JP2014117693A - 成膜装置 - Google Patents

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衛 奥本
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Abstract

【課題】静電噴霧法によって複数の噴霧ノズルから原料液を噴霧して対象物に被膜を形成する成膜装置において、コストを増大させることなく、各噴霧ノズルへの原料液の供給量を均一にする。
【解決手段】成膜装置は、原料液を分流させる分流部(35)と、該分流部(35)において分流された原料液がそれぞれ供給される複数の噴霧ノズル(41,51)と、供給された原料液が帯電した液滴となって各噴霧ノズル(41,51)からガラス基板(20)へ噴霧されるように各噴霧ノズル(41,51)とガラス基板(20)との間に電圧を印加する電圧印加部とを備えている。上記成膜装置の分流部(35)と各噴霧ノズル(41,51)との間に、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)の先端までの各分流路(34)の流路抵抗の比率の差が小さくなるように、原料液を減圧する抵抗部(38)をそれぞれ設ける。
【選択図】図2

Description

本発明は、静電噴霧によって対象物に被膜を形成する成膜装置に関するものである。
従来より、電気流体力学(EHD:Electro Hydrodynamics)により液体を霧化状態で噴霧するいわゆる静電噴霧法を用いて原料液を霧化し、霧化した原料液を対象物に付着させることによって被膜を形成する成膜装置が知られている。特許文献1には、広い面に被膜を形成するために、複数の開口から原料液を噴霧する成膜装置が開示されている。また、複数の噴霧ノズルを設け、静電噴霧法を用いて各噴霧ノズルから原料液を噴霧するものもある。
特開2012−135704号公報
ところで、被膜の耐久性は、膜厚や膜厚の均一性に依存し、肉厚部分や未形成部分があると、その部分をきかっけとして膜が剥がれ易くなる。そのため、被膜の耐久性を向上させるためには、薄く均一な被膜を形成する必要があり、そのためには各噴霧ノズルに供給される原料液の流量を均一にする必要がある。
しかしながら、上述の静電噴霧法を用いて複数の噴霧ノズルから被膜を形成する成膜装置では、各噴霧ノズルに供給される原料液の流量は、通常、数十μL/min程度であり、微少である。そのため、単に分流管等を用いて原料液を各噴霧ノズルへ分配するだけでは、例えば、分流部から各噴霧ノズルまでの流路長が異なるために、各分流路の流路抵抗に差が生じ、各噴霧ノズルに供給される原料液の流量を均一にすることができなかった。また、各噴霧ノズルに供給される原料液の流量を均一にするために、例えば、流量制御用のポンプを噴霧ノズル毎に設けることが考えられるが、このような手法では噴霧ノズルの数量が多くなるにしたがって成膜装置全体のコストが増大してしまうという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、静電噴霧法によって複数の噴霧ノズルから原料液を噴霧して対象物に被膜を形成する成膜装置において、コストを増大させることなく、各噴霧ノズルへの原料液の供給量を均一にすることにある。
第1の発明は、原料液を搬送する搬送機構(83)と、上記搬送機構(83)によって搬送される原料液を分流させる分流部(35)と、上記分流部(35)において分流された原料液がそれぞれ供給される複数の噴霧ノズル(41,51)と、供給された原料液が帯電した液滴となって上記各噴霧ノズル(41,51)から上記対象物(20)へ噴霧されるように上記各噴霧ノズル(41,51)と上記対象物(20)との間に電圧を印加する電圧印加部(70)とを備え、上記複数の噴霧ノズル(41,51)から上記対象物(20)へ原料液を噴霧することによって該対象物(20)の表面に被膜を形成する静電噴霧型の成膜装置であって、上記分流部(35)と上記各噴霧ノズル(41,51)との間には、上記分流部(35)から上記各噴霧ノズル(41,51)の先端までの各分流路(34)の流路抵抗の比率の差が小さくなるように、原料液を減圧する抵抗部(38)がそれぞれ設けられている。
第1の発明では、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)の先端までの各分流路(34)の流路抵抗の比率の差が小さくなるように、分流部(35)と各噴霧ノズル(41,51)との間に抵抗部(38)が設けられている。搬送機構(83)によって分流部(35)まで搬送された原料液は、該分流部(35)から分岐される各分流路(34)の流路抵抗の比率に応じてそれぞれの分流路(34)に分配される。そのため、上述のように、各分流路(34)の流路抵抗の比率の差が小さくなるように、分流部(35)と各噴霧ノズル(41,51)との間に抵抗部(38)を設けることにより、各噴霧ノズル(41,51)への原料液の供給量が略等しくなる。そのため、電圧印加部(70)によって各噴霧ノズル(41,51)と対象物(20)との間に電圧を印加すると、各噴霧ノズル(41,51)から液滴となって噴霧される原料液の噴霧量が略等しくなり、対象物(20)の表面上に均一な被膜が形成される。
第2の発明は、第1の発明において、上記各抵抗部(38)は、キャピラリー通路(39)によって構成されている。
第3の発明は、第2の発明において、上記各キャピラリー通路(39)は、上記各分流路(34)の流路抵抗に占める上記各キャピラリー通路(39)の流路抵抗の割合が9割以上となるように構成されている。
