えている。噴霧ユニット(40)の数量は単なる例示であり、これに限られるものではない。噴霧ユニット(40)の数量は、ガラス基板(20)の幅(ベルトコンベア(15)の搬送方向と直交する方向の長さ)に応じて決定される。複数の噴霧ユニット(40)は、ベルトコンベア(15)の搬送方向と直交する方向に互いに隣接して配列される。つまり、複数の噴霧ユニット(40)は、一対のユニット支持板(32)の内壁面に沿って配列される。各噴霧ユニット(40)は、一対のユニット支持板(32)に着脱自在に支持される。
補助電極(50)は、複数の噴霧ユニット(40)の下方に設けられ、各噴霧ユニット(40)の後述する複数の噴霧器(42)が挿通されるように構成されている。具体的には、補助電極(50)は、金属製の平板を折り曲げることによって形成され、本体部(50a)と2つの側面部(50b)と2つの取付部(50c)とを有している。本体部(50a)は、水平方向に延び、矩形状に構成されている。2つの側面部(50b)は、本体部(50a)の両端に連続し、一対のユニット支持板(32)に平行に上下方向に延びている。2つの取付部(50c)は、2つの側面部(50b)の下端部に連続し、それぞれ本体部(50a)の反対側へ水平方向に延びている。本体部(50a)には、各噴霧ユニット(40)の複数の噴霧器(42)が挿通される複数(本実施形態では、120個)の円形状の孔が形成されている。また、2つの側面部(50b)の互いに対向する内面には、それぞれ絶縁シート(70)が貼り付けられている。
この噴霧機構(30)では、上記貯留タンク(60)から供給された原料液を噴霧する後述のノズル部(55)を複数の噴霧器(42)のそれぞれが有している。これらの噴霧器(42)は、噴霧機構(30)を平面から視て、縦横に配列されている。
−噴霧ユニットの詳細構成−
図4〜図6に示すように、噴霧ユニット(40)は、支持部材(41)と、複数(本実施形態では8本)の噴霧器(42)と、ポンプ(43)と、液圧センサ(44)と、電圧印加部(45)と、ポンプ駆動部(46)と、分流機構(63)とを備えている。噴霧器(42)と、ポンプ(43)と、液圧センサ(44)と、電圧印加部(45)と、ポンプ駆動部(46)とは、支持部材(41)に取り付けられている。
支持部材(41)は、図5及び図6に示すように、本体板部(41a)と、一対の側板部(41b)と、一対のノズル保護部(41c)と、4つのボルト(41d)及びナット(41e)とを有している。本体板部(41a)は、矩形の板状体によって形成され、該本体板部(41a)に、噴霧器(42)と、ポンプ(43)と、液圧センサ(44)と、電圧印加部(45)と、ポンプ駆動部(46)とが取り付けられている。一対の側板部(41b)は、本体板部(41a)と一体に形成され、該本体板部(41a)の幅方向(ベルトコンベア(15)の搬送方向)の一端部と他端部とを、該本体板部(41a)に略垂直な方向に折り曲げることによって形成されている。一対のノズル保護部(41c)は、一対の側板部(41b)の下部に、それぞれ上下に並ぶ2つのボルト(41d)及びナット(41e)によって固定されている。各ノズル保護部(41c)は、下端が後述する噴霧管(51)の先端よりも下方に位置するように取り付けられている。各ボルト(41d)は、頭部が側板部(41b)の外側に位置するように側板部(41b)及びノズル保護部(41c)を貫通し、該ノズル保護部(41c)の内側においてナット(41e)によって固定されている。4つのボルト(41d)は、頭部が上記ユニット支持板(32)の縦溝(35)内において上下にスライド自在な形状に構成されている。具体的には、4つのボルト(41d)は、頭部の外径が、縦溝(35)の幅(ベルトコンベア(15)の幅方向の長さ)よりも僅かに小さくなるように形成されている。支持部材(41)の各ノズル保護部(41c)の各2つのボルト(41d)の頭部を、ユニット支持板(32)の上端の開口部(36)から対向する一対の縦溝(35)に挿入し、下方へ底壁部(37)に当接するまでスライドさせることで、噴霧ユニット(40)が噴霧機構(30)に取り付けられる。具体的な取付動作については後述する。
噴霧器(42)は、支持部材(41)の本体板部(41a)の正面及び背面のそれぞれに4つずつ固定されている。図4に示すように、8つの噴霧器(42)(第1〜第8噴霧器(42a〜42h))は、平面視において、本体板部(41a)の幅方向(ベルトコンベア(15)の搬送方向)に所定の間隔で設けられている。第1〜第8噴霧器(42a〜42h)は、ベルトコンベア(15)の搬送方向の前側から後側に向かって、第1噴霧器(42a)、第3噴霧器(42c)、第6噴霧器(42f)及び第8噴霧器(42h)が、本体板部(41a)の正面(図4における下面)に設けられる一方、第2噴霧器(42b)、第4噴霧器(42d)、第5噴霧器(42e)及び第7噴霧器(42g)が、本体板部(41a)の背面(図4における上面)に設けられている。噴霧器(42)の具体的な構成については後述するが、各噴霧器(42)は、金属製の細径管によって構成された噴霧管(51)を有している。
