JP2015135741A - 透明導電膜、分散液、情報入力装置、及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】外光散乱を抑制可能で且つシート抵抗の低い透明導電膜、該透明導電膜を製造することができる分散液、前記透明導電膜を備える情報入力装置、及び、前記透明導電膜を備える電子機器の提供。【解決手段】透明導電膜は、金属ナノワイヤーを含み、前記金属ナノワイヤーは、金属ナノワイヤー本体に有色化合物を吸着させてなり、前記有色化合物は、数平均粒径が0.03μm〜0.5μmである。【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電膜、分散液、情報入力装置、及び電子機器に関し、特に、金属ナノワイヤー本体に有色化合物を吸着させてなる金属ナノワイヤーを含む透明導電膜、前記金属ナノワイヤーを含む分散液、前記透明導電膜を備える情報入力装置、及び、前記透明導電膜を備える電子機器に関する。
タッチパネル等の表示パネルの表示面に設けられる透明導電膜、さらには表示パネルの表示面側に配置される情報入力装置の透明導電膜等、光透過性が要求される透明導電膜には、インジウムスズ酸化物(ITO)のような金属酸化物が用いられてきた。しかしながら、金属酸化物を用いた透明導電膜は、真空環境下においてスパッタ成膜されるため製造コストがかかるものであり、また曲げやたわみなどの変形によって割れや剥離が発生し易いものであった。
そこで金属酸化物を用いた透明導電膜に代えて、塗布や印刷による成膜が可能で、しかも曲げやたわみに対する耐性も高い金属ナノワイヤーを用いた透明導電膜が検討されている。金属ナノワイヤーを用いた透明導電膜は、レアメタルであるインジウムを使わない次世代の透明導電膜としても注目されている(例えば、特許文献1,2参照)。
ところが、前記特許文献1に記載された透明導電膜は、赤みを呈して、透明性が損なわれることがある。
さらに、金属ナノワイヤーを用いた透明導電膜を表示パネルの表示面側に設けた場合、金属ナノワイヤーの表面で外光が乱反射することにより、表示パネルの黒表示がほのかに明るく表示される、いわゆる黒浮き現象が発生する。黒浮き現象は、コントラスト低下による表示特性の劣化を招く要因になる。
このような黒浮き現象の発生を防止することを目的として、光の乱反射が発生し難い金(Au)を用いた金ナノチューブが提案されている。金ナノチューブの形成は、先ず、光を乱反射しやすい銀ナノワイヤーをテンプレートとして用い、これに金メッキを施す。その後、テンプレートとして用いた銀ナノワイヤー部分をエッチングもしくは酸化して金ナノチューブに変換する(例えば、特許文献3参照)。
また、金属ナノワイヤーと二次導電性媒体(CNT(カーボンナノチューブ)、導電性ポリマー、ITO等)とを併用して、光散乱を防止する手法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、前者の方法で得られる金ナノチューブは、テンプレートとして用いた銀ナノワイヤーが材料として無駄になってしまうのみならず、さらに金メッキを施すための金属材料も必要となってしまう。そのため材料費が高くなり、また工程も煩雑になるため製造コストが高くなるという問題がある。
また、後者の方法では、CNT、導電性ポリマー、ITO等の二次導電性媒体(着色材料)を金属ナノワイヤーネットワークの開口部に配置するため、透明性が損なわれる虞があるという問題がある。
斯かる問題を解決すべく、金属ナノワイヤー本体と該金属ナノワイヤー本体に吸着された有色化合物(染料)とを含む透明導電膜(例えば、特許文献4及び5参照)が提案されている。この金属ナノワイヤー本体と該金属ナノワイヤー本体に吸着された有色化合物(染料)とを含む透明導電膜は、金属ナノワイヤー本体に吸着された有色化合物に可視光が吸収されて、金属ナノワイヤー本体の表面での光の乱反射が防止される。前記透明導電膜は、例えば、発色団Rと吸着官能基Xで構成されたR−Xで表わされる有色化合物(染料)を金属ナノワイヤー本体に吸着させているので、有色化合物(染料)の添加による透明性の低下を抑制することができる。
ここで、前述の金属ナノワイヤー本体と有色化合物とを含む透明導電膜は、前記有色化合物が前記金属ナノワイヤー本体に単分子レベルで被覆されていることが好ましいとされる。そのため、前記透明導電膜は、通常、前記有色化合物、金属ナノワイヤー本体、及び純水、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等の溶剤を配合し、前記有色化合物を前記溶剤に溶解させた液を基材上に塗布することにより形成される。しかしながら、かかる透明導電膜は、金属ナノワイヤー本体の分散性が十分に高いとはいえず、そのため、シート抵抗が大きくなる虞がある。
特表2010−507199号公報 特表2010−525526号公報 特表2010−525527号公報 特開2012−190777号公報 特開2012−190780号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、外光散乱を抑制可能で且つシート抵抗の低い透明導電膜、該透明導電膜を製造することができる分散液、前記透明導電膜を備える情報入力装置、及び、前記透明導電膜を備える電子機器を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、有色化合物を金属ナノワイヤー本体に単分子レベルで被覆せずとも、有色化合物の数平均粒径の適正化を図った上、かかる有色化合物を金属ナノワイヤー本体に吸着させることにより、外光散乱を抑制可能で且つシート抵抗の低い透明導電膜が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 金属ナノワイヤーを含む透明導電膜であって、前記金属ナノワイヤーは、金属ナノワイヤー本体に有色化合物を吸着させてなり、前記有色化合物は、数平均粒径が0.03μm〜0.5μmであることを特徴とする、透明導電膜である。
該<1>に記載の透明導電膜において、有色化合物の数平均粒径が0.03μm〜0.5μmであることにより、外光散乱の抑制及びシート抵抗の低減の両立が効果的にもたらされる。
<2> 前記有色化合物が、可視光領域に吸収を持つ発色団と、前記金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基とを有する、前記<1>に記載の透明導電膜である。
<3> 前記有色化合物が、可視光領域の光を吸収する、前記<1>から<2>のいずれかに記載の透明導電膜である。
<4> 前記金属ナノワイヤー本体は、平均短軸径が1nm〜500nmであり、且つ平均長軸長が5μm〜50μmである、前記<1>から<3>のいずれかに記載の透明導電膜である。
<5> バインダーをさらに含み、前記金属ナノワイヤーが、前記バインダーに分散されている、前記<1>から<4>のいずれかに記載の透明導電膜である。
<6> 前記有色化合物が、R−X(但し、Rは可視光領域に吸収を持つ発色団であり、Xは前記金属ナノワイヤー本体を構成する金属に結合する基である。)で表される、前記<2>に記載の透明導電膜である。
<7> 前記発色団が、不飽和アルキル基、芳香族、複素環、及び金属イオンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、前記<2>に記載の透明導電膜である。
<8> 前記発色団が、ニトロソ基、ニトロ基、アゾ基、メチン基、アミノ基、ケトン基、チアゾリル基、ナフトキノン基、インドリン基、スチルベン誘導体、インドフェノール誘導体、ジフェニルメタン誘導体、アントラキノン誘導体、トリアリールメタン誘導体、ジアジン誘導体、インジゴイド誘導体、キサンテン誘導体、オキサジン誘導体、フタロシアニン誘導体、アクリジン誘導体、チアジン誘導体、硫黄原子含有化合物、及び金属イオン含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、前記<2>に記載の透明導電膜である。
