JP2004223479A - 静電塗布装置および静電塗布方法 - Google Patents

静電塗布装置および静電塗布方法 Download PDF

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賢二 林
Manabu Hashigaya
学 橋ヶ谷
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Abstract

【課題】静電塗布装置、および前記静電塗布装置を用いた静電塗布方法において、供給される塗布液の量が大幅に増大した場合にも、マット化液のような塗布液の気泡によるトラブルの生じることを防止することを目的とする。
【解決手段】静電塗布装置10において、塗布液を滴化しつつ帯電させる霧化装置12と,霧化装置12に供給される塗布液を貯留するタンク14と,タンク14内の塗布液を霧化装置12へ給液する給液管路16と,タンク14内の塗布液を給液管路16内へ圧送するポンプ18と,霧化装置12に供給される塗布液を脱気する膜脱気装置20とを備えてなり、膜脱気装置20によって塗布液中の溶存気体が除去されてから霧化装置12に塗布液が供給されるから、霧化装置12において気泡が発生することがない静電塗布装置、および前記静電塗布装置を用いた静電塗布方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷原版などの被塗布物に、塗布液、たとえばマット化液などの液滴を塗布する静電塗布装置および静電塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PS版においては、印刷画像を形成したフィルムを製版層に重ねて露光を行うので、露光時にフィルムと製版層とを密着させて所謂焼きぼけが発生するのを防止する必要がある。
【0003】
そこで、前記フィルムとの密着性を改善する目的で、前記製版層の表面にマットと称する略半球状の小突起を多数形成することが一般的に行われている。前記マット化は、一般的には、静電塗布装置を用いて行う。
【0004】
静電塗布装置は、図5に示すように、通常、ベル状ないしカップ状に形成された霧化頭50と,前記霧化頭50の中心部に固定された円板状のブッシュ52と,霧化頭50の内側に設けられ、ブッシュ52に向かってマット化液を供給するマット化液供給管54と,霧化頭50を軸線の回りに回転させるエアモータ(図示省略)とを有する。尚、霧化頭50には、高電圧が印加されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【0005】
前記静電塗布装置においては、霧化頭50を高速回転させつつ、マット化液供給管54からブッシュ52に向かってマット化液を供給すると、供給されたマット化液は、遠心力によってブッシュ52におけるマット化液供給管54に相対する側の面、および霧化頭50の内壁面を外側に向かって移動する。
【0006】
ここで、前述のように霧化頭50には高電圧が印加されているから、マット化液は、ブッシュ52および霧化頭50を通過する間に帯電し、霧化頭50の周縁から帯電液となって飛散する。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−202339号公報([特許請求の範囲]、[0015]、[0016]、[0017]欄)
【特許文献2】
特開昭59−80360号公報(第1頁右下欄第4行乃至第10行)
【特許文献3】
特開2000−42478号公報([請求項1]、[請求項2]、[0008]、[0009]、[0010]欄)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記静電塗布装置では、霧化頭50(図5参照)に供給される塗布液に気泡が混入していると、その気泡が液滴と共にPS版に向かって飛散し、PS版の感光層上に付着したときに泡はじきが発生するので、泡はじきに起因するPS版の外観(塗布面質)故障を引き起こすことがある。
【0009】
