JP2005050668A - 低透過率透明導電膜形成用塗布液、低透過率透明導電膜、低透過率透明導電性基材、及びこの基材が適用された表示装置 - Google Patents

低透過率透明導電膜形成用塗布液、低透過率透明導電膜、低透過率透明導電性基材、及びこの基材が適用された表示装置 Download PDF

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良広 大塚
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Abstract

【課題】良好なボディカラーと低反射率および透光性を有し、帯電防止機能等も付加することができる低透過率透明導電膜形成用塗布液、低透過率透明導電膜及び低透過率透明導電性基材、併せてこの低透過率透明導電性基材が適用された表示装置を提供する。
【解決手段】低透過率透明導電形成用塗布液は、カーボンブラック微粒子と有色顔料微粒子とが、カーボンブラック微粒子100重量部に対して有色顔料微粒子5〜180重量部の割合で混合されており、低透過率透明導電膜中のカーボンブラック微粒子は二次元網目構造を形成している。低透過率透明導電性基材は、低透過率透明導電膜と透明コート層とからなり、透明コート層は、無機バインダーマトリックスを主成分として構成されるとともに、反射率が2%以下であり、低透過率2層膜の表面抵抗と可視光線透過度が、それぞれ10〜10Ω/□と40〜95%である。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、ブラウン管(CRT)などの表示装置の前面板などに使用される低透過率透明導電性基材、より詳しくは、透明基板上に低透過率透明導電膜形成用塗布液を用いて形成される低透過率透明導電膜や該導電膜と透明コート層とからなる低透過率2層膜を備えた低透過率透明導電性基材に係り、特に良好なボディカラー(膜の色、透過スペクトル)を任意に調整することができ、また、低反射率と帯電防止・電界シールド機能、コントラスト改善効果も付加することができ、更には製造コストの低減を図ることのできる低透過率透明導電性基材、該基材の製造に用いられる低透過率透明導電膜、低透過率透明導電膜形成用塗布液、および該低透過率透明導電性基材が適用された表示装置に関するものである。
近年のオフィスのOA化に伴い、コンピュータの陰極線管(ブラウン管とも称する。以下「CRT」という。)ディスプレイに接して仕事を行う機会が増加してきている。このため、CRTディスプレイには表示画面が見易く、視覚疲労を感じさせないことなどが要求され、また、家庭のカラーテレビにおいても同様に表示画面の見易さが要求されてきている。
かかる要求を満たす方法として、CRTディスプレイの前面ガラスの透過率を下げてコントラストを向上させる処理方法が提案されている。そして、かかる処理方法には、更に大きく分けて、もともと透過率の低いフェイスパネル(CRTディスプレイの前面パネル)を用いる方法と、比較的透過率の高いフェイスパネルに低透過率のコーティングを施す方法とがあるが、CRTディスプレイの透過率を自由に制御できるという点で後者の方法が有利とされている。
特に、近年考案されたいわゆる平面CRTディスプレイについても、上記後者の処理方法と同様の比較的透過率の高いフェイスパネルに低透過率のコーティング(透過率40〜95%、好ましくは透過率65〜75%)を施す方法が広く用いられている。
かかる平面CRTディスプレイにも上記低透過率のコーティングが用いられるのは、平面CRTディスプレイのフェイスパネル(前面パネル)の厚みが画面中央部と周辺部で異なっていることから(パネル外表面が平面で、内面は曲面を有する)、パネルガラスに従来の透過率の低い着色ガラス(例えば、セミティントガラス、透過率:約53%)を用いると輝度の面内不均一を生じてしまい、これに対し、高透過率パネルガラスと上記低透過率膜を組み合わせれば、輝度の面内均一性とコントラストの向上(透過率を低下させるとコントラストは向上)という2つの要素を向上させることができるからである。
一方、CRTディスプレイの表示画面を見易くする試みとして、フェイスパネル表面に防眩処理を施して、画面の反射を抑えることも行われている。
この防眩処理は、例えば、微細な凹凸を設けて表面の拡散反射を増加させる方法によってもなされるが、かかる方法を用いた場合にあっては、解像度が低下して画質が落ちるため、あまり好ましいとはいえない。
従って、むしろ反射光が入射光に対して破壊的干渉を生ずるように、透明皮膜の屈折率と膜厚とを制御する干渉法によって防眩処理を行うことが好ましい。このような干渉法によれば低反射効果を得るため、結論として、高屈折率膜と低屈折率膜の光学膜厚を1/4λと1/4λ、1/2λと1/4λ(λ:波長)に設定した2層構造膜が一般的に採用されている。
ところで、CRTディスプレイなどに接して仕事を行う場合、前述の表示画面が見易く視覚疲労を感じさせないことの他に、CRTディスプレイ表面の帯電による埃の付着や電撃ショックがないことなども要求される場合がある。更にこれらに加えて、最近では、CRTディスプレイから発生する低周波電磁波の人体に対する悪影響が懸念され、このような電磁波が外部に漏洩しないこともまたCRTディスプレイに対して望まれている。
このような帯電防止、電磁波漏洩防止の対策としては、CRTディスプレイの前面ガラス表面に透明導電膜を形成することが行われるが、これら透明導電膜の表面抵抗として帯電防止用には10〜1010Ω/□程度、また電磁波漏洩防止用には少なくとも10Ω/□程度以下の低抵抗化が望まれている。
以上のような種々の要求に応えるべく、従来技術としては、例えば、特許文献1にあるように、(1)黒色顔料微粒子として1次粒径10〜100nmのカーボンブラック微粒子を用い、カーボンブラック微粒子を溶媒中に分散した塗布液をCRTディスプレイの前面ガラスに塗布・乾燥した後、シリカゾルなどを主成分とする塗布液をオーバーコートし、200℃程度の温度で焼成して上記2層構造膜とし、導電性かつ低反射率の膜を得る方法が既に提案されている。
また、特許文献2にあるように、(2)比表面積500m/g以上で平均1次粒径5〜200nmのカーボンブラック微粒子を分散した塗布液を用いて、10台の低表面抵抗と低反射率を有する上記2層構造膜を得る方法も提案されている。