<9> 前記発色団が、Cr錯体、Cu錯体、Co錯体、Ni錯体、Fe錯体、アゾ基、及びインドリン基からなる群から選択される少なくとも1種を含む、前記<8>に記載の透明導電膜である。
<10> 前記金属に結合する基が、チオール基、カルボン酸基及びリン酸基のいずれかである、前記<2>に記載の透明導電膜である。
<11> 前記金属ナノワイヤー本体が、Ag、Au、Ni、Cu、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Os、Fe、Co、Sn、Al、Tl、Zn、Nb、Ti、In、W、Mo、Cr、V、及びTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素で構成される、前記<1>から<10>のいずれかに記載の透明導電膜である。
<12> 反射L*値が9.5以下である、前記<1>から<11>のいずれかに記載の透明導電膜である。
<13> 前記金属ナノワイヤーが、基材の上部に集積されている、前記<1>から<12>のいずれかに記載の透明導電膜である。
<14>前記有色化合物が、水流分散法により処理された、前記<1>から<13>のいずれかに記載の透明導電膜である。
<15> 前記水流分散法が、1mm以下の径で且つ0.1mm以上の長さを有するノズルに、前記有色化合物を含む固液混合体を、前記ノズルの入口における圧力50MPa以上で通過させる工程を含む、前記<14>に記載の透明導電膜である。
<16> 前記通過させる工程を少なくとも3回繰り返す、前記<15>に記載の透明導電膜である。
<17> 前記圧力が100MPa以上である、前記<15>から<16>のいずれかに記載の透明導電膜である。
<18> 金属ナノワイヤーを含む分散液であって、前記金属ナノワイヤーは、金属ナノワイヤー本体に有色化合物を吸着させてなり、前記有色化合物は、数平均粒径が0.03μm〜0.5μmであることを特徴とする、分散液である。
<19> 前記有色化合物が、可視光領域に吸収を持つ発色団と、前記金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基とを有する、前記<18>に記載の分散液である。
<20> 前記金属ナノワイヤーは、平均短軸径が1nm〜500nmであり、且つ平均長軸長が5μm〜50μmである、前記<18>から<19>のいずれかに記載の分散液である。
<21> 水系溶剤をさらに含む、前記<18>から<20>のいずれかに記載の分散液である。
<22> 透明基材と、前記透明基材上に設けられた前記<1>から<17>のいずれかに記載の透明導電膜と、を備えることを特徴とする、情報入力装置である。
<23> 表示パネルと、前記表示パネル上に設けられた前記<1>から<17>のいずれかに記載の透明導電膜と、を備えることを特徴とする、電子機器である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、外光散乱を抑制可能で且つシート抵抗の低い透明導電膜、該透明導電膜を製造することができる分散液、前記透明導電膜を備える情報入力装置、及び、前記透明導電膜を備える電子機器を提供することができる。
水流分散法による処理を行うためのユニットの一例を示す図である。 本発明の透明導電膜を有する透明電極の第1実施形態を示す模式図である。 本発明の透明導電膜を有する透明電極の第2実施形態を示す模式図である。 本発明の透明導電膜を有する透明電極の第3実施形態を示す模式図である。 本発明の透明導電膜を有する透明電極の第4実施形態を示す模式図である。 本発明の透明導電膜を有する透明電極の第5実施形態を示す模式図である。 本発明の透明導電膜を有する透明電極の第6実施形態を示す模式図である。
(透明導電膜)
本発明の透明導電膜は、少なくとも、金属ナノワイヤーを含み、さらに必要に応じて、バインダー等のその他の成分を含む。
<金属ナノワイヤー>
前記金属ナノワイヤーは、金属ナノワイヤー本体に有色化合物を吸着させてなる。
前記金属ナノワイヤーにおける金属ナノワイヤー本体に有色化合物を吸着させることにより、前記有色化合物に可視光等が吸収され、金属ナノワイヤー本体の表面での光の乱反射が防止される。
なお、前記金属ナノワイヤーには、金属ナノワイヤー本体全体に、前記有色化合物を吸着させたもののみならず、金属ナノワイヤー本体の少なくとも一部に、前記有色化合物を吸着させたものも含まれる。
<<有色化合物>>
前記有色化合物の数平均粒径としては、0.03μm〜0.5μmである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.03μm〜0.1μmが好ましい。
前記有色化合物の数平均分子量が0.03μm未満であると、シート抵抗が過度に高くなり、0.5μmを超えると、外光散乱を十分に抑制することができなくなる。一方、前記有色化合物の数平均粒径が、前記好ましい範囲内あると、外光散乱の抑制及びシート抵抗の低減の両立が効果的にもたらされる点で、有利である。
なお、前記有色化合物の数平均分子量は、例えば、大塚電子株式会社製レーザーゼータ電位計「ELS−8000」により測定可能である。
前記有色化合物は、可視光領域の光を吸収するのが好ましい。ここで、本明細書における「可視光領域」とは、およそ360nm以上830nm以下の波長帯域である。また、前記有色化合物は、可視光領域に吸収を持つ発色団と、前記金属ナノワイヤー本体を構成する金属に結合する基とを有するのが好ましく、特に、R−X(但し、Rは可視光領域に吸収を持つ発色団であり、Xは前記金属ナノワイヤー本体を構成する金属に結合する基(部位)である。)で表される化合物であるのが好ましい。
−発色団R−
前記発色団Rとしては、可視光領域に吸収を持つものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不飽和アルキル基、芳香族、複素環、金属イオン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、芳香族、複素環、特に、シアニン、キノン、フェロセン、トリフェニルメタン、キノリンが、透明性が向上した透明導電膜を製造することができる点で好ましい。
前記発色団Rの具体例としては、例えば、ニトロソ基、ニトロ基、アゾ基、メチン基、アミノ基、ケトン基、チアゾリル基、ナフトキノン基、インドリン基、スチルベン誘導体、インドフェノール誘導体、ジフェニルメタン誘導体、アントラキノン誘導体、トリアリールメタン誘導体、ジアジン誘導体、インジゴイド誘導体、キサンテン誘導体、オキサジン誘導体、フタロシアニン誘導体、アクリジン誘導体、チアジン誘導体、硫黄原子含有化合物、金属イオン含有化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、Cr錯体、Cu錯体、Co錯体、Ni錯体、Fe錯体、アゾ基、インドリン基が、透明性が向上した透明導電膜を製造することができる点で好ましい。
−部位X−
前記部位Xは、後述する金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基である。
前記部位Xの具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スルホ基(スルホン酸塩を含む)、スルホニル基、スルホンアミド基、カルボン酸基(カルボン酸塩を含む)、アミノ基、アミド基、リン酸基(リン酸塩及びリン酸エステルを含む)、フォスフィノ基、シラノール基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、ビニル基、チオール基、カルビノール基、水酸基、金属ナノワイヤーを構成する金属に配位可能な原子(例えば、N(窒素)、S(イオウ)、O(酸素)等)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、チオール基、カルボン酸基、リン酸基が、有色化合物の吸着による導電性低下を抑制する点で好ましい。
−有色化合物の製造方法−
前記有色化合物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(I)特定の染料と特定の分子とを反応させて有色化合物を生成する工程と、(II)水流分散法による処理を行い、前記有色化合物の粒径を適正化する工程と、を含む製造方法、などが挙げられる。
