JP2015135298A - 温度センサ用保護管及び温度測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】石炭ガス化炉等の耐熱性並びに耐磨耗性が必要とされる環境下においても十分な耐久性を維持でき、温度センサの応答性の悪化や製造コストの増大、重量の増大も回避することができる温度センサ用保護管およびそれを用いた温度測定装置を提供せんとする。
【解決手段】保護管2とこれに内装される温度センサ3とから構成され、保護管2は、金属製の管本体20の先端側の領域R1に、該外周面上に開口する溝部21を設け、該溝部21の内部にセラミックス材よりなる耐磨耗部4を設けてなることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、温度センサが挿着される保護管に係り、特に、石炭ガス化炉(燃焼炉)等の耐熱性並びに耐磨耗性が必要とされる環境で好適に使用できる温度センサ用保護管及びこれを用いた温度測定装置に関する。
従来、石炭ガス化炉などの燃焼炉の制御のため、炉内の温度を測定する温度測定装置が用いられている。この温度測定装置は、金属製の保護管の内部に温度センサが内装された構造を有している。燃焼炉の炉内温度はきわめて高温であり、しかも石炭スラグ等の燃焼物が飛散していることから、金属製の保護管は表面から磨耗がすすみ、耐久性の問題があった。
したがって、従来から保護管を耐熱性セラミック材で構成したものや、金属管の外側にセラミックス材の管を二重に重ね合わせたものなどが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。これにより耐磨耗性を向上できるが、保護管がセラミック材で覆われるため伝熱性が低下し、温度センサの応答性が悪くなるとう課題がある。また、特に保護管をセラミック材のみで構成したものでは強度面での課題があり、また二重構造としたものでは製造コスト増大は勿論のこと重量増大が避けられず、同じく外側のセラミック管の強度面の課題が残る。
金属保護管の構造を改良することで耐久性を高める提案として、特許文献2では表面にフィンを設けることも提案されている。しかしながら、このようなフィン構造によっても耐磨耗性ないし耐久性を十分に向上するには至っていない。
特開昭63−133026号公報 実公平3−20747号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、石炭ガス化炉等の耐熱性並びに耐磨耗性が必要とされる環境下においても十分な耐久性を維持でき、温度センサの応答性の悪化や製造コストの増大、重量の増大も回避することができる温度センサ用保護管およびそれを用いた温度測定装置を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、温度センサが挿着される保護管であって、金属製の管本体に、外周面上に開口する溝部を設け、該溝部の内部に、セラミックス材よりなる耐磨耗部を設けてなることを特徴とする温度センサ用保護管を構成した。
ここで、前記溝部が管本体の軸方向に沿って延びる長溝であるものが好ましい。
更に、前記溝部を管本体の周方向に間隔を置いて複数設けてなるものが好ましい。
また本発明は、上記温度センサ用保護管に、温度センサを挿着してなる温度測定装置をも提供する。
以上にしてなる本願発明に係る温度センサ用保護管および温度測定装置によれば、保護管が金属製の管本体の外周面上に開口する溝部を設け、該溝部の内部にセラミックス材よりなる耐磨耗部を設けたものであるため、耐磨耗部が磨耗しないことで耐磨耗部を除く管本体の金属部分についても十分磨耗を防止することができる。
すなわち、金属部分が少々磨耗はしても、磨耗しない前記耐磨耗部が残って逆に突出してくるため、金属部分に当たる灰の流速はさらに低減、あるいは渦化し、灰の堆積等も促進され、磨耗が進行しなくなる。したがって、本発明によれば、全体を耐磨耗材で覆うことなく、部分的な耐磨耗部によって他の金属部分についても磨耗を抑えることが可能となり、コストの増大や重量の増加を抑えつつ、温度センサの応答特性にも悪影響を与えない優れた保護管および温度測定装置を提供することができるのである。