ところで、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)までの流路長さを等しくすることは難しい。そのため、各分流路(34)の流路抵抗に差が生じ、各噴霧ノズル(41,51)への原料液の供給量にばらつきが生じてしまう。これに対し、各分流路(34)の流路抵抗の差が吸収されるように抵抗値の異なる抵抗部(38)を設けることが考えられる。しかしながら、流路抵抗は流路長さによって変わるため、設置状況等によって流路抵抗の異なる抵抗部(38)を設けなければならず、コストが増大してしまう。
これに対し、第2及び第3の発明では、分流部(35)と各噴霧ノズル(41,51)との間に抵抗部(38)としてキャピラリー通路(39)を設けている。各キャピラリー通路(39)の流路抵抗は、各分流路(34)における各キャピラリー通路(39)以外の部分の流路抵抗に比して各段に大きなものである。特に、第3の発明では、各キャピラリー通路(39)は、各分流路(34)の流路抵抗に占める各キャピラリー通路(39)の流路抵抗の割合が9割以上となるように構成されている。そのため、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)までの流路長のばらつき等によって各分流路(34)の流路抵抗に差が生じても、各分流路(34)の流路抵抗の比率の差は微少なものとなる。その結果、各噴霧ノズル(41,51)への原料液の液供給量が略等しくなる。
第4の発明は、第2又は第3の発明において、上記各キャピラリー通路(39)は、上記各噴霧ノズル(41,51)の上流側にそれぞれ接続されたキャピラリーチューブ(42,52)によって形成されている。
第4の発明では、各噴霧ノズル(41,51)の上流側にそれぞれ接続されたキャピラリーチューブ(42,52)により、各分流路(34)の抵抗部(38)となるキャピラリー通路(39)が形成されている。
第1の発明によれば、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)の先端までの各分流路(34)の流路抵抗の比率の差が小さくなるように、分流部(35)と各噴霧ノズル(41,51)との間に原料液を減圧する抵抗部(38)をそれぞれ設けることとした。原料液は、分流部(35)において各分流路(34)の流路抵抗の比率に応じて分配されるため、上述のように各分流路(34)に抵抗部(38)を設けて各分流路(34)の流路抵抗の比率の差を小さくすることにより、各噴霧ノズル(41,51)への原料液の供給量を略等しくすることができる。その結果、各噴霧ノズル(41,51)からの原料液の噴霧量が略等しくなり、対象物(20)の表面上に均一な膜厚の被膜を形成することができる。
また、第2及び第3の発明によれば、分流部(35)と各噴霧ノズル(41,51)との間にキャピラリー通路(39)を設けることとした。これにより、各分流路(34)の流路抵抗の比率の差が、各分流路(34)の流路抵抗に対して微少なものとなる。よって、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)への原料液の供給量を略等しくすることができる。したがって、キャピラリー通路(39)を設けるだけで、容易に且つコストを増大させずに対象物(20)の表面上に均一な膜厚の被膜を形成することができる。
また、第4の発明によれば、各噴霧ノズル(41,51)の上流側にキャピラリーチューブ(42,52)を接続するだけで、容易にキャピラリー通路(39)を形成することができる。したがって、容易に且つコストを増大させずに対象物(20)の表面上に均一な膜厚の被膜を形成することができる。
図1は、実施形態1の成膜装置の全体構成を示す概略の構成図である。 図2は、実施形態1の成膜装置の噴霧ゾーンを示す概略の正面図である。 図3は、実施形態1の成膜装置の噴霧ゾーンを示す概略の側面図である。 図4は、図2のA−A断面の要部を示す横断面図である。 図5(A)及び(B)は、各分流路の流路抵抗を示すグラフであり、図5(A)は抵抗部を設けない場合を示し、図5(B)は抵抗部を設けた場合を示している。 図6は、実施形態1の噴霧部が噴霧した液滴の軌跡を示す噴霧部の要部の正面図である。 図7は、実施形態1の噴霧部が噴霧した液滴の軌跡を示す噴霧部の要部の側面図である。 図8は、実施形態2の成膜装置の噴霧部を示す概略の縦断面図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する各実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態の成膜装置(10)は、タッチパネルのガラス基板(20)の表面に防汚用の被膜を形成するためのものである。また、本実施形態の成膜装置(10)は、いわゆる静電噴霧法によって噴霧した原料液を対象物であるガラス基板(20)の表面に付着させて被膜を形成する静電噴霧型の成膜装置(10)である。
−成膜装置の全体構成−
図1に示すように、成膜装置(10)には、前処理ゾーン(11)と、噴霧ゾーン(12)と、後処理ゾーン(13)とが形成されている。
成膜装置(10)には、ガラス基板(20)を搬送するためのベルトコンベア(15)が設けられている。ベルトコンベア(15)は、前処理ゾーン(11)と噴霧ゾーン(12)と後処理ゾーン(13)とに亘って設けられ、導電板(25)の上に載せられたガラス基板(20)を、前処理ゾーン(11)、噴霧ゾーン(12)、後処理ゾーン(13)の順に搬送する。つまり、ベルトコンベア(15)は、図1の左から右へ向かって、ガラス基板(20)を真っ直ぐに搬送する。このベルトコンベア(15)は、後述する噴霧部(30)に対してガラス基板(20)を相対的に移動させる移動機構である。