−−工程(I)−−
前記工程(I)は、特定の染料と特定の分子とを反応させて有色化合物を生成する工程である。
前記工程(I)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)酸性基含有染料と塩基性基含有分子とを反応させる工程、(ii)塩基性基含有染料と酸性基含有分子とを反応させる工程、(iii)反応性基含有染料と水酸基含有分子とを反応させる工程、などが挙げられる。
−−−(i)酸性基含有染料と塩基性基含有分子との反応−−−
前記反応は、前記酸性基含有染料における酸性基と、前記塩基性基含有分子における塩基性基とによって行われるものである。
前記酸性基含有染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販の酸性染料、金属錯体塩酸性染料、直接染料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記塩基性基含有分子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−アミノエタンチオール、2−アミノエタンチオール塩酸塩、2−ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩、2−(ジエチルアミノ)エタンチオール塩酸塩、2−ジイソプロピルアミノエタンチオール塩酸塩、4−ピリジンエタンチオール塩酸塩、6−アミノ−1−ヘキサンチオール塩酸塩、8−アミノ−1−オクタンチオール塩酸塩、11−アミノ−1−ウンデカンチオール塩酸塩、16−アミノ−1−ヘキサデカンチオール塩酸塩、アミノ−EG6−ウンデカンチオール塩酸塩、アミノ−EG6−ヘキサデカンチオール塩酸塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−−(ii)塩基性基含有染料と酸性基含有分子との反応−−−
前記反応は、前記塩基性基含有染料における塩基性基と、前記酸性基含有分子における酸性基とによって行われるものである。
前記塩基性基含有染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販のカチオン染料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸性基含有分子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、2,3−ジメルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム、4−[(5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ]−1−ブタンスルホン酸ナトリウム、メルカプト酢酸ナトリウム、2−(5−メルカプト−1H−テトラゾール−1−イル)酢酸ナトリウム、5−カルボキシ−1−ペンタンチオール、7−カルボキシ−1−ヘプタンチオール、10−カルボキシ−1−デカンチオール、15−カルボキシ−1−ペンタデカンチオール、カルボキシ−EG6−ウンデカンチオール、カルボキシ−EG6−ヘキサデカンチオール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−−(iii)反応性基含有染料と水酸基含有分子との反応−−−
前記反応は、前記反応性基含有染料における、スルファートエチルスルホニル基、ビニルスルホニル基、モノクロロトリアジニル基、モノフルオロトリアジニル基、モノピリジニオトリアジニル基、ジクロロトリアジニル基、ジフルオロモノクロロピリミジニル基、トリクロロピリミジニル基等の反応性基と、前記水酸基含有分子における水酸基とによって行われるものである。
前記反応性基含有染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販の反応染料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水酸基含有分子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、1−メルカプト−2−プロパノール、4−メルカプト−1−ブタノール、6−メルカプト−1−ヘキサノール、3−メルカプト−1−ヘキサノール、8−メルカプト−1−オクタノール、9−メルカプト−1−ノナノール、11−メルカプト−1−ウンデカノール、1−チオグリセロール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−工程(II)−−
前記工程(II)は、水流分散法による処理を行い、前記工程(I)で生成する有色化合物の粒径の適正化を図る工程である。
本明細書において、「水流分散法」とは、有色化合物を、水系の分散媒及び貧溶媒のいずれかと混合し、得られた固液混合体に対してせん断力を与えることにより、凝集した有色化合物を解砕する(微粒化させる)方法をいう。前記固液混合体にせん断力を与える方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図1に示すようなユニットを用いる方法などが挙げられる。以下、図1に示すユニットを説明する。
図1に示すユニットにおいては、有色化合物と水系の分散媒及び貧溶媒のいずれかとを含む固液混合体をフィード容器1に投入し、前記固液混合体を、プランジャーポンプ等のポンプ2による所定の圧力で、ノズル3に通過させる。ノズル3においては、該ノズル3の入口における圧力、ノズル3の径、及びノズル3の長さの3つの因子により前記固液混合体の流量及び流速が定まり、これによりせん断力が決定される。ノズル3内で発生するせん断力としては、一般に、少なくとも、ノズル入口付近におけるせん断波(横波)によるものと、ノズル出口付近におけるせん断波(横波)によるものとがあり、これらのせん断力により、前記有色化合物の微粒化が起こる。前記有色化合物に付与されるせん断力の大きさは、前記3つの因子を適宜調整することにより、制御することが可能である。その後、微粒化した有色化合物を含む固液混合体は、ノズル3から排出され、任意に設けられた熱交換器4を経て、受け容器5に貯められるか、或いは、熱交換器4を経た後、フィード容器1に戻され、再度、ノズル3での有色化合物の微粒化が行われる。なお、「ノズル入口付近におけるせん断波(横波)」と「ノズル出口付近におけるせん断波(横波)」との間に、「ノズル中央付近における衝撃波(縦波)」があってもよい。
このような水流分散法による処理を行うためのユニットは、工業的に入手可能な装置及び器具を組み合わせることで製作することができ、特に、ポンプ2及びノズル3の組み合わせに相当する装置としては、例えば、株式会社美粒製「BERYU MINI」、などが挙げられる。
前記フィード容器1、熱交換器4、及び受け容器5としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記固液混合体は、前述のようにフィード容器1に投入する前に調製してもよいが、有色化合物と分散媒及び貧溶媒のいずれかをフィード容器1に個々に投入し、容器1内でミキサー等を用いて混合することにより調製してもよい。
前記分散媒とは、前記有色化合物を全く溶解しない液媒体を指し、前記貧溶媒とは、前記有色化合物をほとんど溶解しない(例えば、有色化合物/溶媒が、20℃において10g/100g以下である)液媒体を指す。
ここで、酸性基含有染料と塩基性基含有分子との反応により生成する有色化合物の水系の分散媒又は貧溶媒としては、水、エタノール、i−プロパノール、などが挙げられ、塩基性基含有染料と酸性基含有分子との反応により生成する有色化合物の水系の分散媒又は貧溶媒としては、水、エタノール、i−プロパノール、などが挙げられ、反応性基含有染料と水酸基含有分子との反応により生成する有色化合物の水系の分散媒又は貧溶媒としては、水、エタノール、i−プロパノール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、水、エタノールが、分散性の点で、好ましい。