ポンプ(43)は、支持部材(41)の本体板部(41a)の正面において、ベルトコンベア(15)の搬送方向の前側から後側に向かって第8噴霧器(42h)の後方に設けられている。ポンプ(43)は、支持部材(41)の本体板部(41a)に支持された液配管(62)に接続されている。液配管(62)は、ポンプ(43)の流入側に接続される流入管(62a)と、ポンプ(43)の流出側に接続される流出管(62b)とで構成されている。流入管(62a)の流入端は、図示しないコネクタを介して液供給管(61)(図2を参照)に接続されている。流出管(62b)の流出端は、支持部材(41)の本体板部(41a)に支持された上流側分流部(64a)に接続している。上記液供給管(61)は、脱気タンク(90)から噴霧ユニット(40)までの間の部分が、原料液分岐流路(61a)になっている。
電圧印加部(45)には、図示しない電源供給ラインを介して電力が供給される。電圧印加部(45)は、直流式の電源を備えている。本実施形態では、電源の出力電圧は5kV程度であるが、電源の出力電圧は、2kV〜7kVの範囲であることが好ましい。電源の正極は、電気配線(48)を介して複数の噴霧器(42)の各噴霧管(51)に電気的に接続されている。電源の負極は、搬送トレイ(25)と共に接地されている。具体的には、電源の負極及び搬送トレイ(25)は、フレーム(31)に電気的に接続されている。なお、搬送トレイ(25)は、フレーム(31)に金属製の固定具を介して固定された金属ブラシ(73)の先端が、搬送トレイ(25)の上面に接触することにより、フレーム(31)に電気的に接続される。このような構成により、電圧印加部(45)は、各噴霧器(42)の噴霧管(51)と搬送トレイ(25)に載置されたガラス基板(20)との間に電圧を印加する。
分流機構(63)は、上流側分流部(64a)と中間分流部(64b)と下流側分流部(64c)と上流側分流管(65a)と中間分流管(65b)と下流側分流管(65c)とを備え、流出管(62b)の流出端に接続されて液配管(62)の原料液を複数の噴霧器(42)に分配する。上流側分流部(64a)は、支持部材(41)の本体板部(41a)の上部且つ中央部に支持されている。各上流側分流管(65a)の流出端には、中間分流部(64b)が1つずつ接続されている。各中間分流部(64b)の流出端には、2本の中間分流管(65b)がそれぞれ接続されている。各中間分流管(65b)の流出端には、下流側分流部(64c)が1つずつ接続されている。各下流側分流部(64c)の流出端には、2本の下流側分流管(65c)がそれぞれ接続されている。各下流側分流管(65c)の流出端は、第1〜第8噴霧器(42a〜42h)の各コネクタ(53)の流入端にそれぞれ接続されている。このようにして、噴霧機構(30)では、分流機構(63)の上流側分流部(64a)から各噴霧器(42)の先端までの間に8本の分流路(C)が形成される。
〈噴霧器の詳細な構成〉
図7(A)及び(B)に示すように、各噴霧器(42)は、噴霧管(51)と、該噴霧管(51)を保護すると共に支持部材(41)の本体板部(41a)に取り付ける保護部材(52)と、噴霧管(51)を保護部材(52)に取り付けるコネクタ(53)とを備えている。
噴霧管(51)は、内径が0.1mm程度の金属製の細径管によって構成され、基端がコネクタ(53)を介して対応する下流側分流管(65c)に接続されている。また、噴霧管(51)は、基端側の大部分(本実施形態では、保護部材(52)に覆われた部分)が内部に原料液を減圧するキャピラリー通路を形成する細径管部(54)を構成し、該細径管部(54)に連続する先端側の一部分(露出部分)が原料液を噴霧するノズル部(55)を構成する。ところで、従来、原料液を噴霧するためのノズルと、該ノズルに供給される原料液を減圧するキャピラリー通路を形成する細径管とは、別体に構成されていた。しかしながら、本実施形態では、ノズルとキャピラリー通路を形成する細径管とが1つの金属製の細径管によって一体に構成され、噴霧管(51)を構成している。