前処理ゾーン(11)では、基板の表面を洗浄する工程が行われる。噴霧ゾーン(12)では、基板の表面に原料液を付着させる工程が行われる。詳しくは後述するが、噴霧ゾーン(12)には、噴霧部(30)と電圧印加部(70)と液供給部(80)とが設けられている。後処理ゾーン(13)では、ガラス基板(20)に被膜を定着させる工程が行われる。具体的に、処理ゾーンでは、原料液の付着したガラス基板(20)が加熱される。
−噴霧ゾーンの詳細構成−
図2に示すように、成膜装置(10)の噴霧ゾーン(12)には、噴霧部(30)と、液供給部(80)と、電圧印加部(70)とが設けられている。また、噴霧ゾーン(12)では、ガラス基板(20)を載せた導電板(25)が、図2における左から右へ向かって真っ直ぐに移動する。なお、導電板(25)は、導電性樹脂等からなる矩形の平板状の部材である。また、ガラス基板(20)は、長方形の平板状に形成されている。
〈噴霧部〉
図2及び図3に示すように、噴霧部(30)は、ガラス基板(20)の上方に配置される。噴霧部(30)は、分流部(35)と、第1噴霧ユニット(40)と、第2噴霧ユニット(50)とを備えている。噴霧部(30)は、フレーム部材(31)に設置されている。具体的には、分流部(35)がフレーム部材(31)の上端部に設置され、各噴霧ユニット(40,50)がフレーム部材(31)の支持板(32)に固定されている。
分流部(35)は、二つのヘッダ部材(36,37)を有している。該二つのヘッダ部材(36,37)はチューブによって接続されている。一方のヘッダ部材(36)には、液供給部(80)の輸液配管(82)が接続されている。各ヘッダ部材(36,37)には、後述する第1及び第2噴霧ユニット(40,50)の第1及び第2接続チューブ(43,53)がそれぞれ十本ずつ接続されている。
第1噴霧ユニット(40)は、二十本の第1接続チューブ(43)と、二十本の第1キャピラリーチューブ(42)と、二十本の第1噴霧ノズル(41)と、これらを支持する第1支持部材(44)とを備えている。第2噴霧ユニット(50)は、二十本の第2接続チューブ(53)と、二十本の第2キャピラリーチューブ(52)と、二十本の第2噴霧ノズル(51)と、これらを支持する第2支持部材(54)とを備えている。なお、各噴霧ユニット(40,50)に設けられた各接続チューブ(43,53)と、各キャピラリーチューブ(42,52)と各噴霧ノズル(41,51)の数は、単なる一例である。
各噴霧ユニット(40,50)において、各接続チューブ(43,53)は、基端(図2,3における上端)がそれぞれ二つのヘッダ部材(36,37)に接続され、先端(図2,3における下端)がそれぞれ支持部材(44,54)を介して第1及び第2キャピラリーチューブ(42,52)に接続されている。第1接続チューブ(43)は、二つのヘッダ部材(36,37)の幅方向(図2の左右方向)の一方側(図2では右側)に接続され、第2接続チューブ(53)は、二つのヘッダ部材(36,37)の幅方向の他方側(図2では左側)に接続されている。また、第1及び第2接続チューブ(43,53)は、そのうちの半数(本実施形態では十本)の基端がヘッダ部材(36)に接続され、残りの半数(本実施形態では十本)の基端がヘッダ部材(37)に接続されている。
各噴霧ユニット(40,50)において、各キャピラリーチューブ(42,52)は、それぞれの軸方向が鉛直方向となるように支持部材(44,54)に取り付けられている。各キャピラリーチューブ(42,52)は、ポリエーテルイミド樹脂によって内径が0.08mm程度且つ長さが65mm程度となるように構成されている。各キャピラリーチューブ(42,52)の内部にはキャピラリー通路(39)が形成されている。詳細については後述するが、各キャピラリー通路(39)は、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)の先端までの各分流路(34)において、該各分流路(34)の流路抵抗の比率の差が小さくなるように原料液を減圧する抵抗部(38)を構成している。
各噴霧ユニット(40,50)において、各噴霧ノズル(41,51)は、それぞれの軸方向が鉛直方向となるように支持部材(44,54)に取り付けられている。各噴霧ノズル(41,51)は、外径が0.3mm程度で内径が0.1mm程度の金属製の細径管であり、先端面(41a,51a)が中心軸に対して傾斜するように構成されている。二十本の第1噴霧ノズル(41)は、金属の棒状部材からなる第1導通部材(48)によって連結され、電気的に接続されている。一方、二十本の第2噴霧ノズル(51)は、金属の棒状部材からなる第2導通部材(58)によって連結され、電気的に接続されている。第1導通部材(48)と第2導通部材(58)は、後述する電圧印加部(70)の電源(71)の正極(+極)に電気的に接続されている。
各噴霧ユニット(40,50)において、各支持部材(44,54)は、支持基板(45,55)と、上支持部(46,56)と、下支持部(47,57)とをそれぞれ有している。
支持基板(45,55)は、フレーム部材(31)の支持板(32)よりも厚みの薄い板状部材によって構成され、該支持板(32)の表面(図2では右側面)と裏面(図2では左側面)とにそれぞれ固定されている。