前記固液混合体の固液質量比(固体/液体)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10.0未満が好ましく、5.0未満がより好ましく、1.0未満が特に好ましい。
前記固液混合体の固液質量比(固体/液体)が10.0を超えると、固液混合体がノズル内で詰まることがある。一方、前記固液混合体の固液質量比が前記より好ましい範囲内及び前記特に好ましい範囲内のいずれかであると、効果的なせん断力の付与及びノズル内での詰まり防止の点で有利である。
図1のノズル3の径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、300μm以下が特に好ましい。
前記ノズルの径が、1mmを超えると、有色化合物に十分なせん断力を与えることができず、微粒化が不十分となることがある。一方、前記ノズルの径が前記より好ましい範囲内及び前記特に好ましい範囲内のいずれかであると、該ノズル入口における圧力を効果的に高めることができる点で有利である。
なお、前記ノズルの径の下限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm以上が、有色化合物の詰まりを防止する点で、好ましい。
図1のノズル3の長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、1mm以下が特に好ましい。
前記ノズルの長さが、10mmを超えると、ノズルの管摩擦による圧力損失が大きくなり、過度にポンプの圧力を高める必要性が生じることがある。一方、前記ノズルの径が前記より好ましい範囲内及び前記特に好ましい範囲内のいずれかであると、ノズルの入口から出口までに良好な圧力勾配が生じ、効果的にせん断力を付与できる点で有利である。
なお、前記ノズルの長さの下限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mm以上が、ノズル内でのせん断波を十分にもたらす点で、好ましい。
図1のノズル3の入口における圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50MPa以上が好ましく、100MPa以上がより好ましく、150MPa以上が特に好ましい。
前記ノズルの入口における圧力が、50MPa未満であると、ノズルの入口から出口までにおいて生じる圧力勾配が小さく、効果的にせん断力が付与されないおそれがあり、また、固液混合体がノズル内で詰まることがある。一方、前記ノズルの入口における圧力が前記より好ましい範囲内及び前記特に好ましい範囲内のいずれかであると、ノズル内に有色化合物が詰まることなく、効果的にせん断力を付与することができる点で有利である。
なお、前記ノズルの入口における圧力の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200MPa以下が、使用するポンプの汎用性を確保する点で、好ましい。
図1に示される水流分散法において、有色化合物を含む固液混合体をノズル3に通過させる操作の繰り返し回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも3回が好ましく、少なくとも5回がより好ましく、少なくとも10回が特に好ましい。
前記繰り返し回数が、2回以下であると、有色化合物の粒径の適正化が十分に図れないことがある。一方、前記繰り返し回数が前記より好ましい範囲内及び前記特に好ましい範囲内のいずれかであると、有色化合物の粒径の適正化を十分に図ることができる点で有利である。
<<金属ナノワイヤー本体>>
前記金属ナノワイヤー本体は、金属を用いて構成されたものであって、nmオーダーの径を有する微細なワイヤーである。
前記金属ナノワイヤー本体の構成元素としては、金属元素である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Ag、Au、Ni、Cu、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Os、Fe、Co、Sn、Al、Tl、Zn、Nb、Ti、In、W、Mo、Cr、V、Ta、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、AgやCuが、導電性が高い点で、好ましい。
前記金属ナノワイヤー本体の平均短軸径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm〜500nmが好ましく、10nm〜100nmがより好ましい。
前記金属ナノワイヤー本体の平均短軸径が、1nm未満であると、金属ナノワイヤー本体の導電率が劣化して、吸着処理が施された金属ナノワイヤー本体を含む透明導電膜が導電膜として機能しにくいことがあり、500nmを超えると、金属ナノワイヤー本体に吸着処理が施された金属ナノワイヤーを含む透明導電膜の全光線透過率やヘイズ(Haze)が劣化することがある。一方、前記金属ナノワイヤー本体の平均短軸径が前記より好ましい範囲内であると、金属ナノワイヤー本体に吸着処理が施された金属ナノワイヤーを含む透明導電膜の導電性が高く、且つ透明性が高い点で有利である。
前記金属ナノワイヤー本体の平均長軸長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜100μmが好ましく、5μm〜50μmがより好ましく、20μm〜50μmが特に好ましい。
前記金属ナノワイヤー本体の平均長軸長が、1μm以下であると、金属ナノワイヤー本体同士がつながりにくく、金属ナノワイヤー本体に吸着処理が施された金属ナノワイヤーを含む透明導電膜が導電膜として機能しにくいことがあり、100μmを超えると、金属ナノワイヤー本体に吸着処理が施された金属ナノワイヤーを含む透明導電膜の全光線透過率やヘイズ(Haze)が劣化したり、透明導電膜を形成する際に用いる分散液における吸着処理が施された金属ナノワイヤー本体の分散性が劣化することがある。一方、前記金属ナノワイヤー本体の平均長軸長が前記より好ましい範囲内及び前記特に好ましい範囲内のいずれかであると、金属ナノワイヤー本体に吸着処理が施された金属ナノワイヤーを含む透明導電膜の導電性が高く、且つ透明性が高い点で有利である。
なお、金属ナノワイヤー本体の平均短軸径及び平均長軸長は、走査型電子顕微鏡により測定可能な、数平均短軸径及び数平均長軸長である。より具体的には、金属ナノワイヤー本体を少なくとも100本以上測定し、電子顕微鏡写真から画像解析装置を用いて、それぞれのナノワイヤーの投影径及び投影面積を算出する。投影径を、短軸径とした。また、下記式に基づき、長軸長を算出した。
長軸長=投影面積/投影径
平均短軸径は、短軸径の算術平均値とした。平均長軸長は、長軸長の算術平均値とした。
さらに、前記金属ナノワイヤー本体は、金属ナノ粒子が数珠状に繋がってワイヤー形状を有しているものでもよい。この場合、長さは限定されない。
前記金属ナノワイヤー本体の目付量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001g/m〜1.000g/mが好ましく、0.003g/m〜0.03g/mがより好ましい。
前記金属ナノワイヤー本体の目付量が、0.001g/m未満であると、金属ナノワイヤー本体が十分に金属ナノワイヤー層中に存在せず、透明導電膜の導電性が劣化することがあり、1.000g/mを超えると、透明導電膜の全光線透過率やヘイズ(Haze)が劣化することがある。一方、前記金属ナノワイヤー本体の目付量が前記より好ましい範囲内であると、透明導電膜の導電性が高く、且つ透明性が高い点で有利である。
−金属ナノワイヤーの製造方法−