上記構成により、各噴霧管(51)の内部には、基端から先端まで、直径が0.1mm程度のキャピラリー通路が形成され、該キャピラリー通路は、対応する分流路(C)において原料液を減圧する抵抗となる。噴霧管(51)のキャピラリー通路によって分流路(C)に付与される流路抵抗Rcは、対応する分流路(C)の全体の流路抵抗のうち9割以上を占めている。また、各噴霧管(51)の流路抵抗Rcは、概ね同じ値に設定されている。このような構成により、複数の各分流路(C)の流路抵抗Rcの合計total-Rに対する各分流路(C)の流路抵抗Rcの比率(Rc/total-R)が互いに近い値となる。その結果、複数の分流路(C)における原料液の供給量が均一化され、複数の分流路(C)における原料液の偏流が防止される。
保護部材(52)は、噴霧管(51)を補強する補強部(56)と、噴霧管(51)を支持部材(41)の本体板部(41a)に取り付けるための2つの取付部(57)と、電圧印加部(45)の電源の正極に接続された電気配線(48)が接続される接続端子(47)を保護する端子保護部(58)とを有している。保護部材(52)は、樹脂材料によって、補強部(56)と取付部(57)と端子保護部(58)とが一体に形成されている。
補強部(56)は、上下方向に延びる略円筒形状に形成され、噴霧管(51)の細径管部(54)の周囲を覆って細径管部(54)を保護している。補強部(56)の上端には、噴霧管(51)のコネクタ(53)が挿入されている。
2つの取付部(57)は、それぞれ補強部(56)の外周面から径方向の外側に連続して延びる板状片によって形成されている。2つの取付部(57)は、補強部(56)の上端寄りの位置に形成された上部取付部(57a)と、下端寄りの位置に形成された下部取付部(57b)とによって構成されている。上部取付部(57a)と下部取付部(57b)とは、円筒形状の補強部(56)の軸心に対し、径方向の互いに逆方向に延びている。
図5、図7(A)及び(B)に示すように、2つの取付部(57)には、円形の孔(57c)が形成されている。一方、支持部材(41)の本体板部(41a)には、これらの孔(57c)に対応する位置に、円形の孔(41f)が形成されている。噴霧器(42)は、各取付部(57)の孔(57c)と、支持部材(41)の本体板部(41a)に形成された孔(41f)とに、固定ピン(71)を挿通させることにより、保護部材(52)が噴霧管(51)と共に支持部材(41)の本体板部(41a)に固定される。
また、図5に示すように、第2噴霧器(42b),第3噴霧器(42c),第5噴霧器(42e),第6噴霧器(42f),第7噴霧器(42g),第8噴霧器(42h)に対応する固定ピン(71)には、円筒形状のスペーサ(72)が取り付けられている。第2噴霧器(42b)と第3噴霧器(42c)に対する固定ピン(71)には、軸方向長さが同一の第1スペーサ(72a)が取り付けられ、第5噴霧器(42e)と第8噴霧器(42h)に対する固定ピン(71)には、軸方向長さが同一の第2スペーサ(72b)が取り付けられ、第6噴霧器(42f)と第7噴霧器(42g)に対する固定ピン(71)には、軸方向長さが同一の第3スペーサ(72c)が取り付けられている。なお、第1〜第3スペーサ(72a〜72c)の軸方向長さは、第2スペーサ(72b)が最も長く、第1スペーサ(72a)、第3スペーサ(72c)の順に短くなる。このような軸方向長さの異なる第1〜第3スペーサ(72a〜72c)を用いることにより、第1〜第8噴霧器(42a〜42h)は、支持部材(41)の本体板部(41a)に直交する方向に互いにずれた位置に配置されることとなる。
図7(A)及び(B)に示すように、端子保護部(58)は、補強部(56)の外周面の上部取付部(57a)と下部取付部(57b)の間から径方向の外側に連続して延びる矩形の板状片によって形成されている。端子保護部(58)の内部には、L字状の金属板からなる接続端子(47)が設けられている。接続端子(47)は、内端が補強部(56)を貫通し、該補強部(56)の内部に挿通された噴霧管(51)の外周面に接する一方、上端側の一部が端子保護部(58)から露出するように設けられている。接続端子(47)の露出した上端部には、電圧印加部(45)の電源の正極に接続された電気配線(48)が接続されている(図6を参照)。つまり、各噴霧管(51)は、接続端子(47)及び電気配線(48)を介して電圧印加部(45)の電源の正極に電気的に接続されている。
保護部材(52)は、噴霧管(51)及び接続端子(47)を型枠内に挿入した状態で樹脂材料を充填すること(所謂、インサート成型)によって形成されている。このような保護部材(52)の取付部(57)を固定ピン(71)によって支持部材(41)の本体板部(41a)に固定することにより、噴霧管(51)が、ガラス基板(20)及び搬送トレイ(25)と略垂直な(約90度をなす)姿勢で配置される。噴霧管(51)の先端とガラス基板(20)の間には、所定の間隔(30mm〜100mmが好ましい。)が確保されている。