更に、これらいずれの場合でも良好な反射・導電特性は得られるが、カーボンブラック微粒子単独では膜の透過スペクトルが可視光線の短波長側で低下し、茶色っぽい透過色となる問題があることから、かかる問題を是正すべく、上記方法により製造される膜の透過色をニュートラルにするものとして、(3)上記塗布液に酸窒化チタン微粒子(青黒系顔料)を添加する対策なども講じられている。
しかしながら、上記従来技術で採用されている導電性微粒子としてのカーボンブラック微粒子ついて個々に検討してみると、上記(1)のファーネスブラック等のカーボンブラック微粒子(以下、「従来カーボンブラック微粒子」という。)については、比表面積が比較的小さいため、従来カーボンブラック微粒子が溶媒中に分散した塗布液(以下、低透過率透明導電膜形成用塗布液)の製造過程においては分散が容易でかつ分散安定性も高く、従ってその低透過率透明導電膜形成用塗布液を用いて成膜する場合に塗布欠陥(凝集ブツ、筋、白化[ヘイズ値の高い膜]等)が発生しにくいという利点があるものの、従来カーボンブラック微粒子のストラクチャー構造(例えば数珠状構造のような立体的構造)が発達していないため、得られる膜の抵抗値が高いという欠点があった。
尚、ここでヘイズ値とは、全透過率に対する拡散透過光の割合として定義され、この値が高いと人間の目には曇って見える。
一方、高い比表面積(比表面積500〜2000m/g)を有するケッチェンブラック等のカーボンブラック微粒子(以下、「高比表面積カーボンブラック微粒子」という。)については、高比表面積カーボンブラック微粒子のストラクチャー構造が発達しているため膜抵抗は低くできるものの、分散が困難で、従って分散安定性も悪く、上記塗布欠陥が発生し易いという欠点があった。従って、上記(2)のような高比表面積(比表面積500m/g以上)で平均1次粒径5〜200nmの高比表面積カーボンブラック微粒子を分散した塗布液を用いる方法においても、同様に、高い比表面積のカーボンブラックに起因すると考えられる成膜性の悪化が起き易いという欠点があった。
更に、上記(3)のようなニュートラルな膜透過色を得るため塗布液に酸窒化チタン微粒子(青黒系顔料)等の着色微粒子を添加する方法の場合、添加された着色微粒子により損なわれる導電性を補うために塗布液中にカーボンブラック微粒子を余分に添加する必要があり、好ましい方法とはいえなかった。
特開平7−281004号公報(請求項1〜10) 特開平8−54502号公報(請求項1〜10)
本発明は上記した問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、特に良好なボディカラー(膜の色、透過スペクトル)を任意に調整することができ、また、低反射率と帯電防止・電界シールド機能、コントラスト改善効果も付加することができ、更には製造コストの低減を図ることのできる低透過率透明導電性基材、該基材の製造に用いられる低透過率透明導電膜、低透過率透明導電膜形成用塗布液、および該低透過率透明導電性基材が適用された表示装置を提供することである。
本発明者は、比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子を含有する低透過率透明層形成用塗布液を用い成膜すると、カーボンブラック微粒子が発達した二次元網目構造を形成して優れた導電性が得られると共に、成膜性も良好であり、透光性に優れた透明導電膜が得られることを見出したこと、溶媒中に、前記カーボンブラック微粒子とともに平均粒径1〜100nmの有色顔料微粒子を分散することによって、良好なボディカラー(膜の色、透過スペクトル)を有し、更に低反射率、コントラスト改善効果等も付加することができることを見出したことから本発明を採用するに至った。
即ち、本発明の請求項1は、溶液中に、比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子と平均粒径1〜100nmの有色顔料微粒子とが、カーボンブラック微粒子100重量部に対して有色顔料微粒子5〜180重量部の割合で混合されていることを特徴とする低透過率透明導電膜形成用塗布液を提供する。
本発明の請求項2は、前記有色顔料微粒子が、複合酸化物顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ジオキサジン系顔料、コバルトバイオレット、群青、紺青および窒化チタンから選定された少なくとも1種類以上であることを特徴とする低透過率透明導電膜形成用塗布液を提供する。
本発明の請求項3は、前記塗布液には、更に平均粒径5〜100nmのコロイダルシリカが混合されていることを特徴とする低透過率透明導電膜形成用塗布液を提供する。
本発明の請求項4は、前記低透過率透明導電膜形成用塗布液を用いて得られた低透過率透明導電膜であって、前記低透過率透明導電膜中のカーボンブラック微粒子が二次元網目構造を形成していることを特徴とする低透過率透明導電膜を提供する。
本発明の請求項5は、前記二次元網目構造の穴の部分(空孔)の平均サイズが0.1〜1μmの範囲であり、且つ、前記穴の部分(空孔)の占める面積が前記低透過率透明導電膜の全面積の10〜70%であることを特徴とする低透過率透明導電膜を提供する。
本発明の請求項6は、前記低透過率透明導電膜と透明コート層とからなる低透過率2層膜を備える低透過率透明導電性基材であって、前記低透過率透明導電膜は、比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子と、平均粒径1〜100nmの有色顔料微粒子と、無機バインダーマトリックス(A)とを主成分とし、前記透明コート層は、無機バインダーマトリックス(B)を主成分として構成されるとともに、前記低透過率透明導電性基材の可視光線領域の反射スペクトルにおいて極小となる反射率が2%以下であり、且つ前記低透過率2層膜の表面抵抗と可視光線透過率が、それぞれ10〜10Ω/□と40〜95%であることを特徴とする低透過率透明導電性基材を提供する。
本発明の請求項7は、前記低透過率透明導電膜の無機バインダーマトリックス(A)と透明コート層の無機バインダーマトリックス(B)とが、酸化ケイ素を主成分としていることを特徴とする低透過率透明導電性基材を提供する。
本発明の請求項8は、装置本体と前記表示面側の前面に配置された前面板とを備えた表示装置において、前記前面板として前記低透過率透明導電性基材がその低透過率透明導電膜側を外面に配置されていることを特徴とする表示装置を提供する。