また、霧化頭50の表面50Aに存在する泡が乾くと、表面50A上を流れる塗布液の液流が乱れるので、霧化頭50の表面50Aに筋状の汚れ51が発生する。汚れ51が発生した場合には、霧化頭50から飛散する液滴の粒径が不均一になるので、PS版の表面に形成されるマットの大きさも不揃いになる。
【0010】
これまでは、塗布液中の気泡に起因するこのような問題については、霧化頭の内部構造や内面の形状、ブッシュの面形状、霧化頭およびブッシュの直径、霧化頭の回転数などを最適化することにより対応してきた。
【0011】
しかしながら、近時、PS版製造ラインのライン速度が増大し、それに伴い、マット化液を霧化頭に送液する送液量も、それまでの60cc/分から例えば120cc/分というように大幅に増大した。したがって、前記霧化頭やブッシュの最適化だけでは、塗布液中の溶存気体による外観故障の発生には充分対応できなくなった。
【0012】
本発明は、供給される塗布液の量が大幅に増大した場合にも、マット化液のような塗布液の気泡によるトラブルの生じることが無い静電塗布装置および静電塗布方法の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の静電塗布装置は、塗布液を滴化しつつ帯電させて被塗布物に付着させる液滴形成付着手段と、前記液滴形成付着手段に前記塗布液を供給する塗布液供給手段と、前記塗布液供給手段における前記塗布液中の溶存気体を除去する脱気手段と、を備える。
【0014】
上記静電塗布装置は、脱気手段により、塗布液中の溶存気体が除去されてから液滴形成付着手段に塗布液が供給されるから、前記液滴形成付着手段において気泡が発生することがない。したがって、塗布液中の気泡に起因する泡はじきなどの外観故障の発生や、不均一な液滴の発生が防止される。また、気泡がはじけることによる前記液滴形成付着手段の汚れも防止できるから、長時間安定な運転が可能となる。
【0015】
前記被塗布物は、PS版のような帯状体であっても、枚葉状体であっても良い。帯状体に塗布を行う場合は、前記帯状体を一定速度で搬送することが好ましい。前記塗布液としては、前述のマット化に使用されるマット化液などが挙げられる。
【0016】
ここで、前記液滴形成付着手段は、塗布液を滴化しつつ帯電させて被塗布物に付着させる霧化装置である。そのため、発生した塗布液滴は、帯電しているから、被塗布物を接地するか、または前記塗布液滴の電荷とは反対の極性に帯電させるかすることにより、前記塗布液滴が前記被塗布物に静電的に付着する。なお、前記液滴形成付着手段は、後述する霧化頭を備える霧化装置などがある。
【0017】
請求項2に記載の静電塗布装置は、請求項1に係る発明において、前記脱気手段が塗布液中の溶存気体を気泡として分離する脱泡装置である。
【0018】
前記脱泡装置としては、たとえば脱泡タンクなどが挙げられる。前記脱泡装置の内部は、常圧であってもよいが、減圧に保持すれば、脱泡がより速やかに、しかも完全に行われるから好ましい。
【0019】
請求項3に記載の静電塗布装置は、請求項1に係る発明において、前記脱気手段は前記塗布液から溶存気体を分離・除去する分離膜を備える膜脱気装置である。前記膜脱気装置においては分離膜により溶存気体を除去しているから、塗布液を連続的に脱気できる。
【0020】
したがって、塗布液が所定の脱気度まで脱気されるのを待つ必要がないから、スタートアップが迅速に行える。また、上記膜脱気装置においては、脱気中に気泡を生じさせるおそれもない。なお、上記膜脱気装置において、前記分離膜の一方の面に塗布液を接触させ、前記分離膜の他方の面側の圧力を大気圧よりも低く保持して塗布液を脱気しても良い。
【0021】
請求項4に記載の発明は、前記膜脱気装置において、前記分離膜の一方の面に前記塗布液を接触させ、前記分離膜の他方の面を大気圧よりも低く、前記塗布液の脱気温度における蒸気圧と等しいか、それよりも高い圧力に保持して前記塗布液を脱気する静電塗布装置に関する。
【0022】
前記静電塗布装置においては、前記膜脱気装置において塗布液の脱気温度における蒸気圧以上の圧力で脱気しているから、前記膜脱気装置中での塗布液中の溶媒の蒸発量は少ない。