このような構成により、各噴霧ユニット(40)において、複数の噴霧器(42)と、ポンプ(43)と、液圧センサ(44)と、電圧印加部(45)と、ポンプ駆動部(46)とが、支持部材(41)の本体板部(41a)に取り付けられている。また、各本体板部(41a)では、ベルトコンベア(15)の搬送方向の前側に複数の噴霧器(42)及び分流機構(63)が配置され、複数の噴霧器(42)及び分流機構(63)のベルトコンベア(15)の搬送方向の後側に、ポンプ(43)と、液圧センサ(44)と、電圧印加部(45)と、ポンプ駆動部(46)とが配置されている。
−脱気タンクの配置−
上述したように、上記脱気タンク(90)は、上記貯留タンク(60)と噴霧器(42)との間に接続されている(図2)。
一方、図4に示すように、上記噴霧機構(30)の複数の噴霧器(42)は、上記対象物であるガラス基板(20)の幅方向に並んでいる。そして、上記脱気タンク(90)は、上記噴霧機構(30)の幅方向の中間部に対応する位置に配置されている。
また、上述したように、上記噴霧機構(30)は、上記中間タンク(90)の位置を中心として該噴霧機構(30)の幅方向に対称に配置された複数の噴霧ユニット(40)を備え、各噴霧ユニット(40)は複数の上記噴霧器(42)を有している。そして、噴霧機構(30)の横断面の模式図である図8に示すように、上記中間タンク(90)に対して各噴霧ユニット(40)が原料液分岐流路(61a)により並列に接続されている。原料液分岐流路(61a)の噴霧ユニット(40)側の端部は、コネクタ(61b)を介して上記液配管(62)に接続されている。
この実施形態では、上記中間タンク(90)を中心として噴霧機構(30)の幅方向に対称に配置されている噴霧ユニット(40)同士は、その噴霧ユニット(40)に接続されている原料液分岐流路(61a)同士の長さが同じ(ほぼ同じである場合も含む)である。具体的には、図8において脱気タンク(90)を挟んで内側に位置する噴霧ユニット(40)同士は、それぞれに接続されている原料液分岐流路(61a)の長さがL2で互いに同じであり、最も外側に位置する噴霧ユニット(40)同士は、それぞれに接続されている原料液分岐流路(61a)の長さがL8で互いに同じである。また、原料液分岐流路(61a)は、図8で上下対称の位置に示しているL3同士、L4同士、L5同士、L6同士、及びL7同士も同じ長さである。
また、本実施形態では、上記脱気タンク(90)と噴霧器(42)との間に、該脱気タンク(90)から噴霧器(42)へ原料液を供給するポンプ(43)が接続されているが、このポンプ(43)は、脱気タンク(90)の液面高さの最大レベルよりも高い位置に配置されている。脱気タンク(90)とポンプ(43)の高さ関係をこのように設定しているのは、脱気タンク(90)の液面高さがポンプ(43)よりも高くなると圧力ヘッドでポンプ(43)から噴霧器(42)への原料液の供給に影響が出るおそれがあるのに対して、そのような問題を回避するためである。つまり、ポンプ(43)を脱気タンク(90)の液面より高くすることにより、ヘッド差によるポンプ(43)への圧力の影響をなくしている。
−噴霧ユニットの取付動作−
各噴霧ユニット(40)は、以下のようにして噴霧機構(30)に取り付けられる。まず、噴霧ユニット(40)を一対のユニット支持板(32)の上方に位置させ、一対の縦溝(35)の内部に噴霧ユニット(40)の各ボルト(41d)の頭部を嵌合させる。そして、各ボルト(41d)を各縦溝(35)に沿って下方に底壁部(37)に当接するまでスライドさせる。その結果、2つのユニット支持板(32)の間において、噴霧ユニット(40)の位置が決定される。
このように、本実施形態の噴霧機構(30)では、一対のユニット支持板(32)の間に所望とする数の噴霧ユニット(40)を適宜取り付けることができる。これにより、噴霧機構(30)では、ガラス基板(20)の幅に応じて、噴霧ユニット(40)の数量(即ち、噴霧機構(30)での原料液の噴霧範囲)を適宜調整することができる。
−成膜装置の運転動作−
上述したように、成膜装置(10)は、前処理ゾーン(11)においてガラス基板(20)を洗浄する工程を、噴霧ゾーン(12)においてガラス基板(20)に原料液を付着させる工程を、後処理ゾーン(13)においてガラス基板(20)に被膜を定着させる工程を、それぞれ行う。
前処理ゾーン(11)には、ガラス基板(20)を載せた搬送トレイ(25)が、ベルトコンベア(15)によって搬送される。プラズマ処理機構(80)は、電圧印加部(82)により、10本の放電電極(81)とガラス基板(20)との間に電圧が印加され、放電電極(81)からガラス基板(20)に向かってコロナ放電が生起される。これにより、大気中において発生したプラズマがガラス基板(20)の表面に照射される。その結果、ガラス基板(20)の表面が洗浄されると共に、親水性が向上する。前処理ゾーン(11)において洗浄処理が行われたガラス基板(20)は、ベルトコンベア(15)によって、噴霧ゾーン(12)に搬送される。
