JP2015136292A - パン類用生地 - Google Patents
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Description
しかし、混捏後に一般的なフロアタイムを経たパン類用生地を冷凍生地とした場合、この冷凍生地を用いると、所謂冷凍障害により焼成後のパン類の品質が極端に低下する。
このため、通常、パン類用の冷凍生地を製造する際には、ノータイム法で生地を製造し、冷凍した冷凍生地を用いている。しかしながら、これにより得られたパン類は、食感及び、発酵に基づくパン特有の食味において、通常のスクラッチストレート法のパン類に比べて劣る。
例えば、特許文献2には、冷凍耐性を有する冷凍ピザ生地に関する技術として、ピザ生地に使用する小麦粉に対し、ペクチンを0.4〜5重量%添加することを特徴とする冷凍用ピザ生地が開示されている。
さらに、パン類用生地に関して種々の検討が行われている。
そこで、本発明は、食味及び食感が良好なパン類を得るためのパン類用生地を提供しようとするものである。
また、本発明は、前記生地より得られるパン類を提供するものである。
また、本発明は、混捏後の生地をシート状にすること、及び当該シート状生地を冷蔵することを含む、パン類用生地の製造方法又はパン類の製造方法を提供するものである。
また、本開示のパン類用生地は、シート状生地を冷蔵した後に、さらに冷凍してパン類用の冷凍生地とすることが、製造や販売、喫食等の状況に応じて、良好な食味及び食感のパン類を提供することができるので、好ましい。
冷蔵したシート状生地を冷凍する前に、生地を分割・成形することで、解凍後の分割・成形が必要なく、より効率よくパン類を提供することができるので、より好ましい。このように分割・成形してから冷凍することで、この冷凍生地から焼き立てのパン類を、焼成専門工場や小規模店舗又は消費者が簡便に得ることができる。
本開示のパン類用生地は、パン類用生地原料を混捏した後の生地をシート状にすること、及びシート状の生地を冷蔵することを含むことを特徴とする製造方法にて得ることができる。本開示のパン類用生地は、例えば、シート状に形成する工程と、このシート状生地を冷蔵する工程とを連続する製造ライン上で行うこともでき、冷蔵下でシート状に形成し、シート状生地を冷蔵する工程とを連続する製造ライン上で行うこともできる。
パン類用生地原料を混捏してパン類用の生地を製造するが、例えば、小麦粉100質量部に対し45〜80質量部の水を加えて捏ね上げてドウ生地を製造する。
さらに、得られた混捏後のドウ生地を、フロアタイム(通常、約25〜30℃、相対湿度70〜80%、0.5〜3時間の発酵工程)を経ずに、シート状に形成する。混捏後の生地をシート状にすることで、その後の冷蔵工程において生地全体を均一に低温熟成させて、冷蔵後の生地全体の品質を均一に向上させることができる。また、混捏生地をシート状にしてフロアタイムを経ないことで、生地中のガスの発生がより抑制できる。
このようなことから、得られるパン類用生地の品質や成形時の安定性が向上するので、結果として焼成後のパン類の食感及び食味が良好となる。しかも、当該生地をその後冷凍して冷凍生地にした場合でも、食味及び食感の優れたパン類を得ることができる。
なお、クロワッサンやデニッシュなどのデニッシュペストリーを製造するための生地は、油脂と生地の層を積層させる際に、良好な積層構造を形成させるために、油脂を包んだ生地を折込み、シート状に伸した後に冷蔵する工程をとる場合があるが、これと本開示のシート状生地とはシート状に形成し冷蔵する目的及びそれらによって得られる効果が大きく異なるものである。
前記シート状生地における所定の厚みとして、好ましくは1〜10cmであり、より好ましくは2〜5cmであり、さらに好ましくは2〜4cmである。生地が所定の厚みを有することより、その後の冷蔵を経て得られたパン類用生地の品質がよくなり、その結果として焼成後のパン類の食味及び食感がより良好になる。
なお、クロワッサンやデニッシュなどのデニッシュペストリーを製造するための生地のシートの厚みは数ミリと薄いので、本開示のシート状生地の厚みとは大きく異なり、両者は所定の厚みにする目的及びそれによって得られる効果が異なるものである。