本発明によれば、良好なボディカラー(膜の色、透過スペクトル)を任意に調整することができ、また、低反射率と帯電防止・電界シールド機能、コントラスト改善効果も付加することができ、更には製造コストの低減を図ることのできる低透過率透明導電性基材、該基材の製造に用いられる低透過率透明導電膜、低透過率透明導電膜形成用塗布液、および該低透過率透明導電性基材が適用された表示装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を個別具体的に説明する。
本発明は、比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子と平均粒径1〜100nmの有色顔料微粒子を含む低透過率透明層形成用塗布液、次に透明基板上に、該低透過率透明層形成用塗布液と無機バインダーを含有する透明コート層形成用塗布液とを順次塗布して構成された低透過率透明導電膜、そして、該導電膜と透明コート層とからなる低透過率2層膜を形成された低透過率透明導電性基材である。本発明において用いたカーボンブラック微粒子の比表面積をこのように限定した理由は、比表面積が201m/g未満の場合、一次粒子が大きくなり二次元網目構造を形成しなくなって透光性が低下してしまい、比表面積が499m/gを超えて大きくなると、分散が困難で、分散安定性も悪く、前記した塗布欠陥が発生し易くなってしまうからである。
ここで、上述の通りカーボンブラック微粒子単独で用いた膜は茶色っぽい透過色を示す問題があるが、上記比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子を用いた場合には、少量の導電性成分(カーボンブラック)の使用で優れた導電性が得られ、かつ高い膜透過率とニュートラルな透過色が両立できることを見出して、本発明は完成されている。
本発明は以下の知見に基づき、上記従来技術の問題点を解決している。
即ち、本発明のように従来タイプのカーボンブラック微粒子の比表面積を201〜499m/gに設定した場合には、成膜時に発達する二次元網目構造を形成し易くなるため、図1に示すように、臨界透過率(膜厚を薄くしていった場合に膜抵抗値が急激に上昇する膜透過率)を、上記高比表面積カーボンブラック微粒子(ケッチェンブラック微粒子、比表面積=800m/g)を用いた場合と同様に90%程度まで高めることが可能であるという知見である。
また、比表面積を201〜499m/gのカーボンブラック微粒子を用いた場合には、高比表面積カーボンブラック微粒子の有する分散が困難で、分散安定性も悪く、上記塗布欠陥が発生し易いという欠点も解消できるという知見である。
次に、カーボンブラック微粒子の二次元網目構造については、低透過率透明導電膜形成用塗布液のカーボンブラック微粒子の濃度を薄くして膜厚を薄くするほど、膜面での空孔サイズは大きくなり、その平均サイズは0.1〜1μm程度(好ましくは0.2〜0.8μm)となり、空孔占有面積は増加して占有面積は10〜70%程度となる範囲が好ましい。空孔平均サイズが0.1μm未満と小さく、又は空孔占有面積が10%未満と低下すると、透光性が低下してしまい、また平均サイズが1μmを超えて大きくなり、又は空孔占有面積が70%を超えて増加しすぎると、本発明の特徴である構造が乱れてしまい膜抵抗値が急激に上昇してしまうため、好ましくない。
また、上述の通りカーボンブラック微粒子単独で用いた膜は茶色っぽい透過色を示す問題があったが、本発明のカーボンブラック微粒子を主成分とする低透過率透明導電膜形成用塗布液には、導電性微粒子としての比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子とともに平均粒径1〜100nmの有色顔料微粒子を少量混ぜることで、低透過率透明導電膜の透過率が高い(膜が薄くカーボンブラック微粒子が少ない)領域においても低抵抗の導電膜が得られるため、塗布性の悪化を招くことなく、自由に透過色の調整が可能となる。しかも、本発明は、低透過率透明導電膜の透過率を高く設定できるため、カーボンブラック微粒子に起因する茶色の着色も少なく、透明コート層中の着色微粒子の含有量も少なくでき透過色の調整自体が簡単になる。
一方、従来技術のように低透過率透明導電膜の透過率が低い領域でしか必要とする抵抗値が得られない場合は、カーボンブラック微粒子量を増加させる必要があり、カーボンブラック微粒子による着色が強くなるため、透明コート層中の着色微粒子含有量を多くして透過色の調整を行うしかない。但し、膜中のカーボンブラック微粒子と着色微粒子の量が多くなるため低透過率透明導電膜の透過率が低くなってしまい、場合によっては所望の透過率が得られないという問題が生じることとなる。
また、本発明では前記した比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子と平均粒径1〜100nmの有色顔料微粒子を混合することを要旨とする。上記カーボンブラック微粒子と上記有色顔料微粒子の混合割合は、カーボンブラック微粒子100重量部に対して有色顔料微粒子を5〜180重量部、好ましくは10〜100重量部の範囲にすることが必要である。5重量部未満だと有色顔料微粒子の添加効果(ニュートラルな膜透過色)が十分に得られず、一方、180重量部を超えると得られる膜の導電性は向上するものの、高比表面積カーボンブラック微粒子の高いストラクチャー構造に起因する成膜性の悪化や塗布液のろ過性の低下が生じる場合があり好ましいとはいえない。
上記低透過率2層膜の透明導電膜に用いる有色顔料微粒子(青系顔料微粒子または赤系顔料微粒子)には、複合酸化物顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ジオキサジン系顔料、コバルトバイオレット、群青、紺青および窒化チタンから選定された少なくとも1種類以上の有色顔料微粒子を用いることができる。上記有色顔料微粒子は、その平均粒径を1〜100nmの範囲にすることが好ましい。
平均粒径が1nm未満の場合、この微粒子の製造が困難であると同時に塗料化において分散も容易でなく実用的でない。一方100nmを超えると形成された低透過率透明導電膜の可視光線の散乱が大きくなり、つまり膜のヘイズ値が高くなって実用的ではないからである。