【0023】
したがって、前記塗布液中の溶存気体は前記分離膜を通して除去されるが、前記溶存気体とともに除去される溶媒蒸気の量は少ないから、脱気に伴う溶媒の蒸発によって塗布液の溶質濃度や組成が大きく変化するのを防止できる。
【0024】
請求項5に記載の発明は、前記被塗布物が帯状体であり、長手方向に沿って搬送される静電塗布装置に関する。
【0025】
前記静電塗布装置においては、前記被塗布物が帯状体であるから、前記被塗布物を連続的に搬送しつつ処理できる。したがって、前記静電塗布装置は生産効率に優れる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、前記静電塗布装置が、一端に向かって拡大するベル状であって軸線の回りに回転可能に配置され、前記塗布液を滴化すると同時に帯電させて大径側開口端から放出する霧化頭を備える静電塗布装置に関する。
【0027】
前記静電塗布装置は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の静電塗布装置において、霧化頭を有するものを使用した例である。前記静電塗布装置においては、霧化頭は高速回転するから、霧化頭に供給された塗布液は、遠心力によって前記霧化頭の内面を周縁部に向かって移動し、周縁において滴となって飛散する。したがって、マット化液のように粘度の高い塗布液を使用する場合においても、前記塗布液を効果的に霧化できる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、前記塗布液が、水溶性ビニル系樹脂の水溶液を主成分とするマット化液である静電塗布装置に関する。
【0029】
前記静電塗布装置は、請求項1乃至6の静電塗布装置において塗布液としてマット化液を使用した例である。
【0030】
マット化液は、前述のように水溶性ビニル系樹脂の水溶液が主成分であるから、一旦気泡が生じると除去が困難である。そして、前記マット化液が液滴形成付着手段から被塗布物に向かって滴状に放出されると、前記マット化液は減圧されるから、それまで溶解していた溶存気体が前記マット化液から分離して気泡が生じる。
【0031】
しかし、本発明の静電塗布装置によれば、マット化液中の溶存気体は脱気手段において除去されて前記液滴形成付着手段に供給されるから、マット化液中の溶存気体に起因して気泡が生じることがない。
【0032】
請求項8に記載の発明は、請求項7の静電塗布装置において、前記マット化液を前記被塗布物に付着させ、マットを形成する静電塗布装置に関する。
【0033】
請求項8に記載の発明においては、請求項7のところで述べたのと同様の理由により、被塗布物に付着したマットが適正に形成される。したがって、前記静電塗布装置は、PS版のマット化に好適に使用できる。
【0034】
請求項9に記載の発明は、塗布液を滴化して被塗布物に付着させる液滴形成付着手段と、前記液滴形成付着手段に前記塗布液を供給する塗布液供給手段と、前記塗布液供給手段における前記塗布液中の溶存気体を除去する脱気手段とを有する静電塗布装置を用いて塗布液滴を被塗布物に付着させる静電塗布方法に関する。
【0035】
前記静電塗布方法によれば、請求項1のところで述べたのと同様の理由により、泡ハジキなどの面質故障や不均一な液滴の発生、液滴形成付着手段の汚れなどの発生が効果的に防止される。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図3に基づいて、本発明の実施形態に係る静電塗布装置または静電塗布方法について説明する。本実施形態に係る静電塗布装置10は、塗布液の液滴を被塗布物である平版印刷原版(ウェブ)48の感光層48Aに噴霧して半球状の小突起(図示省略)を形成させ、感光層48Aをマット化するものである。
【0037】
なお、図1は本実施形態の静電塗布装置に関する概略図、図2は図1に示す霧化装置の要部概略斜視図、図3は図2に示す霧化装置の霧化頭部分の要部断面図である。
【0038】