また冷蔵温度の調整は、冷風の循環、接触冷却等にて行ってもよい。この冷蔵温度としては、好ましくは−5〜10℃であり、より好ましくは3〜5℃である。また、この冷蔵時間としては、好ましくは2〜16時間であり、より好ましくは8〜15時間であり、さらに好ましくは10〜15時間である。このように前記シート状の生地を冷蔵することで、生地の品質が向上する。
本開示のパン類用生地を冷凍する際の冷凍温度は、パン類用生地が凍結する温度であればよく、好ましくは−5℃以下であり、より好ましくは−20℃以下である。また、冷凍は、1時間以内で冷凍可能な装置(例えば、急速冷凍装置等)にて行うことが望ましい。
パン類用の冷凍生地を工業的に製造する場合、従来のパンの製造工程と同様に、大量の生地原料を混捏してパン生地を得、この混捏後の生地を、そのまま又は複数に分けて、発酵ボックス等のバッチ容器内に入れた後に、フロアタイム(常温帯での発酵工程)を経て、分割・丸め工程を行った後あるいは、更に成形工程を行った後に、冷凍することで、冷凍生地を製造する方法が考えられる。
しかし、この従来の製パン工程のように、通常のフロアタイムを経た生地を用いて冷凍生地とし、冷凍保管後、冷凍生地を解凍し、解凍後の生地をそのまま又は必要に応じて成形工程やホイロを経た後に焼成すると、酵母の死滅や膨化した生地の損傷などの冷凍障害が生じる。そのため、このような冷凍生地を焼成してパン類を製造すると、焼成後のパンの品質及び食感が極端に低下する。
しかし、ノータイム法で製造した冷凍パン生地を用いてパン類を得た場合、食感及び、発酵に基づくパン特有の食味が乏しいパン類が得られる。
また、冷凍パン生地を製造する際に、発酵に基づくパン特有の食味及び食感の不足を補うために、発酵種(液種や中種)法を使用することがある。しかしながら、この発酵種法にて得られた冷凍パン生地を用いてパン類を得た場合でも、依然として良好な食感及び食味のパン類が得られない。
このように、従来のパン生地の製造において、フロアタイムをとる場合、混捏後のパン生地は、そのままの塊の状態又は複数に分けて発酵ボックス等のバッチ容器に入れた状態にすることが一般的である。
また、本開示のパン類用生地を用いて得られたパン類は、従来の冷凍パン生地を用いて得られたパン類と比較し、膨らみや外観も良好であり、さらに喫食時に良好なソフトさ及び弾力性を有するので食感も良好である。また、得られた本開示のパン類は、ノータイム法で欠けている発酵に由来するパン特有の風味も良好であるので食味も良好である。しかも、分割・成形後に冷凍することで、パンの生産効率も向上するので、これらのことは本開示のパン類用生地の利点と言える。
このように本開示のパン類用生地を用いることにより、食感及び食味が良好なパン類及びその製造方法を提供することができる。
本開示により得られたパン類の食感として、特にソフト感及びモチモチとした食感が良好である。また、得られたパン類の食味として、発酵に由来するパン特有のうま味、風味及び香ばしさが好適である。また、得られたパン類の外観は、膨らみ及びシワの少なさが好適である。
なお、一般的なパン類の実用的な分類として、例えば、食パン、テーブルロール、硬焼きパン、菓子パン(日本式又は欧米式)、フランスパン、イングリッシュマフィン等が挙げられる(社団法人 日本パン工業会分類法)。
前記穀粉類としては、小麦粉、デュラム小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、オーツ粉及びとうもろこし粉等の通常パン類に用いられている穀粉が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
前記穀粉としては、小麦粉を主体とするのが、食感及び風味、製パン性が良好であるので、好適である。具体的には、穀粉中において小麦粉は80質量%以上含まれていることが好適である。一般的に、小麦粉は強力粉、中力粉、薄力粉に分類されるが、パン類には通常強力粉が好適に用いられている。
前記イーストは、生イースト、ドライイースト、インスタントドライイースト、天然酵母、液種等通常パン類の製造に用いられるものを使用することができる。たとえば、生イーストの場合、小麦粉100質量部に対する含有量は、好ましくは1〜5質量部であり、より好ましくは1.5〜4.5質量部であり、さらに好ましくは2〜4質量部である。
前期還元剤として、例えば、グルタチオン、L-システインや死滅酵母等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