尚、ここでいう平均粒径とは、透過電子顕微鏡(TEM)で観察される微粒子の平均粒径を示している。
以上の条件を満たすこと、即ち、低透過率透明導電膜形成用塗布液に配合する比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子、および平均粒径1〜100nmの有色顔料微粒子の配合比の調整をすることにより、上記低透過率2層膜の表面抵抗を10〜10Ω/□の範囲に、可視光線透過率を40〜95%に設定することが可能となる。
尚、表面抵抗が10Ω/□を超えると電磁波漏洩防止用としては効果が少なくなってしまうため好ましくない。一方、低透過率2層膜の表面抵抗が10Ω/□未満とするためには、低透過率透明導電膜の膜厚を著しく厚くする必要があるため好ましくない。また、低透過率2層膜の可視光線透過率は、40%未満だとCRTディスプレイの輝度が低くなりすぎ、逆に95%を超えるとCRTディスプレイのコントラストが悪化するため好ましくない。
上記低透過率透明導電性基材に使用されたカーボンブラック微粒子の光学定数(n−ik、n:屈折率、i=−1、k:消衰係数)は明らかでないが、比較的大きな消衰係数を有すると思われるカーボンブラック微粒子及びバインダーマトリックスからなる低透過率透明導電膜と、酸化ケイ素と有色顔料微粒子を主成分としている透明コート層の低透過率2層膜構造により良好な低反射特性を得ることが可能である。
即ち、所定の膜厚(透過率:40〜95%)の低透過率透明導電膜に対し透明コート層の膜厚を適切に設定(およそ40〜100nmの範囲内)すれば、上記低透過率透明導電性基材の可視光線領域の反射スペクトルにおいて極小となる反射率(ボトム反射率)を2%以下にすることができる。尚、低透過率透明導電性基材の可視光線領域の反射スペクトルにおいて極小となる反射率が2%を超えると、反射防止の効果が不十分となってしまうので、上限は2%である。
更に、上記有色顔料微粒子として、570〜585nmの波長域に最大吸収を有するキナクリドン系顔料を用いることも可能であり、この場合CRTディスプレイの緑(G:540nm)と赤(R:630nm)の各発光波長間の光を選択的に吸収するため、輝度の低下を伴うことなくコントラストを向上させることが可能となる。
また、本発明において低透過率透明導電膜の形成に用いられる低透過率透明導電膜形成用塗布液は、以下の方法でこれを製造することができる。
まず低透過率透明導電微粒子として比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子と平均粒径1〜100nmの有色顔料微粒子を分散剤、溶剤と混合し、ペイントシェーカー、サンドミル、超音波分散機などの分散装置を用いて、カーボンブラック微粒子と有機顔料微粒子が均一に分散した分散液を得る。ここで、成膜した時にカーボンブラック微粒子が二次元網目構造をとるようにするためには、分散液を作製するときにカーボンブラック微粒子を一次粒子近くまでほぐすことが重要である。この時、用いる分散剤と溶剤は、形成する皮膜の各種特性を悪化させるものでなければよい。分散剤は特に限定されないが、アクリル系分散剤、ウレタン系分散剤などが適用される。得られた濃縮分散液を希釈する希釈用極性溶剤は、透明基板上に平滑でムラのない皮膜を形成するために必要な極性溶剤を含むものであり、当業者は公知の技術により適当な極性溶剤を選択して用いることができる。
カーボンブラック微粒子と有色顔料微粒子は予め混合してから上記分散処理を行っても良いし、それぞれ別々に分散処理してから任意の割合で混合しても良い。
上記分散液を溶剤と所定の配合で混合して、本発明の低透過率透明導電膜の形成に用いられる低透過率透明導電膜形成用塗布液を調製することができる。
ここで、バインダーマトリックス成分となる平均粒径5〜100nmのコロイダルシリカは上記低透過率透明導電膜形成用塗布液に含まれていてもよく、そのコロイダルシリカは上記分散処理時に添加することもできる。尚、コロイダルシリカを添加するのは、低透過率透明導電膜の光学特性が変わるため、低透過率2層膜の反射プロファイルの形状をより平坦にする好ましい効果を有するためである。
そして、透明基板上に上記低透過率2層膜を形成するには以下の方法でこれを行うことができる。例えば溶媒と、この溶媒中に分散された比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子と平均粒径1〜100nmの有色顔料微粒子で成膜して二次元網目構造を形成している塗布液を、ガラス基板、プラスチック基板などの透明基板上にスプレーコート、スピンコート、ワイヤーバーコート、ドクターブレードコートなどの手法を用いて塗布し、必要に応じて乾燥した後、例えばシリカゾルを主成分とする透明コート層形成用塗布液を上述した手法によりオーバーコートする。
ここで上記シリカゾルは、オルトアルキルシリケートに水や酸触媒を加えて加水分解し、脱水縮重合を進ませた重合物、あるいは既に4〜5量体まで加水分解縮重合を進ませた市販のアルキルシリケート溶液を、さらに加水分解と脱水縮重合を進行させた重合物などを利用することができる。
なお脱水縮重合が進行すると、溶液粘度が上昇して最終的には固化してしまうので、脱水縮重合の度合については、ガラス基板やプラスチック基板などの透明基板上に塗布可能な上限粘度以下のところに調製する。但し、脱水縮重合の度合いはそれ以下のレベルであれば特に特定されないが、膜強度、耐候性などを考慮すると重量平均分子量で500〜3000程度が好ましい。
次に、オーバーコートした後、例えば50〜500℃程度の温度で加熱処理を施しオーバーコートした透明コート層形成用塗布液の硬化を行って上記低透過率2層膜を形成する。
有色顔料微粒子とシリカゾルなどを主成分とする透明コート層形成用塗布液を上述した手法によりオーバーコートした際、予め塗布された比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子と平均粒径1〜100nmの有色顔料微粒子(場合によっては更にコロイダルシリカも)を主成分とする塗布液により形成された二次元網目構造が形成されているカーボンブラック微粒子と有色顔料微粒子から成る層の間隙に、オーバーコートしたシリカゾル液(このシリカゾル液は上記加熱処理により酸化ケイ素を主成分とするバインダーマトリックスとなる)がしみ込むことにより強度の向上、耐候性の向上が同時に達成される。