前記金属ナノワイヤーは、金属ナノワイヤー本体と、有色化合物と、溶媒と、必要に応じて、バインダーと、分散剤とを混合することによって得られる。前記金属ナノワイヤーは、例えば、金属ナノワイヤー本体と、前記水流分散法による処理を行った微粒化した有色化合物を含む固液混合体と、溶媒と、バインダーと、分散剤とを混合した後、20℃にて5分間〜1時間攪拌を行いながら、前記有色化合物を金属ナノワイヤー本体へ吸着させる処理(表面処理)を行うことにより得られる。また、前記表面処理を行った後、遠心分離やフィルタリング等を活用して、未吸着の有色化合物を除去する操作を行ってもよい。
<バインダー>
前記バインダーは、金属ナノワイヤー、及び/又は、金属ナノワイヤー本体を分散させるものであり、後述する分散液に適宜用いられる。
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、既知の透明な、天然高分子樹脂、合成高分子樹脂、などが挙げられ、熱可塑性樹脂であってもよく、また、熱、光、電子線、放射線で硬化する熱(光)硬化性樹脂であってもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ビニリデン、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、などが挙げられる。
前記熱(光)硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、イソシアネート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケート等のシリコン樹脂、アジド基やジアジリン基などの感光基を主鎖及び側鎖の少なくともいずれかに導入したポリマー、などが挙げられる。
<透明導電膜を有する透明電極>
前記透明導電膜を有する透明電極としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)図2に示すように、金属ナノワイヤー本体6のバインダー層からの露出部分のみに有色化合物(染料)7が吸着されている(有色化合物(染料)7は、金属ナノワイヤー本体6に吸着されていてもよく、バインダー層8の表面の一部やバインダー層8中に存在していてもよい)もの、(ii)図3に示すように、基材9の上に、有色化合物7が吸着された金属ナノワイヤー本体6が分散したバインダー層8が形成されているもの、(iii)図4に示すように、バインダー層8上にオーバーコート層10が形成されているもの、(iv)図5に示すように、バインダー層8と基材9との間にアンカー層11が形成されているもの、(v)図6に示すように、有色化合物7を吸着した金属ナノワイヤー本体6を含むバインダー層8が、基材9の両面に形成されているもの、(vi)図7に示すように、有色化合物7をバインダーに分散させることなく、有色化合物7を吸着させた金属ナノワイヤー本体6(すなわち、金属ナノワイヤー)が基材9の上部に集積されているもの、(vii)前記(i)〜前記(vi)を適宜組み合わせたもの、などが挙げられる。
<<基材>>
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、無機材料、プラスチック材料等の可視光に対して透過性を有する材料で構成された透明基材が好ましい。前記透明基材は、透明導電膜を有する透明電極に必要とされる膜厚を有しており、例えばフレキシブルな屈曲性を実現できる程度に薄膜化されたフィルム状(シート状)、または適度の屈曲性と剛性を実現できる程度の膜厚を有する基板状であることとする。
前記無機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、石英、サファイア、ガラス、などが挙げられる。
前記プラスチック材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、などの公知の高分子材料が挙げられる。斯かるプラスチック材料を用いて透明基材を構成した場合、生産性の観点から透明基材の膜厚を5μm〜500μmとすることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。
<<オーバーコート層>>
前記オーバーコート層は、可視光に対して光透過性を有していることが重要であり、ポリアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、又は、セルロース系樹脂で構成されるか、或いは、金属アルコキシドの加水分解、脱水縮合物などで構成される。またこのようなオーバーコート層は、可視光に対する光透過性が阻害されることのない膜厚で構成されていることとする。前記オーバーコート層が、ハードコート機能、防眩機能、反射防止機能、アンチニュートンリング機能、及びアンチブロッキング機能などからなる機能群より選ばれる少なくとも1種の機能を有していてもよい。
<<アンカー層>>
前記アンカー層としては、基材とバインダー層とをより強固に接着可能なものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<透明導電膜の製造方法>
以下、本発明の透明導電膜を製造する方法の実施形態を説明する。
本発明の透明導電膜を製造する方法は、少なくとも、分散膜形成工程と、硬化工程とを含み、さらに、必要に応じて適宜選択した、カレンダー工程、オーバーコート層形成工程、パターン電極形成工程、その他の工程を含む。
本発明の透明導電膜を製造する方法の実施形態は、例えば、分散膜形成工程、硬化工程、カレンダー工程の順で行われる。
<<分散膜形成工程>>
前記分散膜形成工程は、(i)後述する本発明の分散液、又は、(ii)有色化合物と、金属ナノワイヤー本体と、バインダーと、溶剤とを含む分散液(即ち、金属ナノワイヤー本体に有色化合物が吸着されていない分散液)を用いて基材上に分散膜を形成する工程である。
前記金属ナノワイヤー及びその製造方法、前記有色化合物及びその製造方法、前記金属ナノワイヤー本体、前記バインダー、いずれも、前述した通りであり、前記溶剤は、後述する通りである。
前記分散膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、物性、利便性、製造コスト等の点で、湿式製膜法が好ましい。
前記湿式製膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布法、スプレー法、印刷法、などの公知の方法が挙げられる。
前記塗布法としては、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、ディップ法、スプレーコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、コンマコート法、ナイフコート法、スピンコート法、などが挙げられる。
前記スプレー法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記印刷法としては、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、凹版印刷、ゴム版印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、などが挙げられる。
<<硬化工程>>
前記硬化工程は、前記基材上に形成された分散膜を硬化させて、硬化物(図2〜6における、表面に有色化合物7が吸着された金属ナノワイヤー本体6を含有するバインダー層8)を得る工程である。
前記硬化工程において、まず、前記基材上に形成された分散膜中の溶剤を乾燥させて除去する。乾燥による溶剤の除去は、自然乾燥及び加熱乾燥のいずれであってもよい。乾燥後、未硬化のバインダーの硬化処理を行い、硬化させたバインダー中に金属ナノワイヤーを分散させた状態とする。ここで、前記硬化処理は、加熱及び/又は活性エネルギー線照射により行うことができる。
<<カレンダー工程>>
前記カレンダー工程は、表面の平滑性を向上させたり、表面に光沢をつける工程である。
かかるカレンダー処理を行うことにより、得られる透明導電膜のシート抵抗値を下げることができる。
<<オーバーコート層形成工程>>
前記オーバーコート層形成工程は、分散膜の硬化物が形成された後に、前記硬化物上にオーバーコート層を形成する工程である。
前記オーバーコート層は、例えば、前記硬化物上に、所定の材料を含むオーバーコート層形成用塗布液を塗布して、硬化させることにより形成することができる。