前記酵素として、例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
また、上述の酸化剤、還元剤、酵素等を単独または2種以上組み合わせたり、さらにその他の副材料を組み合わせて調製した市販のイーストフードや生地改良剤を用いることもできる。
パン生地の伸展性を高めたりグルテンを強化することで、パンの容積を増大させやすくするため、生地原料に、上述のイーストフード、生地改良剤、酸化剤、還元剤、酵素を単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
このうち、酸化剤(より好適には、L−アスコルビン酸又はその塩等)や還元剤(より好適には、L-システインや死滅酵母等)が、本開示のパン類用生地の状態を良好にすることができ、さらに冷凍しても食味及び食感が良好になるので、好適である。
前記酸化剤は、小麦粉100質量部に対し、好ましくは0.005〜0.01質量部である。また、前記還元剤は、小麦粉100質量部に対し、好ましくは0.001〜0.005質量部である。
前記食塩は、小麦粉100質量部に対し、好ましくは0.3〜3質量部である。
前記糖類としては、砂糖、ブドウ糖、果糖、トレハロース、イソマルトオリゴ糖等の単糖類及びオリゴ糖類;水あめ、粉あめ、デキストリン等の多糖類;ソルビトール、マルチトール、パラチノース、還元水あめ等の糖アルコール等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
前記油脂として、例えば、バター、マーガリン、ショートニング、ラード、菜種油、大豆油、オリーブ油等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
前記卵成分として、例えば、卵黄、卵白、全卵その他の卵等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
前記無機塩類として、例えば、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、焼成カルシウム等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本開示のパン類は、上述のように、パン類用生地原料を混捏した後の生地をシート状にすること、及びシート状の生地を冷蔵することを含むことを特徴とする製造方法にて得ることができる。
また、本開示のパン類は、上述したパン類用生地原料から得られたシート状生地を冷蔵した後に、焼成を行うことにより得ることができ、必要に応じて冷蔵後焼成前に分割・丸め、成形を行えばよい。
また、本開示のパン類の製造は、シート形成・冷蔵・成形機能を有する製造ライン上で一連の製造プロセスとして行うことができるので、製造効率や設備費用の点でも、本開示のパン類の製造方法は好適である。
本開示のパン類の製造において、適宜、分割・丸めの後にベンチタイム(通常、25〜30℃、相対湿度70〜80%、15〜30分間)を設けてもよく、また、成形後にホイロ(通常、35〜40℃、相対湿度70〜85%、40〜80分間の発酵工程)を設けてもよい。また、本開示のパン類用生地を成形後に冷凍せずにホイロをとった後に焼成してもよい。
また、本開示のパン類の製造において、本開示のパン類用生地を再度ミキシング(リミックス)せずに分割・成形を行うことが望ましい。リミックスをしないことで、より好適にソフト感とモチモチとした食感のあるパン類を得ることができる。
また、本開示のパン類の製造において、冷蔵後の分割・成形は、延展・冷蔵・成形機能を有する製造ライン上で一連の製造プロセスとして行うことができるので、製造効率や設備費用の点でも、本開示のパン類の製造方法は好適である。
さらに、本開示の冷凍パン生地を使用して製造したパンは、生地を冷凍しているにもかかわらず、冷凍生地を使用しないスクラッチストレート法で得たパン製品と同等かそれ以上の食味・食感を得ることができる。
また、本開示のパン類を製造する際の加熱方法として、焼成(オーブン、鉄板等)、油ちょう、蒸煮等が挙げられる。本開示のパン類用生地を焼成して焼成パン類とするのが、食感及び食味も良好になるので、好適である。一般的な焼成条件は、150〜250℃程度の焼成温度及び8〜60分程度の焼成時間である。
〔1〕シート状生地を冷蔵して得られるパン類用生地。
〔2〕さらに冷凍する前記〔1〕記載のパン類用生地。
〔3〕シート状生地を冷蔵し、冷凍して得られるパン類用の冷凍生地。