噴霧ゾーン(12)では、まず、図示しない窒素供給手段により、貯留タンク(60)に窒素ガスが注入され、貯留タンク(60)の原料液が液供給管(61)を介して脱気タンク(90)に供給される。脱気タンク(90)に所定量の原料液が供給されると、真空ポンプ(91)が運転され、脱気タンク(90)内の空気が真空ポンプ(91)に吸引される。これにより、原料液中に溶け込んだ空気が原料液から除去される。
ところで、空気が混入したままの原料液が各噴霧器(42)に供給されると、原料液の噴霧が断続的になり、均一に成膜できない。そのため、上述のような脱気処理は、貯留タンク(60)から脱気タンク(90)に原料液が補充される毎に行われる。
次に、コントローラ(14)は、各噴霧ユニット(40)のポンプ(43)を作動させると共に、電圧印加部(45)の電源をON状態とする。
ポンプ(43)が作動すると、脱気タンク(90)において空気が除去された原料液が、液供給管(61)の下流側端部において分流されて各噴霧ユニット(40)の液配管(62)に流入する。各噴霧ユニット(40)の液配管(62)に流入した原料液は、ポンプ(43)を通過した後、上流側分流部(64a)へ流出する。上流側分流部(64a)の原料液は、2本の上流側分流管(65a)に分流し、各中間分流部(64b)へ流出する。各中間分流部(64b)の原料液は、それぞれ2本の中間分流管(65b)に分流し、各下流側分流部(64c)へ流出する。各下流側分流部(64c)の原料液は、それぞれ2本の下流側分流管(65c)に分流する。以上のようにして、分流機構(63)では、液配管(62)を流出した原料液が8つの分流路(C)に分配される。
各下流側分流管(65c)に流入した各原料液は、各噴霧器(42)へ供給される。これらの噴霧器(42)の各噴霧管(51)の内部通路は、内径が0.1mmのキャピラリー通路に形成されている。各噴霧管(51)のキャピラリー通路によって分流路(C)に付与される流路抵抗Rcは、対応する分流路(C)の全体の流路抵抗のうち9割以上を占め、また、各噴霧管(51)の流路抵抗Rcは、概ね同じ値に設定されている。そのため、各噴霧管(51)における原料液の供給量が均一化される。つまり、各噴霧管(51)における原料液の偏流が防止される。
また、電圧印加部(45)の電源がON状態となることにより、該電源の正極と導通する各噴霧管(51)のノズル部(55)と、金属ブラシ(73)を介して接地された搬送トレイ(25)に載せられた対象物であるガラス基板(20)との間に、電圧(2kV〜7kV程度)が印加される。
各噴霧管(51)とガラス基板(20)の間に電圧が印加されると、各噴霧管(51)の先端のノズル部(55)付近の空間に電界が形成される。この電界により、各噴霧管(51)のノズル部(55)の先端では、原料液がガラス基板(20)側へ引っ張られ、円錐形状の所謂テイラーコーンが形成される。このテイラーコーンの先端から原料液が引きちぎられることによって概ね数μmから100μm程度の大きさの液滴が生成される。
各噴霧管(51)は電源の正極に導通しているため、噴霧管(51)のノズル部(55)から噴霧された液滴状の原料液も正の電荷に帯電している。これに対し、ガラス基板(20)は接地されている。そのため、液滴状の原料液は、クーロン力によってガラス基板(20)へ向かって(本実施形態では下へ向かって)飛んでゆき、ガラス基板(20)の表面に付着する。ガラス基板(20)の表面に付着した原料液中の溶媒が揮発して被膜成分がガラス基板(20)の表面上に定着することにより、所定の領域に防汚用の被膜が形成される。
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、上記貯留タンク(60)と噴霧器(42)との間に中間タンク(90)を接続し、この中間タンク(90)を、原料液に含まれる気体を抜き出す脱気機構(91)が接続された脱気タンク(90)にしている。そして、この脱気タンク(90)で原料液の気泡を除去するようにしているので、ノズル部(55)への原料液の供給が連続して行われるようになる。したがって、各ノズル部(55)へ供給される原料液の流量が均一化され、ノズル部(55)からガラス基板(20)への原料液の噴霧が均一に行われる。その結果、形成される被膜の厚さも均一化される。
また、本実施形態によれば、脱気タンク(90)を噴霧機構(30)の幅方向の中間部に配置して、脱気タンク(90)から原料液が複数の噴霧器(42)に均等に分配されるようにしているので、各ノズル部(55)への原料液の供給量がより均一になり、ノズル部(55)から対象物(20)への原料液の噴霧がより安定して行われる。