図1に示すように、本実施形態に係る静電塗布装置10は、本発明における液滴形成付着手段の一例である霧化装置12と,霧化装置12に供給される塗布液を貯留するタンク14とを備える。塗布液供給手段の一部を構成するタンク14、および霧化装置12は、タンク14内の塗布液を霧化装置12へ給液する給液管路16によって連通されている。なお、給液管路16は、塗布液供給手段の一部を構成する。
【0039】
タンク14および霧化装置12の給液管路16の間には、上流側のタンク14から下流側の霧化装置12へ向かって、タンク14内の塗布液を給液管路16内へ圧送するポンプ18と,霧化装置12に供給される塗布液を脱気する脱気手段としての膜脱気装置20と,膜脱気装置20で脱気処理された塗布液中から異物を取除くフィルター22とが介装されている。
【0040】
膜脱気装置20には、気体と液体とを分離するフッ素樹脂膜などで形成された分離膜21が内装されていると共に、分離膜21の減圧面21A側に図示しない減圧装置が連通されている。一方、膜脱気装置20における分離膜21の接液面21B側には、ポンプ18から圧送され且つ脱気処理された塗布液をフィルター22へ送液する入出口(図示省略)がそれぞれ形成されている。
【0041】
なお、本実施形態に係る膜脱気装置20は、塗布液中の溶存空気が、塗布液の脱気温度における飽和空気溶解量の90%以下になるように設定されている。即ち、膜脱気装置20の脱気能力は、各種塗布液の脱気性や発泡性に依存する。そして、発泡しやすい塗布液では、その溶存空気が上記飽和空気溶解量の70%〜50%程度になるように低く設定する必要がある。通常は、塗布液の溶存空気が上記飽和空気溶解量の90%以下になるように設定する。
【0042】
また、本実施形態に係る減圧装置は、分離膜21の減圧面21A側に加える圧力を大気圧よりも低くし、たとえば塗布液の脱気温度における蒸気圧と等しくするか,それよりも高い脱気圧力に保持するように設定されている。
【0043】
本実施形態に係る脱気手段は、例えば平膜型モジュール,チューブラ型モジュールなどの膜脱気装置の他に、前記分離膜21を使用しないで塗布液中の溶存空気を脱気する脱気装置も使用できる。このような脱泡装置としては、図1に示す膜脱気装置20の他に、図4に示す脱泡装置40が挙げられる。
【0044】
図4に示すように、脱泡装置40では、図1に示すポンプ18からの給液管路16Aを脱泡装置40の上部に連結させ、図1に示すフィルター22への給液管路16Bを脱泡装置40の下部に連結させる。また、図示しない減圧装置を脱泡装置40の天井部に連通させ、減圧装置で脱泡装置40内を減圧して塗布液から泡を分離させ、泡を脱泡装置40の天井部側に溜める。
【0045】
即ち、ポンプ18(図1参照)から給液された塗布液は、脱泡装置40の上部に供給され、図示しない減圧装置により塗布液から泡が分離される。そして、脱泡処理された塗布液は、脱泡装置40の下部からフィルター22(図1参照)へと送液される。
【0046】
図1に示すように、霧化装置12は、平版印刷原版48の感光層48Aに霧化頭本体24から塗布液の液滴を噴射して静電的に付着させる塗布作業を行えるように構成されている。即ち、図2および図3に示すように、霧化装置12は、円筒状の筒部24Aおよび筒部24Aから一端に向かって拡大するベル部24Bが一体成形された霧化頭本体24と,霧化頭本体24を支持する円筒状の筐体26と,筐体26に配置された霧化頭本体24を回転させるモータ34(図3参照)とを備える。
【0047】
霧化頭本体24には、図示しない直流高圧電圧発生装置が配線ケーブル(図示省略)を介して電気的に接続されている。直流高圧電圧発生装置がオンされると、直流高圧が霧化頭本体24に印加される。
【0048】
図3に示すように、霧化頭本体24の筒部24A内には、ブッシュ28が複数本のピン29により,ブッシュ28と筒部24Aとの間に均一の隙間ができるよう同心状に位置決めされている。筒部24Aおよびブッシュ28によって形成された隙間は複数の円形スリット状の流出口30となり、各流出口30はベル部24Bのベル内周面24Cに対応する位置に配置されている。