上支持部(46,56)は、各支持基板(45,55)の上部において該支持基板(45,55)に垂直に固定された板状部材(46a,56a)と、該板状部材(46a,56a)の上面に固定されたチューブジョイント(46b,56b)とを有している。各板状部材(46a,56a)は、支持基板(45,55)の幅方向(図3の左右方向)に延び、長手方向に沿って等間隔にキャピラリーチューブ(42,52)の挿通孔がキャピラリーチューブ(42,52)の本数分(本実施形態では二十個)形成されている。チューブジョイント(46b,56b)は、各板状部材(46a,56a)の各挿通孔に対応するように設けられ、各挿通孔に挿通されたキャピラリーチューブ(42,52)と接続チューブ(43,53)とを接続している。このような構成により、上支持部(46,56)は、各接続チューブ(43,53)と各キャピラリーチューブ(42,52)とを接続すると共に支持する。
下支持部(47,57)は、各支持基板(45,55)の下部において該支持基板(45,55)に垂直に固定された板状部材(47a,57a)と、該板状部材(47a,57a)の上面に固定されたチューブ接続部材(47b,57b)と、板状部材(47a,57a)の下面に固定されたノズル接続部材(47c,57c)とを有している。各板状部材(47a,57a)は、各支持基板(45,55)の幅方向(図3の左右方向)に延び、長手方向に沿って等間隔に上下に延びる貫通孔がキャピラリーチューブ(42,52)の本数分(本実施形態では二十個)形成されている。チューブ接続部材(47b,57b)及びノズル接続部材(47c,57c)は、それぞれ円錐台形状に形成され、底面が各板状部材(46a,56a)の各貫通孔に1つずつ対応するように固定されている。チューブ接続部材(47b,57b)及びノズル接続部材(47c,57c)には、各板状部材(46a,56a)の各貫通孔に連通する上下方向に延びる貫通孔がそれぞれ形成されている。チューブ接続部材(47b,57b)の貫通孔にはキャピラリーチューブ(42,52)の下端が挿し込まれ、ノズル接続部材(47c,57c)には、円錐台形状で下端部に各噴霧ノズル(41,51)の上端部が嵌め込まれたノズルハウジング(49,59)が外嵌される。このような構成により、下支持部(47,57)は、各キャピラリーチューブ(42,52)と各噴霧ノズル(41,51)とを接続すると共に支持する。
以上のような構成により、第1噴霧ユニット(40)では、第1支持部材(44)により、第1接続チューブ(43)と第1キャピラリーチューブ(42)と第1噴霧ノズル(41)とが接続されると共に支持されている。一方、第2噴霧ユニット(50)では、第2支持部材(54)により、第2接続チューブ(53)と第2キャピラリーチューブ(52)と第2噴霧ノズル(51)とが接続されると共に支持されている。このように各噴霧ユニット(40,50)において、各支持部材(44)によって接続された各接続チューブ(43,53)、各キャピラリーチューブ(42,52)及び各噴霧ノズル(41,51)によって分流部(35)から分岐された分流路(34)が構成されている。
第1噴霧ユニット(40)は、ガラス基板(20)の移動方向(即ち、噴霧部(30)に対するガラス基板(20)の相対的な移動方向)における第2噴霧ユニット(50)の前側に配置されている。また、図4に示すように、各噴霧ユニット(40,50)では、二十本の各噴霧ノズル(41,51)が一定のピッチ2Lで一列に配置され、第1噴霧ノズル(41)の位置は、第2噴霧ノズル(51)の位置に対して半ピッチだけずれている。そのため、噴霧部(30)では、ガラス基板(20)の幅方向(即ち、ガラス基板(20)の短辺方向)に第1噴霧ノズル(41)と第2噴霧ノズル(51)が交互に配置され、ガラス基板(20)の幅方向に隣接する第1噴霧ノズル(41)と第2噴霧ノズル(51)の間隔(即ち、第1噴霧ノズル(41)の中心軸と第2噴霧ノズル(51)の中心軸の間隔)がLとなる。
このように、ガラス基板(20)の幅方向には、同数の第1噴霧ノズル(41)と第2噴霧ノズル(51)とがジグザグに配列されている。そのため、図4に示すように、噴霧部(30)では、ガラス基板(20)の幅方向の一方の端に第1噴霧ノズル(41)が位置し、その他方の端に第2噴霧ノズル(51)が位置する。なお、ガラス基板(20)の幅方向の一方の端に位置する第1噴霧ノズル(41)を第1外端ノズル(91)と称し、ガラス基板(20)の幅方向の他方の端に位置する第2噴霧ノズル(51)を第2外端ノズル(92)と称する。
図2に示すように、各噴霧ノズル(41,51)の先端面(41a,51a)は、噴霧ノズル(41,51)の中心軸に対して傾斜している。第1噴霧ユニット(40)の各第1噴霧ノズル(41)は、その傾斜した先端面(41a)が、ガラス基板(20)の移動方向の前側(図2における右側)を向いている。第2噴霧ユニット(50)の各第2噴霧ノズル(51)は、その傾斜した先端面(51a)が、ガラス基板(20)の移動方向の後側(図2における左側)を向いている。また、各噴霧ノズル(41,51)の先端(図2における下端)からガラス基板(20)の表面までの距離は、互いに等しい。
〈外方電極と下部電極〉
図2〜4に示すように、噴霧部(30)には、一対の外方電極(61,62)と一対の下部電極(66,67)とが設けられている。
外方電極(61,62)は、導電性樹脂からなる矩形板状の部材である。外方電極(61,62)は、図外のステーを介してフレーム部材(31)に固定されている。外方電極(61,62)は、ガラス基板(20)の幅方向における各外端ノズル(91,92)の外方に、一つずつ配置されている。また、各外方電極(61,62)は、対応する外端ノズル(91,92)の先端部の側方に、外端ノズル(91,92)側を向く姿勢で配置されている。