そして上記シリカゾル液は、低透過率2層膜の加熱焼成時に脱水縮重合反応がほぼ完結して、硬いシリケート膜(酸化ケイ素を主成分とする膜)になる。尚、上記シリカゾルに、弗化マグネシウム微粒子、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾルなどを加え、透明コート層の屈折率を調節して低透過率2層膜の反射率を変えることも可能である。
以上のように本発明に係る低透過率透明導電性基材は、ガラス基板、プラスチック基板などの透明基板と、この透明基板上に順次形成された比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子、平均粒径1〜100nmの有色顔料微粒子、およびバインダーマトリックスとを主成分とし、カーボンブラック微粒子の二次元網目構造が形成されている低透過率透明導電膜の下層と、この低透過率透明導電膜上に形成された透明コート層の上層からなる低透過率2層膜でその主要部が構成されている。
上記低透過率2層膜を備えてなる低透過率透明導電性基材によれば、低透過率2層膜の可視光線透過率が40〜95%であり、かつ該低透過率透明導電膜の表面抵抗を10〜10Ω/□とすることができるとともに、さらに低透過率透明導電性基材の可視光線領域の反射スペクトルにおいて極小となる反射率を2%以下とすることも可能となる。
また、本発明に係る低透過率透明導電性基材は、良好なボディカラー(膜の色、透過スペクトル)を有し、さらに低反射率と帯電防止・電界シールド機能、コントラスト改善効果も付加することができるため、例えばブラウン管(CRT)など表示装置における前面板などに用いることができる。
以下、本発明の実施例を、比較例とともに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また本文中の「%」は、透過率,反射率,ヘイズ値の(%)を除いて「重量%」を示し、かつ「部」は「重量部」を示している。
尚、下記する表や図面においては可視光線波長域(380〜780nm)における透明基板(ガラス基板)を含まない低透過率透明導電膜と透明コート層とで構成された低透過率2層膜だけの透過率は下記する式1のようにして求められている。
即ち、
式1
透明基板を含まない低透過率2層膜だけの透過率(%)
=[(透明基板ごと測定した透過率)/(透明基板の透過率)]×100
また、特に言及しない限り、透過率および透過スペクトルとしては低透過率透明導電膜と透明コート層から構成された低透過率2層膜だけの透過率および透過スペクトルを用いている。
更に、ヘイズ値と可視光線透過率は、透明基板を含めた2層膜を村上色彩技術研究所製ヘイズメーター(HR−200)を用いて測定した。反射率および反射・透過スペクトルは、日立製作所(株)製分光光度計(U−4000)を用いて測定した。また分散液中の有色顔料微粒子の分散粒径は、大塚電子(株)のレーザー散乱式粒度分析計(ELS−800)で評価し、さらに低透過率透明導電膜の表面抵抗は、三菱化学(株)性の表面抵抗計ロレスタAP(MCP−T400)、及びハレスタIP(MCT−HT260)を用いて測定した。
(A液)
比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子(#960B、三菱化学(株)製)5.0g,分散剤1.2g,ジアセトンアルコール43.8g,純水50.0gを混合してペイントシェーカー分散を行い、分散粒径92nmのカーボンブラック微粒子分散液(A液)を得た。
(B液)
青紫系有色顔料微粒子(ジオキサジンバイオレットECV−502、大日精化(株)製)2.5gとジアセトンアルコール97.5gと混合してペイントシェーカー分散を行い、得られた青紫系有色顔料微粒子分散液を40.0部,純水59.8部,分散剤0.2部,アニオン交換樹脂1.0部を混合して超音波分散した後、アニオン交換樹脂を分離して分散粒径101nmの青紫系有色顔料微粒子分散液(B液)を得た。
(C液)
青系有色顔料微粒子(フタロシアニンブルー#5203、大日精化(株)製)5.0gとジアセトンアルコール95.0gと混合してペイントシェーカー処理を行い、得られた青系有色顔料微粒子分散液を20.0部,ジアセトンアルコール50.0部,純水9.8部,エタノール17.0部,イソプロパノール3.0部,分散剤0.2部,アニオン交換樹脂10.0部を混合して超音波分散した後、アニオン交換樹脂を分離して分散粒径89nmの青系有色顔料微粒子分散液(C液)を得た。
(D液)
メチルシリケート51(コルコート社製:商品名)を19.6部,エタノール49.1部,イソプロパノール8.7部,65%硝酸0.1部,純水22.5部を混合し、重量平均分子量が1800のシリカゾル液を調製した。調製したシリカゾル液10.0部,ジアセトンアルコール8.0部,プロピレングリコールモノメチルエーテル20.0部,エタノール52.7部,イソプロパノール9.3部を混合し、SiO(酸化ケイ素)固形分濃度が1.0%の透明コート層形成用塗布液(D液)を得た。
本実施例では、上記A液2.70g、B液1.70g、C液3.40gに、N−メチルピロリドン(NMP),プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM),エタノール(EA),イソプロパノール(IPA)を加え、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子(以下CB−1微粒子と呼ぶ場合がある)、有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜形成用塗布液(CB−1=0.135%,ジオキサジンバイオレット=0.017%,フタロシアニンブルー=0.034%,NMP=0.2%,DAA=4.2%,PGM=15.0%,水=2.7%,EA=66.0%,IPA=11.7%)を調製した。
得られた低透過率透明導電膜形成用塗布液を透過電子顕微鏡で観察した結果、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子,青紫系顔料微粒子,フタロシアニンブルー微粒子の平均粒径は、それぞれ16nm,80nm,80nmであった。