<<パターン電極形成工程>>
前記パターン電極形成工程は、透明導電膜を基材上に形成した後、公知のフォトリソグラフィープロセスを適用して、パターン電極を形成する工程である。これにより、本発明の透明導電膜を静電容量タッチパネル用センサー電極に適用させることができる。なお、前記硬化工程における硬化処理が活性エネルギー線照射を含む場合、前記硬化処理をマスク露光/現像としてパターン電極を形成してもよい。
(分散液)
本発明の分散液は、少なくとも、金属ナノワイヤーを含んでなり、さらに必要に応じて、バインダー、溶剤、分散剤、その他の添加剤、などを含んでなる。また、前記金属ナノワイヤーは、前述した通り、金属ナノワイヤー本体を有し、該金属ナノワイヤー本体に、数平均粒径が0.03μm〜0.5μmである前記有色化合物を吸着させてなるものである。
前記金属ナノワイヤー及びその製造方法、前記金属ナノワイヤー本体、並びに前記有色化合物及びその製造方法は、いずれも、前述した通りである。
前記分散液の分散手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、攪拌、超音波分散、ビーズ分散、混錬、ホモジナイザー処理、加圧分散処理、などが好適に挙げられる。
前記分散液中の金属ナノワイヤーにおける金属ナノワイヤー本体の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記分散液の質量を100質量部とした場合、0.01質量部〜10.00質量部が好ましい。
前記金属ナノワイヤーにおける金属ナノワイヤー本体の配合量が、0.01質量部未満であると、最終的に得られる透明導電膜において金属ナノワイヤー本体に十分な目付量(0.001g/m〜1.000g/m)が得られないことがあり、10.00質量部を超えると、金属ナノワイヤーの分散性が劣化することがある。
<バインダー>
前記バインダーは、前述した通りである。
<溶剤>
前記溶剤としては、前記有色化合物の数平均粒径が0.03μm〜0.5μmで維持され、且つ、金属ナノワイヤー、及び/又は、金属ナノワイヤー本体を分散させるものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール;シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のアノン;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルフィド;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、水系溶剤が、外光散乱の抑制の点で、好ましい。ここで、水系溶剤とは、少なくとも水を含む溶剤を指す。
なお、前記溶剤は、前述した分散液におけるバインダーを膨潤しない溶媒を選択することが好ましい。バインダーを膨潤する溶剤を使用すると、バインダー中に有色化合物が取り込まれ過ぎてしまい、透明導電膜の透明性が損なわれることがあるからである。
<分散剤>
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP);ポリエチレンイミン等のアミノ基含有化合物;スルホ基(スルホン酸塩含む)、スルホニル基、スルホンアミド基、カルボン酸基(カルボン酸塩含む)、アミド基、リン酸基(リン酸塩、リン酸エステル含む)、フォスフィノ基、シラノール基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、ビニル基、チオール基、カルビノール基等の官能基を有する化合物で金属に吸着可能なもの;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記分散剤を、前記金属ナノワイヤー又は前記金属ナノワイヤー本体の表面に吸着させてもよい。これにより、前記金属ナノワイヤー又は前記金属ナノワイヤー本体の分散性を向上させることができる。
また、前記分散剤を前記分散液に対して添加する場合は、最終的に得られる透明導電膜の導電性が劣化しない程度の添加量にすることが好ましい。これにより、前記分散剤を、透明導電膜の導電性が劣化しない程度の量で金属ナノワイヤー又は金属ナノワイヤー本体に吸着させることができる。
<その他の添加剤>
前記その他の添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、増粘剤、界面活性剤、などが挙げられる。
(情報入力装置)
本発明の情報入力装置は、少なくとも、公知の透明基材と、本発明の透明導電膜とを備え、さらに必要に応じて、その他の公知の部材(例えば、特許第4893867号参照)を備える。前記情報入力装置は、本発明の透明導電膜を備えるため、黒浮き防止性(明所コントラスト)及び電極パターン非視認性に優れる。
前記情報入力装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第4893867号に示されるような、タッチパネル、などが挙げられる。
(電子機器)
本発明の電子機器は、少なくとも、公知の表示パネルと、本発明の透明導電膜とを備え、さらに必要に応じて、その他の公知の部材(例えば、特許第4893867号参照)を備える。前記電子機器は、本発明の透明導電膜を備えるため、黒浮き防止性(明所コントラスト)及び電極パターン非視認性に優れる。
前記電子機器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第4893867号に示されるような、テレビ、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、携帯端末装置、などが挙げられる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
(実施例1)
<有色化合物の作製>
以下の手順で、有色化合物を作製した。
Cr錯体含有染料であるLanyl Black BG E/C(岡本染料店社製)と、塩基性基含有分子である2−アミノエタンチオール塩酸塩(和光純薬工業社製)とを、質量比4:1となるようにして水溶媒中で混合した後、超音波洗浄機を用いて100分間反応させ、その後15時間静置した。次いで、得られた反応液を、孔径3μmのセルロース混合エステルタイプのメンブレンフィルターでろ過し、固形物を得た。かかる固形物を水で3回洗浄し、100℃の真空オーブンで乾燥した後、0.2質量%のエタノール溶液となるように、エタノールを加えて調製した。次いで、かかるエタノール溶液に対し、株式会社美粒製「BERYU MINI」(0.29mm(290μm)の径で10mmの長さを有するダイヤモンドノズルを備える)を用い、ノズルの入口における圧力が100MPaとなるようにプランジャーポンプをセットして、水流分散法により処理をした。かかる処理を3回繰り返すことにより、有色化合物を得た。
また、作製した有色化合物の数平均粒径を、大塚電子社製レーザーゼータ電位計ELS−8000を用いて測定した。
<銀ナノワイヤーインク(分散液)の作製>
下記の配合にて、銀ナノワイヤーインクを作製した。
(1)金属ナノワイヤー本体:銀ナノワイヤー(Seashell Technology社製、AgNW−25、平均径25nm、平均長さ23μm):配合量0.05質量部
(2)前述の通りに作製した有色化合物(0.2質量%のエタノール溶液):エタノール溶液として0.01質量部
(3)バインダー:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(アルドリッチ社製、2質量%水溶液の粘度は20℃で80cP〜120cP):0.15質量部
(4)溶剤:(i)水:配合量89.79質量部、(ii)エタノール:配合量10.00質量部
<銀ナノワイヤー透明電極(銀ナノワイヤー透明導電膜)の作製>
作製した銀ナノワイヤーインク(分散液)を、ワイヤーバー(♯10番手)で透明基材(PET:東レ株式会社製、U34、膜厚125μm)上に塗布して銀ナノワイヤー分散膜を形成した。ここで、銀ナノワイヤーの目付量を約0.01g/mとした。