さらに、本実施形態によれば、中間タンク(90)から噴霧器(42)へ原料液を供給するポンプ(43)を中間タンク(90)よりも高い位置に配置したことにより、中間タンク(90)から噴霧器(42)へ原料液を安定して供給することができるようにしているので、ノズル部(55)から対象物(20)への原料液の噴霧をより均一にすることができ、被膜の厚さもより均一にすることが可能となる。
−実施形態の変形例−
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
例えば、上記実施形態では、脱気タンク(90)を噴霧機構(30)の幅方向の中間部(中央の位置)に配置するようにしているが、脱気タンク(90)は必ずしも噴霧機構(30)の幅方向の中間位置に設けなくてもよい。
また、上記実施形態では、ポンプ(43)を脱気タンク(90)の最高液面レベルよりも高い位置に配置するようにしているが、場合によっては位置関係を変更してもよい。
〈その他の実施形態〉
上述した原料液は、オプツール(登録商標)DSX−E(ダイキン工業社製)のパーフルオロブチルエチルエーテル溶液(有効成分1mass%)を用いることができる。
また、原料液は、少なくとも1種のパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物からなる表面処理剤を含有することができる。
この表面処理剤は、具体的には、WO97/07155、特表2008−534696、WO2013/146110、特開2010−217915、特開2013−117012、特開2002−348370、特開2012−72272、特開2003−238577、特開2000−143991、WO2013/121984、WO2013/121985、WO2013/121986等に記載されている化合物が挙げられる。
また、市販の表面処理剤としては、KY−130(信越化学工業社製)、KY−164(信越化学工業社製)、KY−178(信越化学工業社製)、KY−185(信越化学工業社製)、オプツールDSX−E(ダイキン工業社製)、オプツールAES−4E(ダイキン工業社製)、DC2634(ダウ・コーニング社製)が例示される。
原料液は、表面処理剤を溶媒で希釈し、基材表面に適用されるものである。原料液の安定性および溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される。
炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン)、ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン)、ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C13CHCH(例えば、旭硝子社製のアサヒクリン(登録商標)AC−6000)、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン社製のゼオローラ(登録商標)H)、ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えばパーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム社製のNOVEC(登録商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム社製のNOVEC7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム社製のNOVEC7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム社製のNOVEC7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい。)、あるいはCFCHOCFCHF(例えば、旭硝子社製のアサヒクリンNOVECAE−3000))など。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、ヒドロフルオロエーテルが好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)および/またはパーフルオロブチルエチルエーテル(COC)が特に好ましい。
また、上記後処理ゾーン(13)で行われる後処理工程は、例えば、水分供給および乾燥加熱を逐次的に実施するものであってよい 。水分供給および乾燥加熱は、過熱水蒸気
を用いることにより連続的に実施してもよい。