〔4〕前記シート生地の厚みが1〜10cmである前記〔1〕〜〔3〕の何れか1項記載の生地。
〔5〕パン類用生地原料中に酵母を小麦粉100質量部に対して1〜5質量部含有させる前記〔1〕〜〔4〕の何れか1項記載の生地。
〔6〕前記冷蔵の温度が、−5〜10℃である前記〔1〕〜〔5〕の何れか1項記載の生地。
〔7〕前記冷蔵の時間が、2〜16時間である前記〔1〕〜〔6〕の何れか1項記載の生地。
〔9〕前記〔1〕〜〔7〕の何れか1項記載の生地を用いるパン類の製造方法。
〔11〕さらに冷凍することを含む、前記〔10〕記載のパン類用生地の製造方法又はパン類の製造方法。
〔12〕前記シート状生地の厚みが1〜10cmである前記〔10〕又は〔11〕記載のパン類用生地の製造方法又はパン類の製造方法。
〔13〕さらに焼成することを含む前記〔10〕〜〔12〕記載のパン類の製造方法。
〔14〕前記〔1〕〜〔7〕の何れか1項記載の生地を用いるパン類の製造方法により得られるパン類、又は前記〔10〕〜〔13〕の何れか1項記載のパン類用生地の製造方法若しくはパン類の製造方法により得られるパン類。
以下のA〜F工程にて、実施例1のパン用生地を得、このパン用生地よりパンを得た。
A.ボールにショートニング以外の下記表1の材料を加え、ミキサーの低速で6分、中速で7分ミキシングした。
なお、生イーストはオリエンタル酵母工業株式会社製を使用し、イーストフードは、パンダイヤC−100(キリン協和フーズ株式会社製)を、生地改良剤は、パンダイヤN−1(キリン協和フーズ株式会社製)を使用した。また、生地の総重量は5kgとなるように調整した。
B.Aにショートニングを加え、さらにミキサーの低速で3分、中速で4分間ミキシングして混捏生地を調製した。生地の捏ね上げ温度は、20℃とした。
C.Bの生地を厚み3cmのシート状に延し、5℃で15時間冷蔵した。これにより、実施例1のパン用生地(厚み3.5cm)を得た。
D.Cの生地を、一玉55gに分割し、丸めを行い成形した後、−35℃で冷凍した。
E.Dの冷凍生地を20℃で180分間解凍した後、36℃、相対湿度75%で70分間ホイロをとった。 F.ホイロ後の生地を200℃で12分間、焼成してドッグロールを製造した。
「実施例1のC工程」を行わなかった以外は実施例1に準じて、以下のA〜E工程にて比較例1のパンを得た。
A.及びB.は実施例1と同様のため省略。
C.Bの生地を一玉55gに分割し、丸めを行い成形した後、−35℃で冷凍した。
D.Cの冷凍生地を20℃で180分間解凍した後、36℃、相対湿度75%で70分間ホイロをとった。
E.ホイロ後のDの生地を200℃で12分間、焼成してドッグロールを製造した。
「実施例1のC工程」に代えて、以下の「C工程」を行なった以外は実施例1に準じて、以下のA〜F工程にて、比較例2のパンを得た。
A.及びB.は実施例1と同様のため省略。
C.Bの生地を発酵ボックスに移し、5℃で15時間冷蔵した。
D.Cの生地を一玉55gに分割し、丸めを行い成形した後、−35℃で冷凍した。
E.Dの冷凍生地を20℃で180分間解凍した後、36℃、相対湿度75%で70分間ホイロをとった。
F.ホイロ後の生地を200℃で12分間、焼成してドッグロールを製造した。
以下のA〜F工程にて参考例1のパンを得た。
A.及びB.は実施例1と同様のため省略。
C.Bで調製した生地を27℃、相対湿度75%で80分間、フロアタイムをとった。
D.Cの生地を一玉55gに分割し、丸めを行い20分間ベンチタイムをとった後成形した。
E.Dの生地を38℃、相対湿度85%で60分間ホイロをとった。
F.ホイロ後の生地を、200℃で12分間、焼成してドッグロールを製造した。
比容積の測定は、3D Laser Volume Measurement selnac-Win VM2100(株式会社ASTEX社製)を用いて行った。製造したドックロールの体積を重量で割ることにより比容積(cm3/g)を算出した。
硬さの測定は、テクスチャーアナライザー「TA.XTPlus」(Stable Micro Systems社製)を用いて行った。製造したドックロールを厚さ1.5cmにスライスし、直径10mmの円筒型プランジャーを使用して、中心部分をスライス厚の50%まで圧縮した時の応力(g)を測定した。
<パンの外観>
5:表面にシワや荒れがなく、均一で安定した形状のパンが得られた。