図4に示すように、第1外方電極(61)は、第1噴霧ノズル(41)からなる第1外端ノズル(91)のガラス基板(20)の幅方向における外方に配置されている。また、第2外方電極(62)は、第2噴霧ノズル(51)からなる第2外端ノズル(92)のガラス基板(20)の幅方向における外方に配置されている。
下部電極(66,67)は、導電性樹脂からなる細長い板状の部材である。下部電極(66,67)は、その長手方向がガラス基板(20)の幅方向(短辺方向)と平行になる姿勢で、フレーム部材(31)の下端部に固定されている。図2に示すように、下部電極(66,67)は、各噴霧ユニット(40,50)に対応して一つずつ配置されている。つまり、第1下部電極(66)は、ガラス基板(20)の移動方向における第1噴霧ユニット(40)の前側に配置され、第2下部電極(67)は、ガラス基板(20)の移動方向における第2噴霧ユニット(50)の後側に配置される。また、各下部電極(66,67)は、各噴霧ノズル(41,51)の先端よりも下方で且つガラス基板(20)寄りに配置されている。
〈電圧印加部〉
図2に示すように、電圧印加部(70)は、電源(71)と、接地電極(68)とを備えている。
電源(71)は、出力電圧が5kV程度の直流電源(71)である。電源(71)の正極(+極)は、第1導通部材(48)及び第2導通部材(58)に電気的に接続されている。これにより、電源(71)の正極(+極)は、全ての第1噴霧ノズル(41)と、全ての第2噴霧ノズル(51)とに、電気的に接続されている。また、電源(71)の正極(+極)は、各外方電極(61,62)と各下部電極(66,67)とにも、電気的に接続されている。電源(71)の負極(−極)は、接地されている。
接地電極(68)は、電源(71)の負極と同様に、接地されている。接地電極(68)は、導電板(25)の下方に配置され、ベルトコンベア(15)によって搬送される導電板(25)の下面と接触する。つまり、接地電極(68)が導電板(25)と導通し、導電板(25)が接地電極(68)と同電位になる。
〈液供給部〉
図2に示すように、液供給部(80)は、タンク(81)と、輸液配管(82)と、ポンプ(83)とを備えている。タンク(81)には、原料液が貯留されている。原料液は、防汚用の被膜を形成する物質を溶剤で希釈したものである。輸液配管(82)は、一端がタンク(81)の底部に接続され、他端がヘッダ部材(36)に接続されている。ポンプ(83)は、輸液配管(82)に設けられ、タンク(81)から吸引した原料液をヘッダ部材(36)へ向けて吐出する。
〈キャピラリー通路〉
上述のように、分流部(35)と各噴霧ノズル(41,51)との間には、原料液を減圧する抵抗部(38)としてのキャピラリー通路(39)を形成するキャピラリーチューブ(42,52)が設けられている。
本実施形態では、各キャピラリーチューブ(42,52)は、各キャピラリー通路(39)の流路抵抗Pcが各分流路(34)の流路抵抗Pに占める割合が9割以上となるように構成されている。具体的には、本実施形態1では、上述のように、各キャピラリーチューブ(42,52)は、内径が0.08mm程度且つ長さが65mm程度となるように構成されている。このような構成の各キャピラリーチューブ(42,52)を各分流路(34)に設けることにより、各分流路(34)の流路抵抗をP、各キャピラリー通路(39)の流路抵抗をPcとすると、P−Pc:P=10:2400となる。
以上のように各分流路(34)に抵抗部(38)としてのキャピラリー通路(39)を設けることにより、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)までの流路長のばらつき等によって各分流路(34)の流路抵抗Pに差が生じたとしても、各分流路(34)の流路抵抗Pの比率の差は、各キャピラリー通路(39)の流路抵抗Pcに対して微少なものとなる。
具体的には、図5(A)に示すように、各分流路(34)に抵抗部(38)となるキャピラリー通路(39)を設けない場合、各分流路(34)の流路抵抗Pに差が生じる。このとき、各分流路(34)の流路抵抗Pの比率の差は比較的大きなものとなる。
一方、図5(B)に示すように、各分流路(34)に抵抗部(38)となるキャピラリー通路(39)を設けた場合、各分流路(34)の流路抵抗Pに差が生じるものの、各分流路(34)の流路抵抗Pに占める各キャピラリー通路(39)の流路抵抗Pcの割合が大きいため、各分流路(34)の流路抵抗Pの比率の差が微少なものとなる。
−成膜装置の運転動作−
上述したように、成膜装置(10)は、前処理ゾーン(11)においてガラス基板(20)を洗浄する工程を、噴霧ゾーン(12)においてガラス基板(20)に原料液を付着させる工程を、後処理ゾーン(13)においてガラス基板(20)に被膜を定着させる工程を、それぞれ行う。ここでは、噴霧ゾーン(12)においてガラス基板(20)に原料液を付着させるために成膜装置(10)が行う動作について説明する。
〈被膜を形成する動作〉
液供給部(80)のポンプ(83)は、タンク(81)内の原料液が輸液配管(82)を通って分流部(35)を構成するヘッダ部材(36,37)へ供給される。ヘッダ部材(36,37)へ流入した原料液は、各分流路(34)へ分かれて流入する。具体的には、原料液は、ヘッダ部材(36,37)から各接続チューブ(43,53)へ分かれて流入し、各キャピラリーチューブ(42,52)を通過して各噴霧ノズル(41,51)へ供給される。
上述したように、各噴霧ノズル(41,51)が電源(71)の正極と導通し、ガラス基板(20)を載せた導電板(25)が接地電極(68)と導通する。そのため、各噴霧ノズル(41,51)のノズル本体(44,54)と、導電板(25)に載ったガラス基板(20)との間に電圧が印加される。