以上説明したように、本発明は、静電噴霧によって対象物に被膜を形成する成膜装置について有用である。
10 成膜装置
20 ガラス基板(対象物)
30 噴霧機構
42 噴霧器
43 ポンプ
45 電圧印加部
55 ノズル部
60 貯留タンク
90 脱気タンク(中間タンク)
91 真空ポンプ(脱気機構)

Claims (4)

  1. 原料液が貯留される貯留タンク(60)と、
    上記貯留タンク(60)から供給された原料液を噴霧するノズル部(55)をそれぞれが有する複数の噴霧器(42)が配列された噴霧機構(30)と、
    供給された原料液が帯電した液滴となって上記噴霧器(42)のノズル部(55)から対象物(20)へ噴霧されるように上記ノズル部(55)と上記対象物(20)の間に電圧を印加する電圧印加部(45)とを備え、
    上記ノズル部(55)から上記対象物(20)へ原料液を噴霧することによって該対象物(20)の表面に被膜を形成する静電噴霧型の成膜装置であって、
    上記貯留タンク(60)と噴霧器(42)との間に中間タンク(90)が接続され、
    上記中間タンク(90)は、原料液に含まれる気体を抜き出す脱気機構(91)が接続された脱気タンクであることを特徴とする成膜装置。
  2. 請求項1において、
    上記噴霧機構(30)の複数の噴霧器(42)は、上記対象物(20)の幅方向に並んでおり、
    上記中間タンク(90)は、上記噴霧機構(30)の幅方向の中間部に配置されていることを特徴とする成膜装置。
  3. 請求項2において、
    上記噴霧機構(30)は、上記中間タンク(90)の位置を中心として該噴霧機構(30)の幅方向に対称に配置された複数の噴霧ユニット(40)を備え、各噴霧ユニット(40)は複数の上記噴霧器(42)を有し、
    上記中間タンク(90)と各噴霧ユニット(40)とが原料液分岐流路(61a)により並列に接続され、
    上記中間タンク(90)を中心として噴霧機構(30)の幅方向に対称に配置されている噴霧ユニット(40)同士は、その噴霧ユニット(40)に接続されている原料液分岐流路(61a)の長さが同じであることを特徴とする成膜装置。
  4. 請求項2または3において、
    上記中間タンク(90)と噴霧器(42)との間に該中間タンク(90)から噴霧器(42)へ原料液を供給するポンプ(43)が接続され、
    上記ポンプ(43)は、中間タンク(90)の液面高さの最大レベルよりも高い位置に配置されていることを特徴とする成膜装置。
JP2014011767A 2014-01-24 2014-01-24 成膜装置 Pending JP2015136691A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014011767A JP2015136691A (ja) 2014-01-24 2014-01-24 成膜装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014011767A JP2015136691A (ja) 2014-01-24 2014-01-24 成膜装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015136691A true JP2015136691A (ja) 2015-07-30

Family

ID=53768077

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014011767A Pending JP2015136691A (ja) 2014-01-24 2014-01-24 成膜装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015136691A (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5158439A (en) * 1974-11-20 1976-05-21 Nippon Pii Shii Esu Kk Seidentoso niokeru toryokyokyusochi
JPH10277449A (ja) * 1997-04-09 1998-10-20 Iwaki:Kk 液体分配ユニット及びこれを用いた定圧噴霧装置
JP2003052256A (ja) * 2001-08-09 2003-02-25 Toshiaki Matsubayashi 液体散布用管
JP2004223479A (ja) * 2003-01-27 2004-08-12 Fuji Photo Film Co Ltd 静電塗布装置および静電塗布方法