また、耐磨耗部は溝部の内部に部分的に設けられ、溝部以外の箇所に金属部が存在するので、十分な強度も維持されている。金属部分に着目すると、溝部間に補強リブが設けられたような構造となり、単なる筒に比べて強度がアップしている。耐磨耗部はセラミック材であるので、雰囲気の燃焼物(スラリ等)が焼結反応して一体化し、より磨耗しにくい状態となる。
また、前記溝部が管本体の軸方向に沿って延びる長溝であるので、灰の流れに交差する方向に突き出して測定する一般的な使用状況において、金属部分の磨耗を効果的に抑制することができ、十分な耐磨耗効果を得ることができる。
また、前記溝部を管本体の周方向に間隔を置いて複数設けてなるので、耐磨耗部と耐磨耗部の間(溝部と溝部の間)の管本体金属部分が磨耗しはじめると耐磨耗部で挟まれた凹みとなり、灰の流速が著しく低下し、あるいは渦化しやすくなり、したがって灰の堆積が促進され、磨耗の進行をより確実に抑えることができる。また、上述の補強リブとしての効果も著しく高くなり、優れた強度を維持できる。
本発明の代表的実施形態に係る温度測定装置を示す一部破断説明図。 (a)は同じく要部の一部破断説明図、(b)は(a)のA−A横断面図。 (a)は同じく温度測定装置の変形例を示す要部の一部破断説明図、(b)は(a)のB−B横断面図。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
本発明の温度測定装置1は、図1に示すように、保護管2とこれに内装される温度センサ3とから構成されている。保護管2は、図2の拡大図にも示すように、金属製の管本体20の先端側の領域R1に、該外周面上に開口する溝部21が設けられ、該溝部21の内部にセラミックス材よりなる耐磨耗部4が設けられている。温度センサ3は、シース熱電対、測温抵抗体など従来から公知の種々のものを用いることができる。
また、溝部21及び耐磨耗部4は、管本体20の先端側領域R1にのみ設けられているが、これに限定されない。特に必要なのは、流速が高く耐磨耗性の必要性が高い先端側の領域であるが、他の領域に設けてもよく、流体内に突出される領域のほぼ全長に設けることも好ましい。
管本体20の先端側には、先端の開口部20aを塞ぐ金属製の栓部材5が設けられている。栓部材5は、具体的には、管本体20の開口部20aに嵌入され、当該開口部20a付近まで延びている内装の温度センサ3先端部を支持する基端側に開口した支持孔50aが中央に穿設された嵌入部50と、該嵌入部50の装置先端側に設けられ、管本体20の外周面とほぼ面一な外周面を有する蓋部51とより構成されている。
このような構造により、温度センサ3の測温点となる先端部に対して当該金属製の栓部材5を通じて、外部の熱を滞りなく伝えることができる。具体的には、先端側からは蓋部51を通じて嵌入部50経由で伝熱され、外周側からは耐磨耗部4間(溝部21間)の外部露出している金属部分を通じて同じく嵌入部50経由で効率よく伝熱され、優れた応答性が維持されている。
蓋部51は嵌入部50とともに開口部20aを塞ぐ機能以外に、溝部21の先端側の開放部21aを塞ぎ、該溝部21に装着される耐磨耗部4を押さえて安定保持する機能も有している。嵌入部50と蓋部51は別部材で形成され、これを組み付け時に溶接により一体化するようにしている。
具体的には、嵌入部50には開口部への嵌入方向とは反対側の装置先端側に突起50bが設けられおり、且つ蓋部51には、これに対応する位置に該突起50bを受け入れる貫通孔51cが設けられている。そして、組み付けの際には、まず管本体20の内部に温度センサ3を挿入するとともに、管本体20の先端側開口部20aから栓部材5の嵌入部50を嵌入し、温度センサ先端部を支持孔50aに挿着して支持させる。この状態で管本体20の開口縁部と嵌入部50外周面の装置先端側の端縁部との間を溶接する(溶接部W1)。
次に、管本体20の溝部21に耐磨耗部4が装着された状態で、蓋部51を嵌入部50に固定し、これにより溝部21の先端開放部21aも封止する。具体的には、蓋部51の貫通孔51cに嵌入部50の突起50bを挿入して両者を嵌合し、この状態で貫通孔51cの外側(先端側)から突起50b先端部と貫通孔51c内周縁との間を溶接する(溶接部W2)。