4:表面にシワや荒れがなかった。また、形状はやや不安定であるが、許容範囲内であり、問題のない形状のパンが得られた。
3:得られたパンは、表面にシワや荒れが認められるが、問題のない程度であった。また、やや形状が不安定であった。
2:得られたパンは、表面にシワや荒れがあり、形状も不安定であった。
1:得られたパンは、表面が荒れておりシワが多く見られた。また、形状も不安定でばらつきが大きかった。
<パンの食味>
5:発酵に由来するうま味と芳醇な香りが十分に感じられ、非常に好ましい。
4:発酵に由来するうま味と芳醇な香りが感じられ、好ましい。
3:発酵に由来するうま味と芳醇な香りが若干感じられる。
2:発酵に由来するうま味と芳醇な香りがほとんど感じられない、または、酸味や酸臭がやや強い。
1:発酵に由来するうま味と芳醇な香りが全く感じられない、または、酸味や酸臭が強く好ましくない。
<パンの食感>
5:非常にモチモチとしており、なおかつ、非常にソフトで柔らかく、口どけが良い。
4:モチモチとした食感があり、ソフトで柔らかく、口どけが良い。
3:若干パサついているが柔らかい。
2:パサついており、硬い。
1:パサつきが強く、非常に硬い。
<生地の加工適性>
5:分割・成形時の作業性が非常に良く均一に加工できる。
4:分割・成形時の作業性が良く加工しやすい。
3:分割・成形時の作業性は特に問題がない。
2:分割・成形時の作業性がやや悪い。
1:分割・成形時の作業性が非常に悪く加工しにくい。
上述のとおり、本技術の生地(実施例1の生地)から得られた実施例1のパンは、従来のノータイム法で製造した生地(比較例1の生地)から得られた比較例1のパンと比較し、非常に優れた食味及び食感を有していた。特に、本技術のパンは、発酵に由来するパン特有の良好なうま味を有しており芳醇な香りが十分に感じられた。
また、本技術の生地(実施例1の生地)は、従来の低温熟成の生地(比較例2の生地)と比較し、加工適性に優れており、分割・成形の作業を行いやすかった。また、得られた実施例1のパンは、シワがなく均一な非常に優れた外観を有していた。これらより、生地をシート状にし低温熟成させることによって、生地の物理性を適度な伸展性、粘性、弾性を備えたものにすることができたと考える。従来の低温熟成のパン(比較例2のパン)は、熟成後の比較例2の生地の状態が不均一であるため、外観や食味・食感の良いものと悪いものの差が大きかった。本技術のパンは生地をシート状で冷蔵したのに対し、従来の低温熟成のパンは、生地をシート状にせずにバッチ容器内で冷蔵したものである。このように、生地をシート状にすることによって、加工時の作業性が良く、優れた食味、食感及び外観を有するパンを安定して得られるようになる。
さらに、本技術の生地(実施例1の生地)を冷凍し、これから得られたパンでも、スクラッチストレート法にて得られたパンと比較し、同等以上の食味及び食感を有する。このスクラッチストレート法では生地を冷凍しないのに対し、本技術のパンの製造方法では本技術の生地を冷凍生地にして製造することも可能であるので、本技術は生産効率がよく、製造方法としても有利である。また、従来の冷凍生地にて得られたパン(例えば比較例1及び2参照)では、スクラッチストレート法で得られたパンに及ばないものであった。
また、本技術のパンは、後述する製造例2に示すように、所定期間冷蔵保存しても食味及び食感に優れるものである。
これらの点から、本技術は、際立って優れたものと言える。
実施例1のC工程において生地を延す際の厚みを1、2、5、10cmにした以外は、実施例1のA〜F工程にてパン用生地を得、このパン用生地よりドッグロールを得た(実施例2〜5)。なお、厚み3cmは、実施例1の結果を記載した。
なお、実施例2〜5のパン用生地のC工程終了時の厚みは、各生地をシート状に延した際の厚みの+25%以内であった。
各評価は、上記実施例1と同様にして行なった。
本技術において、冷蔵前のシート状生地の厚みを1〜10cmにして得られた本技術のシート状生地を用いたときに、食味及び食感の良好なパンを得ることができた。さらに、冷蔵前のシート状生地の厚みを2〜5cmにして得られた本技術のシート状生地を用いたときに、より良好な食味及び食感のパンを得ることができた。
表4に示すように、実施例1のC工程における冷蔵温度及び冷蔵時間を「−5℃・16時間」、「0℃・12時間」、「3℃・8時間」、「3℃・10時間」、「3℃・15時間」、「5℃・10時間」、「8℃・8時間」、「8℃・4時間」、「10℃・2時間」にした以外は、実施例1のA〜F工程にてパン用生地を得、このパン用生地よりドッグロールを得た(実施例6〜14)。なお、「5℃・15時間」は、実施例1の結果を記載した。