JP2005118779A (ja) * 2004-11-11 2005-05-12 Musashi Eng Co Ltd 流体の吐出路構造
JP2011173085A (ja) * 2010-02-25 2011-09-08 Hitachi High-Technologies Corp Esd装置及びesd方法
WO2013146110A1 (ja) * 2012-03-29 2013-10-03 ダイキン工業株式会社 表面処理組成物およびそれを使用して得られる物品

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5158439A (en) * 1974-11-20 1976-05-21 Nippon Pii Shii Esu Kk Seidentoso niokeru toryokyokyusochi
JPH10277449A (ja) * 1997-04-09 1998-10-20 Iwaki:Kk 液体分配ユニット及びこれを用いた定圧噴霧装置
JP2003052256A (ja) * 2001-08-09 2003-02-25 Toshiaki Matsubayashi 液体散布用管
JP2004223479A (ja) * 2003-01-27 2004-08-12 Fuji Photo Film Co Ltd 静電塗布装置および静電塗布方法
JP2005118779A (ja) * 2004-11-11 2005-05-12 Musashi Eng Co Ltd 流体の吐出路構造
JP2011173085A (ja) * 2010-02-25 2011-09-08 Hitachi High-Technologies Corp Esd装置及びesd方法
WO2013146110A1 (ja) * 2012-03-29 2013-10-03 ダイキン工業株式会社 表面処理組成物およびそれを使用して得られる物品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6590668B2 (ja) ポリマースプレー付着装置のスプレー帯電及び放電システム
JP5835313B2 (ja) 成膜装置
JP6415323B2 (ja) 基体上にレジストの薄層を堆積させる装置およびプロセス
US20130287962A1 (en) Electrospray atomization electrode, nozzle, apparatus, methods and applications
KR101305768B1 (ko) 정전 분무 인쇄 장치
EP2851128A1 (en) Electrostatic application apparatus and method for applying liquid
KR20070013128A (ko) 전기분사 방식의 박막 코팅 시스템 및 이를 위한 분사장치
KR20130058041A (ko) 이온 생성 장치
TWI276471B (en) Nozzle arrangement
JP2007069126A (ja) 印刷ヘッド及び印刷装置
JP2015136694A (ja) 成膜装置の噴霧ユニット及び成膜装置
JP2015136692A (ja) 成膜装置
JP2015136691A (ja) 成膜装置
KR100636003B1 (ko) 코팅 재료, 특히 코팅 분말용 스프레이 장치
JP2015136690A (ja) 成膜装置
JP5700030B2 (ja) 成膜装置
JP2015136693A (ja) 成膜装置
JP2011240343A (ja) 印刷ヘッド及び印刷装置
JP2017074568A (ja) マスキング治具を用いた液体塗着方法、そのためのマスキング治具、及び、そのマスキング治具を用いた静電噴霧装置
KR101263591B1 (ko) 콘젯 모드 정전기 스프레이 장치
JP2014117691A (ja) 成膜装置
JP5491755B2 (ja) 成膜装置
JP2014117693A (ja) 成膜装置
JP2014117689A (ja) 成膜装置
KR101260414B1 (ko) 스프레이 팁을 구비한 슬릿노즐 및 이를 이용한 박막코팅방법

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151124

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160405

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160603

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160920