このような組み付け構造により、溶接部W1によって管本体20の開口部20aを確実に封止することができ、外部からの流体の侵入を防止することができる。栓部材5を管本体20の外周面との継ぎ目部分で溶接した場合、この溶接部は磨耗により破損しやすく、該破損個所より流体の侵入を許してしまうが、本例のように栓部材5の嵌入部50と蓋部51をそれぞれ別体構成し、嵌入部50を溶接部W1で先ず固定してから蓋部51を溶接することで、溶接部W1は蓋部51で保護されて磨耗による破損が回避され、流体侵入を確実に防止することができるのである。
また、溶接部W2は先端面の貫通孔51cの内部での溶接であるため、当該溶接部W2も磨耗しにくく、仮に磨耗して貫通孔51cと突起50bとの間の隙間から流体が侵入しても、上述のとおり溶接部W1で管本体内部への流体の侵入は確実に防止することができる。
耐磨耗部4を装着する溝部21の形状、数、方向などは特に限定されず、例えば螺旋溝など、いろいろなパターンが可能である。本例では、管本体20の軸方向に沿って延びる長溝とされ、該溝部21が管本体20の周方向に間隔をおいて複数本平行に設けられている。また、耐磨耗部4は、別途成形されるセラミックス材の棒状の成形体(セラミック片)であり、該成形体を溝部21に嵌め込み、同じくセラミック製の接着材によって固定したものである。このような接着材としては、アルミナ系などの耐熱セメントが好適である。
尚、ブラスト処理等により成形体の表面や溝部21の内面を粗面とし、アンカー効果をもたせることも好ましい例である。本例では溝部21を管本体20先端面に開放された切欠き溝としているが、当該先端面に至らず途中までの溝、すなわち外面側にのみ開口する溝としても勿論よい。ただし、本例では先端側が開放された溝とすることで上述の栓部材5(蓋部51)で当該先端側から前記成形体を押さえて保持することができる構造とされている。この保持力をより高めるためには、成形体の長さを溝部21よりも少し長くするか、蓋部51の成形体先端面に対応する箇所を少し突出させることで実現できる。
また、このように溝部21の先端側が開放された構造であることから、例えば溝部21の横断面形状を外側が狭い蟻溝形状とし、これに対応した形状の成形体を当該先端側から差し込むように装着したものも好ましい例である。これにより接着材がなくても耐磨耗部4が外れてしまうことがなくなる。
また、耐磨耗部4は、上記のように別途成形する代わりに、たとえば溝部21の内部に直接、セラミックセメントを充填して固めたものでもよい。代表例のように成形体を溝部に装着することで製造は容易となるが、このようにセラミックセメントを充填して固めたものも品質が安定し、測定精度を高めることができる利点がある。本例では耐磨耗部4の外周面が管本体20の外周面と略面一となるようにしているが、何れかが突出するように構成しても勿論よい。
図3に示すように温度センサ3の先端部を耐磨耗部4の間(溝部21間)の金属部分に装着するように構成したものも好ましい例である。本発明では全体をセラミック材で覆うのではなく耐磨耗部4間に外部露出する金属部分が維持されるので、この部分を利用して温度センサ3の先端部を装着し、同様に応答性のよい測定が可能となるのである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
1 温度測定装置
2 保護管
3 温度センサ
4 耐磨耗部
5 栓部材
20 管本体
20a 開口部
21 溝部
21a 開放部
50 嵌入部
50a 支持孔
50b 突起
51 蓋部
51c 貫通孔
R1 領域
W1 溶接部
W2 溶接部

Claims (4)

  1. 温度センサが挿着される保護管であって、
    金属製の管本体に、外周面上に開口する溝部を設け、
    該溝部の内部に、セラミックス材よりなる耐磨耗部を設けてなることを特徴とする温度センサ用保護管。
  2. 前記溝部が、管本体の軸方向に沿って延びる長溝である請求項1記載の温度センサ用保護管。
  3. 前記溝部を、管本体の周方向に間隔を置いて複数設けてなる請求項2記載の温度センサ用保護管。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の温度センサ用保護管に温度センサを挿着してなる温度測定装置。
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