【0049】
なお、流出口30の中には、塗布液が流出する方向に、流線形をした複数の支柱(図示省略)が設けられている。また、給液管路16に連結された塗布液供給用のノズル32は、霧化頭本体24の軸線P1(図1参照)に沿うように配置されていると共に、筒部24Aの空間内部まで延設されている。さらに、ブッシュ28の裏面(ノズル32に対向する面)には、すり鉢状の液受部28Aが形成されている。
【0050】
ここで、塗布液は、マット化に使用される塗料であり、水溶性ビニル系樹脂の水溶液であるマット液が挙げられる。前記水溶性ビニル系樹脂としては、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸またはその水溶性塩、並びに(メタ)アクリル酸またはその水溶性塩と、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン等のアルキル化スチレン、クロロスチレンなどのハロゲン化スチレン、およびジビニルベンゼンからなる群から選択された1種以上のビニル系モノマーとの共重合体である水溶性ビニル共重合体が挙げられる。
【0051】
前記マット液は水性であり、一方、図1に示す感光層48Aを形成する感光性樹脂は、通常有機溶媒には溶解するが水には溶解しない。したがって、前記マット液は、マット形成時において、感光層48Aを形成する感光性樹脂を溶かすことがない。また、前記マット液の滴が感光層48Aに付着して形成された小突起は、乾燥後には感光層48Aに対して強い接着力を示し、また、強度が高いので露光前の真空引きにおいて、字や絵などの印刷画像の形成された透明フィルムと感光層48Aとの間に作用する圧力によって前記小突起が潰れたり変形したりすることがない。
【0052】
図1に示すように、帯状に連続した平版印刷原版48は、その感光層48Aが霧化頭本体24の軸線P1回りに対して90度に直交するように、長手方向に沿って搬送される。また、静電塗布装置10は、平版印刷原版48における感光層48Aの表面と,霧化頭本体24におけるベル内周面24Cの端部24Dとの距離が一定になるように設定されている。
【0053】
なお、被塗布物には、平版印刷原版48のほか、予め所定の寸法に裁断された枚葉状の平版印刷原版も包含される。また、静電塗布装置10において、霧化装置12の個数は限定されず、単数または2個以上の複数としても良い。さらに、上記感光層は平版印刷原版の表面または裏面の一方、さらには平版印刷原版の表裏における両面であっても良い。
【0054】
静電塗布装置10には、図示しない電圧発生装置に接続された補助電極板36および38が、霧化装置12を上下に挟むよう所定距離で配置されている。そして、静電塗布装置10においては、霧化頭本体24と補助電極板36,38とに正または負の電圧を印加する。補助電極板36および38は、支持部材37および39によって所定位置に位置決めされている。
【0055】
なお、平版印刷原版48には、霧化頭本体24と補助電極板36,38とに印加された電圧とは反対の極性を有する電圧を印加してもよく、または平版印刷原版48を接地し、霧化頭本体24および補助電極板36,38に正または負の電圧を印加してもよい。
【0056】
引続き、図1乃至図3に基づき、本実施形態の作用を説明する。図1に示すように、タンク14内の塗布液は、ポンプ18によって膜脱気装置20の分離膜21の接液面21B側に導入される。ここで、膜脱気装置20の分離膜21の減圧面21A側が減圧装置により減圧されると、分離膜21の接液面21B側を流通する塗布液中の溶存空気は、分離膜21を通って膜脱気装置20の減圧面21A側に移行し、図示しない脱気管路から排出される。即ち、本実施形態の静電塗布装置10においては、膜脱気装置20を流通する塗布液から溶存空気が脱気されるので、溶存空気の混入がない塗布液がフィルター22を介して霧化装置12へ給液される。
【0057】