次いで、大気中において、塗布面にドライヤーで温風をあて、銀ナノワイヤー分散膜中の溶媒を乾燥除去した。
その後、120℃のオーブンで5分間静置し、バインダーを加熱硬化させた。
その後、円柱状のプレスロール及びバックロール(プレスロール及びバックロールのいずれもスチールロール)を備えるカレンダー処理装置を用いて、カレンダー処理(荷重4kN、速度1m/min)を行い、こうして銀ナノワイヤー透明導電膜を得た。作製した銀ナノワイヤー透明導電膜について、以下のように評価した。
<<シート抵抗>>
銀ナノワイヤー透明導電膜の表面に、手動式非破壊抵抗測定器(ナプソン株式会社製、EC−80P)の測定プローブを接触させ、抵抗値を測定した。なお、測定は、銀ナノワイヤー透明導電膜の表面における任意の12箇所で行い、その平均値をシート抵抗とした。また、参考のため、導電膜が施されていないPET透明基材についても、同様の測定を行った。
<<反射L*値及びΔ反射L*値>>
基材のうち、前記銀ナノワイヤー透明導電膜を作製した面と反対側の面に、黒色ビニールテープ(ニチバン株式会社製、VT−50)を貼合し、前記銀ナノワイヤー透明導電膜を作製した面側から、JIS Z8722に従い、エックスライト社製カラーi5を用いて測定した。なお、測定は、基材面における任意の3箇所で行い、その平均値を反射L*値とした。また、導電膜が施されていないPET透明基材についても同様の測定を行い、その反射L*値との差分をΔ反射L*値として算出した。
<<視認性改善評価>>
前記有色化合物を含む銀ナノワイヤー透明導電膜を形成した部分に隣接して、有色化合物を含まない金属ナノワイヤーインクを塗布することにより、有色化合物を含まない膜を基材上に形成した。次いで、基材のうち、これらの膜を作製した面と反対側の面に、黒色ビニールテープ(ニチバン株式会社製、VT−50)を貼合した。そして、これらの膜を作製した面側から目視し、黒浮きの発生を、以下の評価基準にて評価した。
−評価基準−
○:2つの膜の境界部分が目視で判断でき、有色化合物を含む銀ナノワイヤー透明導電膜の視認性改善が見られる
×:2つの膜の境界部分が目視で判断し難く、有色化合物を含む銀ナノワイヤー透明導電膜の視認性改善は見られない
(実施例2)
実施例1において、水流分散法におけるノズルの入口の圧力を100MPaから150MPaに変えたこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製し、有色化合物の数平均粒径、並びにシート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
(実施例3)
実施例1において、水流分散法による処理回数を3回から10回に変えたこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製し、有色化合物の数平均粒径、並びにシート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
(実施例4)
実施例1において、水流分散法におけるノズルの入口の圧力を100MPaから150MPaに変え、且つ、水流分散法による処理回数を3回から10回に変えたこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製し、有色化合物の数平均粒径、並びにシート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
(比較例1)
実施例1において、有色化合物を添加しないこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製し、シート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
(比較例2)
実施例1において、水流分散法による処理を行わず、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製したこと以外は実施例1と同様にして、有色化合物の数平均粒径、並びにシート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
(実施例5)
<有色化合物の作製>
実施例1において、水流分散法におけるノズルの入口の圧力を100MPaから150MPaに変え、且つ、水流分散法による処理回数を3回から10回に変えたこと以外は実施例1と同様にして、有色化合物を作製した。
また、作製した有色化合物の数平均粒径を、大塚電子社製レーザーゼータ電位計ELS−8000を用いて測定した。
<銀ナノワイヤーインク(分散液)の作製>
下記の配合にて、銀ナノワイヤーインクを作製した。
(1)金属ナノワイヤー本体:銀ナノワイヤー(Seashell Technology社製、AgNW−25、平均径25nm、平均長さ23μm):配合量0.06質量部
(2)前述の通りに作製した有色化合物(0.2質量%のエタノール溶液):エタノール溶液として0.01質量部
(3)バインダー:水溶性感光性樹脂(東洋合成工業株式会社製、BIOSURFINE−AWP):0.15質量部
(4)分散剤:ポリビニルピロリドンK30(和光純薬工業株式会社製、ポリビニルピロリドン):0.02質量部、
(5)溶剤:(i)水:配合量89.76質量部、(ii)エタノール:配合量10.00質量部
<銀ナノワイヤー透明電極(銀ナノワイヤー透明導電膜)の作製>
作製した銀ナノワイヤーインク(分散液)を、ワイヤーバー(♯10番手)で透明基材(PET:東レ株式会社製、U34、膜厚125μm)上に塗布して銀ナノワイヤー分散膜を形成した。ここで、銀ナノワイヤーの目付量を約0.01g/mとした。
次いで、大気中において、塗布面にドライヤーで温風をあて、銀ナノワイヤー分散膜中の溶媒を乾燥除去した。
その後、120℃のオーブンで5分間静置し、溶媒をさらに乾燥除去した。次いで、メタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気下で透明導電膜側から積算光量400mJ/cmで紫外線を照射して、バインダーを硬化させた。
その後、円柱状のプレスロール及びバックロール(プレスロール及びバックロールのいずれもスチールロール)を備えるカレンダー処理装置を用いて、カレンダー処理(荷重4kN、速度1m/min)を行い、こうして銀ナノワイヤー透明導電膜を得た。作製した銀ナノワイヤー透明導電膜について、実施例1と同様にして、シート抵抗、反射L*値及び視認性改善を評価した。
(比較例3)
実施例5において、有色化合物を添加しないこと以外は実施例5と同様にして、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製し、シート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
(比較例4)
実施例5において、水流分散法による処理を行わず、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製こと以外は実施例5と同様にして、有色化合物の数平均粒径、並びにシート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
(実施例6)
実施例3において、水流分散法におけるノズルの入口の圧力を100MPaから200MPaに変えたこと以外は実施例3と同様にして、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製し、有色化合物の数平均粒径、並びにシート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
(実施例7)
実施例3において、水流分散法におけるノズルの入口の圧力を100MPaから50MPaに変えたこと以外は実施例3と同様にして、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製し、有色化合物の数平均粒径、並びにシート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