なお、実施例6〜14のパン用生地のC工程終了時の厚みは、各生地をシート状に延した際の厚みの+25%以内であった。
各評価は、上記実施例1と同様にして行なった
本技術において、シート状生地を冷蔵する際の温度を−5〜10℃として得られた本技術の生地を用いたときに、食味及び食感の良好なパンを得ることができた。さらに、シート状生地を冷蔵する際の温度を3〜5℃として得られた本技術の生地を用いたときに、より良好な食味及び食感のパンを得ることができた。また、本技術において、シート状生地を冷蔵する時間を2〜16時間として得られた本技術の生地を用いたときに、食味及び食感の良好なパンを得ることができた。さらに、シート状生地を冷蔵する時間を8〜15時間として得られた本技術の生地を用いたときに、より良好な食味及び食感のパンを得ることができた。
表5に示すように、実施例15〜20は、実施例1のA工程における生イーストの配合量を、それぞれ1質量部、1.5質量部、2質量部、4質量部、4.5質量部、5質量部にした以外は、実施例1のA〜F工程にてパン用生地を得、このパン用生地よりドッグロールを得た。なお、生イースト3質量部配合は、実施例1の結果を記載した。
表6に示すように、実施例21、22は、実施例1のA工程におけるイーストフードを、C−オリエンタルフード(オリエンタル酵母工業株式会社製)にして、更に配合量をそれぞれ0.1質量部、0.3質量部にした以外は、実施例1のA〜F工程にてパン用生地を得、このパン用生地よりドッグロールを得た。
表6に示すように、実施例23、24は、実施例1のA工程におけるイーストフードを配合せずに、生地改良剤の配合量をそれぞれ0.3質量部、1質量部にした以外は、実施例1のA〜F工程にてパン用生地を得、このパン用生地よりドッグロールを得た。
表6に示すように、実施例25〜27は、実施例1のA工程におけるイーストフード及び生地改良剤を配合せずに、Lアスコルビン酸(和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ0.005質量部、0.075質量部、0.01質量部配合した以外は、実施例1のA〜F工程にてパン用生地を得、このパン用生地よりドッグロールを得た。
なお、実施例15〜27のパン用生地のC工程終了時の厚みは、各生地をシート状に延した際の厚みの+25%以内であった。
各評価は、上記実施例1と同様にして行なった。
本技術において、シート状生地に含有させる酵母の量を、小麦粉100質量部に対して1〜5質量部として得られた本技術の生地を用いたときに、食味及び食感の良好なパンを得ることができた。
本技術において、イーストフード、生地改良剤、Lアスコルビン酸を配合して得られる本技術の生地を用いたときに、食味及び食感の良好なパンを得ることができた。
実施例1のA〜C工程と同様の方法で製造した本技術のパン類用生地を、一玉55gに分割し、丸めを行い成形した後、冷凍を行わずに、36℃、相対湿度75%で70分間ホイロをとった。ホイロ後の生地を200℃で12分間焼成してドックロールを製造した。
得られたドックロールは、通常のスクラッチストレート法で製造したドックロールよりも、食味及び食感の良好なパンであった。
実施例1で製造したドックロールの上部に切り込みを入れ、具材をはさみサンドイッチを製造し、10℃で1日間保存した。当該サンドイッチは、10℃で1日間保存した後も、食味及び食感の優れたものであった。
Claims (5)
- シート状生地を冷蔵して得られるパン類用生地。
- さらに冷凍する請求項1記載のパン類用生地。
- 請求項1又は2記載の生地より得られるパン類。
- 混捏後の生地をシート状にすること、及び当該シート状生地を冷蔵することを含む、パン類用生地の製造方法又はパン類の製造方法。
- さらに冷蔵後に冷凍することを含む、請求項4記載の製造方法。
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- 2014-01-20 JP JP2014007663A patent/JP6425892B2/ja active Active
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