次に、上記比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子、有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜形成用塗布液を、40℃に加熱されたガラス基板(厚さ3mmのソーダライムガラス)上に、スピンコート(150rpm、60秒間)した後、続けてシリカゾルを含有する透明コート層形成用塗布液をスピンコート(150rpm、60秒間)し、さらに180℃で30分間硬化させて、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子、有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜と、酸化ケイ素を含有する透明コート層とで構成された低透過率2層膜付きのガラス基板、即ち低透過率透明導電性基材を得た。
得られた低透過率透明導電性基材におけるカーボンブラック微粒子は、ガラス基板上に二次元網目構造状に分布しており、空孔の平均サイズは0.37μmであり、空孔の占有率は20%であった。
そして、ガラス基板上に形成された低透過率2層膜の膜特性(表面抵抗、透過率、ヘイズ値、ボトム反射率/ボトム波長)を下記する表1に示す。また製造された実施例1に係る低透過率透明導電性基材の反射スペクトルを図2に示す。
尚、上記ボトム反射率とは低透過率透明導電性基材の反射スペクトルにおいて極小の反射率をいい、ボトム波長とは反射率が極小における波長を意味している。
実施例1で得たA液2.05g,B液5.10g,C液3.40gを用い、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜形成用塗布液(CB−1=0.103%,ジオキサジンバイオレット=0.051%,フタロシアニンブルー=0.034%,NMP=0.2%,DAA=5.2%,PGM=15.0%,純水=4.4%,EA=63.7%,IPA=11.2%)を調製した以外は実施例1と同様な手順により、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜と、酸化ケイ素を含有する透明コート層とで構成された低透過率2層膜付きのガラス基板、即ち低透過率透明導電性基材を得た。
得られた低透過率透明導電膜のカーボンブラック微粒子網目構造における、空孔の平均サイズは0.39μmであり、空孔の占有率は21%であった。
そして、ガラス基板上に形成された低透過率透明導電膜の膜特性を下記する表1に併せて示す。
(E液)
比表面積370m/gのカーボンブラック微粒子(#2600B、三菱化学(株)製)5.0g,分散剤1.2g,ジアセトンアルコール43.8g,純水50.0gを混合してペイントシェーカー分散を行い、分散粒径126nmのカーボンブラック微粒子分散液(E液)を得た。
得られたカーボンブラック微粒子分散液を透過電子顕微鏡で観察した結果、比表面積370m/gのカーボンブラック微粒子の平均粒径は13nmであった。
実施例1で得たB液1.70g,C液3.40gと上記E液2.70gを用い、比表面積370m/gのカーボンブラック微粒子(以下、CB−2微粒子と呼ぶ場合がある),有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜形成用塗布液(CB−2=0.135%,ジオキサジンバイオレット=0.017%,フタロシアニンブルー=0.034%,NMP=0.2%,DAA=4.2%,PGM=15.0%,純水=2.7%,EA=66.0%,IPA=11.7%)を調製した以外は実施例1と同様な手順により、比表面積370m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜と、酸化ケイ素を含有する透明コート層とで構成された低透過率2層膜付きのガラス基板、即ち低透過率透明導電性基材を得た。
得られた低透過率透明導電膜のカーボンブラック微粒子網目構造における、空孔の平均サイズは0.35μmであり、空孔の占有率は18%であった。
そして、ガラス基板上に形成された低透過率透明導電膜の膜特性を下記する表1に併せて示す。
実施例1で得たA液1.35g,B液0.80g,C液1.70gを用い、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子、有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜形成用塗布液(CB−1=0.068%,ジオキサジンバイオレット=0.008%,フタロシアニンブルー=0.017%,NMP=0.2%,DAA=2.1%,PGM=15.0%,純水=1.3%,EA=69.1%,IPA=12.2%)を調製した以外は実施例1と同様な手順により、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜と、酸化ケイ素を含有する透明コート層とで構成された低透過率2層膜付きのガラス基板、即ち低透過率透明導電性基材を得た。
得られた低透過率透明導電膜のカーボンブラック微粒子網目構造における、空孔の平均サイズは0.40μmであり、空孔の占有率は23%であった。
そして、ガラス基板上に形成された低透過率透明導電膜の膜特性を下記する表1に併せて示す。
実施例1で得たB液0.80g,C液1.70gと実施例3で得たE液1.35gを用い、比表面積370m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜形成用塗布液(CB−2=0.068%,ジオキサジンバイオレット=0.008%,フタロシアニンブルー=0.017%,NMP=0.2%,DAA=2.1%,PGM=15.0%,純水=1.3%,EA=69.1%,IPA=12.2%)を調製した以外は実施例1と同様な手順により、比表面積370m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜と、酸化ケイ素を含有する透明コート層とで構成された低透過率2層膜付きのガラス基板、即ち低透過率透明導電性基材を得た。
得られた低透過率透明導電膜のカーボンブラック微粒子網目構造における、空孔の平均サイズは0.38μmであり、空孔の占有率は21%であった。
そして、ガラス基板上に形成された低透過率透明導電膜の膜特性を下記する表1に併せて示す。