そして、図3に示すように、霧化装置12では、モータ34により霧化頭本体24(ブッシュ28を含む)を高速回転させながら、塗布液がノズル32を通してブッシュ28の液受部28Aに供給されると、霧化頭本体24の回転によって生じる遠心力により塗布液が液受部28Aで薄膜状となりながら、霧化頭本体24とブッシュ28とで囲まれた空間の筒部24Aの内壁面24Eに放出され、この内壁面24Eにおいてさらに遠心力により薄膜化され、複数の流出口30を通り、ベル部24Bのベル内周面24C上に到る。
【0058】
ここで、複数の流出口30の間に設けられた複数の流線形をした支柱は、薄膜化された塗布液の流出を妨げることがないように構成されているので、霧化頭本体24のベル内周面24Cに対応する位置までほぼ均一な薄膜を形成させることができる。このようにして均一に薄膜化された塗布液は、霧化頭本体24のベル内周面24Cでさらに均一に薄膜状になりながら、ベル内周面24Cの端部24Dより霧化流として放出される。
【0059】
本実施形態によれば、霧化頭本体24に給液される塗布液に気泡が混入していないので、泡の発生が防止されると共に、霧化頭本体24のベル内周面24C上には泡に起因する汚れの発生が防止される。即ち、本実施形態によれば、ベル内周面24Cから流れる液滴が均一に噴霧されるので、マット化が均一となり、平版印刷原版48の外観故障の発生が防止される。
【0060】
また、本実施形態によれば、霧化頭本体24に給液される塗布液に気泡が混入していないので、霧化頭本体24の霧化頭がベル型の場合では、泡が発生するのを抑える霧化装置12の内部構造(たとえば、霧化頭本体24内におけるブッシュ28の取付け構造,ブッシュ28の形状など)を簡易にすることができ、コストが低減できる。
【0061】
静電塗布装置10においては、霧化頭本体24の端部24Dから放出された液滴は、霧化頭本体24と保持電極板36,38との間に形成された電場により、平版印刷原版48に向かって誘導される。即ち、霧化頭本体24から放出された液滴は、平版印刷原版48に引き付けられるだけでなく、補助電極板6により、平版印刷原版48に向かうクーロン力を受けて、図1において破線で示すように、霧化頭本体24の端部24D(図2および図3参照)から平版印刷原版48に向かって飛行する。
【0062】
従って、静電塗布装置10においては、霧化頭本体24から飛ばされた液滴が、平版印刷原版48の感光層49に高い効率で、しかも均一に付着する。また、霧化頭本体24から飛ばされた液滴は、感光層49へ向かって飛行する間に、半乾燥状態になるから、感光層49の表面には、大きさがほぼ同一である半球状の突起が形成され、良好なマット面が得られる。
【0063】
本実施形態によれば、霧化頭本体24から飛散される滴液における泡の発生が防止されるので、平版印刷原版に向かって飛散する液滴が、平版印刷原版の感光層上に付着しても、泡はじきすることがなく、泡はじきに起因する平版印刷原版の外観故障が防止される。
【0064】
ここで、ベル状の回転霧化頭28(モータ34)の回転数は12000〜28000rpmが好ましく、塗布液の供給量は30〜1200cc/分が好ましい。そして、静電塗布装置10では、上記範囲が平版印刷原版48の感光層49の表面に形成された小突起の大きさが過大にも過小にもならない点から好ましい。
【0065】
【実施例】
(実施例1、2、比較例1)
図1に示す静電塗布装置10を用い、脱気または脱泡の有無などの条件を、表1に示すように変化させて感光性平版印刷版であるPS版をマット化し、PS版に付着した液滴の大きさ(大径粒子)の数(汚れ)およびブッシュ・ベル内周面の汚れについて評価した。ブッシュ・ベル内周面の汚れについては、目視により、○、△および×の3段階で評価した。結果を表1に示す。
【0066】
なお、上記汚れは、幅1300mmのPS版を用いて評価した。そして、表1において、大径粒子は、100μm以上の粒子径のものである。○は汚れ無しを示し、△はブッシュに汚れ有り、×はブッシュ・ベル内周面に筋状の汚れが有ることを示す。
【0067】
【表1】
Figure 2004223479