ノズル本体(44,54)とガラス基板(20)の間に電圧を印加すると、ノズル本体(44,54)の先端付近の空間に電界が形成される。すると、ノズル本体(44,54)の先端では、原料液が電界に引っ張られていわゆるテイラーコーンが形成され、そのテイラーコーンの先端から原料液が引きちぎられることによって概ね数μmから100μm程度の大きさの液滴が生成する。ノズル本体(44,54)から噴霧された液滴状の原料液は、ガラス基板(20)へ向かって(本実施形態では下に向かって)飛んでゆく。
図6に示すように、第1噴霧ノズル(41)は、その先端面(41a)がガラス基板(20)の移動方向の前側を向いている。そのため、第1噴霧ノズル(41)からは、ガラス基板(20)の移動方向へ向かって液滴状の原料液が噴霧される。一方、第2噴霧ノズル(51)は、その先端面(51a)がガラス基板(20)の移動方向の後側を向いている。そのため、第2噴霧ノズル(51)からは、ガラス基板(20)の移動方向とは逆方向へ向かって液滴状の原料液が噴霧される。
成膜装置(10)では、ガラス基板(20)を載せた導電板(25)が、ベルトコンベア(15)によって搬送される。成膜装置(10)の噴霧ゾーン(12)では、水平方向へ真っ直ぐに移動するガラス基板(20)に対して、噴霧部(30)が原料液を噴霧する。その結果、矩形状のガラス基板(20)の表面全体に原料液が付着し、ガラス基板(20)の表面全体に防汚用の被膜が形成される。
〈液滴の軌跡〉
各噴霧ノズル(41,51)は電源(71)の正極と導通しているため、各噴霧ノズル(41,51)から噴霧された液滴状の原料液は、正(+)の電荷を帯びている。一方、下部電極(66,67)は、電源(71)の正極と導通しており、その電位が各噴霧ノズル(41,51)から噴霧された液滴と同極性となっている。したがって、第1噴霧ノズル(41)から噴霧された液滴は、第1下部電極(66)から電気的な斥力を受け、ガラス基板(20)の移動方向への液滴の拡散が抑制される(図6参照)。同様に、第2噴霧ノズル(51)から噴霧された液滴は、第2下部電極(67)から電気的な斥力を受け、ガラス基板(20)の移動方向とは逆方向への液滴の拡散が抑制される(図6参照)。
また、各噴霧ノズル(41,51)から噴霧された液滴状の原料液は、正(+)の電荷を有しているため、その噴霧ノズル(41,51)に近接した他の噴霧ノズル(41,51)から噴霧された液滴から電気的な斥力を受ける。具体的には、図4に示すように、各噴霧ユニット(40,50)において外端ノズル(91,92)以外の噴霧ノズル(41,51)から噴霧された液滴には、ガラス基板(20)の幅方向の両側から電気的な斥力が作用する。そのため、図7に示すように、外端ノズル(91,92)以外の噴霧ノズル(41,51)から噴霧された液滴の軌跡は、概ね同じ形状となる。一方、各外端ノズル(91,92)は、ガラス基板(20)の幅方向の外方に他の噴霧ノズル(41,51)が存在しないが、外端ノズル(91,92)から噴霧された液滴の電位と同極性の電位を有する外方電極(61,62)が存在する。そのため、外端ノズル(91,92)から噴霧された液滴にも、ガラス基板(20)の幅方向の両側から電気的な斥力が作用する。その結果、各外端ノズル(91,92)から噴霧された液滴の軌跡は、図7に示すように、上述した外端ノズル(91,92)以外の噴霧ノズル(41,51)から噴霧された液滴の軌跡と概ね同じ形状になる。
〈各噴霧ノズルへの原料液の供給量について〉
上述したように、各キャピラリーチューブ(42,52)は、内部に形成されたキャピラリー通路(39)の流路抵抗Pcが、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)の先端までの各分流路(34)の流路抵抗Pに占める割合が9割以上となるように構成されている。そのため、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)までの流路長のばらつき等によって各分流路(34)の流路抵抗Pに差が生じても、各分流路(34)の流路抵抗Pの比率の差は、各キャピラリー通路(39)の流路抵抗Pcに対して微少なものとなる。
つまり、図5(A)に示すように、各分流路(34)に抵抗部(38)となるキャピラリー通路(39)を設けない場合、各分流路(34)の流路抵抗Pに差が生じる。このとき、各分流路(34)の流路抵抗Pの比率の差は比較的大きなものとなる。これに対し、図5(B)に示すように、各分流路(34)に抵抗部(38)となるキャピラリー通路(39)を設けた場合、各分流路(34)の流路抵抗Pに差が生じるものの、各分流路(34)の流路抵抗Pに占める各キャピラリー通路(39)の流路抵抗Pcの割合が大きいため、各分流路(34)の流路抵抗Pの比率の差は微少なものとなる。
ここで、原料液は、分流部(35)において各分流路(34)の流路抵抗Pの比率に応じて分配される。そのため、図5(A)に示すように、各分流路(34)の流路抵抗Pの比率の差が大きいと、各噴霧ノズル(41,51)への原料液の供給量にばらつきが生じてしまう。しかしながら、図5(B)に示すように、各分流路(34)に抵抗部(38)となるキャピラリー通路(39)を設けた場合、各分流路(34)の流路抵抗Pの比率の差が微少なものとなるため、各噴霧ノズル(41,51)への原料液の液供給量が略等しくなる。