(F液)
D液90.0部,エタノール8.5部,イソプロパノール1.5部を混合し、SiO(酸化ケイ素)固形分濃度が0.9%の透明コート層形成用塗布液(F液)を得た。
実施例1で得たA液2.70g,B液1.70g,C液3.40gと粒子径10〜20nmのコロイダルシリカを30%含有するゾル液(IPA−ST、日産化学(株)製)0.50gを用い、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子、コロイダルシリカを含有する低透過率透明導電膜形成用塗布液(CB−1=0.135%,ジオキサジンバイオレット=0.017%,フタロシアニンブルー=0.034%,コロイダルシリカ=0.150%,NMP=0.2%,DAA=4.2%,PGM=15.0%,純水=2.7%,EA=65.9%,IPA=11.6%)を調製し、また透明コート層形成用塗布液として上記F液を用いた以外は実施例1と同様な手順により、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子,コロイダルシリカを含有する低透過率透明導電膜と、酸化ケイ素を含有する透明コート層とで構成された低透過率2層膜付きのガラス基板、即ち低透過率透明導電性基材を得た。
得られた低透過率透明導電膜のカーボンブラック微粒子網目構造における、空孔の平均サイズは0.37μmであり、空孔の占有率は20%であった。
そして、ガラス基板上に形成された低透過率透明導電膜の膜特性を下記する表1に併せて示す。
実施例1で得たA液2.70g,B液1.70g,C液3.40gと粒子径10〜20nmのコロイダルシリカを30%含有するゾル液(IPA−ST、日産化学(株)製)1.00gを用い、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子,コロイダルシリカを含有する低透過率透明導電膜形成用塗布液(CB−1=0.135%,ジオキサジンバイオレット=0.017%,フタロシアニンブルー=0.034%,コロイダルシリカ=0.300%,NMP=0.2%,DAA=4.2%,PGM=15.0%,純水=2.7%,EA=65.8%,IPA=11.6%)を調製し、また透明コート層形成用塗布液として実施例6で得たF液を用いた以外は実施例1と同様な手順により、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子,コロイダルシリカを含有する低透過率透明導電膜と、酸化ケイ素を含有する透明コート層とで構成された低透過率2層膜付きのガラス基板、即ち低透過率透明導電性基材を得た。
得られた低透過率透明導電膜のカーボンブラック微粒子網目構造における、空孔の平均サイズは0.38μmであり、空孔の占有率は21%であった。
そして、ガラス基板上に形成された低透過率透明導電膜の膜特性を下記する表1に併せて示す。また製造された実施例7に係る低透過率透明導電性基材の反射スペクトルを図2に示す。
(G液)
赤紫系有色顔料微粒子(キナクリドンバイオレットNRT−201−D、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)5.0gとジメチルセロソルブ(MCS)95.0gと混合してペイントシェーカー分散を行い、得られた赤紫系有色顔料微粒子分散液20.0部,エタノール68.0部,イソプロパノール12.0部を混合して超音波分散し、分散粒径130nmの赤紫系有色顔料微粒子分散液(G液)を得た。
得られた赤紫系有色顔料微粒子分散液を透過電子顕微鏡で観察した結果、赤紫系有色顔料微粒子の平均粒径は100nmであった。
実施例1で得たA液2.40g,C液6.80gと上記G液3.90gを用い、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜形成用塗布液(CB−1=0.120%,キナクリドンバイオレット=0.039%,フタロシアニンブルー=0.068%,NMP=0.2%,DAA=5.7%,MCS=0.7%,PGM=15.0%,純水=1.9%,EA=64.8%,IPA=11.4%)を調製した以外は実施例1と同様な手順により、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜と、酸化ケイ素を含有する透明コート層とで構成された低透過率2層膜付きのガラス基板、即ち低透過率透明導電性基材を得た。
得られた低透過率透明導電膜のカーボンブラック微粒子網目構造における、空孔の平均サイズは0.38μmであり、空孔の占有率は20%であった。
そして、ガラス基板上に形成された低透過率透明導電膜の膜特性を下記する表1に併せて示す。
実施例1で得たA液2.05g,C液6.80gと実施例8で得たG液7.80gを用い、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜形成用塗布液(CB−1=0.103%,キナクリドンバイオレット=0.078%,フタロシアニンブルー=0.068%,NMP=0.2%,DAA=5.6%,MCS=1.5%,PGM=15.0%,純水=1.7%,EA=64.4%,IPA=11.4%)を調製した以外は実施例1と同様な手順により、比表面積260m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜と、酸化ケイ素を含有する透明コート層とで構成された低透過率2層膜付きのガラス基板、即ち低透過率透明導電性基材を得た。
得られた低透過率透明導電膜のカーボンブラック微粒子網目構造における、空孔の平均サイズは0.40μmであり、空孔の占有率は21%であった。
そして、ガラス基板上に形成された低透過率透明導電膜の膜特性を下記する表1に併せて示す。また製造された実施例9に係る低透過率透明導電性基材の透過スペクトルを図3に示す。
比較例1
(H液)
比表面積115m/gのカーボンブラック微粒子(MA7B、三菱化学(株)製)5.0g,分散剤0.6g,ジアセトンアルコール94.4gを混合してペイントシェーカー分散を行い、分散粒径126nmのカーボンブラック微粒子分散液(H液)を得た。
得られたカーボンブラック微粒子分散液を透過電子顕微鏡で観察した結果、比表面積115m/gのカーボンブラック微粒子の平均粒径は24nmであった。