表1に示すように、膜脱気装置20を用いた場合においては、霧化頭汚れの発生および大径粒子の発生が見られなかった。また、表1に示すように、脱泡装置40を用いた場合においては、48時間および60時間(PS版を搬送した総合計時間)を経過した状態において、ブッシュに汚れが見られる程度であり、脱気処理をしない場合に比べて、霧化頭汚れの発生が抑制されている。さらに、脱泡装置40を用いた場合においては、大径粒子の発生率も、脱気処理をしない場合に比べて、激減している。
【0068】
なお、本実施形態に係る脱気手段(膜脱気装置20,脱泡装置40など)は給液管部16の送液領域中に設けた例であるが、本発明では脱気手段をたとえばタンク14内に設けるようにしても良い。また、本実施形態に係る静電塗布装置は、PS版のマット化に好適に使用できるベル型の霧化頭を用いた例であるが、本発明に係る静電塗布装置は、塗布液を液滴ないし霧化させる霧化装置であれば、同様に適用し得る。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、供給される塗布液の量が大幅に増大した場合にも、マット化液のような塗布液の気泡によるトラブルの生じることが無い静電塗布装置および静電塗布方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る静電塗布装置に関する概略図である。
【図2】図1に示す霧化装置の要部概略斜視図である。
【図3】図2に示す霧化装置の霧化頭部分の要部断面図である。
【図4】図1に示す膜脱気装置を脱泡装置へ変更した場合における、脱泡装置の概略図である。
【図5】従来例に係る霧化装置の要部概略斜視図である。
【符号の説明】
10 静電塗布装置
12 霧化装置(液滴形成付着手段)
16 給液管部(送液領域)
20 膜脱気装置(脱気手段)
21 膜脱気装置の分離膜
24 霧化頭本体
28 ブッシュ
30 霧化装置の流出口(噴出口)
40 脱泡装置(脱気手段)
48 平版印刷原版
48A 平版印刷原版の感光層

Claims (9)

  1. 塗布液を滴化しつつ帯電させて被塗布物に付着させる液滴形成付着手段と、
    前記液滴形成付着手段に前記塗布液を供給する塗布液供給手段と、
    前記塗布液供給手段における前記塗布液中の溶存気体を除去する脱気手段と、
    を備える静電塗布装置。
  2. 前記脱気手段は、塗布液中の溶存気体を気泡として分離する脱泡装置である請求項1に記載の静電塗布装置。
  3. 前記脱気手段は、前記塗布液から溶存気体を分離・除去する分離膜を備える膜脱気装置である請求項1に記載の静電塗布装置。
  4. 前記膜脱気装置において、前記分離膜の一方の面に前記塗布液を接触させ、前記分離膜の他方の面を大気圧よりも低く、前記塗布液の脱気温度における蒸気圧と等しいか、それよりも高い圧力に保持して前記塗布液を脱気する請求項3に記載の静電塗布装置。
  5. 前記被塗布物は、帯状体であり、長手方向に沿って搬送される請求項1に記載の静電塗布装置。
  6. 前記液滴形成付着手段は、一端に向かって拡大するベル状であって軸線の回りに回転可能に配置され、前記塗布液を滴化すると同時に帯電させて大径側開口端から放出する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の静電塗布装置。
  7. 前記塗布液は、水溶性ビニル系樹脂の水溶液を主成分とするマット化液である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の静電塗布装置。
  8. 前記マット化液を前記被塗布物に付着させ、マットを形成する請求項7に記載の静電塗布装置。
  9. 塗布液を滴化して被塗布物に付着させる液滴形成付着手段と、前記液滴形成付着手段に前記塗布液を供給する塗布液供給手段と、前記塗布液供給手段における前記塗布液中の溶存気体を除去する脱気手段とを有する静電塗布装置を用いて塗布液滴を被塗布物に付着させる静電塗布方法。
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