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)の先端までの各分流路(34)の流路抵抗の比率の差が小さくなるように、分流部(35)と各噴霧ノズル(41,51)との間に原料液を減圧する抵抗部(38)をそれぞれ設けることとした。原料液は、分流部(35)において各分流路(34)の流路抵抗の比率に応じて分配されるため、上述のように各分流路(34)に抵抗部(38)を設けて各分流路(34)の流路抵抗の比率の差を小さくすることにより、各噴霧ノズル(41,51)への原料液の供給量を略等しくすることができる。その結果、各噴霧ノズル(41,51)からの原料液の噴霧量が略等しくなり、対象物であるガラス基板(20)の表面上に均一な膜厚の被膜を形成することができる。
ところで、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)までの流路長さを等しくすることは難しい。そのため、各分流路(34)の流路抵抗に差が生じ、各噴霧ノズル(41,51)への原料液の供給量にばらつきが生じてしまう。これに対し、各分流路(34)の流路抵抗の差が吸収されるように抵抗値の異なる抵抗部(38)を設けることが考えられる。しかしながら、流路抵抗は流路長さによって変わるため、設置状況等によって流路抵抗の異なる抵抗部(38)を設けなければならず、コストが増大してしまう。
これに対し、本実施形態では、分流部(35)と各噴霧ノズル(41,51)との間に抵抗部(38)としてキャピラリー通路(39)を設けることとした。各キャピラリー通路(39)の流路抵抗Pcは、各分流路(34)における各キャピラリー通路(39)以外の部分の流路抵抗に比して各段に大きなものである。特に、本実施形態では、各キャピラリー通路(39)は、各分流路(34)の流路抵抗Pに占める各キャピラリー通路(39)の流路抵抗Pcの割合が9割以上となるように構成されている。そのため、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)までの流路長のばらつき等によって各分流路(34)の流路抵抗Pに差が生じても、各分流路(34)の流路抵抗Pの比率の差は微少なものとなる。よって、分流部(35)から各噴霧ノズル(41,51)への原料液の供給量を略等しくすることができる。したがって、キャピラリー通路(39)を設けるだけで、容易に且つコストを増大させずに対象物(20)の表面上に均一な膜厚の被膜を形成することができる。
また、本実施形態によれば、各分流路(34)の抵抗部(38)となるキャピラリー通路(39)を各噴霧ノズル(41,51)の上流側にそれぞれ接続されたキャピラリーチューブ(42,52)によって形成することとした。そのため、各噴霧ノズル(41,51)の上流側にキャピラリーチューブ(42,52)を接続するだけで、容易にキャピラリー通路(39)を構成することができる。したがって、容易に且つコストを増大させずに対象物であるガラス基板(20)の表面上に均一な膜厚の被膜を形成することができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2の成膜装置(10)は、実施形態1の成膜装置(10)において噴霧部(30)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の成膜装置(10)について、実施形態1の成膜装置(10)と異なる点を説明する。
図8に示すように、本実施形態の噴霧部(30)は、第1及び第2分流噴霧ユニット(90a,90b)を備えている。第1分流噴霧ユニット(90a)は、第1分流器(93a)と十一本の第1噴霧ノズル(41)とを有している。一方、第2分流噴霧ユニット(90b)は、第2分流器(93b)と十一本の第2噴霧ノズル(51)とを有している。なお、第1分流噴霧ユニット(90a)と第2分流噴霧ユニット(90b)とは同様の構成であるため、図8では第1分流噴霧ユニット(90a)のみを図示し、第2分流噴霧ユニット(90b)については対応する符号のみを括弧書きで示している。
第1分流噴霧ユニット(90a)は、各第1噴霧ノズル(41)の傾斜した先端面(41a)が、ガラス基板(20)の移動方向の前側を向くように設けられる。一方、第2分流噴霧ユニット(90b)は、第2噴霧ノズル(51)の傾斜した先端面(51a)が、ガラス基板(20)の移動方向の後側を向くように設けられる。
各分流噴霧ユニット(90a,90b)において、各分流器(93a,93b)は、例えば、厚みのある扁平な金属の板状部材(94a,94b)と、該板状部材(94a,94b)の下端に固定された複数(本実施形態では十一個)のノズル接続部材(95a,95b)とを有している。
各板状部材(94a,94b)の内部には、ヘッダ空間(96)と、該ヘッダ空間(96)に連通する複数(本実施形態では十一本)のキャピラリー通路(39)とが形成されている。
ヘッダ空間(96)は、各分流器(93a,93b)の上面に開口し、該開口に液供給部(80)の輸液配管(82)が接続されて原料液が供給される。また、ヘッダ空間(96)は、上方から下方に向かって裾拡がり形状に形成されている。実施形態2では、ヘッダ空間(96)が原料液を分流させる分流部(35)を構成している。
複数のキャピラリー通路(39)は、上端がヘッダ空間(96)の下端に連通し、下端が各分流器(93a,93b)の下面において開口している。複数のキャピラリー通路(39)は、下端の間隔が上端の間隔よりも広くなるように形成されている。各キャピラリー通路(39)は、内径が0.08mm程度且つ平均長さが65mm程度に形成されている。実施形態2においても、各キャピラリー通路(39)は、その流路抵抗Pcが、分流部(35)であるヘッダ空間(96)から各噴霧ノズル(41,51)の先端までの各分流路(34)の流路抵抗Pに占める割合が9割以上となるように構成され、実施形態2においても各分流路(34)の流路抵抗の比率の差が小さくなるように原料液を減圧する抵抗部(38)を構成する。