実施例1で得たB液1.70g,C液3.40gと上記H液2.70g,を用い、比表面積115m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜形成用塗布液(CB−3=0.135%,ジオキサジンバイオレット=0.017%,フタロシアニンブルー=0.034%,NMP=0.2%,DAA=5.6%,PGM=15.0%,純水=1.3%,エタノール=66.0%,IPA=11.7%)を調製した以外は実施例1と同様な手順により、比表面積115m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜と、酸化ケイ素を含有する透明コート層とで構成された低透過率2層膜付きのガラス基板、即ち低透過率透明導電性基材を得た。
得られた低透過率透明導電膜のカーボンブラック微粒子網目構造における、空孔の平均サイズは0.39μmであり、空孔の占有率は24%であった。
そして、ガラス基板上に形成された低透過率透明導電膜の膜特性を下記する表1に併せて示す。
比較例2
実施例1で得たB液0.80g,C液1.70gと比較例1で得たH液1.35g,を用い、比表面積115m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜形成用塗布液(CB−3=0.068%,ジオキサジンバイオレット=0.008%,フタロシアニンブルー=0.017%,NMP=0.2%,DAA=2.8%,PGM=15.0%,純水=0.6%,エタノール=69.1%,IPA=12.2%)を調製した以外は実施例1と同様な手順により、比表面積115m/gのカーボンブラック微粒子,有色顔料微粒子を含有する低透過率透明導電膜と、酸化ケイ素を含有する透明コート層とで構成された低透過率2層膜付きのガラス基板、即ち低透過率透明導電性基材を得た。
得られた低透過率透明導電膜のカーボンブラック微粒子網目構造における、空孔の平均サイズは0.42μmであり、空孔の占有率は27%であった。
そして、ガラス基板上に形成された低透過率透明導電膜の膜特性を下記する表1に併せて示す。

Figure 2005050668
[耐候性試験]
実施例1〜9に係る低透過率透明導電性基材を、10%食塩水溶液、50%酢酸水溶液、5%アンモニア水溶液に24時間浸漬し、透明基板(ガラス基板)上に設けた膜の透過率、および外観を調べたが変化は観察されなかった。
本発明は、透明基板とこの上に順次形成された低透過率透明導電膜と透明コート層からなる低透過率2層膜を備え、特に良好なボディカラー(膜の色、透過スペクトル)を有し、さらには低反射率と透光性、帯電防止・電界シールド機能、コントラスト改善効果も付加することができ、しかも製造コストの低減が図れる低透過率透明導電性基材とこの基材の製造に用いられる低透過率透明導電膜、低透過率透明導電膜形成用塗布液に関するものであり、この低透過率透明導電性基材は、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PDP)などに適用される。
カーボンブラック微粒子を用いた透明導電膜における膜透過率と膜抵抗値の関係を示すグラフ図である。 実施例1および実施例7に係る低透過率透明導電性基材の反射スペクトルを示すグラフ図である。 実施例9に係る低透過率透明導電性基材の透過スペクトルを示すグラフ図である。

Claims (8)

  1. 溶液中に、比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子と平均粒径1〜100nmの有色顔料微粒子とが、カーボンブラック微粒子100重量部に対して有色顔料微粒子5〜180重量部の割合で混合されていることを特徴とする低透過率透明導電膜形成用塗布液。
  2. 前記有色顔料微粒子は、複合酸化物顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ジオキサジン系顔料、コバルトバイオレット、群青、紺青および窒化チタンから選定された少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項1記載の低透過率透明導電膜形成用塗布液。
  3. 請求項1又は2記載の塗布液には、平均粒径5〜100nmのコロイダルシリカがさらに混合されていることを特徴とする請求項1又は2記載の低透過率透明導電膜形成用塗布液。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の低透過率透明導電膜形成用塗布液を用いて得られた低透過率透明導電膜であって、前記低透過率透明導電膜中のカーボンブラック微粒子が二次元網目構造を形成していることを特徴とする低透過率透明導電膜。
  5. 前記二次元網目構造の穴の部分(空孔)の平均サイズが0.1〜1μmの範囲であり、且つ、前記穴の部分(空孔)の占める面積が前記低透過率透明導電膜の全面積の10〜70%であることを特徴とする請求項4記載の低透過率透明導電膜。
  6. 請求項4〜5のいずれか1項記載の低透過率透明導電膜と透明コート層とからなる低透過率2層膜を備える低透過率透明導電性基材であって、
    前記低透過率透明導電膜は、比表面積201〜499m/gのカーボンブラック微粒子と、平均粒径1〜100nmの有色顔料微粒子と、無機バインダーマトリックス(A)とを主成分とし、前記透明コート層は、無機バインダーマトリックス(B)を主成分として構成されるとともに、前記低透過率透明導電性基材の可視光線領域の反射スペクトルにおいて極小となる反射率が2%以下であり、且つ前記低透過率2層膜の表面抵抗と可視光線透過率が、それぞれ10〜10Ω/□と40〜95%であることを特徴とする低透過率透明導電性基材。
  7. 請求項6記載の低透過率透明導電膜の無機バインダーマトリックス(A)と透明コート層の無機バインダーマトリックス(B)とが、酸化ケイ素を主成分としていることを特徴とする請求項6記載の低透過率透明導電性基材。
  8. 装置本体と前記表示面側の前面に配置された前面板とを備えた表示装置において、前記前面板として請求項6又は7記載の低透過率透明導電性基材がその低透過率透明導電膜側を外面に配置されていることを特徴とする表示装置。

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