(比較例5)
実施例1において、水流分散法におけるノズルの入口の圧力を100MPaから50MPaに変えたこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製し、有色化合物の数平均粒径、並びにシート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
(比較例6)
実施例1において、水流分散法におけるノズルの入口の圧力を100MPaから20MPaに変えたこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製し、有色化合物の数平均粒径、並びにシート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
(実施例8)
実施例1において、銀ナノワイヤーインクの作製に用いた溶剤の「水及びエタノール」に代えて、「水のみ」を用い、且つ、水流分散法におけるノズルの入口の圧力を100MPaから150MPaに変えたこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製し、有色化合物の数平均粒径、並びにシート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
(実施例9)
実施例1において、銀ナノワイヤーインクの作製に用いた溶剤のエタノール10.00質量部に代えて、n−プロパノール10.00質量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製し、有色化合物の数平均粒径、並びにシート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
(実施例10)
実施例1において、水流分散法による処理回数を3回から1回に変えたこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノワイヤー透明導電膜を作製し、有色化合物の数平均粒径、並びにシート抵抗、反射L*値、及び視認性改善を評価した。
各評価結果を、表1に示す。
Figure 2015135741
表1における実施例と比較例の結果から、金属ナノワイヤー本体に数平均粒径が0.03μm〜0.5μmの有色化合物を吸着させた金属ナノワイヤーを含む本発明の透明導電膜は、シート抵抗が低い上、反射L*値が小さいために外光散乱を抑制することができることが分かり、かかる数平均粒径の範囲とするためには、有色化合物を水流分散法により処理することが好適であることが分かる。
本発明の透明導電膜及び分散液は、特に、タッチパネルに好適に利用可能であるが、タッチパネル以外の用途(例えば、有機EL電極、太陽電池の表面電極、透明なアンテナ(携帯電話又はスマートフォンの充電用ワイヤレスアンテナ)、結露防止などに使用できる透明なヒーター)としても、好適に利用可能である。
1 フィード容器
2 ポンプ
3 ノズル
4 熱交換器
5 受け容器
6 金属ナノワイヤー本体
7 有色化合物
8 バインダー層
9 基材
10 オーバーコート層
11 アンカー層

Claims (23)

  1. 金属ナノワイヤーを含む透明導電膜であって、
    前記金属ナノワイヤーは、金属ナノワイヤー本体に有色化合物を吸着させてなり、
    前記有色化合物は、数平均粒径が0.03μm〜0.5μmであることを特徴とする、透明導電膜。
  2. 前記有色化合物が、可視光領域に吸収を持つ発色団と、前記金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基とを有する、請求項1に記載の透明導電膜。
  3. 前記有色化合物が、可視光領域の光を吸収する、請求項1から2のいずれかに記載の透明導電膜。
  4. 前記金属ナノワイヤー本体は、平均短軸径が1nm〜500nmであり、且つ平均長軸長が5μm〜50μmである、請求項1から3のいずれかに記載の透明導電膜。
  5. バインダーをさらに含み、
    前記金属ナノワイヤーが、前記バインダーに分散されている、請求項1から4のいずれかに記載の透明導電膜。
  6. 前記有色化合物が、R−X(但し、Rは可視光領域に吸収を持つ発色団であり、Xは前記金属ナノワイヤー本体を構成する金属に結合する基である。)で表される、請求項2に記載の透明導電膜。
  7. 前記発色団が、不飽和アルキル基、芳香族、複素環、及び金属イオンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の透明導電膜。
  8. 前記発色団が、ニトロソ基、ニトロ基、アゾ基、メチン基、アミノ基、ケトン基、チアゾリル基、ナフトキノン基、インドリン基、スチルベン誘導体、インドフェノール誘導体、ジフェニルメタン誘導体、アントラキノン誘導体、トリアリールメタン誘導体、ジアジン誘導体、インジゴイド誘導体、キサンテン誘導体、オキサジン誘導体、フタロシアニン誘導体、アクリジン誘導体、チアジン誘導体、硫黄原子含有化合物、及び金属イオン含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の透明導電膜。
  9. 前記発色団が、Cr錯体、Cu錯体、Co錯体、Ni錯体、Fe錯体、アゾ基、及びインドリン基からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項8に記載の透明導電膜。
  10. 前記金属に結合する基が、チオール基、カルボン酸基及びリン酸基のいずれかである、請求項2に記載の透明導電膜。
  11. 前記金属ナノワイヤー本体が、Ag、Au、Ni、Cu、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Os、Fe、Co、Sn、Al、Tl、Zn、Nb、Ti、In、W、Mo、Cr、V、及びTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素で構成される、請求項1から10のいずれかに記載の透明導電膜。
  12. 反射L*値が9.5以下である、請求項1から11のいずれかに記載の透明導電膜。
  13. 前記金属ナノワイヤーが、基材の上部に集積されている、請求項1から12のいずれかに記載の透明導電膜。
  14. 前記有色化合物が、水流分散法により処理された、請求項1から13のいずれかに記載の透明導電膜。
  15. 前記水流分散法が、1mm以下の径で且つ0.1mm以上の長さを有するノズルに、前記有色化合物を含む固液混合体を、前記ノズルの入口における圧力50MPa以上で通過させる工程を含む、請求項14に記載の透明導電膜。
  16. 前記通過させる工程を少なくとも3回繰り返す、請求項15に記載の透明導電膜。
  17. 前記圧力が100MPa以上である、請求項15から16のいずれかに記載の透明導電膜。
  18. 金属ナノワイヤーを含む分散液であって、
    前記金属ナノワイヤーは、金属ナノワイヤー本体に有色化合物を吸着させてなり、
    前記有色化合物は、数平均粒径が0.03μm〜0.5μmであることを特徴とする、分散液。
  19. 前記有色化合物が、可視光領域に吸収を持つ発色団と、前記金属ナノワイヤーを構成する金属に結合する基とを有する、請求項18に記載の分散液。
  20. 前記金属ナノワイヤーは、平均短軸径が1nm〜500nmであり、且つ平均長軸長が5μm〜50μmである、請求項18から19のいずれかに記載の分散液。
  21. 水系溶剤をさらに含む、請求項18から20のいずれかに記載の分散液。
  22. 透明基材と、
    前記透明基材上に設けられた請求項1から17のいずれかに記載の透明導電膜と、
    を備えることを特徴とする、情報入力装置。
  23. 表示パネルと、
    前記表示パネル上に設けられた請求項1から17のいずれかに記載の透明導電膜と、
    を備えることを特徴とする、電子機器。
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