各ノズル接続部材(95a,95b)は、実施形態1のノズル接続部材(47c,57c)と同様に形成され、各分流器(93a,93b)の下面に開口する複数のキャピラリー通路(39)に1つずつ対応するように固定されている。各ノズル接続部材(95a,95b)には、実施形態1と同様に、円錐台形状で下端部に各噴霧ノズル(41,51)の上端部が嵌め込まれたノズルハウジング(49,59)が外嵌される。
このような構成により、実施形態2では、原料液が、液供給部(80)の輸液配管(82)から各分流器(93a,93b)のヘッダ空間(96)に流入し、該ヘッダ空間(96)から十一本のキャピラリー通路(39)に分かれて流入する。上述のように、実施形態2においても、キャピラリー通路(39)は、その流路抵抗Pcが、分流部であるヘッダ空間(96)から各噴霧ノズル(41,51)の先端までの各分流路(34)の流路抵抗Pに占める割合が9割以上となるように構成されている。そのため、各分流路(34)の流路抵抗Pの比率の差は、各キャピラリー通路(39)の流路抵抗Pcに対して微少なものとなる。原料液は、各分流路(34)の流路抵抗Pの比率に応じて分配されるため、上述のように各分流路(34)の流路抵抗Pの比率の差が小さくなることにより、各分流路(34)に分配される原料液の流量差が小さくなる。よって、実施形態2においても各噴霧ノズル(41,51)への原料液の液供給量が略等しくなる。
その他の構成及び動作は実施形態1と同様である。そして、上述のような構成により、実施形態2においても実施形態1と同様の効果を奏することができる。
〈その他の実施形態〉
上記各実施形態において、抵抗部(38)は、キャピラリー通路(39)によって構成されていたが、抵抗部(38)は、キャピラリー通路(39)に限られず、同等の流路抵抗を有する抵抗部材であればいかなるものであってもよい。
また、上記各実施形態において、各キャピラリー通路(39)は、各分流路(34)の流路抵抗をP、各キャピラリー通路(39)の流路抵抗をPcとすると、P−Pc:P=10:2400となるように形成されていた。しかしながら、キャピラリー通路(39)は、該キャピラリー通路(39)の流路抵抗Pcが各分流路(34)の流路抵抗Pに占める割合が9割以上となるように構成されていればよい。そのため、例えば、実施形態1において、内径が0.09mm程度且つ長さが65mm程度のキャピラリーチューブ(42,52)に変更すると、P−Pc:Pc=10:1200となり、PcがPに占める割合が9割以上となるため、このように構成してもよい。また、例えば、実施形態1において、内径が0.10mm程度且つ長さが65mm程度のキャピラリーチューブ(42,52)に変更すると、P−Pc:Pc=10:500となり、PcがPに占める割合が9割以上となるため、このように構成してもよい。
上記各実施形態において、上記被膜は、汚れ防止膜に限られず、紫外線除去膜などであってもよい。
上記各実施形態において、上記被膜が形成される対象物は、ガラス基板に限られない。
以上説明したように、本発明は、静電噴霧によって対象物に被膜を形成する成膜装置について有用である。
10 成膜装置
20 ガラス基板(対象物)
34 分流路
35 分流部
38 抵抗部
39 キャピラリー通路
41 第1噴霧ノズル(噴霧ノズル)
42 第1キャピラリーチューブ(キャピラリーチューブ)
51 第2噴霧ノズル(噴霧ノズル)
52 第2キャピラリーチューブ(キャピラリーチューブ)
70 電圧印加部
83 ポンプ(搬送機構)

Claims (4)

  1. 原料液を搬送する搬送機構(83)と、
    上記搬送機構(83)によって搬送される原料液を分流させる分流部(35)と、
    上記分流部(35)において分流された原料液がそれぞれ供給される複数の噴霧ノズル(41,51)と、
    供給された原料液が帯電した液滴となって上記各噴霧ノズル(41,51)から上記対象物(20)へ噴霧されるように上記各噴霧ノズル(41,51)と上記対象物(20)との間に電圧を印加する電圧印加部(70)とを備え、
    上記複数の噴霧ノズル(41,51)から上記対象物(20)へ原料液を噴霧することによって該対象物(20)の表面に被膜を形成する静電噴霧型の成膜装置であって、
    上記分流部(35)と上記各噴霧ノズル(41,51)との間には、上記分流部(35)から上記各噴霧ノズル(41,51)の先端までの各分流路(34)の流路抵抗の比率の差が小さくなるように、原料液を減圧する抵抗部(38)がそれぞれ設けられている
    ことを特徴とする静電噴霧型の成膜装置。
  2. 請求項1において、
    上記各抵抗部(38)は、キャピラリー通路(39)によって構成されている
    ことを特徴とする静電噴霧型の成膜装置。
  3. 請求項2において、
    上記各キャピラリー通路(39)は、上記各分流路(34)の流路抵抗に占める上記各キャピラリー通路(39)の流路抵抗の割合が9割以上となるように構成されている
    ことを特徴とする静電噴霧型の成膜装置。
  4. 請求項2又は3において、
    上記各キャピラリー通路(39)は、上記各噴霧ノズル(41,51)の上流側にそれぞれ接続されたキャピラリーチューブ(42,52)によって形成されている
    ことを特徴とする静電噴霧型の成膜装置。
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